JP2004021396A - 処理装置診断システム - Google Patents
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Abstract
【課題】処理装置の障害発生時に、診断データとしてデータベース化された、過去に発生した類似の障害事例の種々のデータを参照することにより、障害対処に当たるSEを支援できる、処理装置診断システムを提供する。
【解決手段】障害発生に関与する稼働データを障害個所データおよび障害状態データとともに収集して、診断データとして記憶する記憶部を備える複数の処理装置、複数の処理装置から離れた遠隔地にある端末、処理装置の診断データを、処理装置から受信して蓄積する診断データベースを備えるサービスセンタ、複数の処理装置と、端末と、サービスセンタとを接続する通信網を有し、端末は、1つの処理装置の障害発生時に、サービスセンタにアクセスして、データベースに蓄積された診断データを障害診断のアシスト情報として利用することにより、前記課題を解決する。
【選択図】図1
【解決手段】障害発生に関与する稼働データを障害個所データおよび障害状態データとともに収集して、診断データとして記憶する記憶部を備える複数の処理装置、複数の処理装置から離れた遠隔地にある端末、処理装置の診断データを、処理装置から受信して蓄積する診断データベースを備えるサービスセンタ、複数の処理装置と、端末と、サービスセンタとを接続する通信網を有し、端末は、1つの処理装置の障害発生時に、サービスセンタにアクセスして、データベースに蓄積された診断データを障害診断のアシスト情報として利用することにより、前記課題を解決する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、処理対象物に処理を施して出力する処理装置を診断する診断システムに関し、特に、記録媒体より画像データを得て入力画像データとし、画像処理を施して出力画像データを得る画像出力装置の診断システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、フィルムに撮影された画像を再現処理する画像出力装置において、デジタル露光を利用する焼付装置、すなわち、フィルムに記録された画像を光電的に読み取って入力画像データを得た後、種々の画像処理を施して処理画像データとし、この処理画像データに応じて変調した記録光によって感光材料を走査露光して画像(潜像)を記録し、現像処理を施してプリント(写真)として出力する画像出力装置、すなわちデジタルフォトプリンタが実用化されている。
【0003】
デジタルフォトプリンタでは、フィルムを光電的に読み取り、信号処理によって色濃度補正が行われて露光条件が決定される。従って、露光時のオペレータによる露光条件の決定やフィルタ等の調整が不要で、また、露光時間も画像サイズに応じて一定であるため、効率の良い作業を行うことができる。また、従来の直接露光によるプリントに比して、分解能、色/濃度再現性等の点で、より高画質な画像を再生したプリントが出力可能である。
【0004】
このようなデジタルフォトプリンタは、基本的に、画像入力部、画像処理部、および画像出力部(プリント出力部)より構成される。
画像入力部は、フィルムスキャナやメディアドライバ等により処理対象画像を取得する。フィルムスキャナは、読取光をフィルムに入射して撮影された画像を担持する投影光を得て、この投影光をCCDセンサ等のイメージセンサに結像させて光電変換することにより、フィルムに撮影された画像を読み取り、フィルムの画像データ(画像データ信号)として画像処理部に送る。また、メディアドライバは、例えばCD−R等の光ディスクやデジタルスチルカメラに装填可能なPCカードやスマートメディアTM(SmartMedia(登録商標))等の各種情報記録媒体の何れかがセットされ、セットされた情報記録媒体に記録されている画像データを読み出して画像処理部に出力する。
【0005】
画像処理部は、フィルムスキャナやメディアドライバ等から送られた画像データを受け取り、所定の画像処理を施して、記録用画像データとして、プリント出力部に送る。プリント出力部は、画像処理部から出力された画像データを受け取り、例えば、光ビーム走査露光を利用するものであれば、画像処理部から送られた画像データに応じて光ビームを変調して主走査方向に偏向すると共に、主走査方向と直交する副走査方向に感光材料(印画紙)を搬送することにより、変調光ビームによって感光材料を走査露光(焼付け)して潜像を形成し、感光材料に応じた現像処理等を施して、フィルムに撮影された画像が再生されたプリントを出力する。
【0006】
このようなデジタルフォトプリンタを長期的に使用する際に、装置部品の劣化や消耗品の消耗、電気的要因による誤作動、人為的な操作ミスなどにより装置に障害が発生することがある。障害が発生した場合、障害の原因が明確で、かつ、対処方法が容易な場合には、マニュアルあるいは装置側から発せられる指示に従って、ユーザ(オペレータ)が対処することができる。
一方、原因が明確でない場合や、原因が明確であるものの、対処に技術を要する場合は、ユーザは、SE(サービスエンジニア)に連絡し、修理を依頼する。SEは、デジタルフォトプリンタの設置場所に出向いて、障害原因が明らかでない場合には、障害状況から障害原因と考えられる個所を点検するなどして原因を追求し、適切に対処している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、易操作性、多機能性、高性能などの要求に応えるために、装置を制御するソフトが高度化し、装置の複雑化やブラックボックス化、システム化が進んでいるため、障害が発生した場合に、障害原因の特定や障害個所の切り分けが難しくなっており、特に、経験が比較的浅いSEにとっては、適切な対処を迅速に行うのが困難な場合もある。これに対し、デジタルフォトプリンタのユーザであるラボ店等においては、デジタルフォトプリンタの稼働を止める時間が長いほど経済的損失が大きくなるため、障害が起きた場合にも迅速に対処し、稼働停止時間をできるだけ短くすることが望まれている。
【0008】
また、同種の装置で発生する障害は同じ原因に拠るものもあり、1人のSEの担当区域で同様の障害が発生した場合は、SEが自分の経験に基づいて対処を効率化していくことができるが、異なる区域で同様の障害が発生した場合に、先に障害に対処したSEの経験を活かすことができず、別のSEが全く初めの段階から障害対処に取り組まねばならないため、障害対処に要する時間が長くなり、ユーザの経済的損失が大きい上に、SEの負担も大きいという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、上記課題をを解決し、処理対象物に処理を施して出力する処理装置の障害発生時に、診断データとしてデータベース化された、過去に発生した類似の障害事例の種々のデータを参照することができ、その結果、障害対処に当たるSEを支援することができる、処理装置診断システムを提供することにある。
【0010】
さらに、本発明の他の目的は、上記目的に加え、障害発生時に、その時の診断データと、診断データベース内に蓄積された過去の障害事例の内容(診断データ)とを照合して一致するものを検索し、その時の障害の発生原因や対処方法を出力させることにより、経験の浅いSEでも、適切かつ素早い対処を実施することができる処理装置診断システムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、処理対象物に処理を施して出力する処理部ならびに障害発生に関与する稼働データを障害個所データおよび障害状態データとともに収集して、障害を診断するための診断データとして記憶する記憶部を各々備える複数の処理装置と、これらの複数の処理装置と通信可能であり、前記複数の処理装置から離れた遠隔地にある端末または携帯端末と、前記処理装置の前記記憶部に記憶されている前記診断データを、前記処理装置から直接、もしくは前記端末または前記携帯端末を介して受信して蓄積する診断データベースを備えるサービスセンタと、前記複数の処理装置と、前記端末または前記携帯端末と、前記サービスセンタとを接続する通信網とを有し、前記端末または前記携帯端末は、前記複数の処理装置の1つの処理装置の障害発生時に、前記サービスセンタにアクセスして、前記データベースに蓄積された前記診断データを障害診断のアシスト情報として利用することを特徴とする処理装置診断システムを提供するものである。
【0012】
ここで、前記処理装置は、前記障害発生時に、前記障害個所データおよび前記障害状態データとともに、前記診断データとして必要となる前記障害発生時の前記稼働データおよび障害発生以前の所定期間の前記稼働データを収集して、前記記憶部に記憶するのが好ましい。
【0013】
また、前記サービスセンタは、前記データベースに記憶された前記診断データを検索して、検索された前記診断データを出力する診断エンジンを有し、前記端末または前記携帯端末は、前記処理装置の障害発生時に、前記サービスセンタの前記診断エンジンにアクセスして、前記診断エンジンに、前記処理装置が収集した診断データを用いて前記データベースを検索させ、一致する前記診断データを出力させるのが好ましい。
【0014】
また、前記処理装置の障害の発生原因および対処方法の少なくとも一方が判明した時点で、前記端末または前記携帯端末は、入力された前記障害の発生原因および対処方法の少なくとも一方を前記サービスセンタの前記データベースに送信し、前記データベースは、受信した前記障害の発生原因および対処方法の少なくとも一方を前記処理装置から直接または間接に受信した前記診断データと関連付けて蓄積するのが好ましい。
【0015】
また、前記サービスセンタは、前記データベースに記憶された前記診断データを検索して、検索された前記診断データに関連付けて蓄積された前記障害の発生原因および対処方法の少なくとも一方を出力する診断エンジンを有し、前記端末または前記携帯端末は、前記処理装置の障害発生時に、前記サービスセンタの前記診断エンジンにアクセスして、前記診断エンジンに、前記処理装置が収集した診断データを用いて前記データベースを検索させ、一致する前記診断データに関連付けて蓄積された前記障害の発生原因および対処方法の少なくとも一方を出力させるのが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の処理装置診断システムについて、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
【0017】
図1に、本発明に係る処理装置診断システムの一実施例の概略構成を示す。
同図に示す処理装置診断システム(以下、単に、診断システムという)10は、診断の対象となる処理装置12A,12B,12Cと、処理装置12A,12B,12Cの診断を行うサービスセンタ14と、処理装置12A,12B,12Cの遠隔地にある、SE(サービスエンジニア)が利用可能な固定端末16Aと、SEが外勤業務に携行している携帯端末16B(以下、両者をまとめて端末16A,16Bという)と、それらを接続するネットワーク18とを有する。
なお、図1では、処理装置を3台としているが、本発明はこれに限定されず、1台あるいは複数台が適宜用いられる。また、端末16A,16Bも、固定型、携帯型を問わず、任意の台数が使用される。
【0018】
診断システム10は、処理装置12A,12B,12Cのうちの1つにおける障害発生時に、障害発生の所定期間前から障害発生時までの、あるいは、障害発生時の、障害が発生した処理装置の稼働データを含む診断データをサービスセンタ14に送信し、サービスセンタ14に蓄積するとともに、端末16A,16Bの何れか一方からの指示によって、サービスセンタ14において、障害の発生した処理装置の診断データに類似するデータを検索し、検索結果を検索を指示した端末16Aまたは16Bに出力することによって、処理装置の障害対処に当たるSEにアシスト情報を提供するものである。
【0019】
処理装置12A,12B,12Cは同種の処理装置であり、その構成や作用は基本的に同様であるので、これらを代表する処理装置12Aについて説明し、処理装置12B,12C等についての説明を省略する。
【0020】
処理装置12Aは、処理対象物を取得して入力処理を行う入力部20と、所定の処理を行う処理部22と、処理の施された対象物を出力処理する出力部24と、入力部20、処理部22、および出力部24で行われる各処理を制御するとともに、処理装置12Aにおいて障害が発生した時に障害に関与する稼働データを収集し、診断データを作成する制御部26と、各処理部の稼働データおよび作成された診断データを一時的に記憶する記憶部28と、障害発生時に、記憶部28に記憶された診断データを制御部26によって読み出してサービスセンタ14に送信するためにネットワーク18に接続するネットワーク接続部30とを備える。
【0021】
診断データは、予め設定されたコード等により障害個所を示す障害個所データと、予め設定されたエラーコード等によって障害の状態を表す障害状態データと、障害発生部の稼働状態を表す稼働データとを含むものである。
処理装置12Aの稼働時においては、各処理部における所定個所の稼働データが制御部26によって逐次取得され、記憶部28に一定期間保持される。制御部26は、処理装置12Aにおける障害発生時に、記憶部28に保持されている障害発生以前の所定期間の稼働データを取り出して、障害個所データおよび障害状態データと併せて診断データを作成し、記憶部28に一時的に記憶させる。
【0022】
この診断データは、処理装置12Aの診断に用いられる。処理装置12Aの診断は、後述する診断エンジン34が、処理装置12Aの診断データを、後述する、同様の診断データを蓄積した診断データベース36の内容(データ)と比較し、類似するデータを抽出することにより行われる。この時、診断データが、障害発生以前の所定期間の障害発生部の稼働データを含んでいることによって、診断エンジン34は、障害発生状況の類似性をより正確に識別でき、障害対処に有益な情報を提供することができる。
【0023】
すなわち、処理装置12A等において障害が発生する場合、障害発生に先立って障害発生部の稼働データが適正な値から徐々に外れていったり、不安定に変動するなど、正常時と異なる挙動を示すことが多く、また、このような稼働データの挙動は、障害の発生原因が同じであると類似性を持つ場合が多いため、上記のように、障害発生時から所定期間遡って稼働データを収集して診断データを作成することで、より正確な診断が可能となる。
【0024】
制御部26は、各処理部の稼働データを管理しており、稼働データが設定された適正範囲から外れると、該当する稼働データを取得している処理部または稼働部において、障害が発生したものと判断する。制御部26は、障害個所データとして、該当する処理部または稼働部を表す個所コードを取得し、障害状態データとして、稼働データの挙動に対応するエラーコードを取得し、障害個所の稼働データを収集して、これらを併せて診断データを作成する。また、制御部26は、障害個所の稼働停止や、オペレータに対する障害発生の通報等を行う。
【0025】
一方、オペレータにより処理結果物が観察されることによって処理が適切に行われていないことが認識された場合、オペレータが、発生した障害に関する情報を制御部26に入力し、その情報に従って制御部26が診断データを作成すればよい。
【0026】
処理装置12Aの稼働時に稼働データを常時管理する必要の無い個所や、障害が発生した場合にも障害発生時の稼働データのみから原因を特定できる個所等においては、処理装置12Aの正常な稼働時には稼働データは取得されなくともよく、障害発生時の稼働データのみが制御部26によって取得され、障害個所データおよび障害状態データと合わせて診断データが作成されればよい。
【0027】
また、診断データの作成に用いられる稼働データは、処理装置12Aにおける1個所の稼働データでも、複数個所の稼働データでもよく、複数個所の稼働データを収集する場合には、障害発生の所定期間前から障害発生時までの稼働データと、障害発生時にのみ取得された稼働データとを組み合わせて診断データを作成してもよい。
障害発生時に制御部26が収集する稼働データの種類および数は、その障害個所、障害状態に応じて設定されるのがよい。
【0028】
このようにして障害発生時に作成され、記憶部28に一時的に記憶された診断データは、ネットワーク接続部30を介して自動的にサービスセンタ14へ送信される。
なお、障害発生時に作成され、記憶部28に記憶された診断データを、端末16A,16Bからの指示によってサービスセンタ14へ送信するようにしてもよいし、端末16A,16Bが記憶部28の診断データを受信して、サービスセンタ14に転送するようにしてもよい。
【0029】
サービスセンタ14は、処理装置12A,12B,12Cおよび端末16A,16Bとのデータの送受信のためにネットワーク18に接続するネットワーク接続部32と、端末16Aまたは16Bからの指示により、処理装置12A,12B,12Cの診断を実行し、診断結果を、指示を出した端末16Aまたは16Bに出力する診断エンジン34と、複数の診断データが記憶され、処理装置12A,12B,12Cの診断に用いられる診断データベース36と、処理装置12A,12B,12Cから送信された診断データを一時的に記憶する記憶部38とを備える。
【0030】
処理装置12A等の障害発生時に送られた診断データは、ネットワーク接続部32を介して受信され、一時的に記憶部38に記憶される。診断エンジン34は、端末16Aまたは16Bから処理装置12A等の診断実行の指示を受けると、記憶部38から該当する診断データを読み出し、この診断データに類似するデータを診断データベース36から検索し、検索結果である診断データとその診断データに関連付けられたアシスト情報を、診断結果として、診断エンジン34にアクセスした端末16Aまたは16Bに送信する。
【0031】
診断データベース36は、複数の、処理装置12Aと同種の処理装置における障害発生時に作成された診断データを蓄積したものである。
上述したように、診断データは処理装置12A等の障害発生時に、障害個所データ、障害状態データ、および稼働データから作成されるが、これに加えて、障害対処時または障害対処後に、端末16Aまたは16Bから障害の発生原因および対処方法等を入力し、サービスセンタ14に送信して、記憶部38に保持された診断データと関連付けて診断データベース36に記録するのが好ましい。さらに、障害対処時に必要な工具、交換部品や消耗品等、対処に当たるSEを支援する各種の情報も併せて関連付けて診断データベース36に記録してもよい。
【0032】
障害対処時または障害対処後に診断データを診断データベース36に記録した後、新たな情報を加える場合には、端末16Aまたは16Bからの入力指示により、診断データベース36に記録されている診断データに関連付けて、各種の情報を記録すればよい。
また、処理装置12A等の障害に対してSEが容易に対処できるなどの理由で、サービスセンタ14による診断が不要な場合等は、処理装置12A等から送られた診断データが、直接、診断データベース36に記録されればよいが、その診断データに対し、さらに、新規の情報を追加する時にも、上記の方法で行えばよい。
【0033】
なお、本発明の処理装置診断システムは、サービスセンタ14が診断エンジン34を備えず、端末16Aまたは16Bが、記憶部38に一時的に記録された診断データ、あるいは、端末16Aまたは16Bが処理装置12A等から取得した診断データを基に、これに類似するデータを、診断データベース36から検索する形態とすることも可能である。この場合も、診断データおよび各種の情報の診断データベース36への記録は、上記の方法で行えばよい。
【0034】
診断データベース36の構築方法としては、予め別の手段によって収集または作成した、診断データおよび関連情報を診断データベース36に記録して、診断システム10の運用を開始し、さらに、上述のようにして、診断データおよび関連情報が診断データベース36に記録されることが繰り返されることによって、診断データベース36のデータ量を増やし、処理装置12A等の実態により即した診断データベース36を構築していくのが好ましい。
【0035】
ただし、診断データベース36の構築方法はこれに限定されず、診断データベース36が初期データを保有せずに診断システム10の運用を開始し、上述のようにして、診断データベース36に診断データおよび関連情報を蓄積することで構築してもよい。
【0036】
端末16Aは、処理装置12A,12B,12Cの何れとも直接的に接続されていなければ、どこに設置されてもよく、例えば、同種の処理装置の機器販売店等に設置された、SEが使用可能な固定型端末で、いわゆるパーソナルコンピュータ(PC)ある。また、端末16Bは、SEが処理装置12A等の設置場所に出掛ける際などに携行する携帯型端末で、いわゆるモバイルPCである。
【0037】
このような端末16A,16Bは、機器販売店等の数やSEの人数に応じて固定型、携帯型を問わず、1つ、または複数設けられる。端末16A,16Bの構成および作用は何れも基本的に同様であるので、以下には端末16Aについてのみ、その作用を説明する。
端末16Aは、有線または無線でネットワーク18に接続するネットワーク接続部40と、表示部42と、制御部44と、キー入力部46とを有する。
【0038】
処理装置12A等の障害発生時に、障害対処に当たるSEによってキー入力部46から所定の指示が入力されると、制御部44はサービスセンタ14の診断エンジン34にアクセスし、処理装置12A等の診断を開始させる。
なお、サービスセンタ14が診断エンジン34を有さない形態の場合には、キー入力部46から入力された指示に従って、制御部44がサービスセンタ14にアクセスし、前述の方法によって処理装置12A等の診断を行う。
【0039】
また、制御部44は、サービスセンタ14から診断結果を受け取ると、その診断結果を、例えば、表示部42に表示する。これにより、表示部42には、診断結果として、障害が発生した処理装置12A等の診断データと類似する診断データが、好ましくは、これに加えて障害の発生原因、対処方法、その他障害対処のアシスト情報が表示され、SEは、これらを参考にして効率良く障害に対処することができる。
【0040】
なお、制御部44からの診断結果の出力は、上記以外にも、プリンタを接続してプリントアウトしたり、音声によって知らせる等、各種の伝達手段によって行うことができる。
また、診断結果が、サービスセンタ14から障害が発生した処理装置12A等に送信され、処理装置12A等において、上記のような方法で出力される形態としてもよい。
【0041】
SEが処理装置12A等の障害対処時等に、障害の発生原因、対処方法等に関して新たな情報を得た場合は、キー入力部46から制御部44にそれらの情報が入力される。制御部44は、入力された情報をサービスセンタ14に送信して、記憶部38または診断データベース36に記録されている診断データと関連付けて、診断データベース36に記録する。
このような端末16Aおよびサービスセンタ14間のデータ通信は、ネットワーク接続部40を介して有線または無線でネットワーク18に接続することで行われる。
【0042】
以上のようにして、処理装置12A,12B,12Cの障害発生時の診断データを、好ましくは、障害の発生原因、対処方法等と関連付けて、サービスセンタ14において診断データベース36として蓄積し、処理装置12A,12B,12Cの新たな障害発生時に、診断データベース36に記録されている類似の診断データを端末16A,16Bに提供することで、障害対処にあたるSEの作業を容易かつ効率的にし、SEの負担を低減すると同時に、処理装置12A,12B,12Cのユーザの経済的損失を最小限にすることができる。
【0043】
次に、本発明に係る処理装置診断システムをより具体的に説明するために、処理装置12Aとして、図2に示される画像出力装置50を用いた場合について説明する。
なお、図1の処理装置12B,12C等としては処理装置12A(画像出力装置50)と同種の画像処理装置が用いられ、それぞれ別のラボ店等に1台または複数台が設置される。これらの画像処理装置は、全く同じ機種であっても良いし、診断データが互換性を持つように設定されていれば、機種構成が異なるものであっても良い。
【0044】
画像出力装置50は、ネガフィルムやリバーサルフィルム等の写真フィルム(以下、単にフィルムとする)や、フレキシブルディスク(FD)、ZipTM等の磁気ディスク、CD−R等の光ディスク、光磁気ディスク(MO)、デジタルスチルカメラに装填可能なPCカードやSmartMedia(登録商標)、ICカード等の各種情報記録媒体から入力画像データを取得し、この入力画像データに所定の画像処理を施して出力画像(写真プリント)や出力画像データを得るデジタルフォトプリンタである。
【0045】
このような画像出力装置50は、フィルムFに撮影された画像を光電的に読み取る読取装置であるスキャナ52と、スキャナ52で読み取られたフィルムFの入力画像データに所定の画像処理を施して、処理画像データとする画像処理部54と、画像処理部54から出力された画像データに応じて変調された光ビームで感光材料Aを走査露光した後、現像処理を施してプリントとして出力する画像記録装置であるプリンタ56と、画像出力装置50全体の管理や制御、操作等を行う制御部58と、制御部58をネットワーク18に接続するネットワーク接続部60と、スキャナ52や画像処理部54やプリンタ56の稼働データの適正範囲等の管理用データ、および、画像出力装置50の各処理部や各稼働部を表す個所コードや、画像出力装置50で起こり得る各種の障害状態をコード化したエラーコード等を記憶している管理用メモリ61と、各種の稼働データを所定期間記録保持し、また、障害発生時に作成された診断データを一時的に記憶するメモリ62とを備える。さらに、フィルムFの替わりにFDやCD−R等の情報記録媒体に記録された画像データを読み取って入力画像データとし、また必要に応じて出力画像データを情報記録媒体に書き込む、読込・書込ドライブ64を備える。
【0046】
ここで、スキャナ52および読込・書込ドライブ64は、図1の処理装置12Aにおける入力部20に、画像処理部54は処理部22に、プリンタ56および読込・書込ドライブ64は出力部24に、制御部58は制御部26に、ネットワーク接続部60はネットワーク接続部30に、管理用メモリ61およびメモリ62は記憶部28に、それぞれ相当する。
【0047】
スキャナ52は、フィルムFに撮影された画像を光電的に読み取る画像読取装置であって、光源66と、可変絞り68と、フィルムFに撮影された画像をR(赤)、G(緑)、B(青)の三原色に分解するためのR、G、Bの3枚の色フィルタを読取光の光路に順次挿入する色フィルタ板70と、フィルムFに入射する読取光をフィルムFの面方向で均一にするための拡散ボックス72と、複数の画像が連続的に記録された長尺なフィルムFの各コマを所定の読取位置に搬送するためのキャリア74と、読取光を適切に結像するための結像レンズユニット76と、フィルムFに撮影された画像を1枚(1コマ)読み取るエリアセンサであるCCDセンサ78と、アンプ(増幅器)80と、A/D変換器82とを備える。
【0048】
このようなスキャナ52においては、光源66から射出され、可変絞り68によって光量調整され、色フィルタ板70によって色調整され、拡散ボックス72によって拡散された読取光が、キャリア74に保持されたフィルムFを透過することにより、フィルムFに記録された画像を担持する投影光が得られる。フィルムFの投影光は、結像レンズユニット76によってCCDセンサ78の受光面に結像され、設定された蓄積時間中に受光した光量が、CCDセンサ78によって光電的に読み取られる。CCDセンサ78からの出力信号は、アンプ80で増幅されA/D変換器90でA/D変換され、画像データ信号とされた後、画像処理部54に送られる。
【0049】
キャリア74は、図3に示されるように、フィルムFの1コマの画像読取範囲に対応する矩形の開口部Wを有しており、読取光がこの開口部Wのみを通過することで、開口部Wに位置するフィルムFの画像が読み取られる。キャリア74としては、135サイズのフィルムやAPS(Advanced Photo System )フィルム、ブローニーフィルム等、各種のフィルムに対応する専用のキャリアが用意されている。
キャリア74には、フィルムFのコマ(記録画像)の位置を検出するためのコマ検出センサ84と、フィルムFをキャリア74上で搬送するフィルム搬送手段(図示されず)とが備えられている。
【0050】
コマ検出センサ84は、フィルムFの透過光量の差によってフィルムFの濃度変化を検出する1組以上の光センサ(フォトインタラプタ)で、フィルムFの感光した部分(コマ部)のフィルム濃度が、感光していない部分の濃度(ベース濃度)に比べて充分高いことから、キャリア74によって搬送されるフィルムFの濃度が設定値を超えたところをコマ端部として検出する。
【0051】
このコマ検出センサ84は、キャリア74に固定されるか、キャリア74と一定の位置関係に設置されており、コマ検出センサ84が検出したコマ端部から設定される読取範囲が、キャリア74の開口部Wを満たすように、キャリア74がフィルムFを搬送する。
キャリア74におけるフィルムFの搬送手段としては、搬送ローラ対でフィルムFを挟持搬送する方法や、フィルムFのパーフォレーション(カメラに装填時のコマ送り用穴)に突起を掛けて搬送する方法等、公知の方法が用いられる。
【0052】
コマ検出センサ84により検出され、読取位置(キャリア74の開口部W)に搬送されたコマから読み出された画像データは、後述する画像処理部54を経てディスプレイ100に表示され、オペレータによる画像の検定に用いられる。この画像データは、後述する補正および処理を施された後、プリンタ56においてプリントとして出力されるか、読込・書込ドライブ64において、情報記録媒体に記録される。
【0053】
図示例のスキャナ52においては、CCDセンサ78はエリアセンサであるので、色フィルタ板70のR,G,Bの各色フィルタを順次光路に挿入して3回の画像読取を行うことにより、フィルムFに撮影された画像をR,G,Bの3原色に分解して読み取る。なお、CCDセンサ78は、エリアセンサに限定されず、例えば、フィルムFの搬送方向と直交する方向に1次元的に受光素子が延在するように配置されたラインCCDセンサであってもよい。
【0054】
スキャナ52は、記録用の画像データを得るための画像読取(ファインスキャン)に先立ち、低解像度で画像を粗に読み取るプレスキャンを行い、ファインスキャンでの読み取り条件、すなわち、可変絞り68による光量の絞り値やCCDセンサ78で読み取る際の蓄積時間を定めてファインスキャンを行う。
【0055】
画像処理部54は、プレスキャンで得られた画像データから各種の画像処理条件を設定(セットアップ)し、この画像処理条件に応じてファインスキャンの画像データを画像処理して、プリンタ56による画像記録用の画像データとするものであり、画像データをlog変換するLUT(ルックアップテーブル)86と、データ補正部88と、プレスキャンメモリ90と、ファインスキャンメモリ92と、データ処理部94とを有する。
【0056】
データ補正部88は、LUT86でlog変換された画像データに、DCオフセット補正、暗時補正、シェーディング補正等の所定の前処理を施し、プレスキャンメモリ90もしくはファインスキャンメモリ92に送る。
【0057】
プレスキャンメモリ90およびファインスキャンメモリ92は、スキャナ52によって読み取られた画像データを記憶するフレームメモリ(F.M.)であって、プレスキャンの画像データ(プレスキャンデータ)は、順次プレスキャンメモリ90に送られ、また、ファインスキャンの画像データ(ファインスキャンデータ)は、順次ファインスキャンメモリ92に送られて、それぞれ記憶される。
【0058】
データ処理部94は、CPU、メモリ、各種の画像処理回路等を組み合わせて構成される部分で、プレスキャンデータから、濃度ヒストグラムの作成や画像特徴量の算出等を行って、可変絞り68の絞り値等のファインスキャンにおける読取条件および各種の画像処理条件を設定してオペレータの検定を通して確定する。
【0059】
また、データ処理部94は、決定されたファインスキャン読取条件下で行われたスキャナ52によるファインスキャンで得られ、ファインスキャンメモリ92に記憶されたファインスキャンデータを、ファインスキャンメモリ92から読み出して、決定された画像処理条件のもとに、色/濃度補正、中間階調を保持したダイナミックレンジの圧縮/伸長(画像処理による覆い焼き効果の付与)、電子変倍処理(画像の拡大/縮小)、鮮鋭化処理(シャープネス)等の所定の画像処理を施して処理画像データとし、プリンタ56に、あるいは、読込・書込ドライブ64に送る。
【0060】
一方、読込・書込ドライブ64から入力画像データが取得された場合は、この画像データがファインスキャンメモリ92に送られ、必要に応じてデータ処理部94で上記の画像処理を施されて、プリンタ56に送られる。
【0061】
制御部58は、画像出力装置50全体の制御や管理、各種の操作や条件設定等を行うもので、指示入力のためのキーボード96およびマウス98と、スキャナ52で読み取られた画像や、管理情報画面、処理条件設定画面、障害情報画面等を表示するディスプレイ100と、ネットワーク接続部60と、管理用メモリ61と、メモリ62とに接続される。
【0062】
ネットワーク接続部60は、広域ネットワーク(WAN:Wide Area Network )や、イーサネット(登録商標)等に代表されるローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)などの各種のネットワークに接続するためのもので、例えば、制御部58をLANに接続するためのイーサネット(登録商標)・カードや、制御部58を通信回線を経てWANに接続するためのモデム等と、ネットワークへの接続用のソフトウェアとを有する。
【0063】
プリンタ56は、図4(A)および(B)や、図5に示される、デジタル露光が可能な画像記録装置である。図4(A)はプリンタ56における感光材料Aの供給部から露光部までの概略構成を示す概念図であり、図4(B)は露光部の概略構成を示す概念図であり、図5は現像部の概略構成を示す概念図である。
【0064】
図4(A)に示されるように、プリンタ56は、長尺の感光材料をロール状に収めたマガジン102と、長尺の感光材料を所定長さにカットしてカットシート状感光材料Aとするカッタ104と、感光材料Aの非画像記録面(非感材面)に感光材料Aに記録される画像に関する情報を印字する裏印字手段106と、感光材料Aを露光して潜像を記録する露光部108と、感光材料Aに記録された潜像を現像する現像部110と、マガジン102からカッタ104、裏印字手段106、露光部108を経て現像部110を出るまでの所定の経路に沿って感光材料Aを搬送する搬送手段112とを有する。
【0065】
露光部108は、記録する画像に応じて変調した光ビームによって感光材料Aを走査露光して感光材料Aに潜像を記録する、公知の光ビーム走査装置である。露光部108は、図4(B)に示されるように、ドライバ114と、感光材料AのR感光層の露光に対応する光源116Rと、感光材料AのG感光層に対応する光源116Gと、感光材料AのB感光層に対応する光源116Bと、光偏向器としてのポリゴンミラー118と、fθレンズ120とを有する。
【0066】
図示例の露光部108においては、各光源116R,116G,116B(以下、まとめて光源116とする)として、LD(レーザーダイオード)等の半導体レーザが用いられる。ドライバ114は、画像処理部54(データ処理部94)から出力された画像データに応じて変調された光ビームが射出されるように、光源116を駆動する。光源116から射出された各光ビームはポリゴンミラー118で偏向され、fθレンズ120によって、感光材料A上の画成される主走査線上で光ビームのビームスポット径が同一となるように補正されて、記録位置zにおいて走査方向と直交する方向(副走査方向)に搬送される感光材料Aを走査露光することで、感光材料Aに潜像を記録する。
【0067】
図5に示される現像部110は、発色現像槽122、漂白定着槽124、水洗槽126a,126b,126c,および126dの各槽を有し、感光材料Aはこれらの各槽で処理された後、乾燥されて、プリント出力画像が出力される。発色現像槽122、漂白定着槽124、水洗槽126a,126b,126c,および126dの各槽には、液温管理用の温度計が備えられ、温度計で計測される各槽の液温が制御部58(図2参照)で常時管理される。また、現像処理液の状態に応じて、リザーブタンクに貯留された現像液や定着液や洗浄水がリザーブタンクから各槽に所要量補充される。
【0068】
プリンタ56の全工程における感光材料Aの搬送は、搬送手段112(図4(A))によって行われる。搬送手段112としては多数の搬送ローラ対を感光材料Aの搬送方向長さよりも短い間隔で並べる方法や、搬送ベルトによる方法など、公知の技術が用いられる。
【0069】
このような画像出力装置50の各処理部おいて、画像が正しく出力されなかったり、装置が正常に作動しなくなるような障害が発生することがある。
例えば、スキャナ52のキャリア74では、先頭コマを正しく検出できなかったり、コマ間がディスプレイ100やプリントに写し出されたり、画像取込位置が画像の上下または左右にずれてしまったり、検出されないコマがあったり、また、指定したコマと別のコマを検出してしまったり、といった画像取込不良が発生することがある。このような画像取込不良の原因としては、コマ検出センサ84の検出不良、フィルムの搬送不良、フィルムFの画像不良等が挙げられる。
【0070】
キャリア74においては、コマ検出センサ84によるコマ検出データや、フィルムFの搬送データが、稼働データとしてメモリ62に記録される。具体的には、各コマの検出データとして、先頭コマからの順番や、各コマの中心位置、各コマの最高濃度値および最低濃度値、フィルムフラグ、ホールフラグ、ミミかぶりフラグ、コマかぶりフラグ等のデータが記録され、また、搬送データとして、モータの回転数(パルス数)等から算出されるフィルムFの機械的送り量や、センサにより検出される、パーフォレーションのフィルムFの幅方向の位置、搬送方向のパーフォレーションの間隔等のデータが記録される。
これらのデータが、キャリア74の稼働データとして制御部58により常時取得され、メモリ62において所定期間保持される。
【0071】
また、露光部108において、光源116に半導体レーザを使用した場合、光源116の温度が変化すると光源116から射出される光ビームの波長が変化するため、感光材料Aにおいて適正な画像露光が行われず、従って適正な画像が記録されない、という障害が発生する。そこで、光源116の温度を管理するために、光源116の温度や駆動電流値等が、露光部108の稼働データとして、制御部58によって常時取得され、メモリ62に所定期間保存される。
【0072】
現像部110では、発色現像槽122、漂白定着槽124、水洗槽126a,126b,126c,および126dの各槽の処理液温度や濃度の変化、あるいは劣化などにより、処理液の処理能力が低下し、画像が適切に現像されないという障害が発生することがある。
現像部110においては、現像処理液の温度や使用時間、補充量、現像処理液の濃度等のデータが制御部58によって取得される。これらのデータは、現像部110の稼働データとしてメモリ62に所定期間保持される。
【0073】
搬送手段112による感光材料Aの搬送速度は、各工程において適切な処理が行われるように各工程ごとに定められているため、搬送速度が適正範囲から外れると適切な処理が行われなくなり、プリンタ56から出力されるプリント画像が不良となる。また、搬送手段112を構成する部品の故障や劣化により搬送に不具合を生じ、感光材料Aが搬送経路中で詰まって、いわゆるジャミングが発生し、搬送が不可能になったり、感光材料Aが蛇行して搬送されることによって感光材料Aの端辺が損傷することもある。
【0074】
プリンタ56においては、感光材料Aの搬送路中の複数個所において感光材料Aを検出することで、各検出器間の搬送時間、1枚の感光材料Aの検出器下通過時間、および、搬送方向に対して幅方向の通過位置等を測定し、搬送手段112による搬送状態を管理する。
図4および図5に示されるプリンタ56においては、カッタ104、裏印字手段106、レジスト部(感光材料Aの位置合わせ部、図示されず)、露光部108、現像部110の入口、現像部110の出口等の主要な個所に、感光材料Aを検出する検出器として、図示されない光センサ(フォトインタラプタ)が設けられ、各検出器によるデータが、搬送手段112の稼働データとして制御部58によって取得され、メモリ62に所定期間保持される。
【0075】
制御部58は、以上のような稼働データを、管理用メモリ61に記憶された、各稼働データの適正範囲と比較することで、キャリア74、露光部108、現像部110、および搬送手段112の稼働状態を管理する。
これら、キャリア74、露光部108、現像部110、および搬送手段112の稼働データの何れかが、予め設定された適正範囲を外れると、制御部58は、適正範囲を外れた稼働データを取得している処理部または稼働部で障害が発生したものと判断する。
【0076】
制御部58は、障害個所データとして、該当する処理部または稼働部を表す個所コードを管理用メモリ61から読み出し、障害状態データとして、稼働データの挙動に対応するエラーコードを管理用メモリ61から読み出し、障害個所の稼働データをメモリ62から取り出して、これらを併せて診断データを作成し、一時的にメモリ62に記録する。
また、制御部58は、ディスプレイ100への表示や音声などによって、キャリア74、露光部108、現像部110、または搬送手段112において障害が発生したことをオペレータに通知したり、障害個所の稼働を停止させる。
【0077】
ここで、メモリ62には、所定期間分の稼働データが保持されているので、障害発生以前の所定期間の稼働データを、診断データとすることができる。ここで、診断データとする稼働データは、メモリ62に保持されている稼働データの全てであっても、一部であってもよい。
【0078】
一方、ディスプレイ100に不適正なコマが表示されたり、プリンタ56から不適正なプリントが出力されたり、あるいは、スキャナ52やプリンタ56が不意に停止すること等により、オペレータが画像出力装置50における障害を認識した場合には、オペレータが、キーボード96またはマウス98によって所定の操作を行うことにより、障害が発生したことが制御部58に通知される。
【0079】
さらに、オペレータは、キーボード96またはマウス98によって、発生している障害に関する情報を制御部58に入力する。
オペレータによる障害情報の入力は、ディスプレイ100に障害情報入力画面を表示し、画面上の選択肢から、当てはまる項目を選択する等の方法によって、障害個所および障害状態に関する情報を入力する等の方法等によって行えばよい。
【0080】
障害発生の通知を受けた制御部58は、オペレータによって入力された情報に従って、上述したのと同様に、管理用メモリ61より障害個所データおよび障害状態データを読み出し、メモリ62から稼働データを取得して、診断データを作成し、一時的にメモリ62へ記憶させる。
例えば、障害発生個所が露光部108であることが入力されていれば、制御部58は、露光部108を表す障害個所データと、入力されている情報に応じた障害状態データを管理用メモリ61から読み出し、露光部108の稼働データをメモリ62から収集する。また、例えば、障害状態がプリント不良であることが入力されていれば、プリント不良を表す障害状態データと、その障害に関与する可能性のある障害個所データとして、露光部108および現像部110を表す障害個所データを管理用メモリ61から読み出し、これらの個所の稼働データを、メモリ62から収集する。
【0081】
障害個所および障害状態が不明な場合や、これらの障害情報が入力される形態でない場合は、制御部58は、メモリ62に記録されている各所の稼働データを全て収集してもよいし、管理用メモリ61からは、障害個所や障害状態の情報が不明であることを表す障害個所データや障害状態データを取得して、診断データを作成してもよい。
【0082】
また、稼働データが常時記録されていない個所では、制御部58が障害発生の情報を得た時点での、各部の稼働データが収集される。この稼働データは、入力された情報に従って管理用メモリ61から読み出された、障害個所データおよび障害状態データと併せて診断データとされる。
【0083】
このように作成された診断データを、ディスプレイ100に表示する等の方法で、オペレータが障害の状態を確認できるように出力するのも好ましい。
例えば、キャリア74の診断データとして、図6(A)および(B)に示されるような、パーフォレーション検出情報や、図7に示されるような、各コマの検出情報が、ディスプレイ100に表示されることで、オペレータが、キャリア74のフィルム搬送状態やフィルムFのコマの状態を確認できる。
また、例えば搬送手段112の診断データとして、図8に示されるような、感光材料(ペーパー)搬送状況の統計情報や、図9(A)および(B)に示されるような感光材料Aの搬送状態の履歴が、ディスプレイ100に表示されることによって、オペレータが、搬送手段112による感光材料Aの搬送状態を確認することができる。
作成された診断データは、ネットワーク18を介して自動的に、またはSEの指示により、サービスセンタ14(図1参照)に送信され、サービスセンタ14の記憶部38に一時的に記憶される。
【0084】
画像出力装置50における障害の発生を認識したオペレータが、画像出力装置50の状態や処理結果を見て、あるいは、画像出力装置50(制御部58)からの通知によって、障害の状態を容易に把握でき、かつ、容易に対処できる場合には、オペレータはSEに連絡することなく、独自で障害に対処することができる。
例えば、スキャナ52のキャリア74における、フィルムの搬送不良が、キャリア74へのフィルムセット不良によるものであったり、コマ検出の失敗が、画像不良(スーパーアンダー、スーパーオーバー、2つのコマが重なって記録されている、コマ間隔やコマの幅が不良である等)によるものである等、キャリア74の故障でないことが明らかであれば、オペレータは、フィルムをセットし直したり、フィルムのクリーニングを行ったり、コマを1つずつ確認しながら送りを手動調整するなどの方法で、容易に対処できる。
【0085】
一方、オペレータが対処方法を分からなかったり、対処方法が技術を要するものである場合には、オペレータはSEに連絡し、画像出力装置50の障害の対処を依頼する。
オペレータから画像出力装置50での障害発生の連絡を受けたSEは、機器販売店等に設置された端末16A、または、携行しているSE用端末16Bを操作して、サービスセンタ14にアクセスし、診断エンジン34を作動させる。ここでは一例として、端末16Aを用いるものとする。
【0086】
診断エンジン34は、診断データベース36を検索して画像出力装置50から送信された診断データに類似する診断データを抽出して、診断エンジン34にアクセスした端末16Aに診断結果として送信する。
ここで、診断データが障害発生以前の所定期間の稼働データを有する場合、診断エンジン34は、診断データベース36から、より症状の近い障害例を抽出することができるため、診断結果として、即時に活用できる、有益な情報を提供することができる。
【0087】
端末16Aが受信した診断結果は、表示部42に表示される。この診断結果は、画像出力装置50で生じている障害と類似する障害事例の診断データであり、好ましくは、これに加えて、その障害の発生原因、対処方法、その他障害対処のアシスト情報である。
【0088】
キャリア74での画像取込不良に対する診断結果としては、キャリア74における障害発生時に作成された診断データ、および、診断データベース36から検索された類似する診断データが表示される。これらの診断データは、障害個所データおよび障害状態データを含んでおり、例えば、障害発生個所が、コマ検出センサ84またはフィルム搬送手段であり、障害状態が、コマ検出センサ84の動作不良、あるいは搬送手段の動作不良である、といった情報も表示される。
【0089】
さらに、好ましい形態として、検索された診断データに、障害の発生原因や対処方法等の関連情報が記録されていた場合には、例えばその原因として、コマ検出センサ84の感度不良、フィルム搬送部の故障等が表示され、その対処方法として、コマ検出センサ84のクリーニングや調整、搬送手段の調整や部品交換が必要であること等が示される。
【0090】
また、露光部108における障害の診断結果としては、例えば、障害個所が光源116であり、障害状態が温度異常あるいは電流値異常であるといった情報と、好ましくは、その原因として光源116部のヒューズが切れている可能性がある、といった警告、さらにその対処方法として、ヒューズの交換等の指示が表示される。
【0091】
現像部110における現像不良の診断結果としては、例えば、障害個所が、発色現像槽122、漂白定着槽124、水洗槽126a,126b,126c,および126dのうち何れかの槽であり、障害状態が、処理液の温度異常、濃度が不適正であること等が表示される。また、好ましくは、その原因として、温調装置の故障や、処理液供給器の異常、現像処理液が劣化している等の可能性があることが表示され、その対処方法として、温調装置の調整や、現像処理液の交換または補充が必要であること等が示される。
【0092】
搬送手段112における搬送不良の診断結果としては、例えば、障害個所はカッタ104から裏印字手段106までの区間であり、障害状態は、ペーパー詰まり(ジャミング)や蛇行であるといった情報が表示される。さらに、好ましくは、その原因として搬送ローラの磨耗、駆動系の故障、搬送ローラ対の感光材料Aの挟持力の異常等の可能性があることが表示され、その対処方法として、部品の交換や駆動系のメンテナンス、搬送ローラ対の挟持力の調整が必要であるといった指示が表示される。
【0093】
これらの情報に基づいて、SE自身が障害に対処するか、SEの指示によって画像出力装置50のオペレータが対処することで、迅速かつ容易に障害を解消することができる。
障害が解消されると、判明した障害の原因や講じられた対処方法、交換部品等の情報が端末16Aから入力され、診断データに関連付けられて、診断データベース36に記録される。これにより、新たな診断データが診断データベース36に蓄積される。
【0094】
このように、画像出力装置50において、スキャナ52のキャリア74や、プリンタ56の露光部108、現像部110、および、搬送手段112の何れかの障害が発生した場合、障害に関与する稼働データ、障害個所データおよび障害状態データを併せて、診断データが作成され、この診断データに類似するデータが、診断データベース36から抽出され、アシスト情報が提供されることによって、SEは、画像出力装置50の障害原因や対処方法を即時に判断することができ、迅速かつ容易に障害を解消することができる。
【0095】
以上、画像出力装置50における障害発生例と診断データ作成例として、スキャナ52におけるキャリア74、プリンタ56における露光部108および現像部110、および、搬送手段112について、詳細に説明したが、画像出力装置50の稼働データを常時記録する個所や障害発生時に稼働データを取得する個所は、上記の例に限るものではなく、各所において適宜行われるものである。
【0096】
なお、本実施例では、処理装置12A等において、複数の処理部の稼働データをメモリ62に記録し、障害発生時には、制御部58がメモリ62から必要な稼働データを取得する形態としたが、本発明はこれに限定されず、各処理部毎に、または、各センサ毎に記憶部を有する形態として、各処理部や各センサにおいて夫々の稼働データを保持し、障害発生時には、制御部58が、これらの各記憶部から必要な稼働データを収集して、メモリ62に記録してもよい。また、これらを適宜組み合わせた形態としてもよい。
【0097】
また、サービスセンタ14に送信されたデータは記憶部38に一時的に記録され、端末16A,16Bからの指示により対処方法と合わせて診断データベース36に記録されるものとしたが、これに限るものではなく、記憶部38を有さず、診断データベース36に直接記録し、その後、障害の発生原因や対処方法等の関連情報を端末16A,16Bからの指示により、診断データベース36の診断データと関連付けて保存することにより、診断データベース36を構築する形態としてもよい。
【0098】
なお、本実施例では、プリンタ56を、感光材料を露光し、湿式現像処理を行って、プリント出力画像を出力するものとしたが、本発明はこれに限定はされず、感光材料は、感光感熱材料、感光感圧材料等の公知の感光材料を用いるものであってもよいし、さらに、サーマルプリンタ、インクジェットプリンタ、電子写真プリンタ等の公知のプリンタによって、出力画像を得るものであってもよい。
【0099】
以上、本発明の処理装置診断システムについて詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0100】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の処理装置診断システムによれば、デジタルフォトプリンタ等の処理装置における障害発生時に、処理装置において障害発生時の稼働状態を表す稼働データと障害個所データおよび障害状態データを含む診断データを作成し、さらに、好ましくは、障害の発生原因や対処方法等を関連付けて、診断データベースとして蓄積するので、処理装置診断システムに接続されている処理装置の実態に即した障害事例を蓄積し、以後に発生した同様の障害の対処に際して有益なアシスト情報を提供する、診断データベースを構築することができる。
【0101】
また、処理装置の障害発生時に作成された診断データと類似のデータを、診断データベースから検索し、過去に発生した類似の障害における診断データ、さらに、好ましくは、障害の発生原因および対処方法等を出力することで、障害対処に当たるSEの作業を容易かつ効率的にし、SEの負担を低減すると同時に、処理装置の停止によるユーザの経済的損失を最小限にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る処理装置診断システムの一実施例を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る処理装置診断システムの処理装置の一例である画像出力装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】キャリアを説明する概念斜視図である。
【図4】(A)は、図2の画像出力装置のプリンタにおける供給部から露光部までの概略構成を示す概念図であり、(B)は、露光部の概略構成を示す概念図である。
【図5】図2の画像出力装置のプリンタにおける現像部の概略構成を示す概念斜視図である。
【図6】(A)および(B)は、パーフォレーション検出情報表示画面の一例を示す図である。
【図7】コマ検出情報表示画面の一例を示す図である。
【図8】感光材料(ペーパー)搬送状況の統計情報表示画面の一例を示す図である。
【図9】(A)および(B)は、感光材料の搬送状態の履歴表示画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
10 診断システム
12A,12B,12C 処理装置
14 サービスセンタ
16A,16B 端末
18 ネットワーク
34 診断エンジン
36 診断データベース
50 画像出力装置
52 スキャナ
54 画像処理部
56 プリンタ
58 制御部
61 管理用メモリ
62 メモリ
【発明の属する技術分野】
本発明は、処理対象物に処理を施して出力する処理装置を診断する診断システムに関し、特に、記録媒体より画像データを得て入力画像データとし、画像処理を施して出力画像データを得る画像出力装置の診断システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、フィルムに撮影された画像を再現処理する画像出力装置において、デジタル露光を利用する焼付装置、すなわち、フィルムに記録された画像を光電的に読み取って入力画像データを得た後、種々の画像処理を施して処理画像データとし、この処理画像データに応じて変調した記録光によって感光材料を走査露光して画像(潜像)を記録し、現像処理を施してプリント(写真)として出力する画像出力装置、すなわちデジタルフォトプリンタが実用化されている。
【0003】
デジタルフォトプリンタでは、フィルムを光電的に読み取り、信号処理によって色濃度補正が行われて露光条件が決定される。従って、露光時のオペレータによる露光条件の決定やフィルタ等の調整が不要で、また、露光時間も画像サイズに応じて一定であるため、効率の良い作業を行うことができる。また、従来の直接露光によるプリントに比して、分解能、色/濃度再現性等の点で、より高画質な画像を再生したプリントが出力可能である。
【0004】
このようなデジタルフォトプリンタは、基本的に、画像入力部、画像処理部、および画像出力部(プリント出力部)より構成される。
画像入力部は、フィルムスキャナやメディアドライバ等により処理対象画像を取得する。フィルムスキャナは、読取光をフィルムに入射して撮影された画像を担持する投影光を得て、この投影光をCCDセンサ等のイメージセンサに結像させて光電変換することにより、フィルムに撮影された画像を読み取り、フィルムの画像データ(画像データ信号)として画像処理部に送る。また、メディアドライバは、例えばCD−R等の光ディスクやデジタルスチルカメラに装填可能なPCカードやスマートメディアTM(SmartMedia(登録商標))等の各種情報記録媒体の何れかがセットされ、セットされた情報記録媒体に記録されている画像データを読み出して画像処理部に出力する。
【0005】
画像処理部は、フィルムスキャナやメディアドライバ等から送られた画像データを受け取り、所定の画像処理を施して、記録用画像データとして、プリント出力部に送る。プリント出力部は、画像処理部から出力された画像データを受け取り、例えば、光ビーム走査露光を利用するものであれば、画像処理部から送られた画像データに応じて光ビームを変調して主走査方向に偏向すると共に、主走査方向と直交する副走査方向に感光材料(印画紙)を搬送することにより、変調光ビームによって感光材料を走査露光(焼付け)して潜像を形成し、感光材料に応じた現像処理等を施して、フィルムに撮影された画像が再生されたプリントを出力する。
【0006】
このようなデジタルフォトプリンタを長期的に使用する際に、装置部品の劣化や消耗品の消耗、電気的要因による誤作動、人為的な操作ミスなどにより装置に障害が発生することがある。障害が発生した場合、障害の原因が明確で、かつ、対処方法が容易な場合には、マニュアルあるいは装置側から発せられる指示に従って、ユーザ(オペレータ)が対処することができる。
一方、原因が明確でない場合や、原因が明確であるものの、対処に技術を要する場合は、ユーザは、SE(サービスエンジニア)に連絡し、修理を依頼する。SEは、デジタルフォトプリンタの設置場所に出向いて、障害原因が明らかでない場合には、障害状況から障害原因と考えられる個所を点検するなどして原因を追求し、適切に対処している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、易操作性、多機能性、高性能などの要求に応えるために、装置を制御するソフトが高度化し、装置の複雑化やブラックボックス化、システム化が進んでいるため、障害が発生した場合に、障害原因の特定や障害個所の切り分けが難しくなっており、特に、経験が比較的浅いSEにとっては、適切な対処を迅速に行うのが困難な場合もある。これに対し、デジタルフォトプリンタのユーザであるラボ店等においては、デジタルフォトプリンタの稼働を止める時間が長いほど経済的損失が大きくなるため、障害が起きた場合にも迅速に対処し、稼働停止時間をできるだけ短くすることが望まれている。
【0008】
また、同種の装置で発生する障害は同じ原因に拠るものもあり、1人のSEの担当区域で同様の障害が発生した場合は、SEが自分の経験に基づいて対処を効率化していくことができるが、異なる区域で同様の障害が発生した場合に、先に障害に対処したSEの経験を活かすことができず、別のSEが全く初めの段階から障害対処に取り組まねばならないため、障害対処に要する時間が長くなり、ユーザの経済的損失が大きい上に、SEの負担も大きいという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、上記課題をを解決し、処理対象物に処理を施して出力する処理装置の障害発生時に、診断データとしてデータベース化された、過去に発生した類似の障害事例の種々のデータを参照することができ、その結果、障害対処に当たるSEを支援することができる、処理装置診断システムを提供することにある。
【0010】
さらに、本発明の他の目的は、上記目的に加え、障害発生時に、その時の診断データと、診断データベース内に蓄積された過去の障害事例の内容(診断データ)とを照合して一致するものを検索し、その時の障害の発生原因や対処方法を出力させることにより、経験の浅いSEでも、適切かつ素早い対処を実施することができる処理装置診断システムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、処理対象物に処理を施して出力する処理部ならびに障害発生に関与する稼働データを障害個所データおよび障害状態データとともに収集して、障害を診断するための診断データとして記憶する記憶部を各々備える複数の処理装置と、これらの複数の処理装置と通信可能であり、前記複数の処理装置から離れた遠隔地にある端末または携帯端末と、前記処理装置の前記記憶部に記憶されている前記診断データを、前記処理装置から直接、もしくは前記端末または前記携帯端末を介して受信して蓄積する診断データベースを備えるサービスセンタと、前記複数の処理装置と、前記端末または前記携帯端末と、前記サービスセンタとを接続する通信網とを有し、前記端末または前記携帯端末は、前記複数の処理装置の1つの処理装置の障害発生時に、前記サービスセンタにアクセスして、前記データベースに蓄積された前記診断データを障害診断のアシスト情報として利用することを特徴とする処理装置診断システムを提供するものである。
【0012】
ここで、前記処理装置は、前記障害発生時に、前記障害個所データおよび前記障害状態データとともに、前記診断データとして必要となる前記障害発生時の前記稼働データおよび障害発生以前の所定期間の前記稼働データを収集して、前記記憶部に記憶するのが好ましい。
【0013】
また、前記サービスセンタは、前記データベースに記憶された前記診断データを検索して、検索された前記診断データを出力する診断エンジンを有し、前記端末または前記携帯端末は、前記処理装置の障害発生時に、前記サービスセンタの前記診断エンジンにアクセスして、前記診断エンジンに、前記処理装置が収集した診断データを用いて前記データベースを検索させ、一致する前記診断データを出力させるのが好ましい。
【0014】
また、前記処理装置の障害の発生原因および対処方法の少なくとも一方が判明した時点で、前記端末または前記携帯端末は、入力された前記障害の発生原因および対処方法の少なくとも一方を前記サービスセンタの前記データベースに送信し、前記データベースは、受信した前記障害の発生原因および対処方法の少なくとも一方を前記処理装置から直接または間接に受信した前記診断データと関連付けて蓄積するのが好ましい。
【0015】
また、前記サービスセンタは、前記データベースに記憶された前記診断データを検索して、検索された前記診断データに関連付けて蓄積された前記障害の発生原因および対処方法の少なくとも一方を出力する診断エンジンを有し、前記端末または前記携帯端末は、前記処理装置の障害発生時に、前記サービスセンタの前記診断エンジンにアクセスして、前記診断エンジンに、前記処理装置が収集した診断データを用いて前記データベースを検索させ、一致する前記診断データに関連付けて蓄積された前記障害の発生原因および対処方法の少なくとも一方を出力させるのが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の処理装置診断システムについて、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
【0017】
図1に、本発明に係る処理装置診断システムの一実施例の概略構成を示す。
同図に示す処理装置診断システム(以下、単に、診断システムという)10は、診断の対象となる処理装置12A,12B,12Cと、処理装置12A,12B,12Cの診断を行うサービスセンタ14と、処理装置12A,12B,12Cの遠隔地にある、SE(サービスエンジニア)が利用可能な固定端末16Aと、SEが外勤業務に携行している携帯端末16B(以下、両者をまとめて端末16A,16Bという)と、それらを接続するネットワーク18とを有する。
なお、図1では、処理装置を3台としているが、本発明はこれに限定されず、1台あるいは複数台が適宜用いられる。また、端末16A,16Bも、固定型、携帯型を問わず、任意の台数が使用される。
【0018】
診断システム10は、処理装置12A,12B,12Cのうちの1つにおける障害発生時に、障害発生の所定期間前から障害発生時までの、あるいは、障害発生時の、障害が発生した処理装置の稼働データを含む診断データをサービスセンタ14に送信し、サービスセンタ14に蓄積するとともに、端末16A,16Bの何れか一方からの指示によって、サービスセンタ14において、障害の発生した処理装置の診断データに類似するデータを検索し、検索結果を検索を指示した端末16Aまたは16Bに出力することによって、処理装置の障害対処に当たるSEにアシスト情報を提供するものである。
【0019】
処理装置12A,12B,12Cは同種の処理装置であり、その構成や作用は基本的に同様であるので、これらを代表する処理装置12Aについて説明し、処理装置12B,12C等についての説明を省略する。
【0020】
処理装置12Aは、処理対象物を取得して入力処理を行う入力部20と、所定の処理を行う処理部22と、処理の施された対象物を出力処理する出力部24と、入力部20、処理部22、および出力部24で行われる各処理を制御するとともに、処理装置12Aにおいて障害が発生した時に障害に関与する稼働データを収集し、診断データを作成する制御部26と、各処理部の稼働データおよび作成された診断データを一時的に記憶する記憶部28と、障害発生時に、記憶部28に記憶された診断データを制御部26によって読み出してサービスセンタ14に送信するためにネットワーク18に接続するネットワーク接続部30とを備える。
【0021】
診断データは、予め設定されたコード等により障害個所を示す障害個所データと、予め設定されたエラーコード等によって障害の状態を表す障害状態データと、障害発生部の稼働状態を表す稼働データとを含むものである。
処理装置12Aの稼働時においては、各処理部における所定個所の稼働データが制御部26によって逐次取得され、記憶部28に一定期間保持される。制御部26は、処理装置12Aにおける障害発生時に、記憶部28に保持されている障害発生以前の所定期間の稼働データを取り出して、障害個所データおよび障害状態データと併せて診断データを作成し、記憶部28に一時的に記憶させる。
【0022】
この診断データは、処理装置12Aの診断に用いられる。処理装置12Aの診断は、後述する診断エンジン34が、処理装置12Aの診断データを、後述する、同様の診断データを蓄積した診断データベース36の内容(データ)と比較し、類似するデータを抽出することにより行われる。この時、診断データが、障害発生以前の所定期間の障害発生部の稼働データを含んでいることによって、診断エンジン34は、障害発生状況の類似性をより正確に識別でき、障害対処に有益な情報を提供することができる。
【0023】
すなわち、処理装置12A等において障害が発生する場合、障害発生に先立って障害発生部の稼働データが適正な値から徐々に外れていったり、不安定に変動するなど、正常時と異なる挙動を示すことが多く、また、このような稼働データの挙動は、障害の発生原因が同じであると類似性を持つ場合が多いため、上記のように、障害発生時から所定期間遡って稼働データを収集して診断データを作成することで、より正確な診断が可能となる。
【0024】
制御部26は、各処理部の稼働データを管理しており、稼働データが設定された適正範囲から外れると、該当する稼働データを取得している処理部または稼働部において、障害が発生したものと判断する。制御部26は、障害個所データとして、該当する処理部または稼働部を表す個所コードを取得し、障害状態データとして、稼働データの挙動に対応するエラーコードを取得し、障害個所の稼働データを収集して、これらを併せて診断データを作成する。また、制御部26は、障害個所の稼働停止や、オペレータに対する障害発生の通報等を行う。
【0025】
一方、オペレータにより処理結果物が観察されることによって処理が適切に行われていないことが認識された場合、オペレータが、発生した障害に関する情報を制御部26に入力し、その情報に従って制御部26が診断データを作成すればよい。
【0026】
処理装置12Aの稼働時に稼働データを常時管理する必要の無い個所や、障害が発生した場合にも障害発生時の稼働データのみから原因を特定できる個所等においては、処理装置12Aの正常な稼働時には稼働データは取得されなくともよく、障害発生時の稼働データのみが制御部26によって取得され、障害個所データおよび障害状態データと合わせて診断データが作成されればよい。
【0027】
また、診断データの作成に用いられる稼働データは、処理装置12Aにおける1個所の稼働データでも、複数個所の稼働データでもよく、複数個所の稼働データを収集する場合には、障害発生の所定期間前から障害発生時までの稼働データと、障害発生時にのみ取得された稼働データとを組み合わせて診断データを作成してもよい。
障害発生時に制御部26が収集する稼働データの種類および数は、その障害個所、障害状態に応じて設定されるのがよい。
【0028】
このようにして障害発生時に作成され、記憶部28に一時的に記憶された診断データは、ネットワーク接続部30を介して自動的にサービスセンタ14へ送信される。
なお、障害発生時に作成され、記憶部28に記憶された診断データを、端末16A,16Bからの指示によってサービスセンタ14へ送信するようにしてもよいし、端末16A,16Bが記憶部28の診断データを受信して、サービスセンタ14に転送するようにしてもよい。
【0029】
サービスセンタ14は、処理装置12A,12B,12Cおよび端末16A,16Bとのデータの送受信のためにネットワーク18に接続するネットワーク接続部32と、端末16Aまたは16Bからの指示により、処理装置12A,12B,12Cの診断を実行し、診断結果を、指示を出した端末16Aまたは16Bに出力する診断エンジン34と、複数の診断データが記憶され、処理装置12A,12B,12Cの診断に用いられる診断データベース36と、処理装置12A,12B,12Cから送信された診断データを一時的に記憶する記憶部38とを備える。
【0030】
処理装置12A等の障害発生時に送られた診断データは、ネットワーク接続部32を介して受信され、一時的に記憶部38に記憶される。診断エンジン34は、端末16Aまたは16Bから処理装置12A等の診断実行の指示を受けると、記憶部38から該当する診断データを読み出し、この診断データに類似するデータを診断データベース36から検索し、検索結果である診断データとその診断データに関連付けられたアシスト情報を、診断結果として、診断エンジン34にアクセスした端末16Aまたは16Bに送信する。
【0031】
診断データベース36は、複数の、処理装置12Aと同種の処理装置における障害発生時に作成された診断データを蓄積したものである。
上述したように、診断データは処理装置12A等の障害発生時に、障害個所データ、障害状態データ、および稼働データから作成されるが、これに加えて、障害対処時または障害対処後に、端末16Aまたは16Bから障害の発生原因および対処方法等を入力し、サービスセンタ14に送信して、記憶部38に保持された診断データと関連付けて診断データベース36に記録するのが好ましい。さらに、障害対処時に必要な工具、交換部品や消耗品等、対処に当たるSEを支援する各種の情報も併せて関連付けて診断データベース36に記録してもよい。
【0032】
障害対処時または障害対処後に診断データを診断データベース36に記録した後、新たな情報を加える場合には、端末16Aまたは16Bからの入力指示により、診断データベース36に記録されている診断データに関連付けて、各種の情報を記録すればよい。
また、処理装置12A等の障害に対してSEが容易に対処できるなどの理由で、サービスセンタ14による診断が不要な場合等は、処理装置12A等から送られた診断データが、直接、診断データベース36に記録されればよいが、その診断データに対し、さらに、新規の情報を追加する時にも、上記の方法で行えばよい。
【0033】
なお、本発明の処理装置診断システムは、サービスセンタ14が診断エンジン34を備えず、端末16Aまたは16Bが、記憶部38に一時的に記録された診断データ、あるいは、端末16Aまたは16Bが処理装置12A等から取得した診断データを基に、これに類似するデータを、診断データベース36から検索する形態とすることも可能である。この場合も、診断データおよび各種の情報の診断データベース36への記録は、上記の方法で行えばよい。
【0034】
診断データベース36の構築方法としては、予め別の手段によって収集または作成した、診断データおよび関連情報を診断データベース36に記録して、診断システム10の運用を開始し、さらに、上述のようにして、診断データおよび関連情報が診断データベース36に記録されることが繰り返されることによって、診断データベース36のデータ量を増やし、処理装置12A等の実態により即した診断データベース36を構築していくのが好ましい。
【0035】
ただし、診断データベース36の構築方法はこれに限定されず、診断データベース36が初期データを保有せずに診断システム10の運用を開始し、上述のようにして、診断データベース36に診断データおよび関連情報を蓄積することで構築してもよい。
【0036】
端末16Aは、処理装置12A,12B,12Cの何れとも直接的に接続されていなければ、どこに設置されてもよく、例えば、同種の処理装置の機器販売店等に設置された、SEが使用可能な固定型端末で、いわゆるパーソナルコンピュータ(PC)ある。また、端末16Bは、SEが処理装置12A等の設置場所に出掛ける際などに携行する携帯型端末で、いわゆるモバイルPCである。
【0037】
このような端末16A,16Bは、機器販売店等の数やSEの人数に応じて固定型、携帯型を問わず、1つ、または複数設けられる。端末16A,16Bの構成および作用は何れも基本的に同様であるので、以下には端末16Aについてのみ、その作用を説明する。
端末16Aは、有線または無線でネットワーク18に接続するネットワーク接続部40と、表示部42と、制御部44と、キー入力部46とを有する。
【0038】
処理装置12A等の障害発生時に、障害対処に当たるSEによってキー入力部46から所定の指示が入力されると、制御部44はサービスセンタ14の診断エンジン34にアクセスし、処理装置12A等の診断を開始させる。
なお、サービスセンタ14が診断エンジン34を有さない形態の場合には、キー入力部46から入力された指示に従って、制御部44がサービスセンタ14にアクセスし、前述の方法によって処理装置12A等の診断を行う。
【0039】
また、制御部44は、サービスセンタ14から診断結果を受け取ると、その診断結果を、例えば、表示部42に表示する。これにより、表示部42には、診断結果として、障害が発生した処理装置12A等の診断データと類似する診断データが、好ましくは、これに加えて障害の発生原因、対処方法、その他障害対処のアシスト情報が表示され、SEは、これらを参考にして効率良く障害に対処することができる。
【0040】
なお、制御部44からの診断結果の出力は、上記以外にも、プリンタを接続してプリントアウトしたり、音声によって知らせる等、各種の伝達手段によって行うことができる。
また、診断結果が、サービスセンタ14から障害が発生した処理装置12A等に送信され、処理装置12A等において、上記のような方法で出力される形態としてもよい。
【0041】
SEが処理装置12A等の障害対処時等に、障害の発生原因、対処方法等に関して新たな情報を得た場合は、キー入力部46から制御部44にそれらの情報が入力される。制御部44は、入力された情報をサービスセンタ14に送信して、記憶部38または診断データベース36に記録されている診断データと関連付けて、診断データベース36に記録する。
このような端末16Aおよびサービスセンタ14間のデータ通信は、ネットワーク接続部40を介して有線または無線でネットワーク18に接続することで行われる。
【0042】
以上のようにして、処理装置12A,12B,12Cの障害発生時の診断データを、好ましくは、障害の発生原因、対処方法等と関連付けて、サービスセンタ14において診断データベース36として蓄積し、処理装置12A,12B,12Cの新たな障害発生時に、診断データベース36に記録されている類似の診断データを端末16A,16Bに提供することで、障害対処にあたるSEの作業を容易かつ効率的にし、SEの負担を低減すると同時に、処理装置12A,12B,12Cのユーザの経済的損失を最小限にすることができる。
【0043】
次に、本発明に係る処理装置診断システムをより具体的に説明するために、処理装置12Aとして、図2に示される画像出力装置50を用いた場合について説明する。
なお、図1の処理装置12B,12C等としては処理装置12A(画像出力装置50)と同種の画像処理装置が用いられ、それぞれ別のラボ店等に1台または複数台が設置される。これらの画像処理装置は、全く同じ機種であっても良いし、診断データが互換性を持つように設定されていれば、機種構成が異なるものであっても良い。
【0044】
画像出力装置50は、ネガフィルムやリバーサルフィルム等の写真フィルム(以下、単にフィルムとする)や、フレキシブルディスク(FD)、ZipTM等の磁気ディスク、CD−R等の光ディスク、光磁気ディスク(MO)、デジタルスチルカメラに装填可能なPCカードやSmartMedia(登録商標)、ICカード等の各種情報記録媒体から入力画像データを取得し、この入力画像データに所定の画像処理を施して出力画像(写真プリント)や出力画像データを得るデジタルフォトプリンタである。
【0045】
このような画像出力装置50は、フィルムFに撮影された画像を光電的に読み取る読取装置であるスキャナ52と、スキャナ52で読み取られたフィルムFの入力画像データに所定の画像処理を施して、処理画像データとする画像処理部54と、画像処理部54から出力された画像データに応じて変調された光ビームで感光材料Aを走査露光した後、現像処理を施してプリントとして出力する画像記録装置であるプリンタ56と、画像出力装置50全体の管理や制御、操作等を行う制御部58と、制御部58をネットワーク18に接続するネットワーク接続部60と、スキャナ52や画像処理部54やプリンタ56の稼働データの適正範囲等の管理用データ、および、画像出力装置50の各処理部や各稼働部を表す個所コードや、画像出力装置50で起こり得る各種の障害状態をコード化したエラーコード等を記憶している管理用メモリ61と、各種の稼働データを所定期間記録保持し、また、障害発生時に作成された診断データを一時的に記憶するメモリ62とを備える。さらに、フィルムFの替わりにFDやCD−R等の情報記録媒体に記録された画像データを読み取って入力画像データとし、また必要に応じて出力画像データを情報記録媒体に書き込む、読込・書込ドライブ64を備える。
【0046】
ここで、スキャナ52および読込・書込ドライブ64は、図1の処理装置12Aにおける入力部20に、画像処理部54は処理部22に、プリンタ56および読込・書込ドライブ64は出力部24に、制御部58は制御部26に、ネットワーク接続部60はネットワーク接続部30に、管理用メモリ61およびメモリ62は記憶部28に、それぞれ相当する。
【0047】
スキャナ52は、フィルムFに撮影された画像を光電的に読み取る画像読取装置であって、光源66と、可変絞り68と、フィルムFに撮影された画像をR(赤)、G(緑)、B(青)の三原色に分解するためのR、G、Bの3枚の色フィルタを読取光の光路に順次挿入する色フィルタ板70と、フィルムFに入射する読取光をフィルムFの面方向で均一にするための拡散ボックス72と、複数の画像が連続的に記録された長尺なフィルムFの各コマを所定の読取位置に搬送するためのキャリア74と、読取光を適切に結像するための結像レンズユニット76と、フィルムFに撮影された画像を1枚(1コマ)読み取るエリアセンサであるCCDセンサ78と、アンプ(増幅器)80と、A/D変換器82とを備える。
【0048】
このようなスキャナ52においては、光源66から射出され、可変絞り68によって光量調整され、色フィルタ板70によって色調整され、拡散ボックス72によって拡散された読取光が、キャリア74に保持されたフィルムFを透過することにより、フィルムFに記録された画像を担持する投影光が得られる。フィルムFの投影光は、結像レンズユニット76によってCCDセンサ78の受光面に結像され、設定された蓄積時間中に受光した光量が、CCDセンサ78によって光電的に読み取られる。CCDセンサ78からの出力信号は、アンプ80で増幅されA/D変換器90でA/D変換され、画像データ信号とされた後、画像処理部54に送られる。
【0049】
キャリア74は、図3に示されるように、フィルムFの1コマの画像読取範囲に対応する矩形の開口部Wを有しており、読取光がこの開口部Wのみを通過することで、開口部Wに位置するフィルムFの画像が読み取られる。キャリア74としては、135サイズのフィルムやAPS(Advanced Photo System )フィルム、ブローニーフィルム等、各種のフィルムに対応する専用のキャリアが用意されている。
キャリア74には、フィルムFのコマ(記録画像)の位置を検出するためのコマ検出センサ84と、フィルムFをキャリア74上で搬送するフィルム搬送手段(図示されず)とが備えられている。
【0050】
コマ検出センサ84は、フィルムFの透過光量の差によってフィルムFの濃度変化を検出する1組以上の光センサ(フォトインタラプタ)で、フィルムFの感光した部分(コマ部)のフィルム濃度が、感光していない部分の濃度(ベース濃度)に比べて充分高いことから、キャリア74によって搬送されるフィルムFの濃度が設定値を超えたところをコマ端部として検出する。
【0051】
このコマ検出センサ84は、キャリア74に固定されるか、キャリア74と一定の位置関係に設置されており、コマ検出センサ84が検出したコマ端部から設定される読取範囲が、キャリア74の開口部Wを満たすように、キャリア74がフィルムFを搬送する。
キャリア74におけるフィルムFの搬送手段としては、搬送ローラ対でフィルムFを挟持搬送する方法や、フィルムFのパーフォレーション(カメラに装填時のコマ送り用穴)に突起を掛けて搬送する方法等、公知の方法が用いられる。
【0052】
コマ検出センサ84により検出され、読取位置(キャリア74の開口部W)に搬送されたコマから読み出された画像データは、後述する画像処理部54を経てディスプレイ100に表示され、オペレータによる画像の検定に用いられる。この画像データは、後述する補正および処理を施された後、プリンタ56においてプリントとして出力されるか、読込・書込ドライブ64において、情報記録媒体に記録される。
【0053】
図示例のスキャナ52においては、CCDセンサ78はエリアセンサであるので、色フィルタ板70のR,G,Bの各色フィルタを順次光路に挿入して3回の画像読取を行うことにより、フィルムFに撮影された画像をR,G,Bの3原色に分解して読み取る。なお、CCDセンサ78は、エリアセンサに限定されず、例えば、フィルムFの搬送方向と直交する方向に1次元的に受光素子が延在するように配置されたラインCCDセンサであってもよい。
【0054】
スキャナ52は、記録用の画像データを得るための画像読取(ファインスキャン)に先立ち、低解像度で画像を粗に読み取るプレスキャンを行い、ファインスキャンでの読み取り条件、すなわち、可変絞り68による光量の絞り値やCCDセンサ78で読み取る際の蓄積時間を定めてファインスキャンを行う。
【0055】
画像処理部54は、プレスキャンで得られた画像データから各種の画像処理条件を設定(セットアップ)し、この画像処理条件に応じてファインスキャンの画像データを画像処理して、プリンタ56による画像記録用の画像データとするものであり、画像データをlog変換するLUT(ルックアップテーブル)86と、データ補正部88と、プレスキャンメモリ90と、ファインスキャンメモリ92と、データ処理部94とを有する。
【0056】
データ補正部88は、LUT86でlog変換された画像データに、DCオフセット補正、暗時補正、シェーディング補正等の所定の前処理を施し、プレスキャンメモリ90もしくはファインスキャンメモリ92に送る。
【0057】
プレスキャンメモリ90およびファインスキャンメモリ92は、スキャナ52によって読み取られた画像データを記憶するフレームメモリ(F.M.)であって、プレスキャンの画像データ(プレスキャンデータ)は、順次プレスキャンメモリ90に送られ、また、ファインスキャンの画像データ(ファインスキャンデータ)は、順次ファインスキャンメモリ92に送られて、それぞれ記憶される。
【0058】
データ処理部94は、CPU、メモリ、各種の画像処理回路等を組み合わせて構成される部分で、プレスキャンデータから、濃度ヒストグラムの作成や画像特徴量の算出等を行って、可変絞り68の絞り値等のファインスキャンにおける読取条件および各種の画像処理条件を設定してオペレータの検定を通して確定する。
【0059】
また、データ処理部94は、決定されたファインスキャン読取条件下で行われたスキャナ52によるファインスキャンで得られ、ファインスキャンメモリ92に記憶されたファインスキャンデータを、ファインスキャンメモリ92から読み出して、決定された画像処理条件のもとに、色/濃度補正、中間階調を保持したダイナミックレンジの圧縮/伸長(画像処理による覆い焼き効果の付与)、電子変倍処理(画像の拡大/縮小)、鮮鋭化処理(シャープネス)等の所定の画像処理を施して処理画像データとし、プリンタ56に、あるいは、読込・書込ドライブ64に送る。
【0060】
一方、読込・書込ドライブ64から入力画像データが取得された場合は、この画像データがファインスキャンメモリ92に送られ、必要に応じてデータ処理部94で上記の画像処理を施されて、プリンタ56に送られる。
【0061】
制御部58は、画像出力装置50全体の制御や管理、各種の操作や条件設定等を行うもので、指示入力のためのキーボード96およびマウス98と、スキャナ52で読み取られた画像や、管理情報画面、処理条件設定画面、障害情報画面等を表示するディスプレイ100と、ネットワーク接続部60と、管理用メモリ61と、メモリ62とに接続される。
【0062】
ネットワーク接続部60は、広域ネットワーク(WAN:Wide Area Network )や、イーサネット(登録商標)等に代表されるローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)などの各種のネットワークに接続するためのもので、例えば、制御部58をLANに接続するためのイーサネット(登録商標)・カードや、制御部58を通信回線を経てWANに接続するためのモデム等と、ネットワークへの接続用のソフトウェアとを有する。
【0063】
プリンタ56は、図4(A)および(B)や、図5に示される、デジタル露光が可能な画像記録装置である。図4(A)はプリンタ56における感光材料Aの供給部から露光部までの概略構成を示す概念図であり、図4(B)は露光部の概略構成を示す概念図であり、図5は現像部の概略構成を示す概念図である。
【0064】
図4(A)に示されるように、プリンタ56は、長尺の感光材料をロール状に収めたマガジン102と、長尺の感光材料を所定長さにカットしてカットシート状感光材料Aとするカッタ104と、感光材料Aの非画像記録面(非感材面)に感光材料Aに記録される画像に関する情報を印字する裏印字手段106と、感光材料Aを露光して潜像を記録する露光部108と、感光材料Aに記録された潜像を現像する現像部110と、マガジン102からカッタ104、裏印字手段106、露光部108を経て現像部110を出るまでの所定の経路に沿って感光材料Aを搬送する搬送手段112とを有する。
【0065】
露光部108は、記録する画像に応じて変調した光ビームによって感光材料Aを走査露光して感光材料Aに潜像を記録する、公知の光ビーム走査装置である。露光部108は、図4(B)に示されるように、ドライバ114と、感光材料AのR感光層の露光に対応する光源116Rと、感光材料AのG感光層に対応する光源116Gと、感光材料AのB感光層に対応する光源116Bと、光偏向器としてのポリゴンミラー118と、fθレンズ120とを有する。
【0066】
図示例の露光部108においては、各光源116R,116G,116B(以下、まとめて光源116とする)として、LD(レーザーダイオード)等の半導体レーザが用いられる。ドライバ114は、画像処理部54(データ処理部94)から出力された画像データに応じて変調された光ビームが射出されるように、光源116を駆動する。光源116から射出された各光ビームはポリゴンミラー118で偏向され、fθレンズ120によって、感光材料A上の画成される主走査線上で光ビームのビームスポット径が同一となるように補正されて、記録位置zにおいて走査方向と直交する方向(副走査方向)に搬送される感光材料Aを走査露光することで、感光材料Aに潜像を記録する。
【0067】
図5に示される現像部110は、発色現像槽122、漂白定着槽124、水洗槽126a,126b,126c,および126dの各槽を有し、感光材料Aはこれらの各槽で処理された後、乾燥されて、プリント出力画像が出力される。発色現像槽122、漂白定着槽124、水洗槽126a,126b,126c,および126dの各槽には、液温管理用の温度計が備えられ、温度計で計測される各槽の液温が制御部58(図2参照)で常時管理される。また、現像処理液の状態に応じて、リザーブタンクに貯留された現像液や定着液や洗浄水がリザーブタンクから各槽に所要量補充される。
【0068】
プリンタ56の全工程における感光材料Aの搬送は、搬送手段112(図4(A))によって行われる。搬送手段112としては多数の搬送ローラ対を感光材料Aの搬送方向長さよりも短い間隔で並べる方法や、搬送ベルトによる方法など、公知の技術が用いられる。
【0069】
このような画像出力装置50の各処理部おいて、画像が正しく出力されなかったり、装置が正常に作動しなくなるような障害が発生することがある。
例えば、スキャナ52のキャリア74では、先頭コマを正しく検出できなかったり、コマ間がディスプレイ100やプリントに写し出されたり、画像取込位置が画像の上下または左右にずれてしまったり、検出されないコマがあったり、また、指定したコマと別のコマを検出してしまったり、といった画像取込不良が発生することがある。このような画像取込不良の原因としては、コマ検出センサ84の検出不良、フィルムの搬送不良、フィルムFの画像不良等が挙げられる。
【0070】
キャリア74においては、コマ検出センサ84によるコマ検出データや、フィルムFの搬送データが、稼働データとしてメモリ62に記録される。具体的には、各コマの検出データとして、先頭コマからの順番や、各コマの中心位置、各コマの最高濃度値および最低濃度値、フィルムフラグ、ホールフラグ、ミミかぶりフラグ、コマかぶりフラグ等のデータが記録され、また、搬送データとして、モータの回転数(パルス数)等から算出されるフィルムFの機械的送り量や、センサにより検出される、パーフォレーションのフィルムFの幅方向の位置、搬送方向のパーフォレーションの間隔等のデータが記録される。
これらのデータが、キャリア74の稼働データとして制御部58により常時取得され、メモリ62において所定期間保持される。
【0071】
また、露光部108において、光源116に半導体レーザを使用した場合、光源116の温度が変化すると光源116から射出される光ビームの波長が変化するため、感光材料Aにおいて適正な画像露光が行われず、従って適正な画像が記録されない、という障害が発生する。そこで、光源116の温度を管理するために、光源116の温度や駆動電流値等が、露光部108の稼働データとして、制御部58によって常時取得され、メモリ62に所定期間保存される。
【0072】
現像部110では、発色現像槽122、漂白定着槽124、水洗槽126a,126b,126c,および126dの各槽の処理液温度や濃度の変化、あるいは劣化などにより、処理液の処理能力が低下し、画像が適切に現像されないという障害が発生することがある。
現像部110においては、現像処理液の温度や使用時間、補充量、現像処理液の濃度等のデータが制御部58によって取得される。これらのデータは、現像部110の稼働データとしてメモリ62に所定期間保持される。
【0073】
搬送手段112による感光材料Aの搬送速度は、各工程において適切な処理が行われるように各工程ごとに定められているため、搬送速度が適正範囲から外れると適切な処理が行われなくなり、プリンタ56から出力されるプリント画像が不良となる。また、搬送手段112を構成する部品の故障や劣化により搬送に不具合を生じ、感光材料Aが搬送経路中で詰まって、いわゆるジャミングが発生し、搬送が不可能になったり、感光材料Aが蛇行して搬送されることによって感光材料Aの端辺が損傷することもある。
【0074】
プリンタ56においては、感光材料Aの搬送路中の複数個所において感光材料Aを検出することで、各検出器間の搬送時間、1枚の感光材料Aの検出器下通過時間、および、搬送方向に対して幅方向の通過位置等を測定し、搬送手段112による搬送状態を管理する。
図4および図5に示されるプリンタ56においては、カッタ104、裏印字手段106、レジスト部(感光材料Aの位置合わせ部、図示されず)、露光部108、現像部110の入口、現像部110の出口等の主要な個所に、感光材料Aを検出する検出器として、図示されない光センサ(フォトインタラプタ)が設けられ、各検出器によるデータが、搬送手段112の稼働データとして制御部58によって取得され、メモリ62に所定期間保持される。
【0075】
制御部58は、以上のような稼働データを、管理用メモリ61に記憶された、各稼働データの適正範囲と比較することで、キャリア74、露光部108、現像部110、および搬送手段112の稼働状態を管理する。
これら、キャリア74、露光部108、現像部110、および搬送手段112の稼働データの何れかが、予め設定された適正範囲を外れると、制御部58は、適正範囲を外れた稼働データを取得している処理部または稼働部で障害が発生したものと判断する。
【0076】
制御部58は、障害個所データとして、該当する処理部または稼働部を表す個所コードを管理用メモリ61から読み出し、障害状態データとして、稼働データの挙動に対応するエラーコードを管理用メモリ61から読み出し、障害個所の稼働データをメモリ62から取り出して、これらを併せて診断データを作成し、一時的にメモリ62に記録する。
また、制御部58は、ディスプレイ100への表示や音声などによって、キャリア74、露光部108、現像部110、または搬送手段112において障害が発生したことをオペレータに通知したり、障害個所の稼働を停止させる。
【0077】
ここで、メモリ62には、所定期間分の稼働データが保持されているので、障害発生以前の所定期間の稼働データを、診断データとすることができる。ここで、診断データとする稼働データは、メモリ62に保持されている稼働データの全てであっても、一部であってもよい。
【0078】
一方、ディスプレイ100に不適正なコマが表示されたり、プリンタ56から不適正なプリントが出力されたり、あるいは、スキャナ52やプリンタ56が不意に停止すること等により、オペレータが画像出力装置50における障害を認識した場合には、オペレータが、キーボード96またはマウス98によって所定の操作を行うことにより、障害が発生したことが制御部58に通知される。
【0079】
さらに、オペレータは、キーボード96またはマウス98によって、発生している障害に関する情報を制御部58に入力する。
オペレータによる障害情報の入力は、ディスプレイ100に障害情報入力画面を表示し、画面上の選択肢から、当てはまる項目を選択する等の方法によって、障害個所および障害状態に関する情報を入力する等の方法等によって行えばよい。
【0080】
障害発生の通知を受けた制御部58は、オペレータによって入力された情報に従って、上述したのと同様に、管理用メモリ61より障害個所データおよび障害状態データを読み出し、メモリ62から稼働データを取得して、診断データを作成し、一時的にメモリ62へ記憶させる。
例えば、障害発生個所が露光部108であることが入力されていれば、制御部58は、露光部108を表す障害個所データと、入力されている情報に応じた障害状態データを管理用メモリ61から読み出し、露光部108の稼働データをメモリ62から収集する。また、例えば、障害状態がプリント不良であることが入力されていれば、プリント不良を表す障害状態データと、その障害に関与する可能性のある障害個所データとして、露光部108および現像部110を表す障害個所データを管理用メモリ61から読み出し、これらの個所の稼働データを、メモリ62から収集する。
【0081】
障害個所および障害状態が不明な場合や、これらの障害情報が入力される形態でない場合は、制御部58は、メモリ62に記録されている各所の稼働データを全て収集してもよいし、管理用メモリ61からは、障害個所や障害状態の情報が不明であることを表す障害個所データや障害状態データを取得して、診断データを作成してもよい。
【0082】
また、稼働データが常時記録されていない個所では、制御部58が障害発生の情報を得た時点での、各部の稼働データが収集される。この稼働データは、入力された情報に従って管理用メモリ61から読み出された、障害個所データおよび障害状態データと併せて診断データとされる。
【0083】
このように作成された診断データを、ディスプレイ100に表示する等の方法で、オペレータが障害の状態を確認できるように出力するのも好ましい。
例えば、キャリア74の診断データとして、図6(A)および(B)に示されるような、パーフォレーション検出情報や、図7に示されるような、各コマの検出情報が、ディスプレイ100に表示されることで、オペレータが、キャリア74のフィルム搬送状態やフィルムFのコマの状態を確認できる。
また、例えば搬送手段112の診断データとして、図8に示されるような、感光材料(ペーパー)搬送状況の統計情報や、図9(A)および(B)に示されるような感光材料Aの搬送状態の履歴が、ディスプレイ100に表示されることによって、オペレータが、搬送手段112による感光材料Aの搬送状態を確認することができる。
作成された診断データは、ネットワーク18を介して自動的に、またはSEの指示により、サービスセンタ14(図1参照)に送信され、サービスセンタ14の記憶部38に一時的に記憶される。
【0084】
画像出力装置50における障害の発生を認識したオペレータが、画像出力装置50の状態や処理結果を見て、あるいは、画像出力装置50(制御部58)からの通知によって、障害の状態を容易に把握でき、かつ、容易に対処できる場合には、オペレータはSEに連絡することなく、独自で障害に対処することができる。
例えば、スキャナ52のキャリア74における、フィルムの搬送不良が、キャリア74へのフィルムセット不良によるものであったり、コマ検出の失敗が、画像不良(スーパーアンダー、スーパーオーバー、2つのコマが重なって記録されている、コマ間隔やコマの幅が不良である等)によるものである等、キャリア74の故障でないことが明らかであれば、オペレータは、フィルムをセットし直したり、フィルムのクリーニングを行ったり、コマを1つずつ確認しながら送りを手動調整するなどの方法で、容易に対処できる。
【0085】
一方、オペレータが対処方法を分からなかったり、対処方法が技術を要するものである場合には、オペレータはSEに連絡し、画像出力装置50の障害の対処を依頼する。
オペレータから画像出力装置50での障害発生の連絡を受けたSEは、機器販売店等に設置された端末16A、または、携行しているSE用端末16Bを操作して、サービスセンタ14にアクセスし、診断エンジン34を作動させる。ここでは一例として、端末16Aを用いるものとする。
【0086】
診断エンジン34は、診断データベース36を検索して画像出力装置50から送信された診断データに類似する診断データを抽出して、診断エンジン34にアクセスした端末16Aに診断結果として送信する。
ここで、診断データが障害発生以前の所定期間の稼働データを有する場合、診断エンジン34は、診断データベース36から、より症状の近い障害例を抽出することができるため、診断結果として、即時に活用できる、有益な情報を提供することができる。
【0087】
端末16Aが受信した診断結果は、表示部42に表示される。この診断結果は、画像出力装置50で生じている障害と類似する障害事例の診断データであり、好ましくは、これに加えて、その障害の発生原因、対処方法、その他障害対処のアシスト情報である。
【0088】
キャリア74での画像取込不良に対する診断結果としては、キャリア74における障害発生時に作成された診断データ、および、診断データベース36から検索された類似する診断データが表示される。これらの診断データは、障害個所データおよび障害状態データを含んでおり、例えば、障害発生個所が、コマ検出センサ84またはフィルム搬送手段であり、障害状態が、コマ検出センサ84の動作不良、あるいは搬送手段の動作不良である、といった情報も表示される。
【0089】
さらに、好ましい形態として、検索された診断データに、障害の発生原因や対処方法等の関連情報が記録されていた場合には、例えばその原因として、コマ検出センサ84の感度不良、フィルム搬送部の故障等が表示され、その対処方法として、コマ検出センサ84のクリーニングや調整、搬送手段の調整や部品交換が必要であること等が示される。
【0090】
また、露光部108における障害の診断結果としては、例えば、障害個所が光源116であり、障害状態が温度異常あるいは電流値異常であるといった情報と、好ましくは、その原因として光源116部のヒューズが切れている可能性がある、といった警告、さらにその対処方法として、ヒューズの交換等の指示が表示される。
【0091】
現像部110における現像不良の診断結果としては、例えば、障害個所が、発色現像槽122、漂白定着槽124、水洗槽126a,126b,126c,および126dのうち何れかの槽であり、障害状態が、処理液の温度異常、濃度が不適正であること等が表示される。また、好ましくは、その原因として、温調装置の故障や、処理液供給器の異常、現像処理液が劣化している等の可能性があることが表示され、その対処方法として、温調装置の調整や、現像処理液の交換または補充が必要であること等が示される。
【0092】
搬送手段112における搬送不良の診断結果としては、例えば、障害個所はカッタ104から裏印字手段106までの区間であり、障害状態は、ペーパー詰まり(ジャミング)や蛇行であるといった情報が表示される。さらに、好ましくは、その原因として搬送ローラの磨耗、駆動系の故障、搬送ローラ対の感光材料Aの挟持力の異常等の可能性があることが表示され、その対処方法として、部品の交換や駆動系のメンテナンス、搬送ローラ対の挟持力の調整が必要であるといった指示が表示される。
【0093】
これらの情報に基づいて、SE自身が障害に対処するか、SEの指示によって画像出力装置50のオペレータが対処することで、迅速かつ容易に障害を解消することができる。
障害が解消されると、判明した障害の原因や講じられた対処方法、交換部品等の情報が端末16Aから入力され、診断データに関連付けられて、診断データベース36に記録される。これにより、新たな診断データが診断データベース36に蓄積される。
【0094】
このように、画像出力装置50において、スキャナ52のキャリア74や、プリンタ56の露光部108、現像部110、および、搬送手段112の何れかの障害が発生した場合、障害に関与する稼働データ、障害個所データおよび障害状態データを併せて、診断データが作成され、この診断データに類似するデータが、診断データベース36から抽出され、アシスト情報が提供されることによって、SEは、画像出力装置50の障害原因や対処方法を即時に判断することができ、迅速かつ容易に障害を解消することができる。
【0095】
以上、画像出力装置50における障害発生例と診断データ作成例として、スキャナ52におけるキャリア74、プリンタ56における露光部108および現像部110、および、搬送手段112について、詳細に説明したが、画像出力装置50の稼働データを常時記録する個所や障害発生時に稼働データを取得する個所は、上記の例に限るものではなく、各所において適宜行われるものである。
【0096】
なお、本実施例では、処理装置12A等において、複数の処理部の稼働データをメモリ62に記録し、障害発生時には、制御部58がメモリ62から必要な稼働データを取得する形態としたが、本発明はこれに限定されず、各処理部毎に、または、各センサ毎に記憶部を有する形態として、各処理部や各センサにおいて夫々の稼働データを保持し、障害発生時には、制御部58が、これらの各記憶部から必要な稼働データを収集して、メモリ62に記録してもよい。また、これらを適宜組み合わせた形態としてもよい。
【0097】
また、サービスセンタ14に送信されたデータは記憶部38に一時的に記録され、端末16A,16Bからの指示により対処方法と合わせて診断データベース36に記録されるものとしたが、これに限るものではなく、記憶部38を有さず、診断データベース36に直接記録し、その後、障害の発生原因や対処方法等の関連情報を端末16A,16Bからの指示により、診断データベース36の診断データと関連付けて保存することにより、診断データベース36を構築する形態としてもよい。
【0098】
なお、本実施例では、プリンタ56を、感光材料を露光し、湿式現像処理を行って、プリント出力画像を出力するものとしたが、本発明はこれに限定はされず、感光材料は、感光感熱材料、感光感圧材料等の公知の感光材料を用いるものであってもよいし、さらに、サーマルプリンタ、インクジェットプリンタ、電子写真プリンタ等の公知のプリンタによって、出力画像を得るものであってもよい。
【0099】
以上、本発明の処理装置診断システムについて詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0100】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の処理装置診断システムによれば、デジタルフォトプリンタ等の処理装置における障害発生時に、処理装置において障害発生時の稼働状態を表す稼働データと障害個所データおよび障害状態データを含む診断データを作成し、さらに、好ましくは、障害の発生原因や対処方法等を関連付けて、診断データベースとして蓄積するので、処理装置診断システムに接続されている処理装置の実態に即した障害事例を蓄積し、以後に発生した同様の障害の対処に際して有益なアシスト情報を提供する、診断データベースを構築することができる。
【0101】
また、処理装置の障害発生時に作成された診断データと類似のデータを、診断データベースから検索し、過去に発生した類似の障害における診断データ、さらに、好ましくは、障害の発生原因および対処方法等を出力することで、障害対処に当たるSEの作業を容易かつ効率的にし、SEの負担を低減すると同時に、処理装置の停止によるユーザの経済的損失を最小限にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る処理装置診断システムの一実施例を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る処理装置診断システムの処理装置の一例である画像出力装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】キャリアを説明する概念斜視図である。
【図4】(A)は、図2の画像出力装置のプリンタにおける供給部から露光部までの概略構成を示す概念図であり、(B)は、露光部の概略構成を示す概念図である。
【図5】図2の画像出力装置のプリンタにおける現像部の概略構成を示す概念斜視図である。
【図6】(A)および(B)は、パーフォレーション検出情報表示画面の一例を示す図である。
【図7】コマ検出情報表示画面の一例を示す図である。
【図8】感光材料(ペーパー)搬送状況の統計情報表示画面の一例を示す図である。
【図9】(A)および(B)は、感光材料の搬送状態の履歴表示画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
10 診断システム
12A,12B,12C 処理装置
14 サービスセンタ
16A,16B 端末
18 ネットワーク
34 診断エンジン
36 診断データベース
50 画像出力装置
52 スキャナ
54 画像処理部
56 プリンタ
58 制御部
61 管理用メモリ
62 メモリ
Claims (5)
- 処理対象物に処理を施して出力する処理部ならびに障害発生に関与する稼働データを障害個所データおよび障害状態データとともに収集して、障害を診断するための診断データとして記憶する記憶部を各々備える複数の処理装置と、
これらの複数の処理装置と通信可能であり、前記複数の処理装置から離れた遠隔地にある端末または携帯端末と、
前記処理装置の前記記憶部に記憶されている前記診断データを、前記処理装置から直接、もしくは前記端末または前記携帯端末を介して受信して蓄積する診断データベースを備えるサービスセンタと、
前記複数の処理装置と、前記端末または前記携帯端末と、前記サービスセンタとを接続する通信網とを有し、
前記端末または前記携帯端末は、前記複数の処理装置の1つの処理装置の障害発生時に、前記サービスセンタにアクセスして、前記データベースに蓄積された前記診断データを障害診断のアシスト情報として利用することを特徴とする処理装置診断システム。 - 前記処理装置は、前記障害発生時に、前記障害個所データおよび前記障害状態データとともに、前記診断データとして必要となる前記障害発生時の前記稼働データおよび障害発生以前の所定期間の前記稼働データを収集して、前記記憶部に記憶する請求項1に記載の処理装置診断システム。
- 前記サービスセンタは、前記データベースに記憶された前記診断データを検索して、検索された前記診断データを出力する診断エンジンを有し、
前記端末または前記携帯端末は、前記処理装置の障害発生時に、前記サービスセンタの前記診断エンジンにアクセスして、前記診断エンジンに、前記処理装置が収集した診断データを用いて前記データベースを検索させ、一致する前記診断データを出力させる請求項1または2に記載の処理装置診断システム。 - 前記処理装置の障害の発生原因および対処方法の少なくとも一方が判明した時点で、前記端末または前記携帯端末は、入力された前記障害の発生原因および対処方法の少なくとも一方を前記サービスセンタの前記データベースに送信し、
前記データベースは、受信した前記障害の発生原因および対処方法の少なくとも一方を前記処理装置から直接または間接に受信した前記診断データと関連付けて蓄積する請求項1または2に記載の処理装置診断システム。 - 前記サービスセンタは、前記データベースに記憶された前記診断データを検索して、検索された前記診断データに関連付けて蓄積された前記障害の発生原因および対処方法の少なくとも一方を出力する診断エンジンを有し、
前記端末または前記携帯端末は、前記処理装置の障害発生時に、前記サービスセンタの前記診断エンジンにアクセスして、前記診断エンジンに、前記処理装置が収集した診断データを用いて前記データベースを検索させ、一致する前記診断データに関連付けて蓄積された前記障害の発生原因および対処方法の少なくとも一方を出力させる請求項4に記載の処理装置診断システム。
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JP2002172714A JP2004021396A (ja) | 2002-06-13 | 2002-06-13 | 処理装置診断システム |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007318740A (ja) * | 2006-04-24 | 2007-12-06 | Fujitsu Ltd | 対応支援方法、対応支援システム、対応支援装置及びコンピュータプログラム |
JP2010152250A (ja) * | 2008-12-26 | 2010-07-08 | Fuji Xerox Co Ltd | 画像形成装置、外部診断装置、診断システム、および診断プログラム |
JP2019057139A (ja) * | 2017-09-21 | 2019-04-11 | 日本電気株式会社 | 運用管理システム、監視サーバ、方法およびプログラム |
-
2002
- 2002-06-13 JP JP2002172714A patent/JP2004021396A/ja not_active Withdrawn
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