JP2004025981A - 衝突判定システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】バンパフェイス3に取付けられる複数の加速度センサ2a,2b,2cと、これらの加速度センサの各々に設けられた衝突検出部12a,12b,12c、および各々の加速度センサ毎に検出加速度が設定値以上であるかを判断する複数の加速度比較部10a,2b,2cと、複数の衝突検出部のいずれかで衝突が検出された場合に、衝突を検出した衝突検出部が参照する加速度センサとは別の加速度センサを参照する加速度比較部によって、衝突検出の時点から一定時間過去の間に設定値以上の加速度が検出されていたと判断した場合には、作動信号を出力する作動信号出力部を備える。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は衝突判定システムに関し、特に、車両が当接物と衝突したことを検知し、衝突安全装置へ作動信号を出力する衝突判定システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来技術の一例として、特開2001−80545号の「車両用フードの作動装置」における衝突判定システムを挙げる。図9は、上記衝突判定システムを備える車両用フードの作動装置を示す全体図である。この車両用フードの作動装置において、衝突判定システムは、車速を検出する車速センサ101と、車両100の前方からバンパ102に作用する外力による加速度を検出する加速度センサ103と、この加速度センサ103で検出した加速度情報からバンパ変形速度を算出する変形速度演算部104および平滑化処理手段105と、車速に応じてバンパ変形速度の閾値を変化させる車速−閾値マップ106と、衝突安全装置であるフード109を所定量撥ね上げるアクチュエータ108と、このアクチュエータ108の作動を制御する制御部(ECU(Electric Control Unit))107とから構成される。車速センサ101によって検出された車速が所定車速である場合、算出されたバンパ変形速度が閾値を超えたときには、制御部107は、当接物Mが所定の保護対象物であると判断してアクチュエータ108を作動させ、フード109を撥ね上げる。上記の場合にフード109を撥ね上げることによって、当接物Mがフード109に衝突する際の衝撃を緩和している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような衝突判定システムでは、加速度センサ103内部の加速度検出素子や電気回路に不具合が生じると、衝突状態でないにもかかわらず、不具合による無効信号(衝突発生時に出力されるような大きな加速度の加速度信号)が加速度センサ103から出力される可能性もある。これにより、無効信号を正規の有効信号と誤認し、制御部107では衝突を判定し、フードを作動させてしまう。
【0004】
そこで、従来では、例えばエアバックシステムのように制御部内に一定以上の衝撃を感知する衝撃感知センサを設け、この衝撃感知センサが作動しない場合には、制御部から衝突判定信号が出力されてもエアバックを作動させないような衝突判定システムが採用されている。なお、衝撃感知センサは制御部内に設けられているため、エアバックが作動する程の大きな衝撃でなければ、感知することができない。
【0005】
しかし、本願の衝突判定システムが対象とするような歩行者程度の重量物との衝突では、衝突部位であるバンパの近くでしか衝撃が発生しないため、上記のような制御部内に設けた衝撃感知センサでは歩行者程度の重量物との衝突を感知できない。そこで、制御部を車両前端に取り付けることが考えられるが、車両前端部のように狭い空間に制御部を設置することは困難である。
【0006】
従って、上記のエアバックシステムで用いられている衝突判定システムは、本願が対象とする、衝突安全装置を作動させるための衝突判定システムに採用できない。そこで、加速度センサ内部の加速度検出素子や電気回路等の不具合による無効信号(衝突発生時に出力されるような大きな加速度の加速度信号)が出力されても、制御部において確実に車両が当接物と衝突したことを検知して作動信号を出力する衝突判定システムが望まれる。
【0007】
本発明の目的は、上記の要望に応え、加速度センサ内部の加速度検出素子や電気回路の不具合による無効信号が出力されても、車両が当接物と衝突したことを確実に検知して作動信号を出力する衝突判定システムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明に係る衝突判定システムは、上記目的を達成するために、次のように構成される。
【0009】
本発明に係る第1の衝突判定システム(請求項1に対応)は、車両が当接物と衝突したことを検知して衝突安全装置に作動信号を出力する衝突判定システムであって、車両の前部のバンパフェイス付近に取付けられ、車両前後方向の加速度を検出する複数の加速度センサと、これらの複数の加速度センサの各々に設けられた衝突検出部と、複数の加速度センサの各々に設けられた、検出加速度が設定値以上であるかを判断する複数の加速度比較部と、複数の衝突検出部のいずれかで衝突が検出された場合には、衝突を検出した衝突検出部が参照する加速度センサとは別の加速度センサを参照する加速度比較部によって、衝突検出の時点から一定時間過去の間に設定値以上の加速度が検出されていたと判断した場合には、作動信号を出力する作動信号出力部とを備えることを特徴とする。
【0010】
第1の衝突判定システムによれば、複数の加速度センサのうち1つを参照する衝突検出部が衝突を検出してもすぐに衝突を確定せず、衝突検出の時点から一定時間過去の間に他の加速度センサの加速度が設定値以上であるか否かを参照し衝突を確定するので、加速度センサ内部の加速度検出素子や電気回路の不具合によって、衝突発生時に出力されるような大きな加速度の加速度信号が出力されても、他の加速度センサの加速度が設定値以下である場合には、作動信号が出力されず衝突安全装置を作動させることがない。
【0011】
本発明に係る第2の衝突判定システム(請求項2に対応)は、上記の第1の衝突判定システムにおいて、好ましくは、複数の衝突検出部のいずれかで衝突が検出された場合には、衝突を検出した衝突検出部を参照する加速度センサの隣りに取りつけられた加速度センサを参照する加速度比較部によって、衝突検出の時点から一定時間過去の間に設定値以上の加速度が検出されていたときに、作動信号出力部が作動信号を出力することを特徴とする。
【0012】
第2の衝突判定システムによれば、衝突を検出した衝突検出部が参照する加速度センサの隣りに取り付けられた加速度センサによる加速度が、設定値以上の場合に作動信号を出力するので、確実に衝突を判定し、衝突安全装置を作動させる。
【0013】
本発明に係る第3の衝突判定システム(請求項3に対応)は、上記の各衝突判定システムにおいて、好ましくは、衝突検出部と加速度比較部と作動信号出力部とを内蔵する制御部が加速度センサとは異なる位置に取付けられたことを特徴とする。
【0014】
第3の衝突判定システムによれば、衝突判定を行う制御部が車両前端部ではなく、加速度センサとは異なる位置に設けたので、加速度センサ内部の加速度検出素子や電気回路等の不具合によって、衝突発生時に出力されるような大きな加速度の加速度信号が出力されても、加速度センサとは異なる位置に設けた制御部において確実に車両が当接物と衝突したことを検知して作動信号を出力することが可能である。これは、エアバックシステムで用いられている、制御部内に衝撃感知センサを有する衝突判定システムでは、本願が対象とする衝突部位であるバンパの近くでしか衝撃が発生しない衝突を判定することができないので、衝突安全装置のための衝突判定システムには好適である。さらに、制御部の取付け位置に関する制限をなくすことが可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面に従って説明する。
【0016】
実施形態で説明される構成、形状、配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎず、またセンサの数については例示にすぎない。従って本発明は、以下に説明される実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【0017】
図1は、本発明に係る衝突判定システムの全体を示す図である。車両前端部1には、加速度センサ2a,2b,2cを設ける。この加速度センサ2a,2b,2cは、車室内に設けられたECU(制御部)7と接続されている。なお、加速度センサ2a,2b,2cとECU7の間は、有線ケーブルだけでなく、他の伝送手段(無線等)を利用することも可能である。
【0018】
加速度センサ2a,2b,2cは、マッチ箱ほどの大きさのユニットとして作られており、よく知られた静電容量式の加速度検出素子と電気回路で構成される。この加速度検出素子内部には錘が設けられる。加速度センサ2a,2b,2cは検出した衝突による加速度に応じて、加速度信号をECU7へ送信する。
【0019】
ECU7は、右側アクチュエータ6aと左側アクチュエータ6bへ作動信号を出力し、作動を制御する。右側アクチュエータ6aと左側アクチュエータ6bはフード昇降装置である。右側アクチュエータ6aと左側アクチュエータ6bの作動によって、フード5が撥ね上げられる。図1では撥ね上げられた状態のフード5を表している。ECU7では、受信した加速度値に係る加速度信号に基づいて衝突判定を行い、車両の前端部1が当接物に衝突したと判定した場合に、右側アクチュエータ6aと左側アクチュエータ6bを作動させてフード5を所定の位置まで撥ね上げる。これにより、当接物がフード5に二次衝突する際の衝撃が緩和される。
【0020】
次に、衝突による加速度の検出について説明する。図2,3は、加速度センサ2a,2b,2cが設けられた車両前端部1の側面断面図である。図2は、衝突前の当該部位の側面断面図である。加速度センサ2a,2b,2cは、車両前端部1のフロントバンパ3Aの前部を覆うバンパフェイス3の内面に設けられる。図3は、当接物Mに衝突中の当該部位の側面断面図である。図中の二点鎖線は、衝突前のバンパフェイス3の位置を表している。当接物Mの衝突によってバンパフェイス3が図中右方(車両後方)に向かって移動すると、加速度検出素子内部の錘はバンパフェイス3の移動による加速度の方向aと逆方向へ慣性によって移動する。この錘の移動によって生じる静電容量の変化を電気回路によって取り出し加速度値としている。
【0021】
加速度センサ2a,2b,2cでは、上述のようにバンパフェイス3の移動によって発生する加速度を、加速度検出素子内部の錘の移動よって生じる静電容量の変化で検出している。上述のように衝突によって移動するバンパフェイス3の加速度を検出するので、力を直接検出する荷重センサのようにバンパフェイス3の車幅方向の全幅に渡って設ける必要はない。このため、バンパフェイス3の車幅方向に3個の加速度センサ2a,2b,2cを設けている。この3個の加速度センサ2a,2b,2cに対応し、ECU7内にそれぞれ1つの加速度比較部と衝突検出部を備えている。
【0022】
なお、本実施形態では、加速度センサ2a,2b,2cを車両前端部1のバンパフェイス3に設けるようにしたが、バンパフェイスに限らず、バンパフェイスと同様に変形可能なブラケットに加速度センサを取り付けることも可能である。また、側面からの衝突や後方からの衝突を判定するために、加速度センサを車両の側面や後方に設けてもよい。
【0023】
次にECU7の要部構成を説明する。図4は、第1実施形態に係るECU7の要部ブロック構成図である。ECU7は、加速度比較部10と衝突検出部12と作動信号出力部17から構成する。加速度比較部10は、加速度センサ2a,2b,2cからの加速度信号を受信する第1加速度比較部10a、第2加速度比較部10b、第3加速度比較部10cと、それぞれ対になって設ける第1タイマ11a、第2タイマ11b、第3タイマ11cから構成する。衝突検出部12は、加速度信号を受信し衝突を検出する第1衝突検出部12a、第2衝突検出部12b、第3衝突検出部12cから構成する。作動信号出力部17は、第1衝突確定部16a、第2衝突確定部16b、第3衝突確定部16c、作動信号出力ゲート17aから構成される。図4中の同一の番号で異なるアルファベットで示した要素は実質的に同一であるため、以下、適宜第1加速度比較部10a、第1タイマ11a、第1衝突検出部12aに関する動作について説明する。
【0024】
第1加速度比較部10aは、第1加速度センサ2aを参照し、第1加速度センサ2aが検出した加速度が設定値以上であるか否かを判断している。比較の結果、加速度が設定値以上であると判断されると、第1タイマ11aへ加速度比較信号が出力され、第1タイマ11aが作動開始する。第1タイマ11aは、作動開始後、予め設定された時間が経過した時点で作動を停止する。すなわち、第1タイマ11aは、第1加速度比較部10aで加速度が設定値以上であると判断され、作動を開始してから予め設定された時間の間作動中となる。これは、設定値以上の加速度が検出されてから予め設定された時間の間に、後述する衝突信号が出力されたことを条件に、衝突であると判断するためである。
【0025】
第2加速度比較部10b、第3加速度比較部10cおよび第2タイマ11b、第3タイマ11cは、第1加速度比較部10a、第1タイマ11aと同様に、それぞれ第2加速度センサ2b、第3加速度センサ2cが検出した加速度に基づいて比較・作動する。第1タイマ11a、第2タイマ11b、の作動状態は第3衝突確定部16cによって参照され、第2タイマ11b、第3タイマ11cの作動状態は第1衝突確定部16aによって参照され、第1タイマ11a、第3タイマ11cの作動状態は第2衝突確定部16bによって参照されている。
【0026】
ECU7は、車速センサ4からのパルス信号を受信し車速を演算する車速演算部8と、演算された車速と設定速度を比較する車速比較部9を備える。車速演算部8は、車速センサ4が出力するパルス信号のパルス周期から現在車速を演算する。車速比較部9は、車速演算部8で演算された現在車速が設定速度以上であるか否かの比較を行い、設定速度以上のとき、第1衝突検出部12a、第2衝突検出部12b、第3衝突検出部12cへ車速比較信号を送る。
【0027】
第1衝突検出部12a、第2衝突検出部12b、第3衝突検出部12cは、それぞれ第1加速度センサ2a、第2加速度センサ2b、第3加速度センサ2cからの加速度に基づいて衝突検出の演算を行う際に、車速比較部9によって現在車速が設定値以上であると判断された車速比較信号を用いる。
【0028】
第1衝突検出部12aは、第1変形速度演算部13a、第1変形量演算部14a、第1変形比較部15aから構成する。第2衝突検出部12bは、第2変形速度演算部13b、第2変形量演算部14b、第2変形比較部15bから構成する。第3衝突検出部12cは、第3変形速度演算部13c、第3変形量演算部14c、第3変形比較部15cから構成する。なお、以下では第1衝突検出部12aでの動作について説明する。
【0029】
第1変形速度演算部13aは、第1加速度センサ2aが検出した加速度のうち一定時間の間の加速度を記憶しており、一定時間の間の加速度の積分演算値からバンパフェイス3の変形速度を得る。第1変形量演算部14aは、第1変形速度演算部13aで演算されたバンパフェイス3の変形速度のうち一定時間の間の変形速度を記憶しており、一定時間の間の変形速度の積分演算からバンパフェイス3の変形量を得る。第1変形比較部15aは、第1変形速度演算部13aで演算した変形速度を、予め設定された変形速度閾値と比較するとともに、第1変形量演算部14aで演算した変形量を、予め設定された変形量閾値と比較する。変形速度および変形量が両方とも閾値以上となった場合に、衝突信号を出力する。
【0030】
第2衝突検出部12bおよび第3衝突検出部12cの構成と各部の機能は、第1衝突検出部12aと同様の構成および機能を有しているので、説明を省略する。第1衝突検出部12a、第2衝突検出部12b、第3衝突検出部12cから出力された衝突信号は、それぞれ第1衝突確定部16a、第2衝突確定部16b、第3衝突確定部16cへ入力される。
【0031】
第1衝突確定部16aは、第1衝突検出部12aからの衝突信号を受信し、第2タイマ11bの作動状態と、第3タイマ11cの作動状態とを参照する。第1衝突検出部12aから衝突信号が出力されている場合に、第2タイマ11bまたは第3タイマ11cのどちらかが作動中であると判断されると、衝突確定信号を作動信号出力ゲート17aへ出力する。
【0032】
第2衝突確定部16bは、第2衝突検出部12bからの衝突信号を受信し、第1タイマ11aの作動状態と、第3タイマ11cの作動状態とを参照する。第2衝突検出部12bから衝突信号が出力されている場合に、第1タイマ11aまたは第3タイマ11cのどちらかが作動中であると判断されると、衝突確定信号を作動信号出力ゲート17aへ出力する。
【0033】
第3衝突確定部16cは、第3衝突検出部12cからの衝突信号を受信し、第1タイマ11aの作動状態と、第2タイマ11bの作動状態とを参照する。第3衝突検出部12cから衝突信号が出力されている場合に、第1タイマ11aまたは第2タイマ11bのどちらかが作動中であると判断されると、衝突確定信号を作動信号出力ゲート17aへ出力する。
【0034】
作動信号出力ゲート17aは、第1衝突確定部16a、第2衝突確定部16b、第3衝突確定部16cのいずれかから衝突確定信号が入力されると、アクチュエータ6a,6bに作動信号を出力する。
【0035】
次に本実施形態に係る衝突判定システムの動作を説明する。図5、図6は第1実施形態に係る衝突判定システムの動作フロー図である。なお、図5のA,Bは図6のA,Bとそれぞれ接続される。衝突判定システムの動作がスタートすると、まず、衝突判定に用いる各変数(車速、変形速度、変形量、フラグの値)の初期設定を行う(ステップS101)。加速度センサ2a,2b,2cが出力した加速度を読み込んだ後(ステップS102)、第1加速度比較部10aが第1加速度センサ2aの検出加速度が設定値以上であるか否かを比較し、判断する(ステップS103)。
【0036】
第1加速度比較部10aが検出加速度が設定値以上であると判断すると、第1タイマ11aのタイマ値をリセットして作動を開始し(ステップS104)、第1フラグの値を1にする(ステップS105)。
【0037】
第1加速度比較部10aが、検出加速度が設定値未満であると判断した場合には、第1タイマ11aが作動しているか否かが参照される(ステップS106)。第1タイマ11aが作動している場合(第1フラグの値が1の場合)にはそのままステップS108に進む。第1タイマ11aが作動していない場合には第1フラグの値を0にする(ステップS107)。ステップS103〜S107の動作により、第1加速度センサ2aの検出加速度がいったん設定値以上(第1フラグの値が1)になると、加速度が設定値未満となってからも予め設定した一定時間は第1フラグの値は1の状態を保持する。
【0038】
ステップS108では、第2加速度比較部10bが検出した加速度が設定値以上か否かを比較し、判断する。第2加速度比較部10bが、加速度が設定値以上であると判断すると、第2タイマ11bのタイマ値をリセットして作動開始し(ステップS109)、第2フラグの値を1にする(ステップS110)。
【0039】
第2加速度比較部10bが、検出加速度が設定値未満であると判断した場合には、第2タイマ11bが作動しているか否かが参照される(ステップS111)。第2タイマ11bが作動している場合にはステップS113に進む。第2タイマ11bが作動していない場合には第2フラグの値を0にする(ステップS112)。ステップS108〜S112の動作により、第2加速度センサ2bの検出加速度がいったん設定値以上になると、加速度が設定値未満となってからも一定時間は第2フラグの値は1の状態を保持する。
【0040】
ステップS113では第3加速度比較部10cが、検出した加速度が設定値以上か否かを判断する。第3加速度比較部10cが、加速度が設定値以上であると判断すると、第3タイマ11cのタイマ値をリセットして作動開始(ステップS114)し、第3フラグの値を1にする(ステップS115)。
【0041】
第3加速度比較部10cが、検出加速度が設定値未満であると判断した場合には、第3タイマ11cが作動しているか否かが参照される(ステップS116)。第3タイマ11cが作動している場合にはステップS118に進む。第3タイマ11cが作動していない場合には第3フラグの値を0にする(ステップS117)。ステップS113〜S117の作動により、第3加速度センサ2cの検出加速度がいったん設定値以上になると、加速度が設定値未満となってからも一定時間は第3フラグの値は1の状態を保持する。
【0042】
車速演算部8で車速センサ4が出力するパルス信号の周期から現在車速を演算する(ステップS118)。車速比較部9で現在車速が設定値以上か否かが判断される(ステップS119)。現在車速が設定値以上の場合にはステップS120に進む。ステップS120では、第1衝突検出部12a、第2衝突検出部12b、第3衝突検出部12cのそれぞれにおいて変形速度と変形量の演算が行われ、閾値との比較が行われる。なお、車速比較部9で現在車速が設定値未満であると判断された場合にはステップS102に戻る。
【0043】
一方、車速比較部9で現在車速が設定値以上であると判断され(ステップS119)、変形速度と変形量の演算が行われ、閾値との比較が行われると(ステップS120)、第1衝突検出部12aにおいて衝突を検出したか否かが判断される(ステップS121)。第1衝突検出部12aが衝突を検出したと判断すると、第2フラグまたは第3フラグの値が1であるか否かが判断される(ステップS122)。第2フラグまたは第3フラグの値が1であると判断する、つまり第2タイマ11bまたは第3タイマ11cが作動中であると判断すると、第1衝突確定部16aから衝突確定信号が出力される(ステップS123)。
【0044】
第1衝突検出部12aが衝突を検出していていないと判断した場合、または第2フラグおよび第3フラグが0である場合にはステップS124へと進む。ステップS124では、第2衝突検出部12bにおいて衝突を検出したか否かの判断を行う。第2衝突検出部12bが衝突を検出したと判断すると、第1フラグまたは第3フラグの値が1であるか否かを判断する(ステップS125)。第1フラグまたは第3フラグの値が1であると判断する、つまり第1タイマ11aまたは第3タイマ11cが作動中であると判断すると、第2衝突確定部16bから衝突確定信号が出力される(ステップS126)。
【0045】
第2衝突検出部12bが衝突を検出していていないと判断した場合、または第1フラグおよび第3フラグが0である場合にはステップS127へと進む。ステップS127では、第3衝突検出部12cにおいて衝突を検出したか否かの判断を行う。第3衝突検出部12cが 衝突を検出したと判断すると、第1フラグまたは第2フラグの値が1であるか否かを判断する(ステップS128)。第1フラグまたは第2フラグの値が1であると判断する、つまり第1タイマ11aまたは第2タイマ11bが作動中であると判断すると、第1衝突確定部16cから衝突確定信号が出力される(ステップS129)。第3衝突検出部12cが衝突を検出していていないと判断した場合、または第1フラグおよび第2フラグが0である場合にはステップS102へと戻る。
【0046】
第1衝突確定部16a、第2衝突確定部16b、第3衝突確定部16cのいずれかで衝突確定信号が出力されると(ステップS123,ステップS125,ステップS129)、アクチュエータ6a,6bに対して作動信号が出力され(ステップS130)、作動が終了する。
【0047】
次に本発明に係る第2実施形態について説明する。図7は本発明に係る第2実施形態におけるECU7のブロック構成図である。第1実施形態の図4で示した要素と実質的に同一の要素には同一の符号、同一アルファベットを付してある。特に、図7において図4と異なるのは、各衝突確定部16a,16b,16cの参照先と動作にあるので、この部分についてのみ説明する。
【0048】
第1衝突確定部16aは、第1衝突検出部12aからの衝突信号を受信し、第2タイマ11bの作動状態を参照している。第1衝突検出部12aから衝突信号を受信した場合に、第2タイマ11bが作動中であると判断されると、衝突確定信号を作動信号出力ゲート17aへ出力する。
【0049】
第2衝突確定部16bは、第2衝突検出部12bからの衝突信号を受信し、第1タイマ11aの作動状態および第3タイマ11cの作動状態を参照している。第2衝突検出部12bから衝突信号が出力されている場合に、第1タイマ11aまたは第3タイマ11cのどちらかが作動中であると判断されると、衝突確定信号を作動信号出力ゲート17aへ出力する。
【0050】
第3衝突確定部16cは、第3衝突検出部12cからの衝突信号を受信し、第2タイマ11bの作動状態を参照している。第3衝突検出部12cから衝突信号が出力されている場合に、第2タイマ11bが作動中であると判断されると、衝突確定信号を作動信号出力ゲート17aへ出力する。
【0051】
次に本実施形態に係る衝突判定システムの動作を説明する。図8は、第2実施形態に係る衝突判定システムの動作フロー図である。なお、図8のA,Bは図5のA,Bと接続される。すなわち、図5と図8で成る動作フロー図が第2実施形態のに係る衝突判定システムの動作フロー図となる。第1実施形態の図6で示したステップと実質的に同一のステップには同一の符号を付してある。動作フローにおいて、特に、図8において図6と異なるのは、図6におけるステップS122とステップS128のみであるため、これに対応する図8のステップS131とステップS132についてのみ説明する。
【0052】
第1衝突検出部12aにおいて衝突を検出したか否かの判断が行われ(ステップS121)、第1衝突検出部12aが衝突を検出したと判断すると、第2フラグの値が1であるか否かが判断される(ステップS131)。第2フラグの値が1であると判断する、つまり第2タイマ11bが作動中であると判断すると、第1衝突確定部16aから衝突確定信号が出力される(ステップS123)。
【0053】
ステップS121にて第1衝突検出部12aが衝突を検出していていないと判断した場合、または第2フラグの値が0であると判断された場合にはステップS124へと進む。ステップS124では、第2衝突検出部12bにおいて衝突を検出したか否かの判断を行う。第2衝突検出部12bが衝突を検出したと判断すると(ステップS124)、第1フラグまたは第3フラグの値が1であるか否かが判断される(ステップS125)。第1フラグまたは第3フラグの値が1であると判断する、つまり第1タイマ11aまたは第3タイマ11cが作動中であると判断すると、第1衝突確定部16bから衝突確定信号が出力される(ステップS126)。
【0054】
ステップS124にて第2衝突検出部12bが衝突を検出していていないと判断した場合、または第1フラグも第3フラグも0であると判断された場合にはステップS127へと進む。ステップS127では、第3衝突検出部12cにおいて衝突を検出したか否かの判断を行う。第3衝突検出部12cが衝突を検出したと判断すると(ステップS127)、第2フラグの値が1であるか否かが判断される(ステップS132)。第2フラグの値が1であると判断する、つまり第2タイマ11bが作動中であると判断すると、第1衝突確定部16cから衝突確定信号が出力される(ステップS129)。ステップS127にて第3衝突検出部12cが衝突を検出していていない場合、またはステップS132にて第2フラグの値が0である場合にはステップS102へと戻る。
【0055】
第1衝突確定部16a、第2衝突確定部16b、第3衝突確定部16cのいずれかで衝突確定信号が出力されると(ステップS123,ステップS125,ステップS129)、アクチュエータ6a,6bに対して作動信号が出力され(ステップS130)、作動を終了する。
【0056】
第1、第2の実施形態において、加速度センサが3つの場合で説明をしたが、加速度センサの数は3つに限らず、2つや4つ以上でもよい。
【0057】
【発明の効果】
本発明は上記の構成により次の効果を発揮する。
【0058】
本発明に係る衝突判定システムは、複数の加速度センサのうち1つを参照する衝突検出手段が衝突を検出してもすぐに衝突を確定せず、衝突検出の時点から一定時間過去の間に他の加速度センサの加速度が設定値以上であるか否かを参照し衝突を確定するので、加速度センサ内部の加速度検出素子や電気回路等の不具合によって、衝突発生時に出力されるような大きな加速度の加速度信号が出力されても、他の加速度センサの加速度が設定値以下である場合には、衝突が確定せず衝突安全装置を作動させることがない。
【0059】
また、衝突判定を行う制御部が車両前端部ではなく、加速度センサとは異なる位置に設けられるので、加速度センサ内部の加速度検出素子や電気回路等の不具合によって、衝突発生時に出力されるような大きな加速度の加速度信号が出力されても、加速度センサとは異なる位置に設けた制御部において確実に車両が当接物と衝突したことを検知して作動信号を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る衝突判定システムの全体を示すブロック構成図である。
【図2】センサユニットが設けられた車両前端部の衝突前の側面断面図である。
【図3】センサユニットが設けられた車両前端部の衝突中の側面断面図である。
【図4】第1実施形態に係る衝突判定システムのECUの要部ブロック構成図である。
【図5】第1実施形態に係る衝突判定システムの動作フロー図である。
【図6】第1実施形態に係る衝突判定システムの動作フロー図である。
【図7】第2実施形態における衝突判定システムのECUのブロック図である。
【図8】第2実施形態に係る衝突判定システムの動作フロー図である。
【図9】従来の衝突判定システムを備える車両用フードの作動装置を示す全体図である。
【符号の説明】
1 車両前端部
2a,2b,2c 加速度センサ
3 バンパフェイス
3A フロントバンパ
4 車速センサ
5 フード
6a 右側アクチュエータ
6b 左側アクチュエータ
7 ECU
8 車速演算部
9 車速比較部
10a,10b,10c 加速度比較部
11a,11b,11c タイマ
12a,12b,12c 衝突検出部
13a,13b,13c 変形速度演算部
14a,14b,14c 変形量演算部
15a,15b,15c 変形比較部
16a,16b,16c 衝突確定部
17 作動信号出力部
17a 作動信号出力ゲート
M 当接物
Claims (3)
- 車両が当接物と衝突したことを検知して衝突安全装置に作動信号を出力する衝突判定システムにおいて、
前記車両の前部に取付けられ、車両前後方向の加速度を検出する複数の加速度センサと、
前記複数の加速度センサの各々に設けられた衝突検出手段と、
前記複数の加速度センサの各々に設けられた、検出加速度が設定値以上であるかを判断する加速度比較手段と、
複数の前記衝突検出手段のいずれかで衝突が検出された場合には、衝突を検出した前記衝突検出手段が参照する前記加速度センサとは別の前記加速度センサを参照する前記加速度比較手段によって、衝突検出の時点から一定時間過去の間に設定値以上の加速度が検出されていたと判断した場合には、作動信号を出力する作動信号出力手段と、
を備えることを特徴とする衝突判定システム。 - 複数の前記衝突検出手段のいずれかで衝突が検出された場合には、衝突を検出した前記衝突検出手段を参照する前記加速度センサの隣りに取りつけられた前記加速度センサを参照する前記加速度比較手段によって、衝突検出の時点から一定時間過去の間に設定値以上の加速度が検出されていたときに、前記作動信号出力部が作動信号を出力することを特徴とする請求項1記載の衝突判定システム。
- 前記衝突検出手段と前記加速度比較手段と前記作動信号出力手段とを内蔵する制御部が、前記加速度センサとは異なる位置に取り付けられることを特徴とする請求項1または2記載の衝突判定システム。
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