JP2004014621A - カード構成用シート、icカードおよびicカードの製造方法 - Google Patents

カード構成用シート、icカードおよびicカードの製造方法 Download PDF

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Michiko Obata
小幡 享子
Kenichi Kano
鹿野 賢一
Kimitaka Nishimura
西村 公孝
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Abstract

【課題】シートの丁合いに高い精度を要求せずとも、空気溜りや印刷歪みの発生を抑制することができるカード構成用シート、ICカードおよびICカードの製造方法を提供すること。
【解決手段】ICチップ22を保護するための円形の金属板27a,27bを収容する貫通孔34a,34bが内コアシート材28a,28bに形成されたICカード21において、貫通孔34a,34bの周縁に、外方へ向かって放射状に突出する連続した複数の切欠き部34Nを設けることにより、貫通孔34a,34bに対する金属板27a,27bの位置ずれが生じても、隙間Gへの樹脂の充填を確保して、空気溜りや印刷歪みの発生を抑制する。
【選択図】    図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体チップを実装したアンテナ基板の表裏面に内コアシート材および外コアシート材を積層してなる例えば非接触式のICカードおよびその製造方法に関し、更に詳しくは、半導体チップ実装部位における空気溜りおよび印刷歪みの抑制を図ったカード構成用シート、ICカードおよびICカードの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電波を使って信号の読み書きが可能な非接触型ICカードが、キャッシュカード、クレジットカード、電話カード、交通定期券として、銀行取引、電話の通話、公共輸送機関の利用等に広く用いられている。この種のICカードは、通信用アンテナとこれに接続されるICチップ(半導体チップ)を複数枚のカード構成シートで挟み込んだチップ内蔵型カードで構成されるが、その構成の一例を図10に示す。
【0003】
図10を参照して、ICカード1は一般に、ICチップ2が実装されたアンテナ基板3の表裏面に対して、内コアシート材8a,8bおよび外コアシート材9a,9bを介して外装シート材11a,11bを丁合い積層後、加熱プレス(熱圧着)して製造される。
【0004】
アンテナ基板3にはアンテナ用配線が渦巻き状に形成されており、そのアンテナ用配線に対し、ICチップ2がACF(異方性導電膜)5を介して接合されている。ICチップ2の上面およびアンテナ基板3裏面のICチップ2に対応する部位には、エポキシ樹脂等の熱硬化性接着樹脂6a,6bを介して、補強板としてステンレス等からなる円形の金属板7a,7bが貼着されることによって、ICチップ搭載部位の抗折性および耐衝撃性等が与えられている。また、外装シート材11a,11bには必要に応じて磁気ストライプ10a,10bが貼り付けられる。
【0005】
アンテナ基板3の表裏面は、ICチップ2、接着樹脂6a,6bおよび金属板7a,7bが設けられることによって、局所的に段差が形成された状態にある。このようなアンテナ基板3に対して各種シート材を積層後、加熱プレスして作製したICカードにおいては、図11に示すようにIC内蔵部12の周辺において空気溜り13が生じる場合があった。空気溜り13は衝撃・落下強度、静荷重試験において不良の要因となり、カード品質に悪影響を与えるので、空気溜りの発生は避けなければならい。
【0006】
このような問題を解消するために、例えば図12に示すように、内コアシート材8a,8bに対し、アンテナ基板3上の金属板7a,7bが嵌合する貫通孔14a,14bを形成することにより、金属板7a,7bを外コアシート材9a,9bの内面に対向させて、ICチップ2の実装部における段差を吸収する方法がある(特開2000−311225号)。貫通孔14a,14bは、金属板7a,7bの形状に対応して円形に形成され、金属板7a,7bの外径よりも大きな内径を有しているため、図13Aに示すように金属板7a,7bとの間に隙間gを形成する。
【0007】
そして、加熱プレス時には、図14に示すように、2枚の金属板7a,7bの間で構成されるICモジュール15がカード全厚方向に関して略中央位置へ移動し、貫通孔14a,14bと金属板7a,7bとの間に形成される隙間g内には、プレス熱により溶融したシート構成樹脂が流れ込む。
【0008】
加熱プレス後、貫通孔14a,14bと金属板7a,7bとの間に形成される隙間gに空気が残ると、これが原因で空気溜りが発生する。空気溜りの発生を防止するためには、当該隙間gを溶融樹脂で均質に充填する必要がある。また逆に、隙間g内へ溶融樹脂を均質に充填するためには、図13Aに示すように金属板7a,7bに対して貫通孔14a,14bを適正に位置合わせし、金属板7a,7bのまわりの隙間gを周方向に関して一定の大きさにする必要がある。
【0009】
また、隙間g内への樹脂の流れ込みによって、図14に示すように、外装シート材11a,11bの内面がカード内層側へ誘導される結果、外装シート材11a,11b表面の絵柄や文字等の印刷像を形成するインク層16a,16bに段差sが生じる。この段差sが大きくなると印刷歪みが発生し、結果的に、カード外観不良となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来のICカードでは、内コアシート材8a,8bに形成される貫通孔14a,14bの形状が円形であるために、例えば図13Bに示すように貫通孔14a,14bの中心と金属板7a,7bの中心がずれた状態で積層された場合には、金属板7a,7bと貫通孔14a,14bとの間に形成される隙間gの対称性が大きく崩れ、隙間gに樹脂が均質に流れ込みにくくなり、その結果、隙間gが樹脂で完全に充填されずに空気溜りが発生する可能性が高くなる。
【0011】
また、隙間gにバラツキが生じると、金属板7a,7b周囲からの樹脂の流れ込み量が大きく変動するので、これがインク層16a,16bに多大な影響を与え、印刷歪みの発生を助長する。
【0012】
以上のように、従来のICカードの構成では、空気溜りや印刷歪みの発生を抑制するためには、アンテナ基板3と内コアシート材8a,8bとの丁合い積層の際、アンテナ基板3上の金属板7a,7bと内コアシート材8a,8bの貫通孔14a,14bとの間に高い位置合わせ精度が要求されることになり、これが原因でICカードの生産性が損なわれ、製造コストが上昇するという問題がある。
【0013】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、シートの丁合いに高い精度を要求せずとも、空気溜りや印刷歪みの発生を抑制することができるカード構成用シート、ICカードおよびICカードの製造方法を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するに当たり、本発明は、カード構成用シートとしての内コアシート材に形成される貫通孔の周縁に、当該貫通孔の外方へ向かって放射状に突出する連続した複数の切欠き部を設けている。
【0015】
また、本発明のICカードの製造方法は、アンテナ基板上の半導体チップの表面側および裏面側にそれぞれ円形の補強板で貼着する工程と、放射状に突出する連続した複数の切欠き部を周縁に有し、補強板を外コアシート材の内面と対向させるための貫通孔を内コアシート材に形成する工程と、当該貫通孔を形成した内コアシート材と外コアシート材とをアンテナ基板の表裏面に積層し、加熱プレスする工程とを有する。
【0016】
本発明に係る貫通孔は、従来の円形と異なり、その周縁に当該貫通孔の外方へ向かって放射状に突出する連続した複数の切欠き部が形成されているので、当該貫通孔と補強板との間の位置合わせに多少バラツキが生じた場合でも、貫通孔周縁の切欠き部が流動樹脂の通路として機能する。これにより、貫通孔と補強板との間に形成される隙間の樹脂による充填作用が確保される。
【0017】
また、貫通孔周縁の切欠き部が流動樹脂の通路として機能することによって、補強板周囲からの樹脂の流れ込み量に大きな変動が生じることはなく、これにより印刷歪みの発生が抑制される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施の形態では、非接触型ICカードおよびその製造方法に本発明を適用した例について説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に適用される非接触型ICカード(以下「ICカード」という)21の構成を示している。ICカード21は、ICチップ22が実装されたアンテナ基板23の表裏面を、内コアシート材28a,28bおよび外コアシート材29a,29bを介して、外装シート材31a,31bで被覆して構成されている。
【0020】
アンテナ基板23は、PI(ポリイミド)やPEN(ポリエチレンナフタレート)等からなり、表裏面にはアンテナ用配線等を構成する銅箔パターンが形成されている。ICチップ22は、金属突起電極(バンプ)が形成された半導体ベアチップからなり、ACF25を介してアンテナ用配線に電気的に接続されている。半導体チップ22の上、およびアンテナ基板23の裏面であって半導体チップ22に対応する部位にはそれぞれ、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性接着樹脂26a,26bが塗布され、更にそれらの上に金属板27a,27bがそれぞれ貼り付けられている。
【0021】
金属板27a,27bは本発明に係る「補強板」に対応し、例えばステンレス等の金属材料で構成され、円形で、その厚さは例えば50μmである。半導体チップ22は接着樹脂26aによってモールドされるとともに、これら一対の金属板27a,27bに挟持されることによって、抗折性および耐衝撃性が付与される。
【0022】
以上、一対の金属板27a,27b、接着樹脂26a,26b、ICチップ22、ACF25およびアンテナ基板23によって、ICモジュール36が構成される。
【0023】
アンテナ基板23の表裏面を被覆(隠蔽)する外装シート材31a,31bは、例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート)とPC(ポリカーボネート)との混合体で構成される。外装シート材31a,31bは、その内面側に所定の絵柄や文字等が印刷されたインク層を有し、また、必要に応じて磁気ストライプ(図示略)が貼り付けられる。
【0024】
内コアシート材28a、28bおよび外コアシート材29a,29bはともに、規定されたカード接着強度に準じる一般接着シートまたは熱可塑性接着剤シート(ホットメルト)等で構成され、本実施の形態においては、厚さが例えば175μmのポリエチレンテレフタレートグリコール(PET−G:商品名)が用いられている。
【0025】
本発明の「カード構成用シート」に対応する内コアシート材28a,28bにはそれぞれ、アンテナ基板22上の金属補強板27a,27bと対応する部位に、図4に示すような形状の貫通孔34a,34bが形成されている。貫通孔34a,34bは、その周縁に、当該貫通孔34a,34bの内方から外方に向かって放射状に突出する連続した複数の切欠き部34Nが形成され、図示の例では、20度間隔で18個の切欠き部34Nが形成されている。切欠き部34Nのひとつひとつは、略三角形状を呈しているが、後述するように、この形状だけに限られない。
【0026】
貫通孔34a,34bの周縁形状は、当該貫通孔34a,34bの中心に関して対称に形成されている。図4に示すように、金属板27a,27bの外径dは、貫通孔34a,34bの最大内径D1および最小内径D2よりも小さく設定されている(d<D2<D1)。そのため、貫通孔34a,34bとこれに収容される金属板27a,27bとの間には、環状の隙間Gが形成されることになる。
【0027】
図5は、アンテナ基板23に対して内コアシート材28a,28bおよび外コアシート材29a,29bを丁合い積層した、加熱プレス前の状態を模式的に示すICモジュール36周辺の断面図である。ICモジュール36は、内コアシート材28a,28bの貫通孔34a,34bの内部に位置し、一方の貫通孔34a側においては金属板27aが外コアシート材29aの内面に対向(当接)し、他方の貫通孔34b側においては金属板27bが外コアシート材29bの内面に対向している。
【0028】
この状態では、図5に模式的に示すようにICモジュール36と貫通孔34a,34bおよび外コアシート材29a,29bとの間に隙間Gが生じているが、加熱プレスを行うことによって、図6に示すようにICモジュール36がカード全厚方向に関して略中央部へ位置するようにアンテナ基板23が撓むとともに、プレス熱により流動化した樹脂が隙間Gを充填して当該隙間Gを消失させる。
【0029】
図2は、ICカード21の製造プロセスを示している。本実施の形態では、ICカード21が9面とれる枚葉サイズ(A4サイズ)の各種シート材を用いている。なお図示は省略しているが、加熱プレス後、所定のカード一枚サイズに打ち抜いて、ICカード21を製造するようにしている。
【0030】
ICカード21の製造に当たっては、あらかじめ、アンテナ基板23上にICチップ22を実装し、これを一対の金属板27a,27bで挟持して、ICモジュール36を形成しておく。
【0031】
次いで、内コアシート材28bの面内所定部位に対して、例えば打ち抜きプレス法によって上述した構成の貫通孔34bを形成する(図2a,b)。貫通孔34bは、図3に明示するように、内コアシート材28bの上に3行3列で計9箇所に形成される。これらの貫通孔34bは、後に内コアシート材28b上に配置されるアンテナ基板23のそれぞれのICモジュール36に対応する部位に形成される。
【0032】
次に、内コアシート材28b上に、ICモジュール36を形成したアンテナ基板23を一枚ずつ位置合わせして仮固定する(図2c)。このとき、ICモジュール36の金属板27bは、図4に示したように貫通孔34bに嵌合される。なお、内コアシート材28bに対するアンテナ基板23の仮固定法としては、例えば超音波振動を用いたスポット溶着等が適用される。
【0033】
内コアシート材28b上に9枚のアンテナ基板23を仮固定した後、同じく貫通孔34aを形成した内コアシート材28aをアンテナ基板23の上に丁合い積層する(図2d)。このとき、内コアシート材28aの貫通孔34aに、ICモジュール36の金属板27aを嵌合させる。この場合、例えば超音波振動を用いたスポット溶着等によって内コアシート材28aと内コアシート材28bとを互いに仮固定し、位置ずれを防ぐようにしてもよい。
【0034】
続いて、内コアシート材28a,28bの上に外コアシート材29a,29bおよび外装シート材31a,31bを丁合い積層した後、加熱プレスする(図2e,f)。この例では、外装シート材31bとして、磁気ストライプ30bが貼り付けられたものが用いられている。
【0035】
なお、内コアシート材28a,28b、外コアシート材29a,29bおよび外装シート材31a,31bのそれぞれの縁部には、積層時の位置基準を確定するための位置決め用孔Pが設けられている。これらのシート材は、例えば熱プレス用プレートに立設された位置決めピンに当該位置決め用孔Pを嵌挿させた状態で互いに積層されることによって、同時に、高精度な丁合いがなされるようになっている。
【0036】
内コアシート材28a,28bの上に外コアシート材29a,29bを積層した状態では、図5に示したように、内コアシート材28a,28bの貫通孔34a,34bが外コアシート材29a,29bによって被覆されるものの、ICモジュール36と各コアシート材28a,28b,29a,29bとの間には、隙間Gが形成されている。そして、加熱プレス時には、図6に示したようにICモジュール36がカード全厚方向に関してその略中央部へと沈み込み、流動化したカード構成樹脂が当該隙間G内に流れ込んで、隙間Gを消失させる。
【0037】
そこで、本実施の形態では、内コアシート材28a,28bに形成した貫通孔34a,34bの形状が、図4に示したように、その周縁に連続した複数の切欠き部34Nを設けた構成であるので、図7Aに示すように加熱プレス時には当該切欠き部34Nが流動樹脂の主な流入通路となって、隙間Gへ当該樹脂が誘導される。しかも、切欠き部34Nが放射状に、かつ、貫通孔34a,34bの中心に関して対称に形成されているので、貫通孔34a,34bの周方向に関して樹脂の流れ込み量にバラツキを生じさせることなく、隙間Gに対して樹脂を均質に流し込むことができる。
【0038】
一方、貫通孔34a,34bの中心位置と金属板27a,27b(ICモジュール36)の中心位置との間にズレが生じた状態で加熱プレスが行われたとしても、図7Bに示すように、貫通孔34a,34bに対する金属板27a,27bのずれ量に応じて隙間Gの対称性が崩れるものの、周縁の切欠き部34Nは依然として開放されているので、当該切欠き部34Nが流動樹脂の通路として機能し、隙間Gへの樹脂の流れ込み量の大きなバラツキを抑制することができる。
【0039】
また、金属板27a,27bを円形とすることにより、平面的に見て、一方の貫通孔34aと金属板27aとの間の隙間Gと、他方の貫通孔34bと金属板27bとの間の隙間Gとを上下において互いに対称とすることができる(図7B)。これにより、カード表面側と裏面側とで隙間G,Gへの樹脂流入方向を統一化でき、加熱プレス中においてICモジュール36に作用する圧力の安定化が図れる。このためには、ICモジュール36の形成時に表裏の金属板27a,27bを位置合わせする必要があるが、金属板が例えば方形状の場合に比べてその回転方向の位置合わせ作業が不要となるので、作業性が向上する。
【0040】
したがって、本実施の形態によれば、当該貫通孔34a,34b内において金属板27a,27bが位置ずれを生じていたとしても、カード製造後の空気溜りの発生と印刷歪みの発生とをともに抑制することができる。
【0041】
また、本実施の形態によれば、金属板27a,27bに対する貫通孔34a,34bの位置合わせ精度に余裕ができるので、アンテナ基板23と内コアシート材28a,28bとの間の高い位置決め精度が不要となり、これにより生産性の向上を図ることができる。
【0042】
次に、図8は、内コアシート材28a,28bに形成される本発明に係る「貫通孔」の形状の他の実施の形態を示している。図8Aに示す貫通孔41は、その周縁に連続的に形成される複数の切欠き部41Nの形状が三角形状を呈する場合の構成例である。また、図8Bに示す貫通孔42は、その周縁に連続的に形成される複数の切欠き部42Nの形状が湾曲形状を呈する場合の構成例である。更に、図8Cに示す貫通孔43は、その周縁に連続的に形成される複数の切欠き部43Nの形状が円弧形状を呈する場合の構成例である。
【0043】
これらの貫通孔41〜43の形状によっても、各々の切欠き部41N〜43Nが、加熱プレス時に流動樹脂の通路として機能することになるので、カード製造後の空気溜りや印刷歪みの発生を抑制できる。なお、切欠き部41N〜43Nのそれぞれの形成個数は、図示の場合に限られないことは勿論であり、金属板の面積と貫通孔の大きさ、すなわち、当該貫通孔内の切欠き部を含んだ総面積(以下「開口面積」という)との関係によって選定される必要がある。
【0044】
すなわち、貫通孔の開口面積は、カード製造後における空気溜りや印刷歪みの発生に大きく関連していることが本発明者らの実験によって確認されている。以下の[実施例]でその詳細を説明する。
【0045】
【実施例】
図9は、当該実験で採用した貫通孔の各サンプル形状を示すもので、それぞれ開口面積(Sh)の異なるA〜Sの計19種類用意した。また、実験で使用した金属板の外形を一点鎖線で重ねて示している。金属板の面積(Sp)は、38.5mm(φ7mm)である。これら各サンプルを、内コアシート材28a,28bに形成される貫通孔34a,34b(図2参照)に適用して実際にICカードを作製し、カード表面側(ICチップ搭載面側)および裏面側の外観品質の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
Figure 2004014621
【0047】
表1において、評価結果の「×」は、φ7.5mmの円形の貫通孔で作製したカード(以下「従来型カード」という)と比較して、従来型カードよりも空気溜り、印刷歪みを理由として外観品質が劣っているものを意味し、「○」は従来型カードよりも外観品質が良好なものを意味している。そして、「☆」は従来型カードよりも外観品質が優れ、ほぼ完全な外観品質が得られたものを意味している。また、評価結果が「×」であったものについてはその理由を付記しており、1は「空気溜り」、2は「印刷歪み」を意味している。
なお、評価は実験者による目視で行った。また、サンプルM1およびM2は、サンプルM(実施の形態で説明した貫通孔34a,34b)と同一パターンの孔形状で、開口面積をそれぞれ異ならせたものである。
【0048】
実験条件は、以下のとおりである。
・ICチップの厚さ:125μm
・金属板の厚さ:50μm
・内コアシート材の材質と厚さ:東レ合成社製PET−G(GW3A)、175μm
・外コアシート材の材質と厚さ:東レ合成社製PET−G(GW3A)、100μm
・外装シート材の材質と厚さ:PBT+PC、125μm
・アンテナ基板上のIC部の高さと内コアシート材の厚さとの差:135μm
・予備加熱プレス条件
1段目:0.1MPa×150℃×120秒、
2段目:0.2MPa×150℃×120秒
・本加熱プレス条件:1.5MPa×160℃×120秒
・冷却加熱プレス条件
1段目:2.0MPa×25℃×120秒
2段目:2.0MPa×25℃×120秒
【0049】
表1から明らかなように、金属板の外径とほぼ同等の大きさの最大内径を有する貫通孔(サンプルA〜I)の場合は、カード表面側および裏面側ともに空気溜り及び/又は印刷歪みが認められ、従来型カードに劣る結果となっている。また、金属板の面積に対する貫通孔の開口面積の面積比(Sh/Sp)が0.8以上1.7以下のサンプルJ〜Pについては良好な外観品質が得られたが、当該面積比がそれよりも大きくなると、空気溜りが顕在化する傾向にあることもわかった。
【0050】
また、注目すべきは、貫通孔が部分的に金属板の周囲にオーバーラップするような場合にも、良好な結果を得ることができたことである(サンプルJ〜L,OおよびP)。つまり、例えばサンプルJを参照して、金属板の外径(d)よりも小さい大きさの最小内径(D2)を有する貫通孔も、カード外観品質向上に大きく貢献することがわかった。
【0051】
なお、以上の実験結果はあくまでも、貫通孔の開口面積と金属板の面積との関係から導かれるものであって、貫通孔の形状との関連性は薄く、例えばサンプルA〜Iの形状であってもそれらの開口面積が金属板に対して0.8以上の面積比を有していれば全く異なる結果が得られるものと推考される。したがって、サンプルA〜IおよびサンプルQ〜Sの形態の貫通孔は、本発明の範囲から排除されるものと解釈されてはならない。
【0052】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれらに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0053】
例えば以上の実施の形態では、ICカードとして、非接触型ICカードを例に挙げて説明したが、勿論これに限らず、非接触/接触兼用のハイブリッド型ICカードやコンビネーションカードの構成およびその製造方法にも、本発明は適用可能である。なお、カードの形態としては、JIS/ISO規格に準拠した寸法のカードに限られないのは勿論である。
【0054】
また、内コアシート材28a,28bに形成する貫通孔の形状は、図4、図8および図9に示した例に限らず、例えば、正八角形や正十角形等の正多角形状等も適用可能である。この場合、各頂部が本発明に係る「切欠き部」として機能する。
【0055】
また、以上の実施の形態では、ICチップ22を一対の金属板27a,27bで挟持させてICモジュール36を構成するようにしたが、必要に応じて、一方の金属板27bを省略してもよい。この場合、内コアシート材28bに対して貫通孔34bを設ける必要はない。
【0056】
更に、以上の実施の形態では、アンテナ用配線をアンテナ基板23上の導体パターンで形成したが、金属巻線でアンテナ用配線を構成することも可能であり、当該配線を支持するための基板(フレキシブル基板)は省略することができる。
【0057】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のカード構成用シートによれば、半導体チップ保護用の補強板と対応する部位に設けた貫通孔の周縁に、当該貫通孔の外方へ向かって突出する連続した複数の切欠き部を設けているので、当該貫通孔と補強板との間に位置ずれが生じていても、IC周辺部の空気溜りや印刷歪みの発生を抑制でき、また、高い位置合わせ精度を必要とせずともカード外観品質を維持することができる。
【0058】
また、発明のICカードによれば、内コアシート材に形成される貫通孔の周縁に、当該貫通孔の外方へ向かって突出する連続した複数の切欠き部を設けているので、当該貫通孔と半導体チップ保護用の補強板との間に位置ずれが生じていても、IC周辺部の空気溜りや印刷歪みの発生を抑制することができる。
【0059】
また、本発明のICカードの製造方法によれば、アンテナ基板と内コアシート材との間の位置合わせに高い精度を要求することなく、空気溜りや印刷歪みの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるICカードの構造を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるICカードの製造方法を説明する工程斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるICカードを製造するための内コアシート材を示す斜視図である。
【図4】同、内コアシート材に形成される貫通孔の形状を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるICカードの加熱プレス前の状態を模式的に示す要部断面図である。
【図6】本発明の実施の形態におけるICカードの加熱プレス後の状態を模式的に示す要部断面図である。
【図7】本発明の実施の形態の作用を説明する図であり、Aは貫通孔とICモジュールとの間に位置すれが生じていない場合を示し、Bは両者の間に位置ずれが生じた場合を示している。
【図8】本発明の他の実施の形態を説明するための貫通孔の構成の変形例を示す図であり、Aは切欠き部が三角形状の例、Bは切欠き部が円弧形状の例、そしてCは切欠き部が湾曲形状の例をそれぞれ示す。
【図9】A〜Sともに、本発明の実施例を説明するための貫通孔の形成例を示す図である。
【図10】従来のICカードの構造を説明するための斜視図である。
【図11】空気溜りを原因とするカード外観不良の一例を説明する斜視図である。
【図12】従来のICカードの加熱プレス前の状態を模式的に示す要部断面図である。
【図13】従来のICカードに用いられていた段差吸収用の貫通孔を説明する図であり、Aは当該貫通孔とICモジュールとの間に位置ずれが生じていない場合を示し、Bは両者の間に位置ずれが生じた場合を示している。
【図14】従来のICカードの加熱プレス後の状態を模式的に示す要部断面図である。
【符号の説明】
21…ICカード、22…ICチップ(半導体チップ)、23…アンテナ基板、27a,27b…金属板(補強板)、28a,28b…内コアシート材(カード構成用シート)、29a,29b…外コアシート材、31a,31b…外装シート材、34a,34b,41,42,43…貫通孔、34N,41N,42N,43N…切欠き部、36…ICモジュール、D1…貫通孔の最大内径、D2…貫通孔の最小内径、d…金属板の外径、G…隙間。

Claims (14)

  1. 半導体チップを内蔵したチップ内蔵型カードのカード構成用シートであって、前記半導体チップの上部に当該半導体チップを保護するための補強板が貼着され、前記補強板に対応する部位に貫通孔が形成されたカード構成用シートにおいて、
    前記貫通孔の周縁に、前記貫通孔の外方へ向かって放射状に突出する連続した複数の切欠き部を設けた
    ことを特徴とするカード構成用シート。
  2. 前記貫通孔の周縁形状が、前記貫通孔の中心に関して対称に形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のカード構成用シート。
  3. 前記貫通孔の最小内径が、前記補強板の外径よりも小さく形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のカード構成用シート。
  4. 前記補強板の面積(Sp)に対する前記貫通孔の開口面積(Sh)の面積比(Sh/Sp)が、0.8以上1.7以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載のカード構成用シート。
  5. アンテナ用配線に電気的に接続された半導体チップを一対の内コアシート材および一対の外コアシート材でそれぞれ挟み込んでなり、前記半導体チップを保護するための補強板が前記半導体チップ上に貼着され、前記内コアシート材には、前記補強板を前記外コアシート材の内面と対向させるための貫通孔が形成されたICカードであって、
    前記貫通孔の周縁に、前記貫通孔の外方へ向かって放射状に突出する連続した複数の切欠き部を設けた
    ことを特徴とするICカード。
  6. 前記補強板が、円形である
    ことを特徴とする請求項5に記載のICカード。
  7. 前記貫通孔の周縁形状が、前記貫通孔の中心に関して対称に形成されている
    ことを特徴とする請求項5に記載のICカード。
  8. 前記貫通孔の最小内径が、前記補強板の外径よりも小さく形成されている
    ことを特徴とする請求項5に記載のICカード。
  9. 前記補強板の面積(Sp)に対する前記貫通孔の開口面積(Sh)の面積比(Sh/Sp)が、0.8以上1.7以下である
    ことを特徴とする請求項5に記載のICカード。
  10. 前記補強板が前記半導体チップの表面側および裏面側にそれぞれ貼着され、前記貫通孔が、前記一対の内コアシート材のそれぞれに形成される
    ことを特徴とする請求項5に記載のICカード。
  11. 半導体チップが実装されたアンテナ基板の表裏面にそれぞれ内コアシート材および外コアシート材を積層してなるICカードの製造方法であって、
    前記アンテナ基板上の半導体チップの表面側および裏面側にそれぞれ円形の補強板を貼着する工程と、
    放射状に突出する連続した複数の切欠き部を周縁に有し、前記補強板を前記外コアシート材の内面と対向させるための貫通孔を前記内コアシート材に形成する工程と、
    前記貫通孔を形成した内コアシート材と前記外コアシート材とを前記アンテナ基板の表裏面に積層し、加熱プレスする工程とを有する
    ことを特徴とするICカードの製造方法。
  12. 前記貫通孔を、その周縁が中心に関して対称となるように形成する
    ことを特徴とする請求項11に記載のICカードの製造方法。
  13. 前記貫通孔の最小内径を、前記補強板の外径よりも小さく形成する
    ことを特徴とする請求項11に記載のICカードの製造方法。
  14. 前記補強板の面積(Sp)に対する前記貫通孔の開口面積(Sh)の面積比(Sh/Sp)を、0.8以上1.7以下とする
    ことを特徴とする請求項11に記載のICカードの製造方法。
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