JP5179464B2 - 摩擦伝動ベルト - Google Patents
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Description
使用中の摩擦伝動ベルトから、異音が発生することがある。このような異音は、ベルトやプーリ等に特別な異常がなくても発生する可能性があり、例えば、長期間に渡る使用で表面が平滑になった摩擦伝動ベルトが水をかぶった状態にある場合等においては、その傾向が顕著である。これは、プーリとベルトの摩擦接触面に水膜が形成されることによりベルトがスリップし、その後、水が排水されて水膜が消失し、再びプーリが回転を始めた瞬間に異音が発生し易いためである。
そして、摩擦伝動ベルトのユーザーにより、異音の発生が問題視される場合が多い。そこで、例えば、摩擦伝動ベルトが使用される自動車等においても、異音発生の大きな原因となる水が摩擦伝動ベルトに掛かることを防止する取り組みがなされているものの、水に起因した異音の発生を確実に防止することは困難である。従って、ユーザーのみならず、自動車等のメーカーからも、水が掛かった場合においても異音の発生しない摩擦伝動ベルトの開発が要望されている。
本発明の摩擦伝動ベルトにおいては、摩擦面を有するゴム層が設けられている。そしてゴム層は、補強剤を含み、摩擦面において、摩擦面に付着した水による摩擦伝動ベルトのスリップを防止するための排水用の凹凸が形成されていることを特徴とする。
また、補強剤がカーボンブラックを含むことが好ましい。この場合、カーボンブラックの平均窒素表面積(ASTM D1765−01)が、33〜99m2/gであること、特に40〜49m2/gであることがより好ましい。
ゴム層は、短繊維をさらに有することが好ましい。また、ゴム層は、例えばEPDM(Ethylene Propylene Terpolymer)を含むゴムにより形成されている。
摩擦伝動ベルトは、例えば、ゴム層に積層された接着ゴム層と、接着ゴム層の間に配置された抗張体とをさらに有する。
本発明のゴム層材料は、摩擦伝動ベルトの摩擦面を有するゴム層を形成するためのゴム層材料であって、ゴム層材料が補強剤を含み、摩擦面において、摩擦面に付着した水による摩擦伝動ベルトのスリップを防止するための排水用の凹凸を形成可能であることを特徴とする。
図2は、実施例1のゴム層材料を用いて製造されたVリブドベルトの一定時間使用後の状態における、下ゴム層の摩擦面の拡大画像である。
図3は、実施例2のゴム層材料を用いて製造されたVリブドベルトの一定時間使用後の状態における、下ゴム層の摩擦面の拡大画像である。
図4は、比較例1のゴム層材料を用いて製造されたVリブドベルトの一定時間使用後の状態における、下ゴム層の摩擦面の拡大画像である。
図5は、比較例2のゴム層材料を用いて製造されたVリブドベルトの一定時間使用後の状態における、下ゴム層の摩擦面の拡大画像である。
図6は、使用後の状態における、実施例1のVリブドベルトの第1の注水スリップ試験の結果を示す図である。
図7は、使用後の状態における、実施例2のVリブドベルトの第1の注水スリップ試験の結果を示す図である。
図8は、使用後の状態における、比較例1のVリブドベルトの第1の注水スリップ試験の結果を示す図である。
図9は、使用後の状態における、実施例1のVリブドベルトの第2の注水スリップ試験の結果を示す図である。
図10は、使用後の状態における、実施例2のVリブドベルトの第2の注水スリップ試験の結果を示す図である。
図11は、使用後の状態における、比較例1のVリブドベルトの第2の注水スリップ試験の結果を示す図である。
図12は、使用後の状態における、比較例2のVリブドベルトの第2の注水スリップ試験の結果を示す図である。
Vリブドベルト10(摩擦伝動ベルト)は、下ゴム層12、接着ゴム層16、帆布22を含む。下ゴム層12および帆布22は、Vリブドベルト10の表面に設けられている。接着ゴム層16は下ゴム層12に積層されており、接着ゴム層16の表面は帆布22で覆われている。下ゴム層12により、複数のVリブ20が形成されている。Vリブ20は、Vリブドベルト10の長手方向に延び、幅方向に並ぶように配置されている。
Vリブ20の表面、すなわち下ゴム層12の表面12Sは、プーリ(図示せず)に係合する摩擦面である。下ゴム層12には、多数の短繊維14が含まれている。短繊維14は、ほぼVリブドベルト10の幅方向に沿って配向されている。一部の短繊維14は、Vリブ20の側面等、下ゴム層12の摩擦面12Sから突出している。接着ゴム層16のほぼ中央には、心線18(抗張体)が埋設されている。
次に、下ゴム層12の組成につき説明する。表1は、本実施形態の実施例と比較例において、下ゴム層12を形成するために用いられるゴム層材料の組成を示す。
いずれの実施例および比較例のゴム層材料においても、綿もしくはナイロン66の短繊維14(図1参照)が含まれる。吸水性を有する綿は、摩擦面上の水の除去を補助し得る。さらに、これらのゴム層材料には、加硫剤である硫黄、老化防止剤等の共通の成分が加えられている。
本実施例、および比較例のVリブドベルトは、表1に示されたゴム層材料を用いて製造される。すなわち、円筒形ドラム(図示せず)において、帆布22の材料、接着ゴム層16の材料シート、心線18、上述のゴム層材料のシートを巻き付け、円筒形ドラムを所定の温度、圧力で加圧、加熱する。ここで、心線18を接着ゴム層16内部に配置させる(図1参照)ために、2枚の接着ゴム層16の材料シートが心線18を挟んだ状態で円筒形ドラムに巻きつけられる。
円筒形ドラムに対する加圧、加熱工程により得られた平ベルト状の加硫スリーブを所定幅に裁断し、さらに下ゴム層を研削してVリブ20を形成することにより、下ゴム層12、接着ゴム層16、心線18および帆布22を含むVリブドベルト10(図1参照)が製造される。
次に、本実施例、および比較例のゴム層材料を用いて形成された下ゴム層12の表面形状につき説明する。図2は、実施例1のゴム層材料を用いて製造されたVリブドベルト10の一定時間使用後の状態における、下ゴム層12の摩擦面12Sを示す拡大画像である。図3〜5は、実施例2、比較例1および比較例2についての図2にそれぞれ対応する拡大画像である。
なお、上述の一定時間使用の条件とは、以下の通りである。すなわち、Vリブドベルト10を直径120mmの駆動プーリおよび従動プーリ、直径45mmのテンショナプーリ(いずれも図示せず)に掛け回し、85℃の高温下、駆動プーリ回転数4900(rpm)で24時間走行させた。また、図2〜5の拡大画像は、Vリブドベルト10の摩擦面を走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影したものであり、倍率は300倍である。
使用前の実施例および比較例の下ゴム層12においては、いずれも、短繊維14(図1参照)が下ゴム層12の表面、すなわち摩擦面から突出している。このため、摩擦面は平滑ではなく、たとえ水が付着したとしても排水され、水膜が形成されず、Vリブドベルト10がスリップしないことから異音は発生しない。これに対し、Vリブドベルト10の使用後においては、摩擦面から突出していた短繊維14が磨耗し、いずれも摩擦面の粗さが低下している。そして、使用後においては、比較例2、実施例1、実施例2および比較例1の順に摩擦面の粗さが維持されている(図2〜5参照)。
次に、本実施例、および比較例のVリブドベルト10の第1の注水スリップ試験の結果につき説明する。
第1の注水スリップ試験においては、直径130mmの駆動プーリ、直径55mmのテンショナプーリ、および直径128mmの従動プーリにVリブドベルト10を掛け回し、駆動プーリを1000rpmで回転させた。このとき、従動プーリの負荷トルクが10.0Nmとなるように試験条件を調整した。さらに、試験開始直後の30秒間においては、駆動プーリに対して水を毎分300mlの割合でかけ、スリップの発生を調査した。
図6は、上述の一定時間使用の条件下で24時間使用された後の状態における実施例1のVリブドベルト10の第1の注水スリップ試験の結果を示す図である。図7、8は、実施例2、および比較例1についての図6にそれぞれ対応する試験結果である。
図6〜8、および後述する図9以下のグラフにおいては、太線は、マイクロフォン(図示せず)によって検出されたVリブドベルト10からの音に応じた電圧(音圧)、細い線は、従動プーリの回転数をそれぞれ示し、横軸は時間を表す。
一定時間使用後の実施例1および実施例2のVリブドベルト10においては、いずれにおいても従動プーリの回転数がほぼ一定である(図6、7参照)。これに対し、比較例1では、水を駆動プーリに掛けた試験開始直後にVリブドベルト10がスリップし、従動プーリの回転数が大幅に低下している。その後、Vリブドベルト10が再び正常に走行を開始し、従動プーリの回転数が上昇する際に異音が発生している(図8参照)。
なお、第1の注水スリップ試験の結果においては、比較例1(図8参照)における音圧の変化の幅ほど大きくはないものの、実施例1および実施例2(図6、7参照)においても、音圧は変化している。しかしながら、以下のように、比較例1においてのみ異音が発生する。
すなわち、比較例1では、注水により駆動プーリとVリブドベルト10の接触面に水膜が生じ、Vリブドベルト10がスリップして駆動プーリが空転し、その後で水膜が消失して再びVリブドベルト10が急に走行を開始するため、このときに周波数の高い異音が生じている(図8参照)。これに対し、実施例1および実施例2(図6、7参照)では、従動プーリの回転数が示すように、Vリブドベルト10のスリップが防止されているため、比較例1において生じる、高周波数の異音は生じない。
次に、本実施例、および比較例のVリブドベルト10の第2の注水スリップ試験の結果につき説明する。
第2の注水スリップ試験は、従動プーリと段付従動軸の段差部との間に5mmのシムを挟み、駆動プーリに対して僅かに角度をつけている点を除き、第1の注水スリップ試験と同じ条件で行った。このことから明らかであるように、第2の注水スリップ試験の条件は、第1の注水スリップ試験の条件よりも厳しい。なお、第2の注水スリップ試験も、第1の注水スリップ試験と同様に、上述の一定時間使用の条件で24時間使用された実施例1、実施例2、比較例1および比較例2のVリブドベルト10に対して行った。
第2の注水スリップ試験において、実施例1のVリブドベルト10は、従動プーリの回転数がほぼ一定であり、スリップしていない(図9参照)。これに対し、実施例2、比較例1および比較例2では、注水により、試験開始直後にVリブドベルト10がスリップしたため、その後、Vリブドベルト10が再び正常に走行を開始する際に、周波数の高い異音が発生している(図10〜12参照)。従って、第1の注水スリップ試験においては良好な結果を示した実施例2のVリブドベルト10については、より条件の厳しい第2の注水スリップ試験においては良い結果が得られなかったといえる。
これらの試験結果は、以下のことを示すものと考えられる。比較例1においては、使用後のVリブドベルト10のプーリ接触面、すなわち下ゴム層12の摩擦面12S(図1および図4参照)と、プーリ表面との界面に水膜が形成され、Vリブドベルト10がスリップする。そして、摩擦面12Sが平滑であるために、水膜が比較的長い時間に渡って保持され、Vリブドベルト10の正常な走行が妨げられる。また、比較例2では、摩擦面12S(図5参照)は粗いものの、摩擦面12Sの摩耗が激しく、偏摩耗等により、Vリブドベルト10がスリップして異音が発生している。
これらの比較例に対し、下ゴム層12において、適度な粗さを有する摩擦面12Sが適切に形成されている実施例1および実施例2(図2、3参照)では、下ゴム層12の摩擦面12Sから水が速やかに除かれるため、Vリブドベルト10は、スリップ防止性能に優れる。この結果、実施例のVリブドベルト10においては、スリップによる異音の発生を防ぐことが可能である。
以上のように、平均窒素表面積が40〜49m2/g(ASTM D1765−01)程度のカーボンブラックであるFEFを補強剤として用い、下ゴム層12の摩擦面12Sに微細な排水用の凹凸を形成する(実施例1)ことにより、互いに傾いたプーリに掛け回されるといった厳しい使用条件下にあっても、Vリブドベルト10のスリップを確実に防ぎ、異音発生を防止できる(図6、9参照)。そして、既に使用された状態の実施例1のVリブドベルト10であってもスリップが防止できることから、FEFを用いることにより、表面粗さの維持に寄与する短繊維14(図1参照)、すなわち下ゴム層12の摩擦面12Sから突出した短繊維14が擦り減った後においても、排水用の凹凸を維持することが可能である。なお、実施例1では、実施例2よりもさらに良い結果が得られたことから、排水用の凹凸を形成するカーボンブラックとして、平均窒素表面積が40〜49m2/gのFEFが特に優れているといえる。
また、ASTM D1765−01の平均窒素表面積が70〜99m2/g程度のカーボンブラックであるHAFを用いた場合でも、穏やかな使用条件においては、Vリブドベルト10のスリップを抑制し、異音の発生を防止できる(図7、10参照)。従って、HAFを用いることにより、摩擦面12Sから突出した短繊維14が磨耗した状態においても、排水用の凹凸は保たれている。
このように、実施例1および実施例2において、長期間に渡って使用された後のVリブドベルト10においても異音発生防止効果が維持されていることから、SRFを除くFEF、HAF等の平均窒素表面積が33〜99m2/gであるカーボンブラックにより、スリップならびに異音の発生を抑制できる。
以上のように第1の実施形態によれば、Vリブドベルト10の下ゴム層12における補強剤を調整することにより、水がVリブドベルト10の摩擦面12Sに付着した場合においてもスリップおよび異音の発生を防止できる。
以下、第2の実施形態につき、説明する。本実施形態では、下ゴム層12(図1参照)を形成するためのゴム層材料に珪藻土が加えられている点などが、第1の実施形態と異なる。そして本実施形態においても、ゴム層材料の組成を除き、第1の実施形態と同様の方法でVリブドベルト10(図1参照)が製造された。
表2は、本実施形態の実施例と比較例におけるゴム層材料の組成を示す。
実施例3〜5、および比較例3〜5のゴム層材料を用いたそれぞれのVリブドベルト10(図1参照)につき、上述の第1の注水スリップ試験を行った。本実施形態では、いずれの実施例、比較例についても、第1の実施形態と同じ条件で一定時間使用された後の状態のみならず、使用前の状態の各Vリブドベルト10についても同じ試験を行った。
この第1の注水スリップ試験において、実施例3、4のVリブドベルト10は、スリップせず、なおかつ異音も生じないという、特に良好な結果を示した。そして実施例5においても、使用後のVリブドベルト10においてわずかなスリップおよび異音の発生が認められたものの、使用前のVリブドベルト10では実施例3、4と同様であり、良好な結果であった。
さらに、これらの実施例3〜5は、以下の点で第1の実施形態における実施例1および2(表1参照)よりもさらに優れていた。すなわち、実施例1および2では、注水実験を複数回繰り返すと、時にはスリップ、異音の発生が認められることもあったのに対し、本実施形態の実施例3〜5では、常に同じ安定した試験結果が得られた。
これに対し、比較例3〜5においては、良好な結果は得られなかった。すなわち、比較例4の使用前のVリブドベルト10において、スリップと異音の発生が比較的少なかった点を除き、いずれのVリブドベルト10の使用前、使用後ともに、スリップおよび異音の発生が明らかに認められた。
以上の結果より、ゴム層材料において、100重量部のゴム材料に対して10〜20重量部(ゴム層材料全体に対して5〜10重量%)の珪藻土を加えることにより、Vリブドベルト10のスリップ防止性能をさらに向上させ、異音の発生をより確実に防止し得ることが明らかである。これは、吸水性を有する珪藻土により、下ゴム層12の摩擦面12S(図1参照)に付着した水がより効率的に除去されるためと考えられる。
これに対し、比較例3および4においては、珪藻土の添加量が少ないために、下ゴム層12の吸水性能が不足し、Vリブドベルト10はスリップしてしまう。また、比較例5のように、珪藻土が過剰に加えられた場合においては、摩擦面12Sの摩擦係数(表2参照)が必要以上に低下してしまい、Vリブドベルト10はやはりスリップする。従って、比較例3〜5においては実施例3〜5よりも大きな異音が発生したものと考えられる。
次に、比較例6および7につき説明する。これらの比較例では、珪藻土の平均粒子径が実施例3〜5における9μmとは異なり、それぞれ23.4μm、43.6μmである(表2参照)。これらの比較例6および7においては、Vリブドベルト10の使用前後を問わず、スリップおよび異音の発生が明らかに認められた。
従って、Vリブドベルト10のゴム層材料に加える珪藻土は、平均粒子径が20μm以下のもの、例えば9μm前後の細かいものを用いることが適当であるといえる。これは、細かい粒子の珪藻土を用いたVリブドベルト10においては、より大きい粒子からなる珪藻土を同じ重量だけ用いる場合に比べ、下ゴム層12の摩擦面12S(図1参照)に露出する珪藻土の量がより多いこと、および珪藻土の単位重量あたりの表面積がより大きいことにより、吸水効果が高まるためと考えられる。
次に、比較例8および9につき説明する。これらの比較例は、比較例1(表1参照)に珪藻土を加えたものであり、カーボンブラックとしてHAFが用いられている。これらの比較例8および9においては、他の比較例と同様に、Vリブドベルト10の使用前後ともに、スリップおよび異音の発生が明らかに認められた。
このように本実施形態の試験結果も、ゴム層材料に加えられるカーボンブラックとして、FEFがHAFよりも適していることを示している。
次に、比較例10〜12について説明する。これらの比較例では、他の実施例、比較例よりもカーボンブラックの添加量を減らし、もしくはなくしている。カーボンブラックを除いた比較例12の処方では、均一なゴム層材料が得られず、Vリブドベルト10を製造できなかった。そして比較例10および11においても、Vリブドベルト10の使用前後ともに、スリップおよび異音の発生が明らかに認められた。
従って、FEF、もしくはHAFのカーボンブラックの添加量をこれまでの実施例、比較例に比べてほぼ半減させ、もしくはゼロにすると、その減少量に相当する珪藻土を加えても、良好な結果は得られないことが確認された。
次に、比較例13および14について説明する。これらの比較例では、他の実施例、比較例と異なり、ゴム層材料にゼオライトが加えられている。すなわち、比較例13では平均粒子径が0.2mm、比較例14では平均粒子径が1.25μmのゼオライトがそれぞれ15重量部ずつ、用いられた。これらの比較例13、14の処方は、比較例3とゼオライトの有無のみが異なるものである。
比較例13および14のいずれについても、Vリブドベルト10の使用前後ともに、スリップおよび異音の発生が明らかに認められた。このため、珪藻土に代えてゼオライトを用いた場合においても、良好な結果は得られなかった。これは、ゼオライトの吸水性が珪藻土よりも劣るため、もしくは摩擦面12Sにおける粗さ等の表面特性の違いによる可能性がある。
以上のように本実施形態によれば、ゴム層材料に、無機多孔質である珪藻土を加えることにより、摩擦面に水が付着したVリブドベルト10のスリップおよび異音の発生をより確実に防止することができる。
下ゴム層12を始めとする、Vリブドベルト10を構成する各部材の素材は、いずれの実施形態のものに限定されない。例えば、上述のように、平均窒素表面積が所定の範囲にあるカーボンブラックがスリップ、異音の発生を防止できることから、本実施形態において用いられたFEF、HAFのほかに、XCF、GPF等を下ゴム層12の補強材として用いても良い。
また、第2の実施形態(実施例3〜5、比較例3〜12)においては、摩擦面12S(図1参照)の摩擦係数が必要以上に低下してしまうことを防止すべくグラファイトは使用されていないが、適量のみ加えても良い。
さらに、補強剤として、カーボンブラックの代わりに、もしくはカーボンブラックとともにシリカを用いても良い。
珪藻土についても同様であり、平均粒子径が上述の実施例とは異なるものなどを用いても良い。
また、EPDMによって形成されるゴムは一般に耐熱性、耐摩耗性に優れるという利点があるものの、下ゴム層12が、CRゴム、水素化ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴム等で形成されても良い。なお、EPDM等の架橋反応のために、硫黄の他に過酸化物を用いても良い。そして、Vリブドベルト10以外の摩擦伝動ベルト、例えば平ベルト、Vベルト等に、本実施形態の下ゴム層12のゴム層材料を適用しても良い。
Claims (9)
- 摩擦面を有するゴム層が設けられた摩擦伝動ベルトであって、
前記ゴム層がカーボンブラックを含み、前記カーボンブラックが平均窒素表面積(ASTM D1765−01)33〜49m2/gのカーボンブラックのみからなり、前記摩擦面において、前記摩擦面に付着した水による前記摩擦伝動ベルトのスリップを防止するための排水用の凹凸が、前記カーボンブラックの添加により形成され、
前記ゴム層がEPDM(Ethylene Propylene Terpolymer)を含むゴムにより形成される
ことを特徴とする摩擦伝動ベルト。 - 前記平均窒素表面積(ASTM D1765−01)が、40〜49m2/gであることを特徴とする請求項1に記載の摩擦伝動ベルト。
- 前記ゴム層が短繊維をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の摩擦伝動ベルト。
- 前記ゴム層が珪藻土をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の摩擦伝動ベルト。
- 前記ゴム層が、100重量部のゴム材料当たり10〜20重量部の前記珪藻土を含むことを特徴とする請求項4に記載の摩擦伝動ベルト。
- 前記珪藻土の平均粒子径が20μm以下であることを特徴とする請求項4に記載の摩擦伝動ベルト。
- 前記ゴム層に積層された接着ゴム層と、前記接着ゴム層の間に配置された抗張体とをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の摩擦伝動ベルト。
- 前記ゴム層がグラファイトを含むことを特徴とする請求項1に記載の摩擦伝動ベルト。
- 摩擦伝動ベルトの摩擦面を有するゴム層を形成するためのゴム層材料であって、
前記ゴム層材料が、カーボンブラックを含み、前記カーボンブラックが平均窒素表面積(ASTM D1765−01)33〜49m2/gのカーボンブラックのみからなり、前記摩擦面において、前記摩擦面に付着した水による前記摩擦伝動ベルトのスリップを防止するための排水用の凹凸を、前記カーボンブラックの添加により形成可能であり、
前記ゴム層材料がEPDM(Ethylene Propylene Terpolymer)を含むゴムにより形成される
ことを特徴とするゴム層材料。
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JPWO2008102911A1 (ja) | 2010-06-03 |
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