JP2004026602A - 多孔質体形成用マイクロカプセル、多孔質体形成用組成物、多孔質体、多孔質体の製造方法 - Google Patents

多孔質体形成用マイクロカプセル、多孔質体形成用組成物、多孔質体、多孔質体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】十分に微小で孔径分布が単分散な孔が均一に分布する多孔質体を生産性良好に製造する。
【解決手段】燃焼性および/または揮発性の結着剤を少なくとも内包する多孔質体形成用マイクロカプセルを用いて、多孔質体を焼成により作製する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔質な窯業製品を形成するために主に使用されるマイクロカプセルに関する。
【0002】
【従来の技術】
セラミック、陶器、磁器、煉瓦、タイル、ブロック、がいし、セメント、石膏、鑢、研磨用具などの窯業製品で多孔質体のものは、軽量、高断熱性、高絶縁性などの優れた特性を有しているため、各種の産業分野で汎用的に使用されている。
【0003】
これらの多孔質体は、多孔質体を作製する際に多孔質体形成用組成物に泡を生じさせたり、ガラスバルーンおよび樹脂製バルーン等の中空状の充填剤を添加したりして作製される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の様な方法により多孔質体を作製した場合、以下の様な不具合が生じる場合があった。
【0005】
第1に、多孔質体の作製に使用される結着剤などの粘性が高く、取扱いが困難で、均一な混合が難しいため、作業性が不十分であったり、孔が均一に分布する多孔質体を製造し難い場合があった。
【0006】
第2に、中空状の充填剤を使用した場合、中空状充填剤と基材原料と密度が異なるため、均一な混合が難しく、孔が均一に分布する多孔質体を製造し難い場合があった。
【0007】
第3に、従来の方法では十分に微小な孔を有する多孔質体の製造が困難な場合があった。例えば、気泡を生じさせる方法の場合、平均孔径が30μm以下の多孔質体を製造することが困難な場合があり、特に10μm以下は困難であった。
【0008】
第4に、従来の方法では多孔質体の孔径分布を制御することが困難な場合があり、例えば、大孔径の孔が多孔質体に含まれる場合があった。
【0009】
以上の様な状況に鑑み、十分に微小で孔径分布が単分散な孔が均一に分布する多孔質体を生産性良好に製造することを本発明の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明によれば、燃焼性および/または揮発性の結着剤を少なくとも内包する多孔質体形成用マイクロカプセルが提供される。
【0011】
本発明によれば、結着剤自身の粘性が高く、取扱いが困難で、均一な混合が難しい場合でも、結着剤を内包する多孔質体形成用マイクロカプセルを使用することにより、多孔質体形成用マイクロカプセルが良好な取扱い性を有しているため、多孔質体形成用マイクロカプセルと基材原料とを均一に混合でき、これらが均一に混合された多孔質体形成用組成物を得ることができる。よって、この様な多孔質体形成用組成物を焼成して多孔質体を作製すれば、均一に基材原料中に分散した多孔質体形成用マイクロカプセルが燃焼および/または揮発して孔となるため、基材中に孔が実質的に均一分布する多孔質体を得ることができる。
【0012】
また、中空状の充填剤などと異なり、多孔質体形成用マイクロカプセルの場合、広範囲な質量を有するカプセルを実現できるため、基材原料との密度の違いによる分散不良を抑制でき、多孔質体形成用マイクロカプセルと基材原料とを均一に混合でき、これらが均一に混合された多孔質体形成用組成物を得ることができる。よって、この様な多孔質体形成用組成物を焼成すれば、基材中に孔が実質的に均一分布する多孔質体を得ることができる。
【0013】
また、多孔質体形成用マイクロカプセルを使用すれば、体積平均の平均粒子径が1〜30μmと言った微小なマイクロカプセルを実現できるため、気泡を発生させて孔を形成する方法では実現が困難な微小な孔、具体的には体積平均の平均孔径が1〜30μmと言った微小な孔を有する多孔質体を作製できる。
【0014】
更に、必要に応じて微小な多孔質体形成用マイクロカプセルを作製することも可能であり、例えば、平均粒子径(体積平均)が20μm以下、更には10μm以下や、5μm以下と言った微小な多孔質体形成用マイクロカプセルを作製することもでき、この様な多孔質体形成用マイクロカプセルを使用すれば、平均孔径(体積平均)が20μm以下、更には10μm以下や5μm以下の孔を有する多孔質体を作製できる。
【0015】
また、多孔質体形成用マイクロカプセルを使用すれば、粒子径分布が制御されたカプセルを作製できるため、気泡を発生させて孔を形成する方法では実現が困難な単分散な孔径分布を有する多孔質体を得ることができる。例えば、平均粒子径の10倍以上の粒子径を有する粒子のマイクロカプセル全体に占める割合が1体積%以下である多孔質体形成用マイクロカプセルを製造することが可能であり、この様な多孔質体形成用マイクロカプセルを使用すれば、平均孔径の10倍以上の孔径を有する孔の孔全体に占める割合が1体積%以下である多孔質体を製造できる。
【0016】
なお、マイクロカプセルの平均粒子径および粒子径分布は、例えばCoulter Electronics社(英国)製コールターマルチサイダーを用いて測定することもできる。
【0017】
また、多孔質体の孔の状態は、電子顕微鏡などにより多孔質体を観察し、孔を計測することにより解析できる。
【0018】
以上の結果、十分に微小で孔径分布が単分散な孔が均一に分布する多孔質体を生産性良好に製造できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0020】
(多孔質体形成用マイクロカプセル)
多孔質体形成用マイクロカプセルは、界面重合法、in situ重合法、液中硬化被覆法、コアセルベーション法などの主に化学反応を利用する方法により製造できるが、得られる多孔質体形成用マイクロカプセルの構造を精密に制御できる等の理由から、界面重合法およびin situ重合法が好ましい。
【0021】
界面重合法においては、マイクロカプセルの内部媒体とマイクロカプセルの外部媒体との何れにもカプセル樹脂壁の原料が存在しており、マイクロカプセルの内部媒体に含まれる原料とマイクロカプセルの外部媒体に含まれる原料とが反応してカプセル樹脂壁が形成される。
【0022】
一方、in situ重合法においては、マイクロカプセルの内部媒体とマイクロカプセルの外部媒体との何れか一方のみにカプセル樹脂壁の原料が存在しており、マイクロカプセルの内部媒体に含まれる原料のみが反応してカプセル樹脂壁が形成されか、マイクロカプセルの外部媒体に含まれる原料のみが反応してカプセル樹脂壁が形成される。
【0023】
カプセル樹脂壁としては、多孔質体形成用組成物を焼成する際に燃焼するものであれば特に制限されず、熱軟化性および熱硬化性の何れでも良く、カプセル内包物の性質、所望のマイクロカプセルの構造などを考慮して選択する。中でも、マイクロカプセルの構造を制御し易いなどの理由から、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ウレタン−尿素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスルホンアミド樹脂、ポリスルホネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂などが好ましく、必要に応じて2種類以上の樹脂を併用できる。
【0024】
具体的には、例えば、カプセル樹脂壁を尿素樹脂から作製する場合、メチロール化尿素系化合物を用いたin situ重合法、尿素系化合物とホルムアルデヒドとを用いた界面重合法、ハロゲン化カルボニル化合物とアミン類とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0025】
また、カプセル樹脂壁をメラミン樹脂から作製する場合、メチロール化メラミン系化合物を用いたin situ重合法、メラミン系化合物とホルムアルデヒドとを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0026】
また、カプセル樹脂壁をポリウレタン樹脂から作製する場合、イソシアネート化合物とヒドロキシル化合物とを用いた界面重合法、カルボニルモノオキシ化合部とアミン類とを用いた界面重合法、アミノ−カルボニルモノオキシ化合部を用いたin situ重合法などにより作製できる。
【0027】
また、カプセル樹脂壁をウレタン−尿素樹脂から作製する場合、イソシアネート化合物と水とを用いた界面重合法、イソシアネート化合物とアミン類とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0028】
また、カプセル樹脂壁をポリアミド樹脂から作製する場合、アミノ酸誘導体を用いたin situ重合法、カルボン酸誘導体とアミン類とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0029】
また、カプセル樹脂壁をポリエステル樹脂から作製する場合、カルボン酸誘導体とヒドロキシル化合物とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0030】
また、カプセル樹脂壁をポリエーテル樹脂から作製する場合、カルボン酸誘導体とヒドロキシル化合物とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0031】
また、カプセル樹脂壁をポリオレフィン樹脂から作製する場合、エチレン、プロピレン、スチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、スチレン−ジビニルベンゼン等を用いたin situ重合法などにより作製できる。
【0032】
また、カプセル樹脂壁をポリスルホンアミド樹脂から作製する場合、スルホン酸誘導体とアミン類とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0033】
また、カプセル樹脂壁をポリスルホネート樹脂から作製する場合、スルホン酸誘導体とヒドロキシル化合物とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0034】
また、カプセル樹脂壁をエポキシ樹脂から作製する場合、エポキシドとヒドロキシル化合物とを用いた界面重合法、エポキシドとアミン類とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0035】
また、カプセル樹脂壁をポリカーボネート樹脂から作製する場合、ヒドロキシ化合物とハロゲン化カルボニル化合物とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0036】
また、カプセル樹脂壁をフェノール樹脂から作製する場合、芳香族ヒドロキシ化合物とホルムアルデヒドとを用いた界面重合法、尿素系化合物と芳香族ヒドロキシ化合物とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0037】
なお、カプセル樹脂壁の原料としては、上記以外にも、ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネート、ポリアミン、ポリカルボン酸、多塩基酸クロライド、酸無水物、エポキシ化合物、ポリオール、(メタ)アクリル化合物、ポリサルファイド、有機アミン類、酸アミド類、水溶性エポキシ化合物、フェノール類、ホルマリン、ホスゲン、スピロアセタール系複素環状アミン、アルデヒド等も使用できる。
【0038】
以上に記載したカプセル樹脂壁のうち、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂などは熱硬化性樹脂である。また、ポリウレタン樹脂、ウレタン−尿素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスルホンアミド樹脂、ポリスルホネート樹脂およびポリカーボネート樹脂などは熱軟化性樹脂である。
【0039】
また、多孔質体形成用マイクロカプセルを製造する際、必要に応じて、アニオン性単量体、カチオン性単量体、ノニオン性単量体、アニオン性重合体、カチオン性重合体、ノニオン性重合体など界面活性剤を使用する。
【0040】
具体的には、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルフォン酸塩、ポリオキシエチレン硫酸塩、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリビニルアルコール、ヘキサエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カイゼン、アラビアゴム、ゼラチン、ロート油などを使用する。
【0041】
なお、カプセル化反応の際の全体に対して、界面活性剤の使用量は0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、一方、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
【0042】
また、以上に説明してきたカプセル化反応において、反応温度は、普通50〜100℃とされる。
【0043】
(多孔質体形成用マイクロカプセルの内包物)
多孔質体形成用マイクロカプセルは、燃焼性および/または揮発性の結着剤を少なくとも内包する。結着剤は、多孔質体形成用マイクロカプセルと基材原料とを含有する混合物をプレス成形し仮成形体を作製する際に、加圧により多孔質体形成用マイクロカプセルより放出され、基材原料を仮接着するものである。
【0044】
この様な結着剤としては、カプセルの製造性の観点から、例えば、ポリビニルブチラール及びポリビニルブチラール系共重合体、ポリ酢酸ビニル及びポリ酢酸ビニル系共重合体、ポリ塩化ビニル及びポリ塩化ビニル系共重合体、(メタ)アクリル系ポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン等の熱可塑性接着剤を使用する。なお、これらの熱可塑性接着剤の重量平均分子量は、熱可塑性接着剤の粘度を考慮して選択されるが、一般的に1,000〜1,000,000の範囲とする。
【0045】
以上の様な結着剤を、粘度を調整するなどの理由から、適当な内部媒体に溶解または分散することもできる。この様なマイクロカプセルの内部媒体としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、MEK、MIBK、ヘキサン等の燃焼性および/または揮発性の溶剤を使用できる。
【0046】
また、燃焼性および/または揮発性の可塑剤なども使用できる。
【0047】
この様な可塑剤としては、カプセルの製造性の観点から、例えば、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソノニルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート等のフタル酸エステル類;トリメチルホスフェート(TMP)、トリエチルホスフェート(TEP)、トリブチルホスフェート(TBP)、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート(TOP)、トリブトキシエチルホスフェート、トリオレイルホスフェート、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、クレジルジフェニルホスフェート(CDP)、キシレニルジフェニルホスフェート(XDP)、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート等のトリメリット酸エステル類;ブチルベンゾエート、ヘキシルベンゾエート等の安息香酸エステル類;サリチル酸イソアミル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル等のサリチル酸エステル類;ジメチルアジペート(DMA)、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジブチルアジペート(DBA)、ジ−2−エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジイソデシルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート、ジブチルジグリコールアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼテート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、メチルアセチルリシノレート等の脂肪酸エステル類;フマル酸ジブチル、マロン酸ジエチル、しゅう酸ジメチル等の脂肪族ジカルボン酸エステル類;o−アセチルトリエチルシトレート等のクエン酸エステル類;メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、モノイソプロピルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン等のアルキルナフタレン類;o−メチルジフェニルエーテル、m−メチルジフェニルエーテル、p−メチルジフェニルエーテル等のアルキルジフェニルエーテル類;N,N−ジメチルラウリロアミド、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等の高級脂肪酸または芳香族スルホン酸のアミド化合物類;トリオクチルトリメリテート等のトリメリット酸エステル類;ジメチルジフェニルメタン等のジアリールメタン、1−フェニル−1−メチルフェニルエタン、1−ジメチルフェニル−1−フェニルエタン、1−エチルフェニル−1−フェニルエタン等のジアリールエタン等のジアリールアルカン類;塩素化パラフィン類;アクリル酸エステル系重合性化合物、アクリルアミド系重合性化合物、メタクリル酸系重合性化合物、メタクリル酸エステル系重合性化合物、メタクリルアミド系重合性化合物、無水マレイン酸系重合性化合物、マレイン酸エステル系重合性化合物、スチレン系重合性化合物、ビニルエーテル系重合性化合物、ビニルエステル系重合性化合物、アリルエーテル系重合性化合物などのビニル重合性媒体などを使用する。
【0048】
なお、ハロゲンを含有する化合物の様に非燃焼性のものでも、焼成温度において揮発するものであれば、内包物として使用できる。
【0049】
(多孔質体)
多孔質体形成用マイクロカプセルの製造は、先ず、少なくとも多孔質体形成用マイクロカプセルと基材原料とを混合し、この混合物をプレス成形して結着剤を多孔質体形成用マイクロカプセルから放出させて仮成形体を作製する。この際、多孔質体形成用マイクロカプセルは加圧により変形したり、カプセル樹脂壁に亀裂が生じたり、カプセル樹脂壁の一部が破壊されたりして、内包される結着剤が放出される。結着剤は仮接着剤として基材原料を接着し、仮成形体が形成される。
【0050】
なお、多孔質体形成用マイクロカプセルとして乾燥された形態のものを使用し基材原料と粉体混合する場合もあれば、多孔質体形成用マイクロカプセルを含むスラリーを基材原料と混合する場合もある。スラリーを使用する場合は、液体の存在により仮成形体を更に良好に作製できる。また、スラリーを使用する方が、多孔質体形成用マイクロカプセルの破損を抑制できる。
【0051】
なお、プレス成形の際に、高品位の多孔質体を作製するため、多孔質体形成用マイクロカプセルが破壊され過ぎない様に注意する。多孔質体形成用マイクロカプセルが破壊され過ぎると、孔が十分に形成されないからである。
【0052】
この様にして得られた仮成形体を焼成し、結着剤および多孔質体形成用マイクロカプセルを燃焼および/または揮発させる。多孔質体形成用マイクロカプセルを燃焼および/または揮発すると空洞となり、多数の孔が形成される。また、これと同時に、基材原料は融着または焼結され、最終成形体が形成される。
【0053】
一方、多孔質体形成用マイクロカプセルと、基材原料とに、更に、硬化温度が100℃以上の高温接着剤とを混合する場合もある。この場合も、この混合物をプレス成形し、結着剤を放出させて仮成形体を作製し、仮成形体を100℃以上で焼成する。
【0054】
高温接着剤を使用する場合、焼成工程において、結着剤および多孔質体形成用マイクロカプセルを燃焼および/または揮発させるのと同時に、高温接着剤が溶融され、基材原料が接着され、最終成形体が形成される。
【0055】
この様な高温接着剤としては、例えば、はんだガラス、低融点ガラス接着剤、アルカリ金属ケイ酸塩系無機接着剤、リン酸塩系無機接着剤、シリカ系無機接着剤、アルミナ系無機接着剤、ジルコニア系無機接着剤などを使用する。
【0056】
また、基材原料としては、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩などのケイ酸塩類およびこれらの前駆体;アルミ酸化物、亜鉛酸化物、チタン酸化物、マグネシウム酸化物などの固体金属酸化物およびこれらの前駆体;炭化物、窒化物、ホウ化物、ケイ化物などの非酸化物材料およびこれらの前駆体;粘土、ケイ石、石灰石、鉱物などの天然物などを使用する。
【0057】
焼成温度は、多孔質体形成用マイクロカプセルのカプセル樹脂壁および内包物が十分に燃焼および揮発される温度範囲とされ、高温接着剤を使用する場合は高温接着剤が十分に溶融する温度範囲とされ、基材原料に応じて選択される。例えば、低温焼成の場合で100〜500℃、高温焼成の場合で500〜2000℃とする。
【0058】
本発明の多孔質体形成用マイクロカプセルは、セラミック、陶器、磁器、煉瓦、タイル、ブロック、がいし、セメント、石膏、鑢、研磨用具などの多孔質体の窯業製品の作製に好適であり、軽量、高断熱性、高絶縁性などを実現できる。
【0059】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。なお、特に明記しない限り、試薬等は市販の高純度品を使用した。
【0060】
(実施例1)多孔質体形成用マイクロカプセル1
スチレン−無水マレイン酸共重合体の無水マレイン酸の部分加水分解による開環物(重量平均分子量:350,000、無水マレイン酸の開環率:70%)15質量部を、水285質量部に溶解した。一方、ポリビニルブチラール(重量平均分子量:50,000)20質量部をジブチルフタレート180質量部に溶解した。これを、先に得たスチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液に添加し、ホモミキサーを用いて3分間、乳化した。得られた乳化液にトリメチロールメラミン初期重合物(昭和高分子社製、商品名:ミルベンレジン512)65質量部を混合し、プロペラ型攪拌機を用いて80℃で2時間攪拌して、カプセル化反応を行い、多孔質体形成用マイクロカプセル1を43質量%含むスラリーを得た。
【0061】
得られた多孔質体形成用マイクロカプセル1を分析したところ、平均粒子径(体積平均)は2μmであり、粒子径が20μm以上のカプセルの含有率は0.2質量%であった。
【0062】
(実施例2)多孔質体1
以上の多孔質体形成用マイクロカプセル1を含有するスラリー55質量部と、ガラス粉75質量部と、チタニア150質量部とを混合した。混合性は良好であった。得られた混合物を金型に投入し乾燥後、プレス成形して仮成形品を作製した。なお、プレス圧は50MPaとし、多孔質体形成用マイクロカプセル1の一部が破壊される条件とした。その後、仮成形品を800℃で1時間焼成し、多孔質体1を得た。
【0063】
得られた多孔質体1を分析したところ、孔は均一に分散しており、孔の平均孔径(体積平均)は1.8μm、18μm以上の孔径を有する孔の孔全体に占める割合は0.1体積%であった。
【0064】
(比較例1)多孔質体2
市販のガラスバルーン20質量部と、ガラス粉75質量部と、チタニア150質量部とを混合した。ガラスバルーンは嵩密度が低く、混合性は不良であった。得られた混合物を金型に投入し、800℃で1時間焼成し、多孔質体2を得た。
【0065】
得られた多孔質体2を分析したところ、孔は成形品の上部に多数形成されており、孔の平均孔径(体積平均)は58μm、580μm以上の孔径を有する孔の孔全体に占める割合は3.7体積%であった。
【0066】
【発明の効果】
燃焼性および/または揮発性の結着剤を少なくとも内包する多孔質体形成用マイクロカプセルを用いることにより、十分に微小で孔径分布が単分散な孔が均一に分布する多孔質体を生産性良好に製造できる。

Claims (7)

  1. 燃焼性および/または揮発性の結着剤を少なくとも内包する多孔質体形成用マイクロカプセル。
  2. 平均粒子径(体積平均)は1〜30μmであり、
    該平均粒子径の10倍以上の粒子径を有する粒子の前記多孔質体形成用マイクロカプセル全体に占める割合は、1体積%以下であることを特徴とする請求項1記載の多孔質体形成用マイクロカプセル。
  3. 請求項1又は2記載の多孔質体形成用マイクロカプセルと、基材原料とを含む多孔質体形成用組成物。
  4. 硬化温度が100℃以上の高温接着剤を更に含むことを特徴とする請求項3記載の多孔質体形成用組成物。
  5. 請求項3又は4に記載の多孔質体形成用組成物を焼成して形成され、実質的に均一分布する孔を有する基材より主になり、
    該孔の平均孔径(体積平均)は1〜30μmであり、
    該平均孔径の10倍以上の孔径を有する孔の該孔全体に占める割合は、1体積%以下である多孔質体。
  6. 少なくとも、請求項1又は2記載の多孔質体形成用マイクロカプセルと、基材原料とを混合する工程と、
    該混合物をプレス成形し、前記結着剤を放出させて仮成形体を作製する工程と、該仮成形体を焼成し、前記結着剤および前記多孔質体形成用マイクロカプセルを燃焼および/または揮発させ、該基材原料を融着または焼結して最終成形体を作製する工程とを含む多孔質体の製造方法。
  7. 少なくとも、請求項1又は2記載の多孔質体形成用マイクロカプセルと、基材原料と、硬化温度が100℃以上の高温接着剤とを混合する工程と、
    該混合物をプレス成形し、前記結着剤を放出させて仮成形体を作製する工程と、該仮成形体を100℃以上で焼成し、前記結着剤および前記多孔質体形成用マイクロカプセルを燃焼および/または揮発させ、該高温接着剤を溶融し、該基材原料を接着して最終成形体を作製する工程とを含む多孔質体の製造方法。
JP2002187657A 2002-06-27 2002-06-27 多孔質体形成用組成物、多孔質体、多孔質体の製造方法 Expired - Fee Related JP4373053B2 (ja)

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