JP2020179545A - ラメインキ層を有する印刷物 - Google Patents

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【課題】隠蔽層が設けられた上層に、静電気による絵柄割れの発生を抑制できるラメインキ層が設けられたカード等の印刷物を提供することを課題とする。【解決手段】本実施の形態による印刷物10(10A)は、支持体2(3)の上に、隠蔽層、ラメインキ層および絵柄印刷層がこの順に積層された印刷物10(10A)であって、前記隠蔽層および前記ラメインキ層は、ともに樹脂により被覆された金属粒子を含有したインキで形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、クレジットカード、セキュリティラベル、冊子体等の印刷物において、高意匠性が図れるラメインキ層を設けることによる、絵柄割れの不具合を抑制することができる絵柄パターンの形成技術に関する。
カード等の分野では、優れた光輝性を有するいわゆるラメ印刷がされることがある。 ラメインキは、独特の金属的な光輝感を有する光輝性カードに用いられるものであり、特にクレジットカード等の分野では、このような高級感や高意匠性をもたらす光輝性カードの需要が高い。この独特の光輝感は、「ラメ」または「ラメ感」とも言われ、「ラメ」は英語の「lame」のことで、元来は、金らん、すなわち、金属糸を絹、毛などと共に織り込んだ織物、を意味する。ラメインキは、比較的粒径の大きいアルミ粉等を含むことにより、独特の光輝感を発生させることができる。このようなラメインキは、主に磁気カード等における茶褐色の磁気テープを隠蔽するために用いられることが多い(特許文献1)。
特開2008−200895号公報
ところで、ICカード等の分野では、ラメインキよりも粒径の小さいアルミ粉等の金属粒子を含有するいわゆるシルバーインキや隠蔽銀インキと呼ばれる隠蔽インキが磁気テープを隠蔽するために用いられている。また、外部から流入した静電気のICチップへの到達による誤動作を防止するため、当該シルバーインキの導電性を低下すべく、含有する金属粒子を樹脂でコーティングした樹脂コートタイプのインキが用いられることがある。
また、磁気テープを十分にシルバーインキ等の隠蔽インキで隠蔽しつつ、さらに、独特の光輝感を得るために、ラメインキの印刷を隠蔽インキ層の上層に行うことがある。この場合、単に、磁気テープ上にラメインキで印刷するよりも、より高い隠蔽性と光輝感が得られる。ラメインキは、金属粒子の目が粗く、磁気テープの隠蔽性が通常の隠蔽インキよりも低いからである。しかし、ラメインキを通常の金属粒子およびバインダーから構成される組成で隠蔽銀インキ層の上にさらに印刷した場合、静電気が印加されたときに絵柄割れと呼ばれる印刷層に亀裂が生じる不具合が発生し得る。絵柄割れは、印刷層にひび割れを来し、下層のカード面が剥き出しになり、外観的に見苦しくなる事象である。
本開示はこのような状況に鑑みてなされたものであり、隠蔽層が設けられた上層に、静電気による絵柄割れの発生を抑制できるラメインキ層が設けられたカード等の印刷物を提供することを課題とする。
本実施の形態による印刷物は、支持体の上に、隠蔽層、ラメインキ層および絵柄印刷層がこの順に積層された印刷物であって、前記隠蔽層および前記ラメインキ層は、ともに樹脂により被覆された金属粒子を含有したインキで形成されている。
また、本実施の別の形態による印刷物において、前記ラメインキ層の面積は、前記絵柄印刷層の面積よりも小さく形成されていてもよい。
また、本実施の別の形態による印刷物はおいて、前記ラメインキ層に含有される、樹脂により被覆された金属粒子の粒径は、前記隠蔽層に含有される、樹脂により被覆された金属粒子の粒径よりも大きくてもよい。
また、本実施の別の形態による印刷物は、前記絵柄印刷層の前記ラメインキ層とは反対の側に、透明な保護層がさらに形成されていてもよい。
また、本実施の別の形態による印刷物を構成するものは、ICカード、粘着ラベル、または、冊子体でもよい。
本実施の形態によれば、隠蔽層が設けられた上層に、静電気による絵柄割れの発生を抑制できるラメインキ層が設けられたカード等の印刷物を提供することができる。
第1実施形態のラメインキ層が設けられたカードの構造を説明する断面図および平面図である。 図1における隠蔽積層部の拡大断面図である。 ラメインキ層の拡大断面図である。 ラメインキ層を示す写真である。 隠蔽層の拡大断面図である。 絵柄割れの一例を示す写真である。 絵柄割れの一例を示す図である。 絵柄割れを説明する拡大断面図である。 絵柄割れを意図的に発生させる方法を説明する図である。 透明な保護層を設けた変形例(1)を示す断面図である。 ラメインキ層の領域を変えた変形例(2)を示す断面図である。 印刷物が粘着ラベルである変形例(3)を示す断面図である。 印刷物が冊子体である変形例(4)を示す斜視図である。 印刷物がICカードである変形例(5)を示す平面図である。
以下、図面等を参照して、本開示のラメインキ層を有する印刷物の一例について説明する。ただし、本開示のラメインキ層を有する印刷物は、以下に説明する実施形態や実施例には限定されない。
なお、以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、各図において、部材の断面を示すハッチングを適宜省略する。本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
1.第1実施形態
本開示のラメインキ層を有する印刷物の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態の印刷物10であるカード10Aの一例を示す断面図および平面図である。図2は、図1の隠蔽積層部1Aの部分の詳細を示す拡大断面図である。
(a)カードの構成
図1(a)に示すとおり、カード10Aは本開示の印刷物10の一例であり、中央にコア層4およびコア層5が、互いの一方の主面どうしが隣接するように積層されている。また、コア層4およびコア層5の、互いに隣接していない他方の主面側には、それぞれ、オーバーシート層3およびオーバーシート層6が積層されている。さらに、オーバーシート層3の、コア層4と隣接していない方の主面側には、複数の印刷層が積層されて構成されている隠蔽積層部1Aが積層形成されている。言い換えると、オーバーシート層6、コア層5、コア層4、オーバーシート層3および隠蔽積層部1Aが、この順に積層されている。隠蔽積層部1Aは、本開示の印刷物10に形成される隠蔽積層部1の一例である。また、図1(b)は、カード10Aを、隠蔽積層部1Aが配置されている側から見た平面図であるが、隠蔽積層部1Aはカード10Aの表面全体に形成され、カード10Aの全体が図1(a)に示すような積層構造を有している。ただし、後述するように、当該隠蔽積層部1Aは、カード10Aの一部の領域にのみ形成されていてもよい。
隠蔽積層部1Aは、印刷層が複数層重なって形成されているものであるため、これを形成するための母体となる支持体を必要とする。本実施形態ではオーバーシート層3が支持体2の一例であるが、支持体2はこれに限定されるものではなく、例えばオーバーシート層3とコア層4の積層体、あるいは、オーバーシート層3、6、コア層4、5の積層体を支持体2と考えてもよい。以下、カード10Aの各構成について説明する。
(i)コア層
コア層4、5としては、白色または着色した各種のプラスチックシートを幅広く使用することができ、以下にあげる単独のフィルムあるいはそれらの複合フィルムを使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PET−G(テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、ABS、ポリアクリル酸エステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、等である。コアシートの厚さは、カードの全体厚さを勘案して適宜に選択することができるが、例えば、0.25mm〜0.38mm程度とすることができる。
また、隠蔽積層部1Aが形成されない側のコア層5の、コア層4と隣接しない主面側には、適宜印刷層を設けてもよい。この場合、後述するオーバーシート層6が透明基材であれば、当該印刷層が保護されるため、印刷された絵柄の視認性を良好に確保しつつ、絵柄部分の耐擦過性や耐薬品性等を向上させることができる。
(ii)オーバーシート層
オーバーシート層3、6としては、通常、コア層と同質の材料を使用するが、厚さが0.05〜0.10mm程度の透明材料が使用されることが多い。オーバーシートの透明材料は、熱により接着性を有する材料を用いる。なお、オーバーシート層の材料は、熱により接着性を有するものであればよいが、オーバーシート層自体が熱による接着性を有しない場合でも、熱等により接着力を発生させる公知の接着剤の層をコア層およびオーバーシート層の間に追加形成することで両者を一体化できる。コア層およびオーバーシート層の積層体を熱プレス等で一体化する際のカールの発生を防止する観点からは、オーバーシート層3および6の厚さが同一であることが好ましいが、必ずしも同一ではなくてもよい。また、カード10Aを磁気カードとして使用する場合には、オーバーシート層3、6のいずれかまたは両方について、コア層4、5とは反対の主面側に磁気テープを熱転写等によりあらかじめ埋め込んでおいてもよい。
(iii)隠蔽積層部
図2は、図1に示したカード10Aの最外層に配置される隠蔽積層部1Aの詳細構成を示す拡大断面図である。隠蔽積層部1Aは、印刷物10に形成される隠蔽積層部1の一例である。図2(a)に示すとおり、隠蔽積層部1Aは、オーバーシート層3に近い側から隠蔽層170、ラメインキ層160、アンカー層150、絵柄印刷層140、アンカー層130および剥離層120がこの順に積層されて形成されている。したがって、このような層構成を有する隠蔽積層部1Aが、図1(b)に示すようにカード10Aの表面の全域に形成されている。
なお、図2(b)は、図2(a)の層構成に破線で示した転写基材110を加えた図である。転写基材110は、当該隠蔽積層部1Aには含まれないが、支持体2であるオーバーシート層3に対して隠蔽積層部1Aを積層形成する準備段階として、後述するとおり、あらかじめ転写基材110に対して、剥離層120、アンカー層130、絵柄印刷層140、アンカー層150、ラメインキ層160および隠蔽層170をこの順に印刷形成することがある。図2(b)は、このときの転写基材110の配置を含めた断面図を示している。この場合、あらかじめオーバーシート層6、コア層5、コア層4およびオーバーシート層3をこの順に重ねた積層体の状態に準備しておき、さらに印刷形成された転写基材110をこれに重ねてから、熱プレスを行う。オーバーシート層3、6は熱により接着性を有する。これにより、転写基材110に形成された隠蔽積層部1Aを確実に当該積層体側に転写することができ、かつ、コア層とオーバーシート層とが一体化された積層体を得ることができる。なお、熱プレス後に、隠蔽積層部1Aを含まない転写基材110は、当該積層体から剥がされて回収される。
ただし、当該隠蔽積層部1Aの形成は上述の方法に限られるものではなく、例えば、直接オーバーシート層3、またはオーバーシート層3、6とコア層4、5との積層体に対して、順次、隠蔽積層部1Aの各層の印刷を重ねることにより形成してもよい。以下に、隠蔽積層部1Aを構成する各印刷層について説明する。
(iv)ラメインキ層
光輝性カードの印刷に用いられるラメインキは、粒径が25μm〜50μm程度である金属アルミ等の金属粒子が好適に用いられる。粒径が25μm未満の場合には光輝感が十分得られなくなり、50μmを超える場合には粗粒にすぎて均一な印刷面が得られないからである。ここで、粒径とは、粒度分布の平均であり、粒径の測定方法は粒度分布測定によるものである。例えば、ISO13320(2009)や、これを基礎とするJIS Z8825(2013)に準拠することができる。
また、この粒径は、後述する隠蔽層に用いられるインキのそれと比べて大きい。このような金属粒子である金属アルミ粉末をペースト状にした上でビヒクル、すなわちバインダーに溶いてインキ化して用いる。ラメインキをシルクスクリーン印刷用インキにインキ化するためのバインダーとしては、例えば、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体や塩化ビニル・酢酸ビニル・マレイン酸共重合体、繊維素系樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル・アクリレート共重合体、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、等各種の樹脂を使用することができる。バインダーに金属樹脂を溶かしたインキを用いて、後述する隠蔽層等の印刷時よりも粗目のスクリーンメッシュを用いたシルクスクリーン印刷を行うことにより、当該ラメインキ層を形成することができる。ラメインキ層の厚さは、要求される光輝性の程度に応じて変えることが可能であるが、通常、0.5μm〜50μm程度であり、1μm〜10μm程度とすることが好ましい。
また、ラメインキの種類として、当該ラメインキを構成する金属粒子の外周部が樹脂で被覆された樹脂コート粒子を用いるものと、金属粒子の外周部が樹脂で被覆されない粒子を用いるものとがある。ラメインキを構成する金属粒子の外周部が樹脂で被覆された樹脂コート粒子を用いた場合、後述する隠蔽層170も同様に金属粒子の外周部が樹脂で被覆された樹脂コート粒子を用いているため、通電性が悪くなり、本開示の隠蔽積層部を良好に形成することができる。図3はラメインキ層160の構成を模式的に示した断面図であり、図4がラメインキ層160の写真画像である。ここで、樹脂コート粒子161は、内部の金属アルミ粉末である金属粒子162と、その周囲を被覆する樹脂コート部163から構成されており、樹脂コート粒子161は、溶媒であるバインダー164中で互いに隙間を保って分散している。金属粒子は絶縁物である樹脂で外周全域がコーティングされるため、ラメインキ層としての絶縁性が高まる。コーティングする樹脂の限定は特にないが、例えばアクリル樹脂等があげられる。なお、図3では、ラメインキ層160の樹脂コート粒子161の断面を円または楕円として記載しているが、図4の写真画像を見ても明らかなとおおり、実際の樹脂コート粒子161の断面は、多角形や多様な直線と曲線の結合によって形成されているものである。
(v)隠蔽層
隠蔽層170は、上述のラメインキ層160と類似しているが、ラメインキ層160に用いられる金属粒子よりも粒径が小さい、2μm〜12μm程度の金属粒子が用いられ、本実施形態では約7μm程度の金属アルミの金属粒子が用いられている。隠蔽層170は、もともと黒色または茶褐色の磁気テープが配置されているクレジットカード等において、カードの券面デザインが磁気テープの色によって制約されないよう、磁気テープが有する黒色または茶褐色の色彩を隠蔽すること、および、ラメインキほどの光輝性は必要ないがカードに光沢感を付与すること、を目的として、当該磁気テープが貼り込まれたオーバーシート層3の上層に印刷されるものである。また、磁気テープがないカードであっても、例えば非接触ICカードなどのようにカード内部にアンテナやチップが内蔵されるカードでは、カードの色によってはこれらが透けて見えてしまうことがあり、このような場合にも絵柄印刷層の下地として隠蔽層を設けておくことが有利である。
隠蔽層170は、金属粒子である金属アルミ粉末をペースト状にした上でラメインキと同様のバインダーに溶いてインキ化したものを使用して形成する。ラメインキ層160の印刷時よりも細かい目のスクリーンメッシュを用いたシルクスクリーン印刷を行うことにより、当該隠蔽層170を印刷形成させることができる。隠蔽層170の厚さは、要求される隠蔽性や光沢感の程度に応じて変えることが可能であるが、通常、1μm〜5μm程度である。
この隠蔽層170は、上述のラメインキ層160と同様に、金属粒子をそのままバインダーに溶かしてインキとしたものではなく、金属粒子の外周部が樹脂で被覆された樹脂コート粒子を用いている。図5は隠蔽層170の構成を模式的に示した断面図である。樹脂コート粒子171は、内部の金属アルミ粉末である金属粒子172と、その周囲を被覆する樹脂コート部173から構成されており、樹脂コート粒子171は、溶媒であるバインダー174に溶かされて分散している。金属粒子は絶縁物である樹脂で外周全域がコーティングされるため、ラメインキ層と同様に隠蔽層としての絶縁性が高まる。コーティングする樹脂の限定は特にないが、例えば、アクリル樹脂等があげられる。なお、図5で、隠蔽層170の樹脂コート粒子171の断面を円または楕円として記載している点は、上述した図3のラメインキ層160の樹脂コート粒子161の場合と同様である。
(vi)アンカー層
アンカー層は、図2に示すとおり、ラメインキ層160と後述する絵柄印刷層140との間に積層されるアンカー層150と、絵柄印刷層140と後述する剥離層120との間に積層されるアンカー層130との2箇所に設けられている。これらはいずれも透明色である紫外線硬化型タイプのオフセットインキにより、全面にわたり印刷されている。これは、一般的にシルクスクリーン印刷された印刷層の上に直接オフセット印刷による絵柄を印刷すると、絵柄印刷部分の密着性が低いため、これを向上させるために設けるものである。後述する剥離層120はコーティングされたものであるが、シルクスクリーン印刷と同様の溶剤系インキを用いているため、絵柄印刷層140との密着を考慮してアンカー層を設けている。ただし、このようなアンカー層は、絵柄印刷層140とラメインキ層160、または、絵柄印刷層140と剥離層120との密着性に問題がない場合には設けなくてもよい。
(vii)絵柄印刷層
絵柄印刷層140は、図2に示すとおり、2層のアンカー層150および130に挟まれた部分に形成されている。図1のカード10Aを紙面の上方から、すなわち隠蔽積層部1Aの側から見たとき、透明材料で形成されている剥離層120およびアンカー層130を透過して、絵柄印刷層140が直接視認されることになる。当該絵柄印刷層140は主にオフセット印刷により、必要な色数分の印刷がされることで任意のデザインを形成することができる。当該絵柄印刷層140のデザインは、その下地の隠蔽層170およびラメインキ層160の存在により、適度の光沢性および光輝性を伴って視認されるという効果を有している。
(viii)剥離層
剥離層120は、上述したように、あらかじめ転写基材110に対して、剥離層120から隠蔽層170に至る各印刷層を形成したものを、オーバーシート層およびコア層を重ねた積層体に重ねてから熱プレスを行う製法において、転写基材110から隠蔽積層部1Aを確実に当該積層体側に熱転写するために設けられるものである。剥離層120はアンカー層130の上に全面にわたりコーティングにより設けられる。剥離層120は、主としてポリメタクリル酸メチルから構成されるインキである。転写基材110にあらかじめ隠蔽積層部1Aを形成する製法を用いない場合には、当該剥離層120およびその下層のアンカー層130は不要である。また、当該剥離層120は、転写基材110からの剥離性を目的とするものであるが、同時にこれに、隠蔽積層部1Aを保護するための成分を付与して、保護層を兼ねるように形成されてもよく、あるいは、剥離層としてではなく保護層として形成されていてもよい。例えば保護成分を含有したオーバープリント印刷等により形成してもよい。これにより、例えば隠蔽積層部1Aの耐擦過性、耐薬品性、耐候性の向上が図れる。
(b)絵柄割れの形成について
次に、図6〜図9により、隠蔽積層部のラメインキ層の金属粒子が樹脂コートタイプではない場合に、カードの券面に絵柄割れが形成される点について説明する。図6は、実際に当該仕様で作成されたカードに形成された絵柄割れを例示する写真画像である。図7は当該絵柄割れを模式的に例示した図であり、図7(a)は、図6の四角で囲ったA部に対応する絵柄割れの例示であり、図7(b)は、その他の態様の例示である。また、図8は、絵柄割れが形成される状態を説明する図であり、図9は、絵柄割れの形成方法を説明する図である。
(i)絵柄割れ部分の構成
図6に示すように、隠蔽積層部のラメインキ層の金属粒子が樹脂コートタイプではない場合に発生し得る絵柄割れは、不規則な曲線または直線がつながった形状であり、途中に二股あるいはそれ以上に分岐する地点を有する形状である。このような形状はいわゆる「稲妻模様」あるいは「ジグザグ形状」とも呼ばれることがある。この図6の四角で囲ったA部の模式図が図7(a)であるが、この稲妻模様またはジグザグ形状の筋である欠損部190は、絵柄印刷層140のインキが一部、欠損した部位であると考えられる。このような筋は、図6および図7(a)にあるように、連続的に分岐しながら曲線と直線とが繋がった形状であることもあれば、図7(b)のように、欠損部190が、1箇所を中心として放射状に一定範囲の中で複数の筋として広がる形状となることもある。
図7(a)において、この連続した筋状の欠損部190の幅をW1とすると、絵柄割れの筋状の欠損部190は、0.1mm〜5mm程度の幅W1を部分的に有することが多い。したがって、肉眼においてもそのパターンを明確に確認され得るものである。
一方、静電気の放電によって発生する絵柄割れの形状は、放電箇所を集中させることによって、図7(b)のように、ある点を中心にして一定の直径Dの範囲に分布するような、放射状に延びる筋状の欠損部190となる場合もある。この場合、Dは2mm〜50mm程度、隠蔽積層部の筋状の欠損部190は、0.1mm〜5mm程度の幅W2を部分的に有することがあり、肉眼においてもそのパターンが明確に確認されてしまう。
このような欠損部190による模様である絵柄割れが発生する理由は定かではないが、外部からカード10Aに対する静電気の流入、または、カード10Aに帯電した静電気の外部への放電によって生じるものであると推定される。カード10Aはコア層4、5およびオーバーシート層3、6ともに絶縁性を有する樹脂製であり、隠蔽積層部1Aの各インキ層も、ラメインキ層160や隠蔽層170に含まれる金属粒子を除いて絶縁性の樹脂により構成されている。ここで、完全に絶縁物の樹脂だけで構成されたカードは、静電気が帯電することはあっても、溜まった電荷が規則的に放電される機会はあまりなく、仮に放電された場合であったとしても、その放電の経路は必ずしも決まった経路ではなく、特に絵柄印刷層140付近を通るものとはならないと考えられる。
ここで、カード10Aが、絵柄印刷層140のすぐ間近にアンカー層150を挟んで他のコア層やオーバーシート層等よりも絶縁性が低い、樹脂コートがされていないラメインキ層および樹脂コートがされた隠蔽層170を備えていた場合を考える。このとき、カード10Aに静電気が一定の高電圧にまで帯電したときに、もっとも絶縁性の低い樹脂コートがされていないラメインキ層の内部で絶縁破壊が起き、雷と同様の一種の火花放電が生じるものと推定される。すなわち、ラメインキ層の内部でバインダーや気体の分子が電離して発生した正イオンが負極に衝突して二次電子放出により負極から電子が供給され、ラメインキ層の内部に大電流が流れるものと考えられる。これによって、その上層である絵柄印刷層140のインキの温度が局部的に上昇し、当該インキおよび、場合によってはその上層部分までが剥がれ飛ぶ、または蒸発することで筋状の絵柄割れとなる欠損部190が形成されるものと推定される。逆に、樹脂コートがされたラメインキ層160および樹脂コートがされた隠蔽層170を備えていた場合には、樹脂コートがされたラメインキ層160の絶縁性は樹脂コートがされた隠蔽層170により近づくと考えられ、カード10Aに静電気が一定の高電圧にまで帯電したとしても、ラメインキ層160の内部で絶縁破壊が起きることが抑制される。
図8(a)は、カード10Aが、樹脂コートがされたラメインキ層160を備えるときの状態を示す模式図であるが、流入する静電気Eによってカード内部に電荷が蓄積されても、絶縁破壊は生じがたく、特に変化が起きない。一方、ラメインキ層160が樹脂コートされていないと仮定した場合、図8(b)のように、帯電量が一定レベルを超えて高電圧に達したとき、もっとも絶縁性の低い、すなわち電気抵抗値の低い領域である樹脂コートがされていないラメインキ層160の内部で絶縁破壊が生じ、当該ラメインキ層160を通じて外部に向けて大電流を伴って放電される。その結果、電流の経路に対応する上層の絵柄印刷層140やさらにその上層のアンカー層130および剥離層120は高温のため、剥がれ飛び、または蒸発するため、当該部分が欠損部190として残存し、絵柄割れとして視認され得ることとなると考えられる。また、この絵柄割れは、ラメインキ層160の内部の複雑な電気抵抗の分布に依存して複雑な模様として形成されるため、カード10Aの各々によって異なる形状を形成し得る。
一方、例えば隠蔽層170が、内部の金属粒子に樹脂を被覆していないものである場合、すなわち、絶縁性が極めて低い状態に形成されるときには、ラメインキ層160が樹脂コートされていない場合であっても、上記のような現象は起こらない。この場合は、図8(c)に示すように、外部から加えられた静電気Eは内部に蓄積することなく、絶縁性の低い隠蔽層170を通じて外部に放電される。この場合は高電圧にまでは達していないため、上層の絵柄印刷層140を欠損させるような絵柄印刷層140の昇温にまでは至らず、外観的な変化は生じない。しかし、このような層構成のカードを例えば接触式または非接触式ICカードに使用した場合、外部からの静電気はカード内部に向けて容易に流れてしまい、コア層中に構成されるICチップが高電圧によって動作不良を起こしたり、故障してしまうおそれがある。
このように、カード10Aが静電気を帯びたときに絵柄印刷層140に絵柄割れである欠損部190が発生するか否かは、その下層に配置されるラメインキ層160および隠蔽層170の所定条件により決まるものと考えられる。少なくとも、樹脂コート粒子の粒径が2μm〜12μm程度である隠蔽層170と、同じく、樹脂コート粒子の粒径が25μm〜50μm程度であるラメインキ層160とが、絵柄印刷層140の下層に存在することが、絵柄割れが発生しないための必須要件であるものと考えられる。
ラメインキ層160に樹脂コートがされている場合には、ラメインキ層160の内部での絶縁破壊が起き難くなる。これより、樹脂コートがされていないラメインキ層160は、例えば15kV以下の低い静電気電圧に対しては通電性がないが、20kV以上の高い静電気電圧に対しては絶縁破壊する性質を有する。一方、樹脂コートがされた隠蔽層170や樹脂コートがされたラメインキ層160は、20kV以上の高い静電気電圧に対しても通電性がほとんどなく、絶縁破壊を起こしにくいことが考えられる。しかしながらこれらの推定にとらわれることなく、所定条件の樹脂コートがされていないラメインキ層160および樹脂コートがされた隠蔽層170を積層した場合に限り、絵柄割れが形成され得ることが、後述するように実験的に確認されている。
(ii)絵柄割れを再現させる方法
また、隠蔽積層部のラメインキ層の金属粒子が樹脂コートタイプではない場合に起こり得る、絵柄割れである欠損部190を意図的に発生させる方法を、図9に基づいて説明する。図9(a)は、カード10Aが縦横複数列に多面付けされた大判シート12を積み重ねた大判シート束13に対して、絵柄割れを形成する方法を説明する図であり、図9(b)は、カード10Aに対して、絵柄割れを形成する方法を説明する図である。このような方法を用いることにより、後述する実施例において、実製造環境に近い環境で絵柄割れの発生有無を検証することができる。
図9(a)では、カード10Aを打ち抜き型で打ち抜き形成する前の、多面付けの大判シート12を、アースにつながれたパレット220の上に上下に積み重ねた大判シート束13に対して、上方に固定した静電気放電ガン210から一定距離をおいて静電気を放電している。このようにすることによって、大判シート束13の各々の大判シート12にまとめて短時間で静電気を帯電させることができる。所定量の帯電が行われた後、最上部の大判シート12を大判シート束13から剥がすように移動させると、その瞬間に、移動させた大判シート12の各カード10Aのラメインキ層160を通じて、一斉に放電が起き、当該大判シート12の各々のカード10Aに対応した絵柄印刷層140に絵柄割れである欠損部190が形成される。逆に、隠蔽積層部のラメインキ層の金属粒子が樹脂コートタイプである本実施形態のカード10Aでは、上記の環境であっても、絵柄割れである欠損部190を意図的に発生させることはほぼ不可能である。
なお、静電気放電ガン210は、静電気耐性試験用のコンピュータ制御静電気試験器(株式会社ノイズ研究所、ESS−2000)である。カードに対して静電気を付与することができ、券面及びカードに内蔵されるICチップへの影響を調査することが可能である。
また、図9(b)では、大判シートから打ち抜かれたカード10Aを、アースにつながれたテーブル230上に搭載してから、上方に固定した静電気放電ガン210によって一定距離をおいて静電気を放電している。上述の大判シート束に対してまとめて静電気を与える方法よりも、各々のカードに静電気を印可する点で時間を要する。絵柄割れである欠損部190を形成するには、例えば、静電気放電ガン210からの印可電圧が20kV〜30kV程度であり、放電ガンの先端部を大判シートまたはカードに接触させた場合に得られることが多いが、必ずしもこれらの条件に限定されるものではない。
以上のように、第1実施形態のカード10Aは、支持体2であるオーバーシート層3の上に、隠蔽層170、ラメインキ層160、アンカー層150、絵柄印刷層140、アンカー層130および剥離層120がこの順に積層された、隠蔽積層部1Aが配置された印刷物10である。また、当該印刷物10であるカード10Aのラメインキ層160は、樹脂により被覆された金属粒子を含有したインキで形成されており、隠蔽層170は、樹脂により被覆された金属粒子を含有したインキで形成されている。これにより、絵柄印刷層140に、外部からの静電気の影響によって、不用意に絵柄割れを形成することを効果的に抑制できる。また、絵柄割れは、絵柄印刷層140を形成するインキが部分的に放電時の高温によって除去されて形成されていると考えられる。さらに、ラメインキ層160に含有される金属粒子の粒径は、隠蔽層170に含有される、樹脂により被覆された金属粒子の粒径よりも大きいことが好ましい。
2.第1実施形態の変形例
上述した第1実施形態は、種々の変形や変更が可能であり、それらも本開示の範囲内である。下記に、幾つかの変形例を挙げる。
(a)変形例(1)
図10は、第1実施形態のカード10Aの隠蔽積層部1Aに対して、剥離層120のアンカー層130とは反対の主面側にさらに透明保護層180を設けた保護層付き隠蔽積層部11を示す断面図である。当該透明保護層180は、前述したコア層やオーバーシート層と同様の材料から選択することができるが、下層の絵柄印刷層140が視認できるよう、ある程度の透明性を有する必要がある。また、当該透明保護層180は、シート状の基材を積層する方法だけではなく、例えば紫外線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂である透明樹脂を塗布、または印刷してこれをUV照射または加熱により硬化させる方法で形成してもよい。このように、隠蔽積層部1Aの上層を透明基材または透明樹脂で覆うことにより、絵柄割れの発生を抑制しつつ、絵柄面の光輝性を有効に維持でき、意匠性を損なうリスクを低減できる。
(b)変形例(2)
図11は、カード10Aの隠蔽積層部について、ラメインキ層160、またはラメインキ層160と隠蔽層170の形成領域を絵柄印刷層140等よりも狭い領域としている隠蔽積層部1Bおよび1Cを示す断面図である。隠蔽積層部1Bおよび1Cも、本開示の印刷物10に形成される隠蔽積層部1の一例である。例えば、図11(a)のように、ラメインキ層160の形成領域が絵柄印刷層140等のそれよりも狭い領域とされた隠蔽積層部1Bを有する場合には、静電気放電等による絵柄割れの形成領域を、最大でもこのラメインキ層160の形成領域内に限定することができる。よって、局所的に高い静電気を外部から受けたときでも、ラメインキ層160の形成領域を狭くしておくことにより、絵柄割れの発生リスクを極力抑えることができる。
このように、印刷物10であるカード10Aを隠蔽層170、ラメインキ層160および絵柄印刷層140が積層される方向に沿って透視したときに、ラメインキ層160の面積が絵柄印刷層140の面積よりも小さく形成されていることによって、絵柄割れが形成されうる領域を、当該ラメインキ層160の形成領域の内部に限定することができる。これにより、絵柄のデザイン自体に制約を設けることなく、光輝性が付与された領域および絵柄割れが形成され得る領域を、絵柄のデザインに支障を与えない領域に意図的に限定して設けることができ、デザインの自由度をさらに向上させることができる。
また、図11(b)のように、隠蔽層170、ラメインキ層160および絵柄印刷層140が積層される方向に沿って透視したときに、ラメインキ層160および隠蔽層170が略重なるように、隠蔽層170の面積をラメインキ層160の面積と同程度に小さく形成することとしてもよい。この場合も、絵柄のデザイン自体に制約を設けることなく、絵柄割れの形成され得る領域を、絵柄のデザインに支障を与えない領域に意図的に限定して設けることができるほか、隠蔽層、ラメインキ層のインキ消費量を減らし、コストダウンを図ることができる。
(c)変形例(3)
図12は、印刷物10の別の例示として、粘着ラベル10Dを示す断面図である。支持体2としては、例えば紙基材7を使用することができるが、その他、樹脂製フィルムや紙と樹脂のブレンド材等を用いることができる。樹脂製フィルムとしては前述のカード10Aのコア層について例示した材料が使用できる。本変形例の紙基材7の上層側に隠蔽積層部1の一種である隠蔽積層部1Dが形成され、紙基材7の下層側に粘着層8が形成されている。また、不使用時、保管時の粘着層8の粘着力を低下させないために、粘着面にセパレータ9が貼り付けられている。隠蔽積層部1Dは、第1実施形態の隠蔽積層部1Aと同様の構成とすることができる。隠蔽積層部1Dは、本開示の印刷物10に形成される隠蔽積層部1の一例である。紙基材7の厚さには特に制限はないが、用途や耐久性に応じて、例えば0.01mm〜10mm程度で適宜選択することができる。
粘着層8としては公知の一般的な材料を用いることができる。例えば、合成ゴム系粘着剤としては、イソプレンゴム、イソブチレン−イソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレンブロック共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等をあげることができる。また、シリコーン樹脂系粘着剤としては、例えばシロキサンポリマーを使用することができ、アクリル樹脂系粘着剤としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリロニトリル等の重合体、共重合体等を使用することができる。これらの粘着剤は2種以上が組み合わされて使用されてもよい。
当該粘着層8には、必要に応じて粘着付与剤、填料、軟化剤、老化防止剤、あるいは染料、顔料等の着色剤等を配合することもできる。粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、テルペン樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂等が挙げられる。また、填料としてはシリカ、タルク、炭酸カルシウム、クレイ等が挙げられる。軟化剤としては可塑剤等が挙げられる。また、粘着層8の厚さには特に制限はないが、用途や耐久性に応じて、例えば0.01mm〜5.0mm程度で適宜選択することができる。
このような粘着ラベル10Dの場合であっても、第1実施形態のカード10Aと同様に、隠蔽積層部1Dに不用意に静電気による絵柄割れが発生することを抑制できる。紙基材7自体は静電気を帯びにくいが、粘着層8や隠蔽積層部1Dに使用される絶縁性の樹脂には静電気が帯電しやすいため、カード10Aと同様の効果が期待できる。また、当該粘着ラベルは、RFIDタグを内蔵した非接触通信によるデータの読み出しや書き込みが可能なものであってもよい。
(d)変形例(4)
図13は、印刷物10の別の例示として、冊子体10Eを示す斜視図である。冊子体とは、例えばパスポートや貯金通帳等であるが、これには限定されない。当該冊子体10Eの支持体2は、パスポートのデータページ330であり材質は例えばポリカーボネートやポリエステル、またはこれらと紙とのブレンド材である。データページ330を挟むようにしてページ310、320が帳合されている。データページ330には、第1実施形態の隠蔽積層部1Aと同様の構成である隠蔽積層部1Eが形成されている。隠蔽積層部1Eは、本開示の印刷物10に形成される隠蔽積層部1の一例である。
このような冊子体10Eの場合においても、第1実施形態のカード10Aと同様に、隠蔽積層部1Eに不用意に静電気による絵柄割れが発生することを抑制することができる。
(e)変形例(5)
図14は、印刷物10のさらなる別の例示として、ICカード10Fを示す平面図である。第1実施形態のカード10Aは、このようなICチップを備えていないカードであるが、本変形例はカード基体420に、ICチップを内蔵するICモジュール410を備えている点が、カード10Aとは異なる。ICカード10Fにおいても、第1実施形態のカード10Aと同様に、支持体2であるカード基体420の上層に隠蔽積層部1Fとして絵柄割れの発生の抑制を図ることができる。隠蔽積層部1Fは、本開示の印刷物10に形成される隠蔽積層部1の一例である。
次に、実施例を挙げて本開示をさらに詳細に説明するが、本開示はこれら実施例に限定されるものではない。
(a)実験サンプルの作成
まず、コア層4、5として白色PET−Gシート(厚さ:0.31mm)の2枚を使用し、オーバーシート層3、6として、透明のPET−Gシート(厚さ:0.10mm)の2枚を使用した。
次に、転写基材110として厚さ150μmの2軸延伸PETフィルムを使用し、これに、剥離層120としてポリメタクリル酸メチルをコーティング機により厚さ約1μmとなるように均一に全面コーティングする。さらに、これに透明色の紫外線硬化型オフセットインキを用いて厚さ約1μmのアンカー層130を形成し、UV照射により硬化させ、さらにこれに紫外線硬化型オフセットインキとして黄、赤、藍、墨の4色を重ねて絵柄印刷層140を形成し、UV照射により硬化させた。絵柄印刷層140の厚さは約1μmであった。その後、さらに透明色の紫外線硬化型オフセットインキを用いて厚さ約1μmのアンカー層150を形成した。
次に、アンカー層150の上にラメインキ層160を、シルクスクリーン印刷により印刷形成した。印刷には、200メッシュ版を用い、ラメインキ層160の乾燥後の膜厚が約5μm〜7μmとなるようにした。ラメインキ層160の具体的な内容は、バインダーが、株式会社セイコーアドバンス製ACT800メジウム(塩酢ビ系)、顔料が株式会社セイコーアドバンス製銀ペースト606Hであり、金属粒子がアルミ粉(粒径30〜34μm)であり、これをアクリル樹脂でコーティングしたものである。なお、ラメインキ中の銀ペースト、メジウムおよび溶剤の各配合率を表1に従って変えた実施例1、2、3の各サンプルを作成した。
さらに、当該ラメインキ層160の上に隠蔽層170を、シルクスクリーン印刷により印刷形成した。印刷には、350メッシュ版を用い、隠蔽層170の乾燥後の膜厚が約2μm〜4μmとなる条件で印刷した。隠蔽層170の具体的な内容は、塩酢ビ系のバインダーである昭和インク株式会社製VAHSメジウムに、金属粒子がアルミ粉(粒径約7μm)、アルミ粉添加量がバインダーに対して、10〜12質量%となるようにした。アルミ粉はアクリル樹脂でコーティングされている。
以上のように転写基材110に形成された隠蔽積層部1Aを、あらかじめ、オーバーシート層6、コア層5、コア層4およびオーバーシート層3をこの順に積み重ねた積層体に、その隠蔽層170がオーバーシート層3と当接するように重ねた。次いで、その上下端をステンレス板で挟み込み、これに一定温度の熱圧を一定時間掛けて熱プレスした。これにより、オーバーシート層6、コア層5、コア層4およびオーバーシート層3が互いに熱融着して一体化し、かつ、オーバーシート層3の主面に隠蔽積層部1Aが転写形成された、熱プレス後の積層体を得た。なお、隠蔽積層部1Aがない転写基材110は、熱プレスの温度では融着しないため、当該熱プレス後の積層体から、容易に剥がすことができた。
その後、熱プレス後の積層体である大判シートをカードサイズに打ち抜き加工し、長辺方向が約86mm、短辺方向が約54mm、厚さが約0.8mmのISO7810規格に準拠するカードが形成された。このカードは、第1実施形態のカード10Aと同等の仕様である。次に、このカードを、図9(b)のように、アース処理がされたステージに載せ、静電気放電ガンのイオンが放出される先端部とカードの隠蔽積層部1Aとを接触させ、所定の電圧を印可して静電気放電ガンからカードに向けて放電する。また、所定の電圧は10kVから30kVまで、5kV刻みに設定して行った。放電ガンは、株式会社ノイズ研究所製の静電気試験機(ESS−2000)を使用し、使用しコンデンサが150pF、抵抗が330Ω、放電時間、回数が10秒で10回、接触箇所を1回ずつ5mm程度ずつずらしながら当該カードに対して静電気放電を行った。
上述の条件でカードの製造条件および静電気の放電条件を変えたサンプルを3種類作成し(実施例1、2および3)、それぞれについて、10kVから30kVまでの5kV刻みの静電気を印加する放電試験を行い、その結果を表1に記載した。なお、評価指標は下記のとおりである。
〇:絵柄割れは発生しなかった
△:わずかに絵柄割れが発生したが、外観上目立つものではなかった
×:絵柄割れが発生した
(b)静電気放電試験結果
これらの実施例1、2、3の結果より、樹脂コートがされているラメインキを使用した実施例2、3では、銀ペーストの配合比率を15%およびこれよりも多い20%としても静電気試験による絵柄割れの発生は見られなかった。また、樹脂コートがされているラメインキを使用した実施例1では、静電気が20kVで絵柄割れが発生し始め、25kV以上では外観上の影響が大きい絵柄割れが確実に発生することが確認できた。
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F 隠蔽積層部
2 支持体
3、6 オーバーシート層
4、5 コア層
7 紙基材
8 粘着層
9 セパレータ
10 印刷物
10A カード
10D 粘着ラベル
10E 冊子体
10F ICカード
11 保護層付き隠蔽積層部
12 大判シート
13 大判シート束
110 転写基材
120 剥離層
130 アンカー層
140 絵柄印刷層
150 アンカー層
160 ラメインキ層
161 樹脂コート粒子
162 金属粒子
163 樹脂コート部
164 バインダー
170、175 隠蔽層
171 樹脂コート粒子
172 金属粒子
173 樹脂コート部
174 バインダー
180 透明保護層
190 欠損部
210 静電気放電ガン
220 パレット
230 テーブル
310、320 ページ
330 データページ
410 ICモジュール
420 カード基体

Claims (7)

  1. 支持体の上に、隠蔽層、ラメインキ層および絵柄印刷層がこの順に積層された印刷物であって、
    前記隠蔽層および前記ラメインキ層は、ともに樹脂により被覆された金属粒子を含有したインキで形成されている、印刷物。
  2. 前記ラメインキ層の面積は、前記絵柄印刷層の面積よりも小さく形成されている、請求項1に記載の印刷物。
  3. 前記ラメインキ層に含有される、樹脂により被覆された金属粒子の粒径は、前記隠蔽層に含有される、樹脂により被覆された金属粒子の粒径よりも大きい、請求項1または2に記載の印刷物。
  4. 前記絵柄印刷層の前記ラメインキ層とは反対の側に、透明な保護層がさらに形成されている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の印刷物。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の印刷物を構成するICカード。
  6. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の印刷物を構成する粘着ラベル。
  7. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の印刷物を構成する冊子体。
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