JPH10206654A - 光ファイバ及びその製造方法 - Google Patents

光ファイバ及びその製造方法

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JPH10206654A
JPH10206654A JP567697A JP567697A JPH10206654A JP H10206654 A JPH10206654 A JP H10206654A JP 567697 A JP567697 A JP 567697A JP 567697 A JP567697 A JP 567697A JP H10206654 A JPH10206654 A JP H10206654A
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JP
Japan
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core
base material
refractive index
glass
optical fiber
Prior art date
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Application number
JP567697A
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English (en)
Inventor
Yoshio Yokoyama
佳生 横山
Akira Urano
章 浦野
Toshio Danzuka
俊雄 彈塚
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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Priority to US09/007,798 priority patent/US6535679B2/en
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 MFDを大きくし、非線形光学効果による影
響を効果的に抑える構造を備えた光ファイバ、及び製造
時における、透明化された母材中の気泡、該母材の変
形、さらには母材表面の傷の発生を効果的に抑える製造
方法を提供する。 【解決手段】 この発明に係る光ファイバ1は、第1及
び第2クラッド30、40の各屈折率が、それぞれ内側
領域から周辺領域に向かって径方向に、高くなってい
る。また、その製造方法では、第1及び第2クラッド3
0、40になるべき各母材領域の製造工程において、径
方向のフッ素添加量が減少するよう、フッ素原料の供給
量が調節される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、長距離大容量光
通信システムに適用可能な光ファイバであって、特に、
波長分割多重(WDM)通信方式に好適でかつその零分
散波長が所望範囲範囲内に設定された分散シフトファイ
バに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、伝送路としてシングルモード
光ファイバ(以下、SM光ファイバという)が適用され
た光通信システムでは、通信用信号光として1.3μm
波長帯あるいは1.55μm波長帯の光が利用されるこ
とが多かった。ただし、最近では、伝送路中における伝
送損失低減の観点から1.55μm波長帯の光の使用が
増しつつある。特に、1.55μm波長帯の光の伝送路
に適用されるSM光ファイバ(以下、1.55μm用S
M光ファイバという)は、石英系SM光ファイバの伝送
損失が1.55μm波長帯の光に対して最小になること
から、その波長分散(波長によって光の伝搬速度が異な
るためパルス波が広がる現象)も1.55μm波長帯の
光に対してゼロになるよう設計されている。このよう
に、ゼロ分散波長が1.55μm波長帯付近にシフトし
た1.55μm用SM光ファイバは、一般に分散シフト
ファイバと呼ばれる。
【0003】従来の分散シフトファイバとしては、例え
ば特許番号第2533083号公報(第1従来例)に、
その零分散波長が1.55μm付近にシフトされた分散
シフトファイバの断面構造、組成及びその製造方法が開
示されている。この第1従来例の分散シフトファイバ
は、GeO2−SiO2(ゲルマニウムを含むSiO2
からなる内側コアと、SiO2からなる外側コアと、F
−SiO2(フッ素を含むSiO2)からなるクラッドと
を備えている。ただし、この第1従来例の分散シフトフ
ァイバの屈折率プロファイルは、クラッドに相当する部
分に凹みを持たない、いわゆるMatched 型プロファイル
であり、このMatched 型プロファイルを有する光ファイ
バをこの明細書ではMatched 型ファイバという。一方、
クラッドに相当する部分に凹みが設けられた屈折率プロ
ファイルは、Depressed cladding型プロファイルと言わ
れ、特にこの明細書では、このDepressed cladding 型
プロファイルを有する光ファイバをDepressed 型ファイ
バという。なお、この第1従来例の分散シフトファイバ
の構造では、1.55μm付近の零分散波長の設定のみ
が実現可能である。
【0004】また、特開昭63−208005号公報
(第2従来例)には、コアの外周に該コアよりも低い屈
折率を有する第1クラッドと、該第1クラッドの外周に
該第1クラッドよりも高い屈折率を有する第2クラッド
を備えた、Depressed cladding型プロファイルを有する
分散シフトファイバが開示されている。この第2従来例
の分散シフトファイバの目的は、1.3μm〜1.5μ
m波長帯の広範囲に渡って波長分散を抑えることにあ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年、高速かつ大容量
の伝送システムの構築が盛んに研究されているが、その
うち、特に、波長分割多重(WDM)方式の伝送システ
ムが注目を集めている。この方式は、互いに波長の異な
る複数の信号光を同時に1つの伝送路で伝送する方式で
あり、伝送可能な情報量を飛躍的に増加させる技術であ
る。
【0006】このような伝送システムを実現するため、
伝送路として適用される光ファイバには様々な新しい仕
様が要求されており、上述したような従来の分散シフト
ファイバでは既に対応できない状況となってきている。
【0007】特に、従来の分散シフトファイバのモード
フィールド径(MFD)は8μm程度であり、信号光の
パワーが大きくなると非線形光学効果による影響が発生
しやすくなる。また、伝送システムに適用される各分散
シフトファイバ間では波長分散のバラツキが大きいた
め、信号光波長とそれらの零分散波長とが一致してしま
うと、非線形光学効果の一つである四光波混合によるノ
イズが発生しやすくなるなどの課題があった。
【0008】なお、非線形光学効果とは、光強度の密度
等の増大とともに信号光パルスが歪む現象であり、伝送
速度の大きな制約要因となる。
【0009】さらに、光ファイバの主成分である石英ガ
ラスの屈折率を調節するために例えばフッ素が添加され
ると、該光ファイバの多孔質母材の焼結(母材の透明
化)の際に、該母材中に気泡や該母材自体の変形が発生
する可能性がある。また、このような不純物の添加に起
因して、透明化されたガラス表面(母材表面)に生じた
傷は、線引時に光ファイバの断線等を引き起こす原因に
もなる。
【0010】この発明は上記のような課題を解決するた
めになされたもので、MFDを大きくし、非線形光学効
果による影響を効果的に抑える構造を備えた光ファイバ
を提供するとともに、製造時における、透明化された母
材中の気泡、該母材の変形、さらには母材表面の傷の発
生を効果的に抑える該光ファイバの製造方法を提供する
ことを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明に係る光ファイ
バは、MFDが8.6μm以上、好ましくは9μm以上
であり、かつその零分散波長を代表的な信号光波長であ
る1.55μmよりも長波長側あるいは短波長側にシフ
トさせた分散シフトファイバであって、石英ガラスを主
成分とするシングルモード光ファイバである。当該分散
シフトファイバでは、その零分散波長を信号光波長から
所定量ずらすことにより、故意に波長分散を発生させ、
非線形光学効果の影響を抑えているので、各分散シフト
ファイバ間での零分散波長のバラツキを許容した伝送シ
ステムの構築を可能にしている。
【0012】また、この発明に係る光ファイバは、図1
に示されたように、第1の屈折率n1を有する第1コア
10(内側コア)と、該内側コア10の外周に設けられ
かつ該第1の屈折率n1よりも低い第2の屈折率n2を有
する第2コア20(外側コア)と、該外側コア20の外
周に設けられかつ該第2の屈折率n2よりも低い第3の
屈折率n3を有する第1クラッド30(内側クラッド)
と、該内側クラッド30の外周に設けられかつ該第3の
屈折率n3よりも高い第4の屈折率n4を有する第2クラ
ッド40(外側クラッド)とを備えている。
【0013】特に、この発明に係る光ファイバの内側及
び外側クラッド30、40は、それぞれ各ガラス領域の
内側領域から周辺領域に向かって径方向に、その屈折率
が高くなっているとともに、いずれも屈折率調整用添加
物としてフッ素を含むことを特徴としている。
【0014】また、この発明に係る光ファイバは、Depr
essed cladding 型の屈折率プロファイルを有する。こ
の屈折率プロファイルは、基本組成として、内側コア1
0を少なくともゲルマニウム(屈折率を上げるための添
加物)を含む石英ガラス(GeO2−SiO2)、外側コ
ア20を実質的にゲルマニウムを含まない石英ガラス
(SiO2)あるいはゲルマニウムを含む石英ガラス
(GeO2−SiO2)、内側クラッド30を少なくとも
フッ素(屈折率を低下させるための添加物)を含む石英
ガラス(F−SiO2)、そして、外側クラッド40を
少なくともフッ素を含む石英ガラス(F−SiO2)と
することにより実現可能である。なお、上記外側コア2
0には、GeO2が添加されると、その屈折率プロファ
イルの平坦化が難しくなるため、ゲルマニウムを含まな
い方がより好ましい。
【0015】次に、この発明に係る光ファイバの製造方
法は、上述の構造を備えた光ファイバを得るべく、VA
D(Vapor phase axial deposition)法、OVD(Outs
idevapor phase deposition)法等の気相合成法によ
り、長手方向に沿ってその中央部分が内側コア10とな
り、該中央部分を取り囲む周辺部分が外側コア20とな
るべき多孔質母材50を形成し、該多孔質母材50を焼
結してコアガラス母材51を得る第1工程(図2及び図
3参照)と、該コアガラス母材51を所望の外径に延伸
し(図4参照)、気相合成法により、該延伸されたコア
ガラス母材51の外周に内側クラッド30となるべき第
1多孔質ガラス体を堆積させて得られた第1複合母材5
2(図5参照)を、所定濃度のフッ素原料を含む所定温
度の雰囲気中で加熱処理した後、さらに該雰囲気温度を
上昇させるとともに該雰囲気中に含まれるフッ素原料の
濃度を変えた状態で(図8参照)、該第1複合母材52
を透明ガラス化し透明な中間母材53を得る第2工程
(図7参照)と、該中間母材53を所望の外径に延伸し
(図4参照)、気相合成法により、該延伸された中間母
材53の外周に外側クラッド40となるべき第2多孔質
ガラス体を堆積させて得られた第2複合母材54(図5
参照)を、所定濃度のフッ素原料を含む所定温度の雰囲
気中で加熱処理した後、さらに該雰囲気温度を上昇させ
るとともに該雰囲気中に含まれるフッ素原料の濃度を変
えた状態で(図8参照)、該第2複合母材54を透明ガ
ラス化し透明な光ファイバ母材55を得る第3工程(図
7参照)と、を少なくとも備えている。
【0016】特に、この発明に係る光ファイバの製造方
法における第2及び第3工程では、屈折率調整材料とし
て、内側及び外側クラッド30、40となるべき母材領
域に添加されるフッ素原料の供給量の調節(上述の加熱
処理及び透明ガラス化処理における雰囲気中のフッ素濃
度の調節)を行っている。具体的には、この屈折率調整
材料であるフッ素がガラス材料内に添加されると、該ガ
ラス表面には傷等がつき易くなるため、第2工程にいお
いて、第1複合母材52を加熱処理しているときの雰囲
気中に含まれるフッ素原料の濃度が、該第1複合母材5
2を透明ガラス化しているときの雰囲気中に含まれるフ
ッ素原料の濃度よりも高く設定されるとともに、第3工
程にいおいても、第2複合母材54を加熱処理している
ときの雰囲気中に含まれるフッ素原料の濃度が、該第2
複合母材54を透明ガラス化しているときの雰囲気中に
含まれるフッ素原料の濃度よりも高く設定されている。
【0017】このように、内側クラッド30となるべき
母材領域のフッ素濃度を、その内側領域から周辺領域に
向かって径方向に低下させる(該母材領域の屈折率を径
方向に増加させる)ことにより、結果的に外側クラッド
40となるべき母材領域の内側領域との屈折率の差を小
さくすることになる。換言すれば、得られる光ファイバ
において、内側クラッド30と外側クラッド40との界
面におけるフッ素濃度を小さくするよう所定の母材領域
に添加されるフッ素濃度を調節することにより、該母材
の焼結において、気泡の発生や該母材自体の変形を抑え
るのに有効である。さらに、外側クラッド40となるべ
き母材領域にも同様にフッ素添加量を径方向に調節する
ことにより、加熱時の変形や、製造中の取り扱い時にお
ける母材外周面あるいは得られる光ファイバ外周面の傷
等の発生を効果的に抑制することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施例を図1
〜図9を用いて説明する。なお、図中同一部分には同一
符号を付して説明を省略する。
【0019】図1(a)は、この発明に係る光ファイバ
(Depressed cladding 型プロファイルを有する分散シ
フトファイバ)の断面構造及びその屈折率プロファイル
を示す図である。特に、この発明に係る光ファイバ1
は、モードフィールド径(MFD)が8.6μm以上
(好ましくは9μm以上)かつその零分散波長が1.5
5μmよりも長波長側あるいは短波長側にシフトされた
分散シフトファイバであって、石英ガラスを主成分とす
るシングルモード光ファイバである。
【0020】この図において、当該光ファイバ1は、コ
ア領域として、第1の屈折率n1を有する、外径aの内
側コア10と、該内側コア10の外周に設けられかつ第
1の屈折率n1よりも低い第2の屈折率n2を有する外径
bの外側コア20を備えている。
【0021】さらに、上記コア領域(内側及び外側コア
10、20を含む)の外周には、クラッド領域として、
外側コア20の外周に設けられかつ第2の屈折率n2
りも低い第3の屈折率n3を有する、外径cの内側クラ
ッド30と、該内側クラッド30の外周に設けられたガ
ラス領域であって、第3の屈折率n3よりも高くかつ第
2の屈折率n2よりも低い第4の屈折率n4を有する、外
径dの外側クラッド40を備えることにより、クラッド
領域に相当する部分に凹みAが設けられたDepressed cl
adding 型プロファイルを実現している(図1(a)参
照)。
【0022】特に、内側クラッド30及び外側クラッド
40は、図1(b)に示されたように、内側領域から外
側領域に向かって径方向に、その屈折率が低下してい
る。換言すれば、各第1及び第2クラッド30、40に
含まれるフッ素(屈折率を低下させるための添加物)の
濃度は、その内側領域から外側領域に向かって径方向
に、フッ素濃度が低下している。
【0023】なお、図中faは内側クラッド30の内側
領域におけるフッ素濃度、fb(<fa)は該内側クラ
ッド30の周辺領域におけるフッ素濃度、fcは外側ク
ラッド40の内側領域におけるフッ素濃度、fd(<f
c)は外側クラッド40の周辺領域におけるフッ素濃度
である。
【0024】また、図1に示された屈折率プロファイル
150の横軸は、当該光ファイバ1(Depressed 型ファ
イバ)の断面(伝搬する信号光の進行方向に対して垂直
な面)における線L上の各位置に相当している。さら
に、この屈折率プロファイル150において、領域10
1は上記内側コア10の線L上の各部位の屈折率
(n1)、領域102は上記外側コア20の線L上の各
部位の屈折率(n2)、領域103は上記内側クラッド
30の線L上の各部位の屈折率(n3)、領域104は
上記外側クラッド40の線L上の各部位の屈折率
(n4)に対応している。
【0025】この発明に係る光ファイバ1の基本組成
は、内側コア10がGeO2−SiO2、外側コア20が
SiO2あるいはGeO2−SiO2、内側クラッド30
がF−SiO2、そして、外側クラッド40がF−Si
2である。
【0026】ただし、この発明に係る光ファイバ1は、
後述するように少なくとも内側コア10及び外側コア2
0には塩素が含まれるため、実際の組成及び純石英ガラ
スに対する比屈折率差Δは以下のようになる。
【0027】 内側コア :SiO2+GeO2+Cl Δ=(α+0.8)%〜(α+0.9)% 外側コア :SiO2+(GeO2)+Cl Δ=α% 内側クラッド:SiO2+F+(Cl) (内側領域) Δ=(α−0.3)%〜(α−0.1)
% 外側クラッド:SiO2+F+(Cl) (内側領域) Δ=(α−0.15)%〜(α−0.0
5)% なお、図1の光ファイバ1では、各内側及び外側クラッ
ド30、40の屈折率が、内側領域から外側領域に向か
って径方向に高くなるよう設計されている(外側コア2
0と内側領域の屈折率の差よりも、外側コア20と周辺
領域の屈折率の差の方が小さい)。また、αは屈折率変
化に対する塩素(Cl)の寄与分であり、α=0.1〜
0.2%である(Clは屈折率を上げる添加物として知
られており、該Clによる屈折率変化は、該Clの濃度
1000ppm当たり0.01%である)。また、この
明細書において各ガラス領域の比屈折率差Δは純石英ガ
ラスを基準にして以下のように定義されている。
【0028】 Δ=(nt 2−n0 2)/2n0 2≒(nt−n0)/n0 ここで、n0は基準となる純石英ガラスの屈折率、nt
各ガラス領域の屈折率を示す。
【0029】次に、この発明に係る光ファイバ1の製造
方法について、図2〜図9を用いて説明する。
【0030】当該製造方法では、第1工程で内側コア1
0と外側コア20を含むコア領域となるべき多孔質母材
50をVAD(Vapor phase axial deposition)法、O
VD(Outside vapor phase deposition)法等の気相合
成法により形成し、さらに該多孔質母材50を焼結して
透明なコアガラス母材51を得る。
【0031】図2は上記VAD法による第1工程の各処
理を説明するための図であり、図3は上記OVD法によ
る第1工程の各処理を説明するための図である。
【0032】まず、VAD法による第1工程を図2を用
いて説明する。
【0033】このVAD法による第1工程では、図2
(a)に示されたスス付け装置により多孔質母材50が
製造される。このスス付け装置は、少なくとも排気口5
04を備えた容器500と、多孔質母材50を支持する
ための支持機構503を備えている。また、支持機構5
03には回転可能な支持棒502が設けられており、こ
の支持棒502の先端には多孔質母材50を成長させる
ための出発棒501が取り付けられている。
【0034】図2(a)のスス付け装置には、さらに内
側コア10となるべき多孔質ガラス体(スス体)を堆積
させるためのバーナー552と、外側コア20となるべ
き多孔質ガラス体(スス体)を堆積させるためのバーナ
ー551が設けられており、ガス供給システム600か
らは各バーナー551、552に対して所望の原料ガス
(例えばGeCl4、SiCl4等)、燃焼ガス(H2
びO2)、及びArやHe等のキャリアガスが供給され
る。
【0035】多孔質母材50の製造中、バーナー552
及びバーナー551の火炎中では、ガス供給システム6
00から供給された原料ガスの加水分解反応によりガラ
ス微粒子が生成され、これらガラス微粒子が出発棒50
1の先端部分に堆積していく。この間、支持機構503
は、その先端に設けられた支持棒502を矢印S1で示
された方向に回転させながら矢印S2で示された方向
(多孔質母材50の長手方向)に沿って引き上げる動作
を行っている。この動作により、多孔質ガラス体が出発
棒501から下方に向かって成長していき、長手方向に
沿ってその中央部分が内側コア10となり、該中央部分
を取り囲む周辺部分が外側コア20となるべき多孔質母
材50(スート・プリフォーム)が得られる。
【0036】続いて、上述の工程で得られた多孔質母材
50は、図2(b)に示された加熱容器700内に設置
され、ハロゲンガスを含む雰囲気中で脱水処理が施され
る。なお、この加熱容器700には該ハロゲンガスを供
給するための導入口702と排気口701が設けられて
いる。また、この脱水処理中、支持機構503は多孔質
母材50を矢印S3で示された方向に回転させながら、
矢印S4で示された方向に沿って移動させるよう動作す
る(この動作により、多孔質母材50全体が加熱され
る)。
【0037】脱水処理中の容器内温度は1000℃〜1
300℃程度であり、好ましくは1050℃〜1150
℃である。また、この実施例では濃度20000ppm
(2%)の塩素ガス(Cl2)を導入口702から供給
しながら脱水処理を行ったが、塩素ガスの濃度は100
00ppm〜50000ppm(1%〜5%)程度であ
れば十分にその効果が得られる。
【0038】脱水処理用ガスとしては、塩素ガスの他S
iCl4等のハロゲンガスでも同様の効果が得られる。
特に、SiCl4は塩素の添加量を増加し、外側コア2
0と内側クラッド30との屈折率差を増加させる手段と
なり得る。
【0039】なお、この第1工程において、バーナー5
52及び551に供給される原料ガスは、得られる光フ
ァイバの内側コア10の外径aに対する外側コア20の
外径bの比(b/a)が、7.5〜15となるよう調節
されている。
【0040】以上の処理を経て得られた多孔質母材50
は、引続き上述された加熱容器700内で透明ガラス化
される。すなわち、図2(c)には図2(b)に示され
た加熱容器の主要部分のみが示されている。図示のよう
に支持機構503が多孔質母材50を矢印S5で示され
た方向に回転させながら矢印S6で示された方向に沿っ
て移動させるよう動作する。この動作により、該多孔質
母材50はその先端からヒーター750内に送り込まれ
(透明ガラス化時の容器内温度は1500℃〜1650
℃)、透明なコアガラス母材51が得られる。
【0041】なお、上述した多孔質母材50の製造、脱
水処理、及び焼結処理は同一の容器内で行うことも可能
である。
【0042】次に、OVD法による第1工程を図3を用
いて説明する。
【0043】このOVD法による第1工程では、図3
(a)に示されたスス付け装置により多孔質母材50が
製造される。このスス付け装置の容器800内には、そ
の一端が支持棒502を介して支持機構503に保持さ
れるとともに、他端が補助機構504によって保持され
た中心棒801が備えられている。また、このスス付け
装置の容器800には排気口802と、該多孔質母材5
0を中心棒801に沿って成長させるためのバーナー8
50を備えている。
【0044】多孔質母材50の製造中、バーナー850
の火炎中では、ガス供給システム600から供給された
原料ガスの加水分解反応によりガラス微粒子が生成さ
れ、これらガラス微粒子が中心棒801の側面に堆積し
ていく。この間、支持機構503と補助機構504は、
中心棒801を矢印S7で示された方向に回転させなが
ら矢印S8、S9で示された方向に沿って移動させるよ
う動作する。この動作により、多孔質ガラス体が中心棒
801に沿って成長していく。なお、この工程は内側コ
ア10となるべき多孔質ガラス体の形成と、外側コア2
0となるべき多孔質ガラス体の形成のため、2回繰り返
され、これにより、長手方向に沿ってその中央部分が内
側コア10となり、該中央部分を取り囲む周辺部分が外
側コア20となるべき多孔質母材50(スート・プリフ
ォーム)が得られる。
【0045】続いて、上述の工程で得られた多孔質母材
50は、中心棒801が引き抜かれ、代りに補助棒70
3が取り付けられた状態で、図3(b)に示された加熱
容器700内に設置され、ハロゲンガスを含む雰囲気中
で脱水処理が施される。なお、この加熱容器700には
該ハロゲンガスを供給するための導入口702と排気口
701が設けられている。また、この脱水処理中、支持
機構503は多孔質母材50を矢印S10で示された方
向に回転させながら矢印S11で示された方向に沿って
移動させるよう動作する。この動作により、多孔質母材
50母材全体が加熱される。なお、脱水処理中の容器内
温度、供給される塩素ガス濃度等の条件は上述したVA
D法(図2)の場合と同様でよい。
【0046】以上の処理を経て得られた多孔質母材50
は、引続き上述された加熱容器700内で透明ガラス化
される。すなわち、図3(c)には図3(b)に示され
た加熱容器の主要部分のみが示されている。図示のよう
に支持機構503が多孔質母材50を矢印S12で示さ
れた方向に回転させながら矢印S13で示された方向に
沿って移動させるよう動作する。この動作により、該多
孔質母材50はその先端からヒーター750内に送り込
まれ、透明なコアガラス母材51が得られる。
【0047】なお、上述した多孔質母材50の製造、脱
水処理、及び透明ガラス化処理は同一の容器内で行うこ
とも可能である。また、上述したVAD法により得られ
るコアガラス母材とOVD法により得られるコアガラス
母材の構造上の差異は、該OVD法により得られたコア
ガラス母材には中心棒801を引き抜くことによりでき
た貫通孔550がある点のみである。
【0048】従って、第2工程以降の処理(特に気相合
成に係る工程)は、VAD法について詳細に説明する。
なお、該VAD法に代えてOVD法で行うことも可能で
ある。また、以降の第2工程は内側クラッド30となる
べき母材領域を製造する工程である。
【0049】第2工程では、まず第1工程(図2又は図
3)で得られた、透明なコアガラス母材51が図4に示
された延伸装置により所望の外径(仕上り外径)に延伸
される。なお、このコアガラス母材51は延伸に先立っ
て、その両端に端部処理が施され、さらに取扱を簡単に
するための棒61、62が取り付けられている。
【0050】図4の延伸装置は、矢印S14で示された
方向に沿って移動可能な上側チャック63と、矢印S1
5で示された方向に沿って移動可能な下側チャック64
を備えており、これら上側チャック63及び下側チャッ
ク64は、駆動モータ65、66により、それぞれS1
4、S14の方向に沿って動かされる。また、端部処理
されたコアガラス母材51は、棒61が上側チャック6
3に把持されるとともに、棒62が下側チャック64に
把持されることにより、図4の延伸装置に取り付けられ
る。
【0051】上記上側チャック63はS14の方向に沿
って移動することにより、コアガラス母材51をヒータ
68(例えば、縦型抵抗加熱炉)内に送り込むよう機能
する。一方、下側チャック64はS15の方向に沿って
移動することにより、ヒータ68内からコアガラス母材
51を引出すよう機能する。ヒータ68内に送り込まれ
たコアガラス母材51は部分的に軟化しているので、こ
の延伸装置では、上側チャック63の移動速度(コアガ
ラス母材51をヒータ68内への送り込む速度)よりも
下側チャック64の移動速度(コアガラス母材51をヒ
ータ68内から引出す速度)を大きくし、該コアガラス
母材51の軟化部分に引っ張り応力を加えることによ
り、該コアガラス母材51を所望の仕上り外径に延伸す
る。
【0052】なお、制御部67は、外径測定装置69に
より加熱されている軟化部分の所定部位の外径を常時モ
ニタしており、所望の仕上がり外径が得られるよう駆動
モータ65、66を制御している。
【0053】続いて、この第2工程では、以上の延伸装
置により延伸されたコアガラス母材51の外周に、さら
に内側クラッド30となるべき第1多孔質ガラス体を堆
積させ、第1複合母材52を得る。すなわち、バーナ9
00の火炎中では、図5に示されたように、ガス供給シ
ステム600から供給された原料ガスの加水分解反応に
よりガラス微粒子が生成され、これらガラス微粒子が延
伸されたコアガラス母材51の外周に堆積していく。こ
の間、該延伸されたコアガラス母材51は矢印S16で
示された方向に回転しながら矢印S17で示された方向
に沿って移動している。この動作により、コアガラス母
材51の外周に多孔質ガラス体(スス体)が堆積してい
き、第1複合母材52が得られる。
【0054】なお、この第2工程において、バーナー9
00に供給される原料ガスは、得られる光ファイバの外
側コア20の外径bに対する内側クラッド30の外径c
の比(c/b)は、1.5〜2.5(好ましくは1.8
〜2.2)となるよう調節されている。
【0055】次に、以上の工程を経て得られた第1複合
母材52は、まず脱水処理のため、一旦ハロゲンガスを
含む雰囲気中で加熱される(図6参照)。特に、コアガ
ラス母材51(ガラスロッド)の外周に多孔質ガラス体
をガラス合成する場合には、該ガラス体を形成(ガラス
合成)するための火炎で該母材の外周面が加熱されるた
め、該コアガラス母材51の表層にはOH基が侵入しや
すくなる。このため、最終的に得られる光ファイバ1に
おけるOH吸収の影響を緩和するため、脱水処理を行う
ことが重要である。
【0056】この間、支持機構503は第1複合母材5
2を矢印S18で示された方向に回転させながら矢印S
19、S20で示された方向に沿って移動させるよう動
作する。この動作により、該第1複合母材52全体が加
熱される。なお、この脱水用ガスとしてはCl2を使用
した(SiCl4でもよい)。また、加熱容器700内
に供給される塩素ガス濃度は上述した通り10000p
pm〜50000ppm(1%〜5%、この実施例で
は、20000ppm(2%))、容器内の加熱温度は
1000℃〜1300℃、好ましくは1050℃〜11
50℃である。
【0057】続いてこの工程では、透明な中間母材53
を得るべく、図7に示されたように、脱水処理が施され
た第1複合母材52がフッ素原料を含む雰囲気中で透明
ガラス化される。なお、この透明ガラス化処理は上述の
加熱容器700内で連続的に行われる。また、支持機構
503は、第1複合母材52を矢印S21で示された方
向に回転させながら矢印S22で示された方向に沿って
移動させるよう動作する。この動作により、該第1複合
母材52がヒータ750内に送り込まれる。
【0058】具体的に、加熱容器700内に供給される
フッ素系ガスとしては、SF6又はSiF4などが利用可
能であるが、この実施例では濃度20000ppm(2
%)のSiF4が供給される。このときの容器内温度は
1000℃〜1200℃(好ましくは1050℃〜11
50℃)であり、このフッ素系ガス雰囲気中で第1複合
母材52を加熱することによりフッ素を第1多孔質ガラ
ス体(コアガラス母材51の外周に形成されたスス体)
に含浸させた(加熱処理)。その後、さらに容器内温度
を1400℃〜1600℃(好ましくは1450℃〜1
550℃)まで上げて第1複合母材52を透明ガラス化
することにより中間母材53が得られる。
【0059】なお、フッ素添加量の調整はフッ素原料の
供給量を、図8に示されたように、加熱処理期間と透明
ガラス化処理期間とで変えることにより行われる。図中
Fhは加熱処理期間中のフッ素原料の供給量であり、F
s(<Fh)は透明ガラス化処理期間中のフッ素原料の
供給量である。したがって、加熱処理期間中に第1複合
母材52に含浸したフッ素は、透明ガラス化処理期間中
に母材表面から徐々に雰囲気中に拡散して行くため、結
果的に内側クラッド30となるべき母材ガラス領域中の
フッ素濃度は、内側領域から周辺領域に向かって径方向
に減少する(該ガラス領域の屈折率は径方向に増加す
る)。
【0060】次に行われる第3工程は、外側クラッド4
0となるべき第2多孔質ガラス体を、上述の第2工程で
得られた中間母材53の外周に形成し(第2複合母材5
4の製造)、さらに、第2複合母材54を焼結して光フ
ァイバ母材55を得る工程である。
【0061】この第3工程では、先に説明した第2工程
と同様に、まず、得られた中間母材53が図4に示され
た延伸装置により所望の仕上り外径に延伸される。その
後、図5に示されたように、該延伸された中間母材53
の外周に第2多孔質ガラス体を形成させることにより
(バーナ900の火炎中では、ガス供給システム600
から供給された原料ガスの加水分解反応によりガラス微
粒子が生成され、これらガラス微粒子が延伸された中間
母材53の外周に堆積していく)、第2複合母材54が
得られる。
【0062】なお、この工程において、バーナー900
に供給される原料ガスは、得られる光ファイバの内側ク
ラッド30と外側クラッド40との外径比(d/c)
が、最終的に得られる光ファイバの外径を125μmに
した際(第7工程の線引後)に所望の特性になるよう調
整されている。
【0063】続いて、この工程でも、上述した第2工程
と同様に、フッ素原料を含む雰囲気中で得られた第2複
合母材54を焼結し、最終的に光ファイバ母材55を得
る(図7及び図8参照)。特に、この第3工程でもフッ
素原料の供給量を、図8に示すように、加熱処理期間と
透明ガラス化処理期間とで変えることにフッ素添加量の
調節を行っている。これにより、内側クラッド30とな
るべき母材ガラス領域中のフッ素濃度は、内側領域から
周辺領域に向かって径方向に減少する(該ガラス領域の
屈折率は径方向に増加する)。
【0064】なお、上述の工程で得られた第2複合母材
54に対しては、必ずしも図6に示された脱水処理を行
う必要はなく、適宜省略してもよい。
【0065】ただし、この実施例では、上述したように
多孔質母材50、第1複合母材52に対しては塩素ガス
を利用して脱水処理が施されているため、必然的に最終
的に得られる光ファイバ1の内側コア10、外側コア2
0、及び内側クラッド30には塩素が含まれることとな
る。この場合、内側クラッド30における塩素含有量
は、内側及び外側コア10、20における塩素含有量よ
りも少ないことが好ましい。塩素は屈折率を上げる添加
物と知れらており、コア領域(内側及び外側コア10、
20を含む)に塩素を添加することにより、当該光ファ
イバの屈折率プロファイルの形状を変えることなくクラ
ッド領域(内側及び外側クラッド30、40を含む)に
添加されるフッ素の添加量を低減させることが可能とな
るからである。
【0066】以上のように製造された光ファイバ母材5
5は、図9に示されたように、当該光ファイバ1の内側
コア10となるべき内側コアガラス100と、外側コア
20となるべき外側コアガラス200と、内側クラッド
30となるべき内側クラッドガラス300と、そして、
外側クラッド40となるべき外側クラッドガラス400
を備えている。
【0067】最終工程(図9)では、ヒータ950によ
り、以上のような構造を備えた光ファイバ母材55の一
端を加熱しながら該光ファイバ母材55を線引すること
により、図1に示された外径125μmの光ファイバ1
を得る。
【0068】なお、上述の製造方法により得られた光フ
ァイバ1の特性を以下に示す。
【0069】(組成) 内側コア :SiO2+GeO2+Cl 外側コア :SiO2+Cl 内側クラッド:SiO2+F+Cl 外側クラッド:SiO2+F (屈折率プロファイル) Δna=(n1−n2)/n2:0.85% Δnb1=(n3a−n2)/n2:−0.25% (Δnb2=(n3b−n2)/n2:−0.2%) Δnc1=(n4a−n2)/n2:−0.1% (Δnc2=(n4b−n2)/n2:−0.07%) なお、Δnaは外側コア20に対する内側コア10の比
屈折率差、Δnb1は外側コア20に対する内側クラッド
30(内側領域)の比屈折率差、Δnb2は外側コア20
に対する内側クラッド30(周辺領域)の比屈折率差、
Δnc1は外側コア20に対する外側クラッド40(内側
領域)の比屈折率差、そして、Δnc2は外側コア20に
対する外側クラッド40(周辺領域)の比屈折率差であ
る。
【0070】(ディメンジョン) 内側コアの外径aに対する外側コアの外径bの比(b/
a):10 外側コアの外径bに対する内側クラッドの外径cの比
(c/b):2 内側クラッドの外径cに対する外側クラッドの外径dの
比(d/c):2.1 なお、b/aは内側コアの外径aに対する外側コアの外
径bの比、c/bは外側コアの外径bに対する内側クラ
ッドの外径cの比、そして、d/cは内側クラッドの外
径cに対する外側クラッドの外径dの比である。
【0071】得られた光ファイバ1のMFDは9.8μ
m、2mの基準長でのカットオフ波長は1.68μm、
零分散波長は1.58μmであった。
【0072】なお、1.55μm波長帯の光伝送用に選
択される分散シフトファイバのカットオフ波長として
は、通常、2mの基準長(CCITT−G.653によ
る測定法)で信号光波長よりも短い1.55μm以下が
選択される。
【0073】カットオフ波長の一般的な評価の基準であ
る2mという短い長さでは、当該分散シフトファイバ
は、伝送光の基底モードばかりではなく高次モードも伝
搬することになる。本願のカットオフ波長は信号光波長
(1.55μm)よりも長いが、高次モードの光は基底
モードの光と比べて分散シフトファイバ中の伝搬におけ
る減衰率が高いので、数kmの伝搬長であれば基底モー
ドに比べて充分に小さくなる。したがって、海底通信ケ
ーブルのように伝搬距離が数百から数千kmに及ぶ場合
には、高次モードによる問題が生じることはない。
【0074】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、内側ク
ラッド及び外側クラッドとなるべき各母材領域の製造工
程において、第1及び第2複合母材をそれぞれ加熱処理
(フッ素を多孔質ガラス体に含浸させるための処理)を
行っているときの雰囲気中に含まれるフッ素原料の濃度
が、該第1及び第2複合母材を透明ガラス化していると
きの雰囲気中に含まれるフッ素原料の濃度よりも高く設
定されている。このように、得られる光ファイバの内側
及び外側クラッドの各ガラス領域で内側領域から周辺領
域へ向かって径方向にフッ素濃度を低下させることによ
り(屈折率は上昇する)、母材中の気泡の発生や該母材
自体の変形を抑えることが可能となるとともに、加熱時
の変形や、製造中の取り扱い時における母材外周面ある
いは得られる光ファイバ外周面の傷等の発生を効果的に
抑制することができるという効果がある。
【0075】また、得られる光ファイバは、十分大きな
MFDを有するため、非線形光学効果による影響を効果
的に抑制することができるなどの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る光ファイバの断面構造及びその
屈折率プロファイル(a)、クラッド領域における屈折
率とフッ素含有量との関係(b)を示す図である。
【図2】VAD法による光ファイバの製造方法の一部
(第1工程)を説明するための図であり、(a)は多孔
質母材の製造を説明するための図、(b)は多孔質母材
の脱水処理を説明するための図、そして、(c)は多孔
質母材の透明ガラス化処理を説明するための図である。
【図3】OVD法による光ファイバの製造方法の一部
(第1工程)を説明するための図であり、(a)は多孔
質母材の製造を説明するための図、(b)は多孔質母材
の脱水処理を説明するための図、そして、(c)は多孔
質母材の焼結処理を説明するための図である。
【図4】この発明に係る光ファイバの製造方法の第2及
び第3工程それぞれにおける母材延伸処理を説明するた
めの図である。
【図5】この発明に係る光ファイバの製造方法の第2及
び第3工程それぞれにおける複合母材製造を説明するた
めの図である。
【図6】この発明に係る光ファイバの製造方法の第2及
び第3工程それぞれにおける脱水処理を説明するための
図である。
【図7】この発明に係る光ファイバの製造方法の第2及
び第3工程それぞれにおける加熱処理(フッ素浸含処
理)及び母材の透明ガラス化処理を説明するための図で
ある。
【図8】図7に示された工程の各処理期間中におけるフ
ッ素原料の供給量の変化を示すグラフである。
【図9】この発明に係る光ファイバの製造方法におけ
る、光ファイバ母材の線引工程を説明するための図であ
る。
【符号の説明】
1…分散シフトファイバ、10…第1コア(内側コ
ア)、20…第2コア(外側コア)、30…第1クラッ
ド(内側クラッド)、40…第2クラッド(外側クラッ
ド)、50…多孔質母材、51…コアガラス母材、52
…第1複合母材、53…中間母材、54…第2複合母
材、55…光ファイバ母材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C03B 37/018 C03B 37/018 C

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石英ガラスを主成分とする光ファイバで
    あって、 所定の屈折率を有する第1コアと、 前記第1コアの外周に設けられかつ該第1コアの屈折率
    よりも低い屈折率を有する第2コアと、 前記第2コアの外周に設けられかつ該第2コアの屈折率
    よりも低い屈折率を有する領域であって、該領域の内側
    領域から周辺領域に向かって径方向に、その屈折率が高
    くなっている第1クラッドと、そして、 前記第1クラッドの外周に設けられかつ該第1クラッド
    の屈折率よりも高い屈折率を有する領域であって、該領
    域の内側領域から周辺領域に向かって径方向に、その屈
    折率が高くなっている第2クラッドとを備えた光ファイ
    バ。
  2. 【請求項2】 前記第1クラッド及び第2クラッドは、
    いずれも屈折率調整用添加物としてフッ素を含むことを
    特徴とする請求項1記載の光ファイバ。
  3. 【請求項3】 前記第1コアは少なくともゲルマニウム
    を含むガラス領域であり、前記第2コアは実質的にゲル
    マニウムを含まないガラス領域であることを特徴とする
    請求項2記載の光ファイバ。
  4. 【請求項4】 所定の屈折率を有する第1コアと、該第
    1コアの外周に設けられかつ該第1コアよりも低い屈折
    率を有する第2コアと、該第2コアの外周に設けられか
    つ該第2コアよりも低い屈折率を有する第1クラッド
    と、該第1クラッドの外周に設けられかつ該第1クラッ
    ドの屈折率よりも高い屈折率を有する第2クラッドとを
    備えた、石英ガラスを主成分とする光ファイバの製造方
    法であって、 気相合成法により、長手方向に沿ってその中央部分が前
    記第1コアとなり、該中央部分を取り囲む周辺部分が前
    記第2コアとなるべき多孔質母材を形成し、該多孔質母
    材を焼結してコアガラス母材を得る第1工程と、 前記コアガラス母材を所望の外径に延伸し、気相合成法
    により、該延伸されたコアガラス母材の外周に前記第1
    クラッドとなるべき第1多孔質ガラス体を堆積させて得
    られた第1複合母材を、所定濃度のフッ素原料を含む所
    定温度の雰囲気中で加熱処理した後、さらに該雰囲気温
    度を上昇させるとともに該雰囲気中に含まれるフッ素原
    料の濃度を変えた状態で、該第1複合母材を透明ガラス
    化し中間母材を得る第2工程と、 前記中間母材を所望の外径に延伸し、気相合成法によ
    り、該延伸された中間母材の外周に前記第2クラッドと
    なるべき第2多孔質ガラス体を堆積させて得られた第2
    複合母材を、所定濃度のフッ素原料を含む所定温度の雰
    囲気中で加熱処理した後、さらに該雰囲気温度を上昇さ
    せるとともに該雰囲気中に含まれるフッ素原料の濃度を
    変えた状態で、該第2複合母材を透明ガラス化し光ファ
    イバ母材を得る第3工程と、を少なくとも備えた光ファ
    イバの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第2工程において、前記第1複合母
    材を加熱処理しているときの前記雰囲気中に含まれるフ
    ッ素原料の濃度は、前記第1複合母材を透明ガラス化し
    ているときの前記雰囲気中に含まれるフッ素原料の濃度
    よりも高く設定され、そして、 前記第3工程において、前記第2複合母材を加熱処理し
    ているときの前記雰囲気中に含まれるフッ素原料の濃度
    は、前記第2複合母材を透明ガラス化しているときの前
    記雰囲気中に含まれるフッ素原料の濃度よりも高く設定
    されることを特徴とする請求項4記載の光ファイバの製
    造方法。
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