JP2004039582A - 集合電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電池モジュールは、複数の電池セル140〜150から構成される。この電池モジュールは、電池セル140〜150をそれぞれ収納する電槽と、複数の電槽を収納する一体の角型電槽138と、各電槽と角型電槽138の内部とを連通する連通路300と、各電槽単位に、連通路300に設けられ、低めの作動圧で、内圧の高い電槽から角型電槽138の内部へ水素ガスを流通させる安全弁210〜220と、連通路300に接続されるように角型電槽138に設けられ、高めの作動圧で、角型電槽138の内部から外部へ水素ガスを排出させる一括安全弁200とを含む。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の単電池を接続して構成された集合電池に関し、特に、駆動源として車両に搭載される集合電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気自動車の駆動源である電気モータに電力を供給するために、二次電池が搭載される。従来から、このような二次電池は、必要な電力容量が得られるように複数の単電池を接続して一体的に連結して構成された集合型二次電池が多く採用されている。このような集合型二次電池は、たとえば、単電池として、密閉型のアルカリ二次電池が使用される。複数個の単電池を、単電池の電槽の幅の広い長側面どうしを互いに対向させて重ねるように配置して、両端の単電池の電槽の外側にエンドプレートを当接させ、両エンドプレート間を拘束バンドにて結束することにより一体的に連結して構成されている。
【0003】
単電池は、正極板と負極板をセパレータを介して積層してなる発電要素である極板群を電解液とともに電槽内に収容し、各電槽の開口部を、安全弁を設けた蓋で閉じ、極板群を構成する各正極板の一側部上端から上方にリードを引き出してその上部に正極端子を接続し、また同様にして各負極板の他側部上端から上方にリードを引き出してその上部に負極端子を接続し、これら正極端子および負極端子を蓋に取付けて構成されている。
【0004】
このような集合型二次電池では、複数の単電池が完全に分離してそれぞれ密閉されているため、各単電池の容量ばらつきや温度ばらつきによって一部の単電池の内圧が高くなる場合がある。このため、単電池の電槽の破裂を防止すべく、内部に発生したガスを外部に放出するための安全弁が各単電池毎に設けられている。この状態を図9に示す。図9に示すように、第1の単電池〜第6の単電池により集合型二次電池が構成され、各単電池ごとに安全弁1000が設けられている。
【0005】
このような集合型二次電池に対して、各単電池の劣化のバランスを取り易くして集合電池全体としての寿命を延ばすことが図られる。特開2001−57199号公報は、このような集合型二次電池をを開示する。この公報に開示された集合型二次電池は、複数の電槽を相互に一体的に連結して成る角型電槽と、各電槽の上面開口を一体的に閉鎖した蓋体と、互いに隣接する適当数の電槽を相互に連通する連通路と、蓋体に、互いに連通された複数の電槽に対して設けられた単一の安全弁とを含む。
【0006】
この公報に開示された集合型二次電池は、複数の電槽を相互に一体的に連結して構成される角型電槽を設けるとともに、各電槽の上面開口を蓋体にて一体的に閉鎖した。この集合型二次電池には、互いに隣接する適当数の電槽を相互に連通する連通路が設けられる。互いに連通された複数の電槽に対して単一の安全弁を蓋体に設けた。この状態を図10に示す。
【0007】
図10に示すように、集合型二次電池は、第1セル(第1の単電池)〜第6セル(第6の単電池)により構成され、各セル間は、連通路により互いに連通されているとともに、単一の安全弁1000が蓋体に設けられている。各セル間は、連通路により互いに連通されているので、各電槽の内圧が均一になる。さらに、劣化が先行した単電池で発生したガスは他の単電池で吸収されることによって劣化した単電池の劣化が抑制される。その結果、各単電池間のバランスが確保されて、集合型二次電池の寿命が全体として向上する。また、互いに連通された複数の電槽に対して単一の安全弁を蓋体に設けたため、安全弁の設置数を削減できてコスト低下を図ることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図9に示す集合型二次電池では、安全弁1000が各単電池ごとに設置しなければならず、コスト面およびサイズ面で問題がある。また、各単電池ごとに安全弁でガスが大気開放されるので、個々の単電池において安全弁が頻繁に開くと、ガスが頻繁に放出されて内部の電解液に影響を及ぼす。
【0009】
また、上述した公報に開示された集合型二次電池では、各セル間は、連通路により互いに連通されているので、正常なセルでも、異常なセルの影響を受ける。この状態を図11を用いて説明する。この二次電池はニッケル−水素電池であるとする。図11は、負極の水素吸蔵能力の異なる2つのセルの正極容量と負極容量とを示す。
【0010】
負極は、電池の寿命の低下防止のために、正極の容量が0になっても負極に水素を残存させておく。これを負極放電リザーブという。負極が完全に0まで放電してしまうと電極が痛んで電池の寿命が短くなるためである。このようにして負極には、少なくとも負極放電リザーブ分の容量が残存している状態である。この状態で、水素吸蔵能力の低いセルと水素吸蔵能力の高いセルとが集合型二次電池に混在すると、連通路を通って水素が、水素吸蔵能力の低いセルから水素吸蔵能力の高いセルに移動する。その結果、連通路のない場合には負極放電リザーブの容量が各セル間でばらつきがなかったのに、連通路がある場合には負極放電リザーブの容量が各セル間でばらつきが発生してしまう。このことは、負極放電リザーブの容量が低いセルにおける電池の劣化が早まることを意味する。
【0011】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、電池サイズを大きくすることなく、各電池セル間のばらつきをなくし、電池寿命を延ばすことができる、低価格の集合電池を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る集合電池は、複数の電池セルから構成される。この集合電池は、電池セルをそれぞれ収納する電槽と、複数の電槽を一体化した角型電槽と、各電槽と角型電槽の内部とを連通する連通路と、各電槽単位に、連通路に設けられ、予め定められた条件に従って、内圧の高い電槽から角型電槽の内部へガスを流通させるための第1のガス流通手段と、連通路に接続されるように角型電槽に設けられ、予め定められた条件に従って、角型電槽の内部から角型電槽の外部へガスを排出させるための第2のガス流通手段とを含む。
【0013】
第1の発明によると、複数の電池セルはそれぞれ複数の電槽に収納される。複数の電槽を一体化した角型電槽が構成される。各電槽には、角型電槽の内部にガスを流通させる連通路に接続されるように第1のガス流通手段が設けられる。この第1のガス流通手段として、たとえば低めの作動圧が設定された安全弁がある。角型電槽には。角型電槽の内部から外部(大気)にガスを排出する第2のガス流通手段が設けられる。この第2のガス流通手段として、たとえば高めの作動圧が設定された安全弁がある。何らかの要因で、ある電池セル(ニッケル−水素電池とする)の内部において水素ガスの圧力が上昇して、予め定められた条件(たとえばその電槽に設けられた安全弁の作動圧を超えるという条件)を満足すると、第1のガス流通手段により、その電槽から連通路を介して角型電槽の内部に高い圧のガスが流通される。さらに、ある電池セルの内部において水素ガスの圧力が上昇して、予め定められた条件(たとえば角型電槽に設けられた安全弁の作動圧を超えるという条件)を満足すると、第2のガス流通手段により、その角型電槽の内部から角型電槽の外部(大気開放)に高い圧のガスが排出される。これにより、複数の電池セルから構成される集合電池において、各電池セルにおいて水素ガスの発生により内部の圧力が上昇すると、各電池セル毎に設けた第1のガス流通手段を用いて、各電池セルから連通路を介して角型電槽の内部へガスを逃がす。さらに、電池セルにおいて水素ガスの発生により角型電槽内部の圧力が上昇すると、角型電槽に設けた第2のガス流通手段を用いて、角型電槽の内部から外部(大気)へガスを逃がす。このようにすると、複数の電池セルを角型電槽に収納した集合電池であっても、第1のガス流通手段が作動するまでは各電池セルが連通路に接続されないので、ガスが自由に行き来できないので、負極に水素吸蔵能力の差があっても、負極放電リザーブとして負極に吸蔵される水素にばらつきを生じない。電池セルの内圧が上昇すると電池セルを収納した電槽の破裂を防止すべく、第1のガス流通手段により、発生したガスを流通路を介して角型電槽の内部に逃がす。他の電池セルに悪影響を及ぼすことなく電池セル毎にガスを逃がすことができる。第1のガス流通手段により連通路に接続された電池セルの内圧がさらに上昇すると角型電槽の破裂を防止すべく、第2のガス流通手段により、発生したガスを大気開放できる。他の電池セルに悪影響を及ぼすことなく角型電槽からにガスを逃がすことができる。各電槽単位に設けられる第1のガス流通手段を連通路に設けたので、集合電池のサイズが大きくなることを避けることができる。その結果、電池サイズを大きくすることなく、各セル間のばらつきをなくし、電池寿命を延ばすことができる、集合電池を提供することができる。
【0014】
第2の発明に係る集合電池は、第1の発明の構成に加えて、第1のガス流通手段は、予め定められた第1の圧力になると、内圧の高い電槽から角型電槽の内部へガスを流通させるための手段を含む。第2のガス流通手段は、予め定められた第2の圧力になると、角型電槽の内部から角型電槽の外部へガスを排出させるための手段を含む。
【0015】
第2の発明によると、予め定められた第1の圧力になると作動する機能を有する安全弁などを用いて、電池セルから角型電槽の内部へガスを逃がし、予め定められた第2の圧力になると作動する機能を有する安全弁などを用いて、角型電槽の外部へガスを逃がすことができる。
【0016】
第3の発明に係る集合電池は、第1または2の発明の構成に加えて、第1のガス流通手段は、予め定められた第1の圧力になると、内圧の高い電槽から角型電槽の内部へガスを流通させる安全弁である。第2のガス流通手段は、予め定められた第2の圧力になると、角型電槽の内部から角型電槽の外部へガスを排出させる安全弁である。
【0017】
第3の発明によると予め定められた第1の圧力になると作動する安全弁を用いて、電池セルから角型電槽の内部へガスを逃がし、予め定められた第2の圧力になると作動する安全弁を用いて、角型電槽の外部へガスを逃がすことができる。このようにすると、各電池セル毎に必要な第1のガス流通手段としての安全弁は、作動圧が低いので安価で小さいので、電池サイズを大きくすることなく、各セル間のばらつきをなくし、電池寿命を延ばすことができる、低価格の集合電池を提供することができる。
【0018】
第4の発明に係る集合電池は、第1または2の発明の構成に加えて、第1のガス流通手段は、各電槽間を仕切る隔壁に設けられた薄膜であって、予め定められた第1の圧力になると薄膜が破損して、内圧の高い電槽から角型電槽の内部へガスが流通するものである。第2のガス流通手段は、予め定められた第2の圧力になると、角型電槽の内部から角型電槽の外部へガスを排出させる安全弁である。
【0019】
第4の発明によると、第1のガス流通手段として安全弁ではなく、さらに、小さく、低価格の薄膜を用いて、各セル間のばらつきをなくし、電池寿命を延ばすことができる、低価格の集合電池を提供することができる。
【0020】
第5の発明に係る集合電池は、第1または2の発明の構成に加えて、第1のガス流通手段は、各電槽間を仕切る隔壁に設けられたシール部材であって、予め定められた第1の圧力になるとOリングが移動して、内圧の高い電槽から角型電槽の内部へガスを流通させるものである。第2のガス流通手段は、予め定められた第2の圧力になると、角型電槽の内部から角型電槽の外部へガスを排出させる安全弁である。
【0021】
第5の発明によると、第1のガス流通手段として安全弁ではなく、従来から電池セルをしきる隔壁に設けられているシール部材を用いる。このため、第1のガス流通手段を、さらに、小さく、低価格で実現できる。
【0022】
第6の発明に係る集合電池は、第2〜5のいずれかの発明の構成に加えて、第1の圧力よりも第2の圧力が高いものである。
【0023】
第6の発明によると、第1のガス流通手段が作動する第1の圧力よりも、第2のガス流通手段が作動する第2の圧力のほうが高い。そのため、内圧が上昇すると、まず第1の圧力に到達して電池セルから一体の角型電槽の内部にガスが逃げ、さらに内圧が上昇して、第2の圧力に到達して一体の角型電槽の内部から外部へガスが逃げて、各電槽および一体の角型電槽も破損することがない。また、異常なセルの影響を他の正常なセルが受けることもない。
【0024】
第7の発明に係る集合電池は、第1〜6のいずれかの発明の構成に加えて、電池は、ニッケル−水素電池であるものである。
【0025】
第7の発明によると、ニッケル−水素電池において発生する、負極の放電リザーブ用の吸蔵水素のばらつきを抑えることができ、電池寿命を延ばすことができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。なお、以下においては、本発明の実施の形態に係る電池モジュールを含む集合電池として、複数の電槽を一体化した角型電槽(すなわち、一体化した電槽の内部に壁を設けて、各電池セルを仕切っている構造を有する)について説明するが、本発明はこれに限定されない。複数の電槽を収納する一体の角型電槽であってもよい。さらに、本発明の電槽の形状は、角型に限定されない。たとえば、円筒型の電池セルを収納した円筒型電槽であってもよい。
【0027】
<第1の実施の形態>
本発明の実施の形態に係る電池モジュールを含む集合電池について説明する。この集合電池は、たとえば自動車に搭載されて、自動車の駆動源である電気モータへ電力を供給する。この集合電池は、本発明の実施の形態に係る電池モジュールを複数含む。図1に集合電池の斜視展開図を示す。
【0028】
図1に示すように、集合電池100は、バッテリカバー102およびロワーケース122からなる外装部材の内部にモジュール集合体120が収容された構造である。モジュール集合体120は、複数の電池モジュール130を積層して形成される。電池モジュール130としては、たとえばニッケル―水素電池などの二次電池を用いることができる。電池モジュール130はいわゆる角型平板状の外形を有している。
【0029】
電池モジュール130は複数の電池セルを含む。具体的には、図2に示すように、電池モジュール130はモジュール外装部材である一体の角型電槽138と、この角型電槽138の内部の隔壁により仕切られた6つの電池セル140〜150とを備える。角型電槽138の長軸方向における端面上には、端子128が形成されている。角型電槽138の側面上には、電池モジュール130の間に冷却風流路としての間隙を形成するための突起部152が形成されている。電池モジュール130を積層したモジュール集合体120(図1参照)では、電池モジュール130の突起部152同士が当接することにより、電池モジュール130の間に間隙が形成される。なお、図2では排気端子126(図1参照)の図示を省略するとともに、電池セル140〜150を説明するために角型電槽138の一部を除去した状態を示している。
【0030】
それぞれの電池セル140〜150は基本的に同様の構造を備える。第1の電池セル140を例として説明すると、電池セル140は、たとえばシート状の複数の電極部材をセパレータによって絶縁状態として相互に重ねて構成された積層電極体154と、積層電極体154を挟むように配置された一対の集電板156とからなる。なお、積層電極体154には電解液が含浸あるいは注入されている。
【0031】
積層電極体154においては、正極となる電極部材と、負極となる電極部材とが交互に重なった状態となっている。また、正極となる電極部材の端部は、一括して一方の集電板156に接続されている。そして、負極となる電極部材の端部は、一括して他方の集電板(図示せず)に接続されている。この結果、正極となる全ての電極部材と一方の集電板156とが電気的に接続された状態となる。また、負極となる全ての電極部材と他方の集電板とが電気的に接続された状態となる。電池モジュール130に含まれる電池セル140〜150は、電気的に直列接続されている。たとえば、電池セル140〜150のそれぞれの定格電圧が1.2Vである場合、電池モジュール130全体の定格電圧は7.2Vとなる。なお、電池セル140〜150の構成は、上述したような構成に限らず他の構成であってもよい。
【0032】
図1に示すように、モジュール集合体120の両端部には拘束プレート116、118が配置されている。拘束プレート116、118は、拘束パイプ108、110により互いに接続および固定されている。なお、拘束プレート116、118はロワーケース122に固定されている。また、個々の電池モジュール130もロワーケース122に固定されている。
【0033】
モジュール集合体120を構成する電池モジュール130のそれぞれの側面(端面)上には、すでに述べたように電池モジュール130へと電流の入出力を行なうための端子128が形成されている。この電池モジュール130の端子128を互いに接続するため、モジュール集合体120の側面上にはバスバーモジュール112、114が配置されている。バスバーモジュール112、114が電池モジュール130のそれぞれの端子128に接続されることにより、モジュール集合体120では電池モジュール130が電気的に直列接続されている。
【0034】
モジュール集合体120の上部表面上には、電池モジュール130から排気される水素ガスなどを一括して排出するための安全弁を内蔵した排気端子126が形成されている。この排気端子126上には、排気端子126に接続され、電池モジュール130から排出される水素ガスなどを集合電池100の外部へ排出するための排気ホース104が設置されている。また、モジュール集合体120の側壁面上には、モジュール集合体120の温度を測定するための温度センサ124およびハーネスが配置されている。この温度センサ124の出力に応じて、モジュール集合体120の温度を所定の範囲に保持するため、モジュール集合体120へブロアファンなどを用いて冷却風が供給される。
【0035】
図3を参照して、電池モジュール130の内部構造について説明する。図3に示すように、この電池モジュール130は、6個の電池セル140〜150を収納した角型電槽138を外枠として、6個の電池セル140〜150と、角型電槽138との間の連通路300とを有する。角型電槽138には、排気端子126が形成され、その排気端子126の中に一括安全弁200が設けられる。この一括安全弁200は、角型電槽138内の内圧が高くなると作動して、排気ホース104を介して水素ガスなどを集合電池100の外部に排出する。
【0036】
各々の電池セル140〜150と連通路300との間には、セル間安全弁210〜220が設けられている。このセル間安全弁210〜220における作動圧は、一括安全弁200の作動圧よりも低く設定されている。このセル間安全弁210〜220は、各々の電池セル140〜150内の内圧が高くなると作動して、水素ガスなどを連通部300に排出する。
【0037】
この一括安全弁200の作動圧は、セル間安全弁210〜220の作動圧よりも高く、一括安全弁200の方がセル間安全弁210〜220よりもサイズが大きくかつ価格が高い。セル間安全弁210〜220は、電池セル140〜150に対応させて、連通路300に面して設けられる。このように、セル間安全弁210〜220は、一括安全弁200に比較して、その個々のサイズが小さい上に、連通路300に設けられるため、本実施の形態に係る電池モジュールにより構成された集合電池100は、各電池セル140〜150のそれぞれに安全弁を設けた集合電池よりも、そのサイズを小さくできる。さらに、本実施の形態に係る電池モジュールにより構成された集合電池100は、各電池セル140〜150のそれぞれに安全弁を設けた集合電池よりも、製造コストを抑えることができる。
【0038】
なお、図3に示す代わりに、図4に示すように、電池モジュール130を構成してもよい。このようにすると、セル間安全弁を1つ少なくすることができる。なお、以下の説明では、この図3に示す電池モジュールを例にして説明する。
【0039】
このような構造を有する電池モジュール130の動作を図5を用いて説明する。
【0040】
第1セル140において、なんらかの原因で水素ガスが発生し出して、その発生が停止しないまま、一括安全弁200が作動する前に、第2セル142において水素ガスが発生し出して、その後、一括安全弁200が作動したものと想定する。
【0041】
第1セル140で、水素ガスが発生し出すと、第1セル140の内圧が徐々に高まる。セル間安全弁210の作動圧を越えると、セル間安全弁210が作動して、第1セル140の内部で発生した水素ガスなどが連通路300に排出される。この後も、第1セル140における水素ガスの発生が停止せず、第1セル140の内圧は一旦下がるものの、再度、セル間安全弁210の作動圧を越えて上昇を続ける。
【0042】
第1セル140において内圧が上昇しているときに、第2セル142において水素ガスが発生し出す。このため第2セル142の内圧が徐々に高まる。セル間安全弁210の作動圧を越えると、セル間安全弁210が作動して、第2セル142の内部で発生した水素ガスなどが連通路300に排出される。このとき、図5に示すように、すでに連通路300と連通している第1セル140の内圧は、第2セル142のセル間安全弁212の作動圧よりも高くなっており、セル間安全弁212が作動すると、第2セル142の内圧(第1セル140の内圧および連通路300における内圧と同じ)は、急激に上昇する。この後も、第2セル142における水素ガスの発生が停止せず、第2セル142の内圧はセル間安全弁210の作動圧を越えて上昇を続ける。
【0043】
このようにして、連通路300を介して接続された、第1セル140、第2セル142および連通路300における内圧が上昇を続けて、一括安全弁200の作動圧を越える。一括安全弁200は、排気ホース104を介して大気開放されるので、一括安全弁200が作動すると、第1セル140、第2セル142および連通路300における内圧は一気に大気圧状態にまで下がる。
【0044】
以上のようにして、水素ガスが発生した異常セルの影響を他の正常なセルへ及ぼさないで、セル間安全弁を用いて電池セル毎の破損を防止し、一括安全弁を用いて電池モジュールの角型電槽の破損を防止できる。また、セル間安全弁は、一括安全弁よりも小さくかつ安価で、電池セル単位で連通路に取り付けられる。このため、集合電池のサイズが大きくならないで、製造コストの上昇を招かないで、各セル間のばらつきをなくし、電池寿命を延ばすことができる、低価格の集合電池を提供することができる。
【0045】
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態に係る電池モジュールを含む集合電池について説明する。なお、本実施の形態に係る集合電池は、前述の第1の実施の形態に係る集合電池に比較して、集合電池を構成する電池モジュールの内部構造が異なるものである。それ以外の構造は前述の第1の実施の形態と同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0046】
図6を参照して、本実施の形態に係る電池モジュール130の内部構造について説明する。図6に示すように、この電池モジュール130は、6個の電池セル140〜150を収納した角型電槽138を外枠として、6個の電池セル140〜150と、角型電槽138との間の連通路300とを有する。角型電槽138には、各電池セル140〜150を互いに隔てる隔壁400が設けられる。この隔壁により通常は電池セル140〜150の間を水素ガスは流通できない。隔壁の連通路300近傍には薄膜410が設けられる。この薄膜410は、予め定められた圧力がかかると破損して、高圧側から低圧側に水素ガスが移動する。角型電槽138には、一括安全弁200が設けられる。薄膜410が破損する圧力は、一括安全弁200の作動圧よりも低く設定されている。
【0047】
このような構造を有する電池モジュール130の動作について説明する。
第2セル142において、なんらかの原因で水素ガスが発生し出して、その発生が停止しないまま、一括安全弁200が作動する前に、第3セル144において水素ガスが発生し出して、その後、一括安全弁200が作動したものと想定する。
【0048】
第2セル142で、水素ガスが発生し出すと、第2セル142の内圧が徐々に高まる。薄膜410の破損圧を越えると、薄膜410が破損して、第2セル142の内部で発生した水素ガスなどが連通路300を介して第3セル144に排出される。この薄膜410は、一旦破損すると破損したままの状態である。この後も、第2セル142における水素ガスの発生が停止せず、第2セル142の内圧は一旦下がるものの、再度、上昇を続ける。
【0049】
第2セル142において内圧が上昇しているときに、第3セル144において水素ガスが発生し出す。このとき、第2セル142と第3セル144との間の隔壁に設けられた薄膜は破損しているので、水素ガスは、第2セル142と第三セル144との間を流通している。第2セル142および第3セル144の内圧が徐々に高まる。第3セル144と第4セル146との間の隔壁に設けられた薄膜410の破損圧を、第2セル142および第3セル144の内圧が越えると、薄膜410が破損して、第2セル142および第3セルの内部で発生した水素ガスなどが連通路300を介して第4セル146に排出される。この薄膜410は破損したままの状態である。この後も、第2セル142および第3セル144における水素ガスの発生が停止せず、第2セル142、第3セル144および第4セル146の内圧は一旦下がるものの、再度、上昇を続ける。
【0050】
このようにして、薄膜410が破損することにより接続された、第2セル142、第3セル144および第4セル146における内圧が上昇を続けて、一括安全弁200の作動圧を越える。一括安全弁200は、排気ホース104を介して大気開放されるので、第2セル142、第3セル144および第4セル146における内圧は一気に大気圧状態にまで下がる。
【0051】
以上のようにして、水素ガスが発生した異常セルの影響を他の正常なセルへ及ぼさないで、セル間を仕切る隔壁に設けられた薄膜を用いて電池セル毎の破損を防止し、一括安全弁を用いて電池モジュールの角型電槽の破損を防止できる。また、隔壁に設けられた薄膜は、一括安全弁よりも小さくかつ安価で、電池セル単位で連通路に取り付けられる。このため、集合電池のサイズが大きくならないで、製造コストの上昇を招かないで、各セル間のばらつきをなくし、電池寿命を延ばすことができる、低価格の集合電池を提供することができる。
【0052】
<第3の実施の形態>
以下、本発明の第3の実施の形態に係る電池モジュールを含む集合電池について説明する。なお、本実施の形態に係る集合電池は、前述の第1の実施の形態に係る集合電池に比較して、集合電池を構成する電池モジュールの内部構造が異なるものである。それ以外の構造は前述の第1の実施の形態と同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0053】
図7を参照して、本実施の形態に係る電池モジュール130の内部構造について説明する。図7に示すように、この電池モジュール130は、6個の電池セル140〜150を収納した角型電槽138を外枠として、6個の電池セル140〜150と、角型電槽138との間の連通路300とを有する。角型電槽138には、各電池セル140〜150を互いに隔てる隔壁400が設けられる。この隔壁により通常は電池セル140〜150の間を水素ガスは流通できない。隔壁の連通路300近傍にはシール部500が設けられる。このシール部500は、予め定められた圧力がかかるとシール部500に内蔵されたOリング520が移動して、ガスの流路ができて、高圧側から低圧側に水素ガスが移動する。
【0054】
図8に示すように、通常のシール部600は、隔壁400の両方にOリング520が設けられる。本実施の形態に係るシール部500は、これらのOリング520の一方がなく、その部分の隔壁400に凹部を設けたものである。このように構成することにより、図7に示すように、高圧側から圧力がかかるとOリング520が移動して、凹部にガスの流路が形成される。
【0055】
また、角型電槽138には、一括安全弁200が設けられる。シール部500のOリング520が移動する圧力は、一括安全弁200の作動圧よりも低く設定されている。
【0056】
このような構造を有する電池モジュール130の動作について説明する。
第2セル142において、なんらかの原因で水素ガスが発生し出して、その発生が停止しないまま、一括安全弁200が作動する前に、第3セル144において水素ガスが発生し出して、その後、一括安全弁200が作動したものと想定する。
【0057】
第2セル142で、水素ガスが発生し出すと、セル内の内圧が徐々に高まる。シール部500のOリング520の移動圧を越えると、Oリング520が移動して、第2セル142の内部で発生した水素ガスなどが、シール部500の流路および連通路300を介して第3セル144に排出される。この後も、第2セル142における水素ガスの発生が停止せず、第2セル142の内圧は一旦下がるものの、再度、上昇を続ける。
【0058】
第2セル142において内圧が上昇しているときに、第3セル144において水素ガスが発生し出す。このとき、第2セル142と第3セル144との間のシール部500のOリング520は移動しているので、水素ガスは、第2セル142と第3セル144との間を流通している。第2セル142および第3セル144の内圧が徐々に高まる。第3セル144と第4セル146との間の隔壁に設けられたシール部500のOリング520の移動圧を、第2セル142および第3セル144の内圧が越えると、第3セル144と第4セル146との間のシール部500のOリング520が移動して、第2セル142および第3セル144の内部で発生した水素ガスなどが連通路300を介して第4セル146に排出される。
【0059】
この後も、第2セル142および第3セル144における水素ガスの発生が停止せず、第2セル142、第3セル144および第4セル146の内圧は一旦下がるものの、再度、上昇を続ける。
【0060】
このようにして、Oリング520が移動することにより接続された、第2セル142、第3セル144および第4セル146における内圧が上昇を続けて、一括安全弁200の作動圧を越える。一括安全弁200は、排気ホース104を介して大気開放されるので、第2セル142、第3セル144および第4セル146における内圧は一気に大気圧状態にまで下がる。
【0061】
以上のようにして、水素ガスが発生した異常セルの影響を他の正常なセルへ及ぼさないで、セル間を仕切る隔壁に設けられたシール部を用いて電池セル毎の破損を防止し、一括安全弁を用いて電池モジュールの角型電槽の破損を防止できる。また、隔壁に設けられたシール部は元来必要なものであるので、集合電池の製造コストの上昇を招くものではない。このため、集合電池のサイズが大きくならないで、コストの上昇を招かないで、各セル間のばらつきをなくし、電池寿命を延ばすことができる、低価格の集合電池を提供することができる。
【0062】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る集合電池の展開模式図である。
【図2】図1の集合電池を構成する電池モジュールの斜視模式図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る電池モジュールの模式図(その1)である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る電池モジュールの模式図(その2)である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る電池モジュールにおける安全弁の作動タイミングを表わすタイミングチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る電池モジュールの模式図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る電池モジュールの模式図である。
【図8】集合電池のシール部を示す図である。
【図9】従来の集合電池に用いられる電池モジュールの模式図(その1)である。
【図10】従来の集合電池に用いられる電池モジュールの模式図(その2)である。
【図11】図10に示す電池モジュールにおける水素移動状態を示す図である。
【符号の説明】
100 集合電池、102 バッテリカバー、104 排気ホース、108、110 拘束パイプ、112、114 バスバーモジュール、116、118 拘束プレート、120 モジュール集合体、122 ロワーケース、124 温度センサ、126 排気端子、128 端子、130 電池モジュール、138角型電槽、140〜150 電池セル、152 突起部、154 積層電極体、156 集電板、200 一括安全弁、210〜220 セル間安全弁、300 連通路、400 隔壁、410 薄膜、500、600 シール部、520
Oリング。
Claims (7)
- 複数の電池セルから構成される集合電池であって、
前記電池セルをそれぞれ収納する電槽と、
複数の前記電槽を一体化した角型電槽と、
各前記電槽と前記角型電槽の内部とを連通する連通路と、
各前記電槽単位に、前記連通路に設けられ、予め定められた条件に従って、内圧の高い電槽から前記角型電槽の内部へガスを流通させるための第1のガス流通手段と、
前記連通路に接続されるように前記角型電槽に設けられ、予め定められた条件に従って、前記角型電槽の内部から前記角型電槽の外部へガスを排出させるための第2のガス流通手段とを含む、集合電池。 - 前記第1のガス流通手段は、予め定められた第1の圧力になると、内圧の高い電槽から前記角型電槽の内部へガスを流通させるための手段を含み、
前記第2のガス流通手段は、予め定められた第2の圧力になると、前記角型電槽の内部から前記角型電槽の外部へガスを排出させるための手段を含む、請求項1に記載の集合電池。 - 前記第1のガス流通手段は、予め定められた第1の圧力になると、内圧の高い電槽から前記角型電槽の内部へガスを流通させる安全弁であって、
前記第2のガス流通手段は、予め定められた第2の圧力になると、前記角型電槽の内部から前記角型電槽の外部へガスを排出させる安全弁である、請求項1または2に記載の集合電池。 - 前記第1のガス流通手段は、各前記電槽間を仕切る隔壁に設けられた薄膜であって、予め定められた第1の圧力になると前記薄膜が破損して、内圧の高い電槽から前記角型電槽の内部へガスが流通して、
前記第2のガス流通手段は、予め定められた第2の圧力になると、前記角型電槽の内部から前記角型電槽の外部へガスを排出させる安全弁である、請求項1または2に記載の集合電池。 - 前記第1のガス流通手段は、各前記電槽間を仕切る隔壁に設けられたシール部材であって、予め定められた第1の圧力になるとOリングが移動して、内圧の高い電槽から前記角型電槽の内部へガスを流通させ、
前記第2のガス流通手段は、予め定められた第2の圧力になると、前記角型電槽の内部から前記角型電槽の外部へガスを排出させる安全弁である、請求項1または2に記載の集合電池。 - 前記第1の圧力よりも前記第2の圧力が高い、請求項2〜5のいずれかに記載の集合電池。
- 前記電池は、ニッケル−水素電池である、請求項1〜6のいずれかに記載の集合電池。
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