JP2004034611A - 高導電性樹脂成形品の成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】安価で形状の自由度の高い導電性樹脂成形品であって、耐腐食性に優れ、しかも導電性も十分に高い高導電性成形品を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂100重量部と、平均繊維直径が100nm以下の微細炭素繊維0.05〜50重量部とを含む熱可塑性樹脂組成物を射出成形する方法において、キャビティ表面温度を(Tc−50)℃〜(Tm)℃に設定した金型に熱可塑性樹脂組成物を充填して高導電性樹脂成形品を成形する。ただし、Tcは該熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度であり、Tmは該熱可塑性樹脂組成物の融点である。
【選択図】 図1
【解決手段】熱可塑性樹脂100重量部と、平均繊維直径が100nm以下の微細炭素繊維0.05〜50重量部とを含む熱可塑性樹脂組成物を射出成形する方法において、キャビティ表面温度を(Tc−50)℃〜(Tm)℃に設定した金型に熱可塑性樹脂組成物を充填して高導電性樹脂成形品を成形する。ただし、Tcは該熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度であり、Tmは該熱可塑性樹脂組成物の融点である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高導電性樹脂成形品の成形方法に係り、特に、情報電子、自動車、建築分野などの電気接点部品、電気接点摺動部品、電磁波シールド部品、電極部品、とりわけ蓄電池用接点部品や、燃料電池用のセパレータなど、腐食性の雰囲気下で使用する用途に好適な、耐腐食性に優れた高導電性樹脂成形品の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池の一つである固体高分子型燃料電池(高分子電解質燃料電池)は、電解質に高分子イオン交換膜を用いた燃料電池であり、出力密度が高く小型軽量化に有利である;電解質が固体であることから逸失がない;差圧に強く加圧制御が容易である;構造が簡単で電解質が腐食性でないため耐久性の面で有利である;動作温度が低いので部品材質選択や起動停止特性の面で有利であるなどの優れた特長を有し、従来は主として宇宙開発用、軍用といった特殊な用途に適用されていたが、近年は、その環境保全性を重視した自動車用途への適用が積極的に行われている。
【0003】
固体高分子型燃料電池は、例えば図1(b)に示す如く、両板面に複数本の溝1A,1Bを並設した2枚の電極支持板1,1を、図1(a)に示す如く、溝1A,1Bの形成面が対向するように向かい合わせ、この支持板1,1間に電解質膜2を介して電極、即ち空気極3と燃料極4とを設けた構造を、単一セルとしている。前記のセルを直列に複数重ね合わせて使用する場合、電極支持板は「セパレータ」と呼ばれる。
【0004】
固体高分子型燃料電池では、燃料極4側の支持板1の溝1Bを経て燃料極4に水素を、また、空気極3側の支持板1の溝1Aを経て空気極3に酸素をそれぞれ供給すると、電解質膜2の中を水素イオンがH+の形で移動することにより、以下のような反応が起こり、電力を取り出すことができる。
【0005】
燃料極(アノード):H2→2H++2e−
空気極(カソード):1/2O2+2H++2e−→H2O
【0006】
従来、固体高分子型燃料電池の電解質膜としては、イオン交換膜やパーフロロカーボンスルホン酸膜などが用いられている。また、電極(空気極,燃料極)としては、カーボンメッシュに白金を担持させたものが用いられている。そして、電極支持板は、これらの電極及び電解質膜を支持すると同時に、電極で発生した電子を取り出すものであるが、一般に、カーボン又はグラファイトの焼結体が用いられている。
【0007】
このような燃料電池セパレータや電磁波シールド部品、及び各種の電気接点部材などの導電性部品には、高い導電性が要求される。特に、燃料電池セパレータ用途においては、酸性高温の腐食環境下にさらされることから、このような腐食に起因する導電性の低下の問題のない、耐腐食性に優れた高導電性材料が望まれる。
【0008】
従来電磁波シールド部品用途にあっては、熱可塑性樹脂に炭素繊維やカーボンブラック、金属繊維などの導電性充填材を添加した導電性樹脂組成物が使用されているが、導電性には限界があり、使用できる範囲は広くない。また、導電性を向上させるために、導電性充填材を大量に添加すると、成形性、物性の低下や外観の不良が生じる。
【0009】
また、複写機のローラー用軸受けなどの、摺動性かつ電気接点部品においては、導電性と摺動性を両立する事が要求されるが、一般に導電性充填材を大量に添加する事は、摺動性(特に耐摩耗性)の著しい低下を引き起こす。
【0010】
一方、上述の用途に対して、金属ダイキャスト、板金プレス、金属メッキなどによるものでは、導電性は充分に高いものの、形状の自由度に劣り、コストアップに繋がりやすいだけでなく、屋外や水中で使用する際は、腐食によって導電性は低下する問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、安価で形状の自由度の高い導電性樹脂成形品であって、耐腐食性に優れ、しかも少ない導電性フィラーの添加で導電性も十分に高い高導電性成形品を成形する方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の高導電性樹脂成形品の成形方法は、熱可塑性樹脂100重量部と、平均繊維直径が100nm以下の微細炭素繊維0.05〜50重量部とを含む熱可塑性樹脂組成物を金型のキャビティに射出して高導電性樹脂成形品を成形する方法において、該キャビティの表面温度を(Tc−50)℃以上Tm℃以下に設定した金型に、該熱可塑性樹脂組成物を射出することを特徴とする。ただし、Tcは該熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度であり、Tmは該熱可塑性樹脂組成物の融点である。
【0013】
なお、本発明において、熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度(Tc)は、示差走査型熱量計(DSC)で測定される降温時の結晶化曲線のピーク温度から求められる。ピークが複数存在する場合には、最も高温側のピーク温度を該熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度とする。また、熱可塑性樹脂組成物の融点(Tm)は同じくDSCの昇温時の融解ピーク温度から特定される。
【0014】
導電性熱可塑性樹脂組成物の射出成形品は、形状の自由度が高く、安価であり、耐腐食性にも優れる。しかも、本発明の成形方法によれば、平均繊維直径100nm以下の微細炭素繊維の絡み合いを十分に確保して著しく高い導電性を実現することができる。
【0015】
即ち、微細炭素繊維を配合した導電性熱可塑性樹脂成形品にあっては、微細炭素繊維が均一分散ではなく、ある程度凝集したないしは絡まり合った状態にて熱可塑性樹脂マトリックス中に分散して連続状のネットワークを形成している場合には、高い導電性を得ることができる。これに対して、微細炭素繊維が熱可塑性樹脂マトリックス中に均一に分散すると、微細炭素繊維同士の導通が得られず、導電性が低くなる。微細炭素繊維同士が凝集して相互に接触ないし近接してネットワーク状となることにより、導電性が高くなる。
【0016】
なお、一般に、樹脂(熱可塑性樹脂組成物)の射出成形工程においては、樹脂を金型内に充填する際に、樹脂の流動によって微細炭素繊維は剪断力を受け、引き延ばされて微細炭素繊維同士の絡み合いが減少する。この状態のままで樹脂が冷却固化されると、引き延ばされた状態で微細炭素繊維が拘束されることになり、微細炭素繊維同士のネットワークが少なくなり、得られる成形品の導電性は低いものとなる。
【0017】
ところが、金型内に充填された樹脂の粘度が十分に低い場合には、微細炭素繊維の弾性回復により、再度絡み合いが起こり、その結果、微細炭素繊維同士の接触が良好な導電性ネットワークが復元される。
【0018】
即ち、射出成形時に金型内に充填された後の樹脂の粘度が十分に低ければ、金型内で微細炭素繊維の絡み合いによるネットワークが復元して、得られる成形品の導電性は著しく向上する。
【0019】
従来の成形法では、一般に、射出成形の金型キャビティの表面温度は、結晶性樹脂の場合、樹脂を金型中で十分に結晶化させるための温度として、結晶化温度(Tc)に対して−60℃〜−100℃程度に設定される。この温度範囲においては、樹脂の粘度が高く、微細炭素繊維の絡み合いによる導電性ネットワークの復元は生じない。
【0020】
即ち、例えば、射出成形により成形品を製造した場合、図2(a)に示す如く、熱可塑性樹脂と微細炭素繊維11を含む成形原料10を金型のキャビティ(成形空間)12に射出すると、成形原料10の溶融物自体の温度は240〜300℃であっても、金型の温度が低い(例えば60〜140℃)ために、射出された原料は金型のキャビティ面で急冷されることとなり、図2(b)に示す如く、キャビティ面13に近い、成形品の表面近傍では、微細炭素繊維11が射出方向に配向したまま流動性を失った樹脂により拘束されることとなり、この部分で導電性が低下し、高抵抗となる。なお、成形品の内部では、このような急冷の影響が少なく、微細炭素繊維11はランダムに配向し、互いの絡み合いで比較的良好な導電性が得られる。
【0021】
これに対し、本発明においては、キャビティの表面温度を従来よりも高い範囲に設定することによって樹脂の粘度を低下させ、図2(c)に示す如く、微細炭素繊維11同士の絡み合いを復元させて、良好な導電性を確保することができる。
【0022】
なお、本発明においては、熱可塑性樹脂として、結晶化温度(Tc)を有する結晶性熱可塑性樹脂を用いる。本発明において、熱可塑性樹脂として結晶性熱可塑性樹脂を用いることは、本発明の効果を得る上で重要である。
【0023】
即ち、結晶性熱可塑性樹脂は、溶融状態からの冷却過程において、結晶化温度(Tc)に至るまでは粘度が低い状態であり、粘度の絶対値も比較的安定しており、結晶化温度付近から結晶化が開始して急激に粘度が上昇する。本発明では、樹脂が溶融状態、即ち結晶化温度よりも十分に高い温度で金型内に射出充填され、金型内で冷却される際に、上記範囲の結晶化温度付近の比較的高温の金型で冷却されることにより、比較的長時間の間、粘度の低い状態に維持されるために、微細炭素繊維の絡み合いが生じ、ネットワークが復元する。
【0024】
一方、非結晶性樹脂の場合、ガラス転移温度(Tg)以上で溶融が開始して、粘度が徐々に低下する。この場合、ガラス転移温度付近の温度に金型表面温度を設定しても、溶融樹脂の粘度が比較的高いために、ネットワークの復元は起こりにくい。キャビティ表面温度を更に上昇させると、金型内での固化が不十分となり、金型内から成形品を取り出すことが不可能となる。その結果、ガラス転移温度よりも100℃程度以上高い温度の金型に溶融樹脂を充填した後、キャビティ表面温度をガラス転移温度以下まで低下させる必要があり、生産性が著しく低下する。
【0025】
本発明において、射出時のキャビティ表面温度は、特に、(Tc−50)℃〜{(Tc+Tm)/2}℃であることが好ましい。また、TmがTcよりも15℃以上高いときには、射出時のキャビティ表面温度は(Tc−50)℃〜(Tc+15)℃であることが好ましく、特に、(Tc−50)℃〜(Tc+5)℃、とりわけ(Tc−30)℃〜(Tc+5)℃であることが好ましい。
【0026】
本発明で使用する微細炭素繊維は、その屈曲度が10°以上望ましくは20°以上、更に望ましくは40°以上のものが望ましい。屈曲度は微細炭素繊維同士の絡み易さの目安となる値であり、微細炭素繊維が絡み合いネットワークを形成することにより導電性ネットワークが形成されて導電性が発現することができる。
【0027】
微細炭素繊維の屈曲度は、成形品の樹脂成分を溶媒やイオンスパッタリング等で除去して、微細炭素繊維を露出させるか、又は成形品より切り出した超薄切片を電子顕微鏡観察することによって測定する。屈曲度は図3に示すように、微細炭素繊維を顕微鏡で観察し、同一繊維上の、繊維径の5倍(繊維径(図3のd)を測定し、デバイダ等で繊維に沿って計る等の方法による)離れた任意の2点A,Bを選び、それぞれの点に接線LA,LBを引いて、接線LA,LBの交差する点Qの外角(図3にαで示す)を測定する。10点の平均値をとり、屈曲度とする。
【0028】
即ち、繊維が直線的であればこの屈曲度は0°となり、半円で180°、円を描けば360°となる。
【0029】
例えば従来の炭素繊維(ピッチ系、PAN系)は、繊維直径が7〜13μm程度の、剛直かつ直線的な繊維であり、屈曲度は10°未満となる。かかる直線的な繊維では、お互いの絡み合いが生じることはなく、高導電性が得られるようなネットワーク構造を形成することは難しい。
【0030】
また、本発明で用いる微細炭素繊維は長さ/径比が5以上であることが、高導電性を得るためのネットワーク形成の上で好ましい。
【0031】
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、微細炭素繊維の他、第2の導電性充填材として、平均繊維直径0.5〜50μmの繊維状導電性充填材と、平均粒子径0.5〜200μmの粒子状及び/又は鱗片状導電性充填材とのいずれか一方又は双方を、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.5〜500重量部含んでいても良い。
【0032】
本発明の高導電性樹脂成形品の成形方法は、高導電性樹脂成形品としての電磁波シールド部品又は燃料電池セパレータの成形に好適である。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の高導電性樹脂成形品の成形方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0034】
まず、本発明で用いる成形原料としての導電性熱可塑性樹脂組成物の配合成分について説明する。
【0035】
<熱可塑性樹脂>
本発明で使用する熱可塑性樹脂は、結晶性熱可塑性樹脂であり、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、シンジオタクティック(結晶性)ポリスチレンなどが挙げられる。
【0036】
特に、燃料電池セパレータとして使用する場合には、耐水性、耐酸性、耐熱性が要求されるため、上記結晶性熱可塑性の中でもポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン、シンジオタクティック(結晶性)ポリスチレンなどを使用することが好ましい。
【0037】
<微細炭素繊維>
本発明で使用される微細炭素繊維は、平均繊維直径が100nm以下の微細炭素繊維であり、例えば気相成長法(具体的にはアーク放電法、化学的気相分解法など)により製造される。例えば特表平8−508534号公報に記載されている炭素フィブリルを使用することができる。
【0038】
炭素フィブリルは、当該フィブリルの円柱状軸に実質的に同心的に沿って沈着されているグラファイト外層を有し、その繊維中心軸は直線状でなく、うねうねと曲がりくねった管状の形態を有する。この管状の形態を有する炭素フィブリルの壁厚み(管状体の壁厚)は、通常3.5〜75nm程度である。これは、通常、炭素フィブリルの外径の約0.1〜0.4倍に相当する。この、炭素フィブリルの繊維径は製法に依存し、ほぼ均一なものである。
【0039】
本発明において、炭素フィブリル等の微細炭素繊維の平均繊維直径が100nmより大きいと、樹脂中での微細炭素繊維同士の接触が不十分となり、導電性を十分に発現させるためには多量の添加が必要となり、また、安定した導電性が得られ難い。従って、微細炭素繊維としては平均繊維直径100nm以下、好ましくは20nm以下のものを用いる。
【0040】
一方、微細炭素繊維の平均繊維直径は、0.1nm以上、特に0.5nm以上であることが好ましい。繊維径がこれより小さいと、製造が著しく困難であり、製品のコストアップを招く。
【0041】
また、微細炭素繊維は、長さと径の比(長さ/径比、即ちアスペクト比)が5以上のもの、好ましくは10以上、とりわけ好ましくは100以上のものであることが好ましい。このような長さ/径比のものであれば、導電性ネットワークを形成しやすく、少量添加で優れた導電性を発現することができる。
【0042】
なお、微細炭素繊維の繊維直径、長さ(長さ/径比)は、例えば、得られた成形品の樹脂成分を溶媒やイオンスパッタリング等で除去して、微細炭素繊維を露出させて電子顕微鏡で観察するか、或いは成形品より切り出した超薄切片を電子顕微鏡観察することにより測定することができ、このような電子顕微鏡の観察において10本の実測値の平均値で得られる。
【0043】
微細炭素繊維はその少なくとも一部分が凝集体の形態である場合、原料となるマトリックス樹脂中に、面積ベースで測定して約50μmより大きい径を有する微細炭素繊維凝集体、望ましくは10μmよりも大きい径を有する微細炭素繊維凝集体を含有していないことが、所望の導電性を発現するための添加量が少なくてすみ、機械物性を低下させない点で望ましい。
【0044】
また、前述の如く、微細炭素繊維は屈曲度が10゜以上、特に20゜以上、とりわけ40゜以上であることが、微細炭素繊維同士の絡み合いが多く、高導電性を実現するためのネットワークを形成しやすくなり、好ましい。
【0045】
なお、平均繊維直径、長さ/径比、及び屈曲度を測定する微細炭素繊維は、樹脂に溶融混練する前のものでも、樹脂成形品中に分散された状態のものでも良い。樹脂成形品中に分散された微細炭素繊維を観察してこれらの値を測定するには、前述の如く、樹脂成分を溶融やイオンスパッタリングなどで除去して微細炭素繊維を露出させるか、又は成形品より切り出した超薄切片を電子顕微鏡で観察することによって測定する。
【0046】
上記諸物性を有する微細炭素繊維としては、市販のものを使用することができる。例えば、ハイペリオンカタリシスインターナショナル社の、カーボンナノチューブを使用することができる。
【0047】
このような微細炭素繊維の熱可塑性樹脂組成物中の配合割合は、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.05〜50重量部、好ましくは0.5〜15重量部、より好ましくは1〜5重量部である。微細炭素繊維の割合がこの範囲よりも少ないと十分な導電性が得られず、多いと得られる成形品の機械的特性や成形性が損なわれ、またコストアップに繋がり、好ましくない。
【0048】
<第2の導電性充填材>
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物には、第2の導電性充填材として、
平均繊維直径0.5〜50μmの繊維状導電性充填材、
及び/又は
平均粒子径0.5〜200μmの粒子状及び/又は鱗片状導電性充填材
を、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.5〜500重量部添加することにより、得られる成形品の導電性をより一層向上させることができ好ましい。
【0049】
特に、本発明により成形される成形品を電極や接点、燃料電池セパレータなどの高度の導電性が要求される部品に使用する場合には、このような第2の導電性充填材を添加することにより、得られる成形品の体積抵抗値を1×101Ω・cm以下とすることが望ましい。
【0050】
この場合、絡み合った微細炭素繊維のネットワークが、繊維状導電性充填材や粒子状/鱗片状導電性充填材の間を有効に繋ぎ、高度の導電性ネットワークが形成され、その結果、導電性が著しく向上する。
【0051】
この第2の導電性充填材の繊維状導電性充填材としては、炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維、ニッケル繊維、銅繊維などが使用できる。また、炭素繊維や、非導電性のガラス繊維に、ニッケル等の導電性皮膜を形成したものを使用しても良い。
【0052】
一方、粒子状又は鱗片状の導電性充填材としては、アルミニウムやステンレスなどの金属、カーボン、黒鉛などの導電性物質の粒子状又は鱗片状のものが使用できる。
【0053】
第2の導電性充填材に繊維状導電性充填材を使用する場合、この繊維状導電性充填材の平均繊維直径が、微細炭素繊維の平均繊維直径の50倍以上、望ましくは500倍以上であると、導電性の向上効果が大きい。また、粒子状又は鱗片状の導電性充填材を使用する場合、その平均粒子径が微細炭素繊維の平均繊維直径の100倍以上、望ましくは1000倍以上であると、導電性の向上効果が大きい。
【0054】
なお、ここで言う第2の導電性充填材の平均繊維直径、平均粒子径とは、電子顕微鏡で観察して少なくとも20点測定した平均値である。また、鱗片状導電性充填材の粒子径は、平面方向に測定した値の同平均値である。
【0055】
本発明により成形された高導電性樹脂成形品を、燃料電池セパレータとして使用する場合には、第2の導電性充填材として、カーボン、黒鉛などの非金属系の導電性充填材を使用すると、腐食やイオンの流出が低減できるので望ましい。特に、ポリアクリロニトリルより製造されるPAN系炭素繊維の、平均繊維直径6〜10μm、平均繊維長さ3〜10mmのものを第2の導電性充填材として添加すると、導電性の向上が著しい。
【0056】
なお、本発明で用いる炭素微細繊維及び第2の導電性充填材には、マトリックス樹脂として使用する熱可塑性樹脂との分散性や接着性を向上させるために、各種の表面処理や分散剤による処理を施しても良い。この場合、例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などのカップリング剤や、非極性セグメントと極性セグメントのブロック又はグラフト共重合体などを使用することができる。
【0057】
<添加成分>
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で上記以外の任意の添加成分を配合することができる。
【0058】
例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラックなどの各種カーボンブラック、ガラス繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、チタン酸カリウム繊維、ほう酸アルミニウム繊維等の無機繊維状強化材、アラミド繊維、ポリイミド繊維、フッ素樹脂繊維等の有機繊維状強化材、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ガラスビーズ、ガラスパウダー、ガラスバルーン等の無機充填材、パラフィンオイル等の可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、相溶化剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色剤、防菌剤、蛍光増白剤等といった各種添加剤を挙げることができる。
【0059】
本発明で成形される高導電性樹脂成形品を、複写機の帯電ローラー用軸受けなどの摺動電気接点部品として使用する場合は、ポリ四フッ化エチレン樹脂、ポリエチレン、二硫化モリブデン、潤滑油などの潤滑剤成分を添加するのが望ましい。
【0060】
<成形方法>
本発明の高導電性樹脂成形品の成形方法は、通常の熱可塑性樹脂の成形方法で実施することができる。例えば熱可塑性樹脂に微細炭素繊維、その他の添加成分を予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押し出し機、二軸混練押し出し機、ニーダーなどで溶融混練することによって導電性熱可塑性樹脂組成物を製造し、その後、射出成形して高導電性樹脂成形品を得ることができる。
【0061】
射出成形方法としては、通常の成形方法の他に、本発明に係る上記熱可塑性樹脂組成物及び他の熱可塑性樹脂材料との2色成形や、射出圧縮成形、金属やプラスチック部品のインサート成形を用いることができる。
【0062】
<金型キャビティの表面温度>
本発明において、射出成形時に熱可塑性樹脂組成物を金型内に充填する際のキャビティ表面温度は、熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度(Tc)に対して50℃低い温度以上であって、熱可塑性樹脂組成物の融点(Tm)以下とする。キャビティ表面温度がこの範囲よりも低いと、樹脂の冷却速度が速すぎるため、微細炭素繊維の絡み合いによるネットワークの復元が起こりにくく、その結果、導電性の向上効果が得られない。一方、これより高いと、金型から成形品を取り出すために、金型を大幅に冷却する必要が生じ、成形サイクル時間が長くなって、生産性を損なう。
【0063】
キャビティ表面温度は特に(Tc−50)℃〜{(Tc+Tm)/2}℃が好ましい。なお、通常の熱可塑性樹脂の場合、Tm≧Tc+15℃であるので、この場合は、キャビティ表面温度は、(Tc−50)℃〜(Tc+15)℃、特に(Tc−50)℃〜(Tc+5)℃、とりわけ(Tc−30)℃〜(Tc+5)℃であることが望ましい。
【0064】
熱可塑性樹脂組成物が前記第2の導電性充填材を10重量%以下含む場合には、このキャビティ表面温度を(Tc)℃以下、特に(Tc−5)℃以下とするのが、成形品の変形等が少ない点で望ましい。
【0065】
キャビティ表面温度を上記範囲に設定するために、熱媒や、ヒーターを金型に組み込んだり、特開昭57−36610号公報に開示されているような高周波誘導加熱方法を採用しても良い。
【0066】
なお、キャビティ表面温度は熱可塑性樹脂組成物の射出充填時に上記温度範囲に維持されていれば良く、その後は降温しても良いが、ヒーター等により上記温度範囲に0.5〜100秒程度維持した後降温させるようにしても良い。
【0067】
成形品は、用いた熱可塑性樹脂の種類によっても異なるが、通常の場合、キャビティ表面温度がTcよりも5〜100℃程度低い温度まで低下した後金型より取り出される。
【0068】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0069】
なお、以下の実施例及び比較例で用いた原料成分は下記の通りである。
【0070】
PPS樹脂1:大日本インキ社製 商品名「トープレンLC−6」
PPS樹脂2:大日本インキ社製 商品名「トープレンT−1」
PBT樹脂:三菱エンジニアリングプラスチック社製商品名「ノバドゥール5010」
PC樹脂:三菱エンジニアリングプラスチック社製商品名「ユーピロンS3000」
微細炭素繊維:ハイペリオンカタリシス社製 カーボンナノチューブ
鱗片状黒鉛1:日本黒鉛社製 商品名「CPB」
鱗片状黒鉛2:日本黒鉛社製 商品名「CB100」
炭素繊維:東邦レーヨン社製 商品名「ベスファイトHTA−C6−SRS」(繊維カット長6mm)
【0071】
実施例1〜16、比較例1〜32
【0072】
(1) 混練配合
各原料を表1に示す配合で混合し、2軸押出機(池貝鉄鋼社製「PCM45」、L/D=32(L;スクリュー長、D;スクリュー径))を用いて、表1に示すバレル温度にてスクリュー回転数160rpmで溶融混練して各組成物のペレットを得た。
【0073】
なお、微細炭素繊維を配合する場合の配合混練は、予めマトリックス樹脂に微細炭素繊維を15重量%添加したマスターバッチを製造し、これを希釈して所定の微細炭素繊維添加量とした。
【0074】
【表1】
【0075】
(2) 結晶化温度及び融点
各熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度は示差走査型熱量計DSCを用いて測定した。測定条件は、まず20℃から340℃まで20℃/分で昇温し、1分間保持した後、340℃から50℃まで10℃/分で降温し、結晶化温度を求めた。その後、再度10℃/分で昇温して、融点を求めた。
【0076】
(3) 炭素繊維の繊維径及び鱗片状黒鉛の粒径
光学顕微鏡にて観察して、炭素繊維の繊維径及び鱗片状黒鉛の平面方向の粒径を、それぞれ150〜200点ずつ測定して平均値を算出した。なお、鱗片状黒鉛の粒径は、平面方向に、かつ最も直径が大きくなる径(長径)を測定した。
【0077】
以下に結果を示す。
【0078】
炭素繊維の平均繊維直径:7.2μm
鱗片状黒鉛1の平均粒子径:16.3μm
鱗片状黒鉛2の平均粒子径:57.0μm
【0079】
(4) 抵抗値測定用シートサンプルの成形
得られた各組成物のペレットを、75TON射出成形機にて、ヒーター及び熱電対を組み込んだ金型を用いて、キャビティ表面温度をコントロールしながら、67mm×90mm×3mm(厚み)のシートを成形した。シリンダ温度、射出速度及び冷却時間は表2〜9の各表に示す通りとした。
【0080】
(5) 微細炭素繊維の繊維直径、長さ/径比、屈曲度
組成物1の抵抗値測定用シートサンプルから、樹脂の流動方向に沿って超薄切片を切り出し、透過型電子顕微鏡にて観察し、微細炭素繊維の繊維直径、長さ/径比、屈曲度をそれぞれ10点測定し、平均値を算出した。結果を以下に示す。
【0081】
平均繊維直径:10.5nm
長さ/径比:30以上
屈曲度:42゜
【0082】
なお、ここで、長さ/径比については、超薄切片を作製する際に、繊維の一部が切断されるために、正確な繊維長を測定することができないが、少なくとも本発明の範囲内であることを確認した。
【0083】
また、上記の結果より、微細炭素繊維の平均繊維直径と、各実施例で用いた第2の導電性充填材である炭素繊維の繊維径又は鱗片状黒鉛の粒径との比は、以下のようになる。
【0084】
炭素繊維の場合:686(7.2μm/10.5nm)
鱗片状黒鉛1の場合:1552(16.3μm/10.5nm)
鱗片状黒鉛2の場合:5429(57.0μm/10.5nm)
【0085】
(6) 体積抵抗値の測定
図4に示す抵抗値測定用シートサンプル20の測定位置Aの部分の抵抗値を測定して体積抵抗値(Ω・cm)を得た。測定は、以下の要領で行い、3つのサンプルについて抵抗値を測定して、平均値を求めた。
【0086】
1×104Ω・cm以上の場合:ダイヤインスツルメント社製ハイレスタUP印加電圧10VUAプローブ(2探針、探針間距離20mm)
1×104Ω・cm未満の場合:ダイヤインスツルメント社製ロレスタSPASPプローブ(4探針、探針間距離5mm)
【0087】
結果を表2〜9に示す。
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】
【表4】
【0091】
【表5】
【0092】
【表6】
【0093】
【表7】
【0094】
【表8】
【0095】
【表9】
【0096】
表2,3,5,6,8より、導電性充填材として微細炭素繊維を用い、キャビティ表面温度を(Tg−50)℃〜(Tm)℃の範囲に設定して射出成形することにより体積抵抗値の小さい高導電性樹脂成形品が得られることがわかる。特に、表3,5,6,8より、微細炭素繊維と第2の導電性充填材とを併用することにより、導電性をより一層高めることができることがわかる。
【0097】
微細炭素繊維を添加していない組成物3(表4)、組成物6(表7)においては、金型キャビティ表面温度を本発明の条件の範囲にて成形しても、導電性は殆ど改善されない。
【0098】
なお、導電性(抵抗値)の絶対値は、充填材の添加量によって異なるが、同一の組成物による成形品において、本発明の範囲のキャビティ表面温度条件で成形した成形品は、発明の範囲外の条件で成形された成形品に比較して、導電性が改良される。
【0099】
逆に言えば、望ましい導電性を得るための導電性充填材の添加量を少なくする事が可能となる。
【0100】
例えば組成物5(表6)は、組成物6(表7)よりも導電性充填材の添加量が少ないにも拘らず、微細炭素繊維と金型キャビティ表面温度条件とより、本発明の効果が発現され、高い導電性を示している。
【0101】
更に、非結晶性熱可塑性樹脂を用いた組成物8では、キャビティ表面温度を高くすることによる導電性の向上効果は得られず、成形不良を引き起こす(表9)。
【0102】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の高導電性樹脂成形品の成形方法によれば、安価で形状の自由度の高い導電性樹脂成形品であって、耐腐食性に優れ、しかも導電性も十分に高い高導電性成形品が提供される。
【0103】
本発明の高導電性成形品は、情報電子、自動車、建築分野などの電気接点部品、電磁波シールド部品、電極部品、蓄電池用接点部品や、燃料電池セパレータなどの、腐食性の雰囲気下で使用する用途に工業的に極めて有用であり、特に燃料電池セパレータや電磁波シールド部品、とりわけ固体高分子型燃料電池セパレータとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は固体高分子型燃料電池の構造を示す模式的な断面図であって、図1(b)は電極支持板(セパレータ)を示す斜視図である。
【図2】射出成形品の微細炭素繊維の配向を示す断面図である。
【図3】微細炭素繊維の屈曲度の測定法を示す図である。
【図4】実施例及び比較例における体積抵抗値の測定位置を示す抵抗値測定用シートサンプルの平面図である。
【符号の説明】
1 電極支持板
1A,1B 溝
2 電解質膜
3 空気極
4 燃料極
10 成形原料
11 微細炭素繊維
20 シートサンプル
【発明の属する技術分野】
本発明は高導電性樹脂成形品の成形方法に係り、特に、情報電子、自動車、建築分野などの電気接点部品、電気接点摺動部品、電磁波シールド部品、電極部品、とりわけ蓄電池用接点部品や、燃料電池用のセパレータなど、腐食性の雰囲気下で使用する用途に好適な、耐腐食性に優れた高導電性樹脂成形品の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池の一つである固体高分子型燃料電池(高分子電解質燃料電池)は、電解質に高分子イオン交換膜を用いた燃料電池であり、出力密度が高く小型軽量化に有利である;電解質が固体であることから逸失がない;差圧に強く加圧制御が容易である;構造が簡単で電解質が腐食性でないため耐久性の面で有利である;動作温度が低いので部品材質選択や起動停止特性の面で有利であるなどの優れた特長を有し、従来は主として宇宙開発用、軍用といった特殊な用途に適用されていたが、近年は、その環境保全性を重視した自動車用途への適用が積極的に行われている。
【0003】
固体高分子型燃料電池は、例えば図1(b)に示す如く、両板面に複数本の溝1A,1Bを並設した2枚の電極支持板1,1を、図1(a)に示す如く、溝1A,1Bの形成面が対向するように向かい合わせ、この支持板1,1間に電解質膜2を介して電極、即ち空気極3と燃料極4とを設けた構造を、単一セルとしている。前記のセルを直列に複数重ね合わせて使用する場合、電極支持板は「セパレータ」と呼ばれる。
【0004】
固体高分子型燃料電池では、燃料極4側の支持板1の溝1Bを経て燃料極4に水素を、また、空気極3側の支持板1の溝1Aを経て空気極3に酸素をそれぞれ供給すると、電解質膜2の中を水素イオンがH+の形で移動することにより、以下のような反応が起こり、電力を取り出すことができる。
【0005】
燃料極(アノード):H2→2H++2e−
空気極(カソード):1/2O2+2H++2e−→H2O
【0006】
従来、固体高分子型燃料電池の電解質膜としては、イオン交換膜やパーフロロカーボンスルホン酸膜などが用いられている。また、電極(空気極,燃料極)としては、カーボンメッシュに白金を担持させたものが用いられている。そして、電極支持板は、これらの電極及び電解質膜を支持すると同時に、電極で発生した電子を取り出すものであるが、一般に、カーボン又はグラファイトの焼結体が用いられている。
【0007】
このような燃料電池セパレータや電磁波シールド部品、及び各種の電気接点部材などの導電性部品には、高い導電性が要求される。特に、燃料電池セパレータ用途においては、酸性高温の腐食環境下にさらされることから、このような腐食に起因する導電性の低下の問題のない、耐腐食性に優れた高導電性材料が望まれる。
【0008】
従来電磁波シールド部品用途にあっては、熱可塑性樹脂に炭素繊維やカーボンブラック、金属繊維などの導電性充填材を添加した導電性樹脂組成物が使用されているが、導電性には限界があり、使用できる範囲は広くない。また、導電性を向上させるために、導電性充填材を大量に添加すると、成形性、物性の低下や外観の不良が生じる。
【0009】
また、複写機のローラー用軸受けなどの、摺動性かつ電気接点部品においては、導電性と摺動性を両立する事が要求されるが、一般に導電性充填材を大量に添加する事は、摺動性(特に耐摩耗性)の著しい低下を引き起こす。
【0010】
一方、上述の用途に対して、金属ダイキャスト、板金プレス、金属メッキなどによるものでは、導電性は充分に高いものの、形状の自由度に劣り、コストアップに繋がりやすいだけでなく、屋外や水中で使用する際は、腐食によって導電性は低下する問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、安価で形状の自由度の高い導電性樹脂成形品であって、耐腐食性に優れ、しかも少ない導電性フィラーの添加で導電性も十分に高い高導電性成形品を成形する方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の高導電性樹脂成形品の成形方法は、熱可塑性樹脂100重量部と、平均繊維直径が100nm以下の微細炭素繊維0.05〜50重量部とを含む熱可塑性樹脂組成物を金型のキャビティに射出して高導電性樹脂成形品を成形する方法において、該キャビティの表面温度を(Tc−50)℃以上Tm℃以下に設定した金型に、該熱可塑性樹脂組成物を射出することを特徴とする。ただし、Tcは該熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度であり、Tmは該熱可塑性樹脂組成物の融点である。
【0013】
なお、本発明において、熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度(Tc)は、示差走査型熱量計(DSC)で測定される降温時の結晶化曲線のピーク温度から求められる。ピークが複数存在する場合には、最も高温側のピーク温度を該熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度とする。また、熱可塑性樹脂組成物の融点(Tm)は同じくDSCの昇温時の融解ピーク温度から特定される。
【0014】
導電性熱可塑性樹脂組成物の射出成形品は、形状の自由度が高く、安価であり、耐腐食性にも優れる。しかも、本発明の成形方法によれば、平均繊維直径100nm以下の微細炭素繊維の絡み合いを十分に確保して著しく高い導電性を実現することができる。
【0015】
即ち、微細炭素繊維を配合した導電性熱可塑性樹脂成形品にあっては、微細炭素繊維が均一分散ではなく、ある程度凝集したないしは絡まり合った状態にて熱可塑性樹脂マトリックス中に分散して連続状のネットワークを形成している場合には、高い導電性を得ることができる。これに対して、微細炭素繊維が熱可塑性樹脂マトリックス中に均一に分散すると、微細炭素繊維同士の導通が得られず、導電性が低くなる。微細炭素繊維同士が凝集して相互に接触ないし近接してネットワーク状となることにより、導電性が高くなる。
【0016】
なお、一般に、樹脂(熱可塑性樹脂組成物)の射出成形工程においては、樹脂を金型内に充填する際に、樹脂の流動によって微細炭素繊維は剪断力を受け、引き延ばされて微細炭素繊維同士の絡み合いが減少する。この状態のままで樹脂が冷却固化されると、引き延ばされた状態で微細炭素繊維が拘束されることになり、微細炭素繊維同士のネットワークが少なくなり、得られる成形品の導電性は低いものとなる。
【0017】
ところが、金型内に充填された樹脂の粘度が十分に低い場合には、微細炭素繊維の弾性回復により、再度絡み合いが起こり、その結果、微細炭素繊維同士の接触が良好な導電性ネットワークが復元される。
【0018】
即ち、射出成形時に金型内に充填された後の樹脂の粘度が十分に低ければ、金型内で微細炭素繊維の絡み合いによるネットワークが復元して、得られる成形品の導電性は著しく向上する。
【0019】
従来の成形法では、一般に、射出成形の金型キャビティの表面温度は、結晶性樹脂の場合、樹脂を金型中で十分に結晶化させるための温度として、結晶化温度(Tc)に対して−60℃〜−100℃程度に設定される。この温度範囲においては、樹脂の粘度が高く、微細炭素繊維の絡み合いによる導電性ネットワークの復元は生じない。
【0020】
即ち、例えば、射出成形により成形品を製造した場合、図2(a)に示す如く、熱可塑性樹脂と微細炭素繊維11を含む成形原料10を金型のキャビティ(成形空間)12に射出すると、成形原料10の溶融物自体の温度は240〜300℃であっても、金型の温度が低い(例えば60〜140℃)ために、射出された原料は金型のキャビティ面で急冷されることとなり、図2(b)に示す如く、キャビティ面13に近い、成形品の表面近傍では、微細炭素繊維11が射出方向に配向したまま流動性を失った樹脂により拘束されることとなり、この部分で導電性が低下し、高抵抗となる。なお、成形品の内部では、このような急冷の影響が少なく、微細炭素繊維11はランダムに配向し、互いの絡み合いで比較的良好な導電性が得られる。
【0021】
これに対し、本発明においては、キャビティの表面温度を従来よりも高い範囲に設定することによって樹脂の粘度を低下させ、図2(c)に示す如く、微細炭素繊維11同士の絡み合いを復元させて、良好な導電性を確保することができる。
【0022】
なお、本発明においては、熱可塑性樹脂として、結晶化温度(Tc)を有する結晶性熱可塑性樹脂を用いる。本発明において、熱可塑性樹脂として結晶性熱可塑性樹脂を用いることは、本発明の効果を得る上で重要である。
【0023】
即ち、結晶性熱可塑性樹脂は、溶融状態からの冷却過程において、結晶化温度(Tc)に至るまでは粘度が低い状態であり、粘度の絶対値も比較的安定しており、結晶化温度付近から結晶化が開始して急激に粘度が上昇する。本発明では、樹脂が溶融状態、即ち結晶化温度よりも十分に高い温度で金型内に射出充填され、金型内で冷却される際に、上記範囲の結晶化温度付近の比較的高温の金型で冷却されることにより、比較的長時間の間、粘度の低い状態に維持されるために、微細炭素繊維の絡み合いが生じ、ネットワークが復元する。
【0024】
一方、非結晶性樹脂の場合、ガラス転移温度(Tg)以上で溶融が開始して、粘度が徐々に低下する。この場合、ガラス転移温度付近の温度に金型表面温度を設定しても、溶融樹脂の粘度が比較的高いために、ネットワークの復元は起こりにくい。キャビティ表面温度を更に上昇させると、金型内での固化が不十分となり、金型内から成形品を取り出すことが不可能となる。その結果、ガラス転移温度よりも100℃程度以上高い温度の金型に溶融樹脂を充填した後、キャビティ表面温度をガラス転移温度以下まで低下させる必要があり、生産性が著しく低下する。
【0025】
本発明において、射出時のキャビティ表面温度は、特に、(Tc−50)℃〜{(Tc+Tm)/2}℃であることが好ましい。また、TmがTcよりも15℃以上高いときには、射出時のキャビティ表面温度は(Tc−50)℃〜(Tc+15)℃であることが好ましく、特に、(Tc−50)℃〜(Tc+5)℃、とりわけ(Tc−30)℃〜(Tc+5)℃であることが好ましい。
【0026】
本発明で使用する微細炭素繊維は、その屈曲度が10°以上望ましくは20°以上、更に望ましくは40°以上のものが望ましい。屈曲度は微細炭素繊維同士の絡み易さの目安となる値であり、微細炭素繊維が絡み合いネットワークを形成することにより導電性ネットワークが形成されて導電性が発現することができる。
【0027】
微細炭素繊維の屈曲度は、成形品の樹脂成分を溶媒やイオンスパッタリング等で除去して、微細炭素繊維を露出させるか、又は成形品より切り出した超薄切片を電子顕微鏡観察することによって測定する。屈曲度は図3に示すように、微細炭素繊維を顕微鏡で観察し、同一繊維上の、繊維径の5倍(繊維径(図3のd)を測定し、デバイダ等で繊維に沿って計る等の方法による)離れた任意の2点A,Bを選び、それぞれの点に接線LA,LBを引いて、接線LA,LBの交差する点Qの外角(図3にαで示す)を測定する。10点の平均値をとり、屈曲度とする。
【0028】
即ち、繊維が直線的であればこの屈曲度は0°となり、半円で180°、円を描けば360°となる。
【0029】
例えば従来の炭素繊維(ピッチ系、PAN系)は、繊維直径が7〜13μm程度の、剛直かつ直線的な繊維であり、屈曲度は10°未満となる。かかる直線的な繊維では、お互いの絡み合いが生じることはなく、高導電性が得られるようなネットワーク構造を形成することは難しい。
【0030】
また、本発明で用いる微細炭素繊維は長さ/径比が5以上であることが、高導電性を得るためのネットワーク形成の上で好ましい。
【0031】
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、微細炭素繊維の他、第2の導電性充填材として、平均繊維直径0.5〜50μmの繊維状導電性充填材と、平均粒子径0.5〜200μmの粒子状及び/又は鱗片状導電性充填材とのいずれか一方又は双方を、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.5〜500重量部含んでいても良い。
【0032】
本発明の高導電性樹脂成形品の成形方法は、高導電性樹脂成形品としての電磁波シールド部品又は燃料電池セパレータの成形に好適である。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の高導電性樹脂成形品の成形方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0034】
まず、本発明で用いる成形原料としての導電性熱可塑性樹脂組成物の配合成分について説明する。
【0035】
<熱可塑性樹脂>
本発明で使用する熱可塑性樹脂は、結晶性熱可塑性樹脂であり、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、シンジオタクティック(結晶性)ポリスチレンなどが挙げられる。
【0036】
特に、燃料電池セパレータとして使用する場合には、耐水性、耐酸性、耐熱性が要求されるため、上記結晶性熱可塑性の中でもポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン、シンジオタクティック(結晶性)ポリスチレンなどを使用することが好ましい。
【0037】
<微細炭素繊維>
本発明で使用される微細炭素繊維は、平均繊維直径が100nm以下の微細炭素繊維であり、例えば気相成長法(具体的にはアーク放電法、化学的気相分解法など)により製造される。例えば特表平8−508534号公報に記載されている炭素フィブリルを使用することができる。
【0038】
炭素フィブリルは、当該フィブリルの円柱状軸に実質的に同心的に沿って沈着されているグラファイト外層を有し、その繊維中心軸は直線状でなく、うねうねと曲がりくねった管状の形態を有する。この管状の形態を有する炭素フィブリルの壁厚み(管状体の壁厚)は、通常3.5〜75nm程度である。これは、通常、炭素フィブリルの外径の約0.1〜0.4倍に相当する。この、炭素フィブリルの繊維径は製法に依存し、ほぼ均一なものである。
【0039】
本発明において、炭素フィブリル等の微細炭素繊維の平均繊維直径が100nmより大きいと、樹脂中での微細炭素繊維同士の接触が不十分となり、導電性を十分に発現させるためには多量の添加が必要となり、また、安定した導電性が得られ難い。従って、微細炭素繊維としては平均繊維直径100nm以下、好ましくは20nm以下のものを用いる。
【0040】
一方、微細炭素繊維の平均繊維直径は、0.1nm以上、特に0.5nm以上であることが好ましい。繊維径がこれより小さいと、製造が著しく困難であり、製品のコストアップを招く。
【0041】
また、微細炭素繊維は、長さと径の比(長さ/径比、即ちアスペクト比)が5以上のもの、好ましくは10以上、とりわけ好ましくは100以上のものであることが好ましい。このような長さ/径比のものであれば、導電性ネットワークを形成しやすく、少量添加で優れた導電性を発現することができる。
【0042】
なお、微細炭素繊維の繊維直径、長さ(長さ/径比)は、例えば、得られた成形品の樹脂成分を溶媒やイオンスパッタリング等で除去して、微細炭素繊維を露出させて電子顕微鏡で観察するか、或いは成形品より切り出した超薄切片を電子顕微鏡観察することにより測定することができ、このような電子顕微鏡の観察において10本の実測値の平均値で得られる。
【0043】
微細炭素繊維はその少なくとも一部分が凝集体の形態である場合、原料となるマトリックス樹脂中に、面積ベースで測定して約50μmより大きい径を有する微細炭素繊維凝集体、望ましくは10μmよりも大きい径を有する微細炭素繊維凝集体を含有していないことが、所望の導電性を発現するための添加量が少なくてすみ、機械物性を低下させない点で望ましい。
【0044】
また、前述の如く、微細炭素繊維は屈曲度が10゜以上、特に20゜以上、とりわけ40゜以上であることが、微細炭素繊維同士の絡み合いが多く、高導電性を実現するためのネットワークを形成しやすくなり、好ましい。
【0045】
なお、平均繊維直径、長さ/径比、及び屈曲度を測定する微細炭素繊維は、樹脂に溶融混練する前のものでも、樹脂成形品中に分散された状態のものでも良い。樹脂成形品中に分散された微細炭素繊維を観察してこれらの値を測定するには、前述の如く、樹脂成分を溶融やイオンスパッタリングなどで除去して微細炭素繊維を露出させるか、又は成形品より切り出した超薄切片を電子顕微鏡で観察することによって測定する。
【0046】
上記諸物性を有する微細炭素繊維としては、市販のものを使用することができる。例えば、ハイペリオンカタリシスインターナショナル社の、カーボンナノチューブを使用することができる。
【0047】
このような微細炭素繊維の熱可塑性樹脂組成物中の配合割合は、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.05〜50重量部、好ましくは0.5〜15重量部、より好ましくは1〜5重量部である。微細炭素繊維の割合がこの範囲よりも少ないと十分な導電性が得られず、多いと得られる成形品の機械的特性や成形性が損なわれ、またコストアップに繋がり、好ましくない。
【0048】
<第2の導電性充填材>
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物には、第2の導電性充填材として、
平均繊維直径0.5〜50μmの繊維状導電性充填材、
及び/又は
平均粒子径0.5〜200μmの粒子状及び/又は鱗片状導電性充填材
を、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.5〜500重量部添加することにより、得られる成形品の導電性をより一層向上させることができ好ましい。
【0049】
特に、本発明により成形される成形品を電極や接点、燃料電池セパレータなどの高度の導電性が要求される部品に使用する場合には、このような第2の導電性充填材を添加することにより、得られる成形品の体積抵抗値を1×101Ω・cm以下とすることが望ましい。
【0050】
この場合、絡み合った微細炭素繊維のネットワークが、繊維状導電性充填材や粒子状/鱗片状導電性充填材の間を有効に繋ぎ、高度の導電性ネットワークが形成され、その結果、導電性が著しく向上する。
【0051】
この第2の導電性充填材の繊維状導電性充填材としては、炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維、ニッケル繊維、銅繊維などが使用できる。また、炭素繊維や、非導電性のガラス繊維に、ニッケル等の導電性皮膜を形成したものを使用しても良い。
【0052】
一方、粒子状又は鱗片状の導電性充填材としては、アルミニウムやステンレスなどの金属、カーボン、黒鉛などの導電性物質の粒子状又は鱗片状のものが使用できる。
【0053】
第2の導電性充填材に繊維状導電性充填材を使用する場合、この繊維状導電性充填材の平均繊維直径が、微細炭素繊維の平均繊維直径の50倍以上、望ましくは500倍以上であると、導電性の向上効果が大きい。また、粒子状又は鱗片状の導電性充填材を使用する場合、その平均粒子径が微細炭素繊維の平均繊維直径の100倍以上、望ましくは1000倍以上であると、導電性の向上効果が大きい。
【0054】
なお、ここで言う第2の導電性充填材の平均繊維直径、平均粒子径とは、電子顕微鏡で観察して少なくとも20点測定した平均値である。また、鱗片状導電性充填材の粒子径は、平面方向に測定した値の同平均値である。
【0055】
本発明により成形された高導電性樹脂成形品を、燃料電池セパレータとして使用する場合には、第2の導電性充填材として、カーボン、黒鉛などの非金属系の導電性充填材を使用すると、腐食やイオンの流出が低減できるので望ましい。特に、ポリアクリロニトリルより製造されるPAN系炭素繊維の、平均繊維直径6〜10μm、平均繊維長さ3〜10mmのものを第2の導電性充填材として添加すると、導電性の向上が著しい。
【0056】
なお、本発明で用いる炭素微細繊維及び第2の導電性充填材には、マトリックス樹脂として使用する熱可塑性樹脂との分散性や接着性を向上させるために、各種の表面処理や分散剤による処理を施しても良い。この場合、例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などのカップリング剤や、非極性セグメントと極性セグメントのブロック又はグラフト共重合体などを使用することができる。
【0057】
<添加成分>
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で上記以外の任意の添加成分を配合することができる。
【0058】
例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラックなどの各種カーボンブラック、ガラス繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、チタン酸カリウム繊維、ほう酸アルミニウム繊維等の無機繊維状強化材、アラミド繊維、ポリイミド繊維、フッ素樹脂繊維等の有機繊維状強化材、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ガラスビーズ、ガラスパウダー、ガラスバルーン等の無機充填材、パラフィンオイル等の可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、相溶化剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色剤、防菌剤、蛍光増白剤等といった各種添加剤を挙げることができる。
【0059】
本発明で成形される高導電性樹脂成形品を、複写機の帯電ローラー用軸受けなどの摺動電気接点部品として使用する場合は、ポリ四フッ化エチレン樹脂、ポリエチレン、二硫化モリブデン、潤滑油などの潤滑剤成分を添加するのが望ましい。
【0060】
<成形方法>
本発明の高導電性樹脂成形品の成形方法は、通常の熱可塑性樹脂の成形方法で実施することができる。例えば熱可塑性樹脂に微細炭素繊維、その他の添加成分を予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押し出し機、二軸混練押し出し機、ニーダーなどで溶融混練することによって導電性熱可塑性樹脂組成物を製造し、その後、射出成形して高導電性樹脂成形品を得ることができる。
【0061】
射出成形方法としては、通常の成形方法の他に、本発明に係る上記熱可塑性樹脂組成物及び他の熱可塑性樹脂材料との2色成形や、射出圧縮成形、金属やプラスチック部品のインサート成形を用いることができる。
【0062】
<金型キャビティの表面温度>
本発明において、射出成形時に熱可塑性樹脂組成物を金型内に充填する際のキャビティ表面温度は、熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度(Tc)に対して50℃低い温度以上であって、熱可塑性樹脂組成物の融点(Tm)以下とする。キャビティ表面温度がこの範囲よりも低いと、樹脂の冷却速度が速すぎるため、微細炭素繊維の絡み合いによるネットワークの復元が起こりにくく、その結果、導電性の向上効果が得られない。一方、これより高いと、金型から成形品を取り出すために、金型を大幅に冷却する必要が生じ、成形サイクル時間が長くなって、生産性を損なう。
【0063】
キャビティ表面温度は特に(Tc−50)℃〜{(Tc+Tm)/2}℃が好ましい。なお、通常の熱可塑性樹脂の場合、Tm≧Tc+15℃であるので、この場合は、キャビティ表面温度は、(Tc−50)℃〜(Tc+15)℃、特に(Tc−50)℃〜(Tc+5)℃、とりわけ(Tc−30)℃〜(Tc+5)℃であることが望ましい。
【0064】
熱可塑性樹脂組成物が前記第2の導電性充填材を10重量%以下含む場合には、このキャビティ表面温度を(Tc)℃以下、特に(Tc−5)℃以下とするのが、成形品の変形等が少ない点で望ましい。
【0065】
キャビティ表面温度を上記範囲に設定するために、熱媒や、ヒーターを金型に組み込んだり、特開昭57−36610号公報に開示されているような高周波誘導加熱方法を採用しても良い。
【0066】
なお、キャビティ表面温度は熱可塑性樹脂組成物の射出充填時に上記温度範囲に維持されていれば良く、その後は降温しても良いが、ヒーター等により上記温度範囲に0.5〜100秒程度維持した後降温させるようにしても良い。
【0067】
成形品は、用いた熱可塑性樹脂の種類によっても異なるが、通常の場合、キャビティ表面温度がTcよりも5〜100℃程度低い温度まで低下した後金型より取り出される。
【0068】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0069】
なお、以下の実施例及び比較例で用いた原料成分は下記の通りである。
【0070】
PPS樹脂1:大日本インキ社製 商品名「トープレンLC−6」
PPS樹脂2:大日本インキ社製 商品名「トープレンT−1」
PBT樹脂:三菱エンジニアリングプラスチック社製商品名「ノバドゥール5010」
PC樹脂:三菱エンジニアリングプラスチック社製商品名「ユーピロンS3000」
微細炭素繊維:ハイペリオンカタリシス社製 カーボンナノチューブ
鱗片状黒鉛1:日本黒鉛社製 商品名「CPB」
鱗片状黒鉛2:日本黒鉛社製 商品名「CB100」
炭素繊維:東邦レーヨン社製 商品名「ベスファイトHTA−C6−SRS」(繊維カット長6mm)
【0071】
実施例1〜16、比較例1〜32
【0072】
(1) 混練配合
各原料を表1に示す配合で混合し、2軸押出機(池貝鉄鋼社製「PCM45」、L/D=32(L;スクリュー長、D;スクリュー径))を用いて、表1に示すバレル温度にてスクリュー回転数160rpmで溶融混練して各組成物のペレットを得た。
【0073】
なお、微細炭素繊維を配合する場合の配合混練は、予めマトリックス樹脂に微細炭素繊維を15重量%添加したマスターバッチを製造し、これを希釈して所定の微細炭素繊維添加量とした。
【0074】
【表1】
【0075】
(2) 結晶化温度及び融点
各熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度は示差走査型熱量計DSCを用いて測定した。測定条件は、まず20℃から340℃まで20℃/分で昇温し、1分間保持した後、340℃から50℃まで10℃/分で降温し、結晶化温度を求めた。その後、再度10℃/分で昇温して、融点を求めた。
【0076】
(3) 炭素繊維の繊維径及び鱗片状黒鉛の粒径
光学顕微鏡にて観察して、炭素繊維の繊維径及び鱗片状黒鉛の平面方向の粒径を、それぞれ150〜200点ずつ測定して平均値を算出した。なお、鱗片状黒鉛の粒径は、平面方向に、かつ最も直径が大きくなる径(長径)を測定した。
【0077】
以下に結果を示す。
【0078】
炭素繊維の平均繊維直径:7.2μm
鱗片状黒鉛1の平均粒子径:16.3μm
鱗片状黒鉛2の平均粒子径:57.0μm
【0079】
(4) 抵抗値測定用シートサンプルの成形
得られた各組成物のペレットを、75TON射出成形機にて、ヒーター及び熱電対を組み込んだ金型を用いて、キャビティ表面温度をコントロールしながら、67mm×90mm×3mm(厚み)のシートを成形した。シリンダ温度、射出速度及び冷却時間は表2〜9の各表に示す通りとした。
【0080】
(5) 微細炭素繊維の繊維直径、長さ/径比、屈曲度
組成物1の抵抗値測定用シートサンプルから、樹脂の流動方向に沿って超薄切片を切り出し、透過型電子顕微鏡にて観察し、微細炭素繊維の繊維直径、長さ/径比、屈曲度をそれぞれ10点測定し、平均値を算出した。結果を以下に示す。
【0081】
平均繊維直径:10.5nm
長さ/径比:30以上
屈曲度:42゜
【0082】
なお、ここで、長さ/径比については、超薄切片を作製する際に、繊維の一部が切断されるために、正確な繊維長を測定することができないが、少なくとも本発明の範囲内であることを確認した。
【0083】
また、上記の結果より、微細炭素繊維の平均繊維直径と、各実施例で用いた第2の導電性充填材である炭素繊維の繊維径又は鱗片状黒鉛の粒径との比は、以下のようになる。
【0084】
炭素繊維の場合:686(7.2μm/10.5nm)
鱗片状黒鉛1の場合:1552(16.3μm/10.5nm)
鱗片状黒鉛2の場合:5429(57.0μm/10.5nm)
【0085】
(6) 体積抵抗値の測定
図4に示す抵抗値測定用シートサンプル20の測定位置Aの部分の抵抗値を測定して体積抵抗値(Ω・cm)を得た。測定は、以下の要領で行い、3つのサンプルについて抵抗値を測定して、平均値を求めた。
【0086】
1×104Ω・cm以上の場合:ダイヤインスツルメント社製ハイレスタUP印加電圧10VUAプローブ(2探針、探針間距離20mm)
1×104Ω・cm未満の場合:ダイヤインスツルメント社製ロレスタSPASPプローブ(4探針、探針間距離5mm)
【0087】
結果を表2〜9に示す。
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】
【表4】
【0091】
【表5】
【0092】
【表6】
【0093】
【表7】
【0094】
【表8】
【0095】
【表9】
【0096】
表2,3,5,6,8より、導電性充填材として微細炭素繊維を用い、キャビティ表面温度を(Tg−50)℃〜(Tm)℃の範囲に設定して射出成形することにより体積抵抗値の小さい高導電性樹脂成形品が得られることがわかる。特に、表3,5,6,8より、微細炭素繊維と第2の導電性充填材とを併用することにより、導電性をより一層高めることができることがわかる。
【0097】
微細炭素繊維を添加していない組成物3(表4)、組成物6(表7)においては、金型キャビティ表面温度を本発明の条件の範囲にて成形しても、導電性は殆ど改善されない。
【0098】
なお、導電性(抵抗値)の絶対値は、充填材の添加量によって異なるが、同一の組成物による成形品において、本発明の範囲のキャビティ表面温度条件で成形した成形品は、発明の範囲外の条件で成形された成形品に比較して、導電性が改良される。
【0099】
逆に言えば、望ましい導電性を得るための導電性充填材の添加量を少なくする事が可能となる。
【0100】
例えば組成物5(表6)は、組成物6(表7)よりも導電性充填材の添加量が少ないにも拘らず、微細炭素繊維と金型キャビティ表面温度条件とより、本発明の効果が発現され、高い導電性を示している。
【0101】
更に、非結晶性熱可塑性樹脂を用いた組成物8では、キャビティ表面温度を高くすることによる導電性の向上効果は得られず、成形不良を引き起こす(表9)。
【0102】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の高導電性樹脂成形品の成形方法によれば、安価で形状の自由度の高い導電性樹脂成形品であって、耐腐食性に優れ、しかも導電性も十分に高い高導電性成形品が提供される。
【0103】
本発明の高導電性成形品は、情報電子、自動車、建築分野などの電気接点部品、電磁波シールド部品、電極部品、蓄電池用接点部品や、燃料電池セパレータなどの、腐食性の雰囲気下で使用する用途に工業的に極めて有用であり、特に燃料電池セパレータや電磁波シールド部品、とりわけ固体高分子型燃料電池セパレータとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は固体高分子型燃料電池の構造を示す模式的な断面図であって、図1(b)は電極支持板(セパレータ)を示す斜視図である。
【図2】射出成形品の微細炭素繊維の配向を示す断面図である。
【図3】微細炭素繊維の屈曲度の測定法を示す図である。
【図4】実施例及び比較例における体積抵抗値の測定位置を示す抵抗値測定用シートサンプルの平面図である。
【符号の説明】
1 電極支持板
1A,1B 溝
2 電解質膜
3 空気極
4 燃料極
10 成形原料
11 微細炭素繊維
20 シートサンプル
Claims (10)
- 熱可塑性樹脂100重量部と、平均繊維直径が100nm以下の微細炭素繊維0.05〜50重量部とを含む熱可塑性樹脂組成物を金型のキャビティに射出して高導電性樹脂成形品を成形する方法において、
該キャビティの表面温度を下記温度範囲に設定した金型に、該熱可塑性樹脂組成物を射出することを特徴とする高導電性樹脂成形品の成形方法。
表面温度=(Tc−50)℃〜(Tm)℃
(ただし、Tcは該熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度であり、Tmは該熱可塑性樹脂組成物の融点である。) - 請求項1において、該表面温度を(Tc−50)℃〜{(Tc+Tm)/2}℃に設定することを特徴とする高導電性樹脂成形品の成形方法。
- 請求項1において、該表面温度を(Tc−50)℃〜(Tc+15)℃に設定することを特徴とする高導電性樹脂成形品の成形方法。
- 請求項3において、該表面温度を(Tc−50)℃〜(Tc+5)℃に設定することを特徴とする高導電性樹脂成形品の成形方法。
- 請求項4において、該表面温度を(Tc−30)℃〜(Tc+5)℃に設定することを特徴とする高導電性樹脂成形品の成形方法。
- 請求項1ないし5のいずれか1項において、該微細炭素繊維の屈曲度が10゜以上であることを特徴とする高導電性樹脂成形品の成形方法。
- 請求項1ないし6のいずれか1項において、該微細炭素繊維の長さ/径比が5以上であることを特徴とする高導電性樹脂成形品の成形方法。
- 請求項1ないし7のいずれか1項において、該熱可塑性樹脂組成物が、該熱可塑性樹脂100重量部に対して、平均繊維直径0.5〜50μmの繊維状導電性充填材と、平均粒子径0.5〜200μmの粒子状及び/又は鱗片状導電性充填材とのいずれか一方又は双方を0.5〜500重量部含むことを特徴とする高導電性樹脂成形品の成形方法。
- 請求項1ないし8のいずれか1項において、該高導電性樹脂成形品が電磁波シールド部品であることを特徴とする高導電性樹脂成形品の成形方法。
- 請求項1ないし8のいずれか1項において、該高導電性樹脂成形品が燃料電池セパレータであることを特徴とする高導電性樹脂成形品の成形方法。
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