JP2003238727A - 導電性樹脂発泡体及びその製造方法 - Google Patents
導電性樹脂発泡体及びその製造方法Info
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Abstract
ることのできる導電性樹脂発泡体及びその製造方法を提
供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂1、導電性物質2及び発泡
セル3を含み、導電性物質2が連結して導電パスを形成
している導電性樹脂発泡体。熱可塑性樹脂1の樹脂マト
リックス中に存在する発泡セル3が互いに近接すること
により、発泡セル3間の導電性物質2が、互いにより密
接することができるようになるため、導電パスのネット
ワークが安定した状態で形成できるようになる。
Description
及びその製造方法に関する。より詳細には、電子部品等
に用いられる導電性樹脂発泡体及びその製造方法に関す
る。
あるため、例えば、静電気を嫌う用途に熱可塑性樹脂を
用いる場合、導電性フィラーを添加した導電性樹脂組成
物として使用することが多い。導電性樹脂組成物では、
導電性フィラーが導電パスを形成することにより導電性
が発現する。このような導電性フィラーとしては、例え
ば、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維等のカーボン系
導電性フィラーが、従来から繁用されている。
ーを用いた樹脂組成物では、導電パスを形成するため
に、多量のフィラーを添加するため、樹脂マトリックス
自体の特性、例えば、耐衝撃性や流動性等の特性が損な
われてしまうという問題や、摩擦等により、樹脂成形品
表面からフィラーが脱落してしまうという問題があっ
た。
年、導電性フィラーとして、カーボンナノチューブを用
いた導電性樹脂組成物が検討されている。カーボンナノ
チューブは、それ自体の導電性が優れていること、アス
ペクト比が高く、樹脂中にネットワークを形成し易いこ
と、非常に微細で嵩密度が小さく、単位重量当たりの本
数が多い等の理由から、従来のカーボン系導電性フィラ
ーよりも、少量の添加量で導電性を向上させられること
が知られており、樹脂成形品表面からの脱落や、不純物
由来の揮発性ガスの発生が少なく、また、リサイクル性
等にも優れていることから、導電性フィラーとしての積
極的な使用が望まれている。
チューブは、高価であり、これを用いた樹脂組成物は、
コストアップが避けられないという問題があった。
重ねた結果、導電性樹脂成形品の樹脂マトリックスを、
微小セルを有する発泡構造にすると、より少量の導電性
物質の添加で導電パスが形成でき、得られる導電性樹脂
発泡体の導電性が向上できることを見出し、本発明を完
成させた。従って、本発明は、少量の導電性物質の添加
により導電性を高めることのできる導電性樹脂発泡体及
びその製造方法を提供することを目的とする。
れば、熱可塑性樹脂、導電性物質及び発泡セルを含み、
導電性物質が連結して導電パスを形成している導電性樹
脂発泡体が提供される。
で連結して導電パスを形成している。好ましくは、導電
性物質は、カーボンナノチューブである。好ましくは、
導電性物質が、第1の導電性物質及び第2の導電性物質
を含み、第1の導電性物質が発泡セルの間にあり、第2
の導電性物質が発泡セルの内壁にあって、第1の導電性
物質、第2の導電性物質及び/又は第1の導電性物質と
第2の導電性物質が連結して導電パスを形成している。
好ましくは、導電性物質の添加量は、発泡体全体の0.
5〜20重量%である。好ましくは、発泡セルを含まな
い熱可塑性樹脂及び導電性物質からなる樹脂組成物の密
度に対する発泡体の相対密度は、0.3〜0.9であ
る。好ましくは、発泡セルの平均セル径は、200μm
以下である。好ましくは、熱可塑性樹脂は、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリ
エチレン、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、シン
ジオタクチックポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ
フェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリフェニレンエ
ーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテ
ルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテ
ルニトリル、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロ
エチレン、液晶ポリマー及びフッ素系共重合体からなる
群から選択される少なくとも一種の樹脂である。
塑性樹脂及び導電性物質を含む樹脂組成物を発泡処理し
て発泡セルを形成し、発泡セルの間に導電性物質を連結
させ導電パスを形成する導電性樹脂発泡体の製造方法が
提供される。
塑性樹脂を発泡処理して発泡セルを連続形成し、発泡セ
ル内に導電性物質を注入して、発泡セルの内壁に導電性
物質を付着させ、付着した導電性物質を連結させて導電
パスを形成する導電性樹脂発泡体の製造方法が提供され
る。
塑性樹脂及び第1の導電性物質を含む樹脂組成物を発泡
処理して発泡セルを形成し、発泡セル内に第2の導電性
物質を注入して、発泡セルの内壁に第2の導電性物質を
付着させ、第1の導電性物質、第2の導電性物質及び/
又は第1の導電性物質と第2の導電性物質を連結させて
導電パスを形成する導電性樹脂発泡体の製造方法が提供
される。
について説明する。本発明で用いる熱可塑性樹脂として
は、特に制限されず、例えば、スチレン系樹脂、(例え
ば、ポリスチレン(PS)、耐衝撃性ポリスチレン(H
IPS)、シンジオタクチックポリスチレン(SP
S)、ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリ
ル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン
・スチレン共重合体等)、ABS樹脂、ポリエチレン
(PE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポ
リエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、エ
チレン−プロピレン樹脂、エチレン−エチルアクリレー
ト樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリブ
テン、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール、ポ
リフェニレンエーテル、ポリビニルアルコール、ポリメ
チルメタクリレート、飽和ポリエステル樹脂(例えば、
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレン
テレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート
等)、生分解性ポリエステル樹脂(例えば、ポリ乳酸の
ようなヒドロキシカルボン酸縮合物、ポリブチレンサク
シネートのようなジオールとジカルボン酸の縮合物
等)、ポリアミド−6,6(PA−6,6)、ポリアミ
ド−6(PA−6)、ポリアミド−4,6(PA−4,
6)等のポリアミド系樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹
脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン(PES)、
ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン(PEE
K)、液晶ポリマー(LCP)、ポリフェニレンスルフ
ィド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリエーテル
イミド(PEI)、及びフッ素系共重合体等の一種単独
又は二種以上の組み合わせが挙げられる。このうち、ポ
リカーボネート、ポリスチレン、シンジオタクチックポ
リスチレン、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ポリ
エチレンがより好ましい。
が、発泡セルの間にある場合には、発泡したときに、導
電パスが形成されるものであれば特に制限されないが、
より少量で導電パスを有効に形成できる点から、特に、
カーボンナノチューブを使用することが好ましい。
軸に実質的に同心的に沿って沈着されているグラファイ
ト外層を有し、その繊維中心軸は直線状でなく、うねう
ねと曲がりくねった管状の形態を有する。このような微
細な管状の形態を有するカーボンナノチューブの壁厚
は、通常、3.5〜75nm程度である。これは、通
常、カーボンナノチューブの外径の約0.1〜0.4倍
に該当する。また、カーボンナノチューブの平均繊維径
は製法に依存し、ほぼ均一なものである。
ンナノチューブを使用する場合、平均繊維径(直径)が
200nm以下のものが好ましい。カーボンナノチュー
ブの平均繊維径が200nmより大きいと、熱可塑性樹
脂中のカーボンナノチューブ同士の接触が不十分とな
り、安定した抵抗値が得られ難い場合がある。特に、カ
ーボンナノチューブの平均繊維径が20nm以下である
と、得られる成形体の抵抗値が均一になるのでより好ま
しい。ただし、カーボンナノチューブの平均繊維径が過
度に小さいと、製造が著しく困難となるため、カーボン
ナノチューブの平均繊維径は0.1nm以上が好まし
く、特に、0.5nm以上であることが好ましい。
は、1〜10μmが好ましい。平均繊維長が1μm未満
になると、導電パスの形成が不十分となり、発泡体の導
電性が低くなる場合があり、10μmを超えると、カー
ボンナノチューブの絡み合いをほぐすことが困難となる
場合がある。平均繊維長は、より好ましくは1〜5μm
である。
長と平均繊維径との比(アスペクト比)が5以上のもの
が好ましく、100以上のものがより好ましく、1,0
00以上のものが特に好ましい。
平均繊維長(及びアスペクト比)は、透過型電子顕微鏡
での観察において、5点の実測値の平均値によって得ら
れる。
のものを使用することができ、例えば、ハイペリオンカ
タリシスインターナショナル社の「RMB(マスターバ
ッチ)」が使用できる。
とも一部分が凝集体の形態である場合、樹脂組成物中
に、面積ベースで測定して約50μm、特に10μmよ
りも大きい径を有する凝集体を含有していないことが望
ましい。
しては、例えば、炭素繊維、金属繊維、グラファイト、
導電性カーボンブラック(ケッチェンブラック、アセチ
レンブラック等)、黒鉛、アルミコートガラス、導電性
ウィスカ(導電性チタン酸カリ:デントール等)酸化ス
ズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)等が挙げられる。
これらのサイズは、特に制限はないが、より小さいもの
が好ましい。本発明では、上述した導電性物質を単独で
用いてもよく、また、二種以上を組み合わせて用いても
よい。
性物質が、連続する発泡セルの内壁にある場合には、C
u、Ag、Ni等の金属イオンを使用することが好まし
い。
全体の0.5〜20重量%が好ましい。添加量が0.5
重量%未満になると、導電パスの形成が困難になるた
め、発泡体の導電性が低くなる場合がある。一方、20
重量%を超えると、発泡体の耐衝撃性や流動性等の特性
が損なわれる場合がある。導電性物質の添加量は、より
好ましくは1〜20重量%であり、特に好ましくは5〜
10重量%である。
の性能を損なわない範囲で付加成分を配合することがで
きる。このような付加成分としては、例えば、ガラス繊
維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、チタン酸カリ
ウム繊維、硼酸アルミニウム繊維等の無機繊維状強化
材、アラミド繊維、ポリイミド繊維、フッ素樹脂繊維等
の有機繊維状強化材、タルク、炭酸カルシウム、マイ
カ、ガラスビーズ、ガラスパウダー、ガラスバルーン等
の無機充填剤、フッ素樹脂パウダー、二硫化モリブデン
等の固体潤滑剤、パラフィンオイル等の可塑剤、酸化防
止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑
剤、相溶化剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリッ
プ剤、分散剤、着色剤、防菌剤、蛍光増白剤等の各種添
加剤が挙げられる。
ついて説明する。初めに、導電性物質が、発泡セルの間
で導電パスを形成している導電性樹脂発泡体の製造につ
いて説明する。製造方法としては、まず、上記の熱可塑
性樹脂及び導電性物質を含む樹脂組成物の成形品を製造
する。この場合、樹脂成形品は、例えば、樹脂組成物
を、ラボプラストミル、バンバリーミキサー、ロール、
ブラベンダー、単軸混練押し出し機、二軸混練押し出し
機、ニーダー等を用いて溶融混練した後、各種の溶融成
形法で成形することにより製造することができる。成形
法としては、例えば、プレス成形法、押し出し成形法、
真空成形法、ブロー成形法、射出成形法等が挙げられ
る。これらの方法の中でも、特に射出成形法が好まし
い。
の他に、インサート射出成形法による金属部品、その他
の部品との一体成形法や、二色射出成形法、コアバック
射出成形法、サンドイッチ射出成形法、インジェクショ
ンプレス成形法等の各種成形法が挙げられる。
処理により発泡セルを形成し、この発泡セルの間で導電
性物質を連結させて導電パスを形成することにより、本
発明の導電性樹脂発泡体が製造できる。本発明におい
て、予め導電性物質を有する樹脂成形品を発泡処理し
て、さらに導電性を高めることができ、また、ほとんど
又は全く導電性のない樹脂成形品を発泡処理して導電性
を付与することもできる。
界状態の不活性ガスの含侵、脱圧、冷却等の操作が挙げ
られる。この場合、不活性ガスとしては、超臨界状態の
際に、熱可塑性樹脂に浸透するものであれば特に制限さ
れず、例えば、二酸化炭素、窒素、空気、酸素、水素、
ヘリウム等が挙げられる。このうち、二酸化炭素及び窒
素を用いることが好ましく、二酸化炭素を用いることが
より好ましい。尚、超臨界状態とは、気体状態と液体状
態との中間の性質を示す状態である。ガスの種類で定ま
った温度及び圧力(臨界点)以上になると、超臨界状態
となり、樹脂内部への浸透力も液体状態に比べて強くな
り、かつ、均一となる。
性樹脂に含侵させる場合、好ましくは、含侵温度を結晶
化温度(Tc)より20℃低い温度(Tc−20)℃以
上結晶化温度(Tc)より50℃高い温度(Tc+5
0)℃とする。含侵圧力は、含侵させるガスの臨界圧を
必須とし、好ましくは15MPa以上であり、より好ま
しくは20MPa以上である。含侵時間は、通常、10
分以上2日以下であり、好ましくは30分以上3時間以
下である。含侵量は、通常、樹脂の質量の0.1質量%
以上20質量%以下であり、好ましくは、1質量%以上
10質量%以下である。また、含侵後は、浸透させたガ
スの臨界圧以下まで減圧すれば十分であるが、通常、常
圧まで減圧する。また、減圧と同時に冷却することが通
常であり、好ましくは、減圧時に(Tc±20)℃まで
冷却して発泡構造を凍結させる。このとき、減圧速度
は、好ましくは20MPa/sec未満であり、冷却速
度は、好ましくは0.5℃未満である。
は、発泡セルを含まない上記の熱可塑性樹脂及び導電性
物質を含む樹脂組成物又は発泡処理する前の樹脂成形品
に対する相対密度が0.3〜0.9であることが好まし
い。相対密度が0.3未満になると、発泡セルが結合し
て大きなボイドを生じ、機械的な物性が低下する場合が
あり、一方、0.9を超えると、発泡が不十分な状態と
なり、導電性が十分に発揮されない場合がある。好まし
くは、相対密度は0.5〜0.8である。
品に発泡処理を行うことで樹脂マトリックス中に、無数
の微細な発泡セルが形成される。このとき、発泡セルの
平均セル径は、200μm以下であることが好ましい。
200μmを超えると、成形体の強度等の機械的物性が
低下する場合がある。好ましくは、平均セル径は、0.
1〜100μmである。尚、平均セル径は、切断面のS
EM観察により測定できる。
電パスの形成状態について説明する。図1は、発泡処理
前の樹脂成形品の導電パスの状態を表す模式図であり、
図2は、発泡処理後の樹脂発泡体の導電パスの状態を表
す模式図である。図1では、熱可塑性樹脂1の樹脂マト
リックス中に、導電性物質2が散在している。しかし、
図1では、導電性物質2同士の接触が互いに不十分の箇
所や、導電性物質2の配向性が一定でない箇所が断片的
に存在しており、このような箇所では、導電パスのネッ
トワークが遮断されてしまうため、結果として、良好な
導電性又は帯電防止性を得ることが困難となる。
成形品を発泡処理しているため、熱可塑性樹脂1の樹脂
マトリックス中には、発泡セル3が無数に存在してお
り、これらの発泡セル3が、互いに近接することによ
り、発泡セル3間の導電性物質2は、互いにより密接す
ることができるようになる。これにより、導電パスのネ
ットワークが安定した状態で形成できるようになる。ま
た、発泡セル3により、導電性物質2は、一定方向に容
易に配向することができるようになるため、導電パスの
ネットワークが途中で遮断されてしまうようなことが少
なくなる。従って、発泡処理前の樹脂成形品よりも、発
泡処理後の樹脂発泡体の方が、発泡セルが存在すること
で、より優れた導電性又は帯電防止性を発現することが
可能となる。
壁に付着して導電パスを形成している導電性樹脂発泡体
の製造について説明する。例えば、発泡セルの間に導電
パスが形成されている導電性樹脂発泡体の製造と同様
に、まず、上記の熱可塑性樹脂の成形品を製造し、その
後、発泡処理を行い、発泡セルを形成する。このとき、
発泡セルが連続して形成されるように、相対密度及び発
泡セル径を調節する。好ましい発泡処理、相対密度及び
発泡セル径については上記の通りである。次に、得られ
た樹脂発泡体の発泡セルの内壁に、イオン注入、湿式メ
ッキ、ディッピング等の方法により、導電性物質とし
て、好ましくはCu、Ag、Ni等の金属イオンを注入
し付着させる。連続した発泡セルの内壁に金属イオンが
付着するので、金属イオンが連結して導電パスが形成さ
れる。
後の導電性樹脂発泡体の導電パスの状態を表す模式図で
ある。図3では、熱可塑性樹脂1の樹脂マトリックス中
に、発泡セル3が連続するように形成され、これらの発
泡セル3の内壁に、導電性物質である金属イオン4が付
着している。そして、この金属イオン4同士が連結する
ことにより、樹脂マトリックス中に導電パスが形成さ
れ、樹脂発泡体に導電性が付与される。
発泡体を製造する二つの方法を組み合わせることもでき
る。例えば、まず、熱可塑性樹脂と導電性物質(第1の
導電性物質)からなる組成物を、成形し、発泡処理し、
さらに、導電性物質(第2の導電性物質)を発泡セル内
に付着させる。このようにすると、第1の導電性物質同
士、第2の導電性物質同士、及び/又は第1の導電性物
質と第2の導電性物質が互いに連結して導電パスを形成
するため、樹脂発泡体の導電性を向上させることができ
る。この場合、発泡セル間だけ又は発泡セル内だけの導
電性物質では十分な導電パスを形成できなくても、互い
に補い合うことにより十分な導電パスを形成することが
可能となる。特に、発泡セル間に導電パスを形成する場
合、成形品の表面付近は導電パスが形成されずらいた
め、追加して発泡セル内に導電性物質を注入すると導電
性を高めることができる。
樹脂組成物を溶融し、樹脂成形品にすることなく、これ
に超臨界状態の不活性ガスを加えることにより製造する
こともできる。このような製造方法としては、例えば、
特開平10−024436号公報及び特開平10−23
0528号公報等に記載の方法が挙げられる。
発泡体を製造する方法として、発泡セル間、発泡セル内
又はその両方に導電パスを形成する方法があるが、いず
れの方法によっても、少ない導電性物質により導電パス
が形成され、優れた導電性又は帯電防止性が発現でき
る。このように、本発明では、発泡処理により生成した
発泡セルが、導電パスの形成に大きく関与している。
樹脂発泡体は、発泡処理により、機械的強度を大きく損
なうことなく軽量化することが可能であり、しかも、従
来の樹脂成形品よりも、より少量の導電性物質の添加で
優れた導電性又は帯電防止性を発現することが可能とな
る。本発明の導電性樹脂発泡体は、板状、シート状及び
筒状等の形状にさらに成形することができる。これらの
導電性樹脂発泡体の成形体は、例えば、自動車部品等に
用いることができる。
スターバッチ(ハイペリオン・キャタリシス・インター
ナショナル・インク社製)を、ラボプラストミルを用い
て溶融混練し、得られたペレットを、プレスフィルム
(圧さ300μm)に成形した。尚、各製造例におい
て、熱可塑性樹脂とマスターバッチのベース樹脂は同じ
種類のものを用いた。混練温度、プレス温度及び成形品
中のカーボンナノチューブの含量を表1に示す。
ーブ中に放置し、超臨界CO2流体を用い、表1に示す
温度、圧力及び時間で、CO2ガスを溶解、含浸し、表
1に示す発泡温度で脱圧し、室温まで冷却することで発
泡構造を凍結させて導電性樹脂発泡体を得た。得られた
樹脂発泡体の体積固有抵抗率を、ASTMD257に従
い測定した。また、フィルム成形品及び樹脂発泡体の密
度を、ASTM D792に従い測定し、樹脂発泡体の
相対密度を算出した。結果を表2に示す。
抗率を測定した。結果を表2に示す。
加により導電性を高めることのできる導電性樹脂発泡体
及びその製造方法が提供できる。
態を表す模式図である。
態を表す模式図である。
の状態を表す模式図である。
Claims (12)
- 【請求項1】 熱可塑性樹脂、導電性物質及び発泡セル
を含み、前記導電性物質が連結して導電パスを形成して
いる導電性樹脂発泡体。 - 【請求項2】 前記導電性物質が、前記発泡セルの間で
連結して導電パスを形成している請求項1に記載の導電
性樹脂発泡体。 - 【請求項3】 前記導電性物質が、カーボンナノチュー
ブである請求項2に記載の導電性樹脂発泡体。 - 【請求項4】 前記導電性物質が、連続する前記発泡セ
ルの内壁に付着して連結して導電パスを形成している請
求項1に記載の導電性樹脂発泡体。 - 【請求項5】 前記導電性物質が、第1の導電性物質及
び第2の導電性物質を含み、 前記第1の導電性物質が前記発泡セルの間にあり、前記
第2の導電性物質が前記発泡セルの内壁にあって、 前記第1の導電性物質、前記第2の導電性物質及び/又
は前記第1の導電性物質と前記第2の導電性物質が連結
して導電パスを形成している請求項1に記載の導電性樹
脂発泡体。 - 【請求項6】 前記導電性物質の添加量が、前記発泡体
全体の0.5〜20重量%である請求項1〜5のいずれ
か一項に記載の導電性樹脂発泡体。 - 【請求項7】 前記発泡セルを含まない前記熱可塑性樹
脂及び前記導電性物質からなる樹脂組成物の密度に対す
る相対密度が、0.3〜0.9である請求項1〜6のい
ずれか一項に記載の導電性樹脂発泡体。 - 【請求項8】 前記発泡セルの平均セル径が200μm
以下である請求項1〜7のいずれか一項に記載の導電性
樹脂発泡体。 - 【請求項9】 前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレ
ン、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、シンジオタ
クチックポリスチレン、ポリカーボネート、ポリフェニ
レンスルフィド、ポリアミド、ポリフェニレンエーテ
ル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルス
ルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルニ
トリル、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチ
レン、液晶ポリマー及びフッ素系共重合体からなる群か
ら選択される少なくとも一種の樹脂である請求項1〜8
のいずれか一項に記載の導電性樹脂発泡体。 - 【請求項10】 熱可塑性樹脂及び導電性物質を含む樹
脂組成物を発泡処理して発泡セルを形成し、 前記発泡セルの間に前記導電性物質を連結させて導電パ
スを形成する請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電
性樹脂発泡体の製造方法。 - 【請求項11】 熱可塑性樹脂を発泡処理して発泡セル
を連続形成し、 前記発泡セル内に導電性物質を注入して、前記発泡セル
の内壁に前記導電性物質を付着させ、 付着した前記導電性物質を連結させて導電パスを形成す
る請求項1又は4に記載の導電性樹脂発泡体の製造方
法。 - 【請求項12】 熱可塑性樹脂及び第1の導電性物質を
含む樹脂組成物を発泡処理して発泡セルを形成し、 前記発泡セル内に第2の導電性物質を注入して、前記発
泡セルの内壁に前記第2の導電性物質を付着させ、 前記第1の導電性物質、前記第2の導電性物質及び/又
は前記第1の導電性物質と前記第2の導電性物質を連結
させて導電パスを形成する請求項1又は5に記載の導電
性樹脂発泡体の製造方法。
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