JP2004012581A - 非磁性一成分現像用トナー - Google Patents
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Abstract
【課題】連続印刷した際も安定な帯電挙動を示し、トナーがマシン内部へ飛散したり、現像装置からこぼれたりすることがなく、良好な印刷画像が得られる非磁性一成分現像用トナーを提供する。また、6m/分以上の高速の現像速度においても前記課題を満足する非磁性一成分現像用トナーを提供する。
【解決手段】バインダー樹脂と着色剤と帯電制御剤を含有してなるトナーにおいて、前記帯電制御剤が有機ベントナイトを含有することを特徴とする非磁性一成分現像用トナー。
【選択図】
【解決手段】バインダー樹脂と着色剤と帯電制御剤を含有してなるトナーにおいて、前記帯電制御剤が有機ベントナイトを含有することを特徴とする非磁性一成分現像用トナー。
【選択図】
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、あるいは静電印刷法に用いる非磁性一成分現像用トナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
非磁性一成分現像方式におけるトナーの現像・印字品質は、トナー粒子の帯電立ち上がり性、帯電経時安定性、帯電量等によって大きく左右される。そこで、これらの帯電特性を制御し、常時、安定した状態で用いる目的で、トナー粒子を製造する際には正電荷又は負電荷付与性の帯電制御剤(CCA)を内添する方法が採られている。
【0003】
従来、トナーに負電荷を付与する帯電制御剤として、特公平2−16916号公報には、アゾ系金属キレート錯体が記載されている。しかしながら、アゾ系金属キレート錯体は、有色のためカラートナーには適さず、更に、トナー混練時の機械的衝撃あるいは温湿度条件によって分解もしくは変質し、帯電制御剤本来の機能が低下するという問題点があった。また、上記アゾ系キレート錯体は重金属を含有するため、安全性、環境保護という観点からも問題であった。
【0004】
一方、サリチル酸、及びその誘導体のキレート錯体、又はサリチル酸誘導体の金属塩は、特公平2−060183号公報(亜鉛錯塩系)、特公平8−010360号公報(アルミニウム錯塩系)、特開2000−227675号公報、特開2000−227676号公報、特開2000−227678号公報、特開2000−258961号公報、特開2000−258962号公報、特開2000−330338号公報(以上ジルコニウム錯塩、又はジルコニウム塩系)等に開示されている。これらはそれ自体が無色ないし淡色の化合物であり、帯電立ち上がり性、及び帯電量に優れる事からカラートナー用負帯電性帯電制御剤としてしばしば適用されているが、その反面、帯電経時安定性等に未だ課題がある。
【0005】
特に非磁性一成分現像方式を用いたプリンターの場合、トナー粒子が帯電部材と現像スリーブの間をすり抜ける事により帯電させる方式を採っているため、トナー粒子がリサイクルされて何度も摩擦を繰り返すと、それに伴いトナー粒子表面が摩耗され、同時に表面に分布する帯電制御剤(CCA)が程度の差こそあれ欠落する場合が多い。そのため、この現像方式に用いられるトナーにおいては、使用する帯電制御剤がトナー中に均一に、且つ微細に分散し、更に非磁性一成分現像方式特有の上記課題を満足する特性を有していることが重要である。
【0006】
さらに、最近においては、6m/分以上の現像速度といったように、非磁性一成分現像方式のマシンの印刷速度が上昇してきている。それに伴い、高速現像における耐摩耗性、帯電経時安定性に加えて、帯電不良あるいは逆極性に帯電するトナー粒子の発生を防止し、トナーがマシン内部へ飛散したり、現像装置からこぼれたりして、印刷時の汚れを発生させない特性が必要になってきている。しかしながら、このような要求特性を満足する帯電制御剤を使用した非磁性一成分現像用トナーは未だかつて見いだされていない。
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、連続印刷した際も安定な帯電挙動を示し、トナーがマシン内部へ飛散したり、現像装置からこぼれたりすることがなく、良好な印刷画像が得られる非磁性一成分現像用トナーを提供することにある。また、本発明の他の目的は、6m/分以上の高速の現像速度においても前記課題を満足する非磁性一成分現像用トナーを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
【0008】
即ち、本発明は上記課題を解決するために、バインダー樹脂と着色剤と帯電制御剤を含有してなるトナーにおいて、前記帯電制御剤が有機ベントナイトを含有することを特徴とする非磁性一成分現像用トナーを提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明では有機ベントナイトを含有する物質を帯電制御剤として用いる。有機ベントナイトとは、有機カチオン形成性化合物とベントナイトを主成分として製造される物質であり、ベントナイトとはSiO2とAl2O3を主とし、モンモリロン石を主成分とした層状構造を有する粘度鉱物である。このような天然の層状化合物であるベントナイトは、イオン交換などによって有機分子を層間に取り込むことができる。ベントナイトの層間には、本来、ナトリウムやカリウムなどの無機の金属カチオンが存在するが、これをイオン交換することによってアルキルアンモニウムイオンなど、有機カチオンをインターカレート(包接)し、有機物と無機物が交互に積層した複合体(層間化合物)が生じる。本発明で帯電制御剤として使用する有機ベントナイトは、ベントナイト中の無機カチオンを有機カチオン形成性化合物から生じる有機カチオンで交換したものである。
【0010】
有機ベントナイトを製造するための有機カチオン形成性化合物としては、公知の化合物を使用できる。例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラペンチルアンモニウムフルオロフォスフェート、テトラエチルアンモニウムベンゾエート、テトラエチルアンモニウムアセテート、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、トリエチルメチルアンモニウムアイオダイド、等の4級アンモニウム塩がある。
【0011】
また、イソプロピルピリジニウムクロライド、ブチルピリジニウムクロライド、ヘプチルピリジニウムクロライド、デシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、セチルピリジニウムクロライド、等のピリジウム塩がある。
【0012】
更に、ポリエチレンイミン等のポリアルキレンイミン、ポリ−(4−ビニルピリジン)、ポリアリルアミン、アミノアセチル化されたポリビニルアルコール、ポリ−(L)−リジン、キトサン、ポリピロール、あるいはジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基含有アクリレートを含有するビニルモノマーとの共重合体、等から得られるポリマ−性アンモニウム塩がある。
【0013】
有機ベントナイトを製造するための有機カチオン形成性化合物のアニオン成分としては特に限定されるものではないが、安全性あるいは環境保護という観点からは、クロム、コバルト、銅、ニッケル、モリブデン、鉛、水銀、等の重金属を含まないアニオンであることが好ましい。
【0014】
本発明で使用する有機ベントナイトを調製するための方法としては、特に限定されるものではなく、従来用いられているイオン交換操作により製造することができる。例えば、水、水と有機溶媒の混合物、あるいは有機溶媒中にベントナイトを浸漬し、これに有機カチオン形成性化合物を添加して、一定時間放置後、これを濾過洗浄し、乾燥することにより得ることができる。
【0015】
本発明で用いる帯電制御剤は、樹脂中、特にポリエステル中に均一に分散することができるので、少量で所望の帯電量を得ることができる。
【0016】
帯電制御剤の使用量としてはバインダー樹脂100質量部に対し、0.1〜10質量部の範囲であり、この範囲であると、トナー抵抗の低下もなく十分な帯電性能が得られる。より好ましくは0.3〜5質量部であり、特に、0.5〜3質量部であることが好ましい。
【0017】
なお、本発明では従来公知の帯電制御剤も併用することができる。併用することができる化合物としては、例えば正帯電制御剤としてニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、4級アンモニウム基及び/又はアミノ基を含有する樹脂等が、負帯電制御剤としてトリメチルエタン系染料、サリチル酸の金属錯塩、ベンジル酸の金属錯塩、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、金属錯塩アゾ系染料、アゾクロムコンプレックス等の重金属含有酸性染料、カリックスアレン型のフェノール系縮合物、環状ポリサッカライド、カルボキシル基及び/又はスルホニル基を含有する樹脂、等がある。本発明で用いる帯電制御剤は負帯電性帯電制御剤であるので、その他の帯電制御剤を併用する場合は負の帯電制御剤であることが好ましい。
【0018】
本発明で使用するトナーのバインダー樹脂としては、通常、トナーにおいてバインダー樹脂として用いられているもので有れば特に限定すること無く使用することができる。例えば、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレンブタジエン樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、アミド系樹脂、ポリカーボネイト樹脂、エポキシ系樹脂、並びにこれらのグラフト重合体及びそれらの混合物などを上げることができる。
【0019】
それらの中でも、帯電安定性、保存安定性、定着特性、あるいは有彩色の有機顔料等を含むカラートナー用樹脂として用いた場合の色再現性等を考慮するとポリエステル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸エステルの共重合体樹脂、エポキシ樹脂が好適に使用しうる。それらの中でも特にポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
【0020】
本発明に用いる樹脂のガラス転移温度(Tg)は50℃以上のものが好ましいが、中でも、そのTgが55℃以上のものが特に好ましい。Tgが50℃以下ではトナーが保存、運搬、あるいはマシンの現像装置内部で高温下に晒された場合にブロッキング現象(熱凝集)を生じやすい。
【0021】
また、樹脂の軟化点としては、90℃以上、中でも、90℃〜180℃の範囲のものが好ましい、より好ましくは、95℃〜160℃の範囲である。軟化点が90℃未満の場合は、トナーが凝集現象を生じやすく、保存時や印字の際にトラブルになりやすく、180℃を越える場合には定着性が悪くなることが多い。
【0022】
さらに、カラートナー用の黒トナーあるいは有彩色のトナーとして、より低温での定着性能が要求される場合には、樹脂の軟化点としては、90℃〜130℃の範囲のものが好ましい、より好ましくは、95℃〜120℃の範囲である。樹脂の酸価としては、20mgKOH/g以下であることが、トナーの耐湿性が良好となる点で好ましい。
【0023】
本発明で好適に使用しうるポリエステル樹脂は、多塩基酸及び/又は酸無水物及び/又はこれらの低級アルキルエステルから選ばれる多塩基酸化合物と多価アルコールとを脱水縮合することによって製造する。多塩基酸及び/又は酸無水物及び/又はこれらの低級アルキルエステルから選ばれる多塩基酸化合物としては、例えば無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸等のジカルボン酸又はその誘導体又はそのエステル化物が、また、例えばトリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸等の三官能以上の多価カルボン酸又はその誘導体又はそのエステル化物が挙げられる。
【0024】
また、多価アルコールとしては、以下の脂肪族多価アルコールがある。例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドランダム共重合体ジオール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック共重合体ジオール、エチレンオキサイド−テトラハイドロフラン共重合体ジオール、ポリカプロラクトンジオール等のジオールが、また、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトラオール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリメチロールベンゼン、等の三官能以上の多価アルコールが挙げられる。
【0025】
また、1分子中に2個以上のグリシジル基を有する化合物も上記のカルボン酸化合物と反応する2価以上の脂肪族アルコールとして用いることもできる。具体的には、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、等がある。
【0026】
また、芳香族多価アルコールとしては、例えばカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、等が挙げられる。更に、下記式1で表されるビスフェノール骨格を有する化合物等がある。
【0027】
【化1】
(式1)
(式中、R1及びR2は、同一又は異なってエチレン基又はプロピレン基を示し、m、nは、同一又は異なって0〜7の整数を示し、かつm+nは0〜7の整数を示す。)
【0028】
式1で表される化合物の具体的な例としては、ビスフェノールA、ポリオキシエチレン−(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.2)−ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びこれらの誘導体等が挙げられる。
【0029】
本発明においてポリエステル樹脂を用いる場合には、多価アルコールとして2価以上の脂肪族アルコールを主成分として用いることが好ましい。その場合、芳香族多価アルコールとして式1の化合物も使用することができるが、式1の化合物を使用する場合は、式1の化合物が全アルコール成分中で占める比率は40モル%以下であることが好ましく、20モル%以下であることがより好ましい。特に、好ましくは0モル%(使用しない)である。そうすることにより、ポリエステル樹脂の分子鎖がフレキシブルとなり、そのようなポリエステル樹脂を用いたトナーを非磁性一成分現像用トナーとして用いた場合、現像スリーブと帯電部材との間をトナーが通過する際に受けるシェアを緩和し、高耐久性の現像剤とすることができる。
【0030】
更に、脂肪族多価アルコールを主成分として用いることによりポリエステル主鎖が軟質化し、低温での定着性が改善される。さらに、定着・オフセット性能を改善する目的で、トナー中にワックスを添加することは一般的に用いられる手段であるが、脂肪族多価アルコールを用いたポリエステル樹脂では特にワックス類との相溶性が良好であり、低温での定着性能及び耐オフセット性がさらに改良される。また、脂肪族多価アルコールを主成分として用いたポリエステル樹脂は、本発明で使用する帯電制御剤を均一、且つ微細に分散することができ好ましい。
【0031】
脂肪族多価アルコールを主成分として用いた場合には、多塩基酸として、ナフタレンジカルボン酸、及び/またはジメチルナフタレート、ジエチルナフタレート、ジブチルナフタレート等を用いることが好ましい。これらの化合物は全酸成分の1モル%以上を用いることが好ましく、より好ましくは5モル%以上である。
【0032】
ナフタレン環構造を含むモノマーは樹脂のTgを上げるのに効果があり、樹脂の耐熱凝集性が向上する。特にアルコール成分として軟質の脂肪族アルコールを主体に用いた系においては、樹脂のTgの低下を抑えることができ、脂肪族アルコールを用いることによる低温定着性とナフタレンジカルボン酸による耐熱凝集性の両方を併せ持つ樹脂を得ることができる。
【0033】
ポリエステル樹脂は、例えば触媒の存在下で上記の原料成分を用いて脱水縮合反応或いはエステル交換反応を行うことにより得ることができる。この際の反応温度及び反応時間は、特に限定されるものではないが、通常150〜300℃で2〜24時間である。
【0034】
このようなポリエステル樹脂の合成は、触媒を添加して行うこともできる。使用するエステル化触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイドのごとき有機金属や、テトラブチルチタネートのごとき金属アルコキシドなどが挙げられる。また、使用するカルボン酸成分が低級アルキルエステルである場合には、エステル交換触媒を使用することができる。エステル交換触媒としては、例えば、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酢酸マグネシウムのごとき金属酢酸塩、あるいは、酸化亜鉛、酸化アンチモンのごとき金属酸化物、又は、テトラブチルチタネートのごとき金属アルコキシド、などが挙げられる。触媒の添加量については、原材料の総量に対して0.01〜1質量%の範囲とするのが好ましい。
【0035】
本発明で使用することができる着色剤としては、例えば、黒の着色剤としては製法により分類されるファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、或いは、C.I.Pigment Black 11の鉄酸化物系顔料、C.I.Pigment Black 12の鉄−チタン酸化物系顔料、フタロシアニン系のシアニンブラックBX等があげられる。また、以下に例示する有彩色の顔料を使用して有彩色のトナーとして、あるいは2種類以上の顔料を使用して黒色に調色して使用することもできる。
【0036】
本発明のトナーに使用できる青系の着色剤としては、フタロシアニン系のC.I.Pigment Blue 1,2,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,15,16,17:1,27,28,29,56,60,63等が挙げられる。青系の着色剤として、好ましくは、C.I.Pigment Blue 15:3(一般名フタロシアニンブルーG),15(フタロシアニンブルーR),16(無金属フタロシアニンブルー),60(インダンスロンブルー)が挙げられ、最も好ましくは、C.I.Pigment Blue 15:3,60が挙げられる。
【0037】
また、黄色系の着色剤としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1,3,4,5,6,12,13,14,15,16,17,18,24,55,65,73,74,81,83,87,93,94,95,97,98,100,101,104,108,109,110,113,116,117,120,123,128,129,133,138,139,147,151,153,154,155,156,168,169,170,171,172,173,180,185等が挙げられる。好ましくは、C.I.Pigment Yellow 12(一般名ジスアゾイエロー AAA),13(ジスアゾイエロー AAMX),17(ジスアゾイエロー AAOA),97(ファストイエロー FGL),110(イソインドリノンイエロー 3RLT),および155(サンドリンイエロー 4G),180(ベンズイミダゾロン)が挙げられ、最も好ましくはC.I.Pigment Yellow 17,155,180が挙げられる。
【0038】
さらに、赤色系着色剤としては、例えば、C.I.Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,12,14,15,17,18,22,23,31,37,38,41,42,48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53:1,53:3,54,57:1,58:4,60:1,63:1,63:2,64:1,65,66,67,68,81,83,88,90,90:1,112,114,115,122,123,133,144,146,147,149,150,151,166,168,170,171,172,174,175,176,177,178,179,185,187,188,189,190,193,194,202,208,209,214,216,220,221,224,242,243,243:1,245,246,247等が挙げられる。好ましくは、C.I.Pigment Red 48:1(一般名バリウムレッド),48:2(カルシウムレッド),48:3(ストロンチウムレッド),48:4(マンガンレッド),53:1(レーキレッド),57:1(ブリリアントカーミン6B),122(キナクリドンマゼンタ 122)および209(ジクロロキナクリドンレッド)が挙げられ、最も好ましくはC.I.Pigment
Red 57:1,122および209が挙げられる。
【0039】
これら着色剤の含有量は、トナー全体に対して、1〜20質量%であることが好ましい。中でも2〜15質量%であることが更に好ましく、2〜10質量%であることが特に好ましい。これらの着色剤は1種又は2種以上の組み合わせて使用することができる。
【0040】
また、本発明の非磁性一成分現像用トナーには、これまで公知の種々の離型剤、例えばポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリアミド系ワックス、フィッシャートロプシュワックス等のポリオレフィンワックス及び/又は変性ポリオレフィンワックスを用いることができるが、本発明では、特に、高級脂肪酸エステル化合物及び/又は脂肪族アルコール化合物を含有するワックス等を離型剤として用いることが好ましい。このようなワックスは本発明のポリエステル樹脂中における分散性が良く、また、離型性、摺動性が良好であり好ましい。これらのワックスをトナー中に添加する場合、同量のポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス等ポリオレフィン系ワックスと比較して、より良好な耐ホットオフセット性、定着強度が得られる。
【0041】
高級脂肪酸エステル化合物及び/又は脂肪族アルコール化合物を含有するワックスの中でも、カルナウバワックス、ライスワックス、カイガラムシワックス、モンタン系エステルワックス等の天然物に由来するワックス、合成エステル系ワックスとしてはペンタエリスリトールのテトラベヘン酸エステル、アルコール系ワックスとしてはフィッシャートロプシュワックス等を酸化して得られる高級アルコール系ワックスが特に好ましい。
【0042】
離型剤の融点(滴点、軟化温度)は、60〜180℃であることが好ましく、65〜170℃であることがより好ましい。融点が低すぎる場合、保存中に凝集しやすく、トナーの流動性も低下し易くなる。融点が高すぎる場合、画像の定着工程において溶融しにくく、十分な離型効果を発揮し難い。
【0043】
天然ワックス、合成エステルワックス、アルコール系ワックスは、構造あるいは遊離酸に起因して、カタログ値で2〜40程度の酸価を有するが、樹脂の場合と同様の理由によりこれらの値は低い方が望ましい。
【0044】
離型剤は、単独で用いても組み合わせて用いても良く、バインダー樹脂に対して0.1〜15質量部、好ましくは1〜5質量部含有させることにより良好な定着オフセット性能が得られる。0.1質量部より少ないと耐オフセット性が損なわれ易く、15質量部より多いとトナーの流動性が悪くなり易く、また、帯電部材への固着により、トナーの帯電特性に悪影響を与え易くなる。
【0045】
本発明のトナーには、トナーの流動性向上、帯電特性改良などトナーの表面改質のために種々の添加剤(外添剤と呼ぶ)を用いることができる。本発明で用いることのできる外添剤としては、例えば二酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミ、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム等の無機微粉体及びそれらをシリコーンオイル、シランカップリング剤などの疎水化処理剤で表面処理したもの、ポリスチレン、アクリル、スチレンアクリル、ポリエステル、ポリオレフィン、セルロース、ポリウレタン、ベンゾグアナミン、メラミン、ナイロン、シリコン、フェノール、フッ化ビニリデン、等の樹脂微粉体等が用いられる。
【0046】
これらの中でも各種のポリオルガノシロキサンやシランカップリング剤等で表面を疎水化処理した二酸化珪素(シリカ)が特に好適に用いることができる。そのようなものとして、例えば、次のような商品名で市販されているものがある。
【0047】
【0048】
外添剤の粒子径はトナーの直径の1/3以下であることが望ましく、特に好適には1/10以下である。また、これらの外添剤は、異なる平均粒子径の2種以上を併用してもよい。外添剤の使用割合はトナー100質量部に対して、0.05〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%である。
【0049】
本発明のトナーは、特定の製造方法によらず極めて一般的な製造方法に依って得る事ができるが、例えば樹脂と着色剤と帯電制御剤とを、樹脂の融点(軟化点)以上で溶融混練した後、粉砕し、分級することにより得ることが出来る。
【0050】
具体的には例えば、上記の樹脂と着色剤を2本ロール、3本ロール、加圧ニーダー、又は2軸押し出し機等の混練手段により混合する。この際、樹脂中に、着色剤等が均一に分散すればよく、その溶融混練の条件は特に限定されるものではないが、通常80〜180゜Cで30秒〜2時間である。着色剤は樹脂中に均一に分散するようにあらかじめフラッシング処理、あるいは樹脂と高濃度で溶融混練したマスターバッチを用いても良い。
【0051】
次いで、それを冷却後、ジェットミル等の粉砕機で微粉砕し、風力分級機等により分級するという方法が挙げられる。トナーを構成する粒子の平均粒径は、特に制限されないが、通常5〜15μmとなる様に調整される。通常、この様にして得られたトナー母体に対しては、トナー母体よりも小さい粒径の微粒子(以下、外添剤と呼ぶ)が、例えばヘンシェルミキサー等の混合機を用いて混合される。
【0052】
本発明のトナーを製造する他の方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、あるいは特開平5−66600号公報、特開平8−62891号公報等により開示されている転相乳化法等がある。転相乳化法とは、バインダー樹脂と着色剤等と有機溶剤からなる混合物に水性媒体(水または水を主成分とする液媒体)を添加することによりWater in Oilの不連続相を生成させ、さらに水を追加することで、Oil in Waterの不連続相に転相し、そして、更に水性媒体を追加することで水性媒体中に前記混合物が粒子(液滴)として浮遊する懸濁液を形成させ、その後、有機溶剤を除去することによりトナー粒子を製造する方法である。
【0053】
こうして得られた本発明の非磁性一成分現像用トナーは、公知慣用の方法で被記録媒体上に現像され定着されるが、定着方式としては、ヒートロール定着方式を採用するのが好ましい。ヒートロールとしては、トナーを溶融定着しうる温度に加熱できる円筒体の表面を、例えばシリコーン樹脂やフッ素樹脂等の離型性と耐熱性を兼備するコーティング樹脂で被覆したものが用いられる。ヒートロール定着方式では、上記した様なヒートロールを少なくとも一つ有する適当な圧力にて押圧された二つのロール間を被印刷媒体が通過することによりトナーの定着が行われる。
【0054】
本発明の非磁性一成分現像用トナーの格別顕著な技術的効果は、より高速で現像され、ヒートロール定着が行われる現像定着装置において発揮される。本発明における被記録媒体としては、公知慣用のものがいずれも使用できるが、例えば、普通紙、樹脂コート紙等の紙類、PETフィルム、OHPシート等の合成樹脂フィルムやシート等が挙げられる。
【0055】
本発明の非磁性一成分現像用トナーを用いた現像剤は、通常の非磁性一成分現像方式の現像装置で使用することができるが、特に高速処理の現像方式である6m/分以上の高速機であっても、カブリの発生が無く、均一な画像濃度において長時間の印刷が可能である。
【0056】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を用いて、本発明を更に詳細に説明する。なお、以下において、組成表内の数値は『質量部』を表わす。最初にトナーを調製するにあたって用いたバインダー樹脂の合成例を下記に示す。
【0057】
(合成例1)
ナフタレンジカルボン酸 87質量部
テレフタル酸 249質量部
ジエチレングリコール 26質量部
ネオペンチルグリコール 104質量部
エチレングリコール 50質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部
以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で10時間反応後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28−517に準じる軟化点により追跡し、軟化点が101℃に達した時反応を終了した。
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価7、DSC測定法によるガラス転移温度70℃、軟化点が102℃であった。
【0058】
(合成例2)
テレフタル酸 315質量部
ジエチレングリコール 21質量部
シクロヘキサンジメタノール 144質量部
エチレングリコール 50質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部
以上の原料を用いて合成例1と同様に反応を行った。得られた重合体は、無色の固体であり、酸価9、DSC測定法によるガラス転移温度60℃、軟化点が97℃であった。
【0059】
(合成例3)
イソフタル酸 116質量部
テレフタル酸 166質量部
無水トリメリット酸 38質量部
ジエチレングリコール 26質量部
ネオペンチルグリコール 104質量部
エチレングリコール 50質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部
以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で10時間反応後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28−517に準じる軟化点により追跡し、軟化点が140℃に達した時反応を終了した。
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価5、DSC測定法によるガラス転移温度72℃、軟化点が141℃であった。
【0060】
(合成例4)
ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 1650質量部
イソフタル酸 415質量部
テレフタル酸 415質量部
テトラブチルチタネート 6質量部
以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて230℃で24時間反応後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28−517に準じる軟化点により追跡し、軟化点が99℃に達した時反応を終了した。
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価7、DSC測定法によるガラス転移温度62℃、軟化点が103℃であった。
【0061】
(合成例5)
テレフタル酸 283質量部
ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 527質量部
無水トリメリット酸 45質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部
【0062】
以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で15時間反応後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28−517に準じる軟化点により追跡し、軟化点が133℃に達した時反応を終了した。
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価5、DSC測定法によるガラス転移温度64℃、軟化点が139℃であった。
【0063】
(合成例6)
スチレン 380質量部
ブチルメタアクリレート 120質量部
ジビニルベンゼン 5質量部
過酸化ベンゾイル 5質量部
温度計、ガラス製気流導入管、耐真空シール装置付撹拌棒及び水冷ジムロート型コンデンサーを付属した2容量の4つ口丸底フラスコに、キシレン500質量部と上記モノマー及び開始剤の全量を投入した。ガラス製気流導入管から窒素ガスを導入して反応器内を不活性雰囲気に置換した後、内容物をスライダツク付マントルヒーターにより徐々に加熱して75℃迄上昇せしめた。反応は75℃〜80℃に保ちつつ行なわれ、10〜12時間後に反応を終了せしめるべく温度を130℃迄上昇せしめて重合を完結した。次に水冷コンデンサー及びガラス製気流導入管をフラスコから取除き、かわりに減圧蒸留用のキヤピラリーとクライゼン分溜管を装着した。クライゼン分溜管には温度計と水冷リービツヒコンデンサーを連結し、コンデンサーの排出口は吸引アダプターを経てナス型フラスコへと連結せしめた。吸引アダプターと真空ポンプをマノメーター及びトラップを介して減圧用ゴム管で結び減圧蒸溜の準備を終了した。マントルヒーターを加熱し、内容物を充分に撹拌しつつ真空ポンプを作動させ20mmHg迄減圧すると液温75℃、溜出温度38℃でキシレン或は場合により未反応のモノマーが溜出を始めた。最後は液温180℃に於て0.5mmHg迄減圧して溶剤を完全に除去した。得られた重合体は高温溶融状態のうちにステンレスパンにあけ、室温迄冷却後破砕した。得られた重合体は軟化点143℃、Tg55℃であつた。
【0064】
(帯電制御剤1の合成)
ジメチルジステアリルアンモニウムクロライド15部をメタノール135部に溶解した。これに平均粒径が0.5ミクロンのベントナイト25部を加えて1時間撹拌し、濾別した。脱イオン水で繰り返し洗浄した後、60℃に保った乾燥機により減圧下で24時間乾燥し帯電制御剤1を得た。
【0065】
(帯電制御剤2の合成)
ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)の40%水溶液16部に平均粒径が0.5ミクロンのベントナイト25部を加えて1時間撹拌し、濾別した。脱イオン水で繰り返し洗浄した後、60℃に保った乾燥機により減圧下で24時間乾燥し帯電制御剤2を得た。
【0066】
(実施例1)
<トナーの製造>
・合成例1の樹脂 93質量部
・モーガルL 4質量部
(カーボンブラック;キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク製)・帯電制御剤1 1質量部
・精製カルナバワックスNo.1 2質量部
(酸価5、セラリカNODA(株)製)
をヘンシェルミキサーで混合し、2軸混練機で混練する。このようにして得た混練物を粉砕、分級して体積平均粒子径7.5μmの「トナー原体1」を得た。
【0067】
・上記「トナー原体1」 100質量部
・日本アエロジル製シリカ「R−812」 1質量部
をヘンシェルミキサーで混合の後、篩いかけをして、実施例1のトナーを得た。
【0068】
以下、実施例1と同様に表1の配合にて実施例2〜実施例9のトナー、及び比較例1〜比較例4のトナーを製造した。
【0069】
【表1】
【0070】
表中の表示は以下の通り。
モーガルL;カーボンブラック「キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク製」
T.Y.HG:TONER YELLOW HG (クラリアント製)
B.111:KET BLUE 111 (大日本インキ化学工業製)
Magenta R:Fastogen Super Magenta R
(大日本インキ化学工業製)
PETB:高級脂肪酸エステル WEP−5 (日本油脂製)
カルナバ:精製カルナバワックスNo.1(酸価5、セラリカNODA(株)製)
E−84;ジサリチル酸亜鉛錯体(オリエント化学製)
TN−105;ジルコニウム錯体系帯電制御剤(保土谷化学製)
LR−147;ジベンジル酸硼素錯体(日本カーリット製)
【0071】
<ヒートロール定着による定着・オフセットテスト>
市販の非磁性一成分現像方式のプリンターを改造したテスト機にてA−4紙サイズの未定着画像サンプルを作製し、下記仕様のヒートロール定着ユニットを用いて、下記のテスト条件にて定着開始温度、およびオフセット現象の有無を確認した。
定着開始温度を測定するため下記の式により計算される画像濃度残存比率を求めた。
【0072】
画像濃度残存比率(%)=(堅牢度試験後画像濃度/同左試験前画像濃度)×100
*画像濃度はマクベス画像濃度計RD−918にて測定した。
*堅牢度試験後画像濃度とは、学振型摩擦堅牢度試験機(荷重:200g、擦り操作:5ストローク)を用いて定着画像を擦った後の画像濃度である。
画像濃度残存比率80%以上で実用上問題ないレベルとし、その最低温度を定着開始温度とした。オフセット開始温度は定着画像サンプルを観察し、目視にてオフセット現象が認められる温度とした。結果を表2に示した。
【0073】
【表2】
【0074】
<印刷テスト>
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(リコー(株)製「イプシオカラー2000」)のカートリッジから専用トナーを抜き、洗浄したカートリッジに、表1に示した実施例及び比較例のトナーを充填し、画像濃度5%で10000枚の連続印字を行った。
【0075】
(画像濃度・地汚れ・帯電量)
印刷物の画像濃度及び地汚れは、マクベス濃度計RD−918で測定した。なお、地汚れは印刷後の白地部濃度からプリント前白紙濃度を差し引いて求めた。その差が0.01未満の時を○、0.01〜0.03未満の時を△、0.03以上の時を×とした。また、トナーの帯電量を、吸引式小型帯電量測定装置Mode210HS(トレック社製)を用いて測定した。
【0076】
(トナー落ち・トナー飛散)
10000枚印字後、カートリッジに装着された現像スリーブからトナーがこぼれ落ちたり(トナー落ち)、現像装置の周辺に飛び散って(トナー飛散)マシン内部を汚したりしない状態を○、少量のトナー落ち、あるいはトナー飛散が認められる状態を△、多量のトナー落ち、あるいはトナー飛散が認められる状態を×と判定した。以上の結果を表3に示す。
【0077】
【表3】
【0078】
【発明の効果】
本発明の非磁性一成分現像用トナーによれば、現像装置内のトナーの飛散やこぼれを低減でき、現像剤の使用初期から終了時に至るまで安定した画像を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、あるいは静電印刷法に用いる非磁性一成分現像用トナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
非磁性一成分現像方式におけるトナーの現像・印字品質は、トナー粒子の帯電立ち上がり性、帯電経時安定性、帯電量等によって大きく左右される。そこで、これらの帯電特性を制御し、常時、安定した状態で用いる目的で、トナー粒子を製造する際には正電荷又は負電荷付与性の帯電制御剤(CCA)を内添する方法が採られている。
【0003】
従来、トナーに負電荷を付与する帯電制御剤として、特公平2−16916号公報には、アゾ系金属キレート錯体が記載されている。しかしながら、アゾ系金属キレート錯体は、有色のためカラートナーには適さず、更に、トナー混練時の機械的衝撃あるいは温湿度条件によって分解もしくは変質し、帯電制御剤本来の機能が低下するという問題点があった。また、上記アゾ系キレート錯体は重金属を含有するため、安全性、環境保護という観点からも問題であった。
【0004】
一方、サリチル酸、及びその誘導体のキレート錯体、又はサリチル酸誘導体の金属塩は、特公平2−060183号公報(亜鉛錯塩系)、特公平8−010360号公報(アルミニウム錯塩系)、特開2000−227675号公報、特開2000−227676号公報、特開2000−227678号公報、特開2000−258961号公報、特開2000−258962号公報、特開2000−330338号公報(以上ジルコニウム錯塩、又はジルコニウム塩系)等に開示されている。これらはそれ自体が無色ないし淡色の化合物であり、帯電立ち上がり性、及び帯電量に優れる事からカラートナー用負帯電性帯電制御剤としてしばしば適用されているが、その反面、帯電経時安定性等に未だ課題がある。
【0005】
特に非磁性一成分現像方式を用いたプリンターの場合、トナー粒子が帯電部材と現像スリーブの間をすり抜ける事により帯電させる方式を採っているため、トナー粒子がリサイクルされて何度も摩擦を繰り返すと、それに伴いトナー粒子表面が摩耗され、同時に表面に分布する帯電制御剤(CCA)が程度の差こそあれ欠落する場合が多い。そのため、この現像方式に用いられるトナーにおいては、使用する帯電制御剤がトナー中に均一に、且つ微細に分散し、更に非磁性一成分現像方式特有の上記課題を満足する特性を有していることが重要である。
【0006】
さらに、最近においては、6m/分以上の現像速度といったように、非磁性一成分現像方式のマシンの印刷速度が上昇してきている。それに伴い、高速現像における耐摩耗性、帯電経時安定性に加えて、帯電不良あるいは逆極性に帯電するトナー粒子の発生を防止し、トナーがマシン内部へ飛散したり、現像装置からこぼれたりして、印刷時の汚れを発生させない特性が必要になってきている。しかしながら、このような要求特性を満足する帯電制御剤を使用した非磁性一成分現像用トナーは未だかつて見いだされていない。
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、連続印刷した際も安定な帯電挙動を示し、トナーがマシン内部へ飛散したり、現像装置からこぼれたりすることがなく、良好な印刷画像が得られる非磁性一成分現像用トナーを提供することにある。また、本発明の他の目的は、6m/分以上の高速の現像速度においても前記課題を満足する非磁性一成分現像用トナーを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
【0008】
即ち、本発明は上記課題を解決するために、バインダー樹脂と着色剤と帯電制御剤を含有してなるトナーにおいて、前記帯電制御剤が有機ベントナイトを含有することを特徴とする非磁性一成分現像用トナーを提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明では有機ベントナイトを含有する物質を帯電制御剤として用いる。有機ベントナイトとは、有機カチオン形成性化合物とベントナイトを主成分として製造される物質であり、ベントナイトとはSiO2とAl2O3を主とし、モンモリロン石を主成分とした層状構造を有する粘度鉱物である。このような天然の層状化合物であるベントナイトは、イオン交換などによって有機分子を層間に取り込むことができる。ベントナイトの層間には、本来、ナトリウムやカリウムなどの無機の金属カチオンが存在するが、これをイオン交換することによってアルキルアンモニウムイオンなど、有機カチオンをインターカレート(包接)し、有機物と無機物が交互に積層した複合体(層間化合物)が生じる。本発明で帯電制御剤として使用する有機ベントナイトは、ベントナイト中の無機カチオンを有機カチオン形成性化合物から生じる有機カチオンで交換したものである。
【0010】
有機ベントナイトを製造するための有機カチオン形成性化合物としては、公知の化合物を使用できる。例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラペンチルアンモニウムフルオロフォスフェート、テトラエチルアンモニウムベンゾエート、テトラエチルアンモニウムアセテート、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、トリエチルメチルアンモニウムアイオダイド、等の4級アンモニウム塩がある。
【0011】
また、イソプロピルピリジニウムクロライド、ブチルピリジニウムクロライド、ヘプチルピリジニウムクロライド、デシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、セチルピリジニウムクロライド、等のピリジウム塩がある。
【0012】
更に、ポリエチレンイミン等のポリアルキレンイミン、ポリ−(4−ビニルピリジン)、ポリアリルアミン、アミノアセチル化されたポリビニルアルコール、ポリ−(L)−リジン、キトサン、ポリピロール、あるいはジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基含有アクリレートを含有するビニルモノマーとの共重合体、等から得られるポリマ−性アンモニウム塩がある。
【0013】
有機ベントナイトを製造するための有機カチオン形成性化合物のアニオン成分としては特に限定されるものではないが、安全性あるいは環境保護という観点からは、クロム、コバルト、銅、ニッケル、モリブデン、鉛、水銀、等の重金属を含まないアニオンであることが好ましい。
【0014】
本発明で使用する有機ベントナイトを調製するための方法としては、特に限定されるものではなく、従来用いられているイオン交換操作により製造することができる。例えば、水、水と有機溶媒の混合物、あるいは有機溶媒中にベントナイトを浸漬し、これに有機カチオン形成性化合物を添加して、一定時間放置後、これを濾過洗浄し、乾燥することにより得ることができる。
【0015】
本発明で用いる帯電制御剤は、樹脂中、特にポリエステル中に均一に分散することができるので、少量で所望の帯電量を得ることができる。
【0016】
帯電制御剤の使用量としてはバインダー樹脂100質量部に対し、0.1〜10質量部の範囲であり、この範囲であると、トナー抵抗の低下もなく十分な帯電性能が得られる。より好ましくは0.3〜5質量部であり、特に、0.5〜3質量部であることが好ましい。
【0017】
なお、本発明では従来公知の帯電制御剤も併用することができる。併用することができる化合物としては、例えば正帯電制御剤としてニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、4級アンモニウム基及び/又はアミノ基を含有する樹脂等が、負帯電制御剤としてトリメチルエタン系染料、サリチル酸の金属錯塩、ベンジル酸の金属錯塩、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、金属錯塩アゾ系染料、アゾクロムコンプレックス等の重金属含有酸性染料、カリックスアレン型のフェノール系縮合物、環状ポリサッカライド、カルボキシル基及び/又はスルホニル基を含有する樹脂、等がある。本発明で用いる帯電制御剤は負帯電性帯電制御剤であるので、その他の帯電制御剤を併用する場合は負の帯電制御剤であることが好ましい。
【0018】
本発明で使用するトナーのバインダー樹脂としては、通常、トナーにおいてバインダー樹脂として用いられているもので有れば特に限定すること無く使用することができる。例えば、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレンブタジエン樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、アミド系樹脂、ポリカーボネイト樹脂、エポキシ系樹脂、並びにこれらのグラフト重合体及びそれらの混合物などを上げることができる。
【0019】
それらの中でも、帯電安定性、保存安定性、定着特性、あるいは有彩色の有機顔料等を含むカラートナー用樹脂として用いた場合の色再現性等を考慮するとポリエステル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸エステルの共重合体樹脂、エポキシ樹脂が好適に使用しうる。それらの中でも特にポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
【0020】
本発明に用いる樹脂のガラス転移温度(Tg)は50℃以上のものが好ましいが、中でも、そのTgが55℃以上のものが特に好ましい。Tgが50℃以下ではトナーが保存、運搬、あるいはマシンの現像装置内部で高温下に晒された場合にブロッキング現象(熱凝集)を生じやすい。
【0021】
また、樹脂の軟化点としては、90℃以上、中でも、90℃〜180℃の範囲のものが好ましい、より好ましくは、95℃〜160℃の範囲である。軟化点が90℃未満の場合は、トナーが凝集現象を生じやすく、保存時や印字の際にトラブルになりやすく、180℃を越える場合には定着性が悪くなることが多い。
【0022】
さらに、カラートナー用の黒トナーあるいは有彩色のトナーとして、より低温での定着性能が要求される場合には、樹脂の軟化点としては、90℃〜130℃の範囲のものが好ましい、より好ましくは、95℃〜120℃の範囲である。樹脂の酸価としては、20mgKOH/g以下であることが、トナーの耐湿性が良好となる点で好ましい。
【0023】
本発明で好適に使用しうるポリエステル樹脂は、多塩基酸及び/又は酸無水物及び/又はこれらの低級アルキルエステルから選ばれる多塩基酸化合物と多価アルコールとを脱水縮合することによって製造する。多塩基酸及び/又は酸無水物及び/又はこれらの低級アルキルエステルから選ばれる多塩基酸化合物としては、例えば無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸等のジカルボン酸又はその誘導体又はそのエステル化物が、また、例えばトリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸等の三官能以上の多価カルボン酸又はその誘導体又はそのエステル化物が挙げられる。
【0024】
また、多価アルコールとしては、以下の脂肪族多価アルコールがある。例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドランダム共重合体ジオール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック共重合体ジオール、エチレンオキサイド−テトラハイドロフラン共重合体ジオール、ポリカプロラクトンジオール等のジオールが、また、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトラオール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリメチロールベンゼン、等の三官能以上の多価アルコールが挙げられる。
【0025】
また、1分子中に2個以上のグリシジル基を有する化合物も上記のカルボン酸化合物と反応する2価以上の脂肪族アルコールとして用いることもできる。具体的には、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、等がある。
【0026】
また、芳香族多価アルコールとしては、例えばカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、等が挙げられる。更に、下記式1で表されるビスフェノール骨格を有する化合物等がある。
【0027】
【化1】
(式1)
(式中、R1及びR2は、同一又は異なってエチレン基又はプロピレン基を示し、m、nは、同一又は異なって0〜7の整数を示し、かつm+nは0〜7の整数を示す。)
【0028】
式1で表される化合物の具体的な例としては、ビスフェノールA、ポリオキシエチレン−(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.2)−ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びこれらの誘導体等が挙げられる。
【0029】
本発明においてポリエステル樹脂を用いる場合には、多価アルコールとして2価以上の脂肪族アルコールを主成分として用いることが好ましい。その場合、芳香族多価アルコールとして式1の化合物も使用することができるが、式1の化合物を使用する場合は、式1の化合物が全アルコール成分中で占める比率は40モル%以下であることが好ましく、20モル%以下であることがより好ましい。特に、好ましくは0モル%(使用しない)である。そうすることにより、ポリエステル樹脂の分子鎖がフレキシブルとなり、そのようなポリエステル樹脂を用いたトナーを非磁性一成分現像用トナーとして用いた場合、現像スリーブと帯電部材との間をトナーが通過する際に受けるシェアを緩和し、高耐久性の現像剤とすることができる。
【0030】
更に、脂肪族多価アルコールを主成分として用いることによりポリエステル主鎖が軟質化し、低温での定着性が改善される。さらに、定着・オフセット性能を改善する目的で、トナー中にワックスを添加することは一般的に用いられる手段であるが、脂肪族多価アルコールを用いたポリエステル樹脂では特にワックス類との相溶性が良好であり、低温での定着性能及び耐オフセット性がさらに改良される。また、脂肪族多価アルコールを主成分として用いたポリエステル樹脂は、本発明で使用する帯電制御剤を均一、且つ微細に分散することができ好ましい。
【0031】
脂肪族多価アルコールを主成分として用いた場合には、多塩基酸として、ナフタレンジカルボン酸、及び/またはジメチルナフタレート、ジエチルナフタレート、ジブチルナフタレート等を用いることが好ましい。これらの化合物は全酸成分の1モル%以上を用いることが好ましく、より好ましくは5モル%以上である。
【0032】
ナフタレン環構造を含むモノマーは樹脂のTgを上げるのに効果があり、樹脂の耐熱凝集性が向上する。特にアルコール成分として軟質の脂肪族アルコールを主体に用いた系においては、樹脂のTgの低下を抑えることができ、脂肪族アルコールを用いることによる低温定着性とナフタレンジカルボン酸による耐熱凝集性の両方を併せ持つ樹脂を得ることができる。
【0033】
ポリエステル樹脂は、例えば触媒の存在下で上記の原料成分を用いて脱水縮合反応或いはエステル交換反応を行うことにより得ることができる。この際の反応温度及び反応時間は、特に限定されるものではないが、通常150〜300℃で2〜24時間である。
【0034】
このようなポリエステル樹脂の合成は、触媒を添加して行うこともできる。使用するエステル化触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイドのごとき有機金属や、テトラブチルチタネートのごとき金属アルコキシドなどが挙げられる。また、使用するカルボン酸成分が低級アルキルエステルである場合には、エステル交換触媒を使用することができる。エステル交換触媒としては、例えば、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酢酸マグネシウムのごとき金属酢酸塩、あるいは、酸化亜鉛、酸化アンチモンのごとき金属酸化物、又は、テトラブチルチタネートのごとき金属アルコキシド、などが挙げられる。触媒の添加量については、原材料の総量に対して0.01〜1質量%の範囲とするのが好ましい。
【0035】
本発明で使用することができる着色剤としては、例えば、黒の着色剤としては製法により分類されるファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、或いは、C.I.Pigment Black 11の鉄酸化物系顔料、C.I.Pigment Black 12の鉄−チタン酸化物系顔料、フタロシアニン系のシアニンブラックBX等があげられる。また、以下に例示する有彩色の顔料を使用して有彩色のトナーとして、あるいは2種類以上の顔料を使用して黒色に調色して使用することもできる。
【0036】
本発明のトナーに使用できる青系の着色剤としては、フタロシアニン系のC.I.Pigment Blue 1,2,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,15,16,17:1,27,28,29,56,60,63等が挙げられる。青系の着色剤として、好ましくは、C.I.Pigment Blue 15:3(一般名フタロシアニンブルーG),15(フタロシアニンブルーR),16(無金属フタロシアニンブルー),60(インダンスロンブルー)が挙げられ、最も好ましくは、C.I.Pigment Blue 15:3,60が挙げられる。
【0037】
また、黄色系の着色剤としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1,3,4,5,6,12,13,14,15,16,17,18,24,55,65,73,74,81,83,87,93,94,95,97,98,100,101,104,108,109,110,113,116,117,120,123,128,129,133,138,139,147,151,153,154,155,156,168,169,170,171,172,173,180,185等が挙げられる。好ましくは、C.I.Pigment Yellow 12(一般名ジスアゾイエロー AAA),13(ジスアゾイエロー AAMX),17(ジスアゾイエロー AAOA),97(ファストイエロー FGL),110(イソインドリノンイエロー 3RLT),および155(サンドリンイエロー 4G),180(ベンズイミダゾロン)が挙げられ、最も好ましくはC.I.Pigment Yellow 17,155,180が挙げられる。
【0038】
さらに、赤色系着色剤としては、例えば、C.I.Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,12,14,15,17,18,22,23,31,37,38,41,42,48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53:1,53:3,54,57:1,58:4,60:1,63:1,63:2,64:1,65,66,67,68,81,83,88,90,90:1,112,114,115,122,123,133,144,146,147,149,150,151,166,168,170,171,172,174,175,176,177,178,179,185,187,188,189,190,193,194,202,208,209,214,216,220,221,224,242,243,243:1,245,246,247等が挙げられる。好ましくは、C.I.Pigment Red 48:1(一般名バリウムレッド),48:2(カルシウムレッド),48:3(ストロンチウムレッド),48:4(マンガンレッド),53:1(レーキレッド),57:1(ブリリアントカーミン6B),122(キナクリドンマゼンタ 122)および209(ジクロロキナクリドンレッド)が挙げられ、最も好ましくはC.I.Pigment
Red 57:1,122および209が挙げられる。
【0039】
これら着色剤の含有量は、トナー全体に対して、1〜20質量%であることが好ましい。中でも2〜15質量%であることが更に好ましく、2〜10質量%であることが特に好ましい。これらの着色剤は1種又は2種以上の組み合わせて使用することができる。
【0040】
また、本発明の非磁性一成分現像用トナーには、これまで公知の種々の離型剤、例えばポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリアミド系ワックス、フィッシャートロプシュワックス等のポリオレフィンワックス及び/又は変性ポリオレフィンワックスを用いることができるが、本発明では、特に、高級脂肪酸エステル化合物及び/又は脂肪族アルコール化合物を含有するワックス等を離型剤として用いることが好ましい。このようなワックスは本発明のポリエステル樹脂中における分散性が良く、また、離型性、摺動性が良好であり好ましい。これらのワックスをトナー中に添加する場合、同量のポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス等ポリオレフィン系ワックスと比較して、より良好な耐ホットオフセット性、定着強度が得られる。
【0041】
高級脂肪酸エステル化合物及び/又は脂肪族アルコール化合物を含有するワックスの中でも、カルナウバワックス、ライスワックス、カイガラムシワックス、モンタン系エステルワックス等の天然物に由来するワックス、合成エステル系ワックスとしてはペンタエリスリトールのテトラベヘン酸エステル、アルコール系ワックスとしてはフィッシャートロプシュワックス等を酸化して得られる高級アルコール系ワックスが特に好ましい。
【0042】
離型剤の融点(滴点、軟化温度)は、60〜180℃であることが好ましく、65〜170℃であることがより好ましい。融点が低すぎる場合、保存中に凝集しやすく、トナーの流動性も低下し易くなる。融点が高すぎる場合、画像の定着工程において溶融しにくく、十分な離型効果を発揮し難い。
【0043】
天然ワックス、合成エステルワックス、アルコール系ワックスは、構造あるいは遊離酸に起因して、カタログ値で2〜40程度の酸価を有するが、樹脂の場合と同様の理由によりこれらの値は低い方が望ましい。
【0044】
離型剤は、単独で用いても組み合わせて用いても良く、バインダー樹脂に対して0.1〜15質量部、好ましくは1〜5質量部含有させることにより良好な定着オフセット性能が得られる。0.1質量部より少ないと耐オフセット性が損なわれ易く、15質量部より多いとトナーの流動性が悪くなり易く、また、帯電部材への固着により、トナーの帯電特性に悪影響を与え易くなる。
【0045】
本発明のトナーには、トナーの流動性向上、帯電特性改良などトナーの表面改質のために種々の添加剤(外添剤と呼ぶ)を用いることができる。本発明で用いることのできる外添剤としては、例えば二酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミ、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム等の無機微粉体及びそれらをシリコーンオイル、シランカップリング剤などの疎水化処理剤で表面処理したもの、ポリスチレン、アクリル、スチレンアクリル、ポリエステル、ポリオレフィン、セルロース、ポリウレタン、ベンゾグアナミン、メラミン、ナイロン、シリコン、フェノール、フッ化ビニリデン、等の樹脂微粉体等が用いられる。
【0046】
これらの中でも各種のポリオルガノシロキサンやシランカップリング剤等で表面を疎水化処理した二酸化珪素(シリカ)が特に好適に用いることができる。そのようなものとして、例えば、次のような商品名で市販されているものがある。
【0047】
【0048】
外添剤の粒子径はトナーの直径の1/3以下であることが望ましく、特に好適には1/10以下である。また、これらの外添剤は、異なる平均粒子径の2種以上を併用してもよい。外添剤の使用割合はトナー100質量部に対して、0.05〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%である。
【0049】
本発明のトナーは、特定の製造方法によらず極めて一般的な製造方法に依って得る事ができるが、例えば樹脂と着色剤と帯電制御剤とを、樹脂の融点(軟化点)以上で溶融混練した後、粉砕し、分級することにより得ることが出来る。
【0050】
具体的には例えば、上記の樹脂と着色剤を2本ロール、3本ロール、加圧ニーダー、又は2軸押し出し機等の混練手段により混合する。この際、樹脂中に、着色剤等が均一に分散すればよく、その溶融混練の条件は特に限定されるものではないが、通常80〜180゜Cで30秒〜2時間である。着色剤は樹脂中に均一に分散するようにあらかじめフラッシング処理、あるいは樹脂と高濃度で溶融混練したマスターバッチを用いても良い。
【0051】
次いで、それを冷却後、ジェットミル等の粉砕機で微粉砕し、風力分級機等により分級するという方法が挙げられる。トナーを構成する粒子の平均粒径は、特に制限されないが、通常5〜15μmとなる様に調整される。通常、この様にして得られたトナー母体に対しては、トナー母体よりも小さい粒径の微粒子(以下、外添剤と呼ぶ)が、例えばヘンシェルミキサー等の混合機を用いて混合される。
【0052】
本発明のトナーを製造する他の方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、あるいは特開平5−66600号公報、特開平8−62891号公報等により開示されている転相乳化法等がある。転相乳化法とは、バインダー樹脂と着色剤等と有機溶剤からなる混合物に水性媒体(水または水を主成分とする液媒体)を添加することによりWater in Oilの不連続相を生成させ、さらに水を追加することで、Oil in Waterの不連続相に転相し、そして、更に水性媒体を追加することで水性媒体中に前記混合物が粒子(液滴)として浮遊する懸濁液を形成させ、その後、有機溶剤を除去することによりトナー粒子を製造する方法である。
【0053】
こうして得られた本発明の非磁性一成分現像用トナーは、公知慣用の方法で被記録媒体上に現像され定着されるが、定着方式としては、ヒートロール定着方式を採用するのが好ましい。ヒートロールとしては、トナーを溶融定着しうる温度に加熱できる円筒体の表面を、例えばシリコーン樹脂やフッ素樹脂等の離型性と耐熱性を兼備するコーティング樹脂で被覆したものが用いられる。ヒートロール定着方式では、上記した様なヒートロールを少なくとも一つ有する適当な圧力にて押圧された二つのロール間を被印刷媒体が通過することによりトナーの定着が行われる。
【0054】
本発明の非磁性一成分現像用トナーの格別顕著な技術的効果は、より高速で現像され、ヒートロール定着が行われる現像定着装置において発揮される。本発明における被記録媒体としては、公知慣用のものがいずれも使用できるが、例えば、普通紙、樹脂コート紙等の紙類、PETフィルム、OHPシート等の合成樹脂フィルムやシート等が挙げられる。
【0055】
本発明の非磁性一成分現像用トナーを用いた現像剤は、通常の非磁性一成分現像方式の現像装置で使用することができるが、特に高速処理の現像方式である6m/分以上の高速機であっても、カブリの発生が無く、均一な画像濃度において長時間の印刷が可能である。
【0056】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を用いて、本発明を更に詳細に説明する。なお、以下において、組成表内の数値は『質量部』を表わす。最初にトナーを調製するにあたって用いたバインダー樹脂の合成例を下記に示す。
【0057】
(合成例1)
ナフタレンジカルボン酸 87質量部
テレフタル酸 249質量部
ジエチレングリコール 26質量部
ネオペンチルグリコール 104質量部
エチレングリコール 50質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部
以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で10時間反応後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28−517に準じる軟化点により追跡し、軟化点が101℃に達した時反応を終了した。
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価7、DSC測定法によるガラス転移温度70℃、軟化点が102℃であった。
【0058】
(合成例2)
テレフタル酸 315質量部
ジエチレングリコール 21質量部
シクロヘキサンジメタノール 144質量部
エチレングリコール 50質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部
以上の原料を用いて合成例1と同様に反応を行った。得られた重合体は、無色の固体であり、酸価9、DSC測定法によるガラス転移温度60℃、軟化点が97℃であった。
【0059】
(合成例3)
イソフタル酸 116質量部
テレフタル酸 166質量部
無水トリメリット酸 38質量部
ジエチレングリコール 26質量部
ネオペンチルグリコール 104質量部
エチレングリコール 50質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部
以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で10時間反応後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28−517に準じる軟化点により追跡し、軟化点が140℃に達した時反応を終了した。
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価5、DSC測定法によるガラス転移温度72℃、軟化点が141℃であった。
【0060】
(合成例4)
ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 1650質量部
イソフタル酸 415質量部
テレフタル酸 415質量部
テトラブチルチタネート 6質量部
以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて230℃で24時間反応後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28−517に準じる軟化点により追跡し、軟化点が99℃に達した時反応を終了した。
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価7、DSC測定法によるガラス転移温度62℃、軟化点が103℃であった。
【0061】
(合成例5)
テレフタル酸 283質量部
ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 527質量部
無水トリメリット酸 45質量部
テトラブチルチタネート 2.5質量部
【0062】
以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で15時間反応後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28−517に準じる軟化点により追跡し、軟化点が133℃に達した時反応を終了した。
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価5、DSC測定法によるガラス転移温度64℃、軟化点が139℃であった。
【0063】
(合成例6)
スチレン 380質量部
ブチルメタアクリレート 120質量部
ジビニルベンゼン 5質量部
過酸化ベンゾイル 5質量部
温度計、ガラス製気流導入管、耐真空シール装置付撹拌棒及び水冷ジムロート型コンデンサーを付属した2容量の4つ口丸底フラスコに、キシレン500質量部と上記モノマー及び開始剤の全量を投入した。ガラス製気流導入管から窒素ガスを導入して反応器内を不活性雰囲気に置換した後、内容物をスライダツク付マントルヒーターにより徐々に加熱して75℃迄上昇せしめた。反応は75℃〜80℃に保ちつつ行なわれ、10〜12時間後に反応を終了せしめるべく温度を130℃迄上昇せしめて重合を完結した。次に水冷コンデンサー及びガラス製気流導入管をフラスコから取除き、かわりに減圧蒸留用のキヤピラリーとクライゼン分溜管を装着した。クライゼン分溜管には温度計と水冷リービツヒコンデンサーを連結し、コンデンサーの排出口は吸引アダプターを経てナス型フラスコへと連結せしめた。吸引アダプターと真空ポンプをマノメーター及びトラップを介して減圧用ゴム管で結び減圧蒸溜の準備を終了した。マントルヒーターを加熱し、内容物を充分に撹拌しつつ真空ポンプを作動させ20mmHg迄減圧すると液温75℃、溜出温度38℃でキシレン或は場合により未反応のモノマーが溜出を始めた。最後は液温180℃に於て0.5mmHg迄減圧して溶剤を完全に除去した。得られた重合体は高温溶融状態のうちにステンレスパンにあけ、室温迄冷却後破砕した。得られた重合体は軟化点143℃、Tg55℃であつた。
【0064】
(帯電制御剤1の合成)
ジメチルジステアリルアンモニウムクロライド15部をメタノール135部に溶解した。これに平均粒径が0.5ミクロンのベントナイト25部を加えて1時間撹拌し、濾別した。脱イオン水で繰り返し洗浄した後、60℃に保った乾燥機により減圧下で24時間乾燥し帯電制御剤1を得た。
【0065】
(帯電制御剤2の合成)
ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)の40%水溶液16部に平均粒径が0.5ミクロンのベントナイト25部を加えて1時間撹拌し、濾別した。脱イオン水で繰り返し洗浄した後、60℃に保った乾燥機により減圧下で24時間乾燥し帯電制御剤2を得た。
【0066】
(実施例1)
<トナーの製造>
・合成例1の樹脂 93質量部
・モーガルL 4質量部
(カーボンブラック;キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク製)・帯電制御剤1 1質量部
・精製カルナバワックスNo.1 2質量部
(酸価5、セラリカNODA(株)製)
をヘンシェルミキサーで混合し、2軸混練機で混練する。このようにして得た混練物を粉砕、分級して体積平均粒子径7.5μmの「トナー原体1」を得た。
【0067】
・上記「トナー原体1」 100質量部
・日本アエロジル製シリカ「R−812」 1質量部
をヘンシェルミキサーで混合の後、篩いかけをして、実施例1のトナーを得た。
【0068】
以下、実施例1と同様に表1の配合にて実施例2〜実施例9のトナー、及び比較例1〜比較例4のトナーを製造した。
【0069】
【表1】
【0070】
表中の表示は以下の通り。
モーガルL;カーボンブラック「キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク製」
T.Y.HG:TONER YELLOW HG (クラリアント製)
B.111:KET BLUE 111 (大日本インキ化学工業製)
Magenta R:Fastogen Super Magenta R
(大日本インキ化学工業製)
PETB:高級脂肪酸エステル WEP−5 (日本油脂製)
カルナバ:精製カルナバワックスNo.1(酸価5、セラリカNODA(株)製)
E−84;ジサリチル酸亜鉛錯体(オリエント化学製)
TN−105;ジルコニウム錯体系帯電制御剤(保土谷化学製)
LR−147;ジベンジル酸硼素錯体(日本カーリット製)
【0071】
<ヒートロール定着による定着・オフセットテスト>
市販の非磁性一成分現像方式のプリンターを改造したテスト機にてA−4紙サイズの未定着画像サンプルを作製し、下記仕様のヒートロール定着ユニットを用いて、下記のテスト条件にて定着開始温度、およびオフセット現象の有無を確認した。
定着開始温度を測定するため下記の式により計算される画像濃度残存比率を求めた。
【0072】
画像濃度残存比率(%)=(堅牢度試験後画像濃度/同左試験前画像濃度)×100
*画像濃度はマクベス画像濃度計RD−918にて測定した。
*堅牢度試験後画像濃度とは、学振型摩擦堅牢度試験機(荷重:200g、擦り操作:5ストローク)を用いて定着画像を擦った後の画像濃度である。
画像濃度残存比率80%以上で実用上問題ないレベルとし、その最低温度を定着開始温度とした。オフセット開始温度は定着画像サンプルを観察し、目視にてオフセット現象が認められる温度とした。結果を表2に示した。
【0073】
【表2】
【0074】
<印刷テスト>
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(リコー(株)製「イプシオカラー2000」)のカートリッジから専用トナーを抜き、洗浄したカートリッジに、表1に示した実施例及び比較例のトナーを充填し、画像濃度5%で10000枚の連続印字を行った。
【0075】
(画像濃度・地汚れ・帯電量)
印刷物の画像濃度及び地汚れは、マクベス濃度計RD−918で測定した。なお、地汚れは印刷後の白地部濃度からプリント前白紙濃度を差し引いて求めた。その差が0.01未満の時を○、0.01〜0.03未満の時を△、0.03以上の時を×とした。また、トナーの帯電量を、吸引式小型帯電量測定装置Mode210HS(トレック社製)を用いて測定した。
【0076】
(トナー落ち・トナー飛散)
10000枚印字後、カートリッジに装着された現像スリーブからトナーがこぼれ落ちたり(トナー落ち)、現像装置の周辺に飛び散って(トナー飛散)マシン内部を汚したりしない状態を○、少量のトナー落ち、あるいはトナー飛散が認められる状態を△、多量のトナー落ち、あるいはトナー飛散が認められる状態を×と判定した。以上の結果を表3に示す。
【0077】
【表3】
【0078】
【発明の効果】
本発明の非磁性一成分現像用トナーによれば、現像装置内のトナーの飛散やこぼれを低減でき、現像剤の使用初期から終了時に至るまで安定した画像を得ることができる。
Claims (4)
- バインダー樹脂と着色剤と帯電制御剤を含有してなるトナーにおいて、前記帯電制御剤が有機ベントナイトを含有することを特徴とする非磁性一成分現像用トナー。
- 前記バインダー樹脂が、
(A)2価以上の多塩基酸及び/又は酸無水物及び/又はこれらの低級アルキルエステルから選ばれる多塩基酸化合物と
(B)2価以上の脂肪族多価アルコール
を主成分として反応させたポリエステル樹脂である非磁性一成分現像用トナー。 - 前記多塩基酸化合物が、ナフタレンジカルボン酸及び/またはその酸無水物、及び/またはその低級アルキルエステルを含有する請求項2記載の非磁性一成分現像用トナー。
- 更に離型剤として高級脂肪酸エステル化合物及び/又は脂肪族アルコール化合物を含有するワックスを含む請求項1、2又は3のいずれか1項に記載の非磁性一成分現像用トナー。
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