JP3777287B2 - 車両用接触検知装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用接触検知装置に関し、特に車体が変形しない程度の軽衝突を検知可能であると共に、飛び石など小物体の衝突を識別可能な車両用衝突検知装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
他車、路上構築物、あるいは歩行者などに走行中の車両が衝突した時に相手に与える損害をできるだけ少なくするために、あるいは停車中に他車から追突された時の玉突き衝突を防ぐために、バンパの裏面にスイッチ手段を設け、衝撃を受けてバンパが変位することを検知し、その信号によって自動的にブレーキを作動させるようにした技術が、特開平6−156225号公報に提案されている。
【0003】
また、ドア内のサイドビームに設けた圧電素子でドアに生じる歪みを検知して側方衝突を検知する技術(特開平6−115406号公報参照)や、ドアパネルに貼り付けた圧電フィルムの信号で車室内のエアバックを作動させるようにした技術(実開平5−45567号公報参照)なども既に知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、上記の衝突検知手段は、バンパを変位させるだけの力やドアに歪みが生じるほどの力が加わらないと信号を発しないため、車体が顕著に変形しない程度の軽衝突には対処し得ない。また、圧電フィルムを用いるものは、軽衝突の検知が可能ではあるものの、フィルム面のどこに接触しても信号を発するため、飛び石などの小物体が接触しても、それを衝突と誤判断する懸念がある。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点、即ち軽衝突に対処し得ない点や小物体の衝突であることを識別し得ない点を改善するべく案出されたものであり、その主な目的は、軽衝突や小物体の衝突をも識別可能なように構成された車両用衝突検知装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的を果たすために、本発明の請求項1においては、車体(バンパー1・2並びにサイドドア7)の略最外側となる部位を含む位置に水平方向について上下2段に設けられた接触センサ(3〜6・8・9)と、上下2段に設けられた接触センサが共に接触検知した時に接触発生と判断する判断手段(電子制御ユニット11)とを備えることを特徴とする車両用接触検知装置を提供することとした。これによれば、車体の最も接触し易い部位で接触検知を行うので、軽度な衝突でもより早期に識別可能であることはもとより、上下2段の接触センサの信号を用いるので、小物体が接触したことをも識別可能である。
【0007】
請求項2の発明においては、車体の略最外側となる部位を含む位置に水平方向について上下2段に設けられた接触センサと、車体に加わる加速度を検出する加速度センサ(10)と、前記上下2段の接触センサの内の少なくとも一方が接触を検知し、且つ前記加速度センサの検出値が所定値を超えた時は接触発生と判断する判断手段(電子制御ユニット11)とを備えることを特徴とする車両用接触検知装置を提供することとした。これによれば、作動形態の異なる2つのセンサを併用するので、センサの誤作動などによって誤判断が生じる可能性をより一層低減できる。
【0008】
請求項3の発明においては、接触センサを、テープ状の圧電素子とした。これによれば、純粋に車体に直接作用する外力のみに応答すると共に、車体を変位させない程度の外力にも応答可能である。
【0009】
請求項4の発明においては、接触センサを、共通の線上に連続的に並べられた複数のセグメントからなる圧電素子とした。これによれば、衝撃荷重の分布状況や衝突部位の識別が可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明が適用された車両の外観を示している。この車体の前後のバンパ1・2の最も外側に位置する部位には、水平方向について上下に互いに適宜な間隔をおく2条のテープ状の圧電センサ3〜6が装着されている。そしてサイドドア7の車体幅方向についての最も外側に位置する部位と、バンパ1・2の最も外側に位置する部位の高さと概ね合致する部位とには、上記と同様なテープ状の圧電センサ8・9が、これも水平方向に延設されている。
【0012】
このように、圧電センサを用いるものとしたので、純粋に車体に直接作用する外力のみに応答させることができると共に、その感度設定次第で車体を変位させない程度の外力にも応答させることができる。
【0013】
これらの圧電センサは、図1に示したように長手方向について連続するものとしても良いし、また図2に示したように、適宜な寸法で分断された複数のセグメントからなるものとしても良い。特に複数のセグメントからの信号を個々に識別するものとすれば、衝撃荷重の分布状況や衝突部位をも識別することができる。
【0014】
これらの上下2段に設けられた各バンパセンサ3〜6並びに各ドアセンサ8・9の信号は、図3に示したように、加速度センサ10の信号と共に電子制御ユニット11に入力される。そして、後記する制御フローに従って衝突発生が認識された時は、各車輪に設けられた制動装置12に作動指令を与え、車輪への制動力が自動的に加わるようになっている。
【0015】
次に図4を参照して本発明装置の作動要領について説明する。
【0016】
各バンパセンサ3〜6の出力を監視し(ステップ1)、接触検知信号が出力された時は、それが上下両方からの信号か否かを判断する(ステップ2)。その結果、一方のみの信号であった時は、それを飛び石など小物体の接触と判断し、ステップ1へ戻ってこのルーチンを繰り返し実行し、両方からの信号が同時に入力した時は、接触(衝突)発生と判断してステップ3へ進む。
【0017】
図2に示したようにバンパセンサ3〜6が複数のセグメントに分割されている場合は、上下で対応するセグメントからの接触検知信号が同時に出力された時にのみステップ3へ進み、よしんば上下の接触検知信号出力が同時にあったとしても、それが互いに対応したセグメント同士からのものでない時は、それを飛び石など小物体の接触と判断し、ステップ1へ戻る。
【0018】
他方、各バンパセンサ3〜6からの接触検知信号が出力されない時は、下段側のドアセンサ9の出力を監視し(ステップ4)、これからの接触信号が出力された時は、他車のバンパが接触したものと判断してステップ3へ進む。また下段側のドアセンサ9からの接触信号が出力されない時は、ステップ5へ進み、上段側のドアセンサ8の出力を監視し、これからの接触信号が出力された時は、ステップ6へ進んで横加速度センサ10の出力を監視する。そして上段側のドアセンサ8の出力と横加速度センサ10の出力とが同時に出力された時は、接触(衝突)発生と判断してステップ3へ進む。
【0019】
ステップ5とステップ6との両方から接触検知信号が同時に出力されない時は、ステップ1へ戻ってこのルーチンを繰り返し実行する。
【0020】
このステップ4からステップ6の処理により、バンパの高さと略等しい位置に設けた下段側ドアセンサ9からの出力は直ちに他車との接触と判断し、上段側のドアセンサ8のみの出力は、横加速度センサ10の出力を併用することにより、乗降時のドア開時に建物や隣車とドアが接触した時の出力を衝突と誤判断することのないようにしている。
【0021】
また圧電センサからなる上段側のドアセンサ8と併用することにより、横加速度センサ10の感度を高めても誤判断することが無いので、軽衝突まで含めた的確な衝突検知が可能となる。
【0022】
なお、開放時のドア接触については、殆どがドアの遊端部にて発生するので、専用のセンサをドアの遊端部に設けることで検知しても良い。
【0023】
ステップ3では、その時の走行速度から現状が走行中か否かを判断する。その結果、現在走行中でない、つまり停車中であると判断された時は、制動装置12に最大制動力を発生させて停車状態を維持させると同時に燃料噴射弁の作動を停止させてエンジンを停止する(ステップ7)。
【0024】
他方、ステップ3で現在走行中であると判断された時は、その時の速度及び衝撃データを取り込み(ステップ8)、そのデータに基づいて、予め設定された最適制動力を制動装置12に加えて安定に車体を停止させると同時にエンジンを停止させる(ステップ9)。
【0025】
その後、エンジンが再起動されたことがステップ10で認識されたならば、プログラムをリセットし(ステップ11)、制動装置12に加えていた自動ブレーキを解除して通常モードに復帰させる。
【0026】
【発明の効果】
このように本発明によれば、テープ状の圧電センサを用いることにより、バンパを変位させるだけの力やドアに歪みが生じるほどの力が加わらないような軽衝突をも検知することができ、しかもセンサを上下2段に設け、この双方の信号に基づいて予め設定された規則に従って衝突の識別を行うので、小物体の衝突をも識別可能となる。従って、本発明によれば、衝突判断をより一層迅速に且つ的確に実行する上に多大な効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された車両の外観斜視図
【図2】別の適用例を示す車両の外観斜視図
【図3】本発明装置の概略構成図
【図4】本発明の制御フロー図
【符号の説明】
1 フロントバンパ
2 リアバンパ
3 フロントバンパ上段センサ
4 フロントバンパ下段センサ
5 リアバンパ上段センサ
6 リアバンパ下段センサ
7 サイドドア
8 ドア上段センサ
9 ドア下段センサ
10 加速度センサ
11 電子制御ユニット

Claims (4)

  1. 車体の略最外側となる部位を含む位置に水平方向について上下2段に設けられた接触センサと、
    前記上下2段に設けられた接触センサが共に接触検知した時に接触発生と判断する判断手段とを備えることを特徴とする車両用接触検知装置。
  2. 車体の略最外側となる部位を含む位置に水平方向について上下2段に設けられた接触センサと、
    車体に加わる加速度を検出する加速度センサと、
    前記上下2段の接触センサの内の少なくとも一方が接触を検知し、且つ前記加速度センサの検出値が所定値を超えた時は接触発生と判断する判断手段とを備えることを特徴とする車両用接触検知装置。
  3. 前記接触センサは、テープ状の圧電素子であることを特徴とする請求項1若しくは2に記載の車両用接触検知装置。
  4. 前記接触センサは、共通の線上に連続的に並べられた複数のセグメントからなる圧電素子であることを特徴とする請求項1若しくは2に記載の車両用接触検知装置。
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