JP2004012772A - 液晶表示装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板どうしがスペーサを介して強固に結合され、外圧に対する強度と表示特性の向上した液晶表示装置とその製造方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも一方が透明である一対の基板1、2であって、片面に電極と配向膜とが形成されていて、それらを形成した面が向き合うように対向させた基板1、2と、対向するこれらの基板1、2間に配置されたスペーサ3と、該基板間に封入された液晶5とを含み、且つ、対向する該基板1、2の周辺部を封止してなる液晶表示装置10であって、一方の基板1(又は2)と前記スペーサ3とが接着剤により接合されている液晶表示装置とする。
【選択図】 図1
【解決手段】少なくとも一方が透明である一対の基板1、2であって、片面に電極と配向膜とが形成されていて、それらを形成した面が向き合うように対向させた基板1、2と、対向するこれらの基板1、2間に配置されたスペーサ3と、該基板間に封入された液晶5とを含み、且つ、対向する該基板1、2の周辺部を封止してなる液晶表示装置10であって、一方の基板1(又は2)と前記スペーサ3とが接着剤により接合されている液晶表示装置とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置とその製造方法に関する。より詳しく言えば、本発明は、少なくとも一方が透明である一対の基板の間に、一般に液晶として知られる光スイッチ機能を有する媒体を挟持した液晶表示装置であって、有効表示領域における基板間のギャップが均一且つ一定に保たれることにより、コントラストや応答速度等の均一性が向上し良好な表示品質を示す液晶表示装置と、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
少なくとも一方が透明である一対の基板間に、光スイッチ機能を有する媒体である液晶を充填した液晶表示装置は、一般に薄くて軽量で低消費電力である等の点から、電卓、家庭電化製品あるいはOA機器等の表示装置、空間光変調装置(Spacial Light Modulator)等として広く用いられている。
【0003】
液晶表示装置では、基板間のギャップが均一且つ一定であることが、良好な表示を行うのに不可欠である。ギャップの維持のためには、基板間に配置される、一般にスペーサと呼ばれる部材が使用されている。スペーサには、大別して粒子(ビーズ)状のものと柱状のものがあり、それらの配置・固定化方法が種々開発されてきた。
【0004】
一つの方法として、球状の粒子(ビーズ)を基板上に散布し、基板間のギャップを均一に制御する方法が提案されている。ところが、この方法では、ビーズの配置を制御することが困難であり、ビーズは表示に不可欠な画素部分にも散布されることになって、それにより液晶分子の配向欠陥を招来し、表示品位を低下させる問題があった。
【0005】
これを防止するため、ビーズの散布に代えて、フォトリソグラフィー法により画素部分以外に柱状のスペーサを選択的に形成する技術が提案されている。この場合、画素部分にスペーサがないため、配向欠陥、表示品位低下を防止することができる。ところが、スペーサは通常、一方の基板とは接着しているものの他方の基板とは接着性がないため、外圧を受ける(例えば指先で押される等)と基板間隔が変動し、それに従い基板上の電極間隔が変動して、干渉縞の発生、色調のばらつき、駆動電圧特性のばらつき等の問題が発生していた。
【0006】
スペーサに両基板との接着性を持たせる検討が行われているが、基板を重ね合わせる前の樹脂スペーサの熱硬化が進行していない条件で基板を重ね合わせ、加熱し、樹脂スペーサを硬化させた場合、基板との接着性は保持できるものの、基板を重ね合わせた時の圧力により、硬化前のスペーサが変形し、精密なギャップ制御ができない問題があった。
【0007】
そこで、特開2000−155321号公報では、スペーサに圧力や熱で変形しないビーズを含有させ、強度と接着性を両立するようにしている。ところが、この手法では、ビーズをスペーサ形成用の樹脂に分散させているため、下記に示す問題が発生する。
(1)確率的にビーズを含有しないスペーサが存在するため、ギャップ均一性が劣る。
(2)この問題を避けるため、ビーズ含有量を増やすと、ビーズがフィラーとして作用して悪影響を及ぼし、スペーサの製造時にスペーサ材料を均一にスピンコートできず、塗布厚さにムラができ、その結果スペーサ高さが不均一になる。(3)均一粒径をもつビーズは高価であり、しかも、スペーサ以外の部分はパターニングにより除去するため、ほとんどのビーズは捨てることになり、製造コストを上昇させる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、液晶表示装置用スペーサのこれまでの配置・固定化技術は、外圧に対し強く(耐衝撃性が高い)、表示特性の良好な液晶表示装置を実現するのに十分ではなかった。
【0009】
また、これまでのスペーサは、基板上にスペーサを均一且つ高密度に配置させた状態で配向膜材料溶液を塗布することが困難であったり、配向膜のラビング処理の際にスペーサが剥がれ落ちてしまったりといったように、液晶表示装置の表示品質を維持したままスペーサを基板上に固定するのにも十分でなかった。
【0010】
更に、フォトリソグラフィー法により一方の基板の画素部分以外に形成した完全に硬化したスペーサによりギャップ制御した場合、対向する他方の基板との十分な接着性が得られないため、基板中央部の電極間のギャップが外圧によって狭くなり、干渉縞の発生、色調のばらつき、駆動電圧特性のばらつき等が生じ、また極端な場合は、外力によって上下基板どうしが接触し、配向膜が損傷を受けて液晶分子の配向が乱れ、表示品質が低下する等の問題が発生していた。
【0011】
本発明は、前記の問題の解決し、ビーズなどを含まないスペーサにより基板どうしを強固に接着して、外圧に対する強度と表示特性の向上を実現可能な液晶表示装置とその製造方法の提供を目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の液晶表示装置は、少なくとも一方が透明である一対の基板であって、各基板の片面には電極と配向膜とが形成されていて、それらを形成した面が向き合うように対向させた基板と、対向するこれらの基板間に配置されたスペーサと、該基板間に封入された液晶とを含み、且つ、対向する該基板の周辺部を封止してなる液晶表示装置であって、一方の基板と前記スペーサとが接着剤により接合されていることを特徴とする液晶表示装置である。
【0013】
本発明の液晶表示装置は、一方の基板上に前記スペーサを形成し、その頭部に前記接着剤を配置し、この基板ともう一方の基板とを重ね合わせ、そして当該接着剤により当該スペーサと当該もう一方の基板とを接合することを特徴とする液晶表示装置の製造方法により製造することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の液晶表示装置は、スペーサにより間隔をあけて保持された、少なくとも一方が透明である一対の基板を有し、これらの基板間には液晶が封入されている。双方の基板の対向面には、電極が形成され、各電極の上に液晶分子の配向を規制する配向膜が設けられている。電極は、透明基板上のものが透明であればよいが、両方の基板上の電極を透明電極として形成してもよい。以下の説明では、両方の基板上に透明電極が存在するものとする。
【0015】
本発明の液晶表示装置における特徴は、一方の基板とスペーサとが接着剤により接合されていることにある。これにより、双方の基板はスペーサにより強固に結合され、基板間のギャップが均一且つ一定に保持される。
【0016】
本発明の液晶表示装置におけるスペーサは、一方の基板上に、例えば円柱、角柱等の、一般に柱状のスペーサとして形成される。そのような柱状スペーサの形成には、フォトリソグラフィー法によるパターニングが可能であり、スペーサを所定パターンに従って形成するのが容易な、感光性樹脂を用いるのが好適である。感光性樹脂を用いる場合、液晶表示装置の画素部分を除いて基板間の一定のギャップの保持に有効な位置にスペーサを配置することができ、また、パターニングに先立ち形成する感光性樹脂層の膜厚を調整することにより対向基板間の距離を制御するのが容易である。
【0017】
スペーサを形成する感光性樹脂としては、ポジ型又はネガ型の各種の感光性樹脂が使用できる。例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、環化ゴム、ノボラック樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、アクリレート樹脂、ビスフェノール樹脂等、あるいはゼラチンを感光性樹脂化したものから選択される少なくとも1種の樹脂を使用することができ、ここに挙げた樹脂は一般的なフォトレジスト材料として商業的に入手可能である。
【0018】
スペーサ頭部に配置する接着剤としては、一般的な熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂や、光硬化性樹脂など、溶媒に可溶もしくは硬化以前は液体状の材料が使用可能である。本発明では、熱可塑性樹脂としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリビニルテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、エポキシ、ポリカーボネート、スチレン、ナイロン6等、あるいはそれらの混合物を使用することができ、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂等、あるいはそれらの混合物を使用することができる。熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は、スペーサと片方の基板との接合時に加熱されることで接着性を発現する。光硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等のアクリレート系樹脂に、ベンジフェノン系、ベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサントン系等の光重合開始剤を添加したもの等、あるいはそれらの混合物を使用することができ、これらの樹脂は光の作用により接着性を発現する。
【0019】
スペーサと基板との間に位置する接着剤は、スペーサ高さの10%以下の厚さであるのが好ましい。そのためには、通常、液晶表示装置の製造時にスペーサ頭部に配置する接着剤層の厚さをスペーサ高さの10%以下とするのが好ましい。スペーサ頭部にその高さの10%を超える厚さの接着剤が存在すると、接着剤が画素内に入り込み、表示欠陥が発生するため、好ましくない。
【0020】
本発明の液晶表示装置は、一方の基板上にスペーサを形成し、その頭部に接着剤を配置し、この基板ともう一方の基板とを重ね合わせ、そして加熱(接着剤として熱可塑性あるいは熱硬化性樹脂を使用の場合)又は光照射(光硬化性樹脂を使用の場合)により当該接着剤に接着性を発現させて当該スペーサと当該もう一方の基板とを接合することで製造することができる。光硬化性の接着剤を使用する場合、接着剤には、重ね合わせた基板のうちの予めスペーサが形成されていなかった方の基板を通し照射する必要があるため、この基板は透明であるべきである。
【0021】
スペーサの頭部に接着剤を配置する方法は、特定の方法に限定されるものではない。一つの方法として、印刷法を使用することができる。とりわけ、オフセト印刷等で用いられる多段ローラ型印刷法が好適であり、この方法によれば、スペーサ頭部に付着させる接着剤層の厚さを容易にコントロールでき、且つ、連続処理が行える。
【0022】
スペーサ頭部へ接着剤を配置するもう一つの方法として、補助材料を使用する方法を挙げることができる。この方法では、スペーサ形成後に、スペーサの頭部のみを露出するようにして、スペーサ間に補助材料を充填する。次いで、スペーサ頭部と補助材料層の上面を覆う接着剤層を形成し、補助材料層の上に位置する接着剤を補助材料層とともに除去して、スペーサ頭部に接着剤を残す。
【0023】
補助材料としては、例えば、水により補助材料層を溶解してそれとともに補助材料層上の接着剤を除去するのを可能にする水溶性樹脂を使用することができる。本発明において補助材料として使用可能な水溶性樹脂の例としては、一般的なポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸塩系樹脂、ポリアクリルアマイド、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアミジン系樹脂、ポリN−ビニルホルムアミド等を挙げることができる。水溶性樹脂の混合物を使用することも可能である。
【0024】
このような水溶性樹脂を使用する場合、それは樹脂濃度が2〜40wt%の水溶液として、スペーサを形成した基板上に塗布し補助材料層を形成することができる。水溶液の樹脂濃度が2wt%に満たない場合、スペーサを覆う樹脂層の形成が困難であり、40wt%を超えると、基板上への均一な塗布が難しくなる。より好ましい樹脂濃度は10〜40wt%である。水溶液の基板上への塗布には、スピンコート法などが使用可能である。基板上の水溶性樹脂を除去するのには、水を溶媒として使用することができ、例えば、基板の水への浸漬、水蒸気洗浄(水蒸気の噴射)などが可能である。
【0025】
本発明では、光発熱剤含有接着剤を付着させる前にスペーサを硬化させておくことができる。このような硬化したスペーサを用いることにより、重ね合わせた基板間のギャップを一定に保つことができる。一方の基板上に形成された硬化スペーサは、その頭部の接着剤により他方の基板に強固に接合することができる。こうして、基板間ギャップを一定に保ちつつ、双方の基板を強固に結合することができる。
【0026】
液晶表示装置で使用する一対の基板には、液晶表示装置の表示動作に必要な透明電極が設けられ、その上に樹脂で形成された配向膜が存在していて、この配向膜表面には液晶分子を所定の方向に配向させるためのラビング処理が施されている。ラビング処理を施した配向膜のラビング効果は、一般に配向膜が高温にさらされると損なわれる。そのため、本発明においてスペーサ頭部の接着剤として加熱により接着性を発現する熱可塑性又は熱硬化性樹脂を使用する場合には、接着剤樹脂の軟化温度又は硬化温度は、配向膜のラビング効果を損なわない温度であるのが望ましい。基板の周辺部を封止するシール材の熱硬化性樹脂の硬化温度も、配向膜のラビング効果を損なわない温度であるのが好ましい。特に好ましいのは、シール材の硬化温度をスペーサ頭部の接着剤の軟化温度又は硬化温度と等しくするか、あるいはそれより高くすることである。それにより、重ね合わせた基板を加熱加圧する過程において、基板間のギャップを一定にしてから、あるいは一定に保持しながら、基板周辺部を封止することが可能になる。
【0027】
一般に、基板を組み合わせてパネルを形成後、液晶を再配向させるアニール処理の温度が110℃程度であるので、スペーサ頭部の接着剤の軟化温度又は硬化温度と基板周辺部の熱硬化性樹脂の硬化温度を110℃以上にする必要がある。また、パネル形成後、150℃以上になると配向膜のラビング効果が失われるため、150℃以上の加熱は避けるべきである。従って、スペーサ頭部の接着剤の軟化温度又は硬化温度と基板周辺部の熱硬化性樹脂の硬化温度は、110〜150℃の範囲であるのが好ましい。
【0028】
また、スペーサ頭部の熱硬化性接着剤と基板周辺部のシール材の熱硬化性樹脂の硬化時間は、2時間以内、可能な場合は1時間以内であるのが好ましい。
【0029】
基板間ギャップへの液晶の充填方法としては、予め対向させた基板間に真空を利用して液晶を充填封入する真空法、あるいは一方の基板上に液晶を滴下してから他方の基板を重ねる滴下法が代表的であり、本発明の液晶表示装置はそのどちらにより製造することも可能である。例えば、滴下法による場合、一対の基板の一方に前記スペーサを形成し、一対の基板のいずれか一方の基板上に液晶を滴下した後、2枚の基板を重ね合わせ、基板周辺封止部材とともに加熱(熱可塑性あるいは熱硬化性接着剤を使用する場合)することにより、スペーサを両方の基板に接着することができる。
【0030】
本発明の液晶表示装置において使用する液晶は特に限定されず、ツイステッドネマティック型液晶、スーパーツイステッドネマティック型液晶、ネマティックコレステリック相転移型液晶、ポリマー分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、ツイストグレインバウンダリ液晶、電傾効果を示すスメクティックA相液晶等の公知の液晶を使用することができる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例を説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
図1に、下記の例で製造した液晶表示装置を模式的に示す。この液晶表示装置10には、対向したガラス基板1、2と、これらの基板間に位置し、基板間のギャップを保持しているスペーサ3と、基板1、2の周辺部を封止している接着シール材4と、基板間のギャップに封入された液晶5が含まれている。基板1、2の対向面にはそれぞれ、透明電極が形成されており(一方は個別電極として、他方は共通電極として形成される)、その上にラビング処理を施した配向膜が位置しているが、簡単にするため図1にそれらは図示していない。
【0033】
また、ここでは、液晶表示装置の電極間のギャップを均一かつ一定に保って封止する工程にしぼって説明し、使用する材料等については後の例で具体的に説明する。
【0034】
透明電極と配向膜を形成したガラス基板1の上に、フォトレジスト材料をスピンコートした。このレジスト膜を100℃で1分間プリベーキングをしてから、フォトマスクを用いて紫外線露光装置により露光を行い、続いて現像を行って、基板上に直径10μmの円柱が100μm間隔で縦横に並ぶパターンでスペーサを形成した。こうして形成したスペーサを、純水で洗浄後、乾燥させ、そして180℃、60分のポストベークを行って硬化したスペーサ3を作製した。
【0035】
次に、スペーサ3の頭部に、図2に示した接着剤塗布装置20を用いて接着剤を連続的に塗布した。この接着剤塗布装置は、オフセット印刷等で用いられる多段ローラ型印刷機である。この塗布装置20を用いれば、接着剤供給器24から供給された接着剤25が多数のローラ22間を転写されることで、接着剤25の厚さを容易に制御して、図2中のAの部分の拡大図である図3に示したように接着剤25をスペーサ3の頭部へ連続して適用することができる。以下の例では、スペーサ3の頭部に塗布した接着剤を安定化するため、100℃、1分の加熱を行った。
【0036】
接着剤を頭部に塗布したスペーサ3を備えたガラス基板1の周辺部に、液晶注入口となる部分を残して接着シール材4を配置し、このガラス基板1の上にもう一方のガラス基板2を載置した組立体を作った。この組立体を熱処理装置(図示せず)内に装填し、スペーサ頭部の接着剤と接着シール材4の熱硬化性樹脂の硬化温度(110℃〜150℃)で加熱加圧した。この処理によって、頭部に接着剤の塗布されたスペーサは圧力を受けたまま、接着剤が硬化してガラス基板1と2とを強固に結合させた。また、接着シール材4によりガラス基板1、2の周辺がシールされた。
【0037】
その後、液晶注入口を通してガラス基板1とガラス基板2の間に液晶を注入し、液晶注入口を最終的に封止した。
【0038】
(実施例1)
上述の液晶表示装置の製造方法に従って、実施例1の液晶表示装置を次のように製造した。
【0039】
ITOの透明電極を設けた200×100×1.1mmの一対のガラス基板上に、3wt%のポリイミド溶液をスピンコータにより2000rpmの回転数で塗布し、200℃で30分焼成して配向膜を形成した。続いて、これらの配向膜をラビング処理した。
【0040】
一方のガラス基板の配向膜上に、ネガ型フォトレジスト材料(TLOR−N、東京応化工業社製)を膜厚が2μmになるようにスピンコートした。形成したレジスト膜のプリベーキングをホットプレート上にて100℃で1分間行い、そして紫外線露光装置により60mJ/cm2のエネルギでレジスト膜の露光を行った。次に、レジスト膜を現像して、直径10μmの円柱が100μm間隔で縦横に並ぶパターンでスペーサを形成し、純水で洗浄後、乾燥させ、更に180℃、1時間のポストベークを行い、スペーサを硬化させた。
【0041】
こうして形成したスペーサの頭部に、エポキシ系接着剤(テクノダインAH3052T、岡田化学工業社製)を、先に図2を参照して説明した接着剤塗布装置により厚さ0.05μmに圧延して転写した。続いて、このガラス基板の周辺部に150℃、1時間で硬化するエポキシ樹脂を液晶注入口を除いて印刷法によって付着させた。一対のガラス基板を透明電極が向かい合うように重ね合わせ、真空袋に入れ、150℃で1時間の熱処理によりスペーサ頭部の接着剤と周辺部のシール部材を硬化させた。
【0042】
次に、液晶注入口を通して強誘電性液晶を注入し(真空法)、液晶注入口を封止して強誘電性液晶表示装置を得た。
【0043】
この液晶表示装置をクロスニコルス下に置き、先端径が0.8mmのペン先によりペン荷重100gで表示部の中央を押したところ、ペン先の周囲に表示色の変化はみられなかった。これにより、この液晶表示装置は液晶層厚を小さくする外力に対して、耐ストレス性を備えることが認められた。
【0044】
また、液晶表示装置の中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたところ、画面全体にわたって表示色の変化は観察されず、液晶層厚は全面にわたって変化しなかった。
【0045】
(比較例1)
ここでは、実施例1の液晶表示装置と比較するために、ガラス基板の寸法形状、配向膜、スペーサ及び液晶材料等の条件は実施例1と同一にし、接着剤を用いずに形成した液晶表示装置の例を説明する。より具体的には、実施例1と同様に一方の基板上にスペーサを形成後、スペーサ頭部に接着剤を配置せずにこのガラス基板の周辺部に周辺封止用のエポキシ樹脂を付着させ、この基板をもう一方の基板と重ね合わせて熱処理し、その後基板間に液晶を注入して液晶表示装置を得た。
【0046】
この液晶表示装置をクロスニコルス下に置き、先端径が0.8mmのペン先によりペン荷重100gで表示部の中央を押したところ、ペン先の周囲に表示色の変化が観察された。これにより、この液晶表示装置は液晶層厚を小さくする方向の外力に対して耐ストレス性が劣ることが示された。
【0047】
液晶表示装置の中央部を支持し、両端に100gの荷重を加えたところ、画面全体にわたり表示色の変化が観察された。これは、基板を重ね合わせる前に既に硬化していたスペーサが一方の基板と接着していないため、荷重により基板間ギャップが変動したためである。
【0048】
(実施例2)
スペーサ頭部に配置する接着剤としてアクリル系接着剤(ビステックスV101、松本製薬工業社製)を用いた以外は、実施例1と同一条件で液晶表示装置を作製した。
【0049】
この液晶表示装置をクロスニコルス下に置き、先端径が0.8mmのペン先によりペン荷重100gで表示部の中央を押したところ、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、この液晶表示装置は液晶層厚を小さくする外力に対して耐ストレス性を備えることが認められた。液晶表示装置の中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたところ、画面全体にわたって表示色の変化は観察されず、液晶層厚は全面にわたって変化しなかった。
【0050】
(比較例2)
接着剤として実施例1と同じエポキシ系接着剤を用い、シール材として190℃、1時間で硬化するエポキシ樹脂を用いた以外は、実施例1と同様に液晶表示装置を作製した。シール材での封止に190℃の高温が必要であったことから、この液晶表示装置では配向膜に熱によるダメージが見られ、表示品位が低下した。
【0051】
(比較例3)
接着剤として実施例1と同じエポキシ系接着剤(硬化温度150℃)を用い、シール材として140℃、1時間で硬化するエポキシ樹脂を用い、そして真空袋での熱処理を140℃で1時間行った以外は、実施例1と同様に液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置は、接着剤による基板どうしの結合が不十分となり、表示領域の中央部が周辺のシール材の硬化収縮に耐えられずに膨らんで、基板間ギャップが不均一になり、表示品位が低下した。
【0052】
(実施例3)
スペーサ頭部の接着剤層の厚さをピラー高さの10%(0.2μm)にした以外は、実施例1と同一条件で液晶表示装置を作製した。
【0053】
この液晶表示装置をクロスニコルス下に置き、先端径0.8mmのペン先によりペン荷重100gで表示部の中央を押したところ、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、この液晶表示装置は液晶層厚を小さくする外力に対して耐ストレス性を備えることが認められた。液晶表示装置の中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたところ、画面全体にわたって表示色の変化は観察されず、液晶層厚は全面にわたって変化しなかった。
【0054】
(比較例4)
スペーサ頭部の接着剤層の厚さをピラー高さの15%(0.3μm)にした以外は、実施例1と同一条件で液晶表示装置を作製した。
【0055】
この液晶表示装置をクロスニコルス下に置き、先端径0.8mmのペン先によりペン荷重100gで表示部の中央を押したとおろ、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、この液晶表示装置は液晶層厚を小さくする外力に対して耐ストレス性を備えることが認められた。また、液晶表示装置の中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えところ、画面全体にわたって表示色の変化は観察されず、液晶層厚は全面にわたって変化しなかった。しかし、余剰の接着剤が表示電極まで広がり、表示電極面の屈折率が変化して、液晶表示装置の表示品位は低下した。
【0056】
(比較例5)
スペーサ頭部の接着剤層の厚さをピラー高さの20%(0.4μm)にした以外は、実施例1と同一条件で液晶表示装置を作製した。
【0057】
この液晶表示装置では、接着剤がスペーサ頭部への転写時に配向膜上にも転写され、配向不良が発生して、満足な表示品位が得られなかった。
【0058】
(実施例4)
強誘電性液晶をツイステッドネマティック型液晶に換え、基板ギャップを6μmにした以外は、実施例1と同一条件で液晶表示装置を作製した。
得られた液晶表示装置を実施例1と同様に評価した結果、実施例1と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0059】
(実施例5)
強誘電性液晶をスーパーツイステッドネマティック型液晶に換え、基板ギャップを6μmにした以外は、実施例1と同一条件で液晶表示装置を作製した。
この液晶表示装置を実施例1と同様に評価した結果、実施例1と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0060】
(実施例6)
強誘電性液晶をネマティックコレステリック相転移型液晶に換え、基板ギャップを6μmにした以外は、実施例1と同一条件で液晶表示装置を作製した。
この液晶表示装置を実施例1と同様に評価した結果、実施例1と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0061】
(実施例7)
強誘電性液晶を反強誘電性液晶に換えた以外は、実施例1と同一条件で液晶表示装置を作製した。
この液晶表示装置を実施例1と同様に評価した結果、実施例1と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0062】
(実施例8)
強誘電性液晶をツイストグレインバウンダリ液晶に換え、基板ギャップを6μmにした以外は、実施例1と同一条件で液晶表示装置を作製した。
この液晶表示装置を実施例1と同様に評価した結果、実施例1と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0063】
(実施例9)
強誘電性液晶をスメクティックA相液晶に換え、基板ギャップを6μmにした以外は、実施例1と同一条件で液晶表示装置を作製した。
この液晶表示装置を実施例1と同様に評価した結果、実施例1と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0064】
(実施例10)
液晶注入方法として、真空注入法に代えて滴下法を採用し、一方の基板上に形成したスペーサの頭部に接着剤を配置し、基板周辺部に封止用シール材を配置し、基板上に強誘電性液晶を滴下した後、この基板にもう一方の基板を重ね合わせて加熱により基板どうしを結合させるとともに基板周辺部を封止した以外は、実施例1と同様に液晶表示装置を作製した。減圧下での液晶注入時間が不要になるため、実施例1に比べ、製造時間を短縮できた。
得られた液晶表示装置を実施例1と同様に評価した結果、実施例1と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0065】
次に、補助材料を使用することでスペーサ頭部に接着剤を配置して製造される液晶表示装置の例を説明する。
【0066】
図4(a)〜4(d)を参照してスペーサ頭部への接着剤の配置について説明すると、図4(a)に示したように一方の基板1上に先の例におけるようにスペーサ3を形成後、この基板上に水溶性樹脂の10%水溶液を滴下し、スペーサ3を覆って水溶性樹脂層41が全面に形成されるようにスピンコータにより塗布した。次に、水蒸気洗浄により水溶性樹脂層41の一部を除去して、図4(b)に示したようにスペーサ3の頭部を露出させるとともに、スペーサ3の間に水溶性樹脂41’を残した。続いて、図4(c)に示したように、スペーサ3の頭部とそれらの間の樹脂41’を覆う接着剤層43を形成し、そして水蒸気洗浄により水溶性樹脂41’とともにその上の接着剤を取り除いて、図4(d)に示したように頭部に接着剤層43を備えたスペーサを得た。
【0067】
その後、先に概説した手順に従ってガラス基板の組立体を作り、加熱処理し、液晶を充填し、ガラス基板の周辺部を最終的に封止して、液相表示装置を作製した。
【0068】
(実施例11)
上述の製造方法に従って、実施例11の液晶表示装置を次のように作製した。
【0069】
ITOの透明電極を設けた200×100×1.1mmの一対のガラス基板上に、3wt%のポリイミド溶液をスピンコータにより2000rpmの回転数で塗布し、200℃で30分焼成して配向膜を形成した。続いて、これらの配向膜をラビング処理した。
【0070】
一方のガラス基板の配向膜上に、ネガ型フォトレジスト材料(TLOR−N、東京応化工業社製)を膜厚が2μmになるようにスピンコートした。形成したレジスト膜のプリベーキングをホットプレート上にて100℃で1分間行い、そして紫外線露光装置によりレジスト膜の露光を1分間行った。次に、レジスト膜を現像して、直径10μmの円柱が100μm間隔で縦横に並ぶパターンでスペーサを形成し、純水で洗浄後、乾燥させ、更に180℃、1時間のポストベークを行い、スペーサを硬化させた。
【0071】
こうしてスペーサを設けたガラス基板上に水溶性樹脂(DYNAFLOW、JSR製)の10%水溶液を滴下し、スピンコータにより厚さ3μmになるように塗布し、続いて90℃、2分間の乾燥を行って樹脂層を形成した。次いで、水蒸気洗浄により、スペーサの頭部が露出するように水溶性樹脂をエッチングした。
【0072】
こうしてスペーサ頭部を露出させた基板上にエポキシ系接着剤(テクノダインAH3052T、岡田化学工業社製)をスピンコータで塗布し、乾燥させて厚さが0.2μmの接着剤層を形成した。次に、スペーサ間に充填されている水溶性樹脂をその上の接着剤とともに、水蒸気洗浄により取り除き、スペーサの頭部のみに接着剤を残して、図4(d)に示したように頭部に接着剤層43を備えたスペーサを得た。
【0073】
スペーサを備えたガラス基板の周辺部に150℃、1時間で硬化するエポキシ樹脂を液晶注入口を除いて印刷法によって付着させた。一対のガラス基板を透明電極が向かい合うように重ね合わせ、真空袋に入れ、150℃で1時間の熱処理によりスペーサ頭部の接着剤と周辺部のシール部材を硬化させた。続いて、真空注入法により液晶注入口を通して強誘電性液晶を注入し、注入口を封止して強誘電性液晶表示装置を得た。
【0074】
こうして得られた液晶表示装置をクロスニコルス下に置き、先端径が0.8mmのペン先によりペン荷重100gで表示部の中央を押したところ、ペン先の周囲に表示色の変化はみられなかった。これにより、この液晶表示装置は液晶層厚を小さくする外力に対して、耐ストレス性を備えることが認められた。
【0075】
この液晶表示装置の中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたところ、画面全体にわたって表示色の変化は観察されず、液晶層厚は全面にわたって変化しなかった。
【0076】
(実施例12)
スペーサ頭部に配置する接着剤としてアクリル樹脂(ビスセット112、松本製薬工業社製)を用いた以外は、実施例11と同一条件で液晶表示装置を作製した。
【0077】
この液晶表示装置をクロスニコルス下に置き、先端径が0.8mmのペンによりペン荷重100gで表示部の中央を押したところ、ペン先の周囲に表示色の変化はみられなかった。これにより、この液晶表示装置は液晶層厚を小さくする外力に対して、耐ストレス性を備えることが示された。
【0078】
液晶表示装置の中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたところ、画面全体にわたって表示色の変化は観察されず、液晶層厚は全面にわたって変化しなかった。
【0079】
(比較例6)
接着剤として低軟化温度ポリエステル樹脂(東洋紡バイロン社製GA−6300、軟化温度100℃)を用い、190℃、1時間で硬化するシール材を用いた以外は、実施例11と同様に液晶表示装置を作製した。シール材での封止に190℃の高温が必要であったことから、この液晶表示装置では配向膜に熱によるダメージが見られ、表示品位が低下した。
【0080】
(比較例7)
接着剤として軟化温度163℃のポリエステル樹脂(東洋紡バイロン社製GH−480)を用いた以外は、実施例11と同様に液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置は、接着剤の軟化温度がシール材の硬化温度150℃より高かったため、接着剤による基板どうしの結合が不十分となり、表示領域の中央部が周辺のシール材の硬化収縮に耐えられずに膨らんで、基板間ギャップが不均一になり、表示品位が低下した。
【0081】
(実施例13)
スペーサ頭部に接着剤を配置するための補助材料の水溶性樹脂の濃度を40%とした以外は、実施例11と同一条件で液晶表示装置を作製した。
【0082】
この液晶表示装置をクロスニコルス下に置き、先端径0.8mmのペン先を用いてペン荷重100gで表示部の中央を押したところ、ペン先の周囲に表示色の変化はみられなかった。これにより、この液晶表示装置は液晶層厚を小さくする外力に対して、耐ストレス性を備えることが示された。
【0083】
液晶表示装置の中央部を支持し、両端に500gの荷重を加えたところ、画面全体にわたって表示色の変化は観察されず、液晶層厚は全面にわたって変化しなかった。
【0084】
(比較例8)
スペーサ頭部に接着剤を配置するための補助材料の水溶性樹脂の濃度を45%とした以外は、実施例11と同一条件で液晶表示装置を作製した。
【0085】
この液晶表示装置をクロスニコルス下に置き、先端径0.8mmのペン先によりペン荷重100gで表示部の中央を押したところ、ペン先の周囲に表示色の変化がみられた。これにより、この液晶表示装置は液晶層厚を小さくする外力に対して耐ストレス性が劣ることが示された。
【0086】
液晶表示装置の中央部を支持し、両端に500gの荷重を加えたところ、画面全体にわたって表示色の変化が観察され、液晶層厚は全面にわたって変化した。これは、補助材料として用いた水溶性樹脂を除去する際に、水溶性樹脂の濃度が高いため、水圧を上げたことにより、接着剤も同時に剥れたためと考えられる。
【0087】
(実施例14)
強誘電性液晶をツイステッドネマティック型液晶に換え、基板ギャップを6μmにした以外は、実施例11と同一条件で液晶表示装置を作製した。
得られた液晶表示装置を実施例11と同様に評価した結果、実施例11と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0088】
(実施例15)
強誘電性液晶をスーパーツイステッドネマティック型液晶に換え、基板ギャップを6μmにした以外は、実施例11と同一条件で液晶表示装置を作製した。
この液晶表示装置を実施例11と同様に評価した結果、実施例11と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0089】
(実施例16)
強誘電性液晶をネマティックコレステリック相転移型液晶に換え、基板ギャップを6μmにした以外は、実施例11と同一条件で液晶表示装置を作製した。
この液晶表示装置を実施例11と同様に評価した結果、実施例11と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0090】
(実施例17)
強誘電性液晶を反強誘電性液晶に換えた以外は、実施例11と同一条件で液晶表示装置を作製した。
この液晶表示装置を実施例11と同様に評価した結果、実施例11と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0091】
(実施例18)
強誘電性液晶をツイストグレインバウンダリ液晶に換え、基板ギャップを6μmにした以外は、実施例11と同一条件で液晶表示装置を作製した。
この液晶表示装置を実施例11と同様に評価した結果、実施例11と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0092】
(実施例19)
強誘電性液晶をスメクティックA相液晶に換え、基板ギャップを6μmにした以外は、実施例11と同一条件で液晶表示装置を作製した。
この液晶表示装置を実施例11と同様に評価した結果、実施例11と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0093】
(実施例20)
液晶注入方法として、真空注入法に代えて滴下法を採用し、一方の基板上に形成したスペーサの頭部に接着剤を配置し、基板周辺部に封止用シール材を配置し、基板上に強誘電性液晶を滴下した後、この基板にもう一方の基板を重ね合わせて加熱により基板どうしを結合させるとともに基板周辺部を封止した以外は、実施例11と同様に液晶表示装置を作製した。減圧下での液晶注入時間が不要になるため、実施例11に比べ、製造時間を短縮できた。
得られた液晶表示装置を実施例11と同様に評価した結果、実施例11と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0094】
本発明は、以上説明したとおりであるが、その特徴を種々の態様ととも付記すれば、次のとおりである。
(付記1)少なくとも一方が透明である一対の基板であって、各基板の片面には電極と配向膜とが形成されていて、それらを形成した面が向き合うように対向させた基板と、対向するこれらの基板間に配置されたスペーサと、該基板間に封入された液晶とを含み、且つ、対向する該基板の周辺部を封止してなる液晶表示装置であって、一方の基板と前記スペーサとが接着剤により接合されていることを特徴とする液晶表示装置。
(付記2)前記接着剤が熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂の接着剤であることを特徴とする、付記1記載の液晶表示装置。
(付記3)前記熱可塑性樹脂が、ポリエステル、ポリエチレン、ポリビニルテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、エポキシ、ポリカーボネート、スチレン、ナイロン6、あるいはそれらの混合物であることを特徴とする、付記2記載の液晶表示装置。
(付記4)前記熱硬化性樹脂が、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、あるいはそれらの混合物であることを特徴とする、付記2記載の液晶表示装置。
(付記5)前記光硬化性樹脂が、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等のアクリル系樹脂にベンゾフェノン系、ベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサントン系等の光重合開始剤を添加したもの、あるいはそれらの混合物であることを特徴とする、付記2記載の液晶表示装置。
(付記6)前記基板の周辺部が熱硬化性樹脂のシール材で封止されていることを特徴とする、付記2から5までのいずれか一つに記載の液晶表示装置。
(付記7)前記シール材の硬化温度が前記接着剤の軟化温度又は硬化温度と等しいか、あるいはそれより高いことを特徴とする、付記6記載の液晶表示装置。
(付記8)前記接着剤の軟化温度又は硬化温度が110〜150℃であることを特徴とする、付記3、4、又は7記載の液晶表示装置。
(付記9)前記シール材の硬化温度が110〜150℃であることを特徴とする、付記6又は7記載の液晶表示装置。
(付記10)前記スペーサと前記基板との間の前記接着剤の厚さが当該スペーサの高さの10%以下であることを特徴とする、付記1から9までのいずれか一つに記載の液晶表示装置。
(付記11)前記スペーサがポジ型又はネガ型の感光性樹脂で形成されていることを特徴とする、付記1から10までのいずれか一つに記載の液晶表示装置。
(付記12)前記感光性樹脂が、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、環化ゴム、ノボラック樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、アクリレート樹脂、ビスフェノール樹脂、及び感光性樹脂化したゼラチンから選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする、付記11記載の液晶表示装置。
(付記13)前記液晶が、ツイステッドネマティック型液晶、スーパーツイステッドネマティック型液晶、ネマティックコレステリック相転移型液晶、ポリマー分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、ツイストグレインバウンダリ液晶、又はスメクティックA相液晶であることを特徴とする、付記1から12までのいずれか一つに記載の液晶表示装置。
(付記14)付記1記載の液晶表示装置を製造する方法であって、一方の基板上に前記スペーサを形成し、その頭部に前記接着剤を配置し、この基板ともう一方の基板とを重ね合わせ、そして当該接着剤により当該スペーサと当該もう一方の基板とを接合することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(付記15)前記接着剤を印刷法により前記スペーサの頭部に配置することを特徴とする、付記14記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記16)前記スペーサの形成後に、スペーサの頭部のみを露出するようにしてスペーサ間に補助材料を充填し、スペーサ頭部と補助材料の上面を覆う接着剤層を形成し、補助材料の上に位置する接着剤を補助材料とともに除去してスペーサ頭部に接着剤を残すことにより、前記スペーサの頭部に接着剤を配置することを特徴とする、付記14記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記17)前記補助材料として水溶性樹脂を使用することを特徴とする、付記16記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記18)前記水溶性樹脂が、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸塩系樹脂、ポリアクリルアマイド、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアミジン系樹脂、ポリN−ビニルホルムアミド、あるいはそれらの混合物であることを特徴とする、付記17記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記19)前記スペーサを形成した基板上に前記水溶性樹脂の水溶液を塗布して、前記スペーサの高さより厚い層を形成し、この樹脂層をスペーサの頭部が露出するまで水によりエッチングすることで、当該水溶性樹脂を前記スペーサ間に充填することを特徴とする、付記17又は18記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記20)前記水溶性樹脂の水溶液の樹脂濃度が2〜40wt%であることを特徴とする、付記19記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記21)前記水溶性樹脂を前記スペーサ間に充填後、前記接着剤の層を形成し、そして水を使用してスペーサ間の水溶性樹脂をその上の接着剤とともに除去することにより、前記スペーサの頭部に接着剤を配置することを特徴とする、付記19又は20記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記22)前記接着剤として熱可塑性樹脂を使用し、該熱可塑性樹脂が、ポリエステル、ポリエチレン、ポリビニルテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、エポキシ、ポリカーボネート、スチレン、ナイロン6、あるいはそれらの混合物であることを特徴とする、付記14から21までのいずれか一つに記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記23)前記接着剤として熱硬化性樹脂を使用し、そして前記スペーサと前記もう一方の基板との接合を加熱により行うことを特徴とする、付記14から21までのいずれか一つに記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記24)前記熱硬化性樹脂が、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、あるいはそれらの混合物であることを特徴とする、付記23記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記25)前記接着剤として光硬化性樹脂を使用し、そして前記スペーサと前記もう一方の基板との接合を光照射により行うことを特徴とする、付記14から21までのいずれか一つに記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記26)前記光硬化性樹脂が、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等のアクリレート系樹脂に、ベンゾフェノン系、ベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサントン系等の光重合開始剤を添加したもの、あるいはそれらの混合物であることを特徴とする、付記25記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記27)前記基板の周辺部を熱硬化性樹脂のシール材で封止することを特徴とする、付記22から26までのいずれか一つに記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記28)前記シール材の硬化温度が前記接着剤の軟化温度又は硬化温度と等しいか、あるいはそれより高いことを特徴とする、付記27記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記29)前記接着剤の軟化温度又は硬化温度が110〜150℃であることを特徴とする、付記22、23、24又は28記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記30)前記シール材の硬化温度が110〜150℃であることを特徴とする、付記27又は28記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記31)前記スペーサの頭部に前記接着剤を、当該スペーサの高さの10%以下の厚さで配置することを特徴とする、付記14から30までのいずれか一つに記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記32)前記スペーサをポジ型又はネガ型の感光性樹脂により形成し、該感光性樹脂が、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、環化ゴム、ノボラック樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、アクリレート樹脂、ビスフェノール樹脂、及び感光性樹脂化したゼラチンから選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする、付記14から31までのいずれか一つに記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記33)前記液晶が、ツイステッドネマティック型液晶、スーパーツイステッドネマティック型液晶、ネマティックコレステリック相転移型液晶、ポリマー分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、ツイストグレインバウンダリ液晶、又はスメクティックA相液晶であることを特徴とする、付記14から32までのいずれか一つに記載の液晶表示装置の製造方法。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の液晶表示装置においては、ビーズ等の混合なしに十分な強度を持つ硬化したスペーサにより、重ね合わせた一対の基板間のギャップを一定に保つことができ、且つ、スペーサ頭部の接着剤により、基板とスペーサとを強固に接着することができる。それにより、本発明の液晶表示装置では、有効表示領域内におけるコントラストや応答速度の均一性が改善され、表示品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で作製した液晶表示装置を説明する図である。
【図2】実施例で使用した接着剤塗布装置を模式的に説明する図である。
【図3】図2に示した接着剤塗布装置によるスペーサ頭部への接着剤の塗布を模式的に示す図である。
【図4】補助材料の使用によるスペーサ頭部への接着剤の塗布を説明する図である。
【符号の説明】
1、2…ガラス基板
3…スペーサ
4…接着シール材
5…液晶
10…液晶表示装置
20…接着剤塗布装置
22…ローラ
25…接着剤
41…水溶性樹脂層
41’…水溶性樹脂
43…接着剤層
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置とその製造方法に関する。より詳しく言えば、本発明は、少なくとも一方が透明である一対の基板の間に、一般に液晶として知られる光スイッチ機能を有する媒体を挟持した液晶表示装置であって、有効表示領域における基板間のギャップが均一且つ一定に保たれることにより、コントラストや応答速度等の均一性が向上し良好な表示品質を示す液晶表示装置と、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
少なくとも一方が透明である一対の基板間に、光スイッチ機能を有する媒体である液晶を充填した液晶表示装置は、一般に薄くて軽量で低消費電力である等の点から、電卓、家庭電化製品あるいはOA機器等の表示装置、空間光変調装置(Spacial Light Modulator)等として広く用いられている。
【0003】
液晶表示装置では、基板間のギャップが均一且つ一定であることが、良好な表示を行うのに不可欠である。ギャップの維持のためには、基板間に配置される、一般にスペーサと呼ばれる部材が使用されている。スペーサには、大別して粒子(ビーズ)状のものと柱状のものがあり、それらの配置・固定化方法が種々開発されてきた。
【0004】
一つの方法として、球状の粒子(ビーズ)を基板上に散布し、基板間のギャップを均一に制御する方法が提案されている。ところが、この方法では、ビーズの配置を制御することが困難であり、ビーズは表示に不可欠な画素部分にも散布されることになって、それにより液晶分子の配向欠陥を招来し、表示品位を低下させる問題があった。
【0005】
これを防止するため、ビーズの散布に代えて、フォトリソグラフィー法により画素部分以外に柱状のスペーサを選択的に形成する技術が提案されている。この場合、画素部分にスペーサがないため、配向欠陥、表示品位低下を防止することができる。ところが、スペーサは通常、一方の基板とは接着しているものの他方の基板とは接着性がないため、外圧を受ける(例えば指先で押される等)と基板間隔が変動し、それに従い基板上の電極間隔が変動して、干渉縞の発生、色調のばらつき、駆動電圧特性のばらつき等の問題が発生していた。
【0006】
スペーサに両基板との接着性を持たせる検討が行われているが、基板を重ね合わせる前の樹脂スペーサの熱硬化が進行していない条件で基板を重ね合わせ、加熱し、樹脂スペーサを硬化させた場合、基板との接着性は保持できるものの、基板を重ね合わせた時の圧力により、硬化前のスペーサが変形し、精密なギャップ制御ができない問題があった。
【0007】
そこで、特開2000−155321号公報では、スペーサに圧力や熱で変形しないビーズを含有させ、強度と接着性を両立するようにしている。ところが、この手法では、ビーズをスペーサ形成用の樹脂に分散させているため、下記に示す問題が発生する。
(1)確率的にビーズを含有しないスペーサが存在するため、ギャップ均一性が劣る。
(2)この問題を避けるため、ビーズ含有量を増やすと、ビーズがフィラーとして作用して悪影響を及ぼし、スペーサの製造時にスペーサ材料を均一にスピンコートできず、塗布厚さにムラができ、その結果スペーサ高さが不均一になる。(3)均一粒径をもつビーズは高価であり、しかも、スペーサ以外の部分はパターニングにより除去するため、ほとんどのビーズは捨てることになり、製造コストを上昇させる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、液晶表示装置用スペーサのこれまでの配置・固定化技術は、外圧に対し強く(耐衝撃性が高い)、表示特性の良好な液晶表示装置を実現するのに十分ではなかった。
【0009】
また、これまでのスペーサは、基板上にスペーサを均一且つ高密度に配置させた状態で配向膜材料溶液を塗布することが困難であったり、配向膜のラビング処理の際にスペーサが剥がれ落ちてしまったりといったように、液晶表示装置の表示品質を維持したままスペーサを基板上に固定するのにも十分でなかった。
【0010】
更に、フォトリソグラフィー法により一方の基板の画素部分以外に形成した完全に硬化したスペーサによりギャップ制御した場合、対向する他方の基板との十分な接着性が得られないため、基板中央部の電極間のギャップが外圧によって狭くなり、干渉縞の発生、色調のばらつき、駆動電圧特性のばらつき等が生じ、また極端な場合は、外力によって上下基板どうしが接触し、配向膜が損傷を受けて液晶分子の配向が乱れ、表示品質が低下する等の問題が発生していた。
【0011】
本発明は、前記の問題の解決し、ビーズなどを含まないスペーサにより基板どうしを強固に接着して、外圧に対する強度と表示特性の向上を実現可能な液晶表示装置とその製造方法の提供を目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の液晶表示装置は、少なくとも一方が透明である一対の基板であって、各基板の片面には電極と配向膜とが形成されていて、それらを形成した面が向き合うように対向させた基板と、対向するこれらの基板間に配置されたスペーサと、該基板間に封入された液晶とを含み、且つ、対向する該基板の周辺部を封止してなる液晶表示装置であって、一方の基板と前記スペーサとが接着剤により接合されていることを特徴とする液晶表示装置である。
【0013】
本発明の液晶表示装置は、一方の基板上に前記スペーサを形成し、その頭部に前記接着剤を配置し、この基板ともう一方の基板とを重ね合わせ、そして当該接着剤により当該スペーサと当該もう一方の基板とを接合することを特徴とする液晶表示装置の製造方法により製造することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の液晶表示装置は、スペーサにより間隔をあけて保持された、少なくとも一方が透明である一対の基板を有し、これらの基板間には液晶が封入されている。双方の基板の対向面には、電極が形成され、各電極の上に液晶分子の配向を規制する配向膜が設けられている。電極は、透明基板上のものが透明であればよいが、両方の基板上の電極を透明電極として形成してもよい。以下の説明では、両方の基板上に透明電極が存在するものとする。
【0015】
本発明の液晶表示装置における特徴は、一方の基板とスペーサとが接着剤により接合されていることにある。これにより、双方の基板はスペーサにより強固に結合され、基板間のギャップが均一且つ一定に保持される。
【0016】
本発明の液晶表示装置におけるスペーサは、一方の基板上に、例えば円柱、角柱等の、一般に柱状のスペーサとして形成される。そのような柱状スペーサの形成には、フォトリソグラフィー法によるパターニングが可能であり、スペーサを所定パターンに従って形成するのが容易な、感光性樹脂を用いるのが好適である。感光性樹脂を用いる場合、液晶表示装置の画素部分を除いて基板間の一定のギャップの保持に有効な位置にスペーサを配置することができ、また、パターニングに先立ち形成する感光性樹脂層の膜厚を調整することにより対向基板間の距離を制御するのが容易である。
【0017】
スペーサを形成する感光性樹脂としては、ポジ型又はネガ型の各種の感光性樹脂が使用できる。例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、環化ゴム、ノボラック樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、アクリレート樹脂、ビスフェノール樹脂等、あるいはゼラチンを感光性樹脂化したものから選択される少なくとも1種の樹脂を使用することができ、ここに挙げた樹脂は一般的なフォトレジスト材料として商業的に入手可能である。
【0018】
スペーサ頭部に配置する接着剤としては、一般的な熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂や、光硬化性樹脂など、溶媒に可溶もしくは硬化以前は液体状の材料が使用可能である。本発明では、熱可塑性樹脂としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリビニルテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、エポキシ、ポリカーボネート、スチレン、ナイロン6等、あるいはそれらの混合物を使用することができ、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂等、あるいはそれらの混合物を使用することができる。熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は、スペーサと片方の基板との接合時に加熱されることで接着性を発現する。光硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等のアクリレート系樹脂に、ベンジフェノン系、ベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサントン系等の光重合開始剤を添加したもの等、あるいはそれらの混合物を使用することができ、これらの樹脂は光の作用により接着性を発現する。
【0019】
スペーサと基板との間に位置する接着剤は、スペーサ高さの10%以下の厚さであるのが好ましい。そのためには、通常、液晶表示装置の製造時にスペーサ頭部に配置する接着剤層の厚さをスペーサ高さの10%以下とするのが好ましい。スペーサ頭部にその高さの10%を超える厚さの接着剤が存在すると、接着剤が画素内に入り込み、表示欠陥が発生するため、好ましくない。
【0020】
本発明の液晶表示装置は、一方の基板上にスペーサを形成し、その頭部に接着剤を配置し、この基板ともう一方の基板とを重ね合わせ、そして加熱(接着剤として熱可塑性あるいは熱硬化性樹脂を使用の場合)又は光照射(光硬化性樹脂を使用の場合)により当該接着剤に接着性を発現させて当該スペーサと当該もう一方の基板とを接合することで製造することができる。光硬化性の接着剤を使用する場合、接着剤には、重ね合わせた基板のうちの予めスペーサが形成されていなかった方の基板を通し照射する必要があるため、この基板は透明であるべきである。
【0021】
スペーサの頭部に接着剤を配置する方法は、特定の方法に限定されるものではない。一つの方法として、印刷法を使用することができる。とりわけ、オフセト印刷等で用いられる多段ローラ型印刷法が好適であり、この方法によれば、スペーサ頭部に付着させる接着剤層の厚さを容易にコントロールでき、且つ、連続処理が行える。
【0022】
スペーサ頭部へ接着剤を配置するもう一つの方法として、補助材料を使用する方法を挙げることができる。この方法では、スペーサ形成後に、スペーサの頭部のみを露出するようにして、スペーサ間に補助材料を充填する。次いで、スペーサ頭部と補助材料層の上面を覆う接着剤層を形成し、補助材料層の上に位置する接着剤を補助材料層とともに除去して、スペーサ頭部に接着剤を残す。
【0023】
補助材料としては、例えば、水により補助材料層を溶解してそれとともに補助材料層上の接着剤を除去するのを可能にする水溶性樹脂を使用することができる。本発明において補助材料として使用可能な水溶性樹脂の例としては、一般的なポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸塩系樹脂、ポリアクリルアマイド、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアミジン系樹脂、ポリN−ビニルホルムアミド等を挙げることができる。水溶性樹脂の混合物を使用することも可能である。
【0024】
このような水溶性樹脂を使用する場合、それは樹脂濃度が2〜40wt%の水溶液として、スペーサを形成した基板上に塗布し補助材料層を形成することができる。水溶液の樹脂濃度が2wt%に満たない場合、スペーサを覆う樹脂層の形成が困難であり、40wt%を超えると、基板上への均一な塗布が難しくなる。より好ましい樹脂濃度は10〜40wt%である。水溶液の基板上への塗布には、スピンコート法などが使用可能である。基板上の水溶性樹脂を除去するのには、水を溶媒として使用することができ、例えば、基板の水への浸漬、水蒸気洗浄(水蒸気の噴射)などが可能である。
【0025】
本発明では、光発熱剤含有接着剤を付着させる前にスペーサを硬化させておくことができる。このような硬化したスペーサを用いることにより、重ね合わせた基板間のギャップを一定に保つことができる。一方の基板上に形成された硬化スペーサは、その頭部の接着剤により他方の基板に強固に接合することができる。こうして、基板間ギャップを一定に保ちつつ、双方の基板を強固に結合することができる。
【0026】
液晶表示装置で使用する一対の基板には、液晶表示装置の表示動作に必要な透明電極が設けられ、その上に樹脂で形成された配向膜が存在していて、この配向膜表面には液晶分子を所定の方向に配向させるためのラビング処理が施されている。ラビング処理を施した配向膜のラビング効果は、一般に配向膜が高温にさらされると損なわれる。そのため、本発明においてスペーサ頭部の接着剤として加熱により接着性を発現する熱可塑性又は熱硬化性樹脂を使用する場合には、接着剤樹脂の軟化温度又は硬化温度は、配向膜のラビング効果を損なわない温度であるのが望ましい。基板の周辺部を封止するシール材の熱硬化性樹脂の硬化温度も、配向膜のラビング効果を損なわない温度であるのが好ましい。特に好ましいのは、シール材の硬化温度をスペーサ頭部の接着剤の軟化温度又は硬化温度と等しくするか、あるいはそれより高くすることである。それにより、重ね合わせた基板を加熱加圧する過程において、基板間のギャップを一定にしてから、あるいは一定に保持しながら、基板周辺部を封止することが可能になる。
【0027】
一般に、基板を組み合わせてパネルを形成後、液晶を再配向させるアニール処理の温度が110℃程度であるので、スペーサ頭部の接着剤の軟化温度又は硬化温度と基板周辺部の熱硬化性樹脂の硬化温度を110℃以上にする必要がある。また、パネル形成後、150℃以上になると配向膜のラビング効果が失われるため、150℃以上の加熱は避けるべきである。従って、スペーサ頭部の接着剤の軟化温度又は硬化温度と基板周辺部の熱硬化性樹脂の硬化温度は、110〜150℃の範囲であるのが好ましい。
【0028】
また、スペーサ頭部の熱硬化性接着剤と基板周辺部のシール材の熱硬化性樹脂の硬化時間は、2時間以内、可能な場合は1時間以内であるのが好ましい。
【0029】
基板間ギャップへの液晶の充填方法としては、予め対向させた基板間に真空を利用して液晶を充填封入する真空法、あるいは一方の基板上に液晶を滴下してから他方の基板を重ねる滴下法が代表的であり、本発明の液晶表示装置はそのどちらにより製造することも可能である。例えば、滴下法による場合、一対の基板の一方に前記スペーサを形成し、一対の基板のいずれか一方の基板上に液晶を滴下した後、2枚の基板を重ね合わせ、基板周辺封止部材とともに加熱(熱可塑性あるいは熱硬化性接着剤を使用する場合)することにより、スペーサを両方の基板に接着することができる。
【0030】
本発明の液晶表示装置において使用する液晶は特に限定されず、ツイステッドネマティック型液晶、スーパーツイステッドネマティック型液晶、ネマティックコレステリック相転移型液晶、ポリマー分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、ツイストグレインバウンダリ液晶、電傾効果を示すスメクティックA相液晶等の公知の液晶を使用することができる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例を説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
図1に、下記の例で製造した液晶表示装置を模式的に示す。この液晶表示装置10には、対向したガラス基板1、2と、これらの基板間に位置し、基板間のギャップを保持しているスペーサ3と、基板1、2の周辺部を封止している接着シール材4と、基板間のギャップに封入された液晶5が含まれている。基板1、2の対向面にはそれぞれ、透明電極が形成されており(一方は個別電極として、他方は共通電極として形成される)、その上にラビング処理を施した配向膜が位置しているが、簡単にするため図1にそれらは図示していない。
【0033】
また、ここでは、液晶表示装置の電極間のギャップを均一かつ一定に保って封止する工程にしぼって説明し、使用する材料等については後の例で具体的に説明する。
【0034】
透明電極と配向膜を形成したガラス基板1の上に、フォトレジスト材料をスピンコートした。このレジスト膜を100℃で1分間プリベーキングをしてから、フォトマスクを用いて紫外線露光装置により露光を行い、続いて現像を行って、基板上に直径10μmの円柱が100μm間隔で縦横に並ぶパターンでスペーサを形成した。こうして形成したスペーサを、純水で洗浄後、乾燥させ、そして180℃、60分のポストベークを行って硬化したスペーサ3を作製した。
【0035】
次に、スペーサ3の頭部に、図2に示した接着剤塗布装置20を用いて接着剤を連続的に塗布した。この接着剤塗布装置は、オフセット印刷等で用いられる多段ローラ型印刷機である。この塗布装置20を用いれば、接着剤供給器24から供給された接着剤25が多数のローラ22間を転写されることで、接着剤25の厚さを容易に制御して、図2中のAの部分の拡大図である図3に示したように接着剤25をスペーサ3の頭部へ連続して適用することができる。以下の例では、スペーサ3の頭部に塗布した接着剤を安定化するため、100℃、1分の加熱を行った。
【0036】
接着剤を頭部に塗布したスペーサ3を備えたガラス基板1の周辺部に、液晶注入口となる部分を残して接着シール材4を配置し、このガラス基板1の上にもう一方のガラス基板2を載置した組立体を作った。この組立体を熱処理装置(図示せず)内に装填し、スペーサ頭部の接着剤と接着シール材4の熱硬化性樹脂の硬化温度(110℃〜150℃)で加熱加圧した。この処理によって、頭部に接着剤の塗布されたスペーサは圧力を受けたまま、接着剤が硬化してガラス基板1と2とを強固に結合させた。また、接着シール材4によりガラス基板1、2の周辺がシールされた。
【0037】
その後、液晶注入口を通してガラス基板1とガラス基板2の間に液晶を注入し、液晶注入口を最終的に封止した。
【0038】
(実施例1)
上述の液晶表示装置の製造方法に従って、実施例1の液晶表示装置を次のように製造した。
【0039】
ITOの透明電極を設けた200×100×1.1mmの一対のガラス基板上に、3wt%のポリイミド溶液をスピンコータにより2000rpmの回転数で塗布し、200℃で30分焼成して配向膜を形成した。続いて、これらの配向膜をラビング処理した。
【0040】
一方のガラス基板の配向膜上に、ネガ型フォトレジスト材料(TLOR−N、東京応化工業社製)を膜厚が2μmになるようにスピンコートした。形成したレジスト膜のプリベーキングをホットプレート上にて100℃で1分間行い、そして紫外線露光装置により60mJ/cm2のエネルギでレジスト膜の露光を行った。次に、レジスト膜を現像して、直径10μmの円柱が100μm間隔で縦横に並ぶパターンでスペーサを形成し、純水で洗浄後、乾燥させ、更に180℃、1時間のポストベークを行い、スペーサを硬化させた。
【0041】
こうして形成したスペーサの頭部に、エポキシ系接着剤(テクノダインAH3052T、岡田化学工業社製)を、先に図2を参照して説明した接着剤塗布装置により厚さ0.05μmに圧延して転写した。続いて、このガラス基板の周辺部に150℃、1時間で硬化するエポキシ樹脂を液晶注入口を除いて印刷法によって付着させた。一対のガラス基板を透明電極が向かい合うように重ね合わせ、真空袋に入れ、150℃で1時間の熱処理によりスペーサ頭部の接着剤と周辺部のシール部材を硬化させた。
【0042】
次に、液晶注入口を通して強誘電性液晶を注入し(真空法)、液晶注入口を封止して強誘電性液晶表示装置を得た。
【0043】
この液晶表示装置をクロスニコルス下に置き、先端径が0.8mmのペン先によりペン荷重100gで表示部の中央を押したところ、ペン先の周囲に表示色の変化はみられなかった。これにより、この液晶表示装置は液晶層厚を小さくする外力に対して、耐ストレス性を備えることが認められた。
【0044】
また、液晶表示装置の中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたところ、画面全体にわたって表示色の変化は観察されず、液晶層厚は全面にわたって変化しなかった。
【0045】
(比較例1)
ここでは、実施例1の液晶表示装置と比較するために、ガラス基板の寸法形状、配向膜、スペーサ及び液晶材料等の条件は実施例1と同一にし、接着剤を用いずに形成した液晶表示装置の例を説明する。より具体的には、実施例1と同様に一方の基板上にスペーサを形成後、スペーサ頭部に接着剤を配置せずにこのガラス基板の周辺部に周辺封止用のエポキシ樹脂を付着させ、この基板をもう一方の基板と重ね合わせて熱処理し、その後基板間に液晶を注入して液晶表示装置を得た。
【0046】
この液晶表示装置をクロスニコルス下に置き、先端径が0.8mmのペン先によりペン荷重100gで表示部の中央を押したところ、ペン先の周囲に表示色の変化が観察された。これにより、この液晶表示装置は液晶層厚を小さくする方向の外力に対して耐ストレス性が劣ることが示された。
【0047】
液晶表示装置の中央部を支持し、両端に100gの荷重を加えたところ、画面全体にわたり表示色の変化が観察された。これは、基板を重ね合わせる前に既に硬化していたスペーサが一方の基板と接着していないため、荷重により基板間ギャップが変動したためである。
【0048】
(実施例2)
スペーサ頭部に配置する接着剤としてアクリル系接着剤(ビステックスV101、松本製薬工業社製)を用いた以外は、実施例1と同一条件で液晶表示装置を作製した。
【0049】
この液晶表示装置をクロスニコルス下に置き、先端径が0.8mmのペン先によりペン荷重100gで表示部の中央を押したところ、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、この液晶表示装置は液晶層厚を小さくする外力に対して耐ストレス性を備えることが認められた。液晶表示装置の中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたところ、画面全体にわたって表示色の変化は観察されず、液晶層厚は全面にわたって変化しなかった。
【0050】
(比較例2)
接着剤として実施例1と同じエポキシ系接着剤を用い、シール材として190℃、1時間で硬化するエポキシ樹脂を用いた以外は、実施例1と同様に液晶表示装置を作製した。シール材での封止に190℃の高温が必要であったことから、この液晶表示装置では配向膜に熱によるダメージが見られ、表示品位が低下した。
【0051】
(比較例3)
接着剤として実施例1と同じエポキシ系接着剤(硬化温度150℃)を用い、シール材として140℃、1時間で硬化するエポキシ樹脂を用い、そして真空袋での熱処理を140℃で1時間行った以外は、実施例1と同様に液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置は、接着剤による基板どうしの結合が不十分となり、表示領域の中央部が周辺のシール材の硬化収縮に耐えられずに膨らんで、基板間ギャップが不均一になり、表示品位が低下した。
【0052】
(実施例3)
スペーサ頭部の接着剤層の厚さをピラー高さの10%(0.2μm)にした以外は、実施例1と同一条件で液晶表示装置を作製した。
【0053】
この液晶表示装置をクロスニコルス下に置き、先端径0.8mmのペン先によりペン荷重100gで表示部の中央を押したところ、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、この液晶表示装置は液晶層厚を小さくする外力に対して耐ストレス性を備えることが認められた。液晶表示装置の中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたところ、画面全体にわたって表示色の変化は観察されず、液晶層厚は全面にわたって変化しなかった。
【0054】
(比較例4)
スペーサ頭部の接着剤層の厚さをピラー高さの15%(0.3μm)にした以外は、実施例1と同一条件で液晶表示装置を作製した。
【0055】
この液晶表示装置をクロスニコルス下に置き、先端径0.8mmのペン先によりペン荷重100gで表示部の中央を押したとおろ、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、この液晶表示装置は液晶層厚を小さくする外力に対して耐ストレス性を備えることが認められた。また、液晶表示装置の中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えところ、画面全体にわたって表示色の変化は観察されず、液晶層厚は全面にわたって変化しなかった。しかし、余剰の接着剤が表示電極まで広がり、表示電極面の屈折率が変化して、液晶表示装置の表示品位は低下した。
【0056】
(比較例5)
スペーサ頭部の接着剤層の厚さをピラー高さの20%(0.4μm)にした以外は、実施例1と同一条件で液晶表示装置を作製した。
【0057】
この液晶表示装置では、接着剤がスペーサ頭部への転写時に配向膜上にも転写され、配向不良が発生して、満足な表示品位が得られなかった。
【0058】
(実施例4)
強誘電性液晶をツイステッドネマティック型液晶に換え、基板ギャップを6μmにした以外は、実施例1と同一条件で液晶表示装置を作製した。
得られた液晶表示装置を実施例1と同様に評価した結果、実施例1と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0059】
(実施例5)
強誘電性液晶をスーパーツイステッドネマティック型液晶に換え、基板ギャップを6μmにした以外は、実施例1と同一条件で液晶表示装置を作製した。
この液晶表示装置を実施例1と同様に評価した結果、実施例1と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0060】
(実施例6)
強誘電性液晶をネマティックコレステリック相転移型液晶に換え、基板ギャップを6μmにした以外は、実施例1と同一条件で液晶表示装置を作製した。
この液晶表示装置を実施例1と同様に評価した結果、実施例1と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0061】
(実施例7)
強誘電性液晶を反強誘電性液晶に換えた以外は、実施例1と同一条件で液晶表示装置を作製した。
この液晶表示装置を実施例1と同様に評価した結果、実施例1と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0062】
(実施例8)
強誘電性液晶をツイストグレインバウンダリ液晶に換え、基板ギャップを6μmにした以外は、実施例1と同一条件で液晶表示装置を作製した。
この液晶表示装置を実施例1と同様に評価した結果、実施例1と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0063】
(実施例9)
強誘電性液晶をスメクティックA相液晶に換え、基板ギャップを6μmにした以外は、実施例1と同一条件で液晶表示装置を作製した。
この液晶表示装置を実施例1と同様に評価した結果、実施例1と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0064】
(実施例10)
液晶注入方法として、真空注入法に代えて滴下法を採用し、一方の基板上に形成したスペーサの頭部に接着剤を配置し、基板周辺部に封止用シール材を配置し、基板上に強誘電性液晶を滴下した後、この基板にもう一方の基板を重ね合わせて加熱により基板どうしを結合させるとともに基板周辺部を封止した以外は、実施例1と同様に液晶表示装置を作製した。減圧下での液晶注入時間が不要になるため、実施例1に比べ、製造時間を短縮できた。
得られた液晶表示装置を実施例1と同様に評価した結果、実施例1と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0065】
次に、補助材料を使用することでスペーサ頭部に接着剤を配置して製造される液晶表示装置の例を説明する。
【0066】
図4(a)〜4(d)を参照してスペーサ頭部への接着剤の配置について説明すると、図4(a)に示したように一方の基板1上に先の例におけるようにスペーサ3を形成後、この基板上に水溶性樹脂の10%水溶液を滴下し、スペーサ3を覆って水溶性樹脂層41が全面に形成されるようにスピンコータにより塗布した。次に、水蒸気洗浄により水溶性樹脂層41の一部を除去して、図4(b)に示したようにスペーサ3の頭部を露出させるとともに、スペーサ3の間に水溶性樹脂41’を残した。続いて、図4(c)に示したように、スペーサ3の頭部とそれらの間の樹脂41’を覆う接着剤層43を形成し、そして水蒸気洗浄により水溶性樹脂41’とともにその上の接着剤を取り除いて、図4(d)に示したように頭部に接着剤層43を備えたスペーサを得た。
【0067】
その後、先に概説した手順に従ってガラス基板の組立体を作り、加熱処理し、液晶を充填し、ガラス基板の周辺部を最終的に封止して、液相表示装置を作製した。
【0068】
(実施例11)
上述の製造方法に従って、実施例11の液晶表示装置を次のように作製した。
【0069】
ITOの透明電極を設けた200×100×1.1mmの一対のガラス基板上に、3wt%のポリイミド溶液をスピンコータにより2000rpmの回転数で塗布し、200℃で30分焼成して配向膜を形成した。続いて、これらの配向膜をラビング処理した。
【0070】
一方のガラス基板の配向膜上に、ネガ型フォトレジスト材料(TLOR−N、東京応化工業社製)を膜厚が2μmになるようにスピンコートした。形成したレジスト膜のプリベーキングをホットプレート上にて100℃で1分間行い、そして紫外線露光装置によりレジスト膜の露光を1分間行った。次に、レジスト膜を現像して、直径10μmの円柱が100μm間隔で縦横に並ぶパターンでスペーサを形成し、純水で洗浄後、乾燥させ、更に180℃、1時間のポストベークを行い、スペーサを硬化させた。
【0071】
こうしてスペーサを設けたガラス基板上に水溶性樹脂(DYNAFLOW、JSR製)の10%水溶液を滴下し、スピンコータにより厚さ3μmになるように塗布し、続いて90℃、2分間の乾燥を行って樹脂層を形成した。次いで、水蒸気洗浄により、スペーサの頭部が露出するように水溶性樹脂をエッチングした。
【0072】
こうしてスペーサ頭部を露出させた基板上にエポキシ系接着剤(テクノダインAH3052T、岡田化学工業社製)をスピンコータで塗布し、乾燥させて厚さが0.2μmの接着剤層を形成した。次に、スペーサ間に充填されている水溶性樹脂をその上の接着剤とともに、水蒸気洗浄により取り除き、スペーサの頭部のみに接着剤を残して、図4(d)に示したように頭部に接着剤層43を備えたスペーサを得た。
【0073】
スペーサを備えたガラス基板の周辺部に150℃、1時間で硬化するエポキシ樹脂を液晶注入口を除いて印刷法によって付着させた。一対のガラス基板を透明電極が向かい合うように重ね合わせ、真空袋に入れ、150℃で1時間の熱処理によりスペーサ頭部の接着剤と周辺部のシール部材を硬化させた。続いて、真空注入法により液晶注入口を通して強誘電性液晶を注入し、注入口を封止して強誘電性液晶表示装置を得た。
【0074】
こうして得られた液晶表示装置をクロスニコルス下に置き、先端径が0.8mmのペン先によりペン荷重100gで表示部の中央を押したところ、ペン先の周囲に表示色の変化はみられなかった。これにより、この液晶表示装置は液晶層厚を小さくする外力に対して、耐ストレス性を備えることが認められた。
【0075】
この液晶表示装置の中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたところ、画面全体にわたって表示色の変化は観察されず、液晶層厚は全面にわたって変化しなかった。
【0076】
(実施例12)
スペーサ頭部に配置する接着剤としてアクリル樹脂(ビスセット112、松本製薬工業社製)を用いた以外は、実施例11と同一条件で液晶表示装置を作製した。
【0077】
この液晶表示装置をクロスニコルス下に置き、先端径が0.8mmのペンによりペン荷重100gで表示部の中央を押したところ、ペン先の周囲に表示色の変化はみられなかった。これにより、この液晶表示装置は液晶層厚を小さくする外力に対して、耐ストレス性を備えることが示された。
【0078】
液晶表示装置の中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたところ、画面全体にわたって表示色の変化は観察されず、液晶層厚は全面にわたって変化しなかった。
【0079】
(比較例6)
接着剤として低軟化温度ポリエステル樹脂(東洋紡バイロン社製GA−6300、軟化温度100℃)を用い、190℃、1時間で硬化するシール材を用いた以外は、実施例11と同様に液晶表示装置を作製した。シール材での封止に190℃の高温が必要であったことから、この液晶表示装置では配向膜に熱によるダメージが見られ、表示品位が低下した。
【0080】
(比較例7)
接着剤として軟化温度163℃のポリエステル樹脂(東洋紡バイロン社製GH−480)を用いた以外は、実施例11と同様に液晶表示装置を作製した。得られた液晶表示装置は、接着剤の軟化温度がシール材の硬化温度150℃より高かったため、接着剤による基板どうしの結合が不十分となり、表示領域の中央部が周辺のシール材の硬化収縮に耐えられずに膨らんで、基板間ギャップが不均一になり、表示品位が低下した。
【0081】
(実施例13)
スペーサ頭部に接着剤を配置するための補助材料の水溶性樹脂の濃度を40%とした以外は、実施例11と同一条件で液晶表示装置を作製した。
【0082】
この液晶表示装置をクロスニコルス下に置き、先端径0.8mmのペン先を用いてペン荷重100gで表示部の中央を押したところ、ペン先の周囲に表示色の変化はみられなかった。これにより、この液晶表示装置は液晶層厚を小さくする外力に対して、耐ストレス性を備えることが示された。
【0083】
液晶表示装置の中央部を支持し、両端に500gの荷重を加えたところ、画面全体にわたって表示色の変化は観察されず、液晶層厚は全面にわたって変化しなかった。
【0084】
(比較例8)
スペーサ頭部に接着剤を配置するための補助材料の水溶性樹脂の濃度を45%とした以外は、実施例11と同一条件で液晶表示装置を作製した。
【0085】
この液晶表示装置をクロスニコルス下に置き、先端径0.8mmのペン先によりペン荷重100gで表示部の中央を押したところ、ペン先の周囲に表示色の変化がみられた。これにより、この液晶表示装置は液晶層厚を小さくする外力に対して耐ストレス性が劣ることが示された。
【0086】
液晶表示装置の中央部を支持し、両端に500gの荷重を加えたところ、画面全体にわたって表示色の変化が観察され、液晶層厚は全面にわたって変化した。これは、補助材料として用いた水溶性樹脂を除去する際に、水溶性樹脂の濃度が高いため、水圧を上げたことにより、接着剤も同時に剥れたためと考えられる。
【0087】
(実施例14)
強誘電性液晶をツイステッドネマティック型液晶に換え、基板ギャップを6μmにした以外は、実施例11と同一条件で液晶表示装置を作製した。
得られた液晶表示装置を実施例11と同様に評価した結果、実施例11と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0088】
(実施例15)
強誘電性液晶をスーパーツイステッドネマティック型液晶に換え、基板ギャップを6μmにした以外は、実施例11と同一条件で液晶表示装置を作製した。
この液晶表示装置を実施例11と同様に評価した結果、実施例11と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0089】
(実施例16)
強誘電性液晶をネマティックコレステリック相転移型液晶に換え、基板ギャップを6μmにした以外は、実施例11と同一条件で液晶表示装置を作製した。
この液晶表示装置を実施例11と同様に評価した結果、実施例11と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0090】
(実施例17)
強誘電性液晶を反強誘電性液晶に換えた以外は、実施例11と同一条件で液晶表示装置を作製した。
この液晶表示装置を実施例11と同様に評価した結果、実施例11と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0091】
(実施例18)
強誘電性液晶をツイストグレインバウンダリ液晶に換え、基板ギャップを6μmにした以外は、実施例11と同一条件で液晶表示装置を作製した。
この液晶表示装置を実施例11と同様に評価した結果、実施例11と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0092】
(実施例19)
強誘電性液晶をスメクティックA相液晶に換え、基板ギャップを6μmにした以外は、実施例11と同一条件で液晶表示装置を作製した。
この液晶表示装置を実施例11と同様に評価した結果、実施例11と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0093】
(実施例20)
液晶注入方法として、真空注入法に代えて滴下法を採用し、一方の基板上に形成したスペーサの頭部に接着剤を配置し、基板周辺部に封止用シール材を配置し、基板上に強誘電性液晶を滴下した後、この基板にもう一方の基板を重ね合わせて加熱により基板どうしを結合させるとともに基板周辺部を封止した以外は、実施例11と同様に液晶表示装置を作製した。減圧下での液晶注入時間が不要になるため、実施例11に比べ、製造時間を短縮できた。
得られた液晶表示装置を実施例11と同様に評価した結果、実施例11と同様に良好な特性を示すことが分かった。
【0094】
本発明は、以上説明したとおりであるが、その特徴を種々の態様ととも付記すれば、次のとおりである。
(付記1)少なくとも一方が透明である一対の基板であって、各基板の片面には電極と配向膜とが形成されていて、それらを形成した面が向き合うように対向させた基板と、対向するこれらの基板間に配置されたスペーサと、該基板間に封入された液晶とを含み、且つ、対向する該基板の周辺部を封止してなる液晶表示装置であって、一方の基板と前記スペーサとが接着剤により接合されていることを特徴とする液晶表示装置。
(付記2)前記接着剤が熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂の接着剤であることを特徴とする、付記1記載の液晶表示装置。
(付記3)前記熱可塑性樹脂が、ポリエステル、ポリエチレン、ポリビニルテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、エポキシ、ポリカーボネート、スチレン、ナイロン6、あるいはそれらの混合物であることを特徴とする、付記2記載の液晶表示装置。
(付記4)前記熱硬化性樹脂が、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、あるいはそれらの混合物であることを特徴とする、付記2記載の液晶表示装置。
(付記5)前記光硬化性樹脂が、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等のアクリル系樹脂にベンゾフェノン系、ベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサントン系等の光重合開始剤を添加したもの、あるいはそれらの混合物であることを特徴とする、付記2記載の液晶表示装置。
(付記6)前記基板の周辺部が熱硬化性樹脂のシール材で封止されていることを特徴とする、付記2から5までのいずれか一つに記載の液晶表示装置。
(付記7)前記シール材の硬化温度が前記接着剤の軟化温度又は硬化温度と等しいか、あるいはそれより高いことを特徴とする、付記6記載の液晶表示装置。
(付記8)前記接着剤の軟化温度又は硬化温度が110〜150℃であることを特徴とする、付記3、4、又は7記載の液晶表示装置。
(付記9)前記シール材の硬化温度が110〜150℃であることを特徴とする、付記6又は7記載の液晶表示装置。
(付記10)前記スペーサと前記基板との間の前記接着剤の厚さが当該スペーサの高さの10%以下であることを特徴とする、付記1から9までのいずれか一つに記載の液晶表示装置。
(付記11)前記スペーサがポジ型又はネガ型の感光性樹脂で形成されていることを特徴とする、付記1から10までのいずれか一つに記載の液晶表示装置。
(付記12)前記感光性樹脂が、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、環化ゴム、ノボラック樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、アクリレート樹脂、ビスフェノール樹脂、及び感光性樹脂化したゼラチンから選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする、付記11記載の液晶表示装置。
(付記13)前記液晶が、ツイステッドネマティック型液晶、スーパーツイステッドネマティック型液晶、ネマティックコレステリック相転移型液晶、ポリマー分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、ツイストグレインバウンダリ液晶、又はスメクティックA相液晶であることを特徴とする、付記1から12までのいずれか一つに記載の液晶表示装置。
(付記14)付記1記載の液晶表示装置を製造する方法であって、一方の基板上に前記スペーサを形成し、その頭部に前記接着剤を配置し、この基板ともう一方の基板とを重ね合わせ、そして当該接着剤により当該スペーサと当該もう一方の基板とを接合することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(付記15)前記接着剤を印刷法により前記スペーサの頭部に配置することを特徴とする、付記14記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記16)前記スペーサの形成後に、スペーサの頭部のみを露出するようにしてスペーサ間に補助材料を充填し、スペーサ頭部と補助材料の上面を覆う接着剤層を形成し、補助材料の上に位置する接着剤を補助材料とともに除去してスペーサ頭部に接着剤を残すことにより、前記スペーサの頭部に接着剤を配置することを特徴とする、付記14記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記17)前記補助材料として水溶性樹脂を使用することを特徴とする、付記16記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記18)前記水溶性樹脂が、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸塩系樹脂、ポリアクリルアマイド、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアミジン系樹脂、ポリN−ビニルホルムアミド、あるいはそれらの混合物であることを特徴とする、付記17記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記19)前記スペーサを形成した基板上に前記水溶性樹脂の水溶液を塗布して、前記スペーサの高さより厚い層を形成し、この樹脂層をスペーサの頭部が露出するまで水によりエッチングすることで、当該水溶性樹脂を前記スペーサ間に充填することを特徴とする、付記17又は18記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記20)前記水溶性樹脂の水溶液の樹脂濃度が2〜40wt%であることを特徴とする、付記19記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記21)前記水溶性樹脂を前記スペーサ間に充填後、前記接着剤の層を形成し、そして水を使用してスペーサ間の水溶性樹脂をその上の接着剤とともに除去することにより、前記スペーサの頭部に接着剤を配置することを特徴とする、付記19又は20記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記22)前記接着剤として熱可塑性樹脂を使用し、該熱可塑性樹脂が、ポリエステル、ポリエチレン、ポリビニルテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、エポキシ、ポリカーボネート、スチレン、ナイロン6、あるいはそれらの混合物であることを特徴とする、付記14から21までのいずれか一つに記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記23)前記接着剤として熱硬化性樹脂を使用し、そして前記スペーサと前記もう一方の基板との接合を加熱により行うことを特徴とする、付記14から21までのいずれか一つに記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記24)前記熱硬化性樹脂が、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、あるいはそれらの混合物であることを特徴とする、付記23記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記25)前記接着剤として光硬化性樹脂を使用し、そして前記スペーサと前記もう一方の基板との接合を光照射により行うことを特徴とする、付記14から21までのいずれか一つに記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記26)前記光硬化性樹脂が、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等のアクリレート系樹脂に、ベンゾフェノン系、ベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサントン系等の光重合開始剤を添加したもの、あるいはそれらの混合物であることを特徴とする、付記25記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記27)前記基板の周辺部を熱硬化性樹脂のシール材で封止することを特徴とする、付記22から26までのいずれか一つに記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記28)前記シール材の硬化温度が前記接着剤の軟化温度又は硬化温度と等しいか、あるいはそれより高いことを特徴とする、付記27記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記29)前記接着剤の軟化温度又は硬化温度が110〜150℃であることを特徴とする、付記22、23、24又は28記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記30)前記シール材の硬化温度が110〜150℃であることを特徴とする、付記27又は28記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記31)前記スペーサの頭部に前記接着剤を、当該スペーサの高さの10%以下の厚さで配置することを特徴とする、付記14から30までのいずれか一つに記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記32)前記スペーサをポジ型又はネガ型の感光性樹脂により形成し、該感光性樹脂が、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、環化ゴム、ノボラック樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、アクリレート樹脂、ビスフェノール樹脂、及び感光性樹脂化したゼラチンから選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする、付記14から31までのいずれか一つに記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記33)前記液晶が、ツイステッドネマティック型液晶、スーパーツイステッドネマティック型液晶、ネマティックコレステリック相転移型液晶、ポリマー分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、ツイストグレインバウンダリ液晶、又はスメクティックA相液晶であることを特徴とする、付記14から32までのいずれか一つに記載の液晶表示装置の製造方法。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の液晶表示装置においては、ビーズ等の混合なしに十分な強度を持つ硬化したスペーサにより、重ね合わせた一対の基板間のギャップを一定に保つことができ、且つ、スペーサ頭部の接着剤により、基板とスペーサとを強固に接着することができる。それにより、本発明の液晶表示装置では、有効表示領域内におけるコントラストや応答速度の均一性が改善され、表示品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で作製した液晶表示装置を説明する図である。
【図2】実施例で使用した接着剤塗布装置を模式的に説明する図である。
【図3】図2に示した接着剤塗布装置によるスペーサ頭部への接着剤の塗布を模式的に示す図である。
【図4】補助材料の使用によるスペーサ頭部への接着剤の塗布を説明する図である。
【符号の説明】
1、2…ガラス基板
3…スペーサ
4…接着シール材
5…液晶
10…液晶表示装置
20…接着剤塗布装置
22…ローラ
25…接着剤
41…水溶性樹脂層
41’…水溶性樹脂
43…接着剤層
Claims (10)
- 少なくとも一方が透明である一対の基板であって、各基板の片面には電極と配向膜とが形成されていて、それらを形成した面が向き合うように対向させた基板と、対向するこれらの基板間に配置されたスペーサと、該基板間に封入された液晶とを含み、且つ、対向する該基板の周辺部を封止してなる液晶表示装置であって、一方の基板と前記スペーサとが接着剤により接合されていることを特徴とする液晶表示装置。
- 前記スペーサと前記基板との間の前記接着剤の厚さが当該スペーサの高さの10%以下であることを特徴とする、請求項1記載の液晶表示装置。
- 前記スペーサがポジ型又はネガ型の感光性樹脂で形成されていることを特徴とする、請求項1又は2記載の液晶表示装置。
- 前記液晶が、ツイステッドネマティック型液晶、スーパーツイステッドネマティック型液晶、ネマティックコレステリック相転移型液晶、ポリマー分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、ツイストグレインバウンダリ液晶、又はスメクティックA相液晶であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一つに記載の液晶表示装置。
- 請求項1から4までのいずれか一つに記載の液晶表示装置を製造する方法であって、一方の基板上に前記スペーサを形成し、その頭部に前記接着剤を配置し、この基板ともう一方の基板とを重ね合わせ、そして当該接着剤により当該スペーサと当該もう一方の基板とを接合することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
- 前記接着剤を印刷法により前記スペーサの頭部に配置することを特徴とする、請求項5記載の液晶表示装置の製造方法。
- 前記スペーサの形成後に、スペーサの頭部のみを露出するようにしてスペーサ間に補助材料を充填し、スペーサ頭部と補助材料の上面を覆う接着剤層を形成し、補助材料の上に位置する接着剤を補助材料とともに除去してスペーサ頭部に接着剤を残すことにより、前記スペーサの頭部に接着剤を配置することを特徴とする、請求項5記載の液晶表示装置の製造方法。
- 前記補助材料として水溶性樹脂を使用することを特徴とする、請求項7記載の液晶表示装置の製造方法。
- 前記スペーサを形成した基板上に前記水溶性樹脂の水溶液を塗布して、前記スペーサの高さより厚い層を形成し、この樹脂層をスペーサの頭部が露出するまで水によりエッチングすることで、当該水溶性樹脂を前記スペーサ間に充填することを特徴とする、請求項8記載の液晶表示装置の製造方法。
- 前記水溶性樹脂を前記スペーサ間に充填後、前記接着剤の層を形成し、そして水を使用してスペーサ間の水溶性樹脂をその上の接着剤とともに除去することにより、前記スペーサの頭部に接着剤を配置することを特徴とする、請求項9記載の液晶表示装置の製造方法。
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