JP2004043205A - 感光性樹脂を用いた金属酸化物構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】感光性樹脂を用いて、基板表面に金属酸化物多孔体を所定の位置に規則的に配置した金属酸化物構造体を形成するための簡易な製造方法を提供すること。
【解決手段】基板表面に少なくとも金属酸化物多孔体を配置した金属酸化物構造体の製造方法であって、前記製造方法が、少なくとも、金属酸化物前駆体および化学増幅系の感光性樹脂組成物を含む塗布液を基板表面に塗布することにより感光性樹脂組成物層を形成する塗布工程と、前記感光性樹脂組成物層をパターン形成するパターニング工程と、前記パターン形成された感光性樹脂組成物層を焼成する焼成工程と、とからなることを特徴とする金属酸化物構造体の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】基板表面に少なくとも金属酸化物多孔体を配置した金属酸化物構造体の製造方法であって、前記製造方法が、少なくとも、金属酸化物前駆体および化学増幅系の感光性樹脂組成物を含む塗布液を基板表面に塗布することにより感光性樹脂組成物層を形成する塗布工程と、前記感光性樹脂組成物層をパターン形成するパターニング工程と、前記パターン形成された感光性樹脂組成物層を焼成する焼成工程と、とからなることを特徴とする金属酸化物構造体の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属酸化物構造体の製造方法に関する。より詳細には、金属酸化物多孔体を規則的に配置した金属酸化物構造体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
微細孔を有する金属酸化物多孔体は、表面積が大きく、吸着能力も大きいことから、精密フィルター、触媒等に応用されているが、上記金属酸化物多孔体を、例えば基板表面に複数規則的に一定間隔に配置した金属酸化物構造体とすることができれば、センサーや半導体電極、さらには電子材料や電子機器などの精密加工分野等への応用が期待される。
【0003】
従来、上記金属酸化物多孔体を製造する方法として、1)金属酸化物粉末を焼結する方法、2)二成分系ガラスの分相を利用し、特定成分を選択的に溶解除去し、それ以外の酸化物成分を残す方法、等が知られている。
【0004】
しかしながら、従来の方法は利用できる金属酸化物の種類も限定されており、一般に高価な装置と多大な労力を必要とする。さらに従来方法では、細孔径が数ミクロン以上で不均一な細孔径を有しており、平行した独立孔を得ることは困難であった。
【0005】
これに対し、特開平6−32675号公報では、アルミニウム陽極酸化皮膜の微細孔等を鋳型にした金属酸化物多孔体の製造方法が提案されているが、この方法では、細孔径及び細孔間隔の変動が小さい金属酸化物多孔体を得ることができるものの、前記複数の金属酸化物多孔体を規則的に配置した金属酸化物構造体等とすることはできなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決することを目的とする。
すなわち本発明は、感光性樹脂を用いて、基板表面に金属酸化物多孔体を所定の位置に規則的に配置した金属酸化物構造体を形成するための簡易な製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、本発明は、
<1> 基板表面に少なくとも金属酸化物多孔体を配置した金属酸化物構造体の製造方法であって、
前記製造方法が、少なくとも、金属酸化物前駆体および化学増幅系の感光性樹脂組成物を含む塗布液を基板表面に塗布することにより感光性樹脂組成物層を形成する塗布工程と、前記感光性樹脂組成物層をパターン形成するパターニング工程と、前記パターン形成された感光性樹脂組成物層を焼成する焼成工程と、とからなることを特徴とする金属酸化物構造体の製造方法である。
【0008】
<2> 前記金属酸化物前駆体が、酸化チタンゾル、シリカゾル、アルミナゾルのいずれか1つ以上を含むことを特徴とする<1>に記載の金属酸化物構造体の製造方法である。
【0009】
<3> 前記化学増幅系の感光性樹脂組成物が、少なくとも光酸発生剤、酸架橋剤およびバインダーを含むことを特徴とする<1>または<2>に記載の金属酸化物構造体の製造方法である。
【0010】
<4> 前記焼成時の焼成温度が、300℃〜800℃の範囲内であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1つに記載の金属酸化物構造体の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、基板表面に少なくとも金属酸化物多孔体を配置した金属酸化物構造体の製造方法であって、前記製造方法が、少なくとも、金属酸化物前駆体および化学増幅系の感光性樹脂組成物を含む塗布液を基板表面に塗布することにより感光性樹脂組成物層を形成する塗布工程と、前記感光性樹脂組成物層をパターン形成するパターニング工程と、前記パターン形成された感光性樹脂組成物層を焼成する焼成工程と、とからなることを特徴とする。
【0012】
なお、本発明において、「金属酸化物多孔体」とは、少なくともその一部が多孔質な構造を有する金属酸化物を意味し、その空隙率は特に限定されないが、20%〜60%の範囲であることが好ましく、26%〜48%の範囲であることがより好ましい。また、前記多孔質な構造とは、その構造が少なくとも空隙を有する形態からなる構造であれば特に限定されないが、例えば繊維状、ハニカム形状のような2次元構造が積層したもの、3次元の網目状、あるいは、2種類以上の形態が混合したもの等が挙げられる。
上記金属酸化物としては公知の金属酸化物であれば特に限定されず、2種類以上の金属酸化物であってもよく、結晶性を有するものや非晶質なものであってもよい。
【0013】
また、「金属酸化物構造体」とは、回路、セル、電極、画素、センサー、案内溝等、何らかの機能・役割の達成を目的として、基板表面に金属酸化物多孔体が所望の位置に規則的に配置された構造体を意味する。また、上記構造体を基板表面に2層以上積層させることにより形成された立体的な構造を有する構造体であってもよい。さらに、形成された構造体の構造そのものが多孔質なものであってもよい。
【0014】
以下に、上記本発明を、塗布工程、パターニング工程、焼成工程、および、金属酸化物構造体の形成に大きくわけて順次説明する。
(塗布工程)
塗布工程は、少なくとも、金属酸化物前駆体および化学増幅系の感光性樹脂組成物(以下、「感光性樹脂組成物」と略す場合がある)を含む塗布液を基板表面に塗布することにより感光性樹脂組成物層を形成するものである。
なお、「感光性樹脂組成物層」とは、感光樹脂組成物中に少なくとも金属酸化物前駆体が分散してなるものであれば特に限定されない。また、前記金属酸化物前駆体は、少なくとも酸化チタン、シリカ、アルミナのうちの少なくとも1つを含んでなることが好ましい。
【0015】
塗布する方法としては、公知の塗布方法であれば特に限定されず、例えば、スピンコート、ローラーコート、ディップコート、スプレーコート等を用いることができる。塗布方法は、塗布する基板面積や、用いる塗布液の粘度や成分等、形成する感光樹脂組成物層の膜厚を考慮して適切な方法を選択することができる。
【0016】
これらの塗布方法に用いる塗布液としては、少なくとも金属酸化物前駆体および感光性樹脂組成物を含んでなる塗布液を用いることが好ましく、この塗布液に用いられる溶媒は、用いる金属酸化物前駆体および感光性樹脂組成物に応じて公知の親水性あるいは親油性の溶媒を用いることができる。なお、前記親水性の溶媒としては、例えば、水やエタノールなどのアルコール類等が、また前記親油性の溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類や、エーテル類等が用いられる。
【0017】
−感光性樹脂組成物層−
このようにして基板表面に形成された感光性樹脂組成物層は、その中に含まれる溶媒等の揮発性の成分を十分に揮発させるために、70℃〜120℃の温度範囲内でプリベイク(乾燥を目的とする予備焼成)処理してもよい。
【0018】
塗布液を用いて基板表面に形成された感光性樹脂組成物層中の金属酸化物前駆体の含有量は5質量%〜80質量%の範囲内が好ましく、10質量%〜70質量%の範囲内であることがより好ましい。80質量%よりも大きい場合にはパターニング工程においてパターン形成することが困難になる場合があり、10質量%よりも小さい場合には、十分な強度を有する金属酸化物多孔体からなる金属酸化物構造体を形成することが困難になる場合がある。
【0019】
−金属酸化物前駆体−
金属酸化物前駆体は、その材料としては、金属酸化物、あるいは、焼成工程を経た後に金属酸化物となるものであれば特に限定されない。また、その構造としては、多孔質な構造を有するものであってもよく、焼成工程を経た後に多孔質な構造を形成するものであってもよい。但し、焼成工程を経た後に多孔質な構造を形成する場合は、金属酸化物前駆体自体が多孔質な構造を形成するものであってもよく、また、金属酸化物前駆体自体は多孔質な構造を形成しないものの、これらが適度な空隙を有しつつ凝集・結着することにより多孔質な構造を形成するものでもよく、前者および後者を組合せたものであってもよい。
【0020】
このような金属酸化物前駆体としては、例えば、酸化チタンゾル、シリカゾル、アルミナゾル等の金属酸化物ゾル、金属水酸化物、金属アルコキシドや金属微粒子の表面を樹脂で被覆処理したような有機無機複合材料、あるいは、これらを2種以上組合せたものを用いることができる。これらの内でも、金属酸化物前駆体としては、ゾル状の金属酸化物が好ましく、酸化チタンゾル、シリカゾル、アルミナゾルのいずれか1つ以上を含む金属酸化物ゾルがより好ましい。なお、金属酸化物ゾルの分散媒としては、水もしくは親水性の溶媒であってもよく、有機溶媒であってもよい。
【0021】
金属酸化物前駆体の大きさは、金属アルコキシドのような分子状であってもよく、ゾル状の金属酸化物のようにある程度の大きさを有するものであってもよい。但し、後者の場合には、その形状は特に限定されず、粒子状、繊維状、ウィスカー状等の如何なる形態であってもよい。
【0022】
−基板−
基板としては、感光性樹脂組成物層の形成が可能なものであれば特に限定されないが、少なくとも300℃以上の耐熱性を有し、塗布液として用いる溶媒に対して化学的に安定であり、露光処理に用いる光(紫外線等)に対して変質しない材料からなる基板を用いることが好ましい。このような基板としては、例えば、無アルカリガラスや石英等のガラス材料、アルミナ等のセラミックス材料、シリコンやガリウム砒素等の半導体材料、ステンレスや銅等の金属材料、あるいは、これらの複合材料を用いることができる。
【0023】
(パターニング工程)
本発明におけるパターニング工程は、既述したように基板表面に形成された感光性樹脂組成物層をパターン形成するものであり、具体的には、前記感光性樹脂層の表面に所望のパターンが形成できるように、少なくとも、前記パターンに対応する領域に光を照射する露光処理と、該露光処理の後に光照射された領域の感光性樹脂組成物層を完全に現像液に対して不溶化する露光後ベーク処理(加熱処理)と、該露光後ベーク処理の後に現像液により非光照射領域を溶解させてエッチング処理する現像処理と、を経ることによりパターン形成された感光性樹脂組成物層を得るものである(以下、このようなパターン形成を「ネガ型パターン形成」と略す場合がある)。
【0024】
あるいは、前記パターンに対応する領域外に光を照射する露光処理と、該露光処理の後に光照射された領域の感光性樹脂組成物層を完全に現像液に対して易溶化する露光後ベーク処理(加熱処理)と、該露光後ベーク処理の後に現像液により光照射領域を溶解させてエッチング処理する現像処理と、を経ることによりパターン形成された感光性樹脂層を得るものであってもよい(以下、このようなパターン形成を「ポジ型パターン形成」と略す場合がある)。
【0025】
パターン形成は、上記ネガ型あるいはポジ型のいずれであってもよいが、ポジ型の場合では、感光性樹脂組成物層中に含まれる金属酸化物前駆体が、露光工程でパターン形成に用いられる光の波長を吸収するものである場合には、現像液により光照射領域を完全に溶解できない可能性がある。このため、ネガ型のパターン形成を行うことがより好ましい。
【0026】
−露光処理−
露光処理に用いる露光方式としては、半導体の微細パターンの形成に用いられる公知の露光方式を用いることができ、所望するパターニング精度やパターニングコストに応じて適当な方式を選択できる。このような露光方式としては、例えば、所望のパターンが形成されたフォトマスクと、基板表面に形成された感光性樹脂組成物層を密着(近接)させた状態で露光するコンタクト(プロキシミティ)露光方式、2枚の反射鏡を用いた等倍投影露光方式、いわゆるステッパといわれる縮小投影露光機を用いた縮小投影露光方式等を用いることができる。従って、パターニング精度の優れた露光方式を用いてパターン形成を行った場合には、サブミクロンスケールの精緻なパターンを有する金属酸化物多孔体からなる金属酸化物構造体を形成することも可能である。
【0027】
ここで使用する光としては、例えばg線(波長436nm)、i線(波長365nm)及び超高圧水銀灯、キセノン灯、カーボンアーク灯、アルゴンレーザー等の公知の光源からの連続状、及び/または、輝線状の紫外線、KrFエキシマレーザー等の遠紫外線等が挙げられ、これらの中では、g線、i線及びこれらを含む300nm〜440nm領域の紫外線が好ましいものとして挙げられる。特開平6−59119号公報に記載のように、400nm以上の波長の光透過率が2%以下である光学フィルター等を併用してもよい。
【0028】
−感光性樹脂組成物−
本発明に用いる化学増幅系の感光性樹脂組成物としては、光の照射により酸を発生する光酸発生剤の作用により、光照射領域の樹脂組成物が現像液に対して不溶性となる性質を持つ樹脂組成物(以下、「ネガ型感光性樹脂組成物」と略す。)、あるいは、前記光の照射により酸を発生する光酸発生剤の作用により、光照射領域の樹脂組成物が現像液に対して溶解性となる性質を持つ樹脂組成物(以下、「ポジ型感光性樹脂組成物」と略す。)であれば、その架橋・分解プロセスやメカニズムは特に限定されず、公知のものを用いることができる。また、少なくとも、前記金属酸化物前駆体含有してなる感光性樹脂層は、少なくとも150℃以下で軟化もしくは粘着性になることが好ましく、熱可塑性であることが好ましい。
なお、感光性樹脂層が、金属酸化物前駆体を含有する感光性樹脂組成物のみからなる場合において、上記のような特性が得られにくい場合には、前記感光性樹脂層中に熱可塑性結合剤、及び/または、可塑剤を添加してもよい。
【0029】
前記ネガ型感光性樹脂組成物としては、以下に示す従来公知の感光性樹脂組成物を用いることができる。
【0030】
(a)光架橋性基を有するポリマー、アジド化合物を含有してなるネガ型感光性樹脂組成物。
(b)特開昭59−101651号公報に記載のジアゾ化合物を含有してなるネガ型感光性樹脂組成物。
(c)米国特許第262276号、特開平2−63054号公報に記載の光重合開始剤、付加車台性不飽和化合物を含有してなる光重合性ネガ型感光性樹脂組成物。
(d)特開平11−095421号公報記載のアルカリ可溶性化合物、光酸発生剤、酸架橋剤を含有してなるネガ型感光性樹脂組成物。
【0031】
本発明においては、ネガ型感光性樹脂組成物として上記いずれを用いてもよいが、少なくとも光酸発生剤、酸架橋剤及びバインダーを基本構成要素として含むものであることが好ましい。
【0032】
上記のようなネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、現像処理時のサイドエッチング(露光された部分のネガ型感光性樹脂層の端部が、必要以上にエッチングされて実際のパターンよりも小さくなる現象)の発生をより確実に防止することができるため、より精緻な金属酸化物多孔体からなる金属酸化物構造体を得ることができる。
【0033】
一方、ポジ型感光性樹脂組成物としては、酸分解性基で保護されたアルカリ可溶性化合物と酸発生剤との組み合わせを含有してなる化学増幅系ポジ型感光性樹脂組成物がよく知られており本発明に好適に用いることができるが、以下に示すポジ型感光性樹脂組成物と組み合わせて用いることがさらに好適である。
【0034】
(e)特開平11−095421号公報に記載のアルカリ可溶性化合物、及び熱分解性であり、かつ分解しない状態ではアルカリ可溶性化合物の溶解性を実質的に低下させる物質を含有してなるレーザー感応性ポジ型樹脂組成物。
(f)アルカリ現像溶出型ポジ平版印刷版を作製することができる、赤外線吸収剤、ノボラック樹脂、及び溶解抑止剤を含有してなるアルカリ現像溶出ポジ型樹脂組成物。
【0035】
以下に、このような成分からなるネガ型感光性樹脂組成物について、光酸発生剤、酸架橋剤、バインダー、および、その他の添加成分の順に説明する。
【0036】
[光酸発生剤]
光酸発生剤としては、露光処理に用いる光の照射により酸を発生するものであれば特に限定されないが、例えば、有機ハロゲン化合物、オニウム塩、スルホン酸エステル等が挙げられる。これらのなかでは有機ハロゲン化合物が好ましく、特に、ハロメチル化トリアジン、ハロメチル化オキサジアゾール化合物が好ましい。具体的にはハロメチル化トリアジン化合物は一般式(1)で示される。
【0037】
【化1】
【0038】
(式中R1 及びR2 は、ハロメチル基であり、Yは炭素数5以上の有機基である。)
ハロメチル基としては、例えばトリクロロメチル基、トリブロモメチル基、ジクロロメチル基、ジブロモメチル基などがあり、炭素数5以上の有機基としては、例えば置換基を有していてもよい、フェニル基、ナフチル基、スチリル基、スチリルフェニル基、フリルビニル基、四級化アミノエチルアミノ基などがある。ハロメチル化トリアジン化合物の具体例としては、以下の式(2)〜(23)で示される化合物がある。
【0039】
【化2】
【0040】
【化3】
【0041】
【化4】
【0042】
【化5】
【0043】
一般式(1)で示されるハロメチル化トリアジン化合物の中でも好ましいものは、以下の一般式(24)〜(26)で示される化合物である。
【0044】
【化6】
【0045】
式中R1 及びR2 は、ハロメチル基であり、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基であり、nは0〜3の整数である。
【0046】
【化7】
【0047】
式中R1及びR2 は、ハロメチル基であり、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基でありnは0〜3の整数である。
【0048】
【化8】
【0049】
式中R1 及びR2 は、ハロメチル基であり、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基であり、nは0〜1の整数である。一般式(24)〜(26)で示される化合物の中でも好ましいものは、R1 及びR2 がトリクロロメチル基であり、Rの炭素数が1〜2であり、一般式(24)、(25)ではnが0〜2の整数であり、一般式(26)は0〜1の整数である化合物である。ハロメチル化オキサジアゾール化合物は、一般式(27)で示される。
【0050】
【化9】
【0051】
式中R3 は、ハロメチル基であり、Zは置換基を有していてもよいベンゾフリル基またはベンゾフリルビニル基である。ハロメチル化オキサジアゾール化合物の具体例としては、以下の式(28)〜(45)で示される化合物がある。
【0052】
【化10】
【0053】
【化11】
【0054】
【化12】
【0055】
一般式(27)で示されるハロメチル化オキサジアゾール化合物の中でも好ましいのは、以下の一般式(46)で示される化合物である。
【0056】
【化13】
【0057】
式中、R3 はハロメチル基であり、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基であり、nは0〜2の整数である。さらに好ましいのは、R3 がトリクロロメチル基であり、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜2のアルキル基またはアルコキシ基であり、nが0〜1の整数である化合物である。
【0058】
光酸発生剤の添加量は、感光性樹脂組成物層中の固形分に対して、0.05〜15質量%、好ましくは5〜15質量%である。光酸発生剤の含有量が15質量%を超えると、パターンが膨潤してしまい、0.05質量%未満であると、露光によって十分な量の酸が発生しないので、感光性樹脂と酸架橋剤との架橋が不充分となり現像後の残膜率が低下し、精緻なパターンを有する金属多孔体からなる金属酸化物構造体を得ることが困難になる場合がある。
【0059】
[酸架橋剤]
ネガ型感光性樹脂組成物に用いられる酸架橋剤は、酸の作用により酸架橋剤同士が重合する作用、及び/または、酸架橋剤を介してバインダー等の他の樹脂成分同士を架橋することにより硬化させ、該硬化した部分を現像液に対して不溶性とする作用を有するものであれば特に限定されないが、例えば、架橋置換基を少なくとも1種以上の置換基(以下、「架橋性置換基」という場合がある。)を有する化合物を挙げることができる。
【0060】
このような架橋性置換基の具体例としては、例えば(i)ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アセトキシアルキル基等のヒドロキシアルキル基またはその誘導体;
(ii)ホルミル基、カルボキシアルキル基等のカルボニル基またはその誘導体;
(iii)ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジメチロールアミノメチル基、ジエチロールアミノメチル基、モルホリノメチル基等の含窒素基含有置換基;
(iv)グリシジルエーテル基、グリシジルエステル基、グリシジルアミノ基等のグリシジル基含有置換基;
(v)ベンジルオキシメチル基、ベンゾイロキシメチル基等のアリルオキシアルキル基、アラルキルオキシアルキル基等の芳香族誘導体;
(vi)ビニル基、イソプロペニル基等の重合性多重結合含有置換基等を挙げることができる。本発明に用いられる酸架橋剤の架橋性置換基としては、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基等が好ましく、特にアルコキシメチル基が好ましい。
【0061】
前記架橋性置換基を有する酸架橋剤としては、例えば(i)メチロール基含有メラミン化合物、メチロール基含有ベンゾグアナミン化合物、メチロール基含有ウレア化合物、メチロール基含有グリコールウリル化合物、メチロール基含有フェノール化合物等のメチロール基含有化合物;
(ii)アルコキシアルキル基含有メラミン化合物、アルコキシアルキル基含有ベンゾグアナミン化合物、アルコキシアルキル基含有ウレア化合物、アルコキシアルキル基含有グリコールウリル化合物、アルコキシアルキル基含有フェノール化合物等のアルコキシアルキル基含有化合物;
(iii)カルボキシメチル基含有メラミン化合物、カルボキシメチル基含有ベンゾグアナミン化合物、カルボキシメチル基含有ウレア化合物、カルボキシメチル基含有グリコールウリル化合物、カルボキシメチル基含有フェノール化合物等のカルボキシメチル基含有化合物;
(iv)ビスフェノールA系エポキシ化合物、ビスフェノールF系エポキシ化合物、ビスフェノールS系エポキシ化合物、ノボラック樹脂系エポキシ化合物、レゾール樹脂系エポキシ化合物、ポリ(ヒドロキシスチレン)系エポキシ化合物等のエポキシ化合物等を挙げることができる。
【0062】
本発明に用いられる酸架橋剤は、アルコキシメチル化ウレア化合物またはその樹脂、またはアルコキシメチル化グリコールウリル化合物またはその樹脂が好ましい。特に好ましい酸架橋剤としては、下記式(47)で示されるアルコキシメチル化ウレア化合物または式(48)で示されるアルコキシメチル化グリコールウリル化合物を挙げることができる。
【0063】
【化14】
【0064】
ここでR3は、炭素数1〜4のアルキル基である。
【0065】
【化15】
【0066】
ここでR4は、炭素数1〜4のアルキル基である。
【0067】
前記式(47)および式(48)において、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等を挙げることができる。前記酸架橋剤は、例えば尿素化合物やグリコールウリル化合物とホルマリンを縮合反応させてメチロール基を導入した後、さらにメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール類でエーテル化し、次いで反応液を冷却して析出する化合物またはその樹脂を回収することで得られる。また前記酸架橋剤は、CYMEL(商品名、三井サイアナミッド製)、ニカラッド(三和ケミカル製)のような市販品としても入手することができる。
【0068】
酸架橋剤としてはメラミン、ベンゾグアナミン、グリコールウリル又は尿素にホルムアルデヒドを作用させた化合物またはそれらのアルキル変性化合物、エポキシ化合物、レゾール化合物等が有効であり、その具体例は、次のとおりである。
【0069】
具体的には、三井サイアナミド社のサイメル(登録商標)300、301、303、350、736、738、370、771、325、327、703、701、266、267、285、232、235、238、1141、272、254、202、1156、1158は、メラミンにホルムアルデヒドを作用させた化合物またはそのアルキル変性物の例である。サイメル(登録商標)1123、1125、1128は、ベンゾグアナミンにホルムアルデヒドを作用させた化合物またはそのアルキル変性物の例である。サイメル(登録商標)1170、1171、1174、1172はグリコールウリルにホルムアルデヒドを作用させた化合物またはそのアルキル変性物の例である。尿素にホルムアルデヒドを作用させた化合物またはそのアルキル変性物の例として三井サイアナミド社のUFR(登録商標)65、300を挙げることができる。
【0070】
エポキシ化合物の例として、ノボラックエポキシ樹脂(東都化成社製VDPN−638、701、702、703、704等)、アミンエポキシ樹脂(東都化成社製YH−434等)、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ソルビトール(ポリ)グリシジルエーテル、(ポリ)グリセロール(ポリ)グリシジルエーテル、ペンタエリスリトール(ポリ)グリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、アリルグリシジルエーテル、エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノールグリシジルエーテル、ラウリルアルコールグリシジルエーテル、アジピン酸グリシジルエーテル、フタル酸グリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリシジルフタルイミド、(ポリ)エチレングリコールグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0071】
この中で特に好ましい化合物として、分子中に−N(CH2 OR)2 基を有する化合物(式中、Rは水素原子またはアルキル基を示す)が挙げられる。詳しくは、尿素あるいはメラミンにホルムアルデヒドを作用させた化合物またはそのアルキル変性物が特に好ましい。レゾール化合物の例として、群栄化学社製のPP−3000s、PP−3000A、RP−2978、SP−1974、SP−1975、SP−1976、SP−1977、RP−3973等が挙げられる。
【0072】
[バインダー]
バインダーは、公知の高分子材料であれば特に限定されないが、本発明においては、ネガ型感光性樹脂組成物に用いられるバインダーとして、メタクリル酸メチルまたはベンジルメタクリレートの少なくとも1つを含む共重合体であることが特に好ましい。このような共重合体として、メタクリル酸メチルを含む共重合体、ベンジルメタクリレートを含む共重合体、メタクリル酸メチル及びベンジルメタクリレートを含む共重合体等が挙げられる。
【0073】
上記共重合体の中では、質量平均分子量が25000〜100000の範囲であるものが好ましく、25000〜60000の範囲であるものがより好ましい。また、露光処理に用いる光の波長に対する透過率は高いことが好ましく、プリベーク処理等の比較的低温で実施される加熱処理や、前記波長の光に対して透過率が低下しないものであることがさらに好ましい。このような光学的特性という観点からは、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/メタクリル酸メチル/ベンジルメタクリレート共重合体であることが好ましい。
【0074】
一方、ポジ型感光性樹脂組成物としては、前記アルカリ可溶性のバインダーとして、例えば、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン類、ヒドロキシスチレン−N−置換マレイミド共重合体、ヒドロキシスチレン−無水マレイン酸共重合体、アルカリ可溶性基を有するアクリル系ポリマー、アルカリ可溶性基を有するウレタン型ポリマー等が挙げられる。ここでアルカリ可溶性基としてはカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、イミド基等が挙げられる。
【0075】
前記アルカリ可溶性基を有するアクリル系ポリマーの例としては、メタクリル酸−ベンジルメタクリレート共重合体、ポリ(ヒドロキシフェニルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシエチルアクリレート)、ポリ(2、4−ジヒドロキシフェニルカルボニルオキシエチルアクリレート)等が挙げられる。これらのアクリル系ポリマーは質量平均分子量が2,000〜500,000、好ましくは4,000〜300,000のものが好ましい。
これらのアルカリ可溶性ポリマーのうち、ヒドロキシスチレン系ポリマー及びアルカリ可溶性基を有するアクリル系共重合体は現像性の点で好ましい。
【0076】
本発明において、アルカリ可溶性化合物であるバインダーは、酸分解性基で保護されていてもよく、該酸分解性基としては、エステル基、カーバメイト基等が挙げられる。
【0077】
本発明において、これらのバインダーの含有量は、感光性樹脂層の全固形分中、10〜90質量%程度であり、20〜85質量%の範囲であることが好ましく、30〜80質量%の範囲であることがさらに好ましい。
また、これらのアルカリ可溶性化合物は、1種類のみで使用してもよいし、あるいは2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、前記アルカリ可溶性のバインダーは、酸の作用により分解しアルカリ可溶となる化合物である溶解抑止剤と共に用いられる。
【0078】
上記感光性樹脂組成物としては、アルカリ水溶液により現像可能なものと、有機溶剤により現像可能なものと、が知られているが、公害防止、労働安全性の確保の観点からアルカリ水溶液により現像可能なものが好ましい。
【0079】
[その他の添加成分]
さらに、前記感光性樹脂層には、種々の目的で、各種の添加剤を含有させることができる。添加剤の例としては、界面活性剤、密着促進剤、可塑剤等が挙げられる。界面活性剤は、塗布性、得られる塗膜の平滑性を向上させるために用いることができ、その具体例としては、例えばBM−1000(BM Chemie社製)、メガファックスF142D、同F172、同F173、同F183、同F176PF、同F177PF(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC−135、同FC−170C、フロラードFC−430、同FC−431(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145(以上、旭硝子(株)製)、SH−28PA、SH−190、SH−193、SZ−6032、SF−8428、DC−57、DC−190(以上、東レシリコーン(株)製)の商品名で市販されているフッ素系またはシリコン系界面活性剤を使用することができる。
【0080】
上記界面活性剤の使用量は、全固形分の0.05〜10質量%であり、0.05質量%以下では有効でなく、10質量%を越えるとレジストパターンの密着性が劣化するので好ましくない。0.08%〜5質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜3質量%の範囲であることが特に好ましい。
なお、前記感光性樹脂層の厚みは1.0〜10μmの範囲であることが好ましい。
【0081】
また、前記感光性樹脂組成物中には、必要に応じて着色剤を添加することもできる。当該着色剤としては、硫酸バリウム、酸化チタン、ベンガラ、カーボンブラック、フタロシアニン等の顔料、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーン等の染料などを用いることができる。
【0082】
−露光後ベーク処理−
なお、露光処理後に実施される露光後ベーク処理は、ネガ型感光性樹脂組成物(あるいはポジ型感光性樹脂組成物)の構成成分に応じて異なるが、ベーク処理温度は、90〜150℃の範囲内が好ましく、90〜120℃の範囲内がより好ましい。また、ベーク処理時間は15秒〜2分の範囲内が好ましく、30秒〜2分の範囲内がより好ましい。
このようなベーク処理を実施することによって、光照射した領域のフォトマスク側近辺に多く発生した酸を最下部(基板側)まで分散・浸透させることにより重合を促進し、現像液に対する不溶化を確実にすることができる。
【0083】
−現像液および現像処理−
現像処理に用いられる現像液としては、ベーク処理後の感光性樹脂層の未露光部を溶解して除去することができるものであれば特に限定されないが、アルカリ成分を含む現像液(以下、「アルカリ現像液」と略す)からなることが望ましい。なお、このアルカリ現像液を用いた現像処理は、26〜40℃でpH9〜11の弱アルカリ現像液を用いて現像することが好ましい。
【0084】
上記アルカリ現像液としては、アルカリ性物質の希薄水溶液を使用するが、さらに、水と混和性の有機溶剤を少量添加したものを用いても良い。適当なアルカリ性物質としては、アルカリ金属水酸化物類(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、アルカリ金属炭酸塩類(例、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、アルカリ金属重炭酸塩類(例、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)、アルカリ金属ケイ酸塩類(例、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム)、アルカリ金属メタケイ酸塩類(例、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム)、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、テトラアルキルアンモンニウムヒドロキシド類(例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド)、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕−5−ノナンまたは燐酸三ナトリウムを挙げることができる。
【0085】
上記の水と混和性のある適当な有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドンを挙げることができる。水と混和性の有機溶剤の濃度は、0.1質量%〜30質量%が一般的である。現像液には、さらに公知のアニオン型、ノニオン型界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は0.01質量%〜10質量%が好ましい。現像液は、浴液としても、あるいは噴霧液としても用いることができる。さらに、現像方法としては、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法、スプレイ法等を利用することができる。
【0086】
(焼成工程)
焼成工程は、既述したように基板表面にパターン形成された感光性樹脂組成物層を焼成する工程であり、具体的には、感光性樹脂組成物層に含まれる有機物を酸化分解および/または熱分解することにより除去し、金属酸化物前駆体から金属酸化物多孔体を形成する工程である。
【0087】
なお、金属酸化物前駆体が、既述したように、金属酸化物以外の材料および/または多孔質な構造を有さないものである場合には、上記した焼成により、金属酸化物多孔体を形成する。
【0088】
焼成時の温度は特に限定されないが、有機物を含まない金属多孔体からなる金属酸化物構造体を得るために300℃〜800℃の範囲内であることが好ましい。
300℃以下の場合には、有機物を十分に除去することができなかったり、金属酸化物以外の材料からなる金属酸化物前駆体が、分解や酸化等により十分に金属酸化物に変化することができない場合がある。800℃以上の場合には、金属酸化物前駆体同士の凝集や結着が進行し過ぎて多孔質な構造が失われてしまう場合や、基板が熱により劣化したり変形したりする場合がある。また、焼成に際しては、焼成温度や焼成時間をコントロールすることにより、所望する空隙率や、多孔体構造が得られるように調整することも可能である。
【0089】
但し、必要に応じて、多孔質な構造が無くなるように焼成することにより、殆ど空隙の無い、緻密な金属酸化物からなる金属酸化物構造体としてもよい。また、焼成することにより金属多孔体からなる金属酸化物構造体を形成した後に、この金属酸化物構造体の所望の領域に、他の物質を含浸等により担持させたり、担持させた後に、さらに高温で焼成することにより、緻密な金属酸化物中に他の物質が閉じ込められた金属酸化物構造体としてもよい。
【0090】
焼成雰囲気は、特に限定されず、通常の雰囲気下で実施してもよいが、シリコンや金属等の酸化されやすい基板を用いる場合には還元性の雰囲気下で焼成してもよく、また、金属酸化物前駆体が金属酸化物以外の材料からなる場合には、酸化を促すために、酸化性の雰囲気下で焼成してもよい。
【0091】
以上に説明したように、塗布工程、パターニング工程および焼成工程を得ることにより金属酸化物構造体が形成されるが、金属酸化物構造体が2層以上の多層膜からなる立体的なものである場合には、1層毎に塗布工程、パターニング工程および焼成工程を繰り返して積層することにより金属酸化物構造体を形成してもよく、あるいは、1層毎に、塗布工程およびパターニング工程を繰り返して積層した後に、焼成工程を経ることにより金属酸化物構造体を形成してもよい。また、各層の金属酸化物多孔体の材料および多孔質な構造は同じてあってもよく、異なっていてもよい。
【0092】
(金属酸化物構造体の形成)
上記したような本発明により作製される金属酸化物多孔体からなる金属酸化物構造体の形成方法について、フォトマスクを用いたプロキシミティ露光によりネガ型のパターン形成を行う場合を例として、以下に説明する。但し、本発明は、以下の説明に限定されるものではない。
【0093】
図1は、本発明の金属酸化物構造体の製造方法の一例を示す模式断面図であり、フォトマスクを用いたプロキシミティ露光によりネガ型のパターン形成を行う場合について示している。図1(a)は、露光処理を説明する模式断面図であり、図1(b)は、現像処理後にパターンが形成されたことを説明する模式断面図であり、図1(c)は、焼成工程後に、金属酸化物多孔体からなる金属酸化物構造体が形成されたことを説明する模式断面図である。
【0094】
図1(a)において、基板1上には、感光性樹脂組成物層20が形成されている。感光性樹脂組成物層20は、光酸発生剤を含む酸架橋剤22中に、粒子状の金属酸化物前駆体21とバインダー23とが分散・含有してなるものである。また、感光性樹脂組成物層20上には、フォトマスク10が、ブラックマスク12が形成された面を下にして、感光性樹脂組成物層20上に近接するように設置されている。フォトマスク10は、基板10の厚み方向および感光性樹脂層20の膜厚方向に対して垂直に入射する不図示の平行光源から照射された矢印hνで表される露光用の光を透過するガラス基板11と、露光用の光hνを完全に遮蔽するブラックマスク12からなるものであり、ブラックマスク12は、所望するパターンに応じてガラス基板11表面に形成されている。
【0095】
露光処理は、図1(a)に示すように、フォトマスク10を介して、露光用の光hνを感光性樹脂層20に照射されることにより実施される。この際、露光用の光hνが照射された部分の感光性樹脂層20中に含まれる光酸発生剤の分解等により酸を発生する。
露光処理後、フォトマスク10は、感光性樹脂層20表面から取り除かれ、次に、感光性樹脂層20を露光後ベーク処理することにより、感光性樹脂層20のフォトマスク側近辺に多く存在する酸を、基板側まで十分に拡散・浸透させるとともに露光用の光hνが照射された部分の架橋を更に促進した。その後、露光後ベーク処理された感光性樹脂層20を現像液を用いてエッチング処理し、ブラックマスク12直下の感光性樹脂層20が除去されることにより、図1(b)に示すようなパターンが得られる。
【0096】
図1(b)において、符号40、41および42は、露光および現像処理により形成された粒子状の金属酸化物前駆体を含む樹脂層であり、図1(b)に示す粒子状の金属酸化物前駆体を含む樹脂層40、41および42からなるパターンはフォトマスク10表面のブラックマスク12で覆われていない領域のパターンに対応するものである。なお、粒子状の金属酸化物前駆体を含む樹脂層40、41および42は、粒子状の金属酸化物前駆体21、酸架橋剤の重合体22’およびバインダー23からなるものである。
【0097】
これら粒子状の金属酸化物前駆体を含む樹脂層40、41および42を焼成することにより、図1(b)に示すようなパターン形状を保ったまま、図1(c)に示す金属酸化物多孔体50、51および52からなる金属酸化物多孔体からなる金属酸化物構造体53が形成される。
【0098】
以上のようにして、本発明により製造される基板表面に規則的に配置された金属酸化物構造体は、例えば、フィルター、センサー、電極、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)の隔壁等への利用が期待できる。
なお、金属酸化物構造体をフィルターとして利用する場合には、本発明を用いて基板上に金属酸化物構造体を形成した後、前記基板のみを溶解させることによって金属酸化物構造体からなるフィルターとすることができる。
【0099】
【実施例】
以下に本発明を実施例を挙げてより具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0100】
(実施例1)
ガラス基板(幅:10cm、長さ:10cm、厚み:1.1mm)表面に、下記組成物からなる塗布液を1000rpmで5秒間スピンコートすることにより塗布し、感光性樹脂組成物層を形成した。
・メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体(モル比:28/72、質量平均分子量:30000):19.98質量部
・酸架橋剤(MW−30M、三和ケミカル(株)製):4.76質量部
・界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製、F177P):0.21質量部
・光酸発生剤(2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボメチル)−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン):2.38質量部
・メチルエチルケトン:106.80質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:44.70質量部
・シリカゾル(平均粒径:0.2μm、シリカ成分を30質量%含むメチルイソブチルケトン分散物):70.57質量部
【0101】
次に、感光性樹脂組成物層を形成したガラス基板をクリーンオーブン中にて70℃で30分間プリベーク後、ストライプ状のパターンを有するフォトマスク(線幅20μm、ピッチ20μm間隔)を用いて露光(露光量:300mJ/cm2 )した。露光終了から1分後に、クリーンオーブン中にて100℃で1分間露光後ベーク処理を実施し、この露光後ベーク処理の後に、未露光部を除去するためにアルカリ現像液(富士写真フィルム株式会社製、T−CD)の5倍希釈液(液温33℃、pH9.9)により現像し、水洗・乾燥させた。さらにクリーンオーブン中にて500℃で3時間焼成し感光性樹脂組成物層から有機物を除去することにより、ガラス基板表面に、線幅22.2μm、ピッチ18.9μm間隔のストライプ状で膜厚が約0.6μmの金属酸化物構造体を形成した。この金属酸化物構造体は、フォトマスクに形成されたパターンと同程度に精緻なパターンを有するものであった。また、このストライプ状の金属酸化物構造体を電子顕微鏡で観察したところ、凝集・結着した個々のシリカ微粒子間には多数の空隙(孔)が観察され、多孔質な構造を有していることが確認された。
【0102】
(比較例1)
ガラス基板(幅:10cm、長さ:10cm、厚み:1.1mm)表面に、下記組成物からなる塗布液を1000rpmで5秒間スピンコートすることにより塗布し、感光性樹脂組成物層を形成した。
・メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体(モル比:28/72、質量平均分子量:30000):20.00質量部
・界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製、F177P):0.05質量部
・メチルエチルケトン:100.00質量部
・シリカゾル(平均粒径:0.2μm、シリカ成分を30質量%含むメチルイソブチルケトン分散物):63.00質量部
【0103】
次に、感光性樹脂組成物層を形成したガラス基板を、クリーンオーブン中にて70℃で30分間プリベーク後、さらに、500℃で3時間焼成することにより感光性樹脂組成物層から有機物を除去することにより、ガラス基板表面に、一様な膜厚が約0.7μmの膜が形成された。
この膜を電子顕微鏡で観察したところ、凝集・結着した個々のシリカ微粒子間には多数の空隙(孔)が観察され、多孔質な構造を有していることが確認された。しかしながら、規則的に配置された金属酸化物構造体を得ることはできなかった。
【0104】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、感光性樹脂を用いて、基板表面に金属酸化物多孔体を所定の位置に規則的に配置した金属酸化物構造体を形成するための簡易な製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属酸化物構造体の製造方法の一例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1 基板
10 フォトマスク
11 ガラス基板
12 ブラックマスク
20 感光性樹脂組成物層
21 粒子状の金属酸化物前駆体
22 (光酸発生剤を含む)酸架橋剤
22’ 酸架橋剤の重合体
23 バインダー
40、41、42 粒子状の金属酸化物前駆体を含む樹脂層
50、51、52 金属酸化物多孔体
53 金属酸化物多孔体からなる金属酸化物構造体
hν 露光用の光
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属酸化物構造体の製造方法に関する。より詳細には、金属酸化物多孔体を規則的に配置した金属酸化物構造体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
微細孔を有する金属酸化物多孔体は、表面積が大きく、吸着能力も大きいことから、精密フィルター、触媒等に応用されているが、上記金属酸化物多孔体を、例えば基板表面に複数規則的に一定間隔に配置した金属酸化物構造体とすることができれば、センサーや半導体電極、さらには電子材料や電子機器などの精密加工分野等への応用が期待される。
【0003】
従来、上記金属酸化物多孔体を製造する方法として、1)金属酸化物粉末を焼結する方法、2)二成分系ガラスの分相を利用し、特定成分を選択的に溶解除去し、それ以外の酸化物成分を残す方法、等が知られている。
【0004】
しかしながら、従来の方法は利用できる金属酸化物の種類も限定されており、一般に高価な装置と多大な労力を必要とする。さらに従来方法では、細孔径が数ミクロン以上で不均一な細孔径を有しており、平行した独立孔を得ることは困難であった。
【0005】
これに対し、特開平6−32675号公報では、アルミニウム陽極酸化皮膜の微細孔等を鋳型にした金属酸化物多孔体の製造方法が提案されているが、この方法では、細孔径及び細孔間隔の変動が小さい金属酸化物多孔体を得ることができるものの、前記複数の金属酸化物多孔体を規則的に配置した金属酸化物構造体等とすることはできなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決することを目的とする。
すなわち本発明は、感光性樹脂を用いて、基板表面に金属酸化物多孔体を所定の位置に規則的に配置した金属酸化物構造体を形成するための簡易な製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、本発明は、
<1> 基板表面に少なくとも金属酸化物多孔体を配置した金属酸化物構造体の製造方法であって、
前記製造方法が、少なくとも、金属酸化物前駆体および化学増幅系の感光性樹脂組成物を含む塗布液を基板表面に塗布することにより感光性樹脂組成物層を形成する塗布工程と、前記感光性樹脂組成物層をパターン形成するパターニング工程と、前記パターン形成された感光性樹脂組成物層を焼成する焼成工程と、とからなることを特徴とする金属酸化物構造体の製造方法である。
【0008】
<2> 前記金属酸化物前駆体が、酸化チタンゾル、シリカゾル、アルミナゾルのいずれか1つ以上を含むことを特徴とする<1>に記載の金属酸化物構造体の製造方法である。
【0009】
<3> 前記化学増幅系の感光性樹脂組成物が、少なくとも光酸発生剤、酸架橋剤およびバインダーを含むことを特徴とする<1>または<2>に記載の金属酸化物構造体の製造方法である。
【0010】
<4> 前記焼成時の焼成温度が、300℃〜800℃の範囲内であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1つに記載の金属酸化物構造体の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、基板表面に少なくとも金属酸化物多孔体を配置した金属酸化物構造体の製造方法であって、前記製造方法が、少なくとも、金属酸化物前駆体および化学増幅系の感光性樹脂組成物を含む塗布液を基板表面に塗布することにより感光性樹脂組成物層を形成する塗布工程と、前記感光性樹脂組成物層をパターン形成するパターニング工程と、前記パターン形成された感光性樹脂組成物層を焼成する焼成工程と、とからなることを特徴とする。
【0012】
なお、本発明において、「金属酸化物多孔体」とは、少なくともその一部が多孔質な構造を有する金属酸化物を意味し、その空隙率は特に限定されないが、20%〜60%の範囲であることが好ましく、26%〜48%の範囲であることがより好ましい。また、前記多孔質な構造とは、その構造が少なくとも空隙を有する形態からなる構造であれば特に限定されないが、例えば繊維状、ハニカム形状のような2次元構造が積層したもの、3次元の網目状、あるいは、2種類以上の形態が混合したもの等が挙げられる。
上記金属酸化物としては公知の金属酸化物であれば特に限定されず、2種類以上の金属酸化物であってもよく、結晶性を有するものや非晶質なものであってもよい。
【0013】
また、「金属酸化物構造体」とは、回路、セル、電極、画素、センサー、案内溝等、何らかの機能・役割の達成を目的として、基板表面に金属酸化物多孔体が所望の位置に規則的に配置された構造体を意味する。また、上記構造体を基板表面に2層以上積層させることにより形成された立体的な構造を有する構造体であってもよい。さらに、形成された構造体の構造そのものが多孔質なものであってもよい。
【0014】
以下に、上記本発明を、塗布工程、パターニング工程、焼成工程、および、金属酸化物構造体の形成に大きくわけて順次説明する。
(塗布工程)
塗布工程は、少なくとも、金属酸化物前駆体および化学増幅系の感光性樹脂組成物(以下、「感光性樹脂組成物」と略す場合がある)を含む塗布液を基板表面に塗布することにより感光性樹脂組成物層を形成するものである。
なお、「感光性樹脂組成物層」とは、感光樹脂組成物中に少なくとも金属酸化物前駆体が分散してなるものであれば特に限定されない。また、前記金属酸化物前駆体は、少なくとも酸化チタン、シリカ、アルミナのうちの少なくとも1つを含んでなることが好ましい。
【0015】
塗布する方法としては、公知の塗布方法であれば特に限定されず、例えば、スピンコート、ローラーコート、ディップコート、スプレーコート等を用いることができる。塗布方法は、塗布する基板面積や、用いる塗布液の粘度や成分等、形成する感光樹脂組成物層の膜厚を考慮して適切な方法を選択することができる。
【0016】
これらの塗布方法に用いる塗布液としては、少なくとも金属酸化物前駆体および感光性樹脂組成物を含んでなる塗布液を用いることが好ましく、この塗布液に用いられる溶媒は、用いる金属酸化物前駆体および感光性樹脂組成物に応じて公知の親水性あるいは親油性の溶媒を用いることができる。なお、前記親水性の溶媒としては、例えば、水やエタノールなどのアルコール類等が、また前記親油性の溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類や、エーテル類等が用いられる。
【0017】
−感光性樹脂組成物層−
このようにして基板表面に形成された感光性樹脂組成物層は、その中に含まれる溶媒等の揮発性の成分を十分に揮発させるために、70℃〜120℃の温度範囲内でプリベイク(乾燥を目的とする予備焼成)処理してもよい。
【0018】
塗布液を用いて基板表面に形成された感光性樹脂組成物層中の金属酸化物前駆体の含有量は5質量%〜80質量%の範囲内が好ましく、10質量%〜70質量%の範囲内であることがより好ましい。80質量%よりも大きい場合にはパターニング工程においてパターン形成することが困難になる場合があり、10質量%よりも小さい場合には、十分な強度を有する金属酸化物多孔体からなる金属酸化物構造体を形成することが困難になる場合がある。
【0019】
−金属酸化物前駆体−
金属酸化物前駆体は、その材料としては、金属酸化物、あるいは、焼成工程を経た後に金属酸化物となるものであれば特に限定されない。また、その構造としては、多孔質な構造を有するものであってもよく、焼成工程を経た後に多孔質な構造を形成するものであってもよい。但し、焼成工程を経た後に多孔質な構造を形成する場合は、金属酸化物前駆体自体が多孔質な構造を形成するものであってもよく、また、金属酸化物前駆体自体は多孔質な構造を形成しないものの、これらが適度な空隙を有しつつ凝集・結着することにより多孔質な構造を形成するものでもよく、前者および後者を組合せたものであってもよい。
【0020】
このような金属酸化物前駆体としては、例えば、酸化チタンゾル、シリカゾル、アルミナゾル等の金属酸化物ゾル、金属水酸化物、金属アルコキシドや金属微粒子の表面を樹脂で被覆処理したような有機無機複合材料、あるいは、これらを2種以上組合せたものを用いることができる。これらの内でも、金属酸化物前駆体としては、ゾル状の金属酸化物が好ましく、酸化チタンゾル、シリカゾル、アルミナゾルのいずれか1つ以上を含む金属酸化物ゾルがより好ましい。なお、金属酸化物ゾルの分散媒としては、水もしくは親水性の溶媒であってもよく、有機溶媒であってもよい。
【0021】
金属酸化物前駆体の大きさは、金属アルコキシドのような分子状であってもよく、ゾル状の金属酸化物のようにある程度の大きさを有するものであってもよい。但し、後者の場合には、その形状は特に限定されず、粒子状、繊維状、ウィスカー状等の如何なる形態であってもよい。
【0022】
−基板−
基板としては、感光性樹脂組成物層の形成が可能なものであれば特に限定されないが、少なくとも300℃以上の耐熱性を有し、塗布液として用いる溶媒に対して化学的に安定であり、露光処理に用いる光(紫外線等)に対して変質しない材料からなる基板を用いることが好ましい。このような基板としては、例えば、無アルカリガラスや石英等のガラス材料、アルミナ等のセラミックス材料、シリコンやガリウム砒素等の半導体材料、ステンレスや銅等の金属材料、あるいは、これらの複合材料を用いることができる。
【0023】
(パターニング工程)
本発明におけるパターニング工程は、既述したように基板表面に形成された感光性樹脂組成物層をパターン形成するものであり、具体的には、前記感光性樹脂層の表面に所望のパターンが形成できるように、少なくとも、前記パターンに対応する領域に光を照射する露光処理と、該露光処理の後に光照射された領域の感光性樹脂組成物層を完全に現像液に対して不溶化する露光後ベーク処理(加熱処理)と、該露光後ベーク処理の後に現像液により非光照射領域を溶解させてエッチング処理する現像処理と、を経ることによりパターン形成された感光性樹脂組成物層を得るものである(以下、このようなパターン形成を「ネガ型パターン形成」と略す場合がある)。
【0024】
あるいは、前記パターンに対応する領域外に光を照射する露光処理と、該露光処理の後に光照射された領域の感光性樹脂組成物層を完全に現像液に対して易溶化する露光後ベーク処理(加熱処理)と、該露光後ベーク処理の後に現像液により光照射領域を溶解させてエッチング処理する現像処理と、を経ることによりパターン形成された感光性樹脂層を得るものであってもよい(以下、このようなパターン形成を「ポジ型パターン形成」と略す場合がある)。
【0025】
パターン形成は、上記ネガ型あるいはポジ型のいずれであってもよいが、ポジ型の場合では、感光性樹脂組成物層中に含まれる金属酸化物前駆体が、露光工程でパターン形成に用いられる光の波長を吸収するものである場合には、現像液により光照射領域を完全に溶解できない可能性がある。このため、ネガ型のパターン形成を行うことがより好ましい。
【0026】
−露光処理−
露光処理に用いる露光方式としては、半導体の微細パターンの形成に用いられる公知の露光方式を用いることができ、所望するパターニング精度やパターニングコストに応じて適当な方式を選択できる。このような露光方式としては、例えば、所望のパターンが形成されたフォトマスクと、基板表面に形成された感光性樹脂組成物層を密着(近接)させた状態で露光するコンタクト(プロキシミティ)露光方式、2枚の反射鏡を用いた等倍投影露光方式、いわゆるステッパといわれる縮小投影露光機を用いた縮小投影露光方式等を用いることができる。従って、パターニング精度の優れた露光方式を用いてパターン形成を行った場合には、サブミクロンスケールの精緻なパターンを有する金属酸化物多孔体からなる金属酸化物構造体を形成することも可能である。
【0027】
ここで使用する光としては、例えばg線(波長436nm)、i線(波長365nm)及び超高圧水銀灯、キセノン灯、カーボンアーク灯、アルゴンレーザー等の公知の光源からの連続状、及び/または、輝線状の紫外線、KrFエキシマレーザー等の遠紫外線等が挙げられ、これらの中では、g線、i線及びこれらを含む300nm〜440nm領域の紫外線が好ましいものとして挙げられる。特開平6−59119号公報に記載のように、400nm以上の波長の光透過率が2%以下である光学フィルター等を併用してもよい。
【0028】
−感光性樹脂組成物−
本発明に用いる化学増幅系の感光性樹脂組成物としては、光の照射により酸を発生する光酸発生剤の作用により、光照射領域の樹脂組成物が現像液に対して不溶性となる性質を持つ樹脂組成物(以下、「ネガ型感光性樹脂組成物」と略す。)、あるいは、前記光の照射により酸を発生する光酸発生剤の作用により、光照射領域の樹脂組成物が現像液に対して溶解性となる性質を持つ樹脂組成物(以下、「ポジ型感光性樹脂組成物」と略す。)であれば、その架橋・分解プロセスやメカニズムは特に限定されず、公知のものを用いることができる。また、少なくとも、前記金属酸化物前駆体含有してなる感光性樹脂層は、少なくとも150℃以下で軟化もしくは粘着性になることが好ましく、熱可塑性であることが好ましい。
なお、感光性樹脂層が、金属酸化物前駆体を含有する感光性樹脂組成物のみからなる場合において、上記のような特性が得られにくい場合には、前記感光性樹脂層中に熱可塑性結合剤、及び/または、可塑剤を添加してもよい。
【0029】
前記ネガ型感光性樹脂組成物としては、以下に示す従来公知の感光性樹脂組成物を用いることができる。
【0030】
(a)光架橋性基を有するポリマー、アジド化合物を含有してなるネガ型感光性樹脂組成物。
(b)特開昭59−101651号公報に記載のジアゾ化合物を含有してなるネガ型感光性樹脂組成物。
(c)米国特許第262276号、特開平2−63054号公報に記載の光重合開始剤、付加車台性不飽和化合物を含有してなる光重合性ネガ型感光性樹脂組成物。
(d)特開平11−095421号公報記載のアルカリ可溶性化合物、光酸発生剤、酸架橋剤を含有してなるネガ型感光性樹脂組成物。
【0031】
本発明においては、ネガ型感光性樹脂組成物として上記いずれを用いてもよいが、少なくとも光酸発生剤、酸架橋剤及びバインダーを基本構成要素として含むものであることが好ましい。
【0032】
上記のようなネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、現像処理時のサイドエッチング(露光された部分のネガ型感光性樹脂層の端部が、必要以上にエッチングされて実際のパターンよりも小さくなる現象)の発生をより確実に防止することができるため、より精緻な金属酸化物多孔体からなる金属酸化物構造体を得ることができる。
【0033】
一方、ポジ型感光性樹脂組成物としては、酸分解性基で保護されたアルカリ可溶性化合物と酸発生剤との組み合わせを含有してなる化学増幅系ポジ型感光性樹脂組成物がよく知られており本発明に好適に用いることができるが、以下に示すポジ型感光性樹脂組成物と組み合わせて用いることがさらに好適である。
【0034】
(e)特開平11−095421号公報に記載のアルカリ可溶性化合物、及び熱分解性であり、かつ分解しない状態ではアルカリ可溶性化合物の溶解性を実質的に低下させる物質を含有してなるレーザー感応性ポジ型樹脂組成物。
(f)アルカリ現像溶出型ポジ平版印刷版を作製することができる、赤外線吸収剤、ノボラック樹脂、及び溶解抑止剤を含有してなるアルカリ現像溶出ポジ型樹脂組成物。
【0035】
以下に、このような成分からなるネガ型感光性樹脂組成物について、光酸発生剤、酸架橋剤、バインダー、および、その他の添加成分の順に説明する。
【0036】
[光酸発生剤]
光酸発生剤としては、露光処理に用いる光の照射により酸を発生するものであれば特に限定されないが、例えば、有機ハロゲン化合物、オニウム塩、スルホン酸エステル等が挙げられる。これらのなかでは有機ハロゲン化合物が好ましく、特に、ハロメチル化トリアジン、ハロメチル化オキサジアゾール化合物が好ましい。具体的にはハロメチル化トリアジン化合物は一般式(1)で示される。
【0037】
【化1】
【0038】
(式中R1 及びR2 は、ハロメチル基であり、Yは炭素数5以上の有機基である。)
ハロメチル基としては、例えばトリクロロメチル基、トリブロモメチル基、ジクロロメチル基、ジブロモメチル基などがあり、炭素数5以上の有機基としては、例えば置換基を有していてもよい、フェニル基、ナフチル基、スチリル基、スチリルフェニル基、フリルビニル基、四級化アミノエチルアミノ基などがある。ハロメチル化トリアジン化合物の具体例としては、以下の式(2)〜(23)で示される化合物がある。
【0039】
【化2】
【0040】
【化3】
【0041】
【化4】
【0042】
【化5】
【0043】
一般式(1)で示されるハロメチル化トリアジン化合物の中でも好ましいものは、以下の一般式(24)〜(26)で示される化合物である。
【0044】
【化6】
【0045】
式中R1 及びR2 は、ハロメチル基であり、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基であり、nは0〜3の整数である。
【0046】
【化7】
【0047】
式中R1及びR2 は、ハロメチル基であり、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基でありnは0〜3の整数である。
【0048】
【化8】
【0049】
式中R1 及びR2 は、ハロメチル基であり、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基であり、nは0〜1の整数である。一般式(24)〜(26)で示される化合物の中でも好ましいものは、R1 及びR2 がトリクロロメチル基であり、Rの炭素数が1〜2であり、一般式(24)、(25)ではnが0〜2の整数であり、一般式(26)は0〜1の整数である化合物である。ハロメチル化オキサジアゾール化合物は、一般式(27)で示される。
【0050】
【化9】
【0051】
式中R3 は、ハロメチル基であり、Zは置換基を有していてもよいベンゾフリル基またはベンゾフリルビニル基である。ハロメチル化オキサジアゾール化合物の具体例としては、以下の式(28)〜(45)で示される化合物がある。
【0052】
【化10】
【0053】
【化11】
【0054】
【化12】
【0055】
一般式(27)で示されるハロメチル化オキサジアゾール化合物の中でも好ましいのは、以下の一般式(46)で示される化合物である。
【0056】
【化13】
【0057】
式中、R3 はハロメチル基であり、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基であり、nは0〜2の整数である。さらに好ましいのは、R3 がトリクロロメチル基であり、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜2のアルキル基またはアルコキシ基であり、nが0〜1の整数である化合物である。
【0058】
光酸発生剤の添加量は、感光性樹脂組成物層中の固形分に対して、0.05〜15質量%、好ましくは5〜15質量%である。光酸発生剤の含有量が15質量%を超えると、パターンが膨潤してしまい、0.05質量%未満であると、露光によって十分な量の酸が発生しないので、感光性樹脂と酸架橋剤との架橋が不充分となり現像後の残膜率が低下し、精緻なパターンを有する金属多孔体からなる金属酸化物構造体を得ることが困難になる場合がある。
【0059】
[酸架橋剤]
ネガ型感光性樹脂組成物に用いられる酸架橋剤は、酸の作用により酸架橋剤同士が重合する作用、及び/または、酸架橋剤を介してバインダー等の他の樹脂成分同士を架橋することにより硬化させ、該硬化した部分を現像液に対して不溶性とする作用を有するものであれば特に限定されないが、例えば、架橋置換基を少なくとも1種以上の置換基(以下、「架橋性置換基」という場合がある。)を有する化合物を挙げることができる。
【0060】
このような架橋性置換基の具体例としては、例えば(i)ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アセトキシアルキル基等のヒドロキシアルキル基またはその誘導体;
(ii)ホルミル基、カルボキシアルキル基等のカルボニル基またはその誘導体;
(iii)ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジメチロールアミノメチル基、ジエチロールアミノメチル基、モルホリノメチル基等の含窒素基含有置換基;
(iv)グリシジルエーテル基、グリシジルエステル基、グリシジルアミノ基等のグリシジル基含有置換基;
(v)ベンジルオキシメチル基、ベンゾイロキシメチル基等のアリルオキシアルキル基、アラルキルオキシアルキル基等の芳香族誘導体;
(vi)ビニル基、イソプロペニル基等の重合性多重結合含有置換基等を挙げることができる。本発明に用いられる酸架橋剤の架橋性置換基としては、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基等が好ましく、特にアルコキシメチル基が好ましい。
【0061】
前記架橋性置換基を有する酸架橋剤としては、例えば(i)メチロール基含有メラミン化合物、メチロール基含有ベンゾグアナミン化合物、メチロール基含有ウレア化合物、メチロール基含有グリコールウリル化合物、メチロール基含有フェノール化合物等のメチロール基含有化合物;
(ii)アルコキシアルキル基含有メラミン化合物、アルコキシアルキル基含有ベンゾグアナミン化合物、アルコキシアルキル基含有ウレア化合物、アルコキシアルキル基含有グリコールウリル化合物、アルコキシアルキル基含有フェノール化合物等のアルコキシアルキル基含有化合物;
(iii)カルボキシメチル基含有メラミン化合物、カルボキシメチル基含有ベンゾグアナミン化合物、カルボキシメチル基含有ウレア化合物、カルボキシメチル基含有グリコールウリル化合物、カルボキシメチル基含有フェノール化合物等のカルボキシメチル基含有化合物;
(iv)ビスフェノールA系エポキシ化合物、ビスフェノールF系エポキシ化合物、ビスフェノールS系エポキシ化合物、ノボラック樹脂系エポキシ化合物、レゾール樹脂系エポキシ化合物、ポリ(ヒドロキシスチレン)系エポキシ化合物等のエポキシ化合物等を挙げることができる。
【0062】
本発明に用いられる酸架橋剤は、アルコキシメチル化ウレア化合物またはその樹脂、またはアルコキシメチル化グリコールウリル化合物またはその樹脂が好ましい。特に好ましい酸架橋剤としては、下記式(47)で示されるアルコキシメチル化ウレア化合物または式(48)で示されるアルコキシメチル化グリコールウリル化合物を挙げることができる。
【0063】
【化14】
【0064】
ここでR3は、炭素数1〜4のアルキル基である。
【0065】
【化15】
【0066】
ここでR4は、炭素数1〜4のアルキル基である。
【0067】
前記式(47)および式(48)において、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等を挙げることができる。前記酸架橋剤は、例えば尿素化合物やグリコールウリル化合物とホルマリンを縮合反応させてメチロール基を導入した後、さらにメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール類でエーテル化し、次いで反応液を冷却して析出する化合物またはその樹脂を回収することで得られる。また前記酸架橋剤は、CYMEL(商品名、三井サイアナミッド製)、ニカラッド(三和ケミカル製)のような市販品としても入手することができる。
【0068】
酸架橋剤としてはメラミン、ベンゾグアナミン、グリコールウリル又は尿素にホルムアルデヒドを作用させた化合物またはそれらのアルキル変性化合物、エポキシ化合物、レゾール化合物等が有効であり、その具体例は、次のとおりである。
【0069】
具体的には、三井サイアナミド社のサイメル(登録商標)300、301、303、350、736、738、370、771、325、327、703、701、266、267、285、232、235、238、1141、272、254、202、1156、1158は、メラミンにホルムアルデヒドを作用させた化合物またはそのアルキル変性物の例である。サイメル(登録商標)1123、1125、1128は、ベンゾグアナミンにホルムアルデヒドを作用させた化合物またはそのアルキル変性物の例である。サイメル(登録商標)1170、1171、1174、1172はグリコールウリルにホルムアルデヒドを作用させた化合物またはそのアルキル変性物の例である。尿素にホルムアルデヒドを作用させた化合物またはそのアルキル変性物の例として三井サイアナミド社のUFR(登録商標)65、300を挙げることができる。
【0070】
エポキシ化合物の例として、ノボラックエポキシ樹脂(東都化成社製VDPN−638、701、702、703、704等)、アミンエポキシ樹脂(東都化成社製YH−434等)、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ソルビトール(ポリ)グリシジルエーテル、(ポリ)グリセロール(ポリ)グリシジルエーテル、ペンタエリスリトール(ポリ)グリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、アリルグリシジルエーテル、エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノールグリシジルエーテル、ラウリルアルコールグリシジルエーテル、アジピン酸グリシジルエーテル、フタル酸グリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリシジルフタルイミド、(ポリ)エチレングリコールグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0071】
この中で特に好ましい化合物として、分子中に−N(CH2 OR)2 基を有する化合物(式中、Rは水素原子またはアルキル基を示す)が挙げられる。詳しくは、尿素あるいはメラミンにホルムアルデヒドを作用させた化合物またはそのアルキル変性物が特に好ましい。レゾール化合物の例として、群栄化学社製のPP−3000s、PP−3000A、RP−2978、SP−1974、SP−1975、SP−1976、SP−1977、RP−3973等が挙げられる。
【0072】
[バインダー]
バインダーは、公知の高分子材料であれば特に限定されないが、本発明においては、ネガ型感光性樹脂組成物に用いられるバインダーとして、メタクリル酸メチルまたはベンジルメタクリレートの少なくとも1つを含む共重合体であることが特に好ましい。このような共重合体として、メタクリル酸メチルを含む共重合体、ベンジルメタクリレートを含む共重合体、メタクリル酸メチル及びベンジルメタクリレートを含む共重合体等が挙げられる。
【0073】
上記共重合体の中では、質量平均分子量が25000〜100000の範囲であるものが好ましく、25000〜60000の範囲であるものがより好ましい。また、露光処理に用いる光の波長に対する透過率は高いことが好ましく、プリベーク処理等の比較的低温で実施される加熱処理や、前記波長の光に対して透過率が低下しないものであることがさらに好ましい。このような光学的特性という観点からは、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/メタクリル酸メチル/ベンジルメタクリレート共重合体であることが好ましい。
【0074】
一方、ポジ型感光性樹脂組成物としては、前記アルカリ可溶性のバインダーとして、例えば、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン類、ヒドロキシスチレン−N−置換マレイミド共重合体、ヒドロキシスチレン−無水マレイン酸共重合体、アルカリ可溶性基を有するアクリル系ポリマー、アルカリ可溶性基を有するウレタン型ポリマー等が挙げられる。ここでアルカリ可溶性基としてはカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、イミド基等が挙げられる。
【0075】
前記アルカリ可溶性基を有するアクリル系ポリマーの例としては、メタクリル酸−ベンジルメタクリレート共重合体、ポリ(ヒドロキシフェニルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシエチルアクリレート)、ポリ(2、4−ジヒドロキシフェニルカルボニルオキシエチルアクリレート)等が挙げられる。これらのアクリル系ポリマーは質量平均分子量が2,000〜500,000、好ましくは4,000〜300,000のものが好ましい。
これらのアルカリ可溶性ポリマーのうち、ヒドロキシスチレン系ポリマー及びアルカリ可溶性基を有するアクリル系共重合体は現像性の点で好ましい。
【0076】
本発明において、アルカリ可溶性化合物であるバインダーは、酸分解性基で保護されていてもよく、該酸分解性基としては、エステル基、カーバメイト基等が挙げられる。
【0077】
本発明において、これらのバインダーの含有量は、感光性樹脂層の全固形分中、10〜90質量%程度であり、20〜85質量%の範囲であることが好ましく、30〜80質量%の範囲であることがさらに好ましい。
また、これらのアルカリ可溶性化合物は、1種類のみで使用してもよいし、あるいは2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、前記アルカリ可溶性のバインダーは、酸の作用により分解しアルカリ可溶となる化合物である溶解抑止剤と共に用いられる。
【0078】
上記感光性樹脂組成物としては、アルカリ水溶液により現像可能なものと、有機溶剤により現像可能なものと、が知られているが、公害防止、労働安全性の確保の観点からアルカリ水溶液により現像可能なものが好ましい。
【0079】
[その他の添加成分]
さらに、前記感光性樹脂層には、種々の目的で、各種の添加剤を含有させることができる。添加剤の例としては、界面活性剤、密着促進剤、可塑剤等が挙げられる。界面活性剤は、塗布性、得られる塗膜の平滑性を向上させるために用いることができ、その具体例としては、例えばBM−1000(BM Chemie社製)、メガファックスF142D、同F172、同F173、同F183、同F176PF、同F177PF(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC−135、同FC−170C、フロラードFC−430、同FC−431(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145(以上、旭硝子(株)製)、SH−28PA、SH−190、SH−193、SZ−6032、SF−8428、DC−57、DC−190(以上、東レシリコーン(株)製)の商品名で市販されているフッ素系またはシリコン系界面活性剤を使用することができる。
【0080】
上記界面活性剤の使用量は、全固形分の0.05〜10質量%であり、0.05質量%以下では有効でなく、10質量%を越えるとレジストパターンの密着性が劣化するので好ましくない。0.08%〜5質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜3質量%の範囲であることが特に好ましい。
なお、前記感光性樹脂層の厚みは1.0〜10μmの範囲であることが好ましい。
【0081】
また、前記感光性樹脂組成物中には、必要に応じて着色剤を添加することもできる。当該着色剤としては、硫酸バリウム、酸化チタン、ベンガラ、カーボンブラック、フタロシアニン等の顔料、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーン等の染料などを用いることができる。
【0082】
−露光後ベーク処理−
なお、露光処理後に実施される露光後ベーク処理は、ネガ型感光性樹脂組成物(あるいはポジ型感光性樹脂組成物)の構成成分に応じて異なるが、ベーク処理温度は、90〜150℃の範囲内が好ましく、90〜120℃の範囲内がより好ましい。また、ベーク処理時間は15秒〜2分の範囲内が好ましく、30秒〜2分の範囲内がより好ましい。
このようなベーク処理を実施することによって、光照射した領域のフォトマスク側近辺に多く発生した酸を最下部(基板側)まで分散・浸透させることにより重合を促進し、現像液に対する不溶化を確実にすることができる。
【0083】
−現像液および現像処理−
現像処理に用いられる現像液としては、ベーク処理後の感光性樹脂層の未露光部を溶解して除去することができるものであれば特に限定されないが、アルカリ成分を含む現像液(以下、「アルカリ現像液」と略す)からなることが望ましい。なお、このアルカリ現像液を用いた現像処理は、26〜40℃でpH9〜11の弱アルカリ現像液を用いて現像することが好ましい。
【0084】
上記アルカリ現像液としては、アルカリ性物質の希薄水溶液を使用するが、さらに、水と混和性の有機溶剤を少量添加したものを用いても良い。適当なアルカリ性物質としては、アルカリ金属水酸化物類(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、アルカリ金属炭酸塩類(例、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、アルカリ金属重炭酸塩類(例、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)、アルカリ金属ケイ酸塩類(例、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム)、アルカリ金属メタケイ酸塩類(例、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム)、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、テトラアルキルアンモンニウムヒドロキシド類(例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド)、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕−5−ノナンまたは燐酸三ナトリウムを挙げることができる。
【0085】
上記の水と混和性のある適当な有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドンを挙げることができる。水と混和性の有機溶剤の濃度は、0.1質量%〜30質量%が一般的である。現像液には、さらに公知のアニオン型、ノニオン型界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は0.01質量%〜10質量%が好ましい。現像液は、浴液としても、あるいは噴霧液としても用いることができる。さらに、現像方法としては、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法、スプレイ法等を利用することができる。
【0086】
(焼成工程)
焼成工程は、既述したように基板表面にパターン形成された感光性樹脂組成物層を焼成する工程であり、具体的には、感光性樹脂組成物層に含まれる有機物を酸化分解および/または熱分解することにより除去し、金属酸化物前駆体から金属酸化物多孔体を形成する工程である。
【0087】
なお、金属酸化物前駆体が、既述したように、金属酸化物以外の材料および/または多孔質な構造を有さないものである場合には、上記した焼成により、金属酸化物多孔体を形成する。
【0088】
焼成時の温度は特に限定されないが、有機物を含まない金属多孔体からなる金属酸化物構造体を得るために300℃〜800℃の範囲内であることが好ましい。
300℃以下の場合には、有機物を十分に除去することができなかったり、金属酸化物以外の材料からなる金属酸化物前駆体が、分解や酸化等により十分に金属酸化物に変化することができない場合がある。800℃以上の場合には、金属酸化物前駆体同士の凝集や結着が進行し過ぎて多孔質な構造が失われてしまう場合や、基板が熱により劣化したり変形したりする場合がある。また、焼成に際しては、焼成温度や焼成時間をコントロールすることにより、所望する空隙率や、多孔体構造が得られるように調整することも可能である。
【0089】
但し、必要に応じて、多孔質な構造が無くなるように焼成することにより、殆ど空隙の無い、緻密な金属酸化物からなる金属酸化物構造体としてもよい。また、焼成することにより金属多孔体からなる金属酸化物構造体を形成した後に、この金属酸化物構造体の所望の領域に、他の物質を含浸等により担持させたり、担持させた後に、さらに高温で焼成することにより、緻密な金属酸化物中に他の物質が閉じ込められた金属酸化物構造体としてもよい。
【0090】
焼成雰囲気は、特に限定されず、通常の雰囲気下で実施してもよいが、シリコンや金属等の酸化されやすい基板を用いる場合には還元性の雰囲気下で焼成してもよく、また、金属酸化物前駆体が金属酸化物以外の材料からなる場合には、酸化を促すために、酸化性の雰囲気下で焼成してもよい。
【0091】
以上に説明したように、塗布工程、パターニング工程および焼成工程を得ることにより金属酸化物構造体が形成されるが、金属酸化物構造体が2層以上の多層膜からなる立体的なものである場合には、1層毎に塗布工程、パターニング工程および焼成工程を繰り返して積層することにより金属酸化物構造体を形成してもよく、あるいは、1層毎に、塗布工程およびパターニング工程を繰り返して積層した後に、焼成工程を経ることにより金属酸化物構造体を形成してもよい。また、各層の金属酸化物多孔体の材料および多孔質な構造は同じてあってもよく、異なっていてもよい。
【0092】
(金属酸化物構造体の形成)
上記したような本発明により作製される金属酸化物多孔体からなる金属酸化物構造体の形成方法について、フォトマスクを用いたプロキシミティ露光によりネガ型のパターン形成を行う場合を例として、以下に説明する。但し、本発明は、以下の説明に限定されるものではない。
【0093】
図1は、本発明の金属酸化物構造体の製造方法の一例を示す模式断面図であり、フォトマスクを用いたプロキシミティ露光によりネガ型のパターン形成を行う場合について示している。図1(a)は、露光処理を説明する模式断面図であり、図1(b)は、現像処理後にパターンが形成されたことを説明する模式断面図であり、図1(c)は、焼成工程後に、金属酸化物多孔体からなる金属酸化物構造体が形成されたことを説明する模式断面図である。
【0094】
図1(a)において、基板1上には、感光性樹脂組成物層20が形成されている。感光性樹脂組成物層20は、光酸発生剤を含む酸架橋剤22中に、粒子状の金属酸化物前駆体21とバインダー23とが分散・含有してなるものである。また、感光性樹脂組成物層20上には、フォトマスク10が、ブラックマスク12が形成された面を下にして、感光性樹脂組成物層20上に近接するように設置されている。フォトマスク10は、基板10の厚み方向および感光性樹脂層20の膜厚方向に対して垂直に入射する不図示の平行光源から照射された矢印hνで表される露光用の光を透過するガラス基板11と、露光用の光hνを完全に遮蔽するブラックマスク12からなるものであり、ブラックマスク12は、所望するパターンに応じてガラス基板11表面に形成されている。
【0095】
露光処理は、図1(a)に示すように、フォトマスク10を介して、露光用の光hνを感光性樹脂層20に照射されることにより実施される。この際、露光用の光hνが照射された部分の感光性樹脂層20中に含まれる光酸発生剤の分解等により酸を発生する。
露光処理後、フォトマスク10は、感光性樹脂層20表面から取り除かれ、次に、感光性樹脂層20を露光後ベーク処理することにより、感光性樹脂層20のフォトマスク側近辺に多く存在する酸を、基板側まで十分に拡散・浸透させるとともに露光用の光hνが照射された部分の架橋を更に促進した。その後、露光後ベーク処理された感光性樹脂層20を現像液を用いてエッチング処理し、ブラックマスク12直下の感光性樹脂層20が除去されることにより、図1(b)に示すようなパターンが得られる。
【0096】
図1(b)において、符号40、41および42は、露光および現像処理により形成された粒子状の金属酸化物前駆体を含む樹脂層であり、図1(b)に示す粒子状の金属酸化物前駆体を含む樹脂層40、41および42からなるパターンはフォトマスク10表面のブラックマスク12で覆われていない領域のパターンに対応するものである。なお、粒子状の金属酸化物前駆体を含む樹脂層40、41および42は、粒子状の金属酸化物前駆体21、酸架橋剤の重合体22’およびバインダー23からなるものである。
【0097】
これら粒子状の金属酸化物前駆体を含む樹脂層40、41および42を焼成することにより、図1(b)に示すようなパターン形状を保ったまま、図1(c)に示す金属酸化物多孔体50、51および52からなる金属酸化物多孔体からなる金属酸化物構造体53が形成される。
【0098】
以上のようにして、本発明により製造される基板表面に規則的に配置された金属酸化物構造体は、例えば、フィルター、センサー、電極、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)の隔壁等への利用が期待できる。
なお、金属酸化物構造体をフィルターとして利用する場合には、本発明を用いて基板上に金属酸化物構造体を形成した後、前記基板のみを溶解させることによって金属酸化物構造体からなるフィルターとすることができる。
【0099】
【実施例】
以下に本発明を実施例を挙げてより具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0100】
(実施例1)
ガラス基板(幅:10cm、長さ:10cm、厚み:1.1mm)表面に、下記組成物からなる塗布液を1000rpmで5秒間スピンコートすることにより塗布し、感光性樹脂組成物層を形成した。
・メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体(モル比:28/72、質量平均分子量:30000):19.98質量部
・酸架橋剤(MW−30M、三和ケミカル(株)製):4.76質量部
・界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製、F177P):0.21質量部
・光酸発生剤(2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボメチル)−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン):2.38質量部
・メチルエチルケトン:106.80質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:44.70質量部
・シリカゾル(平均粒径:0.2μm、シリカ成分を30質量%含むメチルイソブチルケトン分散物):70.57質量部
【0101】
次に、感光性樹脂組成物層を形成したガラス基板をクリーンオーブン中にて70℃で30分間プリベーク後、ストライプ状のパターンを有するフォトマスク(線幅20μm、ピッチ20μm間隔)を用いて露光(露光量:300mJ/cm2 )した。露光終了から1分後に、クリーンオーブン中にて100℃で1分間露光後ベーク処理を実施し、この露光後ベーク処理の後に、未露光部を除去するためにアルカリ現像液(富士写真フィルム株式会社製、T−CD)の5倍希釈液(液温33℃、pH9.9)により現像し、水洗・乾燥させた。さらにクリーンオーブン中にて500℃で3時間焼成し感光性樹脂組成物層から有機物を除去することにより、ガラス基板表面に、線幅22.2μm、ピッチ18.9μm間隔のストライプ状で膜厚が約0.6μmの金属酸化物構造体を形成した。この金属酸化物構造体は、フォトマスクに形成されたパターンと同程度に精緻なパターンを有するものであった。また、このストライプ状の金属酸化物構造体を電子顕微鏡で観察したところ、凝集・結着した個々のシリカ微粒子間には多数の空隙(孔)が観察され、多孔質な構造を有していることが確認された。
【0102】
(比較例1)
ガラス基板(幅:10cm、長さ:10cm、厚み:1.1mm)表面に、下記組成物からなる塗布液を1000rpmで5秒間スピンコートすることにより塗布し、感光性樹脂組成物層を形成した。
・メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体(モル比:28/72、質量平均分子量:30000):20.00質量部
・界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製、F177P):0.05質量部
・メチルエチルケトン:100.00質量部
・シリカゾル(平均粒径:0.2μm、シリカ成分を30質量%含むメチルイソブチルケトン分散物):63.00質量部
【0103】
次に、感光性樹脂組成物層を形成したガラス基板を、クリーンオーブン中にて70℃で30分間プリベーク後、さらに、500℃で3時間焼成することにより感光性樹脂組成物層から有機物を除去することにより、ガラス基板表面に、一様な膜厚が約0.7μmの膜が形成された。
この膜を電子顕微鏡で観察したところ、凝集・結着した個々のシリカ微粒子間には多数の空隙(孔)が観察され、多孔質な構造を有していることが確認された。しかしながら、規則的に配置された金属酸化物構造体を得ることはできなかった。
【0104】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、感光性樹脂を用いて、基板表面に金属酸化物多孔体を所定の位置に規則的に配置した金属酸化物構造体を形成するための簡易な製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属酸化物構造体の製造方法の一例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1 基板
10 フォトマスク
11 ガラス基板
12 ブラックマスク
20 感光性樹脂組成物層
21 粒子状の金属酸化物前駆体
22 (光酸発生剤を含む)酸架橋剤
22’ 酸架橋剤の重合体
23 バインダー
40、41、42 粒子状の金属酸化物前駆体を含む樹脂層
50、51、52 金属酸化物多孔体
53 金属酸化物多孔体からなる金属酸化物構造体
hν 露光用の光
Claims (4)
- 基板表面に少なくとも金属酸化物多孔体を配置した金属酸化物構造体の製造方法であって、
前記製造方法が、少なくとも、金属酸化物前駆体および化学増幅系の感光性樹脂組成物を含む塗布液を基板表面に塗布することにより感光性樹脂組成物層を形成する塗布工程と、前記感光性樹脂組成物層をパターン形成するパターニング工程と、前記パターン形成された感光性樹脂組成物層を焼成する焼成工程と、とからなることを特徴とする金属酸化物構造体の製造方法。 - 前記金属酸化物前駆体が、酸化チタンゾル、シリカゾル、アルミナゾルのいずれか1つ以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の金属酸化物構造体の製造方法。
- 前記化学増幅系の感光性樹脂組成物が、少なくとも光酸発生剤、酸架橋剤およびバインダーを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属酸化物構造体の製造方法。
- 前記焼成時の焼成温度が、300℃〜800℃の範囲内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の金属酸化物構造体の製造方法。
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JP2020509107A (ja) * | 2017-02-08 | 2020-03-26 | エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー | 酸化物層を製造するための金属酸化物前駆体に由来する直接的に構造化可能な配合物 |
-
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