JP2004033142A - 顆粒状天ぷら粉 - Google Patents

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増田 考子
Fumiko Usui
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Abstract

【課題】天ぷら粉の主原料となる小麦粉、澱粉などの穀粉類と、膨張剤などの副原料を用いる場合はこれらを均一に含有する顆粒状天ぷら粉であって、流通中に原料成分の層分離がなく、流動性に優れ、粉立ちがなく、バッター形成時の水溶けが極めて良好な顆粒状天ぷら粉を提供すること。
【解決手段】ゆるみかさ比重が0.4g/ml以上であることを特徴とする顆粒状天ぷら粉。固めかさ比重が0.8g/ml以下であることを特徴とする顆粒状天ぷら粉。ゆるみかさ比重と固めかさ比重の差が0.4以下である。天ぷら粉が、穀粉類、澱粉などの主原料と、膨張剤、乳化剤などの副原料からなる場合には、それらの全量を均一に混合した後、造粒して得られる顆粒状天ぷら粉である。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【産業の属する技術分野】
本発明は、天ぷら用バッター、衣として好適に使用できる顆粒状天ぷら粉に関する。
【0002】
【従来の技術】
天ぷらなどの揚げ物は、通常、小麦粉などの穀粉類を主成分とする組成物を水溶きしたバッターを作り、衣として揚げ種に付着させ、加熱した油で揚げることにより調理される。
【0003】
主成分となる小麦粉などの穀粉類は、飛散しやすい、調理器具にも付着する、流動性が悪く計量し難いなど作業性が悪い。穀粉以外の副原料も混合された粉体状のプレミックスが市販されているが、上記の問題は解決されていない。これら粉体に水を加えてバッターとする際には、水溶けが悪いため塊状のダマが生じやすく、ダマを溶かそうとして必要以上に撹拌するために、グルテンが出て粘りが強くなり、食感に悪影響を及ぼす。特に天ぷら用のバッターの調製は難しく、サクッとした食感に仕上げるには経験と工夫が必要とされる。
【0004】
小麦粉の水溶けを改良する試みは、例えば天ぷら粉においては以下の技術が知られている。小麦粉を予熱した後、凝集結合剤を含有した噴霧液を噴露して小麦粉を凝集結合させ、次いで乾燥させる小麦粉顆粒体の製造方法(特開昭51−57846)、小麦粉及び小麦粉100重量部に対して0.01〜0.5重量部の乳化剤からなり、平均粒径が100〜180μmである天ぷら用小麦造粒物(特開2000−69925)。
【0005】
上記のように小麦粉を加熱して凝集結合剤、乳化剤等ととともに顆粒体もしくは造粒する特開昭51−57846、特開2000−69925は、小麦粉そのものの、あるいは小麦粉と乳化剤のみの顆粒体もしくは造粒物であり、膨張剤入りのバッターとしてそのまま使用できるものではない。また、このような造粒物を副原料と混合して天ぷら粉として流通させる場合、層分離を引き起こしやすく、このような天ぷら粉から得られる天ぷらは、外観、食感の点で必ずしも良好なものとは言えない。さらに、得られた造粒物の粒径がある一定の範囲であっても、その状態によっては、流動性に問題があったり、溶け残りが生じるなどの問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、天ぷら粉の主原料となる小麦粉、澱粉などの穀粉類と、膨張剤などの副原料を用いる場合はこれらを均一に含有する顆粒状天ぷら粉であって、流通中に原料成分の層分離がなく、流動性に優れ、粉立ちがなく、バッター形成時の水溶けが極めて良好な顆粒状天ぷら粉を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題の解決のために鋭意検討した結果、顆粒の状態が重要であることに着目し、その状態がかさ比重によって異なることを見いだした。そして、ゆるみかさ比重と固めかさ比重によって顆粒の状態が特徴付けられ、顆粒の品質が向上して目的とする天ぷら粉が得られることを見いだし本発明を完成するに至った。
本発明は、ゆるみかさ比重が0.4g/ml以上であることを特徴とする顆粒状天ぷら粉を要旨としている。
【0008】
また、本発明は、固めかさ比重が0.8g/ml以下であることを特徴とする顆粒状天ぷら粉を要旨としている。
【0009】
さらに本発明は、ゆるみかさ比重と固めかさ比重の差が0.4以下であり、その場合、本発明は、ゆるみかさ比重が0.4g/ml以上あるいは固めかさ比重が0.8g/ml以下であり、かつ、ゆるみかさ比重と固めかさ比重の差が0.4以下であることを特徴とする顆粒状天ぷら粉を要旨としている。
【0010】
また、本発明は、天ぷら粉が、穀粉類、澱粉などの主原料と、膨張剤、乳化剤などの副原料からなる場合には、それらの全量を均一に混合した後、造粒して得られる顆粒状天ぷら粉であり、その場合、本発明は、穀粉類、澱粉などの主原料と膨張剤、乳化剤などの副原料の全量を均一に混合した後、造粒して得られる顆粒状天ぷら粉であって、ゆるみかさ比重が0.4g/ml以上あるいは固めかさ比重が0.8g/ml以下であり、好ましくは、ゆるみかさ比重と固めかさ比重の差が0.4以下であることを特徴とする顆粒状天ぷら粉を要旨としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の顆粒状天ぷら粉は、主原料となる穀粉類と副原料である膨張剤など天ぷら粉に必要な原料を含有し、ゆるみかさ比重が0.4g/ml以上であることを特徴とする顆粒状天ぷら粉である。また、本発明の顆粒状天ぷら粉は、固めかさ比重が0.8g/ml以下であることを特徴とする顆粒状天ぷら粉である。
【0012】
かさ比重は、一定体積あたりの質量を表すものであるが、本発明においては顆粒状天ぷら粉の好ましい状態を示す指標として、ゆるみかさ比重、固めかさ比重を選択した。本発明の顆粒状天ぷら粉は、顆粒の大きさを示す粒度や粒径によらず、特定のゆるみかさ比重値および/または固めかさ比重値とすることで顆粒の状態(品質)を最適なものとすることにより得られる。
本発明における「ゆるみかさ比重」とは、一定の大きさの容器に粉体を疎充填し、そのかさ体積と粉体重量から比重を求めるもので、いわゆる自然堆積法により求められる。具体的には、容積100mlの容器の円筒型の容器に、試料を710μmのJISに準拠した篩を通して上方から均一に供給し、表面をすり切って秤量することによって測定できる。
一方、本発明における「固めかさ比重」とは、いわゆる後処理法のうち疎充填された状態のものにタッピングを加えて密充填した場合のかさ密度である。タッピングとは、試料を充填した容器を一定の高さから落下させることを反復して行う操作である。具体的には、上記ゆるみかさ比重の測定法に準じて試料を容器に充填した後、高さ18mmからのタッピングを180回行って密に充填し、これを秤量することによって測定できる。これらの操作は、パウダテスター(ホソカワミクロン社製)を用いて行った。
本発明の顆粒状天ぷら粉のゆるみかさ比重は、0.4g/ml以上であることを特徴とする。0.4g/ml未満であると、流動性が悪くなり、溶け残りも生じやすくなる。
【0013】
本発明の顆粒状天ぷら粉の固めかさ比重は0.8g/ml以下であることを特徴とする。0.8g/mlを超える場合は、良好な顆粒状態が形成されていないことを示し、粉立ちが生じ、流動性、水溶けに影響を及ぼす。
また、好ましくはゆるみかさ比重が0.4g/ml以上であり、かつ、固めかさ比重が0.8g/ml以下であると、顆粒状態は極めて良好となる。
【0014】
さらに好ましくは、ゆるみかさ比重と固めかさ比重の差が0.4以下である顆粒状天ぷら粉である。
また、圧縮度が50%以下であることは、より好適な顆粒状態を示す。本発明の圧縮度は、かさの減り度合いを示す値であり、以下の式を用いて求められる。圧縮度(%)={(固めかさ比重−ゆるみかさ比重)/固めかさ比重}×100圧縮度は、50%以下であることが好ましく、圧縮度が50%を超えると流動性が著しく悪くなる。さらに好ましくは、35%〜10%である。圧縮度が10%以下となると、水溶けが悪くなる傾向にある。
【0015】
本発明の顆粒状天ぷら粉は、主原料である穀粉類に、膨張剤などの副原料など、天ぷら粉の配合に必要な全ての原材料を混合し、顆粒状にすることにより得られる。
【0016】
穀粉類は、小麦粉、澱粉が例示される。本発明の造粒物は穀粉類と膨張剤だけでもよいが、穀粉類を主体としたバッターに用いるその他の副原料の全量を含有している。すなわち、対象とする天ぷら食品によって、膨張剤以外の副原料が必要な場合は、必要な副原料の全量を含有する造粒物とする。その他の副原料としては、乳化剤、かぼちゃ粉、色素、香料、卵粉、糖類、デキストリン、蛋白、粉末油脂、食塩、調味料などを適宜使用することができる。
【0017】
本発明で用いる膨張剤は、天ぷらなどの揚げ物ころも、ホットケーキなどに通常使用する膨張剤の一種又は複数種を組み合わせて使用することができる。これら膨張剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カルシウム、重炭酸アンモニウムなどを単独で使用するあるいはこれらに酸性剤として酒石酸、酒石酸水素カリウム、フマール酸、フマール酸ナトリウム、第一リン酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、焼みょうばん、焼アンモニウムミョウバン、グルコノデルタラクトン、塩化アンモニウムなどを組み合わせたもの、などが例示でき、造粒物における膨張剤の効果が維持できるように調製する。
また、使用する膨張剤のうち、少なくとも一種は耐熱性膨張剤であることが好ましい。耐熱性膨張剤は、噴霧液の添加および加熱を伴う造粒後もその効果を維持できるものであり、例えば、脂質などで被覆されたものが挙げられる。被覆脂質には、例えば大豆油やなたね油、パーム油、ひまわり油、オリーブ油などの植物性油脂の他、牛脂、豚脂などの動物性油脂およびこれらの硬化油脂やショートニングなどの他、飽和脂肪酸などがある。飽和脂肪酸では融点の高い炭素数が10個以上の高級脂肪酸、例えば融点が69.5℃のステアリン酸などが好ましい被覆脂質として例示される。
【0018】
得られた造粒物中の膨張剤の効果は、天ぷらにおいてはサクッとした食感の向上、花が咲いた状態の良好な外観に寄与し、これらの効果を達成するには、造粒物のガス発生量が5ml以上であることが好ましく、さらに好ましくは8ml以上である。
【0019】
本発明の造粒組成物のガス発生量は、通常使用されるガス発生量測定装置(ガスビュレット、水準瓶、ガス発生用フラスコ、滴加用ビュレットなどで構成される)を用いて以下の方法で測定する。ガスビュレットならびに水準瓶に入れる置換溶液として、水350mlに食塩100gを溶解させ、炭酸水素ナトリウム1g、0.1%メチルオレンジ試液2mlを加え、溶液がわずかに酸性を呈するまで約50%塩酸水溶液を加えたものを用いる。試料10gを秤量してガス発生用フラスコに入れ、滴加用ビュレットを連結する。滴加用ビュレットに約0.7%(w/v)硫酸水溶液を25ml入れ、ガス発生量測定装置に連結し、ガスビュレットの液面の目盛が0mlを示すところで水準瓶を固定する。滴加用ビュレットのコックを開き、硫酸溶液をガス発生用フラスコ内に滴加し、滴加後直ちにコックを閉め、ガス発生用フラスコを1分間振盪させ、その後4分間静置冷却する。4分後に水準瓶を上下させ、水準瓶の液面とガスビュレットの液面がほぼ平衡となるときの目盛を読み、これをガス発生量(単位:ml)とした。
【0020】
また、本発明のゆるみかさ比重値:固めかさ比重値となる顆粒状天ぷら粉を得るためには、穀粉類、澱粉などの主原料と膨張剤、乳化剤などの副原料の全量を均一に混合した後、造粒して得られるものが好適である。
この場合、造粒方法としては、原料に加水して加熱しながら造粒する方法であればよく、これらの操作を効率的に行える造粒機を適宜使用する。例えば、原料粉体を空気で流動化させ、水などの液体を噴霧して造粒する流動層造粒などがある。このような方法は、多孔質でかつソフトな状態の均一な造粒物となり、その結果、本発明のかさ比重値が得られやすい点で好適である。
造粒における加水量は目的とするかさ比重となるように、用いる造粒手段と勘案して決定する。例えば、造粒中にサンプリングし、かさ比重を確認することで、所望の顆粒状天ぷら粉が得られる。また、噴霧液として噴霧しながら造粒する手段も好適である。噴霧液は水、あるいは水と乳化剤からなる混合物で調製して使用する。造粒中の加熱温度は40℃〜120℃程度、品温は60℃以下の範囲か、それ以外でも膨張剤の効果が維持され、穀粉中のグルテンが過度に変性しない範囲が好適な条件として挙げられる。
【0021】
乳化剤を使用する場合、乳化剤は、液体、固体、粉体のいずれでもよく蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチンなどが例示される。乳化剤の配合割合は、バッター形成時の水溶けが極めて良好であり、ダマがなく、均一に分散されて粘度が安定したバッターが得られる造粒物を形成する範囲であり、造粒物100重量部に対して乳化剤0.01〜2.00重量部、好ましくは0.1〜1.0重量部である。
【0022】
【作用】
本発明で得られる顆粒状天ぷら粉は、流動性が極めて良好であり、しかも流通中の層分離が起こらず天ぷら粉として最適な状態が保たれる。水溶けも非常に良く、ダマがなく、均一に分散されて粘度が安定した天ぷら用バッターを形成することができる。これは、天ぷら粉に必要な原料の全てを混合して特定のかさ比重の顆粒とすることで、顆粒の状態が最適化されるものと推察される。この作用は、粒の粒度や粒径などの大きさによらず、ゆるみかさ比重、固めかさ比重を特定値とすることで得られる。
本発明の天ぷら粉をバッターとして用いた天ぷら粉は、花が咲いたような外観と、好ましい色調、サクッとした食感と良好な食味が得られる。また、粉立ちがなく、流動性が良好なので、バッター調製時の計量カップ等による計量も容易で作業性がよく、常に均一な品質のバッターを提供できる。
【0023】
【実施例】
本願発明の詳細を実施例で説明する。本願発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0024】
実施例1〜4
<顆粒状天ぷら粉の調製>
表1に示す原材料を混合して粉体組成物としたものを、流動層造粒装置を用いて表2の条件で噴霧液として水を用いて造粒後乾燥し、目標とするかさ比重の顆粒状天ぷら粉を調製した。
【0025】
【表1】
Figure 2004033142
【0026】
<表1の評価基準>
表1の顆粒状天ぷら粉および天ぷら用組成物の評価基準は以下のとおりである。
<顆粒状天ぷら粉および天ぷら用組成物とそのバッター評価>
(粉立ち)
5点:粉立ちがほとんどなく、極めて良好
4点:粉立ちが少なく、良好
3点:粉立ちが普通
2点:粉立ちが多く、不良
1点:粉立ちが非常に多く、極めて不良
(流動性・計量し易さ)
5点:サラサラとして非常に流動性がよく、極めて計量し易い
4点:サラサラとして流動性がよく、計量し易い
3点:流動性,計量し易さともに普通
2点:流動性が悪く、計量し難い
1点:流動性が非常に悪く、極めて計量し難い
(水溶け)
5点:粉が速やかに水に分散し、ダマもしくは溶け残りが全くない
4点:粉が水に分散し易く、ダマもしくは溶け残りが少ない
3点:粉が概ね水に分散するが、ダマもしくは溶け残りができる
2点:粉が水に分散し難く、ダマもしくは溶け残りが多い
1点:粉が非常に水に分散し難く、ダマもしくは溶け残りが極めて多い
(粘性・衣付き)
5点:非常に均一かつ安定したクリーム状の粘性で、衣付きが極めて良好
4点:均一かつ安定したクリーム状の粘性で、衣付きが良好
3点:粘性、衣付きともに普通
2点:不均一な粘性で、衣付きが一定でなく不良
1点:非常に不均一なかつ不安定な粘性で、衣付きが極めて不良
<天ぷらの評価>
(外観−花散り)
5点:衣の花散りが非常に多く、極めて良好
4点:衣の花散りが多く、良好
3点:衣の花散りが普通
2点:衣の花散りが少なく、不良
1点:衣の花散りがほとんどなく、極めて不良
(外観−色調)
5点:衣の揚げ色が黄金色で、極めて良好
4点:衣の揚げ色が良好
3点:衣の揚げ色が普通
2点:衣の揚げ色が不良
1点:衣の揚げ色が白色で、極めて不良
(食味)
5点:衣に適度な香ばしさと甘味、旨味があり、極めて良好
4点:衣に香ばしさがあり、良好
3点:衣の香ばしさが普通
2点:衣に香ばしさが乏しく、不良
1点:衣に香ばしさと甘味、旨味がなく、極めて不良
(食感)
5点:衣が非常にソフトでサク味があり、極めて良好
4点:衣がソフトでサク味があり、良好
3点:衣のソフトさ、サク味ともに普通
2点:衣が硬くサク味に欠けており、不良
1点:衣が非常に硬くサク味がなく、極めて不良
(口溶け)
5点:衣の口溶けが極めて良好
4点:衣の口溶けが良好
3点:衣の口溶けが普通
2点:衣の口溶けが不良
1点:衣の口溶けが極めて不良
(油っぽさ)
5点:衣が非常に軽くべたつきがなく、極めて油っぽくない
4点:衣が軽くてべたつきが少なく、油っぽくない
3点:衣が油っぽくない
2点:衣が重くてべたつきが多く、油っぽい
1点:衣が非常に重くてべたつきが多く、極めて油っぽい
【0027】
ゆるみかさ比重の測定方法
ゆるみかさ比重は、目開き710μmの篩とシュートを振動台に載せ、容積が100ccのカップをその下にセットし、試料を篩の上に投入して、篩の振動で試料を分散させながらカップに充填し、カップ上面をすり切ってこれを秤量してかさ比重を算出する。このかさ比重をゆるみかさ比重とする。
【0028】
固めかさ比重の測定方法
固めかさ比重は、粉体を充填したカップを、高さ18mmからのタッピングを180回行って、カップに粉体を密に充填させ、このときのかさ比重を固めかさ比重とする。
【0029】
【表2】
Figure 2004033142
【0030】
実施例5〜6
<顆粒状天ぷら粉の調製>
表1に示す乳化剤以外の原材料を混合して粉体組成物としたものに、流動層造粒装置を用いて、表3の条件で水に乳化剤を溶解させた噴霧液を噴霧しながら造粒後乾燥し、目標とするかさ比重の顆粒状天ぷら粉を調製した。
【0031】
【表3】
Figure 2004033142
【0032】
比較例1〜3
表1に示す原材料を用い、以下の比較例1〜3の組成物を調製した。
比較例1は、原材料を混合して得られた未造粒粉体組成物である。
比較例2は、押し出し造粒によって造粒した顆粒状天ぷら粉である。
原材料の合計100部に対し20部の水を加え、万能混合機にて2分間の混合を行った後、スクリーン直径1mm、ローター回転数160rpmにて造粒した。造粒後流動層乾燥装置で乾燥し、顆粒状天ぷら粉を得た。
比較例3は、予め小麦粉だけを実施例1と同様の方法で造粒後乾燥したものに、その他の原料を添加混合した部分造粒品である。
【0033】
実施例1〜6の顆粒状天ぷら粉は、バッターの評価、天ぷらの評価ともに非常によいものであった。粉体としての物性に優れ、天ぷらの色調、風味、歯脆さのあるサク味などの点において非常に良好であった。
これに対し、比較例1〜3では、目的のかさ比重とはならず本発明の効果は得られなかった。また、比較例2のように造粒中に膨張剤が反応してしまい、造粒組成物における膨張剤の効果が維持されていない造粒組成物では、外観および食味、食感などの点において天ぶらとしての品質に劣るものであった。
【0034】
【発明の効果】
流通中の層分離がなく、流動性に優れ、粉立ちがなく、バッター形成時の水溶けが極めて良好な顆粒状天ぷら粉を提供することができる。

Claims (5)

  1. ゆるみかさ比重が0.4g/ml以上であることを特徴とする顆粒状天ぷら粉。
  2. 固めかさ比重が0.8g/ml以下であることを特徴とする請求項1の顆粒状天ぷら粉。
  3. ゆるみかさ比重と固めかさ比重の差が0.4以下であることを特徴とする請求項1または2の顆粒状天ぷら粉。
  4. 圧縮度が50%以下であることを特徴とする請求項1、2または3の顆粒状天ぷら粉。
  5. 顆粒状天ぷら粉が、穀粉類、澱粉などの主原料と膨張剤、乳化剤などの副原料の全量を均一に混合した後、造粒して得られることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの顆粒状天ぷら粉。
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