JP2008303333A - ゴム組成物およびそれを用いたキャップトレッドを有するタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】耐摩耗性を低下させることなく、氷雪上性能を向上させることができるゴム組成物およびそれを用いたキャップトレッドを有する空気入りタイヤおよびスタッドレスタイヤを提供する。
【解決手段】天然ゴムおよびブタジエンゴムからなるゴム成分100重量部に対して、ロックウールを0.1〜20重量部、およびヨウ素吸着量が100〜300mg/gであるカーボンブラックを5〜200重量部含有するゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤおよびスタッドレスタイヤ。
【選択図】なし
【解決手段】天然ゴムおよびブタジエンゴムからなるゴム成分100重量部に対して、ロックウールを0.1〜20重量部、およびヨウ素吸着量が100〜300mg/gであるカーボンブラックを5〜200重量部含有するゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤおよびスタッドレスタイヤ。
【選択図】なし
Description
本発明は、ゴム組成物ならびにそれを用いたキャップトレッドを有する空気入りタイヤおよびスタッドレスタイヤに関する。
従来、氷雪路面走行用としてスパイクタイヤの使用やタイヤへのチェーンの装着がなされてきたが、これらを使用すると、道路表面がスパイクタイヤの金属製のピンやタイヤに巻いたチェーンにより削られ、削られた路面材料が空中に舞う粉塵問題などの問題が発生するため、スパイクタイヤに代わる氷雪路面走行用タイヤとしてスタッドレスタイヤが提案されている。
通常のタイヤでは、一般路面にくらべ氷雪路面で著しく摩擦係数が低下し滑りやすくなるので、スタッドレスタイヤは、材料面および設計面での工夫がされている。たとえば、低温特性に優れたジエン系ゴムを配合したゴム組成物の開発や、タイヤ表面の凹凸を変え表面エッジ成分を増す工夫や、引っ掻き効果のある無機フィラーや繊維を配合することが行われてきた。
しかしながら、上述の技術を用いても、スタッドレスタイヤはスパイクタイヤにくらべると氷雪路面における摩擦性能が劣るという問題があった。
特許文献1では、ゴム成分、ガラス繊維および補強剤に加え、ガラス繊維より柔らかく、かつ、所定の平均粒子径を有する無機粉体を所定量含有させることにより、ゴムの硬度を高めることなく、補強剤の分散性を維持して氷上性能および耐摩耗性能を向上させたタイヤ用トレッドゴム組成物が開示されているが、氷上性能については改善の余地がある。
本発明は、耐摩耗性を低下させることなく、氷雪上性能を向上させることができるゴム組成物ならびにそれを用いたキャップトレッドを有する空気入りタイヤおよびスタッドレスタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、天然ゴムおよびブタジエンゴムからなるゴム成分100重量部に対して、ロックウールを0.1〜20重量部、ならびにヨウ素吸着量が100〜300mg/gであるカーボンブラックを5〜200重量部含有するゴム組成物に関する。
また、本発明は、前記ゴム組成物をキャップトレッドに用いた空気入りタイヤに関する。
また、本発明は、前記ゴム組成物をキャップトレッドに用いたスタッドレスタイヤに関する。
本発明によれば、特定のゴム成分、特定のカーボンブラック、ロックウールを特定量含有することで、耐摩耗性を低下させることなく、氷雪上性能を向上させることができるゴム組成物ならびにそれを用いたキャップトレッドを有する空気入りタイヤおよびスタッドレスタイヤを提供することができる。
本発明のゴム組成物は、天然ゴムおよびブタジエンゴムからなるゴム成分、カーボンブラック、ロックウールを含む。
前記ゴム成分としては、スタッドレスタイヤのトレッドに必要とされる低温における優れた性質(優れた低温特性)、例えば、脆化特性やアイスウェットグリップ特性を有し、柔らかいスタッドレスタイヤのトレッドにおいても、一定の補強性を保つことができる、加工性に優れるという理由から、NRおよびBRを用いる。
ゴム成分中のNRの含有率は10重量%以上が好ましく、20重量%以上がより好ましい。NRの含有率が10重量%未満では、加工性が悪化する傾向がある。また、ゴム成分中のNRの含有率は90重量%以下が好ましく、80重量%以下がより好ましい。NRの含有率が90重量%をこえると、スタッドレスタイヤのトレッドに必要な低温特性を保つことができず、氷雪路面上におけるタイヤ性能(スノー性能)が大幅に悪化する傾向がある。
ゴム成分中のBRの含有率は10重量%以上が好ましく、20重量%以上がより好ましい。BRの含有率が10重量%未満では、スタッドレスタイヤのトレッドに必要な低温特性を保つことができず、スノー性能が大幅に悪化する傾向がある。また、ゴム成分中のBRの含有率は90重量%以下が好ましく、80重量%以下がより好ましい。BRの含有率が90重量%をこえると、加工性が悪化する傾向がある。
BRとしては、通常ゴム工業で使用される1,4−シスBR、1,4−トランスBRなどを使用することができる。
ゴム成分として、NRおよびBR以外にも、通常ゴム工業で使用されるジエン系ゴム、たとえば、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)などを配合することもできるが、加工性が悪化するという理由から、NRおよびBR以外のゴム成分を用いないことが好ましい。
カーボンブラックのヨウ素吸着量(IA)は100mg/g以上、好ましくは110mg/g以上である。カーボンブラックのIAが100mg/g未満では、補強性が低下する。また、カーボンブラックのIAは300mg/g以下、好ましくは250mg/g以下である。カーボンブラックのIAが300mg/gをこえると、低発熱性および耐久性が低下し、加工性が悪化する。
カーボンブラックの含有量は、ジエン系ゴム成分100重量部に対して5重量部以上、好ましくは10重量部以上である。カーボンブラックの含有量が5重量部未満では、補強効果が低下する。また、カーボンブラックの含有量は200重量部以下、好ましくは100重量部以下である。カーボンブラックの含有量が200重量部をこえると、加工性が悪化する。
ロックウールは、耐熱性に優れた高炉スラッグや玄武岩、その他の天然岩石などを主原料として、キュプラや電気炉で1500〜1600℃の高温で溶融するか、または、高炉からだした後、同程度の高温に保温した溶融スラッグを炉底から流出され、遠心力などで吹き飛ばして繊維状にして製造される。
ロックウールの繊維径は、氷雪路面での引っ掻き効果が充分に発揮されることから、1μm以上が好ましく、1.5μm以上がより好ましい。また、ロックウールの繊維径は、耐磨耗性に優れるという点で、10μm以下であることが好ましく、8μm以下であることが好ましい。
なお、ロックウールは、平均繊維径に対する平均繊維長の比(平均アスペクト比、(平均繊維長)/(平均繊維径))は特に制限はなく、一般に、混練後は20〜40程度になる。
ロックウールの含有量は、ジエン系ゴム100重量部に対して0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上である。ロックウールの含有量が0.1重量部未満では、配合中に保持されているロックウールよりも脱落するロックウールのほうが多く、ロックウールによる氷雪掘り起こしの効果が低下し、氷雪上性能が低下する。また、ロックウールの含有量は20重量部以下、好ましくは15重量部以下である。ロックウールの含有量が20重量部をこえると、耐摩耗性が低下する。
本発明では、所定のゴム成分、所定のカーボンブラックおよびロックウールを所定量含有することで、氷上グリップ性能を向上させることができる。
本発明のゴム組成物には、前記ゴム成分、カーボンブラック、ロックウール以外にも、従来ゴム工業に使用される配合剤、たとえば、シリカなどのカーボンブラック以外の補強用充填剤、各種オイル、ワックスなどの軟化剤、各種老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、硫黄などの加硫剤、各種加硫促進剤などを、必要に応じて適宜配合することができる。
本発明の空気入りタイヤのトレッド部は、1層構造ではなく、キャップトレッドおよびベーストレッドからなる2層構造を有することが好ましく、本発明のゴム組成物は、耐摩耗性と氷上摩擦性能に優れることから、キャップトレッドに用いることが好ましい。
本発明の空気入りタイヤは、本発明のゴム組成物を用いて、通常の方法により製造することができる。すなわち、必要に応じて前記配合剤を配合した本発明のゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤのキャップトレッドの形状にあわせて押出し加工し、タイヤの他の部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを成形する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより本発明の空気入りタイヤを得る。
このようにして得られた本発明の空気入りタイヤは、氷上性能の向上が期待できるという理由から、スタッドレスタイヤとすることが好ましい。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下に、本発明で用いた各種薬品をまとめて示す。
天然ゴム(NR):テックビーハング社製のRSS#3
ブタジエンゴム(BR):宇部興産(株)製のウベポールBR150B
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(ヨウ素吸着量:119mg/g)
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックワックス
オイル:出光興産(株)製のダイナプロセスオイルPS323
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸
亜鉛華:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ロックウール:日本ロックウール(株)製のエスファイバー(R)FF(繊維長:120μm、繊維径:4μm、混練後のアスペクト比:20〜40)
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
天然ゴム(NR):テックビーハング社製のRSS#3
ブタジエンゴム(BR):宇部興産(株)製のウベポールBR150B
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(ヨウ素吸着量:119mg/g)
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックワックス
オイル:出光興産(株)製のダイナプロセスオイルPS323
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸
亜鉛華:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ロックウール:日本ロックウール(株)製のエスファイバー(R)FF(繊維長:120μm、繊維径:4μm、混練後のアスペクト比:20〜40)
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
実施例1〜3および比較例1〜2
表1に示す配合処方にしたがって、まず、硫黄および加硫促進剤を除く配合剤を、容量1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、温度が150℃に達するまで3〜5分間混練りし、混練り物を得た。得られた混練り物に硫黄および加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、70℃の条件下で2分間混練りし、未加硫ゴム組成物を得た。さらに、得られた未加硫ゴム組成物を所定のサイズに成形し、170℃の条件下で12分間プレス加硫することで、実施例1〜3および比較例1〜2の加硫ゴム試験片を得た。
表1に示す配合処方にしたがって、まず、硫黄および加硫促進剤を除く配合剤を、容量1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、温度が150℃に達するまで3〜5分間混練りし、混練り物を得た。得られた混練り物に硫黄および加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、70℃の条件下で2分間混練りし、未加硫ゴム組成物を得た。さらに、得られた未加硫ゴム組成物を所定のサイズに成形し、170℃の条件下で12分間プレス加硫することで、実施例1〜3および比較例1〜2の加硫ゴム試験片を得た。
<氷上摩擦性能>
−5℃に温度制御された恒温室内に設置された−2℃の氷面上に、前記加硫ゴム試験片を2kg/cm2で押しつけ、20km/hで滑らせるときの摩擦係数(氷上摩擦係数)を測定し、比較例1の氷上摩擦性能指数を100とし、下記計算式により、各配合の氷上摩擦係数を指数表示した。氷上摩擦性能指数が大きいほど、氷上摩擦性能が高く、氷上性能に優れることを示す。
(氷上摩擦性能指数)=(各配合の氷上摩擦係数)
÷(比較例1の氷上摩擦係数)×100
−5℃に温度制御された恒温室内に設置された−2℃の氷面上に、前記加硫ゴム試験片を2kg/cm2で押しつけ、20km/hで滑らせるときの摩擦係数(氷上摩擦係数)を測定し、比較例1の氷上摩擦性能指数を100とし、下記計算式により、各配合の氷上摩擦係数を指数表示した。氷上摩擦性能指数が大きいほど、氷上摩擦性能が高く、氷上性能に優れることを示す。
(氷上摩擦性能指数)=(各配合の氷上摩擦係数)
÷(比較例1の氷上摩擦係数)×100
<耐摩耗性>
前記未加硫ゴム組成物を、通常用いられる方法でカレンダーロールによってキャップトレッドの形状に成形し、他のタイヤ部材と貼り合わせて、170℃の条件下で12分間プレス加硫することにより、スタッドレスタイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を製造した。
前記未加硫ゴム組成物を、通常用いられる方法でカレンダーロールによってキャップトレッドの形状に成形し、他のタイヤ部材と貼り合わせて、170℃の条件下で12分間プレス加硫することにより、スタッドレスタイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を製造した。
国産FF車に、上記タイヤを装着させ、乾燥アスファルトの一般道路を8000km走行させ、タイヤのトレッド部の溝の深さを測定した。さらに、測定した溝の深さから、トレッド部の溝の深さが1mm減少するのに要する走行距離を算出し、比較例1の耐摩耗性指数を100とし、下記計算式により、各配合の走行距離を指数表示した。耐摩耗性指数が大きいほど、耐摩耗性に優れていることを示す。
(耐摩耗性指数)=(各配合の走行距離)÷(比較例1の走行距離)×100
(耐摩耗性指数)=(各配合の走行距離)÷(比較例1の走行距離)×100
上記評価結果を表1に示す。
Claims (3)
- 天然ゴムおよびブタジエンゴムからなるゴム成分100重量部に対して、ロックウールを0.1〜20重量部、ならびにヨウ素吸着量が100〜300mg/gであるカーボンブラックを5〜200重量部含有するゴム組成物。
- 請求項1記載のゴム組成物をキャップトレッドに用いた空気入りタイヤ。
- 請求項1記載のゴム組成物をキャップトレッドに用いたスタッドレスタイヤ。
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JP2007153222A JP2008303333A (ja) | 2007-06-08 | 2007-06-08 | ゴム組成物およびそれを用いたキャップトレッドを有するタイヤ |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103507571A (zh) * | 2012-06-27 | 2014-01-15 | 韩国轮胎株式会社 | 无空气轮胎 |
JP2015502447A (ja) * | 2011-12-23 | 2015-01-22 | 株式会社ブリヂストン | ゴムタイヤ配合物 |
CN114752126A (zh) * | 2022-05-13 | 2022-07-15 | 北京晶南实业有限公司 | 一种带式输送机滚筒用高耐磨复合橡胶板及其制备方法 |
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2007
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JP2014008958A (ja) * | 2012-06-27 | 2014-01-20 | Hankook Tire Co Ltd | エアレスタイヤ |
US9387726B2 (en) | 2012-06-27 | 2016-07-12 | Hankook Tire Co., Ltd. | Airless tire |
CN114752126A (zh) * | 2022-05-13 | 2022-07-15 | 北京晶南实业有限公司 | 一种带式输送机滚筒用高耐磨复合橡胶板及其制备方法 |
CN114752126B (zh) * | 2022-05-13 | 2023-11-07 | 北京晶南实业有限公司 | 一种带式输送机滚筒用高耐磨复合橡胶板及其制备方法 |
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