JP2004003259A - 電波音波吸収体、電波音波吸収パネル、電波吸収防音壁、道路付帯設備ならびに電波および音波の反射抑制方法 - Google Patents
電波音波吸収体、電波音波吸収パネル、電波吸収防音壁、道路付帯設備ならびに電波および音波の反射抑制方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】電波音波吸収体20は、電波反射体11と、この電波反射体11の電波および音波の到来側に配置された吸音部12と、この吸音部12の電波および音波の到来側に配置された電波吸収部13と、誘電体からなり、電波吸収部13の電波および音波の到来側に配置され、電波吸収部13を保護する板状の電波吸収部保護部材14とを備えている。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電波吸収機能と吸音による防音機能とを兼ね備えた電波音波吸収体、およびこの電波音波吸収体を用いた電波音波吸収パネル、電波吸収防音壁、道路付帯設備ならびに電波および音波の反射抑制方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両の通行量の多い高速道路に隣接して居住地域が存在する場合には、騒音に対する対策として防音壁が採用されている。
【0003】
一方、近年、自動料金収受(ETC(Electronic Toll Collection)とも呼ばれる。)システムや、走行支援道路(AHS(Advanced Cruise−Assist HighwaySystem)とも呼ばれる。)等の車両運行支援システムが発展してきている。これらのシステムでは、道路に設置された路側機と車に搭載された車載器との間で電波を利用して通信を行う狭域通信(DSRC(Dedicated Short−Range Communication)とも呼ばれる。)が用いられている。そのため、これらのシステムの発展に伴い、道路における電磁波環境の改善が求められている。
【0004】
そのため、特に車両の通行量の多い道路では、自動料金収受システムや車両運行支援システムを採用する場合に、道路の周辺地域に対する騒音の防止と道路における電磁波環境の改善のために、電波吸収機能と防音機能とを兼ね備えた電波吸収防音壁を設置することが考えられる。
【0005】
従来、電波吸収機能と防音機能とを兼ね備えたものとしては、例えば実開昭60−190099号公報や実開平4−25297号公報に示されるように、電波吸収体の前面(電波および音波の到来側)に吸音材を配置して構成された電波音波吸収体が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電波音波吸収体は、主に電波暗室兼無響室を構築するために用いられるものであるため、野外において使用されることを考慮して構成されてはいない。そのため、従来の電波音波吸収体では、野外に設置する場合には、以下のような問題点があった。
【0007】
電波音波吸収体を道路等の野外に設置する場合には、電波音波吸収体には、耐候性、すなわち降雨や結露等に対する耐性が要求される。吸音材には、一般的にグラスウールや合成繊維が用いられる。従来の電波音波吸収体では、このような吸音材が表面側に配置される。そのため、従来の電波音波吸収体では、降雨や結露の影響によって、グラスウールや合成繊維よりなる吸音材が水分を含み、その結果、電波吸収性能や吸音性能が劣化する可能性がある。降雨や結露の影響を防ぐために、誘電体フィルム等によって吸音材を覆うことも考えられる。しかし、この方法では、ほぼ電波透過体および音波透過体とみなせる薄い誘電体フィルムを用いる必要があるため、野外での長期間の利用を考えた場合には信頼性に欠ける。
【0008】
また、電波音波吸収体を野外に設置する場合には、電波音波吸収体の運搬や施工の便宜のために、電波音波吸収体を板状のパネルにすることが考えられる。しかし、従来の電波音波吸収体では、表面に柔軟な吸音材が存在するため、ビスや枠を用いて吸音材を他の部材に固定するのが難しい。接着剤を用いて吸音材を他の部材に固定することも考えられるが、この方法では、野外での長期間の利用を考えた場合には信頼性に欠ける。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、電波吸収機能と、吸音による吸音機能とを兼ね備えると共に、野外での使用に適した電波音波吸収体、およびこの電波音波吸収体を用いた電波音波吸収パネル、電波吸収防音壁、道路付帯設備ならびに電波および音波の反射抑制方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の電波音波吸収体は、
電波を反射する電波反射体と、
電波反射体の電波および音波の到来側に配置され、音波を吸収する吸音部と、吸音部の電波および音波の到来側に配置され、電波を吸収する電波吸収部とを備えたものである。
【0011】
本発明の第1の電波音波吸収体では、吸音部によって音波が吸収され、電波吸収部によって電波が吸収される。
【0012】
本発明の第1の電波音波吸収体は、更に、誘電体からなり、電波吸収部の電波および音波の到来側に配置され、電波吸収部を保護する電波吸収部保護部材を備えていてもよい。この場合、電波吸収部保護部材は、音波を通過させるための孔を有していてもよい。電波吸収部保護部材の面の全面積に対する孔の占有面積の割合は、20〜60%の範囲内であってもよい。
【0013】
また、本発明の第1の電波音波吸収体は、更に、吸音部と電波吸収部との間に配置された空気層を備えていてもよいし、電波反射体と吸音部との間に配置された空気層を備えていてもよい。
【0014】
また、本発明の第1の電波音波吸収体は、更に、吸音部を覆う誘電体フィルムを備えていてもよいし、あるいは、それぞれ吸音部および電波吸収部を個別に覆う誘電体フィルムを備えていてもよいし、あるいは、吸音部および電波吸収部を一体的に覆う誘電体フィルムを備えていてもよい。
【0015】
また、本発明の第1の電波音波吸収体において、吸音部は、グラスウールまたは合成繊維からなる吸音材を含んでいてもよい。
【0016】
また、本発明の第1の電波音波吸収体において、電波吸収部は、導電性グラスウールからなる電波吸収材を含んでいてもよいし、あるいは連続気泡を有する導電性発泡体からなる電波吸収材を含んでいてもよい。
【0017】
また、本発明の第1の電波音波吸収体において、電波吸収部は、電波および音波の到来方向に貫通する孔を有していてもよい。この場合、電波吸収部の面の全面積に対する孔の占有面積の割合は、20〜60%の範囲内であってもよい。また、電波吸収部は、独立気泡を有する導電性発泡体からなる電波吸収材を含んでいてもよいし、あるいは、磁性体粉末を混合したプラスチックまたは磁性体粉末を混合した無機材料からなる電波吸収材を含んでいてもよいし、あるいは、導電性プラスチックまたは導電性無機材料からなる電波吸収材を含んでいてもよい。
【0018】
また、本発明の第1の電波音波吸収体は、更に、誘電体からなり、電波吸収部の電波および音波の到来側に配置され、電波吸収部を保護する電波吸収部保護部材を備え、電波吸収部保護部材および電波吸収部は、それぞれ、互いに対応する位置に配置された、音波を通過させるための孔を有していてもよい。この場合、電波吸収部保護部材および電波吸収部の各面の全面積に対する各孔の占有面積の割合は、それぞれ20〜60%の範囲内であってもよい。また、電波吸収部は、独立気泡を有する導電性発泡体からなる電波吸収材を含んでいてもよいし、あるいは、磁性体粉末を混合したプラスチックまたは磁性体粉末を混合した無機材料からなる電波吸収材を含んでいてもよいし、あるいは、導電性プラスチックまたは導電性無機材料からなる電波吸収材を含んでいてもよい。
【0019】
また、本発明の第1の電波音波吸収体において、電波吸収部保護部材は、合成樹脂からなるものであってもよい。この場合、電波吸収部保護部材は、ポリカーボネート、アクリル、AES樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1つからなるものであってもよい。また、電波吸収部保護部材は、連続気泡を有する発泡体であってもよい。
【0020】
また、本発明の第1の電波音波吸収体は、0度〜45度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が20dB以上であるものであってもよい。この場合、本発明の第1の電波音波吸収体は、更に、45度〜80度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が15dB以上であるものであってもよい。
【0021】
また、本発明の第1の電波音波吸収体は、0度〜80度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が20dB以上であるものであってもよい。
【0022】
本発明の第2の電波音波吸収体は、
音波を反射する音波反射体と、
音波反射体の電波および音波の到来側に配置され、音波を吸収する吸音部と、吸音部の電波および音波の到来側に配置され、電波を反射し音波を透過させる電波反射音波透過体と、
電波反射音波透過体の電波および音波の到来側に配置され、電波を吸収する電波吸収部とを備えたものである。
【0023】
本発明の第2の電波音波吸収体では、吸音部によって音波が吸収され、電波吸収部によって電波が吸収される。
【0024】
本発明の第2の電波音波吸収体は、更に、誘電体からなり、電波吸収部の電波および音波の到来側に配置され、電波吸収部を保護する電波吸収部保護部材を備えていてもよい。この場合、電波吸収部保護部材は、音波を通過させるための孔を有していてもよい。電波吸収部保護部材の面の全面積に対する孔の占有面積の割合は、20〜60%の範囲内であってもよい。
【0025】
また、本発明の第2の電波音波吸収体において、音波反射体と吸音部とが一体化されて音波吸収体が構成され、電波反射音波透過体と電波吸収部とが一体化されて電波吸収体が構成され、音波吸収体と電波吸収体は分離可能であってもよい。この場合、音波吸収体は、既設の防音パネルまたは防音壁に含まれていてもよい。
【0026】
また、本発明の第2の電波音波吸収体は、更に、電波反射音波透過体と吸音部との間に配置された空気層を備えていてもよい。空気層によって隔てられる電波反射音波透過体と吸音部との間隔は、25mm〜65mmの範囲内であってもよい。
【0027】
また、本発明の第2の電波音波吸収体は、更に、音波反射体と吸音部との間に配置された空気層を備えていてもよい。
【0028】
また、本発明の第2の電波音波吸収体において、電波反射音波透過体は、音波を通過させるための孔を有していてもよい。電波反射音波透過体の面の全面積に対する孔の占有面積の割合は、20〜60%の範囲内であってもよい。
【0029】
また、本発明の第2の電波音波吸収体は、更に、吸音部を覆う誘電体フィルムを備えていてもよいし、あるいは、それぞれ吸音部および電波吸収部を個別に覆う誘電体フィルムを備えていてもよいし、あるいは、更に、吸音部、電波反射音波透過体および電波吸収部を一体的に覆う誘電体フィルムを備えていてもよい。
【0030】
また、本発明の第2の電波音波吸収体において、吸音部は、吸音材を含んでいてもよい。この場合、吸音部は、更に、吸音材の電波および音波の到来側に配置され、金属からなると共に音波を通過させるための孔を有し、吸音材を保護する吸音材保護部材を含んでいてもよい。本発明の第2の電波音波吸収体は、更に、吸音材を覆う誘電体フィルムを備えていてもよいし、あるいは、それぞれ吸音材および電波吸収部を個別に覆う誘電体フィルムを備えていてもよい。吸音材は、グラスウールまたは合成繊維からなるものであってもよい。
【0031】
また、本発明の第2の電波音波吸収体において、電波吸収部は、導電性グラスウールからなる電波吸収材を含んでいてもよいし、あるいは連続気泡を有する導電性発泡体からなる電波吸収材を含んでいてもよい。
【0032】
また、本発明の第2の電波音波吸収体において、電波吸収部は、電波および音波の到来方向に貫通する孔を有していてもよい。この場合、電波吸収部の面の全面積に対する孔の占有面積の割合は、20〜60%の範囲内であってもよい。また、電波吸収部は、独立気泡を有する導電性発泡体からなる電波吸収材を含んでいてもよいし、あるいは、磁性体粉末を混合したプラスチックまたは磁性体粉末を混合した無機材料からなる電波吸収材を含んでいてもよいし、あるいは、導電性プラスチックまたは導電性無機材料からなる電波吸収材を含んでいてもよい。
【0033】
また、本発明の第2の電波音波吸収体は、更に、誘電体からなり、電波吸収部の電波および音波の到来側に配置され、電波吸収部を保護する電波吸収部保護部材を備え、電波吸収部保護部材、電波吸収部および電波反射音波透過体は、それぞれ、互いに対応する位置に配置された、音波を通過させるための孔を有していてもよい。この場合、電波吸収部保護部材、電波吸収部および電波反射音波透過体の各面の全面積に対する各孔の占有面積の割合は、それぞれ20〜60%の範囲内であってもよい。また、電波吸収部は、独立気泡を有する導電性発泡体からなる電波吸収材を含んでいてもよいし、あるいは、磁性体粉末を混合したプラスチックまたは磁性体粉末を混合した無機材料からなる電波吸収材を含んでいてもよいし、あるいは、導電性プラスチックまたは導電性無機材料からなる電波吸収材を含んでいてもよい。
【0034】
また、本発明の第2の電波音波吸収体において、電波吸収部保護部材は、合成樹脂からなるものであってもよい。この場合、電波吸収部保護部材は、ポリカーボネート、アクリル、AES樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1つからなるものであってもよい。また、電波吸収部保護部材は、連続気泡を有する発泡体であってもよい。
【0035】
また、本発明の第2の電波音波吸収体において、電波反射音波透過体は、導電性メッシュからなるものであってもよいし、あるいは、金属板からなるものであってもよい。
【0036】
また、本発明の第2の電波音波吸収体は、0度〜45度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が20dB以上であるものであってもよい。この場合、本発明の第2の電波音波吸収体は、更に、45度〜80度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が15dB以上であるものであってもよい。
【0037】
また、本発明の第2の電波音波吸収体は、0度〜80度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が20dB以上であるものであってもよい。
【0038】
本発明の電波音波吸収パネルは、本発明の第1または第2の電波音波吸収体の構成要素を一体的に含み、全体が板状に形成されたパネルである。
【0039】
本発明の電波吸収防音壁は、本発明の第1または第2の電波音波吸収体を含み、電波吸収機能と吸音による防音機能とを兼ね備えた壁である。電波吸収防音壁は、音波反射体および吸音部を含む既設の防音壁に、電波反射音波透過体および電波吸収部が取り付けられて構成されていもよい。
【0040】
本発明の道路付帯設備は、本発明の第1または第2の電波音波吸収体を含み、道路に付帯する構造物である。
【0041】
本発明の電波および音波の反射抑制方法は、本発明の第1または第2の電波音波吸収体を道路上または道路の周辺に配置して、道路上または道路の周辺における不要な電波および不要な音波の反射を抑制するものである。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
始めに、図3を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る電波音波吸収体、電波音波吸収パネル、電波吸収防音壁、道路付帯設備ならびに電波および音波の反射抑制方法が適用される道路とその付帯設備の一例について説明する。図3は、狭域通信(DSRC)等を利用した車両運行支援システムが採用された道路1を示している。この道路1の両脇には複数の路側機2が設置されている。路側機2は、車に搭載された通信装置である車載器と通信を行うための通信装置である。また、道路1には、付帯設備として、防音壁4,5が設置されている。防音壁4は、防音機能を有し、道路1の周辺地域に対する騒音を防止する。防音壁5は、防音機能を有し、道路1に隣接する図示しない他の道路に対する騒音を防止する。また、図3に示した道路1には、トンネル6が設けられている。
【0043】
図3に示したような道路1では、何ら電磁波環境の改善策を採らなければ、路側機2より放射された電波が、防音壁4,5、トンネル6の内壁等で多重反射して、車両運行支援システムが誤動作する可能性がある。
【0044】
本実施の形態に係る電波音波吸収体、電波音波吸収パネル、電波吸収防音壁、道路付帯設備ならびに電波および音波の反射抑制方法は、上述のような道路上または道路の周辺における不要な電波の反射を抑制すると共に、不要な音波の反射を抑制する。
【0045】
次に、図1を参照して、本実施の形態に係る電波音波吸収体について説明する。図1は、本実施の形態に係る電波音波吸収体の断面図である。本実施の形態に係る電波音波吸収体10は、電波を反射すると共に音波を反射する電波反射体11と、この電波反射体11の電波および音波の到来側(図1における左側)に配置され、音波を吸収する吸音部12と、この吸音部12の電波および音波の到来側に配置され、電波を吸収する電波吸収部13とを備えている。電波反射体11、吸音部12および電波吸収部13は、それぞれ板状に形成されている。
【0046】
電波反射体11は、例えば金属板からなる。吸音部12は、例えばグラスウールまたは合成繊維からなる吸音材を含む。電波吸収部13は、連続気泡を有する導電性発泡体からなる電波吸収材を含んでいてもよい。また、電波吸収部13は、電波および音波の到来方向に貫通する孔を有していてもよい。これにより、音波をより多く吸音部12に導き、吸音部12において吸音させることが可能となり、電波音波吸収体10の吸音特性を向上させることができる。この場合、電波吸収部13の面の全面積に対する孔の占有面積の割合は、20〜60%の範囲内であることが好ましい。以下、その理由について説明する。上記孔の占有面積の割合が20%を下回ると、音波が電波吸収部13を十分に通過できなくなり、電波音波吸収体10の吸音性能が十分なものでなくなる。また、上記孔の占有面積の割合が60%を上回ると、電波吸収部13において、電波吸収部13が存在する面積が小さくなり、電波吸収部13の強度が不十分なものとなる可能性がある。
【0047】
また、電波吸収部13が上記の孔を有している場合には、電波吸収部13は、独立気泡を有する導電性発泡体からなる電波吸収材を含んでいてもよいし、磁性体粉末を混合したプラスチックまたは磁性体粉末を混合した無機材料からなる電波吸収材を含んでいてもよいし、導電性プラスチックまたは導電性無機材料からなる電波吸収材を含んでいてもよい。導電性発泡体としては、例えば導電性発泡ウレタンや導電性発泡ポリエチレンを用いることができる。磁性体粉末としては、例えばフェライト粉末や金属磁性体粉末を用いることができる。以下、フェライトを混合したプラスチックをプラスチックフェライトと言う。
【0048】
本実施の形態に係る電波音波吸収体10では、吸音部12によって音波が吸収され、電波吸収部13によって電波が吸収される。従って、電波音波吸収体10は、電波吸収機能と、吸音による防音機能とを兼ね備えている。
【0049】
本実施の形態に係る電波音波吸収パネルは、本実施の形態に係る電波音波吸収体10の構成要素、すなわち電波反射体11、吸音部12および電波吸収部13を一体的に含み、全体が矩形の板状に形成されたパネルである。
【0050】
図2は、本実施の形態に係る電波音波吸収パネルにおいて、電波反射体11、吸音部12および電波吸収部13を一体化する方法の一例を示している。この方法では、例えば電波音波吸収パネルの四隅の近傍の位置において、電波反射体11、吸音部12および電波吸収部13を貫通するようにボルト21を設け、このボルト21の頭部とこのボルト21に螺合するナット22とによって電波反射体11、吸音部12および電波吸収部13を挟み込むことにより、これらを一体化している。
【0051】
本実施の形態に係る電波吸収防音壁は、本実施の形態に係る電波音波吸収体10を含み、電波吸収機能と吸音による防音機能とを兼ね備えた壁である。本実施の形態に係る電波吸収防音壁は、例えば図3における防音壁4として用いることができる。
【0052】
本実施の形態に係る道路付帯設備は、本実施の形態に係る電波音波吸収体10を含み、道路に付帯する構造物である。本実施の形態に係る道路付帯設備としては、具体的には、料金所の屋根や壁、トンネルの内装板、トンネル内の吸音板、ガードレール、高架桁下の吸音板及び美装板、掘割部の吸音板、コンクリート等で形成される擁壁、橋梁、標識板、防眩板等がある。本実施の形態に係る道路付帯設備は、全体が電波音波吸収体10によって構成されていてもよいし、一部が電波音波吸収体10によって構成されていてもよい。
【0053】
本実施の形態に係る電波および音波の反射抑制方法は、本実施の形態に係る電波音波吸収体10を道路上または道路の周辺に配置して、道路上または道路の周辺における不要な電波および不要な音波の反射を抑制する方法である。
【0054】
以上説明したように、本実施の形態に係る電波音波吸収体10では、電波および音波の到来側より順に、電波吸収部13、吸音部12および電波反射体11が配置されている。従って、電波音波吸収体10では、電波吸収部13が表面側に配置される。電波吸収部13には、プラスチックフェライトからなる電波吸収材や、導電性発泡体からなる電波吸収材等、吸音部12を構成する吸音材に比べて硬質の材料を用いることができる。従って、本実施の形態に係る電波音波吸収体10によれば、吸音材が表面側に配置される電波音波吸収体に比べて、耐候性を向上させることができる。
【0055】
また、本実施の形態に係る電波音波吸収体10によれば、電波吸収部13が表面側に配置されるので、例えば図2に示したように、ボルト21およびナット22等を用いて、電波音波吸収体10の構成要素である電波反射体11、吸音部12および電波吸収部13を容易に一体化することができる。これにより、容易に電波音波吸収パネルを構成することが可能になる。
【0056】
これらのことから、本実施の形態によれば、電波吸収機能と、吸音による吸音機能とを兼ね備えると共に、野外での使用に適した電波音波吸収体10を実現することができる。
【0057】
また、本実施の形態に係る電波音波吸収パネル、電波吸収防音壁、道路付帯設備または電波および音波の反射抑制方法によれば、本実施の形態に係る電波音波吸収体10を用いるので、野外において、良好に、電磁波環境の改善と防音とを達成することができる。
【0058】
また、本実施の形態に係る電波音波吸収体10は、0度〜45度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が20dB以上となる特性を有することが好ましい。電波音波吸収体10は、更に、45度〜80度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が15dB以上となる特性を有することが好ましい。また、電波音波吸収体10は、0度〜80度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が20dB以上となる特性を有することが好ましい。本実施の形態に係る電波音波吸収体10において、これらの特性を実現できることは、第2の実施の形態において説明する。
【0059】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。始めに、図4を参照して、本実施の形態に係る電波音波吸収体の基本構成について説明する。図4は、本実施の形態に係る電波音波吸収体の断面図である。本実施の形態に係る電波音波吸収体20は、電波反射体11と、この電波反射体11の電波および音波の到来側(図4における左側)に配置された吸音部12と、この吸音部12の電波および音波の到来側に配置された電波吸収部13と、誘電体からなり、電波吸収部13の電波および音波の到来側に配置され、電波吸収部13を保護する板状の電波吸収部保護部材14とを備えている。電波吸収部保護部材14は、例えば、合成樹脂によって形成されていてもよい。また、電波吸収部保護部材14は、連続気泡を有する発泡体によって形成されていてもよい。合成樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、アクリル、AES樹脂(エチレン−プロピレンゴムを幹とするアクリロニトリルとスチレンのグラフトポリマー)からなる群より選ばれた少なくとも1つを用いることができる。連続気泡を有する発泡体としては、例えば発泡ポリカーボネートを用いることができる。
【0060】
電波反射体11および吸音部12の材料は、第1の実施の形態と同様である。本実施の形態では、電波吸収部13の電波および音波の到来側に電波吸収部保護部材14が設けられるので、電波吸収部13の材料としては、柔軟性を有するものも使用することが可能である。従って、本実施の形態における電波吸収部13としては、第1の実施の形態と同様のプラスチックフェライトからなる電波吸収材や、導電性発泡体からなる電波吸収材等の他にも、例えば導電性グラスウールを用いることができる。
【0061】
また、本実施の形態に係る電波音波吸収体20は、0度〜45度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が20dB以上となる特性を有することが好ましい。電波音波吸収体20は、更に、45度〜80度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が15dB以上となる特性を有することが好ましい。また、電波音波吸収体20は、0度〜80度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が20dB以上となる特性を有することが好ましい。本実施の形態に係る電波音波吸収体20において、これらの特性を実現できることは後で説明する。
【0062】
図4は、本実施の形態に係る電波音波吸収体20の基本構成を示したものであるが、本実施の形態に係る電波音波吸収体20は、以下に示すような種々の変形例の形態を採ることもできる。
【0063】
図5に示した電波音波吸収体20は、図4に示した電波音波吸収体20の構成要素の他に、吸音部12と電波吸収部13との間に配置された空気層15を備えたものである。
【0064】
図6に示した電波音波吸収体20は、図4に示した電波音波吸収体20の構成要素の他に、電波反射体11と吸音部12との間に配置された空気層15を備えたものである。
【0065】
図7に示した電波音波吸収体20は、図4に示した電波音波吸収体20の構成要素の他に、吸音部12と電波吸収部13との間に配置された空気層15と、電波反射体11と吸音部12との間に配置された空気層15とを備えたものである。
【0066】
図5ないし図7における空気層15は、吸音特性の調整や電波吸収特性の調整のために設けられる。
【0067】
本実施の形態に係る電波音波吸収パネルは、本実施の形態に係る電波音波吸収体20の構成要素、すなわち電波反射体11、吸音部12、電波吸収部13および電波吸収部保護部材14を一体的に含み、全体が矩形の板状に形成されたパネルである。
【0068】
図8は、本実施の形態に係る電波音波吸収パネルにおいて、電波反射体11、吸音部12、電波吸収部13および電波吸収部保護部材14を一体化する方法の一例を示している。この方法では、例えば電波音波吸収パネルの四隅の近傍の位置において、電波反射体11、吸音部12、電波吸収部13および電波吸収部保護部材14を貫通するようにボルト21を設け、このボルト21の頭部とこのボルト21に螺合するナット22とによって電波反射体11、吸音部12、電波吸収部13および電波吸収部保護部材14を挟み込むことにより、これらを一体化している。
【0069】
図9は、本実施の形態に係る電波音波吸収パネルにおいて、電波反射体11、吸音部12、電波吸収部13および電波吸収部保護部材14を一体化する方法の他の例を示している。この方法では、電波反射体11の周縁部を、吸音部12および電波吸収部13の外周部よりも膨出させると共に、この周縁部を吸音部12側に折り曲げている。また、この方法では、電波吸収部保護部材14の周縁部を、吸音部12および電波吸収部13の外周部よりも膨出させると共に、この周縁部を電波吸収部13側に折り曲げている。電波吸収部保護部材14の周縁部は、電波反射体11の周縁部に重なっている。そして、この方法では、電波反射体11の周縁部と電波吸収部保護部材14の周縁部の互いに重なる部分を、リベット23等を用いて互いに固定している。これにより、電波反射体11および電波吸収部保護部材14によって、吸音部12および電波吸収部13を囲った形態の電波音波吸収パネルが形成される。
【0070】
図10に示した電波音波吸収体20は、図4に示した電波音波吸収体20の構成要素の他に、吸音部12と電波吸収部13との間に配置され、電波を反射し音波を透過させる電波反射音波透過体16を備えたものである。電波反射音波透過体16は、例えば、薄い金属板、孔を有する金属板または導電性メッシュによって形成される。この電波反射音波透過体16を設けた場合に、電波反射体11における電波を反射する機能は必要なくなる。従って、この場合には、電波反射体11は、本発明における音波反射体に対応することになる。
【0071】
図11は、図10に示した電波音波吸収体20を構成する方法の一例を示している。この例では、電波反射体11と吸音部12とが一体化されて音波吸収体50が構成され、電波反射音波透過体16、電波吸収部13および電波吸収部保護部材14が一体化されて電波吸収体40が構成されている。音波吸収体50と電波吸収体40は分離可能になっている。図11に示したように、音波吸収体50と電波吸収体40を結合させることにより、図10に示した電波音波吸収体20が構成される。音波吸収体50は、既設の防音パネルまたは防音壁に含まれていてもよい。
【0072】
図11に示した電波音波吸収体20の構成方法によれば、音波吸収体50と電波吸収体40のいずれか一方のみが取り替え必要な程に劣化した場合でも、一方のみを取り外して交換し、他方はそのまま使用することが可能になる。これにより、電波音波吸収体20を構成する材料を無駄にすることを抑制することができる。また、図11に示した電波音波吸収体20の構成方法によれば、例えば音波吸収体50が既設の防音パネルまたは防音壁に含まれている場合のように、音波吸収体50が既設のものである場合であっても、それに電波吸収体40を取り付けることによって、電波音波吸収体20を容易に構成することが可能になる。
【0073】
図12に示した電波音波吸収体20は、図10に示した電波音波吸収体20の構成要素の他に、電波反射音波透過体16と吸音部12との間に配置された空気層15を備えたものである。
【0074】
図13に示した電波音波吸収体20は、図10に示した電波音波吸収体20の構成要素の他に、電波反射体11と吸音部12との間に配置された空気層15を備えたものである。
【0075】
図14に示した電波音波吸収体20は、図10に示した電波音波吸収体20の構成要素の他に、電波反射音波透過体16と吸音部12との間に配置された空気層15と、電波反射体11と吸音部12との間に配置された空気層15とを備えたものである。
【0076】
図12ないし図14における空気層15は、電波音波吸収体20における吸音特性の調整や電波吸収特性の調整のために設けられる。通常の吸音材を用いて低減させるのが困難である低周波の音波に対する吸音性能を向上させるには、吸音部12の前側や後側に空気層15を設けるのが有効である。
【0077】
図12または図14に示した電波音波吸収体20において、空気層15によって隔てられる電波反射音波透過体16と吸音部12との間隔dは、25mm〜65mmの範囲内であることが好ましい。以下、その理由について説明する。
【0078】
まず、間隔dが25mmを下回ると、電波音波吸収体20の吸音性能が十分なものでなくなる。従って、間隔dは25mm以上であることが好ましい。間隔dを大きくしてゆくと吸音性能は向上してゆく。しかし、例えば、高架橋上の既設の防音パネルに電波吸収体40を取り付けることによって電波音波吸収体20を構成して、道路上または道路の周辺における不要な電波および不要な音波の反射を抑制する場合には、以下のような制約がある。防音パネルが取り付けられる通常の壁高欄は、幅が250mmのものである。また、壁高欄上に設けられる支柱は、通常、125mmの幅を有するH型材であり、壁高欄の幅の中央に設置される。道路付帯設備を高架橋上に設置する場合には、防音パネルの如き構造物は、壁高欄の道路側の面を越えて道路側に張り出してはならないという、いわゆる建築限界が設定されている。ここで、上記のH型材のフランジの厚さは例えば9mmである。既設の防音パネルの道路側の面は、支柱(H型材)の道路側の面よりも、フランジの厚さの分だけ道路から見て奥側に位置する。従って、既設の防音パネルの道路側の面は、壁高欄の道路側の面よりも奥側に位置し、両者の距離は、「(壁高欄の幅の1/2)−(H型材の幅の1/2)+(H型材のフランジの厚さ)」となる。この距離は、上記の各寸法を用いると、125−62.5+9=71.5mmとなる。ここで、厚さ約6.5mmの電波吸収体40を用いる場合には、上記建築限界に抵触しないように、防音パネルに電波吸収体40を取り付けるには、電波吸収体40と防音パネルとの間隔、すなわち電波反射音波透過体16と吸音部12との間隔dの上限は、71.5−6.5=65mm程度となる。
【0079】
また、本実施の形態において、電波吸収部保護部材14、電波吸収部13および電波反射音波透過体16の少なくとも一つは、音波を通過させるための孔を有していてもよい。これにより、音波をより多く吸音部12に導き、吸音部12において吸音させることが可能となり、電波音波吸収体20の吸音特性を向上させることができる。
【0080】
図15および図16は、電波吸収部保護部材14、電波吸収部13および電波反射音波透過体16が、音波を通過させるための孔を有する例を示している。図15は電波音波吸収体20(電波吸収部保護部材14)の正面図、図16は図15におけるA−A線断面図である。この例では、電波吸収部保護部材14、電波吸収部13および電波反射音波透過体16は、それぞれ、互いに対応する位置に配置された、音波を通過させるための孔14A、13A、16Aを有している。
【0081】
図4ないし図6に示したように、電波反射音波透過体16を有しない構造の電波音波吸収体20では、電波吸収部保護部材14および電波吸収部13は、それぞれ、互いに対応する位置に配置された、音波を通過させるための孔を有していてもよい。
【0082】
電波吸収部保護部材14、電波吸収部13および電波反射音波透過体16の各面の全面積に対する各孔14A,13A,16Aの占有面積の割合(以下、開孔率とも言う。)は、それぞれ20〜60%の範囲内であることが好ましい。以下、その理由について説明する。開孔率が20%を下回ると、音波が電波吸収部保護部材14、電波吸収部13または電波反射音波透過体16を十分に通過できなくなり、電波音波吸収体20の吸音性能が十分なものでなくなる。また開孔率が60%を上回ると、電波吸収部保護部材14、電波吸収部13および電波反射音波透過体16のそれぞれにおいて、電波吸収部保護部材14、電波吸収部13または電波反射音波透過体16が存在する面積が小さくなり、電波吸収部保護部材14、電波吸収部13または電波反射音波透過体16の強度が不十分なものとなる可能性がある。
【0083】
本実施の形態に係る電波吸収防音壁は、本実施の形態に係る電波音波吸収体20を含み、電波吸収機能と吸音による防音機能とを兼ね備えた壁である。本実施の形態に係る電波吸収防音壁は、例えば図3における防音壁4として用いることができる。
【0084】
また、本実施の形態に係る電波吸収防音壁は、既設の防音壁を利用して構成することも可能である。図17は、既設の防音壁を利用して本実施の形態に係る電波吸収防音壁を構成する方法の一例を示している。なお、既設の防音壁は、複数の防音パネルによって構成されている。この例における既設の防音パネル30は、金属板31と、金属板31の音波到来側に配置された吸音材32と、吸音材32の音波到来側に配置された金属板33とを備えている。金属板33は、音波を通過させるための複数の孔を有している。この防音パネル30に対して、電波吸収部13および電波吸収部保護部材14を、電波吸収部13が金属板33に接するように配置することにより、本実施の形態に係る電波吸収防音壁が構成される。この場合、既設の防音パネル30の金属板31、吸音材32および金属板33は、それぞれ本実施の形態における電波反射体11、吸音部12および電波反射音波透過体16に相当する。電波吸収部13および電波吸収部保護部材14には、金属板33における孔に対応する位置に孔が設けられていることが好ましい。
【0085】
図18は、既設の防音壁を利用して本実施の形態に係る電波吸収防音壁を構成する方法の他の例を示している。この例における既設の防音パネル30は、図17に示した防音パネル30と同様の構成である。この例では、電波反射音波透過体16、電波吸収部13および電波吸収部保護部材14が積層されてなる電波吸収体40を用意する。そして、この電波吸収体40を、電波反射音波透過体16と既設の防音パネル30の金属板33とが空気層15を介して対向するように配置することにより、本実施の形態に係る電波吸収防音壁が構成される。この場合、既設の防音パネル30の金属板31は、本実施の形態における電波反射体11に相当する。また、吸音材32および金属板33は、本実施の形態における吸音部12に相当する。また、金属板33は、吸音材32の電波および音波の到来側に配置され、金属からなると共に音波を通過させるための孔を有し、吸音材32を保護する。従って、金属板33は、本発明における吸音材保護部材に対応する。電波吸収部保護部材14、電波吸収部13および電波反射音波透過体16には、互いに対応する位置に配置された孔が設けられていることが好ましい。ただし、この例では、電波吸収部保護部材14、電波吸収部13および電波反射音波透過体16に設けられる孔の位置は、金属板33における孔の位置に対応している必要はない。また、この例では、所望の吸音特性を実現すべく、空気層15によって隔てられる電波反射音波透過体16と金属板33との間隔を、25mm〜65mmの範囲内の値に調整することが可能である。
【0086】
図17および図18に示した各例によれば、既設の防音パネル30に対して、その吸音性能を妨げることなく、電波吸収性能を付加することが可能になる。
【0087】
次に、図19ないし図21を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る電波吸収防音壁を構成する方法の具体例について説明する。この例では、図19に示したように、既設の防音壁を構成する複数の防音パネル30のそれぞれに、電波反射音波透過体16、電波吸収部13および電波吸収部保護部材14が一体化されて構成された電波吸収パネル80を取り付けることによって、図18に示した構成の電波吸収防音壁が構成される。
【0088】
本例における防音パネル30の構成は、図18における防音パネル30と同様である。この防音パネル30における金属板33は、音波を通過させるための複数の孔34を有している。電波吸収パネル80の電波反射音波透過体16と防音パネル30の金属板33とが空気層15を介して対向するように配置することにより、本例の電波吸収防音壁が構成される。
【0089】
図20および図21に示したように、本例では、壁高欄60の上に、予め、複数の防音パネル30を含む既設の防音壁70が設置されている。本例では、各防音パネル30の電波および音波の到来側に、それぞれ、パネル支持・補強部材61によって電波吸収パネル80を取り付けている。そして、複数の電波吸収パネル80によって電波吸収壁90が構成されている。
【0090】
ところで、本実施の形態に係る電波音波吸収体は、図22に示したように、更に、それぞれ吸音部12(または吸音材32)および電波吸収部13を個別に覆う誘電体フィルム42,43を備えていてもよい。また、本実施の形態に係る電波音波吸収体は、図23に示したように、更に、吸音部12(または吸音材32)および電波吸収部13を一体的に覆う誘電体フィルム44を備えていてもよい。なお、誘電体フィルム44によって、吸音部12、電波反射音波透過体16および電波吸収部13を一体的に覆ってもよい。誘電体フィルム42〜44は、吸音部12および電波吸収部13の耐湿性等の耐候性を向上させるために設けられる。誘電体フィルム42〜44の材料としては、例えば四フッ化エチレンコポリマーやフッ素樹脂を用いることができる。
【0091】
本実施の形態に係る道路付帯設備は、本実施の形態に係る電波音波吸収体20を含み、道路に付帯する構造物である。本実施の形態に係る道路付帯設備の具体例は第1の実施の形態と同様である。
【0092】
本実施の形態に係る電波および音波の反射抑制方法は、本実施の形態に係る電波音波吸収体20を道路上または道路の周辺に配置して、道路上または道路の周辺における不要な電波および不要な音波の反射を抑制する方法である。
【0093】
本実施の形態によれば、誘電体からなり、電波吸収部13の電波および音波の到来側に配置され、電波吸収部13を保護する電波吸収部保護部材14を備えたので、電波音波吸収体20の耐候性を向上させることができると共に電波音波吸収体20の構成要素を容易に一体化することが可能になる。また、以下で詳しく説明するように、本実施の形態に係る電波音波吸収体20は、電波吸収部と吸音部の配置が本実施の形態とは逆の構成の場合に比べて、優れた電波吸収性能と吸音性能とを実現することができる。
【0094】
以下、本実施の形態に係る電波音波吸収体の電波吸収性能と吸音性能に関する効果について詳しく説明する。始めに、本実施の形態に係る電波音波吸収体との比較のために、電波吸収部と吸音部の配置が本実施の形態とは逆の構成を有する比較例の電波音波吸収体を考える。
【0095】
図24は、比較例の電波音波吸収体110を示している。この電波音波吸収体110は、電波を反射すると共に音波を反射する電波反射体111と、この電波反射体111の電波および音波の到来側に配置され、電波を吸収する電波吸収部113と、この電波吸収部113の電波および音波の到来側に配置され、音波を吸収する吸音部112とを備えている。
【0096】
また、電波音波吸収体120の野外での利用やパネル化を考慮した場合には、図25に示したように、図24における吸音部112の電波および音波の到来側に保護部材114を設けることが考えられる。これにより、保護部材114によって吸音部112が保護され、電波音波吸収体120の耐候性を向上させることが可能になる。
【0097】
また、保護部材114を設けることにより、例えば図26または図27に示した方法によって、電波反射体111、電波吸収部113、吸音部112および保護部材114を一体化して、パネルを構成することが可能になる。図26に示した方法では、例えば電波音波吸収パネルの四隅の近傍の位置において、電波反射体111、電波吸収部113、吸音部112および保護部材114を貫通するようにボルト121を設け、このボルト121の頭部とこのボルト121に螺合するナット122とによって電波反射体111、電波吸収部113、吸音部112および保護部材114を挟み込むことにより、これらを一体化している。図27に示した方法では、電波反射体111の周縁部を、吸音部112および電波吸収部113の外周部よりも膨出させると共に、この周縁部を電波吸収部113側に折り曲げている。また、この方法では、保護部材114の周縁部を、吸音部112および電波吸収部113の外周部よりも膨出させると共に、この周縁部を吸音部112側に折り曲げている。保護部材114の周縁部は、電波反射体111の周縁部に重なっている。そして、この方法では、電波反射体111の周縁部と保護部材114の周縁部の互いに重なる部分を、リベット123等を用いて互いに固定している。
【0098】
しかしながら、図25に示したように、電波の到来側から順に保護部材114、吸音部112、電波吸収部113および電波反射体111が積層された構成の電波音波吸収体120は、以下で詳しく説明するように、広い周波数帯域や広い入射角度範囲で良好な電波吸収性能を実現するには不適である。
【0099】
ここで、図28に示したように、電波到来側から順に、保護部材114、電波吸収部113Aおよび電波反射体111が積層された構成の電波吸収体100Aを考える。ここで、電波吸収部113Aは、電波吸収性能の広帯域化または広角度化を実現するために、電気定数の異なる2種類の導電性発泡体を積層した構成のもの(以下、導電性発泡体2層タイプと言う。)である。
【0100】
図28に示した電波吸収体100Aに吸音機能を付加すべく、図28における電波吸収部113Aと保護部材114との間に、吸音材からなる吸音部112を挿入して、図29に示したような電波音波吸収体120Aを構成することが考えられる。
【0101】
図28に示した電波吸収体100Aと図29に示した電波音波吸収体120Aの電波吸収特性を比較するために、電波吸収体100Aと電波音波吸収体120Aを、以下の条件で作製して、それらの電波吸収特性を評価した。
【0102】
電波吸収体100Aでは、保護部材114を厚さ1mmで孔のないポリカーボネート板で形成し、電波吸収部113Aを導電性発泡体2層タイプとし、電波反射体111を金属板とした。
【0103】
電波音波吸収体120Aでは、保護部材114を、厚さ2mmで開孔率(電波吸収部保護部材の面の全面積に対する孔の占有面積の割合)53.6%のポリカーボネート板で形成した。また、電波音波吸収体120Aでは、吸音部112を厚さ52.5mm、密度32kg/m3のグラスウールで形成し、電波吸収部113Aを導電性発泡体2層タイプとし、電波反射体111を金属板とした。なお、グラスウールは、メーカーの公称厚さ50mmの製品を用いたが、その厚さの実測値は前記の52.5mmであった。
【0104】
電波吸収体100Aと電波音波吸収体120Aの電波吸収特性の評価結果を図30および図31に示す。図30は電波の周波数と反射減衰量との関係(以下、周波数特性と言う。)を示している。また、図30は、垂直入射および円偏波の電波に対する測定値を示している。図31は電波の入射角度と反射減衰量との関係(以下、角度特性と言う。)を示している。また、図31は、周波数5.8GHzの円偏波の電波に対する計算値および測定値を示している。なお、図31における測定値は、入射角度がそれぞれ4度、20度、45度、55度についての測定値である。また、図30および図31では、電波吸収体100Aを“吸音部なし”と表し、電波音波吸収体120Aを“吸音部あり”と表している。
【0105】
図30に示されるように、反射減衰量が20dB以上となる周波数範囲は、電波吸収体100A(“吸音部なし”)の場合には、4.65GHz〜7.5GHz以上と広いが、電波音波吸収体120A(“吸音部あり”)の場合には、5.25GHz〜6.045GHzに限られる。
【0106】
また、図31に示されるように、反射減衰量が20dB以上となる角度範囲は、電波吸収体100Aについての計算値(“吸音部なし(計算値)”)では、0度〜70度以上と広いが、電波音波吸収体120Aについての計算値(“吸音部あり(計算値)”)では、0度〜24度に限られる。また、電波音波吸収体120Aについての計算値(“吸音部あり(計算値)”)と測定値(“吸音部あり(測定値)”)は概ね一致している。図31から、とりわけ、電波音波吸収体120Aでは、入射角度45度付近で電波吸収性能が著しく低下することが分かる。
【0107】
次に、図32に示したように、電波到来側から順に、保護部材114、電波吸収部113Bおよび電波反射体111が積層された構成の電波吸収体100Bを考える。ここで、電波吸収部113Bは、電波吸収性能の広帯域化または広角度化を実現するために、電波到来側から密度を疎から密に変化させた導電性グラスウールで構成したもの(以下、導電性グラスウール傾斜タイプと言う。)である。
【0108】
図32に示した電波吸収体100Bに吸音機能を付加すべく、図32における電波吸収部113Bと保護部材114との間に、吸音材からなる吸音部112を挿入して、図33に示したような電波音波吸収体120Bを構成することが考えられる。
【0109】
図32に示した電波吸収体100Bと図33に示した電波音波吸収体120Bの電波吸収特性を比較するために、電波吸収体100Bと電波音波吸収体120Bを、以下の条件で作製して、それらの電波吸収特性を評価した。
【0110】
電波吸収体100Bでは、保護部材114を厚さ1mmで孔のないポリカーボネート板で形成し、電波吸収部113Bを導電性グラスウール傾斜タイプとし、電波反射体111を金属板とした。
【0111】
電波音波吸収体120Bでは、保護部材114を、厚さ2mmで開孔率53.6%のポリカーボネート板で形成した。また、電波音波吸収体120Bでは、吸音部112を厚さ52.5mm(メーカー公称厚さ50mm)、密度32kg/m3のグラスウールで形成し、電波吸収部113Bを導電性グラスウール傾斜タイプとし、電波反射体111を金属板とした。
【0112】
電波吸収体100Bと電波音波吸収体120Bの電波吸収特性の評価結果を図34および図35に示す。図34は、垂直入射および円偏波の電波に対する周波数特性の測定値を示している。図35は、周波数5.8GHzの円偏波の電波に対する角度特性の測定値を示している。なお、図35における測定値は、入射角度がそれぞれ4度、20度、45度、55度についての測定値である。また、図34および図35では、電波吸収体100Bを“吸音部なし”と表し、電波音波吸収体120Bを“吸音部あり(前面)”と表している。
【0113】
図34に示されるように、反射減衰量が20dB以上となる周波数範囲は、電波吸収体100B(吸音部なし)の場合には、4.5GHz以下〜7.34GHzと広いが、電波音波吸収体120B(“吸音部あり(前面)”)の場合には、5.335GHz〜6.255GHzに限られる。
【0114】
また、図35から、電波音波吸収体120B(“吸音部あり(前面)”)では、入射角度45度付近で電波吸収性能が著しく低下することが分かる。
【0115】
以上、図28ないし図35を参照して説明したように、電波の到来側から順に保護部材114、吸音部112、電波吸収部113および電波反射体111が積層された構成の電波音波吸収体120(図25参照)は、広い周波数帯域や広い入射角度範囲で良好な電波吸収性能を実現するには不適であることが分かる。
【0116】
また、上記の例で示した5.8GHz帯の円偏波の電波は、狭域通信(DSRC)に用いられる。この狭域通信は、自動料金収受システム(ETC)において実用化されている。また、料金所の天井等における電波の不要反射を低減するために用いられる野外用の電波吸収体が開発されているが、現状では、自動料金収受システムや車両運行支援システムを採用する場合に要求される電波吸収性能と吸音性能を兼ね備えた野外用の電波音波吸収体は開発されていない。
【0117】
本実施の形態に係る電波音波吸収体20は、この後で挙げる実施例から分かるように、自動料金収受システムや車両運行支援システムを採用する場合に要求される電波吸収性能と吸音性能を兼ね備えたものである。
【0118】
以下、本実施の形態に係る電波音波吸収体20の実施例について説明する。
[第1の実施例]
第1の実施例の電波音波吸収体20の構成は、図4に示した通りである。本実施例の電波音波吸収体20を、以下の条件で作製して、その電波吸収特性を評価した。この電波音波吸収体20では、電波吸収部保護部材14を、厚さ2mmで開孔率53.6%のポリカーボネート板で形成した。また、この電波音波吸収体20では、電波吸収部13を導電性グラスウール傾斜タイプとし、吸音部12を厚さ52.5mm(メーカー公称厚さ50mm)、密度32kg/m3のグラスウールで形成し、電波反射体11を金属板とした。
【0119】
本実施例の電波音波吸収体20の電波吸収特性の評価結果を図36および図37に示す。図36は、垂直入射および円偏波の電波に対する周波数特性の測定値を示している。図37は、周波数5.8GHzの円偏波の電波に対する角度特性の測定値を示している。なお、図37における測定値は、入射角度がそれぞれ4度、20度、45度、55度についての測定値である。図36には、本実施例との比較のために、図34に示した特性(電波吸収体100Bと電波音波吸収体120Bの特性)も併せて示している。図36では、電波吸収体100Bを“吸音部なし”と表し、電波音波吸収体120Bを“吸音部あり(前面)”と表し、本実施例の電波音波吸収体20を“吸音部あり(背面)”と表している。また、図37には、本実施例との比較のために、図35に示した特性(電波音波吸収体120Bの特性)も併せて示している。図37では、電波音波吸収体120Bを“吸音部あり(前面)”と表し、本実施例の電波音波吸収体20を“吸音部あり(背面)”と表している。
【0120】
図36に示されるように、反射減衰量が20dB以上となる周波数範囲は、本実施例の電波音波吸収体20(“吸音部あり(背面)”)の場合には4.5GHz以下〜6.975GHzと広く、反射減衰量が20dB以上となる周波数範囲が狭い電波音波吸収体120B(“吸音部あり(前面)”)の場合とは大きく異なる。
【0121】
また、図37から、本実施例の電波音波吸収体20(“吸音部あり(背面)”)の場合には、入射角度45度付近で電波吸収性能の低下がなく、入射角度4度、20度、45度、55度において反射減衰量が20dB以上であることが分かる。このことから、本実施例の電波音波吸収体20では、0度〜45度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が20dB以上となる特性を実現することが可能である。
【0122】
次に、本実施例の電波音波吸収体20を以下の条件で作製して、その吸音特性を評価した。ここでは、2つの電波音波吸収体20を作製した。第1の電波音波吸収体20では、電波吸収部保護部材14を、厚さ2mmで開孔率53.6%のポリカーボネート板で形成した。第2の電波音波吸収体20では、電波吸収部保護部材14を、厚さ1mmで開孔率26.3%のポリカーボネート板で形成した。第1の電波音波吸収体20と第2の電波音波吸収体20のいずれにおいても、電波吸収部13を導電性グラスウール傾斜タイプとし、吸音部12をグラスウール(メーカー公称厚さ50mm、密度32kg/m3)で形成し、電波反射体11を金属板とした。
【0123】
また、本実施例との比較のために、次の3つの比較例の構造体も作製した。第1の比較例の構造体は、音波到来側から順にグラスウール(メーカー公称厚さ50mm、密度32kg/m3)と金属板とを積層したものである。第2の比較例の構造体は、第1および第2の電波音波吸収体20における電波吸収部保護部材14の代わりに、厚さ1mmで孔のないポリカーボネート板を設けたものである。第3の比較例の構造体は、第1および第2の電波音波吸収体20における電波吸収部保護部材14の代わりに、厚さ2mmで孔のないポリカーボネート板を設けたものである。
【0124】
第1および第2の電波音波吸収体20と第1ないし第3の比較例の構造体の吸音特性の評価結果を図38に示す。図38は、垂直入射の音波の周波数と吸音率との関係(以下、吸音周波数特性と言う。)を示している。図38では、第1の電波音波吸収体20を“開孔率53%”と表し、第2の電波音波吸収体20を“開孔率26%”と表し、第1の比較例の構造体を“グラスウール”と表し、第2の比較例の構造体を“開孔なし(t=1mm)”と表し、第3の比較例の構造体を“開孔なし(t=2mm)”と表している。
【0125】
図38から、第1の比較例の構造体(“グラスウール”)の場合と比較して、第1の電波音波吸収体20(“開孔率53%”)も、第2の電波音波吸収体20(“開孔率26%”)も、吸音特性に大きな違いはないことが分かる。このことは、本実施例の電波音波吸収体20が、従来、高速道路等で用いられている防音壁と同等の吸音特性を有することを示している。
【0126】
一方、第2の比較例の構造体(“開孔なし(t=1mm)”)と、第3の比較例の構造体(“開孔なし(t=2mm)”)の場合には、630Hz以上の周波数領域で、第1の電波音波吸収体20(“開孔率53%”)および第2の電波音波吸収体20(“開孔率26%”)に比べて劣化している。このことから、電波吸収部保護部材14に孔を設けることで、吸音特性を向上させることができることが分かる。
【0127】
また、本実施例の電波音波吸収体20において、電波吸収部13の材料として用いた導電性グラスウール(電波到来側から密度を疎から密に変化させた導電性グラスウール)は、低密度なものであり、音波の透過をほとんど阻害しない。更に、この電波吸収材部13(導電性グラスウール傾斜タイプ)は、図32に示した電波吸収体100B(電波吸収特性は図36における“吸音部なし”で示される)で用いた電波吸収部113Bと同様である。このことより、電波吸収部13は、図32に示した構造の電波吸収体100Bと、図4に示した本実施例の電波音波吸収体20に共用できることが分かる。
【0128】
また、本実施例の電波音波吸収体20における吸音部12に用いた吸音材は、一般に高速道路等の防音壁に利用されているグラスウール(メーカー公称厚さ50mm、密度32kg/m3)である。従って、本実施例の電波音波吸収体20における吸音部12には、一般に用いられる吸音材の利用が可能である。
【0129】
[第2の実施例]
第2の実施例の電波音波吸収体20の構成は、図4に示した通りである。本実施例では、電波吸収部保護部材14を連続気泡を有する発泡体で形成している。本実施例の電波音波吸収体20を、以下の条件で作製して、その吸音特性を評価した。ここでは、2つの電波音波吸収体20を作製した。第1の電波音波吸収体20では、電波吸収部保護部材14を、厚さ2mmで、貫通する孔のない、発泡倍率5倍の発泡ポリカーボネート板で形成した。第2の電波音波吸収体20では、電波吸収部保護部材14を、厚さ5mmで、貫通する孔のない、発泡倍率5倍の発泡ポリカーボネート板で形成した。第1の電波音波吸収体20と第2の電波音波吸収体20のいずれにおいても、電波吸収部13を導電性グラスウール傾斜タイプとし、吸音部12をグラスウール(メーカー公称厚さ50mm、密度32kg/m3)で形成し、電波反射体11を金属板とした。
【0130】
第1および第2の電波音波吸収体20の吸音周波数特性の測定結果を図39に示す。図39では、第1の電波音波吸収体20を“発泡PC(t=2mm)”と表し、第2の電波音波吸収体20を“発泡PC(t=5mm)”と表している。図39には、本実施例との比較のために、第1の実施例における第1の比較例の構造体(“グラスウール”)の特性も併せて示している。図39に示した第1および第2の電波音波吸収体20の吸音特性は、比較例の構造体(“グラスウール”)の特性に比べて劣っている。しかし、本実施例では、電波吸収部保護部材14を構成する発泡体(例えば発泡ポリカーボネート)の発泡倍率を大きくしたり、発泡体の厚さを小さくしたりすることで、吸音特性の改善が可能である。
【0131】
[第3の実施例]
第3の実施例の電波音波吸収体20の構成は、図16に示した通りである。すなわち、本実施例の電波音波吸収体20は電波反射音波透過体16を備え、電波吸収部保護部材14、電波吸収部13および電波反射音波透過体16は、それぞれ、互いに対応する位置に配置された孔14A、13A、16Aを有している。
【0132】
本実施例の電波音波吸収体20を、以下の条件で作製して、その電波吸収特性を評価した。この電波音波吸収体20では、電波吸収部保護部材14を、厚さ1mmで開孔率26.3%のポリカーボネート板で形成した。また、この電波音波吸収体20では、電波吸収部13を、開孔率26.3%の単層のプラスチックフェライト板で形成し、電波反射音波透過体16を、厚さ1mmで開孔率26.3%の金属板で形成し、吸音部12を厚さ52.5mm(メーカー公称厚さ50mm)、密度32kg/m3のグラスウールで形成し、電波反射体11を金属板とした。プラスチックフェライトとしては、低密度直鎖状ポリエチレンにMn−Zn系フェライト粉末を含有させたものを用いた。
【0133】
本実施例の電波音波吸収体20の電波吸収特性の評価結果を図40および図41に示す。図40は、垂直入射および円偏波の電波に対する周波数特性の測定値を示している。図41は、周波数5.8GHzの円偏波の電波に対する角度特性の測定値を示している。なお、図41における測定値は、入射角度がそれぞれ4度、20度、45度、55度についての測定値である。
【0134】
図40において、反射減衰量が20dB以上となる周波数範囲は5.14GHz〜6.08GHzであるが、これは電波吸収部13が単層のプラスチックフェライトで形成されているためであり、電波吸収部13を多層化することにより広帯域化が可能である。また、図41より、入射角度4度、20度、45度、55度において反射減衰量が20dB以上であることが分かる。このことから、本実施例の電波音波吸収体20では、0度〜45度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が20dB以上となる特性を実現することが可能である。
【0135】
次に、上記の条件で作製された電波音波吸収体20の吸音特性の測定結果を図42に示す。図42では、本実施例の電波音波吸収体20を“開孔率26%”と表している。図42には、本実施例との比較のために、第1の実施例における第1の比較例の構造体(“グラスウール”)の特性も併せて示している。
【0136】
図42に示されるように、比較例の構造体(“グラスウール”)の場合と比較して、本実施例の電波音波吸収体20(“開孔率26%”)の場合には、吸音率が最大となる周波数がわずかながら低周波側に移動している。しかしながら、高速道路の防音壁の仕様等で規定される周波数400Hzおよび1000Hzにおける吸音率は、比較例の構造体(“グラスウール”)よりも、本実施例の電波音波吸収体20(“開孔率26%”)の方が良好である。これは、本実施例の電波音波吸収体20が、従来、高速道路等で用いられている防音壁と同等以上の吸音特性を有することを示している。
【0137】
ところで、例えば図10に示したように、電波および音波の到来側から順に、電波吸収部保護部材14、電波吸収部13および電波反射音波透過体16が積層された構造の電波音波吸収体20では、電波反射音波透過体16によって電気(電波)的に短絡されているので、電波吸収特性は電波反射音波透過体16よりも背面側(電波および音波の到来側とは反対側)の構造に依存しない。このことは、電波吸収部保護部材14から電波反射音波透過体16までの構造によって、電波吸収特性の設計が可能であることを意味している。
【0138】
一方、上記の構造の電波音波吸収体20では、吸音性能は、電波反射音波透過体16よりも背面側の構造を含めて、電波音波吸収体20全体の設計が必要である。以下の第4および第5の実施例は、吸音特性を考慮して設計された例である。
【0139】
[第4の実施例]
第4の実施例の電波音波吸収体20の構成は、図10に示した通りである。すなわち、本実施例の電波音波吸収体20は電波反射音波透過体16を備えている。本実施例の電波音波吸収体20を、以下の条件で作製して、その電波吸収特性を評価した。この電波音波吸収体20では、電波吸収部保護部材14を、厚さ1mmで開孔率26.3%のポリカーボネート板で形成した。また、この電波音波吸収体20では、電波吸収部13を導電性グラスウール傾斜タイプとし、電波反射音波透過体16を、厚さ1mmで開孔率26.3%の金属板で形成し、吸音部12をグラスウール(メーカー公称厚さ50mm、密度32kg/m3)で形成し、電波反射体11を金属板とした。
【0140】
上記の条件で作製された電波音波吸収体20の吸音特性の測定結果を図43に示す。図43では、本実施例の電波音波吸収体20を“開孔率26%”と表している。図43には、本実施例との比較のために、第1の実施例における第1の比較例の構造体(“グラスウール”)の特性も併せて示している。
【0141】
図43に示されるように、比較例の構造体(“グラスウール”)の場合も、本実施例の電波音波吸収体20(“開孔率26%”)の場合も、吸音特性を大きな違いはない。これは、本実施例の電波音波吸収体20が、従来、高速道路等で用いられている防音壁と同等の吸音特性を有することを示している。
【0142】
[第5の実施例]
第5の実施例の電波音波吸収体20の構成は、図10に示した通りである。すなわち、本実施例の電波音波吸収体20は電波反射音波透過体16を備えている。本実施例の電波音波吸収体20を、以下の条件で作製して、その電波吸収特性を評価した。この電波音波吸収体20では、電波吸収部保護部材14を、厚さ1mmで開孔率26.3%のポリカーボネート板で形成した。また、この電波音波吸収体20では、電波吸収部13を、連続気泡を有する導電性発泡ウレタンで形成し、電波反射音波透過体16を、厚さ1mmで開孔率26.3%の金属板で形成し、吸音部12をグラスウール(メーカー公称厚さ50mm、密度32kg/m3)で形成し、電波反射体11を金属板とした。
【0143】
上記の条件で作製された電波音波吸収体20の吸音特性の測定結果を図44に示す。図44では、本実施例の電波音波吸収体20を“開孔率26%”と表している。図44には、本実施例との比較のために、第1の実施例における第1の比較例の構造体(“グラスウール”)の特性も併せて示している。
【0144】
図44に示されるように、比較例の構造体(“グラスウール”)の場合と比較して、本実施例の電波音波吸収体20(“開孔率26%”)の場合には、吸音率が最大となる周波数が低周波側に移動している。しかしながら、高速道路の防音壁の仕様等で規定される周波数400Hzおよび1000Hzにおける吸音率は、比較例の構造体(“グラスウール”)よりも、本実施例の電波音波吸収体20(“開孔率26%”)の方が良好である。これは、本実施例の電波音波吸収体20が、従来、高速道路等で用いられている防音壁と同等以上の吸音特性を有することを示している。
【0145】
次に、本実施例との比較のために、次のような比較例の電波音波吸収体を作製して、その電波吸収特性を評価した。この比較例の電波音波吸収体の構成は、図10に示した通りである。比較例の電波音波吸収体では、電波吸収部保護部材14を、厚さ1mmで開孔率26.3%のポリカーボネート板で形成した。また、この電波音波吸収体では、電波吸収部13を、独立気泡を有する導電性発泡ポリエチレンで形成し、電波反射音波透過体16を、厚さ1mmで開孔率26.3%の金属板で形成し、吸音部12をグラスウール(メーカー公称厚さ50mm、密度32kg/m3)で形成し、電波反射体11を金属板とした。
【0146】
上記の条件で作製された比較例の電波音波吸収体の吸音特性の測定結果を図45に示す。図45では、比較例の電波音波吸収体20を“開孔率26%”と表している。図45には、第1の実施例における第1の比較例の構造体(“グラスウール”)の特性も併せて示している。
【0147】
図45に示されるように、比較例の構造体(“グラスウール”)の場合と比較して、比較例の電波音波吸収体(“開孔率26%”)の場合には、吸音率が最大となる周波数が大きく低周波側に移動している。また、比較例の電波音波吸収体(“開孔率26%”)の場合には、高速道路の防音壁の仕様等で規定される周波数1000Hzにおける吸音率も、比較例の構造体(“グラスウール”)の場合に比べて大きく低下している。これは、比較例の電波音波吸収体における電波吸収部13の材料として用いた導電性発泡ポリエチレンが独立気泡の発泡体であるためである。従って、吸音部12の音波到来側に電波吸収部13が存在する本実施の形態に係る電波音波吸収体において、電波吸収部13の材料として発泡体を用いる場合には、音波を透過させる連続気泡の発泡体や、貫通する孔を有する独立気泡の発泡体を用いる必要があることが分かる。
【0148】
第1および第3の実施例に示したように、本実施の形態に係る電波音波吸収体20では、0度〜45度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が20dB以上となる特性を実現することができる。第1の実施の形態に係る電波音波吸収体10は、本実施の形態に係る電波音波吸収体20から電波吸収部保護部材14を除いたものであるから、この電波吸収部保護部材14の有無による電波吸収性能および吸音特性への影響を考慮することにより、第1の実施の形態に係る電波音波吸収体10でも、同様の特性を実現することができる。
【0149】
[第6の実施例]
第6の実施例の電波音波吸収体20の構成は、図16に示した通りである。すなわち、本実施例の電波音波吸収体20は電波反射音波透過体16を備え、電波吸収部保護部材14、電波吸収部13および電波反射音波透過体16は、それぞれ、互いに対応する位置に配置された孔14A、13A、16Aを有している。
【0150】
以下、本実施例の電波音波吸収体20の設計の一例と、この設計された電波音波吸収体20について計算によって求めた特性とを示す。この設計では、電波吸収部保護部材14を、厚さ1mmで開孔率26.3%のポリカーボネート板とし、電波吸収部13を、厚さ4.3mmで開孔率26.3%の単層のプラスチックフェライト板と、電波反射音波透過体16を、厚さ1mmで開孔率26.3%の金属板で形成し、吸音部12を厚さ50mm、密度32kg/m3のグラスウールとし、電波反射体11を金属板とした。プラスチックフェライトとしては、低密度直鎖状ポリエチレンにMn−Zn系フェライト粉末を体積混合率で33%含有させたものとした。
【0151】
上記のように設計された電波音波吸収体20について、電波音波吸収体20に対して周波数5.8GHzの円偏波の電波が入射角度0度〜80度で入射する場合における角度特性、すなわち入射角度と反射減衰量との関係を、計算によって求めた。この特性を図46に示す。
【0152】
図46から分かるように、本実施例の電波音波吸収体20は、0度〜80度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が20dB以上となる特性を実現することが可能である。
【0153】
次に、本実施例の電波音波吸収体20の設計の他の例と、この設計された電波音波吸収体20について計算によって求めた特性とを示す。この設計では、電波吸収部保護部材14を、厚さ1mmで開孔率26.3%のポリカーボネート板とし、電波吸収部13を、厚さ4.2mmで開孔率26.3%の単層のプラスチックフェライト板とし、電波反射音波透過体16を、厚さ1mmで開孔率26.3%の金属板で形成し、吸音部12を厚さ50mm、密度32kg/m3のグラスウールとし、電波反射体11を金属板とした。プラスチックフェライトとしては、低密度直鎖状ポリエチレンにMn−Zn系フェライト粉末を体積混合率で31%含有させたものとした。
【0154】
上記のように設計された電波音波吸収体20について、電波音波吸収体20に対して周波数5.8GHzの円偏波の電波が入射角度0度〜80度で入射する場合における角度特性、すなわち入射角度と反射減衰量との関係を、計算によって求めた。この特性を図47に示す。
【0155】
図47において0度〜45度の電波入射角度範囲に着目すると分かるように、本実施例の電波音波吸収体20は、0度〜45度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が20dB以上となる特性を実現することが可能である。また、図47において45度〜80度の電波入射角度範囲に着目すると分かるように、本実施例の電波音波吸収体20は、45度〜80度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が15dB以上となる特性を実現することが可能である。
【0156】
[第7の実施例]
第7の実施例の電波音波吸収体20の構成は、図6に示した通りである。本実施例の電波音波吸収体20を、以下の条件で作製して、さらに電波音波吸収パネルを形成して、その電波吸収特性を評価した。この電波音波吸収体20では、電波吸収部保護部材14を、厚さ2mmで開孔率26.3%のポリカーボネート板とし、電波吸収部13を、厚さ50mmの導電性グラスウール傾斜タイプとし、空気層15の厚さを30mmとし、吸音部12を、厚さ50mm、密度32kg/m3のグラスウールとし、電波反射体11を金属板とした。
【0157】
本実施例の電波音波吸収体20の電波吸収特性の評価結果を図48に示す。図48は、周波数5.8GHzの円偏波の電波に対する角度特性の測定値を示している。なお、図48における測定値は、入射角度がそれぞれ4度、20度、45度、55度、65度、80度についての測定値である。図48から分かるように、本実施例の電波音波吸収体20は、0度〜45度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が20dB以上となる特性を実現することが可能である。また、本実施例の電波音波吸収体20は、45度〜80度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が15dB以上となる特性を実現することが可能である。
【0158】
[第8の実施例]
第8の実施例の電波音波吸収体20の構成は、図4に示した通りである。本実施例の電波音波吸収体20を、以下の条件で作製して、その電波吸収特性を評価した。この電波音波吸収体20では、電波吸収部保護部材14を、厚さ2mmで開孔率26.3%のポリカーボネート板とし、電波吸収部13を、厚さ50mmの導電性グラスウール傾斜タイプとし、吸音部12を、厚さ50mm、密度32kg/m3のグラスウールとし、電波反射体11を金属板とした。
【0159】
本実施例の電波音波吸収体20の電波吸収特性の評価結果を図49に示す。図49は、周波数5.8GHzの円偏波の電波に対する角度特性の測定値を示している。なお、図48における測定値は、入射角度がそれぞれ4度、20度、45度、55度、65度、80度についての測定値である。図49から分かるように、本実施例の電波音波吸収体20は、0度〜80度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が20dB以上となる特性を実現することが可能である。
【0160】
なお、第1の実施の形態に係る電波音波吸収体10は、本実施の形態に係る電波音波吸収体20から電波吸収部保護部材14を除いたものであるから、この電波吸収部保護部材14の有無による電波吸収性能および吸音特性への影響を考慮することにより、第1の実施の形態に係る電波音波吸収体10でも、第7および第8の実施例と同様の特性を実現することができる。
【0161】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0162】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る電波音波吸収体の構成は、基本的には、第1または第2の実施の形態と同様である。本実施の形態では、電波吸収部13を、電波および音波の到来方向に貫通する複数の孔を有する構造体を用いて構成している。
【0163】
図50は本実施の形態における電波吸収部13の形状の一例を示す正面図、図51は本実施の形態における電波吸収部13の形状の他の例を示す正面図である。図50および図51に示したように、電波吸収部13は構造体53を有している。構造体53は、電波および音波の到来方向に貫通する複数の孔を有している。構造体53の形状は、図50に示したようにコルゲート形状でもよいし、図51に示したようにハニカム形状でもよい。構造体53の形状は、その他にも、格子形状でもよいし、孔が三角形状となったもの等でもよい。
【0164】
構造体53は、導電性無機材料で形成されていてもよい。導電性無機材料としては、無機材料に導電性材料であるカーボンやカーボングラファイト等を塗布または含浸したものを用いることが可能である。
【0165】
本実施の形態によれば、電波吸収部13を、電波および音波の到来方向に貫通する複数の孔を有する構造体53を用いて構成したので、電波吸収部13において、音波を良好に透過させることが可能になり、吸音特性を向上させることができる。
【0166】
また、本実施の形態において、構造体53を導電性無機材料で形成した場合には、電波吸収部13を不燃化することが可能になる。
【0167】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1または第2の実施の形態と同様である。
【0168】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、吸音部12を構成する吸音材や、電波吸収部13を構成する電波吸収材は、上記各実施の形態で示したものに限定されず、適宜選択することができる。
【0169】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし67のいずれかに記載の電波音波吸収体によれば、吸音部の電波および音波の到来側に電波吸収部を配置したので、電波吸収機能と、吸音による吸音機能とを兼ね備えると共に、野外での使用に適した電波音波吸収体を実現することができるという効果を奏する。
【0170】
また、請求項2ないし4、23ないし25のいずれかに記載の電波音波吸収体は、誘電体からなり、電波吸収部の電波および音波の到来側に配置され、電波吸収部を保護する電波吸収部保護部材を備えている。従って、本発明によれば、耐候性を向上させることができると共に電波音波吸収体の構成要素を容易に一体化することが可能になるという効果を奏する。
【0171】
また、請求項3または4記載の電波音波吸収体によれば、電波吸収部保護部材が、音波を通過させるための孔を有するので、吸音特性を向上させることができるという効果を奏する。
【0172】
また、請求項7記載の電波音波吸収体によれば、吸音部を覆う誘電体フィルムを備えたので、吸音部の耐候性を向上させることができるという効果を奏する。
【0173】
また、請求項8記載の電波音波吸収体によれば、それぞれ吸音部および電波吸収部を個別に覆う誘電体フィルムを備えたので、吸音部および電波吸収部の耐候性を向上させることができるという効果を奏する。
【0174】
また、請求項9記載の電波音波吸収体によれば、吸音部および電波吸収部を一体的に覆う誘電体フィルムを備えたので、吸音部および電波吸収部の耐候性を向上させることができるという効果を奏する。
【0175】
また、請求項13ないし17のいずれかに記載の電波音波吸収体によれば、電波吸収部が、電波および音波の到来方向に貫通する孔を有するので、吸音特性を向上させることができるという効果を奏する。
【0176】
また、請求項18ないし22のいずれかに記載の電波音波吸収体によれば、電波吸収部保護部材および電波吸収部が、それぞれ、互いに対応する位置に配置された、音波を通過させるための孔を有するので、吸音特性を向上させることができるという効果を奏する。
【0177】
また、請求項29ないし67のいずれかに記載の電波音波吸収体は、吸音部と電波吸収部との間に配置され、電波を反射し音波を透過させる電波反射音波透過体を備えている。従って、本発明によれば、電波および音波の到来側の面から電波反射音波透過体までの構造によって、電波吸収特性の設計が可能になるという効果を奏する。
【0178】
また、請求項30ないし32、60ないし62のいずれかに記載の電波音波吸収体は、誘電体からなり、電波吸収部の電波および音波の到来側に配置され、電波吸収部を保護する電波吸収部保護部材を備えている。従って、本発明によれば、耐候性を向上させることができると共に電波音波吸収体の構成要素を容易に一体化することが可能になるという効果を奏する。
【0179】
また、請求項31または32記載の電波音波吸収体によれば、電波吸収部保護部材が、音波を通過させるための孔を有するので、吸音特性を向上させることができるという効果を奏する。
【0180】
また、請求項33または34記載の電波音波吸収体では、音波反射体と吸音部とが一体化されて音波吸収体が構成され、電波反射音波透過体と電波吸収部とが一体化されて電波吸収体が構成され、音波吸収体と電波吸収体は分離可能である。従って、本発明によれば、音波吸収体と電波吸収体の一方のみを交換することが可能になるという効果を奏する。
【0181】
また、請求項34記載の電波音波吸収体によれば、音波吸収体は既設の防音パネルまたは防音壁に含まれているので、既設の防音パネルまたは防音壁を用いて容易に電波音波吸収体を構成することができるという効果を奏する。
【0182】
また、請求項38または39記載の電波音波吸収体によれば、電波反射音波透過体が、音波を通過させるための孔を有するので、吸音特性を向上させることができるという効果を奏する。
【0183】
また、請求項40記載の電波音波吸収体によれば、吸音部を覆う誘電体フィルムを備えたので、吸音部の耐候性を向上させることができるという効果を奏する。
【0184】
また、請求項41記載の電波音波吸収体によれば、それぞれ吸音部および電波吸収部を個別に覆う誘電体フィルムを備えたので、吸音部および電波吸収部の耐候性を向上させることができるという効果を奏する。
【0185】
また、請求項42記載の電波音波吸収体によれば、吸音部、電波反射音波透過体および電波吸収部を一体的に覆う誘電体フィルムを備えたので、吸音部および電波吸収部の耐候性を向上させることができるという効果を奏する。
【0186】
また、請求項50ないし54のいずれかに記載の電波音波吸収体によれば、電波吸収部が、電波および音波の到来方向に貫通する孔を有するので、吸音特性を向上させることができるという効果を奏する。
【0187】
また、請求項55ないし59のいずれかに記載の電波音波吸収体によれば、電波吸収部保護部材、電波吸収部および電波反射音波透過体が、それぞれ、互いに対応する位置に配置された、音波を通過させるための孔を有するので、吸音特性を向上させることができるという効果を奏する。
【0188】
また、請求項68記載の電波音波吸収パネル、請求項69または70記載の電波吸収防音壁、請求項71記載の道路付帯設備、もしくは請求項72記載の電波および音波の反射抑制方法によれば、請求項1ないし67のいずれかに記載の電波音波吸収体を用いるので、野外において、良好に、電磁波環境の改善と防音とを達成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電波音波吸収体の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る電波音波吸収パネルの構成要素を一体化する方法の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る電波音波吸収体が適用される道路とその付帯設備の一例を示す説明図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る電波音波吸収体の断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る電波音波吸収体の変形例を示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る電波音波吸収体の他の変形例を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る電波音波吸収体の更に他の変形例を示す断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る電波音波吸収パネルの構成要素を一体化する方法の一例を示す断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る電波音波吸収パネルの構成要素を一体化する方法の他の例を示す断面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る電波音波吸収体の更に他の変形例を示す断面図である。
【図11】図10に示した電波音波吸収体を構成する方法の一例を示す説明図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る電波音波吸収体の更に他の変形例を示す断面図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係る電波音波吸収体の更に他の変形例を示す断面図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係る電波音波吸収体の更に他の変形例を示す断面図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係る電波音波吸収体の変形例を示す正面図である。
【図16】図15におけるA−A線断面図である。
【図17】既設の防音壁を利用して本発明の第2の実施の形態に係る電波吸収防音壁を構成する方法の一例を示す説明図である。
【図18】既設の防音壁を利用して本発明の第2の実施の形態に係る電波吸収防音壁を構成する方法の他の例を示す説明図である。
【図19】本発明の第2の実施の形態に係る電波吸収防音壁を構成する方法の具体例を示す説明図である。
【図20】本発明の第2の実施の形態に係る電波吸収防音壁の一例の正面図である。
【図21】図20に示した電波吸収防音壁の断面図である。
【図22】本発明の第2の実施の形態における吸音部および電波吸収部を個別に覆う誘電体フィルムを示す説明図である。
【図23】本発明の第2の実施の形態における吸音部および電波吸収部を一体的に覆う誘電体フィルムを示す説明図である。
【図24】本発明の第2の実施の形態に対する比較例の電波音波吸収体を示す断面図である。
【図25】本発明の第2の実施の形態に対する他の比較例の電波音波吸収体を示す断面図である。
【図26】図25に示した電波音波吸収体の構成要素を一体化する方法の一例を示す断面図である。
【図27】図25に示した電波音波吸収体の構成要素を一体化する方法の他の例を示す断面図である。
【図28】本発明の第2の実施の形態に対する比較例の電波吸収体を示す断面図である。
【図29】本発明の第2の実施の形態に対する比較例の電波音波吸収体を示す断面図である。
【図30】図28に示した電波吸収体と図29に示した電波音波吸収体の周波数特性を示す特性図である。
【図31】図28に示した電波吸収体と図29に示した電波音波吸収体の角度特性を示す特性図である。
【図32】本発明の第2の実施の形態に対する他の比較例の電波吸収体を示す断面図である。
【図33】本発明の第2の実施の形態に対する他の比較例の電波音波吸収体を示す断面図である。
【図34】図32に示した電波吸収体と図33に示した電波音波吸収体の周波数特性を示す特性図である。
【図35】図33に示した電波音波吸収体の角度特性を示す特性図である。
【図36】本発明の第2の実施の形態における第1の実施例の電波音波吸収体の周波数特性を示す特性図である。
【図37】本発明の第2の実施の形態における第1の実施例の電波音波吸収体の角度特性を示す特性図である。
【図38】本発明の第2の実施の形態における第1の実施例の電波音波吸収体の吸音特性を示す特性図である。
【図39】本発明の第2の実施の形態における第2の実施例の電波音波吸収体の吸音特性を示す特性図である。
【図40】本発明の第2の実施の形態における第3の実施例の電波音波吸収体の角度特性を示す特性図である。
【図41】本発明の第2の実施の形態における第3の実施例の電波音波吸収体の吸音特性を示す特性図である。
【図42】本発明の第2の実施の形態における第3の実施例の電波音波吸収体の吸音特性を示す特性図である。
【図43】本発明の第2の実施の形態における第4の実施例の電波音波吸収体の吸音特性を示す特性図である。
【図44】本発明の第2の実施の形態における第5の実施例の電波音波吸収体の吸音特性を示す特性図である。
【図45】第5の実施例に対する比較例の電波音波吸収体の吸音特性を示す特性図である。
【図46】本発明の第2の実施の形態における第6の実施例の電波音波吸収体の角度特性の一例を示す特性図である。
【図47】本発明の第2の実施の形態における第6の実施例の電波音波吸収体の角度特性の他の例を示す特性図である。
【図48】本発明の第2の実施の形態における第7の実施例の電波音波吸収体の角度特性を示す特性図である。
【図49】本発明の第2の実施の形態における第8の実施例の電波音波吸収体の角度特性を示す特性図である。
【図50】本発明の第3の実施の形態における電波吸収部の形状の一例を示す正面図である。
【図51】本発明の第3の実施の形態における電波吸収部の形状の他の例を示す正面図である。
【符号の説明】
10…電波音波吸収体、11…電波反射体、12…吸音部、13…電波吸収部、14…電波吸収部保護部材、16…電波反射音波透過体、20…電波音波吸収体。
Claims (72)
- 電波を反射する電波反射体と、
前記電波反射体の電波および音波の到来側に配置され、音波を吸収する吸音部と、
前記吸音部の電波および音波の到来側に配置され、電波を吸収する電波吸収部と
を備えたことを特徴とする電波音波吸収体。 - 更に、誘電体からなり、前記電波吸収部の電波および音波の到来側に配置され、前記電波吸収部を保護する電波吸収部保護部材を備えたことを特徴とする請求項1記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部保護部材は、音波を通過させるための孔を有することを特徴とする請求項2記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部保護部材の面の全面積に対する前記孔の占有面積の割合は、20〜60%の範囲内であることを特徴とする請求項3記載の電波音波吸収体。
- 更に、前記吸音部と電波吸収部との間に配置された空気層を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 更に、前記電波反射体と吸音部との間に配置された空気層を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 更に、前記吸音部を覆う誘電体フィルムを備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 更に、それぞれ前記吸音部および電波吸収部を個別に覆う誘電体フィルムを備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 更に、前記吸音部および電波吸収部を一体的に覆う誘電体フィルムを備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 前記吸音部は、グラスウールまたは合成繊維からなる吸音材を含むことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部は、導電性グラスウールからなる電波吸収材を含むことを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部は、連続気泡を有する導電性発泡体からなる電波吸収材を含むことを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部は、電波および音波の到来方向に貫通する孔を有することを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部の面の全面積に対する前記孔の占有面積の割合は、20〜60%の範囲内であることを特徴とする請求項13記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部は、独立気泡を有する導電性発泡体からなる電波吸収材を含むことを特徴とする請求項13または14記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部は、磁性体粉末を混合したプラスチックまたは磁性体粉末を混合した無機材料からなる電波吸収材を含むことを特徴とする請求項13または14記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部は、導電性プラスチックまたは導電性無機材料からなる電波吸収材を含むことを特徴とする請求項13または14記載の電波音波吸収体。
- 更に、誘電体からなり、前記電波吸収部の電波および音波の到来側に配置され、前記電波吸収部を保護する電波吸収部保護部材を備え、
前記電波吸収部保護部材および電波吸収部は、それぞれ、互いに対応する位置に配置された、音波を通過させるための孔を有することを特徴とする請求項1記載の電波音波吸収体。 - 前記電波吸収部保護部材および電波吸収部の各面の全面積に対する前記各孔の占有面積の割合は、それぞれ20〜60%の範囲内であることを特徴とする請求項18記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部は、独立気泡を有する導電性発泡体からなる電波吸収材を含むことを特徴とする請求項18または19記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部は、磁性体粉末を混合したプラスチックまたは磁性体粉末を混合した無機材料からなる電波吸収材を含むことを特徴とする請求項18または19記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部は、導電性プラスチックまたは導電性無機材料からなる電波吸収材を含むことを特徴とする請求項18または19記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部保護部材は、合成樹脂からなることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部保護部材は、ポリカーボネート、アクリル、AES樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1つからなることを特徴とする請求項23記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部保護部材は、連続気泡を有する発泡体であることを特徴とする請求項2記載の電波音波吸収体。
- 0度〜45度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が20dB以上であることを特徴とする請求項1ないし25のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 更に、45度〜80度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が15dB以上であることを特徴とする請求項26記載の電波音波吸収体。
- 0度〜80度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が20dB以上であることを特徴とする請求項1ないし25のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 音波を反射する音波反射体と、
前記音波反射体の電波および音波の到来側に配置され、音波を吸収する吸音部と、
前記吸音部の電波および音波の到来側に配置され、電波を反射し音波を透過させる電波反射音波透過体と、
前記電波反射音波透過体の電波および音波の到来側に配置され、電波を吸収する電波吸収部と
を備えたことを特徴とする電波音波吸収体。 - 更に、誘電体からなり、前記電波吸収部の電波および音波の到来側に配置され、前記電波吸収部を保護する電波吸収部保護部材を備えたことを特徴とする請求項29記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部保護部材は、音波を通過させるための孔を有することを特徴とする請求項30記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部保護部材の面の全面積に対する前記孔の占有面積の割合は、20〜60%の範囲内であることを特徴とする請求項31記載の電波音波吸収体。
- 前記音波反射体と前記吸音部とが一体化されて音波吸収体が構成され、前記電波反射音波透過体と前記電波吸収部とが一体化されて電波吸収体が構成され、前記音波吸収体と前記電波吸収体は分離可能であることを特徴とする請求項29ないし32のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 前記音波吸収体は、既設の防音パネルまたは防音壁に含まれていることを特徴とする請求項33記載の電波音波吸収体。
- 更に、前記電波反射音波透過体と吸音部との間に配置された空気層を備えたことを特徴とする請求項29ないし34のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 前記空気層によって隔てられる前記電波反射音波透過体と前記吸音部との間隔は、25mm〜65mmの範囲内であることを特徴とする請求項35記載の電波音波吸収体。
- 更に、前記音波反射体と吸音部との間に配置された空気層を備えたことを特徴とする請求項29ないし36のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 前記電波反射音波透過体は、音波を通過させるための孔を有することを特徴とする請求項29ないし37のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 前記電波反射音波透過体の面の全面積に対する前記孔の占有面積の割合は、20〜60%の範囲内であることを特徴とする請求項38記載の電波音波吸収体。
- 更に、前記吸音部を覆う誘電体フィルムを備えたことを特徴とする請求項29ないし39のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 更に、それぞれ前記吸音部および電波吸収部を個別に覆う誘電体フィルムを備えたことを特徴とする請求項29ないし39のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 更に、前記吸音部、電波反射音波透過体および電波吸収部を一体的に覆う誘電体フィルムを備えたことを特徴とする請求項29ないし33のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 前記吸音部は、吸音材を含むことを特徴とする請求項29ないし39のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 前記吸音部は、更に、前記吸音材の電波および音波の到来側に配置され、金属からなると共に音波を通過させるための孔を有し、前記吸音材を保護する吸音材保護部材を含むことを特徴とする請求項43記載の電波音波吸収体。
- 更に、前記吸音材を覆う誘電体フィルムを備えたことを特徴とする請求項43または44記載の電波音波吸収体。
- 更に、それぞれ前記吸音材および電波吸収部を個別に覆う誘電体フィルムを備えたことを特徴とする請求項43または44記載の電波音波吸収体。
- 前記吸音材は、グラスウールまたは合成繊維からなることを特徴とする請求項43ないし46のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部は、導電性グラスウールからなる電波吸収材を含むことを特徴とする請求項29ないし47のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部は、連続気泡を有する導電性発泡体からなる電波吸収材を含むことを特徴とする請求項29ないし47のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部は、電波および音波の到来方向に貫通する孔を有することを特徴とする請求項29ないし47のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部の面の全面積に対する前記孔の占有面積の割合は、20〜60%の範囲内であることを特徴とする請求項50記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部は、独立気泡を有する導電性発泡体からなる電波吸収材を含むことを特徴とする請求項50または51記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部は、磁性体粉末を混合したプラスチックまたは磁性体粉末を混合した無機材料からなる電波吸収材を含むことを特徴とする請求項50または51記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部は、導電性プラスチックまたは導電性無機材料からなる電波吸収材を含むことを特徴とする請求項50または51記載の電波音波吸収体。
- 更に、誘電体からなり、前記電波吸収部の電波および音波の到来側に配置され、前記電波吸収部を保護する電波吸収部保護部材を備え、
前記電波吸収部保護部材、電波吸収部および電波反射音波透過体は、それぞれ、互いに対応する位置に配置された、音波を通過させるための孔を有することを特徴とする請求項29記載の電波音波吸収体。 - 前記電波吸収部保護部材、電波吸収部および電波反射音波透過体の各面の全面積に対する前記各孔の占有面積の割合は、それぞれ20〜60%の範囲内であることを特徴とする請求項55記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部は、独立気泡を有する導電性発泡体からなる電波吸収材を含むことを特徴とする請求項55または56記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部は、磁性体粉末を混合したプラスチックまたは磁性体粉末を混合した無機材料からなる電波吸収材を含むことを特徴とする請求項55または56記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部は、導電性プラスチックまたは導電性無機材料からなる電波吸収材を含むことを特徴とする請求項55または56記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部保護部材は、合成樹脂からなることを特徴とする請求項30ないし32のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部保護部材は、ポリカーボネート、アクリル、AES樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1つからなることを特徴とする請求項60記載の電波音波吸収体。
- 前記電波吸収部保護部材は、連続気泡を有する発泡体であることを特徴とする請求項30記載の電波音波吸収体。
- 前記電波反射音波透過体は、導電性メッシュからなることを特徴とする請求項29ないし37のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 前記電波反射音波透過体は、金属板からなることを特徴とする請求項29ないし62のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 0度〜45度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が20dB以上であることを特徴とする請求項29ないし64のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 更に、45度〜80度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が15dB以上であることを特徴とする請求項65記載の電波音波吸収体。
- 0度〜80度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が20dB以上であることを特徴とする請求項29ないし64のいずれかに記載の電波音波吸収体。
- 請求項1ないし67のいずれかに記載の電波音波吸収体の構成要素を一体的に含み、全体が板状に形成されたパネルであることを特徴とする電波音波吸収パネル。
- 請求項1ないし67のいずれかに記載の電波音波吸収体を含み、電波吸収機能と吸音による防音機能とを兼ね備えた壁であることを特徴とする電波吸収防音壁。
- 前記音波反射体および前記吸音部を含む既設の防音壁に、前記電波反射音波透過体および前記電波吸収部が取り付けられて構成されていることを特徴とする請求項69記載の電波吸収防音壁。
- 請求項1ないし67のいずれかに記載の電波音波吸収体を含み、道路に付帯する構造物であることを特徴とする道路付帯設備。
- 請求項1ないし67のいずれかに記載の電波音波吸収体を道路上または道路の周辺に配置して、道路上または道路の周辺における不要な電波および不要な音波の反射を抑制することを特徴とする電波および音波の反射抑制方法。
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