JP2004026997A - 無機織布強化樹脂基板、無機織布、およびその無機織布の開繊方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】厚さ寸法を薄く保ちつつ無機織布の体積含有率が高められた無機織布強化樹脂基板、これを構成する無機織布、およびその無機織布の開繊方法を提供する。
【解決手段】ガラス織布16は、開繊処理が施されることによって、投影面積率が0.9以上と著しく高くなる程度まで経糸20および緯糸22がほぐされているため、経糸20および緯糸22相互間の空隙の大きさが極めて小さくなる。しかも、ほぐされることにより、ガラス織布16の面方向における経糸20および緯糸22の広がりに応じた量だけその厚さ寸法が薄くなる。そのため、開繊処理が施されていない場合に比較して、経糸20および緯糸22の相互間に入り込む樹脂量が少なくなると共に、ガラス織布16自身の厚さ寸法が薄くなるので、厚さ寸法を薄く保ちつつ基板中におけるガラス織布16の体積含有率が高められる。
【選択図】 図2
【解決手段】ガラス織布16は、開繊処理が施されることによって、投影面積率が0.9以上と著しく高くなる程度まで経糸20および緯糸22がほぐされているため、経糸20および緯糸22相互間の空隙の大きさが極めて小さくなる。しかも、ほぐされることにより、ガラス織布16の面方向における経糸20および緯糸22の広がりに応じた量だけその厚さ寸法が薄くなる。そのため、開繊処理が施されていない場合に比較して、経糸20および緯糸22の相互間に入り込む樹脂量が少なくなると共に、ガラス織布16自身の厚さ寸法が薄くなるので、厚さ寸法を薄く保ちつつ基板中におけるガラス織布16の体積含有率が高められる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機織布強化樹脂基板、これを構成する無機織布、およびその無機織布の開繊方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
無機織布(無機繊維を織った布)、例えばガラス織布に合成樹脂を含浸させ且つ硬化させた無機(ガラス)織布強化樹脂基板が知られている。上記ガラス織布は、それぞれ単繊維(モノフィラメント)が撚られた撚り糸(ストランド)で構成された経糸および緯糸が例えば平織に織られたものである。また、上記合成樹脂は、一般には熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂等が用いられ、例えば、エポキシ樹脂が用いられた基板はガラス・エポキシ基板と称される。このようなガラス織布強化樹脂基板は、表面に導体層を設けられ且つ適宜の枚数が積層されることにより、例えば電子機器のプリント配線板、半導体のチップ・サイズ・パッケージ(Chip Size Package:CSP)等に用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のガラス織布強化樹脂基板において、厚さ寸法を増大させることなく或いは一層薄くしつつ、ガラス織布の体積含有率を高めることが望まれている。電子機器等の小型化および薄型化のためには、基板厚みを可及的に薄くすることが望まれる。一方、製造中や使用中における温度変化に起因する基板の変形やその上に形成されている配線パターン、実装されている部品等の破損を抑制するためには、熱膨張係数が可及的に低いことが望まれ、また、押圧された際等における変形を抑制するためには、弾性率が高いことが望まれる。ガラス織布強化樹脂基板の熱膨張係数や弾性率は、ガラス織布の体積含有率に応じて著しく変化させられることから、熱膨張係数を低くし或いは弾性率を高くするために体積含有率を高めることが望まれるのである。
【0004】
従来、ガラス織布の体積含有率は、例えば、経糸および緯糸の織込み密度を高めること等によって高められていた。しかしながら、織込み密度の高いガラス織布を用いると、経糸および緯糸相互間や単繊維相互間(すなわちストランド内)に樹脂が含浸され難くなると共に、経糸および緯糸の交点増加に伴ってガラス織布の厚さ寸法が厚くなる。そのため、体積含有率の増大と基板の薄型化とを両立させ得なかった。因みに、樹脂の含浸性の劣化は、例えば、樹脂内部に気泡を残存させ、基板の機械的特性や電気的特性等を低下させる原因となる。また、例えば、CSPでは薄型電子機器に搭載するために100(μm)程度以下の基板厚みが要求されていることから、その厚さ寸法を実現するために却って織込み密度を低くして体積含有率を低く抑える必要がある。この結果、弾性率が低くなってICチップの搭載工程における基板変形が問題となっていた。上記の問題は、ガラス織布に限られず樹脂基板の強化に好適に利用される種々の無機織布においても同様に発生し得る。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、厚さ寸法を薄く保ちつつ無機織布の体積含有率が高められた無機織布強化樹脂基板、これを構成する無機織布、およびその無機織布の開繊方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための第1の手段】
斯かる目的を達成するため、第1発明の要旨とするところは、各々が単繊維の撚糸で構成された多数本の経糸および緯糸が織られて成る無機織布で強化された無機織布強化樹脂基板であって、前記無機織布は、開繊処理が施されることにより、前記経糸の糸幅をA、相互間隔をa、前記緯糸の糸幅をB、相互間隔をbとしたときに式AB/[(A+a)(B+b)]で与えられる投影面積率が0.9以上に高められたことにある。
【0007】
【第1発明の効果】
このようにすれば、無機織布強化樹脂基板を構成する無機織布は、開繊処理が施されることによって、前記の式で与えられる投影面積率が0.9以上と著しく高くなる程度まで経糸および緯糸がほぐされているため、経糸および緯糸相互間の空隙の大きさが極めて小さくなる。しかも、ほぐされることにより、無機織布の面方向における経糸および緯糸の広がりに応じた量だけその厚さ寸法が薄くなる。そのため、経糸および緯糸の断面形状の変化に基づいて、それらの相互間に入り込む樹脂量が少なくなると共に、無機織布自身の厚さ寸法とその両面に積層された樹脂の厚さ寸法との合計である基板の厚さ寸法が薄くなるので、厚さ寸法を薄く保ちつつ基板中における無機織布の体積含有率が高められる。
【0008】
この結果、開繊処理が施されていない場合に比較して、例えば熱膨張係数を50〜60(%)程度、弾性率を110〜120(%)程度の値にできるので、温度変化に対する耐性が高く且つ機械的応力による変形が生じ難くなって、従来よりも信頼性が高められ且つ薄型化も可能となる利点がある。本発明者等は、基板の熱膨張係数や弾性率を改善すると共に基板厚みを薄くするために鋭意研究を重ねた結果、無機織布の体積含有率がこれらの特性に著しく影響することを見出し、しかも、その値が開繊処理によって改善されることを見出して本発明を完成させたのである。なお、本願において「開繊処理」とは、単繊維の撚り糸で構成されている経糸および緯糸の撚りを緩めて、それら経糸および緯糸各々の中心間隔を初期の値に略保ったまま単繊維相互間の間隔を無機織布の面方向に広げる処理をいうものである。このような開繊処理によれば、経糸および緯糸の織込み密度が高められないので、樹脂の含浸性を劣化させることなく無機織布の体積含有率が高められる。また、上記無機織布は、例えば、ガラス、炭素、アルミナ等のセラミックス等から成るものである。
【0009】
【課題を解決するための第2の手段】
また、前記目的を達成するための第2発明の要旨とするところは、各々が単繊維の撚糸で構成された多数本の経糸および緯糸が織られて成る無機織布であって、開繊処理が施されることにより、前記経糸の糸幅をA、相互間隔をa、前記緯糸の糸幅をB、相互間隔をbとしたときに式AB/[(A+a)(B+b)]で与えられる投影面積率が0.9以上に高められたことにある。
【0010】
【第2発明の効果】
このようにすれば、開繊処理によって無機織布における経糸および緯糸の投影面積率が0.9以上と著しく高くなる程度までそれら経糸および緯糸がほぐされているため、経糸および緯糸相互間の空隙の大きさが極めて小さくなる。しかも、ほぐされることにより、無機織布の面方向における経糸および緯糸の広がりに応じた量だけその厚さ寸法が薄くなる。そのため、空隙が少なく且つ薄いことから、前記の無機織布強化樹脂基板の製造に好適に用い得る無機織布が得られる。
【0011】
【第1、第2発明の他の態様】
ここで、好適には、前記無機織布は、前記開繊処理によって前記経糸および緯糸が共に処理前に比較して糸幅を広げられ且つ相互間隔を狭められたものである。このようにすれば、経糸および緯糸が共にほぐされているため、一方だけがほぐされている場合に比較して、空隙の大きさが一層小さくなると共に無機織布の厚さ寸法も一層薄くなる。
【0012】
【課題を解決するための第3の手段】
また、前記目的を達成するための第3発明の要旨とするところは、各々が単繊維の撚糸で構成された多数本の経糸および緯糸が織られて成る無機織布のそれら経糸および緯糸を開繊する方法であって、前記無機織布を前記経糸方向に連続的に送りつつ、その緯糸方向に所定の幅寸法を有する押圧部材を用いて、その無機織布をその表面の法線に対して所定角度だけ前記緯糸方向に傾斜する向きに周期的に押圧する押圧工程を含むことにある。
【0013】
【第3発明の効果】
このようにすれば、無機織布を経糸方向に送りつつ押圧部材で周期的に押圧することで、その開繊が好適に行われる。このとき、押圧方向は無機織布の法線に対して所定角度だけ緯糸方向に傾斜した向きとされているため、連続的に送るための張力が働くことから開繊され難い経糸に糸幅方向の力が作用することとなる。そのため、本来的に開繊され易い緯糸だけでなく、経糸も同時に開繊されることから、緯糸のみが開繊される場合に比較して、無機織布の投影面積率が一層高められると共にその厚さ寸法が薄くなる利点がある。
【0014】
【第3発明の他の態様】
ここで、好適には、前記所定角度は、5乃至30度の範囲内の角度である。このようにすれば、無機織布の織り構造を殆ど乱すことなく高い開繊作用が得られる。なお、角度が5度未満では、実質的に緯糸方向の力が作用しないので経糸がほぐされ難い。一方、角度が30度を越えると、経糸に作用する緯糸方向の力が大きくなるので、緯糸方向に動いて経糸の中心間隔が変化して織り構造が乱れる可能性がある。上記所定角度は、一層好適には、10〜20度の範囲内であり、特に、15度程度が最も好ましい。
【0015】
また、好適には、前記所定角度は、前記法線に対して対称的な2方向の角度に交互に設定される。このようにすれば、経糸にその幅方向の両側から交互に力が作用することとなるため、一層高い開繊効果が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の無機織布強化樹脂基板の一適用例であるガラス繊維で樹脂が強化されたガラス・エポキシ基板(以下、単に基板という)10の全体を示す斜視図および任意の位置における断面を示す断面図である。図において、基板10は、例えば120×100(mm)程度の大きさの矩形を成す薄板であって、例えば60(μm)程度の厚さ寸法を有している。この基板10は、その表面12および裏面14に例えば12(μm)程度の厚さ寸法で銅配線等が形成されると共に、適宜の位置に貫通孔が設けられることによって電子機器用の回路基板やIC等の半導体パッケージ、特にCSPと称される極小のパッケージ等に用いられるものである。なお、上記銅配線が設けられた状態における厚さ寸法は例えば82〜85(μm)程度になる。
【0018】
上記基板10は、その骨格部分を構成するガラス織布(ガラスクロス)14と、その表面を覆い且つ織目内に入り込んだ樹脂層18とから構成される。上記ガラス織布16は、例えばEガラス(Na2O,K2O等のアルカリ含有率が0.8(%)未満の無アルカリガラス)から成るガラス繊維が織られたものである。また、上記樹脂層18は、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が硬化させられたものである。
【0019】
図2および図3は、上記ガラス織布16の要部を拡大してその構造を詳細に説明する図である。ガラス織布16は、互いに平行な複数本の経糸20と、それに直交し且つ互いに平行な複数本の緯糸22とが例えば平織に織られることによって構成されている。これら経糸20および緯糸22は、何れも例えば100〜500本程度の単繊維が撚られたものである。この単繊維は、例えば5〜10(μm)程度の直径を有しており、経糸20および緯糸22の糸幅は、例えば経糸20がWy=400(μm)程度、緯糸22がWx=410(μm)程度になっている。なお、通常の撚り糸は、多数本の単繊維が相互に密接させられているが、上記の経糸20および緯糸22は、共に開繊処理が施されることによって単繊維相互間に隙間が形成された緩い撚り糸である。
【0020】
また、これら経糸20の相互間および緯糸22の相互間には、織布の厚み方向に貫通する小さな隙間Gy、Gxが形成されている。経糸20および緯糸22の中心間隔は糸幅Wと隙間Gとの合計値で与えられ、何れもPy=Px=417(μm)である。このため、本実施例においては、WxWy/(PxPy)で与えられる投影面積率Aが0.943程度の極めて高い値になっている。一方、ガラス織布16の厚さ寸法は、例えばt=44(μm)程度であり、経糸20および緯糸22は、厚さ寸法に対して糸幅寸法の比較的大きな扁平な断面形状を有している。すなわち、本実施例のガラス織布16は、投影面積率Aが極めて高く且つ厚さ寸法が比較的薄くされている。
【0021】
また、前記の樹脂層18は、専らガラス織布16の表面および裏面に固着されているが、その一部はガラス織布16内にも侵入しており、上述した経糸20および緯糸22相互間の隙間や、密接状態の緩くなった単繊維相互間にも入り込んでいる。なお、上記隙間や経糸20および緯糸22表面等には、気泡等は何ら存在していない。
【0022】
また、樹脂層18のガラス織布16上の厚さ寸法は例えば7〜8(μm)程度であり、ガラス織布16の厚さ寸法に比較して極めて小さな値になっている。そのため、基板10内におけるガラス織布16の体積含有率は極めて高いものとなっていることから、この基板10の特性は専らガラス織布16の特性に依存する。例えば、その熱膨張係数は、例えば8.0〜9.0×10−6(/℃)程度と比較的低く、しかも、引張り弾性率は3000〜3100(MPa)程度と比較的高い値である。すなわち、基板10は、その厚さ寸法が比較的薄いにも拘わらず、低い熱膨張係数および高い弾性率を有している。
【0023】
要するに、本実施例によれば、基板10を構成するガラス織布16は、開繊処理が施されることによって、投影面積率が0.9以上と著しく高くなる程度まで経糸20および緯糸22がほぐされているため、経糸20および緯糸22相互間の空隙の大きさが極めて小さくなる。しかも、ほぐされることにより、ガラス織布16の面方向における経糸20および緯糸22の広がりに応じた量だけその厚さ寸法が薄くなる。そのため、開繊処理が施されていない場合に比較して、経糸20および緯糸22の断面形状の変化に基づいて、それらの相互間に入り込む樹脂量が少なくなると共に、ガラス織布16自身の厚さ寸法とその両面に積層された樹脂層18の厚さ寸法との合計である基板10の厚さ寸法が薄くなるので、厚さ寸法を薄く保ちつつ基板10中におけるガラス織布16の体積含有率が高められる。この結果、上記のように良好な特性を有するのである。
【0024】
ところで、以上のように構成された基板10は、例えば、図4に要部を示される製造工程に従って、以下のようにして製造される。先ず、製織工程30においては、前述したような単繊維が撚られた経糸20および緯糸22に例えば澱粉系の紡糸バインダを付着処理して、製織機で所定の幅寸法の連続的なガラス織布を作成する。このとき、織物組織は、例えば前述したように平織とされるが、朱子(繻子)織、魚子(七子)織、綾織(斜文織)等も所望とする基板特性に応じて適宜適用される。また、単繊維を構成するガラス材料は、例えば前述したようにEガラスが用いられるが、用途に応じてDガラス、Tガラス、Cガラス、Hガラス等を用いることもできる。また、作成されたガラス織布は、織密度が例えば経糸、緯糸共に60(本/25mm)程度のスタイル#1080と称されるものであり、例えば54(μm)程度の厚さ寸法になっている。
【0025】
次いで、開繊工程32においては、図5に示されるように、作成したガラス織布34をその経糸方向Sに連続的に送りつつ、押圧部材36を用いて周期的に圧力を加えることにより、開繊処理を施す。ガラス織布34の搬送速度は例えば10(mm/s)程度である。また、押圧部材36の押圧力は、ガラス織布34の種類に応じて適宜定められるものであるが、例えば10(kgf/cm2)程度すなわち1(MPa)程度である。また、押圧周期は、例えば10(回/s)程度である。また、図5において、押圧部材36は、その押圧面が、ガラス織布34の幅寸法よりも十分に長い長さ寸法と例えば60(mm)程度の幅寸法とを備えたものであって、ガラス織布34に押し当てられる押圧部38と、その押圧部38の形状維持のための十分に剛性の高いバックアップ40とから構成されている。上記の押圧部38は、例えばゴム硬度60°程度のシリコーン・ゴム等から成る弾性体であり、その厚さ寸法は例えば30(mm)程度である。また、上記のバックアップ40は、例えばSUS316等のステンレス鋼から成るものであり、その厚さ寸法は例えば50(mm)程度である。
【0026】
上記工程32における開繊処理は、一定の張力で引張られつつ上記S方向に送られるガラス織布34に、このような押圧部材36の押圧部38を叩き付けて繰り返し圧力を加えることによって為される。このとき、押圧部材38の運動方向は、ガラス織布34の面に垂直な方向に対して例えば15度程度の一定角度θだけ傾斜した図に矢印Hで示される方向である。
【0027】
図6、図7は、上記の開繊処理の際の押圧方向を説明する図である。押圧部材36は、図6に示されるようにその長手方向が緯糸22と平行に設定されており、その向きを保ったまま、ガラス織布34に叩き付けられる。押圧方向は、上述したようにガラス織布34の法線に対してθだけ傾斜した向きであるが、その傾斜方向は、図に▲1▼▲2▼▲3▼▲4▼で示される向きである。すなわち、図における左方向、右方向、上方向、および下方向の順に運動方向を傾斜させることが繰り返される。なお、傾斜角度は、何れも法線に対して15度程度である。このような傾斜方向に運動させられる結果、図7に示されるように、押圧部材36はガラス織布34の送り方向に垂直な図における左右方向に変位させられながらそのガラス織布34を押圧するので、前記図5に一点鎖線で示されるように押圧された範囲全体が下方に撓まされると共に、経糸20がその糸幅方向に押し広げられる。
【0028】
そのため、送り方向Sに張力が作用していることから通常はほぐされ難い経糸20もガラス織布34の面方向に平行な方向の押圧部材36の変位によって容易にほぐされることとなる。すなわち、本実施例によれば、押圧部材36に押圧されて撓まされることによって容易にほぐされる緯糸22に加えて、経糸20も好適にほぐされるので、高い開繊効果が得られるのである。このような開繊処理の結果、ガラス織布34は、前記の基板10を構成するガラス織布16の如き投影面積率が0.9以上と大きく、且つ経糸20および緯糸22を構成する単繊維の横方向への広がりに応じただけ厚さ寸法も減少して44(μm)程度と薄いものとなる。特に、本実施例においては、緯糸22だけでなく経糸20もほぐされているので、緯糸22だけがほぐされる場合に比較して、投影面積率が飛躍的に大きく且つ厚さ寸法も飛躍的に薄くなっている。
【0029】
しかも、押圧部材36の運動方向は法線方向に対して15度程度だけ傾いたものとされているので、ガラス織布34の織り構造は殆ど乱されていない。すなわち、開繊前の糸ピッチが維持されている。
【0030】
また、押圧部材36の運動方向は、前記▲1▼▲2▼▲3▼▲4▼の順に変更されるので、その運動方向が一定とされている場合に比較して、織り構造の変化が一層抑制され且つ開繊効果が一層高められる。
【0031】
図4に戻って、カップリング処理工程42では、上記のようにして開繊処理を施されたガラス織布34にシラン・カップリング処理を施す。この工程では、ガラス織布34を経糸方向に継続して搬送しつつ、例えばシラン・カップリング剤の0.1〜1(%)程度の水溶液に浸漬し、引き上げ後、例えば100(℃)程度の温度で5〜10分間程度の時間だけ乾燥処理が施される。これにより、ガラス織布34の表面すなわち経糸20および緯糸22の表面がシラン・カップリング剤で覆われる。
【0032】
上記の前処理の後、樹脂含浸工程44では、樹脂ワニスをガラス織布34に含浸させる。この工程では、ガラス織布34を経糸方向に継続して搬送しつつ、例えば一定の粘度に調整された樹脂ワニス中を通過させ、引き上げ後、例えば130(℃)程度の温度で5〜10分間程度の時間だけ乾燥処理を施す。これにより、ガラス織布34の表面およびその織目に樹脂が含浸させられ、且つ中間状態まで硬化させられることにより、プリプレグが得られる。なお、上記樹脂ワニスは、例えば以下の組成に調製されたものが用いられる。
【0033】
[樹脂ワニス組成]
エピコート5046B80(ジャパンエポキシレジン(株)製) 69.8重量部
エピコート180S75B70(ジャパンエポキシレジン(株)製) 14.1重量部
ジシアンジアミド 1.6重量部
2E4MZ 0.1重量部
メチルセロソルブ 7.2重量部
ジメチルホルムアミド 7.2重量部
【0034】
次いで、プレス成形工程46では、上記のプリプレグの上下両面に例えば12(μm)程度の厚さ寸法の銅箔を重ねて加熱しつつ加圧成形を施す。加圧条件は、例えば圧力が200(MPa)程度、温度が170(℃)程度、加圧時間が60分間程度である。これにより、ガラス織布34に含浸させられた樹脂(エポキシ樹脂)が完全に硬化させられると共に銅箔が固着され、両面銅張基板すなわち前記の基板10が得られる。なお、上記プリプレグおよび銅箔は、適宜の枚数が積層された状態で加圧して積層板とすることもできる。基板10は、開繊処理を施されたガラス織布16を用いてこのようにして製造されることから、厚さ寸法を薄くし且つガラス織布16の体積含有率を高めることができて、前述したような高い特性を有しているのである。
【0035】
ここで、本実施例の開繊処理の効果を評価した結果を説明する。表1は、開繊工程32の条件を種々変更して、処理後の開繊状態を評価したものである。表1において、「角度」「押付力」「押付周期」は前記の押圧部材36の運動方向の角度θ、押圧力、および繰り返しの周期である。また、「糸幅」「間隙幅」は経糸20および緯糸22の各々の糸幅寸法Wy、Wx、および間隙Gy,Gxであり、「面積率」は、これらの値から算出される前記の投影面積率Aである。なお、上記各寸法は、画像測定器(例えば(株)ミツトヨ製クイックビジョン)を用いて測定した。また、「実施例1〜3」は本発明の実施例を、「比較例1〜3」はθ=0或いは開繊処理を施していない比較例をそれぞれ表している。表1に示されるように、未処理のものが66(%)程度の面積率である場合に、角度θを15°程度に設定した実施例では90(%)以上の高い面積率が得られたが、角度θが0°の比較例では70(%)程度の低い面積率に留まった。なお、何れの実施例においても、経糸20および緯糸22のピッチは初期の417(μm)に保たれている。
【0036】
【0037】
表2は、上記の実施例および比較例のガラス織布34をそれぞれ用いて製造した基板10の特性値を掲げたものである。なお、測定は、前述した工程を経て製造された基板10の表面に固着された銅箔をエッチング処理で除去し、コア材すなわち基板本体のみの状態として行った。表2において、「熱膨張係数」は、熱膨張測定装置(例えばセイコーインスツルメンツ(株)製TMA−SS6200)を用い、室温から125(℃)までの温度範囲における平均線熱膨張係数を測定した値である。また、「引張り弾性率」は、常温における値であり、例えば小型卓上試験機(例えば(株)島津製作所製)を用いて測定した。なお、上記のエッチング処理には、例えば塩化第二鉄水溶液を用いた。下記の表2に示されるように、開繊処理を施さず或いは投影面積率が低い値に留まった比較例では、熱膨張係数が16(×10−6/℃)程度の高い値であったが、本実施例の基板10では熱膨張係数が8.5〜9.2(×10−6/℃)の極めて低い値が得られた。また、弾性率も、比較例が2750〜2850(MPa)程度に留まったのに対し、実施例では、3000(MPa)以上の高い値が得られた。更に、基板厚みも従来の90(%)程度の厚みに抑えられた。
【0038】
【0039】
すなわち、本実施例によれば、ガラス織布16が開繊処理によって投影面積率Aを大きくされ且つ厚さ寸法tを薄くされていることから、基板10におけるガラス織布16の体積含有率が高められるので、その基板10の熱膨張係数が低くなり且つ弾性率が高くなるのである。
【0040】
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施できる。
【0041】
例えば、実施例においては、本発明がガラス・エポキシ基板10およびそれを構成するガラス織布16に適用された場合について説明したが、他の樹脂がガラス織布16で強化された基板にも本発明は同様に適用される。また、ガラス織布に限られず、炭素織布、アルミナ等のセラミック織布等の種々の材料から成る織布延いてはこれを用いた樹脂基板に本発明は好適に適用される。
【0042】
また、実施例においては、経糸20および緯糸22が共に開繊処理によってほぐされていたが、少なくとも一方が開繊されることによって投影面積率Aが0.9以上(90(%)以上)になっていれば、基板10の熱膨張係数が十分に低下させられ且つ弾性率が十分に高められるので、本発明の効果を享受し得る。
【0043】
また、実施例においては、押圧部材36の運動方向がガラス織布34の法線に対して15°程度の角度を成すように設定されていたが、この角度は、経糸20の開繊のし易さや開繊処理後の織物構造の乱れ易さ等に応じて適宜変更される。但し、例えば5〜30°程度の範囲内が好適であり、15°程度が最も好ましい。
【0044】
また、実施例においては、開繊処理のための押圧力が1(MPa)程度に設定されていたが、その値は所望とする開繊の程度やガラス織布34の種類等に応じて適宜変更されるものである。例えば、実施例で示したようなスタイル#1080のガラス織布34においては、0.2〜1.8(MPa)程度の範囲内で適当な値が選定される。
【0045】
また、実施例においては、押圧部材36の押圧周期が10(回/s)程度に設定されていたが、その値は所望の開繊結果が得られるように、ガラス織布34の種類や搬送速度に応じて適宜定められるものである。例えば、実施例で示したような搬送速度が10(mm/s)程度であれば、8〜20(回/s)程度の範囲内で適宜の値が選定される。
【0046】
また、実施例においては、投影面積率Aが93.1〜94.7(%)程度となるように開繊された場合について説明したが、投影面積率Aは、所望とする特性が得られるように、90(%)以上の範囲で適宜設定される。
【0047】
また、実施例においては、開繊処理を施すためにシリコーン・ゴムから成る押圧部38とステンレス鋼から成るバックアップ40とから成る押圧部材36が用いられていたが、適度な弾性を有してガラス繊維を傷つけることなく所望の開繊状態を得ることが可能なものであれば、押圧部材36の構成は適宜変更し得る。
【0048】
また、実施例においては、エポキシ樹脂から成る樹脂層18を形成するために前述したような組成の樹脂ワニスが用いられていたが、その組成は、無機織布、実施例においてはガラス織布34に対する樹脂の含浸し易さや所望とする基板厚み等に応じて適宜変更される。
【0049】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無機織布強化樹脂基板の一実施例であるガラス・エポキシ基板の全体を説明する図である。
【図2】図1の基板を構成するガラス織布の構造を拡大して説明する図である。
【図3】図2のガラス織布の断面を拡大して示す図である。
【図4】図1の基板の製造方法の要部を説明する工程図である。
【図5】図4の製造工程中の開繊工程を模式的に示す斜視図である。
【図6】図5の開繊工程における加圧方向を説明する図である。
【図7】図6におけるVII−VII視断面を示す図である。
【符号の説明】
10:基板
16:ガラス織布(無機織布)
18:樹脂層
20:経糸
22:緯糸
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機織布強化樹脂基板、これを構成する無機織布、およびその無機織布の開繊方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
無機織布(無機繊維を織った布)、例えばガラス織布に合成樹脂を含浸させ且つ硬化させた無機(ガラス)織布強化樹脂基板が知られている。上記ガラス織布は、それぞれ単繊維(モノフィラメント)が撚られた撚り糸(ストランド)で構成された経糸および緯糸が例えば平織に織られたものである。また、上記合成樹脂は、一般には熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂等が用いられ、例えば、エポキシ樹脂が用いられた基板はガラス・エポキシ基板と称される。このようなガラス織布強化樹脂基板は、表面に導体層を設けられ且つ適宜の枚数が積層されることにより、例えば電子機器のプリント配線板、半導体のチップ・サイズ・パッケージ(Chip Size Package:CSP)等に用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のガラス織布強化樹脂基板において、厚さ寸法を増大させることなく或いは一層薄くしつつ、ガラス織布の体積含有率を高めることが望まれている。電子機器等の小型化および薄型化のためには、基板厚みを可及的に薄くすることが望まれる。一方、製造中や使用中における温度変化に起因する基板の変形やその上に形成されている配線パターン、実装されている部品等の破損を抑制するためには、熱膨張係数が可及的に低いことが望まれ、また、押圧された際等における変形を抑制するためには、弾性率が高いことが望まれる。ガラス織布強化樹脂基板の熱膨張係数や弾性率は、ガラス織布の体積含有率に応じて著しく変化させられることから、熱膨張係数を低くし或いは弾性率を高くするために体積含有率を高めることが望まれるのである。
【0004】
従来、ガラス織布の体積含有率は、例えば、経糸および緯糸の織込み密度を高めること等によって高められていた。しかしながら、織込み密度の高いガラス織布を用いると、経糸および緯糸相互間や単繊維相互間(すなわちストランド内)に樹脂が含浸され難くなると共に、経糸および緯糸の交点増加に伴ってガラス織布の厚さ寸法が厚くなる。そのため、体積含有率の増大と基板の薄型化とを両立させ得なかった。因みに、樹脂の含浸性の劣化は、例えば、樹脂内部に気泡を残存させ、基板の機械的特性や電気的特性等を低下させる原因となる。また、例えば、CSPでは薄型電子機器に搭載するために100(μm)程度以下の基板厚みが要求されていることから、その厚さ寸法を実現するために却って織込み密度を低くして体積含有率を低く抑える必要がある。この結果、弾性率が低くなってICチップの搭載工程における基板変形が問題となっていた。上記の問題は、ガラス織布に限られず樹脂基板の強化に好適に利用される種々の無機織布においても同様に発生し得る。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、厚さ寸法を薄く保ちつつ無機織布の体積含有率が高められた無機織布強化樹脂基板、これを構成する無機織布、およびその無機織布の開繊方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための第1の手段】
斯かる目的を達成するため、第1発明の要旨とするところは、各々が単繊維の撚糸で構成された多数本の経糸および緯糸が織られて成る無機織布で強化された無機織布強化樹脂基板であって、前記無機織布は、開繊処理が施されることにより、前記経糸の糸幅をA、相互間隔をa、前記緯糸の糸幅をB、相互間隔をbとしたときに式AB/[(A+a)(B+b)]で与えられる投影面積率が0.9以上に高められたことにある。
【0007】
【第1発明の効果】
このようにすれば、無機織布強化樹脂基板を構成する無機織布は、開繊処理が施されることによって、前記の式で与えられる投影面積率が0.9以上と著しく高くなる程度まで経糸および緯糸がほぐされているため、経糸および緯糸相互間の空隙の大きさが極めて小さくなる。しかも、ほぐされることにより、無機織布の面方向における経糸および緯糸の広がりに応じた量だけその厚さ寸法が薄くなる。そのため、経糸および緯糸の断面形状の変化に基づいて、それらの相互間に入り込む樹脂量が少なくなると共に、無機織布自身の厚さ寸法とその両面に積層された樹脂の厚さ寸法との合計である基板の厚さ寸法が薄くなるので、厚さ寸法を薄く保ちつつ基板中における無機織布の体積含有率が高められる。
【0008】
この結果、開繊処理が施されていない場合に比較して、例えば熱膨張係数を50〜60(%)程度、弾性率を110〜120(%)程度の値にできるので、温度変化に対する耐性が高く且つ機械的応力による変形が生じ難くなって、従来よりも信頼性が高められ且つ薄型化も可能となる利点がある。本発明者等は、基板の熱膨張係数や弾性率を改善すると共に基板厚みを薄くするために鋭意研究を重ねた結果、無機織布の体積含有率がこれらの特性に著しく影響することを見出し、しかも、その値が開繊処理によって改善されることを見出して本発明を完成させたのである。なお、本願において「開繊処理」とは、単繊維の撚り糸で構成されている経糸および緯糸の撚りを緩めて、それら経糸および緯糸各々の中心間隔を初期の値に略保ったまま単繊維相互間の間隔を無機織布の面方向に広げる処理をいうものである。このような開繊処理によれば、経糸および緯糸の織込み密度が高められないので、樹脂の含浸性を劣化させることなく無機織布の体積含有率が高められる。また、上記無機織布は、例えば、ガラス、炭素、アルミナ等のセラミックス等から成るものである。
【0009】
【課題を解決するための第2の手段】
また、前記目的を達成するための第2発明の要旨とするところは、各々が単繊維の撚糸で構成された多数本の経糸および緯糸が織られて成る無機織布であって、開繊処理が施されることにより、前記経糸の糸幅をA、相互間隔をa、前記緯糸の糸幅をB、相互間隔をbとしたときに式AB/[(A+a)(B+b)]で与えられる投影面積率が0.9以上に高められたことにある。
【0010】
【第2発明の効果】
このようにすれば、開繊処理によって無機織布における経糸および緯糸の投影面積率が0.9以上と著しく高くなる程度までそれら経糸および緯糸がほぐされているため、経糸および緯糸相互間の空隙の大きさが極めて小さくなる。しかも、ほぐされることにより、無機織布の面方向における経糸および緯糸の広がりに応じた量だけその厚さ寸法が薄くなる。そのため、空隙が少なく且つ薄いことから、前記の無機織布強化樹脂基板の製造に好適に用い得る無機織布が得られる。
【0011】
【第1、第2発明の他の態様】
ここで、好適には、前記無機織布は、前記開繊処理によって前記経糸および緯糸が共に処理前に比較して糸幅を広げられ且つ相互間隔を狭められたものである。このようにすれば、経糸および緯糸が共にほぐされているため、一方だけがほぐされている場合に比較して、空隙の大きさが一層小さくなると共に無機織布の厚さ寸法も一層薄くなる。
【0012】
【課題を解決するための第3の手段】
また、前記目的を達成するための第3発明の要旨とするところは、各々が単繊維の撚糸で構成された多数本の経糸および緯糸が織られて成る無機織布のそれら経糸および緯糸を開繊する方法であって、前記無機織布を前記経糸方向に連続的に送りつつ、その緯糸方向に所定の幅寸法を有する押圧部材を用いて、その無機織布をその表面の法線に対して所定角度だけ前記緯糸方向に傾斜する向きに周期的に押圧する押圧工程を含むことにある。
【0013】
【第3発明の効果】
このようにすれば、無機織布を経糸方向に送りつつ押圧部材で周期的に押圧することで、その開繊が好適に行われる。このとき、押圧方向は無機織布の法線に対して所定角度だけ緯糸方向に傾斜した向きとされているため、連続的に送るための張力が働くことから開繊され難い経糸に糸幅方向の力が作用することとなる。そのため、本来的に開繊され易い緯糸だけでなく、経糸も同時に開繊されることから、緯糸のみが開繊される場合に比較して、無機織布の投影面積率が一層高められると共にその厚さ寸法が薄くなる利点がある。
【0014】
【第3発明の他の態様】
ここで、好適には、前記所定角度は、5乃至30度の範囲内の角度である。このようにすれば、無機織布の織り構造を殆ど乱すことなく高い開繊作用が得られる。なお、角度が5度未満では、実質的に緯糸方向の力が作用しないので経糸がほぐされ難い。一方、角度が30度を越えると、経糸に作用する緯糸方向の力が大きくなるので、緯糸方向に動いて経糸の中心間隔が変化して織り構造が乱れる可能性がある。上記所定角度は、一層好適には、10〜20度の範囲内であり、特に、15度程度が最も好ましい。
【0015】
また、好適には、前記所定角度は、前記法線に対して対称的な2方向の角度に交互に設定される。このようにすれば、経糸にその幅方向の両側から交互に力が作用することとなるため、一層高い開繊効果が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の無機織布強化樹脂基板の一適用例であるガラス繊維で樹脂が強化されたガラス・エポキシ基板(以下、単に基板という)10の全体を示す斜視図および任意の位置における断面を示す断面図である。図において、基板10は、例えば120×100(mm)程度の大きさの矩形を成す薄板であって、例えば60(μm)程度の厚さ寸法を有している。この基板10は、その表面12および裏面14に例えば12(μm)程度の厚さ寸法で銅配線等が形成されると共に、適宜の位置に貫通孔が設けられることによって電子機器用の回路基板やIC等の半導体パッケージ、特にCSPと称される極小のパッケージ等に用いられるものである。なお、上記銅配線が設けられた状態における厚さ寸法は例えば82〜85(μm)程度になる。
【0018】
上記基板10は、その骨格部分を構成するガラス織布(ガラスクロス)14と、その表面を覆い且つ織目内に入り込んだ樹脂層18とから構成される。上記ガラス織布16は、例えばEガラス(Na2O,K2O等のアルカリ含有率が0.8(%)未満の無アルカリガラス)から成るガラス繊維が織られたものである。また、上記樹脂層18は、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が硬化させられたものである。
【0019】
図2および図3は、上記ガラス織布16の要部を拡大してその構造を詳細に説明する図である。ガラス織布16は、互いに平行な複数本の経糸20と、それに直交し且つ互いに平行な複数本の緯糸22とが例えば平織に織られることによって構成されている。これら経糸20および緯糸22は、何れも例えば100〜500本程度の単繊維が撚られたものである。この単繊維は、例えば5〜10(μm)程度の直径を有しており、経糸20および緯糸22の糸幅は、例えば経糸20がWy=400(μm)程度、緯糸22がWx=410(μm)程度になっている。なお、通常の撚り糸は、多数本の単繊維が相互に密接させられているが、上記の経糸20および緯糸22は、共に開繊処理が施されることによって単繊維相互間に隙間が形成された緩い撚り糸である。
【0020】
また、これら経糸20の相互間および緯糸22の相互間には、織布の厚み方向に貫通する小さな隙間Gy、Gxが形成されている。経糸20および緯糸22の中心間隔は糸幅Wと隙間Gとの合計値で与えられ、何れもPy=Px=417(μm)である。このため、本実施例においては、WxWy/(PxPy)で与えられる投影面積率Aが0.943程度の極めて高い値になっている。一方、ガラス織布16の厚さ寸法は、例えばt=44(μm)程度であり、経糸20および緯糸22は、厚さ寸法に対して糸幅寸法の比較的大きな扁平な断面形状を有している。すなわち、本実施例のガラス織布16は、投影面積率Aが極めて高く且つ厚さ寸法が比較的薄くされている。
【0021】
また、前記の樹脂層18は、専らガラス織布16の表面および裏面に固着されているが、その一部はガラス織布16内にも侵入しており、上述した経糸20および緯糸22相互間の隙間や、密接状態の緩くなった単繊維相互間にも入り込んでいる。なお、上記隙間や経糸20および緯糸22表面等には、気泡等は何ら存在していない。
【0022】
また、樹脂層18のガラス織布16上の厚さ寸法は例えば7〜8(μm)程度であり、ガラス織布16の厚さ寸法に比較して極めて小さな値になっている。そのため、基板10内におけるガラス織布16の体積含有率は極めて高いものとなっていることから、この基板10の特性は専らガラス織布16の特性に依存する。例えば、その熱膨張係数は、例えば8.0〜9.0×10−6(/℃)程度と比較的低く、しかも、引張り弾性率は3000〜3100(MPa)程度と比較的高い値である。すなわち、基板10は、その厚さ寸法が比較的薄いにも拘わらず、低い熱膨張係数および高い弾性率を有している。
【0023】
要するに、本実施例によれば、基板10を構成するガラス織布16は、開繊処理が施されることによって、投影面積率が0.9以上と著しく高くなる程度まで経糸20および緯糸22がほぐされているため、経糸20および緯糸22相互間の空隙の大きさが極めて小さくなる。しかも、ほぐされることにより、ガラス織布16の面方向における経糸20および緯糸22の広がりに応じた量だけその厚さ寸法が薄くなる。そのため、開繊処理が施されていない場合に比較して、経糸20および緯糸22の断面形状の変化に基づいて、それらの相互間に入り込む樹脂量が少なくなると共に、ガラス織布16自身の厚さ寸法とその両面に積層された樹脂層18の厚さ寸法との合計である基板10の厚さ寸法が薄くなるので、厚さ寸法を薄く保ちつつ基板10中におけるガラス織布16の体積含有率が高められる。この結果、上記のように良好な特性を有するのである。
【0024】
ところで、以上のように構成された基板10は、例えば、図4に要部を示される製造工程に従って、以下のようにして製造される。先ず、製織工程30においては、前述したような単繊維が撚られた経糸20および緯糸22に例えば澱粉系の紡糸バインダを付着処理して、製織機で所定の幅寸法の連続的なガラス織布を作成する。このとき、織物組織は、例えば前述したように平織とされるが、朱子(繻子)織、魚子(七子)織、綾織(斜文織)等も所望とする基板特性に応じて適宜適用される。また、単繊維を構成するガラス材料は、例えば前述したようにEガラスが用いられるが、用途に応じてDガラス、Tガラス、Cガラス、Hガラス等を用いることもできる。また、作成されたガラス織布は、織密度が例えば経糸、緯糸共に60(本/25mm)程度のスタイル#1080と称されるものであり、例えば54(μm)程度の厚さ寸法になっている。
【0025】
次いで、開繊工程32においては、図5に示されるように、作成したガラス織布34をその経糸方向Sに連続的に送りつつ、押圧部材36を用いて周期的に圧力を加えることにより、開繊処理を施す。ガラス織布34の搬送速度は例えば10(mm/s)程度である。また、押圧部材36の押圧力は、ガラス織布34の種類に応じて適宜定められるものであるが、例えば10(kgf/cm2)程度すなわち1(MPa)程度である。また、押圧周期は、例えば10(回/s)程度である。また、図5において、押圧部材36は、その押圧面が、ガラス織布34の幅寸法よりも十分に長い長さ寸法と例えば60(mm)程度の幅寸法とを備えたものであって、ガラス織布34に押し当てられる押圧部38と、その押圧部38の形状維持のための十分に剛性の高いバックアップ40とから構成されている。上記の押圧部38は、例えばゴム硬度60°程度のシリコーン・ゴム等から成る弾性体であり、その厚さ寸法は例えば30(mm)程度である。また、上記のバックアップ40は、例えばSUS316等のステンレス鋼から成るものであり、その厚さ寸法は例えば50(mm)程度である。
【0026】
上記工程32における開繊処理は、一定の張力で引張られつつ上記S方向に送られるガラス織布34に、このような押圧部材36の押圧部38を叩き付けて繰り返し圧力を加えることによって為される。このとき、押圧部材38の運動方向は、ガラス織布34の面に垂直な方向に対して例えば15度程度の一定角度θだけ傾斜した図に矢印Hで示される方向である。
【0027】
図6、図7は、上記の開繊処理の際の押圧方向を説明する図である。押圧部材36は、図6に示されるようにその長手方向が緯糸22と平行に設定されており、その向きを保ったまま、ガラス織布34に叩き付けられる。押圧方向は、上述したようにガラス織布34の法線に対してθだけ傾斜した向きであるが、その傾斜方向は、図に▲1▼▲2▼▲3▼▲4▼で示される向きである。すなわち、図における左方向、右方向、上方向、および下方向の順に運動方向を傾斜させることが繰り返される。なお、傾斜角度は、何れも法線に対して15度程度である。このような傾斜方向に運動させられる結果、図7に示されるように、押圧部材36はガラス織布34の送り方向に垂直な図における左右方向に変位させられながらそのガラス織布34を押圧するので、前記図5に一点鎖線で示されるように押圧された範囲全体が下方に撓まされると共に、経糸20がその糸幅方向に押し広げられる。
【0028】
そのため、送り方向Sに張力が作用していることから通常はほぐされ難い経糸20もガラス織布34の面方向に平行な方向の押圧部材36の変位によって容易にほぐされることとなる。すなわち、本実施例によれば、押圧部材36に押圧されて撓まされることによって容易にほぐされる緯糸22に加えて、経糸20も好適にほぐされるので、高い開繊効果が得られるのである。このような開繊処理の結果、ガラス織布34は、前記の基板10を構成するガラス織布16の如き投影面積率が0.9以上と大きく、且つ経糸20および緯糸22を構成する単繊維の横方向への広がりに応じただけ厚さ寸法も減少して44(μm)程度と薄いものとなる。特に、本実施例においては、緯糸22だけでなく経糸20もほぐされているので、緯糸22だけがほぐされる場合に比較して、投影面積率が飛躍的に大きく且つ厚さ寸法も飛躍的に薄くなっている。
【0029】
しかも、押圧部材36の運動方向は法線方向に対して15度程度だけ傾いたものとされているので、ガラス織布34の織り構造は殆ど乱されていない。すなわち、開繊前の糸ピッチが維持されている。
【0030】
また、押圧部材36の運動方向は、前記▲1▼▲2▼▲3▼▲4▼の順に変更されるので、その運動方向が一定とされている場合に比較して、織り構造の変化が一層抑制され且つ開繊効果が一層高められる。
【0031】
図4に戻って、カップリング処理工程42では、上記のようにして開繊処理を施されたガラス織布34にシラン・カップリング処理を施す。この工程では、ガラス織布34を経糸方向に継続して搬送しつつ、例えばシラン・カップリング剤の0.1〜1(%)程度の水溶液に浸漬し、引き上げ後、例えば100(℃)程度の温度で5〜10分間程度の時間だけ乾燥処理が施される。これにより、ガラス織布34の表面すなわち経糸20および緯糸22の表面がシラン・カップリング剤で覆われる。
【0032】
上記の前処理の後、樹脂含浸工程44では、樹脂ワニスをガラス織布34に含浸させる。この工程では、ガラス織布34を経糸方向に継続して搬送しつつ、例えば一定の粘度に調整された樹脂ワニス中を通過させ、引き上げ後、例えば130(℃)程度の温度で5〜10分間程度の時間だけ乾燥処理を施す。これにより、ガラス織布34の表面およびその織目に樹脂が含浸させられ、且つ中間状態まで硬化させられることにより、プリプレグが得られる。なお、上記樹脂ワニスは、例えば以下の組成に調製されたものが用いられる。
【0033】
[樹脂ワニス組成]
エピコート5046B80(ジャパンエポキシレジン(株)製) 69.8重量部
エピコート180S75B70(ジャパンエポキシレジン(株)製) 14.1重量部
ジシアンジアミド 1.6重量部
2E4MZ 0.1重量部
メチルセロソルブ 7.2重量部
ジメチルホルムアミド 7.2重量部
【0034】
次いで、プレス成形工程46では、上記のプリプレグの上下両面に例えば12(μm)程度の厚さ寸法の銅箔を重ねて加熱しつつ加圧成形を施す。加圧条件は、例えば圧力が200(MPa)程度、温度が170(℃)程度、加圧時間が60分間程度である。これにより、ガラス織布34に含浸させられた樹脂(エポキシ樹脂)が完全に硬化させられると共に銅箔が固着され、両面銅張基板すなわち前記の基板10が得られる。なお、上記プリプレグおよび銅箔は、適宜の枚数が積層された状態で加圧して積層板とすることもできる。基板10は、開繊処理を施されたガラス織布16を用いてこのようにして製造されることから、厚さ寸法を薄くし且つガラス織布16の体積含有率を高めることができて、前述したような高い特性を有しているのである。
【0035】
ここで、本実施例の開繊処理の効果を評価した結果を説明する。表1は、開繊工程32の条件を種々変更して、処理後の開繊状態を評価したものである。表1において、「角度」「押付力」「押付周期」は前記の押圧部材36の運動方向の角度θ、押圧力、および繰り返しの周期である。また、「糸幅」「間隙幅」は経糸20および緯糸22の各々の糸幅寸法Wy、Wx、および間隙Gy,Gxであり、「面積率」は、これらの値から算出される前記の投影面積率Aである。なお、上記各寸法は、画像測定器(例えば(株)ミツトヨ製クイックビジョン)を用いて測定した。また、「実施例1〜3」は本発明の実施例を、「比較例1〜3」はθ=0或いは開繊処理を施していない比較例をそれぞれ表している。表1に示されるように、未処理のものが66(%)程度の面積率である場合に、角度θを15°程度に設定した実施例では90(%)以上の高い面積率が得られたが、角度θが0°の比較例では70(%)程度の低い面積率に留まった。なお、何れの実施例においても、経糸20および緯糸22のピッチは初期の417(μm)に保たれている。
【0036】
【0037】
表2は、上記の実施例および比較例のガラス織布34をそれぞれ用いて製造した基板10の特性値を掲げたものである。なお、測定は、前述した工程を経て製造された基板10の表面に固着された銅箔をエッチング処理で除去し、コア材すなわち基板本体のみの状態として行った。表2において、「熱膨張係数」は、熱膨張測定装置(例えばセイコーインスツルメンツ(株)製TMA−SS6200)を用い、室温から125(℃)までの温度範囲における平均線熱膨張係数を測定した値である。また、「引張り弾性率」は、常温における値であり、例えば小型卓上試験機(例えば(株)島津製作所製)を用いて測定した。なお、上記のエッチング処理には、例えば塩化第二鉄水溶液を用いた。下記の表2に示されるように、開繊処理を施さず或いは投影面積率が低い値に留まった比較例では、熱膨張係数が16(×10−6/℃)程度の高い値であったが、本実施例の基板10では熱膨張係数が8.5〜9.2(×10−6/℃)の極めて低い値が得られた。また、弾性率も、比較例が2750〜2850(MPa)程度に留まったのに対し、実施例では、3000(MPa)以上の高い値が得られた。更に、基板厚みも従来の90(%)程度の厚みに抑えられた。
【0038】
【0039】
すなわち、本実施例によれば、ガラス織布16が開繊処理によって投影面積率Aを大きくされ且つ厚さ寸法tを薄くされていることから、基板10におけるガラス織布16の体積含有率が高められるので、その基板10の熱膨張係数が低くなり且つ弾性率が高くなるのである。
【0040】
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施できる。
【0041】
例えば、実施例においては、本発明がガラス・エポキシ基板10およびそれを構成するガラス織布16に適用された場合について説明したが、他の樹脂がガラス織布16で強化された基板にも本発明は同様に適用される。また、ガラス織布に限られず、炭素織布、アルミナ等のセラミック織布等の種々の材料から成る織布延いてはこれを用いた樹脂基板に本発明は好適に適用される。
【0042】
また、実施例においては、経糸20および緯糸22が共に開繊処理によってほぐされていたが、少なくとも一方が開繊されることによって投影面積率Aが0.9以上(90(%)以上)になっていれば、基板10の熱膨張係数が十分に低下させられ且つ弾性率が十分に高められるので、本発明の効果を享受し得る。
【0043】
また、実施例においては、押圧部材36の運動方向がガラス織布34の法線に対して15°程度の角度を成すように設定されていたが、この角度は、経糸20の開繊のし易さや開繊処理後の織物構造の乱れ易さ等に応じて適宜変更される。但し、例えば5〜30°程度の範囲内が好適であり、15°程度が最も好ましい。
【0044】
また、実施例においては、開繊処理のための押圧力が1(MPa)程度に設定されていたが、その値は所望とする開繊の程度やガラス織布34の種類等に応じて適宜変更されるものである。例えば、実施例で示したようなスタイル#1080のガラス織布34においては、0.2〜1.8(MPa)程度の範囲内で適当な値が選定される。
【0045】
また、実施例においては、押圧部材36の押圧周期が10(回/s)程度に設定されていたが、その値は所望の開繊結果が得られるように、ガラス織布34の種類や搬送速度に応じて適宜定められるものである。例えば、実施例で示したような搬送速度が10(mm/s)程度であれば、8〜20(回/s)程度の範囲内で適宜の値が選定される。
【0046】
また、実施例においては、投影面積率Aが93.1〜94.7(%)程度となるように開繊された場合について説明したが、投影面積率Aは、所望とする特性が得られるように、90(%)以上の範囲で適宜設定される。
【0047】
また、実施例においては、開繊処理を施すためにシリコーン・ゴムから成る押圧部38とステンレス鋼から成るバックアップ40とから成る押圧部材36が用いられていたが、適度な弾性を有してガラス繊維を傷つけることなく所望の開繊状態を得ることが可能なものであれば、押圧部材36の構成は適宜変更し得る。
【0048】
また、実施例においては、エポキシ樹脂から成る樹脂層18を形成するために前述したような組成の樹脂ワニスが用いられていたが、その組成は、無機織布、実施例においてはガラス織布34に対する樹脂の含浸し易さや所望とする基板厚み等に応じて適宜変更される。
【0049】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無機織布強化樹脂基板の一実施例であるガラス・エポキシ基板の全体を説明する図である。
【図2】図1の基板を構成するガラス織布の構造を拡大して説明する図である。
【図3】図2のガラス織布の断面を拡大して示す図である。
【図4】図1の基板の製造方法の要部を説明する工程図である。
【図5】図4の製造工程中の開繊工程を模式的に示す斜視図である。
【図6】図5の開繊工程における加圧方向を説明する図である。
【図7】図6におけるVII−VII視断面を示す図である。
【符号の説明】
10:基板
16:ガラス織布(無機織布)
18:樹脂層
20:経糸
22:緯糸
Claims (4)
- 各々が単繊維の撚糸で構成された多数本の経糸および緯糸が織られて成る無機織布で強化された無機織布強化樹脂基板であって、
前記無機織布は、開繊処理が施されることにより、前記経糸の糸幅をA、相互間隔をa、前記緯糸の糸幅をB、相互間隔をbとしたときに式AB/[(A+a)(B+b)]で与えられる投影面積率が0.9以上に高められたことを特徴とする無機織布強化樹脂基板。 - 各々が単繊維の撚糸で構成された多数本の経糸および緯糸が織られて成る無機織布であって、
開繊処理が施されることにより、前記経糸の糸幅をA、相互間隔をa、前記緯糸の糸幅をB、相互間隔をbとしたときに式AB/[(A+a)(B+b)]で与えられる投影面積率が0.9以上に高められたことを特徴とする無機織布。 - 各々が単繊維の撚糸で構成された多数本の経糸および緯糸が織られて成る無機織布のそれら経糸および緯糸を開繊する方法であって、
前記無機織布を前記経糸方向に連続的に送りつつ、その緯糸方向に所定の幅寸法を有する押圧部材を用いて、その無機織布をその表面の法線に対して所定角度だけ前記緯糸方向に傾斜する向きに周期的に押圧する押圧工程を含むことを特徴とする無機織布の開繊方法。 - 前記所定角度は、5乃至30度の範囲内の角度である請求項3の無機織布の開繊方法。
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2002
- 2002-06-25 JP JP2002184820A patent/JP2004026997A/ja active Pending
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