JP2004031833A - 電子部品 - Google Patents
電子部品 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004031833A JP2004031833A JP2002188677A JP2002188677A JP2004031833A JP 2004031833 A JP2004031833 A JP 2004031833A JP 2002188677 A JP2002188677 A JP 2002188677A JP 2002188677 A JP2002188677 A JP 2002188677A JP 2004031833 A JP2004031833 A JP 2004031833A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- marking film
- dielectric layer
- electronic component
- hole
- outer peripheral
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】剥離しにくく、平滑で実装性の良好なマーキングを有した電子部品を提供する。
【解決手段】複数の誘電体層を積層して成る積層体1の一主面に、誘電体層とは異なる色調を呈するマーキング膜5を配設してなる電子部品において、マーキング膜5の外周端面を積層体1の一主面に対し傾斜させて形成するとともに、積層体1を形成する誘電体層のうち最上層の誘電体層1aにマーキング膜5に対応する形状の穴部6を設け、この穴部6内にマーキング膜5をその外周端面上に誘電体層1aの穴部6内周部を被着させた状態で埋設する。
【選択図】図2
【解決手段】複数の誘電体層を積層して成る積層体1の一主面に、誘電体層とは異なる色調を呈するマーキング膜5を配設してなる電子部品において、マーキング膜5の外周端面を積層体1の一主面に対し傾斜させて形成するとともに、積層体1を形成する誘電体層のうち最上層の誘電体層1aにマーキング膜5に対応する形状の穴部6を設け、この穴部6内にマーキング膜5をその外周端面上に誘電体層1aの穴部6内周部を被着させた状態で埋設する。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子機器に組み込まれる電子部品に関し、より詳細にはマーキングを有する電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
積層型LCフィルタは、分布定数的にインダクタとコンデンサを内蔵した電子部品であり、セラミック材や磁性体材等からなる複数の誘電体層を積層した構造を有している。
【0003】
このような従来の電子部品としては、積層体の外部にグランド電極、入力用端子電極、出力用端子電極を形成し、内部にインダクタやコンデンサとなるパターンを内層したものが知られており、かかる積層体の上面には、通常、品名や型番等の文字を表示したり、部品の方向性を示したりするためにマーキングが付されている。
【0004】
尚、上述のマーキングは、顔料を含むガラスペーストを積層体の最上層に印刷し、これを焼き付けて形成するのが一般的であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の電子部品においては、マーキングがガラスペーストの焼き付けによって形成されており、その外周部は露出した状態となっているため、下地に対するマーキングの被着強度が不足気味であった。即ち、製造された電子部品の角部にバレル研磨等の面取り加工を施す際や電気特性検査、外観検査、テーピングカセット詰めの梱包時などに、パーツフィーダ内で電子部品同士が接触したり、或いは、電子部品と設備とが接触したりすると、マーキングに外力が印加されてマーキングが下地より容易に剥離するという欠点を有していた。
【0006】
また、上述のようにしてマーキングを形成した場合、マーキングの表面が積層体の上面より大きく突出した形となってしまうため、部品表面の平滑性が劣化して吸着ピンを用いて吸着する際にチャッキング不良を起こすことがあり、それによって電子部品の生産性が大幅に低下する欠点が誘発される。
【0007】
本発明は上記欠点に鑑みて案出されたもので、その目的は、マーキング膜を下地に対して強固に被着させておくことができる高生産性の電子部品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決する為の手段】
本発明の電子部品は、複数の誘電体層を積層して成る積層体の一主面に、前記誘電体層とは異なる色調を呈するマーキング膜を配設してなる電子部品において、前記マーキング膜の外周端面を前記積層体の一主面に対し傾斜させて形成するとともに、前記積層体を形成する誘電体層のうち最上層の誘電体層に前記マーキング膜に対応する形状の穴部を設け、この穴部内に前記マーキング膜をその外周端面上に前記誘電体層の穴部内周部を被着させた状態で埋設したことを特徴とするものである。
【0009】
また本発明の電子部品は、前記マーキング膜の上面と外周端面との間に形成される角度θが120°≦θ≦160°に設定されていることを特徴とするものである。
【0010】
更に本発明の電子部品は、前記マーキング膜の上面と前記誘電体層の最上層の上面とが略同一の高さに位置設定されていることを特徴とするものである。
【0011】
そして本発明の電子部品は、前記穴部を有した誘電体層とそれ以外の誘電体層とが同質の誘電体材料から成っていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の電子部品によれば、積層体を形成する誘電体層のうち最上層の誘電体層にマーキング膜に対応する形状の穴部を設け、この穴部内にマーキング膜をその外周端面上に誘電体層の穴部内周部を被着させた状態で埋設したことにより、マーキング膜の外周部を最上層の誘電体層によって良好に押え付け、マーキング膜を下地に対して強固に被着させておくことができる。従って、マーキング膜の剥離が有効に防止されるようになり、電子部品の製造歩留まりを向上させることが可能となる。
【0013】
また本発明の電子部品によれば、マーキング膜の上面と外周端面との間に形成される角度θを120°≦θ≦160°に設定することにより、マーキング膜の外周端面と誘電体層の穴部内周部との重なり部分を薄くすることができるため、部品表面が略平滑に保たれる。従って、チャッキング不良等の発生を有効に防止することができるようになり、電子部品の生産性を向上させることが可能となる。
【0014】
更に本発明の電子部品によれば、マーキング膜の上面と誘電体層の最上層の上面とを略同一の高さに位置設定しておけば、マーキング膜は積層体の最上層より突出しなくなるので、部品表面の平滑性をより高めることができる。
【0015】
また更に本発明の電子部品によれば、穴部を有した誘電体層とそれ以外の誘電体層とを同質の誘電体材料で形成しておけば、マーキング膜の形成に際して全ての誘電体層を同時焼成により形成する場合であっても、焼成時の収縮挙動が全ての誘電体層において略均一になり、積層体にクラックや変形等を発生することが少なくなる利点もある。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る電子部品の外観斜視図、図2は図1の電子部品の要部拡大断面図であり、同図に示す電子部品は、複数の誘電体層1aを積層してなる積層体1の内部にLCノイズフィルタ等を、また表面にグランド電極2、入力端子電極3、出力端子電極4、マーキング膜5等を形成した構造を有している。
【0017】
積層体1の誘電体層1aを形成するセラミック材料としては、例えばTiO2−Nd2O3−BaTiO3系等の高誘電率の誘電体材料が用いられ、かかる誘電体層1aの層間には、例えば、インダクタやコンデンサを形成する回路配線のパターンが形成され、これらのパターン同士を誘電体層1a内に設けられるビアホール導体等を介して電気的に接続させることによって積層体1の内部にLCノイズフィルタ等を形成している。
【0018】
このような積層体1の誘電体層1aは、各々の厚みが例えば5μm〜300μmに設定され、また積層体1の内部に設けられる回路配線やビアホール導体等はAg、Ag−Pd、Ag−Pt等のAg合金を主成分とする導電材料によって例えば5μm〜25μmの厚みに形成される。また前記ビアホール導体の直径は、誘電体層1aの厚みが5μm〜300μmの場合、例えば50μm〜300μmの寸法に設定される。
【0019】
尚、上述した積層体1は、従来周知のセラミックグリーンシート積層法により製作される。具体的には、まずセラミック原料粉末に適当な有機溶剤等を添加・混合して泥漿状になすとともに、従来周知のドクターブレード法等を採用することによってセラミックグリーンシートを形成し、次に得られたセラミックグリーンシートに回路配線(図示せず)やビアホール導体を形成してこれらを積層し、しかる後、この積層体を所定の大きさに分割して、高温で焼成することにより製作される。その後、得られた積層体1の角部には、マイクロクラックの除去や欠けの発生を防止する目的で、バレル研磨等による面取りが施される。
【0020】
また積層体表面のグランド電極2や入力端子電極3,出力端子電極4等はAg、Ag−Pd、Ag−Pt等のAg合金を主成分とする導電材料等から成り、かかる導電材料を用いて作製した導体ペーストを積層体1の表面に従来周知のディップ法やスクリーン印刷等によって所定パターンに塗布し、これを高温で焼成することによって形成され、これら電極2,3,4の表面には、導電性接着剤の濡れ性を良好とするために、更にNiメッキyaAuメッキ,Snメッキ,半田メッキ等のメッキ処理が施される。
【0021】
そして、上述した積層体1の一主面(上面)には、誘電体層1aとは異なる色調を呈するマーキング膜5が配設されている。
前記マーキング膜5は、その外周端面が積層体1の一主面に対し傾斜させて形成されており、その外周部(外周端面)が、積層体1を形成する誘電体層1aのうち最上層の誘電体層1aで押え付けられた形となっている。
【0022】
即ち、最上層の誘電体層1aには、マーキング膜5に対応する形状の穴部6が設けられ、この穴部6内にマーキング膜5を埋設させた上、マーキング膜5の外周端面上に誘電体層1aの穴部内周部を被着させることによってマーキング膜5の外周部を押さえ付けるようにしている。尚、本実施形態においては、マーキング膜5の上面と外周端面との間に形成される角度θが120°≦θ≦160°となるようにマーキング膜5の外周端面を傾斜させてあり、穴部6を設けた最上層の誘電体層1aとそれ以外の誘電体層1aとを同質の誘電体材料により形成している。
【0023】
このように、マーキング膜5の外周部を最上層の誘電体層1aによって押え付けたことから、マーキング膜5を下地に対して強固に被着させておくことができるようになる。従って、電子部品の角部にバレル研磨等の面取り加工を施す際や電気特性検査、外観検査、テーピングカセット詰めの梱包時などに、パーツフィーダ内で電子部品同士が接触したり、或いは、電子部品と設備とが接触したりしても、マーキング膜5の剥離が有効に防止されるようになり、電子部品の製造歩留まりを向上させることが可能となる。
【0024】
またこの場合、マーキング膜5の上面と外周端面との間に形成される角度θは120°≦θ≦160°の適度な角度に設定されているため、マーキング膜5の外周端面と誘電体層1aの穴部内周部との重なり部分を薄くすることができ、電子部品の上面が略平滑に保たれる。従って、電子部品を吸着ピンで吸着する際にチャッキング不良等を発生することは殆どなく、電子部品の生産性を向上させることが可能となる。よって、マーキング膜5の上面と外周端面との間に形成される角度θは120°≦θ≦160°に設定しておくことが好ましい。
【0025】
更にこの場合、前記積層体1の最上層に配される穴部6を有した誘電体層1aとそれ以外の誘電体層1aとが同質の誘電体材料により形成されているため、マーキング膜5の形成に際して全ての誘電体層1aを同時焼成により形成する場合であっても、焼成時の収縮挙動が全ての誘電体層1aにおいて略均一になり、積層体1にクラックや変形等を発生することが少なくなる利点もある。従って、穴部6を有した誘電体層1aとそれ以外の誘電体層1aとを同質の誘電体材料により形成しておくことが好ましい。
【0026】
更に前記マーキング膜5の上面と誘電体層1aの最上層の上面とを、図2に示す如く、略同一の高さに位置設定しておけば、マーキング膜5は積層体1の最上層より突出しなくなるので、部品表面の平滑性をより高めることができる。従って、マーキング膜5の上面と誘電体層1aの最上層の上面とを略同一の高さに位置設定しておくことが好ましい。
【0027】
尚、このようなマーキング膜5は、例えば、所定の粘度に調整された顔料含有のガラスペーストを従来周知のスクリーン印刷等によって上から2層目の誘電体層1a上に印刷し、これを高温で焼き付けることによって形成される。
【0028】
また最上層の誘電体層1aは、マーキング膜5を形成した後で、マーキング膜5に対応する穴部6を設けておいたセラミックグリーンシートを積層体1の最上層として積層することにより形成したり、或いは、所定の誘電体ペーストを従来周知のスクリーン印刷等によって、上から2層目の誘電体層1a上にマーキング膜5を避けるようにして印刷し、これを高温で焼成することによって形成される。
【0029】
尚、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更・改良等が可能である。
【0030】
例えば上述の実施形態では、回路配線やビアホール導体,積層体表面の電極等をAg、Ag−Pd、Ag−Pt等のAg合金を主成分とする導電材料で形成するようにしたが、それ以外の導電材料を用いても良く、例えば誘電体層1aを形成するセラミック材料との相性を考慮してCu系、W系、Mo系、Pd系導電材料等を用いて回路配線やビアホール導体,積層体表面の電極等を形成するようにしても構わない。
【0031】
【発明の効果】
本発明の電子部品によれば、積層体を形成する誘電体層のうち最上層の誘電体層にマーキング膜に対応する形状の穴部を設け、この穴部内にマーキング膜をその外周端面上に誘電体層の穴部内周部を被着させた状態で埋設したことにより、マーキング膜の外周部を最上層の誘電体層によって良好に押え付け、マーキング膜を下地に対して強固に被着させておくことができる。従って、マーキング膜の剥離が有効に防止されるようになり、電子部品の製造歩留まりを向上させることが可能となる。
【0032】
また本発明の電子部品によれば、マーキング膜の上面と外周端面との間に形成される角度θを120°≦θ≦160°に設定することにより、マーキング膜の外周端面と誘電体層の穴部内周部との重なり部分を薄くすることができるため、部品表面が略平滑に保たれる。従って、チャッキング不良等の発生を有効に防止することができるようになり、電子部品の生産性を向上させることが可能となる。
【0033】
更に本発明の電子部品によれば、マーキング膜の上面と誘電体層の最上層の上面とを略同一の高さに位置設定しておけば、マーキング膜は積層体の最上層より突出しなくなるので、部品表面の平滑性をより高めることができる。
【0034】
また更に本発明の電子部品によれば、穴部を有した誘電体層とそれ以外の誘電体層とを同質の誘電体材料で形成しておけば、マーキング膜の形成に際して全ての誘電体層を同時焼成により形成する場合であっても、焼成時の収縮挙動が全ての誘電体層において略均一になり、積層体にクラックや変形等を発生することが少なくなる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子部品の外観斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電子部品のマーキング膜周辺における断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・積層体
1a・・・・誘電体層
2・・・・・グランド電極
3・・・・・入力端子電極
4・・・・・出力端子電極
5・・・・・マーキング膜
6・・・・・穴部
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子機器に組み込まれる電子部品に関し、より詳細にはマーキングを有する電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
積層型LCフィルタは、分布定数的にインダクタとコンデンサを内蔵した電子部品であり、セラミック材や磁性体材等からなる複数の誘電体層を積層した構造を有している。
【0003】
このような従来の電子部品としては、積層体の外部にグランド電極、入力用端子電極、出力用端子電極を形成し、内部にインダクタやコンデンサとなるパターンを内層したものが知られており、かかる積層体の上面には、通常、品名や型番等の文字を表示したり、部品の方向性を示したりするためにマーキングが付されている。
【0004】
尚、上述のマーキングは、顔料を含むガラスペーストを積層体の最上層に印刷し、これを焼き付けて形成するのが一般的であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の電子部品においては、マーキングがガラスペーストの焼き付けによって形成されており、その外周部は露出した状態となっているため、下地に対するマーキングの被着強度が不足気味であった。即ち、製造された電子部品の角部にバレル研磨等の面取り加工を施す際や電気特性検査、外観検査、テーピングカセット詰めの梱包時などに、パーツフィーダ内で電子部品同士が接触したり、或いは、電子部品と設備とが接触したりすると、マーキングに外力が印加されてマーキングが下地より容易に剥離するという欠点を有していた。
【0006】
また、上述のようにしてマーキングを形成した場合、マーキングの表面が積層体の上面より大きく突出した形となってしまうため、部品表面の平滑性が劣化して吸着ピンを用いて吸着する際にチャッキング不良を起こすことがあり、それによって電子部品の生産性が大幅に低下する欠点が誘発される。
【0007】
本発明は上記欠点に鑑みて案出されたもので、その目的は、マーキング膜を下地に対して強固に被着させておくことができる高生産性の電子部品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決する為の手段】
本発明の電子部品は、複数の誘電体層を積層して成る積層体の一主面に、前記誘電体層とは異なる色調を呈するマーキング膜を配設してなる電子部品において、前記マーキング膜の外周端面を前記積層体の一主面に対し傾斜させて形成するとともに、前記積層体を形成する誘電体層のうち最上層の誘電体層に前記マーキング膜に対応する形状の穴部を設け、この穴部内に前記マーキング膜をその外周端面上に前記誘電体層の穴部内周部を被着させた状態で埋設したことを特徴とするものである。
【0009】
また本発明の電子部品は、前記マーキング膜の上面と外周端面との間に形成される角度θが120°≦θ≦160°に設定されていることを特徴とするものである。
【0010】
更に本発明の電子部品は、前記マーキング膜の上面と前記誘電体層の最上層の上面とが略同一の高さに位置設定されていることを特徴とするものである。
【0011】
そして本発明の電子部品は、前記穴部を有した誘電体層とそれ以外の誘電体層とが同質の誘電体材料から成っていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の電子部品によれば、積層体を形成する誘電体層のうち最上層の誘電体層にマーキング膜に対応する形状の穴部を設け、この穴部内にマーキング膜をその外周端面上に誘電体層の穴部内周部を被着させた状態で埋設したことにより、マーキング膜の外周部を最上層の誘電体層によって良好に押え付け、マーキング膜を下地に対して強固に被着させておくことができる。従って、マーキング膜の剥離が有効に防止されるようになり、電子部品の製造歩留まりを向上させることが可能となる。
【0013】
また本発明の電子部品によれば、マーキング膜の上面と外周端面との間に形成される角度θを120°≦θ≦160°に設定することにより、マーキング膜の外周端面と誘電体層の穴部内周部との重なり部分を薄くすることができるため、部品表面が略平滑に保たれる。従って、チャッキング不良等の発生を有効に防止することができるようになり、電子部品の生産性を向上させることが可能となる。
【0014】
更に本発明の電子部品によれば、マーキング膜の上面と誘電体層の最上層の上面とを略同一の高さに位置設定しておけば、マーキング膜は積層体の最上層より突出しなくなるので、部品表面の平滑性をより高めることができる。
【0015】
また更に本発明の電子部品によれば、穴部を有した誘電体層とそれ以外の誘電体層とを同質の誘電体材料で形成しておけば、マーキング膜の形成に際して全ての誘電体層を同時焼成により形成する場合であっても、焼成時の収縮挙動が全ての誘電体層において略均一になり、積層体にクラックや変形等を発生することが少なくなる利点もある。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る電子部品の外観斜視図、図2は図1の電子部品の要部拡大断面図であり、同図に示す電子部品は、複数の誘電体層1aを積層してなる積層体1の内部にLCノイズフィルタ等を、また表面にグランド電極2、入力端子電極3、出力端子電極4、マーキング膜5等を形成した構造を有している。
【0017】
積層体1の誘電体層1aを形成するセラミック材料としては、例えばTiO2−Nd2O3−BaTiO3系等の高誘電率の誘電体材料が用いられ、かかる誘電体層1aの層間には、例えば、インダクタやコンデンサを形成する回路配線のパターンが形成され、これらのパターン同士を誘電体層1a内に設けられるビアホール導体等を介して電気的に接続させることによって積層体1の内部にLCノイズフィルタ等を形成している。
【0018】
このような積層体1の誘電体層1aは、各々の厚みが例えば5μm〜300μmに設定され、また積層体1の内部に設けられる回路配線やビアホール導体等はAg、Ag−Pd、Ag−Pt等のAg合金を主成分とする導電材料によって例えば5μm〜25μmの厚みに形成される。また前記ビアホール導体の直径は、誘電体層1aの厚みが5μm〜300μmの場合、例えば50μm〜300μmの寸法に設定される。
【0019】
尚、上述した積層体1は、従来周知のセラミックグリーンシート積層法により製作される。具体的には、まずセラミック原料粉末に適当な有機溶剤等を添加・混合して泥漿状になすとともに、従来周知のドクターブレード法等を採用することによってセラミックグリーンシートを形成し、次に得られたセラミックグリーンシートに回路配線(図示せず)やビアホール導体を形成してこれらを積層し、しかる後、この積層体を所定の大きさに分割して、高温で焼成することにより製作される。その後、得られた積層体1の角部には、マイクロクラックの除去や欠けの発生を防止する目的で、バレル研磨等による面取りが施される。
【0020】
また積層体表面のグランド電極2や入力端子電極3,出力端子電極4等はAg、Ag−Pd、Ag−Pt等のAg合金を主成分とする導電材料等から成り、かかる導電材料を用いて作製した導体ペーストを積層体1の表面に従来周知のディップ法やスクリーン印刷等によって所定パターンに塗布し、これを高温で焼成することによって形成され、これら電極2,3,4の表面には、導電性接着剤の濡れ性を良好とするために、更にNiメッキyaAuメッキ,Snメッキ,半田メッキ等のメッキ処理が施される。
【0021】
そして、上述した積層体1の一主面(上面)には、誘電体層1aとは異なる色調を呈するマーキング膜5が配設されている。
前記マーキング膜5は、その外周端面が積層体1の一主面に対し傾斜させて形成されており、その外周部(外周端面)が、積層体1を形成する誘電体層1aのうち最上層の誘電体層1aで押え付けられた形となっている。
【0022】
即ち、最上層の誘電体層1aには、マーキング膜5に対応する形状の穴部6が設けられ、この穴部6内にマーキング膜5を埋設させた上、マーキング膜5の外周端面上に誘電体層1aの穴部内周部を被着させることによってマーキング膜5の外周部を押さえ付けるようにしている。尚、本実施形態においては、マーキング膜5の上面と外周端面との間に形成される角度θが120°≦θ≦160°となるようにマーキング膜5の外周端面を傾斜させてあり、穴部6を設けた最上層の誘電体層1aとそれ以外の誘電体層1aとを同質の誘電体材料により形成している。
【0023】
このように、マーキング膜5の外周部を最上層の誘電体層1aによって押え付けたことから、マーキング膜5を下地に対して強固に被着させておくことができるようになる。従って、電子部品の角部にバレル研磨等の面取り加工を施す際や電気特性検査、外観検査、テーピングカセット詰めの梱包時などに、パーツフィーダ内で電子部品同士が接触したり、或いは、電子部品と設備とが接触したりしても、マーキング膜5の剥離が有効に防止されるようになり、電子部品の製造歩留まりを向上させることが可能となる。
【0024】
またこの場合、マーキング膜5の上面と外周端面との間に形成される角度θは120°≦θ≦160°の適度な角度に設定されているため、マーキング膜5の外周端面と誘電体層1aの穴部内周部との重なり部分を薄くすることができ、電子部品の上面が略平滑に保たれる。従って、電子部品を吸着ピンで吸着する際にチャッキング不良等を発生することは殆どなく、電子部品の生産性を向上させることが可能となる。よって、マーキング膜5の上面と外周端面との間に形成される角度θは120°≦θ≦160°に設定しておくことが好ましい。
【0025】
更にこの場合、前記積層体1の最上層に配される穴部6を有した誘電体層1aとそれ以外の誘電体層1aとが同質の誘電体材料により形成されているため、マーキング膜5の形成に際して全ての誘電体層1aを同時焼成により形成する場合であっても、焼成時の収縮挙動が全ての誘電体層1aにおいて略均一になり、積層体1にクラックや変形等を発生することが少なくなる利点もある。従って、穴部6を有した誘電体層1aとそれ以外の誘電体層1aとを同質の誘電体材料により形成しておくことが好ましい。
【0026】
更に前記マーキング膜5の上面と誘電体層1aの最上層の上面とを、図2に示す如く、略同一の高さに位置設定しておけば、マーキング膜5は積層体1の最上層より突出しなくなるので、部品表面の平滑性をより高めることができる。従って、マーキング膜5の上面と誘電体層1aの最上層の上面とを略同一の高さに位置設定しておくことが好ましい。
【0027】
尚、このようなマーキング膜5は、例えば、所定の粘度に調整された顔料含有のガラスペーストを従来周知のスクリーン印刷等によって上から2層目の誘電体層1a上に印刷し、これを高温で焼き付けることによって形成される。
【0028】
また最上層の誘電体層1aは、マーキング膜5を形成した後で、マーキング膜5に対応する穴部6を設けておいたセラミックグリーンシートを積層体1の最上層として積層することにより形成したり、或いは、所定の誘電体ペーストを従来周知のスクリーン印刷等によって、上から2層目の誘電体層1a上にマーキング膜5を避けるようにして印刷し、これを高温で焼成することによって形成される。
【0029】
尚、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更・改良等が可能である。
【0030】
例えば上述の実施形態では、回路配線やビアホール導体,積層体表面の電極等をAg、Ag−Pd、Ag−Pt等のAg合金を主成分とする導電材料で形成するようにしたが、それ以外の導電材料を用いても良く、例えば誘電体層1aを形成するセラミック材料との相性を考慮してCu系、W系、Mo系、Pd系導電材料等を用いて回路配線やビアホール導体,積層体表面の電極等を形成するようにしても構わない。
【0031】
【発明の効果】
本発明の電子部品によれば、積層体を形成する誘電体層のうち最上層の誘電体層にマーキング膜に対応する形状の穴部を設け、この穴部内にマーキング膜をその外周端面上に誘電体層の穴部内周部を被着させた状態で埋設したことにより、マーキング膜の外周部を最上層の誘電体層によって良好に押え付け、マーキング膜を下地に対して強固に被着させておくことができる。従って、マーキング膜の剥離が有効に防止されるようになり、電子部品の製造歩留まりを向上させることが可能となる。
【0032】
また本発明の電子部品によれば、マーキング膜の上面と外周端面との間に形成される角度θを120°≦θ≦160°に設定することにより、マーキング膜の外周端面と誘電体層の穴部内周部との重なり部分を薄くすることができるため、部品表面が略平滑に保たれる。従って、チャッキング不良等の発生を有効に防止することができるようになり、電子部品の生産性を向上させることが可能となる。
【0033】
更に本発明の電子部品によれば、マーキング膜の上面と誘電体層の最上層の上面とを略同一の高さに位置設定しておけば、マーキング膜は積層体の最上層より突出しなくなるので、部品表面の平滑性をより高めることができる。
【0034】
また更に本発明の電子部品によれば、穴部を有した誘電体層とそれ以外の誘電体層とを同質の誘電体材料で形成しておけば、マーキング膜の形成に際して全ての誘電体層を同時焼成により形成する場合であっても、焼成時の収縮挙動が全ての誘電体層において略均一になり、積層体にクラックや変形等を発生することが少なくなる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子部品の外観斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電子部品のマーキング膜周辺における断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・積層体
1a・・・・誘電体層
2・・・・・グランド電極
3・・・・・入力端子電極
4・・・・・出力端子電極
5・・・・・マーキング膜
6・・・・・穴部
Claims (4)
- 複数の誘電体層を積層して成る積層体の一主面に、前記誘電体層とは異なる色調を呈するマーキング膜を配設してなる電子部品において、
前記マーキング膜の外周端面を前記積層体の一主面に対し傾斜させて形成するとともに、前記積層体を形成する誘電体層のうち最上層の誘電体層に前記マーキング膜に対応する形状の穴部を設け、この穴部内に前記マーキング膜をその外周端面上に前記誘電体層の穴部内周部を被着させた状態で埋設したことを特徴とする電子部品。 - 前記マーキング膜の上面と外周端面との間に形成される角度θが120°≦θ≦160°に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
- 前記マーキング膜の上面と前記誘電体層の最上層の上面とが略同一の高さに位置設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子部品。
- 前記穴部を有した誘電体層とそれ以外の誘電体層とが同質の誘電体材料から成っていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電子部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002188677A JP2004031833A (ja) | 2002-06-27 | 2002-06-27 | 電子部品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002188677A JP2004031833A (ja) | 2002-06-27 | 2002-06-27 | 電子部品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004031833A true JP2004031833A (ja) | 2004-01-29 |
Family
ID=31183354
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002188677A Pending JP2004031833A (ja) | 2002-06-27 | 2002-06-27 | 電子部品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004031833A (ja) |
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006203165A (ja) * | 2005-01-20 | 2006-08-03 | Samsung Electro Mech Co Ltd | 積層型チップキャパシタ |
JP2012084623A (ja) * | 2010-10-08 | 2012-04-26 | Murata Mfg Co Ltd | 電子部品の製造方法 |
JP2018037516A (ja) * | 2016-08-31 | 2018-03-08 | 太陽誘電株式会社 | 受動電子部品 |
US20200381159A1 (en) * | 2019-06-03 | 2020-12-03 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | Inductor component |
CN112349477A (zh) * | 2019-08-07 | 2021-02-09 | 株式会社村田制作所 | 电感器部件 |
WO2023008136A1 (ja) * | 2021-07-26 | 2023-02-02 | 株式会社村田製作所 | 電子部品 |
WO2023048211A1 (ja) * | 2021-09-24 | 2023-03-30 | 株式会社村田製作所 | 電子部品 |
WO2023074221A1 (ja) * | 2021-10-26 | 2023-05-04 | 株式会社村田製作所 | セラミック電子部品 |
JP7318784B2 (ja) | 2019-08-07 | 2023-08-01 | 株式会社村田製作所 | インダクタ部品 |
KR102662846B1 (ko) | 2023-07-03 | 2024-05-03 | 삼성전기주식회사 | 전자 부품 |
-
2002
- 2002-06-27 JP JP2002188677A patent/JP2004031833A/ja active Pending
Cited By (17)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006203165A (ja) * | 2005-01-20 | 2006-08-03 | Samsung Electro Mech Co Ltd | 積層型チップキャパシタ |
JP2012084623A (ja) * | 2010-10-08 | 2012-04-26 | Murata Mfg Co Ltd | 電子部品の製造方法 |
CN107785153B (zh) * | 2016-08-31 | 2021-09-10 | 太阳诱电株式会社 | 无源电子部件 |
JP2018037516A (ja) * | 2016-08-31 | 2018-03-08 | 太陽誘電株式会社 | 受動電子部品 |
CN107785153A (zh) * | 2016-08-31 | 2018-03-09 | 太阳诱电株式会社 | 无源电子部件 |
US20200381159A1 (en) * | 2019-06-03 | 2020-12-03 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | Inductor component |
US11915849B2 (en) * | 2019-06-03 | 2024-02-27 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | Inductor component |
JP7163883B2 (ja) | 2019-08-07 | 2022-11-01 | 株式会社村田製作所 | インダクタ部品 |
JP2021027251A (ja) * | 2019-08-07 | 2021-02-22 | 株式会社村田製作所 | インダクタ部品 |
CN112349477B (zh) * | 2019-08-07 | 2022-12-09 | 株式会社村田制作所 | 电感器部件 |
US11621121B2 (en) | 2019-08-07 | 2023-04-04 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | Inductor component |
JP7318784B2 (ja) | 2019-08-07 | 2023-08-01 | 株式会社村田製作所 | インダクタ部品 |
CN112349477A (zh) * | 2019-08-07 | 2021-02-09 | 株式会社村田制作所 | 电感器部件 |
WO2023008136A1 (ja) * | 2021-07-26 | 2023-02-02 | 株式会社村田製作所 | 電子部品 |
WO2023048211A1 (ja) * | 2021-09-24 | 2023-03-30 | 株式会社村田製作所 | 電子部品 |
WO2023074221A1 (ja) * | 2021-10-26 | 2023-05-04 | 株式会社村田製作所 | セラミック電子部品 |
KR102662846B1 (ko) | 2023-07-03 | 2024-05-03 | 삼성전기주식회사 | 전자 부품 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR20080040057A (ko) | 복합 세라믹 기판 | |
CN107731450A (zh) | 电子部件 | |
JP2004031833A (ja) | 電子部品 | |
JP2006060147A (ja) | セラミック電子部品及びコンデンサ | |
US20090107616A1 (en) | Manufacturing method of multi-layer ceramic substrate | |
JP4000050B2 (ja) | セラミック積層体の製法 | |
JP2004140285A (ja) | 基板内蔵用チップ形抵抗器 | |
JP2001284811A (ja) | 積層型セラミック電子部品およびその製造方法ならびに電子装置 | |
JP2004158541A (ja) | 積層型電子部品とその製造方法 | |
WO2018030192A1 (ja) | セラミック電子部品 | |
JP4429130B2 (ja) | セラミック電子部品の製造方法 | |
JP2005311156A (ja) | コンデンサを内蔵したセラミック多層基板 | |
JP3493291B2 (ja) | 多層回路基板 | |
JP2001160681A (ja) | 多層セラミック基板およびその製造方法 | |
JP2004165343A (ja) | 積層型セラミック電子部品およびその製造方法 | |
JP2006041319A (ja) | 表面実装型多連コンデンサ及びその実装構造 | |
JP7205541B2 (ja) | 積層電子部品の製造方法 | |
KR101376750B1 (ko) | 연성 인쇄회로기판 및 그 제조방법 | |
JP2004047817A (ja) | 積層フェライト基板,薄型コイル部品及びそれを使用した回路装置 | |
JPH06176965A (ja) | チップ電子部品の製造方法 | |
JP2002200611A (ja) | グリーンシートの積層方法 | |
JP2002141646A (ja) | 回路基板 | |
JP2000164459A (ja) | 電子部品の製造方法 | |
JP2003332132A (ja) | 積層チップ部品及びその製造方法 | |
JP2002231860A (ja) | 電子部品装置 |