JP2004011556A - タービン型燃料ポンプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃料通路15の流路横断面積Sを、インペラ外周流路断面積SAとインペラ側方流路断面積SB1,SB2との合計面積(S=SA+SB1+SB2)により求める。また、燃料通路15の流路代表寸法Rmは、インペラ20の羽根高さH、羽根幅Tと横断面積Sに対して、Rm=S/(2×H+T)なる式で求める。そして、流路17,18の輪郭線(点A,B,C,D,Eを繋ぐ円弧状の輪郭線)で定められる燃料通路15の壁面輪郭長さLpと、流路代表寸法Rmとの寸法比(Lp/Rm)が、11〜16、好ましくは12〜15の数値範囲となるように燃料通路15の流路形状を設計する。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両用エンジンの噴射弁等に向けて燃料を供給するのに好適に用いられるタービン型燃料ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、乗用車等の車両には、エンジンに燃料を供給するための電子制御式燃料噴射装置が搭載され、この燃料噴射装置は、エンジンの燃焼室に向けて燃料を噴射させる噴射弁と、車両の後部側等に設けた燃料タンク内の燃料を前記噴射弁に向けて吐出供給する燃料ポンプ等とにより構成されている。
【0003】
そして、この種の従来技術による燃料ポンプとしては、電動モータを収容する筒状のケーシングと、該ケーシングの一端側に設けられた上カバーと、該上カバーとの間で前記電動モータを支持するように前記ケーシングの他端側に設けられ燃料の吸込口と吐出口との間に環状の燃料通路を有するポンプハウジングと、該ポンプハウジング内に設けられ前記電動モータにより回転駆動されるインペラとを備えてなるタービン型燃料ポンプが知られている(例えば、特開昭60−47894号公報等)。
【0004】
この場合、前記インペラの外周側には多数の羽根が列設されている。そして、前記ポンプハウジング内の燃料通路は、インペラが前記電動モータによって回転される間に前記吸込口から吸込んだ燃料を前記吐出口に向けて流通させる。また、この燃料通路は、後述の数2式によって求められる流路代表寸法Rmが、例えば0.4〜2.0mmの数値範囲内となるように流路形状を形成することにより、燃料ポンプの性能(例えば、ポンプ効率等)を向上させる構成としているものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術のタービン型燃料ポンプは、ポンプ効率等を向上するために、流路代表寸法Rmが、0.4〜2.0mmの範囲内となるようにポンプハウジング内の燃料通路を形成する構成としている。
【0006】
しかし、実際のタービン型燃料ポンプにあっては、その流路代表寸法Rmが、0.4〜2.0mmの範囲内となるように燃料通路の流路形状を形成するだけでは、必ずしもポンプ効率等を高めることができないという問題がある。
【0007】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、燃料通路の流路形状を決める上で当該流路の輪郭長さ等を勘案して流路形状を設計することにより、ポンプ効率等を向上できるようにしたタービン型燃料ポンプを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、ポンプハウジング内の燃料通路を、インペラを外側から取囲む流路の横断面積Sをもって形成し、かつ該燃料通路は、前記インペラの羽根高さH、羽根幅Tと前記流路の横断面積Sに対し、Rm=S/(2×H+T)なる式で定められる流路代表寸法Rmを有し、前記流路横断面の輪郭線のうち、流路壁面が形成する壁面輪郭長さLpは、前記流路代表寸法Rmに対する寸法比(Lp/Rm)を、(Lp/Rm)=11〜16なる数値範囲内に設定する構成としたことにある。
【0009】
このように構成することにより、燃料通路の流路形状を決定する上で、その流路代表寸法Rmだけでなく前記流路壁面が形成する壁面輪郭長さLpを考慮に入れ、両者の寸法比(Lp/Rm)が、11〜16なる数値範囲内となるように燃料通路の流路形状を形成することができ、タービン型燃料ポンプのポンプ効率等を確実に高めることができる。
【0010】
また、請求項2の発明は、寸法比(Lp/Rm)を、(Lp/Rm)=12〜15なる数値範囲内に設定する構成としている。これによって、タービン型燃料ポンプのポンプ効率等をより一層向上することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態によるタービン型燃料ポンプを、添付図面の図1ないし図7に従って詳細に説明する。
【0012】
ここで、図1ないし図5は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は燃料ポンプの外殻となる筒状のケーシングで、該ケーシング1は、金属製のパイプ材等を用いて形成され、その軸方向両端側は後述の吐出カバー2とポンプハウジング9とにより閉塞されている。
【0013】
2はケーシング1の一端側に設けられた有蓋筒状の吐出カバ−で、該吐出カバー2には、図1に示す如く吐出ポート2A、コネクタ部2Bがそれぞれ上向きに突出して設けられ、吐出カバー2の中心側には下向きに延びる軸受筒2Cが設けられている。
【0014】
3は吐出ポ−ト2A内に設けられた残圧保持用のチェック弁で、該チェック弁3は、後述する電動モータ7の回転時にケーシング1内を流通する燃料により開弁され、この燃料が吐出ポート2Aから外部の燃料配管(図示せず)内に向けて吐出されるのを許す。そして、チェック弁3は、電動モータ7の停止時には閉弁し、前記燃料配管内の燃料がケーシング1内を戻るのを阻止することにより、この燃料配管内を所定の残圧状態に保持するものである。
【0015】
4は吐出カバー2の軸受筒2C内に嵌合して設けられた軸受としてのブッシュで、該ブッシュ4は、後述の回転軸6をポンプハウジング9側のブッシュ5と共に回転可能に支持するものである。
【0016】
5はブッシュ4との間で回転軸6を回転可能に支持するためポンプハウジング9側に設けられた他の軸受としてのブッシュで、該ブッシュ5は、後述する内側ハウジング12の段付穴12E内に嵌合固着され、その内周側には回転軸6が摺動可能に挿嵌されている。
【0017】
6は吐出カバー2とポンプハウジング9との間にブッシュ4,5を介して軸支された回転軸で、該回転軸6は、ケーシング1内を図2に示す軸線O−Oに沿って軸方向に伸長し、後述する電動モータ7の回転子7B等をケーシング1内で回転可能に支持するものである。
【0018】
ここで、回転軸6の一端(上端)側は、図1に示すように吐出カバー2の軸受筒2C内に挿入され、軸受筒2C内のブッシュ4により回転可能に支持されている。また、回転軸6の下端側は、ブッシュ5を介してポンプハウジング9内へと突出し、この突出端側には図3に示す如く後述のインペラ20に廻止め状態で嵌合する面取り部6Aが形成されている。
【0019】
7はケーシング1内に収容された電動モータで、該電動モータ7は、吐出カバー2とポンプハウジング9との間に位置してケーシング1内に嵌合して設けられ永久磁石からなる固定子(図示せず)を支持した筒状のヨーク7Aと、該ヨーク7Aの内側に隙間をもって挿入され、回転軸6に一体回転するように取付けられた回転子7Bおよびコンミテ−タ7Cと、該コンミテータ7Cに摺接する一対のブラシ(図示せず)等とにより構成されている。
【0020】
そして、電動モータ7は、吐出カバー2のコネクタ部2Bに外部から通電すると、前記ブラシ、コンミテータ7Cを介して回転子7Bに電流が供給されることより、該回転子7Bが回転軸6と一体に回転し、これによって後述のインペラ20を回転駆動するものである。
【0021】
8は電動モータ7のヨーク7Aと回転子7Bとの間に形成された燃料の通路部で、該通路部8は、後述するポンプハウジング9の吐出口14からケーシング1内に吐出された燃料を、ヨーク7Aと回転子7Bとの隙間等を介して吐出カバー2側へと流通させるものである。
【0022】
9はケーシング1の他端(下端)側に設けられたポンプハウジングで、該ポンプハウジング9は、後述の外側ハウジング10と内側ハウジング12とからなる2つのハウジング部材を上,下方向で衝合することにより構成され、ポンプハウジング9内には後述のインペラ20が回転可能に設けられている。
【0023】
10はポンプハウジング9のハウジング部材を構成する外側ハウジングで、該外側ハウジング10は、図1、図2に示すようにケーシング1の下端側にカシメ等の手段を用いて嵌合状態で取付けられ、ケーシング1を外側から閉塞するものである。そして、外側ハウジング10は、アルミニウム等の金属材料によりアルミダイキャスト等の手段を用いて成形され、燃料の吸込口11が一体形成されている。
【0024】
また、外側ハウジング10には、その中心側に円形状の凹窪部10Aが形成され、インペラ20の外周側となる位置には、図2に示す軸線O−Oを中心として周方向に延びる断面略半円形の円弧溝10Bが形成されている。そして、該円弧溝10Bは、後述する内側ハウジング12の周壁溝12Dと共に後述の流路18を形成し、図3に示す角度θの範囲にわたって周方向に延びているものである。
【0025】
12は外側ハウジング10と共にポンプハウジング9を構成するハウジング部材としての内側ハウジングで、該内側ハウジング12は、外側ハウジング10と同様にアルミダイキャスト等の手段を用いて成形され、外側ハウジング10に衝合した状態でケーシング1内に嵌合して取付けられるものである。
【0026】
そして、内側ハウジング12は、図2ないし図4に示す如く筒状の周壁となる筒部12Aと、該筒部12Aを上側から覆う蓋部12Bとにより扁平な有蓋筒状体として形成され、筒部12Aの内周側は、外側ハウジング10との衝合面12C側に開口する円形状のインペラ収容凹部13となっている。
【0027】
また、内側ハウジング12の筒部12Aには、後述する環状突出部16の下側に位置して円弧状の周壁溝12Dが形成され、該周壁溝12Dは、外側ハウジング10の円弧溝10Bと共に下側の流路18を形成するものである。
【0028】
一方、内側ハウジング12の蓋部12Bには、その中心側にブッシュ5が嵌合して固着される段付穴12Eが形成され、外周側には図2中に二点鎖線で示す吐出口14が上,下に延びるように穿設されている。
【0029】
15はインペラ収容凹部13の外周側に位置してポンプハウジング9内に形成された環状の燃料通路で、該燃料通路15は、図3に示す如く軸心Oを中心として周方向に略C字状に延び、後述の環状突出部16により上,下に分割された2つの流路17,18を含んで構成されるものである。
【0030】
そして、燃料通路15は、その始端側が吸込口11に連通し、終端側は吐出口14に連通している。また、燃料通路15の始端側は、図3に示す如く内側ハウジング12の筒部12Aおよび蓋部12Bを部分的に切欠くように形成された吸込通路部15Aとなり、該吸込通路部15Aは、吸込口11から吸込まれる燃料を燃料通路15内に円滑に導くものである。
【0031】
16は内側ハウジング12の筒部12Aに設けられた環状突出部で、該環状突出部16は、図2に示すように内側ハウジング12の筒部12Aからインペラ20の外周に向けて径方向内側へと山形状に突出し、燃料通路15をインペラ20の軸方向で上,下2つの流路17,18に分割するものである。
【0032】
ここで、上側(奥所側)の流路17は、内側ハウジング12の筒部12Aと蓋部12Bとの間に位置する奥所側角隅にフライス加工等を施すことにより、軸線O−Oに対し所定の角度分だけ斜めに傾いた断面U字状または断面円弧状の凹溝として形成されている。また、下側(衝合側)の流路18は、外側ハウジング10の円弧溝10Bと内側ハウジング12の周壁溝12Dとにより形成されている。
【0033】
そして、環状突出部16は、これらの流路17,18と共に図3に示す角度θ(例えば、θ=250〜270度)の範囲にわたってインペラ20の周方向に延び、燃料通路15内を吸込口11から吐出口14に向けて流れる燃料に澱み等が発生するのを抑えるものである。
【0034】
また、燃料通路15の流路17,18による横断面積、即ちインペラ20を外側から取囲む流路の横断面積Sは、図4中に斜線で示すインペラ外周流路断面積SAと、インペラ側方流路断面積SB1,SB2との合計面積として下記の数1式により求められる。
【0035】
【数1】
S=SA+SB1+SB2
【0036】
そして、燃料通路15の流路代表寸法Rmは、図4に示すようにインペラ20の羽根高さH、羽根幅Tと流路17,18の横断面積Sに対して、下記の数2式により求められる。
【0037】
【数2】
Rm=S/(2×H+T)
【0038】
また、流路17,18の横断面の輪郭線のうち、流路17,18の壁面が形成する壁面輪郭長さLp(即ち、図4中の点A,B,C,D,Eを繋ぐ円弧状の輪郭線の長さで定められる燃料通路15の壁面輪郭長さLp)は、前記流路代表寸法Rmに対する寸法比(Lp/Rm)が下記の数3式、好ましくは下記の数4式を満たすように、燃料通路15の流路形状(流路17,18の輪郭形状)は形成されている。
【0039】
【数3】
(Lp/Rm)=11〜16
【0040】
【数4】
(Lp/Rm)=12〜15
【0041】
19は内側ハウジング12の筒部12A側に設けられたシール隔壁で、該シール隔壁19は、図3に示す如く内側ハウジング12の筒部12Aからインペラ20の外周に近接する位置まで突出する円弧状凸部として形成されている。そして、シール隔壁19は、吸込口11と吐出口14との間でインペラ20の外周側をシールし、吸込口11から吸込んだ燃料が燃料通路15に沿って流れるのを補償するものである。
【0042】
20はポンプハウジング9のインペラ収容凹部13内に回転可能に設けられたインペラで、該インペラ20は、例えば強化プラスチック材料によって略円板状に形成され、その外周側には多数の羽根20A,20A,…が列設されている。この場合、インペラ20の各羽根20Aは、図4に示すように羽根高さH、羽根幅Tを有している。
【0043】
そして、インペラ20の外周側には、各羽根20A間に上,下の円弧状凹部20B,20Bがそれぞれ設けられ、これらの円弧状凹部20Bは、ポンプハウジング9内の流路17,18にほぼ対応する曲率をもって形成されている。また、インペラ20の中心側には、図3に示す如く回転軸6用の嵌合穴20Cと、該嵌合穴20Cの外側に位置する例えば3個の透孔20D,20D,…とが穿設されている。
【0044】
ここで、インペラ20は、インペラ収容凹部13内で外側ハウジング10の上面と内側ハウジング12の蓋部12B下面との間に上,下面がフローティングシールされ、この状態で回転軸6と一体に電動モータ7により回転駆動されるものである。また、インペラ20の各透孔20Dは、外側ハウジング10の凹窪部10Aと内側ハウジング12の段付穴12E側との間で燃料圧力等を均一化する機能を有している。
【0045】
なお、21は外側ハウジング10の凹窪部10Aの底部側に設けられたスラスト受けで、該スラスト受け21は、回転軸6に作用するスラスト荷重を下側から支承し、回転軸6を回転可能に支持するものである。
【0046】
本実施の形態によるタービン型燃料ポンプは上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
【0047】
まず、吐出カバー2のコネクタ部2Bを通じて外部から給電を行うと、電動モータ7の回転子7Bに駆動電流が供給されることにより、回転子7Bが回転軸6と一体に回転し、ポンプハウジング9内でインペラ20を回転駆動する。そして、インペラ20の回転により、燃料タンク(図示せず)内の燃料が吸込口11から燃料通路15へと吸込まれ、この燃料はインペラ20の各羽根20Aにより燃料通路15に沿って圧送されつつ、吐出口14からケーシング1内に吐出される。
【0048】
このように、ケーシング1内に流れた燃料は、該ケーシング1内を電動モータ7の通路部8を介して吐出カバー2側に向け流通し、吐出ポ−ト2A内のチェック弁3を開弁させつつ、この吐出ポート2Aから外部の燃料配管を介してエンジン本体側の噴射弁(いずれも図示せず)側へと、例えば吐出圧力が200〜500kPa(キロパスカル)、吐出流量が30〜200L/h(リットル/時)で吐出供給されるものである。
【0049】
この場合、ポンプハウジング9内の燃料通路15は、環状突出部16によって上,下の2つの流路17,18に分割されているので、燃料通路15内を吸込口11から吐出口14に向けて流れる燃料に澱み等が発生するのを抑え、それぞれの流路17,18内での燃料の流れを円滑にできると共に、燃料の吐出効率等を向上することができる。
【0050】
しかし、環状突出部16は内側ハウジング12の筒部12Aから径方向内向きに突出し、その奥所側には上側の流路17を形成する構成であるため、内側ハウジング12をアルミダイキャスト等の鋳造手段を用いて成形するときに、成型用の金型(図示せず)を上,下に型抜きしようとしても、流路17に対応する箇所は、環状突出部16が邪魔になって型抜きができないことになる。
【0051】
一方、外側ハウジング10については、凹窪部10A、円弧溝10Bおよび吸込口11が形成されているだけであるから、外側ハウジング10をアルミダイキャスト等の鋳造手段を用いて成形するときに、成型用の金型(図示せず)を上,下に型抜きすることは容易である。
【0052】
これに対し、例えば特開昭59−141795号公報等に記載の従来技術は、ポンプハウジングを外側ハウジング、内側ハウジングおよび環状のスペーサリングからなる3部材により構成し、スペーサリングの内周側に環状突出部を設けることにより、これらの3部材をアルミダイキャスト等の手段で成形できるようにしている。
【0053】
しかし、この従来技術の場合は、ポンプハウジングを3部材で構成しているため、組立作業に手間がかかる上に、これらの3部材を組立てるときに、各部材毎の寸法交差や寸法誤差等が相乗されることにより、インペラの径方向および軸方向のクリアランスにバラツキが生じる等の問題が起きている。
【0054】
そこで、本実施の形態にあっては、内側ハウジング12の成形、加工作業を下記のように2段階で行うことにより、ポンプハウジング9を外側ハウジング10と内側ハウジング12との2部材から構成し、内側ハウジング12の筒部12Aには径方向内向きに突出する環状突出部16を形成でき、その奥所側には上側の流路17を形成できるようにしている。
【0055】
即ち、内側ハウジング12の製造工程を、アルミダイキャスト等による成形工程と、その後にフライス盤等を用いて流路17を切削または研削加工する流路形成工程との2段階に分けて行う構成としている。
【0056】
これによって、ポンプハウジング9を外側ハウジング10と内側ハウジング12との2部材により構成でき、成形工程の後に行う流路形成工程において、内側ハウジング12の筒部12Aには径方向内向きに突出する環状突出部16を形成できると共に、その奥所側には上側の流路17を形成することができる。
【0057】
また、本発明者等は、燃料通路15の流路形状について鋭意研究した結果、前記数2式による流路代表寸法Rmと燃料通路15の壁面輪郭長さLpとの寸法比(Lp/Rm)を、前記数3式、好ましくは前記数4式を満たすように流路形状を形成することにより、図5に示す特性線22,23,24の如くポンプ効率ηを高め得ることを確認した。
【0058】
ここで、図5は、吐出圧力が300kPaで、吐出流量が80L/hにおけるポンプ効率ηを示したもので、特性線22は、流路17,18の横断面積Sが、例えば4.7mm2の場合を示し、特性線23は横断面積Sが、例えば5.3mm2の場合を示し、特性線24は横断面積S、例えば5.9mm2の場合を示しているものである。
【0059】
そして、図5中に示す特性線22,23,24のいずれの場合においても、前記寸法比(Lp/Rm)を、11〜16の数値範囲α、好ましくは12〜15の数値範囲βに設定することにより、ポンプ効率ηを良好に向上できることが確認されている。
【0060】
従って、本実施の形態によれば、燃料通路15の壁面輪郭長さLpと流路代表寸法Rmとの寸法比(Lp/Rm)を、前述した数3式、数4式に示すように、11〜16の数値範囲α、好ましくは12〜15の数値範囲βに設定することによって、タービン型燃料ポンプのポンプ効率ηを確実に高めることができる。
【0061】
また、ポンプハウジング9を外側ハウジング10と内側ハウジング12との2部材で構成することにより、従来技術に比較して部品点数を削減することができ、組立時の作業性を確実に向上できると共に、ポンプハウジング9内での燃料の流れを円滑化でき、これによってもポンプ効率を高めることができる。
【0062】
また、外側ハウジング10と内側ハウジング12との2部材からなるポンプハウジング9は、内部の燃料通路15とインペラ20との径方向、軸方向のクリアランスにバラツキが生じるのを低減でき、各部材毎の成形、加工作業を容易に行うことができる。
【0063】
次に、図6および図7は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。しかし、本実施の形態の特徴は、第1の実施の形態で用いた環状突出部16を廃止し、燃料通路を単一の流路により構成したことにある。
【0064】
図中、31は本実施の形態で採用したポンプハウジングで、該ポンプハウジング31は、第1の実施の形態で述べたポンプハウジング9とほぼ同様に、後述の外側ハウジング32と内側ハウジング33とからなる2つのハウジング部材を上,下方向で衝合することにより構成され、ポンプハウジング31内にはインペラ20が回転可能に設けられている。
【0065】
32はポンプハウジング31のハウジング部材を構成する外側ハウジングで、該外側ハウジング32は、第1の実施の形態で述べた外側ハウジング10と同様に構成され、凹窪部32Aおよび円弧溝32Bを有すると共に、燃料の吸込口11が一体形成されている。
【0066】
33は外側ハウジング32と共にポンプハウジング31を構成するハウジング部材としての内側ハウジングで、該内側ハウジング33は、第1の実施の形態で述べた内側ハウジング12とほぼ同様に構成され、筒状の周壁となる筒部33Aと、該筒部33Aを上側から覆う蓋部33Bとにより扁平な有蓋筒状体として形成されている。
【0067】
そして、内側ハウジング33は、筒部33Aの内周側が外側ハウジング32との衝合面33C側に開口する円形状のインペラ収容凹部34となり、該インペラ収容凹部34内にはインペラ20が回転可能に収容されている。
【0068】
しかし、この内側ハウジング33には、外側ハウジング32の円弧溝32Bと連続して筒部33Aの内周から蓋部33Bにわたり断面逆J字状をなして延びる凹溝部33Dが形成され、この凹溝部33Dは、円弧溝32Bと共に後述する燃料通路35の輪郭形状を決めるものである。
【0069】
また、内側ハウジング33の蓋部33Bには、その中心側にブッシュ5が嵌合して固着される段付穴33Eが第1の実施の形態と同様に形成され、外周側には図6中に二点鎖線で示す吐出口14が上,下に延びるように穿設されている。
【0070】
35はインペラ収容凹部34の外周側に位置してポンプハウジング31内に形成された環状の燃料通路で、該燃料通路35は、第1の実施の形態で述べた燃料通路15とほぼ同様に構成され、その始端側は、図6に示す如く内側ハウジング33の筒部33Aおよび蓋部33Bを部分的に切欠くように形成された吸込通路部35Aとなっている。
【0071】
しかし、この燃料通路35は、外側ハウジング32の円弧溝32Bと内側ハウジング33の凹溝部33Dとによりその輪郭形状が決められ、第1の実施の形態で述べた燃料通路15のように上,下2つの流路に分割されることなく、単一の流路として形成されている。
【0072】
そして、この燃料通路35は、インペラ20を外側から取囲む流路の横断面積Sが、図7中に斜線で示すインペラ外周流路断面積Saと、インペラ側方流路断面積Sb1,Sb2との合計面積として下記の数5式により求められる。
【0073】
【数5】
S=Sa+Sb1+Sb2
【0074】
また、燃料通路35の流路代表寸法Rmは、第1の実施の形態と同様に前記数2式により求められる。一方、燃料通路35の壁面輪郭長さLpは、凹溝部33Dと円弧溝32Bの輪郭線、即ち図7中の点a,b,c,dを繋ぐ円弧状または直線状の輪郭線の長さによって定められるものである。
【0075】
そして、燃料通路35の流路形状は、壁面輪郭長さLpと流路代表寸法Rmとの寸法比(Lp/Rm)が、第1の実施の形態と同様に前記数3式、好ましくは前記数4式を満たすように形成されているものである。
【0076】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができ、図5に例示した特性線22,23,24のように、寸法比(Lp/Rm)を、11〜16の数値範囲α、好ましくは12〜15の数値範囲βに設定することによりタービン型燃料ポンプのポンプ効率を確実に高めることができる。
【0077】
なお、前記第1の実施の形態では、内側ハウジング12の奥所側にフライス加工を施すことにより、上側の流路17を形成するものとして説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、他の加工手段を用いて斜めに傾いた断面U字状または断面円弧状の凹溝からなる流路17を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるタービン型燃料ポンプを示す縦断面図である。
【図2】図1中のポンプハウジング等を拡大して示す要部断面図である。
【図3】内側ハウジングおよびインペラを図2中の矢示 III−III方向からみた断面図である。
【図4】図2中の燃料通路を拡大して示す要部拡大図である。
【図5】燃料通路の寸法比とポンプ効率との関係を示す特性線図である。
【図6】第2の実施の形態によるタービン型燃料ポンプのポンプハウジングを示す縦断面図である。
【図7】図6中の燃料通路を拡大して示す要部拡大図である。
【符号の説明】
1 ケーシング
2 吐出カバー
6 回転軸
7 電動モータ
9,31 ポンプハウジング
10,32 外側ハウジング(ハウジング部材)
11 吸込口
12,33 内側ハウジング(ハウジング部材)
12A,33A 筒部(周壁)
12B,33B 蓋部
13,34 インペラ収容凹部
14 吐出口
15,35 燃料通路
16 環状突出部
17,18 流路
20 インペラ
20A 羽根
Claims (2)
- 電動モータを収容する筒状のケーシングと、該ケーシングに設けられ燃料の吸込口と吐出口との間に環状の燃料通路を有するポンプハウジングと、該ポンプハウジング内に回転可能に設けられ前記電動モータによって回転される間に前記燃料通路内で燃料を圧送する羽根が外周側に列設されたインペラとを備えてなるタービン型燃料ポンプにおいて、
前記ポンプハウジング内の燃料通路は、前記インペラを外側から取囲む流路の横断面積Sをもって形成し、かつ該燃料通路は、前記インペラの羽根高さH、羽根幅Tと前記流路の横断面積Sに対し、Rm=S/(2×H+T)なる式で定められる流路代表寸法Rmを有し、
前記流路横断面の輪郭線のうち、流路壁面が形成する壁面輪郭長さLpは、前記流路代表寸法Rmに対する寸法比(Lp/Rm)を、(Lp/Rm)=11〜16なる数値範囲内に設定する構成としたことを特徴とするタービン型燃料ポンプ。 - 前記寸法比(Lp/Rm)を、(Lp/Rm)=12〜15なる数値範囲内に設定してなる請求項1に記載のタービン型燃料ポンプ。
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