JP2001159094A - 偽造防止用紙およびそれを用いた有価証券 - Google Patents

偽造防止用紙およびそれを用いた有価証券

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Abstract

(57)【要約】 【課題】偽造防止策に煩わしさがなく、真偽判定が簡単
確実にでき、かつカラーコピー機等による偽造や用紙自
体の偽造を不可能にする偽造防止用紙およびそれを用い
た有価証券の提供にある。 【解決手段】パルプ繊維でなる紙基材10に、メタメリ
ックな色料を含有するインキが塗布された紙小片12も
しくは繊維片が漉き込まれていることを特徴とする偽造
防止用紙1とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、商品券、宝くじ、
入場券等の紙からなる有価証券類の偽造防止に関するも
のであり、さらに詳しくは、カラーコピー機等による偽
造や有価証券用紙自体の偽造を極めて困難にする偽造防
止用紙およびそれを用いた有価証券に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、用紙は紙幣をはじめ、株券、債
券、商品券、宝くじ等、金銭的価値を有する有価証券と
して幅広く使用されている。それら有価証券用紙は容易
に偽造又は変造出来ない様に、紙自体に透かしを施した
り、あるいはマイクロ文字や凹版印刷、隠し文字、蛍光
印刷等の特殊な印刷を施したり、金属光沢を有する箔や
ホログラム箔等を転写またはシールで施してあるのが一
般的である。
【0003】これらの有価証券類が偽造される場合は、
主に印刷による方法とカラーコピー機等による複写方式
があるが、今日ではレーザーによる電子写真方式やイン
キジェット方式のカラーコピー機は、解像度や色相等が
本物と見分けがつかない程格段に精巧になり、比較的簡
単に偽造品を作成できるようになってきた。
【0004】さらにまた、パーソナルコンピューターも
急激に普及してきており、有価証券類の印刷物をスキャ
ナーで取り込み、編集した上で用紙にカラープリンター
で出力する悪質な偽造も増えてきている。すなわちカラ
ーコピー機あるいはカラープリンター付パーソナルコン
ピューターさえあれば簡単に本物と見分けがつかないく
らい正確に複写できるようになり、このような手法によ
る偽造品は、マイクロ文字や隠し文字のようなパターン
印刷による証券類では、オリジナルとコピーを見分ける
ことが困難になっている。
【0005】そこで上記カラーコピー機等による偽造の
防止策として、特開昭54−159004号公報に記載
されているように、太陽光、蛍光灯、白熱電球等の通常
の光下で見える色と、所望のフィルターを通して見るか
あるいは所望の分光エネルギー分布を有する光源のもと
で見える色が異なった色相、明度、彩度に見えるメタメ
リックな性質を有する色料でなるインキ(以下メタメリ
ックインキという)を用いたものがある。このメタメリ
ックインキと同色の通常の印刷インキとで所望のパター
ン群を用紙表面に組み合わせパターンとして形成させた
ものを、例えばカラーコピー機で複写すると、通常光下
で同色であったものが両者の色に差が生じ、偽造品であ
ることが判明するものである。
【0006】しかしながら、上記メタメリックインキを
用いた方法では、各種デザインに応じたメタメリックイ
ンキのパターンと通常インキのパターンの組み合わせパ
ターンとする必要があり、このデザインを考慮した設計
とそれに合わせた製版、印刷といった煩わしさのあるも
のであった。
【0007】さらに、カラーコピー機や通常の印刷によ
る偽造に対しては、紙自体の偽造防止策として黒透かし
や白透かしのような透かし技術が、真偽判定が簡単で偽
造防止効果が高いとして多くの有価証券類に使用されて
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、カラーコピー
機やパーソナルコンピューターによる精巧な偽造品に対
し、黒透かしや白透かしでは環境条件によっては真偽判
定が正確に行えないことがあり、偽造された有価証券類
が使用されてしまうという問題点があった。
【0009】本発明は、かかる従来技術の問題点を解決
するものであり、その課題とするところは、偽造防止策
に煩わしさがなく、真偽判定が簡単確実にでき、かつカ
ラーコピー機等による偽造や用紙自体の偽造を不可能に
する偽造防止用紙およびそれを用いた有価証券を提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明において上記課題
を達成するために、まず請求項1の発明では、パルプ繊
維でなる紙基材に、メタメリックな色料を含有するイン
キが塗布された紙小片もしくは繊維片が漉き込まれてい
ることを特徴とする偽造防止用紙としたものである。
【0011】また、請求項2の発明では、パルプ繊維で
なる紙基材に、メタメリックな色料を含有するインキが
塗布された紙小片もしくは繊維片と太陽光・蛍光灯・白
熱電球の下で前記メタメリックな色料と同色に見える通
常インキが塗布された紙小片もしくは繊維片とが漉き込
まれていることを特徴とする偽造防止用紙としたもので
ある。
【0012】また、請求項3の発明では、前記請求項1
または2に記載の偽造防止用紙を用いてなることを特徴
とする有価証券としたものである。
【0013】上記メタメリックな色料とは、分光反射率
の異なった色でも照明条件によっては等色になり、また
ある照明光源下では等色である色同士でも分光エネルギ
ー分布の異なった他の光源下では全く違った色に見えて
しまうような現象をメタメリズムと言い、このような現
象を生じる色料をメタメリックな色科という。
【0014】上記本発明によれば、まず、用紙の抄造時
に、メタメリックな色料を含有するインキが塗布された
紙小片もしくは繊維片と通常インキが塗布された紙紙小
片もしくは繊維片を漉き込むだけで偽造防止用紙とする
ので、偽造防止策にデザイン設計等の煩わしさのない偽
造防止用紙とすることができる。
【0015】また、偽造しようとする者がカラーコピー
機等で偽造有価証券類とした場合、請求項1の発明の偽
造防止用紙では、その偽造有価証券に漉き込れた紙小片
の色が本物の色と異なって見え、あるいは請求項2の発
明の偽造防止用紙では、紙基材に漉き込まれているメタ
メリックな色料を含有するインキが塗布された紙小片と
一般的な色インキ等で着色された紙小片が異なった色と
なって複写されるので、真偽判定が容易であり、偽造有
価証券類の使用を困難なものとなる。それは例えカラー
コピー機の光源が白熱電球や蛍光灯と同一の分光エネル
ギーを有する光源であったとしても、その機器内にある
カラースキャナーの色分解用フィルターを通過するの
で、結果的には異なった分光エネルギーを有する光源と
同等となるからである。
【0016】また、偽造しようとする者がメタメリック
な色料を含有するインキが塗布された紙小片を一般的な
色インキ等で着色された紙小片と勘違いして証券用紙自
体を偽造した場合、所望のフィルターを通して見るか、
所望の分光エネルギー分布を有する光源のもとで見る
と、本物を同じフィルターを通して見える色あるいは上
記と同じ光源のもとで見える色と異なって見えるので、
簡単に真偽判定ができ、例えメタメリックな色料が使用
されていることに気がついたとしても、分光反射率曲線
を測定してその色料名を割り出し、さらに同色に調整す
ることは非常に困難で不可能に近いものとなり、さらに
請求項2の発明のように、同色の通常インキが塗布され
た紙小片が存在すると、それを分析する確率が多くなる
ので、より偽造が困難な偽造防止用紙とすることができ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を説明す
る。本発明の偽造防止用紙は、図1の側断面概略図に示
すように、パルプ繊維でなる紙基材(10)に、メタメ
リックな色料が含有するインキが塗布された紙小片(1
2)が漉き込まれている偽造防止用紙(1)である。前
記メタメリックな色料を含有するインキが塗布された紙
小片(12)に代わり、プラスチック繊維あるいは天然
繊維としてもよい。
【0018】また、本発明の偽造防止用紙の他の形態と
して、図2の側断面概略図に示すように、例えばパルプ
繊維でなる紙基材(10)に、メタメリックな色料を含
有するインキが塗布された紙小片(12)と太陽光・蛍
光灯・白熱電球の下で前記メタメリックな色科と同色に
見える通常インキが塗布された紙小片(14)とが漉き
込まれていることを特徴とするものである。この場合の
偽造防止用紙(1)は、メタメリックな色料を含有する
インキが塗布された紙小片(12)と通常インキで着色
された紙小片(14)との割合は1対1近傍が好まし
く、メタメリックな色料を含有するインキが塗布された
紙小片(12)の量が少なすぎると所望のフィルターを
通して見るか、所望の分光エネルギー分布を有する光源
のもとで見える異なった色が視認し難くなり、また多す
ぎると偽造者によって色科が分析される確率が多くなる
ので好ましくない。この場合のメタメリックな色料を含
有するインキが塗布された紙小片(12)を、プラスチ
ック繊維あるいは天然繊維としてもよい。
【0019】前記メタメリックな色料を含有するインキ
が塗布された紙小片(12)の含有率は、パルプ繊維で
なる紙基材(10)に対して、0.005〜3.0重量
%が好ましく、0.05〜1.0重量%がより好まし
い。この含有率が0.005重量%に満たないと所望の
分光エネルギー分布を有す光源もしくは所望のフィルタ
ーを通してみると異なった色の斑点として視認され難く
なり、3.0重量%を越えると用紙抄造に際し漉き難く
なり、従って請求項2の発明では通常のインキが塗布さ
れた紙小片(14)と合わせた含有率が3.0重量%を
越えることは好ましくないことになる。
【0020】以下本発明の偽造防止用紙(1)に係わる
材料や製法等について詳細に説明する。本発明の偽造防
止用紙を構成する紙基材(10)のパルプ繊維として
は、針葉樹や広葉樹、バガス、麻、亜麻、ケナフ等の木
材パルプからなる植物繊維等が用いられる。
【0021】本発明に用いる用紙は、原料である前記の
パルプ繊維を水中にて叩解し、漉いて絡ませた後、脱水
・乾燥させて作られる。また、紙に用いるてん料として
はクレイ、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン等が
あり、サイズ剤としてはロジン、アルキル・ケテン・ダ
イマー、無水ステアリン酸等があり、紙力増強剤には変
性デンプン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミ
ド等があり、これらの材料をそれぞれ抄紙時に加え、主
として長網抄紙機で抄造する。
【0022】その抄紙方法は、通常の植物繊維紙の製造
に用いられる方法でよく、原料濃度を0.5〜10%、
好ましくは1〜2%の水希薄原料で十分に膨潤させた繊
維をよく混練し、スダレ・網目状のワイヤーなどに流し
て並べて搾水後、加温により水分を蒸発させて作られ
る。
【0023】次に本発明の偽造防止用紙(1)を構成す
るメタメリックな色料を含有するインキが塗布された紙
小片(12)もしくは各種繊維片に塗布されるメタメリ
ックな色料としては、例えば特開昭54−159004
号公報に記載されているように、太陽光、蛍光灯、白熱
電球等の通常の光のもとで緑色に見える淡口コバルト線
があり、フタロシアニンブルーとベンジジンイエローの
1重量部:4重量部の混合物でなる通常のインキと同色
(色相、明度、彩度)となり、所望の分光エネルギー分
布を有する蛍光ランプ例えばFL40S・Pk(東芝社
製)の下で黒ずんだ緑色と明るい緑色になるものが挙げ
られるが、これに限定するものではなく、特にセキュリ
ティの面から具体的色料名を割愛する。
【0024】上記メタメリックな色料およびそれと同色
相の通常インキの顔料を塗布方式等に応じたメジュウム
(バインダー)に分散もしくは溶解させてインキあるい
は塗布液とし、この塗布液を、パルプ繊維でなる用紙の
両面にグラビア印刷法、バー塗工法、ロールコーティン
グ法、スプレー塗工法等で塗布乾燥し、あるいはオフセ
ット用インキとした場合、用紙の両面にオフセット印刷
法にてベタ刷りし、それをシュレッダー等で小片に裁断
して、メタメリックな色料を含有するインキが塗布され
た紙小片(12)あるいは通常色インキで着色された紙
小片(14)とする。
【0025】上記メジュウム(バインダー)としては、
抄紙時の水に溶解あるいは膨潤しない耐水性を要するも
ので、例えばポリアクリル酸エステル、SBR、MBR
等ゴムラテックス、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル等
合成樹脂エマルジョン、メラミン樹脂、尿素樹脂、アル
キッド樹脂、アクリル樹脂等を各種溶剤に溶解したも
の、あるいはロジン変性フェノール樹脂を乾性油(アマ
ニ油等)と高沸点溶剤で溶解したオフセット用のビヒク
ル等が挙げられ、必要に応じて可塑剤、分散剤、増粘
剤、安定剤あるいは乾燥剤、乾燥抑制剤等の添加剤を添
加して各種インキとする。
【0026】また、上記メタメリックな色料を含有する
インキが塗布された紙小片(12)および通常色インキ
等で着色された紙小片(14)のサイズは、幅として
0.1mm〜4mm、面積としては、0.02〜10m
2 が好ましく、この範囲より小さいと偽造防止用紙
(1)に漉き込まれている赤外線吸収剤を含有するイン
キが塗布された紙小片(12)が、赤外スコープ等では
視認され難くなり、また大きすぎると偽造防止用紙
(1)として違和感を伴うので好ましくない。
【0027】上記で得られたメタメリックな色料を含有
するインキが塗布された紙小片(12)および通常色イ
ンキで着色された紙小片(14)を、例えば前述の抄紙
方法で、前記のパルプ繊維とよく混練し、スダレ・網目
状のワイヤーなどに流して並べて搾水後、加温により水
分を蒸発させて偽造防止用紙(1)とすることができ
る。
【0028】上記のような偽造防止用紙(1)を用い
て、商品券、宝くじ等抽選券、入場券等有価証券あるい
は紙製の身分証明書、パスポート、各種カード等にする
ことができる他、例えば複写禁止を要する書類等の偽造
防止付特殊用紙としても好適に使用することもできる。
【0029】
【発明の効果】本発明は以上の構成であるから、下記に
示す如き効果がある。即ち、パルプ繊維でなる紙基材
に、メタメリックな色料を含有するインキが塗布された
紙小片もしくは繊維片を漉き込んでなる偽造防止用紙と
することによって、その紙小片もしくは繊維片が所望の
光源下やフィルターを通してみると異なった色の斑点と
して視認されるので、この用紙を用いた有価証券等の真
偽判定が簡単確実にでき、かつ印刷技術や抄紙技術ある
いはカラーコピー機等による偽造を不可能にする偽造防
止用紙を提供し、それを用いた有価証券を提供すること
ができる。
【0030】また、パルプ繊維でなる紙基材に、メタメ
リックな色料を含有するインキが塗布された紙小片もし
くは繊維片と、該メタメリックな色料を含有するインキ
と太陽光等通常光の下で同色相に見える通常色インキで
着色された紙小片もしくは繊維片とが略同量漉き込まれ
ている偽造防止用紙とすることによって、カラーコピー
された有価証券類に色相が異なった2種の斑点状が現れ
るので、偽造防止に効果があり、かつこのメタメリック
な色科の分析をも困難とし、有価証券用紙自体の偽造を
より困難にすることができる。
【0031】従って本発明の偽造防止用紙は、商品券、
宝くじ等抽選券、入場券等有価証券あるいは身分証明
書、パスポート、各種カード等の如き用途において、優
れた実用上の効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の偽造防止用紙の一実施の形態を側断面
で表した説明図である。
【図2】本発明の偽造防止用紙の他の一実施の形態を側
断面で表した説明図である。
【符号の説明】
1‥‥偽造防止用紙 10‥‥パルプ繊維でなる紙基材 12‥‥メタメリックな色料を含有するインキが塗布さ
れた紙小片 14‥‥通常色インキで着色された紙小片

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パルプ繊維でなる紙基材に、メタメリック
    な色料を含有するインキが塗布された紙小片もしくは繊
    維片が漉き込まれていることを特徴とする偽造防止用
    紙。
  2. 【請求項2】パルプ繊維でなる紙基材に、メタメリック
    な色料を含有するインキが塗布された紙小片もしくは繊
    維片と太陽光・蛍光灯・白熱電球の下で前記メタメリッ
    クな色科と同色に見える通常インキが塗布された紙小片
    もしくは繊維片とが漉き込まれていることを特徴とする
    偽造防止用紙。
  3. 【請求項3】前記請求項1または2に記載の偽造防止用
    紙を用いてなることを特徴とする有価証券。
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