JP2004044232A - 非ハロゲン系巾木 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の施した手段は、曲げこわさが1〜300MPaである非ハロゲン系極性樹脂(樹脂A)を100〜5重量部と、曲げこわさが1〜300MPaである非ハロゲン系樹脂(樹脂B)を0〜95重量部と、樹脂Aおよび樹脂Bの合計100重量部に対して、充填材を0〜200重量部とを含有する非ハロゲン系巾木とすることにより、接着性と施工性に優れた非ハロゲン系巾木が得られる。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は住宅等の建築物に用いられる巾木に関し、さらに詳しくは非ハロゲン系樹脂を用いた巾木に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、住宅等の建築物に用いられる巾木は柔軟性、施工性が重要な機能の一つであり、一般的にポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン製等の巾木が用いられていた。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ポリ塩化ビニル等のハロゲン系樹脂を使用した巾木は、施工性は良いが焼却時に塩酸ガス等有害ガスの発生や、使用中に可塑剤が滲み出す等の問題があった。一方、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂を単独またはブレンドして製造した巾木では、接着剤との接着性が悪く施工性が悪いという欠点があり、さらに耐光性にも劣るという問題があった。
また、非ハロゲン系樹脂からなる床シートについては、数多くの研究がなされ幾つか提案されているが、床シートを巾木のように施工した場合には出入り隅部への施工の際に、シートが硬く曲げ難く、折り曲げると割れてしまうという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は上記のような問題点を解消し、接着性、施工性、形状維持性、耐傷付性、耐光性に優れた非ハロゲン系巾木を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の問題を解消するために施した手段は、請求項1では、曲げこわさが1〜300MPaである非ハロゲン系極性樹脂(樹脂A)を100〜5重量部と、曲げこわさが1〜300MPaである非ハロゲン系樹脂(樹脂B)を0〜95重量部と、樹脂Aおよび樹脂Bの合計100重量部に対して、充填材を0〜200重量部とを含有する非ハロゲン系巾木とすることであり、接着性と施工性に優れた非ハロゲン系巾木が得られる。
請求項2では、前記樹脂Aおよび樹脂Bの合計100重量部に対して、引張降伏強度が15〜50MPaである非ハロゲン系樹脂(樹脂C)を3〜50重量部添加する非ハロゲン系巾木とすることであり、形状維持性に優れた非ハロゲン系巾木が得られる。
請求項3では、曲げこわさが10MPa以上である非ハロゲン系樹脂(樹脂D)100重量部に対して、充填材を0〜100重量部添加してなる表面層を積層した非ハロゲン系巾木とすることであり、耐傷付性に優れた非ハロゲン系巾木が得られる。
請求項4では、前記樹脂Aおよび樹脂Bの合計100重量部に対して、光安定剤を0.01〜5重量部添加する非ハロゲン系巾木とすることであり、耐光性に優れた非ハロゲン系巾木が得られる。
請求項5では、請求項4と同様に、前記樹脂Dが100重量部に対して、光安定剤を0.01〜5重量部添加する非ハロゲン系巾木とすることであり、耐光性に優れた非ハロゲン系巾木が得られる。
請求項6では、前記光安定剤がN―水素型置換ヒンダードアミン化合物またはN―メチル置換ヒンダードアミン化合物の少なくとも1種以上を含む非ハロゲン系巾木とすることであり、さらに耐光性に優れた非ハロゲン系巾木が得られる。
【0006】
【発明の実施と形態】
本発明の非ハロゲン系巾木は、樹脂Aを100〜5重量部と、樹脂Bを5〜95重量部と、樹脂Aおよび樹脂Bの合計100重量部に対して、充填材を0〜200重量部とを含有する非ハロゲン系巾木であり、発明の範囲を逸脱しない限り、その他の層を積層してもよい。
【0007】
本発明の非ハロゲン系巾木は、耐久性、施工性を考慮すると厚さについては、好ましくは0.3〜3.0mmであり、より好ましくは1.0〜2.0mmである。幅については、特に限定されるものではなく、通常30〜500mmの範囲で使用される。長さについても、特に限定されるものではなく、定尺のカットものでもよく巻物でもよい。
【0008】
本発明の非ハロゲン系巾木に使用する樹脂Aはハロゲン原子を実質的に含まない極性樹脂であれば特に制限はない。例えば、オレフィンとカルボキシル基含有モノマーとのランダムあるいはブロック共重合体樹脂(例えば、エチレン―酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン―アクリル酸エチル共重合樹脂(EEA)、エチレン―メタクリル酸メチル樹脂(EMMA)、エチレン―アクリル酸メチル樹脂(EMA))、オレフィンと芳香族ビニルモノマーとのランダムあるいはブロック共重合体樹脂(例えば、スチレン―エチレン―スチレン(SES)、スチレン―ブタジエン―スチレン(SBS)、スチレン―エチレン・プロピレン―スチレン(SEPS)、スチレン―エチレン・ブチレン―スチレン(SEBS)、スチレン―ブチレン・ブタジエン―スチレン(SBBS)、スチレン―イソプレン―スチレン(SIS)等)、メタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系エラストマー等を単独またはブレンドして用いることができる。
【0009】
樹脂Aの曲げこわさの範囲は1〜300MPaであり、好ましくは10.0〜100.0MPaである。曲げこわさが1MPa未満であると巾木としての強度が劣り、300MPaを超えると巾木が硬くなり、施工が困難となる。樹脂AのMFRは加工性の面から、好ましくは1〜50g/10minである。
【0010】
本発明の非ハロゲン系巾木に使用する樹脂Bはハロゲン原子を実質的に含まない樹脂であればよく、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン(PB)、非晶性α―オレフィンの共重合体、エチレンと炭素数が3〜12のα―オレフィンの共重合体、エチレンプロピレンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー等を単独またはブレンドして用いることができる。
【0011】
樹脂Bの曲げこわさの範囲は1〜300MPaであり、好ましくは10.0〜100.0MPaである。曲げこわさが1MPa未満であると巾木としての強度が劣り、300MPaを超えると巾木が硬くなり、施工が困難となる。樹脂BのMFRは加工性の面から、好ましくは1〜50g/10minである。
【0012】
本発明の非ハロゲン系巾木に使用する樹脂Aおよび樹脂Bのブレンド比は樹脂Aが100〜5重量部、樹脂Bが0〜95重量部であることが必須である。樹脂Aが5重量部より少ないと接着性が劣り施工上問題となる。好ましい範囲は樹脂Aが100〜15重量部、樹脂Bが0〜85重量部である。
【0013】
本発明の非ハロゲン系巾木に使用する樹脂Cはハロゲン原子を実質的に含まない樹脂であればよい。例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン(PB)、非晶性α―オレフィンの共重合体、エチレンと炭素数が3〜12のα―オレフィンの共重合体、エチレンプロピレンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、エチレン―酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン―アクリル酸エチル共重合樹脂(EEA)、エチレン―メタクリル酸メチル樹脂(EMMA)、エチレン―アクリル酸メチル樹脂(EMA))、オレフィンと芳香族ビニルモノマーとのランダムあるいはブロック共重合体樹脂(例えば、スチレン―エチレン―スチレン(SES)、スチレン―ブタジエン―スチレン(SBS)、スチレン―エチレン・プロピレン―スチレン(SEPS)、スチレン―エチレン・ブチレン―スチレン(SEBS)、スチレン―ブチレン・ブタジエン―スチレン(SBBS)、スチレン―イソプレン―スチレン(SIS)等)、メタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系エラストマー等を単独またはブレンドして用いることができる。
折り曲げ後の形状維持性、施工性の面から、樹脂Cの引張降伏強度は、好ましくは15〜50MPaの範囲であり、樹脂Cの添加量は3〜50重量部が好ましい。
【0014】
本発明の非ハロゲン系巾木に使用する樹脂Dはハロゲン原子を実質的に含まない樹脂であればよい。例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン(PB)、非晶性α―オレフィンの共重合体、エチレンと炭素数が3〜12のα―オレフィンの共重合体、エチレンプロピレンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、エチレン―酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン―アクリル酸エチル共重合樹脂(EEA)、エチレン―メタクリル酸メチル樹脂(EMMA)、エチレン―アクリル酸メチル樹脂(EMA))、オレフィンと芳香族ビニルモノマーとのランダムあるいはブロック共重合体樹脂(例えば、スチレン―エチレン―スチレン(SES)、スチレン―ブタジエン―スチレン(SBS)、スチレン―エチレン・プロピレン―スチレン(SEPS)、スチレン―エチレン・ブチレン―スチレン(SEBS)、スチレン―ブチレン・ブタジエン―スチレン(SBBS)、スチレン―イソプレン―スチレン(SIS)等)、メタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系エラストマー等を単独またはブレンドして用いることができる。
耐傷付性の面から、樹脂Dの曲げこわさは10MPa以上が好ましい。
【0015】
本発明の巾木に用いる充填材としては、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、ガラス繊維、木粉、竹粉、草粉、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が使用できる。また、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムは、難燃性を向上することができるため、難燃性能が要求される巾木に好適に使用される。
耐傷付性を考慮すると、樹脂Aおよび樹脂Bの合計100重量部に対して、充填材の添加量は200部までであり、好ましくは0〜100部である。同様に樹脂D100重量部に対しても、充填材を0〜100重量部の添加がこのましい。充填材の添加量が200部を超えると耐傷付性が低下するため好ましくない。加工性の面から、充填材の粒径は1〜200μmが好ましい。加工性、接着性の両面を考慮すると、脂肪酸、変性脂肪酸等の処理を施した充填材を使用することが好ましい。
【0016】
本発明に用いる光安定剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤を単独または2種以上ブレンドして使用することができる。なかでも、雨水等の影響も関係する耐候性が良好なヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。
【0017】
本発明に用いるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては2―(2H―ベンゾトリアゾール―2―イル)―p―クレゾール、2―(2H―ベンゾトリアゾール―2―イル)―4―6―ビス(1―メチル―1―フェニルエチル)フェノール、2―ベンゾトリアゾール―2―イル―4,6―ジ―tert―ブチルフェノール、2―(2′―ヒドロキシ―5′―オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2―(2′―ヒドロキシ―3′,5′―ジ―tert―アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル3―(3―(2H―ベンゾトリアゾール―2―イル)―5―tert―ブチル―4―ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2―(2H―ベンゾトリアゾール―2―イル)―6―(直鎖及び側鎖ドデシル)―4―メチルフェニル等が挙げられる。
【0018】
本発明に用いるトリアジン系紫外線吸収剤としては2―(4,6―ジフェニル―1,3,5―トリアジン―2―イル)―5―〔(ヘキシル)オキシ〕―フェノール、2―〔4,6―ビス―(2,4―ジメチルフェニル)―1,3,5―トリアジン―2―イル〕―5―(オクチルオキシ)―フェノール等が挙げられる。
【0019】
本発明に用いるベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2―ヒドロキシ―4―メトキシベンゾフェノン、2,2′―ジヒドロキシ―4―メトキシベンゾフェノン、2―ヒドロキシ―4―n―オクトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0020】
本発明に用いるベンゾエート系紫外線吸収剤としては2,4―ジ―tert―ブチルフェニル―3,5,―ジ―tert―ブチル―4―ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
【0021】
本発明に用いるヒンダードアミン系光安定剤としてはN―水素置換ヒンダードアミン化合物(N―H型)、N―メチル置換ヒンダードアミン化合物(N―Me型)、N−アルコキシル置換ヒンダードアミン化合物(N―OR型)等が挙げられ、それぞれヒンダードアミン化合物中に含まれる窒素原子に水素原子、メチル基またはアルコキシル基が結合している公知の化合物を使用することができ、耐候性、コストの面からN―水素置換ヒンダードアミン化合物(N―H型)、N―メチル置換ヒンダードアミン化合物(N―Me型)が好ましい。
例えば、N―水素置換ヒンダードアミン化合物としては、ジブチルアミン・1,3,5―トリアジン・N,N′―ビス(2,2,6,6―テトラメチル―4―ピペリジル―1,6―ヘキサメチレンジアミン・N―(2,2,6,6―テトラメチル―4―ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6―(1,1,3,3―テトラメチルブチル)アミノ―1,3,5―トリアジン―2,4―ジイル}{(2,2,6,6―テトラメチル―4―ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6―テトラメチル―4―ピペリジル)イミノ}]、ビス(2,2,6,6―テトラメチル―4―ピペリジル)セバケート、1,6―ヘキサジアミン,N,N’―ビス(2,2,6,6―テトラメチル―4―ピペリジニル)n―,2,4―ジクロロ―6―(4―モルフォリニル)―1,3,5―トリアジン、2,2,6,6―テトラメチル―4―ピペリジル―C12〜C21及びC18不飽和脂肪酸エステル等が挙げられる。
N―メチル置換ヒンダードアミン化合物としては、N,N′,N″,N″′―テトラキス―(4,6―ビス―(ブチル―(N―メチル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―イル)アミノ)―トリアジン―2―イル)―4,7―ジアザデカン―1,10―ジアミン、ビス(1,2,2,6,6―ペンタメチル―4―ピペリジル)[[3,5―ビス(1,1―ジメチルエチル)―4―ヒドリキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6―ペンタメチル―4―ピペリジル)セバケート、1,6―ヘキサジアミン,N,N′―ビス(1,2,2,6,6―ペンタメチル―4―ピペリジニル)n―,モルフォリニル―2,4,6―トリクロロ―1,3,5トリアジン等が挙げられる。
N−アルコキシル置換ヒンダードアミン化合物としては、ビス(1―オクチロオキシ―2,2,6,6―テトラメチル―4―ピペリジル)セバケート等が挙げられる。
その他のヒンダードアミン化合物としては、コハク酸ジメチルと4―ヒドロキシ―2,2,6,6―テトラメチル―1―ピペリジンエタノールの重合物等が挙げられる。
【0022】
光安定剤は耐光性、コストの面から、樹脂Aおよび樹脂Bの合計100重量部または樹脂D100重量部に対して、0.01〜5重量部の添加量がよい。
【0023】
本発明の巾木は表面または表面層と裏層の層間に印刷層を積層することもできる。印刷方法としてはグラビア印刷、オフセット印刷、転写紙等が挙げられる。印刷層に用いる塗料としては、アクリル系、ウレタン系塗料等が挙げられる。さらに、本発明の巾木の表面には汚れ防止や耐摩耗性を向上させるために表面処理を施すことが可能であり、例えば、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、フッ素系等のワックスや紫外線硬化塗料や電子線架橋塗料が挙げられる。また、耐傷付性、汚れ防止、意匠性を向上させるためにフッ素樹脂系、アクリル樹脂系、ポリカーボネート系、ポリエステル系、ナイロン系、ポリオレフィン系のフィルムを積層することができる。
【0024】
本発明の非ハロゲン系巾木は接着性を向上させるために、コロナ処理、電子線処理、プラズマ処理等の各種処理やアクリル系、スチレン系、アクリル―スチレン系、酢酸ビニル系、エチレン―酢酸ビニル系、ウレタン系、エポキシ系、スチレン―ブタジエン系、ポリエステル系の各種プライマーを施すことができる。
【0025】
本発明の非ハロゲン系巾木には性能を害さない範囲で石油樹脂、抗菌剤、帯電防止剤、酸化防止剤、顔料、滑剤、防汚剤等を添加することができる。
【0026】
本発明の非ハロゲン系巾木には性能を害さない範囲で、衝撃吸収性を付与するために一般の非ハロゲン系樹脂発泡体を積層することができる。非ハロゲン系樹脂としては、ポリエチレン,ポリプロピレン,EVA等のポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系エラストマー等が挙げられる。
また、発泡体の種類としては架橋タイプと非架橋タイプがありどちらも使用することができる。発泡体のセルの大きさとしては衝撃吸収性の面から10〜1000μmがよい。発泡体の気泡構造は独立気泡、連続気泡のどちらでもよい。発泡体の厚さは0.5〜5mm程度のものが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0027】
本発明の非ハロゲン系巾木の成形法としては、カレンダー成形法や押出成形法が一般的である。
【0028】
【実施例】
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
【0029】
実施例1〜8
表1に示す配合を180〜230℃で押出機にて幅が60mm、厚みが1.7mmの巾木を作製した。
【0030】
実施例9
表層として表2に示すNo9の配合を、裏層として表1に示すNo1の配合を200〜230℃で押出機にて幅が60mm、厚みが1.7mmの巾木を作製した。(表層:0.1mm、裏層:1.6mm)
【0031】
実施例10
表層として表2に示すNo10の配合を、裏層として表1に示すNo2の配合を200〜230℃で押出機にて幅が100mm、厚みが1.7mmの巾木を作製した。(表層:0.15mm、裏層:1.55mm)
【0032】
実施例11
表層として表2に示すNo11の配合を、裏層として表1に示すNo3の配合を200〜230℃で押出機にて幅が100mm、厚みが1.3mmの巾木を作製した。(表層:0.2mm、裏層:1.1mm)
【0033】
実施例12
表層として表2に示すNo12の配合を、裏層として表1に示すNo7の配合を200〜230℃で押出機にて幅が300mm、厚みが1.7mmの巾木を作製した。(表層:0.1mm、裏層:1.6mm)
【0034】
実施例13
表層として表2に示すNo13の配合を、裏層として表1に示すNo8の配合を200〜230℃で押出機にて幅が300mm、厚みが1.7mmの巾木を作製した。(表層:0.2mm、裏層:1.5mm)
【0035】
比較例1〜5
表3に示す配合を押出し機にて幅が60mm、厚みが1.7mmの巾木を作製した。
【0036】
実施例及び比較例の各No.におけるシートの配合は表1〜3に示し、各配合物は下記に示す通りである。
(ア)EVA(酢ビ含有量:12.0%):三井・デュポン株式会社製
曲げこわさ:70.0MPa
MFR :9.0g/10min
(イ)EEA(エチルアクリレート含有量:34%):三井・デュポン株式会社製
曲げこわさ:3.0MPa
MFR :9.0g/10min
(ウ)SIS(スチレン含有量:30.0%):KRATON株式会社製
曲げこわさ:36.3MPa
MFR :4.0g/10min
(エ)スチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン含有量:20%)クラレ株式会社製
曲げこわさ:27.0MPa
MFR :5.0g/10min
(オ)ポリエステル系エラストマー:デュポン株式会社製
曲げこわさ :593.0MPa
引張降伏強度:27.5MPa
(カ)メタクリル樹脂:旭化成株式会社製
曲げこわさ :3400.0MPa
引張降伏強度:75.0MPa
MFR :13.0g/10min
(キ)PET―G:イーストマンケミカル株式会社製
曲げこわさ:2100.0MPa
(ク)LDPE:日本ポリオレフィン株式会社製
曲げこわさ :166.0MPa
引張降伏強度:10.0MPa
MFR :4.0g/10min
(ケ)LLDPE:日本ポリオレフィン株式会社製
曲げこわさ :220.0MPa
引張降伏強度:11.0MPa
MFR :2.0g/10min
(コ)HDPE:日本ポリオレフィン株式会社製
曲げこわさ :780.0MPa
引張降伏強度:26.0MPa
MFR :8.0g/10min
(サ)PP: 日本ポリオレフィン株式会社製
引張降伏強度:35.0MPa
MFR :7.0g/10min
(シ)光安定剤1(UVA):チバ・スペシャリティーケミカルズ株式会社製
紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系)
分子量 :351.5
(ス)光安定剤2(HALS1):チバ・スペシャリティーケミカルズ株式会社製
N―水素置換ヒンダードアミン化合物(N―H型)
分子量 :2000〜3100
(セ)光安定剤3(HALS2):チバ・スペシャリティーケミカルズ株式会社製
N―メチル置換ヒンダードアミン化合物(N―Me型)
分子量 :2286
(ソ)顔料:大日本インキ化学工業株式会社製:グレー顔料
(タ)炭カル:炭酸カルシウム:白石カルシウム株式会社製
表面処理:脂肪酸処理
粒径 :10.5μm
(チ)木粉:カネキ燃料有限会社製
(ツ)無機充填剤:水酸化マグネシウム:協和化学工業株式会社製
表面処理:脂肪酸処理
粒径 :0.6μm
【0037】
実施例及び比較例における各シートの評価は接着性、形状維持性、施工性、耐光性、耐傷付性について行い、その結果を表4〜6に示す。
【0038】
なお、各評価項目は以下の試験方法で行なった。
<接着性>
成形した巾木をエマルション系、SBR系接着剤で接着試験を行い、接着強度で評価した。
○:9.8N/25mm以上
×:9.8N/25mm未満
<施工性>
成形したシートを施工して、出隅、入り隅部の納まり具合で評価した。
○:納まりが良い
×:納まりが悪い
<形状維持性>
成形した巾木を長手方向に300mmとり、その中央部から半分に折り曲げ、その後巾木の形状の戻り度合いを評価した。
○:90℃に戻るまで2秒以上
△:90℃に戻るまで2秒以内
<耐光性>
成形した巾木をフェードメーター(ブラックパネル温度:63℃)による促進試験を1000時間実施後、表面をマイクロスコープ(200倍)で観察し評価した。
◎:クラックなし
○:クラック僅かにあり
△:クラックあり
<耐傷付性>
成形した巾木をスクラッチテスターで試験を行い、目視で評価した。
○:傷はほとんどない
△:傷はあるが、ほとんど目立たない
×:傷が目立つ
【0039】
表4、表6から、実施例1〜2、4〜7の方が比較例1〜2よりも接着性が良いことがわかる。これは、樹脂Aを100〜5重量部と、樹脂Bを0〜95重量部とした効果である。
【0040】
表4、表6から、実施例1〜2、4〜7の方が比較例3よりも施工性、耐傷付性が良いことがわかる。これは、樹脂Aを100〜5重量部と、樹脂Bを0〜95重量部と、樹脂Aおよび樹脂Bの合計100重量部に対して、充填材の添加量を0〜200重量部とした効果である。
【0041】
表4、表6から、実施例1〜2、4〜7の方が比較例4〜5よりも施工性が良いことがわかる。これは、樹脂Aおよび樹脂Bの曲げこわさを1〜300MPaとした効果である。
【0042】
表4から、実施例3、8の方が実施例1〜2、4〜7よりも形状維持性が良いことがわかる。これは、樹脂Aを100〜5重量部と、樹脂Bが0〜95重量部と、樹脂Aおよび樹脂Bの合計100重量部に対して、樹脂Cを3〜50重量部とした効果である。
【0043】
表4、表5から、実施例9〜13の方が実施例1〜8よりも耐傷付性が良いことがわかる。これは、樹脂Dが100重量部に対して、充填材が0〜100重量部からなる表面層を積層した効果である。
【0044】
表4から、実施例4〜8の方が実施例1〜3よりも耐光性が良いことがわかる。樹脂Aを100〜5重量部と、樹脂Bを0〜95重量部と、樹脂Aおよび樹脂Bの合計100重量部に対して光安定剤を0.01〜5重量部添加した効果である。
【0045】
表4から、実施例6〜8の方が実施例4〜5よりも耐光性が良いことがわかり、光安定剤がN―水素型置換ヒンダードアミン化合物またはN―メチル置換ヒンダードアミン化合物の少なくとも1種以上を含むことにより耐光性がさらに良くなることがわかった。
【0046】
表1
【0047】
表2
【0048】
表3
【0049】
表4
【0050】
表5
【0051】
表6
【0052】
【発明の効果】
本発明は、曲げこわさが1〜300MPaである非ハロゲン系極性樹脂(樹脂A)を100〜5重量部と、曲げこわさが1〜300MPaである非ハロゲン系樹脂(樹脂B)を0〜95重量部と、樹脂Aおよび樹脂Bの合計100重量部に対して、充填材を0〜200重量部とを含有する非ハロゲン系巾木とすることにより、接着性、施工性が良い非ハロゲン系巾木が得られる。
【0053】
樹脂Aおよび樹脂Bの合計100重量部に対して、引張降伏強度が15〜50MPaである非ハロゲン系樹脂(樹脂C)を3〜50重量部添加することにより、形状維持性が良い非ハロゲン系巾木が得られる。
【0054】
非ハロゲン系樹脂(樹脂D)100重量部に対して、充填材を0〜100重量部添加してなる表面層を積層した非ハロゲン系巾木とすることにより、耐傷付性が良い非ハロゲン系巾木が得られる。
【0055】
樹脂Aおよび樹脂Bの合計100重量部または樹脂D100重量部に対して、光安定剤を0.01〜5重量部添加することにより、耐光性が良い非ハロゲン系巾木が得られる。
【0056】
前記光安定剤がN―水素型置換ヒンダードアミン化合物またはN―メチル置換ヒンダードアミン化合物の少なくとも1種以上を含む非ハロゲン系巾木とすることにより、さらに耐光性が良い非ハロゲン系巾木が得られる。
Claims (6)
- 曲げこわさが1〜300MPaである非ハロゲン系極性樹脂(以下、樹脂Aという)を100〜5重量部と、曲げこわさが1〜300MPaである非ハロゲン系樹脂(以下、樹脂Bという)を0〜95重量部と、樹脂Aおよび樹脂Bの合計100重量部に対して、充填材を0〜200重量部とを含有することを特徴とする非ハロゲン系巾木。
- 前記樹脂Aおよび樹脂Bの合計100重量部に対して、引張降伏強度が15〜50MPaである非ハロゲン系樹脂(以下、樹脂Cという)を3〜50重量部添加することを特徴とする請求項1に記載の非ハロゲン系巾木。
- 曲げこわさが10MPa以上である非ハロゲン系樹脂(以下、樹脂Dという)100重量部に対して、充填材を0〜100重量部添加してなる表面層を積層することを特徴とする請求項1〜2に記載の非ハロゲン系巾木。
- 前記樹脂Aおよび樹脂Bの合計100重量部に対して、光安定剤を0.01〜5重量部添加することを特徴とする請求項1または2に記載の非ハロゲン系巾木。
- 前記樹脂Dが100重量部に対して、光安定剤を0.01〜5重量部添加することを特徴とする請求項3に記載の非ハロゲン系巾木。
- 前記光安定剤がN―水素型置換ヒンダードアミン化合物またはN―メチル置換ヒンダードアミン化合物の少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項4または5に記載の非ハロゲン系巾木。
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