JP2004031066A - 電池のシール方法および電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】電極タブ自体に複雑な加工を施すことなく、電極タブとラミネートフィルムの接合部分との間に隙間が形成されるのを防止する。
【解決手段】発電要素11の両面を挟んで覆うラミネートフィルム12,13の周縁部を熱溶着する際に、発電要素11に接続した正極タブ14および負極タブ15がラミネートフィルム周縁部の接合部分Bに配置される部分の電極タブ長さ方向の少なくとも一部に、正極タブ14および負極タブ15それぞれの両側端部14a,14bおよび15a,15bを覆って、加熱により電極タブに溶着可能な樹脂シート20を設ける。この樹脂シート20で正極タブ14および負極タブ15の両側端部14a,14b,15a,15bを覆った後、ラミネートフィルム12,13の周縁部間に挟んで熱溶着する。
【選択図】 図6
【解決手段】発電要素11の両面を挟んで覆うラミネートフィルム12,13の周縁部を熱溶着する際に、発電要素11に接続した正極タブ14および負極タブ15がラミネートフィルム周縁部の接合部分Bに配置される部分の電極タブ長さ方向の少なくとも一部に、正極タブ14および負極タブ15それぞれの両側端部14a,14bおよび15a,15bを覆って、加熱により電極タブに溶着可能な樹脂シート20を設ける。この樹脂シート20で正極タブ14および負極タブ15の両側端部14a,14b,15a,15bを覆った後、ラミネートフィルム12,13の周縁部間に挟んで熱溶着する。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電池の発電要素の外装ケースに、金属層と樹脂層とを備えたラミネートシートを用い、その周縁部を熱溶着により接合するとともに、発電要素の正,負極板にそれぞれ接続した電極タブをラミネートフィルムの接合部分から外部に引き出すようにした電池のシール方法および電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の排ガスによる大気汚染が世界的な問題となっている中で、電気を動力源とする電気自動車や、エンジンとモータを組み合わせて走行するいわゆるハイブリッドカーが注目を集めており、これらに搭載する高エネルギ密度、高出力密度となる高出力型電池の開発が産業上重要な位置を占めている。
【0003】
このような高出力型電池としては例えばリチウムイオン電池があり、この場合、正極板と負極板との間にセパレータを介在させて巻回した円筒型電池や、平板状の正極板と負極板とをセパレータを介在させつつ積層した積層型電池がある。
【0004】
後者の積層型電池では、扁平状の発電要素の両面を一対のラミネートフィルムで挟み、その周縁部を熱溶着により接合して発電要素とともに電解液を密封する。このような積層型電池では、特開2000−77044号公報に開示されているように、正極板および負極板にそれぞれ接続した各電極タブを、前記ラミネートフィルムの接合部分から外部に引き出す際に、断面矩形状の電極タブの両側端部とラミネートフィルムの接合面との間に隙間が形成され、その隙間から電解液が漏洩する問題がある。
【0005】
このため、前記特開2000−77044号公報では、電極タブ自体の断面形状を両側が先細りとなるように形成して、前記隙間が形成されるのを防止することが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように電極タブの断面形状を先細りとなるように変化させる場合、電極タブ自体が小さな部品であることからその加工に高い精度が要求されて成形性が悪化し、また、そのための加工工程が余分に必要となって生産効率が悪化し、製品のコストアップが余儀なくされてしまう。
【0007】
そこで、この発明は、電極タブ自体に複雑な加工を施すことなく、電極タブとラミネートフィルムの接合部分との間に隙間が形成されるのを防止することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明の電池のシール方法は、正極板と負極板との間にセパレータを介在させた発電要素の両面を、金属層と樹脂層とを備えたラミネートフィルムで挟んで覆い、そのラミネートフィルムの周縁を熱溶着により接合して前記発電要素を密封するとともに、正極板および負極板にそれぞれ接続した正極タブおよび負極タブを、前記ラミネートフィルムの接合部分から外部に引き出す電池のシール方法において、前記正極タブおよび前記負極タブの前記ラミネートフィルム周縁の接合部分に配置される部分の少なくとも一部に、これら正極タブおよび負極タブそれぞれの両側端部を覆って、加熱により前記各タブに溶着する樹脂シートを設け、この樹脂シートで前記正極タブおよび負極タブの両側端部を覆った後、この樹脂シートを前記ラミネートフィルムの周縁相互で挟んだ状態で熱溶着するものとしてある。
【0009】
【発明の効果】
この発明の電池のシール方法によれば、樹脂シートは加熱により正極タブおよび負極タブに溶着可能であり、この樹脂シートで正極タブおよび負極タブの両側端部を覆った状態でラミネートフィルムの周縁部間に挟んで熱溶着する際に、この熱溶着時の熱が樹脂シートに作用して正極タブおよび負極タブの両側端部に溶着されるため、これら正,負極タブの両側端部とラミネートフィルムの接合部分との間は、軟化した樹脂シートによって隙間なく密着状態とすることができ、電池のシール性が向上する。
【0010】
このシール性の向上は、正極タブおよび負極タブの両側端部を樹脂シートで覆うという簡単な構造であり、これら各タブ自体に複雑な加工を施す必要ないので、生産効率の低下および製品のコストアップを回避することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0012】
図1〜図7は、この発明の電池のシール方法の第1実施形態を示し、図1は電池の平面図である。この第1実施形態のシール方法が適用される電池10は、図1に示すように、発電要素としての扁平形状の積層電極11を、一対のラミネートフィルム12,13の中央部に配置し、これらラミネートフィルム12,13によって積層電極11の両面(図中、表裏方向)を挟むようにして覆ってある。
【0013】
そして、図1のA−A断面図である図2に示すように、ラミネートフィルム12,13の周縁部を熱溶着により接合(接合部分B)することにより、これらラミネートフィルム12,13間に、前記積層電極11とともに電解液を密封する。なお、ラミネートフィルム12,13は実際は薄肉に形成されるが、図2中では誇張して厚肉表示してある。
【0014】
前記積層電極11は、図1の拡大されたC−C断面図である図3に示すように、複数枚の正極板11A,11A,……および負極板11B,11B,……を、それぞれセパレータ11C,11C……を介在しつつ順次積層してある。各正極板11A,11A,……は正極リード11D,11D,……を介して正極タブ14に接続するとともに、各負極板11B,11B,……は負極リード11E,11E,……を介して負極タブ15に接続し、これら正極タブ14および負極タブ15を、前記ラミネートフィルム12,13の接合部分Bから外部に引き出している。
【0015】
前記正極タブ14および負極タブ15は、Al,Cu,Ni,Feなどの金属箔によって形成してある。
【0016】
また、前記ラミネートフィルム12,13は、図1のD部のフィルム断面構造図となる図4に示すように、外側から接合部分Bに向けて、樹脂層としてのナイロン層α、接着剤層β、金属層としてのアルミ箔層γ、樹脂層としてのPE(ポリエチレン)またはPP(ポリプロピレン)層δで構成される。
【0017】
このようにして構成される電池10としては、例えばリチウムイオン二次電池があり、この場合、正極板11A,11A,……を形成している正極の正極活物質として、リチウムニッケル複合酸化物、具体的には一般式LiNi1−xMxO2(但し、0.01≦x≦0.5であり、MはFe,Co,Mn,Cu,Zn,Al,Sn,B,Ga,Cr,V,Ti,Mg,Ca,Srの少なくとも一つである。)で表せる化合物を含有する。
【0018】
また、正極はリチウムニッケル複合酸化物以外の正極活物質を含有することも可能である。リチウムニッケル複合酸化物以外の正極活物質としては、例えば一般式LiyMn2−zM’zO4(但し、0.9≦y≦1.2、0.01≦z≦0.5であり、M’はFe,Co,Ni,Cu,Zn,Al,Sn,B,Ga,Cr,V,Ti,Mg,Ca,Srの少なくとも一つである。)で表される化合物であるリチウムマンガン複合酸化物が挙げられる。また、一般式LiCo1−xMxO2(但し、0.01≦x≦0.5であり、MはFe,Ni,Mn,Cu,Zn,Al,Sn,B,Ga,Cr,V,Ti,Mg,Ca,Srの少なくとも一つである。)で表せる化合物であるリチウムコバルト複合酸化物を含有してもよい。
【0019】
リチウムニッケル複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物およびリチウムコバルト複合酸化物は、例えばリチウム、ニッケル、マンガン、コバルトなどの炭酸塩を組成に応じて混合し、酸素存在雰囲気中において600℃〜1000℃の温度範囲で焼成することにより得られる。なお、出発原料は炭酸塩に限定されず、水酸化物、酸化物、硝酸塩、有機酸塩等からも同様に合成可能である。
【0020】
なお、リチウムニッケル複合酸化物やリチウムマンガン複合酸化物などの正極活物質の平均粒径は、30μm以下であることが好ましい。
【0021】
また、負極板11B,11B,……を形成している負極活物質としては、比表面積が0.05m2/g以上、2m2/g以下の範囲であるものを使用する。この範囲とすることにより、負極表面上におけるSEI(Solid Electrolyte Interface:固体電解質界面)の形成を充分に抑制することができる。
【0022】
負極活物質の比表面積が0.05m2/g未満である場合、リチウムの出入り可能な場所が小さすぎるため、充電時において負極活物質中にドープされたリチウムが放電時において負極活物質中から充分に脱ドープされず、充放電効率が低下する。一方、負極活物質の比表面積が2m2/gを越える場合、負極表面上におけるSEI形成を制御することができない。
【0023】
負極活物質としては、対リチウム電位が2.0V以下の範囲でリチウムをドープ・脱ドープすることが可能な材料であれば何れも使用可能であり、具体的には難黒鉛化性炭素材料、人造黒鉛、天然黒鉛、熱分解黒鉛類、ピッチコークスやニードルコークスや石油コークスなどのコークス類、グラファイト、ガラス状炭素類、フェノール樹脂やフラン樹脂などを適当な温度で焼成して炭化した有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭、カーボンブラックなどの炭素質材料を使用することが可能である。
【0024】
また、リチウムと合金を形成可能な金属、およびその合金も使用可能であり、具体的には、酸化鉄、酸化ルテニウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化スズ等の比較的低電位でリチウムをドープ・脱ドープする酸化物やその窒化物、3B族典型元素の他、SiやSnなどの元素、または例えばMxSi、MxSn(但し、式中MはSi又はSnを除く1つ以上の金属元素を表す。)で表されるSiやSnの合金などを使用することができる。これらの中でも、特にSiまたはSi合金を使用することが好ましい。
【0025】
さらに、電解液としては、電解質塩を非水溶媒に溶解して調製される液状のものの他、電解質塩を非水溶媒に溶解した溶液を高分子マトリクス中に保持させたポリマーゲル電解質であってもよい。
【0026】
非水電解質としてはポリマーゲル電解質を用いる場合、使用する高分子材料として、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。
【0027】
非水溶媒としては、この種の非水電解質二次電池においてこれまで使用されている非水溶媒であれば何でも使用可能であり、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリルなどが挙げられる。なお、これらの非水溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0028】
特に、非水溶媒は不飽和カーボネートを含有することが好ましく、具体的には、ビニレンカーボネート、エチレンエチリデンカーボネート、エチレンイソプロプロピリデンカーボネート、プロピリデンカーボネートなどを含有することが好ましい。また、これらの中でも、ビニレンカーボネートを含有することが最も好ましい。非水溶媒として不飽和カーボネートを含有することにより、負極活物質に生成するSEIの性状(保護膜の機能)に起因する効果が得られ、耐過放電特性がより向上すると考えられる。
【0029】
また、この不飽和カーボネートは電解質中に0.05重量%以上、5重量%以下の割合で含有されることが好ましく、特に0.5重量%以上、3重量%以下の割合で含有されることが最も好ましい。不飽和カーボネートの含有量を上記範囲とすることで、初期放電容量が高く、エネルギ密度の高い非水二次電池となる。
【0030】
電解質塩としては、イオン伝導性を示すリチウム塩であれば特に限定されることはなく、例えばLiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、LiCl、LiBr、CH3SO3Li、CF3SO3Liなどが使用可能である。これらの電解質塩は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いることも可能である。
【0031】
図6(a)は電極タブの平面図、図6(b)は図6(a)のE−E断面図である。ここで本実施形態では、前記正極タブ14および負極タブ15が前記接合部分Bに配置される部分のタブ長さ方向(図1中で左右方向、図6(a)中で上下方向)の一部に、正極タブ14および負極タブ15それぞれの両側端部14a,14bおよび15a,15bを覆う樹脂シート20を設けてある。この樹脂シート20で、正極タブ14および負極タブ15の両側端部14a,14bおよび15a,15bを覆った後、前記ラミネートフィルム12,13の周縁部間に挟んで熱溶着する。
【0032】
このとき、前記接合部分Bに正極タブ14および負極タブ15を挟み込んだ部分(図1中でF部)の断面は、図5に示すように、中心部分に電極タブ14(15)が配置され、そして、この電極タブ14(15)の両面に樹脂シート20を挟んだ状態で、さらにその両面に前記ラミネートフィルム12,13が配置されることになる。
【0033】
前記樹脂シート20は、加熱により正極タブ14および負極タブ15に溶着可能となる材質が選択され、本実施形態ではPE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)などが用いられる。
【0034】
樹脂シート20は、図6(b)に示すように、正極タブ14および負極タブ15の各側端部14a,14bおよび15a,15bにそれぞれ対応した2枚の分割シート21,22で構成してある。この2枚の分割シート21,22でタブ14,15の両側端部14a,14bおよび15a,15bを覆う際に、それぞれの一方の端部21a,22a同士および、他方の端部21b,22b同士を、各タブ14,15の表面上でそれぞれ互いに重ね合わせておく。
【0035】
また、正極タブ14および負極タブ15を樹脂シート20で覆って熱溶着する際に、これら正極タブ14および負極タブ15をあらかじめ加熱しておく。このときの加熱温度は、前記樹脂シート20を構成する樹脂材料のガラス転位温度付近している。
【0036】
次に、上記第1実施形態の作用を説明する。
【0037】
正極タブ14および負極タブ15をラミネートフィルム12,13の接合部分Bに挟んで溶着する際、正極タブ14および負極タブ15の両側端部14a,14bおよび15a,15bを分割シート21,22で覆ってあり、接合部分Bへの加熱によりこれら分割シート21,22も加熱される。
【0038】
すると、前記加熱された分割シート21,22は軟化し、正極タブ14(負極タブ15)の側端部14a(15a)付近を拡大して示す図7のように、これら分割シート21,22は正極タブ14および負極タブ15の両側端部14a,14bおよび15a,15bの外側形状に追従して密着状態で溶着される。
【0039】
また、前記分割シート21,22とラミネートフィルム12,13の接合部分Bとの間にあっても、加熱により軟化した分割シート21,22の形状追従性により、ラミネートフィルム12,13の内面を形成する樹脂層δ(図5参照)に密着して溶着される。
【0040】
以上より、第1の実施形態によれば、前記正極タブ14および負極タブ15の両側端部14a,14bおよび15a,15bとラミネートフィルム12,13の接合部分Bとの間は、軟化した前記分割シート21,22によって隙間なく密着状態とすることができ、電池のシール性が向上して、電解液の漏洩が防止される。
【0041】
このシール性の向上は、正極タブ14および負極タブ15の両側端部14a,14bおよび15a,15bを樹脂シート20で覆うという簡単な構造であり、これら各電極タブ14,15自体に複雑な加工を施す必要ないので、生産効率の低下および製品のコストアップを回避することができる。
【0042】
また、この第1実施形態では、分割シート21,22の一方の端部21a,22a同士および、他方の端部21b,22b同士を、それぞれ互いに重ね合わせているため、正,負両電極タブ14,15の周囲全体を樹脂シート20が取り巻く状態となり、電極タブ14,15周囲の封止性能を高めることができる。さらに、上記端部同士を重ね合わせることで、この端部同士が密着するので、熱溶着を行う前に、分割シート21,22が正,負各電極タブ14,15から剥がれにくくなり、熱溶着器にセットする際など熱溶着前の取り扱い性が向上する。
【0043】
また、あらかじめ加熱した正極タブ14および負極タブ15に対して樹脂シート20を取り付けるようにしているので、樹脂シート20は熱溶着時での流動性が良くなり、これら電極タブ14,15の両側端部14a,14bおよび15a,15bへの密着性が向上する。
【0044】
特に、上記あらかじめ加熱する温度を、樹脂シート20を構成する樹脂材料のガラス転位温度付近とすることで、樹脂シート20の流動性をさらに促進して前記両側端部14a,14bおよび15a,15bへの密着性をさらに向上することができる。
【0045】
また、あらかじめ加熱された正極タブ14および負極タブ15に樹脂シート20を取り付けることで、樹脂シート20は、正,負各電極タブ14,15に対して接触面が溶融して密着し貼り付いた状態となるので、熱溶着を行う前に、正,負各電極タブ14,15から剥がれにくくなり、熱溶着器にセットする際など熱溶着前の取り扱い性がより向上する。
【0046】
図8はこの発明の第2実施形態を示しており、ここでは、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0047】
図8は、電極タブ14,15に樹脂シート20を巻き付けた状態の断面図でありる。この樹脂シート20は、正極タブ14および負極タブ15の両側端部14a,14bおよび15a,15bを覆うことができる長さを充分に備えた1枚で構成してある。この1枚の樹脂シート20を正極タブ14および負極タブ15の両側端部14a,14bおよび15a,15bに掛かるように巻き付けてある。
【0048】
また、この第2実施形態にあっても、樹脂シート20の端部20a,20b同士を互いに重ね合わせてある。
【0049】
上記した第2実施形態にあっては、1枚の樹脂シート20によって電極タブ14,15を巻き付けるようにしたので、電極タブ14,15の両側端部14a,14bおよび15a,15bを覆う際の樹脂シート20の位置合わせを簡単かつ確実に行うことができる。
【0050】
また、樹脂シート20の端部20a,20b同士を互いに重ね合わせておくことにより、前記第1実施形態と同様に電極タブ14,15周囲の封止性能を高めることができる。
【0051】
もちろん、この第2実施形態にあっても、樹脂シート20を巻き付ける際に、電極タブ14,15をあらかじめ加熱しておくことが望ましい。
【0052】
ところで、この発明の電池のシール方法および電池は、前記第1,第2実施形態に例を取って説明したが、これら実施形態に限ることなくこの発明の要旨を逸脱しない範囲で各種実施形態を採用することができる。例えば、電池10としてはリチウムイオン二次電池に限ることなく、同様の構成となる他の電池にあってもこの発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態における電池の平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1の拡大されたC−C断面図である。
【図4】図1中D部のフィルム断面構造図である。
【図5】図1中F部のフィルム断面構造図である。
【図6】(a)は樹脂シートで覆った電極タブの平面図、(b)は(a)のE−E断面図である。
【図7】熱溶着後の正極,負極各タブの側端部付近を拡大して示した断面図である。
【図8】この発明の第2実施形態における電極タブに樹脂シートを巻き付けた状態の断面図である。
【符号の説明】
10 電池
11 積層電極(発電要素)
11A 正極板
11B 負極板
11C セパレータ
12,13 ラミネートフィルム
14 正極タブ
14a,14b 両側端部
15 負極タブ
15a,15b 両側端部
20 樹脂シート
20a,20b 端部
21,22 分割シート(樹脂シート)
21a,21b,22a,22b 端部
B 接合部分
α ナイロン層(樹脂層)
γ アルミ箔層(金属層)
δ PE/PP層(樹脂層)
【発明の属する技術分野】
この発明は、電池の発電要素の外装ケースに、金属層と樹脂層とを備えたラミネートシートを用い、その周縁部を熱溶着により接合するとともに、発電要素の正,負極板にそれぞれ接続した電極タブをラミネートフィルムの接合部分から外部に引き出すようにした電池のシール方法および電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の排ガスによる大気汚染が世界的な問題となっている中で、電気を動力源とする電気自動車や、エンジンとモータを組み合わせて走行するいわゆるハイブリッドカーが注目を集めており、これらに搭載する高エネルギ密度、高出力密度となる高出力型電池の開発が産業上重要な位置を占めている。
【0003】
このような高出力型電池としては例えばリチウムイオン電池があり、この場合、正極板と負極板との間にセパレータを介在させて巻回した円筒型電池や、平板状の正極板と負極板とをセパレータを介在させつつ積層した積層型電池がある。
【0004】
後者の積層型電池では、扁平状の発電要素の両面を一対のラミネートフィルムで挟み、その周縁部を熱溶着により接合して発電要素とともに電解液を密封する。このような積層型電池では、特開2000−77044号公報に開示されているように、正極板および負極板にそれぞれ接続した各電極タブを、前記ラミネートフィルムの接合部分から外部に引き出す際に、断面矩形状の電極タブの両側端部とラミネートフィルムの接合面との間に隙間が形成され、その隙間から電解液が漏洩する問題がある。
【0005】
このため、前記特開2000−77044号公報では、電極タブ自体の断面形状を両側が先細りとなるように形成して、前記隙間が形成されるのを防止することが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように電極タブの断面形状を先細りとなるように変化させる場合、電極タブ自体が小さな部品であることからその加工に高い精度が要求されて成形性が悪化し、また、そのための加工工程が余分に必要となって生産効率が悪化し、製品のコストアップが余儀なくされてしまう。
【0007】
そこで、この発明は、電極タブ自体に複雑な加工を施すことなく、電極タブとラミネートフィルムの接合部分との間に隙間が形成されるのを防止することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明の電池のシール方法は、正極板と負極板との間にセパレータを介在させた発電要素の両面を、金属層と樹脂層とを備えたラミネートフィルムで挟んで覆い、そのラミネートフィルムの周縁を熱溶着により接合して前記発電要素を密封するとともに、正極板および負極板にそれぞれ接続した正極タブおよび負極タブを、前記ラミネートフィルムの接合部分から外部に引き出す電池のシール方法において、前記正極タブおよび前記負極タブの前記ラミネートフィルム周縁の接合部分に配置される部分の少なくとも一部に、これら正極タブおよび負極タブそれぞれの両側端部を覆って、加熱により前記各タブに溶着する樹脂シートを設け、この樹脂シートで前記正極タブおよび負極タブの両側端部を覆った後、この樹脂シートを前記ラミネートフィルムの周縁相互で挟んだ状態で熱溶着するものとしてある。
【0009】
【発明の効果】
この発明の電池のシール方法によれば、樹脂シートは加熱により正極タブおよび負極タブに溶着可能であり、この樹脂シートで正極タブおよび負極タブの両側端部を覆った状態でラミネートフィルムの周縁部間に挟んで熱溶着する際に、この熱溶着時の熱が樹脂シートに作用して正極タブおよび負極タブの両側端部に溶着されるため、これら正,負極タブの両側端部とラミネートフィルムの接合部分との間は、軟化した樹脂シートによって隙間なく密着状態とすることができ、電池のシール性が向上する。
【0010】
このシール性の向上は、正極タブおよび負極タブの両側端部を樹脂シートで覆うという簡単な構造であり、これら各タブ自体に複雑な加工を施す必要ないので、生産効率の低下および製品のコストアップを回避することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0012】
図1〜図7は、この発明の電池のシール方法の第1実施形態を示し、図1は電池の平面図である。この第1実施形態のシール方法が適用される電池10は、図1に示すように、発電要素としての扁平形状の積層電極11を、一対のラミネートフィルム12,13の中央部に配置し、これらラミネートフィルム12,13によって積層電極11の両面(図中、表裏方向)を挟むようにして覆ってある。
【0013】
そして、図1のA−A断面図である図2に示すように、ラミネートフィルム12,13の周縁部を熱溶着により接合(接合部分B)することにより、これらラミネートフィルム12,13間に、前記積層電極11とともに電解液を密封する。なお、ラミネートフィルム12,13は実際は薄肉に形成されるが、図2中では誇張して厚肉表示してある。
【0014】
前記積層電極11は、図1の拡大されたC−C断面図である図3に示すように、複数枚の正極板11A,11A,……および負極板11B,11B,……を、それぞれセパレータ11C,11C……を介在しつつ順次積層してある。各正極板11A,11A,……は正極リード11D,11D,……を介して正極タブ14に接続するとともに、各負極板11B,11B,……は負極リード11E,11E,……を介して負極タブ15に接続し、これら正極タブ14および負極タブ15を、前記ラミネートフィルム12,13の接合部分Bから外部に引き出している。
【0015】
前記正極タブ14および負極タブ15は、Al,Cu,Ni,Feなどの金属箔によって形成してある。
【0016】
また、前記ラミネートフィルム12,13は、図1のD部のフィルム断面構造図となる図4に示すように、外側から接合部分Bに向けて、樹脂層としてのナイロン層α、接着剤層β、金属層としてのアルミ箔層γ、樹脂層としてのPE(ポリエチレン)またはPP(ポリプロピレン)層δで構成される。
【0017】
このようにして構成される電池10としては、例えばリチウムイオン二次電池があり、この場合、正極板11A,11A,……を形成している正極の正極活物質として、リチウムニッケル複合酸化物、具体的には一般式LiNi1−xMxO2(但し、0.01≦x≦0.5であり、MはFe,Co,Mn,Cu,Zn,Al,Sn,B,Ga,Cr,V,Ti,Mg,Ca,Srの少なくとも一つである。)で表せる化合物を含有する。
【0018】
また、正極はリチウムニッケル複合酸化物以外の正極活物質を含有することも可能である。リチウムニッケル複合酸化物以外の正極活物質としては、例えば一般式LiyMn2−zM’zO4(但し、0.9≦y≦1.2、0.01≦z≦0.5であり、M’はFe,Co,Ni,Cu,Zn,Al,Sn,B,Ga,Cr,V,Ti,Mg,Ca,Srの少なくとも一つである。)で表される化合物であるリチウムマンガン複合酸化物が挙げられる。また、一般式LiCo1−xMxO2(但し、0.01≦x≦0.5であり、MはFe,Ni,Mn,Cu,Zn,Al,Sn,B,Ga,Cr,V,Ti,Mg,Ca,Srの少なくとも一つである。)で表せる化合物であるリチウムコバルト複合酸化物を含有してもよい。
【0019】
リチウムニッケル複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物およびリチウムコバルト複合酸化物は、例えばリチウム、ニッケル、マンガン、コバルトなどの炭酸塩を組成に応じて混合し、酸素存在雰囲気中において600℃〜1000℃の温度範囲で焼成することにより得られる。なお、出発原料は炭酸塩に限定されず、水酸化物、酸化物、硝酸塩、有機酸塩等からも同様に合成可能である。
【0020】
なお、リチウムニッケル複合酸化物やリチウムマンガン複合酸化物などの正極活物質の平均粒径は、30μm以下であることが好ましい。
【0021】
また、負極板11B,11B,……を形成している負極活物質としては、比表面積が0.05m2/g以上、2m2/g以下の範囲であるものを使用する。この範囲とすることにより、負極表面上におけるSEI(Solid Electrolyte Interface:固体電解質界面)の形成を充分に抑制することができる。
【0022】
負極活物質の比表面積が0.05m2/g未満である場合、リチウムの出入り可能な場所が小さすぎるため、充電時において負極活物質中にドープされたリチウムが放電時において負極活物質中から充分に脱ドープされず、充放電効率が低下する。一方、負極活物質の比表面積が2m2/gを越える場合、負極表面上におけるSEI形成を制御することができない。
【0023】
負極活物質としては、対リチウム電位が2.0V以下の範囲でリチウムをドープ・脱ドープすることが可能な材料であれば何れも使用可能であり、具体的には難黒鉛化性炭素材料、人造黒鉛、天然黒鉛、熱分解黒鉛類、ピッチコークスやニードルコークスや石油コークスなどのコークス類、グラファイト、ガラス状炭素類、フェノール樹脂やフラン樹脂などを適当な温度で焼成して炭化した有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭、カーボンブラックなどの炭素質材料を使用することが可能である。
【0024】
また、リチウムと合金を形成可能な金属、およびその合金も使用可能であり、具体的には、酸化鉄、酸化ルテニウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化スズ等の比較的低電位でリチウムをドープ・脱ドープする酸化物やその窒化物、3B族典型元素の他、SiやSnなどの元素、または例えばMxSi、MxSn(但し、式中MはSi又はSnを除く1つ以上の金属元素を表す。)で表されるSiやSnの合金などを使用することができる。これらの中でも、特にSiまたはSi合金を使用することが好ましい。
【0025】
さらに、電解液としては、電解質塩を非水溶媒に溶解して調製される液状のものの他、電解質塩を非水溶媒に溶解した溶液を高分子マトリクス中に保持させたポリマーゲル電解質であってもよい。
【0026】
非水電解質としてはポリマーゲル電解質を用いる場合、使用する高分子材料として、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。
【0027】
非水溶媒としては、この種の非水電解質二次電池においてこれまで使用されている非水溶媒であれば何でも使用可能であり、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリルなどが挙げられる。なお、これらの非水溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0028】
特に、非水溶媒は不飽和カーボネートを含有することが好ましく、具体的には、ビニレンカーボネート、エチレンエチリデンカーボネート、エチレンイソプロプロピリデンカーボネート、プロピリデンカーボネートなどを含有することが好ましい。また、これらの中でも、ビニレンカーボネートを含有することが最も好ましい。非水溶媒として不飽和カーボネートを含有することにより、負極活物質に生成するSEIの性状(保護膜の機能)に起因する効果が得られ、耐過放電特性がより向上すると考えられる。
【0029】
また、この不飽和カーボネートは電解質中に0.05重量%以上、5重量%以下の割合で含有されることが好ましく、特に0.5重量%以上、3重量%以下の割合で含有されることが最も好ましい。不飽和カーボネートの含有量を上記範囲とすることで、初期放電容量が高く、エネルギ密度の高い非水二次電池となる。
【0030】
電解質塩としては、イオン伝導性を示すリチウム塩であれば特に限定されることはなく、例えばLiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、LiCl、LiBr、CH3SO3Li、CF3SO3Liなどが使用可能である。これらの電解質塩は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いることも可能である。
【0031】
図6(a)は電極タブの平面図、図6(b)は図6(a)のE−E断面図である。ここで本実施形態では、前記正極タブ14および負極タブ15が前記接合部分Bに配置される部分のタブ長さ方向(図1中で左右方向、図6(a)中で上下方向)の一部に、正極タブ14および負極タブ15それぞれの両側端部14a,14bおよび15a,15bを覆う樹脂シート20を設けてある。この樹脂シート20で、正極タブ14および負極タブ15の両側端部14a,14bおよび15a,15bを覆った後、前記ラミネートフィルム12,13の周縁部間に挟んで熱溶着する。
【0032】
このとき、前記接合部分Bに正極タブ14および負極タブ15を挟み込んだ部分(図1中でF部)の断面は、図5に示すように、中心部分に電極タブ14(15)が配置され、そして、この電極タブ14(15)の両面に樹脂シート20を挟んだ状態で、さらにその両面に前記ラミネートフィルム12,13が配置されることになる。
【0033】
前記樹脂シート20は、加熱により正極タブ14および負極タブ15に溶着可能となる材質が選択され、本実施形態ではPE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)などが用いられる。
【0034】
樹脂シート20は、図6(b)に示すように、正極タブ14および負極タブ15の各側端部14a,14bおよび15a,15bにそれぞれ対応した2枚の分割シート21,22で構成してある。この2枚の分割シート21,22でタブ14,15の両側端部14a,14bおよび15a,15bを覆う際に、それぞれの一方の端部21a,22a同士および、他方の端部21b,22b同士を、各タブ14,15の表面上でそれぞれ互いに重ね合わせておく。
【0035】
また、正極タブ14および負極タブ15を樹脂シート20で覆って熱溶着する際に、これら正極タブ14および負極タブ15をあらかじめ加熱しておく。このときの加熱温度は、前記樹脂シート20を構成する樹脂材料のガラス転位温度付近している。
【0036】
次に、上記第1実施形態の作用を説明する。
【0037】
正極タブ14および負極タブ15をラミネートフィルム12,13の接合部分Bに挟んで溶着する際、正極タブ14および負極タブ15の両側端部14a,14bおよび15a,15bを分割シート21,22で覆ってあり、接合部分Bへの加熱によりこれら分割シート21,22も加熱される。
【0038】
すると、前記加熱された分割シート21,22は軟化し、正極タブ14(負極タブ15)の側端部14a(15a)付近を拡大して示す図7のように、これら分割シート21,22は正極タブ14および負極タブ15の両側端部14a,14bおよび15a,15bの外側形状に追従して密着状態で溶着される。
【0039】
また、前記分割シート21,22とラミネートフィルム12,13の接合部分Bとの間にあっても、加熱により軟化した分割シート21,22の形状追従性により、ラミネートフィルム12,13の内面を形成する樹脂層δ(図5参照)に密着して溶着される。
【0040】
以上より、第1の実施形態によれば、前記正極タブ14および負極タブ15の両側端部14a,14bおよび15a,15bとラミネートフィルム12,13の接合部分Bとの間は、軟化した前記分割シート21,22によって隙間なく密着状態とすることができ、電池のシール性が向上して、電解液の漏洩が防止される。
【0041】
このシール性の向上は、正極タブ14および負極タブ15の両側端部14a,14bおよび15a,15bを樹脂シート20で覆うという簡単な構造であり、これら各電極タブ14,15自体に複雑な加工を施す必要ないので、生産効率の低下および製品のコストアップを回避することができる。
【0042】
また、この第1実施形態では、分割シート21,22の一方の端部21a,22a同士および、他方の端部21b,22b同士を、それぞれ互いに重ね合わせているため、正,負両電極タブ14,15の周囲全体を樹脂シート20が取り巻く状態となり、電極タブ14,15周囲の封止性能を高めることができる。さらに、上記端部同士を重ね合わせることで、この端部同士が密着するので、熱溶着を行う前に、分割シート21,22が正,負各電極タブ14,15から剥がれにくくなり、熱溶着器にセットする際など熱溶着前の取り扱い性が向上する。
【0043】
また、あらかじめ加熱した正極タブ14および負極タブ15に対して樹脂シート20を取り付けるようにしているので、樹脂シート20は熱溶着時での流動性が良くなり、これら電極タブ14,15の両側端部14a,14bおよび15a,15bへの密着性が向上する。
【0044】
特に、上記あらかじめ加熱する温度を、樹脂シート20を構成する樹脂材料のガラス転位温度付近とすることで、樹脂シート20の流動性をさらに促進して前記両側端部14a,14bおよび15a,15bへの密着性をさらに向上することができる。
【0045】
また、あらかじめ加熱された正極タブ14および負極タブ15に樹脂シート20を取り付けることで、樹脂シート20は、正,負各電極タブ14,15に対して接触面が溶融して密着し貼り付いた状態となるので、熱溶着を行う前に、正,負各電極タブ14,15から剥がれにくくなり、熱溶着器にセットする際など熱溶着前の取り扱い性がより向上する。
【0046】
図8はこの発明の第2実施形態を示しており、ここでは、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0047】
図8は、電極タブ14,15に樹脂シート20を巻き付けた状態の断面図でありる。この樹脂シート20は、正極タブ14および負極タブ15の両側端部14a,14bおよび15a,15bを覆うことができる長さを充分に備えた1枚で構成してある。この1枚の樹脂シート20を正極タブ14および負極タブ15の両側端部14a,14bおよび15a,15bに掛かるように巻き付けてある。
【0048】
また、この第2実施形態にあっても、樹脂シート20の端部20a,20b同士を互いに重ね合わせてある。
【0049】
上記した第2実施形態にあっては、1枚の樹脂シート20によって電極タブ14,15を巻き付けるようにしたので、電極タブ14,15の両側端部14a,14bおよび15a,15bを覆う際の樹脂シート20の位置合わせを簡単かつ確実に行うことができる。
【0050】
また、樹脂シート20の端部20a,20b同士を互いに重ね合わせておくことにより、前記第1実施形態と同様に電極タブ14,15周囲の封止性能を高めることができる。
【0051】
もちろん、この第2実施形態にあっても、樹脂シート20を巻き付ける際に、電極タブ14,15をあらかじめ加熱しておくことが望ましい。
【0052】
ところで、この発明の電池のシール方法および電池は、前記第1,第2実施形態に例を取って説明したが、これら実施形態に限ることなくこの発明の要旨を逸脱しない範囲で各種実施形態を採用することができる。例えば、電池10としてはリチウムイオン二次電池に限ることなく、同様の構成となる他の電池にあってもこの発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態における電池の平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1の拡大されたC−C断面図である。
【図4】図1中D部のフィルム断面構造図である。
【図5】図1中F部のフィルム断面構造図である。
【図6】(a)は樹脂シートで覆った電極タブの平面図、(b)は(a)のE−E断面図である。
【図7】熱溶着後の正極,負極各タブの側端部付近を拡大して示した断面図である。
【図8】この発明の第2実施形態における電極タブに樹脂シートを巻き付けた状態の断面図である。
【符号の説明】
10 電池
11 積層電極(発電要素)
11A 正極板
11B 負極板
11C セパレータ
12,13 ラミネートフィルム
14 正極タブ
14a,14b 両側端部
15 負極タブ
15a,15b 両側端部
20 樹脂シート
20a,20b 端部
21,22 分割シート(樹脂シート)
21a,21b,22a,22b 端部
B 接合部分
α ナイロン層(樹脂層)
γ アルミ箔層(金属層)
δ PE/PP層(樹脂層)
Claims (6)
- 正極板と負極板との間にセパレータを介在させた発電要素の両面を、金属層と樹脂層とを備えたラミネートフィルムで挟んで覆い、そのラミネートフィルムの周縁を熱溶着により接合して前記発電要素を密封するとともに、正極板および負極板にそれぞれ接続した正極タブおよび負極タブを、前記ラミネートフィルムの接合部分から外部に引き出す電池のシール方法において、前記正極タブおよび前記負極タブの前記ラミネートフィルム周縁の接合部分に配置される部分の少なくとも一部に、これら正極タブおよび負極タブそれぞれの両側端部を覆って、加熱により前記各タブに溶着する樹脂シートを設け、この樹脂シートで前記正極タブおよび負極タブの両側端部を覆った後、この樹脂シートを前記ラミネートフィルムの周縁相互で挟んだ状態で熱溶着することを特徴とする電池のシール方法。
- 前記樹脂シートは、前記正極タブおよび前記負極タブの両側端部を覆う1枚で構成されていることを特徴とする請求項1記載の電池のシール方法。
- 前記樹脂シートは、前記正極タブおよび前記負極タブの表面上にて端部同士が重ね合わされていることを特徴とする請求項1または2記載の電池のシール方法。
- 前記正極タブおよび負極タブを、前記樹脂シートで覆って熱溶着する際に、あらかじめ加熱しておくことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電池のシール方法。
- 前記あらかじめ加熱する温度は、前記樹脂シートのガラス転位温度付近であることを特徴とする請求項4記載の電池のシール方法。
- 正極板と負極板との間にセパレータを介在させた発電要素の両面を、金属層と樹脂層とを備えたラミネートフィルムで挟んで覆い、そのラミネートフィルムの周縁を熱溶着により接合して前記発電要素を密封するとともに、正極板および負極板にそれぞれ接続した正極タブおよび負極タブを、前記ラミネートフィルムの接合部分から外部に引き出す電池において、前記正極タブおよび前記負極タブが前記ラミネートフィルム周縁の接合部分に配置される部分の少なくともタブ引き出し方向の一部に、これら正極タブおよび負極タブそれぞれの両側端部を覆って、加熱により前記各タブに溶着する樹脂シートを設けたことを特徴とする電池。
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2003
- 2003-06-20 US US10/465,587 patent/US20030235757A1/en not_active Abandoned
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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