JP2004027090A - スタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物およびそれを用いたスタッドレスタイヤ - Google Patents

スタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物およびそれを用いたスタッドレスタイヤ Download PDF

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鹿久保 隆志
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Abstract

【課題】タイヤの氷雪路上の摩擦力を高くして氷雪路上性能、特に氷上制動性能を向上させることのできるスタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物、および該組成物からなるトレッドを有するスタッドレスタイヤの提供。
【解決手段】スタッドレスタイヤ用ゴム100重量部と、
カーボンブラックを配合してなる加硫ゴム組成物を220〜400℃の温度に加熱し、次いで、加熱後の前記加硫ゴム組成物を有機溶媒で抽出することで溶媒抽出分と抽出残物とを分離させ、さらに、分離した前記抽出残物を乾燥させた後に、500℃以上の温度で熱処理し、粉砕することで得られるカーボンブラック原料5〜80重量部と
を含有するスタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加硫ゴム組成物から得られるカーボンブラック原料を配合してなるスタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物、および該組成物からなるトレッドを有するスタッドレスタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
スパイクタイヤの使用やタイヤへのチェーン装着は粉塵発生という環境問題をひき起すため、これらに代る氷雪路上走行用タイヤとしてスタッドレスタイヤが開発されてきた。一般に、凍結路面では一般路面での摩擦係数の1/10程度まで低下して滑りやすくなっているため、スタッドレスタイヤではタイヤの摩擦力を高くするように、材料面および設計面から工夫がなされている。材料面としては、低温でも硬くなりにくい低温特性の良好なゴムを用いたスタッドレスタイヤが開発されてきているが、氷上特性が十分であるとはいえなかった。
また、アルミナ、ガラス粒子、植物性粒状体等の硬質粒子等の特殊添加剤の配合による氷上摩擦力の向上が種々提案されているが(例えば、特開平11−323024号公報、特開2001−171315号公報)、未加硫ゴムの加工性が低下してしまうため、一層の改良が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、タイヤの氷雪路上の摩擦力を高くして氷雪路上性能、特に氷上制動性能を向上させることのできるスタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物、および該組成物からなるトレッドを有するスタッドレスタイヤを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、本出願人による特願2001−65439号明細書に記載されている熱処理による回収方法において、ゴム成形品を熱処理した後に、有機溶媒で抽出することで分離される抽出残物を、高温で加熱することにより回収されるカーボンブラック(以下、カーボンブラック原料という)をスタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物に用いることを検討した。
【0005】
そこで、本発明者は、上記検討の結果、上記溶媒抽出の残物を500℃以上の温度で熱処理し、粉砕することで得られるカーボンブラック原料を配合してなるスタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物が、タイヤの氷雪路上の摩擦力を高くして氷雪路上性能、特に氷上制動性能を向上させることのできることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下に示す(1)〜(3)のカーボンブラック原料を配合してなるスタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物、および該組成物からなるトレッドを有するスタッドレスタイヤを提供する。
【0006】
(1)スタッドレスタイヤ用ゴム100重量部と、
カーボンブラックを配合してなる加硫ゴム組成物を220〜400℃の温度に加熱し、次いで、加熱後の前記加硫ゴム組成物を有機溶媒で抽出することで溶媒抽出分と抽出残物とを分離させ、さらに、分離した前記抽出残物を乾燥させた後に、500℃以上の温度で熱処理し、粉砕することで得られるカーボンブラック原料5〜80重量部と
を含有するスタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物(第1の態様)。
【0007】
(2)前記加硫ゴム組成物が、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、ブチルゴムおよびアクリロニトリルブタジエンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種のゴムと、カーボンブラックとを含有するゴム組成物の一部または全部を加硫させた加硫ゴム組成物であることを特徴とする上記(1)に記載のスタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物。
【0008】
(3)上記(1)または(2)に記載のスタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物からなるトレッドを有するスタッドレスタイヤ(第2の態様)。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の第1の態様は、スタッドレスタイヤ用ゴム100重量部と、
カーボンブラックを配合してなる加硫ゴム組成物を220〜400℃の温度に加熱し、次いで、加熱後の前記加硫ゴム組成物を有機溶媒で抽出することで溶媒抽出分と抽出残物とを分離させ、さらに、分離した前記抽出残物を乾燥させた後に、500℃以上の温度で熱処理し、粉砕することで得られるカーボンブラック原料5〜80重量部と
を含有するスタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物である。
【0010】
本発明の第1の態様に係る上記カーボンブラック原料は、例えば、以下に示すような、(1)熱処理工程と、 (2)有機溶媒抽出工程と、(3)乾燥・加熱・粉砕工程とを具備する製造方法により製造される。
以下に、上記各工程について詳細に説明する。
【0011】
(1)熱処理工程
熱処理工程とは、カーボンブラックを配合してなる加硫ゴム組成物を、220〜400℃の温度に加熱する工程であり、該加硫ゴム組成物を加熱により可塑化してもよい。
本発明で熱処理に供される上記加硫ゴム組成物は、カーボンブラックを配合してなるゴム組成物を一部または全部を加硫したものであればよく、その形状は何ら限定されない。また、後述する原料ゴムおよびカーボンブラック以外の成分も特に限定されず、他の構成材料との複合体であってもよい。
ここで、カーボンブラックとしては、具体的には、例えば、SAF(Super Abrasion Furnace)、ISAF(Intermediate Super Abrasion Furnace)、HAF(High Abrasion Furnace)、FEF(Fast Extruding Furnace)、GPF(General Purpose Furnace)、SRF(Semi−Reinforcing Furnace)、FT(Fine Thermal)、MT(Medium Thermal)等が挙げられる。
より具体的には、上記SAFとしてはシースト9(東海カーボン社製)、ISAFとしてはショウワブラックN220(昭和キャボット社製)、HAFとしてはシースト3(東海カーボン社製)、FEFとしてはHTC#100(中部カーボン社製)等が例示される。また、GPFとしては旭#55(旭カーボン社製)、シースト5(東海カーボン社製)、SRFとしては旭#50(旭カーボン社製)、三菱#5(三菱化学社製)、FTとしては旭サーマル(旭カーボン社製)、HTC#20(中部カーボン社製)、MTとしては旭#15(旭カーボン社製)等が例示される。
【0012】
上記ゴム組成物に含有される原料ゴムとしては、通常のゴム(液状ゴムを含む)を用いることができる。
具体的には、通常のゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレンゴム(SIR)、ブチルゴム(IIR)、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴム、多硫化ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)が挙げられる。これらのゴムは、1種あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのうち、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレンゴム(SIR)、ブチルゴム(IIR)を原料ゴムとして用いることが好ましく、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)を用いることが、後述する有機溶媒抽出工程において、溶媒抽出(溶解)によりゴムを回収しやすいといった理由からより好ましい。
したがって、上記加硫ゴム組成物としては、具体的には、例えば、原料ゴムとして天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)およびブチルゴム(IIR)からなる群より選ばれる少なくとも1種のゴムを含有し、さらに、カーボンブラックを含有するゴム組成物の一部または全部を加硫したものであることが好ましい。
【0013】
ここで、加硫とはゴムに加硫剤、加硫促進剤などを混ぜて加熱し、分子間の橋かけ結合による網目構造をつくり、ゴムをエラストマーにする操作である。
上記ゴム組成物の加硫は、例えば、イオウ、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィドなどの非元素イオウ加硫剤、ビスモルホリンジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、有機過酸化物、キノンジオキシム、フェノールホルムアルデヒド樹脂、ニトロソ化合物とジイソシアナート混合物、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、過酸化亜鉛、トリエチレンテトラミン、メチレンジアニリン、ジフェニルグアニジン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、エチレンジアミンカルバメート、ビス−p−アミノシクロヘキシルメタンカルバメート、ステアリン酸、オレイン酸などの加硫系(加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤など)によりされたものであってもよい。
【0014】
上記ゴム組成物は、カーボンブラック以外の充填剤を含有していてもよく、具体的には、例えば、シリカ、酸化亜鉛、炭酸カルシウムなどの充填剤として公知のものを特に限定することなく挙げることができる。
また、上記ゴム組成物は、上記充填剤に加えて、公知の樹脂、他のエラストマー、各種配合剤、ゴム副資材を広く含有していてもよく、例えば、活性剤、加硫遅延剤、軟化剤、可塑剤、粘着剤、粘着付与剤、硬化剤、発泡剤、発泡助剤、補強剤、老化防止剤、着色剤、顔料、難燃剤、離型剤などの添加剤を含有していてもよい。
上記ゴム組成物に含有する各成分(原料ゴム、カーボンブラック、充填剤および添加剤等)の含有量は、特に限定されない。
また、上記複合体の構成材料としては、スチールコードなどの鋼材、ポリエステルカーカスコードなどの繊維などが挙げられる。
【0015】
また、上記ゴム組成物の一部または全部を加硫して得られる加硫ゴム組成物としては、具体的には、例えば、天然ゴムタイヤ、合成ゴムタイヤ、ブラダー、ライナーなどの自動車用ゴム部品、ケーブル、ベルト、ホース、シート、パッキンなどのゴム製品、および精錬屑、加工屑などの成形屑ゴムなどが挙げられる。これらのゴム成形品は、必ずしも使用されたものでなくてもよいが、ゴム廃材であることがコストおよびリサイクルの点で望ましい。
これらのうち、タイヤおよび/または成形屑ゴムを加硫ゴム組成物として用いることが、天然ゴムおよびイソプレンを高純度で回収することができるゴム廃材である理由から好ましい。また、ブチルゴム原料の自動車用ゴム部品廃材を用いることも好ましい。
また、加硫ゴム組成物は、熱処理効率および抽出効率を向上させるために、切断などにより細分化して用いることが好ましい。
【0016】
加硫ゴム組成物を、220〜400℃の温度に加熱する際の加熱は、加熱装置、具体的には、例えば、オーブン、管状炉などを用いて行うことができる。
上記加熱は、空気中、窒素ガス中などの不活性雰囲気下のいずれで行ってもよいが、ゴムの変性(酸化)を避ける必要がある場合には不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
上記加熱の条件としては、加熱原料(加硫ゴム組成物)、加熱環境などによっても異なるが、220〜400℃、好ましくは250〜350℃、より好ましくは280〜300℃の温度範囲で行われる。また、加熱時間は、例えば、10〜30分程度とすればよく、好ましくは15〜20分程度である。
【0017】
(2)有機溶媒抽出工程
有機溶媒抽出工程とは、上記熱処理工程において加熱した加硫ゴム組成物を、有機溶媒で抽出することにより溶媒抽出(溶解)分と抽出残物(不溶分)とに分離する工程であって、実質的に分離されていればよく、溶媒抽出分が多少抽出残分に残っていてもよい。
具体的には、上記(1)の熱処理工程において加熱した加硫ゴム組成物を、有機溶媒に浸漬させ、遠心分離、ろ過などの汎用の分離手段により、溶媒抽出分を抽出させて、抽出残物と分離する。この際、有機溶媒を加熱しても構わないが、作業コスト面から、室温(通常0〜40℃程度)の有機溶媒中に浸漬することが好ましい。浸漬時間は、6〜12時間であることが望ましく、通常8〜10時間である。
また、有機溶媒は固形の加硫ゴム組成物を充分浸漬し得る程度の量で用いることが好ましく、通常は1kgの加硫ゴム組成物を8〜10リットル程度の有機溶媒に浸漬させることが好ましい。
【0018】
ここで、有機溶媒としては、例えば、飽和または不飽和の炭化水素を用いることができ、該炭化水素は芳香族、脂肪族、脂環族などに特に限定されない。具体的には、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、デカリン(デカヒドロナフタレン)、テトラリン(テトラヒドロナフタレン)、シクロヘキサンなどを用いることができる。これらを組合わせて用いてもよい。
これらのうち、シクロヘキサン、トルエンおよびキシレンが好ましく用いられる。
【0019】
(3)乾燥・加熱・粉砕工程
乾燥・加熱・粉砕工程とは、上記有機溶媒抽出工程に、分離した抽出残物を乾燥後、500℃以上の温度で熱処理し、粉砕することでカーボンブラック原料を得る工程である。
具体的には、上記抽出残物を真空乾燥機等で乾燥させた後に、500℃以上の温度で加熱分解させ、さらに、室温まで冷却させた後にボールミル等の粉砕機で粉砕させて、カーボンブラック原料を得る工程である。
また、この乾燥・加熱・粉砕工程は、上記粉砕後に、さらにメッシュを通して上記カーボンブラック原料を、細かな粉体とする工程を有していてもよい。
【0020】
ここで、500℃以上の温度での加熱分解は、上記乾燥・加熱・粉砕工程を経て得られるカーボンブラック原料の表面に有する有機成分量(主はゴム成分)が、加熱により、加硫ゴム組成物に配合するカーボンブラック(以下、バージンカーボンブラックともいう)表面に有する有機成分量と同等またはそれ以下となるまで行うことが好ましい。
なお、ゴム成分等の有機成分量は、TGA熱重量分析による20〜700℃における重量変化により評価することができる。具体的には、20℃での試料の重量を100%とした場合、バージンカーボンブラックの表面に有する有機成分量は、20〜700℃における試料の重量変化(減少)が1.5〜2.5%程度であり、上記カーボンブラック原料の表面に有する有機成分量は、20〜700℃における重量変化(減少)がバージンカーボンブラックと同等の2.5%以下であることが好ましく、0. 1〜2%であることがより好ましい。
【0021】
上記ゴム成分は、上記加熱分解により、ガス状炭化水素および/またはオイルに分解することができる。ゴム成分をガス状炭化水素に分解すれば、分解残渣をカーボンブラック原料として得ることができるため好ましい。
また、上記抽出残物は、均質に加熱できるように、加熱分解前に細分化されていることが好ましく、炉内の充填率も低くして熱処理効率を良くすることが望ましく、具体的には、管状炉(耐熱性チューブ)を用いて、2〜10mm角の加硫ゴム(標準的なタイヤ)を7〜15kg/m3 の充填量で窒素気流中で行うことが好ましい。
【0022】
上記加熱分解の加熱条件としては、溶媒抽出残物を、不活性(非酸化性)雰囲気下で、通常500〜1000℃、好ましくは600〜800℃の温度範囲で行われる。加熱温度がこの範囲であると、得られるカーボンブラック原料をグラファイト化せずにゴム成分を除去することができるため好ましい。
加熱時間は、5〜120分であることが好ましく、より好ましくは10〜60分である。
【0023】
上記カーボンブラック原料は、上記(3)の乾燥・加熱・粉砕工程における加熱温度の調整により、該カーボンブラック原料の粒子(以下、単に粒子ともいう)径を制御することが可能であり、該カーボンブラック原料の微粉末化が可能となるため好ましい。粒子径制御と微粉末化により、上記カーボンブラック原料の分散性の高く均一なスタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物を製造することができる。
ここで、上記バージンカーボンブラックの粒子径とその累積個数との関係、および上記カーボンブラック原料の粒子径とその累積個数との関係を表すグラフを、それぞれ図1(a)および(b)に示す。図1の(a)と(b)とを比較することにより、バージンカーボンブラックより本発明に用いるカーボンブラック原料の方が、粒子径の大きいものが多いことが分かる。また、図1の(b)より、本発明に用いられるカーボンブラック原料では0. 4μm以上の粒径のものが10%以上あることが分かる。
【0024】
また、上記カーボンブラック原料は、500℃以上の加熱処理を経ることにより、表面に微細な凹凸形状を有し、粒子自体がポーラスとなると考えられる。該粒子のポーラスな表面は、氷路面とタイヤトレッド面との間に発生する水の排水効果を大きくすることが可能となるため好ましいと考えられる。また、上記粒子はスタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物に対する投錨効果(アンカー効果)が大きく、粒子径が大きくても摩擦によるタイヤトレッド表面付近の粒子の脱落が少ない。仮に、走行により上記粒子が脱落しても、脱落後のタイヤトレッド表面に微細な凹凸が形成されるので、ミクロ排水効果の向上を図ることができると考えられる。そのため、ゴム中に均一に分散している上記粒子の凹凸は、タイヤトレッドが磨耗しても常に存在することになるため、ミクロスパイク効果とミクロ排水効果といった氷上性能が持続すると考えられる。
このように、従来の単に機械的に粉砕し、ふるいなどで粒子径を揃えたカーボンブラックを配合したゴム組成物と比較して、本発明のスタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物は、破壊特性が向上し、また、該組成物を用いたスタッドレスタイヤでの氷上性能を向上させることができる。
【0025】
第1の態様に係る本発明のスタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物は、スタッドレスタイヤ用ゴム100重量部に対して、上記カーボンブラック原料を5〜80重量部含有した組成物である。ここで、上記スタッドレスタイヤ用ゴムとしては、ブタジエンゴムおよび/または天然ゴムを含有する混合ゴムが好適に例示される。
特に、上記スタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物としては、ブタジエンゴムを20〜60重量部含有し、かつ天然ゴムを40〜80重量部含有する混合ゴム100重量部に対して、上記カーボンブラック原料を5〜80重量部配合してなる組成物であることが好ましく、ブタジエンゴムを40〜60重量部含有し、かつ天然ゴムを40〜60重量部含有する混合ゴム100重量部に対して、上記カーボンブラック原料を20〜50重量部配合してなる組成物であることがより好ましい。
また、上記スタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物は、天然ゴムおよび/またはブタジエンゴム以外に、上述した加硫ゴム組成物で例示した、原料ゴムを本発明の目的を損なわない範囲で含有していてもよい。
【0026】
さらに、上記スタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物は、スタッドレスタイヤとして用いるために、上記カーボンブラック原料以外の充填剤を含有していてもよく、具体的には、例えば、バージンカーボンブラック、シリカ、酸化亜鉛、炭酸カルシウムなどの充填剤として公知のものを特に限定することなく挙げることができる。
また、上記ゴム組成物は、上記充填剤に加えて、公知の樹脂、他のエラストマー、各種配合剤、ゴム副資材を広く含有していてもよく、例えば、活性剤、加硫遅延剤、軟化剤、可塑剤、粘着剤、粘着付与剤、硬化剤、発泡剤、発泡助剤、補強剤、老化防止剤、着色剤、顔料、難燃剤、離型剤などの添加剤を含有していてもよい。
【0027】
本発明のスタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物は、上記カーボンブラック原料、天然ゴムおよびブタジエンゴム等を、公知のゴム用混練機械、具体的には、例えば、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー等を用いて混合することによって製造することができる。
【0028】
また、本発明のスタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物は、上記カーボンブラック原料を含有しており、スタッドレスタイヤに用いた場合、通常のカーボンブラックを含有するスタッドレスタイヤと比べ、氷上摩擦係数が向上し、硬度も同等程度に保てることから、スタッドレスタイヤ用のトレッドゴム組成物として用いることが好ましい。
【0029】
本発明の第2の態様に係るスタッドレスタイヤは、上記第1の態様に係るスタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物からなるトレッドを有するスタッドレスタイヤであって、トレッド以外の部材(例えば、ベルト、カーカス、ビードワイヤー等)は特に限定されない。
ここで、該スタッドレスタイヤは、上記第1の態様に係るゴム組成物を有しているため、上述したように、氷路面とタイヤトレッド面との間に発生する水の排水効果を大きくすることが可能となると考えられ、また、トレッドゴム中に均一に分散しているカーボンブラック原料の粒子の凹凸は、タイヤトレッドが磨耗しても常に存在することになるため、ミクロスパイク効果とミクロ排水効果を伴い氷上性能が持続すると考えられる。
【0030】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(原料加硫ゴム組成物の調製)
下記表1に示す成分組成(重量比)で配合・混練してゴム組成物を調整した後に、180℃で10分間加熱して加硫し、カーボンブラック原料の原料となる加硫ゴム組成物(原料加硫ゴム組成物)を調製した。
なお、天然ゴム(NR)としてはRSS3号、カーボンブラック(CB)としてはショウワブラックS118(昭和キャボット社製)を使用し、亜鉛華としては酸化亜鉛3種(正同化学工業社製)、ステアリン酸としてはビーズステアリン酸(日本油脂社製)、老化防止剤としてはサントフレックス6PPD(フレキシス社製)を、硫黄としては油処理硫黄(軽井沢精錬所製)、加硫促進剤としてはノクセラーNS−P(大内新興化学社製)を使用した。
【0031】
【表1】
Figure 2004027090
【0032】
(比較例1)
比較例1として、下記表2に示す成分組成(重量比)で配合・混練してゴム組成物を調整した後に、180℃で10分間加熱して加硫し、加硫ゴム組成物を調製した。
なお、天然ゴム(NR)としてはSTR−20(TEC BEE HANG社製)、ブタジエンゴム(BR)としてはNipol BR1220(日本ゼオン社製)、カーボンブラック(CB)としてはショウワブラックN220(昭和キャボット社製)を使用し、アロマオイルとしてはエキストラクト4号(昭和シェル石油社製)、加硫促進剤としてはノクセラーCZ−G(大内新興化学工業社製)を使用した。また、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤および硫黄は、原料加硫ゴム組成物の調製に用いたものを使用した。
【0033】
(実施例1)
(1)上記原料加硫ゴム組成物を1cm角に切断し、電熱炉を用いて、窒素雰囲気下、300℃の温度で、20分間加熱して可塑化させた。
(2)上記で加熱により可塑化した加硫ゴム組成物500gをトルエン5リットル中に浸漬し、8時間室温で静置した後、遠心分離し、トルエン抽出分と抽出残物とを分離した。
(3)抽出残物を、真空乾燥機で乾燥させた後に、600℃の温度で加熱分解させ、さらに、室温まで冷却させた後にボールミルで粉砕し、250μmメッシュを通し、黒色粉末のカーボンブラック原料(CB600)を得た。
【0034】
上記カーボンブラック原料(CB600)を用いて、下記表2に示す成分組成(重量比)で配合・混練してゴム組成物を調製した後に、180℃で10分間加熱して加硫し、加硫ゴム組成物を調製した。
なお、NR、BR、CB、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、アロマオイル、硫黄および加硫促進剤は比較例1と同様のものを使用した。
【0035】
比較例1、実施例1で得られたゴム組成物および加硫ゴム組成物の物性値を下記に示す方法に従って測定した。結果を下記表2に示す。
<リュプケJIS硬度>
JIS−K6253−1997 のP法に準拠して、比較例1および実施例1の加硫ゴム組成物を厚さ10mmに切り出し、−20℃、0℃、20℃および60℃における硬度(HS)を測定した。
【0036】
<ブランク引張り試験>
JIS−K6251−1993 に準拠して、比較例1および実施例1の加硫ゴム組成物を厚さ2mmのダンベル状試験片(ダンベル状3号形)に切り出し、50%モジュラス(M50)〔MPa〕、100%モジュラス(M100 )〔MPa〕、200%モジュラス(M200 )〔MPa〕、300%モジュラス(M300 )〔MPa〕、400%モジュラス(M400 )〔MPa〕、破断強度(TB )〔MPa〕、破断伸び(EB )〔%〕を測定した。
【0037】
<損失正接(tanδ)の測定>
JIS−K6394−1998 に準拠(初期歪10%、振幅±2%、周波数20Hz)して、比較例1および実施例1の加硫ゴム組成物を、幅5mm、厚さ1mmの短冊状試験片に切り出し、つかみ具間隔25mmで、−20℃、0℃、20℃および60℃における損失正接(tanδ)を測定した。
【0038】
<インサイドドラムテスト>
比較例1および実施例1のゴム組成物を用いて、直径10cm程度の円形コンパウンドを作成し加硫させた後、氷上性能を以下の方法で測定した。
インサイドドラム型氷上摩擦試験機を用い、氷温−3. 0℃、付加加重5. 5kgの条件下で、上記円形コンパウンドの氷上摩擦係数を測定した。なお、下記表2中の数値は、比較例1の氷上摩擦係数の値を100として指数表示(氷上摩擦指数)した。この値が大きい程耐摩耗性に優れ、制動性が良好なことを示す。
【0039】
【表2】
Figure 2004027090
【0040】
表2に示すインサイドドラムテストの結果より、実施例1のゴム組成物の氷上摩擦係数が、比較例1のゴム組成物のその値よりも大きくなっていることから、氷上性能が向上していることが明らかとなった。
さらに、リュプケ硬度およびブランク引張り試験の結果から、本発明のスタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物を加硫して得られる加硫ゴム組成物は、硬度および引張り応力が実用上問題ないレベルであることが分かった。
【0041】
【発明の効果】
上述したように、本発明のスタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物は、タイヤの氷雪路上の摩擦力を高くして氷雪路上性能、特に氷上制動性能を向上させることができるため有用である。また、該組成物からなるトレッドを有するスタッドレスタイヤは、氷上摩擦係数が大きいことから、氷雪路上性能、特に氷上制動性能が優れるため有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)はバージンカーボンブラックの粒子径とその累積個数との関係を表すグラフであり、(b)はカーボンブラック原料の粒子径とその累積個数との関係を表すグラフである。

Claims (3)

  1. スタッドレスタイヤ用ゴム100重量部と、
    カーボンブラックを配合してなる加硫ゴム組成物を220〜400℃の温度に加熱し、次いで、加熱後の前記加硫ゴム組成物を有機溶媒で抽出することで溶媒抽出分と抽出残物とを分離させ、さらに、分離した前記抽出残物を乾燥させた後に、500℃以上の温度で熱処理し、粉砕することで得られるカーボンブラック原料5〜80重量部と
    を含有するスタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物。
  2. 前記加硫ゴム組成物が、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、ブチルゴムおよびアクリロニトリルブタジエンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種のゴムと、カーボンブラックとを含有するゴム組成物の一部または全部を加硫させた加硫ゴム組成物であることを特徴とする請求項1に記載のスタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物。
  3. 請求項1または2に記載のスタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物からなるトレッドを有するスタッドレスタイヤ。
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