JP4759005B2 - 粉末卵及びこれを含有した保形性向上材、並びに各種加工食品 - Google Patents

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Description

本発明は、加工食品の保形性向上効果を有した新規の粉末卵、及びこれを含有した保形性向上材、並びに各種加工食品に関する。
卵は栄養価に優れたうえに、卵原料として使用される液全卵は、熱凝固性、乳化性、起泡性等の特殊な機能を持っている。また、卵は、卵独特の風味や旨味、鮮やかな黄色い色調を付与することができる。したがって、卵は、上記特性を活かして様々な加工食品に最も汎用的に利用されている原材料の一つである。
このように汎用的に利用されている卵に、上記以外の機能、例えば、保形性向上機能を付与できるならば、従来、保形性向上剤として使用されているガム質、澱粉、ゲル化剤等に代わり更なる利用が期待される。しかしながら、卵原料として使用される液全卵は、そもそも熱凝固性を有しているため、加熱調理や加熱殺菌等、加熱を伴う加工食品に配合すると、保形性は向上するものの加工食品の物性が過度に硬くなる場合があり、あるいは凝集した卵により食品全体の食感がざらつく場合がある。また、ブッセのように焼成前の生地に保形性が必要なものに液全卵を配合すると、液全卵は水分含量が76.1%と高いため(五訂食品成分表参照)、混合物の粘度が低下し、むしろ保形性が悪くなる傾向がある。
液全卵の水分を除いたものとして、液全卵を噴霧乾燥や凍結乾燥等で乾燥させた粉末卵が市販されている。しかし、当該粉末卵は依然として熱凝固性を有するため、加工食品に配合した場合、加熱後の加工食品の物性に影響するという問題がある。
卵の熱凝固性による加工食品の物性への影響を防止させる方法として、卵蛋白を熱等により変性させ卵の熱凝固性を消失させる方法が考えられる。例えば、特開昭58−111663号公報(特許文献1)には、卵黄液と卵白液を混合した卵液を加熱処理し、微細化処理した後、粉末化した鶏卵含有食品原料が開示されている。しかしながら、後述の比較例1及び試験例1に示したとおり、特許文献1に開示の鶏卵含有食品原料は、加工食品の保形性向上効果に関して十分に満足できるものではなかった。
特開昭58−111663号公報
そこで、本発明の目的は、加工食品の保形性向上効果を有した新規の粉末卵、及びこれを含有した保形性向上材、並びに各種加工食品を提供するものである。
本発明者は、卵の処理方法について誠意研究を重ねた結果、殻付卵を加熱凝固させた茹卵を原料に製した粉末卵であって、当該粉末卵を水分散させた時の粘度及び平均粒子径がある特定範囲であるならば、意外にも、加工食品の保形性向上効果を有することを見出し、遂に本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)茹卵を原料とする粉末卵であって、粉末卵1部を清水4部に分散させ、1時間経過させた時の分散液の粘度が5Pa・s以上であり、粉末卵1部を清水9部に分散させ、1時間経過させた時の分散液中の粉末卵の平均粒子径が80μm以下である粉末卵、
(2)有効成分として(1)の粉末卵を含有する保形性向上材、
(3)型を用いずに成形するスポンジ状焼き菓子において、(1)の粉末卵を配合するスポンジ状焼き菓子、
(4)(1)の粉末卵を配合するホットケーキ用ミックス粉、
(5)(1)の粉末卵を配合するお好み焼き、
(6)(1)の粉末卵を配合するお好み焼き用ミックス粉、
(7)(1)の粉末卵を配合するフライ食品、
である。
本発明の粉末卵は、加工食品に配合した際、加工食品の保形性を向上させることができる。したがって、食品工業的に大量生産される加工食品の製造において作業性を向上させることが期待できる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
本発明の粉末卵は、茹卵を原料とし、粉末卵1部を清水4部に分散させ、1時間経過させた時の分散液の粘度が5Pa・s以上、好ましくは7Pa・s以上であり、粉末卵1部を清水9部に分散させ、1時間経過させた時の分散液中の粉末卵の平均粒子径が80μm以下、好ましくは70μm以下であり、これにより、加工食品の保形性向上効果を有することを特徴とする。
まず、本発明の粉末卵は、原料として茹卵を用いる必要がある。後述の比較例1及び試験例1で示したとおり、卵黄と卵白の比率が茹卵と同一である液全卵(卵黄液と卵白液の混合液)の加熱凝固物を原料として製した粉末卵は、本発明の特性の一つである上記平均粒子径を満たすことは可能である。しかしながら、液全卵の加熱凝固物を原料として製した粉末卵は、本発明のもう一つの特性である上記粘度を満たさず、本発明のような加工食品の保形性向上効果を有する粉末卵とすることができないからである。
本発明で用いる茹卵の原料として用いる殻付卵は、食用に供されるものであれば特に制限はなく、例えば、鶏卵、鶉卵、アヒル卵等が挙げられる。また、本発明で用いる茹卵は、加熱凝固の程度が、卵白部の流動性が無い程度まで加熱凝固していればよい。したがって、本発明は、卵黄部及び卵白部の流動性が無い程度まで加熱凝固した固茹での茹卵はもちろんのこと、卵白部は流動性が無い程度まで加熱凝固しているが、卵黄部の一部に流動性が残る程度までしか加熱凝固していない半熟状の茹卵を用いてもよい。このような茹卵を製するには、具体的には、例えば、殻付卵をそのまま85〜100℃の熱水中で5〜20分間加熱処理して中身を加熱凝固させた後冷却し、殻を除去する方法等が挙げられる。前記加熱処理方法は、他の方法、例えば、マイクロ波加熱等を用いてもよい。
本発明の粉末卵は、上述した茹卵を用いて製したものであって、粉末卵の特性の一つとして、粉末卵1部を清水4部に分散させ、1時間経過させた時の分散液の粘度が5Pa・s以上、好ましくは7Pa・s以上を呈する。
粉末卵の分散液の粘度が上記値より低いと、たとえ後述するもう一つの特性である平均粒子径を満たしたとしても、本発明の目的である加工食品の保形性向上効果が十分に得られ難く好ましくない。本発明において前記粘度は、より高い方が加工食品の保形性向上効果に優れており、本発明は、その上限を規定するものではないが、加工食品への配合し易さを考慮し、上記粘度が好ましくは500Pa・s以下、より好ましくは400Pa・s以下である。
上記粘度は、粉末卵1部を清水4部に分散させ、1時間経過させた時の粘度であるが、以下の具体的な手順で測定した値である。すなわち、20℃のイオン交換水300gが入った家庭用ミキサー(オスター(Oster)社製、型番4049)を攪拌させながら泡立たないように粉末卵75gを徐々に添加し、更に泡立たないように攪拌して粉末卵が均一に分散していることを目視で確認し、粉末卵の分散液を調製する。次に、前記粉末卵の分散液300gを300mL容量用のビーカーに移し、20℃で1時間保管する。続いて、保管後の分散液を薬さじで軽く攪拌して略均一に分散させた後、当該分散液の粘度を測定する。粘度の測定条件は、上記分散液の粘度が20Pa・s未満のときは、BH型粘度計((株)東京計器製)及びローターNo.5を用いて、品温20℃、回転数20rpmの条件で、測定開始3回転後の示度により粘度を求める。また、上記分散液の粘度が20Pa・s以上のときは、T−バーステージ(東機産業(株)、TS−10形)及びTバースピンドル(T−C)を用いて、品温20℃、回転数4rpm、送り速さ20mm/分の条件で、測定開始3回転後の示度により粘度を求める。
本発明の粉末卵は、上述した粘度特性に加え次のような特性を併せ持つ。すなわち、本発明の粉末卵は、粉末卵1部を清水9部に分散させ、1時間経過させた時の分散液中の粉末卵の平均粒子径が80μm以下、好ましくは70μm以下を呈する。
分散液中の粉末卵の平均粒子径が上記値より高いと、たとえ上述した粘度特性を満たしたとしても、本発明の目的である加工食品の保形性向上効果が十分に得られ難く好ましくない。本発明において前記平均粒子径は、より低い方が加工食品の保形性向上効果に優れており、本発明は、平均粒子径の下限を規定するものではないが、あまり小さくしすぎても製造コストが増大するので工業的規模での生産性を考慮し、前記平均粒子径は1μm以上が好ましい。
上記平均粒子径は、上述した粘度測定と水希釈率は異なるものの粉末卵を清水に分散させ、1時間経過させた時の分散液を測定用試料とするものである。したがって、粘度測定と同様、以下の具体的な手順で平均粒子径の測定用試料を調製する。すなわち、20℃のイオン交換水675gが入った家庭用ミキサー(オスター(Oster)社製、型番4049)を攪拌させながら泡立たないように粉末卵75gを徐々に添加し、更に泡立たないように攪拌して粉末卵が均一に分散していることを目視で確認し、粉末卵の分散液を調製する。次に、前記粉末卵の分散液300gを300mL容量用のビーカーに移し、20℃で1時間保管する。続いて、保管後の分散液を薬さじで軽く攪拌して略均一に分散させ、粉末卵の分散液を調製し、これを平均粒子径の測定用試料とする。そして、前記測定用試料をレーザ回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、商品名「SALD−2000A」)で超音波をあてながら3分以内に分散液中の粉末卵の平均粒子径を測定する。
次に、本発明の粉末卵の代表的な製造方法に詳述する。なお、本発明の粉末卵の製造方法は、茹卵を原料とし、上述した二つの特性を満たす粉末卵が得られる方法であれば、特に限定されるものではない。例えば、以下のようにして本発明の粉末卵を製造できる。
まず、殻付卵をそのまま85℃〜100℃の熱水中で5〜20分間加熱処理して中身を加熱凝固させた後、冷水等を用いて冷却し、次いで、殻を除去して茹卵を調製する。
続いて、得られた茹卵を、例えば、コミトロール、サイレントカッター、マスコロイダー、チョッパー、ミキサー、ニーダー等により截断してペースト化処理を施す。ペースト化処理の程度は、次工程の均質化処理装置で処理できる程度行えばよく、具体的には、ペースト化処理物の大きさが、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.5mm以下となるように処理するとよい。
続いて、得られた茹卵のペースト化処理物を均質化処理装置で均質化処理を施す。均質化処理装置としては、例えば、高圧ホモゲナイザー、高速ホモゲナイザー、コロイドミル等が挙げられる。特に、高圧ホモゲナイザーは、本発明の目的とする加工食品の保形性向上効果を有した粉末卵が得られ易いことから好ましい。均質化処理の具体的な処理条件を、高圧ホモゲナイザーを例に述べると、圧力(ゲージ圧)が好ましくは10MPa以上、より好ましくは15MPa以上である。圧力が前記値より低いと、加工食品の保形性向上効果を有した粉末卵が得られ難く好ましくないからである。また、本発明は、圧力の上限を特に規定するものではないが、高圧ホモゲナイザーの装置の規模や処理能力を考慮し、150MPa以下が好ましく、100MPa以下がより好ましい。
なお、本発明は、茹卵をペースト化処理する際、ペースト化処理物を均質化処理する際、あるいはペースト化処理後に、必要に応じ清水を加水してもよい。加水量としては、上述した処理のし易さ、後述の乾燥処理の生産効率を考慮し、茹卵1部に対し清水を好ましくは0.1〜15部、より好ましくは0.2〜10部である。
最後に、得られた均質化処理物を水分10%以下となるように乾燥処理を施し、本発明の粉末卵を製する。水分10%以下となるように乾燥処理を施すことにより、はじめて本発明の目的とする加工食品の保形性向上効果を付与できる。乾燥処理は任意の方法を用いることができ、例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥、マイクロ波乾燥、熱風乾燥、パンドライ等が挙げられるが、本発明の効果を奏し易い噴霧乾燥が好ましい。また、粉末卵の水分量は、五訂日本食品標準成分表マニュアルに記載されている常圧加熱乾燥法の直接法に準じ測定する。なお、得られた粉末卵は、必要に応じ粉砕処理を施してもよい。
本発明の粉末卵は、加工食品の保形性向上効果を有する。したがって、本発明の粉末卵は、保形性の必要な加工食品に有用である。このような加工食品としては、例えば、ブッセ、どら焼き、ホットケーキ等の型を用いずに成形するスポンジ状焼き菓子、ホットケーキに用いるホットケーキ用ミックス粉、お好み焼きやお好み焼きに用いるお好み焼き用ミックス粉、コロッケ、クリームコロッケ等のフライ食品等が挙げられる。
また、本発明の粉末卵の加工食品への配合量は、加工食品にもよるが、粉末卵の保形性向上効果が発現する程度の量を配合すればよく、具体的には、加工食品の全配合原料に対し好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.2%以上である。前記値より粉末卵の配合量が少ないと、加工食品中で本発明の粉末卵の保形性向上効果が発現し難く好ましくない。なお、本発明においては、上限の配合量を規定していないが、配合量を多くしたとしても、配合量に応じた効果が期待し難く経済的でないことから、10%以下が好ましい。
上述したとおり本発明の粉末卵は、保形性向上効果に優れた性質を有することにより、本発明の粉末卵を有効成分として含有する保形性向上材として利用できる。本発明の保形性向上材は、上述した粉末卵をそのまま用いてもよいが、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、デキストリン等の賦形材、食塩、砂糖等の粉末調味料等を添加してもよい。具体的には、本発明の保形性向上材において本発明の粉末卵の含有量は30%以上が好ましく、50%以上がより好ましい。
以下、本発明について、実施例、比較例並びに試験例に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
[実施例1]
殻付生卵(鶏卵、MSサイズ)を95℃の熱水に投入し、15分間加熱して凝固させた後、4℃の冷水で冷却して殻を剥き茹卵を得た。次に、得られた茹卵に等質量の清水を加え、コミトロール(アーシェル社製、モデルナンバー1700、212ブレード)でペースト化処理を施した。次に、得られたペースト化処理物を高圧ホモゲナイザーで圧力(ゲージ圧)20MPaで均質化処理を施した。次に、得られた均質化処理物を遠心アトマイザー方式の噴霧乾燥装置(ニロ(NIRO)社製、型番プロダクションマイナ型)を用いアトマイザー回転速度18000rpm、送風温度160℃、排風温度65℃の条件で乾燥処理を施し、本発明の粉末卵を得た。
得られた粉末卵は、段落[0017]に準じ粉末卵1部を清水4部に分散させ、1時間経過させた時の分散液の粘度が14.1Pa・sであり、段落[0020]に準じ粉末卵1部を清水9部に分散させ、1時間経過させた時の分散液中の粉末卵の平均粒子径が60μmであった。また、粉末卵の水分量は5%であった。
[比較例1]
常法により、鶏卵を割卵して殻を取り除いた後、混合して液全卵(pH7.8)を得た。これを耐熱性パウチに充填後の包装体の厚さが3cmとなるように充填密封した後、ボイル槽で95℃15分間加熱して凝固させた後、4℃の冷水で冷却して加熱凝固卵を得た。次に、得られた加熱凝固卵をパウチから取り出して等質量の清水を加え、実施例1と同じ条件で、コミトロールでのペースト化処理、高圧ホモゲナイザーによる均質化処理、噴霧乾燥装置による乾燥処理を施し、比較例用の粉末卵を得た。
得られた比較例用の粉末卵は、段落[0017]に準じ粉末卵1部を清水4部に分散させ、1時間経過させた時の分散液の粘度が3.4Pa・sであり、段落[0020]に準じ粉末卵1部を清水9部に分散させ、1時間経過させた時の分散液中の粉末卵の平均粒子径が62μmであった。また、比較例用の粉末卵の水分量は5%であった。
[試験例1]
実施例1で得られた茹卵を原料とした粉末卵と、比較例1で得られた液全卵の加熱凝固物を原料とした比較用粉末卵を用いて、原料の卵の違いによる粉末卵の加工食品に対する保形性向上効果への影響を調べた。つまり、加工食品として保形性を必要とするブッセに上記粉末卵を配合し、ブッセの生地を絞り出したときの外観により評価した。対照品には、上記粉末卵を配合していないブッセを用いた。
<ブッセの製造方法>
まず、ミキサー(HOBART社製、C−100−T)に液卵黄160部とグラニュー糖140部を投入して高速で攪拌して起泡させた。また、これとは別に、液卵白340部にグラニュー糖60部を加えて同様にミキサーで起泡させた。次に、これらの起泡物と予め粉体混合した薄力粉180部、コーンスターチ20部、及び(実施例1又は比較例1の)粉末卵18部を気泡をつぶさないように混合機で混ぜて生地を得た。続いて、得られた生地を20gずつ絞り袋で天板上に絞り出し、少量の粉糖をふり、180℃のオーブンで13分間焼成してブッセを得た。なお、粉末卵の配合量は生地(全配合原料)に対して2%である。
<粉末卵の保形性向上効果の評価基準>
A :十分に保形性が向上している
B :保形性が向上している
C :保形性が向上していない
Figure 0004759005
表1より、原料として茹卵を用いないと加工食品の保形性向上効果を有した粉末卵が得られず、保形性向上材として利用できないことが理解される。
[試験例2]
粉末卵の分散液の粘度、及び分散液中の粉末卵の平均粒子径の違いによる粉末卵の加工食品に対する保形性向上効果への影響を調べた。なお、評価は、試験例1のブッセの製造方法に準じて各種粉末卵を配合した製造し、試験例1の評価方法により評価した。また、表中、粘度は段落[0017]、平均粒子径は段落[0020]に準じて測定した値である。
<各粉末卵の製造方法>
各粉末卵は、実施例1において高圧ホモゲナイザー(以下、「高圧ホモ」と省略)の圧力(ゲージ圧)条件及び噴霧乾燥装置のアトマイザーの回転速度を調整し、それ以外は、実施例1と同様の方法で処理し、粉末卵a〜hを製造した。
Figure 0004759005
表2より、粉末卵の分散液の粘度が5Pa・s以上、及び分散液中の粉末卵の平均粒子径が80μm以下でないと加工食品に対する保形性向上効果を有した粉末卵が得られず、保形性向上材として利用できないことが理解される。特に、粉末卵の分散液の粘度が7Pa・s以上、及び分散液中の粉末卵の平均粒子径が70μm以下の粉末卵は、加工食品に対する保形性向上効果に優れていた。
[試験例3]
実施例1で得られた粉末卵を用い、粉末卵の配合量の違いによる加工食品に対する保形性向上効果への影響を調べた。なお、評価は、粉末卵の配合量を表3に示す量に変えた以外は試験例1のブッセの製造方法に準じて製造し、試験例1の評価方法により評価した。
Figure 0004759005
表3より、粉末卵の加工食品に対する保形性向上効果が発現するには、粉末卵の配合量が加工食品の全配合原料に対し好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.2%以上であることが理解される。
[実施例2]ホットケーキ用ミックス粉及びこれを用いたホットケーキ
<ホットケーキ用ミックス粉の配合割合>
小麦 72%
砂糖 17%
グルコノデルタラクトン 3%
油脂 2%
粉末卵(実施例1又は比較例1) 2%
ベーキングパウダー 2%
食塩 1.5%
香料 0.5%
―――――――――――――――――――――
合計 100%
上記配合のホットケーキ用ミックス粉200gをボールに入れ、これに牛乳100g、清水50g、液全卵(卵1個分)50gを添加して攪拌混合した。得られた生地100gを160℃のホットプレートに円形に流し、両面を焼成してホットケーキを得た。
実施例1の粉末卵を配合した生地は、比較例1の比較用粉末卵を配合したものに比べ、ホットプレートに流しこんだとき保形性が向上していた。なお、粉末卵の配合量は、ホットケーキ用ミックス粉に対し2%であり、ホットケーキの生地に対し1%である。
[実施例3]お好み焼き用ミックス粉及びこれを用いたお好み焼き
<お好み焼き用ミックス粉の配合割合>
薄力粉 72%
強力粉 8%
コーンスターチ 5.5%
砂糖 4.5%
ベーキングパウダー 4%
粉末旨味調味料 2.5%
粉末卵(実施例1又は比較例1) 2%
食塩 1.5%
―――――――――――――――――――――
合計 100%
上記配合のお好み焼き用ミックス粉100gをボールに入れ、これに清水120g、液全卵(卵1個分)50gを添加して攪拌混合した。得られた生地100gを180℃のホットプレートに円形に流し、両面を焼成してお好み焼きを得た。
実施例1の粉末卵を配合した生地は、比較例1の比較用粉末卵を配合したものに比べ、ホットプレートに流しこんだとき保形性が向上していた。なお、粉末卵の配合量は、お好み焼き用ミックス粉に対し2%であり、ホットケーキの生地に対し0.74%である。
[実施例4]クリームコロッケ
バター55gと、薄力粉60gとを常法によって加熱処理しルーを調製した。このルーに、牛乳300g、カニ肉80g予め炒めた玉葱40g、食塩3g、白胡椒1g、コンソメ6g及び粉末卵(実施例1又は比較例1)5gを加え、加熱混合してクリームコロッケの中種500gを得た。得られた中種を冷蔵庫で5℃まで冷却し、1個あたり20gの俵型に成型した。得られた中種成型物の表面に、市販のバッターミックス粉より作製したバッター液を1個あたり4g均一に付着させた後、4メッシュのドライパン粉5gを全面に付着させて衣を形成し、クリームコロッケを作製した。
実施例1の粉末卵を配合した中種は、比較例1の比較用粉末卵を配合したものに比べ、俵型に成型したとき保形性が向上していた。なお、粉末卵の配合量は、上記クリームコロッケに対し約0.7%である。

Claims (7)

  1. 茹卵を原料とする粉末卵であって、粉末卵1部を清水4部に分散させ、1時間経過させた時の分散液の粘度が5Pa・s以上であり、粉末卵1部を清水9部に分散させ、1時間経過させた時の分散液中の粉末卵の平均粒子径が80μm以下であることを特徴とする粉末卵。
  2. 有効成分として請求項1記載の粉末卵を含有することを特徴とする保形性向上材。
  3. 型を用いずに成形するスポンジ状焼き菓子において、請求項1記載の粉末卵を配合することを特徴とするスポンジ状焼き菓子。
  4. 請求項1記載の粉末卵を配合することを特徴とするホットケーキ用ミックス粉。
  5. 請求項1記載の粉末卵を配合することを特徴とするお好み焼き。
  6. 請求項1記載の粉末卵を配合することを特徴とするお好み焼き用ミックス粉。
  7. 請求項1記載の粉末卵を配合することを特徴とするフライ食品。
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