JP2004010368A - 光ファイバ母材の製造方法とその製造装置 - Google Patents

光ファイバ母材の製造方法とその製造装置 Download PDF

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小相澤 久
Atsushi Terada
寺田 淳
Masahide Kuwabara
桑原 正英
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Abstract

【課題】モードフィールド内に隣接するスートの間に界面を少なくとも1つ有し、上記隣接する石英ガラス体を異なる工程で製造する光ファイバ母材(プリフォーム)の製造に際し、界面に存在する水分や水酸基(OH)の除去、あるいは、表面に異物が付着することを効果的に防止する方法を提供する。
【解決手段】スート合成前に、界面部分をSiF、Si、CF、Cなどのフッ素(F)を含有するフッ素系ガスなどのハロゲンガスを用いてドライエッチングする。ドライエッチングに用いる火炎は、たとえば、(CO+O)火炎、あるいは、火炎の中心部に水素や水分を含まず、エッチングガスを含む火炎とする。
【選択図】   図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバの製造に使用する光ファイバ母材の製造方法と製造装置に関する。
特に本発明は、光ファイバ母材(プリフォーム)を複数の製造工程により製造する製法において、製造工程の相違によりモードフィールド内に界面を少なくとも1つ有する光ファイバ母材(プリフォーム)の製造方法と製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバの中で、長距離伝送用光ファイバ、たとえば、海底敷設用光ファイバ、陸上用長距離伝送光ファイバなど分散補償を行う光ファイバ(DCF)などは、たとえば、屈折率分布(屈折率プロファイル)が、W型、Wセグメント型、M型をした複雑な屈折率分布をしている。
そのため、複雑な屈折率分布を有する光ファイバの製造に用いる光ファイバ母材(プリフォーム)の製造は、コアとクラッドとからなる簡単な構造の単一モード光ファイバ(SMF)のように一括して合成することが難しい。
【0003】
バーナやプラズマ火炎により合成したガラス微粒子を堆積させてスート(soot、煤体)を形成し、その後、透明ガラス化するVAD法または外付法(OVD法)は、たとえば、図1(B)、図4(B)、図7(B)に図解のような屈折率プロファイルを作る場合は、光ファイバ母材の形成の生産性は高いが、コアを形成するためにスートの形成、そのガラス化処理、延伸処理などの異なる工程を複数回行わなければならず、モードフィールド内に少なくとも1以上の界面ができ、作業工程も複雑である。
【0004】
たとえば、クラッド層より屈折率が低いディプレスト層の形成のためにガラス化工程において、ガラス微粒子(石英ガラス)に、とえば、SiF、Si、CF、Cなどのフッ素(F)を含有するフッ素系ガスをドーパントとしてドープしてディプレスト層を合成する工程と、屈折率を高めるドーパントをドープするセグメント層の合成とは異なる工程となるので、単一モード光ファイバの母材のように簡単な工程では、上記複雑な屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材を製造することはできない。
しかも、その合成の過程において、たとえば、コア部分とディプレスト層との界面に水分や水酸基(OH)が混入したり、輸送過程で表面に異物が付着する可能性がある。
【0005】
水分やOHがモードフィールド内の界面に混入すると伝送ロスを増加させることは周知である。そこで、これまで光ファイバに水分やOHが混入しないような対策が種々講じられている。以下のそのような対策について述べる。
【0006】
たとえば、スート堆積前の延伸用ロッドを火炎で研磨する方法が知られている。しかしながら、この方法では、延伸用石英ガラスロッドを水素酸火炎を用いて延伸すると、ロッドの表面に火炎に含まれる水分やOHが拡散して残留するという不具合が起こる。これを改善するため、延伸したロッドをフッ化水素酸(フッ酸)でウエットエッチング処理する方法が提案されている。
【0007】
特開平11−1339号公報には、コアロッド上にスートを堆積した後にコアロッドをスート母材から引き抜き、コアロッドをファイヤポリッシャ(火炎研磨)やフッ酸エッチングしてOH拡散層を除去することが開示されている。
【0008】
また特開昭60−86047号公報には、コアロッドを延伸した時に混入するOHを除去する方法として、高周波誘導プラズマあるいは電気炉を用いてHのないフッ素雰囲気で加熱処理する方法を開示している。このような方法によれば、プラズマ火炎にフッ素系のガスを供給してエッチングすることと、無水の高温熱源による火炎研磨が同時に行える点に効果があると示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記方法のように、フッ酸でウエットエッチングした場合、その後、純水で洗浄するので、依然として水分やOHがロッドの表面に残留するという問題に遭遇する。
また表面が凹凸し、その上にスートを堆積してガラス化する場合、上記表面を新たに堆積した界面に発泡が起こることがあった。そのような現象は、特に、フッ素(F)やゲルマニューム(Ge)をドープした母材にフッ酸でエッチングした場合に多発した。そのような発泡は、光ファイバに線引きしたときに光ファイバ径の変動を招くという不具合に遭遇する。
【0010】
そこでフッ酸によるウエットエッチング処理に代えて、水素を含まないプラズマ火炎の熱でドライエッチングする方法が提案されている。しかし、この方法は、ドライエッチングを行う専用の装置を新たに設ける必要があるので、設備が高額になる。その結果、光ファイバ母材の製造価格は高騰し、ひいては、最終製品である光ファイバの価格が高くなるという問題がある。
また、ロッドにフッ素、ホウ素、ゲルマニュームなどの屈折率を変化させるドーパントが高濃度にドープされている場合、高温に晒されることでドーパントが発泡する可能性がある。そのような発泡は、上述したように、光ファイバに線引きしたときに光ファイバ径の変動を招くという不具合に遭遇する。
【0011】
また、加熱装置内に延伸用ロッドを挿入し、加熱装置の熱と塩素やフッ素系のガスをアルゴンなどの不活性ガスや酸素と混合して加熱装置内に流して延伸ロッドをドライエッチングする方法が提案されている。
しかしながら、この方法は、高温で加熱するため、ロッドが冷却するまでに時間がかかり、光ファイバ母材の製造時間が長くなるという問題がある。さらにこの方法では、エッチングによる光ファイバ母材の長手方向におけるエッチング量の均一さが得られにくいという問題も考えられる。
【0012】
ドライエッチングで水分など除去する方法は、エッチング工程と次のスート堆積工程が別なため、ロッドを、たとえば、ドライエッチング処理装置からOVD装置に輸送しなければならず、この輸送の間に大気中のダストが異物としてロッド表面に付着してロッドが汚染する可能性がある。
そのために、光ファイバ母材(スート)の合成前に火力の弱い火炎でロッドを火炎研磨する必要があるが、その工程で、上記したように、ロッドにOHや水分が拡散するおそれがある。
【0013】
以上のように、異なる方法で複数のスートを合成して光ファイバ母材を製造する場合、界面から簡単な方法で完全に水分やOHを完全に除去することは困難であった。水分やOHが混入した界面がモードフィールド内にあれば、伝送損失の増加となる。
【0014】
本発明の目的は、モードフィールド径内に少なくとも1の界面が存在する光ファイバ母材(プリフォーム)を製造するに際して、界面に水分や水酸基が混入しない光ファイバ母材の製造方法とその装置を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、モードフィールド径内に少なくとも1の界面が存在する光ファイバ母材(プリフォーム)を製造するに際して、界面に付着した異物を効果的に除去できる光ファイバ母材の製造方法とその装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の観点によれば、モードフィールド内に少なくとも1の界面を持つ光ファイバ母材を製造する方法において、バーナからでるバーナ火炎でスートを堆積させる工程において、前記バーナ火炎内に水酸基および/または水分が発生しない燃焼ガスを用いた火炎で、スート堆積前の出発母材を加熱処理することを特徴とする、光ファイバ母材の製造方法が提供される。
【0017】
好ましくは、前記燃焼ガスを前記スート堆積前の前記出発母材に当てた直後のスート堆積の少なくとも初期段階まで、前記水酸基および/または水分が発生しない燃焼ガスを用いてスートを合成する。
【0018】
本発明の第2の観点によれば、上記光ファイバ母材の製造方法を製造する装置が提供される。
当該光ファイバ母材の製造装置は、出発母材にスートを堆積する前に、バーナ火炎内に水酸基および/または水分が発生しない燃焼ガスを用いた火炎で前記スート堆積前の出発母材を加熱処理する手段と、前記燃焼ガスで前記スート堆積前の出発母材を熱処理した直後、前記スートの堆積を行う手段とを有する。
【0019】
好ましくは、前記スートの堆積を行う手段は、前記スート堆積の少なくとも初期段階まで前記水酸基および/または水分が発生しない燃焼ガスを用いてスートを合成する手段をさらに有する。
【0020】
本願発明者の研究によれば、光ファイバの界面に残留する水分や水酸基(OH)が光ファイバの伝送ロスの一因であるという認識の元で、光ファイバ母材(プリフォーム)のスートの合成直前にロッド表面の水分やOHを除去し、または、異物を除去するために光ファイバ母材の表面をエッチング処理を行うことが、伝送ロスの低減と、発泡防止に有効であることを見いだした。
【0021】
上記本発明をより具体的に述べる。
本発明において、ロッドにスートを合成(堆積)する前に、ハロゲン系ガス、たとえば、Si,SiF,CF,Cなどのフッ素を含有するフッ素系ガスを導入したバーナ火炎でロッドをドライエッチングする。水分やOHが実質的にロッド表面に当たらない火炎を用いてエッチングするので、水分やOHがロッドに入ることなくロッドをドライな状態でエッチングできる。
【0022】
すでにエッチングされたロッドの場合は、たとえば塩素ガスを導入した火炎でロッドの表面をクリーニングしているから直ちにスートの堆積処理を行う。この場合、火炎は酸素や(CO+O)火炎、あるいは、火炎の中心部が水素や水分を含まないガス、またはハロゲン系ガスでその周りに酸水素火炎を形成するような火炎を用いることが好ましい。
【0023】
エッチング後のまたスート合成の初期段階もこのような火炎で合成を行うと、水分やOHがスートに混入しないので好ましい。
【0024】
スート合成の初期の段階を除いて、火炎は実質的に出発母材に直接当たらないので、通常の酸水素火炎や炭化水素系の火炎を用いても、水分やOHがロッドに拡散しない。また、火炎としては、火炎の中心部にHeやArがあるときはそれらとハロゲン系ガスの混合物の様にし、その外側に酸水素や炭化水素と酸素の火炎を作るバーナ構造とすることで、ロッドの表面に主に当たる火炎の部分が火炎の中心部なので、その部分に、水分やOHがないので、燃焼ガスに水素が含まない火炎と同様の効果が得られる。
【0025】
エッチングで水分やOH、または異物を除去した後、直ちにスートを堆積することによりロッドの表面が汚染されることがない。よってスート堆積工程においてさらに異物が付着することが防止される。
【0026】
【発明の実施の形態】
第1実施の形態
本発明の光ファイバ母材(プリフォーム)の製造方法と製造装置の第1実施の形態として、分散補償用のW型の屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材を形成する方法とその装置について述べる。
【0027】
図1(A)は光ファイバ母材の断面図であり、図1(B)は図1(A)に図解した光ファイバ母材の屈折率のプロファイルを図解した図である。
図1(A)に図解した光ファイバ母材1は、中心に位置するセンタ・コア11と、コア11の外周に位置するディプレスト層13と、ディプレスト層13の外周に位置するクラッド15とを有する。
【0028】
この光ファイバ母材1には、2つの界面が存在する。すなわち、コア11とディプレスト層13との間に存在する第1界面12と、ディプレスト層13とクラッド15との間の存在する第2界面14との2つの界面である。これら2つの界面12、14は共にモードフィールド内に位置しており、伝送ロスに影響を及ぼす界面である。
【0029】
図1(B)に図解した屈折率は理想的な場合を例示している。
センタ・コア11、ディプレスト層13、クラッド15の屈折率の大小関係について述べる。
屈折率を変化させるドーパントがガラス微粒子に混入されていない石英ガラス成分のみでできたクラッド15の屈折率を基準にとると、ガラス微粒子(石英ガラス)に屈折率を高めるドーパント、たとえば、GeOがドープされたセンタ・コア11の屈折率はΔ11だけクラッド15の屈折率より高い。逆に、ガラス微粒子(石英ガラス)に屈折率を低下させるドーパント、たとえば、フッ素がドープされたディプレスト層13の屈折率はクラッド15の屈折率よりΔ12だけ屈折率が低い。
【0030】
図1(A)、(B)に図解した光ファイバ母材1は、屈折率プロファイルがW文字状になっているので、以下、本明細書において、W型の屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材1、あるいは、簡単にW型光ファイバ母材1と言う。
【0031】
本明細書における、光ファイバ母材(プリフォーム)と、光ファイバとの関係を明確にしておく。
本明細書において光ファイバ母材とは、最終的に光ファイバに線引きする前の径の大きな母材である。
光ファイバ母材を線引きして最終的な光ファイバを製造したとき、光ファイバ母材と光ファイバとはほぼ相似形をしている。実際には、線引条件やドーパントの拡散により多少形状は変化するが、ほぼ相似形としてもよい。したがって、光ファイバの断面も図1(A)に示した光ファイバ母材の断面とほぼ同じであり、光ファイバの屈折率分布も図1(B)に図解したものとほぼ同じになる。
なお、最終製品の光ファイバには、クラッド15の外周に樹脂層が被覆される。
【0032】
図1(A)は、光ファイバ母材1の概略構造を示しているにすぎず、センタ・コア11、ディプレスト層13、クラッド15の寸法に正確に比例させた縮尺で図解している訳ではない。たとえば、本実施の形態の光ファイバ母材1の寸法は、センタ・コア11の直径が2〜6μmであり、ディプレスト層13の厚さが3〜20μmであり、クラッド15の外径が125μmである。
【0033】
参考までに、光ファイバ母材1の形成から光ファイバの製造までを簡単に述べる。
【0034】
工程1:センタ・コア母材は、VAD法やOVD法でコアスートを製造し、ガラス化装置で透明化して、必要に応じて延伸して所定の径と長さの出発母材(ガラスロッド)を形成する。
【0035】
工程2:OVD装置およびガラス化装置を用いて、出発母材としてのセンタ・コア11の上に、図2に図解した第1堆積スート130(図1(A)のディプレスト層13に相当する部分)を合成する。
【0036】
工程3:同様に、OVD装置で第1堆積スート130をガラス化装置で脱水し、F素系のガス雰囲気中でF素をドープし、焼結し透明化したガラスロッドの上にクラッド部のスートを合成し、ガラス化装置で焼結する。1度に厚いクラッド部分の合成ができない場合は、工程3を複数回繰り返す。
【0037】
工程4:線引装置において光ファイバ母材1の外径を制御しながら、光ファイバに紡糸する。その後、紡糸した光ファイバの外周に被覆材をコーティングし、被覆材をコーティングした光ファイバを巻き取りリールに巻き取る。
【0038】
図1(A)、(B)に図解したW型光ファイバ母材1の製造方法について、図2および図3を参照して詳細に述べる。
上述した工程のうち特に、図2および図3を参照して、工程1〜2について詳述する。
図2は本発明の実施の形態で用いるOVD装置の詳細構成図である。
図3はW型光ファイバ母材1およびその光ファイバの製造方法を図解した全体工程図である。
【0039】
OVD装置100は、OVD法によりスートを合成(堆積)させる装置であり、反応容器102と、この反応容器102に連結して反応容器102から部分的に突出しているバーナ収容部(バーナボックス)103と、バーナ収容部103内に収容されたバーナ101と、バーナ収容部103と対向した反応容器102の壁面に設けられた排気部104とを備えている。
【0040】
OVD装置100はさらにスピンドル機構105,105を備えている。スピンドル機構105,105は、出発母材(センタ・コア)120の両端に接続されている支持部材121を把持している1対のチャック106,106に結合され、出発母材120を長手方向Lに往復移動させ、かつ、出発母材120の長手方向を回転軸として出発母材120を回転させる。すなわち、スピンドル機構105,105は、出発母材120の外周に第1堆積スート(ディプレスト層部分)130を堆積させるため、バーナ101に対して出発母材120を相対運動させる手段である。
【0041】
上記方法とは異なり、スピンドル機構105,105を出発母材120を回転のみさせ、バーナ101が出発母材120の長手方向に沿って往復移動させるようにすることもできる。しかしながら、以下、本実施の形態においては、上記したように、スピンドル機構105,105が出発母材120を往復移動させ、かつ、出発母材120を回転させる場合について述べる。
【0042】
バーナ101は、チャック106,106に把持されて、反応容器102の内部を往復移動しながら回転される出発母材(センタ・コア)120の外周に火炎110を当てる。その結果、出発母材120の外周に、バーナ101で作られた火炎110で合成されたガラス微粒子が出発母材の上に堆積して、ディプレスト層13に該当する第1堆積スート130が合成される。
【0043】
バーナ101には、第1ガス供給ライン161を介して燃焼ガス供給源141から燃焼ガスが供給され、第2ガス供給ライン162を介して原料ガス供給源142から原料ガスが供給され、第3ガス供給ライン163を介してエッチング用ガス供給源143からエッチング用ガスが供給されている。
【0044】
燃焼ガス供給源141は、たとえば、水素(H)、酸素(O)をバーナ101に供給する。好ましくは、燃焼ガス供給源141はさらに、シールガスとして、不活性ガス、たとえば、アルゴン(Ar)も供給する。
【0045】
原料ガス供給源142は、光ファイバの原料として、たとえば、石英ガラス原料(SiCl)を供給する。
【0046】
バーナ101は、燃焼ガス供給源141から供給される燃焼ガスとシールガスに、原料ガス供給源142から供給されるガラス原料を火炎110で粒子化させて出発母材120に当てて、第1堆積スート(ディプレスト層部分)130を合成する。
【0047】
エッチング用ガス供給源143は、本発明のドライエッチングを行うために設けられており、ドライエッチングガスとして、たとえば、塩素ガス(Cl)、または、Si、SiF、CF、Cなどのフッ素を含むフッ素系ガスなどのハロゲン系ガスをバーナ101に供給する。
【0048】
ディプレスト層部分130の合成の後、ガラス化装置で脱水、F素ドープ、焼結され透明なガラスロッドとし、必要に応じて延伸を行い、クラッド堆積のための出発母材とする。クラッドはディプレストと同様にシリカスートを堆積させ、ガラス化装置で脱水、焼結して透明なガラスロッドとする。
【0049】
OVD装置100にはOVD装置の動作制御を行う制御装置170が設けられている。たとえば、制御装置170は、ガス供給源に設けてあるマスフローコントローラ(MFC)を制御して、ガス供給ライン161、162、163を通過してバーナ101に供給されるガス流量を調整する。また、制御装置170は、スピンドル機構105,105の制御なども行う。
以下に述べる各種の制御は、特に断らない限り、制御装置170によって制御される。
【0050】
図3の工程図(フローチャート)を参照して図2に図解したOVD装置および図示しないガラス化装置を用いてW型の屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材1を製造する方法を述べる。
【0051】
工程11(P11):コア用スートの合成
たとえば、VAD法またはOVD法で種棒にセンタ・コア11用のスートを形成する。このスートの形成においては、屈折率を高めるドーパント、たとえば、GeOをドープする。
OVD法でセンタ・コア11用のスートを合成する場合は、図2に図解したOVD装置100に類似するOVD装置と、図示しないガラス化装置を用いる。
【0052】
工程12(P12):センタ・コアの脱水・焼結処理
合成されたセンタ・コア11用のスートを、ガラス化装置に導入して脱水・焼結して透明なプリフォームを形成する。
【0053】
工程13(P13):センタ・コアの火炎延伸
脱水・焼結したセンタ・コア11の母材(プリフォーム)を火炎延伸して石英ガラスのロッドに加工する。
【0054】
工程14(P14):センタ・コアのウエットエッチング
火炎延伸した石英ガラスのロッドを、たとえば、フッ化水素酸(フッ酸)を用いてウエットエッチングする(0.4〜2mm直径で削る)。
【0055】
工程15(P15):センタ・コアの洗浄・乾燥
フッ酸でウエットエッチング処理した石英ガラスロッドを、純水で洗浄してフッ酸を排除し、その後、乾燥させる。
【0056】
工程21(P21):出発母材表面(第1界面)のドライエッチング
純水で出発母材120を洗浄しているので、出発母材120の表面には水分やOHが残っている可能性がある。出発母材120の面は第1堆積スート(ディプレスト層部分)130と第1界面12を構成している。そこで、第1界面12から水分やOHを完全に除去する必要がある。また輸送中に表面に付着した空気中のダストなどの異物を除去する必要がある。
本実施の形態においては、ドライエッチングによって第1界面12から水分やOHを排除する。また本実施の形態においては、HFエッチングにより凹凸した表面を火炎により滑らかにする。
以下、その方法を下記に述べる。
【0057】
(a)乾燥させた出発母材(センタ・コア)120の支持部材121を図2に図解したOVD装置100のチャック106,106に取り付ける。
(b)制御装置170は、燃焼ガス供給源141から供給される燃焼ガス、必要に応じてはアルゴンなどの不活性ガスをシールガスとしてバーナ101に供給するとともに、エッチング用ガス供給源143からハロゲン系のガスをバーナ101に供給する。エッチング用ガス供給源143から供給されるハロゲン系のガスとしては、たとえば、SiF,SiF,CF,Cなどフッ素系のガスを用いる。
(c)制御装置170は、スピンドル機構105,105を駆動して出発母材120を往復移動かつ回転させる。
【0058】
以上により、エッチング用ガス供給源143から供給したフッ素系のガスと、燃焼ガス供給源141から供給された燃焼ガスとがバーナ101において発生した火炎110の熱により前記フッ素系ガスを分解して出発母材120の外周の表面をドライエッチングする。
出発母材120の表面は第1界面12に該当する面であり、ドライエッチングによって、第1界面12から水分やOHまたは異物が除去される。ドライエッチングはフッ酸を用いたウエットエッチングと異なり、その後、純水などによる洗浄を必要としない。
【0059】
ドライエッチングに用いる火炎としては、(CO+O)火炎、あるいは、火炎の中心部が水分やOHを含まないガス、たとえば、O、あるいは、He、Arなどの不活性ガスなどでその周囲に火炎を形成するような火炎が好ましい。そのため、バーナ101としては、通常の多重管バーナやノズルバーナを用いるか、多少ノズルの数を多くしたバーナを用いれば良く、特に付加的装置の設置とか、複雑な操作を必要とはしない。
【0060】
上記ドライエッチングにおけるエッチング量の管理法について例示する。
【0061】
第1の方法は、制御装置170で燃焼ガス供給源141からの燃焼ガス(シールガスも含む)およびエッチング用ガス供給源143からのエッチング用ガスの流量およびエッチング時間を制御してバーナ101で作るバーナ火炎110の温度やエッチングガス流量を調整して出発母材120のエッチング量を制御する。基本的には、制御装置170でスピンドル機構105,105の往復移動回数(トラバース回数)を管理して、出発母材120のエッチング量を管理する。
【0062】
第2の方法は、反応容器102内または側壁にロッドの外径を測定する外径測定装置(図示せず)を設置し、外径測定装置の計測結果を制御装置170で読み取り、出発母材120の外径の減少、または、出発母材120の外径の変化を計測して、出発母材120のエッチング量を管理する。
【0063】
このような方法でエッチング量を管理すると、過不足無くエッチングでき、界面に水分やOHを含まない光ファイバ用母材が合成できる。
【0064】
工程22(P22):火炎研磨
制御手段170は、エッチングガス供給源143から供給されるエッチングガスを止め、また、原料ガス供給源142はパージガスだけを供給する(原料は流さない)と、燃料ガス供給源141から供給されるガスによる火炎110で出発母材120の表面をあぶり、出発母材120の表面をなだらかにする。この工程は必ずしも必要ではないが、表面があれる場合に行うほうが好ましい。
【0065】
工程31(P31):ディプレスト層部分のスート合成
出発母材120の表面(第1界面12)の火炎研磨終了後、制御装置170は直ちに、燃焼ガス供給源141からは合成用の条件の燃焼ガスおよびシールガスに変更させる。原料ガス供給源142からバーナ101へパージガスから原料ガスへ切り替えを行う。たとえば、SiClを供給し、火炎研磨後の水分やOHまたは異物などが除去された出発母材120の上に第1堆積スート(ディプレスト層部分)130の合成を行う。このスートはシリカだけを堆積させる。
このように、ドライエッチングに引き続き行われる火炎研磨直後に第1堆積スート(ディプレスト層部分)130の合成を行うことにより、スート合成に移行する過程でロッドに新たな水分やOHが混入することがなく、ロッドの表面に付着した異物を有効に除去できる。
【0066】
ドライエッチングされた出発母材120の上に第1堆積スート(ディプレスト層部分)130を合成する方法について詳細に述べる。
制御装置170でスピンドル機構105,105を介して出発母材120を水平方向に往復移動かつ回転駆動して、原料ガス供給源142から供給される原料ガスと燃焼ガス供給源141から供給される燃焼ガスとが供給されたバーナ101で形成された火炎110を出発母材120に吹きつけて出発母材120の上に第1堆積スート(ディプレスト層部分)130を合成していく。
【0067】
第1堆積スート(ディプレスト層部分)130の合成の初期段階において、たとえば、初期段階としては数回〜数十回、出発母材120をバーナ火炎110に対して相対的にトラバースさせて第1堆積スート130を合成する期間、工程21におけるドライエッチングに用いた火炎と同様、バーナ101からの火炎110としては、(CO+O)火炎、あるいは、火炎の中心部が水素や水分を含まないガス、たとえば、O、Ar、Heなどのガスの周囲に火炎を形成するような火炎を用いることが好ましい。その場合、バーナ101の中心のノズル1〜3層程度増した構造にする。スートの合成段階の初期にそのような操作を行うと、スート合成中にバーナ火炎により出発母材120に混入する水素や水分が全くないか、ほとんどないためにOHによる伝送損失の改善が一層確実に行える。
【0068】
工程32(P32):ディプレスト層部分の脱水処理
出発母材120の上への第1堆積スート(ディプレスト層部分)130の合成が終了したら、出発母材120と第1堆積スート130とが一体になったロッドをチャック106,106から外して反応容器102の外部に取り出し、ガラス化装置に導入して第1堆積スート130の脱水処理を行う。
【0069】
工程33(P33):屈折率低下処理(フッ素ドープ処理)
脱水処理した第1堆積スート(ディプレスト層部分)130の屈折率をクラッド15部分の屈折率より低下させるため、ガラス化装置において屈折率を低下させるガス、たとえば、SiF,Si,CF,Cなどのフッ素系ガスを用いて第1堆積スート130にF素をドープするフッ素ドープ処理を行う。
なお、このドープ処理には、F素を含む広くハロゲンガスを用いることができ、上記フッ素系ガスはF素を含むハロゲンガスの例示である。
【0070】
工程34(P34):焼結処理
その後、ガラス化装置で第1堆積スート(ディプレスト層部分)130を焼結処理する。この焼結処理によってディプレスト層13部分(プリフォーム)が形成される。
【0071】
なお、ガラス化装置において、上述したフッ素のドープ処理と焼結処理とを同時に行うこともできる。
また、ガラス化装置において、上述した脱水処理とフッ素ドープ処理とを同時に行うこともできる。
これらの同時作業をどのように行うかは、フッ素ドープ量とガラス化装置の構造によって決定される。
【0072】
工程35(P35):火炎延伸
焼結したプリフォーム130Aをバーナ火炎110を用いて火炎延伸処理して、第2堆積スート(クラッド部分)132の合成の出発母材(第2出発母材)となるロッドを形成する。
【0073】
工程36(P36):ウエットエッチング
火炎延伸したロッド(第2出発母材)を次の第2堆積スート(クラッド部分)132の合成のために、たとえば、フッ酸を用いてウエットエッチングする(0.4〜2mm削る)。
【0074】
工程37(P37):洗浄・乾燥
ウエットエッチングしたロッド(第2出発母材)を純水で洗浄してフッ酸を除去し、その後、乾燥させる。
【0075】
工程41(P41):ディプレスト層部分面(第2界面)ドライエッチング
純水で洗浄した第2出発母材の表面(第2の界面14)から水分やOH、または、ロッドの輸送中に付着した異物を、ドライエッチングによって完全に除去する。
ドライエッチング方法、および、エッチング量の管理方法などは、工程21において述べた出発母材表面(第1界面)のドライエッチングと同様である。その概要を下記に述べる。
【0076】
(aa)乾燥させた第2出発母材の支持部材121を図2に図解したOVD装置100のチャック106,106に取り付ける。
(bb)制御装置170は、燃焼ガス供給源141から供給される燃焼ガス、必要に応じてはアルゴンなどの不活性ガスをシールガスとしてバーナ101に供給するとともに、エッチング用ガス供給源143からハロゲン系のガスをバーナ101に供給する。エッチング用ガス供給源143から供給されるハロゲン系のガスとしては、上記同様、たとえば、Si,SiF,CF,Cなどフッ素系のガスを用いる。
(cc)制御装置170は、スピンドル機構105,105を駆動して第2出発母材を所定回数、往復移動かつ回転させる。
【0077】
以上により、エッチング用ガス供給源143から供給したフッ素系のガスと、燃焼ガス供給源141から供給されタ燃焼ガスとがバーナ101において発生した火炎110の熱によりフッ素系ガスを分解して第2出発母材の表面をドライエッチングする。
第2出発母材の表面は第2界面14に該当する面であり、ドライエッチングによって、第2界面14に混入した水分やOH、または、第2出発母材の表面に付着した異物が除去される。
ドライエッチングはフッ酸を用いたウエットエッチングと異なり、その後、純水などによる洗浄を必要としない。したがって、ドライエッチング後は水分やOHが第2の界面14に混入したり、界面14に残留することはない。
【0078】
この場合も、ドライエッチングに用いる火炎としては、上記同様、(CO+O)火炎、あるいは、火炎の中心部が水素(OH)や水分を含まないガスでその周囲に火炎を形成するような火炎が好ましい。
【0079】
この場合のドライエッチングによるエッチング量の管理法も上述した第1〜第2の方法と同様である。
このような方法でエッチング量を管理すると過不足無くエッチングでき、第2の界面14に水分やOHを含まない光ファイバ用母材が合成できる。
【0080】
本実施の形態によるドライエッチング量は、0.1mm〜0.4mm程度である。このように少ないドライエッチング量で済むのは、事前にウエットエッチングにより火炎延伸でロッドに混入した水分やOHを除去してあるためである。なお、本実施の形態とは異なり、事前にウエットエッチングしない場合には0.5〜2mm程度はドライエッチングする必要がある。したがって、本実施の形態によれば、エッチング時間も短縮できた。
【0081】
工程51(P51):クラッド部分のスート合成
工程31:ディプレスト層部分のスート合成において述べたように、第1堆積スート(ディプレスト層部分、第2出発母材)130の表面(第2の界面14)のドライエッチング終了直後、制御装置170は直ちにバーナ101へのハロゲンガスの供給を停止する一方、原料ガス供給源142からバーナ101へ原料ガス、たとえば、ガラス原料SiClを供給し、ドライエッチングして水分やOHが除去された第2界面14の上に第2堆積スート(クラッド部分)132の合成を行う。
ドライエッチングの終了直後にこのスート合成を行うことにより、第2界面14に新たな水分やOH、または、新たな異物が付着することを防止できる。
【0082】
第1堆積スート(ディプレスト層部分)130の上に第2堆積スート(クラッド部分)132を合成する作業は、出発母材120の上に第1堆積スート130を合成した作業と同じである。ただし、堆積する量は異なる。
【0083】
第2堆積スート132のスート合成の初期段階においても、たとえば、数回〜数十回、第1堆積スート130をバーナ火炎110に相対的にトラバースさせて第2堆積スート132を合成する際、上記ドライエッチングに用いた火炎と同様、(CO+O)火炎、あるいは、火炎の中心部が水素や水分を含まないガス、たとえば、たとえば、O、Ar、Heなどのガスの周囲に火炎を形成するような火炎を用いることが好ましい。
【0084】
たとえば、バーナとして5重管バーナを用いて、最内部の1層目にはHeとエッチングガス、2層目にはAr、3層目にはH、4層目にはAr、最外部の5層目にはOのようにガスを流し、エッチングを行う。スート合成は1層目または2層目、あるいは、1および2層目に原料を供給して行う。
【0085】
このような処理を行うと、第2界面14だけでなく、第2界面14と接する第2堆積スート132の面近傍も水分やOHが除去されるから、製造する光ファイバ母材の伝送損失の低下が一層確実になる。
【0086】
工程52(P52):クラッド部分の脱水/焼結処理
第2堆積スート132の合成が終了したら、ロッドをチャック106,106から外して反応容器102の外部に取り出し、ガラス化装置に導入して脱水と焼結処理を行う。
【0087】
上述した工程における作業で、充分を厚さの第2堆積スート(クラッド部分)132が形成されない場合は、再度火炎延伸して、そのロッドを反応容器102に導入して、再びスートを合成して、さらにガラス化装置に導入して脱水・焼結処理して、必要な厚さのプリフォームを形成する。それにより、第2堆積スート(クラッド部分)132が合成できる。
【0088】
第2堆積スート(クラッド部分)132の外面の界面は、モードフィールド径より充分外なので、第2堆積スート(クラッド部分)132の外面をフッ酸などでさらにウエットエッチングする必要はない。また、このように合成したロッドを火炎研磨しても伝送損失の観点において問題はない。
【0089】
以上のとおり、モードフィールド径内に位置する界面、すなわち、図1(A)の第1界面12および第2界面14は、スートの堆積(合成)前に、少なくとも上述した水分やOHを除去し、または、異物を除去するドライエッチング処理を行い、実質的に界面部分から伝送損失をもたらす水分やOHを除去する。また出発母材に付着した異物を除去することで、焼結工程や線引工程で発生する可能性がある発泡を著しく低減できる。なお、発泡が発生すると、光ファイバ径が変動するという問題が起きる。
【0090】
すなわち、スート堆積前のドライエッチングにより、出発母材の表面に存在する水分やOHまたは異物を排除しているため、製造したW型の屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材1を線引きして、最終的な光ファイバを製造した時、光ファイバの伝送損失は非常に低下する。また発泡による光ファイバ径の変動の発生も少ない。
【0091】
実験例
以上の方法で製造したW型の屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材1を線引きした光ファイバの伝送損失を測定した。
従来方法で製造したW型プロファイルを持つ光ファイバの伝送損失は、波長1.38μmにおいて、1dB/kmであったが、本実施の形態により製造したW型プロファイルを持つ光ファイバは、波長1.38μmにおいて、0.28〜0.45dB/kmに伝送損失が低下した。
また発泡による光ファイバ径変動について調べたところ、従来は1本の母材で平均10〜20回発生していたが、本実施の形態では10回以下に低減できた。
【0092】
伝送損失が非常に低いことが要求される光ファイバ、あるいは、波長1.38μmまたは1.42μmにおける伝送損失が低いことが要求される光ファイバの製造は、本実施の形態による処理と同様の処理を行うことが好ましい。
【0093】
本実施の形態に基づく、上述したドライエッチングによる界面から水分やOHの除去、または、界面表面に付着した異物の除去は、上述したW型の屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材1に限らず、その他種々の光ファイバ母材の製造にも適用できることは言うまでもない。
【0094】
第2実施の形態
本発明の光ファイバ母材の製造方法と製造装置の第2実施の形態として、コアの有効断面積を広げたM型の屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材を製造する方法とその装置について述べる。
【0095】
図4(A)はM型の屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材の断面図であり、図4(B)は図4(A)に図解した光ファイバ母材の屈折率のプロファイルを図解した図であ。
【0096】
図4(A)に図解した光ファイバ母材2は、中心に位置するセンタ・コア(第1コア)21と、センタ・コア21の外周に位置する第2コア23と、第2コア23の外周に位置する第3コア25と、第3コア25の外周に位置するクラッド27とを有している。
このように、この光ファイバ母材2は、中心から外部に向かって、第1層目のセンタ・コア(第1コア)21と、第2層目の第2コア23と、第3層目の第3コア25と、第4層目のクラッド27とを有しており、センタ・コア21と第2コア23との間に第1界面22、第3コア25とクラッド27との間に第2界面26が存在する。
第2コア23と第3コア25とは一括して合成するので、第2コア23と第3コア25との間には界面は存在しない。
2つの界面22、26は共にモードフィールドの中にあり、伝送損失に影響を及ぼす。
【0097】
図4(B)に図解したように、屈折率を変化させるドーパントが混入されていないガラス微粒子(SiCl)を堆積させた石英ガラスのみのクラッド27の屈折率を基準に屈折率の大小関係を比較すると、クラッド27の屈折率に対してセンタ・コア21の屈折率はΔ21だけ低く、第2コア23の屈折率はΔ22だけ高く、第3コア25の屈折率はΔ23だけ高い。
屈折率の大きさを比較すると、第2コア23の屈折率、第3コア25の屈折率、クラッド27の屈折率、センタ・コア21の屈折率の順序で大きい。
クラッド27は屈折率を変化させるドーパントが混入されていないか、または、塩素がドープされた石英ガラスで形成されており、センタ・コア21はクラッド27より屈折率を低下させるF素がドープされる。第2コア23および第3コア25にはそれぞれ屈折率を増加させるドーパント、たとえば、GeOがドープされている。一体的に合成される第2コア23と第3コア25とはドーパントの量などを調整して屈折率を異ならせている。
【0098】
図4(B)に図解したように、この光ファイバ母材2の屈折率のプロファイルはM字状をしているので、本明細書においては光ファイバ母材をM型の屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材2、または、略してM型光ファイバ母材2と呼ぶ。
【0099】
M型光ファイバ母材2とそれを線引きして形成した光ファイバとの相似関係は第1実施の形態のW型光ファイバ母材1と光ファイバと同様である。
【0100】
図4(A)、(B)に図解したM型の屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材2および光ファイバの製造方法の概要について述べる。
VAD法またはOVD法などで作られたシリカスートにF素をドープして透明化したガラスロッドを所定の径に延伸した出発母材としてのセンタ・コア21とする。
出発母材の上にOVD装置でGeOをドープしたスートを堆積して、第2コア23を合成し、引き続き連続して、第2コア23の上に第3コア25を合成する。その後、脱水・焼結して延伸した後、クラッド27を合成する。
合成したM型の屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材2を線引装置で紡糸して光ファイバを製造する。製造された光ファイバに樹脂被覆をコーティングし、巻き取り装置においてボビンに巻き取る。完成したプリフォームから光ファイバを製造する方法は、基本的に、第1実施の形態と同様である。
【0101】
第2実施の形態においては、ロッドの延伸に電気炉延伸装置を用いる。すなわち、第2実施の形態では第1実施の形態における火炎延伸処理に代えて、電気炉延伸装置を用いた不活性ガス雰囲気でロッドの延伸処理を行う。
そのため、第2実施の形態においては、第1実施の形態における火炎延伸のように、その後の処理としてフッ酸などを用いたウエットエッチングを行う必要がない。ウエットエッチングが不要になることは、その後に行う純水を用いてフッ酸を洗浄し、その後、乾燥させる工程が不要となるという利点がある。また、純水を使用することによる水分の残りの心配がない。
【0102】
第1実施の形態においては、クラッド15より屈折率の高いセンタ・コア11を形成するため屈折率を高めるドーパントをドープしたが、第2実施の形態においては、逆にセンタ・コア21を形成するため屈折率を低下させるSiF、Si、CF、Cなどのフッ素(F)を含有するフッ素系ガスなどのF素を含有するハロゲンガスを用いてF素をドープした。
【0103】
図5のOVD装置100Aの構成について述べる。
OVD100Aは、基本的に図2のOVD装置100から、エッチング用ガス供給源143および第3ガス供給ライン163を排除した構成である。OVD装置100Aのその他の構成は、図2のOVD装置100の構成と同様である。
【0104】
図6を参照して、M型の屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材2を製造する方法を述べる。
【0105】
工程111(P111):センタ・コア21の合成
(a)センタ・コア21部分を、図示しないVAD装置またはOVD装置でスートとして合成する。
(b)合成したスートをガラス化装置で脱水・F素ドープ・焼結処理を行う。(c)センタ・コア21部分の屈折率をクラッド27の屈折率より低くするため、ガラス化装置内で脱水処理後にセンタ・コア21部分に、たとえば、SiF、Si、CF、Cなどのフッ素(F)を含有するフッ素系ガス雰囲気中でF素のドープ処理を行う。
(d)スートをガラス化装置で焼結して透明ガラス化したセンタ・コア21部分を形成する。
これにより出発母材となる、第1のプリフォーム(光ファイバ母材)が形成できる。
【0106】
製造時間を短縮するため、上記ガラス化装置における焼結処理(b)と上記フッ素系ガスのドープ処理(c)とを同時に行うこともできる。
【0107】
工程112(P112):電気炉延伸装置内でのスートの延伸
合成された第1のプリフォーム(センタ・コア21部分)を、不活性ガス、たとえば、アルゴンを封入した不活性雰囲気の電気炉延伸装置内で加熱・延伸する。
電気炉延伸装置内での加熱・延伸処理は、第1実施の形態における火炎延伸とは異なる。第1実施の形態の火炎延伸は水分やOHがロッドに混入する可能性が高いが、第2実施の形態の電気炉延伸装置内での延伸処理では原理的に水分やOHが混入しない。
【0108】
工程121(P121):第1界面部分のドライエッチング
第2実施の形態における電気炉延伸装置による延伸処理は、第1実施の形態の火炎延伸とは異なり水分やOHがロッドに混入しないので、原則として、延伸処理後、第1界面22となるセンタ・コア21の表面について、第1実施の形態の工程14におけるフッ酸などによるウエットエッチング処理は不要である。
しかしながら、第1のプリフォーム(センタ・コア21部分)の移動(輸送)中あるいは保管中に第1のプリフォームの表面に空気中のダストなどの異物が付着したり、電気炉延伸装置内の延伸処理中に異物が付着する可能性はあるので、下記のドライエッチングをすることが望ましい。
【0109】
その処理として、図2に図解したOVD装置100を用いる場合について述べる。電気炉延伸装置内で延伸したプリフォームロッドを、図2に図解したOVD装置100に導入して、スート合成用バーナまたは表面処理専用バーナに燃焼用バーナに不活性ガスとともに、ハロゲン系ガスを供給して、プリフォームロッドを軽くウエットエッチングするか、塩素ガス、あるいは塩素系のガスでプリフォームロッドの表面をクリーニングする。
【0110】
エッチング用ガスとしてはF素を含むハロゲン系ガスが好ましく、ハロゲン系のガスとしては、たとえば、SiF、Si、CF、Cなどのフッ素(F)を含有するフッ素系ガスを用いる。このように、フッ素系のガスをバーナに供給し、燃焼ガス供給源からバーナに供給された燃焼ガスと反応させたバーナ火炎によりプリフォームロッドをドライエッチングする。
【0111】
ドライエッチングに用いる火炎としては、前述したように、(CO+O)火炎、あるいは、火炎の中心部が水素や水分を含まないガスでその周囲に火炎を形成するような火炎が好ましい。
【0112】
エッチング量の管理法は第1実施の形態において述べたと同様に行う。
【0113】
工程131(P131):第2コア、第3コアのスート合成
ドライエッチング終了後、即座に、第1実施の形態と同様、スートの合成を開始して、第2コア部分のスートおよび第3コアの部分のスートを順次、堆積していく。その方法を下記に述べる。
【0114】
制御装置170Aはスピンドル機構105,105を駆動して、出発母材120Aを水平方向に往復移動かつ回転させる。
制御装置170Aはさらに、燃焼ガス供給源141からバーナ101に燃焼ガスを供給し、且つ、原料ガス供給源142からバーナ101へ原料ガス、たとえば、SiClと、屈折率を高めるドーパント、たとえば、GeClとを供給し、出発母材120Aの上に、順次、第2コア23と第3コア25となるスート((SiO+GeO)の堆積スート130)を合成する作業を開始する。
【0115】
第2実施の形態では、第2コア23と第3コア25とは連続して一括して第1堆積スート130Aとして形成するが、制御装置170Aは第2コア23と第3コア25との屈折率が図4(B)に図解したようなプリフォームの屈折率になるように、マスフローコントローラを制御してバーナ101に供給する原料ガスと酸水素とシールガス(アルゴン)との流量を調整する。
【0116】
スート合成の初期段階において、たとえば、数回〜数十回、出発母材120Aをトラバースさせて第1堆積スート130Aを合成する期間、上記同様、(CO+O)火炎、あるいは、火炎の中心部に水分やOHを含まないガスでその周囲に火炎を形成するような火炎を用いることが好ましい。そうすると、スート合成中に出発母材に水分やOHが混入しない。その結果、最終製品の光ファイバの伝送損失を一層低減させることができる。後者のバーナとしては、6重管〜9重管バーナを用い、内側の3〜4層には水素や炭化水素を流さないようにした。
【0117】
工程132(P132):脱水・焼結処理
第2コア23および第3コア25に相当する所定量の堆積スート130Aの合成が終了したら、第1堆積スート130AをOVD100Aのチャック106,106から外して反応容器102の外部に取り出し、ガラス化装置に導入して脱水および焼結処理を行う。これにより、第2コア23および第3コア25の部分となる第2のプリフォームロッドが合成できる。
【0118】
工程133(P133):第1堆積スートの延伸処理
脱水・焼結処理の済んだ第2のプリフォームロッドを、第1のプリフォームロッドについて行ったと同様、不活性雰囲気の電気炉延伸装置に導入して延伸処理を行う。
【0119】
工程141(P141):第2界面部分のドライエッチング
電気炉延伸装置による延伸処理は、上述したように、原則として、延伸処理後、第2界面26となる第3コア25の表面についてフッ酸などによるウエットエッチング処理は不要である。
しかしながら、第2のプリフォームの移動中、あるいは保管中に第2のプリフォームの表面に異物が付着したり、電気炉延伸装置内の延伸中で異物が付着する可能性があるので、第1実施の形態において述べたと同様、図2に図解したOVD装置100においてドライエッチングをすることが望ましい。
【0120】
工程151(P151):クラッドのスート合成
工程131における第2コア23および第3コア25のスート合成と同様、ドライエッチング終了後、即座に、工程141で延伸されたロッド(第2コア23と第3コア25との延伸ロッド)130Bを図5のOVD装置100Aの反応容器102内に導入し、チャック106,106で把持させる。
【0121】
図5の制御装置170Aは、図2の制御装置160と同様の制御を行う。たとえば、制御装置170Aは、たとえば、スピンドル機構105,105を駆動して、出発母材120Aを水平方向に往復移動かつ回転させる。また制御装置170Aは、マフフローコントローラを制御して、燃焼ガス供給源141からバーナ101に燃焼ガスを供給し、且つ、原料ガス供給源142からバーナ101へ原料ガス、すなわちガラス原料SiClを供給し、クラッド27となるスート(堆積スート132A)を合成する作業を開始する。
【0122】
このスート合成の初期段階において、第1実施の形態と同様、たとえば、数回〜数十回、出発母材120Aをトラバースさせて第2堆積スート132Aを合成する期間、上記同様、(CO+O)火炎、あるいは、火炎の中心部に水分やOHを含まないガスでその周囲に火炎を形成するような火炎を用いることが好ましい。そうするとスート合成中に出発母材に水分やOHが混入しない。その結果、最終製品としての光ファイバの伝送損失を一層低減することができる。
【0123】
工程152(P152):脱水・焼結処理
クラッド27に相当する堆積スート132Aの合成が終了したら、第2堆積スート132Aを図5のOVD装置100Aのチャック106,106から外して反応容器102の外部に取り出し、ガラス化装置に導入して脱水および焼結処理を行う。これにより、クラッド27の部分となる第3のプリフォームロッドが合成できる。
【0124】
制御装置170Aは、第1実施の形態と同様、上記ドライエッチングにおけるエッチング量の管理を行う。
【0125】
上述した工程における作業で、充分にクラッド27が形成されない場合は、再度、電気炉延伸装置を用いてロッドを延伸して、さらに図5に図解したOVD装置100Aに導入してスートを合成して、再び、ガラス化装置に導入して脱水・焼結して最終的なプリフォームを形成する。
【0126】
クラッド27の外面の界面はモードフィールド径より十分外なので、クラッド27のためのスート堆積前のロッドをフッ酸などでドライエッチングする必要はない。また、ロッドを火炎研磨しても問題はない。
【0127】
伝送損失が非常に低いことが要求される光ファイバ、あるいは、波長1.38μmまたは1.42μmにおける伝送損失が低いことが要求される光ファイバの製造は上記同様の処理を行うことが好ましい。
【0128】
以上のとおり、モードフィールド径内に位置する界面、たとえば、図4(A)の第1界面22および第2界面26は、第2および第3コアのためのスートの合成前のドライエッチング処理により水分やOHが除去され、電気炉延伸装置内もロッドの運搬中にロッドの表面に付着した異物が除去される。したがって、このように製造したM型プロファイルを持つ光ファイバ母材2の第1界面22および第2界面26における発泡が非常に少なくなる。また、図5に図解したOVD装置100Aでスートを合成する際に、バーナ火炎により混入する可能性のある水分やHが入らない火炎とすることで界面の水分やHの量を著しく低減できる。
【0129】
以上の方法で製造したM型プロファイルを持つ光ファイバ母材を線引きして光ファイバを製造した時の伝送損失を測定した。
従来方法で製造したM型プロファイルを持つ光ファイバの伝送損失は、波長1.38μmにおいて、1dB/kmであったが、第2実施の形態により製造したM型の屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材2は、波長1.38μmにおいて、0.28〜0.45dB/kmに伝送損失が低下した。さらに、線引での発泡による光ファイバ径の変動も、従来の半分以下に低減できた。
【0130】
第3実施の形態
図7(A)はセグメント型の屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材3の断面図であり、図7(B)はその屈折率プロファイルを図解した図である。
図7(A)に図解したセグメント型の屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材3は、センタ・コア31と、センタ・コア31の外周に位置するディプレスト層33と、ディプレスト層33の外周に位置するセグメント層35と、セグメント層35の外周に位置するクラッド37とを有する。
【0131】
このセグメント型の屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材3には、センタ・コア31とディプレスト層33との間に第1界面32が存在し、ディプレスト層33とセグメント層35との間に第2界面34が存在し、セグメント層35とクラッド37の間に第3界面36が存在する。これら第1界面32、第2界面34、第3界面36はモードフィールド内にある。
【0132】
図7(B)に図解したように、屈折率を変化させるドーパントがドープされていないクラッド37の屈折率を基準にとると、センタ・コア31の屈折率がクラッド37の屈折率よりΔ31だけ高く、ディプレスト層33の屈折率がΔ32だけ低く、セグメント層35の屈折率がΔ33だけ高い。
【0133】
セグメント型の屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材3の製造において、クラッド37より屈折率の高いセンタ・コア31およびセグメント層35の製造には屈折率を増加させるドーパント、たとえば、GeOをドープし、クラッド37より屈折率の低いディプレスト層33には屈折率を低下させるドーパントとして、たとえば、F素をドープする。
【0134】
セグメント型の屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材3の製造に際しても、センタ・コア31をOVD法またはVAD法で製造し、ディプレスト層33、セグメント層35およびクラッド37を図2のOVD装置100、ガラス化装置、電気炉延伸装置を用いて製造することができる。
【0135】
モードフィールド内に第1界面32、第2界面34および第3界面36に対するドライエッチング処理、および、第1界面32の外側に位置するディプレスト層33、第2界面34の外側に位置するセグメント層35、および、第3界面36の外側に位置するクラッド37の初期段階のスート合成時に、第1および第2実施の形態として述べたように、たとえば、数回〜数十回、出発母材120Aをトラバースさせて第2堆積スート132Aを合成する期間、上述したように、(CO+O)火炎、あるいは、火炎の中心部がOHや水分を含まないガスでその周囲に火炎を形成するような火炎を用いることが好ましいことは、第3実施の形態のセグメント型の屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材3の製造においても同様である。
【0136】
本発明の例示的な複数の実施の形態について述べたが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。
たとえば、図2および図5に図解したOVD装置においては、バーナ101が固定しており、出発母材120が水平方向に往復移動し、かつ、回転する場合を述べたが、それとは逆にバーナ101が水平方向に往復移動し、出発母材120は水平方向には移動せず、回転のみするように構成することもできる。
【0137】
第1実施の形態として図1〜図3を参照して述べたW型の屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材1の製造方法およびその装置において、ディプレスト層13およびクラッド15の製造の際、ロッドの延伸を火炎延伸処理し、第1界面12および第2の界面14のドライエッチングを図2に図解したOVD100で行う例を述べたが、ロッドの延伸に電気炉延伸装置を用い、第1界面12および第2の界面14のエッチングに図2に図解したOVD装置100を用いることもできる。
【0138】
逆に、第2実施の形態において、M型の屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材2の製造の際、第2コア23、第3コア25およびクラッド27の製造のために、電気炉延伸装置を用いてロッドの延伸を行い、図2に図解したOVD装置100を用いて第1界面22、第2界面26のドライエッチングを行ったが、第1実施の形態と同様、ロッドの延伸を火炎延伸法で行うこともできる。
【0139】
【発明の効果】
本発明によれば、モードフィールド内に少なくとも1つの界面を有し、その界面の前後のスートを異なる方法で製造する際、表面に水分やOHが反応した層がある場合や、ロッドの輸送中などにおいてロッドの表面に異物が付着している場合でも、スートを合成する前にドライエッチングを施すことにより、界面に混入した水分やOHや、あるいは、光ファイバ母材の表面に付着したに異物を除去することができる。また、異物などに起因する発泡の発生による光ファイバ径の変動を抑制することもできる。
【0140】
好ましくは、上記エッチングの直後、OVD装置でスートを合成する時に、スート堆積初期、たとえば、ロッドを数回〜数十回トラバースする間、バーナ火炎を、(CO+O)火炎、あるいは、火炎の中心部が水素や水分を含まないガスでその周囲に火炎を形成するような火炎を用いることにより、一層、ロッドに水分やOHが混入させないでスートを堆積することができる。その結果、最終製品の光ファイバにおける伝送損失を一層低下させることができ、加えて、異物などの存在に起因する発泡に伴う光ファイバ径の変動を非常に抑制することができる。
【0141】
以上のように本発明によって製造した光ファイバ母材から光ファイバを製造すると、伝送損失の低い光ファイバ、および、光ファイバ径の変動が少ない光ファイバが製造できる。
【0142】
本発明の光ファイバ母材を製造する装置は、専用装置を必要とせず、既存のOVD装置のガス供給源にエッチング用のガス供給源を追加し、それに伴いバーナを変更するだけで実現することができる。したがって、装置価格が高価にならず、製造工程も増加しないという効果を奏する。その結果、光ファイバ母材はもとより、最終製品の光ファイバの価格を高騰させることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は本発明の第1実施の形態の光ファイバ母材の断面図であり、図1(B)は図1(A)に図解した光ファイバ母材の屈折率のプロファイルを図解した図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態に用いる外付け法(OVD法)でスートを合成するOVD装置の構成図である。
【図3】図3は本発明の第1実施の形態のW型光ファイバ母材の製造方法を示す工程図である。
【図4】図4(A)は本発明の第2実施の形態の光ファイバ母材の断面図であり、図4(B)は図4(A)に図解した光ファイバ母材の屈折率のプロファイルを図解した図である。
【図5】図5は本発明の第2実施の形態に用いるOVD装置の構成図である。
【図6】図6は本発明の第2実施の形態のW型光ファイバ母材の製造方法を示す工程図である。
【図7】図7(A)は本発明の第3実施の形態の光ファイバ母材の断面図であり、図7(B)は図7(A)に図解した光ファイバ母材の屈折率のプロファイルを図解した図である。
【符号の説明】
1・・W型の屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材
11・・センタ・コア、12・・第1界面
13・・ディプレスト層、14・・第2の界面
15・・クラッド
2・・M型の屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材
21・・センタ・コア、22・・第1界面
23・・第2コア、25・・第3コア
26・・第2界面、27・・クラッド
3・・セグメント型の屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材
31・・センタ・コア、32・・第1界面
33・・ディプレスト層、34・・第2界面
35・・セグメント層、36・・第3界面
37・・クラッド
100、100A・・光ファイバ母材製造装置
101・・バーナ、102・・反応容器
103・・バーナ収容部(バーナボックス)
104・・排気部、105・・スピンドル機構
106・・チャック、120・・出発母材、121・・支持部材
130・・第1堆積スート(ディプレスト層部分)
132・・第2堆積スート(クラッド部分)
141・・燃焼ガス供給源、142・・原料ガス供給源
143・・エッチング用ガス供給源
161〜164・・ガス供給ライン
170、170A・・制御装置

Claims (14)

  1. モードフィールド内に少なくとも1の界面を持つ光ファイバ母材を製造する方法において、
    バーナからでるバーナ火炎でスートを堆積させる工程において、前記バーナ火炎内に水酸基および/または水分が発生しない燃焼ガスを用いた火炎で、スート堆積前の出発母材を加熱する、
    ことを特徴とする、光ファイバ母材の製造方法。
  2. 前記燃焼ガスにハロゲンガスを含む、
    請求項1記載の光ファイバ母材の製造方法。
  3. 前記燃焼ガスを前記スート堆積前の出発母材に当てた直後、あるいは、前記火炎にて、前記スートの堆積を行う、
    請求項1または2記載の光ファイバ母材の製造方法。
  4. 前記燃焼ガスで前記スート堆積前の前記出発母材を加熱した直後のスート堆積の少なくとも初期段階まで、前記水酸基および/または水分が発生しない燃焼ガスを用いてスートを合成する、
    請求項3記載の記載の光ファイバ母材の製造方法。
  5. 前記燃焼ガスを用いた火炎を前記スート堆積前の出発母材に当てる工程をOVD法で行う、
    請求項1〜4いずれか記載の光ファイバ母材の製造方法。
  6. 前記スート堆積をOVD法で行う、
    請求項3〜5いずれか記載の光ファイバ母材の製造方法。
  7. 前記スート堆積前の前記燃焼ガスを用いた火炎を前記出発母材に当てる時間は、前記出発母材のエッチング量を測定して決定する、
    請求項1記載の光ファイバ母材の製造方法。
  8. 前記スート堆積前の前記燃焼ガスを用いた火炎を前記出発母材に当てる時間は、前記バーナに供給するガスの流量を制御して管理する、
    請求項1記載の光ファイバ母材の製造方法。
  9. 前記スート堆積の初期段階の検出として、前記火炎と前記出発母材との相対運動回数を用いる、
    請求項4記載の光ファイバ母材の製造方法。
  10. 前記スート堆積後のロッドの延伸を、前記バーナ火炎による火炎延伸で行う、
    請求項1〜9いずれか記載の光ファイバ母材の製造方法。
  11. 前記スート堆積後のロッドの延伸を、不活性雰囲気の電気炉延伸装置を用いて行う、
    請求項1〜9いずれか記載の光ファイバ母材の製造方法。
  12. モードフィールド内に少なくとも1の界面を有する光ファイバ母材を製造する装置であって、
    出発母材にスートを堆積する前に、バーナ火炎内に水酸基および/または水分が実質的に発生しない燃焼ガスを用いた火炎を前記スート堆積前の出発母材に当てる手段と、
    前記燃焼ガスを前記スート堆積前の出発母材に当てた直後、前記スートの堆積を行う手段と
    を有する、光ファイバ母材の製造装置。
  13. 前記燃焼ガスはハロゲンガスを含む、
    請求項12記載の光ファイバ母材の製造装置。
  14. 前記スートの堆積を行う手段は、前記スート堆積の少なくとも初期段階まで前記水酸基および/または水分が発生しない燃焼ガスを用いてスートを合成する手段をさらに有する、
    請求項12または13記載の光ファイバ母材の製造装置。
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