以下、本発明に関連する技術のガス放電パネル及びその製造方法に係る実施の形態、及び、本発明のガス放電パネルの製造方法の一実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明に関連する技術のガス放電パネルの一実施の形態であるプラズマディスプレイパネル(PDP)の概略部分断面を示す図である。同図を用いて本実施の形態のPDPの構成について述べる。
本実施の形態では、本発明に関連する技術の接着部材としてのフリットガラス31を用いた点等を除いて、図20を用いて説明した従来のPDPの構成と基本的に同じである。フリットガラス31については後述する。
即ち、図1において、21はフロントパネルガラスであり、22はバックパネルガラスである。フロントパネルガラス21には、表示電極24がパターニングされており、その上部に誘電体膜28と保護膜29が積層されており、フロント基板104を構成している。
一方、バック基板108は、バックパネルガラス22とその上部にパターニングされたアドレス電極23、隔壁30、蛍光体25から構成されている。隔壁30は、アドレス電極23を覆う誘電体膜と一体的に構成され、本実施の形態ではアルミナを溶射して形成したものである。尚、上述の通り、隔壁30が、誘電体膜と一体的に構成されている点も図20の構成と異なるものである。隔壁30は板状の複数のリブから構成されている。
PDP100は、上記フロント基板104とバック基板108とが対向配置され、その外周端縁部の間には、ガス放電用空間を形成するために低融点ガラスからなる封着部材(図示省略)により封着されており、その密閉空間に、300Torrから500Torrの希ガス(ヘリウム及びキセノンの混合ガス)が封入された構成である。又、隔壁30は、上記ガス放電用空間を区切るための手段である。このようにして区切られた空間部112が発光領域となる。
次に、本実施の形態の特徴であるフリットガラス31について述べる。
フリットガラス31は、製造工程において、隔壁30の上端部に予め塗布されている。そして、フロント基板104とバック基板108を対向配置して、パネルを封着することにより、溶融したフリットガラス31を介して、フロント基板104の内面と隔壁30の上端部とが接着されるものである。
又、隔壁30の表面には、小さな穴が若干存在する。これらの穴は、隔壁30を溶射方法により形成する場合に出来るものである。フリットガラス31は、溶融時に隔壁30の上記穴に浸透するため、隔壁30の強度が増し、かつ双方の基板104,108間の接着力は大きくなる。
尚、隔壁30及び隔壁30と一体となった誘電体は、それぞれ印刷等によって作製可能である。また隔壁30とその下部の誘電体は同一材料でも別材料でも良い。
これにより、クロストークや画像の乱れが少なく、良好な画質を実現する事ができる。
また、この様な構成であれば、封入ガス圧を大気圧以上にあげることが可能であり、その場合高輝度で、効率の高いPDPが実現できる。
(実施の形態2)
図2は、本発明に関連する技術のガス放電パネルの第2の実施の形態であるPDPの概略部分断面を示すものである。同図を用いて、以下に本実施の形態のPDPの構成について述べる。
本実施の形態のPDPの構成は、隔壁50の底部がフリットガラス52によりバック基板108側に接着されている点を除いては、図1に示した構成とほぼ同じであり、その説明を省略する。
隔壁50は、その底部50bと上端部50aにフリットガラス31、52があらかじめ塗布されている。
フロント基板21の内面と隔壁50の上端部50aとの接着に用いるためのフリットガラス31は、隔壁50の上端部50aにあらかじめ塗布しても良いし、あるいは、フロント基板21の内面にあらかじめパターン塗布し、隔壁50と接着させても良い。
一方、隔壁50と誘電体53との間のフリットガラス52は、隔壁50の材料と誘電体膜53の材料が異なる場合で、双方の接着力が比較的弱いときに有効である。更に、フリットガラス52が、隔壁50に形成された上記穴にしみ込むことにより、隔壁50を強化する働きがある。このフリットガラス52は隔壁50を形成する際に同時に形成しても良いし、あらかじめ誘電体53の上にパターニングし、その上に隔壁50を形成しても良い。
このように本実施の形態によれば、実施の形態1と同様の効果を発揮する。
(実施の形態3)
図3(a)〜図3(e)は、本発明に関連する技術のガス放電パネルの製造方法の一実施の形態の概略工程を示した図である。同図を用いて、以下に本実施の形態のPDPの製造方法について述べる。
図3(a)に示すように、61はアドレス電極であり、62は、バックパネルガラスである。この工程では、アドレス電極61が、バックパネルガラス62の表面にパターニング形成される。
次に、図3(b)に示すように、63は誘電体膜であり、誘電体膜63が、アドレス電極61及びバックパネルガラス62の表面を覆って塗布される。
その後、図3(c)に示すように、誘電体膜63の表面にレジスト64を塗布し、露光する事によってパターニングする。
次に、図3(d)に示すように、レジスト64の抜けた所に、溶射方法によってアルミナを主成分とする隔壁65を埋め込み、その後フリットガラス66を埋め込む。尚、フリットガラス66は溶射によって埋め込んでも良いし、他の方法、例えば印刷や単なるスキージングによって埋め込んでも良い。
その後、図3(e)に示すように、その後レジスト64を剥離し、隔壁65の上端部にフリットガラス66が塗布されたものが残る。
以上のような一連の工程を経て作られたバック基板は、フロント基板と対向配置させ、焼成工程をへて封着し、ガス封入を行う。
以上の方法によって、非常に簡便に、フロント基板とバック基板が隔壁65の上端部によって接着された、上記実施の形態1,2で述べたものと同様の構成のPDPが得られる。
このような方法を取ることによって隔壁の焼成工程が不要になり、省エネルギー性が得られる。
また、溶射方法による隔壁の形成およびフリットガラスの塗布が完了したものに、蛍光体を隔壁65のリブ同士の間に塗布し、蛍光体の焼成と両基板の接着および封着を同時に行うことにより、焼成工程が1つに出来る。
即ち、従来の場合では、隔壁の焼成工程と、蛍光体の焼成工程と、パネル全体の封着時に行う焼成工程がそれぞれ独立して設けられていたのに対して、本実施の形態によれば、焼成工程を2工程削減できることになり、設備削減と光熱費削減に大きな効果が期待できる。
又、隔壁の材料として溶融性ガラスを含む場合は、焼成工程が必要となるが、その焼成工程を、パネル全体の封着時の焼成工程と同時に行うことにより、上記の場合と同様、従来に比べて焼成工程を2工程削減出来るものである。
又、隔壁の上端部とフロント基板の内面との接着に利用する接着部材が、溶融性ガラスと有機バインダーと有機溶剤とを含む場合は、その接着部材に含まれる有機バインダーと有機溶剤を除去するために、仮焼成による加熱が必要となる。この仮焼成工程は、接着部材を塗布した後で、且つ、パネルを封着する前に設けられている。
(実施の形態4)
図4(a)〜図4(e)は、本発明に関連する技術のガス放電パネルの製造方法の一実施の形態の概略工程を示した図である。同図を用いて、以下に本実施の形態のPDPの製造方法について述べる。
図4(a)に示すように、71はアドレス電極であり、72は誘電体、73はバックパネルガラスである。誘電体72の上部に、隔壁74を形成するための材料であるアルミナとフリットガラスの混合物を一面成膜(図中では、符号701を付した)した。
その後、図4(b)に示すように、フリットガラス75の一面成膜を行う。隔壁74とフリットガラス75は溶射法によって成膜される。
尚、フリットガラス75については、印刷法等の方法によって塗布を行い、焼成を行って良い。
その後、図4(c)に示すように、レジスト76もしくはドライフィルム等の露光を行い、パターニングを行う。
しかる後、図4(d)に示すように、サンドブラストによって、レジスト76の付着していない部分を除去することにより、隔壁74を形成する。この隔壁74の上端部には、図4(b)で述べたフリットガラスの膜が付着している。
その後、図4(e)に示すように、フロント基板とバック基板と封着部材を用いてパネルを組み立て、焼成によって封着を行い、同時に隔壁74との接着も行う。この様に、上記封着と、隔壁74の上端部とフロント基板の内面との接着とは、製造工程における省エネルギーの実現という観点からは、同時に行うのが良いが、それぞれ別々の工程に行っても勿論良い。
また、蛍光体78の塗布は隔壁74形成後に行うが、その蛍光体78の焼成を、上記封着時に行っても良いし、封着前に個別に行っても良い。
この製造方法によっても焼成工程を削減できることになり、設備削減と光熱費削減に大きな効果を発揮する。
また、本実施の形態では、隔壁の材料として、アルミナにフリットガラスを混合しているため、封着時にフリットガラスがアルミナの空孔を埋めるため、空隙率が小さくなり、アウトガスの少ない隔壁が実現できる。そのため、不純物ガスによる汚染を減少し、パネルの長寿命化が期待できる。
(実施の形態5)
図5は、本発明に関連する技術のガス放電パネルの製造方法の一実施の形態である、溶射方法による隔壁の形成方法の概略説明図である。同図を用いて、以下に本実施の形態の溶射方法について述べる。
図5に示すように、81は溶射トーチ、82は冷却ガスである。冷却ガス82は溶射の再発生する無駄な熱を冷却し、基板温度を200℃以下に保つことができる。83は原料粉であり、隔壁84を形成する材料とフリットガラス87を粉状で供給する。86はドライフィルムであり、隔壁を形成したくない場所をマスクする。85はバックパネルガラスであり、89はアドレス電極、88は誘電体膜である。
溶射トーチ81から溶融して噴出した原料粉83のうち隔壁材料はあらかじめ露光、現像されたドライフィルム86の隙間に成膜され、間隙深さの6割程度の深さまで成膜し、その後フリットガラス87を溶射し成膜する。溶射は冷却ガス82によって冷却しながら行われるので、ドライフィルム86はダメージのない温度まで冷却される。その後ドライフィルムを剥離することによって隔壁84上部にフリットガラス87が成膜されたものが得られる。
本実施の形態によって、非常に簡便な方法で、隔壁の形成が出来、その隔壁の上端部にフリットガラスを成膜したものが得られ、焼成工程の削減および、設備削減と光熱費削減に大きな効果を発揮するものである。
このように本実施の形態によれば、フロント基板とバック基板が互いに接着された状態となるため、PDPの内圧が上がった場合でも、従来の様に、パネル中央部でパネルが膨らむことがない。
また振動が加わった時にも、フロント基板とバック基板の質量の差による共鳴周波数の差から、互いに別の振動を起こすことがない。
従って、本実施の形態によれば、飛行機の中等の様な、気圧が不安定になりやすい場所や、気圧の低い場所、あるいは、非常に振動の多い環境においても、クロストークや画像の乱れが少なく、良好な画質を実現する事ができる。
また、上記の様な構成であれば、封入ガス圧を大気圧以上にあげることが可能となり、これによって輝度が高く、効率の高いPDPが実現できる。
それに加えて本発明に関連する技術の製造方法の実施によって、焼成工程を大幅に削減できることになり、設備削減と光熱費削減に大きな効果が期待できる。
上記それぞれの実施の形態において述べたことから明らかなように、本発明に関連する技術のPDPは、例えば、バック基板もしくはフロント基板上に形成された隔壁が、もう一方の基板とフリットガラスによって接着された構成を備えたものである。又、その製造方法は、例えば、隔壁形成が溶射法によってなされると共に、その上端部に塗布すべきフリットガラスも溶射法によって形成され、隔壁とフロント基板の接着、フロント基板とバック基板との封着、蛍光体の焼成を一度に行うものである。
従って、フロント基板とバック基板が隔壁の上部でフリットガラスを介して接着されているために、パネル内の気体の圧力が外気圧より大きくなってもパネルが割れることも、パネルが膨れることもない。そのためクロストーク等の問題が生ずるということがなく飛行機等に搭載した場合でも良好な画像が得られかつ安全性も高い。またパネルに振動等が加わってもフロント基板とバック基板が接着されているために各基板がたわむことがなく、電車、自動車等の中でも、良好な画像が得られる。また、本発明に関連する技術の実施により内部に封入する放電ガスの圧力を大気圧以上にあげることができるために、高輝度で、効率の高いPDPが実現できる。
一方、従来と異なって、隔壁とフロント基板の接着、フロント基板とバック基板との封着、蛍光体の焼成を同時に行うことにより、焼成工程の数を低減でき、PDPを製作するための電気エネルギーが削減され、低コスト化が図れるものである。
以下、本発明のガス放電パネルの製造方法に係る実施の形態を中心として、図面に基づいて説明する。
(実施の形態6)
図6は、本発明のガス放電パネルの製造方法により作成されるガス放電パネルの一実施の形態に係るPDPの要部構成を簡略化して示す破断斜視図、図7はその変形例に係る断面図、図8は本実施の形態に係る本発明のPDPの製造方法における、配管部材を封止する方法を示す説明図である。図9ないし図11は、配管部材を封止する方法、及び配管部材の封止手順の第1変形例ないし第3変形例を示す説明図である。
尚、本実施の形態のPDPの全体構成は、図20,図21で述べた従来のPDPと基本的に同じ部分が多いので、図20,図21で述べたものと同一もしくは相当する部品、あるいは部分には同一符号を付している。
図6に示すように、本実施の形態に係る外囲器10は、上部パネル基板4と下部パネル基板8とを対向配置して、両パネル基板4,8の外周端縁部同士を低融点ガラスからなる封着部材9により封着され、内部に放電用空間を形成する構成である。
上部パネル基板4は、複数本の表示電極1とともに、これらの表示電極1を覆う低融点ガラス製の誘電体層2及び酸化マグネシウムからなる薄膜状の保護層3が内表面上に形成されたガラス製の基板である。又、下部パネル基板8は、表示電極1とは直交する向きに沿って配置された複数本のデータ電極5及び低融点ガラス製の誘電体層6が内表面上に形成され、かつ、この誘電体層6上の所定位置毎には発光領域を区画する低融点ガラス製の隔壁7が並列形成されたガラス製の基板である。
そして、これら隔壁7の最上端部には、融点が500〜600℃の材料からなる隔壁7よりも融点の低いフリットガラス(融点450℃程度)や水ガラスなどのような低融点材料からなる接着部材15が設けられており、下部パネル基板8上に形成された隔壁7と上部パネル基板4とは接着部材15を介したうえで互いに接着されている。
なお、接着部材15の形成材料としては、吸湿性及びアウトガスの低い紫外線接着剤や真空装置での一般的なシール材を用いることも可能である。ここでは、製造工程上の都合を考慮したうえで接着部材15の材料が隔壁7よりも低融点であるとしているが、製造工程上の差し支えがなければ、融点の限定されない一般的な接着剤を使用することも可能である。また、この接着部材15は、隔壁7のリブの全長にわたって設けられていなくても良い。即ち、所定位置毎に分離した状態で接着部材15が設けられていてもよいことは勿論である。
ところで、図7で示すように、上部パネル基板4の誘電体層2上における接着対象部分2a、つまり、接着部材15を介したうえで隔壁7の上端部と接着される所定部分と、下部パネル基板8の誘電体層6上における隔壁7の形成部分6a、つまり、誘電体層2と誘電体層6のそれぞれの所定部分2a,6aの双方、もしくは、何れか一方を微細な凹凸が形成された粗面部分としても良い。このような構成により、粗面であることによってアンカー効果が発揮される。
即ち、薄膜状の保護膜3及び接着部材15を介しながら上部パネル基板4の誘電体層2と隔壁7の上端部との間における接着強度、及び、下部パネル基板8の誘電体層6と隔壁7の底部との間における接着強度がそれぞれ増すことになる。
なお、この様な粗面部分を設けるには、マスクでもって粗面化が不要な部分を覆ったうえでのサンドブラスト処理を実行するというような一般的な手法を用いればよい。また、この場合、下部パネル基板8の誘電体層6は蛍光体11により覆われるのであるから、誘電体層6についてはその全面に対する粗面化を実行しておくことも可能である。
さらに、隔壁7によって区画された各発光領域毎の誘電体層6上にはカラー表示を実現するための蛍光体11が塗布されている。又、上部パネル基板4と下部パネル基板8上の隔壁7とが接着部材15を介して接着された外囲器10の内部にはヘリウム、キセノン及び、ネオン等を混合してなる放電ガスが500Torrを越える内圧、例えば、760Torrや1000Torrの内圧にしたうえで封入されている。
また、この場合、図6に示すように、下部パネル基板8の所定の部位には、外囲器10内の排気時及び放電ガスの封入時に使用された配管部材13が封着部材9と同等の材料を用いて接着されたままで残っている。
又、本構成によれば、外囲器10の外周囲圧力、つまり、大気圧より外囲器10の内圧が高くなっていたとしても、上部パネル基板4及び下部パネル基板8同士を隔壁7の最上端部に設けられた接着部材15により接着している。そのため、発光領域となる隣接する各空間部12同士が隙間を介して連通することがなく、隣接する空間部12同士の分離は確実に確保されていることになり、これらのパネル基板4,8が外側に膨らんで変形したりすることは生じない。
なお、ここではPDPが備える外囲器10内に500Torrを越える圧力の放電ガスを封入するとしているが、必ずしも、放電ガスの封入圧力が500Torrを越えていなければないらないというわけではなく、封入圧力が500Torr以下であってもよいことは勿論である。
すなわち、PDPは航空機や電車などにおいても使用されており、航空機が急上昇や急下降を行った場合の気圧変化や走行中の電車で生じた振動がPDPに対して加わることもあるが、外囲器10を構成する上部パネル基板4及び下部パネル基板8同士を隔壁7の最上端に設けられた接着部材15でもって接着しておけば、気圧変化や振動が作用した場合にも外囲器10が外向きに膨れ上がって変形することは起こり得ないこととなる。
次に、本発明のガス放電パネルの製造方法に係る一実施の形態として、上記構成のPDPの製造方法を図面用いて説明する。
まず、表示電極1,誘電体層2及び保護層3が形成された上部パネル基板4と、データ電極5,誘電体層6及び隔壁7が形成され、かつ、蛍光体11が塗布された下部パネル基板8とをそれぞれ製造する。
そして、それら双方のパネル基板を用意したうえ、下部パネル基板8における隔壁7の最上端部に対してフリットガラスなどのような低融点材料からなる接着部材15を設けることを実行する。
なお、接着部材15を設ける際にはスクリーン印刷やスタンパを用いた転写などの手法を採用することが行われるが、リフトオフなどの手法によって接着部材15を設けたうえで蛍光体11を塗布することも可能である。また、複数回にわたるスクリーン印刷などによって隔壁7を形成するのであれば、最上端に位置する層のみをフリットガラスなどで形成することによって接着部材15を設けることも可能であり、あるいは、下部パネル基板8上の隔壁7と対応する上部パネル基板4上の所定部位に接着部材15となるべきフリットガラスなどを塗布することも可能である。ところで、スクリーン印刷においては、隔壁7の最上端に当接するスクリーン版に対して予め所定粘度の接着材料が通過するパターンを形成しておくのが一般的であるが、スクリーン版そのものを全面にわたって接着材料が通過するようにしておいたうえでのスクリーン印刷によって隔壁7の最上端のみに接着部材15を設けるようにしてもよいことは勿論である。
次に、上述の様にして接着部材15が設けられた隔壁7を介し、上部パネル基板4と下部パネル基板8とを互いに対向配置し、かつ、これら両パネル基板4,8の外周端縁部同士の間に封着部材9を介在させたうえで加熱する。これにより、上部パネル基板4及び下部パネル基板8の外周端縁部同士が封着部材9によって封着されて、その結果として外囲器10が構成される。その際の加熱工程において溶融した接着部材15により上部パネル基板4と下部パネル基板8とは互いに接着される。
さらに、外囲器10を構成している下部パネル基板8に形成された貫通孔8aを通じて外囲器10内と連通する配管部材13を下部パネル基板8の外部位置に取り付ける。
そして、この配管部材13を介して外囲器10内の排気処理と放電ガスの封入処理とを実行する。
その後、配管部材13を封止することによって外囲器10の内部を密封すると、図6で示したPDPが完成する。
ところで、500Torrを越える圧力の放電ガスを外囲器10内に封入した場合、配管部材13の封止は、例えば、図8に示すような方法により実行される。
すなわち、図8に示す様に、まず、外囲器10を構成する下部パネル基板8に設けられた貫通孔8aを通じて外囲器10内と連通する配管部材13を下部パネル基板8に取り付ける。そして、配管部材13が取り付けられた外囲器10を高圧チャンバ16内の所定位置に載置して、高周波加熱器や電熱ヒータなどの加熱手段17を配管部材13における封じ切り部分13aの外周囲に沿って配置する。
そして、配管部材13を利用して外囲器10内の排気を実行し、更にこの外囲器10の内部に対して放電ガスを内圧が500Torrを越える所要の内圧となるまで封入する。
その後、高圧チャンバ16の内圧を外囲器10内に封入された放電ガスの内圧よりも高く設定する。
これにより、外囲器10の内圧よりも高圧チャンバ16の内圧の方が高くなっているため、従来の形態と同様の手順により配管部材13の封止を実行しうることになる。
即ち、配管部材13の封じ切り部分13aを加熱手段17によって加熱しながら軟化及び溶融させ、かつ、封じ切り部分13aよりも下側部分を外囲器10から遠ざけて溶断させると、溶断された配管部材13の封じ切り部分13aは閉塞されることになり、配管部材13の封止に伴って外囲器10の内部は密封される。なお、ここでは、外囲器10全体の外周囲圧力を放電ガスの内圧よりも高圧としておいたうえで配管部材13を封止するとしているが、このように大掛かりな方法を採用する必要はないのであり、少なくとも配管部材13の外周囲圧力を外囲器10内に封入された放電ガスの内圧よりも高圧としておくだけのことによっても従来の形態におけると同様な配管部材13の封止が実行可能となることは勿論である。
次に、配管部材13を封止する方法及び手順の変形例を、図9ないし図11に基づいて説明する。
まず、図9(a)〜図9(c)は配管部材13を封止する方法及び手順の第1変形例を示している。
この方法を採用するにあたっては、封止用治具17、つまり、配管部材13の径方向に沿って対向する少なくとも2方向から配管部材13を径方向に沿って押圧する断面視半円形状や三角形状などの突起17aが形成され、かつ、突起17aを介したうえで配管部材13を加熱する機能を具備してなる封止用治具17が用いられる。すなわち、この方法においては、一方側のパネル基板である下部パネル基板8に形成された貫通孔8aを通じて外囲器10内と連通する配管部材13を取り付け、かつ、配管部材13を介したうえで外囲器10内の排気と放電ガスの封入とを実行した後、図9(a)で示すように、配管部材13の封じ切り部分13aに対して封止用治具17の突起17aを当てつけた後、図9(b)で示すように、封止用治具17の突起17aにより配管部材13をその径方向に沿って押圧しながら加熱したうえ、図9(c)で示すように、加熱に伴って軟化及び溶融した配管部材13を溶断することが行われる。そして、この方法を採用した場合には、大気圧よりも外囲器10の内圧の方が高いにも拘わらず、加熱に伴って軟化及び溶融した配管部材13の突起17aにより押圧される結果として封じ切り部分13aが閉塞させられるため、配管部材13の封止を容易に行えることとなり、外囲器10が密封されたこととなる。
また、図10で示す第2変形例のように、配管部材13に対して円筒形状の加熱用治具18を外嵌し、かつ、ガスバーナ14などにより加熱用治具18を加熱することによって配管部材13の封じ切り部分13aを軟化及び溶融させたうえ、封じ切り部分13aの下側部分を矢印方向へ押し付けて、外囲器10へと近づけながら封じ切り部分13aを捩り切るような手法で配管部材13を封止することも可能である。なお、ここでの加熱用治具18は、大気圧よりも内圧の高い配管部材13が外方へ向かって膨らむのを防止しうるものであればよいのであり、図示省略しているが、金属網などを用いて作製されたものであってもよい。ところで、この加熱用治具18が配管部材13と固着することが起こった場合には、この加熱用治具18を配管部材13に固着させたままで残しておくことになるが、加熱用治具18が残されていても何らの不都合を生じないことは勿論である。
さらにまた、図11(a),図11(b)で示すような配管部材13の封止方法を、以上の封止方法に代えて採用することも可能である。
すなわち、この第3変形例に係る方法では、一方側のパネル基板である下部パネル基板8に形成された貫通孔8aを通じて外囲器10内と連通する配管部材13を取り付け、かつ、配管部材13を介したうえで外囲器10内の排気と放電ガスの封入とを順次実行した後、図11(a)で示すように、配管部材13よりも低融点材料からなる短棒形状などとして作製されたうえで配管部材13内に収納されていた封止用部材19を外部からガスバーナ14などでもって加熱しながら溶融させたうえ、図11(b)で示すように、配管部材13を閉塞したうえで封止することが行われる。そして、封止用部材19でもって封止された配管部材13の不要部分は、切断などのような手法を採用したうえで除去される。なお、この際における封止用部材19は、予め配管部材13内に収納されていたものであっても、下部パネル基板8に取り付け済みの配管部材13内に投入して収納されたものであってもよく、また、黒色顔料などが混入されていて熱吸収性に優れており、レーザ光の照射によって溶融させられるものであってもよい。
なお、以上述べた封入ガス圧として500Torr以下の放電ガスが外囲器10内に封入される場合であれば、従来同様の手順からなる製造方法を採用するのが一般的である。しかし、その様な場合、つまり製造時における外囲器10の内圧の方が外圧よりも低い場合でも、本実施の形態の方法を採用しても勿論良い。
以上述べたことから明らかなように、本発明に係るガス放電パネルは、例えば、外囲器を構成するパネル基板同士が隔壁の最上端に設けられた接着部材を介したうえで接着されていることを特徴とするものであり、この際における外囲器内には500Torrを越える圧力の放電ガスが封入されていることもある。なお、ここでの接着部材は、隔壁よりも低融点材料からなるものであることが好ましい。そして、パネル基板同士を接着してなる構成の外囲器を採用した際には、外囲器が外向きに膨れ上がって変形することは起こり得なくなり、また、500Torrを越える圧力の放電ガスを外囲器内に封入した構成を採用した際には、ガス放電パネルの輝度が向上するという利点が得られる。
このようにガス放電パネルの輝度が向上するのは、ガス放電効率の向上によるものである。
一方、本発明に係るガス放電パネルの製造方法は、例えば、製造時における外囲器の内圧の方が外圧よりも高い場合の製造方法であって、少なくとも配管部材の外周囲圧力を外囲器内に封入された放電ガスの内圧よりも高圧状態としたうえで配管部材を封止する、または、配管部材の径方向に沿って対向する少なくとも2方向から配管部材を押圧しながら加熱したうえで配管部材を封止する、あるいは、配管部材内に収納された封止用部材を溶融させることによって配管部材を封止することを特徴としている。そして、これらの製造方法によれば、外囲器の内圧の方が外圧よりも高い場合であっても、配管部材の封止を容易かつ確実に実行しうることになる。
以上説明したように、本発明に係るガス放電パネルによれば、例えば、外囲器を構成するパネル基板同士が隔壁の最上端に設けられた接着部材を介したうえで接着された構成となっているので、隔壁とパネル基板との間に隙間が発生したり、外囲器が外向きに膨れ上がって変形することは起こり得ないという効果が得られる。そこで、500Torrを越える圧力の放電ガスを外囲器内に封入しておいても何ら不都合は生じないことになり、ガス放電パネルにおける輝度向上を実現できることになる。
また、本発明に係るガス放電パネルの製造方法によれば、例えば、製造時の外囲器内に封入された放電ガスの内圧が大気圧に近かったり、大気圧以上となっている場合であっても配管部材を容易かつ安定的に封止しうることとなる結果、輝度の向上したガス放電パネルを容易に作製できるという効果が得られる。
ところで、以上述べた実施の形態では、隔壁7の上端部への接着部材15の形成手段としては、例えばスクリーン印刷等が考えられる。しかしながら、隔壁7の最上端部は非常に細くて長い領域であり、その上に接着部材15を均一に形成することが難しい場合がある。
又、隔壁7は印刷やリフトオフ又はサンドブラスト等の方法で形成されるが、その最上端部が凹凸形状となっている場合がある。特に隔壁7の最上端部における凹部には、接着部材が形成されない場合があり、その部分は上部パネル基板4と隔壁7の接着ができず、その部分については表示品位の劣化につながる事も考えられる。
又、接着部材15の形成量が多い場合、又は接着部材15が隔壁7の幅を越えて形成された場合、接着後の接着部材15の幅は隔壁7の幅よりも大きくなり、その部分について、上部パネル基板4の外側から見た発光領域を狭め、輝度の低下をまねくことも考えられる。
一方、従来の封着部材9はパネル基板の外周縁端にのみ形成されており、封着の際にはパネル基板の外周端縁部のみを加圧していた。しかしながら、変形を容易に防止できる外囲器を実現するには、上述した通り、接着部材15により隔壁7と上部パネル基板4の接着を確実に行う必要があるが、この様な構成でも、外周縁端部のみの加圧では、パネル基板の内側の表示領域内において十分確実な接着は実現できない場合も考えられる。
そこで、こられの点を考慮して、PDPの変形をより確実に防止することができるとともに、輝度向上を実現することが可能なガス放電パネルとその製造方法について、以下に述べる。
図12は、接着部材15の塗布について説明するための平面図である。又、図14はその変形例に係る平面図である。図13は本実施の形態に係るPDPの接着部材の材料粒子径と隔壁幅の関係を説明するための、模式的に描いた断面図である。図17は封着の際の加圧方法を示す断面図、図18及び図19は、それぞれ封着の際に加圧する具体的方法を示す断面図である。
なお、本実施の形態におけるPDPの全体構成は、図6で述べたものと基本的に同じであるので、以下の説明において、互いに同一もしくは相当する部品、部分には図6と同一符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態に係るPDPは、図6で説明した通りである。
即ち、隔壁7の最上端部には、図12に示すように透明材料からなる接着部材15が、隔壁7の長手方向に沿ってライン状に設けられている。下部パネル基板8上に形成された隔壁7と上部パネル基板4とは接着部材15を介して互いに接着されている。
隔壁7の最上端に形成した接着部材は、上述した様に、塗布量のムラなどにより部分的に隔壁幅からはみ出すことが考えられる。又、上部パネル基板4と接着した際、塗布量が多いときには、接着部材は隔壁頂部で押し広げられ、隔壁幅を越えて発光領域にはみ出すことがある。
しかしながら、本接着部材15は透明な材料であるために、発光領域に多少はみ出しても、発光を遮ることがなく、表示特性、特に輝度の劣化をまねかない。
さらに、隔壁7によって区画された各発光領域毎の誘電体層6上には、カラー表示を実現するための蛍光体11が塗布されている。そして、上部パネル基板4と下部パネル基板8上の隔壁7とが接着部材15を介して接着された外囲器10の内部にはヘリウム、キセノン及び、ネオン等を混合してなる放電ガスが500Torrを越える内圧、例えば、760Torrや1000Torrの内圧とされた上で封入されている。
次に、接着部材15についての変形例を図13を用いて説明する。
従来、接着部材として使用するフリットガラスは酸化鉛等の材料に、熱特性を調整するとともにガラス基板との接着強度を得るためにセラミックス等のフィラーが含まれている。
図13では、隔壁7の幅Wに対して、接着部材15に含まれるフィラー等の材料の最大粒子経DはWを越えない場合を示している。この場合、接着部材15は最大粒子が隔壁7の中央に位置する場合は隔壁幅からはみ出さず、また、最大粒子が隔壁7の中央から多少ずれて形成されても大きく隔壁幅からはみ出すことはなく、隔壁7と上部パネル4の接着後、表示領域を接着部材15で覆うことなく、表示特性の良好なPDPを実現できる。尚、この場合重要なことは、接着後に隔壁の上端部の幅から大きくはみ出さない様にすることであり、上記の構成であればそれが実現出来る。ここで、隔壁の上端部の幅から大きくはみ出さない様にするとは、各空間部12(図6参照)の蛍光領域を実質上減少させる様な幅にならない程度にすることを意味する。この蛍光領域は、各空間部12に塗布された蛍光体11の塗布領域によって決まるものである。
尚、図示していないが、隔壁と上部パネル基板の間に5μmを越えるすき間がある場合には、パネル点灯時にクロストーク等の表示劣化が生じる。
一方、接着部材の含有粒子のサイズが大きいと、接着部材の形成ムラが生じやすく、最大粒子の存在する部位のみで隔壁と上部パネルが接着する可能性がある。従って、接着部材の中の最大粒子の粒径は、5μm以下であることが一層望ましい。尚、本実施の形態では、隔壁のリブの幅W(図13参照)は40μm程度である。
さらに、接着部材15についての別の変形例に係るPDPを、図14を用いて説明する。
前述の接着部材15は、隔壁7の最上端部に設けられていたが、この例では、上部パネル基板4の内表面上にライン状に設けられている。即ち、本接着部材15は、図14に示す様に、下部パネル基板8上に形成された隔壁7と概交差する方向に(例えば、隔壁7の延設方向(長手方向)とほぼ直交するように)、対をなして配設された表示電極1群と、それに隣接する表示電極1群との中央部にライン状に設けられている。
尚、この場合、接着部材15の形成方法は、スクリーン印刷でもよいし、ディスペンサー等で描画してもかまわない。そして接着部材15と隔壁7が交差する部分で対向する両パネル基板4、8が接着されている。ここで、接着部材15は平面上に形成するため、容易に形成できるとともに、隔壁7と接着部材15はともにライン状であり、かつ互いに概交差するため、封着の際の位置あわせも容易となる。又、接着もより確実となる。
また、この接着部材15は隔壁7の長手方向に隣接する画素を視覚的に分離する機能をも備えており、外囲器10が外向きに膨れ上がって変形することを防ぐとともに、コントラストの向上にも有効である。
本実施例では、接着部材15を上部パネル基板4の内表面のみに形成する場合を示したが、下部パネル基板8上に形成された隔壁7の最上端にも接着部材15を形成しても何ら問題なく、確実な接着を行うには接着部分に接着部材が十分形成されることになりより有効である。
また、図13および図14で示した接着部材15が光吸収材料からなる場合、PDPコントラストをさらに向上させることはいうまでもない。
さらに、接着部材15の別の変形例にかかるPDPを、図15を用いて説明する。前述の接着部材15は隔壁7の最上端のほとんどの部分に設け、上部パネル基板4とを接着していたが、必ずしもほとんどの部分で接着する必要はなく、図15に示す様に一部の接着でも効果を発揮する。
これらの接着は、繰り返し述べられているように、パネルが外向きに膨れ上がって変形することを防ぐ効果があることはもちろんであるが、隔壁の最上端に生じる上部パネル基板との隙間を接着部材で埋め、各放電セル(放電空間)を完全に仕切ることで、放電セル間のクロストークを防止する作用効果もある。
この際、接着する部分と接着しない部分は任意に選ぶことができるが、図15に示すように、隔壁の上端部の内、表示電極1と交差している部分及びその近傍の部位に接着部材15を設けることがより望ましい。この様な部位では、より大きな放電が起こっているからである。
なお、図15では、表示電極1の近傍部分すべてで一様に接着している例を示したが、必ずしも一様である必要はなく、クロストークが起こりやすい部分のみを接着したり、あるいは部分的に隔壁の最上端をライン状に接着してもかまわない。
ここで、本実施の形態に係わる別の実施例を図16を用いて説明する。本実施の形態に係わるPDPは従来の形態と同じく、内表面上に複数本の表示電極1が形成された上部パネル基板4と、表示電極1とは直行する向きに配置された複数本のデータ電極5と隔壁7を内表面に形成した下部パネル基板8とを対向配置したうえで両パネルの外周縁部同士を低融点ガラスからなる接着部材15でもって封止してなる構成の外囲器を備えている。そして、これら隔壁7の最上端は凹状の溝を有しており、その溝を埋めるように接着部材15が設けられており、上部パネル基板4と隔壁7は、接着部材15を介して接合している。なお、前記の隔壁7は例えば次のように形成する。下部パネル基板8上に、樹脂被覆層としてドライフィルムレジストをラミネートし、露光マスクを用いて選択的に露光後、現像処理を行いネガパターンを設ける。さらにそのパターンの開口部にスキージなどを用いて樹脂被覆層の最表面と同じ高さまでペーストを埋め込む。その後、その下部パネル基板8を乾燥し、ペーストの中の溶剤を除去すると、ペーストは中央部がくぼんた凹形状となる。この形状は、ペーストに含まれる溶剤の量、フィラーの量、または樹脂被覆層の開口形状によってコントロールすることができる。他に、機械的に隔壁7の最上端を剔るか、もしくは、レーザー光線を照射するなどの方法で凹状に加工することも可能である。こうして形成された隔壁7の凹部に接着部材15を形成すると、隔壁7と接着部材15の接合面積が増加し、接合強度が増すとともに接着部材15の隔壁幅からのはみ出しの減少により見かけの発光面積を増大させることができる。
次に、本実施の形態に係るPDPの製造方法を手順に従って説明する。
まず、表示電極1,誘電体層2及び保護層3が形成された上部パネル基板4と、データ電極5,誘電体層6及び隔壁7が形成され、かつ、蛍光体11が塗布された下部パネル基板8とを用意したうえ、隔壁7の最上端にフリットガラスなどのような低融点材料からなる接着部材15を設ける。
なお、接着部材15を設ける際にはスクリーン印刷やスタンパを用いた転写などの手法を採用することが行われるが、リフトオフなどの手法によって塗布することも可能である。あるいは、隔壁7の最上端部に位置する層のみをフリットガラスなどで形成することによって接着部材15を設けることも可能である。又は、下部パネル基板8上の隔壁7と対応する上部パネル基板4上の所定部位に接着部材15となるべきフリットガラスなどを塗布することも可能である。
ところで、スクリーン印刷においては、隔壁7の最上端に当接するスクリーン版に対して予め所定粘度の接着材料が通過するパターンを形成しておくのが一般的であるが、スクリーン版そのものを全面にわたって接着材料が通過するようにしておいた上でのスクリーン印刷によって隔壁7の最上端のみに接着部材15を設けるようにしてもよいことは勿論である。
次に、上述のようにして接着部材15が設けられた隔壁7を介して、上部パネル基板4と下部パネル基板8とを互いに対向配置し、かつ、これら両パネル基板4,8の外周端縁同士間に封着部材9を介在させる。
この場合、図17に示すように、両パネル基板の外表面から内表面にむけて加圧しながら加熱すると、周縁部では上部パネル基板4及び下部パネル基板8の外周端縁部同士が封着部材9により封着される。それと同時に、中央の表示部では加熱によって溶融した接着部材15で上部パネル基板4と下部パネル基板8とは互いに接着され、結果として外囲器10が構成されたことになる。
さらに、外囲器10を構成している下部パネル基板8に形成された貫通孔8aを通じて外囲器10内と連通する配管部材13を下部パネル基板8の外部位置に取り付けたうえ、この配管部材13を介して外囲器10内の排気処理と放電ガスの封入処理とを実行した後、配管部材13を封止することによって外囲器10の内部を密封すると、図6で示したPDPが完成する。
ところで、上部パネル基板4と下部パネル基板8の接着の際の加圧は、例えば図18に示すような方法で実施される。
すなわち、まず外囲器10を構成する上部パネル基板4と下部パネル基板8を所定の位置関係に合わせて仮固定したうえで平坦な台16上に設置する。
次に、所定の押圧部位に押圧治具23を複数個設置する。この押圧治具23はバネ受けA(20)、バネ受けB(22)、バネ21、ボルト19からなり、バネ受けA(20)とバネ受けB(22)は分離しており、その間にバネ21をはさみこんだものである。
尚、バネ21の加圧力は、バネ受けB(22)の位置をボルト19で調整することができる。この押圧治具23を、外囲器10と、台16に支柱17を介して固定した枠体18との間に、押圧治具23の全長がその間隔より大きくなるようにバネ受けB(22)の位置をボルト19によって調整して挿入する。こうして、バネ21は圧縮力を加えた形で設置されるために、両パネル基板には押圧力が加わわる。
接着部材15および封着部材9を構成するフリットガラスは通常450度に加熱して溶融して使用するが、ここで使用するバネ21は、450度にてもそのバネ性を失わない材料を使用することはいうまでもない。例えばインコネル材を用いる。
次に加圧方法の変形例を図19を用いて説明する。
まず、外囲器10を構成する上部パネル基板4と下部パネル基板8を所定の位置関係に合わせて仮固定したうえで、平坦な台16上に設置する点は前記実施例と同じである。次に450度の加熱状態でも性質を変えないような弾力性のある緩衝材24を外囲器10の上部でその全面を覆うように設置する。ここで、緩衝材24としてはスチールウールのようなものが有効である。
次に所定の重量で均一な板厚を有する、外囲器全面を覆う大きさの板材25を外囲器10上部の緩衝材24の上に設置する。ここで緩衝材24は板材24と外囲器10の間に異物等を挟む必要性は、部分的に押圧力が変わり外囲器10を構成する上部パネル基板4と下部パネル基板8のギャップを不均一にさせる場合があるとともに、異物が大きい場合は局所的に力が加わり、外囲器10の破壊につながる可能性があるためである。
以上説明したように、本発明に係るガス放電パネルによれば、例えば、外囲器を構成する上部パネル基板と下部パネル基板は接着部材を介したうえで接着されているので、500Torrを越える圧力の放電ガスを外囲器内に封入しても、隔壁とパネル基板との間に隙間が発生したり、外囲器が外向きに膨れ上がって変形することは起こり得ないという効果が得られる。
その上、接着部材は隔壁幅からはみ出さないか、はみ出しても透明な部材を使用しているため、パネルの特性を下げることもない。また、隔壁と垂直に交わる方向に接着部材を形成すると、隔壁方向に隣接する画素を分離することができ、コントラストが向上する効果も得られる。
また、本発明に係るガス放電パネルの製造方法によれば、例えば、外囲器全面にわたって隔壁と対向するパネル基板との接着を均一に実現できる結果、輝度の向上したガス放電パネルを容易に作製できるという効果が得られる。
尚、上記実施の形態では、PDPにおいて、誘電体膜を有する場合について述べたが、これに限らず例えば、誘電体膜が無い構成でもよい。
又、上記実施の形態においては、ガス放電パネルがAC型のPDPであるとしているが、ガス放電パネルがAC型のPDPに限られることはなく、DC型のPDPについても本発明の適用が可能となることは勿論である。
又、本発明の第1パネル基板及び第2パネル基板は、上記実施の形態では、それぞれ、フロント基板及びバック基板に対応していたが、これに限らず例えば、本発明の第1パネル基板がバック基板に対応し、又第2パネル基板がフロント基板に対応する構成でも良い。この場合、隔壁の底部は、フロント基板の内面に設けられており、隔壁の上端部は、バック基板の内面と接着されている構成となる。
又、上記実施の形態では、接着部材を用いることを前提にして説明したが、これに限らず、例えば、図5で述べた例、図8〜図9で述べた例に関しては、接着部材の使用を前提しない構成でも良い。即ち、その場合、例えば、図5で述べた上記例の変形例として、第1電極を有する第1パネル基板と、前記第1パネル基板と対向する、第2電極を有する第2パネル基板と、前記第1と第2パネル基板との間にガス放電用空間を形成するための、それら双方の基板の外周端縁部の間に設けられた封着部と、前記第2パネル基板に設けられた、前記ガス放電用空間を区切る隔壁とを備えたガス放電パネルの製造方法であって、前記第2パネル基板上に設けられた感光性材料を露光して溝部を形成する工程と、前記隔壁を形成するための誘電体材料又はフリットガラスを、溶射法により前記形成された溝部に埋め込む溶射工程とを備え、前記溶射工程では、溶射ノズルから噴出する材料の流れに沿って、前記第2パネル基板を冷却する冷却用ガスを流すことを特徴とするガス放電パネルの製造方法が挙げられる。又、この製造方法では、上記ガス放電パネルは、前記第2電極を覆う誘電体膜を有し、前記誘電体膜及び前記隔壁の材料がアルミナであることが望ましい。これにより、上記と同様の効果を発揮する。又、例えば、図8〜図9で述べた上記例の変形例として、第1電極を有する第1パネル基板と、前記第1パネル基板と対向する、第2電極を有する第2パネル基板と、前記第1と第2パネル基板との間にガス放電用空間を形成するための、それら双方の基板の外周端縁部の間に設けられた封着部と、前記第2パネル基板に設けられた、前記ガス放電用空間を区切る隔壁とを備えたガス放電パネルの製造方法であって、前記第1パネル基板と前記第2パネル基板と前記封着部とを利用して前記ガス放電パネルを組み立てる組立工程と、前記第1又は第2パネル基板に形成されている貫通孔を介して前記ガス放電用空間と連通する配管部材を、前記貫通孔を有するパネル基板に取り付ける工程と、前記配管部材を利用して、前記ガス放電用空間に放電用ガスを封入する封入工程と、前記配管部材の周囲圧力を、前記封入された放電用ガスの内圧よりも高くして、前記配管部材を封止する封止工程とを備えたことを特徴とするガス放電パネルの製造方法が挙げられる。これにより、従来とは別の製造方法が提供出来るという効果がある。