JP2004016312A

JP2004016312A - 座席用クッション材

Info

Publication number: JP2004016312A
Application number: JP2002172299A
Authority: JP
Inventors: Takatsugu Ariga; 有賀　崇嗣
Original assignee: Kariya Timber Industry Inc
Current assignee: Kariya Timber Industry Inc
Priority date: 2002-06-13
Filing date: 2002-06-13
Publication date: 2004-01-22
Anticipated expiration: 2022-06-13
Also published as: JP4102117B2

Abstract

【課題】体圧分散と沈み込み量を最適に調整し、正しい着座姿勢を保ち、座り心地の良い座席用クッション材を提供する。
【解決手段】クッション材本体８ａに、その裏面側が開口し、表面側が閉塞された有底状の調整穴を、仙骨３部に位置する部分と、座骨４部に位置する部分と、大腿部５に位置する部分と、仙骨３部と座骨４部の周囲に位置する部分に配置する。前記座骨４部に位置する調整穴１１を大径に、前記仙骨３部と大腿部５に位置する調整穴１２，１７〜１９を中程度の径に、前記仙骨３部と座骨４部の周囲に位置する調整穴１３〜１５を小径に設定する。
【選択図】　　　　　図４

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は座席用クッション材に関するもので、より詳しくは椅子の座席等に使用される座席用クッション材に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、椅子の座席等において、座り心地を良くするために、バネ材を内蔵したり、硬さが異なるウレタンを貼り合わせたクッション材を内蔵するものが知られている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、長時間座っても疲れない、臀部が痛くならないようにして座り心地を高めるためには、着座した場合に、適正な体圧分散や適正な量の沈み込みを図り、適正な圧縮応力が作用するようにして正しい着座姿勢を保つことが必要である。
【０００４】
しかし、前記従来のようなバネ材を内蔵したり、硬さが異なるウレタンを貼り合わせたクッション材を内蔵するものにおいては、座面における微細な部分まで、適正な体圧分散や適正な量の沈み込みを図り、適正な圧縮応力が作用するように調整することができなかった。
【０００５】
そこで本発明は、クッション材本体に多数の調整穴を形成するとともに、この多数の調整穴の形状を、体圧が異なる部分毎に相違させて設定し、座面の細部まで適正な体圧分散や適正な量の沈み込みを図り、適正な圧縮応力が作用するようにして正しい着座姿勢を保つとともに疲れが少ない座席用クッション材を提供することを目的とするものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、請求項１記載の第１の発明は、クッション材本体に、その裏面側が開口し、表面側が閉塞された有底状の調整穴を設けたクッション材であって、調整穴を、座骨が位置する部分を中心として、前方向へは圧縮応力が小さく、後側および左右側は圧縮応力が大きくなるように形成したことを特徴とするものである。
【０００７】
請求項２記載の第２の発明は、クッション材本体に、その裏面側が開口し、表面側が閉塞された有底状の調整穴を設けたクッション材であって、調整穴を、座骨部分より後側および左右側の部分の圧縮応力が座骨部分の圧縮応力と比べて大きく、また、座骨部分より前方部分の圧縮応力が、前記座骨部分の圧縮応力と比べて小さく、かつ前記座骨部分より後側および左右側の部分の圧縮応力に比べて小さくなるように成形したことを特徴とするものである。
【０００８】
請求項３記載の第３の発明は、前記第１又は第２の発明において、前記座骨が位置する部分およびその周囲に位置する部分の調整穴を、座骨部分の体圧を分散させるように成形したものである。
【０００９】
請求項４記載の第４の発明は、クッション材本体に、その裏面側が開口し、表面側が閉塞された有底状の調整穴を設けたクッション材であって、臀部の内側部に位置して大径の調整穴を配置し、臀部の外側部に位置して前記臀部の調整穴より小径の調整穴を配置し、大腿部に位置して、前記臀部の調整穴の径と外側の調整穴の径との中間の径にした中程度の径の調整穴を配置したことを特徴とするものである。
【００１０】
上記第１乃至第４の発明においては、このクッション材を座席に使用して着座すると、座骨が位置する部分を中心として、前方向へは圧縮応力が小さく、後側および左右側は圧縮応力が大きくなり、また、座骨部の沈み込み量が大きく、かつ、座骨部の体圧が良好に分散され、良好な着座姿勢を保持することができる。
【００１１】
請求項５記載の第５の発明は、クッション材本体に、その裏面側が開口し、表面側が閉塞された有底状の調整穴を、仙骨部に位置する部分と、座骨部に位置する部分と、大腿部に位置する部分と、仙骨部と座骨部の周囲に位置する部分に配置し、前記座骨部に位置する調整穴を大径に、前記仙骨部と大腿部に位置する調整穴の径を、前記座骨部に位置する調整穴の径より小さい中程度の径に、前記仙骨部と座骨部の周囲に位置する調整穴の径を、前記仙骨部と大腿部に位置する調整穴の径より小さい小径に設定したことを特徴とするものである。
【００１２】
本発明において、このクッション材を座席に使用し着座すると、座骨部に位置する調整穴が大径であることにより臀部の沈み込みが大きくなり、かつ、該調整穴が大径であるため、座骨部が所定位置より多少ずれても座骨部が該調整穴に位置し、正しい着座姿勢を保つことができる。
【００１３】
また、仙骨部に位置する調整穴は中程度の径の調整穴にしたので、仙骨部が沈みすぎて骨盤部が回転することを防止する。また、大腿部に位置する調整穴は中程度の径の調整穴に形成したので、大腿部の大きな沈み込みが防止されるとともに臀部（座骨部）のズレも防止される。
【００１４】
更に、仙骨部と座骨部に位置する部分の調整穴の周囲に小径の調整穴を配置したことにより、臀部が必要な丸みを持った形状に沈み込み、体圧分散が良好になる。
【００１５】
請求項６記載の第６の発明は、前記第５の発明において、前記座骨部に位置する調整穴を、その奥部に小径の穴を設けた２段状の穴に形成したものである。
【００１６】
本発明においては、座骨部の調整穴を周囲の調整穴より大きくし、かつ、該調整穴を２段状の穴としたので、座骨部を該座骨部用の調整穴に誘導し、圧力を逃すことができる。
【００１７】
請求項７記載の第７の発明は、前記第５又は第６の発明において、前記仙骨部に位置する調整穴と、前記座骨部に位置する調整穴と、前記仙骨部と座骨部の周囲に位置する調整穴の深さを略同等にし、前記大腿部に位置する調整穴を、臀部側から膝部側にいくに従って順次深さが深くなる穴にしたものである。
【００１８】
本発明においては、大腿部の調整穴を、膝部側にいくに従って順次深さが深くなる穴にしたので、膝部側にいくに従って体圧が逃げやすくなり、圧迫圧が小さくなって、大腿部での圧迫感が少なくなる。
【００１９】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施例の形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
【００２０】
図１は椅子の座席にウレタン製のクッション材を設け、該クッション材１（表装材は省略）上に人が着座した状態での沈み込み状態を示す図で、２は身体、３は仙骨、４は座骨、５は大腿部、６は下腿部を示す。図中、７は背もたれを示す。
【００２１】
次に前記図１に示すように着座した状態におけるクッション材への体圧分布について図２及び図３により説明する。
【００２２】
図２は良好な体圧分散状態を示し、Ｂは大腿部５での圧力、Ｃは座骨４部での圧力、Ｄは仙骨３での圧力を示し、これらの圧力はＡ＜Ｂ＜Ｄ＜Ｃの関係にある。すなわち、座骨４が位置する部分Ｃを中心として、前方向へは圧縮応力が小さく、左右側においては圧縮応力が大きくなる。したがって、座骨４（圧力Ｃ）を中心として綺麗に断層的に体圧分散しており、骨盤の回転が小さく、正しい着座姿勢を保ち、座り心地の良い座席となる。
【００２３】
図３は悪い体圧分散状態を示し、Ｂは大腿部５における圧力、Ｃは座骨４部での圧力、Ｄは仙骨３での圧力を示し、これらの圧力はＡ＜Ｂ＜Ｃ＜Ｄの関係にある。したがって、この状態では、臀部の沈み込み量が過大で、骨盤が回転し、仙骨３、大腿部５、下腿部６も大きく沈み込んで圧迫することになり、正しい着座姿勢を保ち得ず、座り心地の悪い座席となる。
【００２４】
そこで本発明は、クッション材に多数の調整穴を設けるとともに、これらの調整穴の形状などを前記図２に示すような体圧分散が得られるようにしたものである。
【００２５】
図４乃至図９において、本発明の調整穴を形成した座席用クッション材を示す。
【００２６】
図４は本発明のクッション材に人が着座した状態における身体２の仙骨３、座骨４、大腿部５、下腿部６とクッション材に形成した各調整穴との位置関係を示す図である。
【００２７】
クッション材８を形成するクッション材本体８ａは、着座できる大きさに、ウレタンによって形成されており、図の実施例では、図８及び図９に示すように幅が５００ｍｍ、奥行きが５５０ｍｍ、厚さが９０ｍｍの板状に形成されている。
【００２８】
該クッション材８に形成された各調整穴１１〜１９は、クッション材本体８ａの裏面８ｂ側が開口し、表面８ｃ側が無開口の有底穴に形成されており、その穴の形状（穴径と深さ）により沈み込み量（クッション性）を調整するようになっている。また、このクッション材本体８ａと各調整穴１１〜１９は、成形型内に調整穴を成形する型棒を配置し、この成形型内でウレタンを発泡させて成形する。
【００２９】
このように、弾性材であるウレタンに有底状の調整穴１１〜１９を形成した場合における、その調整穴１１〜１９の直径、深さ、密度、穴の深さ方向の形状による特性は次のようである。
【００３０】
調整穴の直径（大きさ）は、大径ほどウレタンの圧縮応力が小さく、体圧分散に大きく関係する。調整穴の深さは、主にウレタンの沈み込み量に関係し、深いほど沈み込み量は大きく着座姿勢に関係する。調整穴の配置密度は、体圧分散に関係し、密度が大きいほど分散性が大きい。調整穴の深さ方向の形状は、該穴の中での体圧の逃げ方の変化に影響し、形状によって体圧の逃げる方向をコントロールすることができる。
【００３１】
このような穴の特性を利用して、本発明は最も体圧のかかる臀部が、必要な丸みを持った形状に沈み込むように、穴の直径、深さ、密度等を選定し、沈み込みが必要な部位には穴を深くして沈み込みを大きくし、この場合、圧力が大きいため、反発力が小さすぎないように、細い穴を必要な沈み込み形状に合わせて配置した。
【００３２】
具体的には、調整穴を９種類の穴１１〜１９とし、これを図５に示すように配置した。
【００３３】
臀部２０が位置する中で座骨４の当たる部分の第１の調整穴１１は、着座した場合に、座骨４の先端部分のみ強い圧力がかかることと、座った場合に調整穴の位置に座骨４がくるとは限らないため、他の調整穴より大きい最も大径の穴とし、かつ、その奥部に、図７に示すように、細い径の段部１１ａを形成した２段状穴とし、座骨４を、この大きな調整穴１１の方に誘導し、圧力を逃がすようにした。該第１の調整穴１１の断面形状と寸法を図８に示す。図８における寸法の単位はｍｍである。
【００３４】
仙骨３が当たる部分の第２の調整穴１２は、仙骨３の周りは、臀部の中で最も圧力の影響を受けやすいため、前記第１の調整穴１１より細い中程度の直径で深い穴とし、仙骨３が沈み込みすぎると骨盤が回転し、正しい着座姿勢が取れないため、この第２の調整穴１２の周囲には、反発力を保つために、第２の調整穴１２よりも直径が小さく、かつ、第２の調整穴１２と同等の深さの第３の調整穴１３と第４の調整穴１４を配置した。この第２の調整穴１２と第３の調整穴１３と第４の調整穴１４の断面形状と寸法を図６及び図８に示す。
【００３５】
更に、前記第１の調整穴１１の周囲には、前記第４の調整穴１４とほぼ同様の第５の調整穴１５が設けられており、良好な体圧分散が行われるようになっている。該第５の調整穴１５の断面形状と寸法を図８に示す。
【００３６】
前記調整穴１３，１４，１５の直径は１４＜１３＜１５に設定されている。
大腿部５が当たる部分は、臀部から続く部分が最も圧力が高く、臀部に合わせた深い沈み込みが必要なため、前記第２の調整穴１２とほぼ同様な中程度の直径で、かつ、第２の調整穴１２とほぼ同様な深い第６の調整穴１６が形成されている。更に、該大腿部５においては、その膝方向にいく程、圧迫圧の影響を受けやすいため、圧迫圧を逃がすため、前記第６の調整穴１６より先方（膝方向）側には、前記第６の調整穴１６と同径で、かつ、膝側にいくに従って漸次穴が深くなる第７の調整穴１７、第８の調整穴１８、第９の調整穴１９が形成されている。これらの調整穴１６〜１９の断面形状と寸法を図８に示す。
【００３７】
前記の各調整穴１１〜１９の配置は図５に示す状態であり、クッション材本体８ａの中央線Ｘ−Ｘを中心として左右対称に配置されている。
【００３８】
また、前記の各調整穴は、臀部２０に位置する第１の調整穴１１〜第５の調整穴１５の密度が、大腿部５に位置する第６の調整穴１６〜第９の調整穴１９の密度よりも大きく設定されている。この各調整穴１１〜１９の配置間隔（密度）を図９に示す。図９における寸法の単位はｍｍである。
【００３９】
なお、前記の各調整穴１１〜１９の横断面形状は、前記実施例のような丸（丸穴）以外の、四角（四角穴）、三角（三角穴）、長円形（長穴）などでもよく、更に、各調整穴１１〜１９の縦断面形状はＶ字状でもよく、更に、各調整穴１１〜１９の寸法は前記実施例の値に限るものではなく、前記のような相対関係があればよい。更に、各調整穴１１〜１９の個数も前記の実施例の数に限定するものではない。
【００４０】
【発明の効果】
以上のようであるから本発明によれば、調整穴を、所定の位置に、所定の大きさ、所定の形状で配置したので、体圧分散と沈み込み量を最適に調整し、正しい着座姿勢を保ち、座り心地の良い座席用クッション材、強いては椅子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】椅子に着座した場合のクッション材の沈み込み状態を説明する図。
【図２】クッション材への良い体圧分散を説明する図。
【図３】クッション材への悪い体圧分散を説明する図。
【図４】本発明のクッション材における着座状態を説明する図。
【図５】本発明のクッション材の裏面図。
【図６】図５における左側面図。
【図７】図５におけるＡ−Ａ線断面図。
【図８】本発明のクッション材における調整穴の断面形状と寸法を示す図。
【図９】本発明のクッション材における調整穴の配置寸法を示す図。
【符号の説明】
８　　クッション材
８ａ　クッション材本体
８ｂ　裏面
８ｃ　表面
１１　座骨部に位置する調整穴
１１ａ　奥部の小穴
１２　仙骨部に位置する調整穴
１３〜１５　周囲に形成した調整穴
１６　調整穴
１７〜１９　大腿部に位置する調整穴

Claims

クッション材本体に、その裏面側が開口し、表面側が閉塞された有底状の調整穴を設けたクッション材であって、調整穴を、座骨が位置する部分を中心として、前方向へは圧縮応力が小さく、後側および左右側は圧縮応力が大きくなるように形成したことを特徴とする座席用クッション材。
クッション材本体に、その裏面側が開口し、表面側が閉塞された有底状の調整穴を設けたクッション材であって、調整穴を、座骨部分より後側および左右側の部分の圧縮応力が座骨部分の圧縮応力と比べて大きく、また、座骨部分より前方部分の圧縮応力が、前記座骨部分の圧縮応力と比べて小さく、かつ前記座骨部分より後側および左右側の部分の圧縮応力に比べて小さくなるように成形したことを特徴とする座席用クッション材。
前記座骨が位置する部分およびその周囲に位置する部分の調整穴を、座骨部分の体圧を分散させるように成形した請求項１又は２記載の座席用クッション材。
クッション材本体に、その裏面側が開口し、表面側が閉塞された有底状の調整穴を設けたクッション材であって、臀部の内側部に位置して大径の調整穴を配置し、臀部の外側部に位置して前記臀部の調整穴より小径の調整穴を配置し、大腿部に位置して、前記臀部の調整穴の径と外側の調整穴の径との中間の径にした中程度の径の調整穴を配置したことを特徴とする座席用クッション材。
クッション材本体に、その裏面側が開口し、表面側が閉塞された有底状の調整穴を、仙骨部に位置する部分と、座骨部に位置する部分と、大腿部に位置する部分と、仙骨部と座骨部の周囲に位置する部分に配置し、前記座骨部に位置する調整穴を大径に、前記仙骨部と大腿部に位置する調整穴の径を、前記座骨部に位置する調整穴の径より小さい中程度の径に、前記仙骨部と座骨部の周囲に位置する調整穴の径を、前記仙骨部と大腿部に位置する調整穴の径より小さい小径に設定したことを特徴とする座席用クッション材。
前記座骨部に位置する調整穴を、その奥部に小径の穴を設けた２段状の穴に形成した請求項５記載の座席用クッション材。
前記仙骨部に位置する調整穴と、前記座骨部に位置する調整穴と、前記仙骨部と座骨部の周囲に位置する調整穴の深さを略同等にし、前記大腿部に位置する調整穴を、臀部側から膝部側にいくに従って順次深さが深くなる穴にした請求項５又は６記載の座席用クッション材。