JP2004009831A - 車間距離制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車間距離センサ1が、一時的に見失った先行車を再び捕捉したときに、車間距離制御に不連続点が生じることを確実に防止して、運転者に与える違和感を抑制する。
【解決手段】車間距離検出センサ1で先行車の捕捉を開始したときに(ステップS9の判定が“No”)、自車両が、先行車に目標車間距離LTを含む所定範囲内で追従した定常追従走行状態にあると判断される場合は(ステップS12及びステップS13の判定が供に“Yes”)、車間距離センサ1で検出する車間距離Lに基づいて、補正車速指令値V*’の変化率を、通常制限値に比較して小さい車速変化率制限値V* RATEで制限する。
【選択図】 図2
【解決手段】車間距離検出センサ1で先行車の捕捉を開始したときに(ステップS9の判定が“No”)、自車両が、先行車に目標車間距離LTを含む所定範囲内で追従した定常追従走行状態にあると判断される場合は(ステップS12及びステップS13の判定が供に“Yes”)、車間距離センサ1で検出する車間距離Lに基づいて、補正車速指令値V*’の変化率を、通常制限値に比較して小さい車速変化率制限値V* RATEで制限する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、先行車との目標車間距離を維持しながら追従走行可能な車間距離制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の車間距離制御装置として、例えば、特開2000−135934号公報に記載されたものが提案されている。
この従来例には、車間距離センサにより先行車との車間距離を検出して、更に先行車との相対速度や車間距離指令値を算出すると共に、車間距離偏差と相対速度とに応じた車間距離制御系の減衰係数及び固有振動数を決定し、車速指令値演算手段で減衰係数及び固有振動数により規定されるフィルタを用いて車間距離指令値から目標車間距離と目標相対速度を演算し、自車速検出値、相対速度検出値、車間距離検出値、目標車間距離及び目標相対速度に基づいて車速指令値を演算することにより、様々な追従シーンにおいて望ましい車間距離応答を得るようにした車間距離制御装置が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例にあっては、先行車との目標車間距離を維持した追従走行中に、例えば、勾配が急な上り坂の頂上付近や曲率が大きいカーブに差し掛かったり、制動制御によるノーズダイブを生じたりすると、実際には先行車が存在するにもかかわらず、車間距離センサが先行車を見失ってしまう状況が生じ得る。この場合、車間距離センサが先行車を一時的に見失った状況から、再度捕捉する状況となるまでの間に、自車両と先行車両との相対位置関係が変化して、実際の車間距離と目標車間距離との偏差でなる車間距離偏差や相対速度検出値と目標相対速度との偏差でなる相対速度偏差車速が僅かでも変化したときは、先行車の見失いと再捕捉との間で車間距離制御に不連続点が生じ、運転者に違和感を与える可能性があるという未解決の課題がある。
【0004】
そこで、本発明は上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、車間距離検出手段が一時的に見失った先行車を再び捕捉したときに、車間距離制御に不連続点が生じることを確実に防止して運転者に与える違和感を抑制することができる車間距離制御装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、本発明に係る車間距離制御装置は、車間距離検出手段で検出する先行車との車間距離が、目標車間距離設定手段で設定される目標車間距離に収束するように、指令値算出手段で車速指令値を演算し、この車速指令値に基づいて自車速制御手段で自車両の車速を制御するが、車間距離検出手段で先行車を捕捉しない状態から捕捉する状態に復帰したときで、かつ先行車に前記目標車間距離を含む所定範囲内で追従する定常追従走行状態であるときに、車間距離検出手段で検出した車間距離に基づいて自車速制御手段の速度変化率を小さく制限するようにしている。
【0006】
【発明の効果】
本発明に係る車間距離制御装置によれば、車間距離検出手段で先行車を捕捉しない状態に移行してから捕捉する状態に復帰し、且つ定常追従走行状態であるときに、車間距離検出手段で検出した車間距離に基づいて自車速制御手段の速度変化率を小さい値に制限するので、加減速度の大きな変化を抑制し、運転者に与える違和感を解消することができるという効果が得られる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面について説明する。
図1は本発明における第1の実施形態を示すブロック図である。車間距離検出手段としての車間距離センサ1はレーザ光を発射して先行車からの反射光を受光するレーダー方式の検出器であり、先行車までの車間距離Lと先行車との相対速度ΔVとを検出する。
【0008】
ここで、相対速度ΔVは車間距離Lを微分して求めるか、あるいは車間距離Lをハンドパスフィルタ処理することにより求める。なお、車間距離センサ1としてはレーザ光を利用する場合にかぎらず、電波や超音波を利用して車間距離を検出し、相対速度を演算するようにしてもよい。また、相対速度ΔVは、先行車の車速から自車速を減算した値となり、先行車から離間するときに正の値、先行車に接近するときに負の値となる。
【0009】
車速センサ2は変速機の出力軸回転速度を検出し、自車速Vに換算する。
先行車追従制御コントローラ3はマイクロコンピュータとその周辺部分とからなり、入力される車間距離L、車速Vなどに基づいて先行車に追従するような車速指令値V*を演算する。この先行車追従制御コントローラ3の詳細については後述する。
【0010】
車速制御部4は、実車速Vが車速指令値V*に一致するような駆動力指令値F*を演算して、スロットルアクチュエータ5、自動ブレーキアクチュエータ6及びトランスミッションアクチュエータ7を制御する。この車速制御部4には、フィードバック制御手法や特開平10−272963号に示すロバストモデルマッチング手法など、種々の制御手法を適用することができる。
【0011】
スロットルアクチュエータ5は、駆動力指令値F*に応じたスロットルバルブ開度指令に従ってエンジンのスロットルバルブの開度を調節する。また、自動ブレーキアクチュエータ6は、駆動力指令値F*に応じたブレーキ液圧指令に従ってブレーキ液圧を調節する。さらに、トランスミッションアクチュエータ7は、駆動力指令値F*に応じた変速比指令に従って変速機の変速比を調節する。なお、変速機は有段変速機でも無段変速機でもよい。
【0012】
この実施形態では、先行車追従制御コントローラ3からの車速指令値V*を入力とし、車速センサ2で検出される自車速Vを出力とする車速制御系の伝達特性Gv(s)を、次式に示すように一次遅れの系に近似する。
Gv(s)=ωV/(s+ωV) ・・・・・・・・・(1)
この(1)式において、ωVは車速制御部伝達特性の折点角周波数である。
【0013】
先行車追従制御コントローラ3は、図1に示すように、マイクロコンピュータのソフトウェア形態により構成される車間距離指令値演算部31と、目標車間距離演算用定数決定部32と、目標車間距離設定手段としての目標車間距離演算部33と、指令値算出手段としての車速指令値演算部34と、前置補償車速指令値演算部35と、補正車速指令値演算部36と、速度変化率制限手段としての補正車速指令値変化率制限部37とを備えている。
【0014】
ここで、説明を簡単にするために、前置補償車速指令値演算部35、補正車速指令値演算部36及び補正車速指令値変化率制限部37を除いた基本構成について説明する。
この先行車追従制御コントローラ3には、車間距離センサ1から車間距離Lと相対速度ΔVとが入力され、車速センサ2から自車速Vが入力される。
【0015】
車間距離センサ1により先行車を検出した場合には、車間距離指令値演算部31が自車速Vと相対速度ΔVとに基づいて下記(2)式に従って車間距離指令値L*を演算する。
L*=a・Vt+LOF・・・・・・・・・(2)
ここで、aは係数、LOFは車両停車時のオフセット値である。また、Vtは先行車車速であり、自車速Vに相対速度ΔVを加算した値V+ΔVで算出される。
【0016】
目標車間距離演算用定数決定部32は、車間距離指令値演算部31からの車間距離指令値L*を入力として、車間距離センサ1により検出される実車間距離Lを出力とする車間距離制御系において、実車間距離Lが車間距離指令値L*に到達するまでの車間距離制御の応答特性を、実車間距離Lから車間距離指令値L*を減算して算出される車間距離偏差ΔL(=L−L*)と相対速度ΔVとに応じた最適な応答特性(以下、目標車間距離制御応答特性と称す)とするために、車間距離制御系の減衰係数ζTと固有振動数ωTを車間距離偏差ΔLと相対速度ΔVとに応じて決定する。
【0017】
具体的には、種々の追従シーンにおいて最適な車間距離制御の応答特性が得られるように、車間距離偏差ΔLと相対速度ΔVとに応じた車間距離制御系の減衰係数ζTと固有振動数ωTを予めマップとして設定し、追従制御時の車間距離偏差ΔLと相対速度ΔVに対応する減衰係数ζTと固有振動数ωTを目標車間距離演算用定数に決定する。ここで、減衰係数ζT及び固有振動数ωTのマップとしては例えば特開2000−135934号公報に記載されているマップを適用することができる。
【0018】
目標車間距離演算部33は、車間距離制御系における応答特性を目標の応答特性とするための減衰係数ζTと固有振動数ωTを用いて、車間距離指令値L*を下記(3)式に示す二次形式のフィルタを通して目標車間距離LTと目標相対速度ΔVTを演算する。なお、先行車を認識した直後の車間距離L0と相対速度ΔV0を初期値とする。
【0019】
【数1】
【0020】
つまり、上記(3)式により演算される目標車間距離LTと目標相対速度ΔVTは、実車間距離Lが目標応答特性を経て車間距離指令値L*に収束するように、車間距離と相対速度の時間的推移を規定した最終車間距離指令値である。
この(3)式を展開してラプラス変換すると下記(4)式のように表すことができる。
【0021】
【数2】
【0022】
この(4)式は車間距離指令値L*に対する目標車間距離LTの伝達関数であり、二次式で表される。この実施の形態では、車間距離制御系において、実車間距離Lが(4)式で表される目標車間距離LT(最終車間距離指令値)となるようにフィードバック制御を行う。上述したように、車間距離制御系の減衰係数ζTと固有振動数ωTに、車間距離偏差ΔLと相対速度ΔVとに応じた目標車間距離制御応答が得られる値を設定したので、種々の追従シーンにおいて望ましい車間距離制御応答を実現できる。
【0023】
目標車間距離制御応答としては、割込シーンや追い抜きシーンなどにおいて、先行車との車間距離が指令値を下回っているときでも、先行車との相対速度が小さい場合は急な減速を行わず、実車間距離が指令値へゆっくりと収束するような応答が望ましい。また、接近シーンなどにおいて、相対速度が大きいときでも車間距離が長い場合は急な減速を行わず、実車間距離が指令値へゆっくり収束するような応答が望ましい。このような追従シーンでは、実車間距離が指令値をオーバーシュート又はアンダーシュートしてから収束するような二次の応答特性となり、そのような応答は前記(3)式及び(4)式に示す二次のフィルタにより実現することができる。
【0024】
車速指令値演算部34は、所定の定数fV及びfLを用いて下記(5)式に従って演算することにより車速指令値V*を演算する。
V*=V(t)+ΔV(t)
−〔fV{ΔVT(t)−ΔV(t)}+fL{LT(t)−L(t)}〕
・・・・・・・・・(5)
この(5)式において、fVは目標相対速度偏差(目標相対速度ΔVT(t)と相対速度検出値ΔV(t)との差){ΔVT(t)−ΔV(t)}に乗ずる定数、fLは目標車間距離偏差(目標車間距離LT(t)と車間距離検出値L(t)との差){LT(t)−L(t)}に乗ずる定数である。
【0025】
このように実車間距離Lが目標車間距離応答特性を示す目標車間距離LTに収束するようにフィードバック制御するフィードバック制御系では、応答性を挙げるためには車間距離制御系の制御ゲインを大きくし制御時定数を短くしなければならず、そうすると安定性が犠牲となるというトレードオフの関係がある。
そこで、車間距離フィードバック制御系にフィードフォワードループを加え、車間距離指令値L*から目標車間距離応答を得るための補償車速指令値VCを求め、この補償車速指令値VCにより車間距離制御系で得られた車速指令値V*を補正する。したがって、車間距離制御系において安定性を損なわずに応答性を向上させるために、先行車追従コントローラ3に前置補償車速指令値演算部35と、補正車速指令値演算部36とが付加されている。また、補正車速指令値演算部36で算出される補正車速指令値の変化率を制限するための補正車速指令値変化率制限部37も付加されている。
【0026】
前置補償車速指令値演算部35は、基本車間距離指令値L*を下記(6)式で表されるフィルタを通して補償車速指令値VCを演算する。
【0027】
【数3】
【0028】
この(6)式のフィルタは、車速指令値V*から実車間距離Lまでの伝達関数の逆系と、前記(4)式で表される目標車間距離制御応答特性との積で表される。ここで、車速指令値V*から実車間距離Lまでの伝達関数は、車速指令値V*を入力とし実車速Vを出力とする前記(1)式で表される車速制御系の伝達関数Gv(s)と、実車速Vと先行車車速Vtとの差、つまり相対速度ΔVを積分して実車間距離Lを得るための積分器との積で表される。なお、前記(6)式により補償車速指令値VCを演算するときの初期値は、先行車両を認識した直後の車間距離L0と相対速度ΔV0とする。
【0029】
補正車速指令値演算部36は、下記(7)式のように、車間距離制御系で演算した車速指令値V*から補償車速指令値VCを減算した値(V*−VC)、又は乗員が設定した車速設定値VSETの値の小さい方を補正車速指令値V*’として補正車速指令値変化率制限部37へ出力する。なお、車間距離センサ1により先行車を捕捉できない場合は、乗員が目標車速として設定した車速設定値VSETが、そのまま補正車速指令値V*’となる。
【0030】
V*’= min(V*−VC、VSET) ・・・・・・・・・(7)
補正車速指令値変化率制限部37は、上述した補正車速指令値V*’に変化率制限を施し、最終的な補正車速指令値V*’’を演算し、前述した車速制御部4へ出力する。
この補正車速指令値変化率制限部37では、図2に示す車速指令値変化率制限処理を所定時間(例えば10msec)毎に実行する。なお、(n)は今回の処理で算出された値を、(n−1)は前回の処理で算出された値を夫々表しており、特に(n)
又は(n−1)と明記されていない変数については、今回の値を表している。
【0031】
この指令値変化率制限処理は、先ず、ステップS1で、車間距離センサ1により捕捉可能な先行車が有るか否かを判定し、先行車がいなければ、ステップS2に移行する。
このステップS2では、先行車の捕捉状況を表す捕捉フラグFCが先行車を捕捉していない状況を表す“0”にリセットされているか否かを判定する。この判定結果が捕捉フラグFC=1であるときは、前回の処理段階では先行車を捕捉していたものの、その先行車を見失ったと判断してステップS3に移行する。
【0032】
このステップS3では、先行車を見失った時点からカウントを開始するタイマTを“0”にクリアし、続くステップS4で捕捉フラグFCを“0”にリセットしてからステップS5に移行する。
このステップS5では、先行車を見失った時点の車速Vを維持するために、前回の処理で算出された最終補正車速指令値V*’’(n−1)を、再び今回の最終補正車速指令値V*’’(n)として車速制御部4へ出力してから、前記ステップS1に戻る。
【0033】
一方、前記ステップS2の判定結果が捕捉フラグFC=0であるときは、先行車を見失った状態を継続しているものと判断してステップS6に移行し、前回の処理段階でカウントされたタイマT(n−1)に“1”をインクリメントしてからステップS7に移行する。
このステップS7では、先行車を見失ってからカウントを開始したタイマTが所定値T1以上であるか否かを判定している。この判定結果がT<T1であるときは、先行車の見失いが一時的なものである可能性があると判断して前記ステップS5に移行する。一方、判定結果がT≧T1であるときは、追従走行に適当な先行車を失った可能性があると判断してステップS8に移行する。
このステップS8では、補正車速指令値V*’の変化率を制限するための車速変化率制限値V* RATEの設定方法を切換える切換フラグFSを“0”にリセットしてから、後述するステップS15に移行する。
【0034】
一方、前記ステップS1で、先行車有りと判定されるときには、ステップS9に移行して、捕捉フラグFCが“1”にセットされているか否かを判定する。この判定結果が捕捉フラグFC=0であるときは、先行車の捕捉を開始したと判断して、ステップS10で捕捉フラグFCを“1”にセットしてからステップS11に移行する。
【0035】
このステップS11では、先行車を捕捉した直後の相対車速ΔV0及び車間距離偏差ΔL0を読込んでから、ステップS12、次いでステップS13へと移行する。これら、ステップS12及びステップS13では、自車両が捕捉した先行車に対して目標車間距離を含む所定範囲内で追従する、すなわち、目標車間距離LTを大方維持した定常追従走行状態にあるか否かを判定する。
【0036】
先ず、ステップS12では、前記ステップS11で読込んだ相対車速ΔV0が、−ΔVTHを超え、且つΔVTH未満の第2の設定範囲内であるか否かを判定し、この判定結果が−ΔVTH<ΔV0<ΔVTHであるときは、捕捉した先行車と略等しい速度で走行中であると判断して、ステップS13に移行する。
このステップS13では、前記ステップS11で読込んだ車間距離偏差ΔL0が、−ΔLTHを超え、且つΔLTH未満の第2の所定範囲内であるか否かを判定する。この判定結果が−ΔLTH<ΔL0<ΔLTHであるときは、捕捉した先行車に対し、目標車間距離LTと略等しい車間距離を有していると判断して、ステップS14で切換フラグFSを定常追従走行状態であることを表す“1”にセットしてから後述するステップS15に移行する。
【0037】
一方、前記ステップS12の判定結果がΔV0≦−ΔVTH、又はΔV0≧ΔVTHであるときには、先行車に対して接近傾向、又は離間傾向にあるものと判断して、切換フラグFSを“0”にリセットしたまま、ステップS15に移行する。また、前記ステップS13の判定結果がΔL0≦−ΔLTH、又はΔL0≧ΔLTHであるときには、捕捉した先行車との車間距離が目標車間距離LTから離間していると判断して、切換フラグFSを“0”にリセットしたまま、ステップS15に移行する。さらに、前記ステップS9の判定結果が捕捉フラグFC=1であるときは、先行車の捕捉状態を継続しているものと判断してステップS15に移行する。
【0038】
ステップS15では、切換フラグFSが“1”にセットされているか否かを判定しており、この判定結果が切換フラグFS=0であるときは、先行車に対する実際の車間距離Lが目標車間距離LTから離間傾向にある、若しくはその可能性があって定常追従走行状態ではないものと判断してステップS16に移行する。このステップS16では、今回の補正車速指令値V*’(n)が、前回の最終補正車速指令値V*’’(n−1)より大きいか否かを判定しており、この判定結果がV*’(n)>V*’’(n−1)であるときは、自車両が加速するものと判断してステップS17に移行する。このステップS17では、補正車速指令値V*’の変化率を制限する車速変化率制限値V* RATEを、通常制限値としての加速用車速変化率制限値V* RATE−Aに設定してから後述するステップS20に移行する。
【0039】
一方、前記ステップS17の判定結果がV*’(n)≦V*’’(n−1)であるときは、自車両が車速を維持するか、又は減速するもの判断してステップS18に移行する。このステップS18では、車速変化率制限値V* RATEを、通常制限値としての減速用車速変化率制限値V* RATE−Dに設定してから後述するステップS20に移行する。
【0040】
また、前記ステップS15の判定結果が切換フラグFS=1であるときは、自車両が捕捉した先行車に対して目標車間距離LTを大方維持した定常追従走行状態にあると判断してステップS19に移行する。
ステップS19では、前記ステップS11で読込んだ相対車速ΔV0及び車間距離偏差ΔL0に基づいて、基本制限値V* RATE−B及び制限値補正定数KRATEを夫々算出した後、下記(8)式に基づいて車速変化率制限値V* RATEを演算してから後述するステップS20に移行する。
【0041】
V* RATE=V* RATE−B×KRATE・・・・・・・・・(8)
ここで、基本制限値V* RATE−Bは、図3に示すように、相対車速ΔV0と車速変化率基本制限値V* RATE−Bとの関係を表した基本制限値算出用制御マップを参照して、相対車速ΔV0から算出する。この基本制限値算出用制御マップは、先行車追従制御コントローラ3が有するメモリに予め記憶されている。
【0042】
基本制限値算出用制御マップは、図3に示すように、横軸に相対車速ΔV0を、縦軸に基本制限値V* RATE−Bをとった座標系で表されている。そして、相対車速ΔV0が零から正方向に向けて第1の設定範囲としての加速側リミット値ΔVACCまで増加するときに、これに比例して基本制限値V* RATE−Bも、正値の制限値V* RATE−B1から正の定常値V* RATE−Aまで直線的に増加し、相対車速ΔV0が加速側リミット値ΔVACC以上となるときに、基本制限値V* RATE−BがV* RATE−Aを維持するように設定されている。一方、相対車速ΔV0が零から負方向に向けて第1の設定範囲としての減速側リミット値ΔVDECまで減少するときに、基本制限値V* RATE−Bも比例して、負の制限値V* RATE−B2から負の定常値V* RATE−Dまで直線的に減少し、相対車速ΔV0が減速側リミット値ΔVDEC以下となるときに、基本制限値V* RATE−Bは、V* RATE−Dを維持するように設定されている。
【0043】
さらに、相対車速ΔV0が先行車に接近する方向に変化するときの基本制限値V* RATE−Bの絶対値が、先行車から離間する方向に変化するときの基本制限値V* RATE−Bの絶対値に比較して大きな値となるように、加速側のV* RATE−B1及びV* RATE−A、並びに減速側のV* RATE−B2及びV* RATE−Dが夫々設定されている。なお、加速側リミット値ΔVACC及び減速側リミット値ΔVDECの夫々は、前述した−ΔVTHを超え、ΔVTH未満の設定範囲内の値である。
【0044】
また、制限値補正定数KRATEは、図4に示すように、車間距離偏差ΔL0と制限値補正定数KRATEとの関係を表した制限値補正定数算出用制御マップを参照して、車間距離偏差ΔL0から算出する。この制限値補正定数算出用制御マップは、先行車追従制御コントローラ3が有するメモリに予め記憶されている。
この制限値補正定数算出用制御マップは、図4に示すように、横軸に車間距離偏差ΔL0を、縦軸に制限値補正定数KRATEをとった座標系で表されている。そして、車間距離偏差ΔL0が零であるときは、制限値補正定数KRATEが“1”よりも小さなKRATE−MINとなり、この状態から車間距離偏差ΔL0が正方向に第1の所定範囲としての加速側リミット値ΔLACCまで増加するときに、制限値補正定数KRATEも比例して、KRATE−MINを超えて“1”まで直線的に増加し、車間距離偏差ΔL0が加速側リミット値ΔLACC以上となるときに、制限値補正定数KRATEは、“1”を維持するように設定されている。一方、車間距離偏差ΔL0が零から負方向に第1の所定範囲としての減速側リミット値ΔLDECまで減少するときに、制限値補正定数KRATEも比例して、KRATE−MINを超えて“1”まで直線的に増加し、車間距離偏差ΔL0が負の減速側リミット値ΔLDEC以下となるときに、制限値補正定数KRATEは、“1”を維持するように設定されている。
【0045】
さらに、車間距離偏差ΔL0が車間距離Lの短くなる方向に変化するときの制限値補正定数KRATEが、車間距離Lが長くなる方向に変化するときの制限値補正定数KRATEに比較して大きな値となるように、加速側リミット値ΔLACC及び減速側リミット値ΔLDECが夫々設定されている。なお、加速側リミット値ΔLACC及び減速側リミット値ΔLDECの夫々は、前述した−ΔLTHを超え、ΔLTH未満の所定範囲内の値である。
【0046】
また、ステップS20では、前回の最終補正車速指令値V*’’(n−1)から今回の補正車速指令値V*’(n)を減算した偏差の絶対値が、車速変化率制限値V* RATEより大きいか否かを判定している。この判定結果が|V*’’(n−1)−V*’(n)|≦|V* RATE|であるときは、車速変化量が小さい範囲に納まって今回の補正車速指令値V*’(n)を制限する必要はないと判断してステップS21に移行する。このステップS21では、切換フラグFSを“0”にリセットして、続くステップS22で今回の補正車速指令値V*’(n)を、最終補正車速指令値V*’’(n)として車速指令部4へ出力してから、前記ステップS1に戻る。
【0047】
一方、前記ステップS20の判定結果が|V*’’(n−1)−V*’(n)|>|V* RATE|であるときは、前回の最終補正車速指令値V*’’(n−1)から今回の補正車速指令値V*’(n)への車速変化量が大きいと判断してステップS23に移行する。このステップS23では、前回の最終補正車速指令値V*’’(n−1)に車速変化率制限値V* RATEを加算したものを、今回の最終補正車速指令値V*’’(n)として車速制御部4へ出力してから、前記ステップS1に戻る。
【0048】
ここで、車間距離センサ1が車間距離検出手段に対応し、先行車追従制御コントローラ3における目標車間距離演算部33が目標車間距離設定手段に対応し、先行車追従制御コントローラ3における車速指令値演算部34が指令値算出手段に対応し、車速制御部4、スロットルアクチュエータ5、自動ブレーキアクチュエータ6及びトランスミッションアクチュエータ7が自車速制御手段に対応し、図2の車速指令値変化率制限処理におけるステップS9、ステップS11、ステップS12及びステップS13の処理が捕捉開始時追従判定手段に対応し、図2の車速指令値変化率制限処理におけるステップS15、ステップS19、ステップS20及びステップS23の処理が速度変化率制限手段に対応している。
【0049】
次に、上記実施形態における動作について説明する。
今、自車両が直線的な平坦路を、追従走行に適した先行車両を車間距離センサ1で捕捉した状態で走行しているとする。このときは、先ず、車間距離センサ1で検出する先行車両との車間距離Lから、相対速度ΔVを算出し、この相対車速ΔV及び車速センサ2で検出される自車速Vから前記(2)式に基づいて車間距離指令値L*を算出する。
【0050】
この車間距離指令値L*に基づいて、目標車間距離演算部33が、目標車間距離LTを演算してから車速指令値演算部34へ出力し、車速指令値演算部34が入力された目標車間距離LTに応じた車速指令値V*を演算し、補正車速指令値演算部36へ出力する。続いて、この補正車速指令値演算部36が、入力された車速指令値V*から、前置補償車速指令値演算部35より供給される補償車速指令値VCを減算して補正車速指令値V*’を算出することにより、車間距離制御系における安定性を確保しつつ、応答性の向上を図っている。
【0051】
さらに、補正車速指令値V*’を、補正車速指令値変化率制限部37に通して、その変化率に制限を掛けてから最終補正車速指令値V*’’を生成する。そして、この最終補正車速指令値V*’’を車速制御部へ供給して、ロバストモデルマッチング手法で駆動力指令値F*を算出し、この駆動力指令値F*に基づいてスロットルアクチュエータ5、自動ブレーキアクチュエータ6及びトランスミッションアクチュエータ7を制御することにより、車間距離センサ1で検出した実際の車間距離Lが目標車間距離LTに収束するように自車速制御を行う。
【0052】
こうして、自車両が、概ね一定の速度で走行している先行車に対して車間距離指令値L*を維持した理想的な追従走行状態にあるときは、自車速Vが、先行車の車速Vtと略一致しており、相対車速ΔVは、図5(b)に示すように、略0[km/h]となる。
ここで、車間距離の変動に応じて算出される補正車速指令値V*’は、補正車速指令値変化率制限部37にて、その変化率に制限が掛けられている。この先行車への理想的な追従走行状態にあるときには、補正車速指令値V*’(n)の変化率も十分に低く、既に、前回の最終補正車速指令値V*’’(n−1)から今回の補正車速指令値V*’(n)を減じた偏差の絶対値が、車速変化率制限値V* RATEの絶対値以下となっており(ステップS20の判定が“No”)、切換フラグFCは“0”にリセットされている(ステップS21)。したがって、補正車速指令値V*’は、通常制限値で制限されている(ステップS15の判定が“No”)。
【0053】
すなわち、今回の補正車速指令値V*’(n)が、前回の最終補正車速指令値V*’’(n−1)に対して、増加するときには、加速用車速変化率制限値V* RATE−A以下に(ステップS17)、逆に減少するときには、減速用車速変化率制限値V* RATE−D以下となるように(ステップS18)、補正車速指令値V*’(n)の変化率を制限することで、先行車への追従走行中に過大な加減速が発生することを抑制している。この、減速用車速変化率制限値V* RATE−Dの絶対値は、加速用車速変化率制限値V* RATE−Aの絶対値に比べて大きく設定されているので、加速時よりも減速時の方が大きな車速変化率を許容している。
【0054】
ここで、直線的な平坦路から、例えば、勾配が急な上り坂の頂上付近や曲率の大きいカーブに差し掛かると、図5(e)に示すように、車間距離センサ1が時点t0で先行車を一時的に見失ってしまう(ステップS2の判定が“No”)。
そこで、先行車追従制御コントローラ3は、先行車を見失った時点t0からタイマTのカウントを開始すると供に、先行車を見失った時点の車速を維持するために、前回の処理段階で生成された最終補正車速指令値V*’’(n−1)(以下、見失い時車速指令値V*’’Lと称す)を継続して車速制御部4へ出力する(ステップS5)。この見失い時車速指令値V*’’Lは、先行車が捕捉されず、且つタイマTが所定値T1未満である間、継続して出力される(ステップS7の判定が“No”)。
【0055】
そして、先行車が依然として捕捉されず、図5(e)に示すように、時点t1でタイマTが所定値T1以上となるときに(ステップS7の判定が“Yes”)、見失い時車速指令値V*’’Lに替えて、予め運転者により設定された車速設定値VSETが補正車速指令値V*’として出力される。
このとき、車速設定値VSETに対応した補正車速指令値V*’が、見失い時車速指令値V*’’Lに対して大きく、加速状態への移行となる場合、その差分が加速用車速変化率制限値V* RATE−A以下であるときには、補正車速指令値V*’を最終補正車速指令値V*’’(n)として車速制御部4へ出力する(ステップS22)。一方、補正車速指令値V*’と見失い時車速指令値V*’’Lとの差分が、加速用車速変化率制限値V* RATE−Aを超えているときには、見失い時車速指令値V*’’Lに加速用車速変化率制限値V* RATE−Aを加算した値を最終補正車速指令値V*’’(n)として車速制御部4へ出力する(ステップS23)。
【0056】
したがって、図5(c)に示すように、時点t2以降の最終補正車速指令値V*’’(n)は(以下、単に車速指令値V*’’と称す)、自車速Vが車速設定値V*’’に到達するまで、加速用車速変化率制限値V* RATE−A以下の変化率に制限されつつ、徐々に増加する。そして、これに応じるように、図5(d)に示した駆動力指令値F*も徐々に値を増してゆくことで、自車両が加速してゆく。
【0057】
そして、自車両が、勾配が急な上り坂の頂上付近や曲率の大きいカーブを抜け出し、図5(e)の時点t2で示すように、車間距離センサ1が再び先行車を捕捉したとする(ステップS9の判定が“No”)。
先ず、先行車追従制御コントローラ3は、先行車を捕捉した時点t2における先行車との相対車速ΔV0及び車間距離偏差ΔL0を読込む(ステップS11)。次いで、これら相対車速ΔV0が設定範囲内(−ΔVTH<ΔV0<ΔVTH)で、且つ車間距離偏差ΔL0が所定範囲内(−ΔLTH<ΔL0<ΔLTH)であるかを判定して(ステップS12及びステップS13)、自車両が再捕捉した先行車に対する目標車間距離LTを大方維持している定常追従走行状態にあるか否かを確認する。
【0058】
仮に、先行車を見失っていた間に、この先行車が減速又は加速しており、車間距離センサ1で再捕捉したときに、相対車速ΔV0が、−ΔVTH以下やΔVTH以上である(ステップS12の判定が“No”)、又は車間距離偏差ΔL0が、−ΔLTH以下やΔLTH以上である(ステップS13の判定が“No”)、すなわち定常追従走行状態から逸脱している場合には、比較的大きな加減速を許容する必要がある。そのため、先行車を再び捕捉した後に算出される補正車速指令値V*’の変化率を、通常制限値の加速用車速変化率制限値V* RATE−A又は減速用車速変化率制限値V* RATE−D以下に制限することで(ステップS17又はステップS18)、急激な加減速を抑制しつつも、目標車間距離LTへの速やかな収束を図る。
【0059】
一方、先行車を再捕捉した時点t2で、図5(c)に示すように、相対車速ΔV0が−ΔVTHを超え、ΔVTH未満の設定範囲内で(ステップS12の判定が“Yes”)、且つ図5(a)に示すように、目標車間距離に対する実際に計測した車間距離の差分(車間距離偏差ΔL0)が−ΔLTHを超え、ΔLTH未満の所定範囲内である(ステップS13の判定が“No”)、すなわち、自車両が先行車に対する定常追従走行状態にある場合には、上記のように比較的大きな加減速が必ずしも必要とはならない。
【0060】
ここで、図5(c)における時点t2以降、一点差線で示す元々の補正車速指令値V*’を、上述した通常制限値で制限した場合の車速指令値V*’’を点線で示すように、過大な変化率を抑制してはいるが、それでも、この車速指令値V*’’に対応した駆動力指令値F*を図5(d)の点線で示すように、その変化率は比較的大きく、また不連続である。
【0061】
そこで、自車両が先行車に対する定常追従走行状態にある場合には、目標車間距離LTへの更なる収束を、より繊細に行うことが望ましい。そのため、先行車を再び捕捉した後に算出される補正車速指令値V*’の変化率を、先行車を捕捉した時点t2の相対車速ΔV0及び車間距離偏差ΔL0に基づいて通常制限値に比較して小さくなるように、車速変化率制限値V* RATEを演算する(ステップS19)。
【0062】
したがって、例えば、相対車速ΔV0が、零から減速側リミット値ΔVDEC未満の値であるときには、基本制限値V* RATE−Bの絶対値がV* RATE−Dの絶対値よりも小さい値となる。さらに、車間距離偏差ΔL0が、零から減速側リミット値ΔLDEC未満の値であるときには、制限値補正定数KRATEが、“1”よりも小さい値となる。
【0063】
こうして、基本制限値V* RATE−Bに制限値補正定数KRATEを乗じて演算する車速変化率制限値V* RATEが通常制限値よりも小さくなることで、図5(c)における時点t2以降の実線で示すように、補正車速指令値V*’の変化率を更に小さく制限する。その結果、図5(d)の実線で示すように、比較的大きな変化を適度に抑制した連続的な駆動力指令値F*を出力することで、運手者に与え兼ねない違和感を確実に抑制している。
【0064】
その後、先行車との実際の車間距離Lが目標車間距離LTに徐々に収束してくると、これに伴うように、算出される補正車速指令値V*’(n)の変化率も徐々に低下してくる。そして、前回の最終補正車速指令値V*’’(n−1)から今回の補正車速指令値V*’(n)を減じた偏差の絶対値が、車速変化率制限値V* RATEの絶対値以下となった後は(ステップS20の判定が“No”)、車速変化率制限値V* RATEが通常制限値に復帰する(ステップS21)。
【0065】
また、先行車を見失ってからカウントを開始するタイマTが所定値T1未満であるときに、先行車を再び捕捉した場合は、先行車を見失っていた時間も僅かで、尚且つ見失い時車速指令値V*’’Lが継続して出力されているので、先行車への定常追従走行状態にある可能性が大きい。
そして、実際に先行車への定常追従走行状態にあることが確認されると(ステップS12及びステップS13の判定が供に“Yes”)、目標車間距離LTへの更なる収束を、より繊細に行うために、補正車速指令値V*’の変化率を、先行車を捕捉した時点t2の相対車速ΔV0及び車間距離偏差ΔL0に基づいて通常制限値に比較して小さくなるように、車速変化率制限値V* RATEを演算する(ステップS19)。仮に、先行車を見失っていた僅かな間に、この先行車が急に減速又は加速しており、定常追従走行状態から逸脱している場合は(ステップS12又はステップS13の何れかの判定が“No”)、比較的大きな加減速を許容するために、補正車速指令値V*’の変化率を、通常制限値により制限する(ステップS17、又はステップS18)。
【0066】
また、先行車への追従走行状態にあるときに、制動制御によるノーズダイブが生じることで、先行車を見失った場合について説明する。なお、この制動制御とは極一時的なものを指している。
したがって、直ちに車両体勢を立て直して先行車に追従するとき、先行車を見失っていた時間が僅かであっても、先行車を見失う程のノーズダイブを招来する制動制御により、先行車への定常追従走行状態にある可能性は低い。
【0067】
したがって、実際に先行車への定常追従走行状態から逸脱している場合は(ステップS12又はステップS13の何れかの判定が“No”)、比較的大きな加減速を許容する(ステップS17、又はステップS18)。仮に、先行車を見失っている間に、この先行車も自車両と同様に減速していて、再び捕捉したときに、定常追従走行状態にあるときには、目標車間距離LTへの更なる収束を、より繊細に行う(ステップS19)。
【0068】
なお、上記第1の実施形態における図3の基本制限値算出用制御マップでは、相対車速ΔV0が減速側リミット値ΔVDECから加速側リミット値ΔVACCの設定範囲内で変化するとき、これに応じて基本制限値V* RATE−Bが直線的に変化する構成について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、相対車速ΔV0の変動に応じて基本制限値V* RATE−Bが曲線状に変化したり、複数の段階で変化したりしてもよい。
【0069】
また、上記第1の実施形態における図3の基本制限値算出用制御マップでは、相対車速ΔV0が零であるときは、基本制限値V* RATE−Bが、減速側のV* RATE−B2となるように設定されているが、これに限定されるものではなく、加速側のV* RATE−B1となるように設定してもよい。
さらに、上記第1の実施形態における図4の制限値補正定数算出用制御マップでは、車間距離偏差ΔL0が減速側リミット値ΔLDECから加速側リミット値ΔLACCの所定範囲内で変化するとき、これに応じて制限値補正定数KRATEが直線的に変化する構成について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、車間距離偏差ΔL0の変動に応じて制限値補正定数KRATEが曲線状に変化したり、複数の段階で変化させたりしてもよい。
【0070】
さらに、上記第1の実施形態においては、車間距離指令値演算部31で先行車車速Vtに基づいて車間距離指令値L*を演算する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、先行車車速Vtに代えて自車速Vを適用し、下記(9)式に示すように、車間距離指令値L*を自車速Vの関数として演算するようにしてもよい。
【0071】
L*=a’・V+LOF’ ・・・・・・・・・(9)
ここで、a’は係数、LOF’は車両停車時のオフセット値である。
さらにまた、図6に示すように、予め設定した車間距離設定値LSETを車間距離指令値L*として使用することで車間距離指令値演算部31を省略したり、更には前置補償車速指令値演算部35及び補正車速指令値演算部36を省略したりしてもよい。
【0072】
また、上記第1の実施形態においては、車速指令値の変化率を車速指令値制限V* RATEで制限する構成について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、車速制御部4で演算される駆動力指令値F*の変化率を制限してもよく、要は、自車速の変化率を制限することができればよい。
以上のように、車間距離検出センサ1で先行車の捕捉を開始したときの自車両が、先行車に目標車間距離を含む所定範囲内で追従した定常追従走行状態にあると判断される場合は、車間距離センサ1で検出する車間距離Lに基づいて、補正車速指令値V*’の変化率を、通常制限値に比較して小さい車速変化率制限値V* RATEで制限することで、加減速の大きな変化を確実に抑制し、運転者に与える違和感を解消することができる。
【0073】
また、先行車との相対車速ΔV0及び車間距離Lと目標車間距離LTとの車間距離偏差ΔL0を検出して、相対車速ΔV0が零を含む第1の設定範囲としてのΔVDECを超え、且つΔVACC未満であるときに、又は車間距離偏差ΔL0が零を含む第1の所定範囲内としてのΔLDECを超え、且つΔLACC未満であるときに、補正車速指令値V*’の変化率を、通常制限値に比較して小さい車速変化率制限値V* RATEで制限しているので、加減速の大きな変化を的確に抑制し、運転者に与える違和感を解消することができる。
【0074】
さらに、車間距離センサ1で先行車の捕捉を開始した場合、相対車速ΔV0が零を含む第2の設定範囲内としての−ΔVTHを超え、且つΔVTH未満であるときで、且つ車間距離偏差ΔL0が零を含む第2の所定範囲内としての−ΔLTHを超え、且つΔLTH未満であるときに、定常追従走行状態であると判定するので、自車両が先行車との目標車間距離を大方維持しているか否かを、正確に判定することができる。
【0075】
さらにまた、相対車速ΔV0、又は車間距離偏差ΔL0の夫々が零に近づくほど、車速変化率制限値V* RATEを小さい値に設定するように構成されているので、加減速の大きな変化をより的確に抑制し、運転者に与える違和感を解消することができる。
また、相対車速ΔV0が先行車に接近する方向に変化するときの車速変化率制限値V* RATEを、先行車から離間する方向に変化するときの車速変化率制限値V* RATEに比較して大きな値に設定するように構成されているので、減速時には加速時に比べて大きな車速変化率を許容することにより、安全性を高めることができる。
【0076】
さらに、車間距離偏差ΔL0が車間距離の短くなる方向に変化するときの車速変化率制限値V* RATEを、車間距離Lが長くなる方向に変化するときの車速変化率制限値V* RATEに比較して大きな値に設定するように構成されているので、減速時には加速時に比べて大きな車速変化率を許容することにより、安全性を高めることができる。
【0077】
さらにまた、車速指令値演算部34で演算する車速指令値の変化率を車速変化率制限値V* RATEで制限することにより、自車両の速度変化率を容易に制限することができる。
次に本発明の第2の実施形態を図7に基づいて説明する。
この第2の実施形態は、前述した第1の実施形態における車速変化率制限値V* RATEの演算方法を変化させたものである。
【0078】
すなわち、第2の実施形態では、先行車追従制御コントローラ3で実行される車速指令値変化率制限処理を図7に示すように、前述した図2のステップS19の処理が、車速変化率制限値V* RATEを基本制限値V* RATE−Bのみに基づいて演算するステップS30に変更されたことを除いては、第1の実施形態と同様の処理手順で構成されるので、図2との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0079】
したがって、例えば、自車両が再捕捉した先行車に対して定常追従走行状態にある場合(ステップS12及びステップS13の判定が供に“Yes”)、相対車速ΔV0が、零を超え、且つ減速側リミット値ΔVDEC未満となるときには、基本制限値V* RATE−Bの絶対値が通常制限値としてのV* RATE−Dの絶対値よりも小さい値となる。また、相対車速ΔV0が、零を超え、且つ加速側リミット値ΔVACC未満となるときには、基本制限値V* RATE−Bの絶対値が通常制限値としてのV* RATE−Aの絶対値よりも小さい値となる。
【0080】
なお、上記第2の実施形態においては、相対車速ΔV0に基づいて、基本制限値V* RATE−Bを演算する構成について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、前述した図4の制限値補正定数算出用制御マップと同様の特性を有する制御マップを参照して、相対車速ΔV0から制限値補正定数KRATEを算出し、これを予め設定された一定基本制限値V* RATE−Rに乗じることで、車速変化率制限値V* RATEを小さくしてもよく、要は、相対車速ΔV0に基づいて、車速変化率制限値V* RATEを小さくすることができれば、如何なる演算方法を用いてもよい。
【0081】
以上のように、先行車との相対車速ΔV0を検出して、相対車速ΔV0が零を含む第1の設定範囲としてのΔVDECを超え、且つΔVACC未満であるときに、補正車速指令値V*’の変化率を、通常制限値に比較して小さい車速変化率制限値V* RATEで制限しているので、加減速の大きな変化を容易に抑制し、運転者に与える違和感を解消することができる。
【0082】
次に本発明の第3の実施形態を図8に基づいて説明する。
この第3の実施形態は、前述した第1の実施形態における車速変化率制限値V* RATEの演算方法を変化させたものである。
すなわち、第3の実施形態では、先行車追従制御コントローラ3で実行される車速指令値変化率制限処理を図7に示すように、前述した図2のステップS19の処理が、予め設定された一定基本制限値V* RATE−Rに制限値補正定数KRATEを乗じて車速変化率制限値V* RATEを演算するステップS31に変更されたことを除いては、第1の実施形態と同様の処理手順で構成されるので、図2との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0083】
因みに、一定基本制限値V* RATE−Rは、前述した第1の実施形態における加速用車速変化率制限値V* RATE−A又は減速用車速変化率制限値V* RATE−D近傍の値に設定されている。
したがって、例えば、自車両が再び捕捉した先行車に対して定常追従走行状態にある場合(ステップS12及びステップS13の判定結果が供に“Yes”)、車間距離偏差ΔL0が、零を超え、且つ減速側リミット値ΔLDEC未満となるときに、制限値補正定数KRATEが“1”よりも小さい値となる。また、車間距離偏差ΔL0が、零を超え、且つ加速側リミット値ΔLACC未満となるときに、制限値補正定数KRATEが“1”よりも小さい値となる。こうして制限値補正定数KRATEが一定基本制限値V* RATE−Rに乗算されることにより、通常制限値としてのV* RATE−Dの絶対値よりも小さい値となる。
【0084】
なお、上記第3の実施形態においては、車間距離偏差ΔL0から制限値補正定数KRATEを演算する構成について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、前述した図3の基本制限値算出用制御マップと同様の特性を有する制御マップを参照して、車間距離偏差ΔL0から基本制限値V* RATE−Bを演算することで、車速変化率制限値V* RATEを小さくしてもよく、要は、車間距離偏差ΔL0に基づいて、車速変化率制限値V* RATEを小さくすることができれば、如何なる演算方法を用いてもよい。
【0085】
以上のように、車間距離Lと目標車間距離LTとの車間距離偏差ΔL0を検出して、車間距離偏差ΔL0が零を含む第1の所定範囲内としてのΔLDECを超え、且つΔLACC未満であるときに、補正車速指令値V*’の変化率を、通常制限値に比較して小さい車速変化率制限値V* RATEで制限しているので、加減速の大きな変化を容易に抑制し、運転者に与える違和感を解消することができる。
【0086】
次に本発明の第4の実施形態を図9に基づいて説明する。
この第4の実施形態は、前述した第1の実施形態において、先行車を捕捉しない状態から捕捉する状態に復帰するまでの復帰時間に基づいて、自車両が先行車に対する定常走行状態にある可能性を予測するように構成したものである。
すなわち、この第4の実施形態では、先行車追従制御コントローラ3で実行される車速指令値変化率制限処理を図9に示すように、前述した第1の実施形態における図2のフローチャートにおいて、ステップS10を処理した後に、ステップS40を追加したことを除いては、第1の実施形態と同様の処理手順で構成されるので、図2との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0087】
図9の車速指令値変化率制限処理では、ステップS10で捕捉フラグFCを“1”にセットし後にステップS40に移行する。このステップS40では、先行車を見失った時点t0からカンウントを開始したタイマTが所定値T*未満であるか否かを判定している。この判定結果がT≧T*であるときは、自車両が先行車に対して定常走行状態にある可能性は低いものと判断して、前記ステップS8に移行する。一方、判定結果がT<T*であるときは、先行車の見失いが一時的なものであると判断してステップS11に移行する。なお、所定値T*は、自車両が先行車に対する目標車間距離LTを大方維持している可能性があるか否かを判定する値となるため、前述した所定値比較的長く設定されている。
【0088】
したがって、例えば、先行車の車線変更により追従走行に適した先行車を失い、その後、ある程度の時間を経て新たな先行車を捕捉した場合など、先行車を見失ってからカウントを開始したタイマTが所定値T*以上であるときには(ステップS40の判定が“No”)、自車両が先行車に対して定常走行状態にある可能性は低い。そのため、比較的大きな加減速を許容するために、先行車を再び捕捉した後に算出される補正車速指令値V*’の変化率を、通常制限値の加速用車速変化率制限値V* RATE−A又は減速用車速変化率制限値V* RATE−D以下に制限することで(ステップS17又はステップS18)、急激な加減速を抑制しつつも、目標車間距離LTへの速やかな収束を図る。
【0089】
一方、タイマTが所定値T*未満であるときには(ステップS40の判定が“Yes”)、先行車の見失いが一時的なものであると判断して、実際に自車両が先行車に対して定常走行状態にあるか否かを判定してゆく(ステップS12及びステップS13)。
以上のように、車間距離センサ1で先行車を捕捉しない状態から捕捉する状態に復帰するまでのタイマTが所定値T*未満であるときには、車間距離Lに基づいて車速変化率を小さく制限し、タイマTが所定値T*以上であるときには、通常制限値を用いて車速変化率の制限を行うように構成されているので、先行車の見失い時間が長かった場合は、捕捉開始時における定常追従走行の判定処理を省略して、車速指令値変化率制限処理を簡略化することができる。
【0090】
なお、上記第4の実施形態においては、前述した第1実施形態のように、相対車速ΔV0及び車間距離偏差ΔL0に基づいて、車速変化率制限値V* RATEを演算する構成について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、前述した第2実施形態、又は第3実施形態のように、相対車速ΔV0又は車間距離偏差ΔL0の何れかに基づいて、車速変化率制限値V* RATEを演算してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における第1実施形態を示す概略構成図である。
【図2】第1実施形態における車速指令値変化率制限処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】基本制限値算出用制御マップである。
【図4】制限値補正定数算出用制御マップである。
【図5】第1実施形態の動作を説明するタイムチャートである。
【図6】車間距離指令値演算部31、前置補償車速指令値演算部35、及び補正車速指令値演算部36を省略した場合の概略構成図である。
【図7】第2実施形態における車速指令値変化率制限処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】第3実施形態における車速指令値変化率制限処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】第4実施形態における車速指令値変化率制限処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 車間距離センサ(車間距離検出手段)
2 車速センサ
3 先行車追従制御コントローラ
4 車速制御部(自車速制御手段)
5 スロットルアクチュエータ(自車速制御手段)
6 自動ブレーキアクチュエータ(自車速制御手段)
7 トランスミッションアクチュエータ(自車速制御手段)
31 車間距離指令値演算部
32 目標車間距離演算用定数決定部
33 目標車間距離演算部(目標車間距離設定手段)
34 車速指令値演算部(指令値算出手段)
35 前置補償車速指令値演算部
36 補正車速指令値演算部
37 補正車速指令値変化率制限部(速度変化率制限手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、先行車との目標車間距離を維持しながら追従走行可能な車間距離制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の車間距離制御装置として、例えば、特開2000−135934号公報に記載されたものが提案されている。
この従来例には、車間距離センサにより先行車との車間距離を検出して、更に先行車との相対速度や車間距離指令値を算出すると共に、車間距離偏差と相対速度とに応じた車間距離制御系の減衰係数及び固有振動数を決定し、車速指令値演算手段で減衰係数及び固有振動数により規定されるフィルタを用いて車間距離指令値から目標車間距離と目標相対速度を演算し、自車速検出値、相対速度検出値、車間距離検出値、目標車間距離及び目標相対速度に基づいて車速指令値を演算することにより、様々な追従シーンにおいて望ましい車間距離応答を得るようにした車間距離制御装置が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例にあっては、先行車との目標車間距離を維持した追従走行中に、例えば、勾配が急な上り坂の頂上付近や曲率が大きいカーブに差し掛かったり、制動制御によるノーズダイブを生じたりすると、実際には先行車が存在するにもかかわらず、車間距離センサが先行車を見失ってしまう状況が生じ得る。この場合、車間距離センサが先行車を一時的に見失った状況から、再度捕捉する状況となるまでの間に、自車両と先行車両との相対位置関係が変化して、実際の車間距離と目標車間距離との偏差でなる車間距離偏差や相対速度検出値と目標相対速度との偏差でなる相対速度偏差車速が僅かでも変化したときは、先行車の見失いと再捕捉との間で車間距離制御に不連続点が生じ、運転者に違和感を与える可能性があるという未解決の課題がある。
【0004】
そこで、本発明は上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、車間距離検出手段が一時的に見失った先行車を再び捕捉したときに、車間距離制御に不連続点が生じることを確実に防止して運転者に与える違和感を抑制することができる車間距離制御装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、本発明に係る車間距離制御装置は、車間距離検出手段で検出する先行車との車間距離が、目標車間距離設定手段で設定される目標車間距離に収束するように、指令値算出手段で車速指令値を演算し、この車速指令値に基づいて自車速制御手段で自車両の車速を制御するが、車間距離検出手段で先行車を捕捉しない状態から捕捉する状態に復帰したときで、かつ先行車に前記目標車間距離を含む所定範囲内で追従する定常追従走行状態であるときに、車間距離検出手段で検出した車間距離に基づいて自車速制御手段の速度変化率を小さく制限するようにしている。
【0006】
【発明の効果】
本発明に係る車間距離制御装置によれば、車間距離検出手段で先行車を捕捉しない状態に移行してから捕捉する状態に復帰し、且つ定常追従走行状態であるときに、車間距離検出手段で検出した車間距離に基づいて自車速制御手段の速度変化率を小さい値に制限するので、加減速度の大きな変化を抑制し、運転者に与える違和感を解消することができるという効果が得られる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面について説明する。
図1は本発明における第1の実施形態を示すブロック図である。車間距離検出手段としての車間距離センサ1はレーザ光を発射して先行車からの反射光を受光するレーダー方式の検出器であり、先行車までの車間距離Lと先行車との相対速度ΔVとを検出する。
【0008】
ここで、相対速度ΔVは車間距離Lを微分して求めるか、あるいは車間距離Lをハンドパスフィルタ処理することにより求める。なお、車間距離センサ1としてはレーザ光を利用する場合にかぎらず、電波や超音波を利用して車間距離を検出し、相対速度を演算するようにしてもよい。また、相対速度ΔVは、先行車の車速から自車速を減算した値となり、先行車から離間するときに正の値、先行車に接近するときに負の値となる。
【0009】
車速センサ2は変速機の出力軸回転速度を検出し、自車速Vに換算する。
先行車追従制御コントローラ3はマイクロコンピュータとその周辺部分とからなり、入力される車間距離L、車速Vなどに基づいて先行車に追従するような車速指令値V*を演算する。この先行車追従制御コントローラ3の詳細については後述する。
【0010】
車速制御部4は、実車速Vが車速指令値V*に一致するような駆動力指令値F*を演算して、スロットルアクチュエータ5、自動ブレーキアクチュエータ6及びトランスミッションアクチュエータ7を制御する。この車速制御部4には、フィードバック制御手法や特開平10−272963号に示すロバストモデルマッチング手法など、種々の制御手法を適用することができる。
【0011】
スロットルアクチュエータ5は、駆動力指令値F*に応じたスロットルバルブ開度指令に従ってエンジンのスロットルバルブの開度を調節する。また、自動ブレーキアクチュエータ6は、駆動力指令値F*に応じたブレーキ液圧指令に従ってブレーキ液圧を調節する。さらに、トランスミッションアクチュエータ7は、駆動力指令値F*に応じた変速比指令に従って変速機の変速比を調節する。なお、変速機は有段変速機でも無段変速機でもよい。
【0012】
この実施形態では、先行車追従制御コントローラ3からの車速指令値V*を入力とし、車速センサ2で検出される自車速Vを出力とする車速制御系の伝達特性Gv(s)を、次式に示すように一次遅れの系に近似する。
Gv(s)=ωV/(s+ωV) ・・・・・・・・・(1)
この(1)式において、ωVは車速制御部伝達特性の折点角周波数である。
【0013】
先行車追従制御コントローラ3は、図1に示すように、マイクロコンピュータのソフトウェア形態により構成される車間距離指令値演算部31と、目標車間距離演算用定数決定部32と、目標車間距離設定手段としての目標車間距離演算部33と、指令値算出手段としての車速指令値演算部34と、前置補償車速指令値演算部35と、補正車速指令値演算部36と、速度変化率制限手段としての補正車速指令値変化率制限部37とを備えている。
【0014】
ここで、説明を簡単にするために、前置補償車速指令値演算部35、補正車速指令値演算部36及び補正車速指令値変化率制限部37を除いた基本構成について説明する。
この先行車追従制御コントローラ3には、車間距離センサ1から車間距離Lと相対速度ΔVとが入力され、車速センサ2から自車速Vが入力される。
【0015】
車間距離センサ1により先行車を検出した場合には、車間距離指令値演算部31が自車速Vと相対速度ΔVとに基づいて下記(2)式に従って車間距離指令値L*を演算する。
L*=a・Vt+LOF・・・・・・・・・(2)
ここで、aは係数、LOFは車両停車時のオフセット値である。また、Vtは先行車車速であり、自車速Vに相対速度ΔVを加算した値V+ΔVで算出される。
【0016】
目標車間距離演算用定数決定部32は、車間距離指令値演算部31からの車間距離指令値L*を入力として、車間距離センサ1により検出される実車間距離Lを出力とする車間距離制御系において、実車間距離Lが車間距離指令値L*に到達するまでの車間距離制御の応答特性を、実車間距離Lから車間距離指令値L*を減算して算出される車間距離偏差ΔL(=L−L*)と相対速度ΔVとに応じた最適な応答特性(以下、目標車間距離制御応答特性と称す)とするために、車間距離制御系の減衰係数ζTと固有振動数ωTを車間距離偏差ΔLと相対速度ΔVとに応じて決定する。
【0017】
具体的には、種々の追従シーンにおいて最適な車間距離制御の応答特性が得られるように、車間距離偏差ΔLと相対速度ΔVとに応じた車間距離制御系の減衰係数ζTと固有振動数ωTを予めマップとして設定し、追従制御時の車間距離偏差ΔLと相対速度ΔVに対応する減衰係数ζTと固有振動数ωTを目標車間距離演算用定数に決定する。ここで、減衰係数ζT及び固有振動数ωTのマップとしては例えば特開2000−135934号公報に記載されているマップを適用することができる。
【0018】
目標車間距離演算部33は、車間距離制御系における応答特性を目標の応答特性とするための減衰係数ζTと固有振動数ωTを用いて、車間距離指令値L*を下記(3)式に示す二次形式のフィルタを通して目標車間距離LTと目標相対速度ΔVTを演算する。なお、先行車を認識した直後の車間距離L0と相対速度ΔV0を初期値とする。
【0019】
【数1】
【0020】
つまり、上記(3)式により演算される目標車間距離LTと目標相対速度ΔVTは、実車間距離Lが目標応答特性を経て車間距離指令値L*に収束するように、車間距離と相対速度の時間的推移を規定した最終車間距離指令値である。
この(3)式を展開してラプラス変換すると下記(4)式のように表すことができる。
【0021】
【数2】
【0022】
この(4)式は車間距離指令値L*に対する目標車間距離LTの伝達関数であり、二次式で表される。この実施の形態では、車間距離制御系において、実車間距離Lが(4)式で表される目標車間距離LT(最終車間距離指令値)となるようにフィードバック制御を行う。上述したように、車間距離制御系の減衰係数ζTと固有振動数ωTに、車間距離偏差ΔLと相対速度ΔVとに応じた目標車間距離制御応答が得られる値を設定したので、種々の追従シーンにおいて望ましい車間距離制御応答を実現できる。
【0023】
目標車間距離制御応答としては、割込シーンや追い抜きシーンなどにおいて、先行車との車間距離が指令値を下回っているときでも、先行車との相対速度が小さい場合は急な減速を行わず、実車間距離が指令値へゆっくりと収束するような応答が望ましい。また、接近シーンなどにおいて、相対速度が大きいときでも車間距離が長い場合は急な減速を行わず、実車間距離が指令値へゆっくり収束するような応答が望ましい。このような追従シーンでは、実車間距離が指令値をオーバーシュート又はアンダーシュートしてから収束するような二次の応答特性となり、そのような応答は前記(3)式及び(4)式に示す二次のフィルタにより実現することができる。
【0024】
車速指令値演算部34は、所定の定数fV及びfLを用いて下記(5)式に従って演算することにより車速指令値V*を演算する。
V*=V(t)+ΔV(t)
−〔fV{ΔVT(t)−ΔV(t)}+fL{LT(t)−L(t)}〕
・・・・・・・・・(5)
この(5)式において、fVは目標相対速度偏差(目標相対速度ΔVT(t)と相対速度検出値ΔV(t)との差){ΔVT(t)−ΔV(t)}に乗ずる定数、fLは目標車間距離偏差(目標車間距離LT(t)と車間距離検出値L(t)との差){LT(t)−L(t)}に乗ずる定数である。
【0025】
このように実車間距離Lが目標車間距離応答特性を示す目標車間距離LTに収束するようにフィードバック制御するフィードバック制御系では、応答性を挙げるためには車間距離制御系の制御ゲインを大きくし制御時定数を短くしなければならず、そうすると安定性が犠牲となるというトレードオフの関係がある。
そこで、車間距離フィードバック制御系にフィードフォワードループを加え、車間距離指令値L*から目標車間距離応答を得るための補償車速指令値VCを求め、この補償車速指令値VCにより車間距離制御系で得られた車速指令値V*を補正する。したがって、車間距離制御系において安定性を損なわずに応答性を向上させるために、先行車追従コントローラ3に前置補償車速指令値演算部35と、補正車速指令値演算部36とが付加されている。また、補正車速指令値演算部36で算出される補正車速指令値の変化率を制限するための補正車速指令値変化率制限部37も付加されている。
【0026】
前置補償車速指令値演算部35は、基本車間距離指令値L*を下記(6)式で表されるフィルタを通して補償車速指令値VCを演算する。
【0027】
【数3】
【0028】
この(6)式のフィルタは、車速指令値V*から実車間距離Lまでの伝達関数の逆系と、前記(4)式で表される目標車間距離制御応答特性との積で表される。ここで、車速指令値V*から実車間距離Lまでの伝達関数は、車速指令値V*を入力とし実車速Vを出力とする前記(1)式で表される車速制御系の伝達関数Gv(s)と、実車速Vと先行車車速Vtとの差、つまり相対速度ΔVを積分して実車間距離Lを得るための積分器との積で表される。なお、前記(6)式により補償車速指令値VCを演算するときの初期値は、先行車両を認識した直後の車間距離L0と相対速度ΔV0とする。
【0029】
補正車速指令値演算部36は、下記(7)式のように、車間距離制御系で演算した車速指令値V*から補償車速指令値VCを減算した値(V*−VC)、又は乗員が設定した車速設定値VSETの値の小さい方を補正車速指令値V*’として補正車速指令値変化率制限部37へ出力する。なお、車間距離センサ1により先行車を捕捉できない場合は、乗員が目標車速として設定した車速設定値VSETが、そのまま補正車速指令値V*’となる。
【0030】
V*’= min(V*−VC、VSET) ・・・・・・・・・(7)
補正車速指令値変化率制限部37は、上述した補正車速指令値V*’に変化率制限を施し、最終的な補正車速指令値V*’’を演算し、前述した車速制御部4へ出力する。
この補正車速指令値変化率制限部37では、図2に示す車速指令値変化率制限処理を所定時間(例えば10msec)毎に実行する。なお、(n)は今回の処理で算出された値を、(n−1)は前回の処理で算出された値を夫々表しており、特に(n)
又は(n−1)と明記されていない変数については、今回の値を表している。
【0031】
この指令値変化率制限処理は、先ず、ステップS1で、車間距離センサ1により捕捉可能な先行車が有るか否かを判定し、先行車がいなければ、ステップS2に移行する。
このステップS2では、先行車の捕捉状況を表す捕捉フラグFCが先行車を捕捉していない状況を表す“0”にリセットされているか否かを判定する。この判定結果が捕捉フラグFC=1であるときは、前回の処理段階では先行車を捕捉していたものの、その先行車を見失ったと判断してステップS3に移行する。
【0032】
このステップS3では、先行車を見失った時点からカウントを開始するタイマTを“0”にクリアし、続くステップS4で捕捉フラグFCを“0”にリセットしてからステップS5に移行する。
このステップS5では、先行車を見失った時点の車速Vを維持するために、前回の処理で算出された最終補正車速指令値V*’’(n−1)を、再び今回の最終補正車速指令値V*’’(n)として車速制御部4へ出力してから、前記ステップS1に戻る。
【0033】
一方、前記ステップS2の判定結果が捕捉フラグFC=0であるときは、先行車を見失った状態を継続しているものと判断してステップS6に移行し、前回の処理段階でカウントされたタイマT(n−1)に“1”をインクリメントしてからステップS7に移行する。
このステップS7では、先行車を見失ってからカウントを開始したタイマTが所定値T1以上であるか否かを判定している。この判定結果がT<T1であるときは、先行車の見失いが一時的なものである可能性があると判断して前記ステップS5に移行する。一方、判定結果がT≧T1であるときは、追従走行に適当な先行車を失った可能性があると判断してステップS8に移行する。
このステップS8では、補正車速指令値V*’の変化率を制限するための車速変化率制限値V* RATEの設定方法を切換える切換フラグFSを“0”にリセットしてから、後述するステップS15に移行する。
【0034】
一方、前記ステップS1で、先行車有りと判定されるときには、ステップS9に移行して、捕捉フラグFCが“1”にセットされているか否かを判定する。この判定結果が捕捉フラグFC=0であるときは、先行車の捕捉を開始したと判断して、ステップS10で捕捉フラグFCを“1”にセットしてからステップS11に移行する。
【0035】
このステップS11では、先行車を捕捉した直後の相対車速ΔV0及び車間距離偏差ΔL0を読込んでから、ステップS12、次いでステップS13へと移行する。これら、ステップS12及びステップS13では、自車両が捕捉した先行車に対して目標車間距離を含む所定範囲内で追従する、すなわち、目標車間距離LTを大方維持した定常追従走行状態にあるか否かを判定する。
【0036】
先ず、ステップS12では、前記ステップS11で読込んだ相対車速ΔV0が、−ΔVTHを超え、且つΔVTH未満の第2の設定範囲内であるか否かを判定し、この判定結果が−ΔVTH<ΔV0<ΔVTHであるときは、捕捉した先行車と略等しい速度で走行中であると判断して、ステップS13に移行する。
このステップS13では、前記ステップS11で読込んだ車間距離偏差ΔL0が、−ΔLTHを超え、且つΔLTH未満の第2の所定範囲内であるか否かを判定する。この判定結果が−ΔLTH<ΔL0<ΔLTHであるときは、捕捉した先行車に対し、目標車間距離LTと略等しい車間距離を有していると判断して、ステップS14で切換フラグFSを定常追従走行状態であることを表す“1”にセットしてから後述するステップS15に移行する。
【0037】
一方、前記ステップS12の判定結果がΔV0≦−ΔVTH、又はΔV0≧ΔVTHであるときには、先行車に対して接近傾向、又は離間傾向にあるものと判断して、切換フラグFSを“0”にリセットしたまま、ステップS15に移行する。また、前記ステップS13の判定結果がΔL0≦−ΔLTH、又はΔL0≧ΔLTHであるときには、捕捉した先行車との車間距離が目標車間距離LTから離間していると判断して、切換フラグFSを“0”にリセットしたまま、ステップS15に移行する。さらに、前記ステップS9の判定結果が捕捉フラグFC=1であるときは、先行車の捕捉状態を継続しているものと判断してステップS15に移行する。
【0038】
ステップS15では、切換フラグFSが“1”にセットされているか否かを判定しており、この判定結果が切換フラグFS=0であるときは、先行車に対する実際の車間距離Lが目標車間距離LTから離間傾向にある、若しくはその可能性があって定常追従走行状態ではないものと判断してステップS16に移行する。このステップS16では、今回の補正車速指令値V*’(n)が、前回の最終補正車速指令値V*’’(n−1)より大きいか否かを判定しており、この判定結果がV*’(n)>V*’’(n−1)であるときは、自車両が加速するものと判断してステップS17に移行する。このステップS17では、補正車速指令値V*’の変化率を制限する車速変化率制限値V* RATEを、通常制限値としての加速用車速変化率制限値V* RATE−Aに設定してから後述するステップS20に移行する。
【0039】
一方、前記ステップS17の判定結果がV*’(n)≦V*’’(n−1)であるときは、自車両が車速を維持するか、又は減速するもの判断してステップS18に移行する。このステップS18では、車速変化率制限値V* RATEを、通常制限値としての減速用車速変化率制限値V* RATE−Dに設定してから後述するステップS20に移行する。
【0040】
また、前記ステップS15の判定結果が切換フラグFS=1であるときは、自車両が捕捉した先行車に対して目標車間距離LTを大方維持した定常追従走行状態にあると判断してステップS19に移行する。
ステップS19では、前記ステップS11で読込んだ相対車速ΔV0及び車間距離偏差ΔL0に基づいて、基本制限値V* RATE−B及び制限値補正定数KRATEを夫々算出した後、下記(8)式に基づいて車速変化率制限値V* RATEを演算してから後述するステップS20に移行する。
【0041】
V* RATE=V* RATE−B×KRATE・・・・・・・・・(8)
ここで、基本制限値V* RATE−Bは、図3に示すように、相対車速ΔV0と車速変化率基本制限値V* RATE−Bとの関係を表した基本制限値算出用制御マップを参照して、相対車速ΔV0から算出する。この基本制限値算出用制御マップは、先行車追従制御コントローラ3が有するメモリに予め記憶されている。
【0042】
基本制限値算出用制御マップは、図3に示すように、横軸に相対車速ΔV0を、縦軸に基本制限値V* RATE−Bをとった座標系で表されている。そして、相対車速ΔV0が零から正方向に向けて第1の設定範囲としての加速側リミット値ΔVACCまで増加するときに、これに比例して基本制限値V* RATE−Bも、正値の制限値V* RATE−B1から正の定常値V* RATE−Aまで直線的に増加し、相対車速ΔV0が加速側リミット値ΔVACC以上となるときに、基本制限値V* RATE−BがV* RATE−Aを維持するように設定されている。一方、相対車速ΔV0が零から負方向に向けて第1の設定範囲としての減速側リミット値ΔVDECまで減少するときに、基本制限値V* RATE−Bも比例して、負の制限値V* RATE−B2から負の定常値V* RATE−Dまで直線的に減少し、相対車速ΔV0が減速側リミット値ΔVDEC以下となるときに、基本制限値V* RATE−Bは、V* RATE−Dを維持するように設定されている。
【0043】
さらに、相対車速ΔV0が先行車に接近する方向に変化するときの基本制限値V* RATE−Bの絶対値が、先行車から離間する方向に変化するときの基本制限値V* RATE−Bの絶対値に比較して大きな値となるように、加速側のV* RATE−B1及びV* RATE−A、並びに減速側のV* RATE−B2及びV* RATE−Dが夫々設定されている。なお、加速側リミット値ΔVACC及び減速側リミット値ΔVDECの夫々は、前述した−ΔVTHを超え、ΔVTH未満の設定範囲内の値である。
【0044】
また、制限値補正定数KRATEは、図4に示すように、車間距離偏差ΔL0と制限値補正定数KRATEとの関係を表した制限値補正定数算出用制御マップを参照して、車間距離偏差ΔL0から算出する。この制限値補正定数算出用制御マップは、先行車追従制御コントローラ3が有するメモリに予め記憶されている。
この制限値補正定数算出用制御マップは、図4に示すように、横軸に車間距離偏差ΔL0を、縦軸に制限値補正定数KRATEをとった座標系で表されている。そして、車間距離偏差ΔL0が零であるときは、制限値補正定数KRATEが“1”よりも小さなKRATE−MINとなり、この状態から車間距離偏差ΔL0が正方向に第1の所定範囲としての加速側リミット値ΔLACCまで増加するときに、制限値補正定数KRATEも比例して、KRATE−MINを超えて“1”まで直線的に増加し、車間距離偏差ΔL0が加速側リミット値ΔLACC以上となるときに、制限値補正定数KRATEは、“1”を維持するように設定されている。一方、車間距離偏差ΔL0が零から負方向に第1の所定範囲としての減速側リミット値ΔLDECまで減少するときに、制限値補正定数KRATEも比例して、KRATE−MINを超えて“1”まで直線的に増加し、車間距離偏差ΔL0が負の減速側リミット値ΔLDEC以下となるときに、制限値補正定数KRATEは、“1”を維持するように設定されている。
【0045】
さらに、車間距離偏差ΔL0が車間距離Lの短くなる方向に変化するときの制限値補正定数KRATEが、車間距離Lが長くなる方向に変化するときの制限値補正定数KRATEに比較して大きな値となるように、加速側リミット値ΔLACC及び減速側リミット値ΔLDECが夫々設定されている。なお、加速側リミット値ΔLACC及び減速側リミット値ΔLDECの夫々は、前述した−ΔLTHを超え、ΔLTH未満の所定範囲内の値である。
【0046】
また、ステップS20では、前回の最終補正車速指令値V*’’(n−1)から今回の補正車速指令値V*’(n)を減算した偏差の絶対値が、車速変化率制限値V* RATEより大きいか否かを判定している。この判定結果が|V*’’(n−1)−V*’(n)|≦|V* RATE|であるときは、車速変化量が小さい範囲に納まって今回の補正車速指令値V*’(n)を制限する必要はないと判断してステップS21に移行する。このステップS21では、切換フラグFSを“0”にリセットして、続くステップS22で今回の補正車速指令値V*’(n)を、最終補正車速指令値V*’’(n)として車速指令部4へ出力してから、前記ステップS1に戻る。
【0047】
一方、前記ステップS20の判定結果が|V*’’(n−1)−V*’(n)|>|V* RATE|であるときは、前回の最終補正車速指令値V*’’(n−1)から今回の補正車速指令値V*’(n)への車速変化量が大きいと判断してステップS23に移行する。このステップS23では、前回の最終補正車速指令値V*’’(n−1)に車速変化率制限値V* RATEを加算したものを、今回の最終補正車速指令値V*’’(n)として車速制御部4へ出力してから、前記ステップS1に戻る。
【0048】
ここで、車間距離センサ1が車間距離検出手段に対応し、先行車追従制御コントローラ3における目標車間距離演算部33が目標車間距離設定手段に対応し、先行車追従制御コントローラ3における車速指令値演算部34が指令値算出手段に対応し、車速制御部4、スロットルアクチュエータ5、自動ブレーキアクチュエータ6及びトランスミッションアクチュエータ7が自車速制御手段に対応し、図2の車速指令値変化率制限処理におけるステップS9、ステップS11、ステップS12及びステップS13の処理が捕捉開始時追従判定手段に対応し、図2の車速指令値変化率制限処理におけるステップS15、ステップS19、ステップS20及びステップS23の処理が速度変化率制限手段に対応している。
【0049】
次に、上記実施形態における動作について説明する。
今、自車両が直線的な平坦路を、追従走行に適した先行車両を車間距離センサ1で捕捉した状態で走行しているとする。このときは、先ず、車間距離センサ1で検出する先行車両との車間距離Lから、相対速度ΔVを算出し、この相対車速ΔV及び車速センサ2で検出される自車速Vから前記(2)式に基づいて車間距離指令値L*を算出する。
【0050】
この車間距離指令値L*に基づいて、目標車間距離演算部33が、目標車間距離LTを演算してから車速指令値演算部34へ出力し、車速指令値演算部34が入力された目標車間距離LTに応じた車速指令値V*を演算し、補正車速指令値演算部36へ出力する。続いて、この補正車速指令値演算部36が、入力された車速指令値V*から、前置補償車速指令値演算部35より供給される補償車速指令値VCを減算して補正車速指令値V*’を算出することにより、車間距離制御系における安定性を確保しつつ、応答性の向上を図っている。
【0051】
さらに、補正車速指令値V*’を、補正車速指令値変化率制限部37に通して、その変化率に制限を掛けてから最終補正車速指令値V*’’を生成する。そして、この最終補正車速指令値V*’’を車速制御部へ供給して、ロバストモデルマッチング手法で駆動力指令値F*を算出し、この駆動力指令値F*に基づいてスロットルアクチュエータ5、自動ブレーキアクチュエータ6及びトランスミッションアクチュエータ7を制御することにより、車間距離センサ1で検出した実際の車間距離Lが目標車間距離LTに収束するように自車速制御を行う。
【0052】
こうして、自車両が、概ね一定の速度で走行している先行車に対して車間距離指令値L*を維持した理想的な追従走行状態にあるときは、自車速Vが、先行車の車速Vtと略一致しており、相対車速ΔVは、図5(b)に示すように、略0[km/h]となる。
ここで、車間距離の変動に応じて算出される補正車速指令値V*’は、補正車速指令値変化率制限部37にて、その変化率に制限が掛けられている。この先行車への理想的な追従走行状態にあるときには、補正車速指令値V*’(n)の変化率も十分に低く、既に、前回の最終補正車速指令値V*’’(n−1)から今回の補正車速指令値V*’(n)を減じた偏差の絶対値が、車速変化率制限値V* RATEの絶対値以下となっており(ステップS20の判定が“No”)、切換フラグFCは“0”にリセットされている(ステップS21)。したがって、補正車速指令値V*’は、通常制限値で制限されている(ステップS15の判定が“No”)。
【0053】
すなわち、今回の補正車速指令値V*’(n)が、前回の最終補正車速指令値V*’’(n−1)に対して、増加するときには、加速用車速変化率制限値V* RATE−A以下に(ステップS17)、逆に減少するときには、減速用車速変化率制限値V* RATE−D以下となるように(ステップS18)、補正車速指令値V*’(n)の変化率を制限することで、先行車への追従走行中に過大な加減速が発生することを抑制している。この、減速用車速変化率制限値V* RATE−Dの絶対値は、加速用車速変化率制限値V* RATE−Aの絶対値に比べて大きく設定されているので、加速時よりも減速時の方が大きな車速変化率を許容している。
【0054】
ここで、直線的な平坦路から、例えば、勾配が急な上り坂の頂上付近や曲率の大きいカーブに差し掛かると、図5(e)に示すように、車間距離センサ1が時点t0で先行車を一時的に見失ってしまう(ステップS2の判定が“No”)。
そこで、先行車追従制御コントローラ3は、先行車を見失った時点t0からタイマTのカウントを開始すると供に、先行車を見失った時点の車速を維持するために、前回の処理段階で生成された最終補正車速指令値V*’’(n−1)(以下、見失い時車速指令値V*’’Lと称す)を継続して車速制御部4へ出力する(ステップS5)。この見失い時車速指令値V*’’Lは、先行車が捕捉されず、且つタイマTが所定値T1未満である間、継続して出力される(ステップS7の判定が“No”)。
【0055】
そして、先行車が依然として捕捉されず、図5(e)に示すように、時点t1でタイマTが所定値T1以上となるときに(ステップS7の判定が“Yes”)、見失い時車速指令値V*’’Lに替えて、予め運転者により設定された車速設定値VSETが補正車速指令値V*’として出力される。
このとき、車速設定値VSETに対応した補正車速指令値V*’が、見失い時車速指令値V*’’Lに対して大きく、加速状態への移行となる場合、その差分が加速用車速変化率制限値V* RATE−A以下であるときには、補正車速指令値V*’を最終補正車速指令値V*’’(n)として車速制御部4へ出力する(ステップS22)。一方、補正車速指令値V*’と見失い時車速指令値V*’’Lとの差分が、加速用車速変化率制限値V* RATE−Aを超えているときには、見失い時車速指令値V*’’Lに加速用車速変化率制限値V* RATE−Aを加算した値を最終補正車速指令値V*’’(n)として車速制御部4へ出力する(ステップS23)。
【0056】
したがって、図5(c)に示すように、時点t2以降の最終補正車速指令値V*’’(n)は(以下、単に車速指令値V*’’と称す)、自車速Vが車速設定値V*’’に到達するまで、加速用車速変化率制限値V* RATE−A以下の変化率に制限されつつ、徐々に増加する。そして、これに応じるように、図5(d)に示した駆動力指令値F*も徐々に値を増してゆくことで、自車両が加速してゆく。
【0057】
そして、自車両が、勾配が急な上り坂の頂上付近や曲率の大きいカーブを抜け出し、図5(e)の時点t2で示すように、車間距離センサ1が再び先行車を捕捉したとする(ステップS9の判定が“No”)。
先ず、先行車追従制御コントローラ3は、先行車を捕捉した時点t2における先行車との相対車速ΔV0及び車間距離偏差ΔL0を読込む(ステップS11)。次いで、これら相対車速ΔV0が設定範囲内(−ΔVTH<ΔV0<ΔVTH)で、且つ車間距離偏差ΔL0が所定範囲内(−ΔLTH<ΔL0<ΔLTH)であるかを判定して(ステップS12及びステップS13)、自車両が再捕捉した先行車に対する目標車間距離LTを大方維持している定常追従走行状態にあるか否かを確認する。
【0058】
仮に、先行車を見失っていた間に、この先行車が減速又は加速しており、車間距離センサ1で再捕捉したときに、相対車速ΔV0が、−ΔVTH以下やΔVTH以上である(ステップS12の判定が“No”)、又は車間距離偏差ΔL0が、−ΔLTH以下やΔLTH以上である(ステップS13の判定が“No”)、すなわち定常追従走行状態から逸脱している場合には、比較的大きな加減速を許容する必要がある。そのため、先行車を再び捕捉した後に算出される補正車速指令値V*’の変化率を、通常制限値の加速用車速変化率制限値V* RATE−A又は減速用車速変化率制限値V* RATE−D以下に制限することで(ステップS17又はステップS18)、急激な加減速を抑制しつつも、目標車間距離LTへの速やかな収束を図る。
【0059】
一方、先行車を再捕捉した時点t2で、図5(c)に示すように、相対車速ΔV0が−ΔVTHを超え、ΔVTH未満の設定範囲内で(ステップS12の判定が“Yes”)、且つ図5(a)に示すように、目標車間距離に対する実際に計測した車間距離の差分(車間距離偏差ΔL0)が−ΔLTHを超え、ΔLTH未満の所定範囲内である(ステップS13の判定が“No”)、すなわち、自車両が先行車に対する定常追従走行状態にある場合には、上記のように比較的大きな加減速が必ずしも必要とはならない。
【0060】
ここで、図5(c)における時点t2以降、一点差線で示す元々の補正車速指令値V*’を、上述した通常制限値で制限した場合の車速指令値V*’’を点線で示すように、過大な変化率を抑制してはいるが、それでも、この車速指令値V*’’に対応した駆動力指令値F*を図5(d)の点線で示すように、その変化率は比較的大きく、また不連続である。
【0061】
そこで、自車両が先行車に対する定常追従走行状態にある場合には、目標車間距離LTへの更なる収束を、より繊細に行うことが望ましい。そのため、先行車を再び捕捉した後に算出される補正車速指令値V*’の変化率を、先行車を捕捉した時点t2の相対車速ΔV0及び車間距離偏差ΔL0に基づいて通常制限値に比較して小さくなるように、車速変化率制限値V* RATEを演算する(ステップS19)。
【0062】
したがって、例えば、相対車速ΔV0が、零から減速側リミット値ΔVDEC未満の値であるときには、基本制限値V* RATE−Bの絶対値がV* RATE−Dの絶対値よりも小さい値となる。さらに、車間距離偏差ΔL0が、零から減速側リミット値ΔLDEC未満の値であるときには、制限値補正定数KRATEが、“1”よりも小さい値となる。
【0063】
こうして、基本制限値V* RATE−Bに制限値補正定数KRATEを乗じて演算する車速変化率制限値V* RATEが通常制限値よりも小さくなることで、図5(c)における時点t2以降の実線で示すように、補正車速指令値V*’の変化率を更に小さく制限する。その結果、図5(d)の実線で示すように、比較的大きな変化を適度に抑制した連続的な駆動力指令値F*を出力することで、運手者に与え兼ねない違和感を確実に抑制している。
【0064】
その後、先行車との実際の車間距離Lが目標車間距離LTに徐々に収束してくると、これに伴うように、算出される補正車速指令値V*’(n)の変化率も徐々に低下してくる。そして、前回の最終補正車速指令値V*’’(n−1)から今回の補正車速指令値V*’(n)を減じた偏差の絶対値が、車速変化率制限値V* RATEの絶対値以下となった後は(ステップS20の判定が“No”)、車速変化率制限値V* RATEが通常制限値に復帰する(ステップS21)。
【0065】
また、先行車を見失ってからカウントを開始するタイマTが所定値T1未満であるときに、先行車を再び捕捉した場合は、先行車を見失っていた時間も僅かで、尚且つ見失い時車速指令値V*’’Lが継続して出力されているので、先行車への定常追従走行状態にある可能性が大きい。
そして、実際に先行車への定常追従走行状態にあることが確認されると(ステップS12及びステップS13の判定が供に“Yes”)、目標車間距離LTへの更なる収束を、より繊細に行うために、補正車速指令値V*’の変化率を、先行車を捕捉した時点t2の相対車速ΔV0及び車間距離偏差ΔL0に基づいて通常制限値に比較して小さくなるように、車速変化率制限値V* RATEを演算する(ステップS19)。仮に、先行車を見失っていた僅かな間に、この先行車が急に減速又は加速しており、定常追従走行状態から逸脱している場合は(ステップS12又はステップS13の何れかの判定が“No”)、比較的大きな加減速を許容するために、補正車速指令値V*’の変化率を、通常制限値により制限する(ステップS17、又はステップS18)。
【0066】
また、先行車への追従走行状態にあるときに、制動制御によるノーズダイブが生じることで、先行車を見失った場合について説明する。なお、この制動制御とは極一時的なものを指している。
したがって、直ちに車両体勢を立て直して先行車に追従するとき、先行車を見失っていた時間が僅かであっても、先行車を見失う程のノーズダイブを招来する制動制御により、先行車への定常追従走行状態にある可能性は低い。
【0067】
したがって、実際に先行車への定常追従走行状態から逸脱している場合は(ステップS12又はステップS13の何れかの判定が“No”)、比較的大きな加減速を許容する(ステップS17、又はステップS18)。仮に、先行車を見失っている間に、この先行車も自車両と同様に減速していて、再び捕捉したときに、定常追従走行状態にあるときには、目標車間距離LTへの更なる収束を、より繊細に行う(ステップS19)。
【0068】
なお、上記第1の実施形態における図3の基本制限値算出用制御マップでは、相対車速ΔV0が減速側リミット値ΔVDECから加速側リミット値ΔVACCの設定範囲内で変化するとき、これに応じて基本制限値V* RATE−Bが直線的に変化する構成について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、相対車速ΔV0の変動に応じて基本制限値V* RATE−Bが曲線状に変化したり、複数の段階で変化したりしてもよい。
【0069】
また、上記第1の実施形態における図3の基本制限値算出用制御マップでは、相対車速ΔV0が零であるときは、基本制限値V* RATE−Bが、減速側のV* RATE−B2となるように設定されているが、これに限定されるものではなく、加速側のV* RATE−B1となるように設定してもよい。
さらに、上記第1の実施形態における図4の制限値補正定数算出用制御マップでは、車間距離偏差ΔL0が減速側リミット値ΔLDECから加速側リミット値ΔLACCの所定範囲内で変化するとき、これに応じて制限値補正定数KRATEが直線的に変化する構成について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、車間距離偏差ΔL0の変動に応じて制限値補正定数KRATEが曲線状に変化したり、複数の段階で変化させたりしてもよい。
【0070】
さらに、上記第1の実施形態においては、車間距離指令値演算部31で先行車車速Vtに基づいて車間距離指令値L*を演算する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、先行車車速Vtに代えて自車速Vを適用し、下記(9)式に示すように、車間距離指令値L*を自車速Vの関数として演算するようにしてもよい。
【0071】
L*=a’・V+LOF’ ・・・・・・・・・(9)
ここで、a’は係数、LOF’は車両停車時のオフセット値である。
さらにまた、図6に示すように、予め設定した車間距離設定値LSETを車間距離指令値L*として使用することで車間距離指令値演算部31を省略したり、更には前置補償車速指令値演算部35及び補正車速指令値演算部36を省略したりしてもよい。
【0072】
また、上記第1の実施形態においては、車速指令値の変化率を車速指令値制限V* RATEで制限する構成について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、車速制御部4で演算される駆動力指令値F*の変化率を制限してもよく、要は、自車速の変化率を制限することができればよい。
以上のように、車間距離検出センサ1で先行車の捕捉を開始したときの自車両が、先行車に目標車間距離を含む所定範囲内で追従した定常追従走行状態にあると判断される場合は、車間距離センサ1で検出する車間距離Lに基づいて、補正車速指令値V*’の変化率を、通常制限値に比較して小さい車速変化率制限値V* RATEで制限することで、加減速の大きな変化を確実に抑制し、運転者に与える違和感を解消することができる。
【0073】
また、先行車との相対車速ΔV0及び車間距離Lと目標車間距離LTとの車間距離偏差ΔL0を検出して、相対車速ΔV0が零を含む第1の設定範囲としてのΔVDECを超え、且つΔVACC未満であるときに、又は車間距離偏差ΔL0が零を含む第1の所定範囲内としてのΔLDECを超え、且つΔLACC未満であるときに、補正車速指令値V*’の変化率を、通常制限値に比較して小さい車速変化率制限値V* RATEで制限しているので、加減速の大きな変化を的確に抑制し、運転者に与える違和感を解消することができる。
【0074】
さらに、車間距離センサ1で先行車の捕捉を開始した場合、相対車速ΔV0が零を含む第2の設定範囲内としての−ΔVTHを超え、且つΔVTH未満であるときで、且つ車間距離偏差ΔL0が零を含む第2の所定範囲内としての−ΔLTHを超え、且つΔLTH未満であるときに、定常追従走行状態であると判定するので、自車両が先行車との目標車間距離を大方維持しているか否かを、正確に判定することができる。
【0075】
さらにまた、相対車速ΔV0、又は車間距離偏差ΔL0の夫々が零に近づくほど、車速変化率制限値V* RATEを小さい値に設定するように構成されているので、加減速の大きな変化をより的確に抑制し、運転者に与える違和感を解消することができる。
また、相対車速ΔV0が先行車に接近する方向に変化するときの車速変化率制限値V* RATEを、先行車から離間する方向に変化するときの車速変化率制限値V* RATEに比較して大きな値に設定するように構成されているので、減速時には加速時に比べて大きな車速変化率を許容することにより、安全性を高めることができる。
【0076】
さらに、車間距離偏差ΔL0が車間距離の短くなる方向に変化するときの車速変化率制限値V* RATEを、車間距離Lが長くなる方向に変化するときの車速変化率制限値V* RATEに比較して大きな値に設定するように構成されているので、減速時には加速時に比べて大きな車速変化率を許容することにより、安全性を高めることができる。
【0077】
さらにまた、車速指令値演算部34で演算する車速指令値の変化率を車速変化率制限値V* RATEで制限することにより、自車両の速度変化率を容易に制限することができる。
次に本発明の第2の実施形態を図7に基づいて説明する。
この第2の実施形態は、前述した第1の実施形態における車速変化率制限値V* RATEの演算方法を変化させたものである。
【0078】
すなわち、第2の実施形態では、先行車追従制御コントローラ3で実行される車速指令値変化率制限処理を図7に示すように、前述した図2のステップS19の処理が、車速変化率制限値V* RATEを基本制限値V* RATE−Bのみに基づいて演算するステップS30に変更されたことを除いては、第1の実施形態と同様の処理手順で構成されるので、図2との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0079】
したがって、例えば、自車両が再捕捉した先行車に対して定常追従走行状態にある場合(ステップS12及びステップS13の判定が供に“Yes”)、相対車速ΔV0が、零を超え、且つ減速側リミット値ΔVDEC未満となるときには、基本制限値V* RATE−Bの絶対値が通常制限値としてのV* RATE−Dの絶対値よりも小さい値となる。また、相対車速ΔV0が、零を超え、且つ加速側リミット値ΔVACC未満となるときには、基本制限値V* RATE−Bの絶対値が通常制限値としてのV* RATE−Aの絶対値よりも小さい値となる。
【0080】
なお、上記第2の実施形態においては、相対車速ΔV0に基づいて、基本制限値V* RATE−Bを演算する構成について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、前述した図4の制限値補正定数算出用制御マップと同様の特性を有する制御マップを参照して、相対車速ΔV0から制限値補正定数KRATEを算出し、これを予め設定された一定基本制限値V* RATE−Rに乗じることで、車速変化率制限値V* RATEを小さくしてもよく、要は、相対車速ΔV0に基づいて、車速変化率制限値V* RATEを小さくすることができれば、如何なる演算方法を用いてもよい。
【0081】
以上のように、先行車との相対車速ΔV0を検出して、相対車速ΔV0が零を含む第1の設定範囲としてのΔVDECを超え、且つΔVACC未満であるときに、補正車速指令値V*’の変化率を、通常制限値に比較して小さい車速変化率制限値V* RATEで制限しているので、加減速の大きな変化を容易に抑制し、運転者に与える違和感を解消することができる。
【0082】
次に本発明の第3の実施形態を図8に基づいて説明する。
この第3の実施形態は、前述した第1の実施形態における車速変化率制限値V* RATEの演算方法を変化させたものである。
すなわち、第3の実施形態では、先行車追従制御コントローラ3で実行される車速指令値変化率制限処理を図7に示すように、前述した図2のステップS19の処理が、予め設定された一定基本制限値V* RATE−Rに制限値補正定数KRATEを乗じて車速変化率制限値V* RATEを演算するステップS31に変更されたことを除いては、第1の実施形態と同様の処理手順で構成されるので、図2との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0083】
因みに、一定基本制限値V* RATE−Rは、前述した第1の実施形態における加速用車速変化率制限値V* RATE−A又は減速用車速変化率制限値V* RATE−D近傍の値に設定されている。
したがって、例えば、自車両が再び捕捉した先行車に対して定常追従走行状態にある場合(ステップS12及びステップS13の判定結果が供に“Yes”)、車間距離偏差ΔL0が、零を超え、且つ減速側リミット値ΔLDEC未満となるときに、制限値補正定数KRATEが“1”よりも小さい値となる。また、車間距離偏差ΔL0が、零を超え、且つ加速側リミット値ΔLACC未満となるときに、制限値補正定数KRATEが“1”よりも小さい値となる。こうして制限値補正定数KRATEが一定基本制限値V* RATE−Rに乗算されることにより、通常制限値としてのV* RATE−Dの絶対値よりも小さい値となる。
【0084】
なお、上記第3の実施形態においては、車間距離偏差ΔL0から制限値補正定数KRATEを演算する構成について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、前述した図3の基本制限値算出用制御マップと同様の特性を有する制御マップを参照して、車間距離偏差ΔL0から基本制限値V* RATE−Bを演算することで、車速変化率制限値V* RATEを小さくしてもよく、要は、車間距離偏差ΔL0に基づいて、車速変化率制限値V* RATEを小さくすることができれば、如何なる演算方法を用いてもよい。
【0085】
以上のように、車間距離Lと目標車間距離LTとの車間距離偏差ΔL0を検出して、車間距離偏差ΔL0が零を含む第1の所定範囲内としてのΔLDECを超え、且つΔLACC未満であるときに、補正車速指令値V*’の変化率を、通常制限値に比較して小さい車速変化率制限値V* RATEで制限しているので、加減速の大きな変化を容易に抑制し、運転者に与える違和感を解消することができる。
【0086】
次に本発明の第4の実施形態を図9に基づいて説明する。
この第4の実施形態は、前述した第1の実施形態において、先行車を捕捉しない状態から捕捉する状態に復帰するまでの復帰時間に基づいて、自車両が先行車に対する定常走行状態にある可能性を予測するように構成したものである。
すなわち、この第4の実施形態では、先行車追従制御コントローラ3で実行される車速指令値変化率制限処理を図9に示すように、前述した第1の実施形態における図2のフローチャートにおいて、ステップS10を処理した後に、ステップS40を追加したことを除いては、第1の実施形態と同様の処理手順で構成されるので、図2との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0087】
図9の車速指令値変化率制限処理では、ステップS10で捕捉フラグFCを“1”にセットし後にステップS40に移行する。このステップS40では、先行車を見失った時点t0からカンウントを開始したタイマTが所定値T*未満であるか否かを判定している。この判定結果がT≧T*であるときは、自車両が先行車に対して定常走行状態にある可能性は低いものと判断して、前記ステップS8に移行する。一方、判定結果がT<T*であるときは、先行車の見失いが一時的なものであると判断してステップS11に移行する。なお、所定値T*は、自車両が先行車に対する目標車間距離LTを大方維持している可能性があるか否かを判定する値となるため、前述した所定値比較的長く設定されている。
【0088】
したがって、例えば、先行車の車線変更により追従走行に適した先行車を失い、その後、ある程度の時間を経て新たな先行車を捕捉した場合など、先行車を見失ってからカウントを開始したタイマTが所定値T*以上であるときには(ステップS40の判定が“No”)、自車両が先行車に対して定常走行状態にある可能性は低い。そのため、比較的大きな加減速を許容するために、先行車を再び捕捉した後に算出される補正車速指令値V*’の変化率を、通常制限値の加速用車速変化率制限値V* RATE−A又は減速用車速変化率制限値V* RATE−D以下に制限することで(ステップS17又はステップS18)、急激な加減速を抑制しつつも、目標車間距離LTへの速やかな収束を図る。
【0089】
一方、タイマTが所定値T*未満であるときには(ステップS40の判定が“Yes”)、先行車の見失いが一時的なものであると判断して、実際に自車両が先行車に対して定常走行状態にあるか否かを判定してゆく(ステップS12及びステップS13)。
以上のように、車間距離センサ1で先行車を捕捉しない状態から捕捉する状態に復帰するまでのタイマTが所定値T*未満であるときには、車間距離Lに基づいて車速変化率を小さく制限し、タイマTが所定値T*以上であるときには、通常制限値を用いて車速変化率の制限を行うように構成されているので、先行車の見失い時間が長かった場合は、捕捉開始時における定常追従走行の判定処理を省略して、車速指令値変化率制限処理を簡略化することができる。
【0090】
なお、上記第4の実施形態においては、前述した第1実施形態のように、相対車速ΔV0及び車間距離偏差ΔL0に基づいて、車速変化率制限値V* RATEを演算する構成について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、前述した第2実施形態、又は第3実施形態のように、相対車速ΔV0又は車間距離偏差ΔL0の何れかに基づいて、車速変化率制限値V* RATEを演算してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における第1実施形態を示す概略構成図である。
【図2】第1実施形態における車速指令値変化率制限処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】基本制限値算出用制御マップである。
【図4】制限値補正定数算出用制御マップである。
【図5】第1実施形態の動作を説明するタイムチャートである。
【図6】車間距離指令値演算部31、前置補償車速指令値演算部35、及び補正車速指令値演算部36を省略した場合の概略構成図である。
【図7】第2実施形態における車速指令値変化率制限処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】第3実施形態における車速指令値変化率制限処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】第4実施形態における車速指令値変化率制限処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 車間距離センサ(車間距離検出手段)
2 車速センサ
3 先行車追従制御コントローラ
4 車速制御部(自車速制御手段)
5 スロットルアクチュエータ(自車速制御手段)
6 自動ブレーキアクチュエータ(自車速制御手段)
7 トランスミッションアクチュエータ(自車速制御手段)
31 車間距離指令値演算部
32 目標車間距離演算用定数決定部
33 目標車間距離演算部(目標車間距離設定手段)
34 車速指令値演算部(指令値算出手段)
35 前置補償車速指令値演算部
36 補正車速指令値演算部
37 補正車速指令値変化率制限部(速度変化率制限手段)
Claims (10)
- 先行車と自車両との車間距離を検出する車間距離検出手段と、先行車との目標車間距離を設定する目標車間距離設定手段と、前記車間距離検出手段で先行車を捕捉しているときに、当該車間距離検出手段で検出した車間距離を前記目標車間距離に収束させる車速指令値を算出する指令値算出手段と、該指令値算出手段で算出した車速指令値に基づいて自車両の車速を制御する自車速制御手段とを備えた車間距離制御装置において、
前記車間距離検出手段で先行車を捕捉しない状態から捕捉する状態に復帰したときで、且つ先行車に前記目標車間距離を含む所定範囲内で追従する定常追従走行状態であるときに、前記車間距離検出手段で検出する車間距離に基づいて前記自車速制御手段の速度変化率を通常制限値より小さい制限値で制限するように構成されていることを特徴とする車間距離制御装置。 - 先行車と自車両との車間距離を検出する車間距離検出手段と、先行車との目標車間距離を設定する目標車間距離設定手段と、前記車間距離検出手段で先行車を捕捉しているときに、当該車間距離検出手段で検出した車間距離を前記目標車間距離に収束させる車速指令値を算出し、前記車間距離検出手段で先行車を捕捉していないときに、予め設定する車速設定値を車速指令値とする指令値算出手段と、該指令値算出手段で算出した車速指令値に基づいて自車両の車速を制御する自車速制御手段とを備えた車間距離制御装置において、
前記車間距離検出手段で先行車の捕捉を開始したときの自車両が、先行車に前記目標車間距離を含む所定範囲内で追従した定常追従走行状態にあるか否かを判定する捕捉開始時追従判定手段と、該捕捉開始時追従判定手段で自車両が定常追従走行状態にあると判定される場合、前記車間距離検出手段で検出する車間距離に基づいて前記自車速制御手段の速度変化率を通常制限値に比較して小さい制限値で制限する速度変化率制限手段とを備えていることを特徴とする車間距離制御装置。 - 前記先行車との相対車速を検出する相対車速検出手段、又は前記車間距離と目標車間距離との車間距離偏差を検出する車間距離偏差検出手段の何れかを有し、前記速度変化率制限手段は、前記相対車速検出手段で検出する相対車速が零を含む第1の設定範囲内であるとき、又は前記車間距離偏差検出手段で検出する車間距離偏差が零を含む第1の所定範囲内であるときに、前記自車速制御手段の速度変化率を通常制限値に比較して小さい制限値で制限することを特徴とする請求項2記載の車間距離制御装置。
- 前記先行車との相対車速を検出する相対車速検出手段と、前記車間距離と目標車間距離との車間距離偏差を検出する車間距離偏差検出手段とを有し、前記速度変化率制限手段は、前記相対車速検出手段で検出する相対車速が零を含む第1の設定範囲内であるとき、又は前記車間距離偏差検出手段で検出する車間距離偏差が零を含む第1の所定範囲内であるときに、前記自車速制御手段の速度変化率を通常制限値に比較して小さい制限値で制限することを特徴とする請求項2記載の車間距離制御装置。
- 前記捕捉開始時追従判定手段は、前記車間距離検出手段で先行車の捕捉を開始した場合、前記相対車速検出手段で検出する相対車速が零を含む第2の設定範囲内で、且つ前記車間距離偏差検出手段で検出する車間距離偏差が零を含む第2の所定範囲内であるときに、定常追従走行状態であると判定することを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の車間距離制御装置。
- 前記速度変化率制限手段は、前記相対車速、又は前記車間距離偏差の夫々が零に近づくほど、制限値を小さい値に設定するように構成されていることを特徴とする請求項2乃至5の何れかに記載の車間距離制御装置。
- 前記速度変化率制限手段は、前記相対車速が先行車に接近する方向に変化するときの制限値を、先行車から離間する方向に変化するときの制限値に比較して大きな値に設定するように構成されていることを特徴とする請求項2乃至6の何れかに記載の車間距離制御装置。
- 前記速度変化率制限手段は、前記車間距離偏差が車間距離の短くなる方向に変化するときの制限値を、車間距離が長くなる方向に変化するときの制限値に比較して大きな値に設定するように構成されていることを特徴とする請求項2乃至7の何れかに記載の車間距離制御装置。
- 前記速度変化率制限手段は、前記車間距離検出手段で先行車を捕捉しない状態から捕捉する状態に復帰するまでの復帰時間が所定時間未満であるときには、車間距離に基づいて車速変化率を小さく制限し、当該復帰時間が所定時間以上であるときには、通常制限値を用いて車速変化率の制限を行うように構成されていることを特徴とする請求項2乃至8の何れかに記載の車間距離制御装置。
- 前記速度変化率制限手段は、指令値算出手段で算出する車速指令値の変化率を制限することにより、自車速制御手段の速度変化率を制限するように構成されていることを特徴とする2乃至9の何れかに記載の車間距離制御装置。
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