JP4057304B2 - 光ファイバ母材の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ母材を製造する方法に関するものであり、特に、外付法(OVD法)で光ファイバを合成する出発母材に屈折率を高めるドーパントをドープしてスート(soot、煤体)を合成して光ファイバ母材を製造する光ファイバ母材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバは、光ファイバ母材を線引きして製造する。本発明は特に、そのような光ファイバ母材の製造方法に関係する。
【0003】
光ファイバ母材の製造方法としては、VAD法、MCVD法、OVD法などが知られている。以下、VAD法とOVD法の概要を述べる。
【0004】
VAD法について述べる。ロッドの周囲に形成された出発母材を垂直方向に懸垂させ、かつ、ロッドの中心軸を回転中心として回転させておく。そのように懸垂され回転している出発母材の下部先端(スート合成位置)に、バーナから火炎を吹きつけて出発母材の外周に多孔質光ファイバ母材(スート(soot)、煤体)を合成させる。スート母材の成長に伴って出発母材に合成されたスートが所定量堆積されると、懸垂され回転しているロッドを上昇させる。このように火炎が吹きつけられるスート合成位置を維持しながら、上記スートの合成を継続して、所定の太さおよび所定の長さの最終的な多孔質光ファイバ母材を製造する。
【0005】
OVD法について述べる。出発母材と出発母材に火炎を吹きつけるバーナとを反応容器内に水平または垂直な位置におき、出発母材の中心軸を回転中心として回転させながら、回転している出発母材とバーナとを相対移動させて出発母材の外周にバーナ火炎で合成されたガラス微粒子を吹きつけて出発母材の外周にスートを堆積させて多孔質光ファイバ母材(スート)を合成させる。
【0006】
OVD法は、水平または垂直方向に置かれた出発母材の径方向にスートを堆積してゆくので径方向の屈折率分布を高精度で制御できるという特徴を持つ。またOVD法によれば、OVD装置でスート状の多孔質光ファイバ母材を合成した後、合成した多孔質光ファイバ母材をガラス化装置において脱水、焼結して透明なガラス状の光ファイバ母材とするので、不純物の少ない高純度なガラス化光ファイバ母材が製造できるという利点がある。
【0007】
出発母材がガラス部材でない場合には、スート合成後、その出発母材を抜く必要がある。そのような場合、たとえば、スート密度を0.6〜1.5g/cm3程度と高密度のスートを合成している。
【0008】
また出発母材が、VAD法やMCVD法で作った中間母材である光ファイバガラス母材である場合、その出発母材に石英スートを堆積する場合は、光ファイバ母材の大型化のためにスート密度を平均0.5g/cm3 以上もの比較的高いスート密度にして石英スートを合成している。
【0009】
OVD法で屈折率分布を高くするために、屈折率を高めるドーパントとして、たとえば、四塩化ゲルマニウム(GeCl4) を使用している。屈折率を高めるドーパントとシリカガラス原料(SiCl4)とがバーナの火炎内で混合されて加水分解反応して粒子状の石英ガラス(SiO2) と酸化ゲルマニウム(GeO2)が出発母材に付着してスートとして合成される。このようにドーパント、たとえば、GeO2を出発母材に注入して屈折率を高めることを、本明細書においてドーパント・ドープという。
このドーパント・ドープに関して、OVD法とVAD法とを比較すると、OVD法はVAD法に比べて高速合成が可能であるという利点がある。
上述したように、OVD法は種々の点でVAD法より優れている面がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、OVD法を用いた場合、四塩化ゲルマニウム(GeCl4) などの屈折率を高めるドーパントがスートに入り難く、多量のGeCl4 をバーナに供給しなければならない。GeCl4 は高価であるから、OVD法で製造されたスートの価格が高くなる可能性がある。換言すれば、OVD法によると、短時間でスートが合成できるという利点があるものの、高価なドーパントが多量に消費されるという不利益がある。
【0011】
またOVD法によると光ファイバ母材の屈折率分布の局所的な変動が大きくなるという不利益がある。
多孔質光ファイバ母材を合成した後、透明ガラス化し、さらに光ファイバに線引きするが、透明ガラス化された光ファイバ母材を光ファイバに線引きする前に、透明ガラス化された光ファイバ母材の屈折率の分布を検査することが光ファイバ製造における歩留りの管理上で重要になる。従来のOVD法で合成したスートを透明ガラス化したプリフォームまたは中間プリフォームの場合、屈折率の局所的な変動が大きいので、正確な屈折率の測定を行おうとすれば、合成したガラスプリフォームを切断して各部の屈折率を測定する必要がある。しかし、プリフォームまたは中間プリフォームの切断は歩留りを低下させ、作業効率を低下させるという不利益がある。
【0012】
以上のとおり、OVD法でスートを合成した場合、一長一短がある。しかしながら、OVD法は高い生産性のため、益々実用化が進展している光ファイバの製造には有利な方法であり、OVD法の活用のため上述した欠点の改善が求められている。
【0013】
本発明の目的は、OVD法の利点を生かしながら、上述した不具合を克服して、ドーパントを効率よくドーピングして、かつ、屈折率の局所的な変動がなく屈折率分布が均一な光ファイバ母材を合成できる光ファイバ母材の製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者らの研究によれば、クラッドの屈折率より高い屈折率を持つ部分を合成する際の上述した不利益、すなわち、ドーパント・ドープの非効率性および屈折率の局所的な変動は、スート合成条件を改善することによって克服できることを見いだした。
【0015】
光ファイバ母材のうち、クラッドの屈折率より高い屈折率にするためドーパントをドープしてスートを合成する際の第1の対策はスート合成時のスート密度を適切に管理することである。
第2の対策はスート堆積面の最高温度を適切に管理することである。
第3の対策はスート堆積面の温度分布を極力均一に維持することである。
第4の対策はスートの合成速度をあまり速くしないことである。
本発明においてはこれらの条件を適切にして光ファイバ母材の製造を行うことができる。
【0016】
本発明の第1の観点によれば、外付法(OVD法)でセンタコア部分を含む出発母材に、少なくともクラッドの屈折率より屈折率を高めるドーパントとしてのゲルマニウムを含むガラス微粒子を堆積させて屈折率を変化させる部分のスート母材を合成して光ファイバ母材を製造する光ファイバ母材の製造方法において、前記屈折率を高める部分のスートを合成する時、スート密度を0.1〜0.4g/cm3の範囲、前記スートの堆積面の最高温度を300〜600゜Cの範囲、かつ、合成速度を0.5〜2.5g/分の範囲になるように同時に制御して前記スートの合成を行う、光ファイバ母材の製造方法が提供される。
【0017】
好ましくは、前記スートの堆積面の最高温度を前記最高温度範囲に制御し、かつ、堆積されたスートの最高温度位置から前記スート母材の円周に沿って前記スート母材が回転される向きにほぼ90度離れた位置の温度と前記最高温度との差を0〜90゜Cの範囲に維持して、前記スート母材を合成する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光ファイバ母材の製造方法の好適な実施の形態を添付図面を参照して述べる。
【0023】
第1実施の形態
図1〜図3を参照して本発明の第1実施の形態について述べる。
図1(A)は本発明の第1実施の形態において製造する光ファイバ母材の断面図であり、図1(B)は光ファイバ母材を製造する出発母材の断面図であり、図1(C)は図1(A)に図解した光ファイバ母材の屈折率プロファイルを図解した図であり、縦軸は、クラッドに対する比屈折率差(Δ)を示す。
【0024】
図1(A)において、光ファイバ母材1は、センタ・コア11と、ディプレスト層13と、セグメント層14と、クラッド15とを有する。
【0025】
図1(C)において、センタ・コア11の屈折率はクラッド15の屈折率n0よりΔ11だけ比屈折率差が高い。ディプレスト層13の屈折率はクラッド15の屈折率n0 よりΔ13だけ比屈折率差が低い。セグメント層14の屈折率はクラッド15の屈折率n0 よりΔ14だけ比屈折率差が高い。
【0026】
このような屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材1は、たとえば、海底光ファイバ用、長距離陸上伝送光ファイバなどに使用される有効断面積を拡大した光ファイバや分散スロープを小さくした光ファイバを製造するために好適に使用される。
【0027】
センタ・コア11はクラッド15の屈折率n0 よりΔ11だけ比屈折率差を高めるドーパント、たとえば、四塩化ゲルマニウム(GeCl4) と、シリカガラス原料(SiCl4 ) とをバーナに供給し、バーナの火炎内で加水分解させてSiO2 とGeO2 にして合成し、それらを出発母材のロッドに吹きつけて石英(SiO2 )スートにGeO2 をドープする。
ディプレスト層13はクラッド15の屈折率n0 よりΔ13だけ比屈折率差を低下させるドーパント、たとえば、フッ素(F)をディプレスト層13をOVD装置で作製したシリカスートに透明ガラス化工程でドープして合成される。
セグメント層14は、センタ・コア11の合成と同様、クラッド15の屈折率n0 よりΔ14だけ比屈折率差を高めるドーパント、たとえば、四塩化ゲルマニウム(GeCl4) をスート合成中にドープして合成する。
【0028】
本明細書における、光ファイバ母材(プリフォーム)と、光ファイバとの関係を明確にしておく。
光ファイバ母材とは、最終的に光ファイバに線引きする前のスートを透明ガラス化した径の大きなガラス母材をいう。
光ファイバ母材を線引きして最終的な光ファイバを製造したとき、線引条件により光ファイバの屈折率分布は多少変化するが、光ファイバ母材と光ファイバとはほぼ相似形をしている。したがって、光ファイバの断面も図1(A)に示した光ファイバ母材の断面とほぼ同じであり、光ファイバの屈折率も図1(C)に図解したものとほぼ同じになる。
なお、最終製品の光ファイバには、クラッド15の外周に樹脂層が被覆されるが、線引前の母材なので、図1(A)に図解した光ファイバ母材1に樹脂被覆はされていない。
【0029】
図1(A)は、光ファイバ母材1の概略構造を示しているにすぎず、実際のセンタ・コア11、ディプレスト層13、セグメント層14、クラッド15の寸法に正確に比例させた縮尺で図解している訳ではない。
【0030】
以下、出発母材製造装置において既知の方法で、図1(B)に図示した、センタ・コア11とディプレスト層13とを合成した出発母材120にセグメント層14を合成する方法と装置について述べる。
出発母材120は、既知のVAD法やOVD法で製作する場合には、図示しない出発母材製造装置(VAD装置あるいはOVD装置)においてスートが合成され、図示しないガラス化装置において透明ガラス化されたセンタ・コア11およびディプレスト層13とからなる。出発母材は、MCVD装置で作ることも可能である。
図2は図1(B)に図解したセンタ・コア11とディプレスト層13とからなる出発母材120の上にOVD法でセグメント層14部分に相当するスート130を合成するOVD装置100の構成図である。
【0031】
OVD装置100は、OVD法により出発母材120の上にスート(煤体)を合成(堆積)させる装置であり、反応容器102と、この反応容器102に連結して反応容器102から部分的に突出しているバーナ収容部103と、バーナ収容部103内に収容されたバーナ101と、バーナ収容部103と対向した反応容器102の壁面に設けられた排気部104とを有する。排気部104は燃焼ガスや未堆積粒子などを反応容器102の外部に排出する。
【0032】
OVD装置100はさらにスピンドル機構105を有する。スピンドル機構105は出発母材120の両端に接続されている支持部材121を把持している1対のチャック106に結合され、出発母材120を長手方向Lに往復移動させ、かつ、出発母材120の長手方向を回転軸として出発母材120を回転させる。すなわち、スピンドル機構105は、出発母材120の外周にスート(セグメント層部分)130を堆積させるため、バーナ101に対して出発母材120を相対往復運動(トラバース)と出発母材120の軸中心に出発母材120を回転させる手段である。
【0033】
なお、スピンドル機構105は出発母材120を回転のみさせ、バーナ101が出発母材120の長手方向に沿って往復移動させるようにすることもできる。しかしながら、本実施の形態においては、スピンドル機構105が出発母材120を往復移動させ、かつ、出発母材120を回転させる場合について述べる。
【0034】
バーナ101は、チャック106に把持されて、反応容器102の内部で出発母材120の長手方向に沿って往復移動しながら、回転される出発母材120の外周にスートを堆積するガラス微粒子を含む火炎110を形成する。その結果、出発母材120の外周に、バーナ101で合成されたガラス微粒子が堆積して、セグメント層14に該当する第1堆積スート130が合成される。
【0035】
バーナ101には、第1ガス供給ライン161を介して燃焼ガス供給装置141から燃焼ガスが供給され、第2ガス供給ライン162を介して原料ガス供給装置142から原料ガスが供給され、第3ガス供給ライン163を介して屈折率を高めるドーパントを供給するドーパント供給装置143からドーパントが供給されている。
ここでいうガス供給ラインは、例えば、第1ガス供給ライン161は燃焼用ガス、酸素、水素、シールガス等が独立に供給される。図では簡略して1本の線で示してある。他も同様である。
【0036】
燃焼ガス供給装置141は、独立に流量制御された燃焼ガス、たとえば、水素(H2 )、酸素(O2 )をバーナ101に供給する。好ましくは、燃焼ガス供給装置141はさらに、シールガスとして、不活性ガス、たとえば、アルゴン(Ar )をもバーナ101に供給する。
【0037】
原料ガス供給装置142は、光ファイバ母材合成の原料として、流量制御されたガラス原料ガス(SiCl4) をバーナ101に供給する。
【0038】
ドーパント供給装置143は、セグメント層14の比屈折率差を高めるため、クラッド15の屈折率n0 よりΔ14だけ比屈折率差を高めるためのドーパント、たとえば、四塩化ゲルマニウム(GeCl4) を流量制御してバーナ101に供給する。
【0039】
バーナ101は、燃焼ガス供給装置141から供給される燃焼ガスとシールガスにより火炎を形成し、原料ガス供給装置142から供給されるガラス原料ガス(SiCl4) と、ドーパント供給装置143から供給される四塩化ゲルマニウム(GeCl4) を火炎内で加水分解して酸化ゲルマニウム(GeO2)とガラス微粒子(SiO2)を合成し、これらを含む火炎110を出発母材120に吹きつけて、粒子を堆積させスート(セグメント層部分)130を合成する。このとき、出発母材120にドーパントとしてのGeO2が石英(SiO2)粒子スートにドープされて、スートの屈折率を高める。
【0040】
出発母材120に堆積したスート(セグメント層部分)130の表面温度を測定する温度センサ172が取り付けられている。温度センサ172はスート合成部分の最高温度を測定可能に取り付けられている。このような温度センサとしては、非接触的の高温測定可能な温度計、たとえば、放射温度計や熱画像測定装置(二次元的に温度を計測する装置)が好ましい。以下、温度センサ172として、放射温度計を用いた場合について述べる。
また、温度センサ172と出発母材120のスート合成の最高温度位置と出発母材120の円周にそって90°ずれた位置の出発母材120の温度を測定する第2の温度センサ172a、たとえば、放射温度計172aも取り付けられている。
これら温度計172、172aはスート堆積部分の温度管理に使用する。
【0041】
好ましくは、出発母材120に堆積したスート(セグメント層部分)130の直径を測定する外径測定装置、たとえば、レーザ式測距装置(または外径測定器)174が設けられている。外径測定器174はセグメント層14の合成の終了を判断するために使用する。
なお、後述するように、出発母材120のトラバース回数でセグメント層14の合成の終了を判定することもできるので、その場合は外径測定器174を設ける必要はない。
【0042】
OVD装置100にはさらに制御装置170が設けられている。制御装置170はOVD装置100におけるセグメント層14を合成する動作制御を行うものであり、そのような制御としては、たとえば、図示しない各種ガス流量制御器を制御して燃焼ガス、ガラス原料ガス、ドーパントの流量の調整、スピンドル機構105を制御してトラバース速度、および/または、出発母材120の回転速度の制御などの動作制御を行う。これら動作制御の詳細は後述する。
これらの制御を行うため、制御装置170は各種制御プログラムが内蔵されているコンピュータを用いた制御装置である。以下に述べる各種の制御は、特に断らない限り、制御装置170によって制御される。
【0043】
燃焼ガス供給装置141、原料ガス供給装置142、ドーパント供給装置143からバーナ101に供給される各種ガスの流量は制御装置170によってそれぞれのそれらの供給量を制御するガス流量制御器を独立に制御すればよく、トラバース速度および回転数の制御は制御装置170によってスピンドル機構105を制御すればよい。これらにより、スートの表面温度、スートの密度を所定の範囲に制御できる。バーナ101とスート130との距離は、図示しないバーナ移動手段によってバーナ101をスート130の長手方向に対して直交する方向に移動可能にしておき、バーナ移動手段を制御装置170で制御すればよい。このような制御は既存のOVD装置100を用いて制御手段170によって容易に行うことができる。このバーナ移動制御は、出発母材に堆積したスートの径とバーナ先端との距離を一定あるいはスート径に対して所定の距離とするために行うものである。
【0044】
図3の工程図(フローチャート)を参照して図2に図解したOVD装置100を用いて図1(A)に図解した屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材1のうちセグメント層14部分を製造する方法を述べる。
【0045】
工程11(P11):出発母材の製造
図示しない出発母材製造装置において、センタ・コア11およびディプレスト層13からなる出発母材120を製造する。以下、より正確に述べる。
【0046】
まずセンタ・コア11の合成について述べる。センタ・コア11はクラッド15の屈折率n0 よりΔ11だけ比屈折率差を高めるドーパント、たとえば、四塩化ゲルマニウム(GeCl4) とガラス原料ガス(SiCl4) をバーナ101に供給してバーナ101の火炎内で加水分解して酸化ゲルマニウム(GeO2)とシリカ(ガラス微粒子、SiO2)の粒子に合成し、これらを出発母材に堆積させる。このように合成されたスートを、図示しないガラス化装置に導入して、脱水・焼結して透明なセンタ・コア11の母材(プリフォーム)を形成する。次いで、脱水・焼結したセンタ・コア11の母材を火炎延伸してガラスロッドに加工する。
【0047】
火炎延伸したガラスロッドを、たとえば、フッ化水素酸(フッ酸)を用いてウエットエッチングする。さらにフッ酸でウエットエッチング処理した石英ガラスロッドを純水で洗浄してフッ酸を排除し、その後、乾燥させる。
ウエットエッチングを行う理由は、火炎延伸により石英ガラスロッドに伝送損失の原因となる水分が入るのでそれを排除するためである。
【0048】
ついで上記合成されたセンタ・コア11の上にVAD法またはOVD法でディプレスト層13部分のシリカスートを合成する。ディプレスト層13の合成方法は、クラッド15の屈折率よりΔ13だけ比屈折率差を低めるドーパント、たとえば、フッ素を、ガラス化工程で脱水後ドープするために用いる他は、センタ・コア11の合成方法と同様である。
【0049】
このように合成されたディプレスト層13部分について、上記同様、脱水・フッ素ドープ・焼結処理、火炎延伸処理、ウエットエッチング処理、洗浄・乾燥処理を行う。このウエットエッチング処理の目的は上述したとおりである。
なお、延伸工程において水分がガラスロッドに入らない場合はフッ酸によるウエットエッチング処理を省略できる。
【0050】
以上により、センタ・コア11およびディプレスト層13からなる、図1(B)に図解した出発母材120が製造される。
【0051】
工程12(P12):セグメント層の合成
セグメント層14部分の合成は下記による。
【0052】
(a)上記方法で合成されたセンタ・コア11およびディプレスト層13からなる出発母材120の支持部材121をOVD装置100の反応容器102内のチャック106に取り付ける。
【0053】
(b)制御装置170は、図示しない燃焼ガス、原料ガスおよびドーパントの流量を制御するガス流量制御器を独立に制御して、バーナ101に燃焼ガス供給装置141から所望の燃焼ガス、必要に応じて、アルゴンなどの不活性ガスをシールガスとして供給する。同様に、原料ガス供給装置142から所望のガラス原料ガス(SiCl4) を供給し、ドーパント供給装置143から所望のドーパント、たとえば、四塩化ゲルマニウム(GeCl4) を供給する。その結果、バーナ101の火炎110内でシリカ(ガラス微粒子、SiO2) と酸化ゲルマニウム(GeO2)とが合成されて火炎とともに出発母材120に吹きつけられて出発母材120に堆積する。ドーパントGeO2は石英ガラスの屈折率n0 よりもΔ14だけセグメント層14部分の比屈折率差を高めるためにシリカスートにドープする。
【0054】
(c)制御装置170は、スピンドル機構105を駆動してバーナ101に対して相対的に、出発母材120を水平方向に往復移動(トラバース)させ、かつ、出発母材120の軸を中心に回転させる。
【0055】
以上により、出発母材120の外周全面にガラス微粒子(SiO2)に酸化ゲルマニウム(GeO2)とがドープされたスートが堆積していき、スート(セグメント層部分)130が合成される。
【0056】
制御装置170は、外径測定装置として、たとえば、レーザ式測距装置174の計測値を入力し、スート(セグメント層部分)130の直径が所定の値に到達したとき、図示しない独立に制御しているガス量制御器を制御して、燃焼ガス供給装置141、原料ガス供給装置142およびドーパント供給装置143からの各種ガスの供給を停止させて、スート(セグメント層部分)130の合成を停止する。
なお、制御装置170は上記方法に代えて、駆動しているスピンドル機構105の動作に基づいて出発母材120のトラバース回数を計数し、トラバース回数が所定回数になったときにセグメント層部分130の合成を停止することもできる。すなわち、1回のトラバース当たり、スートの堆積量がどの程度になるか事前に求めておくことができるので、トラバース回数でセグメント層14のスートの堆積量(径)を判断することができる。
【0057】
工程13(P13):スートの脱水処理
出発母材120の上にセグメント層部分の第1堆積スート130の合成が終了したら、出発母材120とスート130とが一体になったロッドをチャック106から外して反応容器102の外部に取り出し、図示しないガラス化装置のガラス化炉に導入して、ガラス化炉に導入したヘリウム、酸素、塩素ガス雰囲気でスート130の脱水処理を行う。
【0058】
工程14(P14):焼結処理
ガラス化装置のガラス化炉内にヘリウムガスを供給し、場合によってはさらに塩素および酸素ガスを供給したヘリウムガス雰囲気で、脱水処理されたスート130を焼結処理する。この焼結処理によって透明ガラス化したセグメント層14部分が製造できる。
【0059】
工程15(P15):火炎延伸
透明ガラス化したロッドを火炎延伸処理して、センタ・コア11とディプレスト層13からなる部分と、セグメント層14とが一体化した図1(C)に図解した屈折率プロファイルを持つ中間光ファイバ母材1が製造される。
【0060】
工程16(P16):クラッドの合成
上記中間光ファイバ母材1の外周にクラッド15を合成して、最終の光ファイバ母材を合成する。
クラッド15の合成方法としては、セグメント層14を合成した方法と類似した方法で行うことができる。ただし、クラッド15の合成の場合はセグメント層の合成のようにドーパントのドープは行なわない。クラッド15の合成方法としては、その他、たとえば、合成管をジャケットとして行うことができる。
【0061】
以下、工程12におけるスート(セグメント層部分)130の合成方法の詳細について述べる。
【0062】
セグメント層の屈折率の制御は、セグメント層14の合成に際して、原料ガス供給装置142からバーナ101に供給するガラス原料ガスを四塩化ケイ素(SiCl4) とし、ドーパント供給装置143から供給するドーパントを四塩化ゲルマニウム(GeCl4) とした場合、主として、図示しないガス流量制御器によりGeCl4 の流量を調整することにより、セグメント層14の屈折率のプロファイルを制御できる。
このようなGeCl4 の流量の制御方法を実施する方法としては、たとえば、事前に種々の場合について測定しておき、その結果を制御装置170に記憶させておき、制御装置170に記憶された結果に基づいてセグメント層14の形状に応じてGeCl4 の流量制御を行う。
【0063】
または、バーナ101に供給するガス(燃焼ガスおよび原料ガス)を一定にしておき、スピンドル機構105による出発母材120のバーナ101に対する往復運動(トラバース)の速度や出発母材120の回転速度を制御することにより、セグメント層14のスート密度を制御できる。したがって、種々のスート径に対してトラバース1回当たりのスート堆積量、供給するガス(燃焼ガスおよび原料ガス)条件との関係を実験により事前に調査しておき、その結果を制御装置170に記憶しておけば、トラバース回数によるスート径の変化に対応して制御装置170は燃焼ガスおよび原料ガスの供給量を制御するガス流量制御器を制御してスートの密度を径方向に均一あるいは所望の値に制御できる。この場合は、スートの表面温度を測定する放射温度計172は、単に温度のモニターとして使う。
【0064】
さらに、(a)スート130のスート堆積部の最高表面温度を放射温度計172で測定し、その温度測定結果を制御装置170に入力し、測定したそのスート130の堆積面の最高温度を所定の範囲内に維持されるように、燃焼ガス供給装置141、原料ガス供給装置142からバーナ101に供給されるこれらガスの量を適切に調整し、(b)バーナ101とスート130との距離を適切に制御し、(c)スピンドル機構105による出発母材120のトラバース速度を制御し、(d)出発母材120の回転数を調整することにより、スート密度を調整できる。さらに、このように、スート密度と堆積面の最高温度を適切にするとドーパントとしてのゲルマニウム(GeO2 )の収率を向上でき、さらに屈折率分布の変動(脈理)が小さくなる。これは、スート密度を従来よりも低くすることにより、ガラス化工程中でのGeO2 の拡散や結晶性のGeO2 の揮発によりGeO2 が均一化するものと考えている。
【0065】
最高温度
実験によれば、スート130の堆積面の最高温度を300〜600°Cの範囲に維持すると良い。スート堆積面の温度が300°Cより低すぎると、スート密度が下がりすぎてクラックが入り易く、大きな径のスートが合成が困難になる。逆に、スート堆積面の温度が600°Cより高すぎると、GeO2 が均一にスートにドープされ難くなり、またスート表面の温度差も大きくなるので、温度の異なるスート面で堆積することにより、屈折率の変動(脈理)が大きくなった。脈理が大きくなると、屈折率の非破壊による測定が出来なくなるという問題が発生する。これにより、ファイバの特性予測が全く出来なく、製造上致命的な問題となる。
実験によれば、クラックが発生せず、脈理も小さくでき、しかも安定した製造が出来る様にするためには、350°C〜550°Cの範囲に維持することが好ましいことが判った。
【0066】
このような温度制御に関して、火炎の燃焼温度が高いバーナを使用した場合は、制御装置170によってスピンドル機構105を制御して、堆積スート130の回転速度およびトラバース速度を速くすることで、主としてトラバース速度を速くすることでスート130の表面温度を調節する。逆に、火炎の燃焼温度が低いバーナを使用した場合、制御装置170によってスピンドル機構105を制御して、スート130の回転速度とトラバース速度の両方あるいは一方を遅くすることで、主としてトラバース速度を遅くすることで、スート130の表面温度を調節する。また、バーナと出発母材との距離を近づけることと組み合わせることで前記条件を実現できる。
【0067】
温度分布
さらに、スート130が堆積される放射温度計172で測定している最高温度地点(第1地点)と、スート130の円周方向に所定の距離を隔てた第2の放射温度計172aで測定している位置(第2地点)の温度が所定の温度差以内に維持することでドーパントの濃度を均一にできる。ここで述べたドーパント濃度分布はバーナ火炎で堆積する部分の局所的な分布であり、本願発明者は、この局所的なドーパントの分布が脈理の原因であることをつきとめた。
【0068】
そのためには、制御装置170を用いて下記の制御を行う。
(aa)スート130の最高温度地点(第1地点)、たとえば、バーナ101の中心がスート130に吹きつける第1地点の表面温度を放射温度計172で測定してその温度測定結果を制御装置170に入力する。
(bb)さらに、スート130の最高温度地点(第1地点)から円周に沿って90°離れた第2位置の表面温度を第2の放射温度計172aで測定してその温度測定結果を制御装置170に入力する。
(cc)制御装置170は、スート130の堆積面の第1地点の最高温度を上述した温度範囲に維持しつつ、第1地点の表面温度(放射温度計172の測定値)と第2地点と表面温度(第2放射温度計172aの測定値)との温度差が所定の範囲以内に維持されるように、下記の処理を行う。
【0069】
(イ)バーナ火炎の大きなバーナを選定する(出発母材の径に対して火炎の大きさが2〜10倍大きくする)。
(ロ)スピンドル機構105を駆動制御してバーナ101に対する出発母材120のトラバース速度(または、トラバース速度と回転速度とを制御し)を制御し、
(ハ)それぞれのガス流量制御器を制御して、燃焼ガス供給装置141、原料ガス供給装置142からバーナ101に供給されるそれぞれのガスの流量を適切に調整し、
(ニ)好ましくは、バーナ101とスート130との距離を適正化する。
【0070】
なお、第1地点の温度と第2地点の温度の差は極力小さいほうが好ましいことは勿論である。そのような温度差としては、たとえば、0〜90°である。
工程(イ)、(ハ)、(ニ)はバーナ火炎の大きさを適正化(大きくする)し、均一化する。工程(ロ)はスート表面の火炎のあたり方を調整して均一化する効果を利用している。この様に、種々の出発母材の径やスート径に対して一度条件が決まると、その条件を制御装置170のメモリに記憶しておけば、そのつど温度制御をする必要はなくなる。
【0071】
以上のように本願発明者の研究によれば、上述したセグメント層14の適正なバーナを選定し合成条件を適切に行えば、OVD装置100を用いてセグメント層14を合成するときのドーパント、たとえば、四塩化ゲルマニウム(GeCl4) の消費量が少なくてすみ、脈理が少なく、非破壊で屈折率を測定可能な屈折率プロファイルを持つ中間光ファイバ母材1を製造できることが判った。
本発明の好ましいことは、図2に例示した基本的に既存のOVD装置100を活用して上記合成条件で合成することにより上述した目的に則した中間光ファイバ母材が製造できることである。
【0072】
スート密度
本発明者の実験によれば、出発母材120に堆積するスートの密度を0.1〜0.4g/cm3 の範囲とすると、上述した目的を達成するセグメント層14を合成できることが判った。好ましくは、スート密度を0.15〜0.3g/cm3 にすると、脈理を低減でき、非破壊で屈折率分布を測定できた。
【0073】
なお、図1(C)に図解した屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材1の製造のための従来のスート密度は、たとえば、特開平1−145346号公報によると、0.2〜0.8g/cm3 以上と示されている。このように本発明の実施の形態によればスート密度が従来例より比較的小さい方である。
ただし、スート密度を下げただけでは屈折率の変動(脈理)が小さくならない。そのためには、上述したように、スート堆積面の温度を管理することが重要である。その理由は、GeCl4 が火炎内で粒子化する割合が少なく、気体のGeO の状態でいるために、スート表面でも反応すると思われる。スート表面で反応するGeO はスート表面温度に依存するので、スート表面温度によりGeO2の分布が発生するためと考えられる。
又、平均的なスート密度が同じでも本発明では表面温度が従来よりも低いために、バーナの火炎で局所的に堆積するスート密度を均一化できるために、GeO2の局所的な均一性も大幅に改善したと考えている。
【0074】
本実施の形態のようにスート密度を低密度とすること、および、適切に温度管理することで、スート合成時の堆積面でのGeO2 のシリカ(ガラス)粒子への取り込みを適正化できるために、効率的にスートにGeO2 をドープでき、GeO2 の収率を向上できる。たとえば、従来の2〜10倍改善できた。さらに上述したように、堆積面の温度を管理することで、均一なスート密度と、局所的にも均一なGeO2 のドーピングが行えるので、屈折率の変動(脈理)が小さくなる。
非破壊で屈折率を測定する場合、母材の外周よりレーザ光を入射させて、そのレーザ光を断面内を移動させて、母材を透過してきたレーザ光の屈折角を測定するが、脈理が強いと母材中で脈理の強い所で光が異常に屈折、散乱してしまい、正しく屈折角が測定できなくなり、従来は正しい屈折率が測定出来なかったが、本発明では、脈理が小さく出来たので、非破壊で屈折率が正しく測定出来る様になった。
さらに本実施の形態では、ガラス化時にスート密度が低いために局所的にドーパント密度が高い所のドーパントがガラス化工程で、シリカ中に拡散するために、屈折率の変動(脈理)を小さくできる効果があると考えている。
【0075】
スート密度の調整は上述したように、制御装置170によって放射温度計172、172aで測定したスート130の堆積面の温度が所定範囲になるように各種ガス流量制御器を制御して燃焼ガス供給装置141、原料ガス供給装置142からバーナ101に供給される各種ガスの量を制御し、制御装置170によってスート130のトラバース速度(またはトラバース速度および回転数)を制御する。
スート130の径は合成によって太くなり、バーナ101とスート130との距離が縮まるから、制御装置170でバーナ移動手段を制御してバーナ101と堆積スート130との距離を一定に維持することが望ましい。
【0076】
バーナ101とスート130との距離を調整することで高温バーナまたは低温バーナに対応できる。しかしバーナ101の位置は最適な位置があり調整量が少ないのが一般的である。ここでいう高温バーナ、低温バーナは火炎の温度と大きさに対して言っており、一般に高温バーナの方が大量の原料を粒子化できるバーナである。
【0077】
上述したように、スート密度を低くすることに加えてスート堆積面の温度分布を上述した範囲とすることで、屈折率の変動(脈理)を小さくすることが判った。その結果、より高濃度なGeO2 をドープしても屈折率の変動(脈理)を小さくすることができ、非破壊方式で屈折率の測定が可能になった。
また、火炎の温度はガラス原料(SiCl4 )の量に依存するので、スート密度を所定の範囲(0.1〜0.4g/cm3 )とし、かつスート合成速度を0.4〜2.5g/分とすることでも、上記同様の効果を得ることができることが実験的に判った。
これは、あまり大量の原料を投入すると脈理が大きくなるのは、火炎内でガラスやドーパント原料が反応しきれずにスート表面に到達し、スート表面の温度の異なる所で反応し堆積が起こるために、ドーパントが不均一にドープされるためと考えられる。又、合成速度が遅いと生産性が低下してしまい、実用的でなくなる。
【0078】
第1実験例
下記に本発明の第1実施の形態の実験例と、比較例とを下記表1を参照して述べる。この実験例は、上述したように、本実施の形態におけるスートの密度を、たとえば、0.1〜0.3g/cm3 にする条件の1例である。
【0079】
【表1】
Figure 0004057304
【0080】
本実験例のようにスート密度を低くすると、従来方法に比較して原料を多く供給できず合成速度は低くなるが、粒子合成温度と堆積面の温度を適正化することで、GeCl4 の反応効率が向上するので、GeO2 の収率を改善できる。なお、原料供給量はもちろん使用するバーナにより異なる。
本実験例では、従来方法に比較すると、スート130の合成時間は長くなるが、VAD法に比較すると、依然として格段に合成時間は速いので、合成時間、すなわち、生産性に関して、VAD法を適用するより利益がある。
【0081】
このようにして合成したスートをガラス化して非破壊の屈折率測定をしたところ、非破壊で屈折率分布の測定が可能であり、屈折率の分布も均一で屈折率の変動が小さかった。したがって、歩留りの高い光ファイバ母材が製造できることが判った。屈折率分布の測定ができなかった時は、歩留が20%以下であったが、50%以上に向上できた。
【0082】
第1実施の形態の変形態様
上記スート密度はドーパントとして四塩化ゲルマニウム(GeCl4) を用いてスートにGeO2 をドープするスートの部分、すなわち、本実施の形態ではセグメント層14部分についてだけの制限であり、ドーパントをドープしない部分には本発明を適用する必要はない。すなわち、上述したように、本実施の形態を適用すると従来方法よりスート130の合成時間は長くなると述べたが、スート130の合成時間が延びるだけであり、光ファイバ母材を構成するその他の部分の合成時間は従来と同様である。
【0083】
たとえば、図1(A)に図解したように、センタ・コア11、ディプレスト層13およびセグメント層14からなる光ファイバ母材1に加えて、セグメント層14の外周に石英ガラス微粒子のみからなる屈折率n0 のクラッド15の一部又は全てを、上記セグメント層14のスート合成に引き続いて、シリカスートとして堆積する場合には、クラッド15部分のスート密度は従来の通り、高くてもかまわない。
この場合、好ましくは、クラッド15のためのシリカ堆積初期は、4〜20回の母材のトラバースで、GeO2 をドーパントとするセグメント層14とほぼ同じ密度とする方が良い。これはシリカ堆積によってすでに堆積したドーパント(GeO2 )層が影響される(密度が変わる)屈折率の変動が大きくなるからである。
【0084】
以上述べたように、本発明の第1実施の形態によれば、スート密度を低密度とし、スート堆積面の最高温度、300〜600°C(好ましくは、450〜580°C)の範囲に管理することで、スート合成時の堆積面でのGeO2 のシリカ粒子への取り込みを適正化できるので効率的にGeO2 をドープでき、結果としてGeO2 の収率を向上できた。
【0085】
また、スート内の屈折率の変動(脈理)を小さくでき、また、スート密度が低いためにガラス化工程での屈折率変動(脈理)がドーパントの拡散や揮散により小さくできた。その結果、非破壊方式で屈折率を測定できたものと考えている。
【0086】
さらに、スート130の最高温度地点(第1地点)から円周に沿って、たとえば、90°離れた第2位置の表面温度を所定の温度差、たとえば、0〜90°C以内に維持するようにスート堆積面の温度分布を所定の範囲にすることで、屈折率の変動を一層改善できる。
このように、第1実施の形態によれば、より高濃度なGeO2 のドープが可能となる。すなわち、バーナ火炎によるスートの堆積面でのGeO2 のドープがより均一に出来るために脈理が低減するので、屈折率分布の測定が可能となり、GeO2 のドープ濃度を高くすることが可能になる。
【0087】
スート合成速度
さらに、単位時間に出発母材に堆積するスート量(g/分)、すなわち、合成速度と、スート密度とを所定の範囲とすることで、GeO2 の収率を改善でき、また屈折率の変動を小さくできた。これにより、非破壊で屈折率分布の測定が可能となる。
その理由は、バーナ火炎内に供給する原料を適正化したために、火炎内での原料の反応効率が向上し、原料が効率良く粒子化できる。これによりドーパントとしての四塩化ゲルマニウム(GeCl4) が有効に粒子化出来るからである。特に、GeO2 の収率が高くできる燃焼ガスおよびガラス原料(SiCl4 )条件とすることで、GeO2 が火炎内で効率良く合成できる。しかも堆積面での温度が適切な範囲に出来るので(スート密度は堆積面での火炎の温度と滞在時間(回転・トラバース速度)で決まる)GeO2 の堆積面でのドーピングが比較的均一に行える。
【0088】
スート合成速度は出発母材の外径に依存するが、出発母材径が10mm〜25mm程度とすると、0.5〜2.5g/cm3 が好ましい。スート合成速度が0.5g/cm3 以下の場合、スート合成の生産性が低すぎる。逆に、スート合成速度が2.5g/cm3 を越えると、ガラス原料が充分反応しなかったり、スート堆積面の温度が上がりすぎて温度むらが起きたり、屈折率の局所的な変動が起きたり、GeO2 の収率が低下した。
【0089】
本発明の発明者の行った実験によれば、上述した合成速度以上の速い合成速度では、屈折率分布の変動が小さくならず、種々のガス条件、トラバース速度(最大1000mm/分)、母材の回転速度(最大600rpm)、スート堆積面温度(650〜800°C)では脈理が大きく非破壊での屈折率の測定が正しく行えなかった。
【0090】
第2実施の形態
本発明の第2実施の形態では、図1(A)に図解した光ファイバ母材1のセグメント層14およびクラッド15を、図4に図解したバーナ駆動型のOVD装置100Aを用いて合成する例について述べる。
【0091】
出発母材120の合成方法およびガラス化装置54における透明ガラス化処理方法は、第1実施の形態と同じである。
【0092】
図4に図解したバーナ駆動型のOVD装置100Aの構成を述べる。
OVD装置100Aは、反応容器102、反応容器102内において出発母材製造装置52によって合成されたセンタ・コア11とディプレスト層13とからなる出発母材120を支持部材121を介して把持するチャック106と、チャック106を介して出発母材120を回転させるスピンドル機構105と、スピンドル機構105を回転させるモータ107とを有する。
【0093】
OVD装置100Aは、反応容器102とは別のバーナ収容部103と、バーナ収容部103内に収容されたバーナ101と、バーナ101と係合しバーナ101を出発母材120の長手方向に沿って往復移動させる駆動ネジ181と、駆動ネジ181を回転させるモータ182とからなるバーナ駆動系180を有する。
【0094】
OVD装置100Aには、バーナ収容部103に隣接してバーナ101に流れるエアーの流れを整流する整流ボックス190と、整流ボックス190と対向する反応容器102に側壁に設けられたリデューサ部192と、リデューサ部192に接続され図示しないスクラバに排気ガスを排出する排気管部194とを有する。
【0095】
OVD装置100Aには、図2に図解したOVD装置100と同様、バーナ101に燃焼ガスを供給する燃焼ガス供給装置141、原料ガスを供給する原料ガス供給装置142、ドーパントを供給するドーパント供給装置143、これらのガスの流量を独立に制御する図示しない複数のガス流量制御器、および、図2の制御装置170に対応する制御装置170Aを有する。
【0096】
第2実施の形態においても、光ファイバ母材から光ファイバを製造する方法は第1実施の形態と同じである。さらに、図3を参照して述べた光ファイバ母材1のセグメント層14部分の製造も基本的に第1実施の形態と同様である。
【0097】
第2実施の形態においても、図示しない出発母材製造装置において、VAD法でセンタ・コア11部分のコア母材を四塩化ゲルマニウム(GeCl4) をドープして合成し、ガラス化装置で脱水し焼結してコア母材とし、電気炉で延伸して所定の長さと径にする。
次いで、センタ・コア11の上にディプレスト層13部分のシリカスートを堆積し、ガラス化装置で脱水し、その後、ガラス化装置においてフッ素雰囲気でフッ素をドープし、さらに焼結して出発母材120を製造する。
【0098】
このように製造された出発母材120をバーナ駆動型のOVD装置100Aの反応容器102内に導入してチャック106で把持する。
把持した状態で、制御装置170Aが左右のモータ107の同期をとりつつ回転制御してスピンドル機構105を回転させて反応容器102内の出発母材120を回転させる。同時に制御装置170Aは、モータ182を回転させて駆動ネジ181を回転させ、駆動ネジ181の回転に応じてバーナ101を出発母材120の長手方向に沿って往復移動(トラバース)させる。
このトラバース動作中に、バーナ101からドーパントを含む火炎110が出発母材120に吹きつけられると、センタ・コア11およびディプレスト層13からなる出発母材120の上に、セグメント層14部分のスートが堆積されていく。
【0099】
セグメント層14のスート合成に際して、第1実施の形態と同様、制御装置170Aは、複数のガス流量制御器を制御して燃焼ガス供給装置141、原料ガス供給装置142、ドーパント供給装置143からバーナ101に供給されるガスの流量を制御して第1実施の形態と同様にスート密度制御を行いながら、セグメント層14部分のスートの合成を行う。スート密度制御に関しては、あらかじめ決定しておいたトラバース回数に対応したバーナ条件(燃焼ガス、原料ガス、ドーパント流量)と、トラバース速度や、出発母材の回転数を制御手段170Aに記憶させておき、制御手段170Aが記憶した情報を参照してスート合成を行うこともできる。
なお、バーナ条件を変える場合や、スートの成長に伴いスート堆積状態が大きく変化する可能性があるので、制御手段170Aでスート密度を制御する場合、トラバース速度や出発母材の回転速度を調整することが望ましい。
【0100】
スート130の合成に寄与しなかった火炎はリデューサ部192および排気管部194を介してスクラバに排出される。すなわち、バーナ101が移動するために、排気部がリデューサ部192と排気管部194に分割されている。リデューサ部192で各位置のバーナ101からの火炎110の排気を中心に集めている。
【0101】
スート合成の具体例を述べる。
第2実施の形態においては、堆積スート(セグメント層部分)130のスート密度を0.1〜0.4g/cm3 とし、合成速度を0.4〜2.5g/分以下とした。好ましくは、スート密度を0.15〜0.3g/cm3 とし、合成速度は0.8〜2.0g/分とした。
【0102】
上述したように、スート密度は低すぎると、たとえば、0.1g/cm3 未満になると、スートにクラックがかなりの確率で入った。またスート密度が高すぎると、たとえば、0.4g/cm3 以上になると、屈折率の変動が大きくなった。
クラックについては、バーナのトラバースの両端近傍に補助バーナを設け、スートの両端部を加熱し焼きしめること(密度を高める)により、より低密度まで合成できた。しかし、スートが太くなると合成後に割れることがあり、上記密度範囲が好ましい。
【0103】
スート合成速度が遅すぎると、たとえば、0.4g/分未満になると、スート(セグメント層部分)130の合成の生産性が落ちる。逆に合成速度が速すぎると、たとえば、3.0g/分以上になると、原料が完全に反応しなかったり、スート130の堆積面の温度が上がりすぎてスート表面の温度ムラが大きくなり、屈折率の揺らぎを大きくすると共に、スートに対するGeO2 の収率が低下する。これは、合成速度を上げるためには多くのガラス原料が必要となるが、この原料を反応させるためには高温の火炎としなければならない。そのために四塩化ゲルマニウムが粒子化せずに収率が低下し、また、スート表面の温度が高くなるとともに温度分布ができ、スート表面でのGeO2 のスートへの取り込まれる状態がスートの各位置で変化してしまい、脈理を発生させるものと思われる。したがって、スート合成速度を0.4〜2.5g/分の範囲にした。
【0104】
下記表2に第2実施の形態の実験値として、ノズルバーナを用いて上記スート密度0.1〜0.3g/cm3 を満足する合成条件の1例を示す。
【0105】
【表2】
Figure 0004057304
【0106】
ここで言う合成速度は、トラバース200回後のスート重量を合成時間で割った平均合成速度である。
このような合成条件で堆積スート130を合成した結果、シリカに対してほぼ同一の屈折率差を得ることができた(比屈折率差で0.3%)。また合成したスートをガラス化して非破壊の屈折率測定をしたところ、測定が可能であった。換言すれば、屈折率の局所的な変動も小さくなったためと推定される。
【0107】
本実験値によれば、GeO2 の収率は従来製法よりも5〜10倍に改善できた。但し、合成速度は低下した。なお、従来は非破壊の屈折率測定が不可能であったが、本発明では可能となった。
【0108】
このように本発明の第2実施の形態も第1実施の形態と同様の効果を奏することができた。第2実施の形態もバーナ駆動型のOVD装置100Aという既存の設備を用いて、制御装置170Aで適切にスート合成条件に制御することで、上述した光ファイバ母材1を合成できるという利点がある。
【0109】
第2実施の形態の変形態様
第2実施の形態についても、図1(A)に図解した光ファイバ母材1を製造できる。すなわち、上述したスート密度の管理をセグメント層14の製造についてのみ行い、セグメント層14の上にクラッド15を製造する条件および方法は、従来の条件および方法で行うことができる。
【0110】
このように、本発明はドーパントをドープする工程にのみ関係しており、その過程においてドーパントの収率を向上させ、屈折率の局所的な変動(脈理)を小さくできるという効果を奏する。
【0111】
その他の変形態様
本発明は図1(A)〜(C)に図解した屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材1の製造に限らず、その他の種々の光ファイバ母材、たとえば、図5(A)、(B)に図解した屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材2の合成にも適用できる。
図5(A)に図解したM型の屈折率プロファイルを持つ光ファイバ母材2は、センタ・コア21、第2コア23、第3コア25、クラッド27からなり、その屈折率は、図5(B)に図解したように、クラッド27の屈折率をn0 とすると、センタ・コア21の屈折率はn0 より比屈折率差Δ21だけ低く、第2コア23の屈折率はn0 より比屈折率差Δ23だけ高く、第3コア25の屈折率はn0 より比屈折率差Δ25だけ高い。
【0112】
出発母材120としてセンタ・コア21を図示しない出発母材製造装置で製造し、第2コア23、第3コア25およびクラッド27を上述した、図2のOVD装置100または、図4のバーナ駆動型のOVD装置100Aで製造することができる。
この場合も、クラッド27より屈折率が高い第2コア23、第3コア25の製造部分に第1実施の形態および第2実施の形態において上述したスート密度制御とスート堆積面の温度分布制御を行うことにより、ドーパントの収率が高く、屈折率分布が均一な光ファイバ母材2が製造できる。
【0113】
変形態様
上述した実施の形態では、クラッドの屈折率より屈折率を高めるドーパントとして四塩化ゲルマニウム(GeCl4) を使用した場合を例示したが、本発明の実施の形態に際して、クラッドの屈折率より屈折率を高めるドーパントはGeCl4 には限定されず、その他の種々のドーパントを用いても上記同様の効果を奏することができる。特に、本発明においてはドーパントの酸化物が気化しやすいドーパント、たとえば、B203やP205等を用いた場合、有効である。
【0114】
【発明の効果】
本発明によれば、ドーパントをドープする過程においてスート密度、スート表面の最高温度、及びスートの合成速度が所定の範囲になるように、スート合成をすることにより、ドーパントの収率を向上させ、かつ、屈折率の局所的な変動(脈理)が少ない光ファイバ母材を製造でき、非破壊による屈折率測定が可能となった。
【0115】
上述のごとく脈理が少ない光ファイバ母材の製造は光ファイバ母材の歩留りか高くなることを意味しており、本発明によれば、光ファイバ母材を低価格で製造できる。
【0116】
さらに、脈理が少ない光ファイバ母材を用いて光ファイバを製造すると、伝送損失が小さく、偏波モード分散が少ないなどの伝送性能の良好な光ファイバとなることも期待できる。
【0117】
本発明の光ファイバ母材の製造は既存のOVD装置を用いることができ、光ファイバ母材の合成方法を最適化することで達成されるから、本発明の実施には製造整備の大幅な改良、整備の増加など価格高騰に至る問題か起きない。したがって、容易に本発明を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は本発明の実施の形態で製造される光ファイバ母材の断面図であり、図1(B)は出発母材の断面図であり、図1(C)は図1(A)に図示した光ファイバ母材の屈折率プロファイルを図示した図である。
【図2】図2は本発明の第1実施の形態としてのOVD装置の構成図である。
【図3】図3は図2に図示したOVD装置を用いて図1(A)に図示したセグメント層な合成する工程を示した工程図である。
【図4】図4は本発明の第2実施の形態としてのOVD装置の構成図である。
【図5】図5(A)は本発明の実施の形態で製造されるさらに他の光ファイバ母材の断面図であり、図5(B)は図5(A)に図示した光ファイバ母材の屈折率プロファイルを図示した図である。
【符号の説明】
1、1A・・光ファイバ母材
11・・センタ・コア、13・・ディプレスト層
14・・セグメント層、15・・クラッド
2・・光ファイバ母材
21・・センタ・コア、23・・第2コア
25・・第3コア、27・・クラッド、29・・樹脂被覆層
100・・OVD装置
101・・バーナ、102・・反応容器、103・・バーナ収容部
104・・排気部、105・・スピンドル機構、
106・・チャック、107・・モータ、110・・火炎
120・・出発母材、130・・スート
141・・燃焼ガス供給装置、142・・原料ガス供給装置
143・・ドーパント供給装置、
170、170A・・制御装置
172,170a・・放射温度計(非接触式光温度センサ)
174・・外径測定器(レーザ式測距装置)
180・・バーナ駆動系
181・・駆動ネジ、182・・モータ
190・・整流ボックス、192・・リデューサ部
194・・排気管部

Claims (2)

  1. 外付法(OVD法)でセンタコア部分を含む出発母材に、少なくともクラッドの屈折率より屈折率を高めるドーパントとしてのゲルマニウムを含むガラス微粒子を堆積させて屈折率を変化させる部分のスート母材を合成して光ファイバ母材を製造する光ファイバ母材の製造方法において、
    前記屈折率を高める部分のスートを合成する時、スート密度を0.1〜0.4g/cm3の範囲、前記スートの堆積面の最高温度を300〜600゜Cの範囲、かつ、合成速度を0.5〜2.5g/分の範囲になるように同時に制御して前記スートの合成を行う、
    光ファイバ母材の製造方法。
  2. 前記スートの堆積面の最高温度を前記最高温度の範囲に制御し、かつ、堆積されたスートの最高温度の位置から前記スート母材の円周に沿って前記スート母材が回転される向きにほぼ90度離れた位置の温度と前記最高温度との差を0〜90゜Cの範囲に維持して、前記スート母材を合成する、
    請求項1記載の光ファイバ母材の製造方法。
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