JP2004027416A - 真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートとそれを使用した真贋判定機能を有する印刷物 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来にない全く新規な真贋判定機能を有した真珠顔料塗工シートとそれを使用した真贋判定機能を有した印刷物を得ることを課題とする。
【解決手段】無色、あるいは着色されたシート状物の表面に赤外線を反射する性能を有した印刷層、赤外線を吸収する性能を有した印刷層と真珠顔料塗工層を組み合わせることで、可視光線領域と赤外線領域の一種のメタメリック現象と、真珠光沢層による、従来にない真贋判定機能を有した真珠顔料塗工紙と印刷物を得る。
【選択図】 図15
【解決手段】無色、あるいは着色されたシート状物の表面に赤外線を反射する性能を有した印刷層、赤外線を吸収する性能を有した印刷層と真珠顔料塗工層を組み合わせることで、可視光線領域と赤外線領域の一種のメタメリック現象と、真珠光沢層による、従来にない真贋判定機能を有した真珠顔料塗工紙と印刷物を得る。
【選択図】 図15
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートとそれを使用した真贋判定機能を有する印刷物に関するものである。詳しくは、白熱灯や蛍光灯等の室内光や自然光等のような通常の光のもとでは真珠光沢感に優れた面や真珠光沢感に優れたスポットとして視認されるだけであるが、赤外線を照射してそれを可視化できる装置で観察すると面やスポットに隠されたマイクロ文字等の文字や画像が視認できるという高度な真贋判定機能を有する真珠光沢シートとそれを使用した真贋判定機能を有する印刷物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
真珠顔料塗工シート、例えば真珠顔料塗工紙は、真珠顔料独特の美しい真珠光沢を呈することから、本の表紙、見返し等の出版用、パンフレット、ポスター等の広告宣伝用、箱貼り、ラベル、タグ、包装、便箋等の文具用等々に広く使用されてきた。
【0003】
この真珠顔料塗工紙に関する提案は過去に数多くある。例えば、特公昭39−29267号には塩基性炭酸鉛系真珠顔料をカゼインおよびメラミン−ホルムアルデヒド樹脂または尿素ホルムアルデヒド樹脂、合成樹脂ラテックスよりなる接着剤により塗被することが、また、特公昭51−45682号には模様化されて分布された多数の凹凸起伏を有する基紙にパール光沢性顔料を被覆することが、特公平1−47597号には原紙上に水性顔料塗被層を設け、この上に順次、水性真珠顔料塗被層、水溶性高分子物質を主成分とする表面処理層を設けることが提案されている。
【0004】
前記したように真珠顔料塗工紙の利用分野にラベルやダグ等の印刷物がある。例えば、ワイン、ウイスキー、ブランディ、日本酒、等のアルコール飲料や、衣料品、バッグ、靴、時計、インクジェット記録用のインキカートリッジ、自動車の純正部品等のありとあらゆる商品には何らかのラベルやタグがつけられている。最近はこれらの商品に贋物が氾濫し社会的にも大きな問題になり、何らかの対策を施すことが求められている。
【0005】
これらの商品の真贋を判定する一つの手段は高度な真贋判定機能を持たせたラベルやタグを用いることである。この動きは既に種々の商品において顕在化しており、パソコン用のOSの保証書に高度な真贋判定機能を有したラベルが貼合されていること、インクジェット記録用インキカートリッジの包装箱の表面にやはり高度な真贋判定機能を有したラベルが貼合されていること等がその実例である。しかしながら、真珠顔料塗工シートを用いたラベルやタグに於いては高度な真贋判定機能を有したものは従来存在しなかった。
【0006】
一方、商品券、株券、債券、小切手、宝くじ等の金銭的価値を有する有価証券類や紙幣には、容易に偽造又は変造されない様に古くから多種多様の偽造防止対策が施されてきた。この偽造防止対策は大きく2つに分けることができる。1つ目は偽造防止対策を施した用紙、即ち偽造防止用紙を使用すること、2つ目は印刷で偽造防止対策を施すことである。
【0007】
近年、技術の進歩により、上記した有価証券類が多色印刷機による方法、カラーコピー機による方法、パソコンに連動したスキャナーで画像を取り込みカラープリンターでプリントする方法等で偽造されることが多くなっている。最近は、解像度や色相等が本物と見分けがつかないほど格段に精巧になり、比較的簡単に偽造品を作製できるようになってきた。
【0008】
このような背景から、上記したような機器を使用した偽造を防止する技術や、上記有価証券類が偽造されたものであるか否かを判定(真贋判定)するための方法も種々提案されてきた。例えば「メタメリズム(条件等色)」を利用した真贋判定の技術はその一例である。「メタメリズム(metamerism)」または「条件等色(metameric・match)」とは、分光分布特性が異なっているにもかかわらず観察条件によって知覚的に同じ色に見えることを言う(「色彩ワンポイント」(財)日本色彩研究所編、(財)日本規格協会発行、1993年、第1巻67頁)。
【0009】
例えば、特許第1331101号(特公昭60−58711号)では、太陽光、蛍光灯、白熱電球等の通常光源で見える色と、所望のフィルターを通して見るかあるいは所望の分光エネルギー分布を有する光源のもとで、見える色が異なった色相、明度、彩度に見えるメタメリックな性質を有する色材でなる、メタメリックインキを用いた偽造防止技術が提案されている。このメタメリックインキと同色の通常の印刷インキとで、所望のパターン群を用紙表面に組み合わせパターンとして形成させたものを、例えばカラーコピー機で複写すると、通常光のもとで同色であったものが両者の色に差が生じ、偽造品であることが判明するものである。
【0010】
また特開2001−159094号では、パルプ繊維でなる紙基材に、メタメリックな色材を含有するインキが塗布された紙小片もしくは繊維片が漉き込まれている偽造防止用紙およびそれを用いた有価証券が提案されている。
【0011】
一方、金属光沢や真珠光沢や虹彩色は、カラーコピー機による方法、パソコンに連動したスキャナーで画像を取り込みカラープリンター等でプリントする方法等では再現することが出来ないことを利用した偽造防止技術も提案されている。例えば、本出願人は、特開平6−313298号で、基紙表面に真珠顔料と接着剤を主体とした部分的な被覆層を形成し偽造防止用紙を得ること、この用紙を使用して印刷を施し、偽造防止印刷物を得ることを提案した。
【0012】
また、同じく本出願人は、特許第3075454号で2層以上の抄合わせ紙よりなり、最外の紙層2が20〜50g/m2であり、かつ光輝性を有する細片が含まれていることを特徴とする偽造防止用紙を提案した。
【0013】
また、特開2001−260517号では、被印刷基材上に、パール顔料を含まないインキを用いて形成された、前記被印刷基材の表面の平滑性を向上させるための下地印刷塗膜が少なくとも一層以上積層してあり、前記下地印刷塗膜上には、パール顔料を含有するパールインキを用いて形成されたパール印刷塗膜が少なくとも一層以上積層されていることを特徴とするパール調印刷物が提案されている。この発明は、パール調印刷物を、オフセット印刷や活版印刷を利用して製造する際に、被印刷基材の表面が粗面であって、印刷塗膜中のパール顔料の配向方向が一定しないことにより、得られるパール光沢が不十分な点を解消することを課題としている。また、この発明では、上層のパール印刷塗膜のパール光沢を見えやすくするために、下地印刷塗膜の色相を比較的明度の低い暗色とすることも提案されている。
【0014】
一方、高度な偽造防止効果を有した偽造防止用紙として、「窓開きスレッド入り紙」と呼ばれている用紙がある。この偽造防止用紙の製造方法は、ワイヤ上の紙料懸濁液に、凹凸部を有するガイドの凸部先端に糸状物を通した溝を有するベルト機構を埋没して製造する方法(特公平5−85680号)や、凹凸状に加工した網を円網抄紙機の上網に使用し、糸状物を網表面の凹凸部に接触させながら挿入して窓開き部分に糸状物を抄き込む方法(米国特許第4462866号)や、長網抄紙機のワイヤ上の回転ドラム内に圧縮空気ノズルを内蔵させ、予め紙匹に挿入した糸状物上のスラリーを圧縮空気で間欠的に吹き飛ばして糸状物を露出させる方法(特開平6−272200号)等が提案されている。
【0015】
前記した真珠光沢顔料の偽造防止効果と、窓開きスレッド入り紙の偽造防止効果を組み合わせた偽造防止用紙については、本出願人により特願平07−141160号(特開平08−311800号)で提案されている。即ちこの出願は、2層以上の紙層で構成され、最外部に位置する紙層が窓開き部を有し、最外部に位置する紙層とその下に位置する紙層の間に真珠光沢を有するスレッドが挿入されており、該帯状物が窓開き部に露出していることを特徴とする偽造防止用紙に関するものである。
【0016】
前記した、特許第1331101号(特公昭60−58711号)や特開2001−159094号で提案されているメタメリック現象を利用した偽造防止印刷技術は、この仕組みが判ってしまえば比較的容易に偽造されるおそれがあり、またメタメリック色材の一方は耐光性に優れた無機系の着色顔料であり、他方は耐光性に劣る有機染料の組み合わせである場合が多く、印刷面が光によって短時間に変色したり、長期保存中に変色することが問題であった。
【0017】
また、特開平6−313298号、特許第3075454号で提案された真珠顔料の色相は穏やかなパール調であり、用紙の色とのコントラストに欠けて視認性がやや劣ることが問題であった。また、前記した特開2001−260517号に提案されたパール調印刷物も、この仕組みが判ってしまえば比較的容易に偽造されるおそれがあった。また、特開平08−311800号で本出願人が提案した偽造防止用紙は偽造防止技術を一層高めることが要求されてきた。これら従来技術の問題点を解消し、より一層偽造防止効果を高めた全く新規な偽造防止技術(真贋判定機能)として、本発明者らは特願2002−116105号として、真贋判定機能を有するスレッド、及びそれを使用した偽造防止用紙を提案した。
【0018】
即ちこのスレッドは、可視光線及び赤外線のいずれも透過する性能を有したフィルムの片方の面に、真珠光沢層、赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層、赤外線を透過する性能を有した図柄や文字等の印刷層が設けられており、前記赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層と、赤外線を透過する性能を有した図柄や文字等の印刷層とが通常光のもとで同色に見え、かつ赤外線領域での分光反射率が相違しているようにして構成され、このスレッドを紙に抄き込み「窓開きスレッド入り紙」を製造することで高度な真贋判定機能を持たせることができる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、真珠顔料塗工シートに従来にない高度な真贋判定機能を持たせることを課題とする。またこの真珠顔料塗工シートを使用して従来にない高度な真贋判定機能を有した印刷物を得ることを課題とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前に述べた真珠顔料塗工シートに特願2002−116105号に提案した技術を応用すると高度な真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートを製造することができることを見いだし、本発明を完成させたものである。
【0021】
本発明を図面に基づいて説明する。図1は本発明の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートの一例の一部拡大断面図である。
本発明の第1の発明は、無色のシート状物1aの表面に、赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層2a、及び赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層2b、及び真珠光沢層3が設けられており、前記赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層2aと、赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層2bとが通常光のもとで同色に見え、かつ赤外線領域での分光反射率が相違していることを特徴とする真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートである。
【0022】
また、図4及び図5は別の構造の、本発明の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートの一例の一部拡大断面図である。
本発明の第2の発明は、着色されたシート状物1bの表面に、赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層2a、及び/又は赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層2b、及び真珠光沢層3が設けられており、前記着色されたシート状物1bと赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層2aと赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層2bとが通常光のもとで同色に見え、かつ赤外線領域での分光反射率が相違していることを特徴とする真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートである。
【0023】
また、図6は図1に示した本発明の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートの表面に印刷層Pを設けたことを特徴とする、真贋判定機能を有する印刷物の一例の一部拡大断面図である。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の発明である、無色のシート状物1aの表面に、赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層2a、及び赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層2b、及び真珠光沢層3が設けられており、前記赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層2aと、赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層2bとが通常光のもとで同色に見え、かつ赤外線領域での分光反射率が相違していることを特徴とする真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートについて先ず説明する。
【0025】
本発明で使用する「無色のシート状物1a」としては、従来周知の方法によって製造される無色の紙や、合成樹脂や顔料等を材料として従来周知の方法によって製造される無色の合成紙等が何れも使用できる。なお、「無色」とは本発明に於いては実質的に無色であることを意味し、完全に無色のシート状物は無論のこと、わずかに着色しているシート状物も本発明の、無色のシート状物の範疇に入るものとする。例えばOCR用紙は通常ごくわずかなクリーム色に着色されているが、この用紙は本発明の範疇に入るものとする。なお、無色のシート状物の表面に加工適性を向上するような、例えば有機溶剤の浸透を防止するような塗工層を設けることは一向に構わない。
【0026】
次に本発明の「赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層2a」と、「赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層2b」について説明する。印刷層2a、2bは印刷インキや塗料を使用して形成する。通常、印刷インキは、色材、ビヒクル、補助剤を主成分としている。色材は有機や無機の顔料、染料よりなり、ビヒクルは、油、樹脂、ピッチ、溶剤、可塑剤等からなり、補助剤は、ワックス、グリース、ドライヤー、酸化防止剤、濡和剤、等からなっている。塗料は色材とバインダーを主剤とし、これに上記したような補助剤を適宜添加して調製する。この際、樹脂やバインダーの耐有機溶剤性を向上させるためにイソシアネート系等の架橋剤を適宜併用することで、耐有機溶剤性を高めることができる。
【0027】
本発明ではこの色材として特異な性能を有したものを使用する。即ち、通常光のもとでは同じ色(本発明では有彩色に限らず無彩色も含むものとする)に見えるが、赤外線領域での分光反射率が互いに異なる色材の組み合わせで特異な効果を発現させる。
【0028】
色材としては、無機顔料、有機顔料、有機染料等を使用する。有機顔料としては、リゾールレッド、レーキレッドC、カーミン6B、キナクリンレッド、イソインドリンイエロー、キノフタロンイエロー、ジスアゾイエロー、フタロシアニンブルー、アルカリブルー、等の周知の顔料が、無機顔料としては、カーボン、黒色酸化鉄(Fe3O4)、黒色酸化チタン(チタンブラック)、銅・クロムブラック(CuCr2O4)、赤色酸化鉄(α−Fe2O3)、TiO2−BaO−NiO、チタンイエロー(TiO2−Sb2O3−NiO)、チタンバフ(TiO2−Sb2O5−Cr2O3)、黄鉛、黄色酸化鉄(α−FeO(OH))、ZnO−Fe2O3 、ZnO−Fe2O3−Cr2O3、酸化クロム(3価)(Cr2O3、クロミウムオキサイトグリーン)、クロムグリーン(黄鉛+紺青)、ビリジアン(ギネグリーン)、TiO2−CoO−NiO−ZnO、コバルトブルー(CoO/nAl2O3)、セルリアンブルー(CoO・nSnO2)、群青(Na6Al6Si6O24Sx:ウルトラマリンブルー)、紺青(MFe3+[Fe2+(CN)6](M=K,Na,NH4)等の周知の色材が使用できる。
【0029】
本発明では上記した色材に、通常光のもとでは白色か若しくは淡く着色している白色顔料を添加して、赤外線領域の分光反射率を変化させることもできる。特に通常光の反射率が高く、赤外線領域の反射率が低い顔料、例えば、リン酸塩系の白色結晶及びガラス系粉末やITO(酸化インジウム−スズ)粉末等の周知の顔料を好適に利用できる。
【0030】
通常カラー印刷物を作製する場合に使用されるプロセスインキは、藍(シアン)インキ、黄(イエロー)インキ、紅(マゼンタ)インキの三原色を使用してあらゆる色を再現させようとしている。インキの混合はいわゆる「減法混色」を示し、三原色を混ぜ合わせると「黒色」となる。実際は理論通りに真っ黒とならないので、「墨インキ」と称するカーボンブラックを色材に使用したインキで印刷することが行われている。通常藍インキには色材としてフタロシアニンブルーを、黄インキには色材としてジスアゾイエローを、紅インキには色材としてカーミン6Bを使用している。
【0031】
図7に色材にフタロシアニンブルーを使った藍インキを、RIテスターを使用して四六<90>のコート紙にベタ印刷し、分光光度計で測定した結果(分光反射率曲線)を示す。
【0032】
また、図8に色材にジスアゾイエローを使った黄インキを、RIテスターを使用して四六<90>のコート紙にベタ印刷し、分光光度計で測定した結果(分光反射率曲線)を示す。
【0033】
また、図9に色材にカーミン6Bを使った紅インキを、RIテスターを使用して四六<90>のコート紙にベタ印刷し、分光光度計で測定した結果(分光反射率曲線)を示す。
【0034】
また、図10に前記藍インキ、黄インキ、紅インキを混合した墨インキを使ってRIテスターを使用して四六<90>のコート紙にベタ印刷したものを分光光度計で測定した結果(点線)と、色材としてカーボンブラックを使用した墨インキを使用して四六<90>のコート紙にベタ印刷したものを分光光度計で測定した結果(実線)を示す。
【0035】
図10中の、両者の分光反射率曲線の対比で判るように、「藍+黄+紅インキ」を混合した墨インキを使用した印刷面の分光反射率曲線では、波長400〜700nmの反射率は極端に低く、700nmを過ぎると急激に反射率は大きくなっている。このことは、「藍+黄+紅インキ」で調製した墨インキはわずかに赤みがかかった黒色に見えることを示している。一方、「カーボン墨インキ」を使用した印刷面の分光反射率曲線も、可視光線領域の反射率は前記「藍+黄+紅インキ」を混合したインキの反射率とほぼ同一で、黒色に見えることを示している。
【0036】
この両者の差は非常に少ないので、図1〜3に示した本発明の真珠顔料塗工シートの例で、真珠光沢層を形成する以前のシートを観察すると、無色のシート状物1aの表面に設けられた印刷層2aとして「藍+黄+紅インキ」よりなる墨インキの印刷層を、印刷層2bとして「カーボン墨インキ」を使用した印刷層を形成した場合に両者の差を確認できず一面に黒色に見えることとなる。
【0037】
しかし、図10に示した通り赤外線領域では両者は大幅に異なっており、前述したように「藍+黄+紅インキ」を混合したインキの反射率は「カーボン墨インキ」の反射率よりはるかに大きくなっている。このことは、仮に人間の目が赤外線を感知できるような構造になっていた場合、両者は異なった色に見えることを示している。
【0038】
本発明ではこの現象を積極的に利用したものであって、赤外線を照射しその画像を可視化できるような装置で観察したり、信号を検知することで両者を識別し、真贋の判定機能に利用するものである。なお、本発明に於いて、「反射」或いは「吸収」の意味は、可視光或いは赤外光を完全に反射(反射率100%)あるいは吸収(反射率0%、即ち吸収率100%)することを意味するものではなく、赤外光を照射した場合に本発明の目的を達成できるだけの反射率の差が両者に認められればよいことを意味する。
【0039】
図11と図12はこのことを具体的に図示したものである。図11は、四六<90>のコート紙に印刷層を細紋状の図柄で形成した例を示し、細紋印刷層4a(赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層2aに相当する)は「藍+黄+紅インキ」を混合した墨インキで、細紋印刷層4bはカーボン墨インキ(赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層2bに相当する)を使用して形成されている。この印刷物は通常光のもとでは4a及び4bは同色(黒色)に見える(図11)が、両者は前に述べたように赤外線の反射率が異なっているので、その画像を可視化できるような装置、例えばピーク波長が830nmや900nmの赤外線を発するLEDや、波長1060nmの赤外線を発するガラスレーザを使用して赤外線を照射してその画像を、赤外線フィルターを取り外したCCDカメラ等で撮影し、CRTに画像として映し出す装置等を使用して観察すると、機器の調整具合にもよるが図12に示したように印刷層4bのみが黒く写って見え、印刷層4aは消えてしまったように写る。
【0040】
印刷層2は、印刷層2aを先ず印刷し、その上に印刷層2bを重ね刷りする方法(例えば図1)、印刷層2aと印刷層2bを接して印刷する方法(例えば図2)、印刷層2aと印刷層2bを離して印刷する方法(例えば図3)、印刷層2aの一部に印刷層2bが重なる方法、或いはこの逆等の単独或いは複数の組み合わせの、いずれの方法によって形成してもよい。また、印刷層2は文字や図柄(本発明では全面ベタ印刷も図柄の範疇に含むものとし、全面ベタ印刷層はエアナイフコーターやグラビアコーター等の塗工機を使用して形成してもよいものとする)で印刷されるが、この場合文字や図柄はベタ印刷や網点印刷のいずれの方法で表現してもよい。
【0041】
本発明においては、偽造防止効果を高める効果が大きいので、赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層2bをマイクロ文字や細紋で形成することもできる。またバーコード印刷や、OCR読み取りが可能な文字で形成することで、機械読み取り処理することができる。またMICR読み取りが可能な黒色酸化鉄とカーボンを混合したインクで2bの印刷層を形成することにより、MICR読み取りが可能とすることもできる。
【0042】
以上の説明では、印刷層2は、印刷層2aと印刷層2bの2つの例で述べたが、印刷層2bを赤外線領域での分光反射率が互いに異なる2種類以上のインキで形成することは一向にかまわない。
【0043】
以上は黒色のインキの例を説明したが、本発明は黒色以外の色相でも実現できる。例えば、フタロシアニングリーン、ジスアゾイエロー、カーボンブラックの組み合わせで製造した黄緑色のインキと、ブルーレーキ、ジスアゾイエローの組み合わせで製造した黄緑色のインキは通常光のもとでは同じ色相に見えるが赤外線領域での分光反射率は前者が大きく、後者は小さいので本発明に好適に利用できる。
【0044】
本発明においては印刷層2a、2bの可視光領域の分光反射率を40%以下とすることが好ましい。真珠光沢層3は反射率の高い印刷層に形成するより反射率の低い印刷層に形成する方が真珠光沢感を著しく高めることができ、周囲とのコントラストを際だたせて視認性を向上できるからである。
【0045】
本発明の「真珠光沢層3」は、真珠光沢粉末とバインダーを主成分とする塗料やインキを、印刷或いは塗工することで得られる。真珠光沢粉末は、天然パールエッセンスや、雲母粉末、塩基性炭酸塩、魚鱗箔、薄片状のコレステリック液晶、光干渉フィルムやホログラムフィルムを薄片状にしたもの、薄片状の粉末に薄膜を被覆して光の干渉によって真珠光沢を発現させたもの等が好ましく使用される。薄片状の粉末としては、例えば、天然若しくは合成雲母、板状アルミナ、板状シリカ、タルク、オキシ塩化ビスマス、ガラスフレーク、二酸化珪素フレーク、プラスチック等の小板のフレークが適している。また、被覆する薄膜の素材としては、二酸化チタンや酸化ジルコニウム、二酸化鉄、酸化クロム、酸化コバルト、有機色素等の均一な層の、これらの1種以上を少なくとも薄片状の粉末の表面に一層以上被覆する。或いは、薄片状の粉末表面に被覆された酸化チタンを還元して低次酸化チタンとして光輝性を向上させた真珠光沢粉末を使用してもよい。
【0046】
本発明においては、真珠光沢粉末としてコレステリック液晶を使用すると、後に述べるように真贋判定機能を一層向上できる。コレステリック液晶は層状構造をなし、各層での分子長軸方向と層面が互いに平行であり、各層は少しずつ回転して重層している(スパイラル構造となっている)。このことが、ある入射光に対して選択的に反射する性質をもつことになり、例えば黒色のベースフィルムの上に赤色の波長の光を反射するコレステリック液晶を塗工してから太陽光等の白色光を照射すると、赤色の光を反射し残りの波長の光は吸収されるので鮮やかな真珠光沢を持った赤色に見える。
【0047】
また、コレステリック液晶は見る角度によって色相が変化するという別の利点があり、このことは真贋判定にとって好ましい特徴となる。また、コレステリック液晶の塗工面を、偏向フィルターを通して観察すると偏向フィルターの位置の変化で塗工面の明るさが変化するという特異な現象を観察できる。コレステリック液晶以外の真珠光沢粉末ではこのような現象は起きないので、このことも真贋判定にとって好ましい特徴となる。
【0048】
本発明で用いる真珠光沢粉末は、虹彩色を発するものを使用すると見る角度で色相が変化する特徴を出すことが出来るので好適に使用できる。即ち、例えば乱反射光のもとでは赤色に見える虹彩色真珠光沢粉末は、正反射光のもとでは、赤色に対して補色の関係にある青緑色の真珠光沢が視認できる。また、乱反射光のもとでは青緑色に見える虹彩色真珠光沢粉末の場合には、正反射光のもとでは、その補色である赤色の真珠光沢が視認できる。ここで補色とは、光の場合、混ぜ合わせたときに無彩色となる2色の関係を言い、マンセルの色相環で互いに反対側同士にある色がこれに相当する。例えば赤色に対しては青緑色が、紫色に対しては黄緑色等がその例である。本発明においてはかような虹彩色を発する真珠光沢粉末を用いることにより、真贋判定機能を一層高めることができる。
【0049】
真珠光沢粉末と混合して使用するバインダーとしては、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、石油樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ニトロセルロース、環化ゴム、塩化ゴム等の単独あるいは混合物を使用でき、これらの1種類以上をトルエン、酢酸エチル、メチル・エチル・ケトン、アセトン、ガソリン等の石油系溶剤等の有機溶剤に溶解して使用する。或いは、ロジン変性フェノール樹脂を乾性油(アマニ油等)と高沸点溶剤で溶解したオフセット印刷インキ用のビヒクルにしたもの、或いは、SBRラテックス、MBRラテックス、酢酸ビニルエマルジョン、アクリル酸エステルエマルジョン、ポリビニルアルコール系樹脂等の水系のバインダーを使用する。
【0050】
前記した真珠光沢粉末とバインダーを混合し、本発明の目的を阻害しない範囲で必要に応じて、分散剤、増粘剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、有機、無機顔料や紫外蛍光発色剤、着色剤等の添加剤を併用して塗料やインキを調製する。
【0051】
真珠光沢層3を形成するための塗料或いはインキ中の真珠光沢粉末とバインダーの使用割合は、真珠光沢粉体の使用比率が高ければ高いほど真珠光沢感が高まるがフィルムへの接着強度が不足するので、乾燥重量換算で通常は真珠光沢粉体100重量部に対してバインダーを50〜500重量部とする。
【0052】
このようにして製造した塗料やインキを使用して、無色のシート状物1aの表面に形成した印刷層2a、印刷層2bの上に、塗工機や印刷機を使用して真珠光沢層3を形成する。この際、塗工厚みや印刷厚み(いずれも乾燥換算)は、薄すぎると真珠光沢感が失われ、厚すぎると真珠光沢を向上する効果がそれ以上得られ難くなり、また赤外線の透過量が減少し本発明の目的を達成するのが困難になるので、通常1〜15μm、好ましくは3〜10μmとする。
【0053】
真珠光沢層3は、エアナイフコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンフローコーター等の周知のコーターや、オフセット印刷機、グラビア印刷機、スクリーン印刷機等の周知の印刷機を使用して形成することができる。
【0054】
以上で本発明の第1の発明である真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートが出来上がる。このシートを観察すると真珠光沢感に優れた表面が視認でき、前述したような赤外線画像を可視化できる装置で観察すると隠し文字や図柄を検知できる。
【0055】
本発明の第2の発明は、前に述べたように(図4、図5参照)、着色されたシート状物1bの表面に、赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層2a、及び/又は赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層2b、及び真珠光沢層3が設けられており、前記着色されたシート状物1bと赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層2aと赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層2bとが通常光のもとで同色に見え、かつ赤外線領域での分光反射率が相違していることを特徴とする真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートである。
【0056】
この構成の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートは、無色のシート状物1aの代わりに着色されたシート状物1bを使用することが第1の発明の真珠顔料塗工シートと異なるが発明の目的と効果は第1の発明と同じである。
【0057】
着色されたシート状物1bとしては、着色紙や着色された合成紙等の周知のシート状物を使用できる。例えば図4の例では、着色されたシート状物1bとして赤外線を吸収する性能を有したカーボンブラック粉末のような顔料や染料を周知の方法でセルロース繊維に定着させて抄紙した黒色紙を使用し、その表面に前述したような赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層2aを形成し、さらにその上に前述したような真珠光沢層3を形成する。このシートを観察すると真珠光沢感に優れた表面が視認でき、前述したような赤外線画像を可視化できる装置で観察すると隠し文字や図柄を検知できる。
【0058】
また図5の例では、着色されたシート状物1bとして赤外線を反射する性能を有した顔料や染料を周知の方法でセルロース繊維に定着させて抄紙した黒色紙を使用し、その表面に前述したような赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層2bを形成し、さらにその上に前述したような真珠光沢層3を形成する。このシートを観察すると真珠光沢感に優れた表面が視認でき、前述したような赤外線画像を可視化できる装置で観察すると隠し文字や図柄を検知できる。
【0059】
本発明の第3の発明は、以上説明した真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートの表面にさらに印刷層Pを設けたことを特徴とする真贋判定機能を有する印刷物である(図6参照)。この際、印刷層Pが、通常光のもとで同色に見え、かつ赤外線領域での分光反射率が相違している少なくとも2種類の印刷層とすることで真贋判定機能をより向上させることができる。
【0060】
図13はそれをさらに具体的に示したものであって、真贋判定機能を有する印刷物の一例の正面図である。この例は、無色のシート状物としてクリーム色のOCR用紙を使用し、その上に「藍+黄+紅インキ」よりなる墨インキの印刷層をグラビア印刷機を使用してベタ印刷し、さらに「GENUINE」という中抜き文字をカーボン墨インキで印刷し、さらにその上に真珠光沢層3を設けた例である。印刷層Pとして、赤外線を吸収する印刷層P1をカーボン墨インキで印刷し、赤外線を反射する印刷層P2を「藍+黄+紅インキ」よりなる墨インキを使用して印刷した。
【0061】
この印刷物を、例えばピーク波長が830nmの赤外線を発するLEDを使用して赤外線を照射し、その画像を赤外線フィルターを取り外したCCDカメラで撮影し、CRTに画像として映し出す装置を使用して観察すると図14に示したように、可視光では見えなかった「GENUINE」と言う文字が明瞭に視認でき、また赤外線を吸収する印刷層P1と赤外線を反射する印刷層P2の差も明度の差となって明瞭に視認できた。即ち印刷層P1(AとCの文字)は黒く見えたが、印刷層P2(BとDの文字)は印刷層P1と比較して明るく見えた。
【0062】
以上は、真珠光沢層がシート全面に形成される例について説明したが、本発明に於いては、図15に一例として示したように、無色のシート状物1aの上に形成する印刷層2a、印刷層2b、真珠光沢層3をスポット状に形成してもよい。こうすることでシートの一部分に真珠光沢感を有するスポットが形成されることとなる。スポットは円形、楕円形、長方形、正方形、星形等の図形は無論のことあらゆる図柄や文字で形成してもよい。形成する手段は前述したような印刷による方法が好ましい。この際、意匠的な効果を考慮して、印刷層2a、印刷層2b、真珠光沢層3を多少ずらして印刷することも構わない。無色のシート状物1aの代わりに着色されたシート状物1bを使用する場合も同様である。
【0063】
また、本発明に於いては、周知の偽造防止技術と組み合わすことは一向に構わない。例えば用紙に於いては、すき入れ、スレッドの抄き込み、紫外蛍光発色繊維の混抄、紫外蛍光発色粒子の混抄、等の周知の技術と、印刷等に於いては、細紋印刷、マイクロ文字印刷、紫外蛍光発色インキ、赤外吸収インキ、ホログラム箔等の転写、等の周知の技術と組み合わすことで一層真贋判定機能を向上できる。
【0064】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳述する。実施例において、重量部、重量%はいずれも乾燥重量部、乾燥重量%を意味する。
【0065】
【実施例】
実施例1 真贋判定機能を有する真珠顔料塗工紙の製造例
無色のシート状物(基紙)の製造
NBKP20重量部、LBKP80重量部を350mlC.S.F.に叩解し、これに白土10重量部、紙力増強剤(商品名「ポリストロン191」、荒川化学工業(株)製造)0.3重量部、サイズ剤(商品名「サイズパインE」、荒川化学工業(株)製造)1.0重量部、硫酸バンド適量を加え紙料を調製した。
この紙料を用いて長網抄紙機で坪量110g/m2 の基紙を常法に従って製造した。この基紙の表面に有機溶剤の浸透防止層としてポリビニルアルコール(商品名「PVA−KL−318」、クラレ(株)製造)塗工層を2.5g/m2 の塗工量で設けた。
【0066】
赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層の形成
メチル・エチル・ケトン500重量部に、ロイコ染料(商品名「BK−202」、山田化学(株)製造)100重量部、顕色剤としてビスフェノール(商品名「BPS−N」、日華化学(株)製造)を200重量部加えて黒色の色材とした。これとは別にポリエステル系樹脂(商品名「バイロン」、東洋紡(株)製造)150重量部、イソシアネート系硬化剤を適量、トルエン320重量部、メチル・エチル・ケトン170重量部よりなる溶液を準備し、前記黒色の色材と混合した。次いで前述の基紙の表面にグラビア印刷機を用いて常法に基づいて塗工量が6g/m2となるように全面ベタ印刷し赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層2aを形成した。
【0067】
赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層の形成
グラビア印刷機のグラビアロールに、文字の大きさ15ポイント、線数175L、深さ30μm、で「GENUINE 」という単語をくり返した文字列(列と列の間隔は10mmとした)をロールの周長方向全面に連続して形成した。次いで、前記印刷層2aを形成した基紙の上に、色材としてカーボンブラックを使用したグラビア印刷用墨インキ(商品名「HRカラー墨」、大日精化工業(株)製造)を用いて、常法に従い印刷を施した。
【0068】
真珠光沢層の形成
赤色の虹彩色を発する真珠顔料(商品名「マリーン・ラスター・ピグメンツ、ハイライト・スーパーレッド9430Z」、マール・コーポレーション製造)100重量部、ガラス転移点50℃のアクリルエマルジョン(商品名「AE116」、日本合成ゴム(株)製造)60重量部、ガラス転移点20℃のアクリルエマルジョン(商品名「AE932」、日本合成ゴム(株)製造)40重量部、リン酸化澱粉(商品名「MS−4600」、日本食品加工(株)製造)10重量部よりなる塗料を使用して前記赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層の上に3.5μmの塗工厚みになるように塗工して真珠光沢層を設けた。
【0069】
得られた真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートを観察すると全面が赤金色に見え、「GENUINE」という文字印刷は視認できなかった。この真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートに波長880nmの赤外線(LEDを使用)を照射し、赤外線も感知できるCCDビデオカメラで撮影して画像をCRTに出力したところ、「GENUINE」の文字を明確に読みとることができた。
【0070】
実施例2 真贋判定機能を有する印刷物の製造
実施例1の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートの表面に36ポイントの大きさで「特種製紙株式会社」と印刷した。この際、「特、製、株、会」の文字をカーボン墨インキで印刷することで赤外線を吸収する印刷層P1を形成し、「種、紙、式、社」の文字を「藍+黄+紅インキ」よりなる墨インキを使用して印刷することで赤外線を反射する印刷層P2を形成した。
【0071】
この印刷物を、白熱電球のもとで正面から観察すると赤金色を背景に、黒色の「特種製紙株式会社」という印刷された文字が視認でき、印刷物を斜めから見ると緑金色を背景に、黒色の「特種製紙株式会社」という印刷された文字が視認できた。この表面にピーク波長が830nmの赤外線を発するLED使用して赤外線を照射し、その画像を赤外線フィルターを取り外したCCDカメラで撮影し、CRTに画像として映し出す装置を使用して観察したところ、蛍光灯のもとでは見えなかった「GENUINE」と言う文字が明瞭に視認でき、また「特種製紙株式会社」という文字を印刷した部分では「特、製、株、会」の文字が濃度の濃い黒色に見え、「種、紙、式、社」の文字はそれよりはるかに淡い色の文字として視認できた。
【0072】
この印刷物をカラーコピー機で複写しても、真珠光沢層の真珠光沢感は再現できなかったし、上記装置を使用して観察しても当然のことであるが「GENUINE」と言う文字は確認できなかった。
【0073】
実施例3 印刷物(商品券)の表面にスポット状に真贋判定機能を有する印刷層を形成した例・・図16参照
先ず、本発明者らが先に特願平8−135244号(特許第2845197号)で提案した方法に準じた方法で製造した偽造防止用紙を準備した。
紙料の調製
NBKP20重量部,LBKP80重量部を350mlC.S.F.に叩解し、これに白土10重量部、紙力増強剤(商品名「ポリストロン191」、荒川化学工業(株)製造)0.3重量部、サイズ剤(商品名「サイズパインE」、荒川化学工業(株)製造)1.0重量部、硫酸バンドを適量加え紙料を調製した。
【0074】
抄紙網の製造
短辺10mm、長辺20mm、厚み0.3mmの型を多数用意し、円網抄紙機の円網シリンダーの上網(幅1300mm)に、2液硬化型のエポキシ接着剤を使用して紙の流れ方向に対して8mm間隔で連続的に貼りつけた。この列を上網の幅方向に等間隔に6列取り付けた。
【0075】
用紙の抄造
2槽式円網抄紙機の1槽目の丸網シリンダーには何等細工を施さない上網を装着し、2槽目の円網シリンダーには上記型を取り付けた上網を装着した。1槽目で形成した第1層目の紙層の上に2槽目で形成した第2層目の紙層が重なるようにして、前記紙料を用い抄紙速度40m/分で2層抄合わせ紙を製造した。この際、第1層目(乾燥重量に換算して50g/m2 )と第2層目(同50g/m2 )の間に厚み15μm、幅1.5mmの、感熱接着剤を両面に塗工した金銀糸用スレッドを、特公平5−40080号で提案した方法を用いて型の中央に相当する位置に挿入した。次いで常法に従い湿紙を脱水後、シリンダードライヤーで乾燥し、2層抄合わせ紙からなる「窓開きスレッド入りタイプ」の偽造防止用紙を製造した。得られた用紙は、用紙の縦方向における窓開き部の長さが10mm、非窓開き部の長さが8mmであり、窓開き部Wの中にスレッドTが露出し、非窓開き部ではスレッドTが紙層の間に埋設された状態となっていた。
【0076】
スポット状の真贋判定機能を有する印刷層の形成
オフセット印刷用のプロセスインキとして、色材としてフタロシアニンブルーを使用した藍インキ、及び色材としてベンジジンイエローを使用した黄インキ、及び色材としてカーミンBを使用した紅インキ(いずれも商品名「TOYO KING ハイプラス」、東洋インキ製造(株)製造)を混合して調製した墨インキを準備した。この墨インキでオフセット印刷機を使用して、前記窓開きスレッド入り紙表面の所定の位置に、15×30mmの大きさのベタ印刷を施した。
【0077】
次いで、色材としてカーボンブラックを使用した墨インキ(商品名「TOYOKING ハイプラス墨」、東洋インキ製造(株)製造)で、文字の大きさ10ポイントの活字で「GENUINE」と印刷した。次いで、正反射光のもとで赤金色に見える真珠光沢粉末(商品名「イリオジン522」、メルク・ジャパン(株)販売)を100重量部、バインダーとしてポリエステル系樹脂(商品名「バイロン」、東洋紡(株)製造)を130重量部、イソシアネート系硬化剤を適量、溶剤としてトルエン280重量部、メチル・エチル・ケトン150重量部よりなるインキを調製し、これを使用してグラビアコーターで前記ベタ印刷部の上に15×30mmの大きさで重ね刷りし、厚み5μmの真珠光沢層3を形成した。真珠光沢層3以外の部分に商品券として必要な印刷層を常法に基づいて形成し、次いで断裁して図16に示すような商品券を製造した。
【0078】
この商品券を、通常光(白熱電球)のもとで正面から観察すると真珠光沢層3は赤金色に見えた。この表面にピーク波長が830nmの赤外線を発するLED使用して赤外線を照射し、その画像を赤外線フィルターを取り外したCCDカメラで撮影し、CRTに画像として映し出す装置を使用して観察したところ、通常光のもとでは見えなかった「GENUINE」と言う文字が明瞭に視認できた。
【0079】
この商品券をカラーコピー機で複写しても、窓開き部分に露出しているスレッドの金属光沢と真珠光沢層3の真珠光沢感は再現できなかったし、実施例2で述べた装置を使用して観察しても当然のことであるが「GENUINE」と言う文字は確認できなかった。
【発明の効果】
以上述べたように本発明の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シート、及びそれを使用した真贋判定機能を有する印刷物は製造され、下記に述べるような顕著な効果を有する。
1)従来の、真珠光沢顔料を使用した真珠顔料塗工シートの真贋判定機能を一段と高めることができる。即ち、本発明の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートは、外観は鮮やかな真珠光沢を有するので意匠性に優れると共に、カラーコピー機やパソコンと連動したスキャナーとカラープリンター等を使用して偽造を試みても、その真珠光沢感を再現できないという効果がある。また、赤外線を照射しそれを可視化した時に通常光源では観察できなかった文字や画像を視認できるという従来にない顕著な効果を発揮する。
【0080】
2)真珠光沢顔料は紫外線を吸収するものが多く、耐光性の劣る色材を用いた図柄や文字等の印刷層が退色するのを防ぐことができる。
【0081】
3)このシートの表面に所定の印刷を施して真贋判定機能を有する印刷物を製造するが、その際、カーボンブラックを使用した墨インキ等と、藍インキ、黄インキ、紅インキを混合して調製した墨インキ等で図柄や文字等の印刷部分を刷り分けることで真贋判定機能を一層高めることができる。
【0082】
4)偽造を試みる者が、本発明のシートや印刷物の構成を解析できたとしても、どういう種類の真珠顔料を使用しているかを見つけ出し、また印刷層に使用しているメタメリック色材の組み合わせを見つけ出すのは至難の業で、偽造は極めて困難になる
5)これらの特徴を生かして、本発明の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートを使用した印刷物は、紙幣、小切手、株券、債券、商品券、カード、機密文書、パスポート、身分証明書、セキュリティタグ、ステッカー、ラベル等の真贋判定機能を要求される用途に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートの一例の一部拡大断面図である。
【図2】別の構造の、本発明の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートの一例の一部拡大断面図である。
【図3】別の構造の、本発明の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートの一例の一部拡大断面図である。
【図4】別の構造の、本発明の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートの一例の一部拡大断面図である。
【図5】別の構造の、本発明の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートの一例の一部拡大断面図である。
【図6】本発明の真贋判定機能を有する印刷物の一例の一部拡大断面図である。
【図7】藍インキを、RIテスターを使用して四六<90>のコート紙にベタ印刷し、分光光度計で測定した結果(分光反射率曲線)を示している。
【図8】黄インキを、RIテスターを使用して四六<90>のコート紙にベタ印刷し、分光光度計で測定した結果(分光反射率曲線)を示している。
【図9】紅インキを、RIテスターを使用して四六<90>のコート紙にベタ印刷し、分光光度計で測定した結果(分光反射率曲線)を示している。
【図10】藍インキ、黄インキ、紅インキを混合した墨インキをRIテスターを使用して四六<90>のコート紙にベタ印刷したものを分光光度計で測定した結果と、色材としてカーボンブラックを使用した墨インキを使用して四六<90>のコート紙にベタ印刷したものを分光光度計で測定した結果を示している。
【図11】四六<90>のコート紙に印刷層を細紋状の図柄で形成した例である。
【図12】図11の印刷物に赤外線を照射してそれを可視化した像である。
【図13】真贋判定機能を有する印刷物の一例の正面図である。
【図14】図13の印刷物に赤外線を照射して可視化した画像である。
【図15】別の構造の、本発明の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートの一例の一部拡大断面図である。
【図16】印刷物の表面にスポット状に真贋判定機能を有する印刷層を形成した例(商品券)の一部拡大正面図である。
【符号の説明】
1a 無色のシート状物である。
1b 着色されたシート状物である。
2a 赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層である。
2b 赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層である。
3 真珠光沢層である。
P 印刷層である。
T スレッドである。
W 窓開き部分である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートとそれを使用した真贋判定機能を有する印刷物に関するものである。詳しくは、白熱灯や蛍光灯等の室内光や自然光等のような通常の光のもとでは真珠光沢感に優れた面や真珠光沢感に優れたスポットとして視認されるだけであるが、赤外線を照射してそれを可視化できる装置で観察すると面やスポットに隠されたマイクロ文字等の文字や画像が視認できるという高度な真贋判定機能を有する真珠光沢シートとそれを使用した真贋判定機能を有する印刷物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
真珠顔料塗工シート、例えば真珠顔料塗工紙は、真珠顔料独特の美しい真珠光沢を呈することから、本の表紙、見返し等の出版用、パンフレット、ポスター等の広告宣伝用、箱貼り、ラベル、タグ、包装、便箋等の文具用等々に広く使用されてきた。
【0003】
この真珠顔料塗工紙に関する提案は過去に数多くある。例えば、特公昭39−29267号には塩基性炭酸鉛系真珠顔料をカゼインおよびメラミン−ホルムアルデヒド樹脂または尿素ホルムアルデヒド樹脂、合成樹脂ラテックスよりなる接着剤により塗被することが、また、特公昭51−45682号には模様化されて分布された多数の凹凸起伏を有する基紙にパール光沢性顔料を被覆することが、特公平1−47597号には原紙上に水性顔料塗被層を設け、この上に順次、水性真珠顔料塗被層、水溶性高分子物質を主成分とする表面処理層を設けることが提案されている。
【0004】
前記したように真珠顔料塗工紙の利用分野にラベルやダグ等の印刷物がある。例えば、ワイン、ウイスキー、ブランディ、日本酒、等のアルコール飲料や、衣料品、バッグ、靴、時計、インクジェット記録用のインキカートリッジ、自動車の純正部品等のありとあらゆる商品には何らかのラベルやタグがつけられている。最近はこれらの商品に贋物が氾濫し社会的にも大きな問題になり、何らかの対策を施すことが求められている。
【0005】
これらの商品の真贋を判定する一つの手段は高度な真贋判定機能を持たせたラベルやタグを用いることである。この動きは既に種々の商品において顕在化しており、パソコン用のOSの保証書に高度な真贋判定機能を有したラベルが貼合されていること、インクジェット記録用インキカートリッジの包装箱の表面にやはり高度な真贋判定機能を有したラベルが貼合されていること等がその実例である。しかしながら、真珠顔料塗工シートを用いたラベルやタグに於いては高度な真贋判定機能を有したものは従来存在しなかった。
【0006】
一方、商品券、株券、債券、小切手、宝くじ等の金銭的価値を有する有価証券類や紙幣には、容易に偽造又は変造されない様に古くから多種多様の偽造防止対策が施されてきた。この偽造防止対策は大きく2つに分けることができる。1つ目は偽造防止対策を施した用紙、即ち偽造防止用紙を使用すること、2つ目は印刷で偽造防止対策を施すことである。
【0007】
近年、技術の進歩により、上記した有価証券類が多色印刷機による方法、カラーコピー機による方法、パソコンに連動したスキャナーで画像を取り込みカラープリンターでプリントする方法等で偽造されることが多くなっている。最近は、解像度や色相等が本物と見分けがつかないほど格段に精巧になり、比較的簡単に偽造品を作製できるようになってきた。
【0008】
このような背景から、上記したような機器を使用した偽造を防止する技術や、上記有価証券類が偽造されたものであるか否かを判定(真贋判定)するための方法も種々提案されてきた。例えば「メタメリズム(条件等色)」を利用した真贋判定の技術はその一例である。「メタメリズム(metamerism)」または「条件等色(metameric・match)」とは、分光分布特性が異なっているにもかかわらず観察条件によって知覚的に同じ色に見えることを言う(「色彩ワンポイント」(財)日本色彩研究所編、(財)日本規格協会発行、1993年、第1巻67頁)。
【0009】
例えば、特許第1331101号(特公昭60−58711号)では、太陽光、蛍光灯、白熱電球等の通常光源で見える色と、所望のフィルターを通して見るかあるいは所望の分光エネルギー分布を有する光源のもとで、見える色が異なった色相、明度、彩度に見えるメタメリックな性質を有する色材でなる、メタメリックインキを用いた偽造防止技術が提案されている。このメタメリックインキと同色の通常の印刷インキとで、所望のパターン群を用紙表面に組み合わせパターンとして形成させたものを、例えばカラーコピー機で複写すると、通常光のもとで同色であったものが両者の色に差が生じ、偽造品であることが判明するものである。
【0010】
また特開2001−159094号では、パルプ繊維でなる紙基材に、メタメリックな色材を含有するインキが塗布された紙小片もしくは繊維片が漉き込まれている偽造防止用紙およびそれを用いた有価証券が提案されている。
【0011】
一方、金属光沢や真珠光沢や虹彩色は、カラーコピー機による方法、パソコンに連動したスキャナーで画像を取り込みカラープリンター等でプリントする方法等では再現することが出来ないことを利用した偽造防止技術も提案されている。例えば、本出願人は、特開平6−313298号で、基紙表面に真珠顔料と接着剤を主体とした部分的な被覆層を形成し偽造防止用紙を得ること、この用紙を使用して印刷を施し、偽造防止印刷物を得ることを提案した。
【0012】
また、同じく本出願人は、特許第3075454号で2層以上の抄合わせ紙よりなり、最外の紙層2が20〜50g/m2であり、かつ光輝性を有する細片が含まれていることを特徴とする偽造防止用紙を提案した。
【0013】
また、特開2001−260517号では、被印刷基材上に、パール顔料を含まないインキを用いて形成された、前記被印刷基材の表面の平滑性を向上させるための下地印刷塗膜が少なくとも一層以上積層してあり、前記下地印刷塗膜上には、パール顔料を含有するパールインキを用いて形成されたパール印刷塗膜が少なくとも一層以上積層されていることを特徴とするパール調印刷物が提案されている。この発明は、パール調印刷物を、オフセット印刷や活版印刷を利用して製造する際に、被印刷基材の表面が粗面であって、印刷塗膜中のパール顔料の配向方向が一定しないことにより、得られるパール光沢が不十分な点を解消することを課題としている。また、この発明では、上層のパール印刷塗膜のパール光沢を見えやすくするために、下地印刷塗膜の色相を比較的明度の低い暗色とすることも提案されている。
【0014】
一方、高度な偽造防止効果を有した偽造防止用紙として、「窓開きスレッド入り紙」と呼ばれている用紙がある。この偽造防止用紙の製造方法は、ワイヤ上の紙料懸濁液に、凹凸部を有するガイドの凸部先端に糸状物を通した溝を有するベルト機構を埋没して製造する方法(特公平5−85680号)や、凹凸状に加工した網を円網抄紙機の上網に使用し、糸状物を網表面の凹凸部に接触させながら挿入して窓開き部分に糸状物を抄き込む方法(米国特許第4462866号)や、長網抄紙機のワイヤ上の回転ドラム内に圧縮空気ノズルを内蔵させ、予め紙匹に挿入した糸状物上のスラリーを圧縮空気で間欠的に吹き飛ばして糸状物を露出させる方法(特開平6−272200号)等が提案されている。
【0015】
前記した真珠光沢顔料の偽造防止効果と、窓開きスレッド入り紙の偽造防止効果を組み合わせた偽造防止用紙については、本出願人により特願平07−141160号(特開平08−311800号)で提案されている。即ちこの出願は、2層以上の紙層で構成され、最外部に位置する紙層が窓開き部を有し、最外部に位置する紙層とその下に位置する紙層の間に真珠光沢を有するスレッドが挿入されており、該帯状物が窓開き部に露出していることを特徴とする偽造防止用紙に関するものである。
【0016】
前記した、特許第1331101号(特公昭60−58711号)や特開2001−159094号で提案されているメタメリック現象を利用した偽造防止印刷技術は、この仕組みが判ってしまえば比較的容易に偽造されるおそれがあり、またメタメリック色材の一方は耐光性に優れた無機系の着色顔料であり、他方は耐光性に劣る有機染料の組み合わせである場合が多く、印刷面が光によって短時間に変色したり、長期保存中に変色することが問題であった。
【0017】
また、特開平6−313298号、特許第3075454号で提案された真珠顔料の色相は穏やかなパール調であり、用紙の色とのコントラストに欠けて視認性がやや劣ることが問題であった。また、前記した特開2001−260517号に提案されたパール調印刷物も、この仕組みが判ってしまえば比較的容易に偽造されるおそれがあった。また、特開平08−311800号で本出願人が提案した偽造防止用紙は偽造防止技術を一層高めることが要求されてきた。これら従来技術の問題点を解消し、より一層偽造防止効果を高めた全く新規な偽造防止技術(真贋判定機能)として、本発明者らは特願2002−116105号として、真贋判定機能を有するスレッド、及びそれを使用した偽造防止用紙を提案した。
【0018】
即ちこのスレッドは、可視光線及び赤外線のいずれも透過する性能を有したフィルムの片方の面に、真珠光沢層、赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層、赤外線を透過する性能を有した図柄や文字等の印刷層が設けられており、前記赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層と、赤外線を透過する性能を有した図柄や文字等の印刷層とが通常光のもとで同色に見え、かつ赤外線領域での分光反射率が相違しているようにして構成され、このスレッドを紙に抄き込み「窓開きスレッド入り紙」を製造することで高度な真贋判定機能を持たせることができる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、真珠顔料塗工シートに従来にない高度な真贋判定機能を持たせることを課題とする。またこの真珠顔料塗工シートを使用して従来にない高度な真贋判定機能を有した印刷物を得ることを課題とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前に述べた真珠顔料塗工シートに特願2002−116105号に提案した技術を応用すると高度な真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートを製造することができることを見いだし、本発明を完成させたものである。
【0021】
本発明を図面に基づいて説明する。図1は本発明の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートの一例の一部拡大断面図である。
本発明の第1の発明は、無色のシート状物1aの表面に、赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層2a、及び赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層2b、及び真珠光沢層3が設けられており、前記赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層2aと、赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層2bとが通常光のもとで同色に見え、かつ赤外線領域での分光反射率が相違していることを特徴とする真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートである。
【0022】
また、図4及び図5は別の構造の、本発明の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートの一例の一部拡大断面図である。
本発明の第2の発明は、着色されたシート状物1bの表面に、赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層2a、及び/又は赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層2b、及び真珠光沢層3が設けられており、前記着色されたシート状物1bと赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層2aと赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層2bとが通常光のもとで同色に見え、かつ赤外線領域での分光反射率が相違していることを特徴とする真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートである。
【0023】
また、図6は図1に示した本発明の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートの表面に印刷層Pを設けたことを特徴とする、真贋判定機能を有する印刷物の一例の一部拡大断面図である。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の発明である、無色のシート状物1aの表面に、赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層2a、及び赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層2b、及び真珠光沢層3が設けられており、前記赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層2aと、赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層2bとが通常光のもとで同色に見え、かつ赤外線領域での分光反射率が相違していることを特徴とする真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートについて先ず説明する。
【0025】
本発明で使用する「無色のシート状物1a」としては、従来周知の方法によって製造される無色の紙や、合成樹脂や顔料等を材料として従来周知の方法によって製造される無色の合成紙等が何れも使用できる。なお、「無色」とは本発明に於いては実質的に無色であることを意味し、完全に無色のシート状物は無論のこと、わずかに着色しているシート状物も本発明の、無色のシート状物の範疇に入るものとする。例えばOCR用紙は通常ごくわずかなクリーム色に着色されているが、この用紙は本発明の範疇に入るものとする。なお、無色のシート状物の表面に加工適性を向上するような、例えば有機溶剤の浸透を防止するような塗工層を設けることは一向に構わない。
【0026】
次に本発明の「赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層2a」と、「赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層2b」について説明する。印刷層2a、2bは印刷インキや塗料を使用して形成する。通常、印刷インキは、色材、ビヒクル、補助剤を主成分としている。色材は有機や無機の顔料、染料よりなり、ビヒクルは、油、樹脂、ピッチ、溶剤、可塑剤等からなり、補助剤は、ワックス、グリース、ドライヤー、酸化防止剤、濡和剤、等からなっている。塗料は色材とバインダーを主剤とし、これに上記したような補助剤を適宜添加して調製する。この際、樹脂やバインダーの耐有機溶剤性を向上させるためにイソシアネート系等の架橋剤を適宜併用することで、耐有機溶剤性を高めることができる。
【0027】
本発明ではこの色材として特異な性能を有したものを使用する。即ち、通常光のもとでは同じ色(本発明では有彩色に限らず無彩色も含むものとする)に見えるが、赤外線領域での分光反射率が互いに異なる色材の組み合わせで特異な効果を発現させる。
【0028】
色材としては、無機顔料、有機顔料、有機染料等を使用する。有機顔料としては、リゾールレッド、レーキレッドC、カーミン6B、キナクリンレッド、イソインドリンイエロー、キノフタロンイエロー、ジスアゾイエロー、フタロシアニンブルー、アルカリブルー、等の周知の顔料が、無機顔料としては、カーボン、黒色酸化鉄(Fe3O4)、黒色酸化チタン(チタンブラック)、銅・クロムブラック(CuCr2O4)、赤色酸化鉄(α−Fe2O3)、TiO2−BaO−NiO、チタンイエロー(TiO2−Sb2O3−NiO)、チタンバフ(TiO2−Sb2O5−Cr2O3)、黄鉛、黄色酸化鉄(α−FeO(OH))、ZnO−Fe2O3 、ZnO−Fe2O3−Cr2O3、酸化クロム(3価)(Cr2O3、クロミウムオキサイトグリーン)、クロムグリーン(黄鉛+紺青)、ビリジアン(ギネグリーン)、TiO2−CoO−NiO−ZnO、コバルトブルー(CoO/nAl2O3)、セルリアンブルー(CoO・nSnO2)、群青(Na6Al6Si6O24Sx:ウルトラマリンブルー)、紺青(MFe3+[Fe2+(CN)6](M=K,Na,NH4)等の周知の色材が使用できる。
【0029】
本発明では上記した色材に、通常光のもとでは白色か若しくは淡く着色している白色顔料を添加して、赤外線領域の分光反射率を変化させることもできる。特に通常光の反射率が高く、赤外線領域の反射率が低い顔料、例えば、リン酸塩系の白色結晶及びガラス系粉末やITO(酸化インジウム−スズ)粉末等の周知の顔料を好適に利用できる。
【0030】
通常カラー印刷物を作製する場合に使用されるプロセスインキは、藍(シアン)インキ、黄(イエロー)インキ、紅(マゼンタ)インキの三原色を使用してあらゆる色を再現させようとしている。インキの混合はいわゆる「減法混色」を示し、三原色を混ぜ合わせると「黒色」となる。実際は理論通りに真っ黒とならないので、「墨インキ」と称するカーボンブラックを色材に使用したインキで印刷することが行われている。通常藍インキには色材としてフタロシアニンブルーを、黄インキには色材としてジスアゾイエローを、紅インキには色材としてカーミン6Bを使用している。
【0031】
図7に色材にフタロシアニンブルーを使った藍インキを、RIテスターを使用して四六<90>のコート紙にベタ印刷し、分光光度計で測定した結果(分光反射率曲線)を示す。
【0032】
また、図8に色材にジスアゾイエローを使った黄インキを、RIテスターを使用して四六<90>のコート紙にベタ印刷し、分光光度計で測定した結果(分光反射率曲線)を示す。
【0033】
また、図9に色材にカーミン6Bを使った紅インキを、RIテスターを使用して四六<90>のコート紙にベタ印刷し、分光光度計で測定した結果(分光反射率曲線)を示す。
【0034】
また、図10に前記藍インキ、黄インキ、紅インキを混合した墨インキを使ってRIテスターを使用して四六<90>のコート紙にベタ印刷したものを分光光度計で測定した結果(点線)と、色材としてカーボンブラックを使用した墨インキを使用して四六<90>のコート紙にベタ印刷したものを分光光度計で測定した結果(実線)を示す。
【0035】
図10中の、両者の分光反射率曲線の対比で判るように、「藍+黄+紅インキ」を混合した墨インキを使用した印刷面の分光反射率曲線では、波長400〜700nmの反射率は極端に低く、700nmを過ぎると急激に反射率は大きくなっている。このことは、「藍+黄+紅インキ」で調製した墨インキはわずかに赤みがかかった黒色に見えることを示している。一方、「カーボン墨インキ」を使用した印刷面の分光反射率曲線も、可視光線領域の反射率は前記「藍+黄+紅インキ」を混合したインキの反射率とほぼ同一で、黒色に見えることを示している。
【0036】
この両者の差は非常に少ないので、図1〜3に示した本発明の真珠顔料塗工シートの例で、真珠光沢層を形成する以前のシートを観察すると、無色のシート状物1aの表面に設けられた印刷層2aとして「藍+黄+紅インキ」よりなる墨インキの印刷層を、印刷層2bとして「カーボン墨インキ」を使用した印刷層を形成した場合に両者の差を確認できず一面に黒色に見えることとなる。
【0037】
しかし、図10に示した通り赤外線領域では両者は大幅に異なっており、前述したように「藍+黄+紅インキ」を混合したインキの反射率は「カーボン墨インキ」の反射率よりはるかに大きくなっている。このことは、仮に人間の目が赤外線を感知できるような構造になっていた場合、両者は異なった色に見えることを示している。
【0038】
本発明ではこの現象を積極的に利用したものであって、赤外線を照射しその画像を可視化できるような装置で観察したり、信号を検知することで両者を識別し、真贋の判定機能に利用するものである。なお、本発明に於いて、「反射」或いは「吸収」の意味は、可視光或いは赤外光を完全に反射(反射率100%)あるいは吸収(反射率0%、即ち吸収率100%)することを意味するものではなく、赤外光を照射した場合に本発明の目的を達成できるだけの反射率の差が両者に認められればよいことを意味する。
【0039】
図11と図12はこのことを具体的に図示したものである。図11は、四六<90>のコート紙に印刷層を細紋状の図柄で形成した例を示し、細紋印刷層4a(赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層2aに相当する)は「藍+黄+紅インキ」を混合した墨インキで、細紋印刷層4bはカーボン墨インキ(赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層2bに相当する)を使用して形成されている。この印刷物は通常光のもとでは4a及び4bは同色(黒色)に見える(図11)が、両者は前に述べたように赤外線の反射率が異なっているので、その画像を可視化できるような装置、例えばピーク波長が830nmや900nmの赤外線を発するLEDや、波長1060nmの赤外線を発するガラスレーザを使用して赤外線を照射してその画像を、赤外線フィルターを取り外したCCDカメラ等で撮影し、CRTに画像として映し出す装置等を使用して観察すると、機器の調整具合にもよるが図12に示したように印刷層4bのみが黒く写って見え、印刷層4aは消えてしまったように写る。
【0040】
印刷層2は、印刷層2aを先ず印刷し、その上に印刷層2bを重ね刷りする方法(例えば図1)、印刷層2aと印刷層2bを接して印刷する方法(例えば図2)、印刷層2aと印刷層2bを離して印刷する方法(例えば図3)、印刷層2aの一部に印刷層2bが重なる方法、或いはこの逆等の単独或いは複数の組み合わせの、いずれの方法によって形成してもよい。また、印刷層2は文字や図柄(本発明では全面ベタ印刷も図柄の範疇に含むものとし、全面ベタ印刷層はエアナイフコーターやグラビアコーター等の塗工機を使用して形成してもよいものとする)で印刷されるが、この場合文字や図柄はベタ印刷や網点印刷のいずれの方法で表現してもよい。
【0041】
本発明においては、偽造防止効果を高める効果が大きいので、赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層2bをマイクロ文字や細紋で形成することもできる。またバーコード印刷や、OCR読み取りが可能な文字で形成することで、機械読み取り処理することができる。またMICR読み取りが可能な黒色酸化鉄とカーボンを混合したインクで2bの印刷層を形成することにより、MICR読み取りが可能とすることもできる。
【0042】
以上の説明では、印刷層2は、印刷層2aと印刷層2bの2つの例で述べたが、印刷層2bを赤外線領域での分光反射率が互いに異なる2種類以上のインキで形成することは一向にかまわない。
【0043】
以上は黒色のインキの例を説明したが、本発明は黒色以外の色相でも実現できる。例えば、フタロシアニングリーン、ジスアゾイエロー、カーボンブラックの組み合わせで製造した黄緑色のインキと、ブルーレーキ、ジスアゾイエローの組み合わせで製造した黄緑色のインキは通常光のもとでは同じ色相に見えるが赤外線領域での分光反射率は前者が大きく、後者は小さいので本発明に好適に利用できる。
【0044】
本発明においては印刷層2a、2bの可視光領域の分光反射率を40%以下とすることが好ましい。真珠光沢層3は反射率の高い印刷層に形成するより反射率の低い印刷層に形成する方が真珠光沢感を著しく高めることができ、周囲とのコントラストを際だたせて視認性を向上できるからである。
【0045】
本発明の「真珠光沢層3」は、真珠光沢粉末とバインダーを主成分とする塗料やインキを、印刷或いは塗工することで得られる。真珠光沢粉末は、天然パールエッセンスや、雲母粉末、塩基性炭酸塩、魚鱗箔、薄片状のコレステリック液晶、光干渉フィルムやホログラムフィルムを薄片状にしたもの、薄片状の粉末に薄膜を被覆して光の干渉によって真珠光沢を発現させたもの等が好ましく使用される。薄片状の粉末としては、例えば、天然若しくは合成雲母、板状アルミナ、板状シリカ、タルク、オキシ塩化ビスマス、ガラスフレーク、二酸化珪素フレーク、プラスチック等の小板のフレークが適している。また、被覆する薄膜の素材としては、二酸化チタンや酸化ジルコニウム、二酸化鉄、酸化クロム、酸化コバルト、有機色素等の均一な層の、これらの1種以上を少なくとも薄片状の粉末の表面に一層以上被覆する。或いは、薄片状の粉末表面に被覆された酸化チタンを還元して低次酸化チタンとして光輝性を向上させた真珠光沢粉末を使用してもよい。
【0046】
本発明においては、真珠光沢粉末としてコレステリック液晶を使用すると、後に述べるように真贋判定機能を一層向上できる。コレステリック液晶は層状構造をなし、各層での分子長軸方向と層面が互いに平行であり、各層は少しずつ回転して重層している(スパイラル構造となっている)。このことが、ある入射光に対して選択的に反射する性質をもつことになり、例えば黒色のベースフィルムの上に赤色の波長の光を反射するコレステリック液晶を塗工してから太陽光等の白色光を照射すると、赤色の光を反射し残りの波長の光は吸収されるので鮮やかな真珠光沢を持った赤色に見える。
【0047】
また、コレステリック液晶は見る角度によって色相が変化するという別の利点があり、このことは真贋判定にとって好ましい特徴となる。また、コレステリック液晶の塗工面を、偏向フィルターを通して観察すると偏向フィルターの位置の変化で塗工面の明るさが変化するという特異な現象を観察できる。コレステリック液晶以外の真珠光沢粉末ではこのような現象は起きないので、このことも真贋判定にとって好ましい特徴となる。
【0048】
本発明で用いる真珠光沢粉末は、虹彩色を発するものを使用すると見る角度で色相が変化する特徴を出すことが出来るので好適に使用できる。即ち、例えば乱反射光のもとでは赤色に見える虹彩色真珠光沢粉末は、正反射光のもとでは、赤色に対して補色の関係にある青緑色の真珠光沢が視認できる。また、乱反射光のもとでは青緑色に見える虹彩色真珠光沢粉末の場合には、正反射光のもとでは、その補色である赤色の真珠光沢が視認できる。ここで補色とは、光の場合、混ぜ合わせたときに無彩色となる2色の関係を言い、マンセルの色相環で互いに反対側同士にある色がこれに相当する。例えば赤色に対しては青緑色が、紫色に対しては黄緑色等がその例である。本発明においてはかような虹彩色を発する真珠光沢粉末を用いることにより、真贋判定機能を一層高めることができる。
【0049】
真珠光沢粉末と混合して使用するバインダーとしては、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、石油樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ニトロセルロース、環化ゴム、塩化ゴム等の単独あるいは混合物を使用でき、これらの1種類以上をトルエン、酢酸エチル、メチル・エチル・ケトン、アセトン、ガソリン等の石油系溶剤等の有機溶剤に溶解して使用する。或いは、ロジン変性フェノール樹脂を乾性油(アマニ油等)と高沸点溶剤で溶解したオフセット印刷インキ用のビヒクルにしたもの、或いは、SBRラテックス、MBRラテックス、酢酸ビニルエマルジョン、アクリル酸エステルエマルジョン、ポリビニルアルコール系樹脂等の水系のバインダーを使用する。
【0050】
前記した真珠光沢粉末とバインダーを混合し、本発明の目的を阻害しない範囲で必要に応じて、分散剤、増粘剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、有機、無機顔料や紫外蛍光発色剤、着色剤等の添加剤を併用して塗料やインキを調製する。
【0051】
真珠光沢層3を形成するための塗料或いはインキ中の真珠光沢粉末とバインダーの使用割合は、真珠光沢粉体の使用比率が高ければ高いほど真珠光沢感が高まるがフィルムへの接着強度が不足するので、乾燥重量換算で通常は真珠光沢粉体100重量部に対してバインダーを50〜500重量部とする。
【0052】
このようにして製造した塗料やインキを使用して、無色のシート状物1aの表面に形成した印刷層2a、印刷層2bの上に、塗工機や印刷機を使用して真珠光沢層3を形成する。この際、塗工厚みや印刷厚み(いずれも乾燥換算)は、薄すぎると真珠光沢感が失われ、厚すぎると真珠光沢を向上する効果がそれ以上得られ難くなり、また赤外線の透過量が減少し本発明の目的を達成するのが困難になるので、通常1〜15μm、好ましくは3〜10μmとする。
【0053】
真珠光沢層3は、エアナイフコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンフローコーター等の周知のコーターや、オフセット印刷機、グラビア印刷機、スクリーン印刷機等の周知の印刷機を使用して形成することができる。
【0054】
以上で本発明の第1の発明である真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートが出来上がる。このシートを観察すると真珠光沢感に優れた表面が視認でき、前述したような赤外線画像を可視化できる装置で観察すると隠し文字や図柄を検知できる。
【0055】
本発明の第2の発明は、前に述べたように(図4、図5参照)、着色されたシート状物1bの表面に、赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層2a、及び/又は赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層2b、及び真珠光沢層3が設けられており、前記着色されたシート状物1bと赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層2aと赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層2bとが通常光のもとで同色に見え、かつ赤外線領域での分光反射率が相違していることを特徴とする真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートである。
【0056】
この構成の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートは、無色のシート状物1aの代わりに着色されたシート状物1bを使用することが第1の発明の真珠顔料塗工シートと異なるが発明の目的と効果は第1の発明と同じである。
【0057】
着色されたシート状物1bとしては、着色紙や着色された合成紙等の周知のシート状物を使用できる。例えば図4の例では、着色されたシート状物1bとして赤外線を吸収する性能を有したカーボンブラック粉末のような顔料や染料を周知の方法でセルロース繊維に定着させて抄紙した黒色紙を使用し、その表面に前述したような赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層2aを形成し、さらにその上に前述したような真珠光沢層3を形成する。このシートを観察すると真珠光沢感に優れた表面が視認でき、前述したような赤外線画像を可視化できる装置で観察すると隠し文字や図柄を検知できる。
【0058】
また図5の例では、着色されたシート状物1bとして赤外線を反射する性能を有した顔料や染料を周知の方法でセルロース繊維に定着させて抄紙した黒色紙を使用し、その表面に前述したような赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層2bを形成し、さらにその上に前述したような真珠光沢層3を形成する。このシートを観察すると真珠光沢感に優れた表面が視認でき、前述したような赤外線画像を可視化できる装置で観察すると隠し文字や図柄を検知できる。
【0059】
本発明の第3の発明は、以上説明した真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートの表面にさらに印刷層Pを設けたことを特徴とする真贋判定機能を有する印刷物である(図6参照)。この際、印刷層Pが、通常光のもとで同色に見え、かつ赤外線領域での分光反射率が相違している少なくとも2種類の印刷層とすることで真贋判定機能をより向上させることができる。
【0060】
図13はそれをさらに具体的に示したものであって、真贋判定機能を有する印刷物の一例の正面図である。この例は、無色のシート状物としてクリーム色のOCR用紙を使用し、その上に「藍+黄+紅インキ」よりなる墨インキの印刷層をグラビア印刷機を使用してベタ印刷し、さらに「GENUINE」という中抜き文字をカーボン墨インキで印刷し、さらにその上に真珠光沢層3を設けた例である。印刷層Pとして、赤外線を吸収する印刷層P1をカーボン墨インキで印刷し、赤外線を反射する印刷層P2を「藍+黄+紅インキ」よりなる墨インキを使用して印刷した。
【0061】
この印刷物を、例えばピーク波長が830nmの赤外線を発するLEDを使用して赤外線を照射し、その画像を赤外線フィルターを取り外したCCDカメラで撮影し、CRTに画像として映し出す装置を使用して観察すると図14に示したように、可視光では見えなかった「GENUINE」と言う文字が明瞭に視認でき、また赤外線を吸収する印刷層P1と赤外線を反射する印刷層P2の差も明度の差となって明瞭に視認できた。即ち印刷層P1(AとCの文字)は黒く見えたが、印刷層P2(BとDの文字)は印刷層P1と比較して明るく見えた。
【0062】
以上は、真珠光沢層がシート全面に形成される例について説明したが、本発明に於いては、図15に一例として示したように、無色のシート状物1aの上に形成する印刷層2a、印刷層2b、真珠光沢層3をスポット状に形成してもよい。こうすることでシートの一部分に真珠光沢感を有するスポットが形成されることとなる。スポットは円形、楕円形、長方形、正方形、星形等の図形は無論のことあらゆる図柄や文字で形成してもよい。形成する手段は前述したような印刷による方法が好ましい。この際、意匠的な効果を考慮して、印刷層2a、印刷層2b、真珠光沢層3を多少ずらして印刷することも構わない。無色のシート状物1aの代わりに着色されたシート状物1bを使用する場合も同様である。
【0063】
また、本発明に於いては、周知の偽造防止技術と組み合わすことは一向に構わない。例えば用紙に於いては、すき入れ、スレッドの抄き込み、紫外蛍光発色繊維の混抄、紫外蛍光発色粒子の混抄、等の周知の技術と、印刷等に於いては、細紋印刷、マイクロ文字印刷、紫外蛍光発色インキ、赤外吸収インキ、ホログラム箔等の転写、等の周知の技術と組み合わすことで一層真贋判定機能を向上できる。
【0064】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳述する。実施例において、重量部、重量%はいずれも乾燥重量部、乾燥重量%を意味する。
【0065】
【実施例】
実施例1 真贋判定機能を有する真珠顔料塗工紙の製造例
無色のシート状物(基紙)の製造
NBKP20重量部、LBKP80重量部を350mlC.S.F.に叩解し、これに白土10重量部、紙力増強剤(商品名「ポリストロン191」、荒川化学工業(株)製造)0.3重量部、サイズ剤(商品名「サイズパインE」、荒川化学工業(株)製造)1.0重量部、硫酸バンド適量を加え紙料を調製した。
この紙料を用いて長網抄紙機で坪量110g/m2 の基紙を常法に従って製造した。この基紙の表面に有機溶剤の浸透防止層としてポリビニルアルコール(商品名「PVA−KL−318」、クラレ(株)製造)塗工層を2.5g/m2 の塗工量で設けた。
【0066】
赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層の形成
メチル・エチル・ケトン500重量部に、ロイコ染料(商品名「BK−202」、山田化学(株)製造)100重量部、顕色剤としてビスフェノール(商品名「BPS−N」、日華化学(株)製造)を200重量部加えて黒色の色材とした。これとは別にポリエステル系樹脂(商品名「バイロン」、東洋紡(株)製造)150重量部、イソシアネート系硬化剤を適量、トルエン320重量部、メチル・エチル・ケトン170重量部よりなる溶液を準備し、前記黒色の色材と混合した。次いで前述の基紙の表面にグラビア印刷機を用いて常法に基づいて塗工量が6g/m2となるように全面ベタ印刷し赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層2aを形成した。
【0067】
赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層の形成
グラビア印刷機のグラビアロールに、文字の大きさ15ポイント、線数175L、深さ30μm、で「GENUINE 」という単語をくり返した文字列(列と列の間隔は10mmとした)をロールの周長方向全面に連続して形成した。次いで、前記印刷層2aを形成した基紙の上に、色材としてカーボンブラックを使用したグラビア印刷用墨インキ(商品名「HRカラー墨」、大日精化工業(株)製造)を用いて、常法に従い印刷を施した。
【0068】
真珠光沢層の形成
赤色の虹彩色を発する真珠顔料(商品名「マリーン・ラスター・ピグメンツ、ハイライト・スーパーレッド9430Z」、マール・コーポレーション製造)100重量部、ガラス転移点50℃のアクリルエマルジョン(商品名「AE116」、日本合成ゴム(株)製造)60重量部、ガラス転移点20℃のアクリルエマルジョン(商品名「AE932」、日本合成ゴム(株)製造)40重量部、リン酸化澱粉(商品名「MS−4600」、日本食品加工(株)製造)10重量部よりなる塗料を使用して前記赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層の上に3.5μmの塗工厚みになるように塗工して真珠光沢層を設けた。
【0069】
得られた真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートを観察すると全面が赤金色に見え、「GENUINE」という文字印刷は視認できなかった。この真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートに波長880nmの赤外線(LEDを使用)を照射し、赤外線も感知できるCCDビデオカメラで撮影して画像をCRTに出力したところ、「GENUINE」の文字を明確に読みとることができた。
【0070】
実施例2 真贋判定機能を有する印刷物の製造
実施例1の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートの表面に36ポイントの大きさで「特種製紙株式会社」と印刷した。この際、「特、製、株、会」の文字をカーボン墨インキで印刷することで赤外線を吸収する印刷層P1を形成し、「種、紙、式、社」の文字を「藍+黄+紅インキ」よりなる墨インキを使用して印刷することで赤外線を反射する印刷層P2を形成した。
【0071】
この印刷物を、白熱電球のもとで正面から観察すると赤金色を背景に、黒色の「特種製紙株式会社」という印刷された文字が視認でき、印刷物を斜めから見ると緑金色を背景に、黒色の「特種製紙株式会社」という印刷された文字が視認できた。この表面にピーク波長が830nmの赤外線を発するLED使用して赤外線を照射し、その画像を赤外線フィルターを取り外したCCDカメラで撮影し、CRTに画像として映し出す装置を使用して観察したところ、蛍光灯のもとでは見えなかった「GENUINE」と言う文字が明瞭に視認でき、また「特種製紙株式会社」という文字を印刷した部分では「特、製、株、会」の文字が濃度の濃い黒色に見え、「種、紙、式、社」の文字はそれよりはるかに淡い色の文字として視認できた。
【0072】
この印刷物をカラーコピー機で複写しても、真珠光沢層の真珠光沢感は再現できなかったし、上記装置を使用して観察しても当然のことであるが「GENUINE」と言う文字は確認できなかった。
【0073】
実施例3 印刷物(商品券)の表面にスポット状に真贋判定機能を有する印刷層を形成した例・・図16参照
先ず、本発明者らが先に特願平8−135244号(特許第2845197号)で提案した方法に準じた方法で製造した偽造防止用紙を準備した。
紙料の調製
NBKP20重量部,LBKP80重量部を350mlC.S.F.に叩解し、これに白土10重量部、紙力増強剤(商品名「ポリストロン191」、荒川化学工業(株)製造)0.3重量部、サイズ剤(商品名「サイズパインE」、荒川化学工業(株)製造)1.0重量部、硫酸バンドを適量加え紙料を調製した。
【0074】
抄紙網の製造
短辺10mm、長辺20mm、厚み0.3mmの型を多数用意し、円網抄紙機の円網シリンダーの上網(幅1300mm)に、2液硬化型のエポキシ接着剤を使用して紙の流れ方向に対して8mm間隔で連続的に貼りつけた。この列を上網の幅方向に等間隔に6列取り付けた。
【0075】
用紙の抄造
2槽式円網抄紙機の1槽目の丸網シリンダーには何等細工を施さない上網を装着し、2槽目の円網シリンダーには上記型を取り付けた上網を装着した。1槽目で形成した第1層目の紙層の上に2槽目で形成した第2層目の紙層が重なるようにして、前記紙料を用い抄紙速度40m/分で2層抄合わせ紙を製造した。この際、第1層目(乾燥重量に換算して50g/m2 )と第2層目(同50g/m2 )の間に厚み15μm、幅1.5mmの、感熱接着剤を両面に塗工した金銀糸用スレッドを、特公平5−40080号で提案した方法を用いて型の中央に相当する位置に挿入した。次いで常法に従い湿紙を脱水後、シリンダードライヤーで乾燥し、2層抄合わせ紙からなる「窓開きスレッド入りタイプ」の偽造防止用紙を製造した。得られた用紙は、用紙の縦方向における窓開き部の長さが10mm、非窓開き部の長さが8mmであり、窓開き部Wの中にスレッドTが露出し、非窓開き部ではスレッドTが紙層の間に埋設された状態となっていた。
【0076】
スポット状の真贋判定機能を有する印刷層の形成
オフセット印刷用のプロセスインキとして、色材としてフタロシアニンブルーを使用した藍インキ、及び色材としてベンジジンイエローを使用した黄インキ、及び色材としてカーミンBを使用した紅インキ(いずれも商品名「TOYO KING ハイプラス」、東洋インキ製造(株)製造)を混合して調製した墨インキを準備した。この墨インキでオフセット印刷機を使用して、前記窓開きスレッド入り紙表面の所定の位置に、15×30mmの大きさのベタ印刷を施した。
【0077】
次いで、色材としてカーボンブラックを使用した墨インキ(商品名「TOYOKING ハイプラス墨」、東洋インキ製造(株)製造)で、文字の大きさ10ポイントの活字で「GENUINE」と印刷した。次いで、正反射光のもとで赤金色に見える真珠光沢粉末(商品名「イリオジン522」、メルク・ジャパン(株)販売)を100重量部、バインダーとしてポリエステル系樹脂(商品名「バイロン」、東洋紡(株)製造)を130重量部、イソシアネート系硬化剤を適量、溶剤としてトルエン280重量部、メチル・エチル・ケトン150重量部よりなるインキを調製し、これを使用してグラビアコーターで前記ベタ印刷部の上に15×30mmの大きさで重ね刷りし、厚み5μmの真珠光沢層3を形成した。真珠光沢層3以外の部分に商品券として必要な印刷層を常法に基づいて形成し、次いで断裁して図16に示すような商品券を製造した。
【0078】
この商品券を、通常光(白熱電球)のもとで正面から観察すると真珠光沢層3は赤金色に見えた。この表面にピーク波長が830nmの赤外線を発するLED使用して赤外線を照射し、その画像を赤外線フィルターを取り外したCCDカメラで撮影し、CRTに画像として映し出す装置を使用して観察したところ、通常光のもとでは見えなかった「GENUINE」と言う文字が明瞭に視認できた。
【0079】
この商品券をカラーコピー機で複写しても、窓開き部分に露出しているスレッドの金属光沢と真珠光沢層3の真珠光沢感は再現できなかったし、実施例2で述べた装置を使用して観察しても当然のことであるが「GENUINE」と言う文字は確認できなかった。
【発明の効果】
以上述べたように本発明の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シート、及びそれを使用した真贋判定機能を有する印刷物は製造され、下記に述べるような顕著な効果を有する。
1)従来の、真珠光沢顔料を使用した真珠顔料塗工シートの真贋判定機能を一段と高めることができる。即ち、本発明の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートは、外観は鮮やかな真珠光沢を有するので意匠性に優れると共に、カラーコピー機やパソコンと連動したスキャナーとカラープリンター等を使用して偽造を試みても、その真珠光沢感を再現できないという効果がある。また、赤外線を照射しそれを可視化した時に通常光源では観察できなかった文字や画像を視認できるという従来にない顕著な効果を発揮する。
【0080】
2)真珠光沢顔料は紫外線を吸収するものが多く、耐光性の劣る色材を用いた図柄や文字等の印刷層が退色するのを防ぐことができる。
【0081】
3)このシートの表面に所定の印刷を施して真贋判定機能を有する印刷物を製造するが、その際、カーボンブラックを使用した墨インキ等と、藍インキ、黄インキ、紅インキを混合して調製した墨インキ等で図柄や文字等の印刷部分を刷り分けることで真贋判定機能を一層高めることができる。
【0082】
4)偽造を試みる者が、本発明のシートや印刷物の構成を解析できたとしても、どういう種類の真珠顔料を使用しているかを見つけ出し、また印刷層に使用しているメタメリック色材の組み合わせを見つけ出すのは至難の業で、偽造は極めて困難になる
5)これらの特徴を生かして、本発明の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートを使用した印刷物は、紙幣、小切手、株券、債券、商品券、カード、機密文書、パスポート、身分証明書、セキュリティタグ、ステッカー、ラベル等の真贋判定機能を要求される用途に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートの一例の一部拡大断面図である。
【図2】別の構造の、本発明の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートの一例の一部拡大断面図である。
【図3】別の構造の、本発明の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートの一例の一部拡大断面図である。
【図4】別の構造の、本発明の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートの一例の一部拡大断面図である。
【図5】別の構造の、本発明の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートの一例の一部拡大断面図である。
【図6】本発明の真贋判定機能を有する印刷物の一例の一部拡大断面図である。
【図7】藍インキを、RIテスターを使用して四六<90>のコート紙にベタ印刷し、分光光度計で測定した結果(分光反射率曲線)を示している。
【図8】黄インキを、RIテスターを使用して四六<90>のコート紙にベタ印刷し、分光光度計で測定した結果(分光反射率曲線)を示している。
【図9】紅インキを、RIテスターを使用して四六<90>のコート紙にベタ印刷し、分光光度計で測定した結果(分光反射率曲線)を示している。
【図10】藍インキ、黄インキ、紅インキを混合した墨インキをRIテスターを使用して四六<90>のコート紙にベタ印刷したものを分光光度計で測定した結果と、色材としてカーボンブラックを使用した墨インキを使用して四六<90>のコート紙にベタ印刷したものを分光光度計で測定した結果を示している。
【図11】四六<90>のコート紙に印刷層を細紋状の図柄で形成した例である。
【図12】図11の印刷物に赤外線を照射してそれを可視化した像である。
【図13】真贋判定機能を有する印刷物の一例の正面図である。
【図14】図13の印刷物に赤外線を照射して可視化した画像である。
【図15】別の構造の、本発明の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートの一例の一部拡大断面図である。
【図16】印刷物の表面にスポット状に真贋判定機能を有する印刷層を形成した例(商品券)の一部拡大正面図である。
【符号の説明】
1a 無色のシート状物である。
1b 着色されたシート状物である。
2a 赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層である。
2b 赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層である。
3 真珠光沢層である。
P 印刷層である。
T スレッドである。
W 窓開き部分である。
Claims (5)
- 無色のシート状物(1a)の表面に、赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層(2a)、及び赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層(2b)、及び真珠光沢層(3)が設けられており、前記赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層(2a)と、赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層(2b)とが通常光のもとで同色に見え、かつ赤外線領域での分光反射率が相違していることを特徴とする真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シート。
- 着色されたシート状物(1b)の表面に、赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層(2a)、及び/又は赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層(2b)、及び真珠光沢層(3)が設けられており、前記着色されたシート状物(1b)と赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層(2a)と赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層(2b)とが通常光のもとで同色に見え、かつ赤外線領域での分光反射率が相違していることを特徴とする真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シート。
- 前記赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層(2a)、及び赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層(2b)、及び着色されたシート状物(1b)の可視光領域の分光反射率が40%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シート。
- 請求項1乃至3のいずれか1項記載の真贋判定機能を有する真珠顔料塗工シートの表面に印刷層Pを設けたことを特徴とする真贋判定機能を有する印刷物。
- 印刷層Pが、通常光のもとで同色に見え、かつ赤外線領域での分光反射率が相違している少なくとも2種類の印刷層であることを特徴とする請求項4に記載の真贋判定機能を有する印刷物。
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