JP3826852B2 - 高導電性樹脂成形品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高導電性樹脂成形品に係り、特に、情報電子、自動車、建築分野などの電気接点部品、電気接点摺動部品、電磁波シールド部品、電極部品、とりわけ蓄電池用接点部品や、燃料電池用のセパレータなどの高い導電性が要求される用途に好適な高導電性樹脂成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池の一つである固体高分子型燃料電池(高分子電解質燃料電池)は、電解質に高分子イオン交換膜を用いた燃料電池であり、出力密度が高く小型軽量化に有利である;電解質が固体であることから逸失がない;差圧に強く加圧制御が容易である;構造が簡単で電解質が腐食性でないため耐久性の面で有利である;動作温度が低いので部品材質選択や起動停止特性の面で有利であるなどの優れた特長を有し、従来は主として宇宙開発用、軍用といった特殊な用途に適用されていたが、近年は、その環境保全性を重視した自動車用途への適用が積極的に行われている。
【0003】
このような燃料電池に用いられるセパレータや電磁波シールド部品、及び各種の電気接点部材などの導電性部品には、高い導電性が要求される。特に、燃料電池セパレータ用途においては、酸性高温の腐食環境下にさらされることから、このような腐食に起因する導電性の低下の問題のない、耐腐食性に優れた高導電性材料が望まれる。
【0004】
従来、導電性材料としては、金属ダイキャスト、板金プレス、金属メッキなどよりなるものが知られているが、これらは導電性は十分に高いものの、形状の自由度に劣り、コストアップに繋がりやすいだけでなく、屋外や水中等で使用する際は、腐食によって導電性が低下する問題が生じる。
【0005】
これに対して、熱可塑性樹脂に、炭素繊維やカーボンブラック、金属繊維などの導電性充填材を添加した導電性熱可塑性樹脂組成物の成形品であれば、形状の自由度が高く、比較的安価に提供され、また、耐食性にも優れる。特に、導電性充填材として直径100nm以下の微細炭素繊維を添加したものであれば、良好な成形品が得られるが、このような導電性充填材を添加した導電性熱可塑性樹脂組成物の成形品では、得られる導電性に限界がある。
【0006】
導電性充填材の添加量を増加させることにより、導電性を高めることは可能ではあるが、この場合には、成形性が損なわれ、得られる成形品の摺動性(特に耐摩耗性)や機械的強度、特に衝撃強度が著しく損なわれ、また、製品のコストアップにつながる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、少ない微細炭素繊維添加量で著しく高い導電性を得ることができる高導電性樹脂成形品を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明(請求項1)の高導電性樹脂成形品は、熱可塑性樹脂100重量部と、平均繊維直径が100nm以下の微細炭素繊維0.05〜50重量部とを含む熱可塑性樹脂組成物を射出成形してなる、平板状部を有する成形品において、該熱可塑性樹脂が非結晶性樹脂であり、該成形品は、射出成形時において、溶融樹脂を所定の温度範囲の金型内に流し込み、所定の時間経過後、金型を冷却する工程を経て製造されたものであり、該所定の温度範囲が該非結晶性熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)よりも30℃以上高い温度であり、該所定の時間が10秒間以上であり、該平板状部の厚さ方向の抵抗値Rと、無厚さ仮想抵抗値Rとの比R/Rが0.8以下であることを特徴とする。
【0009】
本発明(請求項3)の高導電性樹脂成形品は、熱可塑性樹脂100重量部と、平均繊維直径が100nm以下の微細炭素繊維0.05〜50重量部とを含む熱可塑性樹脂組成物を射出成形してなる、平板状部を有する成形品において、該熱可塑性樹脂が結晶性樹脂であり、該成形品は、キャビティの表面温度を下記温度範囲に設定した金型に、前記熱可塑性樹脂組成物を射出成形することにより製造されたものであり、該平板状部の厚さ方向の抵抗値R と、無厚さ仮想抵抗値R との比R /R が0.8以下であることを特徴とする。
表面温度=(Tc−50)℃〜(Tm)℃
(ただし、Tcは該熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度であり、Tmは該熱可塑性樹脂組成物の融点である。)
【0010】
ただし、無厚さ仮想抵抗値Rは、該平板状部の一方の板面と他方の板面とにそれぞれ電極端子を当接させ、一方の電極端子を他方の電極端子に対し離反方向に移動させたときの両電極端子間の距離Lと両電極端子間の抵抗Rとを測定し、両者の関係式
R=b・L+R(bは定数)
を求め、この式においてL=0としたときの抵抗値Rである。
【0011】
また、厚さ方向の抵抗値Rtは、上記式において、Lを成形品の厚さとしたときの抵抗値Rである。
【0012】
前述の如く、熱可塑性樹脂に微細炭素繊維を添加した導電性熱可塑性樹脂組成物を溶融成形してなる成形品においては、微細炭素繊維の添加量の増加に従って、導電性が向上する。従って、良好な導電性を得ようとすれば、添加量を増加させれば良いが、反面、摺動性、機械的強度や成形性を損なうと共に、製品のコストアップを招く。
【0013】
ところで、従来の導電性(電気抵抗値)の測定方法においては、成形品の導電性が完全に均一であることを前提に、一定の電極端子間距離間(一般には5〜20mm)での抵抗値を測定して、成形品の抵抗値を表している。
【0014】
しかしながら、本発明者は、微細炭素繊維を添加した導電性熱可塑性樹脂組成物の成形品においては、必ずしも導電性が均質ではなく、局部的に抵抗値の異なる部分が存在すること、より具体的には、成形品の表層部分が抵抗値の高い層となっていることを、以下の方法で明らかにした。
【0015】
即ち、例えば、平板状の成形品Sについて、一方の板面と他方の板面に電極端子を当接させて抵抗値を測定する際、まず、図1(a)に示す如く、両電極端子がこの成形品Sの板面と垂直な同一直線上に位置させて、電極端子間距離を成形品Sの厚さLとして厚さ方向の抵抗値Rを測定し、その後図1(b),図1(c),図1(d)に示す如く、一方の電極端子を他方の電極端子に対して離反方向に移動させて電極端子間距離をLからL,L,Lと大きくしていったときの各電極端子間距離における抵抗値R,R,Rを測定し、図1(e)に示す如く、電極端子間距離Lと抵抗値Rとの相関をプロットし、電極端子間距離がゼロのときの抵抗値Rを外挿して求めると、Rはゼロにはならず、ある値を有する。図1(e)の直線はR=b・L+R(bは定数)で表され、本発明においては、電極端子間距離L=0のときの抵抗値Rを「無厚さ仮想抵抗値」と称す。
【0016】
この現象は、抵抗値を測定している電極端子間の経路において、導電性が不均一で、かつ低抵抗層と高抵抗層が直列に存在していることを示すものであり、仮りに成形品中の導電性が完全に均一であれば、無厚さ仮想抵抗値Rはゼロ(成形品の厚みが薄い場合にはマイナス)となる。
【0017】
一般的には、後述するように、成形品の表層部分において、微細炭素繊維の配向が大きくなり、この結果、表層部(図1(a)〜(d)において、成形品Sにドットを付した部分)の抵抗値が高く、無厚さ仮想抵抗値Rがゼロとならずにこの高抵抗層の抵抗値を反映した値となる。
【0018】
このようなことから、本発明者は、成形品の導電性を向上させる手段として、前記の高抵抗層の導電性を向上させる、即ち、Rが低くなるようにすることにより、微細炭素繊維の添加量を増加させることなく、導電性の向上を図ることができることを知見した。
【0019】
本発明において規定する厚さ方向の抵抗値Rと、無厚さ仮想抵抗値Rとの比R/Rは、成形品の厚み方向の最短距離での抵抗値の中におけるRの比率を表しており、この数値が小さいほど、成形品中の導電性が均一であることを意味する。
【0020】
本発明の高導電性樹脂成形品は、このR/Rが0.8以下、好ましくは0.7以下であり、均一かつ良好な導電性を有する。
【0021】
前述の如く、無厚さ仮想抵抗値Rは、成形品中の高抵抗層の抵抗値を反映するものであり、従って、このRは小さい程好ましく、特にRが1×10Ω以下であると、著しく優れた導電性が得られるため好ましい。
【0022】
このように、均一な導電性を有する高導電性樹脂成形品、即ち、表層部の抵抗値が低い高導電性樹脂成形品を得るために、本発明の高導電性樹脂成形品は、次のようにして製造されたものである。
(1) 該熱可塑性樹脂が非結晶性樹脂であり、該成形品は、射出成形時において、溶融樹脂を所定の温度範囲の金型内に流し込み、所定の時間経過後、金型を冷却する工程を経て製造されたもの。該所定の温度範囲が該非結晶性熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)よりも30℃以上高い温度であり、該所定の時間が10秒間以上である。
(2) 該熱可塑性樹脂が結晶性樹脂であり、該成形品は、キャビティの表面温度を下記温度範囲に設定した金型に、前記熱可塑性樹脂組成物を射出成形することにより製造されたもの。
表面温度=(Tc−50)℃〜(Tm)℃
(ただし、Tcは該熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度であり、Tmは該熱可塑性樹脂組成物の融点である。)
【0023】
キャビティの表面温度は、好ましくは(Tc−50)℃〜{(Tc+Tm)/2}℃又は(Tc−50)℃〜(Tc+15)℃である。
【0024】
なお、本発明において、熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度(Tc)は、示差走査型熱量計(DSC)で測定される降温時の結晶化曲線のピーク温度から求められる。ピークが複数存在する場合には、最も高温側のピーク温度を該熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度とする。また、融点(Tm)及び非結晶性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)は同じくDSCの昇温時の融解ピーク温度から特定される。
【0025】
上記(1)における導電性の向上効果の作用機構は次の通りである。
【0026】
即ち、微細炭素繊維を配合した導電性熱可塑性樹脂成形品にあっては、微細炭素繊維が均一分散ではなく、ある程度凝集したないしは絡まり合った状態にて熱可塑性樹脂マトリックス中に分散して連続状のネットワークを形成している場合には、高い導電性を得ることができる。これに対して、微細炭素繊維が熱可塑性樹脂マトリックス中に均一に分散すると、微細炭素繊維同士の導通が得られず、導電性が低くなる。微細炭素繊維同士が凝集して相互に接触ないし近接してネットワーク状となることにより、導電性が高くなる。
【0027】
一般に、熱可塑性樹脂の溶融加工としては、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形などがあるが、いずれの成形法でも溶融した樹脂は、必ず流動や延伸を伴い、かつ急激に冷却される。そして、この加工時の流動や延伸により、樹脂中の微細炭素繊維は剪断力を受け、引き延ばされて、お互いの絡み合いが減少し、その結果、導電性は低下する。
【0028】
その状態で樹脂が冷却されると、引き延ばされた状態で微細炭素繊維は拘束されるので、得られる成形体の導電性は劣るものとなる。
【0029】
これに対して、一旦引き延ばされた微細炭素繊維は、マトリックス樹脂の粘度が十分に低い場合には、微細炭素繊維の弾性回復により、再度絡み合いが起こり、導電性ネットワークが復元される。
【0030】
従って、溶融加工時又は2次加工時に、十分に微細炭素繊維の絡み合いによるネットワークが復元することができる状態を経ることで、得られる成形品の導電性は著しく向上する。
【0031】
即ち、例えば、射出成形により成形品を製造した場合、図2(a)に示す如く、熱可塑性樹脂と微細炭素繊維11を含む成形原料10を金型のキャビティ(成形空間)12に射出すると、成形原料10の溶融物自体の温度は240〜300℃であっても、金型の温度は60〜140℃と低いために、射出された原料は金型面で急冷されることとなり、図2(b)に示す如く、金型面13に近い、成形品の表面近傍では、微細炭素繊維11が射出方向に配向したまま流動性を失った樹脂により拘束されることとなり、この部分で導電性を得ることができず、高抵抗となる。なお、成形品の内部では、このような急冷の問題が少なく、微細炭素繊維11はランダムに配向し、互いの絡み合いで比較的良好な導電性が得られる。
【0032】
そこで、(1)の如く、樹脂の流動が実質的に無い状態で所定の温度に所定の時間保持することにより、マトリックス樹脂による微細炭素繊維11の拘束を解除し、図2(c)に示す如く、微細炭素繊維11同士の絡み合いを復元して良好な導電性を確保する。
【0033】
また、前記(2)における導電性の向上効果の作用機構は次の通りである。
【0034】
前述の如く、一般に、樹脂の射出成形工程においては、樹脂を金型内に充填する際に、樹脂の流動によって微細炭素繊維は剪断力を受け、引き延ばされて微細炭素繊維同士の絡み合いが減少する。この状態のままで樹脂が冷却固化されると、引き延ばされた状態で微細炭素繊維が拘束されることになり、微細炭素繊維同士のネットワークが少なくなり、得られる成形品の導電性は低いものとなる。
【0035】
ところが、金型内に充填された樹脂の粘度が十分に低い場合には、微細炭素繊維の弾性回復により、再度絡み合いが起こり、その結果、微細炭素繊維同士の接触が良好な導電性ネットワークが復元される。
【0036】
即ち、射出成形時に金型内に充填された後の樹脂の粘度が十分に低ければ、金型内で微細炭素繊維の絡み合いによるネットワークが復元して、得られる成形品の導電性は著しく向上する。
【0037】
前述の如く、従来の成形法では、一般に、射出成形の金型キャビティの表面温度は、結晶性樹脂の場合、樹脂を金型中で十分に結晶化させるための温度として、結晶化温度(Tc)に対して−60℃〜−100℃程度に設定される。この温度範囲においては、樹脂の粘度が高く、微細炭素繊維の絡み合いによる導電性ネットワークの復元は生じない。
【0038】
即ち、例えば、射出成形により成形品を製造した場合、図2(a)に示す如く、熱可塑性樹脂と微細炭素繊維11を含む成形原料10を金型のキャビティ(成形空間)12に射出すると、成形原料10の溶融物自体の温度は240〜300℃であっても、金型の温度が低い(例えば60〜140℃)ために、射出された原料は金型のキャビティ面で急冷されることとなり、図2(b)に示す如く、キャビティ面13に近い、成形品の表面近傍では、微細炭素繊維11が射出方向に配向したまま流動性を失った樹脂により拘束されることとなり、この部分で導電性が低下し、高抵抗となる。なお、成形品の内部では、このような急冷の影響が少なく、微細炭素繊維11はランダムに配向し、互いの絡み合いで比較的良好な導電性が得られる。
【0039】
これに対し、(2)の如く、キャビティの表面温度を従来よりも高い範囲に設定することによって樹脂の粘度を低下させ、図2(c)に示す如く、微細炭素繊維11同士の絡み合いを復元させて、良好な導電性を確保することができる。
【0040】
なお、前記(2)の射出成形においては、熱可塑性樹脂として、結晶化温度(Tc)を有する結晶性熱可塑性樹脂を用いることは、導電性の向上効果を得る上で重要である。
【0041】
即ち、結晶性熱可塑性樹脂は、溶融状態からの冷却過程において、結晶化温度(Tc)に至るまでは粘度が低い状態であり、粘度の絶対値も比較的安定しており、結晶化温度付近から結晶化が開始して急激に粘度が上昇する。前記(2)では、樹脂が溶融状態、即ち結晶化温度よりも十分に高い温度で金型内に射出充填され、金型内で冷却される際に、上記範囲の結晶化温度付近の比較的高温の金型で冷却されることにより、比較的長時間の間、粘度の低い状態に維持されるために、微細炭素繊維の絡み合いが生じ、ネットワークが復元する。
【0042】
一方、非結晶性樹脂の場合、ガラス転移温度(Tg)以上で溶融が開始して、粘度が徐々に低下する。この場合、ガラス転移温度付近の温度に金型表面温度を設定しても、溶融樹脂の粘度が比較的高いために、ネットワークの復元は起こりにくい。キャビティ表面温度を更に上昇させると、金型内での固化が不十分となり、金型内から成形品を取り出すことが不可能となる。その結果、ガラス転移温度よりも30℃程度以上高い温度の金型に溶融樹脂を充填した後、キャビティ表面温度をガラス転移温度以下まで低下させる必要があり、生産性が低下する。
【0043】
本発明で使用する微細炭素繊維は、その屈曲度が10°以上望ましくは20°以上、更に望ましくは40°以上のものが望ましい。屈曲度は微細炭素繊維同士の絡み易さの目安となる値であり、微細炭素繊維が絡み合いネットワークを形成することにより導電性ネットワークが形成されて導電性が発現することができる。
【0044】
微細炭素繊維の屈曲度は、成形品の樹脂成分を溶媒やイオンスパッタリング等で除去して、微細炭素繊維を露出させるか、又は成形品より切り出した超薄切片を電子顕微鏡観察することによって測定する。屈曲度は図3に示すように、微細炭素繊維を顕微鏡で観察し、同一繊維上の、繊維径の5倍(繊維径(図3のd)を測定し、デバイダ等で繊維に沿って計る等の方法による)離れた任意の2点A,Bを選び、それぞれの点に接線L,Lを引いて、接線L,Lの交差する点Qの外角(図3にαで示す)を測定する。10点の平均値をとり、屈曲度とする。
【0045】
即ち、繊維が直線的であればこの屈曲度は0°となり、半円で180°、円を描けば360°となる。
【0046】
例えば従来の炭素繊維(ピッチ系、PAN系)は、繊維直径が7〜13μm程度の、剛直かつ直線的な繊維であり、屈曲度は10°未満となる。かかる直線的な繊維では、お互いの絡み合いが生じることはなく、高導電性が得られるようなネットワーク構造を形成することは難しい。
【0047】
また、本発明で用いる微細炭素繊維は長さ/径比が5以上であることが、高導電性を得るためのネットワーク形成の上で好ましい。
【0048】
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、微細炭素繊維の他、第2の導電性充填材として、平均繊維直径0.5〜50μmの繊維状導電性充填材と、平均粒子径0.5〜200μmの粒子状及び/又は鱗片状導電性充填材とのいずれか一方又は双方を、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.5〜500重量部含んでいても良い。
【0049】
本発明の高導電性樹脂成形品は、特に電磁波シールド部品又は燃料電池セパレータ、又は複写機ローラー用導電性軸受け等の成形に好適である。
【0050】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の高導電性樹脂成形品の実施の形態を詳細に説明する。
【0051】
<熱可塑性樹脂>
本発明で使用する熱可塑性樹脂は、例えばポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ABS樹脂、AS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニルスルホン、ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、液晶性ポリエステル等の熱可塑性樹脂或いはこれらの混合物が挙げられ、これらは、成形品の使用目的に応じて機械的強度、成形性等の特性から適宜選択することができる。
【0052】
これらのうち、非結晶性熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、変性ポリオキシメチレン、ABS樹脂、AS樹脂、ポリスチレン、脂環式ポリオレフィンなどが挙げられる。
【0053】
また、結晶性熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、シンジオタクティック(結晶性)ポリスチレンなどが挙げられる。
【0054】
その他、液晶性ポリエステルなどの液晶性樹脂を使用することもできる。
【0055】
特に、燃料電池セパレータとして使用する場合には、耐水性、耐酸性、耐熱性が要求されるため、上記結晶性熱可塑性の中でもポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン、シンジオタクティック(結晶性)ポリスチレンなどを使用することが好ましい。また、液晶樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、又はポリエーテルスルホンなどの耐熱性、耐加水分解性に優れた非結晶性樹脂を使用することも好ましい。
【0056】
<微細炭素繊維>
本発明で使用される微細炭素繊維は、平均繊維直径が100nm以下の微細炭素繊維であり、例えば気相成長法(具体的には、アーク放電法や化学的気相分解法など)により製造される。例えば特表平8−508534号公報に記載されている微細炭素繊維を使用することができる。
【0057】
微細炭素繊維は、当該フィブリルの円柱状軸に実質的に同心的に沿って沈着されているグラファイト外層を有し、その繊維中心軸は直線状でなく、うねうねと曲がりくねった管状の形態を有する。この管状の形態を有する微細炭素繊維の壁厚み(管状体の壁厚)は、通常3.5〜75nm程度である。これは、通常、微細炭素繊維の外径の約0.1〜0.4倍に相当する。この、微細炭素繊維の繊維径は製法に依存し、ほぼ均一なものである。
【0058】
本発明において、微細炭素繊維等の微細炭素繊維の平均繊維直径が100nmより大きいと、樹脂中での微細炭素繊維同士の接触が不十分となり、導電性を十分に発現させるためには多量の添加が必要となり、また、安定した導電性が得られ難い。従って、微細炭素繊維としては平均繊維直径100nm以下、好ましくは20nm以下のものを用いる。
【0059】
一方、微細炭素繊維の平均繊維直径は、0.1nm以上、特に0.5nm以上であることが好ましい。繊維径がこれより小さいと、製造が著しく困難であり、製品のコストアップを招く。
【0060】
また、微細炭素繊維は、長さと径の比(長さ/径比、即ちアスペクト比)が5以上のもの、好ましくは10以上、とりわけ好ましくは100以上のものであることが好ましい。このような長さ/径比のものであれば、導電性ネットワークを形成しやすく、少量添加で優れた導電性を発現することができる。
【0061】
なお、微細炭素繊維の繊維直径、長さ(長さ/径比)は、例えば、得られた成形品の樹脂成分を溶媒やイオンスパッタリング等で除去して、微細炭素繊維を露出させて電子顕微鏡で観察するか、或いは成形品より切り出した超薄切片を電子顕微鏡観察することにより測定することができ、このような電子顕微鏡の観察において10本の実測値の平均値で得られる。
【0062】
微細炭素繊維はその少なくとも一部分が凝集体の形態である場合、原料となるマトリックス樹脂中に、面積ベースで測定して約50μmより大きい径を有する微細炭素繊維凝集体、望ましくは10μmよりも大きい径を有する微細炭素繊維凝集体を含有していないことが、所望の導電性を発現するための添加量が少なくてすみ、機械物性を低下させない点で望ましい。
【0063】
また、前述の如く、微細炭素繊維は屈曲度が10゜以上、特に20゜以上、とりわけ40゜以上であることが、微細炭素繊維同士の絡み合いが多く、高導電性を実現するためのネットワークを形成しやすくなり、好ましい。
【0064】
なお、平均繊維直径、長さ/径比、及び屈曲度を測定する微細炭素繊維は、樹脂に溶融混練する前のものでも、樹脂成形品中に分散された状態のものでも良い。樹脂成形品中に分散された微細炭素繊維を観察してこれらの値を測定するには、前述の如く、樹脂成分を溶融やイオンスパッタリングなどで除去して微細炭素繊維を露出させるか、又は成形品より切り出した超薄切片を電子顕微鏡で観察することによって測定する。
【0065】
上記諸物性を有する微細炭素繊維としては、市販のものを使用することができる。例えば、ハイペリオンカタリシスインターナショナル社の、カーボンナノチューブを使用することができる。
【0066】
このような微細炭素繊維の熱可塑性樹脂組成物中の配合割合は、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.05〜50重量部、好ましくは0.5〜15重量部、より好ましくは1〜5重量部である。微細炭素繊維の割合がこの範囲よりも少ないと十分な導電性が得られず、多いと得られる成形品の機械的特性や成形性が損なわれ、またコストアップに繋がり、好ましくない。
【0067】
<第2の導電性充填材>
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物には、第2の導電性充填材として、
平均繊維直径0.5〜50μmの繊維状導電性充填材、
及び/又は
平均粒子径0.5〜200μmの粒子状及び/又は鱗片状導電性充填材
を、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.5〜500重量部添加することにより、得られる成形品の導電性をより一層向上させることができ好ましい。
【0068】
特に、本発明の高導電性樹脂成形品を電極や接点、燃料電池セパレータなどの高度の導電性が要求される部品に使用する場合には、このような第2の導電性充填材を添加することにより、得られる成形品の体積抵抗値を1×10Ω・cm以下とすることが望ましい。
【0069】
この場合、絡み合った微細炭素繊維のネットワークが、繊維状導電性充填材や粒子状/鱗片状導電性充填材の間を有効に繋ぎ、高度の導電性ネットワークが形成され、その結果、導電性が著しく向上する。
【0070】
この第2の導電性充填材の繊維状導電性充填材としては、炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維、ニッケル繊維、銅繊維などが使用できる。また、炭素繊維や、非導電性のガラス繊維に、ニッケル等の導電性皮膜を形成したものを使用しても良い。
【0071】
一方、粒子状又は鱗片状の導電性充填材としては、アルミニウムやステンレスなどの金属、カーボン、黒鉛などの導電性物質の粒子状又は鱗片状のものが使用できる。
【0072】
第2の導電性充填材に繊維状導電性充填材を使用する場合、この繊維状導電性充填材の平均繊維直径が、微細炭素繊維の平均繊維直径の50倍以上、望ましくは500倍以上であると、導電性の向上効果が大きい。また、粒子状又は鱗片状の導電性充填材を使用する場合、その平均粒子径が微細炭素繊維の平均繊維直径の100倍以上、望ましくは1000倍以上であると、導電性の向上効果が大きい。
【0073】
なお、ここで言う第2の導電性充填材の平均繊維直径、平均粒子径とは、電子顕微鏡で観察して少なくとも20点測定した平均値である。また、鱗片状導電性充填材の粒子径は、平面方向に測定した値の同平均値である。
【0074】
本発明の高導電性樹脂成形品を、燃料電池セパレータとして使用する場合には、第2の導電性充填材として、カーボン、黒鉛などの非金属系の導電性充填材を使用すると、腐食やイオンの流出が低減できるので望ましい。特に、ポリアクリロニトリルより製造されるPAN系炭素繊維の、平均繊維直径6〜10μm、平均繊維長さ3〜10mmのものを第2の導電性充填材として添加すると、導電性の向上が著しい。
【0075】
なお、本発明で用いる炭素微細繊維及び第2の導電性充填材には、マトリックス樹脂として使用する熱可塑性樹脂との分散性や接着性を向上させるために、各種の表面処理や分散剤による処理を施しても良い。この場合、例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などのカップリング剤や、非極性セグメントと極性セグメントのブロック又はグラフト共重合体などを使用することができる。
【0076】
<添加成分>
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で上記以外の任意の添加成分を配合することができる。
【0077】
例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラックなどの各種カーボンブラック、ガラス繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、チタン酸カリウム繊維、ほう酸アルミニウム繊維等の無機繊維状強化材、アラミド繊維、ポリイミド繊維、フッ素樹脂繊維等の有機繊維状強化材、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ガラスビーズ、ガラスパウダー、ガラスバルーン等の無機充填材、パラフィンオイル等の可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、相溶化剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色剤、防菌剤、蛍光増白剤等といった各種添加剤を挙げることができる。
【0078】
本発明の高導電性樹脂成形品を、複写機の帯電ローラー用軸受けなどの摺動電気接点部品として使用する場合は、ポリ四フッ化エチレン樹脂、ポリエチレン、二硫化モリブデン、潤滑油などの潤滑剤成分を添加するのが望ましい。
【0079】
<成形方法>
本発明の高導電性樹脂成形品は、例えば、熱可塑性樹脂に微細炭素繊維、その他の添加成分を予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押し出し機、二軸混練押し出し機、ニーダーなどで溶融混練することによって導電性熱可塑性樹脂組成物を製造し、その後、射出成形することにより得ることができるが、この際、高導電性樹脂成形品の溶融成形加工時において、次の(1)のような工程を経るようにする。
【0080】
(1) 熱可塑性樹脂が非結晶性樹脂の場合において、実質的に樹脂の流動が生じない状態で、熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)よりも30℃以上、望ましくは30〜200℃、より望ましくは60〜150℃高い温度で10秒以上、望ましくは15秒〜5分保持する
【0081】
上記処理工程において、処理温度が上記範囲より低い場合或いは処理時間が上記範囲より短い場合には、前述の微細炭素繊維の絡み合いの復元が十分に起こらず、導電性の向上効果が望めない。処理温度が過度に高く、また、処理時間が過度に長くても、導電性の向上効果に大差はなく、徒に処理コストが嵩み好ましくない。
【0082】
このような処理工程としては、具体的には射出成形において、溶融樹脂を上記所定の温度範囲の金型内に流し込み、所定の時間経過後、金型を冷却する。
【0083】
また、微細炭素繊維の絡み合いによる導電性を最大限に引き出すために、熱可塑性樹脂として結晶性樹脂を用いた場合に、次の(2)のようにして射出成形を行う。
【0084】
(2) 射出成形時に熱可塑性樹脂組成物を金型内に充填する際のキャビティ表面温度を、熱可塑性樹脂組成物中の熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度(Tc)に対して50℃低い温度以上であって、熱可塑性樹脂組成物の融点(Tm)以下に設定する。
【0085】
なお、この場合の射出成形方法としては、通常の成形方法の他に、本発明に係る上記熱可塑性樹脂組成物及び他の熱可塑性樹脂材料との2色成形や、射出圧縮成形、金属やプラスチック部品のインサート成形を用いることができる。
【0086】
キャビティ表面温度がこの範囲よりも低いと、樹脂の冷却速度が速すぎるため、微細炭素繊維の絡み合いによるネットワークの復元が起こりにくく、その結果、導電性の向上効果が得られない。一方、これより高いと、金型から成形品を取り出すために、金型を大幅に冷却する必要が生じ、成形サイクル時間が長くなって、生産性を損なう。
【0087】
キャビティ表面温度は特に(Tc−50)℃〜{(Tc+Tm)/2}℃が好ましい。なお、通常の熱可塑性樹脂の場合、Tm≧Tc+15℃であるので、この場合は、キャビティ表面温度は、(Tc−50)℃〜(Tc+15)℃、特に(Tc−50)℃〜(Tc+5)℃、とりわけ(Tc−30)℃〜(Tc+5)℃であることが望ましい。
【0088】
熱可塑性樹脂組成物が前記第2の導電性充填材を10重量%以下含む場合には、このキャビティ表面温度を(Tc)℃以下、特に(Tc−5)℃以下とするのが、成形品の変形等が少ない点で望ましい。
【0089】
キャビティ表面温度を上記範囲に設定するために、熱媒や、ヒーターを金型に組み込んだり、特開昭57−36610号公報に開示されているような高周波誘導加熱方法を採用しても良い。
【0090】
なお、キャビティ表面温度は熱可塑性樹脂組成物の射出充填時に上記温度範囲に維持されていれば良く、その後は降温しても良いが、ヒーター等により上記温度範囲に0.5〜100秒程度維持した後降温させるようにしても良い。
【0091】
成形品は、用いた熱可塑性樹脂の種類によっても異なるが、通常の場合、キャビティ表面温度がTcよりも5〜100℃程度低い温度まで低下した後金型より取り出される。
【0092】
本発明の高導電性樹脂成形品は、厚さ方向の抵抗値Rと無厚さ仮想抵抗値Rとの比R/Rが0.8以下、好ましくは0.7以下であり、好ましくは無厚さ仮想抵抗値Rが1×10Ω以下の高導電性樹脂成形品である。
【0093】
以下に、本発明の高導電性樹脂成形品の抵抗値の測定方法及び抵抗値パラメータR,Rの算出方法について説明する。
【0094】
<抵抗値の測定>
高導電性樹脂成形品の抵抗値は、図4(a)(断面図),(b)(平面図)に示す如く、成形品1の平板状部の表面と裏面に抵抗計2の電極端子3A,3Bを接触させて測定する。同様に平板状部の任意の5点以上を選び、電極端子間距離Lを変化させて、それぞれの抵抗値を測定する。
【0095】
この際、各測定点の電極端子3A,3B間において、成形品1の厚みLが変化しないように測定点を選ぶことが重要である。また、各測定点における二つの電極端子3A,3Bを結ぶ直線周囲の、成形品厚さLの3倍以上、望ましくは5倍以上の範囲Y(即ち、Y≧3L、好ましくはY≧5L)で、成形品厚さ及び幅が直線方向に同一であることが望ましい。即ち、各測定点の測定範囲内又は測定範囲近傍で厚さや幅などの形状条件が異なると、抵抗値が電流の回り込みに影響されて、正確な測定が行えず、望ましくない。
【0096】
従って、例えば、成形品の平板状部について抵抗値を測定する場合、端面から成形品の厚さLの5倍以上離れた中央部(板央部)の5点を測定するか、或いは、図4に示す如く、各測定点と成形品1の端面1Aの位置関係が同一となるように、即ち、端面1Aに沿って端面1Aと平行線上に電極端子3Bを移動させて抵抗値の測定を行うようにすることが好ましい。
【0097】
このようなことから、本発明の高導電性樹脂成形品は、厚さの3倍以上、好ましくは5倍以上、より好ましくは10倍以上の幅及び長さの平板状部を有するものであることが好ましい。
【0098】
<抵抗値パラメータR,Rの算出>
各測定点での電極端子間距離と、抵抗値との相関から、最小二乗法により回帰直線を求める。即ち、
回帰係数;b=S(LR)/S(LL)
切片 ;a=[L]−b[R]
S(LR)=Σ(L×R)−(ΣL)×(ΣR)/n
S(LL)=ΣL−(ΣL)/n
L;電極端子(プローブ)間距離
R;抵抗値
n;データ数
[L];電極端子(プローブ)間距離Lの平均値
[R];抵抗値Rの平均値
上式より得られた切片aが、電極端子間距離0への外挿点、即ち、無厚さ仮想抵抗値Rである。
【0099】
従って、回帰式は
R=b×L+R
となる。
【0100】
上記により得られた回帰式から、成形品厚さの抵抗値Rを求め、R/Rを算出する。
【0101】
ここで、成形品厚さや幅などの形状要因による影響が大きい場合や、Rが極端に大きいか、測定点間でのばらつきが大きい場合、RはLとは殆ど無関係に変化し、Lとの相関は減少する。
【0102】
本発明では、回帰係数b>0、かつ(相関係数r)>0.90であることが望ましい。
【0103】
なお、相関係数rは、RとLの相関の程度を表す数値であり、rの2乗は0から1の間の値をとり、1に近いほど相関が良いことを表す。相関係数rは以下の方法により求める。即ち、
相関係数 r=S(LR)/{S(LL)×S(RR)}1/2
ここで、S(RR)=ΣR−(ΣR)/nである。
【0104】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0105】
なお、以下の実施例及び比較例で用いた原料成分は下記の通りである。
【0106】
PPS樹脂1:大日本インキ社製 商品名「トープレンLC−6」
PPS樹脂2:大日本インキ社製 商品名「トープレンT−1
細炭素繊維:ハイペリオンカタリシス社製 カーボンナノチューブ
鱗片状黒鉛:日本黒鉛社製 商品名「CB100」
炭素繊維:東邦レーヨン社製 商品名「ベスファイトHTA−C6−SRS」
(繊維カット長6mm)
【0107】
実施例1〜、比較例1〜
【0108】
(1) 混練配合
各原料を表1に示す配合で混合し、2軸押出機(池貝鉄鋼社製「PCM45」、L/D=32(L;スクリュー長、D;スクリュー径))を用いて、表1に示すバレル温度にてスクリュー回転数160rpmで溶融混練して各組成物のペレットを得た。
【0109】
なお、微細炭素繊維を配合する場合の配合混練は、予めマトリックス樹脂に微細炭素繊維を15重量%添加したマスターバッチを製造し、これを希釈して所定の微細炭素繊維添加量とした。
【0110】
(2) 結晶化温度、融点及びガラス転移温度
示差走査型熱量計DSCを用いて各熱可塑性樹脂組成物について測定した。
【0111】
測定条件は、まず20℃から340℃まで20℃/分で昇温し、1分間保持した後、340℃から50℃まで10℃/分で降温し、結晶化温度を求めた。その後、再度10℃/分で昇温し、ガラス転移温度、又は融点を測定した。
【0112】
結果を表1に併記する。
【0113】
【表1】
Figure 0003826852
【0114】
(3) 炭素繊維の繊維径及び鱗片状黒鉛の粒径
光学顕微鏡にて観察して、炭素繊維の繊維径及び鱗片状黒鉛の平面方向の粒径を、それぞれ150〜200点ずつ測定して平均値を算出した。なお、鱗片状黒鉛の粒径は、平面方向に、かつ最も直径が大きくなる径(長径)を測定した。
【0115】
以下に結果を示す。
【0116】
炭素繊維の平均繊維直径:7.2μm
鱗片状黒鉛の平均粒子径:57.0μm
【0117】
(4) 抵抗値測定用シートサンプルの成形
得られた樹脂組成物のペレットを用いて、下記(a)の方法により表2〜5に示す条件にて抵抗値測定用シートサンプルを成形した。
【0118】
(a) 射出成形
各組成物のペレットを、75TON射出成形機にて、ヒーター及び熱電対を組み込んだ金型を用いて、金型のキャビティ表面温度をコントロールしながら、67mm×90mm×3mm(厚さ)のシートを成形した
【0119】
5) 微細炭素繊維の繊維直径、長さ/径比、屈曲度
組成物1の抵抗値測定用シートサンプルから、樹脂の流動方向に沿って超薄切片を切り出し、透過型電子顕微鏡にて観察し、微細炭素繊維の繊維直径、長さ/径比、屈曲度をそれぞれ10点測定し、平均値を算出した。結果を以下に示す。
【0120】
平均繊維直径:10.5nm
長さ/径比:30以上
屈曲度:42゜
【0121】
なお、ここで、長さ/径比については、超薄切片を作製する際に、繊維の一部が切断されるために、正確な繊維長を測定することができないが、少なくとも本発明の範囲内であることを確認した。
【0122】
また、上記の結果より、微細炭素繊維の平均繊維直径と、各実施例で用いた第2の導電性充填材である炭素繊維の繊維径又は鱗片状黒鉛の粒径との比は、以下のようになる。
【0123】
炭素繊維の場合:686(7.2μm/10.5nm)
鱗片状黒鉛の場合:5429(57.0μm/10.5nm)
【0124】
(6) 電極端子間距離と抵抗値の相関パラメータ
(4)で得た抵抗測定用シートサンプルについて、図5(a),(b)に示す範囲の抵抗値を測定した。抵抗値の範囲に応じて以下の抵抗計を用いた。
【0125】
1×10Ωcm以上の場合:ダイヤインスツルメント社製ハイレスタIP
印加電圧10V
BPプローブ(2探針)
1×10Ωcm未満の場合:ダイヤインスツルメント社製ロレスタSP
BSPプローブ(4探針)
【0126】
図4に示すように、片面側の電極端子(検出プローブ)3Aの位置を固定して、反対面側の電極端子(検出プローブ)3Bを直線上に移動させて電極間距離を変えて5点の抵抗値を測定した。なお、4探針プローブを使用する際は、電圧検出プローブ間の距離を電極端子間距離とした。
【0127】
抵抗値の測定結果を、表に示す。また、電極端子間距離と抵抗値の相関プロットの例を図6,7に示す。
【0128】
次に、得られた電極端子間距離と抵抗値データから、最小二乗法により回帰直線式を求め、R及びRを算出し、R/Rを求めた。また、(相関係数r)を算出した。
【0129】
結果を表2〜に示す。
【0130】
(7) 体積抵抗値の測定
図5(a),(b)に示す測定部分の抵抗値測定用シートサンプル20の測定位置Aの部分の抵抗値を以下の要領で測定して体積抵抗値(Ω・cm)を得た。 1×10Ω・cm以上の場合:ダイヤインスツルメント社製ハイレスタIP
印加電圧10V
APプローブ(2探針、探針間距離20mm)
1×10Ω・cm未満の場合:ダイヤインスツルメント社製ロレスタSP
ASPプローブ(4探針、探針間距離5mm)
【0131】
結果を表2〜に示す。
【0132】
【表2】
Figure 0003826852
【0133】
【表3】
Figure 0003826852
【0134】
【表4】
Figure 0003826852
【0135】
【表5】
Figure 0003826852
【0136】
【表6】
Figure 0003826852
【0137】
【表7】
Figure 0003826852
【0138】
上記結果から明らかなように、R/Rが本発明の範囲にある成形品は、優れた導電性を発現した。
【0139】
(実施例1、及び比較例1,2)
同一の組成物1を使用して、通常の成形条件(金型のキャビティ表面温度140℃)にて成形し、R/Rが0.8を超える比較例1に較べて、R/Rが本発明の範囲である実施例1は、体積抵抗値が8オーダー低下した
【0140】
施例1は、微細炭素繊維を増加した組成物2を使用して通常の成形条件にて成形した比較例2に較べて、微細炭素繊維の添加量が少ないにも関わらず、遙かに低い抵抗値(高い導電性)を示した。
【0141】
なお、比較例1及び比較例2は、電極間距離と抵抗値の相関係数rの2乗の値が小さく、特に比較例2では、傾きがマイナスの値となった。これはR(表面付近の抵抗値に由来すると考えられる)が極めて大きいために、抵抗値は電極端子間距離には殆ど依存せず、表面付近の抵抗値の変動に支配されるためと考えられる。
【0142】
(実施例、及び比較例3,4)
第2の導電性成分として黒鉛を添加した組成物3は、傾きは大幅に低下するものの、通常の成形条件(金型のキャビティ表面温度140℃)で成形した比較例3では、R/Rが本発明の範囲を超えており、体積抵抗値が十分に低下しない。
【0143】
図7より、比較例3に較べて、R/Rが本発明の範囲にある実施例は、電極端子間距離−抵抗値の直線がほぼ平行して低抵抗側(下方)へシフトして、導電性が向上した。また、比較例4のように、黒鉛の添加量を増加し、微細炭素繊維を添加しない組成物4は、実施例と同じ成形条件で成形しても、R/Rは本発明の範囲に入らず、導電性は低いものとなった。
【0144】
(実施例、及び比較例5)
上述と同様の本発明の効果は、第2の導電性充填材が炭素繊維の場合(実施例、比較例5)でも同様に発現した。
【0145】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の高導電性樹脂成形品によれば、安価で成形の自由度が高く、耐腐食性に優れた導電性樹脂成形品であって、導電性の均一性に優れ、少ない微細炭素繊維添加量で著しく良好な導電性を示す高導電性樹脂成形品が提供される。
【0146】
本発明の高導電性樹脂成形品は、情報電子、自動車、建築分野などの電気接点部品、電磁波シールド部品、電極部品、蓄電池用接点部品や、燃料電池セパレータなどの、腐食性の雰囲気下で使用する用途に工業的に極めて有用であり、特に燃料電池セパレータや電磁波シールド部品、とりわけ固体高分子型燃料電池セパレータとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る電極端子間距離と抵抗値との関係を示す説明図であり、図1(a)〜(b)は電極端子間距離を示す成形品の模式的な断面図、図1(e)は電極端子間距離と抵抗値との相関を示すグラフである。
【図2】 成形品の微細炭素繊維の配向を示す断面図である。
【図3】 微細炭素繊維の屈曲度の測定法を示す図である。
【図4】 抵抗値の測定方法を示す図であって、(a)図は模式的な断面図、(b)図は平面図である。
【図5】 実施例及び比較例における抵抗値の測定位置を示す抵抗値測定用シートサンプルの平面図である。
【図6】 実施例1の電極端子間距離−抵抗値の相関プロット図である。
【図7】 実施例及び比較例3の電極端子間距離−抵抗値の相関プロット図である。
【符号の説明】
1 成形品
2 抵抗計
3A,3B 電極端子
10 成形原料
11 微細炭素繊維

Claims (12)

  1. 熱可塑性樹脂100重量部と、平均繊維直径が100nm以下の微細炭素繊維0.05〜50重量部とを含む熱可塑性樹脂組成物を射出成形してなる、平板状部を有する成形品において、
    該熱可塑性樹脂が非結晶性樹脂であり、該成形品は、射出成形時において、溶融樹脂を所定の温度範囲の金型内に流し込み、所定の時間経過後、金型を冷却する工程を経て製造されたものであり、該所定の温度範囲が該非結晶性熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)よりも30℃以上高い温度であり、該所定の時間が10秒間以上であり、
    該平板状部の厚さ方向の抵抗値Rと、無厚さ仮想抵抗値Rとの比R/Rが0.8以下であることを特徴とする高導電性樹脂成形品。
    ただし、無厚さ仮想抵抗値Rは、該平板状部の一方の板面と他方の板面とにそれぞれ電極端子を当接させ、一方の電極端子を他方の電極端子に対し離反方向に移動させたときの両電極端子間の距離Lと両電極端子間の抵抗Rとを測定し、両者の関係式
    R=b・L+R(bは定数)
    を求め、この式においてL=0としたときの抵抗値Rである。
    また、厚さ方向の抵抗値Rは、上記式において、Lを成形品の厚さとしたときの抵抗値Rである。
  2. 請求項において、前記所定の温度範囲が該非結晶性熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)よりも30〜200℃高い温度であることを特徴とする高導電性樹脂成形品。
  3. 熱可塑性樹脂100重量部と、平均繊維直径が100nm以下の微細炭素繊維0.05〜50重量部とを含む熱可塑性樹脂組成物を射出成形してなる、平板状部を有する成形品において、
    該熱可塑性樹脂が結晶性樹脂であり、該成形品は、キャビティの表面温度を下記温度範囲に設定した金型に、前記熱可塑性樹脂組成物を射出成形することにより製造されたものであり、
    表面温度=(Tc−50)℃〜(Tm)℃
    (ただし、Tcは該熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度であり、Tmは該熱可塑性樹脂組成物の融点である。)
    該平板状部の厚さ方向の抵抗値R と、無厚さ仮想抵抗値R との比R /R が0.8以下であることを特徴とする高導電性樹脂成形品。
    ただし、無厚さ仮想抵抗値R は、該平板状部の一方の板面と他方の板面とにそれぞれ電極端子を当接させ、一方の電極端子を他方の電極端子に対し離反方向に移動させたときの両電極端子間の距離Lと両電極端子間の抵抗Rとを測定し、両者の関係式
    R=b・L+R (bは定数)
    を求め、この式においてL=0としたときの抵抗値Rである。
    また、厚さ方向の抵抗値R は、上記式において、Lを成形品の厚さとしたときの抵抗値Rである。
  4. 請求項において、該キャビティの表面温度が(Tc−50)℃〜{(Tc+Tm)/2}℃であることを特徴とする高導電性樹脂成形品。
  5. 請求項において、該キャビティの表面温度が(Tc−50)℃〜(Tc+15)℃であることを特徴とする高導電性樹脂成形品。
  6. 請求項1ないしのいずれか1項において、該微細炭素繊維の屈曲度が10゜以上であることを特徴とする高導電性樹脂成形品。
  7. 請求項1ないしのいずれか1項において、該微細炭素繊維の長さ/径比が5以上であることを特徴とする高導電性樹脂成形品。
  8. 請求項1ないしのいずれか1項において、該熱可塑性樹脂組成物が、該熱可塑性樹脂100重量部に対して、平均繊維直径0.5〜50μmの繊維状導電性充填材と、平均粒子径0.5〜200μmの粒子状及び/又は鱗片状導電性充填材とのいずれか一方又は双方を0.5〜500重量部含むことを特徴とする高導電性樹脂成形品。
  9. 請求項1ないしのいずれか1項において、R/Rが0.7以下であることを特徴とする高導電性樹脂成形品。
  10. 請求項1ないしのいずれか1項において、Rが1×10Ω以下であることを特徴とする高導電性樹脂成形品。
  11. 請求項1ないし1のいずれか1項において、電磁波シールド部品であることを特徴とする高導電性樹脂成形品。
  12. 請求項1ないし1のいずれか1項において、燃料電池セパレータであることを特徴とする高導電性樹脂成形品。
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