JP2004047595A - 電解液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機極性溶媒(C)中に、側鎖にプロピル基以上のアルキル基を有する総炭素数14〜24の第2級ジカルボン酸(A)および/またはその塩(B)を溶解させたことを特徴とする電解コンデンサ用電解液、およびそれを用いた電解コンデンサを使用する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解液に関するものである。さらに詳しくは電解コンデンサに使用する電解液に関するものである。さらに詳しくは、中高圧級コンデンサ用電解液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年コンデンサが使用される周辺環境の高温化に伴い、電導度が高く、また高温で火花電圧が高く、かつ長寿命、つまり電極のアルミ化成皮膜を破壊しにくく、アルミ化成皮膜に欠陥が生じたとき、これを修復する皮膜修復能に優れ、高温での化学反応が抑制される、電解液が要望されている。これに対し、第2級カルボン酸と第3級カルボン酸を併用(特開平6−275472号公報)、第2級ポリカルボン酸と2級モノカルボン酸を併用(特開平6−290998号公報)、第2級および/または第3級のカルボキシル基を合計で2個以上有する分子量260以上のポリカルボン酸(特許第2068248号公報)等を用いる電解液が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、第3級カルボン酸を用いた電解液では、高温でのエステル化反応は抑制されるが、化成皮膜に欠陥が生じたとき、これを修復できる皮膜修復能が十分ではない。また、第2級カルボン酸でα位の側鎖がメチル基、エチル基であるものは、皮膜修復能は十分であるが、高温でのエステル化の反応抑制が不十分である。
本発明の課題は、アルミ化成皮膜の修復能力が十分であり、かつ、高温でのエステル化の反応抑制が十分である電解液を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、側鎖にプロピル基以上のアルキル基を有する第2級ジカルボン酸および/またはその塩を使用した電解液が、高温での比電導度低下が小さく、皮膜修復能も十分であることを見いだして本発明に到達した。 すなわち本発明は、第1に、有機極性溶媒(C)中に一般式(1)で表される総炭素数14以上24以下の2級ジカルボン酸(A)および/またはその塩(B)を溶解させてなることを特徴とする電解液であり、
【化2】
(式中、R1、R2は炭素数3以上10以下のアルキル基であって、分岐を有していても良く、同一であっても異なっていても良い。nは1以上12以下の自然数を示す。)
また、第2に、有機極性溶媒(C)中に総炭素数14以上24以下の多価カルボン酸(A1)および/またはその塩(B1)を溶解させた電解液であって、85℃雰囲気下2mAの定電流負荷で放電がおこる電圧を測定する火花電圧測定において火花電圧に到るまでの電圧上昇速度が50V/min以上、空気雰囲気下のアンプル管中で150℃、10時間の加熱試験後の比電導度変化率が50%以下であることを特徴とする電解コンデンサ用電解液である。
【0005】
【発明の実施の形態】
まず、第1の発明について説明する。
本発明の電解液は、側鎖に炭素数3以上10以下のアルキル基を有する2級ジカルボン酸(A)および/またはその塩(B)を溶解することを特徴とする。(A)はカルボキシル基に対してα位に炭素数3以上10以下のアルキル基を有するため、立体障害が大きく、3級カルボン酸と同等以上に溶媒とのエステル化反応を抑制でき、高温(100〜180℃)での比電導度低下が小さい。また、2級カルボン酸であるため、3級カルボン酸に比べ、高い化成被膜修復能を発現する。従って、長寿命で、かつ高温で火花電圧の高い電解液を得ることが出来る。
【0006】
本発明において使用する2級ジカルボン酸(A)は、下記一般式(1)で示される。
【化3】
(A)の総炭素数は、通常14以上、好ましくは16以上、さらに好ましくは18以上であり、通常24以下、好ましくは22以下である。
(A)の総炭素数が13以下では、化成被膜近傍の電荷の集中による化成被膜の破壊抑制が十分でなくなり、25以上ではイオンの移動度低下による電導度低下が起こる。
【0007】
R1、R2は通常炭素数3以上、好ましくは4以上、通常10以下、好ましくは8以下ののアルキル基であって、分岐を有していても良く、同一であっても異なっていても良い。
R1、R2 の炭素数が2以下であると立体障害が小さく溶媒とのエステル化抑制が十分ではない。11以上であると溶媒であるエチレングリコール(以下EGと略記)への溶解性が低下し、電導度が低下する。
R1、R2の具体例としては、
▲1▼直鎖アルキル基;n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等
▲2▼分岐アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられるが、これに限ったものではない。
nは通常1以上、好ましくは4以上、通常12以下、好ましくは10以下の整数を示す。nが0であると脱炭酸反応が引き起こされやすく、電導度低下率が大きくなる。nが13以上であるとEGへの溶解性が低下する。
【0008】
(A)の具体例として、2,5−ジブチルアジピン酸、2,5−ジペンチルアジピン酸、2,5−ジヘキシルアジピン酸、2,5−ジヘプチルアジピン酸、2,5−ジオクチルアジピン酸、2,7−ジブチルスベリン酸、2,7−ジペンチルスベリン酸、2,7−ジヘキシルスベリン酸、2,7−ジヘプチルスベリン酸、2,9−ジプロピルセバシン酸、2,9−ジブチルセバシン酸、2,9−ジペンチルセバシン酸、2,9−ジヘキシルセバシン酸、2,13−ジプロピルテトラデカンジカルボン酸[HO2C−CH((CH2)2CH3)(CH2)10CH((CH2)2CH3)CO2H]、2,13−ジブチルテトラデカンジカルボン酸[HO2C−CH((CH2)3CH3)(CH2)10CH((CH2)3CH3)CO2H]、2,13−ジペンチルテトラデカンジカルボン酸[HO2C−CH((CH2)4CH3)(CH2)10CH((CH2)4CH3)CO2H]、2、15−ジプロピルヘキサデカンジカルボン酸[HO2C−CH((CH2)2CH3)(CH2)12CH((CH2)2CH3)CO2H]、2,15−ジブチルヘキサデカンジカルボン酸[HO2C−CH((CH2)3CH3)(CH2)12CH((CH2)3CH3)CO2H]、及びこれら2種以上の混合物が挙げられる。
【0009】
(A)の製造方法としては、例えば炭素数1〜12のジハロゲン化アルキルに炭素数8〜17のアルキルマロン酸メチルエステルまたはエチルエステルを反応温度70℃、無溶媒で求核付加反応させた後、常法でケン化、脱炭酸する方法が含まれる。
【0010】
(B)は(A)と塩基からなる塩である。(B)としては例えば、(A)のアンモニウム塩、およびアミン塩が挙げられる。アミン塩を構成するアミンの例としては、1級アミン(メチルアミン、エチルアミン、エチレンジアミン等)、2級アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン等)、3級アミン[トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7等]が挙げられる。(B)として好ましいのはアンモニウム塩及びトリエチルアミン塩であり、特に好ましいのはアンモニウム塩である。
【0011】
塩を形成する(A)のカルボキシル基と(B)のアンモニウム基又はアミノ基のモル比は(1:2)〜(1:0)が好ましく、さらに好ましくは(1:1.2)〜(1:0.8)である。
【0012】
(A)と(B)の合計重量は、電解液合計重量に対して、好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上であり、好ましくは70重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下である。
【0013】
本発明の有機極性溶媒(C)としては、アルコール類、エーテル類、アミド類、ラクトン類、ニトリル類、カーボネート類およびその他の有機極性溶媒の1種または2種以上が挙げられる。
(C)の具体例としては以下のものが挙げられる。
▲1▼アルコール類;
1価アルコール;炭素数1〜6の1価アルコール(メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコールなど)、炭素数7以上の1価アルコール(ベンジルアルコール、オクタノールなど)、
2価アルコール;炭素数1〜6の2価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコールなど)、炭素数7以上の2価アルコール(オクチレングリコールなど)、
3価アルコール;炭素数1〜6の3価アルコール(グリセリンなど)、
4価から6価またはそれ以上のアルコール;炭素数1〜6の4価から6価またはそれ以上のアルコール(ヘキシトールなど)、
▲2▼エーテル類;
モノエーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフランなど)、ジエーテル(エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなど)など。
▲3▼アミド類;
ホルムアミド類(N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなど)、アセトアミド類(N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなど)、プロピオンアミド類(N,N−ジメチルプロピオンアミド、ヘキサメチルホスホリルアミドなど)、オキサゾリジノン類(N−メチル−2−オキサゾリジノン、3,5−ジメチル−2−オキサゾリジノンなど)。
▲4▼ラクトン類;
α−アセチル−γ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトンなど。
▲5▼ニトリル類;
アセトニトリル、アクリロニトリルなど。
▲6▼カーボネート類;
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど。
▲7▼その他の有機極性溶剤;
ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルピロリドンなど。
▲8▼上記2種以上の混合物
上記の中で、炭素数1〜6の2価アルコールが好ましく、エチレングリコールがさらに好ましい。
【0014】
(C)の重量は、電解液合計重量に対して、好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上であり、好ましくは95重量%以下である。
【0015】
本発明の電解液として使用する溶媒としては、必要により、上記有機極性溶媒(C)に非極性溶媒、例えば芳香族系溶剤(トルエン、キシレンなど)、パラフィン系溶剤(ノルマルパラフィン、イソパラフィン)などを併用することが出来る。
上記非極性溶媒の含量は、電解液合計重量に対して20重量%以下である。
本発明の電解液は必要により、水を含有させることが出来る。その含有量は、電解液の合計重量に対して10重量%以下である。
【0016】
本発明の電解液には必要により、電解液に通常用いられる種々の添加剤(D)を添加することができる。
該添加剤(D)としては、リン酸誘導体(例えば、リン酸、リン酸エステルなど)、ホウ酸誘導体(例えば、ホウ酸、ホウ酸と多糖類〔マンニット、ソルビットなど〕との錯化合物、ホウ酸と多価アルコール〔エチレングリコール、グリセリンなど〕との錯化合物など)、ニトロ化合物(例えば、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、o−ニトロフェノール、p−ニトロフェノールなど)などを挙げることができる。
また必要に応じ、被膜修復性や、比電導度のさらなる向上の目的で1級カルボキシル基を有するカルボン酸や、芳香族カルボキシル基を有するカルボン酸等を少量混合することが出来る。混合できるものとしては、アジピン酸、アゼライン酸、1,6−デカンジカルボン酸、2−ブチルヘキサンジカルボン酸、安息香酸等が挙げられる。上記(D)の合計添加量は、電解液合計重量に対して10重量%以下が好ましい。
【0017】
本発明の電解液のpHは3〜12が好ましく、さらに好ましくは5〜9である。ポリカルボン酸の塩(B)を製造する際は、電解液のpHがこの範囲となるような条件が選択される。なお該電解液のpHは25℃の分析値である。
【0018】
85℃雰囲気下2mAの定電流負荷での火花電圧測定において、縦軸に電圧横軸に時間をとったチャートを作成した際、火花電圧に到達するまでの電圧上昇速度が大きいほど、化成被膜修復性能に優れる。
本発明の電解液は化成被膜修復性能の観点から、電圧上昇速度が50V/min以上であることが好ましく、さらに好ましくは60V/min以上である。
電圧上昇速度は以下のように定義される。
電圧上昇速度(V/min)=火花電圧(V)/火花電圧に到達するまでの時間(min)
【0019】
熱履歴による比電導度低下率において、加熱後の比電導度低下率が小さいほど、長寿命特性を有する。
本発明の電解液は、電解コンデンサの寿命の観点から、空気雰囲気下のアンプル管中で150℃、10時間の加熱試験後の比電導度低下率が50%以下であることが好ましく、さらに好ましくは30%以下である。
比電導度低下率は以下のように定義した。
比電導度低下率(%)=100×{(加熱試験前の比電導度)−(加熱試験後の比電導度)}/(加熱試験前の比電導度)
【0020】
次に、第2の発明について説明する。
85℃雰囲気下2mAの定電流負荷で放電がおこる電圧を測定する火花電圧測定において、本発明の電解コンデンサ用電解液の火花電圧に到るまでの電圧上昇速度は、50V/min以上、好ましくは60V/min以上である。50V/min未満であると化成皮膜修復能力が不十分であり、電解コンデンサにおいて、高電圧が一次的に負荷された場合、ショートを引き起こしやすい。
また、本発明の電解コンデンサ用電解液について、空気雰囲気下のアンプル管中で150℃、10時間、加熱試験を行った後の比電導度低下率は、50%以下、好ましくは30%以下である。50%を越えるとコンデンサが高温雰囲気下に長時間さらされた場合、著しい性能劣化を起こす。
【0021】
(A1)としては(A)として上記に挙げたジカルボン酸以外にトリカルボン酸、テトラカルボン酸等が挙げられる。
(B1)としては例えば、(A1)のアンモニウム塩、およびアミン塩が挙げられる。該アミンとしては上記に挙げたものが含まれる。
【0022】
塩を形成する(A1)のカルボキシル基と、(B1)のアンモニウム基又はアミノ基のモル比は(1:2)〜(1:0)が好ましく、さらに好ましくは(1:1.2)〜(1:0.8)である。
【0023】
(A1)と(B1)の合計重量は、電解液合計重量に対して、好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上であり、好ましくは70重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下である。
【0024】
本発明の電解液(第1発明及び第2発明)は、火花電圧100V以上の中高圧級用電解コンデンサに好適に使用される。
【実施例】
次に本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0025】
製造例1
n−ブチルマロン酸ジエチル216.3gをドライベンゼン700mlに溶解した溶液に、ナトリウムエトキシド68.5gをドライエタノール60ml中に溶解した溶液を25℃で添加し、加熱還流下で15分間反応させた。その反応液に、1,2−ジブロモエタン102.8gをドライベンゼン190mlに溶解した溶液を2時間かけて滴下した。加熱還流下で12時間反応後、反応物をエチルエーテルで抽出し、テトラカルボン酸エステルを得た。得られた化合物を、10N水酸化カリウムついで6N塩酸で処理し、テトラカルボン酸を得た。得られた化合物をピリジンに溶解し、加熱還流下で脱炭酸し、2,5−ジブチルアジピン酸を133g得た。
【0026】
製造例2
製造例1の1,2−ジブロモエタン102.8gの代わりに1,6−ジブロモヘキサン116.2gを用い、他は製造例1と同じように実施し、2,9−ジブチルセバシン酸を150g得た。
【0027】
製造例3
製造例1の1,2−ジブロモエタン102.8gの代わりに1,12−ジブロモドデカン156.3gを用い、他は製造例1と同じように実施し、2,15−ジブチルヘキサデカンジカルボン酸を189g得た。
【0028】
製造例4
製造例1のn−ブチルマロン酸ジエチル216.3gの代わりにn−プロピルマロン酸ジエチル188.3gを、1,2−ジブロモエタン102.8gの代わりに1,6−ジブロモヘキサン116.2gを用い、他は製造例1と同じように実施し、2,9−ジプロピルセバシン酸136g得た。
【0029】
比較例1
製造例2のn−ブチルマロン酸ジエチルの代わりにメチルマロン酸ジエチルを用い製造例2と同様の手法で2、9−ジメチルセバシン酸を合成した。これに2、2−ジイソプロピルプロパン酸を重量比で20:80の割合で混合し、比較例1の酸を調製した。
【0030】
比較例2
比較例1の2、2−ジイソプロピルプロパン酸の代わりに2−エチルヘプタン酸を用い、2、9−ジメチルセバシン酸と2−エチルヘプタン酸の重量比が50:50の割合となるように混合し、比較例2の酸を調製した。
【0031】
比較例3
Brennst Chem.,1968,49(9),263−7に記載の手法を用いてと2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールとギ酸から、比較例3の2,2,5,5−テトラメチルアジピン酸を合成した。
【0032】
比較例4
製造例2のn−ブチルマロン酸ジエチルの代わりにエチルマロン酸ジエチルを用い製造例2と同様の手法で比較例4の2、9−ジエチルセバシン酸を合成した。
【0033】
比較例5
J.Org.Chem.,1972,37,451に記載の手法を用いてコハク酸と1−ブロモオクタンから比較例5の2,3−ジオクチルコハク酸を合成した。
【0034】
比較例6
製造例1のn−ブチルマロン酸ジエチルの代わりにn−トリデシルマロン酸ジエチルを用い、製造例1と同様の手法で比較例6の2,5−ジトリデシルアジピン酸を合成した。
【0035】
比較例7
製造例1のn−ブチルマロン酸ジエチルの代わりにメチルマロン酸ジエチルを、1,2−ジブロモエタンの代わりに1,13−ジブロモトリデカンを用い、製造例1と同様の手法で比較例7の2、16−ジメチルヘプタデカンジカルボン酸を合成した。
【0036】
上記の方法で得られた実施例1〜4のジカルボン酸および比較例1〜7のカルボン酸とアンモニアを、カルボキシル基とアンモニアのモル比が1:1となるように塩を調製し、塩濃度が20重量%、溶媒にEGを用いて、表1に示したように電解液を調製した。
【0037】
【表1】
【0038】
実施例1〜4および比較例1〜7の電解液を用い、火花電圧、比電導度低下率、及び火花電圧に到るまでの電圧上昇速度を測定し、その結果を表2に示した。
火花電圧:10cm2の高圧用化成エッチングアルミ箔を用い、85℃雰囲気下で定電流(2mA)を負荷したときの電解液の放電電圧を測定した。
比電導度低下率:加熱試験前の比電導度と、加熱試験を実施した後の比電導度を測定し、その変化率[=100×{(加熱試験前の比電導度)−(加熱試験後の比電導度)}/(加熱試験前の比電導度)](単位は%)を算出した。
加熱試験:電解液をステンレス製容器中で150℃、10時間密閉した。
電圧上昇速度:10cm2の高圧用化成エッチングアルミ箔を用い、85℃雰囲気下で定電流(2mA)を負荷したときの電圧上昇速度[火花電圧/火花電圧に到達するまでの時間](単位はV/min)を測定した。
【0039】
【表2】
【0040】
表2から明らかなように本発明の実施例1〜4の電解液は、比較例1,3の電解液と比較して電圧上昇速度が大きく、火花電圧も高い。また比較例2の電解液と比較して比電導度低下率が小さく、電圧上昇速度が大きく、火花電圧も高い。また、比較例4、5の電解液と比較しても比電導度低下率が小さい。また実施例1〜4および比較例1〜5の電解液は均一透明な溶液であるが、比較例6,7ではEGへの溶解性が低下しカスミまたは析出が発生する。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、本発明の電解液は、立体障害が大きい第2級カルボン酸をアニオン成分として使用しているため、溶媒であるエチレングリコールとのエステル化反応が抑制され、高温での比電導度の低下率が小さい。また、電圧上昇速度が大きいつまりアルミの化成被膜修復能力が強い。さらには、このアニオン成分は所定の炭素数に調製されているため火花電圧が高い。
上記効果を奏することから、本発明の電解液を中高圧級電解コンデンサに用いれば、その電解コンデンサの長寿命化、高信頼化が可能となるもので、工業的価値の大なるものである。
Claims (8)
- (A)が2,5−ジブチルアジピン酸、2,5−ジペンチルアジピン酸、2,5−ジヘキシルアジピン酸、2,5−ジヘプチルアジピン酸、2,5−ジオクチルアジピン酸、2,7−ジブチルスベリン酸、2,7−ジペンチルスベリン酸、2,7−ジヘキシルスベリン酸、2,7−ジヘプチルスベリン酸、2,9−ジプロピルセバシン酸、2,9−ジブチルセバシン酸、2,9−ジペンチルセバシン酸、2,9−ジヘキシルセバシン酸、2,13−ジプロピルテトラデカンジカルボン酸、2,13−ジブチルテトラデカンジカルボン酸、2,13−ジペンチルテトラデカンジカルボン酸、2、15−ジプロピルヘキサデカンジカルボン酸、2,15−ジブチルヘキサデカンジカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つである請求項1記載の電解液。
- (B)がアンモニウム塩および/またはアミン塩である請求項1又は2記載の電解液。
- (B)がアンモニウム塩である請求項1又は2記載の電解液。
- (C)がエチレングリコールである請求項1〜4のいずれかに記載の電解液。
- 85℃雰囲気下2mAの定電流負荷で放電がおこる電圧を測定する火花電圧測定において、火花電圧に到るまでの電圧上昇速度が50V/min以上であり、空気雰囲気下のアンプル管中で150℃、10時間の加熱試験後の比電導度低下率が50%以下であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の電解液。
- 電解コンデンサに用いる請求項1〜6のいずれかに記載の電解液。
- 有機極性溶媒(C)中に総炭素数14以上24以下の多価カルボン酸(A1)および/またはその塩(B1)を溶解させた電解液であって、85℃雰囲気下2mAの定電流負荷で放電がおこる電圧を測定する火花電圧測定において、火花電圧に到るまでの電圧上昇速度が50V/min以上であり、空気雰囲気下のアンプル管中で150℃、10時間の加熱試験後の比電導度低下率が50%以下であることを特徴とする電解コンデンサ用電解液。
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CN104447277A (zh) * | 2014-10-29 | 2015-03-25 | 江苏国泰超威新材料有限公司 | 一种联产电容级2-丁基癸二酸和2,9-二丁基癸二酸的方法 |
CN108047028A (zh) * | 2017-12-15 | 2018-05-18 | 中国石油大学(华东) | 一种电容级2,7-二丁基辛二酸的制备方法 |
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2002
- 2002-07-10 JP JP2002200827A patent/JP2004047595A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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