JP2004040644A - 電力増幅器及び電力増幅器の調整方法 - Google Patents

電力増幅器及び電力増幅器の調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】無線通信機器の歩留まりの悪化や消費電力の増大を回避することができる電力増幅器を提供する。
【解決手段】一端が電源電圧VSに接続されたインダクタンス負荷1の他端と接地電位との間に、ドレインとソースとが直列に接続された電力増幅用のNチャネルMOSトランジスタ3を備え、そのトランジスタ3のドレインに接続された信号出力端子7から、入力信号を電力増幅した信号を出力する電力増幅器11には、電源電圧VSを調整指令に応じて変えることで当該電力増幅器の出力電力を調整可能な調整回路13に加え、トランジスタ3と並列に接続された複数のNチャネルMOSトランジスタ3’のうち、トランジスタ3と共に動作するものの数(即ち電力増幅用トランジスタのサイズ)を調整指令に応じて変えることで、当該電力増幅器の出力インピーダンスを調整可能な手段15が備えられている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波用の電力増幅器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、無線通信機器の送信部に使用される高周波用の電力増幅器は、図12に示すように、電源電圧VSに一端が接続された負荷素子としてのインダクタンス負荷1と、そのインダクタンス負荷1の他端側(電源電圧側とは反対側)にドレインが接続されると共に、ソースが基準電位としての接地電位(グランドライン=0V)に接続された電力増幅用のNチャネルMOSトランジスタ3と、そのNチャネルMOSトランジスタ3のゲートに接続された信号入力端子5と、インダクタンス負荷1の上記他端側に接続された信号出力端子7とを備えており、NチャネルMOSトランジスタ3が、信号入力端子5に入力される電力増幅対象の入力信号に応じて流れる電流を可変することにより、信号出力端子7から上記入力信号を電力増幅した信号を出力するようになっている。
【0003】
そして、図12の電力増幅器において、信号出力端子7には、無線通信機器への実装状態において、当該電力増幅器の後段に接続されるアンテナ8とのインピーダンス整合を図るための整合回路9が接続される。つまり、整合回路9は、電力増幅器の出力を効率良くアンテナ8などの後段素子へ与えるために設けられ、一般に、コンデンサとインダクタンスとを組合せて構成される。
【0004】
ここで、無線通信機器では、電力増幅器の出力電力を所定値に調整することがある。例えば、特に微弱電波を利用した通信システム用の無線通信機器では、通信距離を確保するために、製造工程において、法律で規制される最大電力の電波が送出されるように、電力増幅器の出力電力を規制値ぎりぎりに調整することがある。
【0005】
このため、従来より、電力増幅器には、その出力電力を調整するための手段が設けられていた。尚、電力増幅器の出力電力を調整するための手段としては、電力増幅器に供給する電源電圧(即ち、図12において、インダクタンス負荷1の一端に印加される電源電圧VS)を調節可能な定電圧電源回路がある。つまり、電源電圧が変われば、出力電力も変わるからである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように電力増幅器に出力電力を調整するための手段を設けても、電力増幅器を構成する電力増幅用トランジスタ3及びインダクタンス負荷1や、電力増幅器の次段に接続される整合回路9及びアンテナ8などの製造ばらつきにより、電力増幅器と後段回路とのインピーダンス整合がずれて、電力増幅器の出力電力を効率良く送信することができなかったり、必要以上に送信電力が大きくなってしまうことがある。
【0007】
そして、必要以上に送信電力が大きくなった場合、規制される送信電力ぎりぎりを狙った機器では、歩留まりが悪化して、コスト増加を招いてしまう。送信電力が規制値を越えた製品は出荷できないからである。
また、電力増幅器の出力電力を効率良く送信することができない場合にも、要求以上の送信距離が確保されずに、やはり歩留まりを悪化させてしまう。
【0008】
また更に、電力増幅器の出力電力を効率良く送信することができない場合には、所望の送信電力を実現できたとしても、必要以上に電力を消費することとなってしまい、特に電池駆動される機器では、使用時間の短縮を招いてしまう。
このように、製造ばらつきなどにより、電力増幅器とそれの後段回路とのインピーダンス整合がずれると、歩留まりの悪化や消費電力の増大を招いてしまう。
【0009】
尚、こうしたインピーダンス整合のずれは、机上計算においては、各機器毎に、図12における整合回路9の回路定数の値を変えることで解消できるが、前述したように、整合回路9は一般にコンデンサとインダクタンスとの組合せで実現されているため、机上計算された値のコンデンサやインダクタンスが工業的には存在しなかったり、これら部品のばらつきでインピーダンス整合が十分に得られないことが多々ある。また、インピーダンス整合を確実に達成するために、精度の良い部品(特性ばらつきが小さい部品)を用いなければならないため、余計にコスト増加を招いてしまう。精度の良い部品は、概して高価なためである。
【0010】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、無線通信機器の歩留まりの悪化や消費電力の増大を回避することができる電力増幅器の提供を目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の電力増幅器は、従来の電力増幅器と同様に、電源電圧に一端が接続された負荷素子と、該負荷素子の他端側と電源電圧よりも低い基準電位との間に2つの出力端子が直列に接続された電力増幅用トランジスタとを備えており、その電力増幅用トランジスタが入力信号に応じて流れる電流を可変することにより、負荷素子の他端側に接続された信号出力端子から入力信号を電力増幅した信号を出力する。
【0012】
ここで特に、請求項1の電力増幅器は、前記負荷素子の一端に電源電圧を供給すると共に、その電源電圧を変えることが可能な手段であって、その電源電圧の変化により当該電力増幅器の出力電力を調整可能な出力電力調整手段と、当該電力増幅器の出力インピーダンスを調整可能なインピーダンス整合調整手段とを備えている。
【0013】
つまり、請求項1の電力増幅器では、出力電力調整手段により、負荷素子の一端に供給される電源電圧を変えることで、当該電力増幅器の出力電力を調整することができる上に、インピーダンス整合調整手段により、当該電力増幅器の出力インピーダンスをも調整できるようになっている。
【0014】
よって、この請求項1の電力増幅器によれば、信号出力端子に接続された後段の外部回路とのインピーダンス整合が製造ばらつきなどによってずれても、インピーダンス整合調整手段により、当該電力増幅器の出力インピーダンスを調整して、後段の外部回路とのインピーダンス整合を確立させることができる。このため、前述した各問題を解決することができ、本電力増幅器が用いられる無線通信機器の歩留まりの悪化や消費電力の増大を回避することができる。
【0015】
ところで、請求項1の電力増幅器において、出力電力調整手段としては、請求項2に記載のように、電池の出力電圧から該出力電圧よりも低い電圧を生成して、その生成した電圧を電源電圧として前記負荷素子の一端に供給する増幅率可変のシリーズレギュレータが好ましい。
【0016】
つまり、請求項1の出力電力調整手段として用いることが可能な定電圧電源回路としては、スイッチングレギュレータとシリーズレギュレータとが考えられるが、スイッチングレギュレータは、供給される電圧よりも高い電圧を出力可能である反面、回路構成が複雑であると共に、ノイズを発生するという欠点がある。
【0017】
これに対して、シリーズレギュレータは、供給される電圧よりも低い電圧しか出力することができないものの、回路構成が簡単であると共に、ノイズを発生しないという利点がある。そして特に、請求項1の出力電力調整手段としてシリーズレギュレータを用いれば、電源電圧は、必然的に且つ確実に電池の出力電圧よりも低い電圧となるため、電池の出力電圧が高くても、電力増幅用トランジスタの2つの出力端子間に印加される電圧を該トランジスタの耐圧以下に抑えるということを、特別な保護用回路や素子を設けることなく実現することができる。
【0018】
次に、請求項3に記載の電力増幅器は、請求項1の電力増幅器と比較すると、出力電力調整手段が異なっている。
そして、この請求項3に記載の電力増幅器における出力電力調整手段は、前記負荷素子の他端側(電源電圧側とは反対側)と電力増幅用トランジスタの負荷素子側の出力端子との間に直列に挿入された抵抗値可変の手段(換言すれば、可変抵抗手段)であって、自身の抵抗値の変化により当該電力増幅器の出力電力を調整するものである。
【0019】
つまり、電力増幅用トランジスタの負荷素子側の出力端子と負荷素子との間に直列に可変抵抗手段を挿入すると共に、その可変抵抗手段の抵抗値を変化させれば、後述する図5の一点鎖線の様に電力増幅器の出力インピーダンスを殆ど変化させることなく、電力増幅器の出力電力を変えることができる。
【0020】
そこで、請求項3の電力増幅器では、電力増幅用トランジスタの負荷素子側の出力端子と負荷素子との間に直列に挿入した可変抵抗手段を、出力電力調整手段として用いているのである。
そして、このような請求項3の電力増幅器によっても、出力電力調整手段の抵抗値を変えることによって当該電力増幅器の出力電力を調整することができる上に、インピーダンス整合調整手段により当該電力増幅器の出力インピーダンスをも調整することができるため、請求項1の電力増幅器と同様の効果が得られる。そして更に、この請求項3の電力増幅器によれば、出力電力調整手段の構成が簡単なもので済むという利点がある。
【0021】
ところで、請求項1〜3の電力増幅器において、インピーダンス整合調整手段としては、請求項4に記載のように、電力増幅用トランジスタに対して並列に接続された1つ以上の調整用トランジスタを有すると共に、電力増幅用トランジスタとして動作する前記調整用トランジスタの数を変えることが可能な手段であって、その数の変化により当該電力増幅器の出力インピーダンスを調整可能とするものを用いることができる。
【0022】
つまり、電力増幅用トランジスタに対して並列に接続された予備の調整用トランジスタのうち、実際に電力増幅用トランジスタとして動作する(即ち、入力信号に応じて流れる電流を可変する)トランジスタの数を変えれば、本来の電力増幅用トランジスタと電力増幅用トランジスタとして動作する調整用トランジスタとからなる全トランジスタでの抵抗分(結局、電力増幅用トランジスタの抵抗分)が変わることとなり、電力増幅器の出力インピーダンスが変化するからである。
【0023】
尚、請求項4の電力増幅器では、換言すれば、「電力増幅用トランジスタが、互いに並列に接続された複数のトランジスタからなると共に、インピーダンス整合調整手段は、その複数のトランジスタのうち、入力信号に応じて実際に動作する(流れる電流を可変する)トランジスタの数を変えることにより、当該電力増幅器の出力インピーダンスを調整するようになっている」とも言える。何れにしても、請求項4の電力増幅器では、入力信号に応じて流れる電流を可変する電力増幅用トランジスタのサイズ(トランジスタサイズ)を変えることで、出力インピーダンスが調整されるようにしている。
【0024】
そして、このような請求項4の電力増幅器によれば、インピーダンス整合調整手段を設けることによる電力消費や発熱が殆ど無いため、電池駆動される無線通信機器に適用するのに有利である。
また、請求項1〜3の電力増幅器において、インピーダンス整合調整手段としては、請求項5に記載のように、電力増幅用トランジスタの基準電位側の出力端子と基準電位との間、或いは、電源電圧と前記負荷素子の一端との間に直列に挿入された抵抗値可変の手段(換言すれば、可変抵抗手段)であって、自身の抵抗値の変化により当該電力増幅器の出力インピーダンスを調整可能とするものを用いることができる。
【0025】
つまり、電力増幅用トランジスタの基準電位側の出力端子と基準電位との間に直列に可変抵抗手段を挿入すると共に、その可変抵抗手段の抵抗値を変化させれば、後述する図5の点線の様に電力増幅器の出力インピーダンスを変えることができる。
【0026】
また、電源電圧と前記負荷素子の一端との間に直列に可変抵抗手段を挿入しても、その可変抵抗手段の抵抗値を変化させれば、後述する図5の実線の様に電力増幅器の出力インピーダンスを変えることができる。
そこで、請求項5の電力増幅器では、電力増幅用トランジスタの基準電位側の出力端子と基準電位との間に直列に挿入された可変抵抗手段VR1、或いは、電源電圧と前記負荷素子の一端との間に直列に挿入された可変抵抗手段VR2を、インピーダンス整合調整手段として用いているのである。
【0027】
そして、このような請求項5の電力増幅器によれば、電力増幅用トランジスタの2つの出力端子間に印加される電圧を、可変抵抗手段VR1,VR2での電圧降下分だけ小さくすることができるため、電力増幅用トランジスタの耐圧に余裕を持たすことができるという点で有利である。
【0028】
尚、請求項5に記載のインピーダンス整合調整手段を採用した請求項3の電力増幅器をIC(LSI)化すると共に、電力増幅用トランジスタの負荷素子がICに内蔵し難い素子(例えばインダクタンス)である場合には、インピーダンス整合調整手段として、上記可変抵抗手段VR2を設ける構成よりも、上記可変抵抗手段VR1を設ける構成の方が有利な面がある。つまり、この場合には、負荷素子をICの外部に設けることとなるが、その負荷素子の両端に接続される端子を2つ設ける必要がなく、その負荷素子と接続される端子が1つで済むからである。
【0029】
次に、請求項6に記載の電力増幅器では、請求項4又は請求項5の電力増幅器において、インピーダンス整合調整手段が、更に、複数のコンデンサと、該各コンデンサの信号出力端子に対する電気的接続/非接続を切り換えるスイッチ手段とからなる可変容量手段を備えている。
【0030】
そして、この電力増幅器によれば、信号出力端子と電気的に接続されるコンデンサの数を変えることにより、出力インピーダンスの虚部をより広い範囲で調整することができる。また、コンデンサならば当該電力増幅器をIC化する際に簡単に内蔵することができる。
【0031】
一方、請求項1〜請求項6の電力増幅器において、出力インピーダンス整合調整手段は、当該電力増幅器での信号出力に関与するものであるため、その出力インピーダンス整合調整手段によって出力インピーダンスを変えれば、出力電力も変化することとなる。
【0032】
そこで、請求項1〜請求項6の電力増幅器の出力電力と出力インピーダンスとを調整する際には、請求項7に記載の如く、最初に、インピーダンス整合調整手段により出力インピーダンスの調整を行って、信号出力端子に接続される外部回路とのインピーダンス整合を確立させ、次いで、出力電力調整手段により出力電力を所望の値に調整すれば良い。つまり、出力インピーダンスを調整した後で、出力電力を調整すれば、出力インピーダンスの調整段階で出力電力が所望の値から大きくずれたとしても、後の出力電力調整段階で出力電力を所望の値に調整することができ、出力インピーダンスと出力電力とを1回の調整手順で最適値に調整することができる。
【0033】
尚、請求項3の出力電力調整手段としての可変抵抗手段と、請求項5の出力インピーダンス整合調整手段としての可変抵抗手段は、例えば、下記(1)〜(3)の何れかの構成で実現することができる。
(1):直列に接続された複数の抵抗と、その各抵抗と夫々並列に接続された複数のトランジスタとを備え、その各トランジスタのうち、オンするトランジスタの数を変えることで、上記複数の抵抗全体での抵抗値を変化させる構成。
【0034】
(2):互いに並列に接続された複数のトランジスタのうち、オンさせるトランジスタの数を変えることで、上記複数のトランジスタの出力端子間の抵抗値を変化させる構成。
(3):MOSトランジスタのゲート電圧を変えることで、そのMOSトランジスタの出力端子間の抵抗値(即ち、オン抵抗)を変化させる構成。
【0035】
そして、上記(1)〜(3)の何れの構成を採用しても、ICに内蔵可能な素子によって可変抵抗手段を構成することができ、電力増幅器をIC化する際に有利である。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が適用された実施形態の電力増幅器について、図面を用いて説明する。
まず図1は、第1実施形態の電力増幅器11の構成図である。尚、図1において、前述した図12と同じ構成要素については、同一の符号を付しているため、詳細な説明は省略する。
【0037】
図1に示すように、本第1実施形態の電力増幅器11は、図12に示した従来の電力増幅器に対して、電池の出力電圧(以下、バッテリ電圧という)VBから生成した電源電圧VSをインダクタンス負荷1の一端に供給すると共に、その電源電圧VSを変えることにより当該電力増幅器11の出力電力を調整可能な供給電圧調整回路13(請求項1の出力電力調整手段に相当)と、当該電力増幅器11の出力インピーダンス(信号出力端子7から当該電力増幅器11の内部側をみたインピーダンス)を調整可能なインピーダンス整合調整手段15とを備えている点が異なっている。
【0038】
そして、インピーダンス整合調整手段15は、本来の電力増幅用NチャネルMOSトランジスタ3に対して並列に接続された複数の調整用NチャネルMOSトランジスタ3’と、当該電力増幅器11の外部から与えられるインピーダンス調整指令に応じて、上記複数の調整用NチャネルMOSトランジスタ3’のうち、信号入力端子5からの入力信号に応じて流れる電流を可変させるもの(即ち、電力増幅用トランジスタとして動作するもの)の数を変えるトランジスタ選択手段17とを備えている。尚、トランジスタ選択手段17は、各調整用NチャネルMOSトランジスタ3’毎に、そのトランジスタ3’のゲートを上記インピーダンス調整指令に応じて信号入力端子5と接地電位(即ち、NチャネルMOSトランジスタ3,3’のソース)との何れかに接続させるスイッチ手段19を有している。そして、そのスイッチ手段19によりゲートが信号入力端子5の方に接続された調整用NチャネルMOSトランジスタ3’が、本来のNチャネルMOSトランジスタ3と共に電力増幅用トランジスタとして動作することとなる。
【0039】
換言すれば、本第1実施形態の電力増幅器11においては、ドレイン側にインダクタンス負荷1が接続される電力増幅用トランジスタを、互いに並列な複数のトランジスタ3,3’,…に分割すると共に、その複数のトランジスタ3,3’,…のうち、入力信号に応じて実際に流れる電流を可変させるトランジスタ(以下、有効なトランジスタという)の数を可変にしており、何れにしても、電力増幅用トランジスタのトランジスタサイズをインピーダンス調整指令に応じて変えることができるようにしている。
【0040】
一方、本第1実施形態の電力増幅器11において、供給電圧調整回路13としては、図2に示すような増幅率可変のシリーズレギュレータが用いられている。即ち、供給電圧調整回路13は、反転入力端子(−端子)に一定の基準電圧Vref(<VB)が入力された演算増幅器(オペアンプ)21と、バッテリ電圧VBにソースが接続され、演算増幅器の出力端子にゲートが接続された電圧出力用のPチャネルMOSトランジスタ23と、演算増幅器21の非反転入力端子(+端子)と接地電位との間に接続された抵抗25と、トランジスタ23のドレインと演算増幅器21の非反転入力端子との間に接続された帰還用の可変抵抗手段(抵抗値が可変の手段)27とから構成されている。
【0041】
また、可変抵抗手段27は、トランジスタ23のドレインと演算増幅器21の非反転入力端子との間に直列に接続された複数の抵抗28と、その複数の抵抗28のうちの1つ以外の各々と並列に接続された複数のNチャネルMOSトランジスタ29とを備えており、各トランジスタ29のうち、オンするトランジスタの数を変えることで、上記直列接続された複数の抵抗28全体での抵抗値(即ち、本可変抵抗手段27の抵抗値)を変化させるようになっている。つまり、図示は省略しているが、この可変抵抗手段27には、図1のインピーダンス整合調整手段15におけるトランジスタ選択手段17と同様のトランジスタ選択手段が設けられており、そのトランジスタ選択手段が、当該電力増幅器11の外部から与えられる電力調整指令に応じて、上記複数のトランジスタ29のうち、ゲートをバッテリ電圧VBに接続させるもの(即ち、オンさせるもの)の数と、ゲートを接地電位に接続させるもの(即ち、オフさせるもの)の数とを変えることで、当該可変抵抗手段27の抵抗値が変わるようになっている。
【0042】
そして、このような供給電圧調整回路13では、抵抗25の抵抗値をR25とし、可変抵抗手段27の抵抗値をR27とすると、R27に応じて当該シリーズレギュレータの増幅率(1+R27/R25)が変わることとなり、トランジスタ23のドレインから、バッテリ電圧VBよりも低い範囲で、下記式1の如くR27に応じて変化する電源電圧VSが出力される。
【0043】
VS=(1+R27/R25)×Vref…式1
次に、以上のような本第1実施形態の電力増幅器11において、出カ電力と出カインピーダンスとが調整可能なことを、図3を用いて説明する。
まず、図3(a)は、図1の構成において、供給電圧調整回路13が出力する電源電圧VSを変えて、出カ電力と出カインピーダンスとをシミュレーションした結果を表すグラフである。尚、図3(a)において、横軸は電源電圧VSの規格化値(ある電圧値を1とした場合の相対値)であり、縦軸は出カインピーダンスと出力電力である。
【0044】
この図3(a)より、インダクタンス負荷1に供給する電源電圧VSを変化させると、出力電カは変化するが、出カインピーダンスは概ね一定であることが分かる。つまり、電源電圧VSを変化させると、電カ増幅器11から外部へ供給される電圧,電流とも変化するため、出力電力は変化する。これに対して、電源端子(即ち、インダクタンス負荷1の電源電圧VSが印加される端子)は、インピーダンスが小さく等価的に接地電位に短絡したのと同じため、出カインピーダンスは、供給される電源電圧VSとは関係なくなり理論的にも変化しない。
【0045】
次に、図3(b)は、図1の構成において、NチャネルMOSトランジスタ3と共に電力増幅用トランジスタとして動作する調整用NチャネルMOSトランジスタ3’の数を変えることにより、電力増幅用トランジスタとして動作する有効なトランジスタのサイズ(チャネルの幅であり、有効なトランジスタの数に相当)Wを変化させて、出力電カと出カインピーダンスとをシミュレーションした結果を表すグラフである。尚、図3(b)においては、横軸が有効なトランジスタのサイズWであり、縦軸が出カインピーダンスと出カ電カである。
【0046】
この図3(b)より、有効なトランジスタのサイズ(即ち、電力増幅用トランジスタのサイズ)Wを変化させると、出カインピーダンスが変化することが分かる。つまり、有効なトランジスタを多くすると、電力増幅用トランジスタのオン抵抗が低下し、逆に有効なトランジスタを少なくすると、電力増幅用トランジスタのオン抵抗が増加するので、出カインピーダンスは変化する。
【0047】
また、有効なトランジスタのサイズWが大きくなると、当該電力増幅器11から外部へ供給される電流が大きくなるため、出カ電カも変化する。
そこで、本電力増幅器11が搭載される無線通信機器の製造工程等において、本電力増幅器11が図1のように整合回路9やアンテナ8等と共に無線通信機器に搭載された状態で、本電力増幅器11の出力電圧と出力インピーダンスとを調整する場合には、最初に、インピーダンス整合調整手段15へのインピーダンス調整指令により、電力増幅用トランジスタのサイズWを変えて、出力インピーダンスを調整することにより、信号出力端子7に接続される外部回路としての整合回路9とのインピーダンス整合を確立させ、その次に、供給電圧調整回路13への電力調整指令により、電源電圧VSを変えて、出力電力を所望の値に調整すると良い。
【0048】
つまり、電源電圧VSを変化させても出カインピーダンスは変化しないため、出力インピーダンスを調整した後で、出力電力を調整すれば、出力インピーダンスと出力電力とを1回の調整手順で最適値に調整することがき、調整プロセスが簡単になる。
【0049】
以上のような本第1実施形態の電力増幅器11によれば、信号出力端子7に接続された後段の整合回路9とのインピーダンス整合が製造ばらつきなどによってずれても、インピーダンス整合調整手段15により、当該電力増幅器11の出力インピーダンスを調整して、後段の回路9とのインピーダンス整合を確立させることができる。このため、本電力増幅器11が用いられる無線通信機器の歩留まりの悪化や消費電力の増大を回避することができる。
【0050】
そして更に、本電力増幅器11では、出力電力調整手段としての供給電圧調整回路13とインピーダンス整合調整手段15とが、ICに内蔵可能な素子によって構成されているため、それらをインダクタンス負荷1以外の他の部品と共に1つのIC内に形成することで、部品増加を招かずに上記の効果を得ることができ、また、コスト増加も無いか或いは最小限で済む。
【0051】
また、この電力増幅器11によれば、インピーダンス整合調整手段15での電力消費や発熱が殆ど無いため、電池の消耗を抑えるのに有利である。
一方、近年、MOSプロセスの微細化が進んだことによりMOSトランジスタの動作速度が向上したため、MOSトランジスタによるRF(Radio Frequency)回路が実現可能となったが、微細化されたMOSトランジスタは、ゲート酸化膜の厚さが簿いことなどにより、概して耐圧が小さい。そして特に、本実施形態の電力増幅器11のようなインダクタンス負荷1の場合、ドレイン電圧は電源電圧VS以上に振れるため、リチウムイオン電池のような出力電圧=3〜3.6Vの電池では、トランジスタの耐圧を満足できない可能性がある。
【0052】
そこで、インダクタンス負荷1に対してもドレイン電圧が耐圧以下となるような低い電圧で、電源電圧VSを制御する必要がある。
よって、電源電圧VSを可変の供給電圧調整回路13としては、図2に示したような増幅率可変のシリーズレギュレータが好ましい。つまり、シリーズレギュレータであれば、回路構成が簡単である上に、電源電圧VSは、必然的に且つ確実にバッテリ電圧VBよりも低い電圧となるからである。
【0053】
次に、第2実施形態の電力増幅器について説明する。
まず図4は、第2実施形態の電力増幅器31の構成図である。尚、図4において、前述した図1及び図12と同じ構成要素については、同一の符号を付しているため、詳細な説明は省略する。
【0054】
図4に示すように、本第2実施形態の電力増幅器31は、図1に示した第1実施形態の電力増幅器11と比較すると、インピーダンス整合調整手段15に代わるインピーダンス整合調整手段33を備えている。
つまり、本第2実施形態の電力増幅器31では、電力増幅用のNチャネルMOSトランジスタ3のソース(基準電位側の出力端子に相当)と接地電位との間に直列に挿入された可変抵抗手段(抵抗値が可変の手段)を、インピーダンス整合調整手段33としている。
【0055】
そして、そのインピーダンス整合調整手段33としての可変抵抗手段は、NチャネルMOSトランジスタ3のソースと接地電位との間に直列に接続された複数の抵抗35と、その各抵抗35と夫々並列に接続された複数のNチャネルMOSトランジスタ37とを備えており、各トランジスタ37のうち、オンするトランジスタの数を変えることで、上記直列接続された複数の抵抗35全体での抵抗値(即ち、本可変抵抗手段の抵抗値)を変化させるようになっている。つまり、図示は省略しているが、このインピーダンス整合調整手段33としての可変抵抗手段には、図1のインピーダンス整合調整手段15におけるトランジスタ選択手段17と同様のトランジスタ選択手段が設けられており、そのトランジスタ選択手段が、当該電力増幅器31の外部から与えられるインピーダンス調整指令に応じて、上記複数のトランジスタ37のうち、ゲートを所定の電圧(例えばバッテリ電圧VB又は電源電圧VS)に接続させてオンさせるものの数と、ゲートを接地電位に接続させてオフさせるものの数とを変えることで、当該可変抵抗手段の抵抗値が変わるようになっている。例えば、トランジスタ37の全てがオンされると、抵抗値は等価的に0となり、トランジスタ37の全てがオフされると、抵抗値は全直列抵抗35の抵抗値の和となる。
【0056】
次に、以上のような本第2実施形態の電力増幅器31において、出カ電力と出カインピーダンスとが調整可能なことを、図5及び図6を用いて説明する。
まず図5は、インダクタンス負荷1とNチャネルMOSトランジスタ3とからなる電力増幅器の基本構成(即ち、図12に示した電力増幅器)に対して、以下の▲1▼〜▲3▼の3通りの各箇所に可変抵抗手段を直列に挿入して、その電力増幅器の出カインピーダンスの変化をシミュレーションした結果である。
【0057】
▲1▼:インダクタンス負荷1の電源電圧VS側とは反対側と、トランジスタ3のドレインとの間であって、より詳しくは、インダクタンス負荷1の電源電圧VS側とは反対側と信号出力端子7との接続点と、トランジスタ3のドレインとの間(図5では、ドレイン側と記している)。
【0058】
▲2▼:トランジスタ3のソースと、接地電位との間(図5では、ソース側と記している)。
▲3▼:電源電圧VSと、インダクタンス負荷1の一端との間(図5では、電源側と記している)。
【0059】
ここで、▲1▼の箇所に可変抵抗手段を挿入した場合(以下単に、▲1▼の場合という)には、図5の一点鎖線に示される様に、可変抵抗手段の抵抗値を変化させても、電力増幅器の出力インピーダンスは殆ど変化しない。これは、トランジスタ3がオフしている時、信号出力端子7の電圧は、挿入した可変抵抗手段の抵抗値に依存せず(換言すれば、信号出力端子7側から可変抵抗手段が見えず)、また、トランジスタ3がオンした時、トランジスタ3に流れる電流は該トランジスタ3のゲート−ソース間電圧で決まるが、可変抵抗手段の抵抗値が変化しても、ゲート−ソース間電圧は変わらず、トランジスタ3に流れる電流は変化しないからである。
【0060】
但し、▲1▼の場合、トランジスタ3に流れる電流は変化しないが、可変抵抗手段の抵抗値が変われば、トランジスタ3がオンした時の信号出力端子7の電圧は変わるため、信号出力端子7から外部へ供給される電力(即ち、出力電力)は変化することとなる。よって、▲1▼の場合には、可変抵抗手段の抵抗値により、出力インピーダンスは殆ど変わらないが、出力電圧は変わることとなる。
【0061】
一方、▲2▼の箇所に可変抵抗手段を挿入した場合(以下単に、▲2▼の場合という)には、可変抵抗手段の抵抗値を変えれば、トランジスタ3のゲート−ソース間電圧が変わり、トランジスタ3に流れる電流も変わるため、図5の点線に示される様に、可変抵抗手段の抵抗値を変えれば、電力増幅器の出力インピーダンスが変化することとなる。
【0062】
尚、▲2▼の場合には、可変抵抗手段の抵抗値を変えると、電力増幅器の出力電力も図6のように変化することとなる。これは、トランジスタ3に流れる電流が変わることで、信号出力端子7から外部へ供給される電流が変化するためである。また、▲3▼の箇所に可変抵抗手段を挿入した場合(以下単に、▲3▼の場合という)にも、可変抵抗手段の抵抗値を変えれば、図5の実線に示される様に、電力増幅器の出力インピーダンスが変化することとなる。これは、主に、トランジスタ3がオフしている時に、信号出力端子7側から可変抵抗手段が見えるためである。
【0063】
尚、▲3▼の場合、▲1▼の場合と同様にトランジスタ3に流れる電流は変化しないが、可変抵抗手段の抵抗値が変われば、信号出力端子7の電圧が変わるため、電力増幅器の出力電力も変化することとなる。よって、▲3▼の場合には、▲2▼の場合と同様に、可変抵抗手段の抵抗値により、出力インピーダンスと出力電力との両方が変わることとなる。
【0064】
よって、出力インピーダンスを可変にするためには、上記▲2▼又は▲3▼の箇所に可変抵抗手段を挿入すれば良い。
そこで、本第2実施形態の電力増幅器31では、上記▲2▼の箇所に挿入した可変抵抗手段を、インピーダンス整合調整手段33として用いている。
【0065】
以上のような本第2実施形態の電力増幅器31によっても、供給電圧調整回路13とインピーダンス整合調整手段33との各々により、当該電力増幅器31の出力電圧と出力インピーダンスとを調整することができ、このため、本電力増幅器31が用いられる無線通信機器の歩留まりの悪化や消費電力の増大を回避することができる。また、本電力増幅器31でも、出力電力調整手段としての供給電圧調整回路13とインピーダンス整合調整手段33とが、ICに内蔵可能な素子によって構成されているため、それらを他の部品と共に1つのIC内に形成することで、部品増加及びコスト増加を招かずに上記の効果を得ることができる。
【0066】
また、この電力増幅器31によれば、トランジスタ3のドレイン−ソース間に印加される電圧を、インピーダンス整合調整手段33での電圧降下分だけ小さくすることができるため、トランジスタ3の耐圧に余裕を持たすことができる。
尚、本第2実施形態の電力増幅器31においても、インピーダンス整合調整手段33により出カインピーダンスを調整することで変化した出力電力は、供給電圧調整回路13からの電源電圧VSを変化させて調整することができるため、前述したように、最初に出カインピーダンスを調整した後、出力電カを調整するのが望ましい。そして、このことは、後述する他の実施形態についても同様である。
【0067】
また、本第2実施形態の電力増幅器31において、インピーダンス整合調整手段33は、上記▲3▼の箇所、即ち、図4において供給電圧調整回路13とインダクタンス負荷1との間に挿入しても良い。
次に、図7は、第3実施形態の電力増幅器41の構成図である。尚、図7において、前述した図1及び図12と同じ構成要素については、同一の符号を付しているため、詳細な説明は省略する。
【0068】
図7に示すように、本第3実施形態の電力増幅器41は、図4に示した第2実施形態の電力増幅器31と比較すると、トランジスタ3のソースと接地電位との間に、インピーダンス整合調整手段33に代わるインピーダンス整合調整手段43としての可変抵抗手段を備えている。
【0069】
そして、このインピーダンス整合調整手段43としての可変抵抗手段は、互いに並列に接続された複数のNチャネルMOSトランジスタ45と、その複数のトランジスタ45のうち、オンさせるトランジスタの数を外部から与えられるインピーダンス調整指令に応じて変えることで、その複数のトランジスタ45全体でのドレイン−ソース間の抵抗値(即ち、本可変抵抗手段の抵抗値)を変化させるトランジスタ選択手段47とから構成されている。
【0070】
つまり、複数のトランジスタ45のうちの1つのゲートには、電源電圧VSがトランジスタ選択手段47とは無関係に常時印加されているが、他のトランジスタ45のゲートには、トランジスタ選択手段47が、上記インピーダンス調整指令に応じて、電源電圧VSと接地電位の電圧(=0V)との何れかをスイッチ手段49により択一的に印加するようになっている。このため、インピーダンス調整指令により、ゲートに電源電圧VSが印加されてオンするトランジスタ45の数を増やすと、本可変抵抗手段の抵抗値は小さくなり、逆に、ゲートに0Vが印加されてオフするトランジスタ45の数を増やすと、本可変抵抗手段の抵抗値は大きくなる。
【0071】
そして、このような本第3実施形態の電力増幅器41によっても、第2実施形態の電力増幅器31と同様の効果を得ることができる。
尚、本第3実施形態の電力増幅器41においても、インピーダンス整合調整手段43は、上記▲3▼の箇所、即ち、供給電圧調整回路13とインダクタンス負荷1との間に挿入しても良い。
【0072】
次に、図8は、第4実施形態の電力増幅器51の構成図である。尚、図8において、前述した図1及び図12と同じ構成要素については、同一の符号を付しているため、詳細な説明は省略する。
図8に示すように、本第4実施形態の電力増幅器51は、図4に示した第2実施形態の電力増幅器31と比較すると、トランジスタ3のソースと接地電位との間に、インピーダンス整合調整手段33に代わるインピーダンス整合調整手段53としての可変抵抗手段を備えている。
【0073】
そして、このインピーダンス整合調整手段53としての可変抵抗手段は、1つのNチャネルMOSトランジスタ55と、そのトランジスタ55のゲート−ソース間電圧を外部から与えられるインピーダンス調整指令に応じて変化させることで、そのトランジスタ55のドレイン−ソース間の抵抗値(即ち、本可変抵抗手段の抵抗値)を変化させる電圧生成回路57とから構成されている。よって、この可変抵抗手段では、インピーダンス調整指令により、トランジスタ55のゲート−ソース間電圧を大きくすると、本可変抵抗手段の抵抗値は小さくなり、逆に、ゲート−ソース間電圧を小さくすると、本可変抵抗手段の抵抗値は大きくなる。
【0074】
そして、このような本第4実施形態の電力増幅器51によっても、第2実施形態の電力増幅器31と同様の効果を得ることができる。
尚、本第4実施形態の電力増幅器51においても、インピーダンス整合調整手段53は、上記▲3▼の箇所、即ち、供給電圧調整回路13とインダクタンス負荷1との間に挿入しても良い。
【0075】
次に、図9は、第5実施形態の電力増幅器61の構成図である。尚、図9において、前述した図1及び図12と同じ構成要素については、同一の符号を付しているため、詳細な説明は省略する。
図9に示すように、本第5実施形態の電力増幅器61は、図1に示した第1実施形態の電力増幅器11と比較すると、供給電圧調整回路13が設けられておらず、インダクタンス負荷1の一端にバッテリ電圧VBが供給されている(即ち、可変ではないバッテリ電圧VBが電源電圧になっている)点と、前述した▲1▼の箇所(即ち、インダクタンス負荷1の電源電圧側とは反対側と信号出力端子7との接続点と、トランジスタ3の負荷素子側の出力端子であるドレインとの間)に、出力電力調整手段としての可変抵抗手段63が挿入されている点とが異なっている。
【0076】
つまり、前述したように、▲1▼の箇所に可変抵抗手段を挿入すれば、その可変抵抗手段の抵抗値を変えることにより、出力インピーダンスを変化させることなく出力電圧だけを調整することができる。
そこで、本第5実施形態の電力増幅器61では、第1実施形態の電力増幅器11(図1)に対して、出力電カ調整手段を、電源電圧を変化させる供給電圧調整回路13から、トランジスタ3のドレインとインダクタンス負荷1との間に挿入した可変抵抗手段63に置き換えているのである。尚、可変抵抗手段63は、図4,図7,図8のインピーダンス整合調整手段33,43,53の何れかと同様の構成で実現することができる。
【0077】
そして、このような第5実施形態の電力増幅器61によっても、第1実施形態の電力増幅器11と同様の効果を得ることができる。そして特に、この電力増幅器61によれば、出力電力調整手段の構成が簡単なもので済む。
次に、図10は、第6実施形態の電力増幅器71の構成図である。尚、図10において、前述した図1、図9及び図12と同じ構成要素については、同一の符号を付しているため、詳細な説明は省略する。
【0078】
図10に示すように、本第6実施形態の電力増幅器71は、図9に示した第5実施形態の電力増幅器61に対し、インピーダンス整合調整手段15を、トランジスタ3のソースと接地電位との間に挿入した第2の可変抵抗手段73に置き換えたものである。尚、この第2の可変抵抗手段73も、可変抵抗手段63と同様に、図4,図7,図8のインピーダンス整合調整手段33,43,53の何れかと同様の構成で実現することができる。
【0079】
そして、このような第6実施形態の電力増幅器71によっても、インピーダンス整合調整手段としての第2の可変抵抗手段73により出力インピーダンスを調整することができ、また、出力電力調整手段としての可変抵抗手段63により出力電力を調整することができるため、前述した各実施形態と同様の効果が得られる。
【0080】
尚、本第6実施形態の電力増幅器71において、インピーダンス整合調整手段としての第2の可変抵抗手段73は、上記▲3▼の箇所、即ち、図10において電源電圧としてのバッテリ電圧VBとインダクタンス負荷1との間に挿入しても良い。
【0081】
次に、図11は、第7実施形態の電力増幅器81の構成図である。尚、図7において、前述した図1、図4及び図12と同じ構成要素については、同一の符号を付しているため、詳細な説明は省略する。
図11に示すように、本第7実施形態の電力増幅器81は、図4に示した第2実施形態の電力増幅器31に対して、トランジスタ3のドレインとソースとの間に、その間の静電容量を変化させる可変容量手段85を追加したものである。
【0082】
この可変容量手段85は、複数のコンデンサ87と、トランジスタ3のドレイン−ソース間への(延いては、信号出力端子7に対する)上記各コンデンサ87の電気的接続/非接続を夫々切り換える複数のスイッチ手段89とから構成されており、各スイッチ手段89が外部からの調整指令に応じてオン/オフすることで、当該可変容量手段85全体での静電容量が変化するようになっている。
【0083】
そして更に、本第7実施形態の電力増幅器81では、上記可変容量手段85と、図4に示したインピーダンス整合調整手段33としての可変抵抗手段とが、当該電力増幅器81の出力インピーダンスを調整するためのインピーダンス整合調整手段83になっている。
【0084】
このような本第7実施形態電力増幅器81によれば、トランジスタ3のドレイン−ソース間に接続されるコンデンサ87の数を変えることにより、出力インピーダンスの虚部をより広い範囲で調整することができる。
尚、図11のような可変容量手段85は、第2実施形態の電力増幅器31に対してだけではなく、前述した他の各実施形態の電力増幅器に対して同様に追加しても良い。
【0085】
また、可変容量手段85を設けた場合には、まず、その可変容量手段85により、出力インピーダンスの虚部を調整してから、可変抵抗手段の抵抗値或いは電力増幅用トランジスタのサイズWにより、出力インピーダンスの実部を調整し、最後に、出力電カを調整する、といった手順で出力インピーダンスと出力電圧とを調整すれば、その調整作業を円滑に行うことができる。
【0086】
一方、出力インピーダンスの虚部を広範囲に可変とするためには、インダクタンスを用いることも考えられるが、コンデンサの方が、電力増幅器をIC化する際に簡単に内蔵することができ有利である。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0087】
例えば、 上記各実施形態では、電力増幅器を構成するトランジスタとして、MOSトランジスタを用いたが、トランジスタとしては、バイポーラトランジスタなど、MOSトランジスタ以外のトランジスタであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の電力増幅器の構成図である。
【図2】供給電圧調整回路の構成図である。
【図3】第1実施形態の電力増幅器の作用を表す図である。
【図4】第2実施形態の電力増幅器の構成図である。
【図5】第2実施形態の電力増幅器を説明するための図のその1である。
【図6】第2実施形態の電力増幅器を説明するための図のその2である。
【図7】第3実施形態の電力増幅器の構成図である。
【図8】第4実施形態の電力増幅器の構成図である。
【図9】第5実施形態の電力増幅器の構成図である。
【図10】第6実施形態の電力増幅器の構成図である。
【図11】第7実施形態の電力増幅器の構成図である。
【図12】従来の電力増幅器の構成図である。
【符号の説明】
1…インダクタンス負荷(負荷素子)、3…電力増幅用NチャネルMOSトランジスタ、3’…調整用NチャネルMOSトランジスタ、5…信号入力端子、7…信号出力端子、8…アンテナ、9…整合回路、11,31,41,51,61,71,81…電力増幅器、13…供給電圧調整回路、15,33,43,53,83…インピーダンス整合調整手段、17,47…トランジスタ選択手段、19,49,89…スイッチ手段、27,63,73…可変抵抗手段、21…演算増幅器、25,28,35…抵抗、23…PチャネルMOSトランジスタ、29,37,45,55…NチャネルMOSトランジスタ、57…電圧生成回路、85…可変容量手段、87…コンデンサ

Claims (7)

  1. 電源電圧に一端が接続された負荷素子と、
    該負荷素子の他端側と前記電源電圧よりも低い基準電位との間に2つの出力端子が直列に接続された電力増幅用トランジスタとを備え、
    前記電力増幅用トランジスタが入力信号に応じて流れる電流を可変することにより、前記負荷素子の他端側に接続された信号出力端子から前記入力信号を電力増幅した信号を出力する電力増幅器において、
    前記負荷素子の一端に前記電源電圧を供給すると共に、その電源電圧を変えることが可能な手段であって、前記電源電圧の変化により当該電力増幅器の出力電力を調整可能な出力電力調整手段と、
    前記出力電力調整手段とは別に設けられ、当該電力増幅器の出力インピーダンスを調整可能なインピーダンス整合調整手段と、
    を備えていることを特徴とする電力増幅器。
  2. 請求項1に記載の電力増幅器において、
    前記出力電力調整手段は、電池の出力電圧から該出力電圧よりも低い電圧を生成して、その生成した電圧を前記電源電圧として前記負荷素子の一端に供給する増幅率可変のシリーズレギュレータであること、
    を特徴とする電力増幅器。
  3. 電源電圧に一端が接続された負荷素子と、
    該負荷素子の他端側と前記電源電圧よりも低い基準電位との間に2つの出力端子が直列に接続された電力増幅用トランジスタとを備え、
    前記電力増幅用トランジスタが入力信号に応じて流れる電流を可変することにより、前記負荷素子の他端側に接続された信号出力端子から前記入力信号を電力増幅した信号を出力する電力増幅器において、
    前記負荷素子の他端側と前記電力増幅用トランジスタの前記負荷素子側の出力端子との間に直列に挿入された抵抗値可変の手段であって、自身の抵抗値の変化により当該電力増幅器の出力電力を調整可能な出力電力調整手段と、
    前記出力電力調整手段とは別に設けられ、当該電力増幅器の出力インピーダンスを調整可能なインピーダンス整合調整手段と、
    を備えていることを特徴とする電力増幅器。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の電力増幅器において、
    前記インピーダンス整合調整手段は、前記電力増幅用トランジスタに対して並列に接続された1つ以上の調整用トランジスタを有すると共に、前記電力増幅用トランジスタとして動作する前記調整用トランジスタの数を変えることが可能な手段であって、その数の変化により当該電力増幅器の出力インピーダンスを調整可能であること、
    を特徴とする電力増幅器。
  5. 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の電力増幅器において、
    前記インピーダンス整合調整手段は、前記電力増幅用トランジスタの前記基準電位側の出力端子と前記基準電位との間、或いは、前記電源電圧と前記負荷素子の一端との間に直列に挿入された抵抗値可変の手段であって、自身の抵抗値の変化により当該電力増幅器の出力インピーダンスを調整可能であること、
    を特徴とする電力増幅器。
  6. 請求項4又は請求項5に記載の電力増幅器において、
    前記インピーダンス整合調整手段は、複数のコンデンサと、該各コンデンサの前記信号出力端子に対する電気的接続/非接続を切り換えるスイッチ手段とからなる可変容量手段を備えていること、
    を特徴とする電力増幅器。
  7. 請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の電力増幅器の出力電力と出力インピーダンスとを調整する方法であって、
    最初に、前記インピーダンス整合調整手段により出力インピーダンスの調整を行って、前記信号出力端子に接続される外部回路とのインピーダンス整合を確立させ、
    次いで、前記出力電力調整手段により出力電力を所望の値に調整すること、
    を特徴とする電力増幅器の調整方法。
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