JP2004034773A - バイク牽引具 - Google Patents
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Abstract
【課題】自動車にてバイクを牽引するバイク牽引具において、バイクを安定かつ安全に牽引できるようにする。
【解決手段】バイク牽引具1においては、バイク50側の牽引部がフロントフォーク51に位置する。このため、その前輪の回転軸よりも高い位置となり、当該バイク牽引具1及び自動車60のフック61への負担を小さくできる。また、ベース部12には、フック61に接続されるフック接続部13を補強するための補強部14が設けられており、これらフック接続部13,ベース部12、及び補強部14によりリンク構造が形成され、自動車60のブレーキ時等に自動車60とバイク50間に生じる応力を分散して緩和できる。さらに、牽引補助具20により、バイク50の駆動輪である後輪53を浮上させて路面から離間させると共に、左右に設けられた補助輪21によってバイクの後部を支持する。このため、牽引時の負担を軽減できる。
【選択図】 図1
【解決手段】バイク牽引具1においては、バイク50側の牽引部がフロントフォーク51に位置する。このため、その前輪の回転軸よりも高い位置となり、当該バイク牽引具1及び自動車60のフック61への負担を小さくできる。また、ベース部12には、フック61に接続されるフック接続部13を補強するための補強部14が設けられており、これらフック接続部13,ベース部12、及び補強部14によりリンク構造が形成され、自動車60のブレーキ時等に自動車60とバイク50間に生じる応力を分散して緩和できる。さらに、牽引補助具20により、バイク50の駆動輪である後輪53を浮上させて路面から離間させると共に、左右に設けられた補助輪21によってバイクの後部を支持する。このため、牽引時の負担を軽減できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車により自動二輪車及び原動機付き自転車等(バイク)を牽引する際に用いられるバイク牽引具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば飲酒運転による事故防止等の観点から、居酒屋等に駐車した依頼者の乗用車を本人に代わって自宅まで運転する運転代行業が広く行われている。この運転代行は、一般に次のようにして行われている。
【0003】
すなわち、運転代行者2名がパートナーで一台の業務用自動車に乗り、一方の者が居酒屋等の依頼者の指定場所まで運転する。そして、他方の者がその指定場所にて依頼者の乗用車に乗り込み、依頼者を乗せてその自宅まで運転する。その間、一方の者は業務用自動車にて乗用車を追従し、運転代行を終えた後、他方の者を再び業務用自動車に乗せて事業所に引き返す。このような行程を繰り返し行っている。
【0004】
しかし、このような従来の方法では、依頼者の乗用車一台に対して運転代行者が2名必要になり人件費が嵩む。また、依頼者の乗用車の運転を代行した者が事業所に戻るために業務用自動車を走らせねばならず、燃費も嵩み非効率であるといった問題があった。
【0005】
こうした中、例えば特開平8−11512号公報には、代行用にバイクを使用し、運転代行者一人で運転代行を行う方法が提案されている。この方法は、依頼者の乗用車を代行運転する際に、同時に業務用バイクを牽引して自宅まで走行させ、運転代行を終えた後、運転代行者がこのバイクを運転して事業所に戻るというものである。かかる方法により、上述した人件費の問題と燃費の問題を解決することができるとしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる方法に用いられるバイクの牽引技術においては、バイクの車体を折り曲げて走行可能にさせるなどバイク自体の改造を伴うため、そのバイクの改造又は製造に多大な費用がかかる。このため特に個人で運転代行を行おうとする者には実現が困難であるといった問題がある。
【0007】
また、同公報には、自動車後部のフックとバイクのフェンダーとを接続してバイクを牽引する牽引具自体についても開示されているが、その具体的構成については明示されておらず、強度上の問題や走行時の安全上の問題等種々の問題をかかえている。
【0008】
さらに、同公報にて引用する特開昭63−116911号公報には、バイクの牽引具そのものの技術が開示されている。しかし、バイクの重心が前輪の回転中心よりも高い位置にあるのに対し、かかる技術ではバイクの前輪の回転軸に牽引部があるため、牽引具及び自動車の取付部への負担が大きく、実現性に乏しい。
【0009】
そこで本発明は、自動車にてバイクを牽引するバイク牽引具において、バイクを安定かつ安全に牽引できるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑み、請求項1に記載のバイク牽引具は、自動車後部に設けられるフックとバイクに設けられた左右のフロントフォークとを接続し、自動車によりバイクを牽引可能にするためのバイク牽引具であって、
一端がフロントフォークに接続されると共に、他端に向けてバイクの前方に延びる、左右に平行に夫々設けられたフォーク接続部と、
バイクの進行方向に対してほぼ直角方向に延びる長尺状の本体を有し、この本体にフォーク接続部の他端を夫々接続するベース部と、
一端がベース部に接続されると共に、フォーク接続部とは反対側に延び、他端がフックに接続される長尺状のフック接続部と、
一端がベース部の端部近傍に接続され、他端がフック接続部の他端近傍に接続され、このフック接続部に負荷される力の一部を請負う長尺状の補強部と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
尚、ここでいう「バイク」とは、上述のように自動二輪車,原動機付き自転車,自動三輪車等を意味する。また、「自動車後部に設けられるフック」とは、自動車に予め設けられたフック、又は別途用意し後付けで自動車に取り付けるフックの双方を含む。
【0012】
すなわち、かかる構成においては、フォーク接続部とバイクとの接続部、つまりバイク牽引具によるバイク側の牽引部がフロントフォークに位置するため、前輪の回転軸よりも高い位置となる。従って、牽引時において牽引具及び自動車の取付部への負担を軽減又は除去することができる。
【0013】
また、ベース部には、フックに接続されるフック接続部の他にこのフック接続部を補強するための補強部が設けられており、これらフック接続部,ベース部、及び補強部により所謂リンク構造が形成されている。このため、自動車のブレーキ時等に自動車とバイク間に生じる応力や、特に急ブレーキ時や急発進時等に発生する衝撃力(押圧力や引張力)を、これらのリンク構造間で分散して緩和することができる。従って、バイク牽引具自体或いはバイクや自動車後部の破損を防止し、バイクを安定して牽引することができる。また、かかるリンク構造とすることで中実構造よりもバイク牽引具を形成する材料を少なくすることができ、その軽量化と低コスト化を図ることができる。尚、軽量化等の観点からは、これらフォーク接続部,ベース部,フック接続部,補強部の少なくともいずれかを中空材料(筒状部材)にて構成するのが好ましい。
【0014】
また、請求項2に記載のように、上記フォーク接続部は、その一端近傍にバイクの進行方向に対してほぼ直角な軸を有する回動軸を備え、この回動軸を中心に回動可能に構成されているのが好ましい。
かかる構成によれば、フォーク接続部が回動軸を中心に回動することで、バイク牽引具が上下に揺動することができ、例えば自動車又はバイクが障害物に乗り上げたときにバイク牽引具に加わる応力を開放することができ、バイク牽引具の破損を防止することができる。
【0015】
ただし、例えば原動機付き自転車等の中には前輪にフェンダーがつくのではなく、原動機付き自転車等前輪の上部がフレームにて覆われているタイプのバイクがある。このようなバイクは、フレームに対してフロントフォークが独立して動くため、フォーク接続部がフロントフォーク側の端部で回動すると、フレームに接触してこれを破損させる虞がある。
【0016】
従って、このようなタイプにおいては、上記のようにフロントフォークに近いフォーク接続部を回動させるのではなく、それよりも前方にあるフック接続部側を回動させる構成とするのが好ましい。
そこで、請求項3に記載のように、ベース部が、自軸周りに回動可能な第1環状接続部及び第2環状接続部を外挿し、第1環状接続部にフック接続部の一端が固定可能に構成され、該第2環状接続部に補強部の一端が固定可能に構成されていてもよい。
【0017】
もちろん、バイクのタイプによっては、フォーク接続部とフック接続部の双方を回動可能に構成することもできる。
また、上記請求項3の構成においては、請求項4に記載のように、第1環状接続部及び第2環状接続部をベース部の本体に対して固定し、その回動を阻止可能な固定手段が設けられていてもよい。
【0018】
ここでいう「固定手段」としては、後述する実施例に記載したようなピンによる固定手段でもよいし、ネジによる固定、その他種々の固定手段を適用することが可能である。
かかる構成によれば、必要に応じてフック接続部及び補強部を適宜回動可能又は不能に切り替えることができ、バイクの種類や用途に応じたバイク牽引具を簡易に構成することができる。
【0019】
また、請求項5に記載のように、第1環状接続部が複数設けられ、ベース部の少なくとも中央及び両端近傍に夫々配設されているとさらに良い。
すなわち、例えば第1環状接続部がベース部の中央のみに設けられていると、自動車のフックが左右のどちらかに配置されている場合に、ベース部の一端部分が自動車の幅方向に大きくはみ出してしまい、危険を伴う虞がある。しかし、上記構成によって、フックが左側にある場合にはフック接続部を左側の第1環状接続部に接続し、逆に、フックが右側にある場合にはフック接続部を右側の第1環状接続部に接続するようにすることで、上記危険を防止することができるのである。
【0020】
また、請求項6に記載のように、フック接続部及びベース部の少なくとも一方が、自軸方向に伸縮可能に構成されているのが好ましい。
かかる構成により、例えばフック接続部が伸縮可能に構成されていると、自動車とバイクとの距離を調整することができる。また、ベース部が伸縮可能に構成されていると、第1環状接続部や第2環状接続部をベース部に対してスライド可能に構成することで、その牽引位置を調整することができる。従って、自動車やバイクの種類に応じて適切な牽引状態を実現することができる。尚、フォーク接続部をも伸縮可能に構成してもよい。
【0021】
ただし、フックを有しない自動車や、フックの位置が本発明のバイク牽引具による牽引に適合しない自動車が存在する場合も想定される。
そこで、請求項7に記載のように、さらに、自動車後部に装着される代用フックを備えていてもよい。
【0022】
かかる構成によれば、あらゆるタイプの自動車やバイクに本発明のバイク牽引具を適用することができる。また、例えば大型の四輪駆動車等には、その後部に牽引用の水平なバーが設けられているものもあるため、このようなバーに代用フックを装着して牽引作業を行うことも有効である。
【0023】
ところで、バイクの中には所謂二輪バイクと三輪バイクがある。そして、特に二輪バイクの場合には、そのまま牽引しようとすると転倒してしまう虞がある。また、二輪バイクにしても三輪バイクにしても、そのまま牽引すると駆動輪による牽引方向とは逆方向の負荷(制動力)がかかってしまい、それだけ大きな牽引力が必要とされる。
【0024】
そこで、請求項8に記載のように、バイクの後輪を浮上させて路面から離間させると共に、左右に設けられた補助輪によってバイクの後部を支持する牽引補助具を備えていると好ましい。
かかる構成によれば、駆動輪である後輪による制動力をなくすことができ、牽引時の負荷を低減することができる。また、補助輪が左右に設けられるため、三輪バイクと同様にバイクを安定して支持することができる。このため、バイクの転倒を防止し、安定した牽引を実現することができる。
【0025】
具体的には、請求項9に記載のように、上記牽引補助具として、バイク後部の荷台に固定されるフレームと、このフレームに接続され、バイクの左右にて補助輪を支持する支持部と、フレームに対してこの支持部を上下に伸長又は収縮させる伸縮機構とを備えたものが考えられる。
【0026】
かかる構成では、伸縮機構により、バイクの牽引時に支持部を伸長させて補助輪を路面に下ろすことによりバイクの後輪を浮上させる一方、バイクの非牽引時には支持部を収縮させて補助輪を路面から離間させることによりバイクの後輪を路面に下ろすことができる。
【0027】
従って、牽引補助具の動作の切替えを容易に行うことができ、また、バイクによる牽引補助具の運搬を容易に行うことができる。
或いは、請求項10に記載のように、上記牽引補助具として、バイクの後輪を載せて路面から離間させるための載置部と、この載置部の左右に夫々設けられ載置部を支持する補助輪と、載置部をバイクの後部に固定するための固定具とを備えたものでもよい。
【0028】
かかる構成によれば、必要に応じて載置部にバイクの後輪を載せ、固定具にて固定することで、安定した牽引を実現することができる。
その場合、請求項11に記載のように、牽引補助具が、さらに載置部から補助輪と離間する方向に延び、その先端にバイク後部に接続可能な接続部を有する延出部を備えているとよい。
【0029】
かかる構成では、牽引補助具の不使用時に、その向きを入れ替え、接続部をバイク後部に接続することにより、バイクによる牽引補助具の牽引ができ、バイクによる牽引補助具の運搬を容易に行うことができる。或いは、当該延出部を上記固定具の一部として利用することもできる。
【0030】
また、請求項12に記載のように、上記各補助輪は、互いに独立して回転可能に構成されているのが好ましい。
かかる構成は、車椅子の車輪に類似するものであり、牽引補助具の動きの自由度が増し、牽引を円滑にすることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
[第1実施例]
図1は、第1実施例に係るバイク牽引具の使用時の態様を概略的に表す説明図である。
【0032】
同図に示すように、バイク牽引具1は、自動車60によりバイク50(本実施例では自動二輪車)を牽引する際に用いられ、自動車60の後部に設けられたフック61とバイク50に設けられた左右のフロントフォーク51とを接続する牽引具10と、バイク50の後輪53を浮上させて路面から離間させると共に、左右に設けられた補助輪21によってバイク50の後部を支持する牽引補助具20とから構成されている。これら牽引具10及び牽引補助具20は、いずれも金属製又は硬化樹脂(FRP)製のものである。本実施例では、まず図2(a)にも示すように、自動車60のフック61がその後部中央に設けられている場合を例に説明する。
【0033】
図1に戻り、まず牽引具10は、一対のフォーク接続部11,ベース部12,フック接続部13及び補強部14から構成されている。図3は、バイク50のフロントフォーク51周辺における牽引具10の部分分解図である。
図1及び図3に示すように、各フォーク接続部11,11は、一端が左右のフロントフォーク51に夫々接続されると共に、他端に向けてバイク50の前方に互いに平行に延びるように構成されており、その先端がベース部12に夫々接続されている。このフォーク接続部11は、第1フォーク接続部16と第2フォーク接続部17からなる。
【0034】
第1フォーク接続部16は、棒状部材からなり、その一端がベース部12の側面に溶接されている。またその他端には、後述するピン接合に用いられるピン71を挿通するための挿通孔が設けられている。
図4に第2フォーク接続部17の構成を示す。同図(a)は第2フォーク接続部17がフロントフォーク51に取り付けられた状態を示す斜視図であり、同図(b)は第2フォーク接続部17の正面図であり、同図(c)はその平面図である。これらの図から分かるように、第2フォーク接続部17は、丸棒部材171の一端に筒状のフォーク固定部172が溶接され、他端に円筒状の回動接続部173が回動可能に設けられて構成されている。
【0035】
フォーク固定部172は、その筒状の本体が半分に分割可能に構成され、その各々の当接面から外方に延出した複数のフランジ部174を有し、このフランジ部174にネジ孔が形成されている。そして、これらの筒体でフロントフォーク51を挟み込み、フランジ部174を当接させて図示しないネジを螺合することで、第2フォーク接続部17をフロントフォーク51に対して固定できるようになっている。
【0036】
一方、回動接続部173は、その側面に前方に突出した筒状の装着部175を備え、この装着部175の側面には、ピン接合に用いられるピン71を挿通するための挿通孔175aが設けられている。
第2フォーク接続部17は、フロントフォーク51に対してほぼ直角に外方に延びるように固定され、回動接続部173が、丸棒部材171の軸線を中心に回動できるようになっている。そして図3に示すように、第1フォーク接続部16の端部が回動接続部173の装着部175に内挿され、上述した挿通孔にピン71が挿通されることで、第1フォーク接続部16が第2フォーク接続部17に対して揺動可能に固定される。それにより、ベース部12がバイクの進行方向に対してほぼ直角方向に延びるように配置されると共に、フロントフォーク51に対して上下に揺動可能となる。
【0037】
次に、ベース部12は、図3に示すように、長尺円筒状の本体121を有し、その長手方向の中央部と両端部に、フック接続部13の一端を接続可能な円筒状の第1環状接続部122が夫々外挿され、その両端部の第1環状接続部122の左右方向内側に第2環状接続部123が夫々外挿されている。第1環状接続部122の外周面には、フック接続部13の一端を接続可能な筒状接続部122aが突設され、第2環状接続部123の外周面には、補強部14の一端を接続可能なフック部123aが前方に突設されている。
【0038】
また、図5(a)及び(b)に示すように、ベース部12の本体121は、3つの同軸円筒部からなっており、中央の円筒部121aに対して左右の円筒部121bが内挿可能に構成されている。この中央の円筒部121aの中央にはその外周面に沿って図示しない帯状の溝部が設けられており、上記第1環状接続部122が、この溝部に沿って軸周りに回動可能に構成されている。そして、この第1環状接続部122がピン72により円筒部121aに対して固定できるように構成されている。また、これら中央の円筒部121aの両端には、その外周面に沿った図示しない溝部を介して、上記第2環状接続部123が軸周りに回動可能に構成されており、同様にピン73により円筒部121aに対して夫々固定可能に構成されている。
【0039】
また、左右の円筒部121bの端部には、その外周面に沿った図示しない溝部を介して、上記第1環状接続部121が軸周りに回動可能に構成されており、同様にピン74により円筒部121bに対して夫々固定可能に構成されている。そして、この円筒部121bにはその長手方向に等間隔で複数の挿通孔121cが設けられており、当該円筒部121bを中央の円筒部121aに対して夫々スライドさせ、所望の位置にて上記ピン73を挿通孔に挿通して固定でき、それにより、ベース部12の長さを調整できるようになっている。
【0040】
次に、フック接続部13は、図6に示すように、大径部131と小径部132の2つの同軸円筒部材からなり、小径部132を大径部131に挿通接続して構成されている。大径部131の一端には、小径部132を接続する際に用いるピン75を挿通するための挿通孔131aが設けられ、他端には、同じくピンを挿通するための挿通孔133aが設けられた縮径部133が形成されている。この縮径部133が、前記ベース部材12の中央の第1環状接続部122に接続される。また、小径部132にはその長手方向に等間隔で複数の挿通孔132aが設けられており、これを大径部131に対してスライドさせ、所望の位置にてピン75を挿通することで、小径部132を大径部131に対して固定し、フック接続部13の長さを調整できるようになっている。
【0041】
また、小径部132の他端側には、フック接続部13を自動車60のフック61に接続するための図7(a)に示す係止部134が脱着可能に設けられている。この係止部134は、円柱状の本体の一端にフック61に接続するためのリング状の第1係止部135を有し、他端に小径部132とピン接合するための接続部136を有する。また、本体の側面には、補強部14の一端を接続するためのリング状の第2係止部137が設けられている。
【0042】
第1係止部135は、図7(b)にその拡大図を示すように、そのリング状の一部分に開放部135aを有し、この開放部135aは、一端が開放され、他端がバネ135bにより第1係止部135の本体に接続されている。このため、平常時はバネ135bの付勢力により第1係止部135のリング形状が保持されるが、当該開放部135aを外側から押圧することにより、当該一部分を開放してフック61をリング内部に収容し、フック接続部13をフック61に接続できるようになっている。尚、第1係止部135は、係止部134の本体に対して回動接続部134aにて軸周りに回動可能に構成されている。
【0043】
次に、補強部14は、図8に示すように、細長いリング状の本体141と、その長手方向の両端に接続された一対の鍵状フック部材142とから構成されている。この鍵状フック部材142は、その鍵状の先端部を除いてその全長にわたってネジ溝が形成されており、一方、本体141の長手方向の両端には、ネジ孔143が形成されている。このため、鍵状フック部材142に対して本体141を相対的に巻回させることにより、補強部14の長さを自由に調整できるようになっている。この補強部14は、図1に示すように、各鍵状フック部材142の先端が第2環状接続部123のフック部123aと第2係止部137の夫々に引っ掛けられることにより固定される。
【0044】
次に、図9〜図11に基づいて、牽引補助具20の構成について説明する。図9は牽引補助具20の斜視図であり、図10はそのバイク50への取付態様を表す説明図であり、図11はその使用方法を表す説明図である。
図9及び図10に示すように、牽引補助具20は、バイク50後部の荷台52に固定されるフレーム22と、このフレーム22に接続され、バイク50の左右にて補助輪21を支持する支持部23と、フレーム22に対してこの支持部23を上下に伸長又は収縮させる伸縮機構24とを備えている。
【0045】
フレーム22は、荷台52に載置され図示しないネジにより固定される長方形板状の天板部22aと、その左右の両端部から夫々下方に延出する長方断面を有する筒状の側部22bとからなり、その両側部22bを互いにその後方で接続してフレーム22を幅方向に補強するための補助棒22cが架橋されている。
【0046】
支持部23は、上下に延びる板状の本体23aの下端に、補助輪21の輪軸23bを把持するための把持部23cを有する。そして補助輪21は、この輪軸周りに互いに独立して回動可能に支持されている。
また、フレーム22の側部22bの下部には、ピン78を挿通可能な挿通孔22dが設けられ、支持部23の本体23aには、その長手方向に等間隔で複数の挿通孔23dが設けられている。そして、この各支持部23の本体23aを側部22bに対して夫々スライドさせ、所望の位置にて上記ピン78を挿通孔22d及び23dに挿通して固定でき、それにより、支持部23のフレーム22からの延出長さを調整できるようになっている。これらピン78と各挿通孔22d及び23dによる機構が伸縮機構24を構成する。
【0047】
そして、図11(a)に示すように、この伸縮機構24により、バイク50の牽引時に支持部23を伸長させて補助輪21を路面に下ろすことにより、バイク50の後輪53を浮上させることができる。また、同図(b)に示すように、バイク50の非牽引時には支持部23を収縮させて、補助輪21を路面から離間させることにより、バイク50の後輪53を路面に下ろすことができる。
【0048】
以上に説明したように、本実施例のバイク牽引具1によれば、バイク50側の牽引部がフロントフォーク51に位置するため、その前輪の回転軸よりも高い位置となる。従って、牽引時において当該バイク牽引具1及び自動車60のフック61への負担を軽減又は除去することができる。
【0049】
また、ベース部12には、フック61に接続されるフック接続部13を補強するための補強部14が設けられており、これらフック接続部13,ベース部12、及び補強部14により所謂リンク構造が形成されている。このため、自動車60のブレーキ時等に自動車60とバイク50間に生じる応力を分散して緩和することができる。
【0050】
さらに、牽引補助具20により、バイク50の駆動輪である後輪53を浮上させて路面から離間させると共に、左右に設けられた補助輪21によってバイク50の後部を支持することができる。このため、牽引時の負荷を低減することができ、またバイク50の転倒を防止して安定した牽引を実現することができる。
【0051】
尚、上記実施例では、図1及び図2(a)に示したように、自動車60の中央にフック61が設けられ、バイク牽引具1を自動車60後方の中央部で牽引する構成について示したが、図2(b)に示すように、自動車60によってはフック62が中央ではなく左右のいずれかに設けられたものがある(同図では左側)。
【0052】
そこでこのような場合には、フック接続部13を、例えば図3に示す左右いずれかの第1環状接続部122に接続する構成とすればよい。図12には、バイク牽引具1が、自動車60の後方左側で牽引された例が示されている。
かかる構成によれば、フック接続部13が自動車60の左側に配置されても、バイク50自体はそれよりも中央よりの位置で走行することになり、牽引中に自動車60の左側にはみ出ることを防止することができる。
【0053】
すなわち、本実施例のバイク牽引具1による牽引において、例えば図13(a)に示すように、例えば自動車60の急な加速により牽引具10に左方への力が加わっても、自動車60の牽引速度が中低速以下(例えば40km/h程度以下)であれば、前輪においてその横滑りを起こさない程度の抵抗が発生し、状態を真っ直ぐに立て直すことが可能であると考えられる。
【0054】
また、例えば図13(b)に示すように、自動車60の急ブレーキ等により牽引具10に右方への力が加わっても、自動車60の牽引速度が上記中低速以下であれば、前輪が横滑りを起こしてバイク50が自然に止まるため、自動車60への衝突が起こることを防止することができると考えられる。
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例について、図14及び図15に基づいて説明する。尚、本実施例のバイク牽引具は、牽引補助具の構成が異なる点を除けば上記第1実施例と同様であるため、同様の部分についてはその説明を省略する。図14(a)は、本実施例の牽引補助具220の斜視図であり、同図(b)はそのバイク50への取付態様を表す説明図である。また、図15(a)及び(b)はその使用方法を表す説明図である。
【0055】
図14(a)及び(b)に示すように、牽引補助具220は、バイク50の後輪53を載せて路面から離間させるための載置部221と、この載置部221の左右に夫々設けられ当該載置部221を支持する補助輪222と、載置部221をバイク50の後部に固定するための固定具223とを備えている。
【0056】
載置部221は、長方形状の本体を有し、バイク50の後輪53の直径よりも小さい開口幅を有する格子状をなしている。また、本体の幅方向の両端には、補助輪222の輪軸222bを把持するための把持部224が夫々連設されている。そして、補助輪222は、この輪軸222bに回動可能に支持されている。また、把持部224は、補助輪222を上方から覆うように構成されており、その上端面にはフック部224aが上方に突設され、固定具223の一端が接続可能になっている。
【0057】
また、載置部221の後方(図中右方)には、補助輪222と離間する方向に延び、その先端にバイク50後部の荷台52に接続可能な延出部230が設けられている。この延出部230は、載置部221の後方に、輪軸222bに対して直角方向に延出する一対の腕部225と、その先端部を架橋して輪軸222bに平行に延びるベース部226が設けられている。ベース部226の中央には、上記第1実施例にて説明した第1環状接続部122と同様の環状接続部227がピン接合され、さらに、この環状接続部227には、上記第1実施例にて説明したフック接続部13と同様の伸縮可能な接続部228が接続されている。
【0058】
さらに、固定具223は、上記第1実施例にて説明した補強部14と同様の構造を有し、同図(b)に示すように、固定具223の一端がフック部224aに接続され、他端が荷台52に引っ掛けられることにより、牽引補助具220がバイク50に対して固定される。そしてバイク50の牽引時には、図15(a)に示すように、さらに接続部228を環状接続部227を中心に回動させ、その先端を荷台52に引っ掛けて固定し、安定した牽引作業を実施する。
【0059】
一方、図15(a)及び(b)に示されるように、バイク50の非牽引時には、牽引補助具220の向きを入れ替え、接続部228の先端部をバイク50後部の荷台52に接続することにより、バイク50による牽引補助具220が容易に牽引可能になる。
【0060】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
例えば、上記各実施例では、図1及び図3に示したように、ベース部12の第1環状接続部122及び第2環状接続部123が固定され、フォーク接続部11の回動接続部173が回動できるようにされているため、牽引具10は、フロントフォーク51に近接した回動軸(丸棒部材171)を中心に上下に揺動することになる。このような構成ではなく、フォーク接続部11の回動接続部173を例えばピン等で固定し(或いは当初から固定構造とし)、ベース部12の第1環状接続部122及び第2環状接続部123のピンを外して回動可能に構成することもできる。かかる構成によれば、フック接続部13及び補強部14がベース部12に対して回動することになり、牽引具10の回動部が前方にシフトすることになる。
【0061】
また、上記各実施例では、自動車60の後方に延出したフック61又は62に接続するバイク牽引具について説明したが、フックがこのように自動車の後部に延出しておらず、車体の下方に設けられている場合がある。
そこでこのような場合には、例えば図16に示すように、第1係止部235を、フック接続部13の本体に対して直角方向に延出させた構成としてもよい。かかる構成により、自動車の車体の下方に設けられたフックに対してもバイク牽引具を接続することができる。尚、この場合には、フックの向きが自動車によって異なる場合もあるため、第1係止部235が、その回動接続軸235aの周りに回動可能に構成されているのが好ましい。またこの場合、バイク牽引具の揺動によりバイク牽引具の一部が自動車後部に接触する場合が想定されるときには、その接触部に対応したバイク牽引具側の位置にゴム等の緩衝部材を設けてもよい。
【0062】
さらに、上記各実施例では、自動車60に予め設けられたフック61又は62に接続するバイク牽引具について説明したが、フックを有しない自動車や、フックの位置が本発明のバイク牽引具による牽引に適合しない自動車が存在する場合も想定される。
【0063】
そこでこのような場合には、図17や図18に示すような代用フックを自動車に装着するようにしてもよい。
すなわち、図17には、例えば大型の四輪駆動車等、後部に牽引用の水平なバーが設けられている自動車に対応した代用フック301が示されている。同図(a)は代用フック301の斜視図であり、同図(b)はその使用態様を表す説明図である。
【0064】
同図(a)及び(b)に示すように、代用フック301は、板状のベース部302と、このベース部302の片面中央に突設されたフック部303と、棒状部材を曲げ加工して形成されたU字形状を有し、ベース部302のフック部303とは反対側に配置される装着部304とから構成される。装着部304の両端部には夫々ネジ溝が形成されており、蝶ナット305が螺合できるようになっている。そして、自動車後部に設けられた牽引用バー65に装着部304を巻回して装着し、ベース部302のフック部303の上下に設けられた挿通孔302aに装着部304の両先端部を挿通して蝶ナット305を螺合することにより、代用フック301を牽引用バー65に対して固定できるように構成されている。
【0065】
また、図18には、例えば自動車後部のバンパーに取り付けられる代用フック401が示されている。同図(a)は、代用フック401の斜視図であり、同図(b)は、その使用態様を表す説明図である。
同図(a)及び(b)に示すように、代用フック401は、板状部材を曲げ加工して形成され、互いに平行な上部402a,下部402b、及びこれらをその一端部で上下に接続する接続部402cからなる横断面がコ字状のベース部402と、このベース部402の下部402bから接続部402cとは反対側に延設されたフック部403と、下部402bの下方から螺合装着され、その上端に円板状の押圧部404aを有する押圧部材404とから構成されている。押圧部404aの上部には、緩衝材としてのゴム部材404bが貼着されている。そして、同図(b)に示すように、ベース部402を自動車後部のバンパー66の一端に引っ掛けた状態で押圧部材404を下方からねじ上げ、上部402aと押圧部404aとの間にバンパー66の一端を挟みこむことにより、代用フック401をバンパー66に対して固定できるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るバイク牽引具の使用時の態様を表す説明図である。
【図2】バイク牽引具が適用される自動車のフックの設置位置を例示する説明図である。
【図3】バイク牽引具をバイクのフロントフォークに装着した状態を表す部分分解図である。
【図4】バイク牽引具のフォーク接続部の構成を表す説明図である。
【図5】バイク牽引具のベース部の構成を表す説明図である。
【図6】バイク牽引具のフック接続部の構成を表す説明図である。
【図7】バイク牽引具のフック接続部の構成を表す説明図である。
【図8】バイク牽引具の補強部の構成を表す説明図である。
【図9】バイク牽引具の牽引補助具の構成を表す斜視図である。
【図10】牽引補助具をバイクに装着した状態を表す説明図である。
【図11】牽引補助具の使用例を表す説明図である。
【図12】バイク牽引具の使用時の他の態様を表す説明図である。
【図13】バイク牽引具の使用時の他の態様における牽引動作を表す説明図である。
【図14】第2実施例に係る牽引補助具の構成を表す斜視図である。
【図15】第2実施例の牽引補助具の使用例を表す説明図である。
【図16】フック接続部の他の構成を表す説明図である。
【図17】代用フックの構成の一例を表す説明図である。
【図18】代用フックの他の構成を表す説明図である。
【符号の説明】
1・・・バイク牽引具、 10・・・牽引具、 11・・・フォーク接続部、
12・・・ベース部、 13・・・フック接続部、 14・・・補強部、
16・・・第1フォーク接続部、 17・・・第2フォーク接続部、
20,220・・・牽引補助具、 21,221・・・補助輪、
22・・・フレーム、 23・・・支持部、 24・・・伸縮機構、
50・・・バイク、 51・・・フロントフォーク、 52・・・荷台、
53・・・後輪、 60・・・自動車、 61,62・・・フック、
65・・・牽引用バー、 66・・・バンパー、 122・・・第1環状接続部、
123・・・第2環状接続部、 134・・・係止部、 221・・・載置部、223・・・固定具、 230・・・延出部、
301,401・・・代用フック
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車により自動二輪車及び原動機付き自転車等(バイク)を牽引する際に用いられるバイク牽引具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば飲酒運転による事故防止等の観点から、居酒屋等に駐車した依頼者の乗用車を本人に代わって自宅まで運転する運転代行業が広く行われている。この運転代行は、一般に次のようにして行われている。
【0003】
すなわち、運転代行者2名がパートナーで一台の業務用自動車に乗り、一方の者が居酒屋等の依頼者の指定場所まで運転する。そして、他方の者がその指定場所にて依頼者の乗用車に乗り込み、依頼者を乗せてその自宅まで運転する。その間、一方の者は業務用自動車にて乗用車を追従し、運転代行を終えた後、他方の者を再び業務用自動車に乗せて事業所に引き返す。このような行程を繰り返し行っている。
【0004】
しかし、このような従来の方法では、依頼者の乗用車一台に対して運転代行者が2名必要になり人件費が嵩む。また、依頼者の乗用車の運転を代行した者が事業所に戻るために業務用自動車を走らせねばならず、燃費も嵩み非効率であるといった問題があった。
【0005】
こうした中、例えば特開平8−11512号公報には、代行用にバイクを使用し、運転代行者一人で運転代行を行う方法が提案されている。この方法は、依頼者の乗用車を代行運転する際に、同時に業務用バイクを牽引して自宅まで走行させ、運転代行を終えた後、運転代行者がこのバイクを運転して事業所に戻るというものである。かかる方法により、上述した人件費の問題と燃費の問題を解決することができるとしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる方法に用いられるバイクの牽引技術においては、バイクの車体を折り曲げて走行可能にさせるなどバイク自体の改造を伴うため、そのバイクの改造又は製造に多大な費用がかかる。このため特に個人で運転代行を行おうとする者には実現が困難であるといった問題がある。
【0007】
また、同公報には、自動車後部のフックとバイクのフェンダーとを接続してバイクを牽引する牽引具自体についても開示されているが、その具体的構成については明示されておらず、強度上の問題や走行時の安全上の問題等種々の問題をかかえている。
【0008】
さらに、同公報にて引用する特開昭63−116911号公報には、バイクの牽引具そのものの技術が開示されている。しかし、バイクの重心が前輪の回転中心よりも高い位置にあるのに対し、かかる技術ではバイクの前輪の回転軸に牽引部があるため、牽引具及び自動車の取付部への負担が大きく、実現性に乏しい。
【0009】
そこで本発明は、自動車にてバイクを牽引するバイク牽引具において、バイクを安定かつ安全に牽引できるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑み、請求項1に記載のバイク牽引具は、自動車後部に設けられるフックとバイクに設けられた左右のフロントフォークとを接続し、自動車によりバイクを牽引可能にするためのバイク牽引具であって、
一端がフロントフォークに接続されると共に、他端に向けてバイクの前方に延びる、左右に平行に夫々設けられたフォーク接続部と、
バイクの進行方向に対してほぼ直角方向に延びる長尺状の本体を有し、この本体にフォーク接続部の他端を夫々接続するベース部と、
一端がベース部に接続されると共に、フォーク接続部とは反対側に延び、他端がフックに接続される長尺状のフック接続部と、
一端がベース部の端部近傍に接続され、他端がフック接続部の他端近傍に接続され、このフック接続部に負荷される力の一部を請負う長尺状の補強部と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
尚、ここでいう「バイク」とは、上述のように自動二輪車,原動機付き自転車,自動三輪車等を意味する。また、「自動車後部に設けられるフック」とは、自動車に予め設けられたフック、又は別途用意し後付けで自動車に取り付けるフックの双方を含む。
【0012】
すなわち、かかる構成においては、フォーク接続部とバイクとの接続部、つまりバイク牽引具によるバイク側の牽引部がフロントフォークに位置するため、前輪の回転軸よりも高い位置となる。従って、牽引時において牽引具及び自動車の取付部への負担を軽減又は除去することができる。
【0013】
また、ベース部には、フックに接続されるフック接続部の他にこのフック接続部を補強するための補強部が設けられており、これらフック接続部,ベース部、及び補強部により所謂リンク構造が形成されている。このため、自動車のブレーキ時等に自動車とバイク間に生じる応力や、特に急ブレーキ時や急発進時等に発生する衝撃力(押圧力や引張力)を、これらのリンク構造間で分散して緩和することができる。従って、バイク牽引具自体或いはバイクや自動車後部の破損を防止し、バイクを安定して牽引することができる。また、かかるリンク構造とすることで中実構造よりもバイク牽引具を形成する材料を少なくすることができ、その軽量化と低コスト化を図ることができる。尚、軽量化等の観点からは、これらフォーク接続部,ベース部,フック接続部,補強部の少なくともいずれかを中空材料(筒状部材)にて構成するのが好ましい。
【0014】
また、請求項2に記載のように、上記フォーク接続部は、その一端近傍にバイクの進行方向に対してほぼ直角な軸を有する回動軸を備え、この回動軸を中心に回動可能に構成されているのが好ましい。
かかる構成によれば、フォーク接続部が回動軸を中心に回動することで、バイク牽引具が上下に揺動することができ、例えば自動車又はバイクが障害物に乗り上げたときにバイク牽引具に加わる応力を開放することができ、バイク牽引具の破損を防止することができる。
【0015】
ただし、例えば原動機付き自転車等の中には前輪にフェンダーがつくのではなく、原動機付き自転車等前輪の上部がフレームにて覆われているタイプのバイクがある。このようなバイクは、フレームに対してフロントフォークが独立して動くため、フォーク接続部がフロントフォーク側の端部で回動すると、フレームに接触してこれを破損させる虞がある。
【0016】
従って、このようなタイプにおいては、上記のようにフロントフォークに近いフォーク接続部を回動させるのではなく、それよりも前方にあるフック接続部側を回動させる構成とするのが好ましい。
そこで、請求項3に記載のように、ベース部が、自軸周りに回動可能な第1環状接続部及び第2環状接続部を外挿し、第1環状接続部にフック接続部の一端が固定可能に構成され、該第2環状接続部に補強部の一端が固定可能に構成されていてもよい。
【0017】
もちろん、バイクのタイプによっては、フォーク接続部とフック接続部の双方を回動可能に構成することもできる。
また、上記請求項3の構成においては、請求項4に記載のように、第1環状接続部及び第2環状接続部をベース部の本体に対して固定し、その回動を阻止可能な固定手段が設けられていてもよい。
【0018】
ここでいう「固定手段」としては、後述する実施例に記載したようなピンによる固定手段でもよいし、ネジによる固定、その他種々の固定手段を適用することが可能である。
かかる構成によれば、必要に応じてフック接続部及び補強部を適宜回動可能又は不能に切り替えることができ、バイクの種類や用途に応じたバイク牽引具を簡易に構成することができる。
【0019】
また、請求項5に記載のように、第1環状接続部が複数設けられ、ベース部の少なくとも中央及び両端近傍に夫々配設されているとさらに良い。
すなわち、例えば第1環状接続部がベース部の中央のみに設けられていると、自動車のフックが左右のどちらかに配置されている場合に、ベース部の一端部分が自動車の幅方向に大きくはみ出してしまい、危険を伴う虞がある。しかし、上記構成によって、フックが左側にある場合にはフック接続部を左側の第1環状接続部に接続し、逆に、フックが右側にある場合にはフック接続部を右側の第1環状接続部に接続するようにすることで、上記危険を防止することができるのである。
【0020】
また、請求項6に記載のように、フック接続部及びベース部の少なくとも一方が、自軸方向に伸縮可能に構成されているのが好ましい。
かかる構成により、例えばフック接続部が伸縮可能に構成されていると、自動車とバイクとの距離を調整することができる。また、ベース部が伸縮可能に構成されていると、第1環状接続部や第2環状接続部をベース部に対してスライド可能に構成することで、その牽引位置を調整することができる。従って、自動車やバイクの種類に応じて適切な牽引状態を実現することができる。尚、フォーク接続部をも伸縮可能に構成してもよい。
【0021】
ただし、フックを有しない自動車や、フックの位置が本発明のバイク牽引具による牽引に適合しない自動車が存在する場合も想定される。
そこで、請求項7に記載のように、さらに、自動車後部に装着される代用フックを備えていてもよい。
【0022】
かかる構成によれば、あらゆるタイプの自動車やバイクに本発明のバイク牽引具を適用することができる。また、例えば大型の四輪駆動車等には、その後部に牽引用の水平なバーが設けられているものもあるため、このようなバーに代用フックを装着して牽引作業を行うことも有効である。
【0023】
ところで、バイクの中には所謂二輪バイクと三輪バイクがある。そして、特に二輪バイクの場合には、そのまま牽引しようとすると転倒してしまう虞がある。また、二輪バイクにしても三輪バイクにしても、そのまま牽引すると駆動輪による牽引方向とは逆方向の負荷(制動力)がかかってしまい、それだけ大きな牽引力が必要とされる。
【0024】
そこで、請求項8に記載のように、バイクの後輪を浮上させて路面から離間させると共に、左右に設けられた補助輪によってバイクの後部を支持する牽引補助具を備えていると好ましい。
かかる構成によれば、駆動輪である後輪による制動力をなくすことができ、牽引時の負荷を低減することができる。また、補助輪が左右に設けられるため、三輪バイクと同様にバイクを安定して支持することができる。このため、バイクの転倒を防止し、安定した牽引を実現することができる。
【0025】
具体的には、請求項9に記載のように、上記牽引補助具として、バイク後部の荷台に固定されるフレームと、このフレームに接続され、バイクの左右にて補助輪を支持する支持部と、フレームに対してこの支持部を上下に伸長又は収縮させる伸縮機構とを備えたものが考えられる。
【0026】
かかる構成では、伸縮機構により、バイクの牽引時に支持部を伸長させて補助輪を路面に下ろすことによりバイクの後輪を浮上させる一方、バイクの非牽引時には支持部を収縮させて補助輪を路面から離間させることによりバイクの後輪を路面に下ろすことができる。
【0027】
従って、牽引補助具の動作の切替えを容易に行うことができ、また、バイクによる牽引補助具の運搬を容易に行うことができる。
或いは、請求項10に記載のように、上記牽引補助具として、バイクの後輪を載せて路面から離間させるための載置部と、この載置部の左右に夫々設けられ載置部を支持する補助輪と、載置部をバイクの後部に固定するための固定具とを備えたものでもよい。
【0028】
かかる構成によれば、必要に応じて載置部にバイクの後輪を載せ、固定具にて固定することで、安定した牽引を実現することができる。
その場合、請求項11に記載のように、牽引補助具が、さらに載置部から補助輪と離間する方向に延び、その先端にバイク後部に接続可能な接続部を有する延出部を備えているとよい。
【0029】
かかる構成では、牽引補助具の不使用時に、その向きを入れ替え、接続部をバイク後部に接続することにより、バイクによる牽引補助具の牽引ができ、バイクによる牽引補助具の運搬を容易に行うことができる。或いは、当該延出部を上記固定具の一部として利用することもできる。
【0030】
また、請求項12に記載のように、上記各補助輪は、互いに独立して回転可能に構成されているのが好ましい。
かかる構成は、車椅子の車輪に類似するものであり、牽引補助具の動きの自由度が増し、牽引を円滑にすることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
[第1実施例]
図1は、第1実施例に係るバイク牽引具の使用時の態様を概略的に表す説明図である。
【0032】
同図に示すように、バイク牽引具1は、自動車60によりバイク50(本実施例では自動二輪車)を牽引する際に用いられ、自動車60の後部に設けられたフック61とバイク50に設けられた左右のフロントフォーク51とを接続する牽引具10と、バイク50の後輪53を浮上させて路面から離間させると共に、左右に設けられた補助輪21によってバイク50の後部を支持する牽引補助具20とから構成されている。これら牽引具10及び牽引補助具20は、いずれも金属製又は硬化樹脂(FRP)製のものである。本実施例では、まず図2(a)にも示すように、自動車60のフック61がその後部中央に設けられている場合を例に説明する。
【0033】
図1に戻り、まず牽引具10は、一対のフォーク接続部11,ベース部12,フック接続部13及び補強部14から構成されている。図3は、バイク50のフロントフォーク51周辺における牽引具10の部分分解図である。
図1及び図3に示すように、各フォーク接続部11,11は、一端が左右のフロントフォーク51に夫々接続されると共に、他端に向けてバイク50の前方に互いに平行に延びるように構成されており、その先端がベース部12に夫々接続されている。このフォーク接続部11は、第1フォーク接続部16と第2フォーク接続部17からなる。
【0034】
第1フォーク接続部16は、棒状部材からなり、その一端がベース部12の側面に溶接されている。またその他端には、後述するピン接合に用いられるピン71を挿通するための挿通孔が設けられている。
図4に第2フォーク接続部17の構成を示す。同図(a)は第2フォーク接続部17がフロントフォーク51に取り付けられた状態を示す斜視図であり、同図(b)は第2フォーク接続部17の正面図であり、同図(c)はその平面図である。これらの図から分かるように、第2フォーク接続部17は、丸棒部材171の一端に筒状のフォーク固定部172が溶接され、他端に円筒状の回動接続部173が回動可能に設けられて構成されている。
【0035】
フォーク固定部172は、その筒状の本体が半分に分割可能に構成され、その各々の当接面から外方に延出した複数のフランジ部174を有し、このフランジ部174にネジ孔が形成されている。そして、これらの筒体でフロントフォーク51を挟み込み、フランジ部174を当接させて図示しないネジを螺合することで、第2フォーク接続部17をフロントフォーク51に対して固定できるようになっている。
【0036】
一方、回動接続部173は、その側面に前方に突出した筒状の装着部175を備え、この装着部175の側面には、ピン接合に用いられるピン71を挿通するための挿通孔175aが設けられている。
第2フォーク接続部17は、フロントフォーク51に対してほぼ直角に外方に延びるように固定され、回動接続部173が、丸棒部材171の軸線を中心に回動できるようになっている。そして図3に示すように、第1フォーク接続部16の端部が回動接続部173の装着部175に内挿され、上述した挿通孔にピン71が挿通されることで、第1フォーク接続部16が第2フォーク接続部17に対して揺動可能に固定される。それにより、ベース部12がバイクの進行方向に対してほぼ直角方向に延びるように配置されると共に、フロントフォーク51に対して上下に揺動可能となる。
【0037】
次に、ベース部12は、図3に示すように、長尺円筒状の本体121を有し、その長手方向の中央部と両端部に、フック接続部13の一端を接続可能な円筒状の第1環状接続部122が夫々外挿され、その両端部の第1環状接続部122の左右方向内側に第2環状接続部123が夫々外挿されている。第1環状接続部122の外周面には、フック接続部13の一端を接続可能な筒状接続部122aが突設され、第2環状接続部123の外周面には、補強部14の一端を接続可能なフック部123aが前方に突設されている。
【0038】
また、図5(a)及び(b)に示すように、ベース部12の本体121は、3つの同軸円筒部からなっており、中央の円筒部121aに対して左右の円筒部121bが内挿可能に構成されている。この中央の円筒部121aの中央にはその外周面に沿って図示しない帯状の溝部が設けられており、上記第1環状接続部122が、この溝部に沿って軸周りに回動可能に構成されている。そして、この第1環状接続部122がピン72により円筒部121aに対して固定できるように構成されている。また、これら中央の円筒部121aの両端には、その外周面に沿った図示しない溝部を介して、上記第2環状接続部123が軸周りに回動可能に構成されており、同様にピン73により円筒部121aに対して夫々固定可能に構成されている。
【0039】
また、左右の円筒部121bの端部には、その外周面に沿った図示しない溝部を介して、上記第1環状接続部121が軸周りに回動可能に構成されており、同様にピン74により円筒部121bに対して夫々固定可能に構成されている。そして、この円筒部121bにはその長手方向に等間隔で複数の挿通孔121cが設けられており、当該円筒部121bを中央の円筒部121aに対して夫々スライドさせ、所望の位置にて上記ピン73を挿通孔に挿通して固定でき、それにより、ベース部12の長さを調整できるようになっている。
【0040】
次に、フック接続部13は、図6に示すように、大径部131と小径部132の2つの同軸円筒部材からなり、小径部132を大径部131に挿通接続して構成されている。大径部131の一端には、小径部132を接続する際に用いるピン75を挿通するための挿通孔131aが設けられ、他端には、同じくピンを挿通するための挿通孔133aが設けられた縮径部133が形成されている。この縮径部133が、前記ベース部材12の中央の第1環状接続部122に接続される。また、小径部132にはその長手方向に等間隔で複数の挿通孔132aが設けられており、これを大径部131に対してスライドさせ、所望の位置にてピン75を挿通することで、小径部132を大径部131に対して固定し、フック接続部13の長さを調整できるようになっている。
【0041】
また、小径部132の他端側には、フック接続部13を自動車60のフック61に接続するための図7(a)に示す係止部134が脱着可能に設けられている。この係止部134は、円柱状の本体の一端にフック61に接続するためのリング状の第1係止部135を有し、他端に小径部132とピン接合するための接続部136を有する。また、本体の側面には、補強部14の一端を接続するためのリング状の第2係止部137が設けられている。
【0042】
第1係止部135は、図7(b)にその拡大図を示すように、そのリング状の一部分に開放部135aを有し、この開放部135aは、一端が開放され、他端がバネ135bにより第1係止部135の本体に接続されている。このため、平常時はバネ135bの付勢力により第1係止部135のリング形状が保持されるが、当該開放部135aを外側から押圧することにより、当該一部分を開放してフック61をリング内部に収容し、フック接続部13をフック61に接続できるようになっている。尚、第1係止部135は、係止部134の本体に対して回動接続部134aにて軸周りに回動可能に構成されている。
【0043】
次に、補強部14は、図8に示すように、細長いリング状の本体141と、その長手方向の両端に接続された一対の鍵状フック部材142とから構成されている。この鍵状フック部材142は、その鍵状の先端部を除いてその全長にわたってネジ溝が形成されており、一方、本体141の長手方向の両端には、ネジ孔143が形成されている。このため、鍵状フック部材142に対して本体141を相対的に巻回させることにより、補強部14の長さを自由に調整できるようになっている。この補強部14は、図1に示すように、各鍵状フック部材142の先端が第2環状接続部123のフック部123aと第2係止部137の夫々に引っ掛けられることにより固定される。
【0044】
次に、図9〜図11に基づいて、牽引補助具20の構成について説明する。図9は牽引補助具20の斜視図であり、図10はそのバイク50への取付態様を表す説明図であり、図11はその使用方法を表す説明図である。
図9及び図10に示すように、牽引補助具20は、バイク50後部の荷台52に固定されるフレーム22と、このフレーム22に接続され、バイク50の左右にて補助輪21を支持する支持部23と、フレーム22に対してこの支持部23を上下に伸長又は収縮させる伸縮機構24とを備えている。
【0045】
フレーム22は、荷台52に載置され図示しないネジにより固定される長方形板状の天板部22aと、その左右の両端部から夫々下方に延出する長方断面を有する筒状の側部22bとからなり、その両側部22bを互いにその後方で接続してフレーム22を幅方向に補強するための補助棒22cが架橋されている。
【0046】
支持部23は、上下に延びる板状の本体23aの下端に、補助輪21の輪軸23bを把持するための把持部23cを有する。そして補助輪21は、この輪軸周りに互いに独立して回動可能に支持されている。
また、フレーム22の側部22bの下部には、ピン78を挿通可能な挿通孔22dが設けられ、支持部23の本体23aには、その長手方向に等間隔で複数の挿通孔23dが設けられている。そして、この各支持部23の本体23aを側部22bに対して夫々スライドさせ、所望の位置にて上記ピン78を挿通孔22d及び23dに挿通して固定でき、それにより、支持部23のフレーム22からの延出長さを調整できるようになっている。これらピン78と各挿通孔22d及び23dによる機構が伸縮機構24を構成する。
【0047】
そして、図11(a)に示すように、この伸縮機構24により、バイク50の牽引時に支持部23を伸長させて補助輪21を路面に下ろすことにより、バイク50の後輪53を浮上させることができる。また、同図(b)に示すように、バイク50の非牽引時には支持部23を収縮させて、補助輪21を路面から離間させることにより、バイク50の後輪53を路面に下ろすことができる。
【0048】
以上に説明したように、本実施例のバイク牽引具1によれば、バイク50側の牽引部がフロントフォーク51に位置するため、その前輪の回転軸よりも高い位置となる。従って、牽引時において当該バイク牽引具1及び自動車60のフック61への負担を軽減又は除去することができる。
【0049】
また、ベース部12には、フック61に接続されるフック接続部13を補強するための補強部14が設けられており、これらフック接続部13,ベース部12、及び補強部14により所謂リンク構造が形成されている。このため、自動車60のブレーキ時等に自動車60とバイク50間に生じる応力を分散して緩和することができる。
【0050】
さらに、牽引補助具20により、バイク50の駆動輪である後輪53を浮上させて路面から離間させると共に、左右に設けられた補助輪21によってバイク50の後部を支持することができる。このため、牽引時の負荷を低減することができ、またバイク50の転倒を防止して安定した牽引を実現することができる。
【0051】
尚、上記実施例では、図1及び図2(a)に示したように、自動車60の中央にフック61が設けられ、バイク牽引具1を自動車60後方の中央部で牽引する構成について示したが、図2(b)に示すように、自動車60によってはフック62が中央ではなく左右のいずれかに設けられたものがある(同図では左側)。
【0052】
そこでこのような場合には、フック接続部13を、例えば図3に示す左右いずれかの第1環状接続部122に接続する構成とすればよい。図12には、バイク牽引具1が、自動車60の後方左側で牽引された例が示されている。
かかる構成によれば、フック接続部13が自動車60の左側に配置されても、バイク50自体はそれよりも中央よりの位置で走行することになり、牽引中に自動車60の左側にはみ出ることを防止することができる。
【0053】
すなわち、本実施例のバイク牽引具1による牽引において、例えば図13(a)に示すように、例えば自動車60の急な加速により牽引具10に左方への力が加わっても、自動車60の牽引速度が中低速以下(例えば40km/h程度以下)であれば、前輪においてその横滑りを起こさない程度の抵抗が発生し、状態を真っ直ぐに立て直すことが可能であると考えられる。
【0054】
また、例えば図13(b)に示すように、自動車60の急ブレーキ等により牽引具10に右方への力が加わっても、自動車60の牽引速度が上記中低速以下であれば、前輪が横滑りを起こしてバイク50が自然に止まるため、自動車60への衝突が起こることを防止することができると考えられる。
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例について、図14及び図15に基づいて説明する。尚、本実施例のバイク牽引具は、牽引補助具の構成が異なる点を除けば上記第1実施例と同様であるため、同様の部分についてはその説明を省略する。図14(a)は、本実施例の牽引補助具220の斜視図であり、同図(b)はそのバイク50への取付態様を表す説明図である。また、図15(a)及び(b)はその使用方法を表す説明図である。
【0055】
図14(a)及び(b)に示すように、牽引補助具220は、バイク50の後輪53を載せて路面から離間させるための載置部221と、この載置部221の左右に夫々設けられ当該載置部221を支持する補助輪222と、載置部221をバイク50の後部に固定するための固定具223とを備えている。
【0056】
載置部221は、長方形状の本体を有し、バイク50の後輪53の直径よりも小さい開口幅を有する格子状をなしている。また、本体の幅方向の両端には、補助輪222の輪軸222bを把持するための把持部224が夫々連設されている。そして、補助輪222は、この輪軸222bに回動可能に支持されている。また、把持部224は、補助輪222を上方から覆うように構成されており、その上端面にはフック部224aが上方に突設され、固定具223の一端が接続可能になっている。
【0057】
また、載置部221の後方(図中右方)には、補助輪222と離間する方向に延び、その先端にバイク50後部の荷台52に接続可能な延出部230が設けられている。この延出部230は、載置部221の後方に、輪軸222bに対して直角方向に延出する一対の腕部225と、その先端部を架橋して輪軸222bに平行に延びるベース部226が設けられている。ベース部226の中央には、上記第1実施例にて説明した第1環状接続部122と同様の環状接続部227がピン接合され、さらに、この環状接続部227には、上記第1実施例にて説明したフック接続部13と同様の伸縮可能な接続部228が接続されている。
【0058】
さらに、固定具223は、上記第1実施例にて説明した補強部14と同様の構造を有し、同図(b)に示すように、固定具223の一端がフック部224aに接続され、他端が荷台52に引っ掛けられることにより、牽引補助具220がバイク50に対して固定される。そしてバイク50の牽引時には、図15(a)に示すように、さらに接続部228を環状接続部227を中心に回動させ、その先端を荷台52に引っ掛けて固定し、安定した牽引作業を実施する。
【0059】
一方、図15(a)及び(b)に示されるように、バイク50の非牽引時には、牽引補助具220の向きを入れ替え、接続部228の先端部をバイク50後部の荷台52に接続することにより、バイク50による牽引補助具220が容易に牽引可能になる。
【0060】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
例えば、上記各実施例では、図1及び図3に示したように、ベース部12の第1環状接続部122及び第2環状接続部123が固定され、フォーク接続部11の回動接続部173が回動できるようにされているため、牽引具10は、フロントフォーク51に近接した回動軸(丸棒部材171)を中心に上下に揺動することになる。このような構成ではなく、フォーク接続部11の回動接続部173を例えばピン等で固定し(或いは当初から固定構造とし)、ベース部12の第1環状接続部122及び第2環状接続部123のピンを外して回動可能に構成することもできる。かかる構成によれば、フック接続部13及び補強部14がベース部12に対して回動することになり、牽引具10の回動部が前方にシフトすることになる。
【0061】
また、上記各実施例では、自動車60の後方に延出したフック61又は62に接続するバイク牽引具について説明したが、フックがこのように自動車の後部に延出しておらず、車体の下方に設けられている場合がある。
そこでこのような場合には、例えば図16に示すように、第1係止部235を、フック接続部13の本体に対して直角方向に延出させた構成としてもよい。かかる構成により、自動車の車体の下方に設けられたフックに対してもバイク牽引具を接続することができる。尚、この場合には、フックの向きが自動車によって異なる場合もあるため、第1係止部235が、その回動接続軸235aの周りに回動可能に構成されているのが好ましい。またこの場合、バイク牽引具の揺動によりバイク牽引具の一部が自動車後部に接触する場合が想定されるときには、その接触部に対応したバイク牽引具側の位置にゴム等の緩衝部材を設けてもよい。
【0062】
さらに、上記各実施例では、自動車60に予め設けられたフック61又は62に接続するバイク牽引具について説明したが、フックを有しない自動車や、フックの位置が本発明のバイク牽引具による牽引に適合しない自動車が存在する場合も想定される。
【0063】
そこでこのような場合には、図17や図18に示すような代用フックを自動車に装着するようにしてもよい。
すなわち、図17には、例えば大型の四輪駆動車等、後部に牽引用の水平なバーが設けられている自動車に対応した代用フック301が示されている。同図(a)は代用フック301の斜視図であり、同図(b)はその使用態様を表す説明図である。
【0064】
同図(a)及び(b)に示すように、代用フック301は、板状のベース部302と、このベース部302の片面中央に突設されたフック部303と、棒状部材を曲げ加工して形成されたU字形状を有し、ベース部302のフック部303とは反対側に配置される装着部304とから構成される。装着部304の両端部には夫々ネジ溝が形成されており、蝶ナット305が螺合できるようになっている。そして、自動車後部に設けられた牽引用バー65に装着部304を巻回して装着し、ベース部302のフック部303の上下に設けられた挿通孔302aに装着部304の両先端部を挿通して蝶ナット305を螺合することにより、代用フック301を牽引用バー65に対して固定できるように構成されている。
【0065】
また、図18には、例えば自動車後部のバンパーに取り付けられる代用フック401が示されている。同図(a)は、代用フック401の斜視図であり、同図(b)は、その使用態様を表す説明図である。
同図(a)及び(b)に示すように、代用フック401は、板状部材を曲げ加工して形成され、互いに平行な上部402a,下部402b、及びこれらをその一端部で上下に接続する接続部402cからなる横断面がコ字状のベース部402と、このベース部402の下部402bから接続部402cとは反対側に延設されたフック部403と、下部402bの下方から螺合装着され、その上端に円板状の押圧部404aを有する押圧部材404とから構成されている。押圧部404aの上部には、緩衝材としてのゴム部材404bが貼着されている。そして、同図(b)に示すように、ベース部402を自動車後部のバンパー66の一端に引っ掛けた状態で押圧部材404を下方からねじ上げ、上部402aと押圧部404aとの間にバンパー66の一端を挟みこむことにより、代用フック401をバンパー66に対して固定できるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るバイク牽引具の使用時の態様を表す説明図である。
【図2】バイク牽引具が適用される自動車のフックの設置位置を例示する説明図である。
【図3】バイク牽引具をバイクのフロントフォークに装着した状態を表す部分分解図である。
【図4】バイク牽引具のフォーク接続部の構成を表す説明図である。
【図5】バイク牽引具のベース部の構成を表す説明図である。
【図6】バイク牽引具のフック接続部の構成を表す説明図である。
【図7】バイク牽引具のフック接続部の構成を表す説明図である。
【図8】バイク牽引具の補強部の構成を表す説明図である。
【図9】バイク牽引具の牽引補助具の構成を表す斜視図である。
【図10】牽引補助具をバイクに装着した状態を表す説明図である。
【図11】牽引補助具の使用例を表す説明図である。
【図12】バイク牽引具の使用時の他の態様を表す説明図である。
【図13】バイク牽引具の使用時の他の態様における牽引動作を表す説明図である。
【図14】第2実施例に係る牽引補助具の構成を表す斜視図である。
【図15】第2実施例の牽引補助具の使用例を表す説明図である。
【図16】フック接続部の他の構成を表す説明図である。
【図17】代用フックの構成の一例を表す説明図である。
【図18】代用フックの他の構成を表す説明図である。
【符号の説明】
1・・・バイク牽引具、 10・・・牽引具、 11・・・フォーク接続部、
12・・・ベース部、 13・・・フック接続部、 14・・・補強部、
16・・・第1フォーク接続部、 17・・・第2フォーク接続部、
20,220・・・牽引補助具、 21,221・・・補助輪、
22・・・フレーム、 23・・・支持部、 24・・・伸縮機構、
50・・・バイク、 51・・・フロントフォーク、 52・・・荷台、
53・・・後輪、 60・・・自動車、 61,62・・・フック、
65・・・牽引用バー、 66・・・バンパー、 122・・・第1環状接続部、
123・・・第2環状接続部、 134・・・係止部、 221・・・載置部、223・・・固定具、 230・・・延出部、
301,401・・・代用フック
Claims (12)
- 自動車後部に設けられるフックとバイクに設けられた左右のフロントフォークとを接続し、該自動車により該バイクを牽引可能にするためのバイク牽引具であって、
一端が前記フロントフォークに接続されると共に、他端に向けて前記バイクの前方に延びる、左右に平行に夫々設けられたフォーク接続部と、
前記バイクの進行方向に対してほぼ直角方向に延びる長尺状の本体を有し、該本体に前記フォーク接続部の他端を夫々接続するベース部と、
一端が前記ベース部に接続されると共に、前記フォーク接続部とは反対側に延び、他端が前記フックに接続される長尺状のフック接続部と、
一端が前記ベース部の端部近傍に接続され、他端が前記フック接続部の他端近傍に接続され、該フック接続部に負荷される力の一部を請負う長尺状の補強部と、
を備えたことを特徴とするバイク牽引具。 - 前記フォーク接続部は、その前記一端近傍に前記バイクの進行方向に対してほぼ直角な軸を有する回動軸を備え、該回動軸を中心に回動可能に構成されたことを特徴とする請求項1記載のバイク牽引具。
- 前記ベース部は、自軸周りに回動可能な第1環状接続部及び第2環状接続部を外挿し、該第1環状接続部に前記フック接続部の一端を固定可能に構成され、該第2環状接続部に前記補強部の一端を固定可能に構成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバイク牽引具。
- 前記第1環状接続部及び前記第2環状接続部を前記ベース部の本体に対して固定し、その回動を阻止可能な固定手段が設けられたことを特徴とする請求項3記載のバイク牽引具。
- 前記第1環状接続部が複数設けられ、前記ベース部の少なくとも中央及び両端近傍に夫々配設されたことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のバイク牽引具。
- 前記フック接続部及び前記ベース部の少なくとも一方が、自軸方向に伸縮可能に構成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のバイク牽引具。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のバイク牽引具において、さらに、前記自動車後部に装着される代用フックを備えたことを特徴とするバイク牽引具。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のバイク牽引具において、さらに、前記バイクの後輪を浮上させて路面から離間させると共に、左右に設けられた補助輪によって前記バイクの後部を支持する牽引補助具を備えたことを特徴とするバイク牽引具。
- 前記牽引補助具は、
前記バイク後部の荷台に固定されるフレームと、
該フレームに接続され、前記バイクの左右にて前記補助輪を支持する支持部と、
該フレームに対して前記支持部を上下に伸長又は収縮させる伸縮機構と、
を備え、
前記伸縮機構により、前記バイクの牽引時に前記支持部を伸長させて前記補助輪を路面に下ろすことにより該バイクの後輪を浮上させる一方、前記バイクの非牽引時には前記支持部を収縮させて前記補助輪を路面から離間させることにより該バイクの後輪を路面に下ろすことが可能に構成されたことを特徴とする請求項8記載のバイク牽引具。 - 前記牽引補助具は、
前記バイクの後輪を載せて路面から離間させるための載置部と、
該載置部の左右に夫々設けられ該載置部を支持する補助輪と、
該載置部を前記バイクの後部に固定するための固定具と、
を備えたことを特徴とする請求項8記載のバイク牽引具。 - 請求項10記載のバイク牽引具において、
前記牽引補助具は、さらに、前記載置部から前記補助輪と離間する方向に延び、その先端に前記バイク後部に接続可能な接続部を有する延出部を備え、
該牽引補助具の不使用時に、前記接続部を前記バイク後部に接続することにより、該バイクによる該牽引補助具の牽引が可能に構成されたことを特徴とするバイク牽引具。 - 前記各補助輪が、互いに独立して回転可能に構成されたことを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載のバイク牽引具。
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-
2002
- 2002-07-01 JP JP2002192079A patent/JP2004034773A/ja active Pending
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