JP4698137B2 - 不要電波抑制構造及び電波吸収仕切壁 - Google Patents

不要電波抑制構造及び電波吸収仕切壁 Download PDF

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Description

本発明は、道路近傍から飛来する不要電波を抑制し、道路における電磁波環境を改善する不要電波抑制構造及び電波吸収仕切壁に関するものである。
近年、高速道路等において自動料金収受(ETC(Electronic Toll
Collection)とも呼ばれる。)システムや、走行支援道路(AHS(Advanced Cruise-Assist Highway System)とも呼ばれる。)等の車両運行支援システムが発展してきている。これらのシステムでは、道路に設置された路側機と車に搭載された車載器との間で電波を利用して通信を行う狭域通信(DSRC(Dedicated
Short-Range Communication)とも呼ばれる。)が用いられている。そのため、これらのシステムの発展に伴い、道路における電磁波環境の改善が求められている。
そのため、特に車両の通行量の多い道路では自動料金収受システムや車両運行支援システムを採用する場合に、道路における電磁波環境の改善のために、電波吸収機能を備えた電波吸収パネル等、電波吸収機能を有する駆体を設置することが考えられる。
例えば自動料金収受システムにおける路上側アンテナと車載器側アンテナとの双方向通信といった、電波を用いた通信又はセンシング時において、発生する不要な電波を抑制するための例えば電波吸収体を備えた電波吸収パネルといった、電波吸収体を道路付帯設備に取り付け、又は道路付帯設備の主要部を電波吸収体から形成することで不要な電波を抑制し、上記の如き問題点を解決できる方法が示されている。
特開2001−217645号公報
しかしながら、特許文献1に記載される如き電波吸収パネルは、桁下に設置されるのであればまだしも、車線間に設置される場合には壁面の如き状態となり、風荷重を受ける状態となる。一般に風荷重は300kg/mと設定され、かかる電波吸収パネルを設置する基礎に対して大きな負荷がかかることから、極めて重量が大きく巨大な基礎が必要となる。
巨大な基礎はそれ自体で設置に係わる費用や手間が嵩むものであるが、とりわけ既設の設備の周辺における限られたスペース、例えば自動料金収受システムが設置された料金所付近の車線間や、走行支援道路の中央分離帯などには、巨大な基礎の設置自体が困難である。
例えば図9は複数の車線を有する自動料金収受システムを示す前面図であるが、乗用車C、トラックT、ミキサー車M等の車両が通過する際に、搭載された車載通信装置Sへ、アンテナAから料金の収受に関わる電波Rが放射されるが、電波Rは車載通信装置Sでの受信を確実に行うためにある程度広い範囲に放射される。車載通信装置S以外に放射された電波Rは、その一部が比較的車高が高く、また上面が金属製の曲面を有するミキサー車MのタンクM1などに当たった場合、当たった電波は側方や斜め下方にほとんど減衰されることなく反射され不要電波R1が発生する。そのような不要電波R1が他の同方向の車線を走行する乗用車Cや、反対方向の車線を走行する乗用車C、トラックTの車載通信装置Sにて受信され、料金の収受が誤って行われたり、自動料金収受システム周辺の受信アンテナにより受信され、ゲート等が誤作動を起こす恐れがある。
かかる問題を防止するために、アンテナA付近の道路付帯設備の主要部を電波吸収体で形成したり、または電波到来側の部位に電波吸収体を取り付けることで不要電波を減衰させ、その反射や透過を抑制し不要電波による不具合を防止できる。前記の道路付帯設備は、風荷重が計算されているか、または面状でなく風荷重がかからないものであり、電波吸収機能を具備させるに当たり特に風荷重は問題視されない。
しかしながら、図9に示した車線間に電波吸収機能を有する仕切壁等を設置するにおいては、設置されるスペースが限定されているのは勿論のこと、設置可能な基礎のスペースが、既に設置されているセンサー類や防眩板等の他の道路付帯設備により極めて強い制約を受けるものであり、風荷重を負担しうる重厚な基礎を設置するのが困難な箇所が多い。
そこで、本発明は風荷重による基礎への負荷を軽減し、限られたスペースへ設けるのが容易である不要電波抑制構造及び電波吸収仕切壁を提供せんとするものである。
上記課題を解決するため、本発明は以下のような構成としている。すなわち、本発明に係わる不要電波抑制構造は、面板の少なくとも電波到来側の表面に電波吸収手段が設けられた電波吸収板が通信領域を有する道路の側縁に設置され、該電波吸収板により道路近傍から飛来する不要電波を抑制するものであって、前記電波吸収板が前記道路の側縁に該道路が延びる方向に沿って複数設置されると共に、各電波吸収板は電波吸収手段が設けられた表面が上向きに角度を付けて前記道路に向けられ、かつ道路に向けられた前記表面の少なくとも一部が、該表面と垂直な方向において、隣り合う左右の各電波吸収板同士で重なり、さらに隣り合う左右の各電波吸収板同士で重なる前記表面間には風の通り抜ける間隔が設けられていることを特徴とするものである。
また電波吸収板は、支柱を用いて立設され、該支柱が電波吸収板により電波到来方向から電波的に隠されていることを特徴とするものである。
また前記電波吸収板は、少なくとも一方が通信領域を有する二本の道路間に設けられていることを特徴とするものである。
また前記電波吸収板は、0度〜30度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が20dB以上であることを特徴とするものである。
また前記不要電波抑制構造は、10dB以上のシールド効果を有するものであることを特徴とするものである。
また前記電波は、自動料金収受に関わる電波であることを特徴とするものである。
また本発明に係わる電波吸収仕切壁は、面板の少なくとも電波到来側の表面に電波吸収手段が設けられた電波吸収板が通信領域を有する道路の側縁に設置され、該電波吸収板により道路近傍から飛来する不要電波を抑制するものであって、前記電波吸収板が前記道路の側縁に該道路が延びる方向に沿って複数設置されると共に、各電波吸収板は電波吸収手段が設けられた表面が上向きに角度を付けて前記道路に向けられ、かつ道路に向けられた前記表面の少なくとも一部が、該表面と垂直な方向において、隣り合う左右の各電波吸収板同士で重なり、さらに隣り合う左右の各電波吸収板同士で重なる前記表面間には風の通り抜ける間隔が道路が延びる方向に沿って設けられていることを特徴とするものである。
また前記電波吸収仕切壁は、10dB以上のシールド効果を有するものであることを特徴とするものである。
また前記電波吸収仕切壁は、自動料金収受システムを用いた料金所及び/又は料金所周辺に設置されていることを特徴とするものである。
請求項1に記載の本発明に係わる不要電波抑制構造によれば、電波到来方向側の面に電波吸収手段が設けられた電波吸収板により到来する不要電波を減衰させて抑制することができ、しかも、不要電波の抑制を妨げることなく電波吸収板の間に風を通り抜けさせて、風荷重を低減して基礎への負荷を軽減することができる。
また請求項の発明によれば、支柱は強度を確保するために電波反射体である金属等から形成される場合が多いが、かかる支柱を電波的に隠しておくことで、支柱による電波反射に由来する更なる不要電波の発生を未然に防止でき好ましい。
また請求項の発明によれば、各々の道路について不要電波に対する対策を施すことなく、電波吸収板を適宜配置したり、面板の両面に電波吸収手段を設けることで容易に少なくとも一方が通信領域を有する二本の道路における不要電波を抑制することができ、不要電波抑制構造を適用する効果は極めて高いものとなり好ましい。
また請求項の発明によれば、自動料金収受システムにおいて電波吸収板の高い電波吸収性能により不要電波を効果的に減衰させて不要電波による弊害を防止でき、設置による効果を高いものとでき好ましい。
また請求項の発明によれば、通信領域において、車載器等が確実に情報を受信できるよう電波の強度を車載器の応答感度の下限より十分に高く設定しているが、その十分に高い強度の電波の反射により発生する不要電波が車載器によって受信される場合の強度は、車載器の応答感度の下限より10dB程度高いものであり、不要電波抑制構造により車載器の応答感度の下限を超過している電力レベルと同程度以上のシールド効果を得ることができれば、不要電波が隣接する車線に到達しても不具合を起こす恐れをほとんどなくすることができ好ましい。
また請求項の発明によれば、基礎を小型にできることで通信領域周辺にスペースの少ない自動料金収受システムにおいて好適に適用でき、適用する効果を更に高めることができ好ましい。
また請求項に記載の本発明に係わる電波吸収仕切壁によれば、電波吸収板が電波を遮へいでき、しかも、不要電波の抑制を妨げることなく電波吸収板の間に風を通り抜けさせて、風荷重を低減して基礎への付加を軽減することができ、基礎のスペースを確保することが困難な場所に設置することが可能なものとなる。
また請求項の発明によれば、通信領域において、車載器等が確実に情報を受信できるよう電波の強度を車載器の応答感度の下限より十分に高く設定しているが、その十分に高い強度の電波の反射により発生する不要電波が車載器によって受信される場合の強度は、車載器の応答感度の下限より10dB程度高いものであり、電波吸収仕切壁により車載器の応答感度の下限を超過している電力レベルと同程度以上のシールド効果を得ることができれば、不要電波が隣接する車線に到達しても不具合を起こす恐れをほとんどなくすることができ好ましい。
また請求項の発明によれば、アンテナやセンサー等により設置スペースが極端に限定される自動料金収受システムにおいて、基礎に要するスペースが小さくて済む電波吸収仕切壁を適用する利点は極めて大きいものとなり好ましい。

本発明に係わる最良の実施の形態について、図面に基づき以下に具体的に説明する。

図1は、参考例としての不要電波抑制構造及び電波吸収仕切壁を示す説明図である。電波吸収仕切壁10は、自動料金収受システム(ETC)の料金収受に係わるゲートに備えられたアンテナAによる通信領域を有する車線L1の側縁に設けられたもので、基礎3から立設された支柱2に電波吸収板1が胴縁4を介して取り付けられている。電波反射板1は、車線L1が延びる方向に沿って間隔Kをあけて、間隔Kが互い違いになるように二列に立設されている。

図2は参考例としての図1に示した電波吸収仕切壁を車線間に設置した状態を示す上方からの平面図であり、イ)は一方の車線が通信領域を有する場合、ロ)は両方の車線が通信領域を有する場合を示す。電波吸収仕切壁10の、アンテナAが配置され通信領域を有する車線L1側はすなわち電波到来方向αであるが、支柱2の電波到来方向α側に電波吸収板1が配置されていることで、支柱2は電波吸収板1により電波到来方向から電波的に隠される。また電波吸収板1の間に設けられた間隔Kが、二列に配置された電波吸収板1のそれぞれについて互い違いに配置されていることで、間隔Kを風が通り抜けて風荷重を軽減できると共に、電波が隣接する車線に到達するのを防ぎ、電波吸収板1に設けられた間隔Kは電波の遮へいを妨げないものとなる。
次にロ)において、車線L1及びL2は、それぞれアンテナAが設けられて通信領域を有するものとなされているが、この場合電波吸収仕切壁10に対しては電波到来方向α及びβから不要電波が到来する恐れがある。支柱2の電波到来方向α及びβ側それぞれに電波吸収板1を取り付けることで、電波到来方向α及びβ側の両側から到来する不要電波R1が隣接する車線へ到達するのを防ぐと共に、間隔Kを通過してきた不要電波R1から支柱2を電波的に隠し、支柱2の反射による新たな不要電波の発生を防止することができる。
かかる不要電波抑制構造を用いた電波吸収仕切壁により、例えば通信領域を有する車線L1を、反射により不要電波を発生させる恐れの最も大きい車種の1つであるミキサー車Mが走行し、アンテナAから放射された料金収受に係わる電波Rが、円筒状の金属製タンクM1により反射されて不要電波R1が発生し、平行する車線L2側にほとんど減衰されることなく向かう場合でも電波反射板1により減衰され、平行する車線L2を走行する乗用車Cに搭載された車載器Sに車載器Sが応答する強度を保って到達する恐れがなくなり、料金の過徴収や誤作動等の発生を防止することができる。
不要電波抑制構造及び電波吸収仕切壁板のシールド効果については、例えば日本の自動料金収受システムにおける第1通信領域においては、送信アンテナAから送信された電波Rは、−50.5dBm以上の電力レベルで車載器Sに受信される必要がある。また、無応答領域においては−70.5dBm以下の電力レベルである必要がある。このような通信領域を形成するため、第1通信領域内における受信電力の最大値は、−45〜−40dBm程度となり得る。また、送信アンテナAから送信され、途中で反射することなく車載器Sに到達する電波Rの偏波は、右旋円偏波であり、ミキサー車M等により反射された不要電波R1の偏波は、左旋円偏波である。ここで、車載器Sが左旋円偏波の電波を受信する場合には、右旋円偏波の電波を受信する場合に対して、20dB程度低く受信されるものと仮定する。ミキサー車M等により反射された不要電波R1は、−65〜−60dBmの電力レベルで車載器Sに受信されることとなる。この電力レベルは、−70.5dBmより高いため車載器Sは応答することとなる。そこで、電波吸収仕切壁10等を設置した場合に必要となるシールド効果は、少なくとも10dB程度であり、好ましくは5dB程度の余裕を見込み、15dB以上であり、さらに好ましくは10dB程度の余裕を見込み、20dB以上である。なお、ここでは、不要電波R1の中には電波Rと比較して、同程度の伝搬距離で車載器Sに到達するものが考えられるため、電波の伝搬距離による減衰については考慮していない。
更に電波吸収板単体のシールド効果は、不要電波抑制構造及び電波吸収仕切壁板のシールド効果以上である必要があり、不要電波抑制構造のシールド効果に対して5〜10dB程度大きいことが好ましい。更にまた、本明細書の中の「電波を遮へいできる程度」とは、「所望のシールド効果を実現しうる程度」の意味を含むものである。
図3は、参考例として図1に示した不要電波抑制構造及び後記の本発明に係わる不要電波抑制構造に用いられる電波吸収板1の断面を示す断面図である。電波吸収板1は面材12の電波到来方向α側に電波吸収手段11が設けられ、電波吸収手段11により入射された電波が反射時において減衰されることで不要電波が抑制される。電波吸収手段11は、電波到来方向α側から電波吸収層と反射層を順に配置し、電波到来方向α側の表面から電波進行方向を見込んだ入力インピーダンスを、自由空間の特性インピーダンスに合わせて入射される電波を減衰するものである。電波吸収層は、カーボンブラック、カーボングラファイトや金属粉末等の導電性電波吸収材料、フェライト等の磁性電波吸収材料の少なくともいずれか1つを用い、これらの電波吸収材料を合成樹脂、合成樹脂からなる発泡体やゴム等の誘電体中に混入して成形したり、塗料に混入して塗布して形成するものである。また電波吸収層として、焼結磁性体を用いてもよい。
更にまた、電波到来方向α側から抵抗層、スペーサー、反射層を順に配置し、スペーサーの厚みをスペーサー内部の電波の波長の約1/4とすることで、抵抗層の電波到来方向α側の表面から電波進行方向を見込んだ入力インピーダンスを、自由空間の特性インピーダンスに合わせて入射される電波を減衰するものであってもよい。さらに、電波吸収層は、電気特性(複素比誘電率、複素比透磁率)の異なる層や抵抗層を複数重ね合わせた積層体であってもよい。また、電波吸収層は、電波吸収材料を含む層や抵抗層等を保護する保護層を含み、該保護層は電波到来方向α側の最表面に配置されていてもよい。尚、反射層は面材12に金属板を用いて兼ねさせてもよい。
これらを面材12の上に貼着等して配置したり、またはこれらが面板12をも兼ねるものとして電波吸収板1が形成される。さらに、電波吸収層を構成するすべての層および反射層を、透明または光を透過する材料によって構成することによって、電波吸収手段11を透明なものとし、面材12も透明または光を透過する材料によって構成することによって、電波吸収板1を透明なものとしてもよい。たとえば、電波到来方向α側から保護層、抵抗層、スペーサー、反射層、面材12を順に配置し、これらすべてを透明または光を透過する材料によって構成した電波吸収板1であってよい。ここで、面材12は合成樹脂板や合成樹脂シート等からなり、反射層を保護する機能をあわせ持ってもよい。
図4は、本発明に係わる不要電波抑制構造の実施の一形態を示す説明図である。図1に示した参考例と同様に自動料金収受システムにおけるアンテナAからの電波に由来する不要電波を抑制するものであるが、基礎3上に立設された支柱2に、胴縁である連結手段4を介して電波吸収板1が、電波吸収手段11が設けられた側の面を上向きに角度をつけて取り付けられたものである。アンテナAは上方に配置されたもので、またミキサー車M等により反射されて発生した不要電波も概ね上方から飛来するものであり、上述の如き角度θをつけることで不要電波をより確実に抑制することができる。この他に、上向きの角度θをつけて取り付けた電波吸収板1を上下方向に複数段に分割して配置してもよく、この場合は図4に示した場合より電波吸収仕切壁10の奥行きDを小さくでき、さらに風圧軽減効果を高めることができる。
図5は、本発明に係わる不要電波抑制構造の、他の実施形態を示す上方からの平面図である。本図は図1〜図4に示したものと同様に自動料金収受システムにおける不要電波の抑制を示すものであるが、イ)において、基礎3上に立設された支柱2に、電波吸収板1が電波吸収手段11が設けられた側の面を、通信領域を有する車線L1側に向けて取り付けることで電波吸収仕切壁10が形成されており、電波吸収板1は互いに間隔Kをおいて地平面内で魚鱗状に配置されている。またロ)は通信領域を有する車線L1及びL2の間に、電波吸収手段11が設けられた面をそれぞれの車線L1及びL2に向けて、電波吸収板1を地平面内で魚鱗状に配置して電波吸収仕切壁10を形成している。かかる電波吸収板1の魚鱗状の配置により、電波吸収仕切壁10に対して比較的垂直に近い角度で不要電波が入射しても遮へいが可能な範囲は広くなり、電波吸収板1同士の間隔Kを広くとることができ、また電波吸収板1に風が当たった場合にも、電波吸収板1の外面に沿って風が円滑に流れることができ、風圧軽減効果を高めることができる。
また、アンテナAは上方に配置されたもので、またミキサー車M等により反射されて発生した不要電波も概ね上方から飛来するものであり、上述の如き角度をつけることで不要電波をより確実に抑制することができる。この他に、上向きの角度をつけて取り付けた電波吸収板1を上下方向に複数段に分割して配置してもよく、この場合は分割しない場合より電波吸収仕切壁10の奥行きを小さくでき、さらに風圧軽減効果を高めることができる。
この他に、図6に示す如く電波吸収板1を配置して不要電波を抑制することもできる。イ)において、電波吸収板1は、基礎3上に立設された支柱2の内、端部のものを除く中間部分の支柱2において電波吸収板1の端部同士が電波到来方向α側からみて重なるように前後から電波吸収板1が斜め方向に取り付けられ、電波吸収板1が鋸歯状に配置されたものである。かかる電波吸収板1の配置により、魚鱗状に配置したものと同様に風の流れを円滑にできると共に、立設する支柱2の本数を少ないものとでき、簡便な構造にて確実な電波の遮へいが可能となる。
またロ)において、電波吸収仕切壁10は通信領域を有する二本の車線L1及びL2の間に設けられたもので、電波吸収板1A及び1Bは各々の車線L1及びL2に向けて間隔Kをおいて鋸歯状に配置され、電波到来方向α、β側からみて、車線L1側の電波吸収板1Aの間に設けられた間隔K1を、車線L2側の電波吸収板1Bが塞ぐようになされ、車線L2側の電波吸収板1Bの間に設けられた間隔K2も同様に車線L1側の電波吸収板1Aが塞ぐようになされていることで、間隔K1及びK2を大きくとっても、ミキサー車MのタンクM1による反射などで発生する不要電波R1の遮へいは確実に行われる。電波吸収板1A及び1Bは、各々の車線L1及びL2に向けられた側のみに電波吸収手段11を設けてもよいが、面材12の両面に電波吸収手段を設けることで、不要電波の抑制はより確実なものとできる。
更にまた、アンテナAは上方に配置されたもので、またミキサー車M等により反射されて発生した不要電波も概ね上方から飛来するものであり、上述の如き角度θをつけることで不要電波をより確実に抑制することができる。
図7は、図5ロ)に示した電波吸収板1を地平面内で魚鱗状に配置した電波吸収壁10の変形例を示すものである。この変形例では、電波吸収板1の電波吸収手段11が設けられた側の面を、電波到来方向αまたはβに向けるべく、地平面内で魚鱗状に配置するのみでなく、連結手段4により上向きの角度θをつけて電波吸収板1を取り付けている。また、同図に示すように上向きの角度θをつけて取り付けた電波吸収板1を上下方向に複数段に分割して配置してもよく、この場合は分割しない場合より電波吸収仕切壁10の奥行きDを小さくでき、また上下方向にも間隔を設けてさらに風圧軽減効果を高めることができる。この図では、電波吸収壁10の一部分を示したが、図5ロ)のように複数の電波吸収板1が地平面内において延設され、魚鱗状に設置されうる。
図8を用いて、二列に配列された電波吸収板1の重なりについて説明する。想定される不要電波R1に対して電波吸収板1間の隙間が生じないように、不要電波R1の進路に対して、電波吸収板1の重なりを設けておくのが好ましい。その重なりVの幅は、遮へいすべき電波の波長以上であれば回折する電波を含めて確実に遮へいが行われて好ましく、3波長以上であれば更に遮へいが確実なものとなり好ましい。また、地平面内で電波吸収板を延設する方向に沿った方向の重なりVのみでなく、電波吸収板1を上下方向に複数段に分割して配置した場合に生じる電波吸収板1の重なりについても同様の重なりVを設けるのが好ましい。
参考例としての不要電波抑制構造を示す説明図である。 参考例として図1に示した不要電波抑制構造の上方からの平面図である。 参考例として図1に示した不要電波抑制構造及び本発明に係わる不要電波抑制構造に用いられる電波吸収板の詳細を示す断面図である。 本発明に係わる不要電波抑制構造の実施の一形態を示す説明図である。 本発明に係わる不要電波抑制構造の、他の実施形態を示す上方からの平面図である。 本発明に係わる不要電波抑制構造の、更に他の実施形態を示す上方からの平面図である。 本発明に係わる不要電波抑制構造の、更に他の実施形態を示す斜視図である。 電波吸収板の重なりを説明する平面図である。 自動料金収受システム周辺における不要電波の発生の状態を示す説明図である。
1 電波吸収板
11 電波吸収手段
2 支柱
3 基礎
10 電波吸収仕切壁
K 間隔

Claims (9)

  1. 面板の少なくとも電波到来側の表面に電波吸収手段が設けられた電波吸収板が通信領域を有する道路の側縁に設置され、該電波吸収板により道路近傍から飛来する不要電波を抑制するものであって、前記電波吸収板が前記道路の側縁に該道路が延びる方向に沿って複数設置されると共に、各電波吸収板は電波吸収手段が設けられた表面が上向きに角度を付けて前記道路に向けられ、かつ道路に向けられた前記表面の少なくとも一部が、該表面と垂直な方向において、隣り合う左右の各電波吸収板同士で重なり、さらに隣り合う左右の各電波吸収板同士で重なる前記表面間には風の通り抜ける間隔が設けられていることを特徴とする不要電波吸収構造。
  2. 前記電波吸収板は、支柱を用いて立設され、該支柱が電波吸収板により電波到来方向から電波的に隠されていることを特徴とする請求項1に記載の不要電波抑制構造。
  3. 前記電波吸収板は、少なくとも一方が通信領域を有する二本の道路間に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に不要電波抑制構造。
  4. 前記電波吸収板は、0度〜30度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が20dB以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の不要電波抑制構造。
  5. 10dB以上のシールド効果を有するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに不要電波抑制構造。
  6. 前記電波は、自動料金収受に関わる電波であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の不要電波抑制構造。
  7. 面板の少なくとも電波到来側の表面に電波吸収手段が設けられた電波吸収板が通信領域を有する道路の側縁に設置され、該電波吸収板により道路近傍から飛来する不要電波を抑制するものであって、前記電波吸収板が前記道路の側縁に該道路が延びる方向に沿って複数設置されると共に、各電波吸収板は電波吸収手段が設けられた表面が上向きに角度を付けて前記道路に向けられ、かつ道路に向けられた前記表面の少なくとも一部が、該表面と垂直な方向において、隣り合う左右の各電波吸収板同士で重なり、さらに隣り合う左右の各電波吸収板同士で重なる前記表面間には風の通り抜ける間隔が道路が延びる方向に沿って設けられていることを特徴とする電波吸収仕切壁。
  8. 10dB以上のシールド効果を有するものであることを特徴とする請求項7記載の電波吸収仕切壁。
  9. 自動料金収受システムを用いた料金所及び/又は料金所周辺に設置されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の電波吸収仕切壁。
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