JP2004027042A - 微粒子分散ゲル化体及びそれから得られた微粒子分散液 - Google Patents
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Abstract
【課題】長期間を要する保管や輸送などを経ても、沈降分離や二次凝集のない分散安定性に優れる微粒子分散液、特に切削 、研磨用として好適な微粒子分散液を提供する。
【解決手段】(A)微粒子を分散状態で含むゲル化能を有する水溶性高分子物質の水性溶液と、(B)ゲル化剤を含む水性溶液とを接触させて、少なくとも前記(A)成分をゲル化させてなる微粒子分散ゲル化体、及びこのゲル化体に、ゾル化剤を接触させて得られた微粒子分散液である。
【選択図】 なし
【解決手段】(A)微粒子を分散状態で含むゲル化能を有する水溶性高分子物質の水性溶液と、(B)ゲル化剤を含む水性溶液とを接触させて、少なくとも前記(A)成分をゲル化させてなる微粒子分散ゲル化体、及びこのゲル化体に、ゾル化剤を接触させて得られた微粒子分散液である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微粒子分散ゲル化体及びそれから得られた微粒子分散液に関する。さらに詳しくは、本発明は、分散安定性に優れ、特に切削、研磨用として好適な微粒子分散液を与える、長期分散安定性の良好な微粒子分散ゲル化体、及び該微粒子分散ゲル化体から得られた前記特性を有する微粒子分散液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータをはじめとするハイテク製品の進歩は目覚ましく、これに使用される半導体素子や各種装置、部品は年々高集積化、高速化、高容量化、小型化などの高機能化の一途をたどっている。
半導体素子の製造においては、超微細パターンの加工精度が要求されており、その基板であるウェーハは極めて高い平坦性、無傷性の表面を有するものが求められている。また、メモリーハードディスクにおいても、小型化、大容量化のために、平坦性の極めて高い表面を有する基板が求められており、他の電気、光学、磁気材料についても同様である。このような表面をもつ基板は、一般に鏡面研磨と呼ばれる微細な研磨加工によって得られている。
例えば、半導体素子の製造において用いられるこのような鏡面をもつウェーハは、単結晶珪素棒を薄い円板状に切断した後、逐次、この薄い円板を鏡面状を呈するまで磨き上げていくことにより造られている。通常、この研磨には、上記切断直後の粗い表面に施されるラッピング工程と、これに続く精密研磨のためのポリシング工程が採用されている。そしてこのポリシング工程において、粗研磨と最終研磨が行われ、鏡面状を呈するウェーハが造られている。上記ラッピング工程には主としてダイヤモンド、アルミナ粉末等が使用されるが、上記粗研磨及び最終研磨には、一般にシリカゾルが使用されている。
一方、メモリーハードディスクの基板としては、表面にNi−Pを化学メッキで付着させたアルミニウム基板やガラス基板が用いられている。そして、前記アルミニウム基板用の研磨液には、主成分としてアルミナを水に分散させたスラリーが多用されており、またガラス基板用の研磨液には、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、シリカなどを水に分散させたスラリーが使用されている。
さらに、半導体材料、磁性材料、セラミックスなどの硬脆材料の溝入れ加工や切断加工などの精密加工においては、ワイヤソーが用いられている。このワイヤソーを用いて溝入れや切断加工を行う場合、被加工物とワイヤの摺動部に遊離砥粒を供給しながら、加工処理する方法が知られている。この場合、遊離砥粒として、炭化ケイ素、立方晶窒化ホウ素(cBN)、ダイヤモンドなどの硬質粒子を分散させた加工液が用いられる。
このような切削、研磨用として用いられる加工液や研磨液においては、切削材や研磨材である微粒子が作業中、保管中あるいは輸送中などで、二次凝集したり、沈降分離することなく、安定した分散性を有することが要求される。
したがって、従来、前記微粒子の分散液に、分散安定剤として界面活性剤、カップリング剤、分散助剤、沈降防止剤などを配合することにより、分散安定性を付与することが行われてきた。しかしながら、このような方法においては、微粒子の種類によっては、分散安定化が極めて困難なものがある上、分散直後は良好に分散しているが、保管中や輸送中に該微粒子が沈降分離してハードケーキになりやすく、また二次凝集を起こしやすいなどの問題があった。
微粒子分散液を前述の切削、研磨用に用いる場合、一般に分散直後に使用することは少なく、微粒子分散液を製造したのち、保管や輸送が行われる。この保管や輸送中においては、微粒子分散液中の微粒子は、時間の経過に伴い沈降分離したり、ハードケーキとなったり、二次凝集するなど、好ましくない事態を招来しやすい。一旦沈降分離あるいは凝集した微粒子を、使用時に再分散しようとしても、再分散性が悪く、ハードケーキのままであったり、一次粒子に再分散できないなどの不具合が生じることが多い。特に、沈降防止剤として、高分子化合物を添加した微粒子分散液の場合には、一旦沈降した微粒子がゲル化しやすい上、ベタつくなどで再分散が極めて困難である。
沈降分離した微粒子あるいは凝集した微粒子を含む微粒子分散液を、切削、研磨用に用いると、様々な不都合をもたらす。例えば研削速度が低下したり、研磨表面に傷が付いたり、微粒子が研磨表面に刺るなどの弊害をきたす。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、長期間を要する保管や輸送などを経ても、沈降分離や二次凝集のない分散安定性に優れる微粒子分散液、特に切削、研磨用として好適な微粒子分散液を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、微粒子分散液を予めゲル化しておけば、ゲル内で該微粒子の沈降分離や粒子同士の凝集がない上、ゲル化したもの同士のゲル化や凝集もなく、長期分散安定性に優れること、さらに、切削、研磨用などとして使用直前に、ゾル化剤によって、元の微粒子分散液に戻すことにより、沈降分離や二次凝集のない分散安定性に優れる微粒子分散液が得られること、そして、前記ゲル化用の材料としてゲル化能を有する水溶性高分子物質が有効であることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)(A)微粒子を分散状態で含むゲル化能を有する水溶性高分子物質の水性溶液と、(B)ゲル化剤を含む水性溶液とを接触させて、少なくとも前記(A)成分をゲル化させたことを特徴とする微粒子分散ゲル化体、
(2)(A)成分と(B)成分との混合物であって、その全体がゲル状に固化したものである第1項記載の微粒子分散ゲル化体、
(3)(A)成分を(B)成分に接触させ、該(A)成分をゲル化させて得られた球状又は円柱状粒子の集合体である第1項記載の微粒子分散ゲル化体、
(4)(A)成分が、微粒子0.01〜70重量%を含む第1項、第2項又は第3項記載の微粒子分散ゲル化体、
(5)微粒子が、平均粒径0.01〜100μmの切削用又は研磨用微粒子である第1項ないし第4項のいずれかに記載の微粒子分散ゲル化体、
(6)(A)成分におけるゲル化能を有する水溶性高分子物質が、水溶性アルギン酸塩、ゼラチン、寒天及びポリ(メタ)アクリル酸系共重合樹脂の中から選ばれる少なくとも1種である第1項ないし第5項のいずれかに記載の微粒子分散ゲル化体、
(7)切削用又は研磨用として用いられる第1項ないし第6項のいずれか記載の微粒子分散ゲル化体、
(8)第1項ないし第6項のいずれかに記載の微粒子分散ゲル化体に、ゾル化剤を接触させて得られたことを特徴とする微粒子分散液、及び
(9)切削用又は研磨用として用いられる第8項記載の微粒子分散液、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の微粒子分散ゲル化体は、(A)微粒子を分散状態で含むゲル化能を有する水溶性高分子物質の水性溶液と、(B)ゲル化剤を含む水性溶液とを接触させて、少なくとも前記(A)成分をゲル化させたものである。
前記(A)成分における微粒子としては特に制限はないが、従来切削、研磨用として使用されている公知の微粒子を好ましく用いることができる。この微粒子の例としては、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(cBN)、窒化ケイ素、炭化ケイ素、さらにはシリカ、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、アルミナなどの金属酸化物等の微粒子が挙げられる。
前記微粒子の粒径としては、特に制限はなく、微粒子分散液の用途に応じて適宜選定されるが、通常0.01〜100μm、好ましくは0.1〜30μmの範囲である。また、該微粒子は、1種を単独で用いてもよく、用途によっては2種以上を組み合わせて用いてもよい。
当該(A)成分に用いられるゲル化能を有する水溶性高分子物質としては、ゲル化能及び水溶性を有するものであればよく、特に制限されず、様々な高分子物質の中から適宜選択することができる。例えば水溶性アルギン酸塩、ゼラチン、寒天及びポリ(メタ)アクリル酸系共重合樹脂などを挙げることができる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記水溶性アルギン酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩、あるいはアンモニウム塩などが挙げられる。
【0006】
このアルギン酸塩を構成するアルギン酸は、コンブ、ワカメに代表される褐藻類に特有な天然多糖類であって、分子中に含まれるカルボキシル基は、様々な陽イオンと容易にイオン交換することにより、物性が変化する性質を有している。例えばナトリウム塩などの水溶性アルギン酸塩を含む水溶液とカルシウムイオンなどの二価以上の多価イオンを含む水溶液とを接触させた場合、アルギン酸が部分的にイオン架橋され、ゲル化する。
前記水溶性アルギン酸塩の分子量は、通常2万〜100万、好ましくは3万〜50万である。なお、分子量が大きいものの方がゲル化しやすい。このアルギン酸塩は、例えば「キミカアルギンシリーズ」、「アルギテックスシリーズ」[いずれも(株)キミカ製]などとして市販されており容易に入手が可能である。
また、前記のゼラチン及び寒天は、市販されているものでよく、容易に入手可能である。一方、ポリ(メタ)アクリル酸系共重合樹脂としては、例えば(a)(メタ)アクリル酸と、(b)(メタ)アクリルアミド、一般式[1]
CH2=C(R1)−COOR2 …[1]
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は炭素数1〜12のアルキル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基又はフェニル基を示す。)
で表される(メタ)アクリル酸エステル及び一般式[2]
CH2=CH−R3 …[2]
(式中、R3は水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基又はフェニル基を示す。)
で表されるビニル化合物の中から選ばれる少なくとも1種との共重合体又はその塩を挙げることができる。
このポリ(メタ)アクリル酸系共重合樹脂中の(メタ)アクリル酸単位の含有量は、0.05重量%以上が好ましく、さらに3重量%以上が好ましい。
当該(A)成分を調製するには、例えば、まず水性媒体中に、(A)成分全量に基づき、前記のゲル化能を有する水溶性高分子物質を、好ましくは0.01〜7重量%、より好ましくは0.1〜3重量%の割合で加え、さらに必要に応じて防腐剤、分散安定化剤などを適宜量加えて水溶性高分子物質の水性溶液を調製する。この際、前記水性媒体としては、通常水が用いられるが、必要に応じ水と低級アルコール、ケトン、グリコールなどの水混和性有機溶剤との混合液を用いることができる。
また、分散安定化剤としては、例えばピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸塩カリウム、クエン酸アンモニウムなどの多塩基酸塩、界面活性剤、ポリカルボン酸塩、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどが挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0007】
次に、このようにして得られた水溶性高分子物質の水性溶液に、(A)成分の全重量に基づき、前述の微粒子を、好ましくは0.01〜70重量%、より好ましくは0.1〜50重量%の割合で加え、超音波分散機やホモジナイザー、ボールミルなどを用いて、均一に分散させることにより、当該(A)成分である微粒子を分散状態で含む水溶性高分子物質の水性溶液が得られる。
本発明の微粒子分散ゲル化体において、(B)成分のゲル化剤を含む水性溶液に用いられるゲル化剤としては、水溶性高分子物質を非水溶性高分子物質に転換し得るものであればよく、特に制限されず、例えばキトサン及び水溶性多価金属塩などを挙げることができる。ここで、水溶性多価金属塩の例としては、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、銅、マンガン、アルミニウム、ニッケルなどの塩化物、硝酸塩、リン酸塩、有機酸塩などが挙げられる。これらの中で、ゲル化形成性、入手の容易さなどの点から、塩化カルシウム、塩化マグネシウム及び硝酸カルシウムが好ましい。
当該(B)成分は、例えば水性媒体中に、(B)成分全重量に基づき、前記ゲル化剤を、好ましくは0.1〜7重量%、より好ましくは0.2〜3重量%の割合で加え、溶解させることにより、調製することができる。この際、前記水性媒体としては、通常水が用いられるが、必要に応じ水と低級アルコール、ケトン、グリコールなどの水混和性有機溶剤との混合液を用いることができる。
本発明の微粒子分散ゲル化体は、前記の(A)成分である微粒子を分散状態で含む水溶性高分子物質の水性溶液と、(B)成分であるゲル化剤を含む水性溶液とを接触させて、少なくとも前記(A)成分をゲル化させることにより、製造することができる。
【0008】
このようにして得られた本発明の微粒子分散ゲル化体には、(A)成分と(B)成分との接触方法により、その性状に2つの態様がある。
まず、第1の態様は、該(A)成分と(B)成分との混合物であって、その全体がゲル状に固化した、例えばプリン状の性状を有する微粒子分散ゲル化体である。この場合、(1)(A)成分をゆっくりかき混ぜながら、これに(B)成分を、混合物全体がゲル状に固化するまで添加する方法、あるいは、(2)(A)成分と、ゲル化の遅いゲル化剤、例えばクエン酸カルシウムなどを含む(B)成分とを、所定の割合で混合し、この混合物を徐々にゲル化させる方法などを用いることができる。前記(2)の方法は、例えば保管中や輸送中の時間を利用して実施することができる。
次に、第2の態様は、(A)成分を(B)成分に接触させ、該(A)成分をゲル化させて得られた球状又は円柱状粒子の集合体の性状を有する微粒子分散ゲル化体である。
この場合、例えば(B)成分をゆっくりかき混ぜながら、この中に(A)成分を滴下していくことにより、該(A)成分がゲル化してなる球状粒子の集合体が得られる。また、(B)成分をゆっくりかき混ぜながら、この中に(A)成分をノズルより吐出させることにより、該(A)成分がゲル化してなる円柱状粒子の集合体が得られる。
【0009】
前記の(A)成分を(B)成分中に滴下する方法においては、滴下口の径により形成される球状粒子の粒径を制御することができ、一方、(A)成分をノズルより吐出させる方法においては、ノズルの吐出口の径及び1回の吐出量により、形成される円柱状粒子の径及び長さを制御することができる。
このようにして形成された球状粒子の集合体又は円柱状粒子の集合体は、(B)成分由来の水溶液と共に存在するが、単離することなく、そのまま切削、研磨用などとして用いられる微粒子分散液の調製に用いてもよいし、単離したものを該微粒子分散液の調製に用いてもよい。
前記球状粒子や円柱状粒子のサイズについては特に制限はないが、製造しやすさ、取扱い性などの点から、球状粒子の場合、平均粒径は、一般に0.1〜20mm、好ましくは0.2〜7mmの範囲である。一方、円柱状粒子の場合、平均径は、一般に0.1〜20mm、好ましくは0.2〜7mm、平均長さは、一般に20〜100mm、好ましくは30〜60mmの範囲である。
本発明の微粒子分散ゲル化体は、ゲル内において、微粒子が沈降分離したり、二次凝集したりすることがない上、球状粒子の集合体や円柱状粒子の集合体は、粒子同士の凝集やゲル化が生じることがないことから、長期分散安定性に極めて優れている。
本発明の微粒子分散ゲル化体は、微粒子分散液に戻すことなく、そのまま切削用又は研磨用に使用することができる。この場合、ゲル化体のゲル構造の強度は弱いので、実質的に液体として取り扱うことができる。具体的には、ゲル化体を液体として、注入、吸引又は噴霧することができて、分散液を用いる切削又は研磨装置にそのまま分散液の代わりに使用することができる。
【0010】
また、切削又は研磨の態様によっては、本発明の微粒子分散ゲル化体は、微粒子分散液の状態にして使用することができる。
本発明の微粒子分散液は、前記のようにして形成された微粒子分散ゲル化体に、ゾル化剤を接触させることにより得られたものである。
当該ゾル化剤としては、水不溶性高分子物質を水溶性高分子物質に転換し、水性媒体に再溶解し得るものであればよく、特に制限されず、金属錯塩や金属キレート化合物を形成し得る化合物の中から、適宜選択することができる。
前記金属錯塩を形成し得る化合物としては、例えばアンモニアを挙げることができる。また、金属キレート化合物を形成し得る化合物としては、各種キレート剤があり、具体的には、ピロリン酸、ヘキサメタリン酸、トリポリリン酸などのカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩、あるいはジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸(HIDA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、ヒドロキシエチリデンジホスホニック酸(HEDP)、ニトリロトリス(メチレンホスホニック酸)(NTMP)、ホスホノブタントリカルボン酸(PBTC)、1,3−プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸(DPTA−OH)などのカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩等を挙げることができる。
【0011】
本発明においては、前記微粒子分散ゲル化体に、必要に応じて水性媒体を加え、撹拌しながら、該ゲル化体が再溶解するまで前記ゾル化剤を加えることにより、本発明の微粒子分散液を調製することができる。この際、ゾル化剤の量が多いほど、ゲル化体の再溶解速度が速くなる。当該ゾル化剤の量が少ないと再溶解速度が遅く、また該ゲル化体を十分に再溶解することができない場合がある。
このようにして得られた微粒子分散液は、極めて分散性に優れ、例えば切削、研磨作業中に、微粒子が沈降分離していたり、二次凝集していない。
本発明の微粒子分散液の用途としては、微粒子が水性媒体中に分散している状態で使用されるのであれば、特に制限はなく、いかなる用途にも用いることができるが、特に鋼、アルミニウムなどの各種金属や合金材料、ガラス、セラミックス、シリコン、磁性材料、合成樹脂材料などの切削、研磨用として、好ましく用いることができる。具体的には、半導体素子用基板、メモリーハードディスク用基板、電気光学材料、磁気材料、フォトマスクなどの切削、研磨及びCMP(Chemical Mechanical Polishing)などに好適に使用される。
【0012】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例で得られた微粒子分散液の分散性、安定性は、以下に示す方法により測定した。
〈微粒子分散液の分散性、安定性の測定評価方法〉
(1)安定性
100日間保管後のゲル化体、あるいは比較例においては分散体について、上澄液の高さと微粒子層の高さを測定し、次式で安定性を表す。
安定性=微粒子層の高さ(mm)/上澄液の高さ(mm)
(2)分散性
分散液1滴をプレパラート上に取り、プレパラートでカバーして倍率100倍の顕微鏡で凝集体数を測定し、下記の判定基準で評価する。
◎:凝集体の数が0の場合
○:凝集体の数が1〜5の場合
×:凝集体の数が6以上の場合
【0013】
実施例1
(1)微粒子球状ゲル化体の作製
100mlビーカーに、イオン交換水38.0gを入れ、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.8g、さらにアルギン酸ナトリウム[(株)キミカ製「アルギテックスM」]0.4gを加え溶解させたのち、平均粒径3.0μmのダイヤモンド微粒子0.8gを加え、ホモジナイザーで、6000rpm、30分間撹拌して、ダイヤモンド微粒子2.0重量%を分散状態で含むアルギン酸ナトリウム水溶液(A−1液)を調製した。
次に、1重量%塩化カルシウム水溶液(B−1液)300mlをゆっくりかき混ぜながら、このB−1液中に、上記A−1液40gを50mlビュレットを用いて滴下した。滴下すると瞬時にゲル化は完了し、B−1液中に球状ゲル化粒子が形成した。次いで、この球状ゲル化粒子をB−1液から分別し、2回イオン交換水で水洗して平均粒径5mmの球状ゲル化粒子の集合体39gを得た。
このようにして得られた球状ゲル化粒子の集合体39gにイオン交換水39gを加えて、ダイヤモンド微粒子1.0重量%の球状ゲル化体78gを得た。
この球状ゲル化体38gを密閉状態で室温(23℃)で100日間保管して安定性を測定した。測定結果を第1表に示す。
(2)ダイヤモンド微粒子分散液の調製
前記(1)で得られた作製直後の球状ゲル化体38gを100mlビーカーに取り、撹拌しながら、これにHEDPの二アンモニウム塩20重量%水溶液2.5gを加え、20分間撹拌することにより、0.94重量%ダイヤモンド微粒子分散液40.5gを調製した。
この分散液の分散性について、顕微鏡で測定した結果を第1表に示す。
また、前記(1)で得られた100日間保管後の球状ゲル化体を用い、上記と同様にして0.94重量%ダイヤモンド微粒子分散液を調製した。この分散液の分散性について、顕微鏡で測定した結果を第1表に示す。
【0014】
実施例2
(1)微粒子分散ゲル化体の作製
実施例1(1)において、平均粒径3.0μmのダイヤモンド微粒子の代わりに、平均粒径2.7μmの炭化ケイ素微粒子を用いた以外は、実施例1(1)と同様にして、炭化ケイ素微粒子2.0重量%を分散状態で含むアルギン酸ナトリウム水溶液(A−2液)を調製した。
次に、1重量%塩化マグネシウム水溶液(B−2液)300mlをゆっくりかき混ぜながらこのB−2液中に、上記A−2液40gを、浣腸器を用いて吐出させた。吐出させると瞬時にゲル化は完了し、B−2液中に円柱状ゲル化粒子が形成した。次いで、この円柱状ゲル化粒子をB−2液から分別し、2回イオン交換水で洗浄して平均径5mm、平均長さ50mmの円柱状ゲル化粒子の集合体39gを得た。
このようにして得られた円柱状ゲル化粒子の集合体18.5gは、炭化ケイ素微粒子分散液の調製に供すると共に、残りの円柱状ゲル化粒子の集合体18.5gにイオン交換水18.5gを加えて得た円柱状ゲル化体37gを密閉状態にて室温(23℃)で100日間保管して安定性を測定した。測定結果を第1表に示す。
(2)炭化ケイ素微粒子分散液の調製
前記(1)で得られた水洗直後の円柱状ゲル化集合体18.5gを100mlビーカーに取り、イオン交換水18.5gを加えて撹拌しながら、これにHEDPの二アンモニウム塩の20重量%水溶液2.5gを加え20分間撹拌することにより、0.94重量%炭化ケイ素微粒子分散液を調製した。
この分散液の分散性について、顕微鏡で測定した結果を第1表に示す。
また、前記(1)で得られた100日間保管後の円柱状ゲル化体を用い、上記と同様にして0.94重量%炭化ケイ素微粒子分散液を調製した。この分散液の分散性について、顕微鏡で測定した結果を第1表に示す。
【0015】
実施例3
(1)微粒子分散ゲル化体の作製
実施例1(1)で用いた平均粒径3.0μmのダイヤモンド微粒子の代わりに、平均粒径1.0μmのシリカ微粒子を用いた以外は、実施例1(1)と同様にして、シリカ微粒子20重量%を分散状態で含むアルギン酸ナトリウム水溶液(A−3液)を調製した。
次に、上記A−3液40gをゆっくりかき混ぜながら、これに0.2重量%塩化カルシウム水溶液(B−3液)を、全体がゲル状に固化するまで徐々に添加し、B−3液38gを添加した時点で、全体が固化し、プリン状のゲル化体78gを得た。
このようにして得られたプリン状のゲル化体38gを直ちに、シリカ微粒子分散液の調製に供すると共に、残りの38gを密閉状態にて室温(23℃)で100日間保管したのち、安定性を測定した。測定結果を第1表に示す。
(2)シリカ微粒子分散液の調製
前記(1)で得られたプリン状のゲル化体38gを100mlビーカーに取り、これにニトリロ三酢酸ナトリウム20重量%水溶液2.0gを加え、5分間撹拌して10.0重量%シリカ微粒子分散液を調製した。
この分散液の分散性について、顕微鏡で測定した結果を第1表に示す。
また、前記(1)で得られた100日間保管後のプリン状のゲル化体を用い、上記と同様にして10.0重量%シリカ微粒子分散液を調製した。この分散液の分散性について、顕微鏡で測定した結果を第1表に示す。
実施例4
(1)微粒子状球状ゲル化体の作製
実施例1(1)において、アルギン酸ナトリウム0.4gの代わりに、アクリルアミド−アクリル酸共重合体[ダイヤニトリックス(株)製「ダイヤフロックAP517C」]0.01g及びアルギン酸ナトリウム0.39gを用いた以外は、実施例1(1)と同様にして球状ゲル化体78gを得た。この球状ゲル化体38gを密閉状態で室温(23℃)にて100日間保管して安定性を測定した。測定結果を第1表に示す。
(2)ダイヤモンド微粒子分散液の調製
実施例1(2)と同様にして、前記(1)で得られた作製直後及び100日間保管後の球状ゲル化体を用いてダイヤモンド微粒子分散液を調製し、その分散性について、顕微鏡で測定した結果を第1表に示す。
実施例5
実施例2(1)において、アルギン酸ナトリウム0.4gの代わりに、ゼラチン0.2g及びアルギン酸ナトリウム0.2gを用いた以外は、実施例2(1)、(2)と同様にして安定性、並びに製造直後及び100日間保管後のゲル化体を用いて得られた微粒子分散液の分散性を測定した。その結果を第1表に示す。
比較例1
実施例1(1)と同様にして、平均粒径3.0μmのダイヤモンド微粒子2.0重量%を含むアルギン酸ナトリウム水溶液(A−1液と同じ)を調製した。この液39gにイオン交換水39gを加えてよく混合して得られた分散体の分散性を測定した。結果を第1表に示す。さらに、この分散体を密閉状態にて室温(23℃)で100日間保管したのち、安定性を測定した。結果を第1表に示す。
また、100日間保管した分散体を、手で10回上下を逆にすることで混合した後に、その分散性について、顕微鏡で測定した結果を第1表に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、微粒子の水性分散液を、予めゲル化し、プリン状あるいは球状粒子集合体や円柱状粒子集合体となすことにより、保管や輸送中において、ゲル内で微粒子の沈降分離や二次凝集が生じることがなく、長期分散安定性に優れたものとなる。
そして、使用時に、前記ゲル化体にゾル化剤を加え、再溶解することにより、沈降分離や二次凝集のない分散安定性に優れる微粒子分散液を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、微粒子分散ゲル化体及びそれから得られた微粒子分散液に関する。さらに詳しくは、本発明は、分散安定性に優れ、特に切削、研磨用として好適な微粒子分散液を与える、長期分散安定性の良好な微粒子分散ゲル化体、及び該微粒子分散ゲル化体から得られた前記特性を有する微粒子分散液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータをはじめとするハイテク製品の進歩は目覚ましく、これに使用される半導体素子や各種装置、部品は年々高集積化、高速化、高容量化、小型化などの高機能化の一途をたどっている。
半導体素子の製造においては、超微細パターンの加工精度が要求されており、その基板であるウェーハは極めて高い平坦性、無傷性の表面を有するものが求められている。また、メモリーハードディスクにおいても、小型化、大容量化のために、平坦性の極めて高い表面を有する基板が求められており、他の電気、光学、磁気材料についても同様である。このような表面をもつ基板は、一般に鏡面研磨と呼ばれる微細な研磨加工によって得られている。
例えば、半導体素子の製造において用いられるこのような鏡面をもつウェーハは、単結晶珪素棒を薄い円板状に切断した後、逐次、この薄い円板を鏡面状を呈するまで磨き上げていくことにより造られている。通常、この研磨には、上記切断直後の粗い表面に施されるラッピング工程と、これに続く精密研磨のためのポリシング工程が採用されている。そしてこのポリシング工程において、粗研磨と最終研磨が行われ、鏡面状を呈するウェーハが造られている。上記ラッピング工程には主としてダイヤモンド、アルミナ粉末等が使用されるが、上記粗研磨及び最終研磨には、一般にシリカゾルが使用されている。
一方、メモリーハードディスクの基板としては、表面にNi−Pを化学メッキで付着させたアルミニウム基板やガラス基板が用いられている。そして、前記アルミニウム基板用の研磨液には、主成分としてアルミナを水に分散させたスラリーが多用されており、またガラス基板用の研磨液には、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、シリカなどを水に分散させたスラリーが使用されている。
さらに、半導体材料、磁性材料、セラミックスなどの硬脆材料の溝入れ加工や切断加工などの精密加工においては、ワイヤソーが用いられている。このワイヤソーを用いて溝入れや切断加工を行う場合、被加工物とワイヤの摺動部に遊離砥粒を供給しながら、加工処理する方法が知られている。この場合、遊離砥粒として、炭化ケイ素、立方晶窒化ホウ素(cBN)、ダイヤモンドなどの硬質粒子を分散させた加工液が用いられる。
このような切削、研磨用として用いられる加工液や研磨液においては、切削材や研磨材である微粒子が作業中、保管中あるいは輸送中などで、二次凝集したり、沈降分離することなく、安定した分散性を有することが要求される。
したがって、従来、前記微粒子の分散液に、分散安定剤として界面活性剤、カップリング剤、分散助剤、沈降防止剤などを配合することにより、分散安定性を付与することが行われてきた。しかしながら、このような方法においては、微粒子の種類によっては、分散安定化が極めて困難なものがある上、分散直後は良好に分散しているが、保管中や輸送中に該微粒子が沈降分離してハードケーキになりやすく、また二次凝集を起こしやすいなどの問題があった。
微粒子分散液を前述の切削、研磨用に用いる場合、一般に分散直後に使用することは少なく、微粒子分散液を製造したのち、保管や輸送が行われる。この保管や輸送中においては、微粒子分散液中の微粒子は、時間の経過に伴い沈降分離したり、ハードケーキとなったり、二次凝集するなど、好ましくない事態を招来しやすい。一旦沈降分離あるいは凝集した微粒子を、使用時に再分散しようとしても、再分散性が悪く、ハードケーキのままであったり、一次粒子に再分散できないなどの不具合が生じることが多い。特に、沈降防止剤として、高分子化合物を添加した微粒子分散液の場合には、一旦沈降した微粒子がゲル化しやすい上、ベタつくなどで再分散が極めて困難である。
沈降分離した微粒子あるいは凝集した微粒子を含む微粒子分散液を、切削、研磨用に用いると、様々な不都合をもたらす。例えば研削速度が低下したり、研磨表面に傷が付いたり、微粒子が研磨表面に刺るなどの弊害をきたす。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、長期間を要する保管や輸送などを経ても、沈降分離や二次凝集のない分散安定性に優れる微粒子分散液、特に切削、研磨用として好適な微粒子分散液を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、微粒子分散液を予めゲル化しておけば、ゲル内で該微粒子の沈降分離や粒子同士の凝集がない上、ゲル化したもの同士のゲル化や凝集もなく、長期分散安定性に優れること、さらに、切削、研磨用などとして使用直前に、ゾル化剤によって、元の微粒子分散液に戻すことにより、沈降分離や二次凝集のない分散安定性に優れる微粒子分散液が得られること、そして、前記ゲル化用の材料としてゲル化能を有する水溶性高分子物質が有効であることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)(A)微粒子を分散状態で含むゲル化能を有する水溶性高分子物質の水性溶液と、(B)ゲル化剤を含む水性溶液とを接触させて、少なくとも前記(A)成分をゲル化させたことを特徴とする微粒子分散ゲル化体、
(2)(A)成分と(B)成分との混合物であって、その全体がゲル状に固化したものである第1項記載の微粒子分散ゲル化体、
(3)(A)成分を(B)成分に接触させ、該(A)成分をゲル化させて得られた球状又は円柱状粒子の集合体である第1項記載の微粒子分散ゲル化体、
(4)(A)成分が、微粒子0.01〜70重量%を含む第1項、第2項又は第3項記載の微粒子分散ゲル化体、
(5)微粒子が、平均粒径0.01〜100μmの切削用又は研磨用微粒子である第1項ないし第4項のいずれかに記載の微粒子分散ゲル化体、
(6)(A)成分におけるゲル化能を有する水溶性高分子物質が、水溶性アルギン酸塩、ゼラチン、寒天及びポリ(メタ)アクリル酸系共重合樹脂の中から選ばれる少なくとも1種である第1項ないし第5項のいずれかに記載の微粒子分散ゲル化体、
(7)切削用又は研磨用として用いられる第1項ないし第6項のいずれか記載の微粒子分散ゲル化体、
(8)第1項ないし第6項のいずれかに記載の微粒子分散ゲル化体に、ゾル化剤を接触させて得られたことを特徴とする微粒子分散液、及び
(9)切削用又は研磨用として用いられる第8項記載の微粒子分散液、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の微粒子分散ゲル化体は、(A)微粒子を分散状態で含むゲル化能を有する水溶性高分子物質の水性溶液と、(B)ゲル化剤を含む水性溶液とを接触させて、少なくとも前記(A)成分をゲル化させたものである。
前記(A)成分における微粒子としては特に制限はないが、従来切削、研磨用として使用されている公知の微粒子を好ましく用いることができる。この微粒子の例としては、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(cBN)、窒化ケイ素、炭化ケイ素、さらにはシリカ、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、アルミナなどの金属酸化物等の微粒子が挙げられる。
前記微粒子の粒径としては、特に制限はなく、微粒子分散液の用途に応じて適宜選定されるが、通常0.01〜100μm、好ましくは0.1〜30μmの範囲である。また、該微粒子は、1種を単独で用いてもよく、用途によっては2種以上を組み合わせて用いてもよい。
当該(A)成分に用いられるゲル化能を有する水溶性高分子物質としては、ゲル化能及び水溶性を有するものであればよく、特に制限されず、様々な高分子物質の中から適宜選択することができる。例えば水溶性アルギン酸塩、ゼラチン、寒天及びポリ(メタ)アクリル酸系共重合樹脂などを挙げることができる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記水溶性アルギン酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩、あるいはアンモニウム塩などが挙げられる。
【0006】
このアルギン酸塩を構成するアルギン酸は、コンブ、ワカメに代表される褐藻類に特有な天然多糖類であって、分子中に含まれるカルボキシル基は、様々な陽イオンと容易にイオン交換することにより、物性が変化する性質を有している。例えばナトリウム塩などの水溶性アルギン酸塩を含む水溶液とカルシウムイオンなどの二価以上の多価イオンを含む水溶液とを接触させた場合、アルギン酸が部分的にイオン架橋され、ゲル化する。
前記水溶性アルギン酸塩の分子量は、通常2万〜100万、好ましくは3万〜50万である。なお、分子量が大きいものの方がゲル化しやすい。このアルギン酸塩は、例えば「キミカアルギンシリーズ」、「アルギテックスシリーズ」[いずれも(株)キミカ製]などとして市販されており容易に入手が可能である。
また、前記のゼラチン及び寒天は、市販されているものでよく、容易に入手可能である。一方、ポリ(メタ)アクリル酸系共重合樹脂としては、例えば(a)(メタ)アクリル酸と、(b)(メタ)アクリルアミド、一般式[1]
CH2=C(R1)−COOR2 …[1]
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は炭素数1〜12のアルキル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基又はフェニル基を示す。)
で表される(メタ)アクリル酸エステル及び一般式[2]
CH2=CH−R3 …[2]
(式中、R3は水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基又はフェニル基を示す。)
で表されるビニル化合物の中から選ばれる少なくとも1種との共重合体又はその塩を挙げることができる。
このポリ(メタ)アクリル酸系共重合樹脂中の(メタ)アクリル酸単位の含有量は、0.05重量%以上が好ましく、さらに3重量%以上が好ましい。
当該(A)成分を調製するには、例えば、まず水性媒体中に、(A)成分全量に基づき、前記のゲル化能を有する水溶性高分子物質を、好ましくは0.01〜7重量%、より好ましくは0.1〜3重量%の割合で加え、さらに必要に応じて防腐剤、分散安定化剤などを適宜量加えて水溶性高分子物質の水性溶液を調製する。この際、前記水性媒体としては、通常水が用いられるが、必要に応じ水と低級アルコール、ケトン、グリコールなどの水混和性有機溶剤との混合液を用いることができる。
また、分散安定化剤としては、例えばピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸塩カリウム、クエン酸アンモニウムなどの多塩基酸塩、界面活性剤、ポリカルボン酸塩、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどが挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0007】
次に、このようにして得られた水溶性高分子物質の水性溶液に、(A)成分の全重量に基づき、前述の微粒子を、好ましくは0.01〜70重量%、より好ましくは0.1〜50重量%の割合で加え、超音波分散機やホモジナイザー、ボールミルなどを用いて、均一に分散させることにより、当該(A)成分である微粒子を分散状態で含む水溶性高分子物質の水性溶液が得られる。
本発明の微粒子分散ゲル化体において、(B)成分のゲル化剤を含む水性溶液に用いられるゲル化剤としては、水溶性高分子物質を非水溶性高分子物質に転換し得るものであればよく、特に制限されず、例えばキトサン及び水溶性多価金属塩などを挙げることができる。ここで、水溶性多価金属塩の例としては、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、銅、マンガン、アルミニウム、ニッケルなどの塩化物、硝酸塩、リン酸塩、有機酸塩などが挙げられる。これらの中で、ゲル化形成性、入手の容易さなどの点から、塩化カルシウム、塩化マグネシウム及び硝酸カルシウムが好ましい。
当該(B)成分は、例えば水性媒体中に、(B)成分全重量に基づき、前記ゲル化剤を、好ましくは0.1〜7重量%、より好ましくは0.2〜3重量%の割合で加え、溶解させることにより、調製することができる。この際、前記水性媒体としては、通常水が用いられるが、必要に応じ水と低級アルコール、ケトン、グリコールなどの水混和性有機溶剤との混合液を用いることができる。
本発明の微粒子分散ゲル化体は、前記の(A)成分である微粒子を分散状態で含む水溶性高分子物質の水性溶液と、(B)成分であるゲル化剤を含む水性溶液とを接触させて、少なくとも前記(A)成分をゲル化させることにより、製造することができる。
【0008】
このようにして得られた本発明の微粒子分散ゲル化体には、(A)成分と(B)成分との接触方法により、その性状に2つの態様がある。
まず、第1の態様は、該(A)成分と(B)成分との混合物であって、その全体がゲル状に固化した、例えばプリン状の性状を有する微粒子分散ゲル化体である。この場合、(1)(A)成分をゆっくりかき混ぜながら、これに(B)成分を、混合物全体がゲル状に固化するまで添加する方法、あるいは、(2)(A)成分と、ゲル化の遅いゲル化剤、例えばクエン酸カルシウムなどを含む(B)成分とを、所定の割合で混合し、この混合物を徐々にゲル化させる方法などを用いることができる。前記(2)の方法は、例えば保管中や輸送中の時間を利用して実施することができる。
次に、第2の態様は、(A)成分を(B)成分に接触させ、該(A)成分をゲル化させて得られた球状又は円柱状粒子の集合体の性状を有する微粒子分散ゲル化体である。
この場合、例えば(B)成分をゆっくりかき混ぜながら、この中に(A)成分を滴下していくことにより、該(A)成分がゲル化してなる球状粒子の集合体が得られる。また、(B)成分をゆっくりかき混ぜながら、この中に(A)成分をノズルより吐出させることにより、該(A)成分がゲル化してなる円柱状粒子の集合体が得られる。
【0009】
前記の(A)成分を(B)成分中に滴下する方法においては、滴下口の径により形成される球状粒子の粒径を制御することができ、一方、(A)成分をノズルより吐出させる方法においては、ノズルの吐出口の径及び1回の吐出量により、形成される円柱状粒子の径及び長さを制御することができる。
このようにして形成された球状粒子の集合体又は円柱状粒子の集合体は、(B)成分由来の水溶液と共に存在するが、単離することなく、そのまま切削、研磨用などとして用いられる微粒子分散液の調製に用いてもよいし、単離したものを該微粒子分散液の調製に用いてもよい。
前記球状粒子や円柱状粒子のサイズについては特に制限はないが、製造しやすさ、取扱い性などの点から、球状粒子の場合、平均粒径は、一般に0.1〜20mm、好ましくは0.2〜7mmの範囲である。一方、円柱状粒子の場合、平均径は、一般に0.1〜20mm、好ましくは0.2〜7mm、平均長さは、一般に20〜100mm、好ましくは30〜60mmの範囲である。
本発明の微粒子分散ゲル化体は、ゲル内において、微粒子が沈降分離したり、二次凝集したりすることがない上、球状粒子の集合体や円柱状粒子の集合体は、粒子同士の凝集やゲル化が生じることがないことから、長期分散安定性に極めて優れている。
本発明の微粒子分散ゲル化体は、微粒子分散液に戻すことなく、そのまま切削用又は研磨用に使用することができる。この場合、ゲル化体のゲル構造の強度は弱いので、実質的に液体として取り扱うことができる。具体的には、ゲル化体を液体として、注入、吸引又は噴霧することができて、分散液を用いる切削又は研磨装置にそのまま分散液の代わりに使用することができる。
【0010】
また、切削又は研磨の態様によっては、本発明の微粒子分散ゲル化体は、微粒子分散液の状態にして使用することができる。
本発明の微粒子分散液は、前記のようにして形成された微粒子分散ゲル化体に、ゾル化剤を接触させることにより得られたものである。
当該ゾル化剤としては、水不溶性高分子物質を水溶性高分子物質に転換し、水性媒体に再溶解し得るものであればよく、特に制限されず、金属錯塩や金属キレート化合物を形成し得る化合物の中から、適宜選択することができる。
前記金属錯塩を形成し得る化合物としては、例えばアンモニアを挙げることができる。また、金属キレート化合物を形成し得る化合物としては、各種キレート剤があり、具体的には、ピロリン酸、ヘキサメタリン酸、トリポリリン酸などのカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩、あるいはジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸(HIDA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、ヒドロキシエチリデンジホスホニック酸(HEDP)、ニトリロトリス(メチレンホスホニック酸)(NTMP)、ホスホノブタントリカルボン酸(PBTC)、1,3−プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸(DPTA−OH)などのカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩等を挙げることができる。
【0011】
本発明においては、前記微粒子分散ゲル化体に、必要に応じて水性媒体を加え、撹拌しながら、該ゲル化体が再溶解するまで前記ゾル化剤を加えることにより、本発明の微粒子分散液を調製することができる。この際、ゾル化剤の量が多いほど、ゲル化体の再溶解速度が速くなる。当該ゾル化剤の量が少ないと再溶解速度が遅く、また該ゲル化体を十分に再溶解することができない場合がある。
このようにして得られた微粒子分散液は、極めて分散性に優れ、例えば切削、研磨作業中に、微粒子が沈降分離していたり、二次凝集していない。
本発明の微粒子分散液の用途としては、微粒子が水性媒体中に分散している状態で使用されるのであれば、特に制限はなく、いかなる用途にも用いることができるが、特に鋼、アルミニウムなどの各種金属や合金材料、ガラス、セラミックス、シリコン、磁性材料、合成樹脂材料などの切削、研磨用として、好ましく用いることができる。具体的には、半導体素子用基板、メモリーハードディスク用基板、電気光学材料、磁気材料、フォトマスクなどの切削、研磨及びCMP(Chemical Mechanical Polishing)などに好適に使用される。
【0012】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例で得られた微粒子分散液の分散性、安定性は、以下に示す方法により測定した。
〈微粒子分散液の分散性、安定性の測定評価方法〉
(1)安定性
100日間保管後のゲル化体、あるいは比較例においては分散体について、上澄液の高さと微粒子層の高さを測定し、次式で安定性を表す。
安定性=微粒子層の高さ(mm)/上澄液の高さ(mm)
(2)分散性
分散液1滴をプレパラート上に取り、プレパラートでカバーして倍率100倍の顕微鏡で凝集体数を測定し、下記の判定基準で評価する。
◎:凝集体の数が0の場合
○:凝集体の数が1〜5の場合
×:凝集体の数が6以上の場合
【0013】
実施例1
(1)微粒子球状ゲル化体の作製
100mlビーカーに、イオン交換水38.0gを入れ、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.8g、さらにアルギン酸ナトリウム[(株)キミカ製「アルギテックスM」]0.4gを加え溶解させたのち、平均粒径3.0μmのダイヤモンド微粒子0.8gを加え、ホモジナイザーで、6000rpm、30分間撹拌して、ダイヤモンド微粒子2.0重量%を分散状態で含むアルギン酸ナトリウム水溶液(A−1液)を調製した。
次に、1重量%塩化カルシウム水溶液(B−1液)300mlをゆっくりかき混ぜながら、このB−1液中に、上記A−1液40gを50mlビュレットを用いて滴下した。滴下すると瞬時にゲル化は完了し、B−1液中に球状ゲル化粒子が形成した。次いで、この球状ゲル化粒子をB−1液から分別し、2回イオン交換水で水洗して平均粒径5mmの球状ゲル化粒子の集合体39gを得た。
このようにして得られた球状ゲル化粒子の集合体39gにイオン交換水39gを加えて、ダイヤモンド微粒子1.0重量%の球状ゲル化体78gを得た。
この球状ゲル化体38gを密閉状態で室温(23℃)で100日間保管して安定性を測定した。測定結果を第1表に示す。
(2)ダイヤモンド微粒子分散液の調製
前記(1)で得られた作製直後の球状ゲル化体38gを100mlビーカーに取り、撹拌しながら、これにHEDPの二アンモニウム塩20重量%水溶液2.5gを加え、20分間撹拌することにより、0.94重量%ダイヤモンド微粒子分散液40.5gを調製した。
この分散液の分散性について、顕微鏡で測定した結果を第1表に示す。
また、前記(1)で得られた100日間保管後の球状ゲル化体を用い、上記と同様にして0.94重量%ダイヤモンド微粒子分散液を調製した。この分散液の分散性について、顕微鏡で測定した結果を第1表に示す。
【0014】
実施例2
(1)微粒子分散ゲル化体の作製
実施例1(1)において、平均粒径3.0μmのダイヤモンド微粒子の代わりに、平均粒径2.7μmの炭化ケイ素微粒子を用いた以外は、実施例1(1)と同様にして、炭化ケイ素微粒子2.0重量%を分散状態で含むアルギン酸ナトリウム水溶液(A−2液)を調製した。
次に、1重量%塩化マグネシウム水溶液(B−2液)300mlをゆっくりかき混ぜながらこのB−2液中に、上記A−2液40gを、浣腸器を用いて吐出させた。吐出させると瞬時にゲル化は完了し、B−2液中に円柱状ゲル化粒子が形成した。次いで、この円柱状ゲル化粒子をB−2液から分別し、2回イオン交換水で洗浄して平均径5mm、平均長さ50mmの円柱状ゲル化粒子の集合体39gを得た。
このようにして得られた円柱状ゲル化粒子の集合体18.5gは、炭化ケイ素微粒子分散液の調製に供すると共に、残りの円柱状ゲル化粒子の集合体18.5gにイオン交換水18.5gを加えて得た円柱状ゲル化体37gを密閉状態にて室温(23℃)で100日間保管して安定性を測定した。測定結果を第1表に示す。
(2)炭化ケイ素微粒子分散液の調製
前記(1)で得られた水洗直後の円柱状ゲル化集合体18.5gを100mlビーカーに取り、イオン交換水18.5gを加えて撹拌しながら、これにHEDPの二アンモニウム塩の20重量%水溶液2.5gを加え20分間撹拌することにより、0.94重量%炭化ケイ素微粒子分散液を調製した。
この分散液の分散性について、顕微鏡で測定した結果を第1表に示す。
また、前記(1)で得られた100日間保管後の円柱状ゲル化体を用い、上記と同様にして0.94重量%炭化ケイ素微粒子分散液を調製した。この分散液の分散性について、顕微鏡で測定した結果を第1表に示す。
【0015】
実施例3
(1)微粒子分散ゲル化体の作製
実施例1(1)で用いた平均粒径3.0μmのダイヤモンド微粒子の代わりに、平均粒径1.0μmのシリカ微粒子を用いた以外は、実施例1(1)と同様にして、シリカ微粒子20重量%を分散状態で含むアルギン酸ナトリウム水溶液(A−3液)を調製した。
次に、上記A−3液40gをゆっくりかき混ぜながら、これに0.2重量%塩化カルシウム水溶液(B−3液)を、全体がゲル状に固化するまで徐々に添加し、B−3液38gを添加した時点で、全体が固化し、プリン状のゲル化体78gを得た。
このようにして得られたプリン状のゲル化体38gを直ちに、シリカ微粒子分散液の調製に供すると共に、残りの38gを密閉状態にて室温(23℃)で100日間保管したのち、安定性を測定した。測定結果を第1表に示す。
(2)シリカ微粒子分散液の調製
前記(1)で得られたプリン状のゲル化体38gを100mlビーカーに取り、これにニトリロ三酢酸ナトリウム20重量%水溶液2.0gを加え、5分間撹拌して10.0重量%シリカ微粒子分散液を調製した。
この分散液の分散性について、顕微鏡で測定した結果を第1表に示す。
また、前記(1)で得られた100日間保管後のプリン状のゲル化体を用い、上記と同様にして10.0重量%シリカ微粒子分散液を調製した。この分散液の分散性について、顕微鏡で測定した結果を第1表に示す。
実施例4
(1)微粒子状球状ゲル化体の作製
実施例1(1)において、アルギン酸ナトリウム0.4gの代わりに、アクリルアミド−アクリル酸共重合体[ダイヤニトリックス(株)製「ダイヤフロックAP517C」]0.01g及びアルギン酸ナトリウム0.39gを用いた以外は、実施例1(1)と同様にして球状ゲル化体78gを得た。この球状ゲル化体38gを密閉状態で室温(23℃)にて100日間保管して安定性を測定した。測定結果を第1表に示す。
(2)ダイヤモンド微粒子分散液の調製
実施例1(2)と同様にして、前記(1)で得られた作製直後及び100日間保管後の球状ゲル化体を用いてダイヤモンド微粒子分散液を調製し、その分散性について、顕微鏡で測定した結果を第1表に示す。
実施例5
実施例2(1)において、アルギン酸ナトリウム0.4gの代わりに、ゼラチン0.2g及びアルギン酸ナトリウム0.2gを用いた以外は、実施例2(1)、(2)と同様にして安定性、並びに製造直後及び100日間保管後のゲル化体を用いて得られた微粒子分散液の分散性を測定した。その結果を第1表に示す。
比較例1
実施例1(1)と同様にして、平均粒径3.0μmのダイヤモンド微粒子2.0重量%を含むアルギン酸ナトリウム水溶液(A−1液と同じ)を調製した。この液39gにイオン交換水39gを加えてよく混合して得られた分散体の分散性を測定した。結果を第1表に示す。さらに、この分散体を密閉状態にて室温(23℃)で100日間保管したのち、安定性を測定した。結果を第1表に示す。
また、100日間保管した分散体を、手で10回上下を逆にすることで混合した後に、その分散性について、顕微鏡で測定した結果を第1表に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、微粒子の水性分散液を、予めゲル化し、プリン状あるいは球状粒子集合体や円柱状粒子集合体となすことにより、保管や輸送中において、ゲル内で微粒子の沈降分離や二次凝集が生じることがなく、長期分散安定性に優れたものとなる。
そして、使用時に、前記ゲル化体にゾル化剤を加え、再溶解することにより、沈降分離や二次凝集のない分散安定性に優れる微粒子分散液を得ることができる。
Claims (9)
- (A)微粒子を分散状態で含むゲル化能を有する水溶性高分子物質の水性溶液と、(B)ゲル化剤を含む水性溶液とを接触させて、少なくとも前記(A)成分をゲル化させたことを特徴とする微粒子分散ゲル化体。
- (A)成分と(B)成分との混合物であって、その全体がゲル状に固化したものである請求項1記載の微粒子分散ゲル化体。
- (A)成分を(B)成分に接触させ、該(A)成分をゲル化させて得られた球状又は円柱状粒子の集合体である請求項1記載の微粒子分散ゲル化体。
- (A)成分が、微粒子0.01〜70重量%を含む請求項1、2又は3記載の微粒子分散ゲル化体。
- 微粒子が、平均粒径0.01〜100μmの切削用又は研磨用微粒子である請求項1ないし4のいずれかに記載の微粒子分散ゲル化体。
- (A)成分におけるゲル化能を有する水溶性高分子物質が、水溶性アルギン酸塩、ゼラチン、寒天及びポリ(メタ)アクリル酸系共重合樹脂の中から選ばれる少なくとも1種である請求項1ないし5のいずれかに記載の微粒子分散ゲル化体。
- 切削用又は研磨用として用いられる請求項1ないし6のいずれか記載の微粒子分散ゲル化体。
- 請求項1ないし6のいずれかに記載の微粒子分散ゲル化体に、ゾル化剤を接触させて得られたことを特徴とする微粒子分散液。
- 切削用又は研磨用として用いられる請求項8記載の微粒子分散液。
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