JP2004047717A - チップ部品およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コイルパターン3a,3b間には複数の絶縁薄層7を積層形成して絶縁層4を構成する。絶縁層4の形成工程では、まず、コイルパターン3a上に、絶縁薄層7aを構成する絶縁材料を積層する。この絶縁材料の層にビアホール8aを形成した後に、焼成して絶縁薄層7aを形成する。次に、絶縁薄層7aの上に、上記同様に、絶縁薄層7bを構成する絶縁材料を積層し当該絶縁材料層にビアホール8bを形成し焼成して絶縁薄層7bを形成する。このように、絶縁薄層7を構成する絶縁材料を積層形成する度にその絶縁材料の層にビアホール8を形成して当該絶縁材料の層を焼成するので、焼成時の絶縁材料の層の厚みが薄くなる。絶縁材料の層が薄くなるに従って、焼成に起因したビアホール8の拡大量を小さく抑制できるので、ビアホール5の微小化を図ることができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の電極パターンが絶縁層を介して積層されている構成を有するチップ部品およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】
図9(a)にはチップ状のコイル部品の一種であるインダクタ部品の一例が模式的な断面図により示され、図9(b)にはそのインダクタ部品の模式的な分解図が示されている。なお、図9(a)は図9(b)のA−A部分に対応する断面図である。
【0003】
このインダクタ部品1は、絶縁材料から成る基板2と、電極パターンである複数のコイルパターン3(3a,3b)と、これらコイルパターン3a,3b間に介設される絶縁層4とを有して構成されている。絶縁層4にはビアホール5が形成されており、このビアホール5によって、コイルパターン3a,3bの一端部同士が接続されている。また、インダクタ部品1の例えば側面には、コイルパターン3aの他端部に接続する外部接続用電極(図示せず)と、コイルパターン3bの他端部に接続する外部接続用電極(図示せず)とがそれぞれ形成されている。これら外部接続用電極によって、コイルパターン3a,3bはそれぞれ外部の回路部と接続することができる。
【0004】
このようなインダクタ部品1は次に示すように製造することができる。例えば、図10(a)に示されるように、基板2の上面にコイルパターン3aを形成し、次に、図10(b)に示すように、そのコイルパターン3aの上側に、絶縁層4となる絶縁材料を積層形成する。その後、図10(c)に示されるように、絶縁材料の層4にビアホール用孔部6を形成し、当該ビアホール用孔部6に導電材料を充填してビアホール5を形成する。そして、図10(d)に示されるように、絶縁材料の層4の上にコイルパターン3bを形成する。
【0005】
然る後に、基板2とコイルパターン3aと絶縁層4とコイルパターン3bの積層体を焼成してインダクタ部品1が製造される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、インダクタ部品1等のチップ部品は小型化が進んでいる。このため、コイルパターン3の線幅Hが細くなると共に、線間隔Δdが狭くなってきている。このコイルパターン3の線の細幅化および線間隔の狭小化によって、ビアホール5の大きさが問題となってきている。それというのは、次に示すような理由による。
【0007】
つまり、インダクタ部品1の製造工程において、絶縁層4にビアホール用孔部6を形成する手法として、レーザビームを利用する手法がある。また、フォトリソ工法を利用する手法もある。このフォトリソ工法を利用する手法では、絶縁層4を感光性絶縁材料により形成することとし、露光処理により、ビアホール形成領域を除いて絶縁層4を硬化させ、その後、ビアホール形成領域の未硬化の感光性絶縁材料部分を除去する。これにより、ビアホール用孔部6を形成することができる。
【0008】
上記のような手法によりビアホール用孔部6を形成している。それら手法の加工精度などの問題から、ビアホール用孔部6の大きさを小さくするのには限界がある。
【0009】
また、基板2の上面にコイルパターン3aと絶縁層4とコイルパターン3bを積層形成した後に、それら積層体を焼成すると、当該焼成による絶縁層4の収縮によって、ビアホール5の径が大きくなってしまう。このため、コイルパターン3に対するビアホール5の大きさは、焼成前の状態では、図11の点線Aに示されるような大きさであったのにも拘わらず、焼成後には、図11の実線Bに示されるように拡大してしまう。前述したように、インダクタ部品1の小型化によって、コイルパターン3の線間隔Δdが狭くなっていることから、ビアホール5の焼成による拡大によって、コイルパターン3の線間がショートしてしまうという問題が生じる。
【0010】
特に、コイルパターン3a,3bに通電する電流が高周波化するにつれて、コイルパターン3a,3b間の寄生容量が問題となる。この寄生容量を削減するために、絶縁層4の厚みを厚くすると、より深いビアホール5を形成する必要がある。これに伴い、ビアホール用孔部6の加工上の問題から、ビアホール5の径を拡大する必要があることから、焼成によるビアホール5の拡大量が増加して、当該ビアホール5の拡大によるコイルパターン3の線間のショート問題が発生し易くなる。
【0011】
そのビアホール5によるコイルパターン3の線間のショート問題を回避しようとすると、焼成後にビアホール5となる領域を避けてコイルパターン3を巻回形成することとなるので、コイルパターン3を形成できる有効面積が狭くなる。このため、コイルパターン3の巻回数が減少して、インダクタ部品1は高いインダクタンス値が得ることができなくなる。
【0012】
さらに、前記ビアホール5の拡大によるコイルパターン3の線間のショート問題と、インダクタ部品1のインダクタンス値低下問題とを両方共に防止しようとすると、インダクタ部品1の小型化は非常に困難となってしまう。このように、ビアホール5の大きさは、インダクタ部品1の小型化の障害となっている。
【0013】
この発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、電極パターン間を接続するビアホールの微小化が容易なチップ部品およびその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は次に示す構成をもって前記課題を解決するための手段としている。すなわち、この発明のチップ部品は、複数の電極パターンが絶縁層を介して積層されており、その絶縁層には、互いに異なる電極パターン間を接続するためのビアホールが形成されている構成を備えたチップ部品において、電極パターン間に介在している前記絶縁層は、複数の絶縁薄層が積層形成されて構成されていることを特徴としている。
【0015】
また、この発明のチップ部品の製造方法は、複数の電極パターンが絶縁層を介して積層されており、その絶縁層には、互いに異なる電極パターン間を接続するためのビアホールが形成されている構成を備えたチップ部品の製造方法において、電極パターン間に介在している前記絶縁層は、複数の絶縁薄層が積層形成されて成る構成を有することとし、この絶縁層の形成工程では、まず、電極パターンの上に、1層目の絶縁薄層を構成する絶縁材料を積層形成し、また、当該絶縁材料の層にビアホール用孔部を形成し、その後に、その絶縁材料の層を焼成して1層目の絶縁薄層を形成し、然る後に、その1層目の絶縁薄層の上に、上記同様に、2層目の絶縁薄層を構成する絶縁材料を積層形成し当該絶縁材料の層にビアホール用孔部を形成した後に、焼成により2層目の絶縁薄層を形成するという如く、絶縁材料を積層形成する度に絶縁材料の層にビアホール用孔部を形成し当該絶縁材料の層を焼成して複数の絶縁薄層を順次形成していき絶縁層を形成することを特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明に係る実施形態例を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1には第1実施形態例のチップ部品の一例が模式的な断面図により示されている。なお、この第1実施形態例の説明において、図9に示すチップ部品と同一構成部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0018】
この第1実施形態例のチップ部品であるインダクタ部品1では、電極パターンであるコイルパターン3a,3b間には複数の絶縁薄層7(7a,7b)が積層形成されて絶縁層4が構成されている。この絶縁薄層7以外のインダクタ部品1の構成は図9に示すチップ部品と同様である。
【0019】
絶縁薄層7a,7bには、それぞれ、ビアホール8(8a,8b)が形成されており、これらビアホール8a,8bにより、コイルパターン3a,3bを接続するためのビアホール5が構成されている。また、この第1実施形態例では、絶縁薄層7a,7bは、それぞれ、ほぼ同じ厚みと成している。
【0020】
以下に、この第1実施形態例のインダクタ部品1の製造工程を図3に基づいて説明する。まず、インダクタ部品1の基板2を複数個作り出すことができる図3(a)に示されるような親基板10を用意する。この親基板10における各チップ部品形成領域K毎に、図3(b)に示されるように、それぞれ、コイルパターン3aを形成する。このコイルパターン3aを形成する手法には、例えば印刷工法やフォトリソ工法等を利用した様々な手法があり、ここでは、何れの手法を用いてコイルパターン3aを形成してもよく、その説明は省略する。
【0021】
次に、そのコイルパターン3aの上側に、絶縁薄層7aとなる絶縁材料の層11aを形成する。そして、図3(d)に示されるように、その絶縁材料の層11aには、各チップ部品形成領域K毎に、それぞれ、ビアホール8aを形成するためのビアホール用孔部12を形成する。このビアホール用孔部12を形成する工法としては、例えば、レーザービームを利用する工法がある。また、次に示すようなフォトリソ技術を利用した工法もある。この工法では、感光性絶縁材料により絶縁材料の層11aを形成する。そして、この絶縁材料層11aの上面に、ビアホール用孔部12のパターンが形成されたマスクを配置し、露光処理により、ビアホール用孔部形成領域以外の絶縁材料層11a部分を硬化させる。その後、その絶縁材料層11aから、ビアホール用孔部形成領域の未硬化の感光性絶縁材料を除去して、ビアホール用孔部12を形成する。このように絶縁材料層11aにビアホール用孔部12を形成する工法には様々な工法があり、ここでは、何れの工法を採用してビアホール用孔部12を形成してもよい。
【0022】
その後、そのビアホール用孔部12に導電材料13を充填する。これにより、ビアホール8aが形成される。
【0023】
そして、然る後に、親基板10をコイルパターン3aとビアホール8aと絶縁材料層11aと共に焼成する。この焼成により、ビアホール8aが設けられた1層目の絶縁薄層7aが形成される。
【0024】
次に、その絶縁薄層7aの上に、図3(e)に示されるように、2層目の絶縁薄層7bを構成する絶縁材料の層11bを形成する。この絶縁材料層11bにも、上記同様に、図3(f)に示されるようなビアホール用孔部14を形成し、当該ビアホール用孔部14に導電材料15を充填してビアホール8bを形成する。この第1実施形態例では、そのビアホール8bは、1層目の絶縁薄層7aに形成されているビアホール8aの形成位置に合わせて設けられる。
【0025】
そして、焼成により、ビアホール8bが設けられた2層目の絶縁薄層7bを形成する。その後、その2層目の絶縁薄層7bの上面に、図3(g)に示されるように、コイルパターン3bを形成する。
【0026】
然る後に、コイルパターン3aと複数の絶縁薄層7a,7bとコイルパターン3bが積層形成された親基板10を、各チップ部品形成領域の境界線Lに沿って分離分割することにより、図3(h)に示されるようなインダクタ部品1を複数個切り出し形成することができる。その後、各インダクタ部品1には、それぞれ、例えば、その側面に、コイルパターン3a,3bを外部と接続させるための外部接続用電極が形成される。以上のようにして、インダクタ部品1を製造することができる。
【0027】
この第1実施形態例では、コイルパターン3a,3b間に介在している絶縁層4を複数の絶縁薄層7により構成した。このため、各絶縁薄層7となる絶縁材料を積層形成する度にその絶縁材料の層にビアホール用孔部を形成し当該絶縁材料の層を焼成して各絶縁薄層7を順次積層形成していき絶縁層4を形成するという製造工程を取ることができる。
【0028】
この第1実施形態例に示した絶縁層4の製造工程を採用することにより、焼結される絶縁材料の層11a,11bの厚みが絶縁層4の厚みよりも格段に薄くなるので、その薄さに応じて、各絶縁材料層11a,11bに形成するビアホール用孔部12,14の径を小さく設計することができる。これにより、各絶縁材料層11a,11bに形成したビアホール用孔部12,14の焼結時の拡大量を抑制することができる。
【0029】
このことから、例えば、従来では、コイルパターン3に対する焼結後のビアホール5の大きさが、図2(b)の実線Bに示されるようにコイルパターン3の線間をショートさせる程に拡大していたのに対して、この第1実施形態例に示した製造工程を採用することにより、図2(a)に示されるように、焼結前のビアホール用孔部の大きさを点線αに示されるように小さく設計することができるため、実線Aに示されるようにコイルパターン3に対する焼結後のビアホール5の拡大を抑制することができる。
【0030】
また、コイルパターン3に導通する電流の高周波化に起因して絶縁層4の厚みが厚くなっても、絶縁層4を構成する絶縁薄層7の積層数を増加させて第1実施形態例に示した製造工程と同様に製造することにより、絶縁材料の焼結に起因したビアホール5の拡大を小さく抑制することができる。
【0031】
したがって、この第1実施形態例のインダクタ部品1の構成および製造工程を用いることにより、従来よりも微小なビアホール5を得ることができる。これにより、ビアホール5に起因したコイルパターン3の線間のショート問題を防止しつつ、コイルパターン3の線間隔の狭小化が図れて、インダクタ部品1の小型化を促進させることが可能となる。また、微小なビアホール5を形成できるので、コイルパターン3を形成することができる有効面積が増加して、コイルパターン3の巻回数を維持しながら、インダクタ部品1の小型化を図ることができる。
【0032】
なお、この第1実施形態例では、絶縁薄層7a,7bは同じ絶縁材料により形成する構成とした。このため、絶縁薄層7a,7bにおいて、焼結時における絶縁材料の層11a,11bの厚みとビアホール8a,8bの拡大量との関係が同じとなるので、焼結後の各絶縁薄層7a,7bのビアホール8a,8bがほぼ同じ大きさとなるように、この第1実施形態例では、各絶縁薄層7a,7bの厚みをほぼ等厚としている。しかし、例えば、絶縁薄層7a,7bの各構成材料を互いに異なるものとしてもよく、このような場合には、焼結時における絶縁材料層11の厚みとビアホール8の拡大量との関係が異なる。このため、例えば焼結前のビアホール用孔部12,14の大きさをほぼ同じとした場合には、絶縁材料の差違による焼成時のビアホール8a,8bの拡大量の差を考慮し、焼結後の各絶縁薄層7a,7bのビアホール8a,8bの大きさがほぼ等しくなるように各絶縁薄層7a,7bの厚みを互いに異なるものとしてもよい。
【0033】
また、この実施形態例では、絶縁層4は、2層の絶縁薄層7a,7bにより構成されていたが、例えば、絶縁層4を3層以上の絶縁薄層7を積層形成して構成してもよく、絶縁薄層7の積層数は適宜な数としてよい。
【0034】
以下に、第2実施形態例を説明する。この第2実施形態例では、図4の断面図に示されるように、絶縁薄層7aに形成されているビアホール8aと、絶縁薄層7bに形成されているビアホール8bとがずれて形成されていることである。それ以外の構成は第1実施形態例と同様である。なお、この第2実施形態例の説明では、第1実施形態例と同一構成部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。また、図5には、下層側のコイルパターン3aと、上層側のコイルパターン3bとが横に並べられて図示されている。
【0035】
この第2実施形態例では、ビアホール8a(つまり、ビアホール5を介して接続するコイルパターン3a,3bのうちの一方側3aに連接するビアホール部分)と、ビアホール8b(つまり、他方側のコイルパターン3bに連接するビアホール部分)とは、ほぼ同じ形状で、ほぼ同じ径を有するものであり、互いにずれて形成されている。それらビアホール8a,8bの中心部Oa,Obのずれ量Δzは、それらずれ方向のビアホール8a,8bの幅(つまり、この第2実施形態例ではビアホール8a,8bの直径)をwとした場合に、0.2w≦Δz≦0.8wの範囲内の値となっている。このため、それらずれているビアホール8a,8bは、確実に導通して、コイルパターン3a,3bを電気的に接続する。なお、ビアホール8a,8bのずれ方向は、ビアホール8a,8bがそれぞれ接続するコイルパターン3a,3bの一端部分の形成位置に応じて適宜に定められるものである。
【0036】
この第2実施形態例のインダクタ部品1も、第1実施形態例と同様にして製造することができる。
【0037】
この第2実施形態例では、ビアホール8a,8bをずらして形成する構成とした。このため、コイルパターン3a,3bの互いに接続し合う部分の形成位置がずれていても、ビアホール5の大きさを大きくすることなく、それらコイルパターン3a,3bを接続させることができる。
【0038】
例えば、コイルパターン3a,3bの互いに接続し合う接続部の形成位置がずれているときに、従来のように絶縁層4の表面側から裏面側にかけて真っ直ぐなビアホール5を形成しようとすると、コイルパターン3a,3bを確実に接続するためにビアホール5を大きく形成しなければならない。このため、例えば、図6の断面図に示されるように、インダクタ部品1を小型化するためにコイルパターン3の線間隔が狭められており、コイルパターン3a,3bのうちの一方側の接続部分に対向する領域に他方側のコイルパターン3の一部が配置されている場合には、その大きなビアホール5はコイルパターン3a,3bの接続部分以外の部分にも接続してしまうこととなり、コイルパターン3の線間のショート問題が発生してしまう。
【0039】
これに対して、この第2実施形態例の構成では、絶縁層4を構成する各絶縁薄層7a,7bのビアホール8a,8bをずらして形成しているので、ビアホール5を大きくすることなく、コイルパターン3a,3bを接続することができることから、前記ショート問題を抑制することができる。
【0040】
なお、この発明は第1や第2の各実施形態例に限定されるものではなく、様々な実施の形態を採り得る。例えば、第1と第2の各実施形態例では、絶縁層4は、2層の絶縁薄層7a,7bにより構成されていたが、例えば、絶縁層4は、3層以上でもよい。
【0041】
また、図7に示されるように、絶縁層4を3層以上の絶縁薄層7により形成する構成とした場合には、例えば、各絶縁薄層7のビアホール8をそれぞれ互いにずらして配置してもよい。このような構成とすると、コイルパターン3a,3bの互いに接続し合う部分の配置位置が大きくずれている場合に、ビアホール5を大きくすることなく、かつ、コイルパターン3a,3b間を流れる電流の導通経路の抵抗を大きくすることなく、コイルパターン3a,3bを接続させることができる。
【0042】
さらに、絶縁層4を構成する絶縁薄層7が3層以上であり、ビアホール5が複数のビアホール部分8を有して構成されている場合に、各絶縁薄層7毎にビアホール8の形成位置をずらさなくともよく、例えば、図8の断面図に示されるように、複数の絶縁薄層7に渡り同じ位置にビアホール8が形成されていてもよい。
【0043】
さらに、第1と第2の各実施形態例では、インダクタ部品1は2個のコイルパターン3を有していたが、インダクタ部品1を構成するコイルパターン3の数は3個以上でもよい。さらに、第1と第2の各実施形態例では、チップ部品として、インダクタ部品を例にして説明したが、この発明は、複数の電極パターンを有し、それら電極パターンが絶縁層を介して積層形成されている構成を有するものであれば、適用することができ、インダクタ部品1に限定されるものではない。また、このことから、電極パターンも第1や第2の各実施形態例に示したコイルパターンに限定されるものではなく、他の形態をも採り得るものである。
【0044】
さらに、第1と第2の各実施形態例では、ビアホール8(5)の断面形状は円形状であったが、そのビアホール8は例えば断面形状が四角形状であってもよく、そのビアホール8の形状は特に限定されるものではない。
【0045】
さらに、第1と第2の各実施形態例では、絶縁層4を介して隣り合うコイルパターン3同士がビアホール5を介して接続する構成であったが、例えば、チップ部品がトランス部品であり、一次コイルパターンと二次コイルパターンとが交互にそれぞれ絶縁層を介して積層配置されている場合には、ビアホールは、一次コイルパターン同士、二次コイルパターン同士を接続させることとなる。このように、ビアホールは、絶縁層を介して隣り合っている電極パターン同士を接続させるとは限らない。
【0046】
【発明の効果】
この発明によれば、電極パターン間に介在する絶縁層は複数の絶縁薄層が積層形成されて成る構成とした。この構成を有する際には、この発明の製造方法でもってチップ部品を製造することができる。つまり、各絶縁薄層を構成する絶縁材料の層を形成して当該絶縁材料層にビアホールを形成する度に焼結して絶縁薄層を順次形成していくという製造工程でもって、絶縁層を形成することができる。
【0047】
絶縁材料の層の厚みが厚くなる程、焼結前のビアホール用孔部の大きさを大きくしなければならないのに対して、この発明では、絶縁層よりも薄い絶縁薄層に1層ずつビアホール用孔部を形成し焼結して絶縁層を作製していくので、絶縁層の厚みに関係なく、各絶縁薄層のビアホール用孔部の大きさを小さく形成することができる。これにより、焼成に起因したビアホールの拡大量を抑制することができて、ビアホールの微小化を図ることができる。よって、ビアホールの微小化を図ることができた分、チップ部品の小型化を図ることができる。
【0048】
また、ビアホールが小さくできる分、電極パターンを形成することができる有効面積が増加するので、例えば、チップ部品がコイル部品である場合には、コイル部品を小型化する場合に、電極パターンであるコイルパターンの巻回数の削減を抑制できて、コイル部品のインダクタンス値の低下を防止することができる。
【0049】
さらに、ビアホールが、互いにずれて配置形成されている複数のビアホール部位により構成されるものにあっては、例えば、ビアホールにより接続し合う電極パターンの接続部分の形成位置がずれている場合に、それら電極パターンの接続部分の形成位置のずれ方向にビアホール部位をずらして形成することにより、ビアホールを大きくすることなく、それら電極パターンを接続させることができる。また、ビアホールを介して接続し合う電極パターンの接続部分の許容ずれ量を広げることができるので、電極パターンの設計の自由度を高めることができる。
【0050】
さらに、ビアホールを構成する複数のビアホール部位のずれ量Δzが、それらずれ方向のビアホール部位の幅をwとした場合に、0.2w≦Δz≦0.8wの範囲内であるものにあっては、電極パターン間を確実に接続させることができる。
【0051】
さらに、絶縁層の製造工程において、絶縁材料の層にビアホール用孔部を形成するために、フォトリソ工法や、レーザービーム工法を利用する場合には、その加工精度の問題から、ビアホール用孔部を小さく形成するのにも限界がある。このような場合に、この発明の構成を採用することによって、電極パターン間の絶縁層の厚みが同じでも、従来に比べて、焼結後のビアホールの大きさを小さく抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態例のチップ部品であるインダクタ部品の主要部分を示す断面図である。
【図2】第1実施形態例の構成から得られる効果を説明するための図である。
【図3】第1実施形態例に示したインダクタ部品の製造工程例を説明するための図である。
【図4】第2実施形態例を説明するための図である。
【図5】第2実施形態例において特徴的な各絶縁薄層のビアホールのずれ関係を説明するための図である。
【図6】第2実施形態例の構成に対する比較例を示す断面図である。
【図7】その他の実施形態例を説明するための図である。
【図8】さらに、その他の実施形態例を説明するための図である。
【図9】チップ部品であるコイル部品の一種であるインダクタ部品の一例を説明するための図である。
【図10】図9のインダクタ部品の製造工程の一例を説明するための図である。
【図11】従来の問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
1 インダクタ部品
2 基板
3 コイルパターン
4 絶縁層
5 ビアホール
7 絶縁薄層
8 ビアホール
Claims (8)
- 複数の電極パターンが絶縁層を介して積層されており、その絶縁層には、互いに異なる電極パターン間を接続するためのビアホールが形成されている構成を備えたチップ部品において、電極パターン間に介在している前記絶縁層は、複数の絶縁薄層が積層形成されて構成されていることを特徴とするチップ部品。
- 基板上に電極パターンが形成され、この電極パターン上には複数の絶縁薄層が積層されて絶縁層が形成され、この絶縁層の上に前記電極パターンにビアホールを介して接続する別の電極パターンが形成されていることを特徴とする請求項1記載のチップ部品。
- ビアホールは、当該ビアホールを介して接続する電極パターンの一方側に連接する部分と、他方側の電極パターンに連接する部分とを少なくとも有し、それら一方側の電極パターンに連接するビアホール部分と、他方側の電極パターンに連接するビアホール部分とは、ずれて形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のチップ部品。
- ビアホールは、当該ビアホールを介して接続する電極パターンの一方側に連接するビアホール部位と、他方側の電極パターンに連接するビアホール部位とを少なくとも含む複数のビアホール部位を有して構成され、これら複数のビアホール部位は、ほぼ同じ形状およびほぼ同じ大きさを有し、互いにずれて配置されており、隣り合っているビアホール部位の中心部のずれ量Δzは、ずれ方向のビアホール部位の幅をwとした場合に、0.2w≦Δz≦0.8wの範囲内であることを特徴とする請求項3記載のチップ部品。
- 電極パターンはコイル形状に形成されており、チップ部品はコイル部品であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載のチップ部品。
- 複数の電極パターンが絶縁層を介して積層されており、その絶縁層には、互いに異なる電極パターン間を接続するためのビアホールが形成されている構成を備えたチップ部品の製造方法において、電極パターン間に介在している前記絶縁層は、複数の絶縁薄層が積層形成されて成る構成を有することとし、この絶縁層の形成工程では、まず、電極パターンの上に、1層目の絶縁薄層を構成する絶縁材料を積層形成し、また、当該絶縁材料の層にビアホール用孔部を形成し、その後に、その絶縁材料の層を焼成して1層目の絶縁薄層を形成し、然る後に、その1層目の絶縁薄層の上に、上記同様に、2層目の絶縁薄層を構成する絶縁材料を積層形成し当該絶縁材料の層にビアホール用孔部を形成した後に、焼成により2層目の絶縁薄層を形成するという如く、絶縁材料を積層形成する度に絶縁材料の層にビアホール用孔部を形成し当該絶縁材料の層を焼成して複数の絶縁薄層を順次形成していき絶縁層を形成することを特徴とするチップ部品の製造方法。
- 絶縁薄層は感光性絶縁材料により形成される構成と成し、その感光性絶縁材料の層にビアホール用孔部を形成する工程では、露光処理により、ビアホール用孔部形成領域以外の領域の感光性絶縁材料を硬化させ、その後、ビアホール用孔部形成領域の未硬化の感光性絶縁材料を除去してビアホール用孔部を形成することを特徴とする請求項6記載のチップ部品の製造方法。
- 絶縁薄層を構成する絶縁材料の層を形成する度に、レーザー工法を利用して、その絶縁材料の層にビアホール用孔部を形成することを特徴とする請求項6記載のチップ部品の製造方法。
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