JP2004043020A - 配送用保冷容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】長時間にわたり継続して所定の保冷温度を確実に維持する配送品の配送用保冷容器を提供する。
【解決手段】いずれも断熱材からなる上方を開放した箱形の容器本体1と容器本体1に被せる蓋体2とで構成し、蓋体2は、枠板状の蓋本体3と、蓋本体3の上下に着脱自在に組み付ける上蓋4および下蓋5とで箱状に形成し、内部にドライアイスDを収納する冷気供給室Sを設けるとともに、下蓋5を蓄冷体で形成し、蓄冷体に、冷気供給室S内の冷気を容器本体1側へ送給する通気用の開口6を設ける。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、宅配便などで冷凍食品のような配送品を、ドライアイスと一緒に入れて保冷しながら配送する場合に使用される配送用保冷容器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の配送用保冷容器は、軽量で断熱性に富む発泡スチロール製の箱本体に、同じ発泡スチロール製の板状蓋体を被せたものが一般的である。そして、この保冷容器に、配送品を所定の低温に保冷すべくドライアイスと一緒に収納し、たとえば輸送用車両に積載して宅配便などで目的地へ配送されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来、配送品を保冷容器に収納して遠隔地へ配送する場合は、通常、配送品の集配作業店や輸送中継店などで、輸送用車両から保冷容器の積替えや荷卸し作業が必要であり、その都度、外気などの常温下に曝されやすく、これによって、従来の配送用保冷容器では、届け先まで一定の保冷温度を確実に維持することが困難であるという課題があった。
【0004】
しかも、届け先が不在で持ち戻りの場合など、配送品を一時保管することが必要な場合には、輸送時間に保管時間を加えた長時間にわたり、一定の低温に保冷状態を維持する必要があるが、そのためには、随時、容器本体を開放してドライアイスを補給しなければならない。これでは、ドライアイスの使用量が増大し、その補給作業も面倒であるという問題があり、しかも、蓋体を開けるたびに冷気が逃げるため、鮮度保持の点でも問題がある。また、ドライアイスの補給時に、配送品にも手が触れやすく、それが食材などの場合に不衛生であるという問題もある。さらには、容器本体内で配送品をドライアイスと一緒に収納して直接冷却するため、ドライアイスが接触する箇所と接触しない箇所とで商品の配送品に冷却ムラを生じたりして商品価値が低下するなどの弊害が発生するという課題もあった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、従来課題であった上述のような諸問題を解消し、長時間にわたり継続して所定の保冷温度を確実に維持する配送用保冷容器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】そのため、上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明は、たとえば以下に図面を用いて説明する実施の形態に示すとおり、いずれも断熱材からなる上方を開放した箱形の容器本体1と該容器本体1に被せる蓋体2とで構成され、配送品CをドライアイスDで保冷しながら収納する配送用保冷容器A1において、前記蓋体2は、枠板状の蓋本体3と、その蓋本体3の上下に着脱自在に組み付ける上蓋4および下蓋5とで箱状に形成して内部に前記ドライアイスDを収納する冷気供給室Sを設けるとともに、前記下蓋5を蓄冷体で形成し、該蓄冷体5に、前記冷気供給室S内の冷気を前記容器本体1側へ送給する通気用の開口6を設けてなることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、たとえば以下に図面を用いて説明する実施の形態に示すとおり、いずれも断熱材からなる上方を開放した箱形の容器本体1と該容器本体1に被せる蓋体2とで構成され、配送品CをドライアイスDで保冷しながら収納する配送用保冷容器A2において、前記蓋体2は、枠板状の蓋本体3と、その蓋本体3の上下に着脱自在に組み付ける上蓋4および下蓋5とで箱状に形成し、内部に前記ドライアイスDを収納する冷気供給室Sを設けるとともに、前記下蓋5をアルミニウム製の熱伝導板で形成し、前記容器本体1の内壁面1bには、蓄冷体10を間に挟んでアルミニウム製の熱伝導板11を組み付けてなることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、たとえば以下に図面を用いて説明する実施の形態に示すとおり、いずれも断熱材からなる上方を開放した箱形の容器本体1と該容器本体1に被せる蓋体2とで構成され、配送品CをドライアイスDで保冷しながら収納する配送用保冷容器A3において、前記蓋体2は、枠板状の蓋本体3と、その蓋本体3の上下に着脱自在に組み付ける上蓋4および下蓋5とで箱状に形成し、内部に前記ドライアイスDを収納する冷気供給室Sを設けるとともに、前記下蓋5を蓄冷体で形成し、該蓄冷体5に、前記冷気供給室S内の冷気を前記容器本体1側へ送給する通気用の開口6を設けて構成する一方、前記容器本体1の内壁面1bには、蓄冷体10を間に挟んでアルミニウム製の熱伝導板11を組み付けてなることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の配送用保冷容器A2・A3において、たとえば以下に図面を用いて説明する実施の形態に示すとおり、前記容器本体1に前記蓋体2を被せたとき、該蓋体2の前記下蓋5と前記容器本体1内の前記熱伝導板11とが一部接触する構造であることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、たとえば以下に図面を用いて説明する実施の形態に示すとおり、いずれも断熱材からなる上方を開放した箱形の容器本体1と該容器本体1に被せる蓋体2とで構成され、配送品CをドライアイスDで保冷しながら収納する配送用保冷容器A4において、前記蓋体2は、上方を開放した箱形の蓋本体3と、その蓋本体3の上開放部に被せて着脱自在に組み付ける板状の上蓋4とで形成し、内部に前記ドライアイスDを収納する冷気供給室Sを設けるとともに、前記蓋本体3の下蓋部3fに、前記冷気供給室S内の冷気を前記容器本体1側へ送給する通気用の開口6を設けて構成する一方、前記容器本体1の内壁面1bには、蓄冷体10を間に挟んでアルミニウム製の熱伝導板11を組み付けてなることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5に記載の配送用保冷容器において、たとえば以下に図面を用いて説明する実施の形態に示すとおり、樹脂製の断熱カバー15を開閉可能に被せて全体を覆ってなることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、たとえば以下に図面を用いて説明する実施の形態に示すとおり、いずれも発泡断熱材からなる上方を開放した箱形の容器本体20と該容器本体20に被せる蓋体21とで構成され、配送品CをドライアイスDで保冷しながら収納する配送用保冷容器A5において、前記蓋体21は、上方を開放した箱形の中蓋22と、その中蓋22の上開放部に被せる上蓋23とで形成する一方、ドライアイスDをのせる中蓋22の下蓋部をアルミニウム製の熱伝導板35で構成し、その熱伝導板35で仕切って蓋体21内に冷気供給室Sを形成するとともに、それら中蓋22および上蓋23と前記容器本体20を、各々の発泡断熱材24・25・26に対応する外形状の外装ケース27・28・29に嵌め付けた構造にし、相互にヒンジ手段30で連結して容器本体20に対し中蓋22を、中蓋22に対し上蓋23を個別に開閉自在とする一方、前記容器本体20は、その発泡断熱材24を外装ケース27に対し接合面に僅かな間隙を介在させて嵌め付け、発泡断熱材24と外装ケース27間に気密に空気層dを形成してなることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の配送用保冷容器A5において、たとえば以下に図面を用いて説明する実施の形態に示すとおり、前記ヒンジ手段30を、前記容器本体20と前記中蓋22および前記上蓋23に、それぞれ紐掛け部49を設け、それら紐掛け部49間に掛け渡した紐部材50を結合して構成してなることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項7又は8に記載の配送用保冷容器A5において、たとえば以下に図面を用いて説明する実施の形態に示すとおり、前記容器本体20の前記発泡断熱材24の内壁面に、前記冷気供給室S内から下降する冷気を案内するガイド溝24cを設けてなることを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項7、8又は9に記載の配送用保冷容器A5において、たとえば以下に図面を用いて説明する実施の形態に示すとおり、前記容器本体20に対し前記中蓋22を止める留め具39と、中蓋22に対し前記上蓋23を止める留め具40を着脱自在に取り付けて取り替え可能とする一方、それら留め具39・40の色を違えて、収納した配送品Cの種類を識別してなることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明による配送用保冷容器の一例を示す縦断面図、図2はその分解斜視図、図3は容器本体と蓋体の2つに分割して示す斜視図、図4は全体の組立外観斜視図である。
【0018】
この例の配送用保冷容器は、全体を符号A1で示すとおり、容器本体1と蓋体2とからなる。そのうち容器本体1は、断熱材を材料として上方開放型の箱形状につくり、上端面の内縁に沿って凸条の係合リブ1aを形成してなる。断熱材としては、たとえば軽量で且つ安価な発泡材を用いる。各種発泡材の中でも、軽量且つ安価な点で、発泡スチロールなどでも良いが、耐磨耗性・耐衝撃性の点でも優れた発泡ポリプロピレンを使用することが望ましい。図示例では、たとえば発泡倍率45倍の発泡ポリプロピレンを材料として用い、長さ約360mm・幅約270mm・高さ約160mm・厚さ約30mmの四角い箱形に、容器本体1を作製する。
【0019】
一方、蓋体2は、蓋本体3と上蓋4および下蓋5の3つに分割した構成部品からなる。そのうちの蓋本体3および上蓋4は、容器本体1と同じ断熱材、たとえば上記発泡ポリプロピレンを用いて形成する一方、下蓋5は、特に蓄冷体で形成してなる。
【0020】
蓋本体3は、厚さ約30mmで矩形の枠板状につくり、上端面の内縁に沿って凸条の係合リブ3aを形成する一方、下端面の外縁に沿って凸条の係合リブ3bを形成してなる。また、内壁面3cには、その図中下縁に沿って凸条の蓋受けリブ3dを設けてなる。
【0021】
上蓋4は、厚さ約15mmの矩形平板状につくり、下面の端縁に、蓋本体3の係合リブ3aと対応する凸条の係合リブ4aを設けてなる。
【0022】
蓄冷体からなる下蓋5は、たとえば樹脂製の中空容器内に公知の液状蓄冷剤を封入したもので、蓋本体3の内寸に合わせた長さと幅サイズで、厚さ約35mmの矩形平板状に成形されている。そして、下蓋5には、特に、上記中空容器を成形して複数の貫通穴を設け、これらを通気用の開口6として形成してなる。なお、蓄冷体は、図示しないが、上記中空容器の外表面に多数の長溝を設けて表面凹凸形状に成形し、これにより、強度を高めると共に冷却効率を上げるように構成するとよい。
【0023】
そこで、蓋体2は、この下蓋5を蓋本体3の蓋受けリブ3d上に載置する一方、係合リブ3aに係合リブ4aを係合させて蓋本体3上に上蓋4を被せ、全体に箱状に組み立ててなる。そして、この箱形の蓋体2内に、ドライアイスDを下蓋5上に乗せて収納する冷気供給室Sを形成する。なお、蓋体2の蓋本体3には、蓄冷体の下蓋5が、持ち運び時に浮き上がってがたつくことを防止するために、押え用のリブ(図示省略)を、内壁面3cにおける蓋受けリブ3dの上側に設ける構成にするとよい。
【0024】
さて、上述した構成の配送用保冷容器A1を用いて、配送品C、例えば贈答用のアイスクリームなどを宅配便にて配送する場合は、上蓋4を開けてドライアイスDを下蓋5上に乗せ、冷気供給室S内に予め入れておく。一方、集荷先にて、配送品Cを容器本体1内に入れ、係合リブ1aに係合リブ3bを係合させて蓋体2を容器本体1に被せ、容器本体1を持って配送用保冷容器A1を運ぶ。そして、輸送用車両に積載し、たとえば集荷作業店から適宜中継店・配達作業店へと継送して遠隔の届け先へと配送品Cを配達する。
【0025】
このとき、配送用保冷容器A1では、配送品Cの集荷から配達までの輸送時間の間、ドライアイスDだけでなく、蓄冷体(下蓋)5から発生する冷気が、直接下方へ送給されると共に、図1中矢示する如く冷気供給室S内から通気用の開口6を通って下降し、容器本体1内へと送給される。しかも、その間、冷気供給室S内では、互いに接触したドライアイスDからその冷熱が蓄冷体5にも伝わって冷蓄能力が、随時高められている。したがって、配送用保冷容器A1では、配送途中の積替えや荷卸し作業時にたびたび常温下に曝されることがあっても、24時間以上の長時間にわたり継続して所定保冷温度、例えば−23℃或いはそれ以下の所定低温に維持される。
【0026】
また、仮に届け先不在のため持ち戻り、保冷必要期間が更に延長された場合であっても、そのまま所定の保冷温度を保持することができる。このように保冷必要期間が延長された結果、例外的にドライアイスDを補給する必要がある場合には、蓋体2の上蓋4を開けてドライアイスDを入れる。そのとき、容器本体1は開放されないため、冷気を逃がすことがなく、その結果、依然として所定の保冷温度は保持される。しかも、このドライアイス補給時に、配送品Cには手を触れなくて済み、衛生的である。
【0027】
なお、不用となった配送用保冷容器は、廃棄することなく、届け先にて回収し、配達作業店から所定の容器ストック施設を経て、所定の容器洗浄施設に集約し、そこで洗浄して後、再び新たな配送用保冷容器としてリユースするようにする。
【0028】
ところで、本発明は、上述した配送用保冷容器A1に代え、たとえば図5〜図8に示すように、それぞれ異なる構成にすることができる。なお、以下に例示する他の配送用保冷容器において、上記配送用保冷容器A1と同様な構成部分については、それぞれ同一符号を付して説明する。
【0029】
まず、図5に示す配送用保冷容器A2は、容器本体1の内壁面1bに、蓄冷体10を間に挟んで、熱伝導性の極めて良好なアルミニウム板からなる熱伝導板11を組み付けてなる。蓄冷体10は、上述したと同様に樹脂製の中空容器内に液状蓄冷剤を封入したものであるが、これを薄箱板状に成形し、容器本体1内壁の左右側面および底面に沿うように断面コ形状に折り曲げて形成してなる。そして、この蓄冷体10を、容器本体1内壁の左右側面および底面に張り付け、該蓄冷体10の外表面に、同じく断面コ形状に曲げ成形した熱伝導板11を重合させて一体化させてなる。
【0030】
蓋体2は、上述したと同様に、枠板状の蓋本体3と、蓋本体3の上下に着脱自在に組み付ける上蓋4および下蓋5とで箱状に形成し、内部にドライアイスDを収納する冷気供給室Sを設ける構成にするが、特に、下蓋5を、矩形のアルミニウム板からなる熱伝導板で形成してなる。そのため、蓋本体3の蓋受けリブ3dに、熱伝導板の外形状に合わせて段部3eを形成し、その段部3eに熱伝導板を嵌め込んで、下蓋5として形成してなる。
【0031】
なお、この例の配送用保冷容器A2では、容器本体1側における熱伝導板11の上端部を、互いに対向する向きに屈曲させて折曲げ板部11aを形成し、容器本体1に蓋体2を被せたとき、下蓋5の熱伝導板と容器本体1側の熱伝導板11とが接触する構造にしてある。これにより、下蓋5側の冷気が容器本体1側の熱伝導板11へも伝わり、それだけ効率良く、容器本体1内の配送品Cを冷却できるようになっている。
【0032】
よって、配送用保冷容器A2では、配送品Cの集荷から配達までの輸送時間の間、ドライアイスDから発生する冷気が、図5中矢印aで示す如く、冷気供給室S内から下蓋の熱伝導板5を伝って下降し、容器本体1内へと送給される。併せて、容器本体1内では、上方の冷気供給室Sから冷気が降り注がれると同時に、蓄冷体10から発生する冷気が、図5中矢印bで示す如く、熱伝導板11を伝って三方から配送品Cに向けて送給される。したがって、配送用保冷容器A2においても、配送途中の積替えや荷卸し作業時にたびたび常温下に曝されることがあっても、24時間以上の長時間にわたり継続して所定保冷温度が維持される。
【0033】
なお、配送用保冷容器A2では、容器本体1内壁における左右側面および底面の3面にわたり蓄冷体10および熱伝導板11を設けたが、本発明は、それに限らず、前後側面にも設けたり、或いは、何処か2面又は1面に設けたりする構成を除外するものではない。蓄冷体10および熱伝導板11の設置位置は、保冷温度・保冷時間などの状況に応じて適宜選択的に考えられる。
【0034】
次に、図6に示すが、配送用保冷容器A3は、上記配送用保冷容器A1に備える蓋体2の構成と、上記配送用保冷容器A2に備える容器本体1の構成とを組み合せた構成になっている。この例の配送用保冷容器A3でも、容器本体1側における熱伝導板11の上端部に折曲げ板部11aを形成し、容器本体1に蓋体2を被せたとき、下蓋5の蓄冷体と容器本体1側の熱伝導板11とが接触する構造にしてある。
【0035】
したがって、この配送用保冷容器A3では、配送品Cの集荷から配達までの輸送時間の間、ドライアイスDだけでなく、蓄冷体(下蓋)5から発生する冷気が、直接下方へ送給されると共に、図6中矢印aで示す如く、冷気供給室S内から通気用の開口6を通って下降し、容器本体1内へと送給される。併せて、容器本体1内では、上方の冷気供給室Sから冷気が降り注がれると同時に、蓄冷体10から発生する冷気が、図6中矢印bで示す如く、熱伝導板11を伝って三方から配送品Cに向けて送給される。したがって、配送用保冷容器A3においては、配送途中の積替えや荷卸し作業時にたびたび常温下に曝されることがあっても、24時間以上の長時間にわたり継続して所定保冷温度を、より一層確実に維持することができる。
【0036】
なお、図6の配送用保冷容器A3では、容器本体1内壁における左右側面および底面の3面に蓄冷体10および熱伝導板11をそれぞれ設けた。しかし、本発明では、たとえば図7に示すように、熱伝導板11を同じ3面に設ける一方、蓄冷体10は、底面にのみ設けるに留める構成にしてもよい。勿論、本発明では、配送用保冷容器A3の例において、蓄冷体10と熱伝導板11とを、それぞれ容器本体1の内壁面において何処に設けるか、その組み合わせは、保冷温度・保冷時間などの状況に応じて適宜選択的に考えられる。
【0037】
さて、図8に示すが、配送用保冷容器A4は、容器本体1を、上記配送用保冷容器A2・A3に備えるものと同様に、内壁面に、蓄冷体10を間に挟んでアルミニウム製の熱伝導板11を組み付けた構成とする一方、蓋体2は、以上の図示例とは異なる構成になっている。
【0038】
配送用保冷容器A4において、蓋体2は、蓋本体3を上方開放型の矩形桶状に形成し、その蓋本体3の上開放部に上蓋4を被せて内部にドライアイスDを収納する冷気供給室Sを設ける。そして、特に、蓋本体3と一体の下蓋部3fに、冷気供給室S内の冷気を容器本体1側へ送給する通気用の開口6を設けてなる。
【0039】
したがって、配送用保冷容器A4では、配送品Cの集荷から配達までの輸送時間の間、ドライアイスDから発生する冷気が、図8中矢印aで示す如く、冷気供給室S内から通気用の開口6を通って下降し、容器本体1内へと送給される。併せて、容器本体1内では、上方の冷気供給室Sから冷気が降り注がれると同時に、蓄冷体10から発生する冷気が、図8中矢印bで示す如く熱伝導板11を伝って配送品Cに向けて送給される。したがって、上述したと同様に、配送途中の積替えや荷卸し作業時にたびたび常温下に曝されることがあっても、24時間以上の長時間にわたり継続して所定保冷温度を維持することができる。
【0040】
なお、以上に示した配送用保冷容器は、たとえば図9に示すような断熱カバー15を備え、該断熱カバー15を被せて全体を覆った構成にすることが、保冷上好ましい。図示例の断熱カバー15は、軟質な断熱性を有するポリエステル・塩化ビニール等の樹脂製で、箱形の容器形状に合わせて箱袋状につくられ、その角部にファスナー16を取り付けて開閉可能に形成してなる。また、図中正面カバー部15aには、上カバー部15bの止着用にマジックテープ(登録商標)17を貼り付けている。なお、図中符号18は、持ち運び用の取っ手である。したがって、図示例の配送用保冷容器では、断熱カバー15で覆って、外気を二重に遮断して配送することにより、所定の保冷温度を、更に一層長い時間にわたって確実に保持することができる。
【0041】
さて、上述した図示実施の形態では、配送用保冷容器において、全体を箱袋状断熱カバーで覆った構成にしたが、本発明は、以下の実施形態に示すように、硬質な剛性をもった樹脂製外装ケースで覆って補強した構成にするとこともできる。図10〜図19に、その他例の配送用保冷容器A5の構成を示す。
【0042】
図示他例の配送用保冷容器A5は、図10および図11に示すように、容器本体20に対する蓋体21を、中蓋22と上蓋23とに分割し、それら中蓋22および上蓋23と容器本体20を、いずれも発泡ポリプロピレン製の発泡断熱材24・25・26と、それらと対応する外形状の外装ケース27・28・29に嵌め付けて補強し且つ密閉性を高めた構造になっている。そして、周知蝶番構造をなすヒンジ手段30で相互に連結して容器本体20に対し中蓋22を、中蓋22に対し上蓋23を個別に開閉自在に取り付けている。
【0043】
容器本体20は、発泡断熱材24と外装ケース27を、共に上方開放型の箱形状に一体成形してなる。一方の発泡断熱材24は、図12〜図14でも示すように、上記図示例と同様に厚肉に形成し、上端面に凸条の係合リブ24aを枠状に連ねて設けるとともに、上端部を外向きに一段肉厚にし、そこに突当て段部24bを形成している。一方、内壁面には、開口縁から底面に渡って多数の冷気ガイド溝24cを設けている。さらに、同じ内壁面には、上から指が入る幅の配送品取り出し用凹部24dを設けている。
【0044】
容器本体20の外装ケース27は、上端部に突起を上向きに有する係合部27aを設けている。そして、外装ケース27内に発泡断熱材24を圧入して嵌め付け、図1に示すように容器本体20を形成し、発泡断熱材24と外装ケース27の接合面間に、突当て段部24bの高さだけ僅かな間隙を介在させ、そこに気密な空気層dを形成してなる。空気層dは、幅狭に形成し(例えば2〜3mm)、層内での対流を防いで断熱性を高める構造にしている。
【0045】
蓋体21の中蓋22は、発泡断熱材25と外装ケース28を、共に矩形枠状に一体成形してなる。一方の発泡断熱材25は、図14および図15に示すように、上記図示例と同様に厚肉に形成し、上端面の内縁に凸条の係合リブ25aを枠状に連ねて設ける一方、下端面に係合凹溝25bを設けるとともに、内壁面の図中下縁に沿って凸状の板受けリブ25cを設けてなる。そして、板受けリブ25c上に、図15に示すように、アルミニウム製の熱伝導板35を載せて組み付けてなる。熱伝導板35には、冷気を通す多数の通気用穴を設けるようにしてもよい。
【0046】
中蓋22の外装ケース28は、下端部に凹溝を下向きに有する係合部28aを設ける一方、上端部に凸条の係合突起28bを設けている。そして、外装ケース28内に発泡断熱材25を圧入して嵌め付け、図1に示すように中蓋22を形成する。
【0047】
上蓋23は、発泡断熱材26を、図14に示すように厚い矩形盤状に一体成形する一方、外装ケース29を、図16に示すように、発泡断熱材26の形状に合わせて下方開放の矩形な薄箱状に一体成形してなる。発泡断熱材26には、図中下面に、中蓋22の発泡断熱材25の係合リブ25aと対応する係合凹溝26aを設けている。外装ケース29には、下端部の開口縁に、中蓋22の外装ケース28の係合突起28bと対応する係合溝29aを設けている。そして、外装ケース29内に発泡断熱材26を圧入して嵌め付け、図1に示すように上蓋23を形成する。
【0048】
そこで、配送用保冷容器A5は、使用状態において、容器本体20に対し蓋体21の中蓋22をヒンジ手段30を介して回動し、発泡断熱材24・25の係合リブ24aと係合凹溝25bを係合させると共に、外装ケース27・28の係合部27aと係合部28aを凹凸の嵌め合いで係合させて被せる。また、中蓋22に対し上蓋23をヒンジ手段30を介して回動し、発泡断熱材25・26の係合リブ25aと係合凹溝26aを係合させると共に、外装ケース28・29の係合突起28bと係合溝29aを凹凸の嵌め合いで係合させて被せる。このとき、外装ケース27・28・29間は、係合部27aと係合部28a、係合突起28bと係合溝29aをそれぞれ凹凸の嵌め合いで係合して結合するため、それだけケース強度を高くした状態で密閉性よく連結される。そして、容器本体20および蓋体21内を気密に密閉する一方、それら蓋体21と容器本体20間を熱伝導板35で仕切って、蓋体21内に、熱伝導板35上にドライアイスDを載せて収納する冷気供給室Sが形成される。
【0049】
なお、配送用保冷容器A5には、この使用状態において、ヒンジ手段30と反対の正面側に、図17に示すように、容器本体20に対し中蓋22を止める2つの留め具39・39と、中蓋22に対し上蓋23を止める同じ構造の留め具40を装着している。
【0050】
留め具39・40は、図示例では、たとえば黒色の樹脂製からなる上下一対の止め板片41・42を備えてなる。そのうち上止め板片41は、図18に示すように矩形な浅底キャップ状をなし、その一側に回転用軸部41aを有する一方、回転用軸部41aの反対側に凸片状のフック部41bを設けている。他方の下止め板片42は矩形板状をなし、その一側に回転用軸部42aを有すると共に、回転用軸部42aの両端近くに、一対の軸受凹部42bを間隔をあけて設けている。そして、留め具39・40は、下止め板片42の軸受凹部42bに上止め板片41の回転用軸部41aを着脱可能に嵌め込み、両止め板片41・42を互いに回転自在に連結した構造になっている。
【0051】
一方で、留め具30・40を装着する側の外装ケース27には、図17に示すように、正面上側の図中左右に、長手方向に沿って軸嵌込み凹部27bを有する横長な一対の掛止突起27c・27cを設けている。中蓋22の外装ケース28には、掛止突起27cと対応する位置に、それぞれ図中上側に掛止凹部28cを有する一対の板状凸部28d・28dを設け、さらに板状凸部28d間の中央上側に、長手方向に沿って軸嵌込み凹部28eを有する掛止突起28fを設けている。上蓋23の外装ケース29には、掛止突起28fと対応する中央位置に、図中上側に掛止凹部29bを有する板状凸部29cを設けている。そして、留め具39・39は、それぞれ下止め板片42の回転用軸部42aを掛止突起27cの軸嵌込み凹部27bに着脱自在に嵌め込み、容器本体20に回転自在に取り付けている。留め具40は、下止め板片42の回転用軸部42aを掛止突起28fの軸嵌込み凹部28eに着脱自在に嵌め込み、中蓋22に回転自在に取り付けている。なお、外装ケース27〜29には、留め具39・40を間に挟んだ両側に、図11でも示すように、それら留め具の破損を防止するプロテクタ用の突状部48を設けてなる。
【0052】
そして、留め具39・39は、それぞれ上止め板片41を板状凸部28dに嵌着してフック部41bを掛止凹部28cに係合させて、容器本体20に対し中蓋22を被せた気密状態でロックする。留め具40は、上止め板片41を板状凸部29cに嵌着してフック部41bを掛止凹部28bに係合させて、中蓋22に対し上蓋23を被せた気密状態でロックする。
【0053】
そこで、上述した構成の配送用保冷容器A5を用いて、配送品C、例えば贈答用のアイスクリームを宅配便にて配送する場合は、留め具40の上止め板片41を板状凸部29cから外し、上蓋23を回動して開き、図1に示すようにドライアイスDを熱伝導板35上に乗せて、冷気供給室S内に予め入れておく。ドライアイスDは、そのコストに配慮して無駄な昇華を防止すべく、熱伝導板35上で上下に重ねて接触状態で載置し、表面積を小さくした収納の仕方をするとよい。そして、上蓋23を閉めて、留め具40で中蓋22に対し気密にロックする。
【0054】
一方、集荷先では、留め具39・39の上止め板片41を板状凸部28dから外し、蓋体21を回動して開き、配送品Cを容器本体1内に入れる。しかる後、蓋体21を閉じて容器本体20に被せ、留め具39・39で容器本体20に対し気密にロックする。それから、容器本体20を持って配送用保冷容器A5を運ぶ。そして、輸送用車両に積載し、たとえば集荷作業店から適宜中継店・配達作業店へと継送して遠隔の届け先へと配送品Cを配達する。
【0055】
このとき、配送用保冷容器A5では、配送品Cの集荷から配達までの輸送時間の間、ドライアイスDで発生する冷気が、図1中矢示する如く冷気供給室S内から熱伝導板35を伝って下降し、容器本体20内へと送給される。そのとき、容器本体20の内壁面寄りでは、多数のガイド溝24aで冷気の下降を案内し、冷気が配送品Cの周りにムラなく注がれる。
【0056】
しかも、容器本体20内では、発泡断熱材24と外装ケース27間の空気層dによるコンデンサー効果によって外部からの熱の浸入を防いで冷熱を低温に保持し、高い保冷性能が維持されている。したがって、配送用保冷容器A5では、配送途中の積替えや荷卸し作業時にたびたび常温下に曝されることがあっても、24時間以上の長時間にわたり継続して所定保冷温度、例えば−23℃或いはそれ以下の所定低温に維持することができる。
【0057】
また、上述したと同様に、仮に届け先不在のため持ち戻り、保冷必要期間が更に延長された場合であっても、そのまま所定の保冷温度を保持することができる。このように保冷必要期間が延長された結果、例外的にドライアイスDを補給する必要がある場合には、蓋体21の上蓋23だけを開けてドライアイスDを入れる。そのとき、容器本体20は開放されないため、冷気を逃がすことがなく、その結果、依然として所定の保冷温度は保持される。しかも、このドライアイス補給時に、やはり配送品Cには手を触れなくて済み、衛生的である。
【0058】
ところで、上述した配送用保冷容器A5では、輸送に係る配送品の種類に応じて異なる色の留め具を備えている。そして、輸送する配送品の種類に応じて異なる留め具を取り付けて、収納した配送品を識別する構成になっている。従って、上記図示例では、配送品Cがアイスクリームであることを識別する黒色の留め具39・40を装着したが、アイスクリームとは異なる種類の配送品を輸送する場合は、上記留め具39・40を取り外し、対応する異なる色の留め具に取り替ええる。これにより、留め具の色によって配送品の違いを一目で簡単に識別することができる。
【0059】
また、上述した配送用保冷容器A5では、留め具39・40をヒンジ手段30と反対の正面側に装着したが、それに代えて、左右両側面に同様な留め具を装着して容器の密閉性と嵌付強度を高める構造にすることもできる。
【0060】
また、上述した配送用保冷容器A5において、ヒンジ手段30は、たとえば図19に示すような構成にすることが望ましい。図示例のヒンジ手段30は、容器本体20と中蓋22および上蓋23の外装ケース27・28・29に、それぞれ紐掛け部49を設ける一方、紐掛け部49間に紐部材50を掛け渡した構造にしている。紐部材50としては、たとえば帯状体を用い、紐掛け部49は、紐部材50を挿通させる通し穴をあけて成形してなる。そして、紐部材50は、一端を、上蓋23の紐掛け部49に弛ませた状態で環状に掛けてビス止めし、他端側は、中蓋22及び容器本体20の紐掛け部49の各通し穴に通し、端縁を折り返してビスで止めて抜け止めしている。この紐部材50によって容器本体20と中蓋22および上蓋23を互いに回動可能に連結し、容器本体20に対し蓋体21を、中蓋22に対し上蓋23を開閉させる構造になっている。なお、紐掛け部49は、紐通し穴を有する別途の紐掛け金具を用い、それを外装ケース27・28・29に取り付けた構成にしてもよい。
【0061】
従って、配送用保冷容器A5では、ヒンジ手段30が上述のように紐部材50を用いたヒンジ構造であるため、容器本体20に対し蓋体21を被せるとき、また中蓋22に対し上蓋23を被せるときに、紐部材50を弛ませた分だけ蓋体21と上蓋23を自由に動かせるので、発泡断熱材相互と外装ケース相互を互いの係合部で鉛直方向に緩みなく噛み合せることができ、これによって保冷容器として密閉性を高めることができる。また、紐部材50が有する可撓性によって衝撃が吸収されやすく、それだけ通常の蝶番に比べて破損するおそれを少なくする。さらに、ヒンジ構造の出っ張り部分が少なくて済み、それだけ容器全体をコンパクトにする。
【0062】
なお、以上の図示実施の形態では、いずれも外形が四角い箱状の配送用保冷容器を示して説明したが、本発明は、たとえば輸送対象の配送品に応じて、他の多角形の箱形や、円筒状の箱形など、そのほか各種の箱形状に形成する場合にも、当然適用することができる。さらに、本発明の配送用保冷容器には、配送用伝票などを貼り付けることがあるが、それら貼着材を剥がし易くするために、容器表面に一部シボ加工を施し、高さ1mm程度の突起を多数設ける構成にするとよい。
【0063】
【発明の効果】上述のように構成した本発明によれば、次のような効果が得られる。
【0064】
請求項1に記載の発明によれば、配送品の集荷から配達までの輸送時間の間、ドライアイスだけでなく蓄冷体の下蓋から発生する冷気が、直接下方へ送給されると共に、冷気供給室内から通気用の開口を通って下降し、容器本体内へと送給される構成であるため、配送途中の積替えや荷卸し作業時にたびたび常温下に曝されるようなことがあっても、長時間、継続して所定保冷温度を確実に維持することができる。その結果、たとえ届け先不在で持ち戻りによって保冷必要期間が延長される場合であっても、そのまま所定保冷温度を保持し続けることができる。
【0065】
また、冷気供給室内で蓄冷体の下蓋上にドライアイスを載せて直接接触させた構成であるため、ドライアイスの冷熱が蓄冷体にも伝わって蓄冷体の冷蓄能力が随時高められ、その結果、たとえドライアイスが昇華した後であっても、未だ有効に蓄冷体単独でその冷蓄能力が発揮され、依然、配送品の保冷効果を保持することができる。しかも、それだけドライアイスを不必要に使用することが避けられ、その使用量を大幅に削減することができる。
【0066】
更に、蓋体には、ドライアイスを収納する冷気供給室を形成してドライアイスと配送品とを隔離し、上方から送給する冷気で一律に容器本体内の配送品を保冷する構成であるため、従来の如くドライアイスが直接接触する箇所と接触しない箇所とで配送品に冷却ムラを生ずるなどの問題を起すことなく、均一に且つ適確に配送品を保冷することができる。
【0067】
加えて、配達時に保冷必要期間がたびたび延長された結果、例外的にドライアイスを補給する必要がある場合でも、そのときは、単に蓋体の上蓋を開けてドライアイスを投入するだけ済む構成であるため、それだけ面倒なくドライアイスを簡単に補給することができる。しかも、このドライアイスの補給時、容器本体は開放されないため、配送品を外気に曝すことが避けられ、また容器本体内から冷気を逃がすこともなく、その結果、そのまま所定保冷温度を保持することができる。また、ドライアイスの補給時には、食材のような配送品に手を触れなくて済むため、衛生面でも有利である。さらに、配達時、届け先で配送品を手渡すとき、ドライアイスに対する防護用に手袋をいちいち装着する必要なく、配送品を簡単に取り出せるという効果を得ることもできる。
【0068】
請求項2に記載の発明によれば、配送品の集荷から配達までの輸送時間の間、ドライアイスから発生する冷気が、冷気供給室内から下蓋の熱伝導板を伝って下降し、容器本体へと送給されると同時に、容器本体内で蓄冷体から発生する冷気が、熱伝導板を伝って配送品に向け送給される構成であるため、配送途中の積替えや荷卸し作業時にたびたび常温下に曝されることがあっても、さらに長時間にわたり継続して所定保冷温度を、より確実に維持することができる。加えて、下蓋をアルミニウム製の熱伝導板とし、上方からは、その冷熱の熱伝導を介して間接的に配送品に冷気を当てる構成であるため、容器本体内でドライアイスの冷気を直接当たらず、その悪影響なく良好に配送品を保冷することができる。
【0069】
請求項3に記載の発明によれば、配送品の集荷から配達までの輸送時間の間、ドライアイスだけでなく蓄冷体の下蓋から発生する冷気が、直接下方へ送給されると共に、冷気供給室内から通気用の開口を通って下降し、容器本体1内へと送給されると同時に、容器本体内では、蓄冷体から発生する冷気が、熱伝導板を伝って配送品に向け送給される構成であるため、配送途中の積替えや荷卸し作業時にたびたび常温下に曝されることがあっても、さらに一層長時間にわたり継続して所定保冷温度を、より一層確実に維持することができる。
【0070】
請求項4に記載の発明によれば、加えて、容器本体に蓋体を被せたとき、蓋体の上記下蓋と容器本体内の熱伝導板とが一部接触する構造であることから、下蓋側の冷気が容器本体側の熱伝導板へも伝わり、それだけ効率良く、容器本体内の配送品を冷却して保冷効果を向上させることができる。
【0071】
請求項5に記載の発明によれば、断熱材からなる蓋体において、蓋本体と一体に下蓋部を形成し、その下蓋部に直接通気用の開口を設ける構成であるため、上述したとほぼ同様な保冷効果を得ることができると共に、それだけ蓋体の構成が簡略化され、その分コストを低減させることができる。
【0072】
請求項6に記載の発明によれば、樹脂製の断熱カバーを備え、これを開閉可能に被せて全体を覆った構成にすることにより、配送時、外気を二重に遮断し、それだけ所定保冷温度を、更に一層長い時間にわたって確実に保持することができる。
【0073】
請求項7に記載の発明によれば、配送品の集荷から配達までの輸送時間の間、ドライアイスで発生する冷気が、冷気供給室内から熱伝導板を伝って下降し、容器本体内へと送給され、しかも、容器本体内では、発泡断熱材と外装ケース間の空気層によるコンデンサー効果によって外部からの熱の浸入を防いで冷熱を低温に保持する構成であるため、配送途中の積替えや荷卸し作業時にたびたび常温下に曝されることがあっても、長時間にわたり継続して所定保冷温度を確実に維持することができる。その結果、たとえ届け先不在で持ち戻りによって保冷必要期間が更に延長された場合であっても、そのまま所定の保冷温度を保持することができる。このように保冷必要期間が延長された結果、例外的にドライアイスを補給する必要がある場合があっても、蓋体の上蓋だけを開けてドライアイスを入れることができ、そのとき、容器本体は開放されないため、冷気を逃がすことがなく、その結果、依然として所定の保冷温度を引続き保持することができる。しかも、このドライアイス補給時に、やはり食材などの配送品には手を触れなくて済み、衛生面でも有利である。
【0074】
加えて、請求項7に記載の発明によれば、中蓋および上蓋と容器本体を、各々の発泡断熱材に対応する外形状の外装ケースに嵌め付けた構造であるため、外気を二重に遮断して密閉性が高まり、それだけ所定保冷温度を、更に一層長い時間にわたって確実に保持することができる一方、損傷を受け難くし、且つ衝撃に強い結果、耐久性を一層向上させることができる。
【0075】
請求項8に記載の発明によれば、容器本体に対し蓋体を被せるとき、また中蓋に対し上蓋を被せるときに、紐部材を弛ませた分だけ蓋体と上蓋を自由に動かせるので、発泡断熱材相互と外装ケース相互を互いの係合部で鉛直方向に緩みなく噛み合せることができ、これによって保冷容器として密閉性を高めることができる。また、紐部材が有する可撓性によって衝撃が吸収されやすく、それだけ通常の蝶番に比べて破損するおそれを少なくすることができる。さらに、ヒンジ構造の出っ張り部分が少なくて済み、それだけ容器全体をコンパクトにすることができる。
【0076】
請求項9に記載の発明によれば、冷気供給室内から容器本体内へ降り注がれる冷気をガイド溝でそのまま下向きに案内し、冷気を配送品の周りにムラなく送給することができ、それだけ効率良く、容器本体内で配送品を冷却して保冷効果を一層向上させることができる。
【0077】
請求項10に記載の発明によれば、輸送する配送品の種類に応じて異なる色の留め具に取り替えることにより、留め具によって、配送品を取り違えることなく一目で簡単に且つ確実に識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による配送用保冷容器の第1例を示す縦断面図である。
【図2】第1例の分解斜視図である。
【図3】第1例の配送用保冷容器を容器本体と蓋体とに分割して示す斜視図である。
【図4】第1例の組立外観斜視図である。
【図5】本発明による配送用保冷容器の第2例を示す縦断面図である。
【図6】第2例の変形例を示す縦断面図である。
【図7】本発明による配送用保冷容器の第3例を示す縦断面図である。
【図8】本発明による配送用保冷容器の第4例を示す縦断面図である。
【図9】本発明による配送用保冷容器の第5例を示す斜視図である。
【図10】本発明による配送用保冷容器の第6例を示す縦断面図である。
【図11】第6例の配送用保冷容器を示す外観斜視図である。
【図12】容器本体を発泡断熱材と外装ケースに分割して示す縦断面図である。
【図13】容器本体における発泡断熱材を示す斜視図である。
【図14】容器本体と中蓋および上蓋の各発泡断熱材を分解して示す斜視図である。
【図15】中蓋を発泡断熱材と外装ケースに分割して示す縦断面図である。
【図16】上蓋を発泡断熱材と外装ケースに分割して示す縦断面図である。
【図17】第6例の配送用保冷容器の留め具側を示す正面図である。
【図18】留め具の斜視図である。
【図19】第6例の配送用保冷容器のヒンジ側を示す背面図である。
【符号の説明】
1・20     容器本体
2・21     蓋体
3        蓋本体
3f       下蓋部
4・23     上蓋
5        下蓋(蓄冷体・熱伝導板)
6        通気用の開口
10       蓄冷体
11・35    熱伝導板
11a      折曲げ板部
15       断熱カバー
22       中蓋
24・25・26 発泡断熱材
24c      ガイド溝
27・28・29 外装ケース
30       ヒンジ手段
39・40    留め具
49       紐掛け部
50       紐部材
A1〜A5    配送用保冷容器
C        配送品
D        ドライアイス
S        冷気供給室
d        空気層(間隙)

Claims (10)

  1. いずれも断熱材からなる上方を開放した箱形の容器本体と該容器本体に被せる蓋体とで構成され、配送品をドライアイスで保冷しながら収納する配送用保冷容器において、
    前記蓋体は、枠板状の蓋本体と、その蓋本体の上下に着脱自在に組み付ける上蓋および下蓋とで箱状に形成して内部に前記ドライアイスを収納する冷気供給室を設けるとともに、
    前記下蓋を蓄冷体で形成し、該蓄冷体に、前記冷気供給室内の冷気を前記容器本体側へ送給する通気用の開口を設けてなることを特徴とする、配送用保冷容器。
  2. いずれも断熱材からなる上方を開放した箱形の容器本体と該容器本体に被せる蓋体とで構成され、配送品をドライアイスで保冷しながら収納する配送用保冷容器において、
    前記蓋体は、枠板状の蓋本体と、その蓋本体の上下に着脱自在に組み付ける上蓋および下蓋とで箱状に形成し、内部に前記ドライアイスを収納する冷気供給室を設けるとともに、前記下蓋をアルミニウム製の熱伝導板で形成し、
    前記容器本体の内壁面には、蓄冷体を間に挟んでアルミニウム製の熱伝導板を組み付けてなることを特徴とする、配送用保冷容器。
  3. いずれも断熱材からなる上方を開放した箱形の容器本体と該容器本体に被せる蓋体とで構成され、配送品をドライアイスで保冷しながら収納する配送用保冷容器において、
    前記蓋体は、枠板状の蓋本体と、その蓋本体の上下に着脱自在に組み付ける上蓋および下蓋とで箱状に形成し、内部に前記ドライアイスを収納する冷気供給室を設けるとともに、前記下蓋を蓄冷体で形成し、該蓄冷体に、前記冷気供給室内の冷気を前記容器本体側へ送給する通気用の開口を設けて構成する一方、
    前記容器本体の内壁面には、蓄冷体を間に挟んでアルミニウム製の熱伝導板を組み付けてなることを特徴とする、配送用保冷容器。
  4. 前記容器本体に前記蓋体を被せたとき、該蓋体の前記下蓋と前記容器本体内の前記熱伝導板とが一部接触する構造であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の配送用保冷容器。
  5. いずれも断熱材からなる上方を開放した箱形の容器本体と該容器本体に被せる蓋体とで構成され、配送品をドライアイスで保冷しながら収納する配送用保冷容器において、
    前記蓋体は、上方を開放した箱形の蓋本体と、その蓋本体の上開放部に被せて着脱自在に組み付ける板状の上蓋とで形成し、内部に前記ドライアイスを収納する冷気供給室を設けるとともに、前記蓋本体の下蓋部に、前記冷気供給室内の冷気を前記容器本体側へ送給する通気用の開口を設けて構成する一方、
    前記容器本体の内壁面には、蓄冷体を間に挟んでアルミニウム製の熱伝導板を組み付けてなることを特徴とする、配送用保冷容器。
  6. 樹脂製の断熱カバーを開閉可能に被せて全体を覆ってなることを特徴とする、請求項1乃至5に記載の配送用保冷容器。
  7. いずれも発泡断熱材からなる上方を開放した箱形の容器本体と該容器本体に被せる蓋体とで構成され、配送品をドライアイスで保冷しながら収納する配送用保冷容器において、
    前記蓋体は、上方を開放した箱形の中蓋と、その中蓋の上開放部に被せる上蓋とで形成する一方、ドライアイスをのせる中蓋の下蓋部をアルミニウム製の熱伝導板で構成し、その熱伝導板で仕切って蓋体内に冷気供給室を形成するとともに、
    それら中蓋および上蓋と前記容器本体を、各々の発泡断熱材に対応する外形状の外装ケースに嵌め付けた構造にし、相互にヒンジ手段で連結して容器本体に対し中蓋を、中蓋に対し上蓋を個別に開閉自在とする一方、
    前記容器本体は、その発泡断熱材を外装ケースに対し接合面に僅かな間隙を介在させて嵌め付け、発泡断熱材と外装ケース間に気密に空気層を形成してなることを特徴とする、配送用保冷容器。
  8. 前記ヒンジ手段を、前記容器本体と前記中蓋および前記上蓋に、それぞれ紐掛け部を設け、それら紐掛け部間に掛け渡した紐部材を結合して構成してなることを特徴とする、請求項7に記載の配送用保冷容器。
  9. 前記容器本体の前記発泡断熱材の内壁面に、前記冷気供給室内から下降する冷気を案内するガイド溝を設けてなることを特徴とする、請求項7又は8に記載の配送用保冷容器。
  10. 前記容器本体に対し前記中蓋を止める留め具と、中蓋に対し前記上蓋を止める留め具を着脱自在に取り付けて取り替え可能とする一方、それら留め具の色を違えて、収納した配送品の種類を識別してなることを特徴とする、請求項7、8又は9に記載の配送用保冷容器。
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