JP4515140B2 - 導電性構造体の射出圧縮成形方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、炭素粉末または炭素繊維を含むセルロース紙に熱硬化性樹脂を含浸後、積層圧着し、樹脂を硬化させてから紙と樹脂を焼成して炭化させる製造方法が開示されている。
更に特許文献3には、フェノール樹脂をセパレータ形状の金型に射出成形し、この成形品を焼成する製造方法が開示されている。
上記の各文献に記載された例のように、焼成処理された材料は高い導電性を示すが、焼成に要する時間が長く生産性が乏しいという問題がある。更に、スライス加工等の切削加工が必要な場合は、さらに量産性が乏しく高コストになるため、将来普及する材料としては難しい面が多い。
例えば、特許文献4にはフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂と黒鉛等のカーボン材料とを混合成形させてなるセパレータが、特許文献5にはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂とグラファイト等の導電性物質とからなる双極隔離板が、特許文献6にはフェノール樹脂、フラン樹脂等の熱硬化性樹脂に膨張黒鉛及びカーボンブラックを配合してなるセパレータが、それぞれ開示されている。
一方、バインダー樹脂として熱硬化性樹脂を使用する高導電性複合材料(「熱硬化性樹脂複合材料」と言うことがある)は、熱可塑性樹脂をバインダー樹脂として使用する高導電性複合材料(単に「熱可塑性樹脂複合材料」、「導電性充填材含有熱可塑性樹脂複合材料」と言うことがある)に比べて、バインダー樹脂の溶融粘度が低いため、モールド成形時の複合材料の流動性が比較的良好となる。それゆえ、特許文献4ないし6のように、燃料電池用セパレータのモールド成形の原料として使用可能な高導電性複合材料としては、炭素質材料と熱硬化性樹脂の組み合わせに限られてきた。しかし、熱硬化性樹脂複合材料のモールド成形法においては、硬化時間が長く、成形サイクルタイムが長いので、熱可塑性樹脂複合材料に比べて成形コストが高いという課題がある。
組成検討の一方で、断熱金型を用いた射出成形の検討もなされている。しかし、導電性熱可塑性樹脂複合材料を射出成形した場合、成形条件によっては成形品表面がスキン層と呼ばれる樹脂だけの層で覆われてしまい、成形品の導電性が損なわれ、優れた導電性を有する成形品を得られないという問題がある。
また、本発明は、固体高分子型燃料電池に用いる、寸法精度が良好で優れた導電性を有するセパレータを短い成形サイクルタイムで低コストで成形する方法を提供することを目的とする。
特に、モバイル用パーソナルコンピューター等に用いられるマイクロ燃料電池用セパレータやその予備成形体のように面積が大きくない成形品の場合、大面積のセパレータを成形する場合に比べて低射出圧、低射出速度で射出成形できるので、成形品表面のスキン層の形成を最低限に抑えることができ、断熱層で被覆された金型で射出成形しても、寸法精度が高いセパレータを効率的に成形することができる。
(1)体積固有抵抗が100mΩ・cm以下の導電性充填材含有熱可塑性樹脂複合材料からなる導電性構造体の射出圧縮成形方法であり、前記導電性充填材含有熱可塑性樹脂複合材料が、ポリプロピレン樹脂と、粉末状および/または繊維状の炭素質材料とを少なくとも含有するものであり、射出圧縮成形の金型として、キャビティーを形成する型壁面が熱伝導率0.017J/cm・sec・℃以下の断熱材料からなる断熱層で被覆されてなる金属製の金型を用いて、厚み1mm以下の導電性構造体を成形することを特徴とする導電性構造体の射出圧縮成形方法。
(2)前記断熱層が金属層で被覆されてなる金型を用いることを特徴とする前項1に記載の導電性構造体の射出圧縮成形方法。
(3)前記断熱層が耐熱性重合体からなることを特徴とする前項1または前項2に記載の導電性構造体の射出圧縮成形方法。
(4)前記導電性充填材含有熱可塑性樹脂複合材料が導電性充填材を70〜98質量%含むものであることを特徴とする前項1ないし前項3のいずれかに記載の導電性構造体の射出圧縮成形方法。
(5)前記導電性充填材含有熱可塑性樹脂複合材料からなる導電性構造体が、燃料電池用セパレータであることを特徴とする前項1ないし前項4のいずれかに記載の導電性構造体の射出圧縮成形方法。
(6)前記導電性充填材含有熱可塑性樹脂複合材料からなる導電性構造体が、燃料電池用セパレータを熱プレス成形あるいはスタンピング成形するための予備成形体であることを特徴とする前項1ないし前項4のいずれかに記載の導電性構造体の射出圧縮成形方法。
(7)前記燃料電池用セパレータの厚みが、1mm以下であることを特徴とする前項5に記載の導電性構造体の射出圧縮成形方法。
(8)前記燃料電池用セパレータを熱プレス成形あるいはスタンピング成形するための予備成形体の厚みが、1mm以下であることを特徴とする前項6記載の導電性構造体の射出圧縮成形方法。
(9)ポリプロピレン樹脂と、粉末状および/または繊維状の炭素質材料とを少なくとも含有する体積固有抵抗が100mΩ・cm以下の導電性充填材含有熱可塑性樹脂複合材料を原料とし、射出圧縮成形の金型として、キャビティーを形成する型壁面が熱伝導率0.017J/cm・sec・℃以下の断熱材料からなる断熱層で被覆されてなる金属製の金型を用いて、厚み1mm以下の燃料電池用セパレータを成形することを特徴とする燃料電池用セパレータの射出圧縮成形方法。
(10)前記導電性充填材含有熱可塑性樹脂複合材料が導電性充填材を70〜98質量%含むものであることを特徴とする前項9に記載の燃料電池用セパレータの射出圧縮成形方法。
(導電性充填材含有熱可塑性樹脂複合材料)
本発明に係る、体積固有抵抗が100mΩ・cm以下の導電性充填材含有熱可塑性樹脂複合材料は、熱可塑性樹脂バインダー(A成分)と、導電性充填材(B成分)を少なくとも含む複合材料である。以下、各成分について説明する。
本発明に係る熱可塑性樹脂バインダーは特に限定されず、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフッ化ビニリデンや四フッ化ポリエチレン等のフッ素樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルホン等が挙げられる。
本発明において、上記したA成分とともに導電性樹脂組成物を構成するB成分は、粉末状および/または繊維状の導電性物質である限り、特に制限されない。導電性の点からは、このB成分は、金属材料、炭素質材料、導電性高分子、金属被覆フィラー、または金属酸化物の中から選ばれた1ないし2種類以上の組み合わせが好ましい。より好ましくは、炭素質材料、および/または金属材料である。
A成分とB成分の組成は、(A成分+B成分)を基準(100質量%)として、A成分が30〜2質量%、B成分が70〜98質量%であることが好ましい。より好ましくは、A成分が25〜5質量%、B成分が75〜95質量%である。更に好ましくは、A成分が20〜5質量%、B成分が80〜95質量%である。B成分が98質量%を超えると、成形性が悪くなる傾向がある。他方、B成分が70質量%未満であると、体積固有抵抗が100mΩcmを超え、十分な導電性が得られない場合がある。
本発明の導電性充填材含有熱可塑性樹脂複合材料には、必要に応じて、硬度、強度、導電性、成形性、耐久性、耐候性、耐水性等を改良する目的で、更にガラスファイバー、ウィスカー、金属酸化物、有機繊維、紫外線安定剤、酸化防止剤、離型剤、滑剤、撥水剤、増粘剤、低収縮剤、親水性付与剤等の添加剤を添加することができる。
導電性充填材含有熱可塑性樹脂複合材料の製造方法は特に制限されない。例えば、上記した各成分をロール、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー(登録商標)、ヘンシェルミキサー(登録商標)、プラネタリーミキサー等の樹脂分野で一般的に用いられている混合機、混練機を使用し、なるべく均一に混合させるのが好ましい。また、上記したA成分を予め製造したのちB成分と混合する方法と、B成分の存在下でA成分の各成分を混練する方法等が挙げられるが、限定されるものではない。
本発明に係る金型は、キャビティーを有する金型本体から概略構成されている。また、本発明に係る金型には、キャビティーを形成する型壁面に、熱伝導率が0.017J/cm・sec・℃以下の断熱材料からなる断熱層が被覆されている。更にこの断熱層に金属層が被覆される場合もある。
本発明に係る断熱材料からなる断熱層の役割は、射出圧縮成形において、固化が速く流動性が著しく低い、体積固有抵抗が100mΩ・cm以下の導電性充填材含有熱可塑性樹脂複合材料がキャビティー内に充填された時に、溶融状態の当該熱可塑性樹脂複合材料から金型本体への熱伝導を阻害し、熱可塑性樹脂複合材料の急速な冷却を防いで固化を遅らせるためである。つまり、溶融状態の熱可塑性樹脂複合材料の固化を遅らせることにより、寸法精度が高い薄肉の導電性構造体の成形が可能となる。
また、上記のような特徴を有する結晶性の耐熱性重合体としては、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド等が挙げられる。
特に、上記の耐熱性重合体の中でポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂が好ましく、高耐熱性と低熱伝導率という観点からポリイミドがさらに好ましい。
本発明において金型本体のキャビティーを形成する型壁面に断熱層を形成する方法としては、特に限定はされない。下記の形成方法1ないし形成方法4のうちのいずれかが挙げられる。
平滑なキャビティー表面に断熱材料からなる板を貼り合わせる。燃料電池用セパレータ用金型の場合には、キャビティー表面に水素ガス、空気、水蒸気の流路となる溝(凹部)を予め切削加工する。
スパッタ装置にてキャビティー表面に二酸化ケイ素薄膜を形成する。燃料電池用セパレータ用金型の場合には、先に機械加工によって流路となる溝(凹部)を形成しからスパッタ処理を行う。
平滑なキャビティー表面上に耐熱性重合体からなる粉体を塗布し、熱プレスにより断熱層を形成する。この場合、熱プレス時に断熱層表面にセパレータ用の流路(凹凸)を転写することもできる。
キャビティー表面上に耐熱性重合体を有機溶剤で希釈した耐熱性重合体溶液を塗布し、加熱する。燃料電池用セパレータ用金型の場合には先に流路となる溝(凹部)を機械加工により形成しておく。
上記断熱層を保護し、耐久性を向上させ、導電性成形体の離型を容易にするため、断熱層の表面を金属層で被覆することが望ましい。金属層に用いる金属としては、特に制限はされないが、ニッケル、クロムが好適である。金属層は、スパッタやメッキにより断熱層表面に積層したり、金属箔を断熱層表面に張り合わさせることにより形成される。
断熱層の厚みは、0.01mmから5mmの範囲で適度に選択される。好ましくは0.1から3mmである。さらに好ましくは0.5mmから2mmである。断熱層の厚みが0.1mmより小さいと断熱効果が小さくなる。また、断熱層の厚みが3mmよりも大きいと、射出圧縮成形時に断熱層が変形し、寸法精度が高い導電性構造体を得るのが困難になる。また、金属層の厚みは、0.001mmから0.05mmの範囲で適度に選択される。好ましくは0.003mmから0.04mmである。さらに好ましくは0.005mmから0.03mmである。金属層の厚みが0.003mmよりも小さいと、断熱層の耐久性向上の効果が小さくなる。また、金属層の厚みが0.04mmよりも厚いと断熱層による断熱効果が小さくなる。
本発明の射出圧縮成形においては、上記のキャビティーを形成する型壁面が断熱層で被覆された金型を用いる限り特に限定されない。ただし、型壁面のすべてが断熱層である必要はなく、金型形状に応じて適切に設計することができる。更に成形性を向上させる目的で、炭酸ガスを成形機シリンダーの途中から注入し材料中に溶かし込んで超臨界状態で成形したり、超音波により材料の流動性を向上した状態で成形することもできる。製品の面精度を上げるには、射出圧縮方法を用いることが好ましい。射出圧縮法としては、金型を開いた状態で射出して閉じる方法、金型を閉じながら射出する方法、閉じた金型の型締め力をゼロにして射出してから型締め力をかける方法等を用いる。
また、射出圧縮成形法で製造された導電性構造体の表面にはスキン層がなく、該成形法で製造された導電性構造体は導電性に非常に優れるので、射出圧縮成形法は導電性構造体を製造する手段としてはより好ましい。
また、本発明の金型は射出成形法にも適用でき、燃料電池用セパレータを製造することも可能である。ただし、射出成形法で製造された導電性構造体の表面は、一般的にスキン層と呼ばれる樹脂層で覆われており、これが構造体の導電性低下の原因となることがあるので、成型品の大きさが制限されたり、射出条件の調整が必要となる。
金型温度は熱可塑性樹脂複合材料の種類に応じて最適温度を選定、探索することが重要である。例えば、90℃〜200℃の温度範囲で、10秒間〜1200秒間という範囲で適宜決定することができる。成形品を高温で取出した場合、冷却する場合があるが、その方法は制限されるものでない。例えば、反りを抑制する目的で、成形品を冷却板で挟んで冷却する方法、または、金型ごと冷却する方法等が挙げられる。
本発明の導電性構造体は、黒鉛の導電性や熱伝導性を限りなく再現でき、成形精度等に優れる点で極めて高性能である。従って、エレクトロニクス分野、電機、機械、車輌等の各種部品等の各用途に有用であり、特に、コンデンサー用または各種電池用集電体、電磁波遮蔽材、電極、放熱板、放熱部品、エレクトロニクス部品、半導体部品、軸受、PTC素子、ブラシ及び燃料電池用セパレータに好適である。
燃料電池セパレータは、図1に例示されるように非常に多くのガス流路(溝)が形成されており、溶融粘度が高い導電性充填材含有熱可塑性樹脂ではうまく成形できない場合がある。そのようなとき、一旦、平板状の成形体(予備成形体)を射出成形、熱プレス成形などで作製し、その予備成形体をガス流路が形成された金型を用い、熱プレス成形、スタンピング成形などにより燃料電池セパレータを製造することができる。
予備成形体は通常、平板状であり、その寸法は目的とする燃料電池セパレータの大きさに対応して適宜決めればよい。その厚さも任意に設定可能であるが、通常0.5mm〜3.0mmが好ましい。
まず、実施例および比較例にそれぞれ用いる体積固有抵抗100mΩ・cm以下の熱可塑性樹脂複合材料について詳細に説明する。
(1)ポリプロピレン:サンアロマー(株)製のサンアロマーPX900N
(2)水添スチレンブタジエンラバー(H−SBR):JSR(株)製のダイナロン1320P
このホウ素含有黒鉛微紛は、以下の手順で製造した。まず、非針状コークスであるエム・シー・カーボン(株)製のMCコークスをパルベライザー(ホソカワミクロン(株)製)で2mm〜3mm以下の大きさに粗粉砕した。この粗粉砕品をジェットミル(IDS2UR、日本ニューマチック(株)製)で微粉砕した。その後、分級により所望の粒径に調整した。5μm以下の粒子除去は、ターボクラシファイアー(TC15N、日清エンジニアリング(株)製)を用い、気流分級を行った。この調整した微粉砕品の一部14.4kgに炭化ホウ素(B4C)0.6kgを加え、ヘンシェルミキサーにて800rpmで5分間混合した。これを内径40cm、容積40リットルの蓋付き黒鉛ルツボに封入し、黒鉛ヒーターを用いた黒鉛化炉に入れてアルゴンガス雰囲気下2900℃の温度で黒鉛化した。これを放冷後、粉末を取り出し、14kgの粉末を得た。得られたホウ素含有黒鉛微粉は、平均粒径20.5μm、B含有量1.9質量%であった。
(非断熱金型1)
鋼材(S55C)からなる金型本体に、縦100mm×横100mm×深さ1mmのキャビティーを形成することにより、比較例で用いる非断熱金型1を製造した。
鋼材(S55C)からなる金型本体に、所定の形状のキャビティーを形成した。次に、このキャビティーの壁面に、厚さ1mmの硬化済みシリカ粉充填耐熱エポキシ樹脂からなる断熱板(熱伝導率=0.013J/cm・sec・℃)を貼り合わせて断熱層を形成し、更にその上に厚さ0.01mmのニッケル箔を貼り合わせて一体化することにより、縦100mm×横100mm×深さ1mmのキャビティーを形成した。このようにして、実施例で用いる断熱金型1を製造した。
鋼材(S55C)からなる金型本体に、所定の形状のキャビティーを形成した。次に、このキャビティーの壁面に、厚さ1mmの熱可塑性ポリイミド樹脂からなる断熱板(熱伝導率=0.0021J/cm・sec・℃)を貼り合わせて断熱層を形成し、更にその上に厚さ0.01mmのニッケル箔を貼り合わせて一体化することにより、縦100mm×横100mm×深さ1mmのキャビティーを形成した。このようにして、実施例で用いる断熱金型2を製造した。
鋼材(S55C)からなる主金型本体のキャビティーの壁面に、シリカ粉充填耐熱エポキシ樹脂(熱伝導率=0.013J/cm・sec・℃)からなる厚さ2mmの断熱層と、厚さ0.01mmのニッケル箔がはり合わされてなる所定の形状のキャビティーを有する主金型を製造した。
また、鋼材(S55C)からなる主金型本体のキャビティーの壁面に、シリカ粉充填耐熱エポキシ樹脂(熱伝導率=0.013J/cm・sec・℃)からなる厚さ2mmの断熱層と、厚さ0.01mmのニッケル箔がはり合わされてなる凹凸のない副金型を製造した。
このようにして主金型および副金型からなる断熱金型3を製造した。
この断熱金型3によれば、片面に長さ80mm、幅1mm、深さ0.5mmの溝を平行に40本有する100mm×100mm×1mm厚のセパレータを射出成形、あるいは射出圧縮成形できる。
なお主金型の断熱層は、成形品であるセパレータと同じ凹凸パターンを有するキャビティーが形成されたプレス金型を用いて熱プレス成形した。具体的には、プレス金型の凹凸に沿ってニッケル箔を敷き詰めた後に、エポキシ樹脂粉末を主金型本体のキャビティー内に敷き詰めて、主金型本体に対してプレス用金型を熱プレス成形し、主金型本体と断熱層とニッケル箔とを一体化して主金型とした。
実施例あるいは比較例の実験には、株式会社名機製作所製の射出圧縮成形機SEPICS−I−350を用いた。本成形機は射出成形機しても使用することができる。また、体積固有抵抗の測定は四探針法により測定した。成形により得られた平板の状態は目視により、完全に充填されているかどうか判断した。また、平板の厚みは株式会社ミツトヨ製のマイクロメーターで、平板の中心を測定した。
成形機に断熱金型1を取り付けて、シリンダー温度を280℃、金型温度を120℃に設定し、複合材料1を用いて射出圧縮成形を行った。初期金型開量を1mmに設定し、射出完了後50tの型締め力で圧縮し、冷却時間60秒で良好な平板を得られた。平板の体積固有抵抗を測定したところ、表3に示す良好な導電性が得られた。
複合材料2を用いた以外は、実施例1と同じ条件で平板を射出圧縮成形した。平板の体積固有抵抗を測定したところ、表3に示す良好な導電性が得られた。
成形機に断熱金型2を取り付けて、シリンダー温度を280℃、金型温度を120℃に設定し、複合材料1を用いて射出圧縮成形を行った。初期金型開量を1mmに設定し、射出完了後50tの型締め力で圧縮し、冷却時間60秒で良好な平板を得られた。平板の体積固有抵抗を測定したところ、表3に示す良好な導電性が得られた。
複合材料2を用いた以外は、実施例3と同じ条件で平板を射出圧縮成形した。平板の体積固有抵抗を測定したところ、表3に示す良好な導電性が得られた。
成形機に断熱金型3を取り付けて、シリンダー温度は280℃、金型温度を135℃に設定し、複合材料1を用いて射出圧縮成形を行った。初期金型開量を1mmに設定し、射出完了後50tの型締め力で圧縮し、冷却時間90秒で良好な形状の模擬セパレータ平板を得た。平板の体積固有抵抗を測定したところ、表3に示す良好な導電性が得られた。
成形機に断熱金型3を取り付けて、シリンダー温度を280℃、金型温度を135℃に設定し、複合材料1を用いて射出成形を行った。冷却時間90秒で形状が良好な模擬セパレータ平板を得た。平板の体積固有抵抗を測定したところ、表3に示す良好な導電性が得られた。
成形機に非断熱金型1を取り付けて、シリンダー温度を280℃、金型温度を120℃に設定し、複合材料1を用いて射出成形を行った。冷却時間60秒で成形品を金型から取出したが、完全に充填された成形品を得ることは出来なかった。
成形機に非断熱金型1を取り付けて、シリンダー温度を280℃、金型温度を145℃に設定し、複合材料1を用いて射出成形を行った。冷却時間60秒では完全に固化した成形品を得ることが出来なかった。
完全に固化した成形品を得るために、冷却時間を150秒に設定した以外は、比較例2と同じ条件で成形した。完全に固化した成形品を得られたが、成形サイクルタイムが長くなった。
成形機に非断熱金型1を取り付けて、シリンダー温度を280℃、金型温度を120℃に設定し、複合材料1を用いて射出圧縮成形を行った。初期金型開量を1mmに設定し、射出完了後50tの型締め力で圧縮し、冷却時間60秒で成形品を取出すことにより、完全に固化した成形品が得られた。しかし、完全に充填された平板が得られる条件では、得られた平板の厚みが1.3mmとなり、厚みが1mmの良好な平板は得られず、寸法精度が劣った。平板の厚みを1mmにするために複合材料1の量を減らすと、完全に充填された成形品を得ることができなかった。
12、13…溝
Claims (10)
- 体積固有抵抗が100mΩ・cm以下の導電性充填材含有熱可塑性樹脂複合材料からなる導電性構造体の射出圧縮成形方法であり、前記導電性充填材含有熱可塑性樹脂複合材料が、ポリプロピレン樹脂と、粉末状および/または繊維状の炭素質材料とを少なくとも含有するものであり、射出圧縮成形の金型として、キャビティーを形成する型壁面が熱伝導率0.017J/cm・sec・℃以下の断熱材料からなる断熱層で被覆されてなる金属製の金型を用いて、厚み1mm以下の導電性構造体を成形することを特徴とする導電性構造体の射出圧縮成形方法。
- 前記断熱層が金属層で被覆されてなる金型を用いることを特徴とする請求項1に記載の導電性構造体の射出圧縮成形方法。
- 前記断熱層が耐熱性重合体からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の導電性構造体の射出圧縮成形方法。
- 前記導電性充填材含有熱可塑性樹脂複合材料が導電性充填材を70〜98質量%含むものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の導電性構造体の射出圧縮成形方法。
- 前記導電性充填材含有熱可塑性樹脂複合材料からなる導電性構造体が、燃料電池用セパレータであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の導電性構造体の射出圧縮成形方法。
- 前記導電性充填材含有熱可塑性樹脂複合材料からなる導電性構造体が、燃料電池用セパレータを熱プレス成形あるいはスタンピング成形するための予備成形体であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の導電性構造体の射出圧縮成形方法。
- 前記燃料電池用セパレータの厚みが、1mm以下であることを特徴とする請求項5に記載の導電性構造体の射出圧縮成形方法。
- 前記燃料電池用セパレータを熱プレス成形あるいはスタンピング成形するための予備成形体の厚みが、1mm以下であることを特徴とする請求項6記載の導電性構造体の射出圧縮成形方法。
- ポリプロピレン樹脂と、粉末状および/または繊維状の炭素質材料とを少なくとも含有する体積固有抵抗が100mΩ・cm以下の導電性充填材含有熱可塑性樹脂複合材料を原料とし、射出圧縮成形の金型として、キャビティーを形成する型壁面が熱伝導率0.017J/cm・sec・℃以下の断熱材料からなる断熱層で被覆されてなる金属製の金型を用いて、厚み1mm以下の燃料電池用セパレータを成形することを特徴とする燃料電池用セパレータの射出圧縮成形方法。
- 前記導電性充填材含有熱可塑性樹脂複合材料が導電性充填材を70〜98質量%含むものであることを特徴とする請求項9に記載の燃料電池用セパレータの射出圧縮成形方法。
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