JP2004042802A - 車両用空調装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両用空調装置に関し、フェイス、フット用空気通路の切換に一体形のドアを設け、かつ、エアミックス特性も変化させて多段バイレベルモードでの上下温度差を一定にする。
【解決手段】空気取入口2からの空気は冷却用熱交換器3で冷却され、冷風通路8、加熱用熱交換器4へ流れる。エアミックスドア5は回転軸5aを中心として回動し、冷風通路8からの冷風と、温風通路9からの温風を適正な割合に調整し、エアミックスチャンバ部12で混合する。デフロスタ用吹出切換ドア6、フェイス用吹出切換ドア7b、フット用吹出切換ドア7cを回動させ、エアミックスドア5で調温された空調風を、それぞれデフロスタ、フェイス、フット、モードで吹出す。エアミックスドア5にドア側リブ20を設け、フェイス、フット用空気通路14,10の切換を7b,7cからなるバタフライ形の一体ドアとし、ドア側リブの高さ、位置を変えることにより、エアミックス特性を調整可能とし、フェイス、フット吹出の上下温度を一定に保つことを可能とする。
【選択図】 図1
【解決手段】空気取入口2からの空気は冷却用熱交換器3で冷却され、冷風通路8、加熱用熱交換器4へ流れる。エアミックスドア5は回転軸5aを中心として回動し、冷風通路8からの冷風と、温風通路9からの温風を適正な割合に調整し、エアミックスチャンバ部12で混合する。デフロスタ用吹出切換ドア6、フェイス用吹出切換ドア7b、フット用吹出切換ドア7cを回動させ、エアミックスドア5で調温された空調風を、それぞれデフロスタ、フェイス、フット、モードで吹出す。エアミックスドア5にドア側リブ20を設け、フェイス、フット用空気通路14,10の切換を7b,7cからなるバタフライ形の一体ドアとし、ドア側リブの高さ、位置を変えることにより、エアミックス特性を調整可能とし、フェイス、フット吹出の上下温度を一定に保つことを可能とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用空調装置に関し、バイレベルモード時における冷風と温風とのエアミックス特性を適正にしてフェイス、フット吹出の上下温度差が変化せずに一定とし快適性を向上できるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用空調装置としては、例えば、特開平10−236134に示されるような構造のものがあるが、次にその概要を説明する。図9は車両用空調装置を側面から見た全体構成図である。図において、車両用空調装置は、図示してない内外気送風ユニットとエアコンユニット52から構成されている。エアコンユニット52は、車両幅方向の中央部に配置されており、上記内外気送風ユニットと車両幅方向に並ぶように配置されている。
【0003】
空調ケースには、内外気送風ユニットからの送風空気を取り入れるための空気取入口55が形成され、空気取入口55から取り入れられた空気を冷却するエバポレータ53(冷却用熱交換器)と、通過する空気を加熱するヒータコア54(加熱用熱交換器)とが車両前後方向に並ぶように配置されている。空調ケース内には、エバポレータ53にて冷却された冷風がヒータコア54をバイパスする冷風通路56が形成されると共に、ヒータコア54の下流側には温風通路57が形成されている。これら冷風通路56および温風通路57との下流側には、冷風と温風とを混合する混合空間であるエアミックスチャンバ部100が設けられている。
【0004】
温風通路57は、図に示すように上方に向かって延び、湾曲して形成されている。これにより、冷風通路56を流れる冷風と、温風通路57を流れる温風とが直交するようにぶつかって混合する。エバポレータ53の下流側で、ヒータコア54の上流側に配置され、温風調整用ドアであるエアミックスドア58が配置されている。そして、このエアミックスドア58は、上記エアミックスチャンバ部100にて混合される温風と冷風との割合を調整し、空調風の温度を所望の温度に調節する。エアミックスドア58は、板状に形成されており、一端部に回転軸58aが設けられている。この回転軸58aは空調ケースに回転自在に支持されている。これによりエアミックスドア58は、図中Aで示す範囲を回動可能となっている。また、回転軸58aに連結された駆動手段としてサーボモータ(図示しない)にて駆動されるようになっている。
【0005】
冷風通路56およびエアミックスドア58の下流側には、エアミックスドア58の一端面と当接するシール面59aを有するシール壁59が形成されている。このシール壁59は、空調ケースの内面から突出するように一体形成されている。また、このシール壁59は組付けられた状態では、四角形の額縁状に形成されている。これにより、シール壁59に囲まれるようにして冷風通路56の出口部をなす吹出開口部70が形成される。また、シール壁59は、エアミックスドア58が図中Aで示す回動範囲のうち一端側に位置する図中aで示す回動位置に形成され、エバポレータ53を通過した空気が全てヒータコア54を通過する最大暖房状態において、冷風通路56から冷風が漏れださないようにするためのものである。
【0006】
エアミックスドア58が、図中Aで示す回動範囲のうち一端側に位置する図中bで示す回動位置には、シール壁60が空調ケースに一体形成されている。シール壁60は、エバポレータ53を通過した空気が全てヒータコア54をバイパスする最大冷房状態時において、冷風通路56の冷風がヒータコア54へ漏れださないようにエアミックスドア58の一端面と当接して温風通路57の入口部を確実に遮断するためのものである。また、シール壁60もシール壁59と同様な形状をしている。
【0007】
シール面59aの反対側の位置には、温風通路57からの温風を後述のデフロスタ用空気通路63に送風するデフロスタ用温風案内通路61が形成され、シール壁59に沿って、車両後方から車両前方に延びるような流路で、冷風通路57を流れた冷風の流れ方向と直交する方向に延びるように流路が形成されている。デフロスタ用案内通路61は、2つ設けられており、エアミックスドア58の回転軸58aの軸心方向(車両幅方向)の両端部に、それぞれ設けられている。又、シール壁59と平行でデフロスタ用空気通路63に向かって延びるように温風ガイド部62が設けられている。
【0008】
冷風通路56および温風通路57の下流側には、車室内に設置された各吹出口に対応して連通する空気通路63〜65が形成されている。具体的には、図示しない車両のフロントガラスの内面に向かって空調風を送風するためのデフロスタ用空気通路63と、前席乗員の上半身に向かって空調風を送風するためのフェイス用空気通路64と、前席および後席の乗員の足元に向かって空調風を送風するためのフット用空気通路65とが形成されている。又、前席乗員の足元に空調風を送風するための前席用フット吹出部66が形成されており、フット用空気通路65には、前席用フット吹出部66の下流側に、後席乗員の足元に空調風を送風するための後席用フット吹出部67が形成されている。
【0009】
これら空気通路63〜65の開閉は、吹出切換ドア68,69にて取り換えられる。また、これら吹出切換ドア68,69によって以下の5つの吹出モードが切換可能となっている。即ち、(1)エアミックスドア58にて温調された空調風は、フェイス用空気通路64のみを流れるようになるフェイスモード、(2)フェイス用空気通路64には冷風を、フット用空気通路65には温風を送風する吹出モードであるバイレベルモード、(3)エアミックスドア58にて温調された空調風のうち、大部分(約9割)がフット用空気通路65に送風され、残りの空調風がデフロスタ用空気通路63に送風されるフットモード、(4)エアミックスドア58にて温調された空調風は、デフロスタ用空気通路63とフット用空気通路65との双方に送風されるフットデフモード、及び(5)エアミックスドア58にて温調された空調風は、デフロスタ用空気通路63だけに送風されるデフロスタモードがある。
【0010】
図10は従来の車両用空調装置の他の例を示す断面図であり、特開平11−348533に開示されているものである。次に、この概要について説明する。図において、エアコンユニット83のユニットケース87内には上流側から下流側へ順に、エバポレータ(冷却用熱交換器)88、エアミックスドア89及びヒータコア(加熱用熱交換器)90が配置されている。エアコンユニット83のユニットケース87のケース上部87aには、デフロスタ吹出用開口92及びベント吹出用開口93が設けられている。ユニットケース87のケース下部にはフット吹出用ダクト接続口95が設けられている。ユニットケース87内のベント吹出用開口93の近傍にはフット吹出用開口94が設けられている。フット吹出用開口94とフット吹出用ダクト接続口95との間には案内路130が形成されている。
【0011】
各吹出用開口92,93,94はそれぞれデフロスタドア96、ベントドア97、フットドア98によって開閉される。デフロスタ吹出用開口92には図示しないフロントガラスに空気を導くデフロスタ吹出用ダクトが、ベント吹出用開口93には乗員の顔に空気を導く図示しないベント吹出用ダクトが、フット吹出用ダクト接続口95には乗員の足に空気を導く図示しないフット吹出用ダクトが、それぞれ接続される。
【0012】
上記の構成でエバポレータ88の上部を通過した空気はエアミックスドア89側へ真っ直ぐ進み、エバポレータ88下部を通過した空気は固定ガイド99に案内されてエアミックスドア89側へ進む。エバポレータ88を通過した空気の通路が冷風通路120であり、冷風通路120の下流の近くにはデフロスタ吹出用開口92が位置する。ヒータコア90を通過した空気は固定ガイド123に案内されてエアミックスチャンバ121へ進む。ヒータコア90を通過した空気の通路が温風通路122であり、温風通路122の下流の近くにはベント吹出用開口93及びフット吹出用開口94が位置する。
【0013】
エアコンユニット83のユニットケース87のケース両側面部には、ヒータコア90の下流の空気をデフ吹出用開口92の近くに導く温風バイパス通路としての2つの温風バイパスダクト(温風バイパス通路用構造体)124,125が外付けされている。温風バイパスダクト124,125の一方の開口はユニットケース87の両側面であってヒータコア90の下流に形成された流入口126aに、温風バイパスダクト124,125の他方の開口はユニットケース87の両側面であってデフ吹出用開口92の近くに形成された流出口126bに、それぞれ接続されている。2つの流出口126bの間には筒状の連絡ダクト127が架け渡されている。この連絡ダクト127には、連絡ダクト127に沿ってデフ吹出用開口92へ連絡ダクト127内の空気を送り出す吹出口128が形成されている。
【0014】
図示しないモード切り換えスイッチが、例えばデフ・フットモードに切り換えられると、エアミックスドア89は実線で示す位置と2点鎖線で示す位置との間の所定位置に移動する。このときベント吹出用開口93を開閉するベントドア97は閉じ、フット吹出用開口94を開閉するフットドア98とデフ吹出用開口92を開閉するデフロスタドア96とが開く。送風機の作動により内気導入口又は外気導入口からユニットケース内に空気が導入され、導入された空気は図示しない吸入口からユニットケース87内に導入される。ユニットケース87内に導入された空気はエバポレータ88を通過する際に冷却される。エバポレータ88を通過した空気の一部は冷風通路120へ進み、残りはヒータコア90へ進み、ヒータコア90を通過する際に加熱される。
【0015】
冷風通路120を通過した冷風と温風通路122を通過した温風とはエアミックスチャンバ121でミックスされるが、デフ吹出用開口92は冷風通路120の下流に近く、フット吹出用開口94は温風通路122の下流に近いので、デフ吹出用開口92に届く空気の温度はフット吹出用開口94に届く空気の温度よりも低い。しかし、ユニットケース87の両側面に外付けされた2つの温風バイパスダクト124,125を通じて温風通路122の上流の温かい空気がデフ吹出用開口92の近くに導かれ、更にこの温風がデフ吹出用開口92の近くに設けられた2つの流出口126b(温風バイパスダクト124,125の出口)間に架け渡された連絡ダクト127に導入され、この連絡ダクト127に沿って形成された吹出口128からデフ吹出用開口92の全体へ向けて送り出されるので、デフ吹出用開口92から吹き出される空気の温度は高く、しかも吹き出される空気の温度分布は均一である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
前述の図9に示す車両用空調装置においては、フェイス用空気通路64とフット用空気通路65を切換える片持形のドアを用い、これを回転させて切換えている。従って、この操作力は回動範囲が広いために比較的大きくなり、又、バイレベルモードの時には特性が一定とならず、フェイス吹出とフット吹出の温度差が変動し、調整がむずかしい。又、図10に示す車両用空調装置では、デフロスタドア96、ベントドア97、フットドア98と3枚のドアを制御して切換えを行っており、ドア枚数が多く、3枚のドアのリンクが複雑となり、その分コスト高となってしまう。
【0017】
そこで本発明では、フェイス用空気通路とフット用空気通路とをバタフライ形の一体のドアで開閉し、かつバイレベルモードの制御も可能とする構成とし、更に、エアミックスドアにも改良を加えて冷風と温風との混合を適正とすることにより、バイレベルモードにおいてフェイス吹出とフット吹出の上下温度差を変化させず、かつ、この温度差を調整できる構造の車両用空調装置を提供することを課題としたものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は前述の課題を解決するために次の手段を提供する。
【0019】
(1)空気取入口からの空気を冷却する冷却用熱交換器と、同冷却用熱交換器の下流側に配置され通過する空気を加熱する加熱用熱交換器と、同加熱用熱交換器からの温風が流れる温風通路と、前記加熱用熱交換器をバイパスし前記冷却用熱交換器からの冷風が流れる冷風通路と、同冷風通路と前記温風通路との合流部に設けられ回転軸を中心として回動することにより冷風と温風との混合割合を調節して空調風の温度を調整するエアミックスドアと、同エアミックスドアからの空調風をデフロスタ用空気通路へ風量を調整して導くデフロスタ用吹出切換ドアと、前記エアミックスドアからの空調風をフェイス用空気通路へ風量を調整して導くフェイス用吹出切換ドアと、前記エアミックスドアからの空調風をフット用空気通路へ導くフット用吹出切換ドアとを備えた車両用空調装置において、前記エアミックスドアは、回転軸を中心としたバタフライ形であり、一方のドアは前記加熱用熱交換器の前部開口部を、他方のドアは前記温風通路の出口開口部をそれぞれ開閉及び開度調整する構成とし、更に前記フェイス用吹出切換ドアと前記フット用吹出切換ドアとは同一の回転軸に結合されたバタフライ形の吹出切換ドアを構成することを特徴とする車両用空調装置。
【0020】
(2)前記一方のドアの冷風通路側の面には前記回転軸と平行でドア中央部に所定の長さで伸びると共に、前記ドアに対してほぼ垂直に立設するドア側リブを設けてなることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【0021】
(3)前記ドア側リブの高さは5〜30mmの範囲に設定することを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
【0022】
本発明の(1)においては、バタフライ型の1個のエアミックスドアによって温風と冷風の割合を変えることができると共にフェイス用、フット用空気通路の切換えは、バタフライ形の1個のドアで開閉されるので、その回動範囲は小さく、それぞれフェイス用、フット用の領域のみで回動し、エアミックス領域には影響を与えず、又、その操作力も小さくて良く、エアミックス特性が変化しない。このような構成の一体形の切換ドアを操作して多段のバイレベルモードに設定しても、フットモード吹出温度とフェイス吹出温度の上下温度差が変化せず安定したバイレベルモードでの吹出温度が得られる。
【0023】
本発明の(2)においては、エアミックスドアにはドア側リブが設けてあり、同一の車両用空調装置において、リブの高さや回転軸側へ、又は先端側へ、その位置を調整することにより冷風と温風とが混合するエアミックス特性を調整することができる。これはエアミックスドアの一方のドア側から冷風が、他方のドアからは温風が、それぞれエアミックス領域に流入して混合するが、ドア側リブが一方のドアの冷風通路側へ設けられているので、このドア側リブの高さや位置を調整することによりエアミックス領域での混合の割合を変化させることができるものである。更に、エアミックスドアのドア側リブの高さ、位置を変えることにより同一の車両用空調装置において多段バイレベルモードのフット、フェイス吹出の上下温度特性を好みの温度差に変更することができるので、バイレベルモードでの快適性を向上することができる。
【0024】
本発明の(3)ではドア側リブの高さを5〜30mmの範囲で設定し、同一の車両用空調装置でのエアミックス特性を調整できるので、上記(2)の発明のバイレベルモードでの快適性が確実に得られるものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基いて具体的に説明する。図1は本発明の実施の第1形態に係る車両用空調装置の全体を示す構成図であり、車両の側面から見た図である。図において、1は車両用空調装置の全体を示している。2は空気取入口であり、図示省略の送風機から内気又は外気が導入される。3は冷却用熱交換器で空気を冷却するものである(以下エバポレータと呼ぶ)。4は加熱用熱交換器であり、エンジン冷却水を熱源として空気を加熱するものである(以下、ヒータコアと呼ぶ)。5はエアミックスドアであり、回転軸5aを中心として回動可能なドアであり、温調用ドア5bと再熱防止用ドア5cとが回転軸5aで回転するバタフライ形のドアである。
【0026】
6はデフロスタ用吹出切換ドアであり、回転軸6aを中心として回転可能なドアでデフロスタ用の開口部を開閉するものである。7はフェイス用ドアであり、回転軸7aを中心として回動可能なバタフライ形のドアであって、フェイス用吹出切換ドア7bとフット用吹出切換ドア7cとで構成されている。
【0027】
8は冷風通路であり、エバポレータ3からの冷風が通る通路、9は温風通路であり、ヒータコア4からの温風が通る通路である。10はフット用空気通路であり、車両内の運転席の足もとに空調用の空気を導くための通路である。12はエアミックスチャンバ部であり、エアミックスドア5が開いて開口部から流入する冷風通路8からの冷風と、ヒータコア4により加熱され温風通路9から流入する温風とを混合する空間である。13はデフロスタ用空気通路であり、車両のフロントガラス近傍に空気を吹出すための開口部へ空気を送るための通路である。14はフェイス用空気通路であり、車両の前席乗員の上半身に向って空調風を吹出すための開口部へ空気を送るための通路である。15はフェイス・フット連通口であり、エアミックスチャンバ部12からの冷風と温風の混合気をフェイス用空気通路14とフット用空気通路10へ導く通路である。16は空調ケース全体を示し、プラスチック等で一体成形されるケースである。
【0028】
上記構成の車両用空調装置において、本発明の特徴部分は図中黒ぬりで示した部分であり、後述するようにエアミックスドア5に設けたドア側リブ20とバタフライ形のフェイス用ドア7とを組合せた構成にあり、以下にその特徴について詳しく説明する。
【0029】
まず、本発明の全体の構成におけるエアミックスドア5の動きを図2で、デフロスタ用吹出切換ドア6とフェイス用吹出切換ドア7の作動による各運転モードについて図3で、それぞれ説明する。なお、図2では説明の都合上、本発明の特徴部分であるドア側リブ20は図示省略している。
【0030】
図2において、(a)はエアミックスドア5の温調用ドア5b開度が0%であり、ヒータコア4側を可能な限りに塞いだ状態であり、冷房が最大の状態を示している。(b)は温調用ドア5bの開度が50%、(c)では70%であり、除々に冷風に対して温風の混合割合が増加する。(d)では100%の開度となり冷風通路8の出口が可能な限りに塞がれて温風のみがエアミックスチャンバ部12に流入する状態であり、この状態では暖房が最大の状態を示している。このようにエアミックスドア5の開度を調整することにより、冷房から暖房の切換え、その強弱の程度を調整することができる。なお、ここでいう0%はヒータコア4側を完全に塞ぐことを意味するものではない。つまり、空調装置の使用による材料の温度変化による伸縮や、車両搭載時の振動などに対応するために、必要最小限の隙間が設けられているので、厳密には0%とは成り得ない。しかし、便宜上、可能な限りに塞いだ状態を0%と称呼することが慣用されているので、この明細書においてもその表現を用いる。また、前記隙間にスポンジやゴム等の柔軟部材を介在させておくことにより、開度を0%に近づける設計も可能である。また、開度100%の場合についても、動揺の考え方を適用できる。
【0031】
図3において、(a)はフェイスモードであり、デフロスタ用吹出切換ドア6はデフロスタ用空気通路13を全閉とし、フット用吹出切換ドア7cでフット用空気通路10入口部を閉じ、フェイス用吹出切換ドア7aはフェイス用空気通路14を全開とする。このようなフェイスモードでは、エアミックスドア5で温調された空調風はフェイス用空気通路14のみに流すことができる。
【0032】
(b)はバイレベルモードであり、デフロスタ用吹出切換ドア6はデフロスタ用空気通路13を全閉とした状態のままとし、フェイス用吹出切換ドア7bは途中の開度を保つようにする。このようなバイレベルモードでは、乗員の足元には温風を吹出すと共に、乗員の上半身には冷風を吹出すモードである。このモードでは、フェイス用空気通路14を流れる空調風とフット用空気通路10へ流れる空調風とには温度差があり、フェイス用空気通路14には冷風を、フット用空気通路10には温風を吹出すことができる。
【0033】
(c)はフットモードであり、デフロスタ用吹出切換ドア6はデフロスタ用空気通路13を全閉の状態とし、フェイス用吹出切換ドア7bはフェイス用空気通路14を全閉、フット用吹出切換ドア7cはフット用空気通路10の入口部を全開とする。このようなフットモードにおいては、エアミックスドア5で温調された空調風をフット用空気通路へ全量流すことができる。
【0034】
(d)はデフロスタ/フットモードであり、デフロスタ用吹出切換ドア6は途中の開度とし、フェイス用吹出切換ドア7bはフェイス用空気通路14を全閉とし、フット用吹出切換ドア7cはフット用空気通路を全開とする。このようなモードにおいては、エアミックスドア5で温調された空調風をデフロスタ用空気通路13とフット用空気通路10の両方に送風することができる。
【0035】
(e)はデフロスタモードであり、デフロスタ用吹出切換ドア6はデフロスタ用空気通路13を全開とすると共にフット用空気通路10を塞ぎ、フェイス用吹出切換ドア7bはフェイス用空気通路14を全閉とし、フット用吹出切換ドア7cはフット用空気通路10を開く位置とする。このようなデフロスタモードでは、エアミックスドア5で温調された空調風をデフロスタ用空気通路13のみに流すことができる。
【0036】
図4は本発明の実施の一形態に係る車両用空調装置の特徴の一つであるエアミックスドアを示し、(a)は斜視図、(b)は比較のためにリブのない状態のエアミックスドアを示している。(a)において、エアミックスドア5の温調用ドア5bには回転軸5aと平行に所定の高さでドア側リブ20が設けられている。ドア側リブの位置、寸法は図5において後述するが、このようなリブ20を設けることによりエアミックスの特性を変えることができる。
【0037】
即ち、(b)に示すように、従来のドア側リブ20がない場合には、温調用ドア5b側の冷風FCと、再熱防止用ドア5c側から流入する温調風FHとはエアミックスチャンバ部12(図1参照)のエアミックス領域Xにおいて混合するため、この混合はドアの形状と開度により定まってしまうが、(a)のようにドア側リブ20を設けると、温調用ドア5b側の中央部の冷風FCはドア側リブ20に当ってエアミックス領域Xには混入されずに流入するか、あるいは流入量を調整できる。従って、ドア側リブ20を回転軸5a側に近づけるか、又は、先端側に近づけるか、あるいは高さを変化させることによりエアミックス領域Xの混合の状態を変え、フェイス、フット吹出温度特性を変更させることができ、温度差を調整することができる。
【0038】
ちなみに、ドア側リブ20を回転軸5a側に近づけると、エアミックス領域Xでの冷風量が多くなり、先端側に近づけると温風量が増大する。又、リブの高さと位置の変更を組合せることにより、同一の車両用空調装置でバイレベルモードのフット、フェイスの吹出の上下温度差の調整が可能となり、バイレベルモードの快適性を向上させることができる。
【0039】
図5は上記に説明したエアミックスドアのドア側リブを示し、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(b)におけるA−A矢視図である。図において、リブの長さはLは両側を開口し、温風通路を妨げない程度に中央部に回転軸5aと平行に設置する。リブの高さHは5〜30mmの範囲とし、この範囲よりも低いと、上記した結果が無く、逆に高いと圧損が増加し好ましくない。リブの高さのさらに好ましい範囲は15〜25mmの範囲であり、よりいっそう好ましい範囲は18〜22mmの範囲である。リブの厚さは2〜5mmとして成形可能な厚さとする。
【0040】
図6は本発明の実施の一形態に係るもう一つの特徴であるフェイス用とフット用の空気通路を切換える一体型のドアを示し、(a)はその詳細な側面図、(b)は比較のために示した従来のドアの側面図である。従来のフェイス、フット用の空気通路の切換えは、図9の例で示すように片持ちのドアで行っており、(b)に比較のために示したように、片持の切換ドア7’を用いると、その回動範囲が広くなり、ドアがエアミックス領域Xを横切ってしまい、どうしてもエアミックス特性が変化してしまう。又、その回動範囲が大きいために操作力も大きくなる。
【0041】
これに対して、(a)に示すように本発明のフェイス用ドア7は両側にドアを有するバタフライ形でフェイス用、フット用の切換を一体のバタフライ形ドアで行っている。即ち、フェイス用ドア7は、回転軸7aの一方に取付けられたフェイス用吹出切換ドア7b、他方に取付けられたフット用吹出切換ドア7cからなっている。この作用については図7で後述する。このような一体形のフェイス用ドア7を用いると、その回動範囲はドア7bがフェイス用、ドア7cがフット用の各空気通路14,10の領域内でなされ、エアミックス領域Xには影響せず、かつ、その操作力も回動範囲が小さいので小さくなり、エアミックス特性に変化を与えない。
【0042】
上記のフェイス用吹出切換ドア7b、フット用吹出切換ドア7cからなる一体形のフェイス用ドア7は、バタフライ形であり、例えば図10で説明したように類似のバタフライ形のドアを使用したものも存在するが、図10の例では、ベントドア97、フットドア94、デフロスタドア96を、それぞれ独立に別個に設置しており、ドア枚数が多く、リンクも複雑でドアの開閉の制御も複雑となってしまう。これに対して本発明はフェイス用とフット用を兼用した一体形の切換ドアでありドア枚数も少く、操作力も小さくなり、コストも低くすることができる。
【0043】
図7は上記に説明した一体形のフェイス用ドア7の作用を説明する図であり、デフロスタ用吹出切換ドア6がデフロスタ用空気通路13側を塞ぎ、フェイス用吹出切換ドア7bがフェイス用空気通路14を途中の開度で開き、フット用吹出切換ドア7cもフット用空気通路10を途中の開度で開いたバイレベルモードの状態を示している。(a)はフェイス用空気通路14を比較的大きく開き、(b),(c)になるに従って小さく設定し、逆にフット用空気通路は(a),(b),(c)になるに従い開度が大きくなっている。なお、図では(a),(b),(c)の各モードを、B/L▲1▼,B/L▲2▼,B/L▲3▼として区分している。
【0044】
図8は図7に示すバイレベルモードにおける特性を示し、エアミックスドア(AMドアとして図示)開度(%)に対するフット(FOOT)、フェイス(FACE)の各吹出温度の変化を示している。図中、(a),(b),(c)は、それぞれ図7における(a),(b),(c)のB/L▲1▼,B/L▲2▼,B/L▲3▼のモードにおいて、フェイス用ドア7を従来の片持の切換ドア7’とした場合の特性であり、ドア7’の開度によってB/L▲1▼ではフットとフェイスの吹出温度差が最も大きくなり、B/L▲2▼,B/L▲3▼に設定するに従い、その温度差が変化して小さくなってゆく。
【0045】
これに対して、(d)は本発明の特性であり、図7に示す(a),(b),(c)のようにB/L▲1▼,B/L▲2▼,B/L▲3▼として一体形のフェイス用吹出切換ドア7b、フット用吹出切換ドア7cを採用したものである。これらドア7b,7cを変化させたとしても、フット、フェイス吹出温度差は変化せず一定の幅に設定することができる。従って、例えば車両用空調装置を組込む自動車側の要求により、このフット、フェイスの上下温度差が好みの特定の値に設定、指定されると、その設定値に合せるために、エアミックス特性を変えれば良いので、本発明ではドア側リブ20のリブの高さH、リブの回転軸5a側へ位置を移動、あるいは先端側への位置を調整することにより要求された上下の温度差の特性を得ることが可能となる。
【0046】
以上説明した本発明の実施の形態によれば、エアミックスドア5の面にドア側リブ20をドアに対してほぼ垂直に設け、フェイス、フット用空気通路14,10を切換えるドアを、フェイス用吹出切換ドア7b、フット用吹出切換ドア7cからなる一体形のフェイス用ドア7としたので、多段バイレベルモードにおけるフット、フェイス吹出温度の上下温度差を変化させずに一定に維持することができる。更に、エアミックスドア5のドア側リブ20の高さや、取付位置を変更することにより、エアミックス特性を調整し、これにより多段バイレベルモードにおける上下温度差を好みの特性に設定することができ、バイレベルモードにおける快適性を向上することができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明の車両用空調装置は、(1)冷却用熱交換器、加熱用熱交換器、温風通路、冷風通路、エアミックスドア、デフロスタ用吹出切換ドア、フェイス用吹出切換ドア、及びフット用吹出切換ドアを備えた車両用空調装置において、前記エアミックスドアは、回転軸を中心としたバタフライ形であり、一方のドアは前記加熱用熱交換器の前部開口部を、他方のドアは前記温風通路の出口開口部をそれぞれ開閉及び開度調整する構成とし、更に前記フェイス用吹出切換ドアと前記フット用吹出切換ドアとは同一の回転軸に結合されたバタフライ形の吹出切換ドアを構成することを特徴とする車両用空調装置。
【0048】
(2)前記一方のドアの冷風通路側の面には前記回転軸と平行でドア中央部に所定の長さで伸びると共に、前記ドアに対してほぼ垂直に立設するドア側リブを設けてなることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【0049】
(3)前記ドア側リブの高さは5〜30mmの範囲に設定することを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
【0050】
本発明の(1)においては、バタフライ型の1個のエアミックスドアによって温風と冷風の割合を変えることができると共にフェイス用、フット用空気通路の切換えは、バタフライ形の1個のドアで開閉されるので、その回動範囲は小さく、それぞれフェイス用、フット用の領域のみで回動し、エアミックス領域には影響を与えず、又、その操作力も小さくて良く、エアミックス特性が変化しない。このような構成の一体形の切換ドアを操作して多段のバイレベルモードに設定しても、フットモード吹出温度とフェイス吹出温度の上下温度差が変化せず安定したバイレベルモードでの吹出温度が得られる。
【0051】
本発明の(2)においては、エアミックスドアにはドア側リブが設けてあり、同一の車両用空調装置において、リブの高さや回転軸側へ、又は先端側へ、その位置を調整することにより冷風と温風とが混合するエアミックス特性を調整することができる。これはエアミックスドアの一方のドア側から冷風が、他方のドアからは温風が、それぞれエアミックス領域に流入して混合するが、ドア側リブが一方のドアの冷風通路側へ設けられているので、このドア側リブの高さや位置を調整することによりエアミックス領域での混合の割合を変化させることができるものである。更に、エアミックスドアのドア側リブの高さ、位置を変えることにより同一の車両用空調装置において多段バイレベルモードのフット、フェイス吹出の上下温度特性を好みの温度差に変更することができるので、バイレベルモードでの快適性を向上することができる。
【0052】
本発明の(3)ではドア側リブの高さを5〜30mmの範囲で設定し、同一の車両用空調装置でのエアミックス特性を調整できるので、上記(2)の発明のバイレベルモードでの快適性が確実に得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る車両用空調装置の全体構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係る車両用空調装置のエアミックスドアの動きを示す図で(a)は0%、(b)は50%、(c)は70%、(d)は100%の開度を、それぞれ示している。
【図3】本発明の実施の一形態に係る車両用空調装置のモードドアの動きを示す図で、(a)はフェイスモード、(b)はバイレベルモード、(c)はフットモード、(d)はデフロスタ/フットモード、(e)はデフロスタモード、をそれぞれ示す。
【図4】本発明の実施の第一形態に係る車両用空調装置のエアミックスドアを示す斜視図であり、(a)は本発明、(b)は従来例を示す。
【図5】図4に示すエアミックスドアを示し、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(b)におけるA−A矢視図である。
【図6】本発明の実施の第一形態に係るフェイス、フット用吹出切換ドアの詳細な側面図で、(a)は本発明、(b)は従来例を示す。
【図7】図6に示す切換ドアの作用を示す図で(a),(b),(c)はそれぞれ開度の異なるバイレベルモードを示す。
【図8】図6に示すバイレベルモードにおける吹出温度の特性を示し、(a),(b),(c)は図7の(a),(b),(c)に対応する従来の切換ドアを用いた時の特性、(d)は本発明の一体形の切換ドアを用いた特性を、それぞれ示す。
【図9】従来の車両用空調装置の一例を示す構成図である。
【図10】従来の車両用空調装置の他の例を示す構成図である。
【符号の説明】
1 車両用空調装置
2 空気取入口
3 冷却用熱交換器(エバポレータ)
4 加熱用熱交換器(ヒータコア)
5 エアミックスドア
5a,6a,7a 回転軸
5b 温調用ドア
5c 再熱防止用ドア
6 デフロスタ用吹出切換ドア
7 フェイス用ドア
7b フェイス用吹出切換ドア
7c フット用吹出切換ドア
8 冷風通路
9 温風通路
10 フット用空気通路
12 エアミックスチャンバ部
13 デフロスタ用空気通路
14 フェイス用空気通路
15 フェイス・フット連通口
16 空調ケース
20 ドア側リブ
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用空調装置に関し、バイレベルモード時における冷風と温風とのエアミックス特性を適正にしてフェイス、フット吹出の上下温度差が変化せずに一定とし快適性を向上できるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用空調装置としては、例えば、特開平10−236134に示されるような構造のものがあるが、次にその概要を説明する。図9は車両用空調装置を側面から見た全体構成図である。図において、車両用空調装置は、図示してない内外気送風ユニットとエアコンユニット52から構成されている。エアコンユニット52は、車両幅方向の中央部に配置されており、上記内外気送風ユニットと車両幅方向に並ぶように配置されている。
【0003】
空調ケースには、内外気送風ユニットからの送風空気を取り入れるための空気取入口55が形成され、空気取入口55から取り入れられた空気を冷却するエバポレータ53(冷却用熱交換器)と、通過する空気を加熱するヒータコア54(加熱用熱交換器)とが車両前後方向に並ぶように配置されている。空調ケース内には、エバポレータ53にて冷却された冷風がヒータコア54をバイパスする冷風通路56が形成されると共に、ヒータコア54の下流側には温風通路57が形成されている。これら冷風通路56および温風通路57との下流側には、冷風と温風とを混合する混合空間であるエアミックスチャンバ部100が設けられている。
【0004】
温風通路57は、図に示すように上方に向かって延び、湾曲して形成されている。これにより、冷風通路56を流れる冷風と、温風通路57を流れる温風とが直交するようにぶつかって混合する。エバポレータ53の下流側で、ヒータコア54の上流側に配置され、温風調整用ドアであるエアミックスドア58が配置されている。そして、このエアミックスドア58は、上記エアミックスチャンバ部100にて混合される温風と冷風との割合を調整し、空調風の温度を所望の温度に調節する。エアミックスドア58は、板状に形成されており、一端部に回転軸58aが設けられている。この回転軸58aは空調ケースに回転自在に支持されている。これによりエアミックスドア58は、図中Aで示す範囲を回動可能となっている。また、回転軸58aに連結された駆動手段としてサーボモータ(図示しない)にて駆動されるようになっている。
【0005】
冷風通路56およびエアミックスドア58の下流側には、エアミックスドア58の一端面と当接するシール面59aを有するシール壁59が形成されている。このシール壁59は、空調ケースの内面から突出するように一体形成されている。また、このシール壁59は組付けられた状態では、四角形の額縁状に形成されている。これにより、シール壁59に囲まれるようにして冷風通路56の出口部をなす吹出開口部70が形成される。また、シール壁59は、エアミックスドア58が図中Aで示す回動範囲のうち一端側に位置する図中aで示す回動位置に形成され、エバポレータ53を通過した空気が全てヒータコア54を通過する最大暖房状態において、冷風通路56から冷風が漏れださないようにするためのものである。
【0006】
エアミックスドア58が、図中Aで示す回動範囲のうち一端側に位置する図中bで示す回動位置には、シール壁60が空調ケースに一体形成されている。シール壁60は、エバポレータ53を通過した空気が全てヒータコア54をバイパスする最大冷房状態時において、冷風通路56の冷風がヒータコア54へ漏れださないようにエアミックスドア58の一端面と当接して温風通路57の入口部を確実に遮断するためのものである。また、シール壁60もシール壁59と同様な形状をしている。
【0007】
シール面59aの反対側の位置には、温風通路57からの温風を後述のデフロスタ用空気通路63に送風するデフロスタ用温風案内通路61が形成され、シール壁59に沿って、車両後方から車両前方に延びるような流路で、冷風通路57を流れた冷風の流れ方向と直交する方向に延びるように流路が形成されている。デフロスタ用案内通路61は、2つ設けられており、エアミックスドア58の回転軸58aの軸心方向(車両幅方向)の両端部に、それぞれ設けられている。又、シール壁59と平行でデフロスタ用空気通路63に向かって延びるように温風ガイド部62が設けられている。
【0008】
冷風通路56および温風通路57の下流側には、車室内に設置された各吹出口に対応して連通する空気通路63〜65が形成されている。具体的には、図示しない車両のフロントガラスの内面に向かって空調風を送風するためのデフロスタ用空気通路63と、前席乗員の上半身に向かって空調風を送風するためのフェイス用空気通路64と、前席および後席の乗員の足元に向かって空調風を送風するためのフット用空気通路65とが形成されている。又、前席乗員の足元に空調風を送風するための前席用フット吹出部66が形成されており、フット用空気通路65には、前席用フット吹出部66の下流側に、後席乗員の足元に空調風を送風するための後席用フット吹出部67が形成されている。
【0009】
これら空気通路63〜65の開閉は、吹出切換ドア68,69にて取り換えられる。また、これら吹出切換ドア68,69によって以下の5つの吹出モードが切換可能となっている。即ち、(1)エアミックスドア58にて温調された空調風は、フェイス用空気通路64のみを流れるようになるフェイスモード、(2)フェイス用空気通路64には冷風を、フット用空気通路65には温風を送風する吹出モードであるバイレベルモード、(3)エアミックスドア58にて温調された空調風のうち、大部分(約9割)がフット用空気通路65に送風され、残りの空調風がデフロスタ用空気通路63に送風されるフットモード、(4)エアミックスドア58にて温調された空調風は、デフロスタ用空気通路63とフット用空気通路65との双方に送風されるフットデフモード、及び(5)エアミックスドア58にて温調された空調風は、デフロスタ用空気通路63だけに送風されるデフロスタモードがある。
【0010】
図10は従来の車両用空調装置の他の例を示す断面図であり、特開平11−348533に開示されているものである。次に、この概要について説明する。図において、エアコンユニット83のユニットケース87内には上流側から下流側へ順に、エバポレータ(冷却用熱交換器)88、エアミックスドア89及びヒータコア(加熱用熱交換器)90が配置されている。エアコンユニット83のユニットケース87のケース上部87aには、デフロスタ吹出用開口92及びベント吹出用開口93が設けられている。ユニットケース87のケース下部にはフット吹出用ダクト接続口95が設けられている。ユニットケース87内のベント吹出用開口93の近傍にはフット吹出用開口94が設けられている。フット吹出用開口94とフット吹出用ダクト接続口95との間には案内路130が形成されている。
【0011】
各吹出用開口92,93,94はそれぞれデフロスタドア96、ベントドア97、フットドア98によって開閉される。デフロスタ吹出用開口92には図示しないフロントガラスに空気を導くデフロスタ吹出用ダクトが、ベント吹出用開口93には乗員の顔に空気を導く図示しないベント吹出用ダクトが、フット吹出用ダクト接続口95には乗員の足に空気を導く図示しないフット吹出用ダクトが、それぞれ接続される。
【0012】
上記の構成でエバポレータ88の上部を通過した空気はエアミックスドア89側へ真っ直ぐ進み、エバポレータ88下部を通過した空気は固定ガイド99に案内されてエアミックスドア89側へ進む。エバポレータ88を通過した空気の通路が冷風通路120であり、冷風通路120の下流の近くにはデフロスタ吹出用開口92が位置する。ヒータコア90を通過した空気は固定ガイド123に案内されてエアミックスチャンバ121へ進む。ヒータコア90を通過した空気の通路が温風通路122であり、温風通路122の下流の近くにはベント吹出用開口93及びフット吹出用開口94が位置する。
【0013】
エアコンユニット83のユニットケース87のケース両側面部には、ヒータコア90の下流の空気をデフ吹出用開口92の近くに導く温風バイパス通路としての2つの温風バイパスダクト(温風バイパス通路用構造体)124,125が外付けされている。温風バイパスダクト124,125の一方の開口はユニットケース87の両側面であってヒータコア90の下流に形成された流入口126aに、温風バイパスダクト124,125の他方の開口はユニットケース87の両側面であってデフ吹出用開口92の近くに形成された流出口126bに、それぞれ接続されている。2つの流出口126bの間には筒状の連絡ダクト127が架け渡されている。この連絡ダクト127には、連絡ダクト127に沿ってデフ吹出用開口92へ連絡ダクト127内の空気を送り出す吹出口128が形成されている。
【0014】
図示しないモード切り換えスイッチが、例えばデフ・フットモードに切り換えられると、エアミックスドア89は実線で示す位置と2点鎖線で示す位置との間の所定位置に移動する。このときベント吹出用開口93を開閉するベントドア97は閉じ、フット吹出用開口94を開閉するフットドア98とデフ吹出用開口92を開閉するデフロスタドア96とが開く。送風機の作動により内気導入口又は外気導入口からユニットケース内に空気が導入され、導入された空気は図示しない吸入口からユニットケース87内に導入される。ユニットケース87内に導入された空気はエバポレータ88を通過する際に冷却される。エバポレータ88を通過した空気の一部は冷風通路120へ進み、残りはヒータコア90へ進み、ヒータコア90を通過する際に加熱される。
【0015】
冷風通路120を通過した冷風と温風通路122を通過した温風とはエアミックスチャンバ121でミックスされるが、デフ吹出用開口92は冷風通路120の下流に近く、フット吹出用開口94は温風通路122の下流に近いので、デフ吹出用開口92に届く空気の温度はフット吹出用開口94に届く空気の温度よりも低い。しかし、ユニットケース87の両側面に外付けされた2つの温風バイパスダクト124,125を通じて温風通路122の上流の温かい空気がデフ吹出用開口92の近くに導かれ、更にこの温風がデフ吹出用開口92の近くに設けられた2つの流出口126b(温風バイパスダクト124,125の出口)間に架け渡された連絡ダクト127に導入され、この連絡ダクト127に沿って形成された吹出口128からデフ吹出用開口92の全体へ向けて送り出されるので、デフ吹出用開口92から吹き出される空気の温度は高く、しかも吹き出される空気の温度分布は均一である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
前述の図9に示す車両用空調装置においては、フェイス用空気通路64とフット用空気通路65を切換える片持形のドアを用い、これを回転させて切換えている。従って、この操作力は回動範囲が広いために比較的大きくなり、又、バイレベルモードの時には特性が一定とならず、フェイス吹出とフット吹出の温度差が変動し、調整がむずかしい。又、図10に示す車両用空調装置では、デフロスタドア96、ベントドア97、フットドア98と3枚のドアを制御して切換えを行っており、ドア枚数が多く、3枚のドアのリンクが複雑となり、その分コスト高となってしまう。
【0017】
そこで本発明では、フェイス用空気通路とフット用空気通路とをバタフライ形の一体のドアで開閉し、かつバイレベルモードの制御も可能とする構成とし、更に、エアミックスドアにも改良を加えて冷風と温風との混合を適正とすることにより、バイレベルモードにおいてフェイス吹出とフット吹出の上下温度差を変化させず、かつ、この温度差を調整できる構造の車両用空調装置を提供することを課題としたものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は前述の課題を解決するために次の手段を提供する。
【0019】
(1)空気取入口からの空気を冷却する冷却用熱交換器と、同冷却用熱交換器の下流側に配置され通過する空気を加熱する加熱用熱交換器と、同加熱用熱交換器からの温風が流れる温風通路と、前記加熱用熱交換器をバイパスし前記冷却用熱交換器からの冷風が流れる冷風通路と、同冷風通路と前記温風通路との合流部に設けられ回転軸を中心として回動することにより冷風と温風との混合割合を調節して空調風の温度を調整するエアミックスドアと、同エアミックスドアからの空調風をデフロスタ用空気通路へ風量を調整して導くデフロスタ用吹出切換ドアと、前記エアミックスドアからの空調風をフェイス用空気通路へ風量を調整して導くフェイス用吹出切換ドアと、前記エアミックスドアからの空調風をフット用空気通路へ導くフット用吹出切換ドアとを備えた車両用空調装置において、前記エアミックスドアは、回転軸を中心としたバタフライ形であり、一方のドアは前記加熱用熱交換器の前部開口部を、他方のドアは前記温風通路の出口開口部をそれぞれ開閉及び開度調整する構成とし、更に前記フェイス用吹出切換ドアと前記フット用吹出切換ドアとは同一の回転軸に結合されたバタフライ形の吹出切換ドアを構成することを特徴とする車両用空調装置。
【0020】
(2)前記一方のドアの冷風通路側の面には前記回転軸と平行でドア中央部に所定の長さで伸びると共に、前記ドアに対してほぼ垂直に立設するドア側リブを設けてなることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【0021】
(3)前記ドア側リブの高さは5〜30mmの範囲に設定することを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
【0022】
本発明の(1)においては、バタフライ型の1個のエアミックスドアによって温風と冷風の割合を変えることができると共にフェイス用、フット用空気通路の切換えは、バタフライ形の1個のドアで開閉されるので、その回動範囲は小さく、それぞれフェイス用、フット用の領域のみで回動し、エアミックス領域には影響を与えず、又、その操作力も小さくて良く、エアミックス特性が変化しない。このような構成の一体形の切換ドアを操作して多段のバイレベルモードに設定しても、フットモード吹出温度とフェイス吹出温度の上下温度差が変化せず安定したバイレベルモードでの吹出温度が得られる。
【0023】
本発明の(2)においては、エアミックスドアにはドア側リブが設けてあり、同一の車両用空調装置において、リブの高さや回転軸側へ、又は先端側へ、その位置を調整することにより冷風と温風とが混合するエアミックス特性を調整することができる。これはエアミックスドアの一方のドア側から冷風が、他方のドアからは温風が、それぞれエアミックス領域に流入して混合するが、ドア側リブが一方のドアの冷風通路側へ設けられているので、このドア側リブの高さや位置を調整することによりエアミックス領域での混合の割合を変化させることができるものである。更に、エアミックスドアのドア側リブの高さ、位置を変えることにより同一の車両用空調装置において多段バイレベルモードのフット、フェイス吹出の上下温度特性を好みの温度差に変更することができるので、バイレベルモードでの快適性を向上することができる。
【0024】
本発明の(3)ではドア側リブの高さを5〜30mmの範囲で設定し、同一の車両用空調装置でのエアミックス特性を調整できるので、上記(2)の発明のバイレベルモードでの快適性が確実に得られるものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基いて具体的に説明する。図1は本発明の実施の第1形態に係る車両用空調装置の全体を示す構成図であり、車両の側面から見た図である。図において、1は車両用空調装置の全体を示している。2は空気取入口であり、図示省略の送風機から内気又は外気が導入される。3は冷却用熱交換器で空気を冷却するものである(以下エバポレータと呼ぶ)。4は加熱用熱交換器であり、エンジン冷却水を熱源として空気を加熱するものである(以下、ヒータコアと呼ぶ)。5はエアミックスドアであり、回転軸5aを中心として回動可能なドアであり、温調用ドア5bと再熱防止用ドア5cとが回転軸5aで回転するバタフライ形のドアである。
【0026】
6はデフロスタ用吹出切換ドアであり、回転軸6aを中心として回転可能なドアでデフロスタ用の開口部を開閉するものである。7はフェイス用ドアであり、回転軸7aを中心として回動可能なバタフライ形のドアであって、フェイス用吹出切換ドア7bとフット用吹出切換ドア7cとで構成されている。
【0027】
8は冷風通路であり、エバポレータ3からの冷風が通る通路、9は温風通路であり、ヒータコア4からの温風が通る通路である。10はフット用空気通路であり、車両内の運転席の足もとに空調用の空気を導くための通路である。12はエアミックスチャンバ部であり、エアミックスドア5が開いて開口部から流入する冷風通路8からの冷風と、ヒータコア4により加熱され温風通路9から流入する温風とを混合する空間である。13はデフロスタ用空気通路であり、車両のフロントガラス近傍に空気を吹出すための開口部へ空気を送るための通路である。14はフェイス用空気通路であり、車両の前席乗員の上半身に向って空調風を吹出すための開口部へ空気を送るための通路である。15はフェイス・フット連通口であり、エアミックスチャンバ部12からの冷風と温風の混合気をフェイス用空気通路14とフット用空気通路10へ導く通路である。16は空調ケース全体を示し、プラスチック等で一体成形されるケースである。
【0028】
上記構成の車両用空調装置において、本発明の特徴部分は図中黒ぬりで示した部分であり、後述するようにエアミックスドア5に設けたドア側リブ20とバタフライ形のフェイス用ドア7とを組合せた構成にあり、以下にその特徴について詳しく説明する。
【0029】
まず、本発明の全体の構成におけるエアミックスドア5の動きを図2で、デフロスタ用吹出切換ドア6とフェイス用吹出切換ドア7の作動による各運転モードについて図3で、それぞれ説明する。なお、図2では説明の都合上、本発明の特徴部分であるドア側リブ20は図示省略している。
【0030】
図2において、(a)はエアミックスドア5の温調用ドア5b開度が0%であり、ヒータコア4側を可能な限りに塞いだ状態であり、冷房が最大の状態を示している。(b)は温調用ドア5bの開度が50%、(c)では70%であり、除々に冷風に対して温風の混合割合が増加する。(d)では100%の開度となり冷風通路8の出口が可能な限りに塞がれて温風のみがエアミックスチャンバ部12に流入する状態であり、この状態では暖房が最大の状態を示している。このようにエアミックスドア5の開度を調整することにより、冷房から暖房の切換え、その強弱の程度を調整することができる。なお、ここでいう0%はヒータコア4側を完全に塞ぐことを意味するものではない。つまり、空調装置の使用による材料の温度変化による伸縮や、車両搭載時の振動などに対応するために、必要最小限の隙間が設けられているので、厳密には0%とは成り得ない。しかし、便宜上、可能な限りに塞いだ状態を0%と称呼することが慣用されているので、この明細書においてもその表現を用いる。また、前記隙間にスポンジやゴム等の柔軟部材を介在させておくことにより、開度を0%に近づける設計も可能である。また、開度100%の場合についても、動揺の考え方を適用できる。
【0031】
図3において、(a)はフェイスモードであり、デフロスタ用吹出切換ドア6はデフロスタ用空気通路13を全閉とし、フット用吹出切換ドア7cでフット用空気通路10入口部を閉じ、フェイス用吹出切換ドア7aはフェイス用空気通路14を全開とする。このようなフェイスモードでは、エアミックスドア5で温調された空調風はフェイス用空気通路14のみに流すことができる。
【0032】
(b)はバイレベルモードであり、デフロスタ用吹出切換ドア6はデフロスタ用空気通路13を全閉とした状態のままとし、フェイス用吹出切換ドア7bは途中の開度を保つようにする。このようなバイレベルモードでは、乗員の足元には温風を吹出すと共に、乗員の上半身には冷風を吹出すモードである。このモードでは、フェイス用空気通路14を流れる空調風とフット用空気通路10へ流れる空調風とには温度差があり、フェイス用空気通路14には冷風を、フット用空気通路10には温風を吹出すことができる。
【0033】
(c)はフットモードであり、デフロスタ用吹出切換ドア6はデフロスタ用空気通路13を全閉の状態とし、フェイス用吹出切換ドア7bはフェイス用空気通路14を全閉、フット用吹出切換ドア7cはフット用空気通路10の入口部を全開とする。このようなフットモードにおいては、エアミックスドア5で温調された空調風をフット用空気通路へ全量流すことができる。
【0034】
(d)はデフロスタ/フットモードであり、デフロスタ用吹出切換ドア6は途中の開度とし、フェイス用吹出切換ドア7bはフェイス用空気通路14を全閉とし、フット用吹出切換ドア7cはフット用空気通路を全開とする。このようなモードにおいては、エアミックスドア5で温調された空調風をデフロスタ用空気通路13とフット用空気通路10の両方に送風することができる。
【0035】
(e)はデフロスタモードであり、デフロスタ用吹出切換ドア6はデフロスタ用空気通路13を全開とすると共にフット用空気通路10を塞ぎ、フェイス用吹出切換ドア7bはフェイス用空気通路14を全閉とし、フット用吹出切換ドア7cはフット用空気通路10を開く位置とする。このようなデフロスタモードでは、エアミックスドア5で温調された空調風をデフロスタ用空気通路13のみに流すことができる。
【0036】
図4は本発明の実施の一形態に係る車両用空調装置の特徴の一つであるエアミックスドアを示し、(a)は斜視図、(b)は比較のためにリブのない状態のエアミックスドアを示している。(a)において、エアミックスドア5の温調用ドア5bには回転軸5aと平行に所定の高さでドア側リブ20が設けられている。ドア側リブの位置、寸法は図5において後述するが、このようなリブ20を設けることによりエアミックスの特性を変えることができる。
【0037】
即ち、(b)に示すように、従来のドア側リブ20がない場合には、温調用ドア5b側の冷風FCと、再熱防止用ドア5c側から流入する温調風FHとはエアミックスチャンバ部12(図1参照)のエアミックス領域Xにおいて混合するため、この混合はドアの形状と開度により定まってしまうが、(a)のようにドア側リブ20を設けると、温調用ドア5b側の中央部の冷風FCはドア側リブ20に当ってエアミックス領域Xには混入されずに流入するか、あるいは流入量を調整できる。従って、ドア側リブ20を回転軸5a側に近づけるか、又は、先端側に近づけるか、あるいは高さを変化させることによりエアミックス領域Xの混合の状態を変え、フェイス、フット吹出温度特性を変更させることができ、温度差を調整することができる。
【0038】
ちなみに、ドア側リブ20を回転軸5a側に近づけると、エアミックス領域Xでの冷風量が多くなり、先端側に近づけると温風量が増大する。又、リブの高さと位置の変更を組合せることにより、同一の車両用空調装置でバイレベルモードのフット、フェイスの吹出の上下温度差の調整が可能となり、バイレベルモードの快適性を向上させることができる。
【0039】
図5は上記に説明したエアミックスドアのドア側リブを示し、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(b)におけるA−A矢視図である。図において、リブの長さはLは両側を開口し、温風通路を妨げない程度に中央部に回転軸5aと平行に設置する。リブの高さHは5〜30mmの範囲とし、この範囲よりも低いと、上記した結果が無く、逆に高いと圧損が増加し好ましくない。リブの高さのさらに好ましい範囲は15〜25mmの範囲であり、よりいっそう好ましい範囲は18〜22mmの範囲である。リブの厚さは2〜5mmとして成形可能な厚さとする。
【0040】
図6は本発明の実施の一形態に係るもう一つの特徴であるフェイス用とフット用の空気通路を切換える一体型のドアを示し、(a)はその詳細な側面図、(b)は比較のために示した従来のドアの側面図である。従来のフェイス、フット用の空気通路の切換えは、図9の例で示すように片持ちのドアで行っており、(b)に比較のために示したように、片持の切換ドア7’を用いると、その回動範囲が広くなり、ドアがエアミックス領域Xを横切ってしまい、どうしてもエアミックス特性が変化してしまう。又、その回動範囲が大きいために操作力も大きくなる。
【0041】
これに対して、(a)に示すように本発明のフェイス用ドア7は両側にドアを有するバタフライ形でフェイス用、フット用の切換を一体のバタフライ形ドアで行っている。即ち、フェイス用ドア7は、回転軸7aの一方に取付けられたフェイス用吹出切換ドア7b、他方に取付けられたフット用吹出切換ドア7cからなっている。この作用については図7で後述する。このような一体形のフェイス用ドア7を用いると、その回動範囲はドア7bがフェイス用、ドア7cがフット用の各空気通路14,10の領域内でなされ、エアミックス領域Xには影響せず、かつ、その操作力も回動範囲が小さいので小さくなり、エアミックス特性に変化を与えない。
【0042】
上記のフェイス用吹出切換ドア7b、フット用吹出切換ドア7cからなる一体形のフェイス用ドア7は、バタフライ形であり、例えば図10で説明したように類似のバタフライ形のドアを使用したものも存在するが、図10の例では、ベントドア97、フットドア94、デフロスタドア96を、それぞれ独立に別個に設置しており、ドア枚数が多く、リンクも複雑でドアの開閉の制御も複雑となってしまう。これに対して本発明はフェイス用とフット用を兼用した一体形の切換ドアでありドア枚数も少く、操作力も小さくなり、コストも低くすることができる。
【0043】
図7は上記に説明した一体形のフェイス用ドア7の作用を説明する図であり、デフロスタ用吹出切換ドア6がデフロスタ用空気通路13側を塞ぎ、フェイス用吹出切換ドア7bがフェイス用空気通路14を途中の開度で開き、フット用吹出切換ドア7cもフット用空気通路10を途中の開度で開いたバイレベルモードの状態を示している。(a)はフェイス用空気通路14を比較的大きく開き、(b),(c)になるに従って小さく設定し、逆にフット用空気通路は(a),(b),(c)になるに従い開度が大きくなっている。なお、図では(a),(b),(c)の各モードを、B/L▲1▼,B/L▲2▼,B/L▲3▼として区分している。
【0044】
図8は図7に示すバイレベルモードにおける特性を示し、エアミックスドア(AMドアとして図示)開度(%)に対するフット(FOOT)、フェイス(FACE)の各吹出温度の変化を示している。図中、(a),(b),(c)は、それぞれ図7における(a),(b),(c)のB/L▲1▼,B/L▲2▼,B/L▲3▼のモードにおいて、フェイス用ドア7を従来の片持の切換ドア7’とした場合の特性であり、ドア7’の開度によってB/L▲1▼ではフットとフェイスの吹出温度差が最も大きくなり、B/L▲2▼,B/L▲3▼に設定するに従い、その温度差が変化して小さくなってゆく。
【0045】
これに対して、(d)は本発明の特性であり、図7に示す(a),(b),(c)のようにB/L▲1▼,B/L▲2▼,B/L▲3▼として一体形のフェイス用吹出切換ドア7b、フット用吹出切換ドア7cを採用したものである。これらドア7b,7cを変化させたとしても、フット、フェイス吹出温度差は変化せず一定の幅に設定することができる。従って、例えば車両用空調装置を組込む自動車側の要求により、このフット、フェイスの上下温度差が好みの特定の値に設定、指定されると、その設定値に合せるために、エアミックス特性を変えれば良いので、本発明ではドア側リブ20のリブの高さH、リブの回転軸5a側へ位置を移動、あるいは先端側への位置を調整することにより要求された上下の温度差の特性を得ることが可能となる。
【0046】
以上説明した本発明の実施の形態によれば、エアミックスドア5の面にドア側リブ20をドアに対してほぼ垂直に設け、フェイス、フット用空気通路14,10を切換えるドアを、フェイス用吹出切換ドア7b、フット用吹出切換ドア7cからなる一体形のフェイス用ドア7としたので、多段バイレベルモードにおけるフット、フェイス吹出温度の上下温度差を変化させずに一定に維持することができる。更に、エアミックスドア5のドア側リブ20の高さや、取付位置を変更することにより、エアミックス特性を調整し、これにより多段バイレベルモードにおける上下温度差を好みの特性に設定することができ、バイレベルモードにおける快適性を向上することができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明の車両用空調装置は、(1)冷却用熱交換器、加熱用熱交換器、温風通路、冷風通路、エアミックスドア、デフロスタ用吹出切換ドア、フェイス用吹出切換ドア、及びフット用吹出切換ドアを備えた車両用空調装置において、前記エアミックスドアは、回転軸を中心としたバタフライ形であり、一方のドアは前記加熱用熱交換器の前部開口部を、他方のドアは前記温風通路の出口開口部をそれぞれ開閉及び開度調整する構成とし、更に前記フェイス用吹出切換ドアと前記フット用吹出切換ドアとは同一の回転軸に結合されたバタフライ形の吹出切換ドアを構成することを特徴とする車両用空調装置。
【0048】
(2)前記一方のドアの冷風通路側の面には前記回転軸と平行でドア中央部に所定の長さで伸びると共に、前記ドアに対してほぼ垂直に立設するドア側リブを設けてなることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【0049】
(3)前記ドア側リブの高さは5〜30mmの範囲に設定することを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
【0050】
本発明の(1)においては、バタフライ型の1個のエアミックスドアによって温風と冷風の割合を変えることができると共にフェイス用、フット用空気通路の切換えは、バタフライ形の1個のドアで開閉されるので、その回動範囲は小さく、それぞれフェイス用、フット用の領域のみで回動し、エアミックス領域には影響を与えず、又、その操作力も小さくて良く、エアミックス特性が変化しない。このような構成の一体形の切換ドアを操作して多段のバイレベルモードに設定しても、フットモード吹出温度とフェイス吹出温度の上下温度差が変化せず安定したバイレベルモードでの吹出温度が得られる。
【0051】
本発明の(2)においては、エアミックスドアにはドア側リブが設けてあり、同一の車両用空調装置において、リブの高さや回転軸側へ、又は先端側へ、その位置を調整することにより冷風と温風とが混合するエアミックス特性を調整することができる。これはエアミックスドアの一方のドア側から冷風が、他方のドアからは温風が、それぞれエアミックス領域に流入して混合するが、ドア側リブが一方のドアの冷風通路側へ設けられているので、このドア側リブの高さや位置を調整することによりエアミックス領域での混合の割合を変化させることができるものである。更に、エアミックスドアのドア側リブの高さ、位置を変えることにより同一の車両用空調装置において多段バイレベルモードのフット、フェイス吹出の上下温度特性を好みの温度差に変更することができるので、バイレベルモードでの快適性を向上することができる。
【0052】
本発明の(3)ではドア側リブの高さを5〜30mmの範囲で設定し、同一の車両用空調装置でのエアミックス特性を調整できるので、上記(2)の発明のバイレベルモードでの快適性が確実に得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る車両用空調装置の全体構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係る車両用空調装置のエアミックスドアの動きを示す図で(a)は0%、(b)は50%、(c)は70%、(d)は100%の開度を、それぞれ示している。
【図3】本発明の実施の一形態に係る車両用空調装置のモードドアの動きを示す図で、(a)はフェイスモード、(b)はバイレベルモード、(c)はフットモード、(d)はデフロスタ/フットモード、(e)はデフロスタモード、をそれぞれ示す。
【図4】本発明の実施の第一形態に係る車両用空調装置のエアミックスドアを示す斜視図であり、(a)は本発明、(b)は従来例を示す。
【図5】図4に示すエアミックスドアを示し、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(b)におけるA−A矢視図である。
【図6】本発明の実施の第一形態に係るフェイス、フット用吹出切換ドアの詳細な側面図で、(a)は本発明、(b)は従来例を示す。
【図7】図6に示す切換ドアの作用を示す図で(a),(b),(c)はそれぞれ開度の異なるバイレベルモードを示す。
【図8】図6に示すバイレベルモードにおける吹出温度の特性を示し、(a),(b),(c)は図7の(a),(b),(c)に対応する従来の切換ドアを用いた時の特性、(d)は本発明の一体形の切換ドアを用いた特性を、それぞれ示す。
【図9】従来の車両用空調装置の一例を示す構成図である。
【図10】従来の車両用空調装置の他の例を示す構成図である。
【符号の説明】
1 車両用空調装置
2 空気取入口
3 冷却用熱交換器(エバポレータ)
4 加熱用熱交換器(ヒータコア)
5 エアミックスドア
5a,6a,7a 回転軸
5b 温調用ドア
5c 再熱防止用ドア
6 デフロスタ用吹出切換ドア
7 フェイス用ドア
7b フェイス用吹出切換ドア
7c フット用吹出切換ドア
8 冷風通路
9 温風通路
10 フット用空気通路
12 エアミックスチャンバ部
13 デフロスタ用空気通路
14 フェイス用空気通路
15 フェイス・フット連通口
16 空調ケース
20 ドア側リブ
Claims (3)
- 空気取入口からの空気を冷却する冷却用熱交換器と、同冷却用熱交換器の下流側に配置され通過する空気を加熱する加熱用熱交換器と、同加熱用熱交換器からの温風が流れる温風通路と、前記加熱用熱交換器をバイパスし前記冷却用熱交換器からの冷風が流れる冷風通路と、同冷風通路と前記温風通路との合流部に設けられ回転軸を中心として回動することにより冷風と温風との混合割合を調節して空調風の温度を調整するエアミックスドアと、同エアミックスドアからの空調風をデフロスタ用空気通路へ風量を調整して導くデフロスタ用吹出切換ドアと、前記エアミックスドアからの空調風をフェイス用空気通路へ風量を調整して導くフェイス用吹出切換ドアと、前記エアミックスドアからの空調風をフット用空気通路へ導くフット用吹出切換ドアとを備えた車両用空調装置において、前記エアミックスドアは、回転軸を中心としたバタフライ形であり、一方のドアは前記加熱用熱交換器の前部開口部を、他方のドアは前記温風通路の出口開口部をそれぞれ開閉及び開度調整する構成とし、更に前記フェイス用吹出切換ドアと前記フット用吹出切換ドアとは同一の回転軸に結合されたバタフライ形の吹出切換ドアを構成することを特徴とする車両用空調装置。
- 前記一方のドアの冷風通路側の面には前記回転軸と平行でドア中央部に所定の長さで伸びると共に、前記ドアに対してほぼ垂直に立設するドア側リブを設けてなることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
- 前記ドア側リブの高さは5〜30mmの範囲に設定することを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
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