JP2006025503A - 品質別電力供給管理装置および単相負荷への品質別電力供給方法 - Google Patents

Abstract

【課題】 既設の配電線を改造することなく一つの配電線路で異なる品質の電力を安定して供給すること
【解決手段】 単相負荷に対して品質の異なる電力を供給する方法に用いられる装置において、電力相ごとに電力単価を保存する手段と、各相の電気量を入力する相別電気量入力手段と、当該相別電気量入力手段によって入力した各相の電気量に基づいて前記電力単価を変更する相別電力単価演算手段と、顧客の電力相変更要求に応じて当該顧客の電力設備に対して電力相切替指令を出力する電力相切替手段とを備える。
【選択図】 図１

Description

本発明は、三相三線式交流配電線路を介して単相負荷へ品質別に電力を供給する方法に関する。

従来、要求品質別に電力を供給する手法が考案されている。たとえば、特許文献１に記載の品質別電力供給装置では、三相四線式交流の各相の配電線路に三相ブリッジ構成のインバータを設け、無停電電源手段と電圧低下補償手段を夫々異なる相に挿入して、単相負荷に対して品質別電力を供給する装置が提案されている。

しかしながら、配電線路は、三相三線式交流が一般的であり、三相四線式交流に関する技術をそのまま適用することはできない。
また、各相間で異なる品質の電力を供給しようとすると、顧客のニーズによって、各相を流れる電流に差異が生じるため、この差異が大きくなると系統が不安定になるという問題もある。
特開２０００−２２８８２６号公報

本発明は上述のかかる問題に対処するためになされたものであり、既設の配電線を改造することなく一つの配電線路で異なる品質の電力を安定して供給することを目的とする。

上記の課題を解決するため本発明に係わる品質別電力供給管理装置は、単相負荷に対して品質の異なる電力を供給する方法に用いられる装置であって、電力相ごとに電力単価を保存する手段と、各相の電気量を入力する相別電気量入力手段と、相別電気量入力手段によって入力した各相の電気量に基づいて前記電力単価を変更する相別電力単価演算手段と、を備えたことを特徴とする。また、本発明に係わる品質別電力供給管理装置は、さらに、顧客の電力相変更要求に応じて当該顧客の電力設備に対して電力相切替指令を出力する電力相切替手段を備えたことを特徴とする。

電力単価を変動させて、各相を流れる電流の均一化を図ると共に顧客の設備に対して、どの品質の電力を供給するかを切替可能にする。

好ましくは、電力相ごとに前記電力単価を補正するための補正係数を保存する手段を備え、前記相別電力単価演算手段は、各相の電力量をもとに電力量の平均値を計算し、各相の電力量と当該平均値との差に補正係数を掛け合わせて演算し、前記各電力単価を修正する。

このとき、前記補正係数は、季節あるいは各相の電力量と前記平均値との差に基づいて変動するようにすると、雷の多い季節など季節によって品質に対する需要が異なる場合でも電力単価を用いて各相の電力をほぼ均一に調整することができる。

また、本発明に係わる品質別電力供給方法は、三相三線式交流各相の配電線路に接続される交流出力端子を有する電力品質向上装置を用いて単相負荷へ品質別電力を供給する方法であって、複数の相間電力に対して異なる品質向上対策を施した各相間電力を異なる電力単価で供給することを特徴とする。また、各相の電力量の差に基づいて前記電力単価を変更するようにする。

好ましくは、前記品質向上対策は、任意の一相を基準相とし、当該基準相と他の一相との間に無停電電源手段を設け、さらに該基準相と他の一相との間に電圧低下補償手段を設ける。これにより、顧客は無停電、電圧低下補償、通常品質の三通りの電力品質を選択することができる。

本発明によれば、既設の配電線を改造することなく一つの配電線路で異なる品質の電力を安定して供給することができる。

以下、本発明の実施の形態を説明する。図１は、本実施の形態による品質別電力供給管理装置およびこの装置と繋がる顧客端末、電力設備の各装置の機能ブロック図である。

ここで、品質別電力供給管理装置１は、専用回線２を介して顧客の電力設備側の設置された伝送装置３１とデータの受け渡しを行う送受信部１１ａ、通信ネットワーク４を介して、顧客端末５とデータの受け渡しを行う送受信部１１ｂ、データの処理を行う中央演算処理部１３、データを記憶する記憶部１４、データを入力する入力部１５、およびデータの表示を行う表示部１６で構成されている。

また、中央演算処理部１３は、送受信部１１ａとの間で受け渡すデータの処理を行う送受信処理手段１３１ａ、送受信部１１ｂとの間で受け渡すデータの処理を行う送受信処理部１３１ｂ、入力部１５や表示部１６との間でデータの入出力処理を実行する入出力処理手段１３２、顧客に関する情報を入力する顧客情報入力手段１３３、電力各相の電気量を入力する相別電気量入力手段１３４、顧客の電力設備に供給する電力相を切替える電力相切替手段１３５、電力相別に電力単価を計算する相別電力単価演算手段１３６、顧客端末と通信を行う端末通信手段１３７を備えている。

記憶部１４は、顧客の属性情報や顧客の電力使用量などを保存する顧客情報データベース（ＤＢ）１４１、電力相別の電気量や電気料金などの情報を保存する電気量情報ファイル１４２を有している

また、顧客の電力設備側の装置構成を図２に示す。この図で、顧客の電力設備側には、品質別電力供給管理装置１と繋がる伝送装置３１、電力各相のうち、電力設備に供給すべき相間を切替える電力相切替装置３２、電気量データを収集する電気量収集手段３３、および、電力相切替装置３２を介して電力の供給を受ける電力設備３４から構成されている。

次に、このように構成された品質別電力供給管理装置１の動作および品質別電力供給方法について説明する。

<顧客情報登録処理>
まず、入力部１５から顧客情報を入力する。この入力データは、入出力処理手段１３２、顧客情報入力手段１３３を介して顧客情報ＤＢ１４１に保存される。

図３は、顧客情報ＤＢのデータ構成例である。顧客ＩＤ（識別情報）ごとに顧客名、住所等の属性情報や使用電力量などの電力関連情報が保存されている。

<電気量入力処理>
電気量収集手段３３によって収集された電圧値、電流値などの電気量は、伝送装置３１を経由して品質別電力供給管理装置１の送受信部１１ａに受信される。そして、送受信処理手段１３１ａを介して相別電気量入力手段１３４によって電気量情報ファイル１４２に保存される。

図４は、電気量情報ファイル１４２のデータ構成例である。ここで、電気量情報ファイルには、各相間別に収集した電気量、電力単価、電力単価を補正するための補正係数が格納されている。なお、電気量としては、各相の負荷が分かれば良いので、電力量の他、電流値や電圧値の形式で、収集、保存するようにしてもよい。また、各相の負荷の平均値として、各相の電力量の平均値が計算され保存される。

<電力単価演算処理>
以下、相別電力単価演算手段１３６の処理について図５のフローチャートを用いて説明する。
相別電力単価演算手段１３６は、定周期または入力部１５からの要求によって起動され、まず、電気量情報ファイル１４２の各相間電力量の平均値を求める（Ｓ１０１）。そして、各相間電力量と電力量の差を計算して（Ｓ１０２）、その差に補正係数を掛け合わせて電力単価に加算する（Ｓ１０３）。具体的には、下記の（１）式によって補正後の電力単価を計算する。この演算を各相間について繰り返す（Ｓ１０４）。

補正電力単価 ＝ 電力単価 ＋ 補正係数 ×（当該相間の電力量 ― 電力量平均値）
・・・ （１）

この計算によって、相間の電力量が平均値より大きいときは、電力単価が高くなるため需要が減りその相間の使用電力量が減少する。逆に、相間の電力量が平均値より小さいときは、電力単価が安くなり需要の増加によってその相間の使用電力量が増加する。このように、電力単価を変動させることによって、系統のバランスをとる。

<使用相の切替え処理>
顧客は、顧客端末５を通して、電力単価情報を取得する。そして、電力単価の変更に伴い、電力品質を変える場合は、顧客端末５から変更要求を送る。

一方、品質別電力供給管理装置１の端末通信手段１３７は、この変更要求を受け取ると、電力相切替手段１３５を通して、その顧客設備に向け使用電力相の切替指令を送信する。この切替指令は、専用回線２を通ってその顧客の電力設備の伝送装置１に送られる。伝送装置１は、この指令を受信すると電力相切替装置３２に対して使用相の切替信号を出力する。これによって、電力相切替装置３２では、指定先の相間への切替が行われる。

なお、上記の説明では、顧客が端末５を通して、電力単価情報を取得するようにしたが、希望の電力単価を入力させ、その希望単価に達したときに顧客端末５へメール等で通知したり、予め設定した電力単価になると自動的に切替えるようにしてもよい。

<品質別電力供給方法>
次に、三相三線式交流に対する電力品質向上手法について説明する。図６は、相ｂ−ｃについての瞬時電圧低下防止機能の一実施例である。相ｃに対して電圧低下補償手段６３を設ける。たとえば、直列変圧器を介して不足電圧を補うようにする。

このとき、図７に示すように、相ｂに事故が生じ、相ｂの電圧が減少したとすると、相ｂ−ｃ間の電圧を維持するため、相ｃの位相がずれる可能性がある。このため、位相ずれについては許容可能な電力設備に対して本実施例における瞬時電圧低下を補償した電力の供給を行うことになる。

さらに、図６では、各相の電気データを電気量収集手段６５を介して収集し、異常検出手段６４で各相の電圧や位相ずれが所定値以上になると開閉器６６に対して切り指令を出力する。これにより、負荷側の事故の影響が発電機側へ波及するのを防止することができる。

図８に他の実施例を示す。この図において、変電所変圧器から各相の線路が開閉器１６を介して電力品質向上装置１１に接続されている。電力品質向上装置１１は三相各相（相ａ、相ｂ、相ｃ）の交流出力端子を有し、一相（ａ）は無停電電源１２に繋がっており、他の一相（ｃ）は電圧低下補償装置１３に繋がっている。

ここで、無停電電源装置１２は、相ａと相ｂとの間で無停電電力を供給するための装置であり、電圧低下補償装置１３は、相ｃと相ｂとの間で電圧低下を補償するための装置である。

上記の構成により、相ａ−ｂは無停電、相ｂ−ｃは瞬時電圧低下防止、相ｃ−ａは通常（無対策）という３種類の品質の電力を供給することができる。

電力品質向上施策としては、この他にも計測値と目標値の差異を検出することにより系統から切り離し、別に設けた電源により電圧を出力するという方法などがある。

本実施の形態によれば、三相三線式交流での品質別電力供給が可能になると共に電力単価を変動することによって各相間の負荷バランスを調整することができる。

本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。たとえば、電力単価を補正する補正係数は、季節によって変動するようにしても良い。雷の多い季節などは高品質の電力に対する需要増加が見込めるため、電力単価を大きくして、相間の負荷バランスを保ちつつ、収益の向上を図ることができる。

品質別電力供給管理装置およびこの装置と繋がる顧客端末、電力設備の各装置の機能ブロック図である。 図１の顧客電力設備側の装置構成図である。 図１の顧客情報ＤＢ１４１のデータ構成図である。 図１の電気量情報ファイル１４２のデータ構成図である。 図１の相別電力単価演算手段１３６の処理手順を示すフローチャートである。 本発明の実施例による電力品質向上施策の構成図である。 図６の構成における位相ずれの説明図である。 本発明の他の実施例による電力品質向上施策の構成図である。

符号の説明

１ 品質別電力供給管理装置
２ 専用線
４ 通信ネットワーク
５ 顧客端末
１１ａ、１１ｂ、５１ 送受信部
１３、 ５３ 中央演算処理部
１４ 記憶部
１５、５５ 入力部
１６、５６ 表示部
３１ 伝送装置
３２ 電力相切替装置
３３、６５ 電気量収集手段
３４ 電力設備
１３１ａ、１３１ｂ 送受信処理手段
１３２ 入出力処理手段
１３３ 顧客情報入力手段
１３４ 相別電力量入力手段
１３５ 電力相切替手段
１３６ 相別電力単価演算手段
１３７ 端末通信手段
１４１ 顧客情報ＤＢ
１４２ 電気量情報ファイル

Claims (7)

1. 単相負荷に対して品質の異なる電力を供給する方法に用いられる装置であって、
   電力相ごとに電力単価を保存する手段と、
   各相の電気量を入力する相別電気量入力手段と、
   当該相別電気量入力手段によって入力した各相の電気量に基づいて前記電力単価を変更する相別電力単価演算手段と、
   を備えたことを特徴とする品質別電力供給管理装置。
2. 顧客の電力相変更要求に応じて当該顧客の電力設備に対して電力相切替指令を出力する電力相切替手段を備えたことを特徴とする請求項１記載の品質別電力供給管理装置。
3. 電力相ごとに前記電力単価を補正するための補正係数を保存する手段を備え、
   前記相別電力単価演算手段は、各相の電力量をもとに電力量の平均値を計算し、各相の電力量と当該平均値との差に補正係数を掛け合わせて演算し、前記各電力単価を修正することを特徴とする請求項１または２記載の品質別電力供給管理装置。
4. 前記補正係数は、季節あるいは各相の電力量と前記平均値との差に基づいて変動することを特徴とする請求項３記載の品質別電力供給管理装置。
5. 三相三線式交流各相の配電線路に接続される交流出力端子を有する電力品質向上装置を用いて単相負荷へ品質別電力を供給する方法であって、
   複数の相間電力に対して異なる品質向上対策を施した各相間電力を異なる電力単価で供給することを特徴とする品質別電力供給方法。
6. 各相の電力量の差に基づいて前記電力単価を変更することを特徴とする請求項５記載の品質別電力供給方法。
7. 前記品質向上対策は、任意の一相を基準相とし、当該基準相と他の一相との間に無停電電源手段を設け、さらに該基準相と他の一相との間に電圧低下補償手段を設けることを特徴とする品質別電力供給方法。

Images