JP2004023922A - 並列運転インバータの電圧補正回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数のインバータが並列運転する場合に配線インピーダンスが等しくないことが原因で生じる横流を抑制できるようにすることにある。
【解決手段】第1加算器13と全波整流回路14で両UPS1P2の出力電流を合計し直流に変換する。切り換え盤4から負荷3までのインピーダンスを負荷線路インピーダンス設定器15で設定し、1号UPS1から切り換え盤4までのインピーダンスを1号線路インピーダンス設定器16で設定する。第1乗算器17は合計電流値と負荷線路インピーダンス設定値とを乗算して負荷線路の電圧降下値を演算する。除算器18は合計電流値をUPS並列運転台数で除算して1台当たりの電流値を演算する。第2乗算器19は1台当たりの電流値と1号線路インピーダンス設定値とを乗算して1号線路の電圧降下値を演算する。第2加算器20は負荷線路電圧降下値と1号線路電圧降下値を加算し、電圧制御回路5はこの加算結果に基づいて1号UPS1の出力電圧を制御する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、インバータから母線までの配線インピーダンスが異なるインバータが並列運転する際に流れる横流を抑制する並列運転インバータの電圧補正回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
図2は並列運転するインバータの出力電圧を補正する従来例を示した単線接続図であって、インバータとしての無停電電源装置(以下ではUPSと略記する)の2台が並列運転をする場合を示している。
図2の従来例回路では、切り換え盤4内に母線があって、1号UPS1と2号UPS2を切り換え盤4に接続することで、両UPSは並列運転して負荷3へ交流電力を供給するのであるが、1号UPS1から切り換え盤4までの配線の長さと2号UPS2から切り換え盤4までの配線の長さが同じであるとはかぎらない。この図2では、前者は後者よりも長いものとする。
【0003】
切り換え盤4から負荷3までの間の負荷線路には変流器7を設けて負荷電流を検出し、この負荷電流を全波整流回路6で整流して直流信号に変換している。一方で、切り換え盤4から負荷3までの負荷線路のインピーダンスに相当する値を負荷線路インピーダンス設定器8で設定している。この負荷線路インピーダンスと全波整流回路6で得られる負荷電流との積を第1乗算器9で演算することにより、負荷電流の大小に比例した負荷線路の電圧降下値が得られるから、これを電圧制御回路5を介して1号UPS1へ与えることにより、負荷線路での電圧降下を補償して負荷3の電圧を所定値に維持することができる。なお図示は省略しているが、2号UPS2も同様の電圧制御回路を付属していて、これへ図2に記載の第1乗算器9が負荷線路の電圧降下値を入力して、負荷3の電圧が低下するのを補償している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら図2に図示の従来例回路では、1号UPS1から切り換え盤4までの配線インピーダンスおよび2号UPS2から切り換え盤4までの配線インピーダンスは補償していなかった。それ故、例えば一方のUPSから切り換え盤4までの配線長さと他方のUPSの配線長さとに差異があると、各線路の電圧降下値が異なることになり、各インバータの出力電圧を等しくしていても、母線に接続する地点での電圧は同じにならない。このままで両UPSを並列に接続すると、この電圧差を零にするべく両UPS間を電流が循環する。所謂横流である。この横流は並列運転している複数UPSの電流分担のバランスを崩し、特定のUPSに電流が集中して過電流となり、トリップすることもあるし、極端な場合はこの横流が原因でシステム全体が停電してしまう大事故に発展する恐れもある。
【0005】
そこでこの発明は、複数のインバータが並列運転する場合に配線インピーダンスが等しくないことが原因で生じる横流を抑制できるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、この発明の並列運転インバータの電圧補正回路は、
各インバータが出力する電流瞬時値の合計値を演算する第1加算器と、この電流瞬時値合計値を直流値に変換する整流器と、前記母線から負荷までの配線のインピーダンスを設定する負荷線路インピーダンス設定器と、各インバータから母線までの配線のインピーダンスを別個に設定するインバータ線路インピーダンス設定器と、前記整流器が出力する合計電流値と負荷線路インピーダンス設定値との積から負荷線路の電圧降下を演算する第1乗算器と、前記整流器が出力する合計電流値を並列運転中のインバータ台数で除算してインバータ1台当たりの電流値を演算する除算器と、このインバータ1台当たりの電流値と該当するインバータのインバータ線路インピーダンス設定値との積から、該当するインバータ線路の電圧降下を演算する第2乗算器と、これら第1乗算器の演算結果と第2乗算器の演算結果の和を演算する第2加算器とを該当するインバータに備え、該当するインバータの出力電圧をこの第2加算器の演算値で補正する。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施例を表した単線接続図であって、図2で既述の従来例回路と同様に2台のインバータとしてのUPSが並列運転する場合である。よって1号UPS1,2号UPS2,負荷3,切り換え盤4,および電圧制御回路5の名称・用途・機能は図2で既述の従来例回路の場合と同じであるから、同じ部分の説明は省略する。
【0008】
図1の実施例回路で、1号UPS1と切り換え盤4との間の配線を1号線路と称することにするが、この1号線路のインピーダンスをAとし、この1号線路を流れる電流を1号変流器11が検出する。また2号UPS2と切り換え盤4との間の配線を2号線路と称することとし、この2号線路を流れる電流を2号変流器12が検出する。更に切り換え盤4と負荷3との間の配線を負荷線路と称することとし、この負荷線路のインピーダンスをBとする。
【0009】
1号変流器11で検出する電流と2号変流器12で検出する電流との和を第1加算器13で演算するが、これは負荷3へ流れる負荷電流と等しい。この合計電流は全波整流回路14で直流値に換算される。負荷線路インピーダンス設定器15は負荷線路インピーダンスBに相当する値を設定しているから、全波整流回路14で得られる負荷電流と負荷線路インピーダンス設定器15の設定値との積を第1乗算器17で演算しれば、この演算結果は負荷線路での電圧降下値となる。一方、除算器18は全波整流回路14で得られる負荷電流をUPSの並列運転台数(図1では2台)で除算する演算を行うから、この除算器18はUPS1台当たりの電流を出力する。1号線路インピーダンス設定器16は1号線路インピーダンスAに相当する値を設定しているから、1号線路インピーダンス設定器16の設定値と除算器18が出力するUPS1台当たりの電流との積を第2乗算器19で演算することにより、1号線路の電圧降下値が得られる。これら1号線路電圧降下値と負荷線路電圧降下値との和を第2加算器20で加算することで、1号UPS1から負荷3までの全線路の合計電圧降下値を求めることができる。電圧制御回路5はこの合計電圧降下値を補償するべく1号UPS1を制御する。
【0010】
図示は省略しているが、2号UPS2については、1号線路インピーダンス設定器16の代わりに2号線路インピーダンス設定器を設置して、2号UPS2と切り換え盤4との間の2号線路のインピーダンスに相当する値を設定している。よって2号UPS2に付属の電圧制御回路も、2号UPS2から負荷3までの合計電圧降下値を補償するべく2号UPS2を制御するが、このときの切り換え盤4への入力電圧は、1号UPS1と2号UPS2は同じ値になるから、両UPS間を循環する横流は発生しない。
【0011】
【発明の効果】
複数のインバータを並列運転する場合に、各インバータから母線までのそれぞれの配線の長さに差があると、これが原因になって配線の電圧降下値に差を生じ、並列運転時に各インバータ間を循環する横流を生じてしまうが、本発明では各インバータごとにそれぞれの配線の電圧降下値を補償する回路を備えるので、インバータの出力電流の大小にかかわらず簡単な回路要素の追加だけで並列運転時の横流を抑制することができるから、インバータが過電流でトリップするような不具合を未然に防止できる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を表した単線接続図
【図2】並列運転するインバータの出力電圧を補正する従来例を示した単線接続図
【符号の説明】
1    1号UPS
2    2号UPS
3    負荷
4    切り換え盤
5    電圧制御回路
6,14 全波整流回路
7    変流器
8    負荷線路インピーダンス設定器
9    第1乗算器
11    1号変流器
12    2号変流器
13    第1加算器
15    負荷線路インピーダンス設定器
16    1号線路インピーダンス設定器
17    第1乗算器
18    除算器
19    第2乗算器
20    第2加算器

Claims (1)

  1. 複数のインバータを母線に対して並列に接続し、この母線から負荷へ交流電力を供給する並列運転インバータにおいて、
    各インバータが出力する電流瞬時値の合計値を演算する第1加算器と、この電流瞬時値合計値を直流値に変換する整流器と、前記母線から負荷までの配線のインピーダンスを設定する負荷線路インピーダンス設定器と、各インバータから母線までの配線のインピーダンスを別個に設定するインバータ線路インピーダンス設定器と、前記整流器が出力する合計電流値と負荷線路インピーダンス設定値との積から負荷線路の電圧降下を演算する第1乗算器と、前記整流器が出力する合計電流値を並列運転中のインバータ台数で除算してインバータ1台当たりの電流値を演算する除算器と、このインバータ1台当たりの電流値と該当するインバータのインバータ線路インピーダンス設定値との積から、該当するインバータ線路の電圧降下を演算する第2乗算器と、これら第1乗算器の演算結果と第2乗算器の演算結果の和を演算する第2加算器とを該当するインバータに備え、該当するインバータの出力電圧をこの第2加算器の演算値で補正することを特徴とする並列運転インバータの電圧補正回路。
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