JP2004015034A - 成膜方法、成膜装置及び成膜装置のクリーニング方法 - Google Patents

成膜方法、成膜装置及び成膜装置のクリーニング方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004015034A
JP2004015034A JP2002170871A JP2002170871A JP2004015034A JP 2004015034 A JP2004015034 A JP 2004015034A JP 2002170871 A JP2002170871 A JP 2002170871A JP 2002170871 A JP2002170871 A JP 2002170871A JP 2004015034 A JP2004015034 A JP 2004015034A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas
film
film forming
electrode
chamber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2002170871A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshimi Shiotani
塩谷 喜美
Koichi Ohira
大平 浩一
Kazuo Maeda
前田 和夫
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Semiconductor Process Laboratory Co Ltd
Original Assignee
Semiconductor Process Laboratory Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Semiconductor Process Laboratory Co Ltd filed Critical Semiconductor Process Laboratory Co Ltd
Priority to JP2002170871A priority Critical patent/JP2004015034A/ja
Publication of JP2004015034A publication Critical patent/JP2004015034A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】水素の放出或いは透過を防止し、かつより一層カバレージのよい保護膜を形成することができる成膜方法を提供する。
【解決手段】構造式AlH(R)3−m(但し、m=0,1,2、R=CH、C)を有するアルミニウム含有有機化合物、及び酸素含有ガスを含む成膜ガスを供給する工程と、成膜ガスをプラズマ化し、反応させて基板上にアルミナ膜を形成する工程とを有する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成膜装置、成膜方法及び成膜装置のクリーニング方法に関し、より詳しくは、半導体集積回路装置、磁気ヘッド、磁気メモリ、光学的メモリ等の基板表面を保護するアルミナ膜を形成する成膜方法、該成膜方法に用いる成膜装置、及び該成膜装置のクリーニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、不揮発性メモリはFeRAM又はフラッシュメモリが多用されるようになり、微細化が進展している。また、磁気ヘッド、磁気メモリ及び光学的メモリも半導体製造技術を用いて高密度化が進展している。
【0003】
このような微細化や高密度化に対して、所定のキャパシタ容量やゲート容量を確保するため、キャパシタ絶縁膜やゲート絶縁膜において高誘電体膜を用いる例が多くなっている。
【0004】
その高誘電体膜としてチタン酸ジルコン鉛(PZT)が用いられているが、このPZTでは水素(H)を含む還元雰囲気により酸素(O)の離脱が起こり、誘電率特性が劣化するという問題がある。これを解決するため、プラズマCVD法により形成されたシリコン窒化膜(SiN膜)やシリコン酸化窒化膜(SiON膜)などの保護膜でキャパシタ等を被覆し、高誘電体膜を保護している。
【0005】
また、磁気ヘッドでは、従来、磁気抵抗効果素子や磁極等の保護膜としてアルミナ膜が用いられており、スパッタ法により形成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、通常のプラズマCVD法により形成されたシリコン窒化膜は水素が1022個/cm程度含まれている。このため、保護膜であるシリコン窒化膜から水素が離脱して高誘電率膜を還元し、その誘電率特性を劣化させる虞がある。
【0007】
また、SiON膜を用いることにより、水素の含有量を減らすことができるが、SiON膜に対して行われるN/Hアニールにより、水素がSiON膜中を透過しやすくなり、同じく高誘電率膜の誘電率特性を劣化させる虞がある。
【0008】
また、スパッタ法により成膜されるアルミナ膜においては、磁気ヘッド等が高密度化してくるにつれて表面の凹凸が大きくなるため、そのカバレージが問題になってきている。
【0009】
本発明は、上記の従来例の問題点に鑑みて創作されたものであり、水素の放出或いは透過を防止し、かつより一層カバレージのよい保護膜を形成することができる成膜方法、その成膜方法に用いる成膜装置及び成膜装置のクリーニング方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は成膜方法に係り、構造式AlH(R)3−m(但し、m=0,1,2、R=CH、C)を有するアルミニウム含有有機化合物、及び酸素含有ガスを含む成膜ガスを供給する工程と、前記成膜ガスをプラズマ化し、反応させて基板上にアルミナ膜を形成する工程とを有することを特徴とし、
請求項2記載の発明は、請求項1記載の成膜方法に係り、前記酸素含有ガスは一酸化窒素(NO)、一酸化二窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、又は水(HO)のうち何れか一であることを特徴とし、
請求項3記載の発明は、請求項1記載の成膜方法に係り、前記アルミニウム含有有機化合物のキャリアガスは希ガスであることを特徴とし、
請求項4記載の発明は、請求項3記載の成膜方法に係り、前記成膜ガスは、前記キャリアガスとして用いた希ガス以外の希ガスを含むことを特徴とし、
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一に記載の成膜方法に係り、前記成膜ガスは、酸素(O)又は窒素(N)のうち少なくとも何れか一を含むことを特徴とし、
請求項6記載の発明は、請求項1記載の成膜方法に係り、第1の電極と、前記第1の電極に対向し、前記基板を保持する第2の電極とからなる一対の電極の間に前記成膜ガスを導入し、前記第2の電極に100kHz以上、1MHz以下の周波数を有する電力を印加して前記成膜ガスをプラズマ化することを特徴とし、
請求項7記載の発明は、請求項6記載の成膜方法に係り、前記第2の電極に100kHz以上、かつ1MHz以下の周波数を有する電力を印加することに加えて、前記第1の電極に1MHz以上、かつ100MHz以下の周波数を有する電力を印加することを特徴とし、
請求項8記載の発明は、請求項1乃至7の何れか一に記載の成膜方法に係り、前記成膜ガスはシリコン含有化合物を含むことを特徴とし、
請求項9記載の発明は、請求項8記載の成膜方法に係り、前記シリコン含有化合物はモノシラン(SiH)、有機シラン(SiH(OR)4−n(但し、n=0,1,2,3))、又はシロキサン(Si−O−Si)結合を有するアルキル化合物のうち何れか一であることを特徴とし、
請求項10記載の発明は、請求項1記載の成膜方法に係り、前記アルミナ膜を形成する工程の後に、前記アルミナ膜をNO、N又は希ガスのプラズマに曝して前記アルミナ膜の改質処理を行う工程を有することを特徴としている。
【0011】
請求項11記載の発明は、成膜装置に係り、構造式AlH(R)3−m(但し、m=0,1,2、R=CH、C)を有するアルミニウム含有有機化合物の供給源、及びNO、NO、NO又はHOのうち少なくとも何れか一からなる酸素含有ガスの供給源を備えた成膜ガスの供給手段と、前記成膜ガスの供給手段と接続されたチャンバと、前記チャンバ内に導入した成膜ガスをプラズマ化する手段と、前記チャンバ内に設けられた被成膜基板を保持する基板保持具とを有し、前記アルミニウム含有有機化合物の供給源と酸素含有ガスの供給源とはそれぞれ分離して前記チャンバに接続されていることを特徴とし、
請求項12記載の発明は、請求項11記載の成膜装置に係り、前記チャンバ内に導入した成膜ガスをプラズマ化する手段は、成膜ガスの放出具を兼ねた第1の電極と、該第1の電極に対向する、前記基板保持具を兼ねた第2の電極とを備え、前記アルミニウム含有有機化合物の供給源と前記酸素含有ガスの供給源とはそれぞれ分離して前記第1の電極に接続されていることを特徴とし、
請求項13記載の発明は、請求項11記載の成膜装置に係り、前記チャンバ内に導入した成膜ガスをプラズマ化する手段は、成膜ガスの放出具を兼ねた第1の電極と、該第1の電極に対向する、前記基板保持具を兼ねた第2の電極と、前記第1の電極以外のチャンバ内へのガス導入口とを備え、前記酸素含有ガスの供給源は前記第1の電極に接続され、かつ前記アルミニウム含有有機化合物の供給源は前記ガス導入口に接続されていることを特徴とし、
請求項14記載の発明は、成膜装置に係り、構造式AlH(R)3−m(但し、m=0,1,2、R=CH、C)を有するアルミニウム含有有機化合物の供給源、及び酸素含有ガスの供給源を備えた成膜ガスの供給手段と、BCl又はHClのうち少なくとも何れか一の供給源と、NFの供給源、水素の供給源及び希ガスの供給源のうち少なくとも何れか一とを備えたクリーニングガスの供給手段と、前記成膜ガスの供給手段及びクリーニングガスの供給手段と接続されたチャンバと、前記チャンバ内に導入した成膜ガス及びクリーニングガスをプラズマ化する手段と、前記チャンバ内に設けられた被成膜基板を保持する基板保持具とを有することを特徴とし、
請求項15記載の発明は、請求項14記載の成膜装置に係り、前記チャンバ内に導入した成膜ガス及びクリーニングガスをプラズマ化する手段は、第1の電極と、前記第1の電極に対向し、被成膜基板を保持する第2の電極と、前記第2の電極に、1MHz以上、100MHz以下の周波数の電力を供給する高周波電力供給源と、前記第2の電極に、100kHz以上、1MHz以下の周波数の電力を供給する低周波電力供給源とを有することを特徴としている。
【0012】
請求項16記載の発明は、成膜装置のクリーニング方法に係り、請求項14又は15記載の成膜装置により前記アルミナ膜を成膜した後、前記成膜装置のチャンバ内に前記クリーニングガスを導入してプラズマ化し、前記チャンバ内をクリーニングすることを特徴とし、
請求項17に記載の発明は、請求項16記載の成膜装置のクリーニング方法に係り、前記クリーニングガスは、前記BCl又は前記HClのうち何れか一の単独のガス、前記BCl又は前記HClのうち何れか一と前記希ガスとの混合ガス、前記BCl又は前記HClのうち何れか一と前記水素の混合ガス、又は前記単独のガス或いは前記混合ガスのうち何れか一に前記NFを添加したガスのうちから選択されたものであることを特徴としている。
【0013】
以下に、上記本発明の構成に基づく作用を説明する。
【0014】
本発明の成膜方法においては、構造式AlH(R)3−m(但し、m=0,1,2、R=CH、C)を有するアルミニウム含有有機化合物と、酸素含有ガスとを含む成膜ガスをプラズマ化し、反応させて基板上にアルミナ膜を形成している。
【0015】
アルミニウム含有有機化合物を含む成膜ガスを用いたプラズマCVD法により成膜しているため、スパッタ法に比べてカバレージがよく、緻密で、かつ水素含有量の少ないアルミナ膜を得ることができる。これにより、高密度化により被成膜面が凹凸していてもその上に均一な膜厚のアルミナ膜を成膜することができる。しかも、アルミナ膜から放出される水素を低減し、およびアルミナ膜を透過する水素を低減することができるので、内部放出及び外部侵入の水素による高誘電率膜の劣化を防止することができる。
【0016】
また、周波数0.1MHz以上、1MHz以下の低周波電力により成膜ガスをプラズマ化し、又は成膜ガスにキャリアガスとして、或いはキャリアガスとしての希ガスガス以外の希ガスを添加することにより、より一層アルミナ膜の緻密性を向上させることができる。
【0017】
さらに、希ガスを添加することにより成膜レートが低下する傾向があるが、第2の電極に対向する第1の電極に周波数1MHz以上、100MHz以下の高周波電力を印加することで高い緻密性を保持したまま成膜レートを向上させることができる。
【0018】
また、希ガスの代わりに酸素を添加することにより、さらにアルミナ膜中の水素含有量をより一層低減することができる。また、成膜ガスにシリコン含有化合物を含ませることにより、下地、特に電極に対するアルミナ膜の密着力を高め、膜応力の制御性を向上させることができる。
【0019】
さらに、アルミナ膜を成膜した後に、アルミナ膜をNO、N又は希ガスのプラズマに曝してアルミナ膜の改質処理を行うことにより、アルミナ膜中の水素含有量をさらに低減させることができる。
【0020】
また、この発明の成膜装置においては、アルミナ膜の成膜ガスを構成するアルミニウム含有有機化合物の供給源と酸素含有ガスの供給源とは、それぞれ分離してチャンバに接続されている。より詳しくは、ガス放出具を兼ねた第1の電極にともに接続され、或いは酸素含有ガスの供給源は第1の電極に接続され、かつアルミニウム含有有機化合物の供給源はガス導入口に接続されている。
アルミニウム含有有機化合物の供給源と酸素含有ガスの供給源とをそれぞれ分離してチャンバに接続することにより、チャンバ内に導入されるまで酸素を含むガスによるシリコン含有化合物の酸化を防止することができるため、チャンバ内に反応生成物としてのパーティクルが発生するのを防止することができる。さらに、アルミニウム含有有機化合物の供給源と酸素含有ガスの供給源とをそれぞれ分離し、かつ別々のガス導入口に接続することにより、チャンバ内でも被成膜基板上に至るまでシリコン含有化合物の酸化が防止できるため、パーティクルの発生をより一層防止することができる。
【0021】
さらに、この発明の成膜装置においては、アルミナ膜の成膜ガスの供給手段のほかに、BCl又はHClの供給源、NFの供給源、水素の供給源及び希ガスの供給源を備えたクリーニングガスの供給手段を備えており、ともにチャンバに接続されている。
【0022】
従って、この発明の成膜装置のクリーニング方法のように、アルミナ膜の成膜に引き続き、反応ガスを成膜ガスからクリーニングガスに切り替えるだけで直ちにクリーニングを行うことが可能である。即ち、in−situクリーニングが可能である。
【0023】
これにより、チャンバ内に残留し、チャンバの内壁面や電極その他に付着したアルミナを、容易に、かつ時間をあまりかけないで、除去することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0025】
(第1の実施の形態)
(成膜装置の説明)
図1は、本発明の第1の実施の形態である成膜方法に用いられる成膜装置101の構成を示す側面図である。
【0026】
この成膜装置101は、プラズマガスにより被成膜基板21上にアルミナ膜を形成する成膜部101Aと、成膜ガス供給源及びクリーニングガス供給源を有する反応ガス供給部101Bとから構成され、プラズマ処理部102Aのプラズマ生成手段として平行平板型の第1及び第2の電極2、3を用いている。
【0027】
成膜部101Aは、図1に示すように、成膜ガス又はクリーニングガスをプラズマ化し、これを用いて被成膜基板21上にアルミナ膜の成膜を行い、或いは内部のin−situクリーニングを行い得る減圧可能なチャンバ1を有する。
【0028】
チャンバ1は排気用の配管4を通して排気装置6と接続されている。配管4の途中にはチャンバ1と排気装置6の間の導通/非導通を制御する開閉バルブ5が設けられている。チャンバ1にはチャンバ1内の圧力を監視する真空計などの圧力計測手段が設けられている。
【0029】
チャンバ1内には対向する一対の上部電極(第1の電極)2及び下部電極(第2の電極)3が備えられ、これらの電極2、3にそれぞれ周波数13.56MHzの高周波電力を供給する高周波電力供給電源(RF電源)7と、周波数400kHzの低周波電力を供給する低周波電力供給電源8とが接続されている。これらの電源7、8から電力が供給されて、成膜ガス或いはクリーニングガスがプラズマ化される。上部電極2、下部電極3及び電源7、8が成膜ガスをプラズマ化するプラズマ生成手段を構成する。
【0030】
上部電極2は成膜ガスの分散具を兼ねている。上部電極2には複数の貫通孔が形成され、下部電極3との対向面における貫通孔の開口が成膜ガスの放出口(導入口)となる。この成膜ガス等の放出口は成膜ガス供給部101Bと配管9を通して接続されている。
【0031】
下部電極3は基板21の保持台を兼ね、また、その保持台上の被成膜基板21を加熱するヒータを備えている。
【0032】
反応ガス供給部101Bには、AlH(R)3−m(但し、m=0,1,2、R=CH、C)を有するアルミニウム含有有機化合物の供給源と、一酸化窒素(NO)、一酸化二窒素(NO)、二酸化窒素(NO)又は水分(HO)のうち何れか一からなる酸素含有ガスの供給源と、酸素(O)の供給源と、モノシラン(SiH)、有機シラン(SiH(OR)4−n(但し、n=0,1,2,3))、又はシロキサン(Si−O−Si)結合を有するアルキル化合物のうち何れか一からなるシリコン含有化合物の供給源と、窒素(N)の供給源と、Ar又はHeのうち少なくとも何れか一の希ガスの供給源とからなる成膜ガス供給源が設けられている。さらに、BCl又はHClの供給源と、NFの供給源と、水素(H)の供給源と、不活性ガスの供給源とからなるクリーニングガス供給源が設けられている。不活性ガスの供給源は、窒素(N)の供給源と、Ar又はHeのうち少なくとも何れか一の希ガスの供給源とを含み、成膜ガス供給源とクリーニングガス供給源の両方に共用されている。
【0033】
これらのガスは、適宜選択されて、分岐配管9a乃至9i及びこれらすべての分岐配管9a乃至9iが接続された配管9a−iを通して成膜部101Aのチャンバ1内に供給される。
【0034】
AlH(R)3−m(但し、m=0,1,2、R=CH、C)を有するアルミニウム含有有機化合物は常温で液体であるため、希ガス(Ar又はHe)からなるキャリアガスにより、分岐配管9iを通して輸送される。希ガスの供給配管9hに接続された配管9jが収納容器13に収納されたアルミニウム含有有機化合物内に挿入されている。また、分岐配管9iはアルミニウム含有有機化合物の液面の上の収納容器13内に挿入されている。そして、各配管9i、9jには配管9i、9jの導通/非導通を制御する開閉手段10i、10jが設置されている。
【0035】
分岐配管9a乃至9hの途中に流量調整手段11a乃至11hが設置され、分岐配管9a乃至9hの導通/非導通を制御する開閉手段10a乃至10h、10k乃至10qが設置されている。また、Nガスを流通させて分岐配管9a乃至9f内の残留ガスをパージするため、Nガスの供給源と接続された分岐配管9gとその他の分岐配管9a乃至9fの間の導通/非導通を制御する開閉手段10r乃至10wが設置されている。なお、Nガスは、分岐配管9a乃至9f内のほかに、配管9a−i内及びチャンバ1内の残留ガスをパージするために用いる。また、Nガスは成膜ガスとして用いることもある。
【0036】
以上のような成膜装置101によれば、AlH(R)3−m(但し、m=0,1,2、R=CH、C)を有するアルミニウム含有有機化合物の供給源と、一酸化窒素(NO)、一酸化二窒素(NO)、又は二酸化窒素(NO)のうち何れか一からなる酸素含有ガスの供給源と、モノシラン(SiH)、有機シラン(SiH(OR)4−n(但し、n=0,1,2,3))、又はシロキサン(Si−O−Si)結合を有するアルキル化合物のうち何れか一からなるシリコン含有化合物の供給源と、希ガスの供給源と、酸素(O)の供給源と、窒素(N)の供給源とからなる成膜ガス供給源を備え、さらに成膜ガスをプラズマ化するプラズマ生成手段2、3、7、8を備えている。
【0037】
これにより、以下に説明するプラズマCVD法により、ステップカバレージがよく、緻密で、かつ水素含有量が少ない高誘電率膜の保護膜としてのアルミナ膜を形成することができる。
【0038】
さらに、BCl又はHClの供給源と、NFの供給源と、水素(H)の供給源と、不活性ガスの供給源とからなるクリーニングガス供給源が設けられている。従って、アルミナ膜の成膜に引き続き、反応ガスを成膜ガスからクリーニングガスに切り替えるだけで直ちにクリーニングを行うことが可能である。即ち、in−situクリーニングが可能である。改質ガスとして、上記ガスを組み合わせたもの、即ちBCl及びHClのうち何れか一の単独、BCl及びHClのうち何れか一+不活性ガス、BCl及びHClのうち何れか一+水素、BCl及びHClのうち何れか一+NF、BCl及びHClのうち何れか一+不活性ガス+NF、BCl及びHClのうち何れか一+水素+NFなどが適当である。
【0039】
これにより、チャンバ内に残留し、チャンバの壁面や電極その他に付着したアルミナを容易に、かつあまり時間をかけないで除去することができる。
【0040】
次に、本発明に用いるアルミナ膜の成膜ガスである、構造式AlH(R)3−m(但し、m=0,1,2、R=CH、C)を有するアルミニウム含有有機化合物と、シリコン含有化合物のうち有機シラン(SiH(OR)4−n(但し、n=0,1,2,3))、及びシロキサン(Si−O−Si)結合を有するアルキル化合物について説明する。
【0041】
代表例として以下に示すものを用いることができる。
【0042】
(i)構造式AlH(R)3−m(但し、m=0,1,2、R=CH、C)を有するアルミニウム含有有機化合物
(a)ジメチルアルミニウムハイドライド(DMAH:(CHAlH)
構造式:
【0043】
【化1】
Figure 2004015034
【0044】
蒸気圧:16Torr(64−66℃)
分解温度:40℃
(b)トリメチルアルミニウム(TMH:(CHAl)
構造式:
【0045】
【化2】
Figure 2004015034
【0046】
蒸気圧:8Torr(20℃)
沸点:15.8℃
(ii)有機シラン(SiH(OR)4−n(但し、n=0,1,2,3))
(a)モノメチルシラン(SiH(CH))
(b)ジメチルシラン(SiH(CH
(c)トリメチルシラン(SiH(CH
(d)テトラメチルシラン(Si(CH
(iii)シロキサン結合を有するアルキル化合物
(a)ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO:(CHSi−O−Si(CH
(b)オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)
構造式:
【0047】
【化3】
Figure 2004015034
【0048】
(c)テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)
構造式:
【0049】
【化4】
Figure 2004015034
【0050】
(d)オクタメチルトリシロキサン(OMTS)
構造式:
【0051】
【化5】
Figure 2004015034
【0052】
次に、本発明の第1の実施の形態である成膜方法に用いられる、他の構成を有する成膜装置について説明する。図2はその成膜装置101の構成を示す側面図である。
図1と異なるところは、上記説明した各ガスの供給源は、後処理ガスのグループと、酸素含有ガスのグループと、シリコン含有ガスと、Hと、N及びAr或いはHeの不活性ガスのグループと、アルミニウム含有有機化合物とに分離して、それぞれガス供給配管9ab、9cd、9e、9f、9gh、9iにより別々にチャンバ1の上部電極2に接続されている点である。後処理ガスのグループは、BCl或いはHClと、NFとからなり、各ガスの分岐配管9a、9bはチャンバ1手前で一つの配管9abに統合され、酸素ガスのグループは、NO、NO、NO或いはHOと、Oとからなり、同じく各ガスの分岐配管9c、9dはチャンバ1手前で一つの配管9cdに統合されている。
この構成の成膜装置を用いることにより、チャンバ1内に導入されるまで酸素を含むガスによるシリコン含有化合物の酸化を防止することができるため、チャンバ1内に反応生成物としてのパーティクルが発生するのを防止することができる。
なお、図2において、アルミ含有有機化合物の溶液は、上記したバブリングではなくてキャリアガスとの接触によりキャリアガスに含ませる方式を採用していることも図1と異なる点である。
次に、本発明の第1の実施の形態である成膜方法に用いられる、更に別の構成を有する成膜装置について説明する。図3はその成膜装置101の構成を示す側面図である。
上記説明した各ガスの供給源に関し、後処理ガスのグループと、酸素ガスのグループとがチャンバ1手前でグループ毎に一つの配管9ab、9cdに統合され、グループ毎に分離してチャンバ1に導入されている点は図2と同じであるが、シリコン含有化合物と、Hと、Nと、Ar或いはHeとが、チャンバ1手前で一つの配管9e−iに統合され、かつ、そのシリコン含有化合物のグループは上部電極2とは別のガス導入口2aに接続されている点が図2と異なる。
図3の構成の成膜装置を用いることで、図2の構成の成膜装置と比べて、チャンバ1内でも被成膜基板21上に至るまでシリコン含有化合物の酸化が防止できるため、パーティクルの発生をより一層防止することができる。
【0053】
(成膜方法の説明)
次に、この発明の第1の実施の形態である、特に有効なガスの組み合わせや、有効な成膜条件の組み合わせを用いた成膜方法について、図4(a)乃至(e)を参照して説明する。
【0054】
これらの図は、成膜ガスを構成する各ガスのチャンバ1内への導入のタイミング、及び成膜の際に平行平板型の2つの電極2、3に印加する高周波電力および低周波電力の印加方法について示すチャートである。
【0055】
そのうち、図4(c)、(d)、(e)は、図4(c)、(d)、(e)に表示のガスの何れかを単独で、或いはそれらのガスを組み合わせて、図4(a)又は(b)のチャートにさらに添加するタイミングを示すチャートである。
【0056】
図4(a)では、チャンバ1内に成膜ガスとしてアルミニウム含有有機化合物を含ませた希ガス(キャリアガス)と、酸素含有ガスとを導入し、下部電極3に低周波電力を印加して成膜ガスをプラズマ化する。
【0057】
図4(b)では、図4(a)に対してさらに上部電極2に高周波電力を印加して成膜する。
【0058】
図4(c)では、図4(a)又は(b)に対して、さらにキャリアガスとしての希ガス以外の希ガスを添加して成膜する。
【0059】
図4(d)では、図4(a)、図(b)、図4(a)と図4(c)の組み合わせ、又は図4(b)と図4(c)の組み合わせに対して、さらに酸素又は窒素ガスのうち少なくとも何れか一を添加して成膜する。
【0060】
図4(e)では、図4(a)、図4(b)、図4(a)と図4(c)の組み合わせ、図4(b)と図4(c)の組み合わせ、図4(a)と図4(d)の組み合わせ、図4(b)と図4(d)の組み合わせ、図4(a)と図4(c)と図4(d)の組み合わせ、図4(b)と図4(c)と図4(d)の組み合わせに対して、さらにシリコン含有化合物を添加して成膜する。
【0061】
さらに、上記チャートに従ってアルミナ膜を成膜した後に、アルミナ膜を改質ガスのプラズマに曝してアルミナ膜の表面改質処理を行う。改質ガスとして、NO、N、又は不活性ガスを用いる。このような改質処理を行うことにより、アルミナ膜中の水素や水分の含有量をさらに低減させ、さらに水素や水分の透過を阻止し得る程度に緻密性を向上させることができる。
【0062】
次に、上記プラズマCVD装置を用いてこの発明が適用される半導体装置の製造方法により上記組み合わせのうちから選択した種々の成膜条件で形成されたアルミナ膜の成膜レート、比誘電率、屈折率、ダイナミックバードネス、ヤング率、膜中の水素濃度、膜中の水分含有量、ステップカバレージの様子、絶縁破壊耐性、及びリーク電流を調査した結果について説明する。
【0063】
屈折率により膜の緻密性を評価できるが、一般に屈折率が大きいほど緻密である。
【0064】
試料は、成膜前処理により銅膜の表面酸化膜を除去した後、銅膜の上にシリコン含有絶縁膜を形成した。シリコン含有絶縁膜は、プラズマCVD法により以下の成膜条件で形成された。
【0065】
(成膜条件1(標準))
(i)成膜ガス条件
DMAH流量:300 sccm
O流量:600 sccm
He流量:400 sccm
ガス圧力:0.8Torr
基板加熱温度:360℃
(ii)プラズマ化条件
高周波電力(13.56MHz)PRF:100W
低周波電力(380KHz)PLF:150W
(iii)成膜されたアルミナ膜
膜厚:100nm
なお、下記の実験(a)乃至(l)において、特にパラメータとして変化させている成膜条件以外は上記標準の成膜条件1に従う。なお、下記の実験(a)乃至(l)中、(i)項の実験は同項で説明する成膜条件2に従う。
【0066】
比誘電率の測定では、電極面積0.0226cmを有する水銀プローブをアルミナ膜の表面に接触させ、直流バイアス電圧に1MHzの小信号電圧を重畳して水銀プローブに印加した。比誘電率は測定されたC−V特性から換算して求めた。
【0067】
また、リーク電流及び絶縁破壊強度の測定では、銅膜を接地するとともに、水銀プローブに負の電圧を印加する。
【0068】
(a)低周波電力(PLF)に対するアルミナ膜の成膜レート及び屈折率の変化の様子
図5は、低周波電力PLF、高周波電力PRFに対する成膜レート及び屈折率の変化の様子を調査した結果を示すグラフである。図5の左側の縦軸は線形目盛で表した成膜レート(nm/min)を示し、右側の縦軸は線形目盛で表した屈折率を示し、横軸は線形目盛で表したPLF(W)を示す。
【0069】
図5に示すように、成膜レートは、PRFを印加することにより高くなり、PRFの印加の有無によらずPLFが増大するにしたがってゆるやかに高くなっていく。
【0070】
具体的には、PRFを印加しない(=0W)条件で、成膜レートはPLFが100Wのとき、およそ150nm/minとなり、PLFが200Wのとき、およそ300nm/minとなった。また、PRFを印加した(=100W)条件で、成膜レートはPLFが100Wのとき、およそ300nm/minとなり、PLFが200Wのとき、およそ370nm/minとなった。
【0071】
一方、屈折率は、PRFを印加しない方がより高くなり、PRFを印加した場合PLFが大きい方がより高くなる。言い換えれば、上部電極2にPRFを印加せず、下部電極3にPLFを印加し、かつその値を大きくすることにより、アルミナ膜の緻密性は高くなる。
【0072】
具体的には、PRFを印加しない(=0W)条件で、屈折率はPLFが100Wのとき、およそ1、77となり、PLFが200Wのとき、およそ1.75となった。また、PRFを印加した(=100W)条件で、屈折率はPLFが100Wのとき、およそ1.63となり、PLFが200Wのとき、およそ1.69となった。
【0073】
(b)酸素含有ガス(NO)に対するアルミナ膜の成膜レート及び屈折率の変化の様子
図6は、NO流量、高周波電力PRFに対する成膜レート及び屈折率の変化の様子を調査した結果を示すグラフである。但し、この場合、キャリアガスとしてのHeを用いた以外、He単体では添加していない。図6の左側の縦軸は線形目盛で表した成膜レート(nm/min)を示し、右側の縦軸は線形目盛で表した屈折率を示し、横軸は線形目盛で表したNO流量(sccm)を示す。
【0074】
図6に示すように、成膜レートがPRFを印加することにより高くなることは(a)の調査結果と同じであるが、PRFの印加の有無による差は(a)の調査結果ほどではない。また、成膜レートは、PRFの印加の有無によらずNO流量が増大するにしたがってゆるやかに低下していく。
【0075】
具体的には、PRFを印加しない(=0W)条件で、成膜レートはNO流量が500sccmのとき、およそ330nm/minとなり、NO流量が1000sccmのとき、およそ280nm/minとなった。また、PRFを印加した(=100W)条件で、成膜レートはNO流量が500sccmのとき、およそ410nm/minとなり、NO流量が1000sccmのとき、およそ250nm/minとなった。
【0076】
一方、屈折率は、(a)の調査結果と同様にPRFを印加しない方がより高くなり、PRFの印加の有無によらず、NO流量が少ない方がより高くなる。言い換えれば、上部電極2にPRFを印加せず、NO流量を少なくすることにより、アルミナ膜の緻密性は高くなる。
【0077】
具体的には、PRFを印加しない(=0W)条件で、屈折率はNO流量が500sccmのとき、およそ1.68となり、NO流量が1000sccmのとき、およそ1.64となった。また、PRFを印加した(=100W)条件で、屈折率はNO流量が500sccmのとき、およそ1.6となり、NO流量が1000sccmのとき、およそ1.57となった。
【0078】
以上の(a)及び(b)の調査によれば、希ガス、この場合Heを添加することにより、膜の緻密性は向上するが、成膜レートは低下する。この場合、上部電極2にPRFを印加することにより、膜の緻密性を高め、かつ成膜レートを向上させることができる。
【0079】
(c)アルミナ膜中のCH、CHの含有量
図7は、赤外吸収分光法により、形成されたアルミナ膜中のCH結合及びCH結合の含有量を調査したグラフである。図7の縦軸は線形目盛で表した吸収強度(任意単位)を示し、横軸は線形目盛で表した波数(cm−1)を示す。図8は、図7と同じく、赤外吸収分光法により、形成されたアルミナ膜中のCH結合及びCH結合の含有量を調査したグラフである。図8において、図7と異なるところは、アルミナ膜の成膜時に高周波電力PRFを印加していない点である。
【0080】
−CHのピークに関して図7と図8を比較すると、PRFを印加しない方が−CHのピークがより小さい。言い換えれば、PRFを印加しない方がリーク電流が小さい、電気的特性に優れた膜質をもつアルミナ膜を得ることができる。
【0081】
(d)基板温度に対するアルミナ膜の成膜レート、屈折率及び比誘電率の変化の様子
図9は、基板温度に対する成膜レート及び屈折率の変化の様子を調査した結果を示すグラフである。図9の左側の縦軸は線形目盛で表した成膜レート(nm/min)を示し、右側の縦軸は線形目盛で表した屈折率を示し、横軸は線形目盛で表した基板温度(℃)を示す。図10は基板温度に対する比誘電率の変化の様子を調査した結果を示すグラフである。図10の縦軸は線形目盛で表した比誘電率を示し、横軸は線形目盛で表した基板温度(℃)を示す。
【0082】
図9に示すように、成膜レートは基板温度が高くなるにつれて漸減する。具体的には、成膜レートは基板温度が290℃のとき、およそ230nm/minとなり、基板温度が360℃のとき、およそ165nm/minとなった。
【0083】
また、屈折率は、基板温度が高くなるにつれて漸増する。具体的には、屈折率は基板温度が290℃のとき、およそ1.67となり、基板温度が360℃のとき、およそ1.76となった。
【0084】
比誘電率は、図10に示すように、基板温度が330℃までは緩やかに高くなり、以降急激に高くなる。具体的には、比誘電率は基板温度が290℃のとき、およそ6.14となり、基板温度が330℃のとき、およそ6.22となり、基板温度が360℃のとき、およそ6.60となった。
【0085】
(e)ガス圧力(P)に対するアルミナ膜の成膜レート、屈折率及び比誘電率の変化の様子
図11は、ガス圧力Pに対する成膜レート及び屈折率の変化の様子を調査した結果を示すグラフである。図11の左側の縦軸は線形目盛で表した成膜レート(nm/min)を示し、右側の縦軸は線形目盛で表した屈折率を示し、横軸は線形目盛で表したガス圧力P(Torr)を示す。図12はガス圧力Pに対する比誘電率の変化の様子を調査した結果を示すグラフである。図12の縦軸は線形目盛で表した比誘電率を示し、横軸は線形目盛で表したガス圧力P(Torr)を示す。
【0086】
図11に示すように、成膜レートはガス圧力が高くなるにつれて漸増する。具体的には、成膜レートはガス圧力が0.35Torrのとき、およそ160nm/minとなり、ガス圧力が0.80Torrのとき、およそ290nm/minとなった。
【0087】
また、屈折率は、ガス圧力が高くなるにつれて漸減する。具体的には、屈折率はガス圧力が0.35Torrのとき、およそ1.76となり、ガス圧力が0.80Torrのとき、およそ1.65となった。
【0088】
比誘電率は、図12に示すように、ガス圧力が高くなるにつれて、急激に低減していく。具体的には、比誘電率はガス圧力が0.35Torrのとき、およそ6.6となり、ガス圧力が0.80Torrのとき、およそ5.2となった。
【0089】
(f)ガス圧力(P)に対するアルミナ膜のダイナミックハードネス及びヤング率の変化の様子
図13は、ガス圧力Pに対するダイナミックハードネス及びヤング率の変化の様子を調査した結果を示すグラフである。図13の左側の縦軸は線形目盛で表したダイナミックハードネスを示し、右側の縦軸は線形目盛で表したヤング率(GPa)を示し、横軸は線形目盛で表したガス圧力P(Torr)を示す。
【0090】
なお、比較のため、ガス圧力20mTorrの条件でのRFスパッタ法によるアルミナ膜に関する調査結果を、□印と■印により、同じ図13に表示している。■印がダイナミックハードネスを示し、□印がヤング率を示す。
【0091】
図13に示すように、ダイナミックバードネスはガス圧力が高くなるにつれて低減していく。具体的には、成膜レートはガス圧力が0.35Torrのとき、およそ1100となり、ガス圧力が0.80Torrのとき、およそ760となった。
【0092】
また、ヤング率は、ガス圧力が0.35Torrから0.5Torrにかけて急激に低減し、それ以降は緩やかに低減する。具体的には、ヤング率はガス圧力が0.35Torrのとき、およそ300GPaとなり、ガス圧力が0.5Torrのとき、およそ220GPaとなり、ガス圧力が0.80Torrのとき、およそ200となった。
【0093】
図13には、比較のため、RFスパッタ法によるアルミナ膜のダイナミックバードネス及びヤング率を記載しているが、そのRFスパッタアルミナ膜よりもこの発明のアルミナ膜の方がともに高くなる傾向にあった。
【0094】
(g)アルミナ膜中の水素濃度
図14は基板温度をパラメータとして成膜後のアルミナ膜中からの水素放出量を調査したグラフである。図14の縦軸は線形目盛で表した水素放出量(cm−3)を示し、横軸は線形目盛で表した調査温度(℃)を示す。また、図中、基板温度表示横の括弧内はアルミナ膜中に含まれる全水素放出量(cm−3)である。言い換えれば、水素放出量の曲線を全温度範囲にわたって積分したものと等価である。これは、図15でも同様である。
【0095】
図15はガス圧力Pをパラメータとして成膜後のアルミナ膜中からの水素放出量を調査したグラフである。図15の縦軸は線形目盛で表した水素放出量(×1020cm−3)を示し、横軸は線形目盛で表した調査温度(℃)を示す。
【0096】
図14及び図15ともに、アルミナ膜の周囲の温度をグラフの横軸の調査温度のように変化させたときにアルミナ膜中から放出される水素の量を測定したものである。
【0097】
調査結果によれば、図14に示すように、全水素放出量は基板温度360℃で4.78×1020cm−3、329℃で7.1×1021cm−3、290℃で6.59×1021cm−3であった。基板温度を360℃として成膜した試料が他の基板温度のものと比べて全水素放出量は一桁以上少なかった。特に、実使用温度(およそ600℃以下)では、水素の放出はほとんどないと考えられる。また、図15に示すように、全水素放出量はガス圧力Pが0.34Torrで4.78×1020cm−3、0.5Torrで4.07×1021cm−3、0.8Torrで6.51×1021cm−3であった。ガス圧力Pが0.5、0.8、0.34Torrの順に放出される水素量は少なくなる。ガス圧力Pが0.34Torrの試料では実使用温度以下で水素の放出量は極めて少ないと考えられる。
【0098】
図18は成膜方法をパラメータとして成膜後のアルミナ膜中の水素放出量を調査したグラフである。図18の縦軸は線形目盛で表した水素放出量(cm−3)を示し、横軸は線形目盛で表した調査温度(℃)を示す。本発明のPECVD法によるアルミナ膜に対してRFスパッタ法によるアルミナ膜とPECVD法によるSiO膜を比較対象とした。本発明のPECVD法では、ガス圧力Pを標準の条件に対して0.34Torrとした。
【0099】
調査結果によれば、PE−SiOの試料は他の2つの試料と比べて特に水素の放出量が多い。また、本発明のPECVD法による試料とRFスパッタ法による試料はともに水素放出量は少ないが、特に、実使用温度以下で、本発明のPECVD法による試料の方が水素放出量はより少ないといえる。
【0100】
(h)アルミナ膜中の水分含有量
図16は基板温度をパラメータとして成膜したアルミナ膜中からの水分放出量を調査したグラフである。図16の縦軸は線形目盛で表した水分放出量(×10−3wt%)を示し、横軸は線形目盛で表した調査温度(℃)を示す。また、図中、基板温度表示横の括弧内はアルミナ膜中からの全水素放出量(wt%)である。言い換えれば、水分放出量の曲線を全温度範囲にわたって積分したものと等価である。これは、図17でも同様である。
【0101】
図17はガス圧力Pをパラメータとして成膜したアルミナ膜中からの水分放出量を調査したグラフである。図17の縦軸は線形目盛で表した水分含有量(×10−3wt%)を示し、横軸は線形目盛で表した調査温度(℃)を示す。
【0102】
調査結果によれば、図16に示すように、全水分放出量は基板温度360℃で0.03wt%、329℃で0.04wt%、290℃で0.04wt%であった。成膜時の基板温度が高くなるほど放出される水分量は少なくなっていくが、ほとんど有意差はない考えられる。また、図17に示すように、全水分放出量はガス圧力Pが0.34Torrで0.03wt%、0.5Torrで0.04wt%、0.8Torrで0.05wt%であった。ガス圧力Pが小さくなっていくほど放出される水分量は少なくなっていくが、この場合もほとんど有意差はない考えられる。
【0103】
(i)添加ガスの種類による形成膜中の水素濃度及び水分含有量の比較
酸素を含む成膜ガスを用いて成膜したアルミナ膜と、Heを含む成膜ガスを用いて成膜したアルミナ膜に関し、アルミナ膜中の水素濃度及び水分含有量を比較した。
【0104】
アルミナ膜の作成は以下の成膜条件2で行った。
【0105】
(成膜条件2)
(i)成膜ガス条件
DMAH流量:100 sccm
O流量:1000 sccm
又はHe流量:40 sccm
ガス圧力:0.3Torr
基板加熱温度:360℃
(ii)プラズマ化条件
高周波電力(13.56MHz)PRF:0W
低周波電力(380KHz)PLF:100W
(iii)成膜されたアルミナ膜
膜厚:500nm
比誘電率:1.67(O)、1.78(He)
そのアルミナ膜について、アルミナ膜中の水素濃度及び水分含有量を調査した。その結果をそれぞれ図19及び図20に示す。
【0106】
図19は試験温度に対する水素放出量の変化の様子を示すグラフである。縦軸は線型目盛りで表した水素放出量(cm−3)を示し、横軸は線型目盛りで表した試験温度(℃)を示す。
【0107】
図19の曲線を積分することにより全水素放出量を計算した。それによれば、アルミナ膜からの全水素放出量は酸素添加の場合、1.83×1021 atms/cmであり、He添加の場合、4.47×1021 atms/cmであった。酸素添加の方が優れているといえる。
【0108】
図20は試験温度に対する水分放出量の変化の様子を示すグラフである。縦軸は線型目盛りで表した水分放出量(wt%)を示し、横軸は線型目盛りで表した試験温度(℃)を示す。
【0109】
図20の曲線を積分することにより全水分放出量を計算した。それによれば、アルミナ膜からの全水分放出量は酸素添加の場合、4×10−3 wt%であり、He添加の場合、3×10−3 wt%であった。有意差があるかどうか不明であり、ほとんど同じレベルと考えられる。
【0110】
以上の結果より、酸素を含む成膜ガスを用いて成膜したアルミナ膜は、Heを含む成膜ガスを用いて成膜したアルミナ膜よりも水素含有量が少なく、水素により特性劣化を示すFeRAMなどのカバー膜の用途に適している。
【0111】
(j)成膜方法の違いによる水分に対するバリア性の比較
PECVD法により成膜したアルミナ膜と、ECR反応性スパッタ法により成膜したアルミナ膜とに関し、PCT(プレッシャー−クッカーテスト)により水分に対するバリア性を比較調査した。
【0112】
図21は、PECVD法により成膜したアルミナ膜に関し、PCTの前後での赤外線吸収強度を調査した結果を示すグラフである。図22は、ECR反応性スパッタ法により成膜したアルミナ膜に関し、PCTの前後での赤外線吸収強度を調査した結果を示すグラフである。
【0113】
図21及び図22において、ともに、縦軸は赤外線の吸収強度(任意単位)を示し、横軸は線型目盛りで表した波数(×10cm−1)を示す。
【0114】
図21と図22を比較すると、ECR反応性スパッタ法により成膜したアルミナ膜では、PCT後にO−H結合を示すピークやその他のピークが極めて大きくなった。水分がアルミナ膜中に侵入していることを示している。これに対して、PECVD法により成膜したアルミナ膜では、PCTの前後において、吸収強度の変化は僅かであり、水分に対するバリア性に優れていることがわかる。
【0115】
(k)リーク電流及び絶縁破壊耐性
図23は、アルミナ膜を挟む銅基板と水銀プローブの間に流れるリーク電流と、絶縁破壊耐圧とを調査したグラフである。図23の縦軸は対数目盛で表したリーク電流密度(A/cm)を示し、横軸は線形目盛で表した電界強度(MV/cm)を示す。ガス圧力Pを標準の条件に対して0.34Torrとし、基板温度をパラメータとしている。図中、曲線が折れ曲がっている点で絶縁破壊が生じていることを示す。これらは、図24でも同様である。
【0116】
図24は、同じくアルミナ膜を挟む銅膜と基板の間に流れるリーク電流と、絶縁破壊耐圧とを調査したグラフである。図24の縦軸は対数目盛で表したリーク電流密度(A/cm)を示し、横軸は線形目盛で表した電界強度(MV/cm)を示す。ガス圧力Pをパラメータとしている。
【0117】
調査結果によれば、成膜時の基板温度をパラメータとしたとき、図23に示すように、リーク電流密度に関しては、いずれも有意差がなく、十分に小さい値であった。また、絶縁破壊耐性に関しては、低いものでおよそ6MV/cmであり、若干低めであるが、用途によっては十分に実用的な範囲であると考えられる。
【0118】
ガス圧力Pをパラメータとしたとき、図24に示すように、リーク電流密度に関しては、いずれも有意差がなく、十分に小さい値であった。また、絶縁破壊耐性に関しては、低いものでおよそ4MV/cmであり、若干低めであるが、用途によっては十分に実用的な範囲であると考えられる。
【0119】
(l)ステップカバレージ
図25は、アルミナ膜のステップカバレージを観察した顕微鏡写真である。図25に示すように、アルミナ膜は被成膜基板表面の凹凸の形状に従って、かつ均一な膜厚で堆積されており、ステップカバレージが優れていることを示している。
【0120】
以上のように、この発明の第1の実施の形態によれば、アルミニウム含有有機化合物を含む成膜ガスを用いたプラズマCVD法により成膜しているため、スパッタ法に比べてカバレージがよく、緻密で、かつ水素含有量の少ないアルミナ膜を得ることができる。これにより、高密度化により被成膜面が凹凸していてもその上に均一な膜厚のアルミナ膜を成膜することができる。
【0121】
しかも、アルミナ膜から放出される水素を低減し、およびアルミナ膜を透過する水素を低減することができるので、内部放出及び外部侵入の水素による高誘電率膜の劣化を防止することができる。
【0122】
また、周波数0.1MHz以上、1MHz以下の低周波電力により成膜ガスをプラズマ化し、又は成膜ガスにキャリアガスとして或いはキャリアガス以外に希ガスを添加することにより、より一層アルミナ膜の緻密性を向上させることができる。
【0123】
また、希ガスを添加することにより成膜レートが低下する傾向があるが、第2の電極に対向する第1の電極に周波数1MHz以上、100MHz以下の高周波電力を印加することで高い緻密性を保持したまま成膜レートを向上させることができる。
【0124】
さらに、アルミナ膜を成膜した後に、アルミナ膜をNO、N又は希ガスのプラズマに曝してアルミナ膜の改質処理を行うことにより、アルミナ膜中の水素や水分の含有量をさらに低減させ、水素や水分の透過を阻止する機能を向上させることができる。
【0125】
以上、第1の実施の形態によりこの発明を詳細に説明したが、この発明の範囲は上記実施の形態に具体的に示した例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の上記実施の形態の変更はこの発明の範囲に含まれる。
【0126】
例えば、第1の実施の形態の調査用試料の作成では、アルミニウム含有有機化合物、及び酸素含有ガスとして特定のガスを用い、またキャリアガスのほかに希ガス、特にHeを添加しているが、希ガスの代わりに酸素を添加してもよいし、第1の実施の形態で説明した成膜ガスの種々の組み合わせを用いてプラズマCVD法により優れた膜質を有するアルミナ膜を成膜することができる。
【0127】
また、上記では、シリコン含有ガスを添加した調査は記載していないが、成膜ガスにシリコン含有ガスを含ませることで、下地、特に電極に対するアルミナ膜の密着力を高め、膜応力の制御性を高めることができる。
【0128】
(第2の実施の形態)
次に、図面を参照して上記のアルミナ膜をデバイスに応用した例について説明する。
【0129】
(i)FeRAM(高誘電体メモリ)
図26は、本発明のアルミナ膜をFeRAM(高誘電体メモリ)に応用した例について示す断面図である。
【0130】
図26に示すように、本発明のアルミナ膜32は高誘電体キャパシタ201を覆う保護膜として用いられている。
【0131】
同図中、21は半導体基板、22は半導体基板21に形成されたp型ウエルである。24a、24bはゲート電極25両側のp型ウエル22表層に形成されたソース/ドレイン領域、26aはゲート電極25を覆う層間絶縁膜、201は層間絶縁膜26a上に形成された高誘電体キャパシタで、下部電極27とPZT或いはSBTからなるキャパシタ絶縁膜28と上部電極とで構成される。26bは高誘電体キャパシタ201を覆う層間絶縁膜、30aはソースドレイン領域24a上の層間絶縁膜26a、26bを貫通するコンタクトホール、30bは上部電極29上の層間絶縁膜26bを貫通するビアホール、30cは下部電極27上の層間絶縁膜26bを貫通するビアホール、31aはソース/ドレイン領域24aと上部電極29とを接続する引出配線、31bは下部電極27と接続する引出配線である。32は以上の要素を覆う、この発明の成膜方法により作成されたアルミナ膜からなる保護膜である。さらに、26cは保護膜32の上に形成された層間絶縁膜、26dはさらにその上に形成されたカバー絶縁膜である。
【0132】
高誘電体キャパシタ201を覆う保護膜32として必要な機能は、PZTやSBTなどからなるキャパシタ絶縁膜28が還元されることを防止するため、水素を放出しないこと及び外から侵入する水素に対する透過阻止機能を有することである。また、高誘電体キャパシタ201が搭載された凹凸の激しいデバイス表面を被覆するため、カバレージが良いことである。
【0133】
この発明に係るアルミナ膜は、第1の実施の形態の調査結果によれば、プラズマCVD法を用いているためカバレージが良く、水素含有量が少ない。また、不活性ガスやシリコン含有化合物を加えることにより、またはプラズマ生成電力として低周波電力単独で、或いは高周波電力に低周波電力を加えることにより、アルミナ膜を緻密化させ、水素に対する透過防止機能を高めている。
【0134】
さらに、アルミナ膜の表面改質処理を行うことにより、アルミナ膜中の水素や水分の含有量をさらに低減させ、さらに水素や水分の透過を阻止し得る程度に緻密性を向上させることができる。
【0135】
従って、この発明のアルミナ膜は高誘電体キャパシタを被覆する保護膜への応用に適している。
【0136】
(ii)磁気抵抗効果型ヘッド
図27は本発明のアルミナ膜を磁気抵抗効果型ヘッドに応用した例について示す断面図である。
【0137】
図27に示すように、本発明のアルミナ膜42、44、47、49、51は磁気抵抗効果型ヘッドの下地絶縁層42、ギャップ絶縁層44、47、49、オーバコート絶縁層51として用いることができる。
【0138】
なお、同図中、41はAl+TiCからなる基板、43は下地絶縁層42上のNiFeからなる下部シールド層、45は抵抗変化により信号磁界を検出する、ギャップ絶縁層44上のGMR層、46a、46bはGMR層45と接続された、ギャップ絶縁層44上の電極、48はギャップ絶縁層47、49に挟まれたNiFeからなる上部シールド層、50はギャップ絶縁層49上の上部磁極である。オーバコート絶縁層51は上部磁極51を被覆している。
【0139】
ここで、GMR層45よりも下層のアルミナ膜42、44は100℃以上の比較的高温の基板温度で成膜することが可能であるが、それよりも上層のアルミナ膜47、49、51はGMR層45の熱による特性変動があり、100℃以上の基板温度で成膜することは難しい場合がある。従って、第1の実施の形態に示す成膜条件の範囲では、GMR層45よりも下層のアルミナ膜42、44の成膜にこの発明の成膜方法を適用することが好ましい。
【0140】
以上、実施の形態によりこの発明を詳細に説明したが、この発明の範囲は上記実施の形態に具体的に示した例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の上記実施の形態の変更はこの発明の範囲に含まれる。
【0141】
例えば、第2の実施の形態では、この発明のアルミナ膜をFeRAMと磁気抵抗効果型ヘッドに適用する例について説明したが、図28に示すTMR(トンネル磁気抵抗効果型ヘッド)のトンネル絶縁膜62にこの発明のアルミナ膜を適用してもよい。なお、同図中、61、63はトンネル絶縁膜62を挟んで形成されたCoFeなどからなる下部及び上部磁性層、64a、64bは下部磁性層61/トンネル絶縁膜62/上部磁性層63の積層構造の両側に形成された電極である。
【0142】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、アルミニウム含有有機化合物を含む成膜ガスを用いたプラズマCVD法により成膜しているため、スパッタ法に比べてカバレージがよく、緻密で、かつ水素含有量の少ないアルミナ膜を得ることができる。これにより、高密度化により被成膜面が凹凸していてもその上に均一な膜厚のアルミナ膜を成膜することができるとともに、内部放出或いは外部侵入水素による高誘電率膜の劣化を防止することができる。
【0143】
また、周波数0.1MHz以上、1MHz以下の低周波電力により成膜ガスをプラズマ化し、又は成膜ガスにキャリアガスとしての希ガス以外の希ガスを添加することにより、より一層アルミナ膜の緻密性を向上させることができる。
【0144】
また、希ガスを添加することにより成膜レートが低下する傾向があるが、第2の電極に対向する第1の電極に周波数1MHz以上、100MHz以下の高周波電力を印加することで高い緻密性を保持したまま成膜レートを向上させることができる。
【0145】
また、希ガスの代わりに酸素を添加することにより、さらにアルミナ膜中の水素含有量をより一層低減することができる。また、成膜ガスにシリコン含有化合物を含ませることにより、下地に対するアルミナ膜の密着力を高め、膜応力の制御性を向上させることができる。
【0146】
さらに、アルミナ膜を成膜した後に、アルミナ膜をNO、N又は不活性ガスのプラズマに曝してアルミナ膜の改質処理を行うことにより、アルミナ膜中の水素含有量をさらに低減させることができる。
【0147】
また、この発明の成膜装置においては、アルミナ膜の成膜ガスの供給手段のほかに、BClの供給源、NFの供給源、水素の供給源及び不活性ガスの供給源を備えたクリーニングガスの供給手段を備えているため、in−situクリーニングが可能である。これにより、チャンバ内に残留し、チャンバの内壁面や電極その他に付着したアルミナを、容易に、かつ時間をあまりかけないで、除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態であるプラズマCVD装置の構成を示す側面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態であるプラズマCVD装置の他の構成を示す側面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態であるプラズマCVD装置のさらに別の構成を示す側面図である。
【図4】(a)乃至(e)は、本発明の第1の実施の形態である成膜方法について説明するタイミングチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態である成膜方法において、低周波電力PLF、高周波電力PRFに対する成膜レート及び屈折率の変化の様子を調査した結果を示すグラフである。
【図6】本発明の第1の実施の形態である成膜方法において、NO流量、高周波電力PRFに対する成膜レート及び屈折率の変化の様子を調査した結果を示すグラフである。
【図7】本発明の第1の実施の形態である成膜方法において、赤外吸収分光法により、形成されたアルミナ膜中のCH結合及びCH結合の含有量を調査したグラフである。
【図8】本発明の第1の実施の形態である成膜方法において、赤外吸収分光法により、形成されたアルミナ膜中のCH結合及びCH結合の含有量を調査したグラフである。
【図9】本発明の第1の実施の形態である成膜方法において、基板温度に対する成膜レート及び屈折率の変化の様子を調査した結果を示すグラフである。
【図10】本発明の第1の実施の形態である成膜方法において、基板温度に対する比誘電率の変化の様子を調査した結果を示すグラフである。
【図11】本発明の第1の実施の形態である成膜方法において、ガス圧力Pに対する成膜レート及び屈折率の変化の様子を調査した結果を示すグラフである。
【図12】本発明の第1の実施の形態である成膜方法において、ガス圧力Pに対する成膜レート及び屈折率の変化の様子を調査した結果を示すグラフである。
【図13】本発明の第1の実施の形態である成膜方法において、ガス圧力Pに対するダイナミックハードネス及びヤング率の変化の様子を調査した結果を示すグラフである。
【図14】本発明の第1の実施の形態である成膜方法において、基板温度をパラメータとして成膜後のアルミナ膜中からの水素放出量を調査したグラフである。
【図15】本発明の第1の実施の形態である成膜方法において、ガス圧力Pをパラメータとして成膜後のアルミナ膜中からの水素放出量を調査したグラフである。
【図16】本発明の第1の実施の形態である成膜方法において、基板温度をパラメータとして成膜後のアルミナ膜中からの水分放出量を調査したグラフである。
【図17】本発明の第1の実施の形態である成膜方法において、ガス圧力Pをパラメータとして成膜後のアルミナ膜中からの水分放出量を調査したグラフである。
【図18】本発明の第1の実施の形態である成膜方法において、成膜方法をパラメータとして成膜後のアルミナ膜中の水素放出量を調査したグラフである。
【図19】本発明の第1の実施の形態である成膜方法において、ガス圧力Pをパラメータとして成膜後のアルミナ膜中からの水分放出量を調査したグラフである。
【図20】本発明の第1の実施の形態である成膜方法において、成膜方法をパラメータとして成膜後のアルミナ膜中の水素放出量を調査したグラフである。
【図21】本発明の第1の実施の形態である成膜方法により形成したアルミナ膜の水分に対するバリア特性を調査した結果を示すグラフである。
【図22】比較例のECR反応性スパッタ法により形成したアルミナ膜の水分に対するバリア特性を調査した結果を示すグラフである。
【図23】本発明の第1の実施の形態である成膜方法において、アルミナ膜を挟む銅基板と水銀プローブの間に流れるリーク電流と、絶縁破壊耐圧とを調査したグラフである。
【図24】本発明の第1の実施の形態である成膜方法において、アルミナ膜を挟む銅膜と基板の間に流れるリーク電流と、絶縁破壊耐圧とを調査したグラフである。
【図25】本発明の第1の実施の形態である成膜方法により成膜されたアルミナ膜のステップカバレージを観察した顕微鏡写真である。
【図26】本発明の第2の実施の形態であるFeRAM(高誘電体メモリ)にこの発明のアルミナ膜を応用した例について示す断面図である。
【図27】本発明の他の第2の実施の形態である磁気抵抗効果型ヘッドにこの発明のアルミナ膜を応用した例について示す断面図である。
【図28】本発明の別の第2の実施の形態であるTMR(トンネル磁気抵抗効果型ヘッド)にこの発明のアルミナ膜を応用した例について示す断面図である。
【符号の説明】
1 チャンバ
2 上部電極
3 下部電極
4 排気配管
5 バルブ
6 排気装置
7 高周波電力供給電源(RF電源)
8 低周波電力供給電源
9、9j 配管
9a〜9i 分岐配管
10a〜10j,10l〜10x 開閉手段
11a〜11h 流量調整手段
12 ヒータ
32 保護膜
42 下地絶縁層
44、47、49 ギャップ絶縁層
45 GMR層
51 オーバコート絶縁層
62 トンネル絶縁膜
101 成膜装置
101A 成膜部
101B 成膜ガス供給部
201 高誘電体キャパシタ

Claims (17)

  1. 構造式AlH(R)3−m(但し、m=0,1,2、R=CH、C)を有するアルミニウム含有有機化合物、及び酸素含有ガスを含む成膜ガスを供給する工程と、
    前記成膜ガスをプラズマ化し、反応させて基板上にアルミナ膜を形成する工程とを有することを特徴とする成膜方法。
  2. 前記酸素含有ガスは一酸化窒素(NO)、一酸化二窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、又は水(HO)のうち何れか一であることを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
  3. 前記アルミニウム含有有機化合物のキャリアガスは希ガスであることを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
  4. 前記成膜ガスは、前記キャリアガスとして用いた希ガス以外の希ガスを含むことを特徴とする請求項3記載の成膜方法。
  5. 前記成膜ガスは、酸素(O)又は窒素(N)のうち少なくとも何れか一を含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載の成膜方法。
  6. 第1の電極と、前記第1の電極に対向し、前記基板を保持する第2の電極とからなる一対の電極の間に前記成膜ガスを導入し、前記第2の電極に100kHz以上、1MHz以下の周波数を有する電力を印加して前記成膜ガスをプラズマ化することを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
  7. 前記第2の電極に100kHz以上、かつ1MHz以下の周波数を有する電力を印加することに加えて、前記第1の電極に1MHz以上、かつ100MHz以下の周波数を有する電力を印加することを特徴とする請求項6記載の成膜方法。
  8. 前記成膜ガスはシリコン含有化合物を含むことを特徴とする請求項1乃至7記載の成膜方法。
  9. 前記シリコン含有化合物はモノシラン(SiH)、有機シラン(SiH(OR)4−n(但し、n=0,1,2,3))、又はシロキサン(Si−O−Si)結合を有するアルキル化合物のうち何れか一であることを特徴とする請求項8記載の成膜方法。
  10. 前記アルミナ膜を形成する工程の後に、前記アルミナ膜をNO、N又は希ガスのプラズマに曝して前記アルミナ膜の改質処理を行う工程を有することを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
  11. 構造式AlH(R)3−m(但し、m=0,1,2、R=CH、C)を有するアルミニウム含有有機化合物の供給源、及びNO、NO、NO又はHOのうち少なくとも何れか一からなる酸素含有ガスの供給源を備えた成膜ガスの供給手段と、
    前記成膜ガスの供給手段と接続されたチャンバと、
    前記チャンバ内に導入した成膜ガスをプラズマ化する手段と、
    前記チャンバ内に設けられた被成膜基板を保持する基板保持具とを有し、
    前記アルミニウム含有有機化合物の供給源と酸素含有ガスの供給源とはそれぞれ分離して前記チャンバに接続されていることを特徴とする成膜装置。
  12. 前記チャンバ内に導入した成膜ガスをプラズマ化する手段は、成膜ガスの放出具を兼ねた第1の電極と、該第1の電極に対向する、前記基板保持具を兼ねた第2の電極とを備え、
    前記アルミニウム含有有機化合物の供給源と前記酸素含有ガスの供給源とはそれぞれ分離して前記第1の電極に接続されていることを特徴とする請求項11記載の成膜装置。
  13. 前記チャンバ内に導入した成膜ガスをプラズマ化する手段は、成膜ガスの放出具を兼ねた第1の電極と、該第1の電極に対向する、前記基板保持具を兼ねた第2の電極と、前記第1の電極以外のチャンバ内へのガス導入口とを備え、
    前記酸素含有ガスの供給源は前記第1の電極に接続され、かつ前記アルミニウム含有有機化合物の供給源は前記ガス導入口に接続されていることを特徴とする請求項11記載の成膜装置。
  14. 構造式AlH(R)3−m(但し、m=0,1,2、R=CH、C)を有するアルミニウム含有有機化合物の供給源、及び酸素含有ガスの供給源を備えた成膜ガスの供給手段と、
    BCl又はHClのうち少なくとも何れか一の供給源と、NFの供給源、水素の供給源及び希ガスの供給源のうち少なくとも何れか一とを備えたクリーニングガスの供給手段と、
    前記成膜ガスの供給手段及びクリーニングガスの供給手段と接続されたチャンバと、
    前記チャンバ内に導入した成膜ガス及びクリーニングガスをプラズマ化する手段と、
    前記チャンバ内に設けられた被成膜基板を保持する基板保持具と
    を有することを特徴とする成膜装置。
  15. 前記チャンバ内に導入した成膜ガス及びクリーニングガスをプラズマ化する手段は、
    第1の電極と、
    前記第1の電極に対向し、被成膜基板を保持する第2の電極と、前記第2の電極に、1MHz以上、100MHz以下の周波数の電力を供給する高周波電力供給源と、
    前記第2の電極に、100kHz以上、1MHz以下の周波数の電力を供給する低周波電力供給源と
    を有することを特徴とする請求項14記載の成膜装置。
  16. 請求項14又は15記載の成膜装置により前記アルミナ膜を成膜した後、前記成膜装置のチャンバ内に前記クリーニングガスを導入してプラズマ化し、前記チャンバ内をクリーニングすることを特徴とする成膜装置のクリーニング方法。
  17. 前記クリーニングガスは、前記BCl又は前記HClのうち何れか一の単独のガス、前記BCl又は前記HClのうち何れか一と前記希ガスとの混合ガス、前記BCl又は前記HClのうち何れか一と前記水素の混合ガス、又は前記単独のガス或いは前記混合ガスのうち何れか一に前記NFを添加したガスのうちから選択されたものであることを特徴とする請求項16記載の成膜装置のクリーニング方法。
JP2002170871A 2002-06-12 2002-06-12 成膜方法、成膜装置及び成膜装置のクリーニング方法 Withdrawn JP2004015034A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002170871A JP2004015034A (ja) 2002-06-12 2002-06-12 成膜方法、成膜装置及び成膜装置のクリーニング方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002170871A JP2004015034A (ja) 2002-06-12 2002-06-12 成膜方法、成膜装置及び成膜装置のクリーニング方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004015034A true JP2004015034A (ja) 2004-01-15

Family

ID=30436974

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002170871A Withdrawn JP2004015034A (ja) 2002-06-12 2002-06-12 成膜方法、成膜装置及び成膜装置のクリーニング方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004015034A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009037991A1 (ja) * 2007-09-19 2009-03-26 Hitachi Kokusai Electric Inc. クリーニング方法及び基板処理装置
JP2009064821A (ja) * 2007-09-04 2009-03-26 Hokkaido Univ 半導体基板の表面に絶縁膜を形成する方法と装置
JP2010103303A (ja) * 2008-10-23 2010-05-06 Toshiba Corp 磁気抵抗素子及びその製造方法
JP2015019091A (ja) * 2006-05-26 2015-01-29 株式会社半導体エネルギー研究所 半導体装置の作製方法
JP2016086178A (ja) * 2009-07-17 2016-05-19 株式会社半導体エネルギー研究所 半導体装置の作製方法
US9472345B2 (en) 2013-02-25 2016-10-18 Samsung Electronics Co., Ltd. Aluminum precursor, method of forming a thin film and method of forming a capacitor using the same

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015019091A (ja) * 2006-05-26 2015-01-29 株式会社半導体エネルギー研究所 半導体装置の作製方法
US9231070B2 (en) 2006-05-26 2016-01-05 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Nonvolatile semiconductor memory device and manufacturing method thereof, semiconductor device and manufacturing method thereof, and manufacturing method of insulating film
JP2009064821A (ja) * 2007-09-04 2009-03-26 Hokkaido Univ 半導体基板の表面に絶縁膜を形成する方法と装置
WO2009037991A1 (ja) * 2007-09-19 2009-03-26 Hitachi Kokusai Electric Inc. クリーニング方法及び基板処理装置
JP5213868B2 (ja) * 2007-09-19 2013-06-19 株式会社日立国際電気 クリーニング方法及び基板処理装置
JP2010103303A (ja) * 2008-10-23 2010-05-06 Toshiba Corp 磁気抵抗素子及びその製造方法
JP2016086178A (ja) * 2009-07-17 2016-05-19 株式会社半導体エネルギー研究所 半導体装置の作製方法
US10256291B2 (en) 2009-07-17 2019-04-09 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Method of manufacturing semiconductor device
US9472345B2 (en) 2013-02-25 2016-10-18 Samsung Electronics Co., Ltd. Aluminum precursor, method of forming a thin film and method of forming a capacitor using the same

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3745257B2 (ja) 半導体装置及びその製造方法
JP3600507B2 (ja) 半導体装置及びその製造方法
KR100407012B1 (ko) 반도체 장치 및 그 제조 방법
JP2002164342A (ja) 半導体装置及びその製造方法
JP3701626B2 (ja) 半導体装置の製造方法
JP3348084B2 (ja) 成膜方法及び半導体装置
JP3545364B2 (ja) 半導体装置及びその製造方法
KR100486333B1 (ko) 반도체 장치 및 그 제조 방법
US6835669B2 (en) Film forming method, semiconductor device and semiconductor device manufacturing method
KR100399633B1 (ko) 반도체 장치 및 그 제조 방법
JP3532830B2 (ja) 半導体装置及びその製造方法
JP2005294333A (ja) 成膜方法及び半導体装置
JP3934343B2 (ja) 半導体装置及びその製造方法
JP3845061B2 (ja) 半導体装置及びその製造方法
JP2004015034A (ja) 成膜方法、成膜装置及び成膜装置のクリーニング方法
JP3409006B2 (ja) 成膜方法及び半導体装置の製造方法
JP2002305242A (ja) 半導体装置の製造方法
JP2004228599A (ja) 半導体装置
JP2002164346A (ja) 成膜方法、半導体装置及びその製造方法
JP2004200713A (ja) 半導体装置及びその製造方法
JP2002164429A (ja) 半導体装置及びその製造方法
JP2001144084A (ja) 成膜方法及び半導体装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050906