JP2004034606A - 強化プラスチック浴槽 - Google Patents
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Abstract
【課題】脱型時の応力および使用中の熱衝撃によるクラックの発生防止、耐熱水性、耐熱性、作業性に優れた強化プラスチック浴槽の提供。
【解決手段】ゲルコ−ト層の表面に繊維強化材を存在させて樹脂組成物を硬化させた中間層および補強層を順に形成する浴槽において、前記ゲルコ−ト層を形成する樹脂組成物として、(a)ポリエチレン−2,6−ナフタレ−ト、(b)α,β−不飽和二塩基酸および/またはその酸無水物、(c)飽和多塩基酸および/またはその酸無水物と(d)一般式(I)
(式中、mおよびnはmとnの平均値が2.5〜5.0となる整数である)で表される水添化ビスフェノ−ルAプロピレンオキシド誘導体および(e)多価アルコ−ルを、配合して反応させて得られた不飽和ポリエステルおよび分子中に重合性二重結合を有する不飽和単量体を含む組成物の硬化物でゲルコ−ト層を形成してなる浴槽の製造方法。
【選択図】 図2
【解決手段】ゲルコ−ト層の表面に繊維強化材を存在させて樹脂組成物を硬化させた中間層および補強層を順に形成する浴槽において、前記ゲルコ−ト層を形成する樹脂組成物として、(a)ポリエチレン−2,6−ナフタレ−ト、(b)α,β−不飽和二塩基酸および/またはその酸無水物、(c)飽和多塩基酸および/またはその酸無水物と(d)一般式(I)
(式中、mおよびnはmとnの平均値が2.5〜5.0となる整数である)で表される水添化ビスフェノ−ルAプロピレンオキシド誘導体および(e)多価アルコ−ルを、配合して反応させて得られた不飽和ポリエステルおよび分子中に重合性二重結合を有する不飽和単量体を含む組成物の硬化物でゲルコ−ト層を形成してなる浴槽の製造方法。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は強化プラスチック浴槽に関し、さらに詳しくは、脱型時の応力および使用中の熱衝撃によるクラックの発生を防止し、かつ耐熱水性、耐熱性および作業性に優れた強化プラスチック浴槽に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、強化プラスチック浴槽のゲルコ−ト層として、主にイソフタル酸変性不飽和ポリエステル樹脂が用いられている。しかしながら、このイソフタル酸変性不飽和ポリエステル樹脂の場合には、長期使用中に浴槽表面に樹脂の劣化によるひび割れやフクレが生じたり、退色したり、光沢を失い汚垢等が付着し易くなったりする欠点があった。
【0003】
この欠点に対処するために、ゲルコ−ト層として、主に耐蝕用に使用されている水添化ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルAプロピレンオキサイド誘導体等の多価アルコ−ル成分を用いて得た不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂などが用いられる。これらの樹脂の場合には、前記の欠点は解決されるが、硬化物の着色が激しくなったり、脱型時の応力および使用中の熱衝撃によりクラックが発生するという欠点がある。
【0004】
この脱型時の応力および使用中の熱衝撃によるクラックの発生を防止する方法として、ゲルコ−ト樹脂の反応性を低下させたり、酸−グリコ−ル成分の一部を変更して軟質化を図ったり、ゲルコ−ト樹脂の硬化物の伸びを大きくすることが行われているが、この場合にも耐熱水性及び耐熱性の低下が起こり、その解決が強く望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術の欠点を除去して脱型時の応力および使用中の熱衝撃によるクラックの発生を防止し、かつ耐熱水性、耐熱性および作業性に優れた強化プラスチック浴槽を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は次のものに関する。
(1) ゲルコ−ト層とこのゲルコ−ト層の表面に繊維強化材を存在させて樹脂組成物を硬化させた中間層および補強層を順に形成する強化プラスチック浴槽の製造方法において、前記ゲルコ−ト層を形成する樹脂組成物として、(a)ポリエチレン−2,6−ナフタレ−ト aモル(ただし、分子中に含まれる2,6−ナフタレンジカルボン酸成分のモル数)、(b)α,β−不飽和二塩基酸および/またはその酸無水物 bモル、(c)飽和多塩基酸および/またはその酸無水物 cモルと(d)一般式(I)
【0007】
【化2】
【0008】
(式中、mおよびnはmとnの平均値が2.5〜5.0となる整数である)で表される水添化ビスフェノ−ルAプロピレンオキシド誘導体 dモルおよび(e)多価アルコ−ルeモルを、a/(a+b+c)が0.05/1〜0.7/1、(a+d)/(a+b+c)が0.1/1〜0.9/1、(a+d+e)/(a+b+c)が1/1〜1.5/1になるように配合して反応させて得られた不飽和ポリエステルおよび分子中に重合性二重結合を有する不飽和単量体を含む不飽和ポリエステル樹脂組成物の硬化物でゲルコ−ト層を形成してなる強化プラスチック浴槽に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
図1は、本発明に用いられる成形型の断面図であり、図2は本発明の方法によって得られる成形品の断面図である。
【0010】
本発明になる強化プラスチック浴槽の製造方法によって成形する成形品の一例は、図1に示すように、まず、ゲルコ−ト層1を形成させる。次いでこのゲルコ−ト層1を表面にして、その内側に常法により繊維強化材を含ませた状態で硬化した樹脂の中間層2および補強層3を設けた3層構造の強化プラスチック浴槽である。
【0011】
この強化プラスチック浴槽は、図2に示すように、FRP製成形型4の外側表面に本発明により作成した不飽和ポリエステル樹脂組成物を用い、公知の方法で型にスプレイし形成した後に、このゲルコ−ト層1の外側表面に中間層2及び補強層3をハンドレイアップ法やスプレイアップ法等の公知の方法で形成し、その後脱型することにより得られる。
【0012】
ゲルコ−ト層1の形成に用いる樹脂組成物は、(a)ポリエチレン−2,6−ナフタレ−ト aモル(ただし、分子中に含まれる2,6−ナフタレンジカルボン酸成分のモル数)、(b)α,β−不飽和二塩基酸および/またはその酸無水物 bモル、(c)飽和多塩基酸および/またはその酸無水物 cモルを必須成分とするが、これらは、a/(a+b+c)が0.05/1〜0.7/1、好ましくは0.1/1〜0.5/1になるように配合される。
【0013】
a/(a+b+c)が0.05/1未満では、ゲルコ−ト表面の靭性を低下させ、熱衝撃によるクラックが発生し、 a/(a+b+c)が0.7/1を超えると、不飽和ポリエステル樹脂の粘度が激しく上昇し、スプレイ作業性を著しく低下させる傾向があるためa/(a+b+c)は0.5/1以下であることが好ましい。
【0014】
次に、本発明における不飽和ポリエステル樹脂は、一般式(I)
【化3】
【0015】
(式中、mおよびnはmとnの平均値が2.5〜5.0となる整数である)で表される水添化ビスフェノ−ルAプロピレンオキシド誘導体も必須成分であり、これは、(a+d)/(a+b+c)が0.1/1〜0.9/1の範囲で配合するのが好ましく、0.2/1〜0.7/1の範囲で配合することがさらに好ましい。
(a+d)/(a+b+c)が0.1/1未満では、耐熱性が低下し、0.9/1を超えると耐熱水性は向上するが、不飽和ポリエステル樹脂の粘度が激しく上昇し、スプレイ作業性を著しく低下させる傾向である。
【0016】
さらに、本発明における不飽和ポリエステル樹脂は、多価アルコ−ルも必須成分であり、これは(a+d+e)/(a+b+c)が1/1〜1.5/1の範囲で配合するが好ましくは、1.03/1から1.2/1の範囲で配合することがさらに好ましい(a+d+e)/(a+b+c)が1.0/1未満では、ポリエチレン−2,6−ナフタレ−トの解重合が起こり難くなる傾向であり、1.2/1を超えると硬化性が低下する。
【0017】
本発明に使用するポリエチレン−2,6−ナフタレ−ト(以下、PENと略す。)は成形前のポリマ−素材でなくてもかまわない。例えば、PEN製造時に発生する端物屑、フィルムボトル等のPEN成型品、その生産工程で発生する端物屑不良品等の廃棄対象物、回収された使用済みのフィルム、ボトルでも使用可能である。フィルム、ボトル等の回収品を使用する場合は、多価アルコ−ル分解がすみやかに進むように、30mm角以下、好ましくは10mm角以下に破砕し、洗浄、乾燥しておくことが好ましい。PENの1モルとは、繰り返し単位を示し、分子量242に相当する。
【0018】
不飽和二塩基酸および/またはその酸無水物としては、例えば、マレイン酸、フマ−ル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸などを用いることができる。これらは、2種類以上を併用することもできる。不飽和二塩基酸および/またはその酸無水物は、b/(a+b+c)が0.1/1〜0.95/1の範囲で使用するのが好ましく、0.3/1〜0.9/1の範囲で使用するのがさらに好ましい。これらの使用量が少なすぎるとゲルコ−ト表面の耐熱水性が低下する傾向があり、0.9/1を超えるとPENを使用する効果がなくなり、ゲルコ−ト表面の靭性が低下する傾向がある。
【0019】
また、飽和二塩基酸および/またはその酸無水物を用いることもでき、これらの例としては、例えば、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、こはく酸、アゼライン酸、アジピン酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ロジン−無水マレイン酸付加物、クロレンディック酸、無水クロレンディック酸、テトラクロロフタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、テトラブロモフタル酸、テトラブロモ無水フタル酸などを挙げることができる。これらは2種類以上を併用してもよい。飽和二塩基酸および/またはその酸無水物は、c/(a+b+c)が0/1〜0.85/1の範囲で使用するのが好ましく、0/1〜0.65/1の範囲で使用するのがさらに好ましい。
【0020】
多価アルコ−ルとしては、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、イソペンチルグリコ−ル、トリメチロ−ルプロパン等を使用することができる。
【0021】
また、重合性単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体、ジアリルフタレ−ト、アクリルニトリル、酢酸ビニル等を使用できる。
【0022】
また硬化剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、t−ブチルパ−ベンゾエ−ト、t−ブチルパ−オクトエ−ト、ベンゾイルパ−オキシド、メチルエチルケトンパ−オキサイド、ハイドロパ−オキサイド、ラウロイルパ−オキサイド、ジクミルパ−オキサイド等の有機過酸化物などが用いられる.さらにこれらの硬化剤は、必要に応じて例えばナフテン酸コバルト、オクテン酸コバルト等の金属石鹸類、ジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩、アセチルアセトン等のβ−ジケトン類、ジメチルアニリン、N−エチル−メタトルイジン、トリエタノ−ルアミン等のアミン類などの硬化促進剤と組み合わせて用いることが出来る。
【0023】
前記不飽和ポリエステル樹脂組成物には、必要に応じて、ハイドロキノン等の重合禁止剤[不飽和ポリエステルおよび重合性単量体の総量に対して0.0001〜0.1重量%の範囲で使用することが好ましい]を添加することができる。
【0024】
また、成形品を着色する場合は、市販の有機または無機の染料または顔料(不飽和ポリエステルおよび重合性単量体の総量に対して1〜10重量%の範囲で使用することが好ましい。)などを使用することができる。
【0025】
本発明における強化ポリエステル浴槽の製造方法において、成形品の表面となるゲルコ−ト層1は、所望の成形型5の表面に形成する。このゲルコ−ト層1の厚さは、0.1〜1mmの範囲が好ましく、特に、0.15〜0.5mmの範囲が良い。
【0026】
ゲルコ−ト層の上(成形品としては内側になる)に繊維強化材を配置して不飽和ポリエステル樹脂組成物を硬化させることにより該ゲルコ−ト層1の内側に中間層2を形成し、更にその上(成形品としては最内側になる)に繊維強化材を配置して不飽和ポリエステル樹脂組成物を硬化させて補強層3を形成することにより、3層の成形品を得る。
【0027】
ここで使用する繊維強化材には特別な制約はなく、例えば、ガラス繊維、カ−ボン繊維、アラミド繊維、などを使用することができる。そして、これらの繊維の使用形態にも特別な制約はなく、例えば、チョップドストランドマット、コンテニアスマット等のマット状形態、ガラスロ−ビングクロス等のクロス状連続繊維形態、ガラスロ−ビング等のロ−ビング状形態で使用することが可能である。
【0028】
中間層2における繊維強化材の割合は、15〜50重量%であることが好ましく、特に20〜40重量%が良い。そして、この中間層2の厚さは、0.3〜3mmが好ましく、特に0.5〜2.0mmが良い。
【0029】
補強層3における繊維強化材の割合は、15〜60重量%であることが好ましく、特に20〜50重量%が良い。そして、この補強層3の厚さは、0.5〜10mmが好ましく、特に1.0〜7.0mmが良い。
[実施例]
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例及び比較例において、部とあるのは重量部を示す。
【0030】
実施例1
プロピレングリコ−ル857g(11.2モル)、水添化ビスフェノ−ルAプロピレンオキシド誘導体 1054g(ビスオ−ルH−3PN 2.93モル,東邦千葉化学工業(株)商品名)、PEN355g(1.47モル、成分として含まれる2,6−ナフタレンジカルボン酸換算、以下同じ)、t−ブチルチタネ−ト0.355g(PEN重量の0.1%)、イソフタル酸487g(2.93モル)を、温度計、撹拌機、不活性ガス導入管、コンデンサ−を備えた3,000mlの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で、撹拌しながら5時間かけて210℃まで昇温し、内容物が均一になったところで温度を180℃に下げた。このとき、グリコ−ルの著しい環流は認められなかった。この解重合体の数平均分子量(ゲル浸透クロマトグラフィ−を用いてポリスチレン換算で求められるもの、以下同様)は、680であった。
【0031】
180℃の温度で、無水マレイン酸1,006g(10.3モル)、ハイドロキノン0.3gを加え、再度3時間で215℃まで昇温し、常法により脱水縮合反応を行わせ、酸価が23KOHmg/gになったところで反応を止め、170℃でハイドロキノン0.4gを添加したスチレン1,500gに溶解し、不飽和ポリエステル樹脂Aを得た。数平均分子量を求めたところ3,100であった。この不飽和ポリエステル樹脂A100重量部に対して、揺変剤(エロジ−ル200 日本アエロジル社商品名)2部、ナフテン酸コバルト(コバルト含有量6重量%)0.5部と顔料[ST2374White 大日精化(株)商品名]10部を加えて不飽和ポリエステル樹脂組成物Bを得た。
この不飽和ポリエステル樹脂組成物B100部に硬化剤[パ−メックN 日本油脂(株)商品名]1.0部を添加混合し、カップガン[ワイダ−77 イワタ(株)商品名]を用いてFRP製成形型5(図2参照)の表面に0.3mmの厚さに吹き付け塗布し、50℃で1時間硬化させてゲルコ−ト1を形成した。
次に、ポリセットNR2202PT−M[日立化成工業(株)商品名]100部にパ−メックNを1.0部添加した組成物と、ガラスマットFEM−230[日東紡績(株)商品名]を使用して、ガラスマットの含有量が25%となるように、ロ−ルを使用したハンドレイアップ法により、前記ゲルコ−ト層1の上に繊維強化材入りの1mm厚さの中間層2を形成し、十分脱泡した後にゲル化させた。
【0032】
さらに、ポリセット5595APT−M[日立化成工業(株)商品名]100部にパ−メック Nを1.0部添加した組成物と、ガラスマットを使用して、ガラスマットの含有量が30%重量%となるように、ロ−ルを使用したハンドレイアップ法により、前記中間層2の上に繊維強化材入りの3mmの厚さの補強層3を成形し、十分に脱泡した後に50℃で1時間硬化させ、脱型して強化プラスチック浴槽成形品を得た。その特性を第1表に示す。
【0033】
実施例2
プロピレングリコ−ル437g(6.4モル)、ビスオ−ルH−3PN 1,620g(5.0モル)、PEN914g(4.2モル)、t−ブチルチタネ−ト0.914g(PEN重量の0.1%)、イソフタル酸329g(2.2モル)を、温度計、撹拌機、不活性ガス導入管、コンデンサ−を備えた3,000mlの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で、撹拌しながら5時間かけて210℃まで昇温し、内容物が均一になったところで温度を180℃に下げた。このとき、グリコ−ルの著しい環流は認められなかった。
この解重合体の数平均分子量は、690であった。
【0034】
180℃の温度で、無水マレイン酸732g(8.3モル)、プロピレングリコ−ル232g(3.1モル)、ハイドロキノン0.3gを加え、再度3時間で215℃まで昇温し、常法により脱水縮合反応を行わせ、酸価が22KOHmg/gになったところで反応を止め、170℃でハイドロキノン0.4gを添加したスチレン1,500gに溶解し、不飽和ポリエステル樹脂Cを得た。数平均分子量を求めたところ2,000であった。
【0035】
この不飽和ポリエステル樹脂C100重量部に対して、実施例1と同じように揺変剤(エロジ−ル200 日本アエロジル社商品名)2部、ナフテン酸コバルト(コバルト含有量6重量%)0.5部と顔料[ST2374White 大日精化(株)商品名]10部を加えて不飽和ポリエステル樹脂組成物Dを得た。
【0036】
この不飽和ポリエステル樹脂組成物D100部に硬化剤[パ−メックN 日本油脂(株)商品名]1.0部を添加混合し、カップガン[ワイダ−77 イワタ(株)商品名]を用いてFRP製成形型5(図2参照)の表面に0.3mmの厚さに吹き付け塗布し、50℃で1時間硬化させてゲルコ−ト1を形成した。
【0037】
さらに実施例1と同様に処理して中間層2および補強層3を形成させて本発明の強化プラスチック浴槽を得た。その特性を第1表に示す。
【0038】
比較例1
プロピレングリコ−ル437g(6.4モル)、水添加ビスフェノ−ルA1,952g(9.2モル)、イソフタル酸329g(2.2モル)を、温度計、撹拌機、不活性ガス導入管、コンデンサ−を備えた3,000mlの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で、撹拌しながら5時間かけて210℃まで昇温し、常法により脱水縮合反応を行わせ、酸価が5以下になったところで温度を180℃まで下げた。次に、180℃の温度で無水マレイン酸732g(8.3モル)、ハイドロキノン0.3gを加え、再度3時間で215℃まで昇温し、常法により脱水縮合反応を行わせ、酸価が20KOHmg/gになったところで反応を止め、170℃でハイドロキノン0.4gを添加したスチレン1,500gに溶解し、不飽和ポリエステル樹脂Eを得た。数平均分子量を求めたところ2,150であった。
【0039】
この不飽和ポリエステル樹脂E100重量部に対して、実施例1と同じように揺変剤(エロジ−ル200 日本アエロジル社商品名)2部、ナフテン酸コバルト(コバルト含有量6重量%)0.5部と顔料[ST2374White 大日精化(株)商品名]10部を加えて不飽和ポリエステル樹脂組成物Fを得た。
【0040】
この不飽和ポリエステル樹脂組成物F100部に硬化剤[パ−メックN 日本油脂(株)商品名]1.0部を添加混合し、カップガン[ワイダ−77 イワタ(株)商品名]を用いてFRP製成形型5(図2参照)の表面に0.3mmの厚さに吹き付け塗布し、50℃で1時間硬化させてゲルコ−ト1を形成した。
さらに実施例1と同様に処理して中間層2および補強層3を形成させて本発明の強化プラスチック浴槽を得た。その特性を第1表に示す。
【0041】
比較例2
プロピレングリコ−ル984g(8.0モル)、イソフタル酸591g(2.2モル)を、温度計、撹拌機、不活性ガス導入管、コンデンサ−を備えた3,000mlの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で、撹拌しながら5時間かけて210℃まで昇温し、常法により脱水縮合反応を行わせ、酸価が5以下になったところで温度を180℃まで下げた。
次に、180℃の温度でプロピレングリコ−ル504g(4.1モル)、無水マレイン酸1,317g(8.3モル)、ハイドロキノン0.3gを加え、再度3時間で215℃まで昇温し、常法により脱水縮合反応を行わせ、酸価が23KOHmg/gになったところで反応を止め、170℃でハイドロキノン0.4gを添加したスチレン1,500gに溶解し、不飽和ポリエステル樹脂Eを得た。数平均分子量を求めたところ2,050であった。
【0042】
この不飽和ポリエステル樹脂G100重量部に対して、実施例1と同じように揺変剤(エロジ−ル200 日本アエロジル社商品名)2部、ナフテン酸コバルト(コバルト含有量6重量%)0.5部と顔料[ST2374White 大日精化(株)商品名]10部をを加えて不飽和ポリエステル樹脂組成物Hを得た。
【0043】
この不飽和ポリエステル樹脂組成物H100部に硬化剤[パ−メックN 日本油脂(株)商品名]1.0部を添加混合し、カップガン[ワイダ−77 イワタ(株)商品名]を用いてFRP製成形型5(図2参照)の表面に0.3mmの厚さに吹き付け塗布し、50℃で1時間硬化させてゲルコ−ト層1を形成した。
【0044】
さらに実施例1と同様に処理して中間層2および補強層3を形成させて本発明の強化プラスチック浴槽を得た。その特性を第1表に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】
第1表の結果から、本発明の強化プラスチック浴槽は、引張り伸び率が大で、成形および熱衝撃によるクラックの発生がなく、しかも耐熱水性にも優れていることが示される。
【図面の簡単な説明】
【図1】:実施例及び比較例で使用したFRP製成形型の断面図。
【図2】:本発明の一実施例を示す強化プラスチック浴槽の断面図。
【符号の説明】
1−ゲルコ−ト層 3−補強層
2−中間層
【発明の属する技術分野】
本発明は強化プラスチック浴槽に関し、さらに詳しくは、脱型時の応力および使用中の熱衝撃によるクラックの発生を防止し、かつ耐熱水性、耐熱性および作業性に優れた強化プラスチック浴槽に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、強化プラスチック浴槽のゲルコ−ト層として、主にイソフタル酸変性不飽和ポリエステル樹脂が用いられている。しかしながら、このイソフタル酸変性不飽和ポリエステル樹脂の場合には、長期使用中に浴槽表面に樹脂の劣化によるひび割れやフクレが生じたり、退色したり、光沢を失い汚垢等が付着し易くなったりする欠点があった。
【0003】
この欠点に対処するために、ゲルコ−ト層として、主に耐蝕用に使用されている水添化ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルAプロピレンオキサイド誘導体等の多価アルコ−ル成分を用いて得た不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂などが用いられる。これらの樹脂の場合には、前記の欠点は解決されるが、硬化物の着色が激しくなったり、脱型時の応力および使用中の熱衝撃によりクラックが発生するという欠点がある。
【0004】
この脱型時の応力および使用中の熱衝撃によるクラックの発生を防止する方法として、ゲルコ−ト樹脂の反応性を低下させたり、酸−グリコ−ル成分の一部を変更して軟質化を図ったり、ゲルコ−ト樹脂の硬化物の伸びを大きくすることが行われているが、この場合にも耐熱水性及び耐熱性の低下が起こり、その解決が強く望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術の欠点を除去して脱型時の応力および使用中の熱衝撃によるクラックの発生を防止し、かつ耐熱水性、耐熱性および作業性に優れた強化プラスチック浴槽を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は次のものに関する。
(1) ゲルコ−ト層とこのゲルコ−ト層の表面に繊維強化材を存在させて樹脂組成物を硬化させた中間層および補強層を順に形成する強化プラスチック浴槽の製造方法において、前記ゲルコ−ト層を形成する樹脂組成物として、(a)ポリエチレン−2,6−ナフタレ−ト aモル(ただし、分子中に含まれる2,6−ナフタレンジカルボン酸成分のモル数)、(b)α,β−不飽和二塩基酸および/またはその酸無水物 bモル、(c)飽和多塩基酸および/またはその酸無水物 cモルと(d)一般式(I)
【0007】
【化2】
【0008】
(式中、mおよびnはmとnの平均値が2.5〜5.0となる整数である)で表される水添化ビスフェノ−ルAプロピレンオキシド誘導体 dモルおよび(e)多価アルコ−ルeモルを、a/(a+b+c)が0.05/1〜0.7/1、(a+d)/(a+b+c)が0.1/1〜0.9/1、(a+d+e)/(a+b+c)が1/1〜1.5/1になるように配合して反応させて得られた不飽和ポリエステルおよび分子中に重合性二重結合を有する不飽和単量体を含む不飽和ポリエステル樹脂組成物の硬化物でゲルコ−ト層を形成してなる強化プラスチック浴槽に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
図1は、本発明に用いられる成形型の断面図であり、図2は本発明の方法によって得られる成形品の断面図である。
【0010】
本発明になる強化プラスチック浴槽の製造方法によって成形する成形品の一例は、図1に示すように、まず、ゲルコ−ト層1を形成させる。次いでこのゲルコ−ト層1を表面にして、その内側に常法により繊維強化材を含ませた状態で硬化した樹脂の中間層2および補強層3を設けた3層構造の強化プラスチック浴槽である。
【0011】
この強化プラスチック浴槽は、図2に示すように、FRP製成形型4の外側表面に本発明により作成した不飽和ポリエステル樹脂組成物を用い、公知の方法で型にスプレイし形成した後に、このゲルコ−ト層1の外側表面に中間層2及び補強層3をハンドレイアップ法やスプレイアップ法等の公知の方法で形成し、その後脱型することにより得られる。
【0012】
ゲルコ−ト層1の形成に用いる樹脂組成物は、(a)ポリエチレン−2,6−ナフタレ−ト aモル(ただし、分子中に含まれる2,6−ナフタレンジカルボン酸成分のモル数)、(b)α,β−不飽和二塩基酸および/またはその酸無水物 bモル、(c)飽和多塩基酸および/またはその酸無水物 cモルを必須成分とするが、これらは、a/(a+b+c)が0.05/1〜0.7/1、好ましくは0.1/1〜0.5/1になるように配合される。
【0013】
a/(a+b+c)が0.05/1未満では、ゲルコ−ト表面の靭性を低下させ、熱衝撃によるクラックが発生し、 a/(a+b+c)が0.7/1を超えると、不飽和ポリエステル樹脂の粘度が激しく上昇し、スプレイ作業性を著しく低下させる傾向があるためa/(a+b+c)は0.5/1以下であることが好ましい。
【0014】
次に、本発明における不飽和ポリエステル樹脂は、一般式(I)
【化3】
【0015】
(式中、mおよびnはmとnの平均値が2.5〜5.0となる整数である)で表される水添化ビスフェノ−ルAプロピレンオキシド誘導体も必須成分であり、これは、(a+d)/(a+b+c)が0.1/1〜0.9/1の範囲で配合するのが好ましく、0.2/1〜0.7/1の範囲で配合することがさらに好ましい。
(a+d)/(a+b+c)が0.1/1未満では、耐熱性が低下し、0.9/1を超えると耐熱水性は向上するが、不飽和ポリエステル樹脂の粘度が激しく上昇し、スプレイ作業性を著しく低下させる傾向である。
【0016】
さらに、本発明における不飽和ポリエステル樹脂は、多価アルコ−ルも必須成分であり、これは(a+d+e)/(a+b+c)が1/1〜1.5/1の範囲で配合するが好ましくは、1.03/1から1.2/1の範囲で配合することがさらに好ましい(a+d+e)/(a+b+c)が1.0/1未満では、ポリエチレン−2,6−ナフタレ−トの解重合が起こり難くなる傾向であり、1.2/1を超えると硬化性が低下する。
【0017】
本発明に使用するポリエチレン−2,6−ナフタレ−ト(以下、PENと略す。)は成形前のポリマ−素材でなくてもかまわない。例えば、PEN製造時に発生する端物屑、フィルムボトル等のPEN成型品、その生産工程で発生する端物屑不良品等の廃棄対象物、回収された使用済みのフィルム、ボトルでも使用可能である。フィルム、ボトル等の回収品を使用する場合は、多価アルコ−ル分解がすみやかに進むように、30mm角以下、好ましくは10mm角以下に破砕し、洗浄、乾燥しておくことが好ましい。PENの1モルとは、繰り返し単位を示し、分子量242に相当する。
【0018】
不飽和二塩基酸および/またはその酸無水物としては、例えば、マレイン酸、フマ−ル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸などを用いることができる。これらは、2種類以上を併用することもできる。不飽和二塩基酸および/またはその酸無水物は、b/(a+b+c)が0.1/1〜0.95/1の範囲で使用するのが好ましく、0.3/1〜0.9/1の範囲で使用するのがさらに好ましい。これらの使用量が少なすぎるとゲルコ−ト表面の耐熱水性が低下する傾向があり、0.9/1を超えるとPENを使用する効果がなくなり、ゲルコ−ト表面の靭性が低下する傾向がある。
【0019】
また、飽和二塩基酸および/またはその酸無水物を用いることもでき、これらの例としては、例えば、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、こはく酸、アゼライン酸、アジピン酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ロジン−無水マレイン酸付加物、クロレンディック酸、無水クロレンディック酸、テトラクロロフタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、テトラブロモフタル酸、テトラブロモ無水フタル酸などを挙げることができる。これらは2種類以上を併用してもよい。飽和二塩基酸および/またはその酸無水物は、c/(a+b+c)が0/1〜0.85/1の範囲で使用するのが好ましく、0/1〜0.65/1の範囲で使用するのがさらに好ましい。
【0020】
多価アルコ−ルとしては、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、イソペンチルグリコ−ル、トリメチロ−ルプロパン等を使用することができる。
【0021】
また、重合性単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体、ジアリルフタレ−ト、アクリルニトリル、酢酸ビニル等を使用できる。
【0022】
また硬化剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、t−ブチルパ−ベンゾエ−ト、t−ブチルパ−オクトエ−ト、ベンゾイルパ−オキシド、メチルエチルケトンパ−オキサイド、ハイドロパ−オキサイド、ラウロイルパ−オキサイド、ジクミルパ−オキサイド等の有機過酸化物などが用いられる.さらにこれらの硬化剤は、必要に応じて例えばナフテン酸コバルト、オクテン酸コバルト等の金属石鹸類、ジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩、アセチルアセトン等のβ−ジケトン類、ジメチルアニリン、N−エチル−メタトルイジン、トリエタノ−ルアミン等のアミン類などの硬化促進剤と組み合わせて用いることが出来る。
【0023】
前記不飽和ポリエステル樹脂組成物には、必要に応じて、ハイドロキノン等の重合禁止剤[不飽和ポリエステルおよび重合性単量体の総量に対して0.0001〜0.1重量%の範囲で使用することが好ましい]を添加することができる。
【0024】
また、成形品を着色する場合は、市販の有機または無機の染料または顔料(不飽和ポリエステルおよび重合性単量体の総量に対して1〜10重量%の範囲で使用することが好ましい。)などを使用することができる。
【0025】
本発明における強化ポリエステル浴槽の製造方法において、成形品の表面となるゲルコ−ト層1は、所望の成形型5の表面に形成する。このゲルコ−ト層1の厚さは、0.1〜1mmの範囲が好ましく、特に、0.15〜0.5mmの範囲が良い。
【0026】
ゲルコ−ト層の上(成形品としては内側になる)に繊維強化材を配置して不飽和ポリエステル樹脂組成物を硬化させることにより該ゲルコ−ト層1の内側に中間層2を形成し、更にその上(成形品としては最内側になる)に繊維強化材を配置して不飽和ポリエステル樹脂組成物を硬化させて補強層3を形成することにより、3層の成形品を得る。
【0027】
ここで使用する繊維強化材には特別な制約はなく、例えば、ガラス繊維、カ−ボン繊維、アラミド繊維、などを使用することができる。そして、これらの繊維の使用形態にも特別な制約はなく、例えば、チョップドストランドマット、コンテニアスマット等のマット状形態、ガラスロ−ビングクロス等のクロス状連続繊維形態、ガラスロ−ビング等のロ−ビング状形態で使用することが可能である。
【0028】
中間層2における繊維強化材の割合は、15〜50重量%であることが好ましく、特に20〜40重量%が良い。そして、この中間層2の厚さは、0.3〜3mmが好ましく、特に0.5〜2.0mmが良い。
【0029】
補強層3における繊維強化材の割合は、15〜60重量%であることが好ましく、特に20〜50重量%が良い。そして、この補強層3の厚さは、0.5〜10mmが好ましく、特に1.0〜7.0mmが良い。
[実施例]
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例及び比較例において、部とあるのは重量部を示す。
【0030】
実施例1
プロピレングリコ−ル857g(11.2モル)、水添化ビスフェノ−ルAプロピレンオキシド誘導体 1054g(ビスオ−ルH−3PN 2.93モル,東邦千葉化学工業(株)商品名)、PEN355g(1.47モル、成分として含まれる2,6−ナフタレンジカルボン酸換算、以下同じ)、t−ブチルチタネ−ト0.355g(PEN重量の0.1%)、イソフタル酸487g(2.93モル)を、温度計、撹拌機、不活性ガス導入管、コンデンサ−を備えた3,000mlの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で、撹拌しながら5時間かけて210℃まで昇温し、内容物が均一になったところで温度を180℃に下げた。このとき、グリコ−ルの著しい環流は認められなかった。この解重合体の数平均分子量(ゲル浸透クロマトグラフィ−を用いてポリスチレン換算で求められるもの、以下同様)は、680であった。
【0031】
180℃の温度で、無水マレイン酸1,006g(10.3モル)、ハイドロキノン0.3gを加え、再度3時間で215℃まで昇温し、常法により脱水縮合反応を行わせ、酸価が23KOHmg/gになったところで反応を止め、170℃でハイドロキノン0.4gを添加したスチレン1,500gに溶解し、不飽和ポリエステル樹脂Aを得た。数平均分子量を求めたところ3,100であった。この不飽和ポリエステル樹脂A100重量部に対して、揺変剤(エロジ−ル200 日本アエロジル社商品名)2部、ナフテン酸コバルト(コバルト含有量6重量%)0.5部と顔料[ST2374White 大日精化(株)商品名]10部を加えて不飽和ポリエステル樹脂組成物Bを得た。
この不飽和ポリエステル樹脂組成物B100部に硬化剤[パ−メックN 日本油脂(株)商品名]1.0部を添加混合し、カップガン[ワイダ−77 イワタ(株)商品名]を用いてFRP製成形型5(図2参照)の表面に0.3mmの厚さに吹き付け塗布し、50℃で1時間硬化させてゲルコ−ト1を形成した。
次に、ポリセットNR2202PT−M[日立化成工業(株)商品名]100部にパ−メックNを1.0部添加した組成物と、ガラスマットFEM−230[日東紡績(株)商品名]を使用して、ガラスマットの含有量が25%となるように、ロ−ルを使用したハンドレイアップ法により、前記ゲルコ−ト層1の上に繊維強化材入りの1mm厚さの中間層2を形成し、十分脱泡した後にゲル化させた。
【0032】
さらに、ポリセット5595APT−M[日立化成工業(株)商品名]100部にパ−メック Nを1.0部添加した組成物と、ガラスマットを使用して、ガラスマットの含有量が30%重量%となるように、ロ−ルを使用したハンドレイアップ法により、前記中間層2の上に繊維強化材入りの3mmの厚さの補強層3を成形し、十分に脱泡した後に50℃で1時間硬化させ、脱型して強化プラスチック浴槽成形品を得た。その特性を第1表に示す。
【0033】
実施例2
プロピレングリコ−ル437g(6.4モル)、ビスオ−ルH−3PN 1,620g(5.0モル)、PEN914g(4.2モル)、t−ブチルチタネ−ト0.914g(PEN重量の0.1%)、イソフタル酸329g(2.2モル)を、温度計、撹拌機、不活性ガス導入管、コンデンサ−を備えた3,000mlの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で、撹拌しながら5時間かけて210℃まで昇温し、内容物が均一になったところで温度を180℃に下げた。このとき、グリコ−ルの著しい環流は認められなかった。
この解重合体の数平均分子量は、690であった。
【0034】
180℃の温度で、無水マレイン酸732g(8.3モル)、プロピレングリコ−ル232g(3.1モル)、ハイドロキノン0.3gを加え、再度3時間で215℃まで昇温し、常法により脱水縮合反応を行わせ、酸価が22KOHmg/gになったところで反応を止め、170℃でハイドロキノン0.4gを添加したスチレン1,500gに溶解し、不飽和ポリエステル樹脂Cを得た。数平均分子量を求めたところ2,000であった。
【0035】
この不飽和ポリエステル樹脂C100重量部に対して、実施例1と同じように揺変剤(エロジ−ル200 日本アエロジル社商品名)2部、ナフテン酸コバルト(コバルト含有量6重量%)0.5部と顔料[ST2374White 大日精化(株)商品名]10部を加えて不飽和ポリエステル樹脂組成物Dを得た。
【0036】
この不飽和ポリエステル樹脂組成物D100部に硬化剤[パ−メックN 日本油脂(株)商品名]1.0部を添加混合し、カップガン[ワイダ−77 イワタ(株)商品名]を用いてFRP製成形型5(図2参照)の表面に0.3mmの厚さに吹き付け塗布し、50℃で1時間硬化させてゲルコ−ト1を形成した。
【0037】
さらに実施例1と同様に処理して中間層2および補強層3を形成させて本発明の強化プラスチック浴槽を得た。その特性を第1表に示す。
【0038】
比較例1
プロピレングリコ−ル437g(6.4モル)、水添加ビスフェノ−ルA1,952g(9.2モル)、イソフタル酸329g(2.2モル)を、温度計、撹拌機、不活性ガス導入管、コンデンサ−を備えた3,000mlの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で、撹拌しながら5時間かけて210℃まで昇温し、常法により脱水縮合反応を行わせ、酸価が5以下になったところで温度を180℃まで下げた。次に、180℃の温度で無水マレイン酸732g(8.3モル)、ハイドロキノン0.3gを加え、再度3時間で215℃まで昇温し、常法により脱水縮合反応を行わせ、酸価が20KOHmg/gになったところで反応を止め、170℃でハイドロキノン0.4gを添加したスチレン1,500gに溶解し、不飽和ポリエステル樹脂Eを得た。数平均分子量を求めたところ2,150であった。
【0039】
この不飽和ポリエステル樹脂E100重量部に対して、実施例1と同じように揺変剤(エロジ−ル200 日本アエロジル社商品名)2部、ナフテン酸コバルト(コバルト含有量6重量%)0.5部と顔料[ST2374White 大日精化(株)商品名]10部を加えて不飽和ポリエステル樹脂組成物Fを得た。
【0040】
この不飽和ポリエステル樹脂組成物F100部に硬化剤[パ−メックN 日本油脂(株)商品名]1.0部を添加混合し、カップガン[ワイダ−77 イワタ(株)商品名]を用いてFRP製成形型5(図2参照)の表面に0.3mmの厚さに吹き付け塗布し、50℃で1時間硬化させてゲルコ−ト1を形成した。
さらに実施例1と同様に処理して中間層2および補強層3を形成させて本発明の強化プラスチック浴槽を得た。その特性を第1表に示す。
【0041】
比較例2
プロピレングリコ−ル984g(8.0モル)、イソフタル酸591g(2.2モル)を、温度計、撹拌機、不活性ガス導入管、コンデンサ−を備えた3,000mlの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で、撹拌しながら5時間かけて210℃まで昇温し、常法により脱水縮合反応を行わせ、酸価が5以下になったところで温度を180℃まで下げた。
次に、180℃の温度でプロピレングリコ−ル504g(4.1モル)、無水マレイン酸1,317g(8.3モル)、ハイドロキノン0.3gを加え、再度3時間で215℃まで昇温し、常法により脱水縮合反応を行わせ、酸価が23KOHmg/gになったところで反応を止め、170℃でハイドロキノン0.4gを添加したスチレン1,500gに溶解し、不飽和ポリエステル樹脂Eを得た。数平均分子量を求めたところ2,050であった。
【0042】
この不飽和ポリエステル樹脂G100重量部に対して、実施例1と同じように揺変剤(エロジ−ル200 日本アエロジル社商品名)2部、ナフテン酸コバルト(コバルト含有量6重量%)0.5部と顔料[ST2374White 大日精化(株)商品名]10部をを加えて不飽和ポリエステル樹脂組成物Hを得た。
【0043】
この不飽和ポリエステル樹脂組成物H100部に硬化剤[パ−メックN 日本油脂(株)商品名]1.0部を添加混合し、カップガン[ワイダ−77 イワタ(株)商品名]を用いてFRP製成形型5(図2参照)の表面に0.3mmの厚さに吹き付け塗布し、50℃で1時間硬化させてゲルコ−ト層1を形成した。
【0044】
さらに実施例1と同様に処理して中間層2および補強層3を形成させて本発明の強化プラスチック浴槽を得た。その特性を第1表に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】
第1表の結果から、本発明の強化プラスチック浴槽は、引張り伸び率が大で、成形および熱衝撃によるクラックの発生がなく、しかも耐熱水性にも優れていることが示される。
【図面の簡単な説明】
【図1】:実施例及び比較例で使用したFRP製成形型の断面図。
【図2】:本発明の一実施例を示す強化プラスチック浴槽の断面図。
【符号の説明】
1−ゲルコ−ト層 3−補強層
2−中間層
Claims (1)
- ゲルコ−ト層とこのゲルコ−ト層の表面に繊維強化材を存在させて樹脂組成物を硬化させた中間層および補強層を順に形成する強化プラスチック浴槽の製造方法において、前記ゲルコ−ト層を形成する樹脂組成物として、(a)ポリエチレン−2,6−ナフタレ−ト aモル(ただし、分子中に含まれる2,6−ナフタレンジカルボン酸成分のモル数)、(b)α,β−不飽和二塩基酸および/またはその酸無水物 bモル、(c)飽和多塩基酸および/またはその酸無水物 cモルと(d)一般式(I)
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Cited By (1)
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US8017795B2 (en) | 2005-04-21 | 2011-09-13 | Ndsu Research Foundation | Radiation curable polymer films having improved laser ablation properties and radiation curable sensitizers therefor |
-
2002
- 2002-07-05 JP JP2002197441A patent/JP2004034606A/ja active Pending
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