JP2004028277A - 自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車輌の走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合、走行を継続して安全性を確保し、かつ車輌の停止後の良好な発進性能を確保し得るように構成した自動変速機の油圧制御装置を提供する。
【解決手段】本自動変速機18の油圧制御装置1は、プランジャ装置5、切換えバルブ7及びシフトソレノイドバルブSRを有するフェールセーフ手段を備えることにより、ソレノイド・オールオフフェールが比較的高速段にて発生した場合に、2−3シフトバルブ3のバルブ位置を保持することで比較的高速段を維持し、該フェールが比較的低速段にて発生した場合に、2−3シフトバルブ3のバルブ位置を保持することで比較的低速段を維持する。このため、フェール発生時、車輌がフェール発生時と略々同じ比較的高速段又は比較的低速段を維持しつつ走行を継続できるので、走行時の安全性を確保しつつ、フェール発生後の円滑な走行を維持することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】本自動変速機18の油圧制御装置1は、プランジャ装置5、切換えバルブ7及びシフトソレノイドバルブSRを有するフェールセーフ手段を備えることにより、ソレノイド・オールオフフェールが比較的高速段にて発生した場合に、2−3シフトバルブ3のバルブ位置を保持することで比較的高速段を維持し、該フェールが比較的低速段にて発生した場合に、2−3シフトバルブ3のバルブ位置を保持することで比較的低速段を維持する。このため、フェール発生時、車輌がフェール発生時と略々同じ比較的高速段又は比較的低速段を維持しつつ走行を継続できるので、走行時の安全性を確保しつつ、フェール発生後の円滑な走行を維持することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機の油圧制御装置に係り、詳しくは、走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合、その後の円滑な走行を確保し、かつ一旦停止した後の発進性能を確保し得る自動変速機の油圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シフトソレノイドバルブを用いて複数のシフトバルブを選択的に切換えることにより、シフトレバーの操作に応じて変速段を適時切換えるように構成した自動変速機の油圧制御装置(以下、単に「油圧制御装置」とも言う)が知られている。このような油圧制御装置においては、例えば高速段での走行中に、断線やショート等でシフトソレノイドバルブが非通電状態となって作動し得ないフェール(ソレノイド・オールオフフェール)が発生した場合に、安全性の確保のため高速段を維持するように構成したものが提案されている。該油圧制御装置にあっては、フェール発生後は高速段を維持するため、車輌が一旦停止した際には、発進加速性能が確保できなくなる状態を招来する。そのため、高速段におけるフェール発生時においても、安全性を確保しつつ車輌停止後の発進を可能とするような所定の変速段に切換えることが考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば多段化の自動変速機やギヤ比幅が広い自動変速機においては、該自動変速機を搭載した車輌でのソレノイド・オールオフフェール発生後に、上述した所定の変速段のような、安全性の確保並びに車輌停止後の発進性能の確保をともに満たし得る有効な変速段を得ることは困難である。
【0004】
そこで本発明は、車輌走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合でも、その後の円滑な走行を維持すると共に、一旦停止した後の発進性能を確保し得るように構成し、もって上述した課題を解決した自動変速機の油圧制御装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本発明は(例えば図1ないし図4参照)、複数の摩擦係合要素(C−1,C−2,C−0,B−1,B−2,B−3,B−0)の内の所定の摩擦係合要素の係合に基づき達成される比較的高速段又は該所定の摩擦係合要素の解放に基づき達成される比較的低速段に選択的に切換える係合圧(例えばC,E,F,H,I)を出力する複数のシフトバルブ(2,3,6)と、該複数のシフトバルブの切換えを制御する制御圧(A,B)を出力する複数のシフトソレノイドバルブ(S1,S2)と、を備えてなる自動変速機(18)の油圧制御装置(1)において、
少なくとも前記複数のシフトソレノイドバルブ(S1,S2)の全てが非通電状態となるフェールが前記比較的高速段にて発生した場合、前記複数のシフトバルブ(2,3,6)の内の前記比較的高速段の達成に寄与する所定シフトバルブ(3)のバルブ位置(左半位置)を保持することで前記比較的高速段を維持し、前記比較的低速段にて前記フェールが発生した場合、前記複数のシフトバルブ(2,3,6)の内の前記比較的低速段の達成に寄与する所定シフトバルブ(3)のバルブ位置(右半位置)を保持することで前記比較的低速段を維持するフェールセーフ手段(5,7,SR)を備えてなる、
ことを特徴とする自動変速機(18)の油圧制御装置(1)にある。
【0006】
請求項2に係る本発明は(例えば図1ないし図4参照)、前記所定シフトバルブ(3)の切換えを制御する制御圧(A)を出力する所定シフトソレノイドバルブ(S1)は通電状態にて該制御圧(A)を出力し、前記所定シフトバルブ(3)は該制御圧(A)の出力により前記比較的高速段に切換えられ、前記比較的高速段にて前記フェールが発生した場合、前記フェールセーフ手段(5,7,SR)は、前記所定シフトバルブ(3)のバルブ位置(左半位置)を保持するためのロック圧(L)を出力してなる、
請求項1記載の自動変速機(18)の油圧制御装置(1)にある。
【0007】
請求項3に係る本発明は(例えば図1ないし図4参照)、前記所定シフトバルブ(3)の切換えを制御する制御圧(A)を出力する所定シフトソレノイドバルブ(S1)は非通電状態にて該制御圧(A)を出力せず、前記所定シフトバルブ(3)は該制御圧(A)の非出力により前記比較的低速段に切換えられ、前記比較的低速段にて前記フェールが発生した場合、前記フェールセーフ手段(5,7,SR)は、前記比較的高速段における前記所定シフトバルブ(3)のバルブ位置(右半位置)を保持するためのロック圧(L)を出力しないように構成される、
請求項1記載の自動変速機(18)の油圧制御装置(1)にある。
【0008】
請求項4に係る本発明は(例えば図1ないし図4参照)、前記フェールセーフ手段(5,7,SR)は、前記ロック圧(L)の遮断により、変速段を前記比較的高速段から前記比較的低速段へシフトさせてなる、
請求項2記載の自動変速機(18)の油圧制御装置(1)にある。
【0009】
請求項5に係る本発明は(例えば図1ないし図4参照)、前記所定シフトバルブ(3)は、前記係合圧(F)を、前記比較的高速段へのシフト時には前記複数の摩擦係合要素の内の対応する摩擦係合要素(例えばC−2)に出力すると共に、前記比較的低速段へのシフト時には出力しないように構成され、
前記フェールセーフ手段は、前記フェールの発生時に、前記所定シフトバルブ(3)から出力される前記係合圧(F)に基づいて前記ロック圧(L)を出力してなる、
請求項2又は4記載の自動変速機(18)の油圧制御装置(1)にある。
【0010】
請求項6に係る本発明は(例えば図1ないし図4参照)、前記フェールセーフ手段(5,7,SR)は、前記所定シフトバルブ(3)のスプール(3a)を比較的高速段への切換え位置に保持するように作動し得るプランジャ装置(5)と、前記フェールの発生時に前記ロック圧(L)を前記プランジャ装置(5)に導入して該装置(5)を作動させ得る切換えバルブ(7)と、非通電状態にあっては該切換えバルブ(7)を前記プランジャ装置(5)への前記ロック圧(L)の導入可能位置(左半位置)に切換え得る制御ソレノイドバルブ(SR)と、を備えてなる、
請求項2ないし5のいずれか記載の自動変速機(18)の油圧制御装置(1)にある。
【0011】
請求項7に係る本発明は(例えば図1及び図2参照)、前記ロック圧(L)の元圧は、ライン圧である、
請求項2ないし6のいずれか記載の自動変速機(18)の油圧制御装置(1)にある。
【0012】
請求項8に係る本発明は(例えば図1及び図2参照)、前記ロック圧(L)の元圧は、レンジ圧である、
請求項2ないし6のいずれか記載の自動変速機(18)の油圧制御装置(1)にある。
【0013】
なお、本発明において、オイルポンプ等の油圧発生源からの油圧をプライマリレギュレータバルブなどで調圧した圧が「ライン圧」であり、シフトレバーやスイッチなどのシフト操作部材の操作にて切換えられるマニュアルバルブに該ライン圧を入力してレンジ毎に発生させた圧が「レンジ圧」である。また、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【0014】
【発明の効果】
請求項1に係る本発明によると、フェールが比較的高速段にて発生した場合に、比較的高速段の達成に寄与する所定シフトバルブのバルブ位置をフェールセーフ手段が保持することで比較的高速段を維持し、フェールが比較的低速段にて発生した場合に、比較的低速段の達成に寄与する所定シフトバルブのバルブ位置をフェールセーフ手段が保持することで比較的低速段を維持するので、断線やショート等でソレノイドバルブが非通電状態となって作動し得ないソレノイド・オールオフフェールが発生した場合、車輌はフェール発生時と略々同じ比較的高速段又は比較的低速段を維持しつつ走行を継続でき、従って、フェール発生後の円滑な走行を維持すると共に、走行時の安全性を確保できる。
【0015】
請求項2に係る本発明によると、比較的高速段にてフェールが発生した場合、所定シフトバルブの位置をロック圧の作用で比較的高速段側に保持することができるので、所定シフトソレノイドバルブの非通電に伴って比較的低速段側にシフトしようとする所定シフトバルブの動作を阻止するだけの簡単な構成により、フェール発生時の比較的高速段を継続しながらの高速走行を容易に実現することができる。
【0016】
請求項3に係る本発明によると、比較的低速段にてフェールが発生した場合、比較的高速段における所定シフトバルブのバルブ位置を保持するためのロック圧が出力されないので、所定シフトバルブのバルブ位置を比較的低速段側に保持することができ、従って、比較的簡単な構成により、フェール発生時の比較的低速段を継続しながらの低速走行を容易に実現することができる。
【0017】
請求項4に係る本発明によると、フェールセーフ手段が、ロック圧の遮断により変速段を比較的高速段から比較的低速段へシフトさせるので、車輌の停止にてロック圧が遮断された時点で比較的高速段から比較的低速段にシフトさせることができ、停車後の円滑な発進性能を確保することができる。
【0018】
請求項5に係る本発明によると、所定シフトバルブが、係合圧を、比較的高速段へのシフト時には複数の摩擦係合要素の内の対応する摩擦係合要素に出力すると共に、比較的低速段へのシフト時には出力しないように構成され、フェールセーフ手段が、フェールの発生時に、所定シフトバルブから出力される係合圧に基づいてロック圧を出力するので、ロック圧発生用の特別な油圧回路を別途設けることなく、フェール発生時には、比較的高速段へのシフトに伴って所定シフトバルブから出力されている係合圧に基づきロック圧を出力できる。このため、ソレノイド・オールオフフェールに充分に対処し得る油圧制御装置を、極めて簡素な構成で実現でき、これに伴う装置コンパクト化を促進させることができる。
【0019】
請求項6に係る本発明によると、フェールセーフ手段が、所定シフトバルブのスプールを比較的高速段への切換え位置に保持し得るプランジャ装置と、フェール発生時にロック圧をプランジャ装置に導入する切換えバルブと、非通電状態にあっては該切換えバルブをプランジャ装置へのロック圧の導入可能位置に切換え得る制御ソレノイドバルブとを備えるので、これら簡単な要素を付加するだけで、従前から存在する他のシフトバルブ等を活用しつつ、本油圧制御装置を容易に実現することができる。
【0020】
請求項7に係る本発明によると、ロック圧の元圧がライン圧であるので、ソレノイド・オールオフフェール発生後、再発進する際には、エンジンを一旦停止した後に再駆動した時点で発生するライン圧に基づき、発進時の低速段へのシフトを実現することができる。
【0021】
請求項8に係る本発明によると、ロック圧の元圧がレンジ圧であるので、ソレノイド・オールオフフェール発生後、再発進する際には、エンジン駆動まで停止させる必要はなく、例えばシフトレバーをDレンジ等の前進走行レンジからNレンジ又はPレンジに移動させてレンジ圧を一旦解除するだけで、1速段又は2速段へのシフトを実現することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿って、本発明に係る実施の形態における自動変速機の油圧制御装置について説明する。図1は、本油圧制御装置の一例を示す回路図、図2は、該油圧制御装置の概略構成を示す図、図3は、該油圧制御装置を適用し得る自動変速機におけるギヤトレインのスケルトン図、図4は、図3に示すギヤトレインの作動表、図5は、図3のギヤトレインに対応する速度線図である。なお、図1に示す油圧制御装置1は、本実施の形態による作用を説明するために必要とする要素のみをピックアップし、それを接続したものであり、実際の回路構成は、更に多くの部品を備えた複雑なものである。図1中のEXはドレーンポートを示している。
【0023】
図3に示すように、自動変速機18は、トルクコンバータ25等を介して入力軸24aに伝達されたエンジン出力を、クラッチC−1,C−2,C−0,ブレーキB−1,B−2,B−3,B−0及びワンウェイクラッチF−1,F−2,F−0を有する伝達経路を適時切換えて変速し、該変速した回転を駆動車輪(図示せず)に伝達し得る多段変速機構からなっている。該多段変速機構は、プラネタリギヤを3組連ねて配列することによりO/D(オーバードライブ)部及び3速部(図5参照)を構成して4速が得られるようにしたギヤトレインを有しており、複数のプラネタリギヤユニットにて3種類の歯数比λ0,λ1,λ2(サンギヤ歯数/リングギヤ歯数)を得ることができる。
【0024】
上記多段変速機構と内燃エンジン(以下、単にエンジンとも言う)との間には、トルクコンバータ25が配置されている。該トルクコンバータ25は、その入力側からポンプ・インペラ25a、ステータ25c、及びタービン・ランナ25bを有しており、該タービン・ランナ25bには上記入力軸24aが連結されている。なお、図中の26はロックアップ・クラッチ、27は自動変速機18のケースをそれぞれ示している。
【0025】
上記多段変速機構は、サンギヤS1、リングギヤR1及びキャリヤCR1からなる第1プラネタリギヤ(シンプルプラネタリギヤ)SP1と、サンギヤS2、リングギヤR2及びキャリヤCR2からなる第2プラネタリギヤSP2と、サンギヤS3、リングギヤR3及びキャリヤCR3からなる第3プラネタリギヤSP3と、を有している。
【0026】
上記第1プラネタリギヤSP1は、O/D(オーバードライブ)部を構成しており、該第1プラネタリギヤSP1においては、入力軸24aが、キャリヤCR1に連結されると共に、該キャリヤCR1及びピニオンP1を介してサンギヤS1及びリングギヤR1に連結されている。キャリヤCR1は、ピニオンギヤP1を介して、クラッチC−0及びワンウェイクラッチF−0にそれぞれ係合可能に配置されている。また、リングギヤR1は、クラッチC−1を介して第2プラネタリギヤSP2のリングギヤR2に係合可能に配置されている。そして、サンギヤS1は、その一端がブレーキB−0に係合可能に配置されており、該ブレーキB−0の係合によりケース27に固定され得る。
【0027】
また、3速部を一部構成する第2プラネタリギヤSP2においては、出力軸24bが、キャリヤCR2を介してピニオンギヤP2に連結され、かつ該ピニオンギヤP2を介してリングギヤR2及びサンギヤS2に連結されている。リングギヤR2は、その一端がクラッチC−1に係合可能に配置されて、該クラッチC−1の係合時にリングギヤR1に連結するように構成されている。サンギヤS2は、第3プラネタリギヤSP3のサンギヤS3に連結されていると共に、クラッチC−2に連結され、かつブレーキB−1にて係止可能に配置されており、該クラッチC−2の係合時に上記リングギヤR1と一体に回転し得るように構成されている。これらサンギヤS2及びS3は、ワンウェイクラッチF−1及びブレーキB−3を介してケース27に対して固定可能に構成されている。
【0028】
また、3速部を一部構成する第3プラネタリギヤSP3においては、出力軸24bが、リングギヤR3及びピニオンギヤP3を介してサンギヤS3に連結されていると共に、ピニオンギヤP3及びキャリヤCR3を介してワンウェイクラッチF−2及びブレーキB−3による係止可能に配置されている。なお、図中のλ0はサンギヤS1とリングギヤR1との歯数比(S1/R1)、λ1はサンギヤS2とリングギヤR2との歯数比(S2/R2)、λ2はサンギヤS3とリングギヤR3との歯数比(S3/R3)をそれぞれ示している。
【0029】
上記構成の自動変速機18では、その多段変速機構にて、図4の作動表に示すように、クラッチC−1,C−2,C−0,ブレーキB−1,B−2,B−3,B−0,及びワンウェイクラッチF−1,F−2,F−0を選択的に係合させることにより、図5の速度線図に示すように、1速段(1st)ないし4速段(4th)が得られ、かつ上記歯数比λ0、λ1、λ2の設定により、各変速段のギヤ比及び各変速段間のステップが得られる。
【0030】
即ち、ソレノイド・オールオフフェールが発生しない正常時において、Dレンジにおける1速段(1st)では、シフトソレノイドバルブS1及びS2がOFF(非通電状態)、かつシフトソレノイドバルブSRがON(通電状態)となり、クラッチC−1,C−0,ワンウェイクラッチF−2,F−0が作動する。これにより、入力軸24aの回転が、クラッチC−0及びワンウェイクラッチF−0の係合に基づくキャリヤCR1の回転により、リングギヤR1に伝達される。更に、クラッチC−1の係合、及びワンウェイクラッチF−2の係合にてキャリヤCR3が係止されることに基づき、速度線図からも明らかなように、リングギヤR2の回転が、キャリヤCR2及びリングギヤR3から1速の減速回転として取り出される。
【0031】
Dレンジにおける正常時の2速段(2nd)では、シフトソレノイドバルブS1がOFF、かつシフトソレノイドバルブS2及びSRがONとなり、クラッチC−1,C−0,ブレーキB−2,ワンウェイクラッチF−1,F−0が作動する。これにより、入力軸24aの回転が、クラッチC−1及びワンウェイクラッチF−0の係合に基づくキャリヤCR1の回転により、リングギヤR1に伝達される。更に、ブレーキB−2及びワンウェイクラッチF−1の係合に基づきサンギヤS2が係止されることにより、速度線図からも明らかなように、リングギヤR2の回転が、キャリヤCR2から2速の減速回転として取り出される。
【0032】
Dレンジにおける正常時の3速段(3rd)では、シフトソレノイドバルブS1及びS2がON、かつシフトソレノイドバルブSRがOFFとなり、クラッチC−1,C−2,C−0及びワンウェイクラッチF−0が作動する。そして、クラッチC−1,C−2,C−0及びワンウェイクラッチF−0の係合に基づき、第1プラネタリギヤSP1と第2プラネタリギヤSP2とが直結状態となり、速度線図からも明らかなように、入力軸24aの回転が、リングギヤR2を介してキャリヤCR2から3速回転として取り出される。なお、該3速段にあっては、ブレーキB−2が、トルク伝達には寄与しない(変速段の達成に直接作用しない)係合を行う。
【0033】
Dレンジにおける正常時の4速段(4th)では、シフトソレノイドバルブS1がON、かつシフトソレノイドバルブS2,SRがOFFとなり、クラッチC−1,C−2及びブレーキB−0が作動する。これにより、入力軸24aの回転は、ブレーキB−0の係合に基づくキャリヤCR1の回転によりリングギヤR1に伝達され、クラッチC−1及びC−2の係合に基づきリングギヤR2及びキャリヤCR2が該リングギヤR1と一体的に回転する。このため、速度線図からも明らかなように、リングギヤR2の回転が、キャリヤCR2から4速の増速回転として取り出される。なお、該4速段にあっては、ブレーキB−2が、トルク伝達には寄与しない係合を行う。
【0034】
そして、2レンジにおける正常時の1速段及び3速段の作動状況は、D(ドライブ)レンジにおいて対応する上記変速段の作動状況と同じになる。また、2レンジ及びLレンジにおける正常時の2速段の作動状況は、ブレーキB−1がエンジンブレーキ時の係合を行うこと以外、Dレンジの2速段の作動状況と同じになる。更に、Lレンジにおける1速段の作動状況は、ブレーキB−3がエンジンブレーキ時の係合を行うこと以外、Dレンジの1速段の作動状況と同じになる。なお、該ブレーキB−3の係合は、Lレンジの1速段へのシフト時に、ローコーストモジュレータ(図示せず)バルブが機能することにより実現する。
【0035】
また、後進(Rev)にあっては、シフトソレノイドバルブS1がON、ソレノイドS2及びSRがOFFとなり、クラッチC−2,C−0,ブレーキB−3及びワンウェイクラッチF−0が作動する。これにより、入力軸24aの回転は、リングギヤR1からクラッチC−2を介してサンギヤS3に伝達される。このため、ブレーキB−3の係合によるキャリヤCR3の締結により、速度線図からも明らかなように、大幅に減速された逆回転としてリングギヤR3から取り出される。
【0036】
そして、パーキング(P)レンジにあっては、シフトソレノイドバルブS1がON、ソレノイドS2及びSRがOFFとなり、クラッチC−0は作動するが、他のクラッチ及びブレーキは作動せず、従って、入力軸24aの回転が出力軸24bから取り出されることはない。
【0037】
また、ニュートラル(N)レンジにあっては、シフトソレノイドバルブS1,S2,SRがいずれもOFFとなり、クラッチC−0は作動するが、他のクラッチ及びブレーキは作動せず、従って、入力軸24aの回転が出力軸24bから取り出されることはない。
【0038】
一方、Dレンジにおける3速段での走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合、ONしていたシフトソレノイドバルブS1及びS2がOFFされることに基づき、クラッチC−0及びワンウェイクラッチF−0が解放されると共に、クラッチC−1,C−2及びブレーキB−2がそれぞれ係合状態を継続し、かつブレーキB−0が新たに係合することにより、変速段は4速段に固定される。また、Dレンジにおける4速段での走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合には、ONしていたシフトソレノイドバルブS1がOFFされることに基づき、クラッチC−1,C−2,ブレーキB−2,B−0がそれぞれ係合状態を継続して、変速段は4速段に固定される。
【0039】
また、Dレンジにおける1速段での走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合には、ONしていたシフトソレノイドバルブSRがOFFされるが、クラッチC−1,C−0,ワンウェイクラッチF−2,F−0がそのままの係合状態を継続することにより、変速段は1速段に固定される。
【0040】
そして、Dレンジにおける2速段での走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合には、ONしていたシフトソレノイドバルブS2,SRがOFFされることに基づき、ブレーキB−2が解放され、かつワンウェイクラッチF−2が新たに係合すると共に、クラッチC−1,C−0及びワンウェイクラッチF−0がそれぞれ係合状態を継続することにより、変速段は1速段に固定される。
【0041】
また、2レンジにおける3速段での走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合には、ONしていたシフトソレノイドバルブS1,S2がOFFされて、クラッチC−1,C−2,C−0,ブレーキB−2,ワンウェイクラッチF−0がそのままの係合(但し、ブレーキB−2はトルク伝達には寄与しない)状態を継続することにより、変速段は3速段に固定される。
【0042】
そして、2レンジにおける1速段又は2速段での走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合には、ONしていたシフトソレノイドバルブSRがOFFされることに基づき1速段では係合していたクラッチ、ブレーキ及びワンウェイクラッチが全てそのままの係合状態を継続し、或いは、シフトソレノイドバルブSRがONすることに基づき2速段では係合していたブレーキB−1,B−2及びワンウェイクラッチF−1が解放され(但し、ブレーキB−1はエンジンブレーキ時の係合)かつワンウェイクラッチF−2が新たに係合することにより、変速段は1速段に固定される。
【0043】
また、Lレンジにおける1速段での走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合には、ONしていたシフトソレノイドバルブSRがOFFされて、クラッチC−1,C−0,ブレーキB−3,ワンウェイクラッチF−2,F−0がそのままの係合状態を継続することにより、変速段は1速段に固定される。
【0044】
そして、Lレンジにおける2速段での走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合には、ONしていたシフトソレノイドバルブS2及びSRがOFFされて、クラッチC−1,C−0,ワンウェイクラッチF−0がそのままの係合状態を継続し、ブレーキB−1,B−2及びワンウェイクラッチF−1がそれぞれ解放され、かつワンウェイクラッチF−2が新たに係合することにより、変速段は1速段に固定される。
【0045】
以上のような自動変速機18を上記作動表のように作動させ得る油圧制御装置の一例を図1に示す。即ち、本油圧制御装置1は、図1に示すように、1−2シフトバルブ2と、頭部にプランジャ装置5が連結された2−3シフトバルブ3と、3−4シフトバルブ6と、切換えバルブ7と、ON/OFF作動にて2−3シフトバルブ3に油圧を出力するためのシフトソレノイドバルブS1と、ON/OFF作動にて1−2シフトバルブ2及び3−4シフトバルブ6にそれぞれ油圧を出力するためのシフトソレノイドバルブS2と、ON/OFF作動にて切換えバルブ7に油圧を出力するためのシフトソレノイドバルブSRと、を有している。
【0046】
なお、本油圧制御装置1においては、変速マップ(図示せず)、スロットル開度、走行速度等の関係に基づき、シフトソレノイドバルブS1,S2,SR等の作動が適時制御される。また、プランジャ装置5、切換えバルブ7及びシフトソレノイドバルブSRによりフェールセーフ手段が構成されており、これら簡単な要素からなるフェールセーフ手段を付加するだけで、従前から存在する他のシフトバルブ等を活用しつつ、本油圧制御装置1がコンパクトに構成されている。
【0047】
上記1−2シフトバルブ2は、図1の上下方向に移動するスプール2aと、該スプール2aを上方に向けて付勢するスプリング2bと、油圧ポンプ(不図示)等にて生成されるライン圧PLに基づく制御圧Bが供給されるポートbと、D(ドライブ)レンジ圧が供給されるポートeと、L(ロー)レンジ圧が供給されるポートrと、スプール2aの左半位置にて係合圧Cを出力するポートfと、該左半位置にて係合圧Eを出力するポートsと、後述の係合圧Fが切換え圧として供給されるポートqと、を有している。ポートf,s,qは、油路20,21,22を介して油圧サーボ14,15、及び切換えバルブ7のポートmにそれぞれ連通している。また、ポートb,e,rには、油路16,17,19を介してライン圧PLに基づく制御圧B,Dレンジ圧,Lレンジ圧がそれぞれ供給される。
【0048】
なお、本実施の形態において、オイルポンプ(図示せず)等の油圧発生源からの油圧をプライマリレギュレータバルブ(図示せず)などで調圧した圧が「ライン圧」であり、図示されないシフトレバーやスイッチなどのシフト操作部材の操作にて切換えられるマニュアルバルブに該ライン圧を入力してレンジ毎に発生させた圧が「レンジ圧」である
【0049】
また、上記ポートe、後述するポートj、及び油圧サーボ11にそれぞれ油路17,23,28を介して供給される各Dレンジ圧は、2レンジでは2レンジ圧として、LレンジではLレンジ圧として供給されるものである。シフトソレノイドバルブS1,SRへの各Dレンジ圧は、2レンジでは2レンジ圧として供給されるものである。そして、上記ポートr及びポートuに油路19,29を介してそれぞれ供給されるLレンジ圧は、Lレンジにおいてのみ供給されるものであり、後述のポートtに油路30を介して供給される2レンジ圧は、2レンジにおいてのみ供給されるものである。
【0050】
また、2−3シフトバルブ3は、図1の上下方向に移動するスプール3aと、該スプール3aを上方に向けて付勢するスプリング3bと、Dレンジ圧に基づく制御圧Aが供給されるポートaと、Dレンジ圧が供給されるポートjと、2レンジ圧が供給されるポートtと、スプール3aの左半位置にて切換え圧Gを出力するポートlと、該左半位置にて上記係合圧Fを出力するポートkと、Lレンジ圧が供給されるポートuと、を有している。ポートa,l,kは、油路31,32,21を介してシフトソレノイドバルブS1の出力、3−4シフトバルブ6のポートn、及び油圧サーボ12にそれぞれ連通している。ポートj,tには、上記油路23,30を介してDレンジ圧,2レンジ圧がそれぞれ供給される。
【0051】
更に、2−3シフトバルブ3の頭部に連結されたプランジャ装置5は、切換えバルブ7から出力されるロック圧Lが油路33を介して供給されるポートpと、シリンダ内を進退可能なピストン5bと、該ピストン5bを図の上方に付勢するスプリング5aと、を有している。
【0052】
3−4シフトバルブ6は、図1の上下方向に移動するスプール6aと、該スプール6aを上方に向けて付勢するスプリング6bと、ライン圧PLに基づく制御圧Bが供給されるポートcと、ライン圧PLが供給されるポートgと、2−3シフトバルブ3のポートlから出力される切換え圧Gが供給されるポートnと、スプール6aの右半位置にて係合圧Hを出力するポートhと、スプール6aの左半位置にて係合圧Iを出力するポートoと、を有している。ポートc,gには、油路35,39を介して制御圧B,ライン圧PLがそれぞれ供給される。また、ポートh,o,nは、油路36,37,32を介して油圧サーボ10,13、及び2−3シフトバルブ3のポートlにそれぞれ連通している。
【0053】
切換えバルブ7は、図1の上下方向に移動するスプール7aと、該スプール7aを上方に向けて付勢するスプリング7bと、ソレノイドSRのOFF時にDレンジ圧に基づく制御圧Jが油路40を介して供給されるポートdと、2−3シフトバルブ3のポートkから出力される上記係合圧Fが油路22を介して供給されるポートmと、スプール7aの右半位置において該係合圧Fに基づく上記ロック圧Lを油路33を介して出力するポートiと、を有している。
【0054】
そして、シフトソレノイドバルブS1は、フェールが発生しない正常時において、2速段以下の変速段へのシフト時にはOFFとなり、3速段以上の変速段へのシフト時にはONとなる。該シフトソレノイドバルブS1は、OFF(非通電)状態にあっては、供給されるDレンジ圧に基づく油圧を出力せず、またON(通電)状態にあっては、該Dレンジ圧に基づく制御圧Aを2−3シフトバルブ3のポートaに供給するように構成されている。
【0055】
また、シフトソレノイドバルブS2は、フェールが発生しない正常時において、1速段と4速段へのシフト時にはOFFとなり、2速段と3速段へのシフト時にはONとなる。該ソレノイドバルブS2は、ON状態にあっては、上述の制御圧Bを出力せず、OFF状態にあっては、ライン圧PLに基づく制御圧Bを出力する。該制御圧Bは、1−2シフトバルブ2のポートbに供給されると、スプール2aを図中下方に移動させて右半位置に切換え、また3−4シフトバルブ6のポートcに供給されると、スプール6aを図中下方に移動させて左半位置に切換える。
【0056】
更に、シフトソレノイドバルブSRは、フェールが発生しない正常時において、2速段以下の変速段へのシフト時にはONとなり、3速段以上の変速段へのシフト時にはOFFとなる。該ソレノイドバルブSRは、OFF状態にあっては、Dレンジ圧に基づく制御圧Jを出力し、ON状態にあっては、該制御圧Jを出力しない。
【0057】
切換えバルブ7は、上記制御圧Jがポートdに供給されると、スプール7aが図中下方に移動して左半位置となり、ポートmに供給される係合圧Fに基づくロック圧Lを、ポートiから2−3シフトバルブ3に向けて出力、即ち2−3シフトバルブ3に連結されたプランジャ装置5のポートpに供給する。なお、シフトソレノイドバルブSRは、後述する条件を満たすように動作するのであれば、切換えバルブ7と兼用されても良いことは勿論である。
【0058】
上記ソレノイドS1,S2,SRは、本油圧制御装置1用の図示しない制御装置(ECU)によってON/OFF制御されるものであり、配線の断線やショート等によるソレノイド・オールオフフェールの発生時には、全てOFFとなる。
【0059】
なお、図1に示した本油圧制御装置1は、概略的に記載すると図2に示すようになり、同図において、対応する構成要素には図1と同じ符号を付し、また図1に示したクラッチC−0,ブレーキB−3は図示を省略している。
【0060】
上記構成を有する油圧制御装置1は、以下のように作動する。即ち、本自動変速機18の油圧制御装置1が搭載される車輌にて、ドライバがシフトレバーを操作すると、該操作に連動してマニュアルバルブ(図示せず)が作動すると共に、制御装置(図示せず)からソレノイドS1,S2,SRに適時指令が送信される。
【0061】
例えば、Dレンジの1速段に切換える場合、油圧サーボ11にDレンジ圧が供給されてクラッチC−1が係合し、シフトソレノイドバルブS1がOFFされて、2−3シフトバルブ3への制御圧Aの供給が停止される。また、シフトソレノイドバルブS2がOFFされることにより、制御圧Bが、1−2シフトバルブ2のポートb及び3−4シフトバルブ6のポートcにそれぞれ供給される。更に、シフトソレノイドバルブSRがONされて、切換えバルブ7のポートdへの制御圧Jの供給が停止される。従って、1−2シフトバルブ2、2−3シフトバルブ3及び切換えバルブ7は図1の右半位置となる。そして、3−4シフトバルブ6は、ポートnに供給される後述の切換え圧Gの作用により、制御圧Bの供給に拘らず右半位置となる。
【0062】
これにより、2−3シフトバルブ3は、ポートjに供給されるDレンジ圧をポートlから切換え圧Gとして出力し、3−4シフトバルブ6のポートnに供給する。更に、3−4シフトバルブ6は、ポートgから供給されるライン圧PLをポートhから係合圧Hとして出力し、油圧サーボ10に供給してクラッチC−0を係合させる。これらによりワンウェイクラッチF−1,F−0がそれぞれ係合状態となり、変速段は、図4の作動表に示されるように1速段となる。
【0063】
また、Dレンジの2速段に切換える場合、油圧サーボ11にDレンジ圧が供給されてクラッチC−1が係合し、シフトソレノイドバルブS1がOFFされて、2−3シフトバルブ3への制御圧Aの供給が停止される。また、シフトソレノイドバルブS2がONされることにより、制御圧Bは、1−2シフトバルブ2及び3−4シフトバルブ6のいずれにも供給されない。更に、シフトソレノイドバルブSRがONされて、切換えバルブ7への制御圧Jの供給が停止される。従って、1−2シフトバルブ2は図1の左半位置となり、また2−3シフトバルブ3、3−4シフトバルブ6及び切換えバルブ7がそれぞれ図1の右半位置となる。
【0064】
これにより、1−2シフトバルブ2は、ポートeに供給されるDレンジ圧をポートfから油圧サーボ14に供給して、ブレーキB−2を係合させる。また、2−3シフトバルブ3は、ポートjに供給されるDレンジ圧をポートlから3−4シフトバルブ6のポートnに切換え圧Gとして供給する。更に、3−4シフトバルブ6は、ポートcに制御圧Bが供給されず、かつポートnに上記切換え圧Gが供給されており、ポートgに供給されるライン圧PLをポートhから油圧サーボ10に供給して、クラッチC−0を係合させる。これらによりワンウェイクラッチF−1及びF−0が係合状態となり、変速段は、図4の作動表に示されるように2速段となる。
【0065】
更に、Dレンジの3速段に切換える場合には、油圧サーボ11にDレンジ圧が供給されてクラッチC−1が係合し、シフトソレノイドバルブS1がONされて、2−3シフトバルブ3に制御圧Aが供給され、シフトソレノイドバルブS2がONされて、1−2シフトバルブ2への制御圧Bの供給が停止される。また、シフトソレノイドバルブSRがOFFされて、切換えバルブ7に制御圧Jが供給される。従って、1−2シフトバルブ2、2−3シフトバルブ3及び切換えバルブ7はいずれも図1の左半位置となり、3−4シフトバルブ6は右半位置となる。
【0066】
これにより、1−2シフトバルブ2は、ポートeに供給されるDレンジ圧をポートfから油圧サーボ14に供給して、ブレーキB−2を係合させる。また、2−3シフトバルブ3は、ポートjに供給されるDレンジ圧をポートkから油圧サーボ12に係合圧Fとして供給して、クラッチC−2を係合させる。更に、3−4シフトバルブ6は、ポートgに供給されるライン圧PLをポートhから油圧サーボ10に供給して、クラッチC−0を係合させる。また、切換えバルブ7はポートmに供給される係合圧Fをロック圧Lとしてプランジャ装置5のポートpに出力するが、該プランジャ装置5のピストン5bによる押下に拘らず、2−3シフトバルブ3は制御圧Aの供給により左半位置になっている。これらによりワンウェイクラッチF−0が係合状態となり、変速段は、図4の作動表に示されるように3速段となる。
【0067】
そして、Dレンジにおける4速段に切換える場合には、油圧サーボ11にDレンジ圧が供給されてクラッチC−1が係合し、シフトソレノイドバルブS1がONされて、2−3シフトバルブ3に制御圧Aが供給され、シフトソレノイドバルブS2がOFFされて、制御圧Bが1−2シフトバルブ2及び3−4シフトバルブ6の双方に供給される。この際、2−3シフトバルブ3には制御圧Aが供給されて、Dレンジ圧に基づく係合圧Fがポートkから出力されている。従って、該係合圧Fをポートqに供給される1−2シフトバルブ2では、スプリング2bと該係合圧Fとを合わせた力が上記制御圧Aに打ち勝つことで、スプール2aの下降が阻止されている。また、シフトソレノイドバルブSRがOFFされて、切換えバルブ7に制御圧Jが供給されている。従って、1−2シフトバルブ2、2−3シフトバルブ3、3−4シフトバルブ6、及び切換えバルブ7はいずれも左半位置となる。
【0068】
これにより、1−2シフトバルブ2は、ポートeに供給されるDレンジ圧をポートfから油圧サーボ14に供給して、ブレーキB−2を係合させる。また、2−3シフトバルブ3は、ポートjに供給されるDレンジ圧をポートkから油圧サーボ12に係合圧Fとして供給して、クラッチC−2を係合させる。更に、3−4シフトバルブ6は、ポートgに供給されるライン圧PLをポートoから油圧サーボ13に係合圧Iとして供給して、ブレーキB−0を係合させる。これらにより、変速段は、図4の作動表に示されるように4速段となる。
【0069】
また、2レンジにおける1速段及び3速段の作動状況は、Dレンジにて対応する上記変速段の作動状況と同じになる。また、2レンジ及びLレンジにおける2速段の各作動状況は、ブレーキB−1が変速段の達成に寄与しない係合を行うこと以外は、Dレンジにおける2速段の作動状況と同じになる。更に、Lレンジにおける1速段の作動状況は、ブレーキB−3がエンジンブレーキ時の係合を行うこと以外は、Dレンジにおける1速段の作動状況と同じになる。
【0070】
また、上記のようにクラッチ、ブレーキ及びワンウェイクラッチが適時係合することにより、自動変速機18による所要の変速動作が行われるが、前進時に安定走行状態となると、ロックアップ・クラッチ26(図3参照)が係合して、エンジン出力軸と入力軸24aとが直結状態となる。
【0071】
つづいて、走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合について説明する。例えば、Dレンジでの3速段又は4速段で走行している際にソレノイド・オールオフフェールが発生すると、図4の作動表に示すように、シフトソレノイドバルブS1,S2,SRがいずれもOFFとなる。この場合、油圧サーボ11へのDレンジ圧の供給は継続されて、クラッチC−1の係合状態はそのまま維持される。
【0072】
また、ONされていたシフトソレノイドバルブS1がOFFとなって制御圧Aの供給が停止するが、2−3シフトバルブ3では、3速段又は4速段への切換えのためポートjに供給されているDレンジ圧に基づく係合圧Fを油圧サーボ12に供給する際、同時に切換えバルブ7のポートmにも供給し続けている。この状態で、シフトソレノイドバルブSRがOFFのままであるので、切換えバルブ7では、スプール7aが下降したままでありポートmが開放する。これにより、該バルブ7は、上記係合圧Fを該ポートmからポートiを経由して、プランジャ装置5のポートpにロック圧Lとして供給する。このため、プランジャ装置5のピストン5bが下降して、2−3シフトバルブ3のスプール3aを押下して左半位置にそのまま保持するので、係合圧Fの供給は継続され、従ってクラッチC−2の係合状態はそのまま維持される。
【0073】
更に、ONされていたシフトソレノイドバルブS2がOFFとなって、制御圧Bが1−2シフトバルブ2及び3−4シフトバルブ6にそれぞれ供給される。これにより、1−2シフトバルブ2は、右半位置となって、ポートeに供給されるDレンジ圧に基づく係合圧Cをポートfから油圧サーボ14に供給して、ブレーキB−2を係合させる。また、3−4シフトバルブ6は、左半位置となって、ポートgに供給されるライン圧PLをポートoから油圧サーボ13に係合圧Iとして供給し、ブレーキB−0を係合させる。これらにより、変速段は、図4の作動表に示されるように、4速段に固定される。
【0074】
そして、上記状態で走行を継続した後、所望の場所で停車してシフトレバーを操作すると、上記油圧制御装置1は次のように機能する。即ち、上記4速段に固定された状態で走行して停車した後、DレンジにあるシフトレバーをNレンジ又はPレンジに操作すると、2−3シフトバルブ3等に供給されていたDレンジ圧が遮断されるので、左半位置にあった2−3シフトバルブ3及び切換えバルブ7が、それぞれスプール3a,7aの復帰にて右半位置となる。
【0075】
そして、シフトレバーをDレンジに操作して車輌を再発進させる際、シフトソレノイドバルブS1,S2,SRは全てOFFとなっている。このため、2−3シフトバルブ3では、プランジャ装置5へのロック圧Lの供給が無く、かつスプリング3bの付勢力に準じてスプール3aが上昇した右半位置にてポートjにDレンジ圧が供給されることにより、ポートlから切換え圧Gが出力されて3−4シフトバルブ6のポートnに供給され、スプール6aを押し上げるように作用する。この際、シフトソレノイドバルブS2がOFFされていることにより、3−4シフトバルブ6ではポートcに制御圧Bが供給されるが、上記切換え圧Gとスプリング6bとを合わせた力が制御圧Bに打ち勝ってスプール6aを上昇させる。これにより、3−4シフトバルブ6は、右半位置に維持されて、ポートgに供給されるライン圧PLに基づく係合圧Hをポートhから出力して油圧サーボ10に供給し、クラッチC−0を係合させる。
【0076】
また、シフトソレノイドバルブS2がOFFされていることにより、1−2シフトバルブ2は、ポートbに制御圧Bが供給されて右半位置となる。更に、シフトソレノイドバルブSRがOFFされていることにより、切換えバルブ7のポートdに制御圧Jが供給されて切換えバルブ7が左半位置となるが、この時点でポートmに係合圧Fが供給されることはないので、ロック圧Lは出力されない。
【0077】
従って、シフトレバーのDレンジへの操作時には、油圧サーボ11に通常走行時と同様のDレンジ圧が供給されてクラッチC−1が係合すると共に、上述のようにクラッチC−0が係合した状態となる。これにより、図4の作動表から明らかなように、ワンウェイクラッチF−2及びF−0の係合を伴った1速段による発進が実現する。
【0078】
一方、Dレンジでの通常時の1速段若しくは2速段の走行中、ソレノイド・オールオフフェールが発生した場合には、上述と同様、油圧サーボ11へのDレンジ圧の供給が継続されて、クラッチC−1の係合が維持される。また、1速段又は2速段にてOFFされていたシフトソレノイドバルブS1がそのままOFF状態を継続するので、制御圧Aが出力されることはなく、従って2−3シフトバルブ3は右半位置に維持される。
【0079】
これにより、ポートjに供給されるDレンジ圧が切換え圧Gとしてポートlから3−4シフトバルブ6のポートnに供給される。これにより、該3−4シフトバルブ6では、シフトソレノイドバルブS2のOFF状態に基づいて出力される制御圧Bのポートcへの供給にて下降しようとするスプール6aが、スプリング6bと切換え圧Gとを合わせた力によって上昇位置に保持される。これにより、3−4シフトバルブ6は、右半位置に保持されたまま、ポートgに供給されるライン圧PLを、係合圧Hとしてポートhから油圧サーボ10に供給し、クラッチC−0の係合状態を維持する。
【0080】
また、1−2シフトバルブ2では、シフトソレノイドバルブS2がOFFされることにより制御圧Bが出力されて、スプール2aが下降して右半位置となるので、ポートeに供給されるDレンジ圧が遮断され、従って係合圧Cは出力されない。更に、切換えバルブ7では、シフトソレノイドバルブSRがOFFされることにより、制御圧Jがポートdに供給されて左半位置となるが、この時点でポートmに係合圧Fは供給されていないため、上記ロック圧Lが出力されることはない。これらにより、変速段は、図4の作動表に示されるように、1速段に固定される。
【0081】
以上のように、通常時のDレンジの1速段若しくは2速段での走行中、ソレノイド・オールオフフェールが発生した場合、変速段は1速段に固定されるため、前述と同様、停車後の発進は、固定された1速段にて行われることは言うまでもない。
【0082】
つづいて、2レンジでの3速段走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合について説明する。この場合、油圧サーボ11には2レンジ圧の供給が継続されて、クラッチC−1の係合がそのまま保持される。また、3速段にてシフトソレノイドバルブS1,S2がそれぞれON、かつシフトソレノイドバルブSRがOFFされていたことにより、図1の左半位置にあった1−2シフトバルブ2、2−3シフトバルブ3及び切換えバルブ7と、右半位置にあった3−4シフトバルブ6とに基づいて係合していたクラッチC−1,C−2,C−0,ブレーキB−2,及びワンウェイクラッチF−0は、以下のようにそのままの状態が保持される。
【0083】
即ち、左半位置にあった1−2シフトバルブ2、2−3シフトバルブ3及び切換えバルブ7、並びに、右半位置にあった3−4シフトバルブ6は、シフトソレノイドバルブS1,S2がONからOFFとなり、かつシフトソレノイドバルブSRがOFF状態を維持することにより、次のようになる。つまり、油圧サーボ11への2レンジ圧の供給が継続されてクラッチC−1の係合状態が維持されると共に、2−3シフトバルブ3のポートkから出力される係合圧Fが切換えバルブ7のポートmに供給され続ける。このように、該係合圧Fをポートmに受け続ける切換えバルブ7がその左半位置を維持するので、切換えバルブ7のポートiからロック圧Lが出力され続ける。従って、プランジャ装置5がそのピストン5bにて、制御圧Aの遮断により上昇しようとするスプール3aをその位置に押しつけて保持する。このため、2−3シフトバルブ3が左半位置を維持し、ポートkからの係合圧Fをその後も出力し続けるので、クラッチC−2は係合状態を継続する。
【0084】
また、シフトソレノイドバルブS2のOFFにより、ON状態では出力されていなかった制御圧Bが出力されることになるが、2−3シフトバルブ3からの係合圧Fが1−2シフトバルブ2のポートqに供給され続けるので、ポートbに供給され始めた制御圧Bに、スプリング2bの付勢力と係合圧Fとを合わせた力が打ち勝って、スプール2aは左半位置に保持される。これにより、ポートeから供給される2レンジ圧に基づく係合圧Cが油圧サーボ14に供給され続け、従ってブレーキB−2の係合状態が継続される。
【0085】
更に、3−4シフトバルブ6では、シフトソレノイドバルブS2がONからOFFとなることによりポートcに制御圧Bが供給されるが、この際、2−3シフトバルブ3のポートtに供給される2レンジ圧が、ポートlから3−4シフトバルブ6のポートnに切換え圧Gとして供給されている。これにより、切換え圧Gとスプリング6bとを合わせた力が制御圧Bに打ち勝つことにより、スプール6aが右半位置に維持される。このため、ポートgから供給されるライン圧PLに基づく係合圧Hがポートhから油圧サーボ10に供給されて、クラッチC−0がその係合状態を継続する。これらにより、ワンウェイクラッチF−0が係合し、変速段は、図4の作動表に示されるように、3速段に固定される。
【0086】
そして、上記状態で走行を継続した後、所望の場所で停車してシフトレバーを操作すると、上記油圧制御装置1は次のように機能する。即ち、上記3速段に固定された状態で走行して停車した後、2レンジにあるシフトレバーをNレンジ又はPレンジにシフトさせると、2−3シフトバルブ3等に供給されていた2レンジ圧が遮断されるので、左半位置にあった1−2シフトバルブ2はそのままの状態を維持し、左半位置にあった2−3シフトバルブ3及び切換えバルブ7はスプール3a,7aの復帰により右半位置となり、右半位置にあった3−4シフトバルブ6はそのままの状態を維持する。
【0087】
従って、車輌の再発進時には、前述したDレンジと同様に、油圧サーボ11には通常走行時と同様に2レンジ圧が供給されてクラッチC−1が係合すると共に、クラッチC−0が係合した状態となり、図4の作動表から明らかなように、ワンウェイクラッチF−2及びF−0の係合を伴って、1速段による発進となる。
【0088】
ついで、2レンジでの通常時の1速段走行中、又は、該2レンジでの走行中のフェール発生で3速段に固定された後に1速段発進した後の1速段走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合について説明する。この場合にも、上述と同様、油圧サーボ11への2レンジ圧の供給が継続されて、クラッチC−1の係合状態が維持される。また、1速段にてシフトソレノイドバルブS1及びS2がOFFされ、かつシフトソレノイドバルブSRがONされていたことにより、図1の右半位置にあった1−2シフトバルブ2、2−3シフトバルブ3、3−4シフトバルブ6及び切換えバルブ7に基づき係合していたクラッチC−0及びワンウェイクラッチF−2,F−0、並びに2レンジ圧の供給にて係合していたクラッチC−1は、以下のようになる。
【0089】
つまり、油圧サーボ11への2レンジ圧の供給が継続されてクラッチC−1の係合状態が維持される。また、2−3シフトバルブ3では、ポートtに供給される2レンジ圧に基づきポートlから出力される切換え圧Gが3−4シフトバルブ6のポートnに供給されることにより、該3−4シフトバルブ6は右半位置にある。このため、ポートgに供給されるライン圧PLがポートhから係合圧Hとして油圧サーボ10に供給され、これによりクラッチC−0の係合状態が維持される。更に、1−2シフトバルブ2では、シフトソレノイドバルブS2のOFFにより、制御圧Bがポートbに供給されて右半位置を維持するので、ポートeへの2レンジ圧は遮断されたままの状態となる。これらにより、ワンウェイクラッチF−2,F−0の係合を伴って、変速段は、図4の作動表に示されるように、1速段に固定される。
【0090】
ついで、2レンジでの2速段走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合について説明する。この場合にも、上述と同様、油圧サーボ11への2レンジ圧の供給が継続されて、クラッチC−1の係合状態が維持される。また、2速段にてシフトソレノイドバルブS1がOFFされ、かつシフトソレノイドバルブS2及びSRがONされていたことにより、図1の左半位置にあった1−2シフトバルブ2と、右半位置にあった2−3シフトバルブ3、3−4シフトバルブ6及び切換えバルブ7とに基づいて係合していたクラッチC−1,C−0,ブレーキB−1,B−2,及びワンウェイクラッチF−1,F−0は、以下のようになる。
【0091】
つまり、油圧サーボ11への2レンジ圧の供給が継続されて、クラッチC−0の係合状態が維持される。また、2−3シフトバルブ3では、ポートtに供給される2レンジ圧に基づきポートlから出力される切換え圧Gが3−4シフトバルブ6のポートnに供給されることにより、該3−4シフトバルブ6が右半位置にある。このため、ポートgに供給されるライン圧PLがポートhから係合圧Hとして油圧サーボ10に供給され、これによりクラッチC−0の係合状態が維持される。
【0092】
更に、1−2シフトバルブ2では、シフトソレノイドバルブS2がONからOFFとなることにより、供給されていなかった制御圧Bがポートbに供給されて右半位置となるので、ポートeからの2レンジ圧が遮断され、従ってブレーキB−2が係合することはない。この際、図示しないブレーキB−1用の油圧サーボへの油圧供給も遮断されるので、ブレーキB−1も係合することはない。これらにより、ワンウェイクラッチF−2,F−0の係合を伴って、変速段は、図4の作動表に示されるように、1速段に固定される。
【0093】
このように、通常時の2レンジの1速段若しくは2速段での走行中、又は、該2レンジでの走行中のフェール発生で1速段固定されて走行した後に停止した後発進した1速段走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合、変速段は1速段に固定されるため、前述と同様、停車後の発進が、該1速段にて円滑に行われることは勿論である。
【0094】
更に、Lレンジでの1速段又は2速段走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合には、上記2レンジにおける1速段又は2速段走行中でのソレノイド・オールオフフェール発生時と同様の切換えが行われることにより、変速段は、図4の作動表に示されるように、1速段に固定される。なお、正常時のLレンジにおける1速段の達成時、1−2シフトバルブ2では、Lレンジ圧がポートrに供給され、該Lレンジ圧が係合圧Eとしてポートsから油圧サーボ15に出力されることにより、ブレーキB−3がエンジンブレーキ時の係合を達成する。該ブレーキB−3の係合は、ソレノイド・オールオフフェール時の停車後の発進時にも、同様に達成される。
【0095】
このようにLレンジで1速段又は2速段の走行中に1速段に固定された後、前述と同様に一旦停止した後の発進は、固定された1速段にて行われることは勿論である。
【0096】
なお、本実施の形態では、フェール発生時にシフトレバーをNレンジに一旦操作することにより1速段にシフトすることができるが、例えば4速段固定による走行後にシフトレバーをLレンジに操作することによって、図1に示す2−3シフトバルブ3のポートuへのLレンジ圧を作用させれば、上記Nレンジにシフトした後の発進時と同様、変速段を1速段にシフトすることが可能になる。
【0097】
本実施の形態では、Dレンジ圧、2レンジ圧及びLレンジ圧をロック圧Lの元圧として用いたので、ソレノイド・オールオフフェール発生後、再発進する際には、エンジン駆動まで停止させる必要はなく、シフトレバーをDレンジ(又は2レンジ圧、Lレンジ圧)からNレンジ又はPレンジに移動させてDレンジ圧(又は2レンジ圧、Lレンジ圧)を一旦解除するだけで、1速段又は2速段へのシフトを実現することができる。これに対し、例えば、ライン圧PLをロック圧Lの元圧として用いるように構成すれば、ソレノイド・オールオフフェール発生後、再発進する際には、エンジンを一旦停止した後に再駆動した時点で発生するライン圧PLに基づき、発進時の低速段へのシフトを実現することができる。
【0098】
ところで、シフトバルブを用いて変速を行うタイプの従来の自動変速機の油圧制御装置では、ソレノイド・オールオフフェール時に、全てのシフトバルブが所定位置に保持されて所定の1つの変速段が達成されてしまう。従って、4速段等の比較的高速段による走行中であれば、該変速段に固定されることになり、車輌が一旦停止した後に再発進する場合、そのままでは発進することができないという不都合を招く。そのため、P,R,N,Dレンジ等を有するノーマルレンジと、シフトレバーをDレンジ位置で横方向に揺動させた状態でシフトを選択し得るようにしたマニュアルレンジとを備えるような車輌では、該マニュアルレンジでシフトレバーを操作してマニュアルレンジ圧を発生させ得るようにしたものもある。これにあっては、該レンジ圧をその対応するシフトバルブに供給することで低速段に切換え、発進状態が確保できるように対処している。
【0099】
しかし近年では、シーケンシャルレバー等のように、上記マニュアルレンジを有さないシフトレバーを備えた車輌も出現しているため、このような車輌にあっては、該従来の油圧制御装置を適用した場合、ソレノイド・オールオフフェール発生後の発進において低速段を選択することができない。また、多段化の自動変速機やギヤ比幅が広い自動変速機にてソレノイド・オールオフフェールが発生した場合には、該自動変速機を搭載した車輌のフェール発生時の走行安全性の確保に加えて、フェール発生後の発進時に有効となるような変速段を得ることは困難である。つまり、これらの場合、フェール発生後に停止可能な場所までの走行は継続できるものの、車輌停止後の良好な発進性能を確保することが困難であるという問題がある。
【0100】
本実施の形態の自動変速機18の油圧制御装置1によれば、上記問題を解消することができる。すなわち、本油圧制御装置1によると、該装置1を搭載した車輌にて、Dレンジ走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合、3速段又は4速段にあっては4速段に固定して比較的高速の走行を継続し、また1速段又は2速段にあっては1速段に固定して比較的低速の走行を継続することができる。更に、2レンジ走行中に上記フェールが発生した場合、3速段にあっては3速段に固定して比較的高速の走行を継続し、1速段又は2速段にあっては1速段に固定して比較的低速の走行を継続することができる。また、Lレンジ走行中に上記フェールが発生した場合、1速段及び2速段のいずれにおいても1速段に固定して比較的低速の走行を継続することができる。そして、Dレンジでのフェール発生後の発進時、2レンジでのフェール発生後の発進時、Lレンジでのフェール発生後の発進時のいずれにおいても、1速段にて容易にかつ確実に発進することができる。
【0101】
つまり、本油圧制御装置1では、例えば3速段又は4速段(比較的高速段)での走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合、油圧制御装置1のフェールセーフ手段(5,7,SR)が、対応する2−3シフトバルブ3にロック圧Lを出力するように機能することで、3速段又は4速段を維持しつつ車輌の高速走行を継続することができる。更に、車輌の停止によりロック圧Lが遮断された時点で、フェールセーフ手段(5,7,SR)が変速段を1速段にシフト、つまり比較的高速段から比較的低速段へシフトさせるので、シーケンシャルレバー等のようにマニュアルレンジを有さないシフトレバーを備えた車輌等においても、車輌の停止にてロック圧Lが遮断された時点で比較的低速段に容易にシフトでき、車輌停止後の円滑な発進性能を確保することができる。そして、フェールセーフ手段(5,7,SR)が、上記ロック圧Lの遮断にてシフトした1速段にあって上記フェールが発生した場合には、該1速段を維持するように機能するので、発進後の車輌が再度停止した後にも、円滑な発進性能を確保することができる。
【0102】
また、例えば1速段又は2速段(比較的低速段)での走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合、油圧制御装置1のフェールセーフ手段(5,7,SR)が、対応する2−3シフトバルブ3にロック圧Lを出力しないように機能することで、1速段を維持しつつ車輌の低速走行を継続することができる。つまり、本油圧制御装置1では、ソレノイド・オールオフフェールの発生時、フェールセーフ手段(5,7,SR)の機能により、車輌がフェール発生時と略々同じ比較的高速段又は比較的低速段を維持しつつ走行を継続できるので、フェール発生後の円滑な走行を維持すると共に、走行時の安全性を確保できる。
【0103】
また、比較的高速段への切換え状態にあって上記フェールが発生した場合、比較的高速段への切換えに寄与している2−3シフトバルブ(所定シフトバルブ)3の切換え位置(左半位置)をロック圧Lの作用で保持するので、2−3シフトバルブ3のOFFに伴って比較的低速段側にシフトしようとする該バルブ3の動作を阻止するだけの簡単な構成により、フェール発生時に比較的高速段を継続しながらの高速走行を容易に実現することができる。
【0104】
また、比較的低速段への切換え状態にあって上記フェールが発生した場合、比較的高速段における所定シフトバルブのバルブ位置を保持するためのロック圧Lが出力されないので、2−3シフトバルブ3のバルブ位置を比較的低速段側(右半位置)に保持することができる。従って、比較的簡単な構成により、フェール発生時の比較的低速段を継続しながらの低速走行を容易に実現することができる。
【0105】
更に、ロック圧発生用の特別な油圧回路を別途設けることなく、フェール発生時には、比較的高速段へのシフトに伴って2−3シフトバルブ3から出力され続ける係合圧Fに基づいてロック圧Lを出力する構成を実現することができる。従って、ソレノイド・オールオフフェールに確実に対処し得る油圧制御装置1を、極めて簡素な構成で実現でき、これに伴い、装置のより一層のコンパクト化が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る油圧制御装置の一例を示す回路図。
【図2】本油圧制御装置の概略構成を示す図。
【図3】本油圧制御装置を適用し得る自動変速機におけるギヤトレインのスケルトン図。
【図4】図3に示すギヤトレインの作動表。
【図5】図3に示すギヤトレインに対応する速度線図。
【符号の説明】
1 油圧制御装置
2 シフトバルブ(1−2シフトバルブ)
3 所定シフトバルブ(2−3シフトバルブ)
3a スプール
5 フェールセーフ手段(プランジャ装置)
6 シフトバルブ(3−4シフトバルブ)
7 フェールセーフ手段(切換えバルブ)
18 自動変速機
A,B,J 制御圧
C,E,F,H,I 係合圧
L ロック圧
B−1,B−2,B−3,B−0, 摩擦係合要素(ブレーキ)
C−1,C−2,C−0 摩擦係合要素(クラッチ)
F−1,F−2,F−0 摩擦係合要素(ワンウェイクラッチ)
S1,S2 シフトソレノイドバルブ
SR フェールセーフ手段(シフトソレノイドバルブ)
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機の油圧制御装置に係り、詳しくは、走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合、その後の円滑な走行を確保し、かつ一旦停止した後の発進性能を確保し得る自動変速機の油圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シフトソレノイドバルブを用いて複数のシフトバルブを選択的に切換えることにより、シフトレバーの操作に応じて変速段を適時切換えるように構成した自動変速機の油圧制御装置(以下、単に「油圧制御装置」とも言う)が知られている。このような油圧制御装置においては、例えば高速段での走行中に、断線やショート等でシフトソレノイドバルブが非通電状態となって作動し得ないフェール(ソレノイド・オールオフフェール)が発生した場合に、安全性の確保のため高速段を維持するように構成したものが提案されている。該油圧制御装置にあっては、フェール発生後は高速段を維持するため、車輌が一旦停止した際には、発進加速性能が確保できなくなる状態を招来する。そのため、高速段におけるフェール発生時においても、安全性を確保しつつ車輌停止後の発進を可能とするような所定の変速段に切換えることが考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば多段化の自動変速機やギヤ比幅が広い自動変速機においては、該自動変速機を搭載した車輌でのソレノイド・オールオフフェール発生後に、上述した所定の変速段のような、安全性の確保並びに車輌停止後の発進性能の確保をともに満たし得る有効な変速段を得ることは困難である。
【0004】
そこで本発明は、車輌走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合でも、その後の円滑な走行を維持すると共に、一旦停止した後の発進性能を確保し得るように構成し、もって上述した課題を解決した自動変速機の油圧制御装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本発明は(例えば図1ないし図4参照)、複数の摩擦係合要素(C−1,C−2,C−0,B−1,B−2,B−3,B−0)の内の所定の摩擦係合要素の係合に基づき達成される比較的高速段又は該所定の摩擦係合要素の解放に基づき達成される比較的低速段に選択的に切換える係合圧(例えばC,E,F,H,I)を出力する複数のシフトバルブ(2,3,6)と、該複数のシフトバルブの切換えを制御する制御圧(A,B)を出力する複数のシフトソレノイドバルブ(S1,S2)と、を備えてなる自動変速機(18)の油圧制御装置(1)において、
少なくとも前記複数のシフトソレノイドバルブ(S1,S2)の全てが非通電状態となるフェールが前記比較的高速段にて発生した場合、前記複数のシフトバルブ(2,3,6)の内の前記比較的高速段の達成に寄与する所定シフトバルブ(3)のバルブ位置(左半位置)を保持することで前記比較的高速段を維持し、前記比較的低速段にて前記フェールが発生した場合、前記複数のシフトバルブ(2,3,6)の内の前記比較的低速段の達成に寄与する所定シフトバルブ(3)のバルブ位置(右半位置)を保持することで前記比較的低速段を維持するフェールセーフ手段(5,7,SR)を備えてなる、
ことを特徴とする自動変速機(18)の油圧制御装置(1)にある。
【0006】
請求項2に係る本発明は(例えば図1ないし図4参照)、前記所定シフトバルブ(3)の切換えを制御する制御圧(A)を出力する所定シフトソレノイドバルブ(S1)は通電状態にて該制御圧(A)を出力し、前記所定シフトバルブ(3)は該制御圧(A)の出力により前記比較的高速段に切換えられ、前記比較的高速段にて前記フェールが発生した場合、前記フェールセーフ手段(5,7,SR)は、前記所定シフトバルブ(3)のバルブ位置(左半位置)を保持するためのロック圧(L)を出力してなる、
請求項1記載の自動変速機(18)の油圧制御装置(1)にある。
【0007】
請求項3に係る本発明は(例えば図1ないし図4参照)、前記所定シフトバルブ(3)の切換えを制御する制御圧(A)を出力する所定シフトソレノイドバルブ(S1)は非通電状態にて該制御圧(A)を出力せず、前記所定シフトバルブ(3)は該制御圧(A)の非出力により前記比較的低速段に切換えられ、前記比較的低速段にて前記フェールが発生した場合、前記フェールセーフ手段(5,7,SR)は、前記比較的高速段における前記所定シフトバルブ(3)のバルブ位置(右半位置)を保持するためのロック圧(L)を出力しないように構成される、
請求項1記載の自動変速機(18)の油圧制御装置(1)にある。
【0008】
請求項4に係る本発明は(例えば図1ないし図4参照)、前記フェールセーフ手段(5,7,SR)は、前記ロック圧(L)の遮断により、変速段を前記比較的高速段から前記比較的低速段へシフトさせてなる、
請求項2記載の自動変速機(18)の油圧制御装置(1)にある。
【0009】
請求項5に係る本発明は(例えば図1ないし図4参照)、前記所定シフトバルブ(3)は、前記係合圧(F)を、前記比較的高速段へのシフト時には前記複数の摩擦係合要素の内の対応する摩擦係合要素(例えばC−2)に出力すると共に、前記比較的低速段へのシフト時には出力しないように構成され、
前記フェールセーフ手段は、前記フェールの発生時に、前記所定シフトバルブ(3)から出力される前記係合圧(F)に基づいて前記ロック圧(L)を出力してなる、
請求項2又は4記載の自動変速機(18)の油圧制御装置(1)にある。
【0010】
請求項6に係る本発明は(例えば図1ないし図4参照)、前記フェールセーフ手段(5,7,SR)は、前記所定シフトバルブ(3)のスプール(3a)を比較的高速段への切換え位置に保持するように作動し得るプランジャ装置(5)と、前記フェールの発生時に前記ロック圧(L)を前記プランジャ装置(5)に導入して該装置(5)を作動させ得る切換えバルブ(7)と、非通電状態にあっては該切換えバルブ(7)を前記プランジャ装置(5)への前記ロック圧(L)の導入可能位置(左半位置)に切換え得る制御ソレノイドバルブ(SR)と、を備えてなる、
請求項2ないし5のいずれか記載の自動変速機(18)の油圧制御装置(1)にある。
【0011】
請求項7に係る本発明は(例えば図1及び図2参照)、前記ロック圧(L)の元圧は、ライン圧である、
請求項2ないし6のいずれか記載の自動変速機(18)の油圧制御装置(1)にある。
【0012】
請求項8に係る本発明は(例えば図1及び図2参照)、前記ロック圧(L)の元圧は、レンジ圧である、
請求項2ないし6のいずれか記載の自動変速機(18)の油圧制御装置(1)にある。
【0013】
なお、本発明において、オイルポンプ等の油圧発生源からの油圧をプライマリレギュレータバルブなどで調圧した圧が「ライン圧」であり、シフトレバーやスイッチなどのシフト操作部材の操作にて切換えられるマニュアルバルブに該ライン圧を入力してレンジ毎に発生させた圧が「レンジ圧」である。また、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【0014】
【発明の効果】
請求項1に係る本発明によると、フェールが比較的高速段にて発生した場合に、比較的高速段の達成に寄与する所定シフトバルブのバルブ位置をフェールセーフ手段が保持することで比較的高速段を維持し、フェールが比較的低速段にて発生した場合に、比較的低速段の達成に寄与する所定シフトバルブのバルブ位置をフェールセーフ手段が保持することで比較的低速段を維持するので、断線やショート等でソレノイドバルブが非通電状態となって作動し得ないソレノイド・オールオフフェールが発生した場合、車輌はフェール発生時と略々同じ比較的高速段又は比較的低速段を維持しつつ走行を継続でき、従って、フェール発生後の円滑な走行を維持すると共に、走行時の安全性を確保できる。
【0015】
請求項2に係る本発明によると、比較的高速段にてフェールが発生した場合、所定シフトバルブの位置をロック圧の作用で比較的高速段側に保持することができるので、所定シフトソレノイドバルブの非通電に伴って比較的低速段側にシフトしようとする所定シフトバルブの動作を阻止するだけの簡単な構成により、フェール発生時の比較的高速段を継続しながらの高速走行を容易に実現することができる。
【0016】
請求項3に係る本発明によると、比較的低速段にてフェールが発生した場合、比較的高速段における所定シフトバルブのバルブ位置を保持するためのロック圧が出力されないので、所定シフトバルブのバルブ位置を比較的低速段側に保持することができ、従って、比較的簡単な構成により、フェール発生時の比較的低速段を継続しながらの低速走行を容易に実現することができる。
【0017】
請求項4に係る本発明によると、フェールセーフ手段が、ロック圧の遮断により変速段を比較的高速段から比較的低速段へシフトさせるので、車輌の停止にてロック圧が遮断された時点で比較的高速段から比較的低速段にシフトさせることができ、停車後の円滑な発進性能を確保することができる。
【0018】
請求項5に係る本発明によると、所定シフトバルブが、係合圧を、比較的高速段へのシフト時には複数の摩擦係合要素の内の対応する摩擦係合要素に出力すると共に、比較的低速段へのシフト時には出力しないように構成され、フェールセーフ手段が、フェールの発生時に、所定シフトバルブから出力される係合圧に基づいてロック圧を出力するので、ロック圧発生用の特別な油圧回路を別途設けることなく、フェール発生時には、比較的高速段へのシフトに伴って所定シフトバルブから出力されている係合圧に基づきロック圧を出力できる。このため、ソレノイド・オールオフフェールに充分に対処し得る油圧制御装置を、極めて簡素な構成で実現でき、これに伴う装置コンパクト化を促進させることができる。
【0019】
請求項6に係る本発明によると、フェールセーフ手段が、所定シフトバルブのスプールを比較的高速段への切換え位置に保持し得るプランジャ装置と、フェール発生時にロック圧をプランジャ装置に導入する切換えバルブと、非通電状態にあっては該切換えバルブをプランジャ装置へのロック圧の導入可能位置に切換え得る制御ソレノイドバルブとを備えるので、これら簡単な要素を付加するだけで、従前から存在する他のシフトバルブ等を活用しつつ、本油圧制御装置を容易に実現することができる。
【0020】
請求項7に係る本発明によると、ロック圧の元圧がライン圧であるので、ソレノイド・オールオフフェール発生後、再発進する際には、エンジンを一旦停止した後に再駆動した時点で発生するライン圧に基づき、発進時の低速段へのシフトを実現することができる。
【0021】
請求項8に係る本発明によると、ロック圧の元圧がレンジ圧であるので、ソレノイド・オールオフフェール発生後、再発進する際には、エンジン駆動まで停止させる必要はなく、例えばシフトレバーをDレンジ等の前進走行レンジからNレンジ又はPレンジに移動させてレンジ圧を一旦解除するだけで、1速段又は2速段へのシフトを実現することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿って、本発明に係る実施の形態における自動変速機の油圧制御装置について説明する。図1は、本油圧制御装置の一例を示す回路図、図2は、該油圧制御装置の概略構成を示す図、図3は、該油圧制御装置を適用し得る自動変速機におけるギヤトレインのスケルトン図、図4は、図3に示すギヤトレインの作動表、図5は、図3のギヤトレインに対応する速度線図である。なお、図1に示す油圧制御装置1は、本実施の形態による作用を説明するために必要とする要素のみをピックアップし、それを接続したものであり、実際の回路構成は、更に多くの部品を備えた複雑なものである。図1中のEXはドレーンポートを示している。
【0023】
図3に示すように、自動変速機18は、トルクコンバータ25等を介して入力軸24aに伝達されたエンジン出力を、クラッチC−1,C−2,C−0,ブレーキB−1,B−2,B−3,B−0及びワンウェイクラッチF−1,F−2,F−0を有する伝達経路を適時切換えて変速し、該変速した回転を駆動車輪(図示せず)に伝達し得る多段変速機構からなっている。該多段変速機構は、プラネタリギヤを3組連ねて配列することによりO/D(オーバードライブ)部及び3速部(図5参照)を構成して4速が得られるようにしたギヤトレインを有しており、複数のプラネタリギヤユニットにて3種類の歯数比λ0,λ1,λ2(サンギヤ歯数/リングギヤ歯数)を得ることができる。
【0024】
上記多段変速機構と内燃エンジン(以下、単にエンジンとも言う)との間には、トルクコンバータ25が配置されている。該トルクコンバータ25は、その入力側からポンプ・インペラ25a、ステータ25c、及びタービン・ランナ25bを有しており、該タービン・ランナ25bには上記入力軸24aが連結されている。なお、図中の26はロックアップ・クラッチ、27は自動変速機18のケースをそれぞれ示している。
【0025】
上記多段変速機構は、サンギヤS1、リングギヤR1及びキャリヤCR1からなる第1プラネタリギヤ(シンプルプラネタリギヤ)SP1と、サンギヤS2、リングギヤR2及びキャリヤCR2からなる第2プラネタリギヤSP2と、サンギヤS3、リングギヤR3及びキャリヤCR3からなる第3プラネタリギヤSP3と、を有している。
【0026】
上記第1プラネタリギヤSP1は、O/D(オーバードライブ)部を構成しており、該第1プラネタリギヤSP1においては、入力軸24aが、キャリヤCR1に連結されると共に、該キャリヤCR1及びピニオンP1を介してサンギヤS1及びリングギヤR1に連結されている。キャリヤCR1は、ピニオンギヤP1を介して、クラッチC−0及びワンウェイクラッチF−0にそれぞれ係合可能に配置されている。また、リングギヤR1は、クラッチC−1を介して第2プラネタリギヤSP2のリングギヤR2に係合可能に配置されている。そして、サンギヤS1は、その一端がブレーキB−0に係合可能に配置されており、該ブレーキB−0の係合によりケース27に固定され得る。
【0027】
また、3速部を一部構成する第2プラネタリギヤSP2においては、出力軸24bが、キャリヤCR2を介してピニオンギヤP2に連結され、かつ該ピニオンギヤP2を介してリングギヤR2及びサンギヤS2に連結されている。リングギヤR2は、その一端がクラッチC−1に係合可能に配置されて、該クラッチC−1の係合時にリングギヤR1に連結するように構成されている。サンギヤS2は、第3プラネタリギヤSP3のサンギヤS3に連結されていると共に、クラッチC−2に連結され、かつブレーキB−1にて係止可能に配置されており、該クラッチC−2の係合時に上記リングギヤR1と一体に回転し得るように構成されている。これらサンギヤS2及びS3は、ワンウェイクラッチF−1及びブレーキB−3を介してケース27に対して固定可能に構成されている。
【0028】
また、3速部を一部構成する第3プラネタリギヤSP3においては、出力軸24bが、リングギヤR3及びピニオンギヤP3を介してサンギヤS3に連結されていると共に、ピニオンギヤP3及びキャリヤCR3を介してワンウェイクラッチF−2及びブレーキB−3による係止可能に配置されている。なお、図中のλ0はサンギヤS1とリングギヤR1との歯数比(S1/R1)、λ1はサンギヤS2とリングギヤR2との歯数比(S2/R2)、λ2はサンギヤS3とリングギヤR3との歯数比(S3/R3)をそれぞれ示している。
【0029】
上記構成の自動変速機18では、その多段変速機構にて、図4の作動表に示すように、クラッチC−1,C−2,C−0,ブレーキB−1,B−2,B−3,B−0,及びワンウェイクラッチF−1,F−2,F−0を選択的に係合させることにより、図5の速度線図に示すように、1速段(1st)ないし4速段(4th)が得られ、かつ上記歯数比λ0、λ1、λ2の設定により、各変速段のギヤ比及び各変速段間のステップが得られる。
【0030】
即ち、ソレノイド・オールオフフェールが発生しない正常時において、Dレンジにおける1速段(1st)では、シフトソレノイドバルブS1及びS2がOFF(非通電状態)、かつシフトソレノイドバルブSRがON(通電状態)となり、クラッチC−1,C−0,ワンウェイクラッチF−2,F−0が作動する。これにより、入力軸24aの回転が、クラッチC−0及びワンウェイクラッチF−0の係合に基づくキャリヤCR1の回転により、リングギヤR1に伝達される。更に、クラッチC−1の係合、及びワンウェイクラッチF−2の係合にてキャリヤCR3が係止されることに基づき、速度線図からも明らかなように、リングギヤR2の回転が、キャリヤCR2及びリングギヤR3から1速の減速回転として取り出される。
【0031】
Dレンジにおける正常時の2速段(2nd)では、シフトソレノイドバルブS1がOFF、かつシフトソレノイドバルブS2及びSRがONとなり、クラッチC−1,C−0,ブレーキB−2,ワンウェイクラッチF−1,F−0が作動する。これにより、入力軸24aの回転が、クラッチC−1及びワンウェイクラッチF−0の係合に基づくキャリヤCR1の回転により、リングギヤR1に伝達される。更に、ブレーキB−2及びワンウェイクラッチF−1の係合に基づきサンギヤS2が係止されることにより、速度線図からも明らかなように、リングギヤR2の回転が、キャリヤCR2から2速の減速回転として取り出される。
【0032】
Dレンジにおける正常時の3速段(3rd)では、シフトソレノイドバルブS1及びS2がON、かつシフトソレノイドバルブSRがOFFとなり、クラッチC−1,C−2,C−0及びワンウェイクラッチF−0が作動する。そして、クラッチC−1,C−2,C−0及びワンウェイクラッチF−0の係合に基づき、第1プラネタリギヤSP1と第2プラネタリギヤSP2とが直結状態となり、速度線図からも明らかなように、入力軸24aの回転が、リングギヤR2を介してキャリヤCR2から3速回転として取り出される。なお、該3速段にあっては、ブレーキB−2が、トルク伝達には寄与しない(変速段の達成に直接作用しない)係合を行う。
【0033】
Dレンジにおける正常時の4速段(4th)では、シフトソレノイドバルブS1がON、かつシフトソレノイドバルブS2,SRがOFFとなり、クラッチC−1,C−2及びブレーキB−0が作動する。これにより、入力軸24aの回転は、ブレーキB−0の係合に基づくキャリヤCR1の回転によりリングギヤR1に伝達され、クラッチC−1及びC−2の係合に基づきリングギヤR2及びキャリヤCR2が該リングギヤR1と一体的に回転する。このため、速度線図からも明らかなように、リングギヤR2の回転が、キャリヤCR2から4速の増速回転として取り出される。なお、該4速段にあっては、ブレーキB−2が、トルク伝達には寄与しない係合を行う。
【0034】
そして、2レンジにおける正常時の1速段及び3速段の作動状況は、D(ドライブ)レンジにおいて対応する上記変速段の作動状況と同じになる。また、2レンジ及びLレンジにおける正常時の2速段の作動状況は、ブレーキB−1がエンジンブレーキ時の係合を行うこと以外、Dレンジの2速段の作動状況と同じになる。更に、Lレンジにおける1速段の作動状況は、ブレーキB−3がエンジンブレーキ時の係合を行うこと以外、Dレンジの1速段の作動状況と同じになる。なお、該ブレーキB−3の係合は、Lレンジの1速段へのシフト時に、ローコーストモジュレータ(図示せず)バルブが機能することにより実現する。
【0035】
また、後進(Rev)にあっては、シフトソレノイドバルブS1がON、ソレノイドS2及びSRがOFFとなり、クラッチC−2,C−0,ブレーキB−3及びワンウェイクラッチF−0が作動する。これにより、入力軸24aの回転は、リングギヤR1からクラッチC−2を介してサンギヤS3に伝達される。このため、ブレーキB−3の係合によるキャリヤCR3の締結により、速度線図からも明らかなように、大幅に減速された逆回転としてリングギヤR3から取り出される。
【0036】
そして、パーキング(P)レンジにあっては、シフトソレノイドバルブS1がON、ソレノイドS2及びSRがOFFとなり、クラッチC−0は作動するが、他のクラッチ及びブレーキは作動せず、従って、入力軸24aの回転が出力軸24bから取り出されることはない。
【0037】
また、ニュートラル(N)レンジにあっては、シフトソレノイドバルブS1,S2,SRがいずれもOFFとなり、クラッチC−0は作動するが、他のクラッチ及びブレーキは作動せず、従って、入力軸24aの回転が出力軸24bから取り出されることはない。
【0038】
一方、Dレンジにおける3速段での走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合、ONしていたシフトソレノイドバルブS1及びS2がOFFされることに基づき、クラッチC−0及びワンウェイクラッチF−0が解放されると共に、クラッチC−1,C−2及びブレーキB−2がそれぞれ係合状態を継続し、かつブレーキB−0が新たに係合することにより、変速段は4速段に固定される。また、Dレンジにおける4速段での走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合には、ONしていたシフトソレノイドバルブS1がOFFされることに基づき、クラッチC−1,C−2,ブレーキB−2,B−0がそれぞれ係合状態を継続して、変速段は4速段に固定される。
【0039】
また、Dレンジにおける1速段での走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合には、ONしていたシフトソレノイドバルブSRがOFFされるが、クラッチC−1,C−0,ワンウェイクラッチF−2,F−0がそのままの係合状態を継続することにより、変速段は1速段に固定される。
【0040】
そして、Dレンジにおける2速段での走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合には、ONしていたシフトソレノイドバルブS2,SRがOFFされることに基づき、ブレーキB−2が解放され、かつワンウェイクラッチF−2が新たに係合すると共に、クラッチC−1,C−0及びワンウェイクラッチF−0がそれぞれ係合状態を継続することにより、変速段は1速段に固定される。
【0041】
また、2レンジにおける3速段での走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合には、ONしていたシフトソレノイドバルブS1,S2がOFFされて、クラッチC−1,C−2,C−0,ブレーキB−2,ワンウェイクラッチF−0がそのままの係合(但し、ブレーキB−2はトルク伝達には寄与しない)状態を継続することにより、変速段は3速段に固定される。
【0042】
そして、2レンジにおける1速段又は2速段での走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合には、ONしていたシフトソレノイドバルブSRがOFFされることに基づき1速段では係合していたクラッチ、ブレーキ及びワンウェイクラッチが全てそのままの係合状態を継続し、或いは、シフトソレノイドバルブSRがONすることに基づき2速段では係合していたブレーキB−1,B−2及びワンウェイクラッチF−1が解放され(但し、ブレーキB−1はエンジンブレーキ時の係合)かつワンウェイクラッチF−2が新たに係合することにより、変速段は1速段に固定される。
【0043】
また、Lレンジにおける1速段での走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合には、ONしていたシフトソレノイドバルブSRがOFFされて、クラッチC−1,C−0,ブレーキB−3,ワンウェイクラッチF−2,F−0がそのままの係合状態を継続することにより、変速段は1速段に固定される。
【0044】
そして、Lレンジにおける2速段での走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合には、ONしていたシフトソレノイドバルブS2及びSRがOFFされて、クラッチC−1,C−0,ワンウェイクラッチF−0がそのままの係合状態を継続し、ブレーキB−1,B−2及びワンウェイクラッチF−1がそれぞれ解放され、かつワンウェイクラッチF−2が新たに係合することにより、変速段は1速段に固定される。
【0045】
以上のような自動変速機18を上記作動表のように作動させ得る油圧制御装置の一例を図1に示す。即ち、本油圧制御装置1は、図1に示すように、1−2シフトバルブ2と、頭部にプランジャ装置5が連結された2−3シフトバルブ3と、3−4シフトバルブ6と、切換えバルブ7と、ON/OFF作動にて2−3シフトバルブ3に油圧を出力するためのシフトソレノイドバルブS1と、ON/OFF作動にて1−2シフトバルブ2及び3−4シフトバルブ6にそれぞれ油圧を出力するためのシフトソレノイドバルブS2と、ON/OFF作動にて切換えバルブ7に油圧を出力するためのシフトソレノイドバルブSRと、を有している。
【0046】
なお、本油圧制御装置1においては、変速マップ(図示せず)、スロットル開度、走行速度等の関係に基づき、シフトソレノイドバルブS1,S2,SR等の作動が適時制御される。また、プランジャ装置5、切換えバルブ7及びシフトソレノイドバルブSRによりフェールセーフ手段が構成されており、これら簡単な要素からなるフェールセーフ手段を付加するだけで、従前から存在する他のシフトバルブ等を活用しつつ、本油圧制御装置1がコンパクトに構成されている。
【0047】
上記1−2シフトバルブ2は、図1の上下方向に移動するスプール2aと、該スプール2aを上方に向けて付勢するスプリング2bと、油圧ポンプ(不図示)等にて生成されるライン圧PLに基づく制御圧Bが供給されるポートbと、D(ドライブ)レンジ圧が供給されるポートeと、L(ロー)レンジ圧が供給されるポートrと、スプール2aの左半位置にて係合圧Cを出力するポートfと、該左半位置にて係合圧Eを出力するポートsと、後述の係合圧Fが切換え圧として供給されるポートqと、を有している。ポートf,s,qは、油路20,21,22を介して油圧サーボ14,15、及び切換えバルブ7のポートmにそれぞれ連通している。また、ポートb,e,rには、油路16,17,19を介してライン圧PLに基づく制御圧B,Dレンジ圧,Lレンジ圧がそれぞれ供給される。
【0048】
なお、本実施の形態において、オイルポンプ(図示せず)等の油圧発生源からの油圧をプライマリレギュレータバルブ(図示せず)などで調圧した圧が「ライン圧」であり、図示されないシフトレバーやスイッチなどのシフト操作部材の操作にて切換えられるマニュアルバルブに該ライン圧を入力してレンジ毎に発生させた圧が「レンジ圧」である
【0049】
また、上記ポートe、後述するポートj、及び油圧サーボ11にそれぞれ油路17,23,28を介して供給される各Dレンジ圧は、2レンジでは2レンジ圧として、LレンジではLレンジ圧として供給されるものである。シフトソレノイドバルブS1,SRへの各Dレンジ圧は、2レンジでは2レンジ圧として供給されるものである。そして、上記ポートr及びポートuに油路19,29を介してそれぞれ供給されるLレンジ圧は、Lレンジにおいてのみ供給されるものであり、後述のポートtに油路30を介して供給される2レンジ圧は、2レンジにおいてのみ供給されるものである。
【0050】
また、2−3シフトバルブ3は、図1の上下方向に移動するスプール3aと、該スプール3aを上方に向けて付勢するスプリング3bと、Dレンジ圧に基づく制御圧Aが供給されるポートaと、Dレンジ圧が供給されるポートjと、2レンジ圧が供給されるポートtと、スプール3aの左半位置にて切換え圧Gを出力するポートlと、該左半位置にて上記係合圧Fを出力するポートkと、Lレンジ圧が供給されるポートuと、を有している。ポートa,l,kは、油路31,32,21を介してシフトソレノイドバルブS1の出力、3−4シフトバルブ6のポートn、及び油圧サーボ12にそれぞれ連通している。ポートj,tには、上記油路23,30を介してDレンジ圧,2レンジ圧がそれぞれ供給される。
【0051】
更に、2−3シフトバルブ3の頭部に連結されたプランジャ装置5は、切換えバルブ7から出力されるロック圧Lが油路33を介して供給されるポートpと、シリンダ内を進退可能なピストン5bと、該ピストン5bを図の上方に付勢するスプリング5aと、を有している。
【0052】
3−4シフトバルブ6は、図1の上下方向に移動するスプール6aと、該スプール6aを上方に向けて付勢するスプリング6bと、ライン圧PLに基づく制御圧Bが供給されるポートcと、ライン圧PLが供給されるポートgと、2−3シフトバルブ3のポートlから出力される切換え圧Gが供給されるポートnと、スプール6aの右半位置にて係合圧Hを出力するポートhと、スプール6aの左半位置にて係合圧Iを出力するポートoと、を有している。ポートc,gには、油路35,39を介して制御圧B,ライン圧PLがそれぞれ供給される。また、ポートh,o,nは、油路36,37,32を介して油圧サーボ10,13、及び2−3シフトバルブ3のポートlにそれぞれ連通している。
【0053】
切換えバルブ7は、図1の上下方向に移動するスプール7aと、該スプール7aを上方に向けて付勢するスプリング7bと、ソレノイドSRのOFF時にDレンジ圧に基づく制御圧Jが油路40を介して供給されるポートdと、2−3シフトバルブ3のポートkから出力される上記係合圧Fが油路22を介して供給されるポートmと、スプール7aの右半位置において該係合圧Fに基づく上記ロック圧Lを油路33を介して出力するポートiと、を有している。
【0054】
そして、シフトソレノイドバルブS1は、フェールが発生しない正常時において、2速段以下の変速段へのシフト時にはOFFとなり、3速段以上の変速段へのシフト時にはONとなる。該シフトソレノイドバルブS1は、OFF(非通電)状態にあっては、供給されるDレンジ圧に基づく油圧を出力せず、またON(通電)状態にあっては、該Dレンジ圧に基づく制御圧Aを2−3シフトバルブ3のポートaに供給するように構成されている。
【0055】
また、シフトソレノイドバルブS2は、フェールが発生しない正常時において、1速段と4速段へのシフト時にはOFFとなり、2速段と3速段へのシフト時にはONとなる。該ソレノイドバルブS2は、ON状態にあっては、上述の制御圧Bを出力せず、OFF状態にあっては、ライン圧PLに基づく制御圧Bを出力する。該制御圧Bは、1−2シフトバルブ2のポートbに供給されると、スプール2aを図中下方に移動させて右半位置に切換え、また3−4シフトバルブ6のポートcに供給されると、スプール6aを図中下方に移動させて左半位置に切換える。
【0056】
更に、シフトソレノイドバルブSRは、フェールが発生しない正常時において、2速段以下の変速段へのシフト時にはONとなり、3速段以上の変速段へのシフト時にはOFFとなる。該ソレノイドバルブSRは、OFF状態にあっては、Dレンジ圧に基づく制御圧Jを出力し、ON状態にあっては、該制御圧Jを出力しない。
【0057】
切換えバルブ7は、上記制御圧Jがポートdに供給されると、スプール7aが図中下方に移動して左半位置となり、ポートmに供給される係合圧Fに基づくロック圧Lを、ポートiから2−3シフトバルブ3に向けて出力、即ち2−3シフトバルブ3に連結されたプランジャ装置5のポートpに供給する。なお、シフトソレノイドバルブSRは、後述する条件を満たすように動作するのであれば、切換えバルブ7と兼用されても良いことは勿論である。
【0058】
上記ソレノイドS1,S2,SRは、本油圧制御装置1用の図示しない制御装置(ECU)によってON/OFF制御されるものであり、配線の断線やショート等によるソレノイド・オールオフフェールの発生時には、全てOFFとなる。
【0059】
なお、図1に示した本油圧制御装置1は、概略的に記載すると図2に示すようになり、同図において、対応する構成要素には図1と同じ符号を付し、また図1に示したクラッチC−0,ブレーキB−3は図示を省略している。
【0060】
上記構成を有する油圧制御装置1は、以下のように作動する。即ち、本自動変速機18の油圧制御装置1が搭載される車輌にて、ドライバがシフトレバーを操作すると、該操作に連動してマニュアルバルブ(図示せず)が作動すると共に、制御装置(図示せず)からソレノイドS1,S2,SRに適時指令が送信される。
【0061】
例えば、Dレンジの1速段に切換える場合、油圧サーボ11にDレンジ圧が供給されてクラッチC−1が係合し、シフトソレノイドバルブS1がOFFされて、2−3シフトバルブ3への制御圧Aの供給が停止される。また、シフトソレノイドバルブS2がOFFされることにより、制御圧Bが、1−2シフトバルブ2のポートb及び3−4シフトバルブ6のポートcにそれぞれ供給される。更に、シフトソレノイドバルブSRがONされて、切換えバルブ7のポートdへの制御圧Jの供給が停止される。従って、1−2シフトバルブ2、2−3シフトバルブ3及び切換えバルブ7は図1の右半位置となる。そして、3−4シフトバルブ6は、ポートnに供給される後述の切換え圧Gの作用により、制御圧Bの供給に拘らず右半位置となる。
【0062】
これにより、2−3シフトバルブ3は、ポートjに供給されるDレンジ圧をポートlから切換え圧Gとして出力し、3−4シフトバルブ6のポートnに供給する。更に、3−4シフトバルブ6は、ポートgから供給されるライン圧PLをポートhから係合圧Hとして出力し、油圧サーボ10に供給してクラッチC−0を係合させる。これらによりワンウェイクラッチF−1,F−0がそれぞれ係合状態となり、変速段は、図4の作動表に示されるように1速段となる。
【0063】
また、Dレンジの2速段に切換える場合、油圧サーボ11にDレンジ圧が供給されてクラッチC−1が係合し、シフトソレノイドバルブS1がOFFされて、2−3シフトバルブ3への制御圧Aの供給が停止される。また、シフトソレノイドバルブS2がONされることにより、制御圧Bは、1−2シフトバルブ2及び3−4シフトバルブ6のいずれにも供給されない。更に、シフトソレノイドバルブSRがONされて、切換えバルブ7への制御圧Jの供給が停止される。従って、1−2シフトバルブ2は図1の左半位置となり、また2−3シフトバルブ3、3−4シフトバルブ6及び切換えバルブ7がそれぞれ図1の右半位置となる。
【0064】
これにより、1−2シフトバルブ2は、ポートeに供給されるDレンジ圧をポートfから油圧サーボ14に供給して、ブレーキB−2を係合させる。また、2−3シフトバルブ3は、ポートjに供給されるDレンジ圧をポートlから3−4シフトバルブ6のポートnに切換え圧Gとして供給する。更に、3−4シフトバルブ6は、ポートcに制御圧Bが供給されず、かつポートnに上記切換え圧Gが供給されており、ポートgに供給されるライン圧PLをポートhから油圧サーボ10に供給して、クラッチC−0を係合させる。これらによりワンウェイクラッチF−1及びF−0が係合状態となり、変速段は、図4の作動表に示されるように2速段となる。
【0065】
更に、Dレンジの3速段に切換える場合には、油圧サーボ11にDレンジ圧が供給されてクラッチC−1が係合し、シフトソレノイドバルブS1がONされて、2−3シフトバルブ3に制御圧Aが供給され、シフトソレノイドバルブS2がONされて、1−2シフトバルブ2への制御圧Bの供給が停止される。また、シフトソレノイドバルブSRがOFFされて、切換えバルブ7に制御圧Jが供給される。従って、1−2シフトバルブ2、2−3シフトバルブ3及び切換えバルブ7はいずれも図1の左半位置となり、3−4シフトバルブ6は右半位置となる。
【0066】
これにより、1−2シフトバルブ2は、ポートeに供給されるDレンジ圧をポートfから油圧サーボ14に供給して、ブレーキB−2を係合させる。また、2−3シフトバルブ3は、ポートjに供給されるDレンジ圧をポートkから油圧サーボ12に係合圧Fとして供給して、クラッチC−2を係合させる。更に、3−4シフトバルブ6は、ポートgに供給されるライン圧PLをポートhから油圧サーボ10に供給して、クラッチC−0を係合させる。また、切換えバルブ7はポートmに供給される係合圧Fをロック圧Lとしてプランジャ装置5のポートpに出力するが、該プランジャ装置5のピストン5bによる押下に拘らず、2−3シフトバルブ3は制御圧Aの供給により左半位置になっている。これらによりワンウェイクラッチF−0が係合状態となり、変速段は、図4の作動表に示されるように3速段となる。
【0067】
そして、Dレンジにおける4速段に切換える場合には、油圧サーボ11にDレンジ圧が供給されてクラッチC−1が係合し、シフトソレノイドバルブS1がONされて、2−3シフトバルブ3に制御圧Aが供給され、シフトソレノイドバルブS2がOFFされて、制御圧Bが1−2シフトバルブ2及び3−4シフトバルブ6の双方に供給される。この際、2−3シフトバルブ3には制御圧Aが供給されて、Dレンジ圧に基づく係合圧Fがポートkから出力されている。従って、該係合圧Fをポートqに供給される1−2シフトバルブ2では、スプリング2bと該係合圧Fとを合わせた力が上記制御圧Aに打ち勝つことで、スプール2aの下降が阻止されている。また、シフトソレノイドバルブSRがOFFされて、切換えバルブ7に制御圧Jが供給されている。従って、1−2シフトバルブ2、2−3シフトバルブ3、3−4シフトバルブ6、及び切換えバルブ7はいずれも左半位置となる。
【0068】
これにより、1−2シフトバルブ2は、ポートeに供給されるDレンジ圧をポートfから油圧サーボ14に供給して、ブレーキB−2を係合させる。また、2−3シフトバルブ3は、ポートjに供給されるDレンジ圧をポートkから油圧サーボ12に係合圧Fとして供給して、クラッチC−2を係合させる。更に、3−4シフトバルブ6は、ポートgに供給されるライン圧PLをポートoから油圧サーボ13に係合圧Iとして供給して、ブレーキB−0を係合させる。これらにより、変速段は、図4の作動表に示されるように4速段となる。
【0069】
また、2レンジにおける1速段及び3速段の作動状況は、Dレンジにて対応する上記変速段の作動状況と同じになる。また、2レンジ及びLレンジにおける2速段の各作動状況は、ブレーキB−1が変速段の達成に寄与しない係合を行うこと以外は、Dレンジにおける2速段の作動状況と同じになる。更に、Lレンジにおける1速段の作動状況は、ブレーキB−3がエンジンブレーキ時の係合を行うこと以外は、Dレンジにおける1速段の作動状況と同じになる。
【0070】
また、上記のようにクラッチ、ブレーキ及びワンウェイクラッチが適時係合することにより、自動変速機18による所要の変速動作が行われるが、前進時に安定走行状態となると、ロックアップ・クラッチ26(図3参照)が係合して、エンジン出力軸と入力軸24aとが直結状態となる。
【0071】
つづいて、走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合について説明する。例えば、Dレンジでの3速段又は4速段で走行している際にソレノイド・オールオフフェールが発生すると、図4の作動表に示すように、シフトソレノイドバルブS1,S2,SRがいずれもOFFとなる。この場合、油圧サーボ11へのDレンジ圧の供給は継続されて、クラッチC−1の係合状態はそのまま維持される。
【0072】
また、ONされていたシフトソレノイドバルブS1がOFFとなって制御圧Aの供給が停止するが、2−3シフトバルブ3では、3速段又は4速段への切換えのためポートjに供給されているDレンジ圧に基づく係合圧Fを油圧サーボ12に供給する際、同時に切換えバルブ7のポートmにも供給し続けている。この状態で、シフトソレノイドバルブSRがOFFのままであるので、切換えバルブ7では、スプール7aが下降したままでありポートmが開放する。これにより、該バルブ7は、上記係合圧Fを該ポートmからポートiを経由して、プランジャ装置5のポートpにロック圧Lとして供給する。このため、プランジャ装置5のピストン5bが下降して、2−3シフトバルブ3のスプール3aを押下して左半位置にそのまま保持するので、係合圧Fの供給は継続され、従ってクラッチC−2の係合状態はそのまま維持される。
【0073】
更に、ONされていたシフトソレノイドバルブS2がOFFとなって、制御圧Bが1−2シフトバルブ2及び3−4シフトバルブ6にそれぞれ供給される。これにより、1−2シフトバルブ2は、右半位置となって、ポートeに供給されるDレンジ圧に基づく係合圧Cをポートfから油圧サーボ14に供給して、ブレーキB−2を係合させる。また、3−4シフトバルブ6は、左半位置となって、ポートgに供給されるライン圧PLをポートoから油圧サーボ13に係合圧Iとして供給し、ブレーキB−0を係合させる。これらにより、変速段は、図4の作動表に示されるように、4速段に固定される。
【0074】
そして、上記状態で走行を継続した後、所望の場所で停車してシフトレバーを操作すると、上記油圧制御装置1は次のように機能する。即ち、上記4速段に固定された状態で走行して停車した後、DレンジにあるシフトレバーをNレンジ又はPレンジに操作すると、2−3シフトバルブ3等に供給されていたDレンジ圧が遮断されるので、左半位置にあった2−3シフトバルブ3及び切換えバルブ7が、それぞれスプール3a,7aの復帰にて右半位置となる。
【0075】
そして、シフトレバーをDレンジに操作して車輌を再発進させる際、シフトソレノイドバルブS1,S2,SRは全てOFFとなっている。このため、2−3シフトバルブ3では、プランジャ装置5へのロック圧Lの供給が無く、かつスプリング3bの付勢力に準じてスプール3aが上昇した右半位置にてポートjにDレンジ圧が供給されることにより、ポートlから切換え圧Gが出力されて3−4シフトバルブ6のポートnに供給され、スプール6aを押し上げるように作用する。この際、シフトソレノイドバルブS2がOFFされていることにより、3−4シフトバルブ6ではポートcに制御圧Bが供給されるが、上記切換え圧Gとスプリング6bとを合わせた力が制御圧Bに打ち勝ってスプール6aを上昇させる。これにより、3−4シフトバルブ6は、右半位置に維持されて、ポートgに供給されるライン圧PLに基づく係合圧Hをポートhから出力して油圧サーボ10に供給し、クラッチC−0を係合させる。
【0076】
また、シフトソレノイドバルブS2がOFFされていることにより、1−2シフトバルブ2は、ポートbに制御圧Bが供給されて右半位置となる。更に、シフトソレノイドバルブSRがOFFされていることにより、切換えバルブ7のポートdに制御圧Jが供給されて切換えバルブ7が左半位置となるが、この時点でポートmに係合圧Fが供給されることはないので、ロック圧Lは出力されない。
【0077】
従って、シフトレバーのDレンジへの操作時には、油圧サーボ11に通常走行時と同様のDレンジ圧が供給されてクラッチC−1が係合すると共に、上述のようにクラッチC−0が係合した状態となる。これにより、図4の作動表から明らかなように、ワンウェイクラッチF−2及びF−0の係合を伴った1速段による発進が実現する。
【0078】
一方、Dレンジでの通常時の1速段若しくは2速段の走行中、ソレノイド・オールオフフェールが発生した場合には、上述と同様、油圧サーボ11へのDレンジ圧の供給が継続されて、クラッチC−1の係合が維持される。また、1速段又は2速段にてOFFされていたシフトソレノイドバルブS1がそのままOFF状態を継続するので、制御圧Aが出力されることはなく、従って2−3シフトバルブ3は右半位置に維持される。
【0079】
これにより、ポートjに供給されるDレンジ圧が切換え圧Gとしてポートlから3−4シフトバルブ6のポートnに供給される。これにより、該3−4シフトバルブ6では、シフトソレノイドバルブS2のOFF状態に基づいて出力される制御圧Bのポートcへの供給にて下降しようとするスプール6aが、スプリング6bと切換え圧Gとを合わせた力によって上昇位置に保持される。これにより、3−4シフトバルブ6は、右半位置に保持されたまま、ポートgに供給されるライン圧PLを、係合圧Hとしてポートhから油圧サーボ10に供給し、クラッチC−0の係合状態を維持する。
【0080】
また、1−2シフトバルブ2では、シフトソレノイドバルブS2がOFFされることにより制御圧Bが出力されて、スプール2aが下降して右半位置となるので、ポートeに供給されるDレンジ圧が遮断され、従って係合圧Cは出力されない。更に、切換えバルブ7では、シフトソレノイドバルブSRがOFFされることにより、制御圧Jがポートdに供給されて左半位置となるが、この時点でポートmに係合圧Fは供給されていないため、上記ロック圧Lが出力されることはない。これらにより、変速段は、図4の作動表に示されるように、1速段に固定される。
【0081】
以上のように、通常時のDレンジの1速段若しくは2速段での走行中、ソレノイド・オールオフフェールが発生した場合、変速段は1速段に固定されるため、前述と同様、停車後の発進は、固定された1速段にて行われることは言うまでもない。
【0082】
つづいて、2レンジでの3速段走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合について説明する。この場合、油圧サーボ11には2レンジ圧の供給が継続されて、クラッチC−1の係合がそのまま保持される。また、3速段にてシフトソレノイドバルブS1,S2がそれぞれON、かつシフトソレノイドバルブSRがOFFされていたことにより、図1の左半位置にあった1−2シフトバルブ2、2−3シフトバルブ3及び切換えバルブ7と、右半位置にあった3−4シフトバルブ6とに基づいて係合していたクラッチC−1,C−2,C−0,ブレーキB−2,及びワンウェイクラッチF−0は、以下のようにそのままの状態が保持される。
【0083】
即ち、左半位置にあった1−2シフトバルブ2、2−3シフトバルブ3及び切換えバルブ7、並びに、右半位置にあった3−4シフトバルブ6は、シフトソレノイドバルブS1,S2がONからOFFとなり、かつシフトソレノイドバルブSRがOFF状態を維持することにより、次のようになる。つまり、油圧サーボ11への2レンジ圧の供給が継続されてクラッチC−1の係合状態が維持されると共に、2−3シフトバルブ3のポートkから出力される係合圧Fが切換えバルブ7のポートmに供給され続ける。このように、該係合圧Fをポートmに受け続ける切換えバルブ7がその左半位置を維持するので、切換えバルブ7のポートiからロック圧Lが出力され続ける。従って、プランジャ装置5がそのピストン5bにて、制御圧Aの遮断により上昇しようとするスプール3aをその位置に押しつけて保持する。このため、2−3シフトバルブ3が左半位置を維持し、ポートkからの係合圧Fをその後も出力し続けるので、クラッチC−2は係合状態を継続する。
【0084】
また、シフトソレノイドバルブS2のOFFにより、ON状態では出力されていなかった制御圧Bが出力されることになるが、2−3シフトバルブ3からの係合圧Fが1−2シフトバルブ2のポートqに供給され続けるので、ポートbに供給され始めた制御圧Bに、スプリング2bの付勢力と係合圧Fとを合わせた力が打ち勝って、スプール2aは左半位置に保持される。これにより、ポートeから供給される2レンジ圧に基づく係合圧Cが油圧サーボ14に供給され続け、従ってブレーキB−2の係合状態が継続される。
【0085】
更に、3−4シフトバルブ6では、シフトソレノイドバルブS2がONからOFFとなることによりポートcに制御圧Bが供給されるが、この際、2−3シフトバルブ3のポートtに供給される2レンジ圧が、ポートlから3−4シフトバルブ6のポートnに切換え圧Gとして供給されている。これにより、切換え圧Gとスプリング6bとを合わせた力が制御圧Bに打ち勝つことにより、スプール6aが右半位置に維持される。このため、ポートgから供給されるライン圧PLに基づく係合圧Hがポートhから油圧サーボ10に供給されて、クラッチC−0がその係合状態を継続する。これらにより、ワンウェイクラッチF−0が係合し、変速段は、図4の作動表に示されるように、3速段に固定される。
【0086】
そして、上記状態で走行を継続した後、所望の場所で停車してシフトレバーを操作すると、上記油圧制御装置1は次のように機能する。即ち、上記3速段に固定された状態で走行して停車した後、2レンジにあるシフトレバーをNレンジ又はPレンジにシフトさせると、2−3シフトバルブ3等に供給されていた2レンジ圧が遮断されるので、左半位置にあった1−2シフトバルブ2はそのままの状態を維持し、左半位置にあった2−3シフトバルブ3及び切換えバルブ7はスプール3a,7aの復帰により右半位置となり、右半位置にあった3−4シフトバルブ6はそのままの状態を維持する。
【0087】
従って、車輌の再発進時には、前述したDレンジと同様に、油圧サーボ11には通常走行時と同様に2レンジ圧が供給されてクラッチC−1が係合すると共に、クラッチC−0が係合した状態となり、図4の作動表から明らかなように、ワンウェイクラッチF−2及びF−0の係合を伴って、1速段による発進となる。
【0088】
ついで、2レンジでの通常時の1速段走行中、又は、該2レンジでの走行中のフェール発生で3速段に固定された後に1速段発進した後の1速段走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合について説明する。この場合にも、上述と同様、油圧サーボ11への2レンジ圧の供給が継続されて、クラッチC−1の係合状態が維持される。また、1速段にてシフトソレノイドバルブS1及びS2がOFFされ、かつシフトソレノイドバルブSRがONされていたことにより、図1の右半位置にあった1−2シフトバルブ2、2−3シフトバルブ3、3−4シフトバルブ6及び切換えバルブ7に基づき係合していたクラッチC−0及びワンウェイクラッチF−2,F−0、並びに2レンジ圧の供給にて係合していたクラッチC−1は、以下のようになる。
【0089】
つまり、油圧サーボ11への2レンジ圧の供給が継続されてクラッチC−1の係合状態が維持される。また、2−3シフトバルブ3では、ポートtに供給される2レンジ圧に基づきポートlから出力される切換え圧Gが3−4シフトバルブ6のポートnに供給されることにより、該3−4シフトバルブ6は右半位置にある。このため、ポートgに供給されるライン圧PLがポートhから係合圧Hとして油圧サーボ10に供給され、これによりクラッチC−0の係合状態が維持される。更に、1−2シフトバルブ2では、シフトソレノイドバルブS2のOFFにより、制御圧Bがポートbに供給されて右半位置を維持するので、ポートeへの2レンジ圧は遮断されたままの状態となる。これらにより、ワンウェイクラッチF−2,F−0の係合を伴って、変速段は、図4の作動表に示されるように、1速段に固定される。
【0090】
ついで、2レンジでの2速段走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合について説明する。この場合にも、上述と同様、油圧サーボ11への2レンジ圧の供給が継続されて、クラッチC−1の係合状態が維持される。また、2速段にてシフトソレノイドバルブS1がOFFされ、かつシフトソレノイドバルブS2及びSRがONされていたことにより、図1の左半位置にあった1−2シフトバルブ2と、右半位置にあった2−3シフトバルブ3、3−4シフトバルブ6及び切換えバルブ7とに基づいて係合していたクラッチC−1,C−0,ブレーキB−1,B−2,及びワンウェイクラッチF−1,F−0は、以下のようになる。
【0091】
つまり、油圧サーボ11への2レンジ圧の供給が継続されて、クラッチC−0の係合状態が維持される。また、2−3シフトバルブ3では、ポートtに供給される2レンジ圧に基づきポートlから出力される切換え圧Gが3−4シフトバルブ6のポートnに供給されることにより、該3−4シフトバルブ6が右半位置にある。このため、ポートgに供給されるライン圧PLがポートhから係合圧Hとして油圧サーボ10に供給され、これによりクラッチC−0の係合状態が維持される。
【0092】
更に、1−2シフトバルブ2では、シフトソレノイドバルブS2がONからOFFとなることにより、供給されていなかった制御圧Bがポートbに供給されて右半位置となるので、ポートeからの2レンジ圧が遮断され、従ってブレーキB−2が係合することはない。この際、図示しないブレーキB−1用の油圧サーボへの油圧供給も遮断されるので、ブレーキB−1も係合することはない。これらにより、ワンウェイクラッチF−2,F−0の係合を伴って、変速段は、図4の作動表に示されるように、1速段に固定される。
【0093】
このように、通常時の2レンジの1速段若しくは2速段での走行中、又は、該2レンジでの走行中のフェール発生で1速段固定されて走行した後に停止した後発進した1速段走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合、変速段は1速段に固定されるため、前述と同様、停車後の発進が、該1速段にて円滑に行われることは勿論である。
【0094】
更に、Lレンジでの1速段又は2速段走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合には、上記2レンジにおける1速段又は2速段走行中でのソレノイド・オールオフフェール発生時と同様の切換えが行われることにより、変速段は、図4の作動表に示されるように、1速段に固定される。なお、正常時のLレンジにおける1速段の達成時、1−2シフトバルブ2では、Lレンジ圧がポートrに供給され、該Lレンジ圧が係合圧Eとしてポートsから油圧サーボ15に出力されることにより、ブレーキB−3がエンジンブレーキ時の係合を達成する。該ブレーキB−3の係合は、ソレノイド・オールオフフェール時の停車後の発進時にも、同様に達成される。
【0095】
このようにLレンジで1速段又は2速段の走行中に1速段に固定された後、前述と同様に一旦停止した後の発進は、固定された1速段にて行われることは勿論である。
【0096】
なお、本実施の形態では、フェール発生時にシフトレバーをNレンジに一旦操作することにより1速段にシフトすることができるが、例えば4速段固定による走行後にシフトレバーをLレンジに操作することによって、図1に示す2−3シフトバルブ3のポートuへのLレンジ圧を作用させれば、上記Nレンジにシフトした後の発進時と同様、変速段を1速段にシフトすることが可能になる。
【0097】
本実施の形態では、Dレンジ圧、2レンジ圧及びLレンジ圧をロック圧Lの元圧として用いたので、ソレノイド・オールオフフェール発生後、再発進する際には、エンジン駆動まで停止させる必要はなく、シフトレバーをDレンジ(又は2レンジ圧、Lレンジ圧)からNレンジ又はPレンジに移動させてDレンジ圧(又は2レンジ圧、Lレンジ圧)を一旦解除するだけで、1速段又は2速段へのシフトを実現することができる。これに対し、例えば、ライン圧PLをロック圧Lの元圧として用いるように構成すれば、ソレノイド・オールオフフェール発生後、再発進する際には、エンジンを一旦停止した後に再駆動した時点で発生するライン圧PLに基づき、発進時の低速段へのシフトを実現することができる。
【0098】
ところで、シフトバルブを用いて変速を行うタイプの従来の自動変速機の油圧制御装置では、ソレノイド・オールオフフェール時に、全てのシフトバルブが所定位置に保持されて所定の1つの変速段が達成されてしまう。従って、4速段等の比較的高速段による走行中であれば、該変速段に固定されることになり、車輌が一旦停止した後に再発進する場合、そのままでは発進することができないという不都合を招く。そのため、P,R,N,Dレンジ等を有するノーマルレンジと、シフトレバーをDレンジ位置で横方向に揺動させた状態でシフトを選択し得るようにしたマニュアルレンジとを備えるような車輌では、該マニュアルレンジでシフトレバーを操作してマニュアルレンジ圧を発生させ得るようにしたものもある。これにあっては、該レンジ圧をその対応するシフトバルブに供給することで低速段に切換え、発進状態が確保できるように対処している。
【0099】
しかし近年では、シーケンシャルレバー等のように、上記マニュアルレンジを有さないシフトレバーを備えた車輌も出現しているため、このような車輌にあっては、該従来の油圧制御装置を適用した場合、ソレノイド・オールオフフェール発生後の発進において低速段を選択することができない。また、多段化の自動変速機やギヤ比幅が広い自動変速機にてソレノイド・オールオフフェールが発生した場合には、該自動変速機を搭載した車輌のフェール発生時の走行安全性の確保に加えて、フェール発生後の発進時に有効となるような変速段を得ることは困難である。つまり、これらの場合、フェール発生後に停止可能な場所までの走行は継続できるものの、車輌停止後の良好な発進性能を確保することが困難であるという問題がある。
【0100】
本実施の形態の自動変速機18の油圧制御装置1によれば、上記問題を解消することができる。すなわち、本油圧制御装置1によると、該装置1を搭載した車輌にて、Dレンジ走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合、3速段又は4速段にあっては4速段に固定して比較的高速の走行を継続し、また1速段又は2速段にあっては1速段に固定して比較的低速の走行を継続することができる。更に、2レンジ走行中に上記フェールが発生した場合、3速段にあっては3速段に固定して比較的高速の走行を継続し、1速段又は2速段にあっては1速段に固定して比較的低速の走行を継続することができる。また、Lレンジ走行中に上記フェールが発生した場合、1速段及び2速段のいずれにおいても1速段に固定して比較的低速の走行を継続することができる。そして、Dレンジでのフェール発生後の発進時、2レンジでのフェール発生後の発進時、Lレンジでのフェール発生後の発進時のいずれにおいても、1速段にて容易にかつ確実に発進することができる。
【0101】
つまり、本油圧制御装置1では、例えば3速段又は4速段(比較的高速段)での走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合、油圧制御装置1のフェールセーフ手段(5,7,SR)が、対応する2−3シフトバルブ3にロック圧Lを出力するように機能することで、3速段又は4速段を維持しつつ車輌の高速走行を継続することができる。更に、車輌の停止によりロック圧Lが遮断された時点で、フェールセーフ手段(5,7,SR)が変速段を1速段にシフト、つまり比較的高速段から比較的低速段へシフトさせるので、シーケンシャルレバー等のようにマニュアルレンジを有さないシフトレバーを備えた車輌等においても、車輌の停止にてロック圧Lが遮断された時点で比較的低速段に容易にシフトでき、車輌停止後の円滑な発進性能を確保することができる。そして、フェールセーフ手段(5,7,SR)が、上記ロック圧Lの遮断にてシフトした1速段にあって上記フェールが発生した場合には、該1速段を維持するように機能するので、発進後の車輌が再度停止した後にも、円滑な発進性能を確保することができる。
【0102】
また、例えば1速段又は2速段(比較的低速段)での走行中にソレノイド・オールオフフェールが発生した場合、油圧制御装置1のフェールセーフ手段(5,7,SR)が、対応する2−3シフトバルブ3にロック圧Lを出力しないように機能することで、1速段を維持しつつ車輌の低速走行を継続することができる。つまり、本油圧制御装置1では、ソレノイド・オールオフフェールの発生時、フェールセーフ手段(5,7,SR)の機能により、車輌がフェール発生時と略々同じ比較的高速段又は比較的低速段を維持しつつ走行を継続できるので、フェール発生後の円滑な走行を維持すると共に、走行時の安全性を確保できる。
【0103】
また、比較的高速段への切換え状態にあって上記フェールが発生した場合、比較的高速段への切換えに寄与している2−3シフトバルブ(所定シフトバルブ)3の切換え位置(左半位置)をロック圧Lの作用で保持するので、2−3シフトバルブ3のOFFに伴って比較的低速段側にシフトしようとする該バルブ3の動作を阻止するだけの簡単な構成により、フェール発生時に比較的高速段を継続しながらの高速走行を容易に実現することができる。
【0104】
また、比較的低速段への切換え状態にあって上記フェールが発生した場合、比較的高速段における所定シフトバルブのバルブ位置を保持するためのロック圧Lが出力されないので、2−3シフトバルブ3のバルブ位置を比較的低速段側(右半位置)に保持することができる。従って、比較的簡単な構成により、フェール発生時の比較的低速段を継続しながらの低速走行を容易に実現することができる。
【0105】
更に、ロック圧発生用の特別な油圧回路を別途設けることなく、フェール発生時には、比較的高速段へのシフトに伴って2−3シフトバルブ3から出力され続ける係合圧Fに基づいてロック圧Lを出力する構成を実現することができる。従って、ソレノイド・オールオフフェールに確実に対処し得る油圧制御装置1を、極めて簡素な構成で実現でき、これに伴い、装置のより一層のコンパクト化が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る油圧制御装置の一例を示す回路図。
【図2】本油圧制御装置の概略構成を示す図。
【図3】本油圧制御装置を適用し得る自動変速機におけるギヤトレインのスケルトン図。
【図4】図3に示すギヤトレインの作動表。
【図5】図3に示すギヤトレインに対応する速度線図。
【符号の説明】
1 油圧制御装置
2 シフトバルブ(1−2シフトバルブ)
3 所定シフトバルブ(2−3シフトバルブ)
3a スプール
5 フェールセーフ手段(プランジャ装置)
6 シフトバルブ(3−4シフトバルブ)
7 フェールセーフ手段(切換えバルブ)
18 自動変速機
A,B,J 制御圧
C,E,F,H,I 係合圧
L ロック圧
B−1,B−2,B−3,B−0, 摩擦係合要素(ブレーキ)
C−1,C−2,C−0 摩擦係合要素(クラッチ)
F−1,F−2,F−0 摩擦係合要素(ワンウェイクラッチ)
S1,S2 シフトソレノイドバルブ
SR フェールセーフ手段(シフトソレノイドバルブ)
Claims (8)
- 複数の摩擦係合要素の内の所定の摩擦係合要素の係合に基づき達成される比較的高速段又は該所定の摩擦係合要素の解放に基づき達成される比較的低速段に選択的に切換える係合圧を出力する複数のシフトバルブと、該複数のシフトバルブの切換えを制御する制御圧を出力する複数のシフトソレノイドバルブと、を備えてなる自動変速機の油圧制御装置において、
少なくとも前記複数のシフトソレノイドバルブの全てが非通電状態となるフェールが前記比較的高速段にて発生した場合、前記複数のシフトバルブの内の前記比較的高速段の達成に寄与する所定シフトバルブのバルブ位置を保持することで前記比較的高速段を維持し、前記比較的低速段にて前記フェールが発生した場合、前記複数のシフトバルブの内の前記比較的低速段の達成に寄与する所定シフトバルブのバルブ位置を保持することで前記比較的低速段を維持するフェールセーフ手段を備えてなる、
ことを特徴とする自動変速機の油圧制御装置。 - 前記所定シフトバルブの切換えを制御する制御圧を出力する所定シフトソレノイドバルブは通電状態にて該制御圧を出力し、前記所定シフトバルブは該制御圧の出力により前記比較的高速段に切換えられ、前記比較的高速段にて前記フェールが発生した場合、前記フェールセーフ手段は、前記所定シフトバルブのバルブ位置を保持するためのロック圧を出力してなる、
請求項1記載の自動変速機の油圧制御装置。 - 前記所定シフトバルブの切換えを制御する制御圧を出力する所定シフトソレノイドバルブは非通電状態にて該制御圧を出力せず、前記所定シフトバルブは該制御圧の非出力により前記比較的低速段に切換えられ、前記比較的低速段にて前記フェールが発生した場合、前記フェールセーフ手段は、前記比較的高速段における前記所定シフトバルブのバルブ位置を保持するためのロック圧を出力しないように構成される、
請求項1記載の自動変速機の油圧制御装置。 - 前記フェールセーフ手段は、前記ロック圧の遮断により、変速段を前記比較的高速段から前記比較的低速段へシフトさせてなる、
請求項2記載の自動変速機の油圧制御装置。 - 前記所定シフトバルブは、前記係合圧を、前記比較的高速段へのシフト時には前記複数の摩擦係合要素の内の対応する摩擦係合要素に出力すると共に、前記比較的低速段へのシフト時には出力しないように構成され、
前記フェールセーフ手段は、前記フェールの発生時に、前記所定シフトバルブから出力される前記係合圧に基づいて前記ロック圧を出力してなる、
請求項2又は4記載の自動変速機の油圧制御装置。 - 前記フェールセーフ手段は、前記所定シフトバルブのスプールを比較的高速段への切換え位置に保持するように作動し得るプランジャ装置と、前記フェールの発生時に前記ロック圧を前記プランジャ装置に導入して該装置を作動させ得る切換えバルブと、非通電状態にあっては該切換えバルブを前記プランジャ装置への前記ロック圧の導入可能位置に切換え得る制御ソレノイドバルブと、を備えてなる、
請求項2ないし5のいずれか記載の自動変速機の油圧制御装置。 - 前記ロック圧の元圧は、ライン圧である、
請求項2ないし6のいずれか記載の自動変速機の油圧制御装置。 - 前記ロック圧の元圧は、レンジ圧である、
請求項2ないし6のいずれか記載の自動変速機の油圧制御装置。
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