JP3950987B2 - 液晶表示装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シール材の焼成により上下基板が封着されてなる液晶表示装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ノート型コンピュータやディスプレイ・テレビモニタ用の薄型かつ大型高精細なディスプレイとして、液晶表示装置が広く採用されている。最近では通信技術の飛躍的な進歩により、携帯電話をはじめとする携帯情報端末のディスプレイ機能が多様化し、それに対応する、軽量で、カラー表示であり、高速応答も可能で、高い信頼性を有するディスプレイとして液晶表示装置が提案され、今まで以上に身近なディスプレイとして爆発的な普及を遂げている。
【0003】
液晶表示装置の大型化や高精細化のためには、液晶表示装置の表示均一性の向上が必要不可欠である。また、テレビ用モニタや携帯情報端末のディスプレイなどの動画に対応するためには高速応答化が必要不可欠であり、これに対して一般的には狭セル厚化がなされている。また、軽量化を目的として、プラスチック基板を用いたSTN(Super Twisted Nematic)液晶表示装置が提案されている。前述のディスプレイに対する要求をすべて満足するためには、軽量なプラスチック基板を用い、狭セル厚化を達成するとともに、大型表示領域でのセル厚の均一性を向上することが強く要望されている。
【0004】
前述の大型化や軽量化の要求を達成するためには、板厚が0.5mm以下の非常に薄いガラス基板を用いたり、軽量なプラスチック基板を用いることが必要であり、さらに高速応答化を達成するためには同時に5μm以下の狭セル厚化が必要になる。
【0005】
図6は、一般的な液晶表示装置の製造工程を模式的に示す断面図である。プラスチックまたはガラスからなる透明基板101および102上に、酸化インジウム錫(ITO:Indium Tin Oxide)などからなる透明電極103および104をパターニングし、必要に応じてこの上にカラーフィルタや絶縁膜を形成する。この上に配向膜105および106を塗布して焼成した後、ラビングなどの配向処理を施す。図6(a)のように、透明基板102上には、表示エリア内のセル厚を決定する樹脂製の球状スペーサ111を散布により分散させ、透明基板101上には、シール材部分のセル厚を決定する球状スペーサ121を混入させたシール材107を枠状に印刷して仮焼成する。その後、図6(b)のように、透明基板101および102を貼合せ、液晶を注入し、液晶表示装置を得る。したがって、この液晶表示装置の製造工程では、シール材部分のセル厚を決定するスペーサはシール材中に設けられるので、スペーサおよびシール材は同一基板上に形成されることになる。
【0006】
しかし、この方法では、前述の基板の薄板化、大型化や狭セル厚化に伴って、樹脂製のビーズである球状スペーサを基板上に均一に散布することが非常に困難になり、良好なセル厚均一性を有する液晶表示装置を得ることは困難である。
【0007】
この問題を解決するための技術として、セル厚の小さい液晶表示装置、たとえば、メモリ性双安定型液晶表示装置、カイラルスメクティック液晶を用いた強誘電性液晶表示装置、反強誘電性液晶表示装置およびSTN液晶表示装置などに関する技術が特開2000−19528号公報に提案されている。
【0008】
図7は、特開2000−19528号公報に開示の液晶表示装置のシール部近傍を拡大して示す断面図である。図8は、同公報に開示の他の液晶表示装置のシール部近傍を拡大して示す断面図である。図7および図8の液晶表示装置は、ガラスなどからなる透明基板101上に、ITOなどからなる透明電極103およびラビングにより配向処理を施された配向膜105が形成された上基板と、ガラスなどからなる透明基板102上に、ITOなどからなる透明電極104およびラビングにより配向処理を施された配向膜106が形成された下基板とを、液晶層を介して対向配置させた構成である。表示領域の周囲には、上下の基板間に液晶を封入させるためのシール材207または217が枠状に設けられている。図7では、上下の基板間の非画素領域に円柱状または角柱状のスペーサ211が形成され、シール材207の内周近傍に帯状スペーサ221が形成されている。図8では、図7においてシール材207の内周近傍に形成した帯状スペーサ221に代えて、ドット状スペーサ222をシール材217内に設けている。
【0009】
これらのスペーサ211、221、222は、レジストを用いて通常のフォトリソグラフィー法によって同時に、ほぼ同一の厚みで形成される。具体的には、ラビング処理した配向膜105の上にレジストを塗布し、フォトマスクを使用して露光し、その後現像を行い、各レジスト厚みを一様にそろえることによって形成する。すなわち、セル厚となる液晶層厚を表示領域全域にわたって均一にするために、図7(a)または図8(a)のように、シール材内またはシール材の内周近傍および表示領域内に、同じ材質で断面形状が方形である角柱状スペーサなどをほぼ同一の厚みで配置する。図7(b)または図8(b)のように、上下の基板を、スペーサ211と221または222とを介して貼合せた後、加圧加熱して接着する。その後、図7(c)または図8(c)のように、スペーサを混入していないシール材207または217を上下の基板の貼合せ端部からスペーサ221または222の部分まで浸透させ、加熱により硬化させた後、液晶材を注入することによって、液晶表示装置を得る。なお、図7および図8では透明基板101を上基板とし、透明基板102を下基板としているが、上下の基板を逆にしてもよい。
【0010】
このように、同材質で形成したスペーサ211、221、222の厚みを所望する液晶層厚に応じて調整することによって、シール材207または217近傍の表示領域に反りが生じず、液晶層厚を均一化させることができ、その結果、優れた表示品位が得られる。
【0011】
また前述のように、軽量化のためにプラスチック基板を用いることが検討されているが、プラスチック基板を用いた液晶表示装置、たとえば、プラスチックSTN液晶表示装置の製造方法においては、ガラス基板を用いる場合に比べて、より低温プロセスが必要となる。これは、プラスチック基板がガラス基板に比べて耐熱温度が低く、また、基板の伸縮が起こりやすいからである。すなわち、液晶表示装置の製造工程では、透明電極となるITOをパターニングする際のフォトマスクを用いた露光や上下の基板の貼合せなどの緻密な位置精度を要求される工程が多く、これらの工程においてはITOなどで描かれるトンボと呼ばれる合せマークを基準としている。しかし、プラスチック基板の場合、ガラス基板に比べ、熱履歴によって基板の伸縮が起こりやすく、さらに高温で加熱するほど起こりやすくなり、上下の基板間で伸縮の度合いの違いが大きくなるので、トンボを基準として用いても緻密な位置精度を得ることは難しい。さらに、プラスチック基板上にITO膜を形成した基板では、加熱時の熱膨張がITO膜よりもプラスチック基板の方が大きいので、ガラス基板を用いた液晶表示装置の製造工程のように、一般的に200℃以上となる高温プロセスでは、ITO膜にクラックが入ってしまう。したがって、プラスチック基板を用いた液晶表示装置の製造方法におけるすべての熱履歴は、より低温であることが望ましい。図6(b)に示した液晶表示装置でプラスチック基板を用いる場合にも、シール材部分のセル厚を決定する球状スペーサを混入させたシール材を印刷し、仮焼成した後に上下の基板を貼合せ、加圧加熱して接着させる際に、160℃以下の温度条件が必要である。
【0012】
しかしながら、シール材と基板との密着性は、上下の基板を貼合せた後の加圧加熱時の温度が高いほど、シール材の熱硬化反応が起こりやすいので、高くなり、200℃程度の加熱が可能なガラス基板を用いた液晶表示装置と比較すると、160℃以下の加熱ではシール材の熱硬化反応が不充分であるので、シール材と基板との密着性が低下してしまう。したがって、上下の基板を貼合せた後に加圧加熱して得られた基板を液晶表示装置の外形寸法に分断するときのブレーキングなど、基板に応力がかかる際には、基板とシール材とがはがれてしまうシールはがれ不良などの不具合が発生するという問題点がある。
【0013】
このシールはがれは、前述の特開2000−19528号公報で提案されている液晶表示装置においても問題となる。この公報に開示の液晶表示装置では、表示領域および周辺部の液晶層厚の均一化を達成するために、上基板および下基板のいずれか一方の基板に帯状のスペーサを形成し、上下の基板を加圧加熱して貼合せた後、シール材を貼合せ端部から帯状のスペーサの部分まで浸透させる手段が必要である。このためにあらかじめセル外形寸法に分断する必要があるが、この分断時に上下の基板間ではがれが発生してしまう。
【0014】
すなわち、前記円柱状や帯状のスペーサは、一般的にはアクリル系感光ポリマーやポリイミド系感光ポリマーを上基板または下基板に成膜し、フォトリソグラフィー法によって形成されるので、スペーサとスペーサが形成された基板との接着性は高い。しかし、一旦、フォトリソグラフおよび焼成によって形成されたスペーサは、特にスペーサ表面がすでに反応不活性であるので、もう一方の基板と貼合せて加圧加熱しても高い接着性は得られない。このため、セル外形寸法に分断するときのブレーキングなどの応力がかかった際に、上下の基板がはがれてしまう。特に、プラスチック基板を用いた液晶表示装置などの低温製造プロセスを必要とする場合には、さらに基板とシール材との密着性が低下するので、深刻な問題となる。また、携帯用途で液晶表示装置が使用される場合、地面に落下することが多く、落下時にシールはがれが起こらないようにしてシールに対する信頼性を確保することが必要であるが、前述のような理由から、落下時にシールはがれが起こりやすく、深刻な問題である。
【0015】
一般的に、シール材には粘度を調整するための溶剤成分や比較的低分子量の不純物が含まれており、前述のように上下の基板を貼合せてからシール材を浸透させた後に加熱する方法では、シール材内の溶剤成分が、加熱によって気化する際に液晶表示装置の表示領域の側へも気化し、配向膜面に吸着して配向膜を汚染し、シール部近傍の表示領域にムラが発生するという問題点がある。
【0016】
この配向膜の汚染を防止する技術は、特開平6−194615号公報に開示されている。この公報では、一方の基板の基板周縁に沿う部分にフォトリソグラフィー法によって枠状のスペーサを形成し、他方の基板には、両基板を重ね合せた際に枠状のスペーサの外周に位置するようにシール材を形成する。次いで、一方の基板上の中央部分に強誘電性液晶を滴下した後、一方の基板の枠状のシール材が他方の基板の枠状のスペーサの外周に嵌合するように両基板を加圧しながら重ね合せ、シール材とスペーサとを密着させた後、シール材を硬化させ、このシール材を介して両基板を接着させる。両基板を重ね合せる際に、枠状のスペーサをシール材の内側に嵌合させることによって、強誘電性液晶と未硬化状態のシール材との接触を回避し、未硬化状態でのシール材中の不純物などや、シール材を加熱して硬化させる際にシール材から発生する揮発性物質などが強誘電性液晶中に混入することを防いでいる。この公報では、シール材と液晶とを接触させないことによって配向膜の汚染を防止することに成功しているが、密着性を向上させる構成とはなっていない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、プラスチック基板を用いたSTN液晶表示装置など、160℃以下の低温製造プロセスが必要な装置において、シールに対する信頼性を向上した液晶表示装置の製造方法を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、間隙を有して対向配置される2枚のプラスチック基板の周囲をシール材で封着してなり、
前記シール材が配置された一方のプラスチック基板と、柱状スペーサが固着形成されたもう一方のプラスチック基板とが、前記シール材内に柱状スペーサが埋没するように貼合されて封着されており、
柱状スペーサの底面垂直方向の軸線を含む面で切断した断面形状が、シール材が配置されたプラスチック基板に接す端部の幅よりも、柱状スペーサが固着形成されたプラスチック基板に固着された端部の幅の方が狭いV型である液晶表示装置の製造方法であって、
一方のプラスチック基板にシール材を配置して仮焼成し、
もう一方のプラスチック基板に柱状スペーサを固着形成し、
仮焼成したシール材内に柱状スペーサが埋没するように2枚のプラスチック基板を貼合せて加圧加熱して焼成する工程を含み、
前記仮焼成および焼成では160℃以下で焼成することを特徴とする液晶表示装置の製造方法である。
【0019】
本発明に従えば、160℃以下の低温製造プロセスが必要なプラスチック基板を用い、シール材が配置された一方のプラスチック基板と、柱状スペーサが固着形成されたもう一方のプラスチック基板とをシール材内に柱状スペーサが埋没するように貼合せる。柱状スペーサの底面垂直方向の軸線を含む面で切断した断面形状が、シール材が配置されたプラスチック基板に接す端部の幅よりも、柱状スペーサが固着形成されたプラスチック基板に固着された端部の幅の方が狭いV型であるので、160℃以下で焼成しても前記2枚のプラスチック基板間の接着力が向上してシールはがれが防止でき、シールに対する信頼性を向上させることができる。また、一方のプラスチック基板にシール材を配置して仮焼成することによって、シール材内の溶剤成分を完全に除去することができるので、シール材内の残留溶剤成分が表示領域の配向膜面を汚染することがなく、シール部近傍の表示領域にムラが発生せず、表示領域を良好にできる。
またシール材が一方のプラスチック基板に配置されて構成されていることによって、シール材とシール材が配置されたプラスチック基板との間で高い密着性が得られ、柱状スペーサがもう一方のプラスチック基板に固着形成されて構成されていることによって、柱状スペーサと柱状スペーサが形成されたプラスチック基板との間で高い接着性が得られ、前記シール材内に柱状スペーサが埋没するように貼合されて封着されて構成されており、柱状スペーサの底面垂直方向の軸線を含む面で切断した断面形状が、シール材が配置されたプラスチック基板に接す端部の幅よりも、柱状スペーサが固着形成されたプラスチック基板に固着された端部の幅の方が狭いV型であることによって、シール材が硬化する際にシール材と柱状スペーサとを強く密着させることができる。したがって、前記2枚のプラスチック基板間の接着力が向上してシールはがれが防止でき、シールに対する信頼性を向上した液晶表示装置を得ることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態による液晶表示装置およびその製造方法を図1〜3を参照して説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施の一形態による液晶表示装置の構成について、製造工程を含めて模式的に示す断面図である。図1(a)は、上基板と下基板とを貼合せる前の状態を示す図である。図1(b)は、上基板と下基板とを貼合せてなる液晶表示装置の構成を示す図である。液晶表示装置は、透明基板1上に、シール部8、透明電極3および配向膜5が形成された上基板と、透明基板2上に、シール内柱状スペーサ21、表示領域柱状スペーサ11、透明電極4および配向膜6が形成された下基板とが、シール部8でシール材7内にシール内柱状スペーサ21が埋没するように貼合され、封着されて構成されている。
【0027】
シール内柱状スペーサ21は、シール部8に配置されるシール用スペーサであり、表示領域柱状スペーサ11は、表示領域9に配置される液晶用スペーサである。シール内柱状スペーサ21の大きさ、シール内での配置密度および形状は、特に限定されるものではなく、大きさおよび配置密度は任意であり、形状は、たとえば、円柱状、角柱状および帯状などの柱状形状の中から任意の形状を選択することができる。表示領域柱状スペーサ11の形状としては、円柱状、角柱状および帯状などの柱状形状の中から任意の形状を選択することができる。
【0028】
透明基板1および2は、ガラスおよびプラスチックなどからなる。透明電極3および4は、ITOなどで形成される。配向膜5および6は、ポリアミドカルボン酸(Polyamic acid)などからなる配向膜材料であるポリイミド(以下、「PI」と略称する)などで形成される。シール材7としては、熱硬化性樹脂および紫外線硬化性樹脂などが用いられる。シール内柱状スペーサ21および表示領域柱状スペーサ11は、たとえばネガレジストタイプの感光性アクリル系樹脂からなるスペーサ材料で形成される。
【0029】
シール材が配置された一方の基板が、シール材の硬化によってもう一方の基板と貼合された構成においては、シール材が配置された基板とシール材との密着性は、貼合されたもう一方の基板とシール材との密着性よりも高いので、シールはがれは、シール材とシール材が配置された基板に貼合されたもう一方の基板との間で発生することが判明している。
【0030】
本実施形態による液晶表示装置は、シール部8が一方の基板に形成され、シール内柱状スペーサ21がもう一方の基板に固着形成されて構成されているので、前述のように、シール材7とシール部8が形成された基板との間で高い密着性が得られるとともに、シール内柱状スペーサ21とシール内柱状スペーサ21が形成された基板とは固着されて高い接着性が得られる。また、シール部8でシール材7内にシール内柱状スペーサ21が埋没するように貼合されて封着されて構成されているので、シール材7が硬化する際にシール材7とシール内柱状スペーサ21とが強く密着する。したがって、上下の基板間の接着力が向上してシールはがれが防止でき、シールに対する信頼性が向上する。
【0031】
図2は、シール内柱状スペーサ21の底面垂直方向の軸線を含む面で切断した断面形状の一例を模式的に示す断面図である。シール内柱状スペーサ21の断面形状は、図2(a)に示すように、上下の基板に接す両端部の幅Bよりも中央部の幅Aの方が狭いI型であることが好ましい。このことはシール内柱状スペーサ21の形状が円柱状や角柱状である場合に限らず、帯状の場合でも同様である。シール内柱状スペーサ21の断面形状をI型にすることによって、上下の基板を貼合せた際にシール材7がシール内柱状スペーサ21の側面中央部分に形成される凹部分に入り込んで硬化するので、凹部分に入り込んで硬化したシール材7が引っかかりとなり、上下の基板の接着力が向上する。これによって、基板分断時や落下時の上下の基板のシールはがれを防ぎ、シールに対する強度面での信頼性を向上させることができる。なお、断面形状は、図2(b)に示すように、上基板に接す上端部の幅Cよりも下基板に接す下端部の幅Dの方が狭いV型などでもよく、上基板に配置されて仮焼成されたシール材7が回り込んで硬化できる形状であれば、I型と同様の効果を得ることができる。また、シール内柱状スペーサ21の表面を粗面化することによっても同様の効果を得ることができる。
【0032】
なお、以上のように構成される液晶表示装置の基板を外形寸法に分断する場合には、貼合せ時の加圧によってシール材が過度に延びて基板の分断ラインまで広がり、分断できないという問題が発生することがある。この問題を回避するためにシール材7内に配置させるシール内柱状スペーサ21に加えて、シール部8の外縁に柱状または帯状のスペーサを形成してもよい。これによってシール材7の過度な延びが防止でき、シール材7が基板の分断ラインまで広がって分断できなくなることがない。
【0033】
図3は、図1の液晶表示装置の製造工程を示す工程図である。上基板の製造工程では、たとえば、ITOなどをスパッタリングし、フォトマスクを用いて露光、現像を行うことにより透明電極3を形成し、ITOパターニング完基板を得る。その上に、ポリイミドなどを印刷法により成膜して焼成し、配向膜5を形成する。形成した配向膜5に、ラビング法などにより配向処理を施す。次いで、たとえば枠状のシール形状をパターニングしたスクリーン版を用い、印刷法によってシール材7を基板に印刷し、シール部8を形成する。印刷法などによれば、シール材7を浸透させるなどの長時間を要する作業を必要としないので、生産タクトが大幅に短縮され、簡便な製造方法によって液晶表示装置を製造することができる。次いで、シール部8を形成した透明基板1を仮焼成し、上基板を得る。シール部8を形成した後に仮焼成することによってシール材7内の溶剤成分を完全に除去することができるので、後述するように上下の基板を貼合せて加圧加熱する際に、シール材7内の残留溶剤成分が表示領域の配向膜面を汚染することがなく、シール部8近傍の表示領域9にムラが発生せず、表示均一性が良好になる。
【0034】
下基板の製造工程では、上基板と同様に、ITOなどをスパッタリングし、フォトマスクを用いて露光、現像を行うことにより透明電極4を形成し、ITOパターニング完基板を得る。この上に、たとえば、ネガレジストタイプの感光性アクリル系樹脂からなるスペーサ材料を、スピンコート法などにより塗布して仮焼成し、フォトマスクを用いて露光を行う。その後、NaOH水溶液などで現像を行い、焼成処理し、表示領域柱状スペーサ11およびシール内柱状スペーサ21を形成する。次いで、ポリイミドなどを印刷法により成膜して焼成し、配向膜6を形成する。形成した配向膜6に、ラビング法などにより配向処理を施し、下基板を得る。なお、配向膜6の上には、必要に応じて、カラーフィルタや絶縁膜を形成してもよい。
【0035】
こうして得られた上基板と下基板とを、前述のように、シール部8でシール材7内にシール内柱状スペーサ21が埋没するように貼合せて、加圧加熱して焼成することにより液晶表示装置を得る。本実施形態では、図1において、シール部8を形成する透明基板1を上基板とし、シール内柱状スペーサ21を形成する透明基板2を下基板としているが、上下の基板を逆にしてもよい。
【0036】
なお、シール内柱状スペーサ21の軸線を含む面で切断した断面形状は、スペーサ材料を露光する際、露光条件を調整することによって変化させることができる。たとえば、プロキシミティギャップが100μmで、露光量が500mJ/cm2の条件で紫外線を露光すると、シール内柱状スペーサ21の断面形状は完全に方形になるが、プロキシミティギャップが170μmで、露光量が800mJ/cm2の条件で露光すると、断面形状はI型になる。これは、プロキシミティギャップを広め、露光量を増加させることによって、紫外線の回り込み現象が起こりやすくなり、シール内柱状スペーサ21の中央部が両端部に比べてオーバーエッチング状態になるので、両端部の幅Bよりも中央部の幅Aの方が狭くなるためである。
【0037】
以上のような液晶表示装置の製造工程において、プラスチック基板を用いた場合には、シール材7印刷後の仮焼成温度および上下の基板を貼合せた後の焼成時の加圧加熱温度が高すぎると、以下の不具合が生じる。
1)ITOの熱膨張に対してプラスチック基板の熱膨張の方が大きいために、過熱によってITOクラックが発生する。
2)シール材7印刷後の仮焼成によって一方のプラスチック基板が不規則に熱膨張し、収縮することによって、上下の基板を貼合せた際に貼合せトンボの嵌合ズレが発生し、シール内柱状スペーサ21とシール部8との間に位置のズレが発生する。
3)上下の基板で、貼合せまでの製造工程および積層構造が異なること、ならびに熱膨張の度合いが違うことによって、貼合せ後の加圧加熱時に貼合せた基板に反りが生じる。
【0038】
したがって、プラスチック基板を用いる場合には、このような不具合が生じないように、シール材7印刷後の仮焼成の温度は100℃以下が好ましく、貼合せ後の焼成の温度は160℃以下が好ましい。
【0039】
本実施形態では、一方の基板にシール部8を形成し、もう一方の基板にシール内柱状スペーサ21を形成し、シール部8でシール材7内にシール内柱状スペーサ21が埋没するように上下の基板が貼合されて封着されるので、シール部8形成後の仮焼成および上下の基板を貼合せた後の加圧加熱を160℃以下の温度で行っても、効果的に上下の基板間の接着力を向上させるとともに、シールはがれを改善することができる。したがって、ガラス基板のように200℃以上の加熱をすることができないプラスチック基板を用いた場合においても、上下の基板間の接着力が向上し、シールはがれが改善された液晶表示装置を提供することができる。
【0040】
(実施例)
(実施例1)
図1(b)に示すような3.8インチサイズの液晶表示装置を作製する。
【0041】
下基板として、プラスチックからなり、300mm×324mmサイズで、4セルをとることができる透明基板2上に、ITOをスパッタし、フォトマスクを用いて露光、現像を行い、ITOパターニング完基板を作製した。このときのITOの膜厚は0.24μmであった。この上に、スペーサ用ネガレジスト(JSR社製JNPC−77:商品名)の5%溶液を、スピンコータにて回転速度2000rpmで1分間回転することにより塗布した。この基板をクリーンオーブンにて120℃で10分間仮焼成し、スペーサ内の残留溶媒を除去した。
【0042】
次いで、シール材7に配置するシール内柱状スペーサ21および表示領域9に配置する表示領域柱状スペーサ11をパターニングしたフォトマスクを用い、プロキシミティギャップが100μmで、露光量が500mJ/cm2の条件で紫外線を照射し、25℃雰囲気下で露光を行った。30℃の2%NaOH水溶液で1分間現像して十分に水洗し、クリーンオーブンにて150℃で40分間焼成を行い、シール内柱状スペーサ21および表示領域柱状スペーサ11を形成した。このとき、シール内柱状スペーサ21および表示領域柱状スペーサ11は直方体形状で、基板に接する底面の対角線の長さは25μmで、高さは5.2〜5.3μmであり、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)にて観察したところ、シール内柱状スペーサ21の底面垂直方向の軸線を含む面で切断した断面形状は方形であった。
【0043】
次いで、ポリアミック酸からなる配向膜材料(JSR社製AL1R460:商品名)を印刷法により成膜し、クリーンオーブンにて150℃で80分間焼成を行った。このときの配向膜6の膜厚は0.05μmであった。形成された配向膜6にラビングにより配向処理を施し、下基板を得た。
【0044】
次に、上基板として、下基板と同サイズのプラスチックからなる透明基板1上に、ITOをスパッタし、フォトマスクを用いて露光、現像を行い、ITOパターニング完基板を作製した。このときのITOの膜厚は0.24μmであった。この上に、ポリアミック酸からなる配向膜材料(JSR社製AL1R460:商品名)を印刷法により成膜し、クリーンオーブンにて150℃で80分間焼成を行った。このときの配向膜5の膜厚は0.05μmであった。形成された配向膜5にラビングにより配向処理を施した。
【0045】
次いで、枠状のシール形状をパターニングしたスクリーン版を用い、シール材7(三井化学社製XN−21S:商品名)を印刷幅300μm、膜厚12μmで印刷し、シール部8を形成した。この基板をクリーンオーブンにて100℃で30分間加熱して仮焼成を行い、シール材7内の残留溶媒を除去し、上基板を得た。
【0046】
こうして得られた上下基板を、シール内柱状スペーサ21がシール材7に接触するように貼合せて加圧し、シール内柱状スペーサ21の側面にシール材7を回り込ませて貼合せを行い、下基板上に形成されたシール内柱状スペーサ21を上基板に形成されたシール材7内に配置した。貼合せた上下の基板を、1.5kg/cm2の圧力下160℃でホットプレスし、大気圧下、クリーンオーブンにて130℃で1時間加熱し、液晶表示装置を作製した。
【0047】
(実施例2)
シール内柱状スペーサ21の断面形状を図3(a)に示すI型にして、図1(b)に示すような3.8インチサイズの液晶表示装置を作製する。
【0048】
実施例1において、スペーサの露光条件として、プロキシミティギャップが100μmで、露光量が500mJ/cm2の条件に代えて、プロキシミティギャップが170μmで、露光量が800mJ/cm2の条件で露光を行った以外は、実施例1と同様にして、液晶表示装置を作製した。このとき、シール材7内に配置するシール内柱状スペーサ21の高さは5.2μmで、SEMにて観察したところ、底面垂直方向の軸線を含む面で切断した断面形状は、図3(a)に示すI型で、端部の幅Bは25μm、中央部の幅Aは18μmであった。
【0049】
(比較例1)
図6(b)に示すような3.8インチサイズの液晶表示装置を作製する。
【0050】
実施例1において、下基板にシール材7内に配置するシール内柱状スペーサ21および表示領域9に配置する表示領域柱状スペーサ11を形成し、上基板にシール部8を形成することに代えて、下基板に樹脂製の球状スペーサ111を散布し、上基板に樹脂製の球状スペーサ121を混入させたシール材107を塗布した以外は、実施例1と同様にして、液晶表示装置を作製した。
【0051】
(比較例2)
図7(c)に示すような3.8インチサイズの液晶表示装置を作製する。
【0052】
実施例1において、シール材7内に配置するシール内柱状スペーサ21に代えて、シール材207内縁に配置する帯状スペーサ221を形成した以外は、実施例1と同様にして下基板を得た。このとき、帯状スペーサ221の基板に接する底面の短辺は25μmで、長辺は1000μmで、高さは5.2μmであり、SEMにて観察したところ、帯状スペーサ221の底面垂直方向の軸線を含む面で切断した断面形状は長方形であった。
【0053】
次に、実施例1と全く同様にして上基板を得た。
こうして得られた上下基板を貼合せ、1.5kg/cm2で加圧しながら160℃で1時間加熱した後、セル外形寸法に分断し、シール材207を室温にて1.5時間かけて帯状スペーサ221の部分まで浸透させた後、さらに130℃で1時間加熱し、液晶表示装置を作製した。
【0054】
(比較例3)
図8(c)に示すような3.8インチサイズの液晶表示装置を作製する。
【0055】
実施例1において、シール材7内に配置するシール内柱状スペーサ21に代えて、シール材7内縁に配置する柱状スペーサ222を形成した以外は、実施例1と同様にして下基板を得た。このとき、柱状スペーサ222は直方体形状で、基板に接する底面の対角線の長さは25μmで、高さは5.2μmであり、SEMにて観察したところ、柱状スペーサ222の底面垂直方向の軸線を含む面で切断した断面形状は長方形であった。
【0056】
次に、実施例1と全く同様にして上基板を得た。
こうして得られた上下基板を貼合せ、1.5kg/cm2で加圧しながら160℃で1時間加熱した後、セル外形寸法に分断し、シール材217を室温にて1.5時間かけて柱状スペーサ222の部分まで浸透させた後、さらに130℃で1時間加熱し、液晶表示装置を作製した。
【0057】
(比較例4)
シール内柱状スペーサ21とシール部8とを同一の基板上に形成して、図1(b)と同様の3.8インチサイズの液晶表示装置を作製する。
【0058】
実施例1において、下基板にシール材7内に配置するシール内柱状スペーサ21および表示領域9に配置する表示領域柱状スペーサ22を形成し、上基板にシール部8を形成することに代えて、シール材7内に配置するシール内柱状スペーサ21および表示領域9に配置する表示領域柱状スペーサ22を形成した下基板に、さらにシール部8を形成した以外は、実施例1と同様にして、液晶表示装置を作製した。
【0059】
(評価1)
以上の実施例1,2,比較例1〜4で作製した液晶表示装置について、液晶表示装置のモジュールにするためにセル外形寸法に分断する際に基板とシールとがはがれるか否かを調べた。
【0060】
図4は、液晶表示装置をセル外形寸法に分断した際のシールはがれ発生率を示すグラフである。横軸は分断に用いた実施例および比較例を示し、縦軸はシールはがれ発生率を示す。実施例1,2,比較例1〜4の液晶表示装置のパネルをセル外形寸法に分断し、この際にシールと基板とがはがれたセルがあるかどうかを調べ、分断により得られたセルの全数に対するシールがはがれたセルの割合をシールはがれ発生率とした。
【0061】
図4に示すように、実施例1では、シールはがれ発生率は1.2%(2/160セル)で、実施例2では、全く発生しなかった。比較例1では17.5%(14/80セル)、比較例2では23.8%(19/80セル)、比較例3では30.0%(24/80セル)、比較例4では16.3%(26/160セル)であった。実施例1,2,比較例1〜4の液晶表示装置では、1枚のパネルから4セルをとることができるので、前記シールはがれ発生率は、分断によってシールはがれが発生したセルの数を、分断に用いた液晶表示装置パネルの枚数の4倍となるセルの全数で割ったものである。たとえば、実施例1の場合のシールはがれ発生率は、シールはがれが発生したセルの数2をセルの全数160で割った1.2%となる。
【0062】
以上の結果から、実施例1では、シール部が一方の基板に形成され、シール内柱状スペーサがもう一方の基板に形成され、シール材内にシール内柱状スペーサが配置されるように貼合されて構成されているので、上下の基板の密着性が格段に向上していることが判った。また、実施例2では、シール材内に配置するシール内柱状スペーサの断面形状がI型になっているので、上下の基板を貼合せた際にI型形状の凹部分にシール材が入り込んで硬化し、実施例1の場合よりもさらに上下の基板間の接着力が向上し、分断時のシールはがれが改善されるとともに、落下時のシールはがれに対する強度面での信頼性を向上できることが判った。
【0063】
比較例1では、シール材とシール部が形成された基板との密着性は高いが、シール材ともう一方の基板との密着性が低いので、シールはがれの発生率が高くなった。比較例2では、シール材の浸透前に分断することや帯状スペーサと上下の基板との密着性が低いことから、シールはがれの発生率がさらに高くなった。比較例3では、比較例2よりもさらに上下の基板の密着性が低く、シールはがれの発生率がさらに高くなった。比較例4では、シール部とスペーサとを同一の基板上に形成しているので、シール部を形成された基板とシール材との密着性が、シールの仮焼成後に貼合せられる基板とシール材との密着性よりも高くなり、シール材の仮焼成後に貼合せられる基板とシール材との接着界面でシールはがれが起こり、シールはがれの発生率が高くなった。
【0064】
(評価2)
実施例1,2,比較例1〜4で作製した液晶表示装置のモジュールについて、地面に落下させた際のシールはがれの評価を行った。
【0065】
図5は、液晶表示装置のモジュールを地面に落下させた際にシールはがれが発生する最低の高さを示すグラフである。横軸は落下に用いた実施例および比較例を示し、縦軸は落下高さを示す。実施例1,2,比較例1〜4の液晶表示装置のモジュールを種々の高さから地面に落下させ、落下によってシールと基板とがはがれた最低の高さを落下高さとした。なお、液晶表示装置の落下方向は、表示平面が地面と垂直になるようにし、液晶表示装置の四隅のいずれかで接地するように自然落下させた。
【0066】
図5に示すように、実施例1では、1.8mの高さからの落下までシールはがれが発生せず、実施例2では、2.2mの高さからの落下までシールはがれが発生しなかった。比較例1では1.0m、比較例2では0.8m、比較例3では0.7m、比較例4では1.1mの高さからの落下でシールはがれが発生した。
【0067】
以上の結果から、実施例1,2の液晶表示装置は、前述の構成によって、自然落下に対するシール密着性が改善されることが判った。これによって、液晶表示装置を携帯端末のディスプレイとして使用する際の、携帯端末の落下に対する液晶表示装置の強度面での信頼性の向上に大きく貢献することができる。
【0068】
(評価3)
実施例1,比較例2,3の液晶表示装置に、カイラル剤(チッソ石油化学社製S−811)を添加したネマティック液晶を注入して封止した後、非点灯および中間調表示時のシール部近傍での表示品位を評価した。
【0069】
その結果、実施例1の液晶表示装置は、下基板にシール材を印刷した後に仮焼成することによってシール材内の溶剤成分を完全に除去しているので、シール部近傍の表示領域にムラは発生せず、表示均一性が良好であることが判った。比較例2および3では、シール部近傍全周にわたって、シール材内の溶剤成分が配向膜に付着したために発生する強いムラが見られた。
【0070】
(実施例3および比較例5,6)
実施例1において、シール材印刷後の仮焼成時に100℃とした仮焼成の温度を80℃,120℃,140℃とした以外は、実施例1と同様にして、各々実施例3、比較例5および比較例6の液晶表示装置を作製した。
【0071】
(評価4)
実施例1,3,比較例5,6について、前述のプラスチック基板を用いた場合における不具合1)および2)の評価を行うために、ITOクラックの発生の有無および上下の嵌合ズレの有無を確認した。その結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
表1から、ITOクラックは、すべての温度条件で発生しなかった。上下の基板を貼合せる際の貼合せトンボの嵌合ズレは、実施例3の80℃および実施例1の100℃の条件では見られず、問題はなかった。比較例5の120℃の条件では、基板の対角に位置するトンボ間で、基板の伸びによる嵌合ズレが見られ、比較例6の140℃の条件では、基板のすべてのトンボ間で、基板の伸びによる嵌合ズレが見られた。以上の結果から、シール材印刷後の仮焼成は、100℃以下の温度で行う必要があることが判った。
【0074】
(実施例4,5および比較例7)
実施例1において、基板貼合せ後のホットプレスの条件を圧力1.5kg/cm2、160℃としたのを、圧力はそのままで加圧加熱温度を120℃,140℃,180℃とした以外は、実施例1と同様にして、各々実施例4、実施例5および比較例7の液晶表示装置を作製した。
【0075】
(評価5)
実施例1,4,5および比較例7について、前述のプラスチック基板を用いた場合における不具合1)および3)の評価を行うために、ITOクラックの発生の有無および基板の反りの有無を確認した。その結果を表2に示す。
【0076】
【表2】
【0077】
表2から、実施例4の120℃,実施例5の140℃および実施例1の160℃の条件では、ITOクラックの発生はなく、貼合せた基板の反りも発生していなかった。比較例6の180℃の条件では、ITOとプラスチック基板との膨張率の違いによるITOクラックが発生し、基板の反りも発生した。以上の結果から、基板貼合せ後の加圧加熱は、160℃以下の温度で行う必要があることが判った。
【0078】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、シール材が一方のプラスチック基板に配置され、柱状スペーサがもう一方のプラスチック基板に固着形成され、前記シール材内に柱状スペーサが埋没するように貼合されて封着されて構成されており、柱状スペーサの底面垂直方向の軸線を含む面で切断した断面形状が、シール材が配置されたプラスチック基板に接す端部の幅よりも、柱状スペーサが固着形成されたプラスチック基板に固着された端部の幅の方が狭いV型であることによって、シール材とシール材が配置されたプラスチック基板との間で高い密着性が得られ、柱状スペーサと柱状スペーサが形成されたプラスチック基板との間で高い接着性が得られ、シール材が硬化する際にシール材と柱状スペーサとを強く密着させることができ、前記2枚のプラスチック基板間の接着力が向上してシールはがれが防止でき、シールに対する信頼性を向上した液晶表示装置およびその製造方法を提供することができる。特に、160℃以下の低温製造プロセスが必要なプラスチック基板を用いた場合において前述のように構成されていることによって、160℃以下で焼成しても前記2枚のプラスチック基板間の接着力が向上してシールはがれが防止でき、シールに対する信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態による液晶表示装置の構成について、製造工程を含めて模式的に示す断面図である。
【図2】シール内柱状スペーサ21の底面垂直方向の軸線を含む面で切断した断面形状の一例を模式的に示す断面図である。
【図3】図1の液晶表示装置の製造工程を示す工程図である。
【図4】液晶表示装置をセル外形寸法に分断した際のシールはがれ発生率を示すグラフである。
【図5】液晶表示装置のモジュールを地面に落下させた際にシールはがれが発生する最低の高さを示すグラフである。
【図6】一般的な液晶表示装置の製造工程を模式的に示す断面図である。
【図7】特開2000−19528号公報に開示の液晶表示装置のシール部近傍を拡大して示す断面図である。
【図8】特開2000−19528号公報に開示の他の液晶表示装置のシール部近傍を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
1,2 透明基板
3,4 透明電極
5,6 配向膜
7 シール材
8 シール部
9 表示領域
11 表示領域柱状スペーサ
21 シール内柱状スペーサ
Claims (1)
- 間隙を有して対向配置される2枚のプラスチック基板の周囲をシール材で封着してなり、
前記シール材が配置された一方のプラスチック基板と、柱状スペーサが固着形成されたもう一方のプラスチック基板とが、前記シール材内に柱状スペーサが埋没するように貼合されて封着されており、
柱状スペーサの底面垂直方向の軸線を含む面で切断した断面形状が、シール材が配置されたプラスチック基板に接す端部の幅よりも、柱状スペーサが固着形成されたプラスチック基板に固着された端部の幅の方が狭いV型である液晶表示装置の製造方法であって、
一方のプラスチック基板にシール材を配置して仮焼成し、
もう一方のプラスチック基板に柱状スペーサを固着形成し、
仮焼成したシール材内に柱状スペーサが埋没するように2枚のプラスチック基板を貼合せて加圧加熱して焼成する工程を含み、
前記仮焼成および焼成では160℃以下で焼成することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
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