JP4978107B2 - 組電池 - Google Patents

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Description

本発明は、電池の発電要素をラミネートシート外装で密閉した扁平型電池を複数積層した組電池に関する。
近年、携帯機器や電気自動車用の電源として、高エネルギ密度、高出力密度のリチウムイオン電池が注目されている。リチウムイオン電池の単電池(セル)は、可撓性の正極板と負極板との間に電解液を含浸したセパレータを介在させて巻回した円筒型電池や、平板状の正極板と負極板との間に電解液を含浸したセパレータを介在させて袋状のラミネートシートに封入した扁平型電池がある。
高電圧で使用されるリチウムイオン電池は、取り扱いに適した直方体の容積を無駄なく利用するために、扁平型電池を多数積層して直列接続した組電池として構成されることが多い。このような組電池においては、隣接するセルの電極端子間の距離が短く、電極同士が接触して短絡する虞がある。このため、例えば特許文献1に記載されているように、絶縁すべき電極端子間に絶縁性のプレート(以下、絶縁プレート)を設けることが考えられている。ところで、これらの絶縁プレートを電極端子に対して固定するためには、電極端子を介して積層された絶縁プレートを、積層方向外部から押圧して固定しなければならない。そのため特許文献1においては、積層方向に配列した絶縁プレートに貫通孔を設け、この貫通孔に通したボルトをナットで締結することによって、絶縁プレートを固定している。
特開2004−6141号公報(第3頁、図1)
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術のように、単に積層方向に配列した絶縁プレートをボルトとナットで押圧しただけでは、経時的な絶縁プレートの変形によって緩みが発生し、電極端子に対する絶縁プレートの恒久的な固定が困難となるという問題点があった。
上記問題点を解決するために、本発明は、金属層の少なくとも一方面に樹脂層を備えた2枚のラミネートシートの周縁部の前記樹脂層を溶着して袋状に形成された外装部材の内部に発電要素を収納し、前記発電要素に接続された板状の電極端子を前記2枚のラミネートシート間から外装部材外部へ突出した扁平型電池を複数積層して成る組電池において、前記扁平型電池のそれぞれの電極端子と前記ラミネートシートとの溶着部の一部に、他の部位の樹脂層よりも厚み寸法の大きな樹脂層を形成し、隣接する扁平型電池間の電極端子を絶縁する絶縁プレートを、前記隣接する扁平型電池の前記厚み寸法の大きな樹脂層で挟持することを要旨とする。
本発明によれば、厚み寸法の大きな樹脂層が絶縁プレートを挟持する弾性体となり、部品追加やコスト増加を伴うことなく、温度や経時変化による寸法変化を吸収して恒久的に絶縁プレートを固定することができる。
次に図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明に係る組電池に用いられる扁平型電池を説明する(a)平面図、(b)側面図、(c)及び(d)は、(a)の平面図におけるA−A線に沿う部分断面図である。図2は、図1の扁平型電池の電極端子部を封止する際の工程説明図である。図3は、図1の扁平型電池を複数直列接続した組電池を示す断面図である。
図1(a)、(b)において、扁平型電池1は、扁平形状の発電要素4と、発電要素4の正極に接続された正極タブ5(正極端子)と、発電要素の負極に接続された負極タブ6(負極端子)と、正極タブ5の端部及び負極タブ6の端部を除いて、発電要素4、正極タブ5および負極タブ6の両面を覆う一対の(2枚の)ラミネートシート2,3とを備えている。
発電要素4の詳細は図示しないが、正極とセパレータと負極が積層された単一の発電要素からなるものや、正極、セパレータ、負極、セパレータ、正極、…と、正極と負極とがセパレータを介して交互に複数積層することにより電池容量を増加させた積層発電要素であってもよい。正極からは正極リードが正極タブに接続され、負極からは負極リードが負極タブに接続されている。積層発電要素の場合、各正極から正極リードが正極タブに接続され、各負極から負極リードが負極タブに接続されることにより、各発電要素が並列接続されている。
ラミネートシート2,3は、その周縁部が熱溶着により袋状に接合され、その内部に図示しない電解液を密封している。尚、本実施例においては、ラミネートシート2,3は、独立した2枚のラミネートシートで形成しているが、例えば一部が接続された1枚のラミネートシートを折り返して形成してもよい。
正極タブ5及び負極タブ6と、ラミネートシート2,3との溶着部の端部には、他の部位の樹脂層よりも厚み寸法の大きな樹脂層を設けることによって形成された盛り上がり部10が形成されている。
ラミネートシート2,3は、それぞれ外側から、外側樹脂層11,金属層12,内側樹脂層13からなり、内側樹脂層13同士が溶着されて袋状となる。外側樹脂層11には、内側樹脂層13に比べて相対的に融点及びガラス転移点が高い、ナイロン6,ナイロン66、ポリエステル(PET)等が用いられる。内側樹脂層13には、外側樹脂層11に比べて相対的に融点及びガラス転移点が低いポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が用いられる。金属層12には、アルミ箔が用いられる。外側樹脂層11と金属層12との間には両者を張り合わせる接着剤層があってもよい。
厚み寸法の大きな樹脂層10は、図1(c)の拡大断面図に示すように、正極タブ5(または負極タブ6)とラミネートシート2,3との溶着部の端部には、溶融した内側樹脂層13がはみ出して形成される。尚、図1(d)に示すように、予め、正極タブ5(または負極タブ6)を覆う樹脂層14を設けた後に、ラミネートシート2,3を溶着してもよい。この溶着方法は、本願出願人による特開2004−31066号公報に詳細に記載されている。
このように構成される扁平型電池1としては、例えばリチウムイオン2次電池があり、この場合、正極の正極活物質として、リチウムニッケル複合酸化物、具体的には一般式LiNi1-xMxO2(但し、0.01≦x≦0.5であり、MはFe,Co,Mn,Cu,Zn,Al,Sn,B,Ga,Cr,V,Ti,Mg,Ca,Srの少なくとも一つである。)で表せる化合物を含有する。
また、正極はリチウムニッケル複合酸化物以外の正極活物質を含有することも可能である。リチウムニッケル複合酸化物以外の正極活物質としては、例えば一般式LiyMn2-zM’zO4(但し、0.9≦y≦1.2、0.01≦z≦0.5であり、M’はFe,Co,Ni,Cu,Zn,Al,Sn,B,Ga,Cr,V,Ti,Mg,Ca,Srの少なくとも一つである。)で表される化合物であるリチウムマンガン複合酸化物が挙げられる。また、一般式LiCo1-xMxO2(但し、0.01≦x≦0.5であり、MはFe,Ni,Mn,Cu,Zn,Al,Sn,B,Ga,Cr,V,Ti,Mg,Ca,Srの少なくとも一つである。)で表せる化合物であるリチウムコバルト複合酸化物を含有してもよい。
リチウムニッケル複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物およびリチウムコバルト複合酸化物は、例えばリチウム、ニッケル、マンガン、コバルトなどの炭酸塩を組成に応じて混合し、酸素存在雰囲気中において600℃〜1000℃の温度範囲で焼成することにより得られる。なお、出発原料は炭酸塩に限定されず、水酸化物、酸化物、硝酸塩、有機酸塩等からも同様に合成可能である。
なお、リチウムニッケル複合酸化物やリチウムマンガン複合酸化物などの正極活物質の平均粒径は、30μm以下であることが好ましい。
また、負極を形成している負極活物質としては、比表面積が0.05m2/g以上、2m2/g以下の範囲であるものを使用する。この範囲とすることにより、負極表面上におけるSEI(Solid Electrolyte Interface:固体電解質界面)の形成を充分に抑制することができる。
負極活物質の比表面積が0.05m2/g未満である場合、リチウムの出入り可能な場所が小さすぎるため、充電時において負極活物質中にドープされたリチウムが放電時において負極活物質中から充分に脱ドープされず、充放電効率が低下する。一方、負極活物質の比表面積が2m2/gを越える場合、負極表面上におけるSEI形成を制御することができない。
負極活物質としては、対リチウム電位が2.0V以下の範囲でリチウムをドープ・脱ドープすることが可能な材料であれば何れも使用可能であり、具体的には難黒鉛化性炭素材料、人造黒鉛、天然黒鉛、熱分解黒鉛類、ピッチコークスやニードルコークスや石油コークスなどのコークス類、グラファイト、ガラス状炭素類、フェノール樹脂やフラン樹脂などを適当な温度で焼成して炭化した有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭、カーボンブラックなどの炭素質材料を使用することが可能である。
また、リチウムと合金を形成可能な金属、およびその合金も使用可能であり、具体的には、酸化鉄、酸化ルテニウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化スズ等の比較的低電位でリチウムをドープ・脱ドープする酸化物やその窒化物、3B族典型元素の他、SiやSnなどの元素、または例えばMxSi、MxSn(但し、式中MはSi又はSnを除く1つ以上の金属元素を表す。)で表されるSiやSnの合金などを使用することができる。これらの中でも、特にSiまたはSi合金を使用することが好ましい。
さらに、電解液としては、電解質塩を非水溶媒に溶解して調製される液状のものの他、電解質塩を非水溶媒に溶解した溶液を高分子マトリクス中に保持させたポリマーゲル電解質であってもよい。
非水電解質としてはポリマーゲル電解質を用いる場合、使用する高分子材料として、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。
非水溶媒としては、この種の非水電解質二次電池においてこれまで使用されている非水溶媒であれば何でも使用可能であり、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリルなどが挙げられる。なお、これらの非水溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
特に、非水溶媒は不飽和カーボネートを含有することが好ましく、具体的には、ビニレンカーボネート、エチレンエチリデンカーボネート、エチレンイソプロプロピリデンカーボネート、プロピリデンカーボネートなどを含有することが好ましい。また、これらの中でも、ビニレンカーボネートを含有することが最も好ましい。非水溶媒として不飽和カーボネートを含有することにより、負極活物質に生成するSEIの性状(保護膜の機能)に起因する効果が得られ、耐過放電特性がより向上すると考えられる。
また、この不飽和カーボネートは電解質中に0.05重量%以上、5重量%以下の割合で含有されることが好ましく、特に0.5重量%以上、3重量%以下の割合で含有されることが最も好ましい。不飽和カーボネートの含有量を上記範囲とすることで、初期放電容量が高く、エネルギ密度の高い非水二次電池となる。
電解質塩としては、イオン伝導性を示すリチウム塩であれば特に限定されることはなく、例えばLiClO4 、LiAsF6 、LiPF6 、LiBF4 、LiB(C6H5)4 、LiCl、LiBr、CH3SO3Li、CF3SO3Liなどが使用可能である。これらの電解質塩は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いることも可能である。
次に図2を参照して、扁平型電池のラミネートシート2,3を溶着する際の工程を説明する。図2(a)は、扁平型電池の電極端子である正極タブ5(または負極タブ6)に、それぞれ外側樹脂層11,金属層12,内側樹脂層13を備えるラミネートシート2,3が重ねられた状態を示す。次いで図2(b)に示すように、それぞれ内側樹脂層13の融点温度より高く、且つ外側樹脂層11の融点温度より低い温度に加熱された上側ヒータブロック20が上方から、下側ヒータブロック21が下方から押しつけられて、ラミネートシート2,3の溶着が行われる。このとき、上側ヒータブロック20の端部及び下側ヒータブロックの端部は、それぞれラミネートシート2,3の端部より、長さl(例えば数[mm])だけ内側に位置しているので、溶着時に溶融した内側樹脂層13の一部の樹脂は、流動して外側に押し出され、ラミネートシート2,3の端部に、他の部位より厚み寸法の大きな樹脂層である盛り上がり部10を形成する。
次に、図3を参照して、本発明に係る組電池の実施例を説明する。組電池は、例えば金属製のケース30の内部に、複数(図3では4個)の扁平型電池1a,1b,1c,1dを積層しながら直列に接続して収容している。上から奇数番目の扁平型電池1a、1cは、図中左側が正極タブ5a,5cとなり図中右側が負極タブ6a,6cとなるように配置され、上から偶数番目の扁平型電池1b、1dは、図中左側が負極タブ6b、6dとなり図中右側が正極タブ5b、5dとなるように配置されている。
最上部の扁平型電池1aの正極タブ5aは、組電池の+端子31に接続され、扁平型電池1aの負極タブ6aは、扁平型電池1bの正極タブ5bに接続され、扁平型電池1bの負極タブ6bは、扁平型電池1cの正極タブ5cに接続され、扁平型電池1cの負極タブ6cは、扁平型電池1dの正極タブ5dに接続され、扁平型電池1dの負極タブ6dは、組電池の−端子32に接続されている。これらの電極端子間の接続は、例えば超音波溶着によって行われる。
扁平型電池1a〜1dの外装であるラミネートシート2、3は、正極タブ5及び負極タブ6との溶着部に、他の部位の樹脂層よりも厚み寸法の大きな樹脂層である盛り上がり部10が形成されている。そして、積層により上下に隣接する各扁平型電池1の盛り上がり部10により、扁平型電池間、または扁平型電池をケース間を絶縁する絶縁プレート33、34、35を押圧して狭持することにより、絶縁プレート33,34、35を固定している。すなわち、盛り上がり部10は、絶縁プレート33,34,34を押圧することによって弾性変形し、絶縁プレート33,34,35を弾性的に保持している。絶縁プレート33,34,35及び盛り上がり部10は、図中縦方向にケース30により押圧されている。
このように扁平型電池をラミネートシートの溶着により外装するときに、電極端子とラミネートシートとの溶着部の一部に、他の部位より厚み寸法の大きな樹脂層である盛り上がり部を形成し、この扁平型電池を積層して組電池を構成する際に、上下の扁平型電池の盛り上がり部で扁平型電池の電極端子間を絶縁する絶縁プレートを押圧して挟持することにより、他の部品を追加することなく、絶縁プレートを固定することができる。
(a)本発明に係る組電池に用いる扁平型電池の平面図、(b)側面図、(c)A−A線に沿う拡大断面図、(d)A−A線に沿う拡大断面図である。 扁平型電池のラミネートシート溶着工程を説明する断面図である。 (a)本発明に係る組電池を説明する断面図、(b)同部分拡大図である。
符号の説明
1 扁平型電池
2,3 ラミネートシート
4 発電要素
5 正極タブ
6 負極タブ
10 盛り上がり部(厚み寸法の大きな樹脂層)
11 外側樹脂層
12 金属層
13 内側樹脂層
14 樹脂シート層
33,34,35 絶縁プレート

Claims (3)

  1. 金属層の少なくとも一方面に樹脂層を備えた2枚のラミネートシートの周縁部の前記樹脂層を溶着して袋状に形成された外装部材の内部に発電要素を収納し、前記発電要素に接続された板状の電極端子を前記2枚のラミネートシート間から外装部材外部へ突出した扁平型電池を複数積層して成る組電池において、
    前記扁平型電池のそれぞれの電極端子と前記ラミネートシートとの溶着部の一部に、他の部位の樹脂層よりも厚み寸法の大きな樹脂層を形成し、隣接する扁平型電池間の電極端子を絶縁する絶縁プレートを、前記隣接する扁平型電池の前記厚み寸法の大きな樹脂層で挟持することを特徴とする組電池。
  2. 前記ラミネートシートは、金属層の両面に樹脂層を備え、前記袋状の外面側の樹脂層の軟化温度が前記袋状の内面側の樹脂層の軟化温度より高く、前記2枚のラミネートシートを溶着するヒータブロックが前記ラミネートシートと前記電極端子との溶着部の最外周部を加圧しないことにより前記溶着部の端部に溶融した前記内面側樹脂層を形成する樹脂が押し出されて、前記厚み寸法の大きな樹脂層が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の組電池。
  3. 前記電極端子と前記ラミネートシート周縁の接合部分に配置される部分との間の少なくとも一部に、加熱により前記電極端子と前記ラミネートシートの内側樹脂層とに溶着する樹脂シートを設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の組電池。
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