JP4184008B2 - 不要電波抑制方法及び道路付帯設備 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電波を用いた通信又はセンシング時において、その通信又はセンシングを行う周辺の道路付帯設備に起因して発生する不要電波の抑制方法及び不要電波の発生を抑制した道路付帯設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
元来、道路交通は安全で安心して走行できる施設とドライバーのルール遵守によって成り立っているが、交通量が激しくなりスピード化が進むにつれて、人間が瞬時に判断して対処できる限度を遥かに超えてしまうことがあり、結果的に交通事故という痛ましい事態が発生してしまうことがある。とりわけ交差点や急カーブ地点等の見通しの悪い、または見通しの利かないゾーンにあっては、視認できない前方の情報が把握できないために咄嗟の衝突または追突事故が避けられない状況が発生してくる。
【0003】
かかる事態を重視して、例えば急カーブ地点の路側に走行車両を検出するセンサーを配設し、そのセンサーで検知した情報を走行方向の対向車に向けて設置された路側発光体によって文字や記号標示で光らせ、それによって注意を喚起する手段が知られている。
【0004】
しかしながら、前記センサーによって車両を検知して対向車に対して路側発光体などを媒体として認知させようとする手段は、対向車のドライバーの咄嗟の判断によって事故を未然に防止できるものであって、路側発光体などの情報板を即座に認識できなかったり、またはその対処が遅れると事故につながる怖れがある。
【0005】
他方、無線通信を利用した走行支援道路システム(Advanced Cruise−Assist Highway System)の研究開発も進められている。走行支援道路システムとは、道路に設置したセンサー等から収集した他の車や歩行者、障害物等の道路上の情報を車両に提供し、走行を支援するシステムであって、この走行支援道路システムによれば、道路に設置された路側通信設備と走行支援道路システム車両に搭載された車載通信装置との無線通信によって、従来不可能であった前方の見えない障害物や交差車両などの情報をリアルタイムにドライバーへ提供できるようになり、飛躍的に安全で安心な走行を目指して事故の大幅な削減を図ることが出来るものと期待されている。
【0006】
又、道路については、前記走行支援道路システムの他、有料道路における料金所の渋滞の解消やキャッシュレス化による利便性の向上等を目的として、路側通信設備と車載通信装置との間で双方向通信を行うことにより、有料道路における料金所で一旦停止することなく自動的に料金の支払いを行う自動料金収受システム(Electronic Toll Collection System、以下ETCと言う。)も実用化されている。このETCや前記走行支援道路システムにおいては、一般には通信エリアが限定されており、数mから数100mの狭い範囲を対象とした通信方式である狭域通信(Dedicated Short Range Communication)が一般に採用される。前記狭域通信の通信技術は、道路上以外においても、駐車場管理や物流管理、ガソリンスタンド代金支払等のあらゆる分野への展開が期待されている。
【0007】
前記の如き走行支援道路システムによれば、車両側で警鐘を鳴らしてドライバーに対し強制的に注意を促したり、または自動的に制動が掛かる形態も採用できるので、事故につながる可能性は少なくなる。しかし、通信手段として電波を飛ばして通信したり、電波によってセンシングを行おうとすると、電波障害の問題が発生する。例えば中央分離帯や路側などに設置された防護柵や遮音壁など、道路に付帯する安全施設や環境保全などを目的とした道路付帯設備は、一般的に金属物で製作されている為に、これら発信された電波が直接道路面や当該道路付帯設備又諸々の車などに注がれて多重反射し、その電波が所望の方向と異なる方向にも放出されるので、本来情報を伝えたい車両には混信電波となって届き、またそれ以外の車にも電波が受信されるので、目的とする当該車両の制御が出来なくなってしまうことがある。即ち、受信された電波は電磁波の相互干渉や遅延分散に伴う混信または誤作動を起こして、正確な情報を提供できなくなってしまうことがある。
【0008】
図1は、前記の如き道路付帯設備での反射によって生じる不要電波の様子を示したものであって、同図(イ)では、路側通信設備bよりの電波cは通信エリアdに放出されるが、通信エリアdの道路付帯設備eで反射し、さらに通信エリアd外に再反射して車両の車載通信装置fで受信されると、再反射によって通信エリアdが拡大したこととなり、適切なタイミングで情報が入手できず、ドライバーが困惑する可能性がある。
【0009】
又、同図(ロ)では、一の路側通信設備b1よりの電波cが前記の如く反射し、この路側通信設備b1の通信エリアd1を外れ、他の路側通信設備b2の通信エリアd2に到達し、この到達した通信エリアd2において、一の路側通信設備b1よりの反射電波とこの路側通信設備b2よりの電波とによる混信や通信品質の低下をもたらす可能性がある。
【0010】
上記の如く、道路付帯設備での反射による不要電波の発生によって、システムに誤動作を起こすような重大な問題が発生したり、または不明瞭な情報を受けてドライバーに混乱を来したり、場合によってはドライバーの生命に関わる重大な事故を引き起こす可能性があるといった問題点がある。
【0011】
又、ETCにおいても、周辺の道路付帯設備によって電波が反射し、通信障害を起こすと、料金の支払いを行うことなく車両が料金所を通過したり、料金の支払いが誤ったり、さらに料金所のゲートが開かないと、大事故につながる恐れがある。
【0012】
かように、電波を用いて通信したり、電波によってセンシングをすることによって、安全走行や渋滞の解消等を効果的に図ることができるものの、電波障害が発生すると大事故につながったり混乱する恐れが多分にある。
【0013】
この電波障害の問題は、道路上で電波を用いて通信したり、電波によってセンシングを行おうとする場合に、周辺の道路付帯設備によって発生する問題であるので、前記の如き路側設備と走行車両間で通信する路車間通信のみならず、例えば、車両に搭載された車載通信装置と歩行者が携帯する携帯通信装置とによって無線通信を行う車人間通信の場合や、道路に設置された路側通信設備と歩行者が携帯する携帯通信装置とによって無線通信を行う路人間通信の場合、車載通信装置を搭載した複数の車両が、前記車載通信装置によって無線通信を行う車車間通信の場合、レーダ装置を搭載した車両が、前記レーダ装置より電波を発信及び受信、又は受信することによって行うセンシングの場合等においても、周辺の道路付帯設備からの電波反射が通信障害やセンシング障害を起こし得る可能性がある。
【0014】
図2は、交通安全を図るために、道路に設置された路側通信設備と歩行者が携帯する携帯通信装置とによって無線通信を行う路人間通信の場合における横断歩道での道路付帯設備での反射によって生じる不要電波の様子を示したものであり、ここで横断待機者gは、横断歩道hを横断しようとしている老人や身体障害者であるとする。横断待機者gが携帯している携帯通信装置jは、歩行者信号kに内蔵された路側通信設備mと通信を行い、横断待機者gが老人や身体障害者であるという情報を伝え、歩行者信号kは通常よりも長く横断時間を設定する。ところが、周辺の車両用信号支柱n等での反射によって、他の歩行者信号oの路側通信設備pにも横断待機者gからの情報が伝達され、健常者である横断待機者qが横断予定の歩行者信号oにも必要以上の横断時間が設定され、渋滞の原因となり得る可能性がある。
【0015】
図3は、レーダ装置を搭載した車両が、レーダ装置より電波を発信及び/又は受信することによって行うセンシングの場合における道路付帯設備での反射によって生じる不要電波の様子を示したものであり、表示灯や料金所屋根等の道路付帯設備rは、その面積が大きいことにより電波の反射量が大きいため、遠方にあっても近くにある車両と同程度の反射量となる。レーダ装置sを搭載した車両tが、坂道にある状態でセンシングを行った場合において、遠方にある表示灯や料金所屋根等の道路付帯設備rからの反射波を前方車両の反射として受信し、追突防止システム等が作動する恐れがある。
【0016】
前記不要電波の発生は道路交通上に限らず、道路交通上以外においても発生する。例えば、電波を用いて通信したり、電波によってセンシングを行うことによって、駐車場管理や物流管理、ガソリンスタンド代金支払等を行う場合においても、周辺の道路付帯設備からの電波反射が通信障害やセンシング障害を起こす恐れがあり、かかる場合においても問題となる。
【0017】
そこで、例えば自動料金収受システムにおける路上側アンテナと車載器側アンテナとの双方向通信といった、電波を用いた通信又はセンシング時において、発生する不要な電波を抑制するための電波吸収体を備えた、例えば電波吸収パネルといった道路付帯設備に電波吸収体を取り付け、又は道路付帯設備の主要部を電波吸収体から形成することで不要な電波を抑制し、上記の如き問題点を解決できる方法が示されている。
【0018】
【特許文献1】
特開2001−217645号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の道路付帯設備に取り付けられる電波吸収体は、一般にフェライト、カーボン等の損失材料をゴム、樹脂等の保持材に混合された構成となっており、たとえケースが透明なものであっても透視性を有さないものであった。
【0020】
例えば、図4は複数の車線を有するETCを示すものであるが、乗用車4C、トラック4T、ミキサー車4M等の車両4が通過する際に、車両4に搭載された車載通信装置41へ、路側通信装置3から料金の収受に関わる電波aが放射されるが、電波aは車載通信装置41での受信を確実に行うためにある程度広い範囲に放射される。車載通信装置41以外に放射された電波は不要電波a1となるが、その一部が比較的車高が高く、また上面が金属製の曲面を有するミキサー車4Mのミキサー部4M1等に当たった場合、当たった電波は側方や斜め下方に反射され、不要電波a2が発生する。そのような不要電波a1やa2が他の同方向の車線を走行する車両4Cや、反対方向の車線を走行する車両4C、4Tの車載通信装置41にて受信され、料金の収受が誤って行われることがある。
【0021】
他の車線への不要電波の伝播を防止するために、車線上に透視性を有さない電波吸収体からなる車線分離壁や中央線分離壁を設けて不要電波の伝播は抑制すると、前記の如き比較的車高の高いトラックの荷台からの不要電波を抑制するには5〜6mの高さを有する壁を設ける必要があり、唯でさえ車線が狭小な料金所付近において、より運転者の圧迫感や不安感を増大させることになる。また、一般に料金所における車線数は、走行する車線数より多く、従来の電波吸収体を車線間に設置すると、視界が遮られて、隣接する車線を走行する車両が見えなくなり、合流の際に車両同士の接触する危険性が増すこととなる。
【0022】
また図5は、高架橋上におけるAHSを目的とした路車間通信ゾーン内での路車間による通信された電波の流れの一例を示すものである。高架道路1の外壁11に沿って遮音壁21が延設され、中央分離帯12には防護柵22が設けられるといった一般的な道路形態において、路側通信設備3などのAHSを目的とした路側通信設備一式が路側の要所に点在して設置されて、AHSを目的とした路車間通信ゾーンを形成している。かかるAHSを目的とした路車間通信ゾーンではAHSを目的とした車載通信装置41を搭載した車両4が進入してくると、前記路側通信設備3との間で通信が行われ、当ゾーン内に存在する車両4に必要な情報を提供する。
【0023】
その際に、路側通信設備3から放射される電波aの内、直接遮音壁21や防護柵22などに注がれる不要電波a1は、遮音壁21や防護柵22の金属面で反射し、間接的な不要電波a2となって車両4の車載通信装置41に受信されるようになり、更には路面や道路付帯設備等でも複雑な多重反射を繰り返して間接的な不要電波a3となるものもあり、前記路側通信設備3から直接に車両4の車載通信装置41に受信される電波aと混信又は通信品質が低下してしまう可能性がある。
【0024】
本図において、反対車線を走行する車両4Hや、高架橋下を走行する車両4Kへの不要電波a1、a2及びa3の伝播の抑制は、従来の電波吸収体を遮音壁21や防護柵22に取り付けることで防止できるが、中央分離帯12を挟んで反対側の視覚情報や景観を運転者に視認させることが重要な箇所や、合流路の分離壁として設置され視野の確保が不可欠であったり、周辺への日照権の問題が存在する場所においては、従来の電波吸収体を取り付けると、視野や光線が遮られることから、電波吸収体の取り付けが困難であり、また従来の樹脂板やガラスからなる遮音壁では、視野や光線は確保できるが電波を透過するために、不要電波を抑制することができない。
【0025】
また、既設の道路付帯設備の外面に従来のような透視性を有さない電波吸収体を取り付けた場合、道路付帯設備の色彩や形状等が隠蔽されることとなり、更には道路付帯設備としての機能を損なう箇所、例えば標識板の標示面等には設置できないという問題点があった。更には一般に電波吸収体は黒色であることから、道路付帯設備に取り付けた場合、特に市街地においてはその景観を損なうことが多い。
【0026】
そこで本発明は、道路付帯設備として設置又は取り付けた場合でも周囲の視界や光線を遮ること無く、電波を用いた通信又はセンシング時において、その通信又はセンシングを行う周辺の道路付帯設備に起因して発生する不要電波の抑制方法及び不要電波の発生を抑制できる道路付帯設備を提供するものである。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。すなわち本発明に係る不要電波抑制方法は、電波を用いた通信又はセンシング時において、周辺の道路付帯設備によって発生する不要な電波を抑制するために、前記道路付帯設備に透明な電波吸収体を取り付け、又は道路付帯設備の主要部を透明な電波吸収体から形成する不要電波抑制方法であって、 前記透明な電波吸収体は、電波反射体を挟んでその両側それぞれに、適当な表面抵抗を持つ抵抗皮膜と誘電体とが配置されて、両面から到来する電波を吸収すると共に、抵抗皮膜および誘電体を透明な材料で構成し、電波反射体を光を通す構造もしくは材料で形成したものであることを特徴とするものである。
【0028】
本発明において、電波を用いた通信は、道路に設置された路側通信設備と車両に搭載された車載通信装置とが無線通信を行う路車間通信であってもよいし、車両に搭載された車載通信装置と歩行者が携帯する携帯通信装置とが無線通信を行う車人間通信でもよく、又、道路に設置された路側通信設備と歩行者が携帯する携帯通信装置とが無線通信を行う路人間通信であってもよく、さらに車載通信装置を搭載した複数の車両が、前記車載通信装置によって無線通信を行う車車間通信であってもよい。
【0029】
又、電波を用いたセンシングは、レーダ装置を搭載した車両が、前記レーダ装置より電波を発信及び受信、又は受信することによって行うセンシングであってもよい。
【0030】
前記電波を用いた通信は、走行支援道路システムにおいて行う通信であってもよいし、狭域通信であってもよく、又、前記走行支援道路システムにおける狭域通信であってもよい。前記走行支援道路システム(Advanced Cruise−Assist Highway System、以下AHSと言う。)とは、道路に設置したセンサー等から収集した他の車や歩行者、障害物等の道路上の情報を車両に提供し、走行を支援するシステムであり、狭域通信(Dedicated Short Range Communication、以下DSRCと言う。)とは、前記AHSやETC等で一般に採用される数mから数100mの狭い範囲を対象とした通信方式である。
【0031】
又、不要な電波は、AHS等における道路付帯設備の反射及び反射によって発生するものであるので、前記電波吸収体は、前記周辺の道路付帯設備の反射、透過によって発生する不要な電波を抑制するようになされているのが好ましく、また前記電波吸収体は、AHSやETC等において一般に使用されているDSRCの一般的な周波数5.8GHz帯域の反射を抑制するものや、追突防止レーダに使用されるミリ波帯、例えば60GHz帯、76GHz帯の電波の反射を抑制するもの、又、携帯電話で使用される周波数帯、例えば800MHz帯(基地局)、900MHz帯(移動局)、1.5GHz帯、1.9 GHz帯(PHS)、2GHz帯等の電波の反射、透過を抑制するものであってもよい。
【0032】
また前記透明な電波吸収体は、電波反射体と、その上にもうけられる厚さ約λg/4(λgは誘電体内での電波の波長)の誘電体と、その上にもうけられる抵抗皮膜とを有するものであって、透明な抵抗皮膜を電波到来方向に配し、その背面に厚さ約λg/4(ここでλgは誘電体内での電波の波長を表す)の透明な誘電体を配し、さらに誘電体の背面に光を透過する電波反射体を配したものであってもよい。
【0033】
前記の抵抗皮膜は、金属、金属酸化物、金属窒化物ないしはこれらの混合物をイオンプレーティング、蒸着、スパッタリング又は塗布により作成した透明な膜であることが好ましく、また前記金属、金属酸化物、金属窒化物は、銀、ITO(酸化インジウム/酸化錫)、酸化錫、酸化亜鉛、窒化チタンからなる群から選ばれた少なくとも1つであることが好ましい。また、前記の透明な誘電体は、空気、ガラス、透明な有機高分子からなる群から選ばれた少なくとも1つのものであってよい。
【0034】
また、前記電波反射体は、導電性線材からなる格子及び/又は透明な導電性薄膜であってよく、その導電性薄膜は、金属、金属酸化物、金属窒化物ないしはこれらの混合物をイオンプレーティング、蒸着、スパッタリング又は塗布により作成した透明な膜であることが好ましく、更には前記金属、金属酸化物、金属窒化物は、銀、ITO(酸化インジウム/酸化錫)、酸化錫、酸化亜鉛、窒化チタンからなる群から選ばれた少なくとも1つであることが好ましい。
【0035】
また前記電波吸収体を道路付帯設備に取り付ける場合は、道路付帯設備の少なくとも電波到来側に沿って取り付けるのが効果的である。
【0036】
前記透明な電波吸収体は、構成する各層の少なくとも一つの層間が透明な接着性合成樹脂を用いて接着されていることが好ましく、透明な接着性合成樹脂は、EVA(エチレン酢酸ビニルコポリマー)、PVB(ポリビニルブチラール)といった架橋型のものや、変性ポリエチレン、変性ポリプロピレンの変性樹脂、エポキシ系、ウレタン系の接着剤からなる群から選ばれた少なくとも1つのものを用いてよい。
【0037】
前記透明な電波吸収体は、5.8GHz帯における円偏波の電波に対して、電波吸収体に対する入射角度が0度から30度の範囲内において反射減衰量が20dB以上、電波吸収体に対する入射角度が0度から45度の範囲内において反射減衰量が15dB以上、電波吸収体に対する入射角度が0度から80度の範囲内において反射減衰量が10dB以上となるものである。かような反射減衰率を有することで、AHSやETC等において一般に使用されているDSRCの一般的な周波数5.8GHz帯域の円偏波の電波の反射を抑制し、誤った通信や、センシング時における誤認を防止することができる。
【0038】
また、前記透明な電波吸収体は、抵抗皮膜の電波到来側に誘電体が配置され、該誘電体は、誘電率が異なる複数の誘電体からなるものであって、5.8GHz帯における円偏波の電波に対して、電波吸収体に対する入射角度が0度から45度の範囲内において反射減衰量が20dB以上、電波吸収体に対する入射角度が0度から80度の範囲内において反射減衰量が15dB以上となるものである。複数の誘電体を組み合わせ、その組み合わせ及び厚みを調節することで、電波吸収特性を吸収すべき電波の周波数及び入射角度毎に調整することができ、より確実に誤った通信や、センシング時における誤認を防止することができる。
【0039】
また前記の誘電率が異なる複数の透明な誘電体は、抵抗被膜の電波到来側に配置される第一の誘電体と、第一の誘電体より電波到来側に配置される第二の誘電体の少なくとも2つの誘電体を組み合わせ、第二の誘電体は、第一の誘電体より高誘電率であるものとしてもよい。
【0040】
また、透明な電波吸収体は、その外面に水滴付着防止のコーティングがなされていることが好ましい。電波吸収体は、その外面に付着した水滴により電波が表面付近にて反射されることで電波吸収特性の低下が起こるが、外面に水滴付着防止のコーティングを施すことでその防止又は緩和ができると共に、抵抗層及び反射層を保護することもできる。前記コーティングは、抵抗皮膜及び電波反射体の表面に直接施してもよく、又、前記抵抗皮膜及び電波反射体の前面に、透視性を有する誘電体であるポリカーボネート、アクリル樹脂等の合成樹脂や、ガラス等を配置し、その外面に施してもよい。
【0041】
水滴付着防止のコーティングとしては、電波吸収体の外面に超撥水性の被覆層や、超親水性の被覆層を設けるのが好ましく、また滑雪氷性の被覆層を設けてもよい。超撥水性の被覆層を設けることにより、外面に付着した水滴は球状となり、その自重により容易に滑落される。超親水性の被覆層を設けることで、外面に付着した水は、水滴とならずに均一な極めて薄い水膜となるために、電波吸収特性の低下を緩和できる。また滑雪氷性の被覆層を設けることで、その撥水性により外面に付着した水滴はその自重により滑落されると共に、外面に雪氷が付着したとしても、容易に滑落させることができ、電波吸収特性の低下の緩和が可能となる。
【0042】
超撥水性の被覆層は、撥水剤を撥水に適する形状の表面に塗布すること等により形成できる。超親水性の被覆層は、酸化チタン等の光触媒を含有した被覆層であって、紫外線が照射されることで活性化されて、超親水性を発現すると共に、その外面に付着した汚染物質をも分解して、汚れ防止としての機能も具備させることができる。本発明に係わる電波吸収体は透明なものであり、汚れ防止の機能を具備させることで、その透視性を維持するのにも有効となり得る。
【0043】
滑雪氷性の被覆層とは、本出願人による特願2001−103031号に記載の被覆層であって、外面の表面張力が35dyne/cm以下、水滴の滑落角度が40度以下であり、付着した雪氷を容易に滑落させることができるものである。水滴の付着と同様に、雪氷の付着も電波吸収特性の低下を招く要因であることから、かような被覆層を外面に設けることでその防止又は緩和が図られる。
【0044】
更に本発明は、透視性を有する材料、例えば透視性のポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ガラスからなる群から選ばれた少なくとも1つの材料を主要構成要素とする道路付帯設備に適用するのが好適である。
【0045】
本発明に適用される道路付帯設備は、主に道路に付帯する安全施設や環境保全などを目的として設置され、その反射、透過等によって不要な電波の発生源となるものであれば、特に限定されず、各種道路付帯設備に適用される。
【0046】
例えば、道路付帯設備として、道路の側縁や中央分離帯に沿って設置される防音壁がある。この防音壁には、透光性を有する合成樹脂やガラス等の透光板を用いた透視性を有する遮音壁等、設置目的に対応した各種の防音壁がある。
【0047】
又これ以外の道路付帯設備として、トンネルの壁面や天井面に設置されてトンネル内の視環境を改善させるトンネル内装板、高架橋や橋梁の桁裏面に取付けられ桁裏面の景観を向上させる桁裏面美粧板、高架橋や橋梁の脚部の景観を向上させる高架橋の脚美粧板、運転者に情報を伝達する道路標識、その他、車両の安全走行や車両を保護する、壁高欄、ガードレール、柵、視線誘導標、地点標、非常電話、料金所屋根、信号機、歩道橋等がある。
【0048】
これらの道路付帯設備は、車両等の騒音を効果的に低減、遮音し、また視環境や景観を向上し、又は車両の安全走行を促す等、設置された目的に応じてそれぞれの機能を有しているものの、これらに電波が当たったときに、電波が反射、透過し、その周囲に不要な電波が発生することから、これらの道路付帯設備に、透明な電波吸収体を取り付け、又はこれらの道路付帯設備の主要部を透明な電波吸収体から形成し、不要な電波の反射、透過を防止することにより、設置されたそれぞれの目的に応じた機能を発揮させ、尚かつ電波吸収体が透明なものであることから、視野や光線を遮ることなく、電波を用いた通信又はセンシング時における不要電波の抑制を効果的に図ることができる。
【0049】
このほかに、本発明に適用される道路付帯設備として、特に好適に用いられるのが、複数の車線間の間に設置され、車線間における不要な電波の透過、反射を防止することができる同方向の車線又は対向する車線間の分離壁、照明灯が挙げられる。これらは視野や光線を遮ることがなくなることで、極めて大きな効果が得られるものである。
【0050】
前記の分離壁は、自動料金収受システムの車線間や、料金所内やその周辺等に設置されるものである。また分離壁は、透明な電波吸収体により形成された道路方向に延びる面状体が、上下に間隔をおいて複数スリット状に配置され、斜め上方を向いている面が電波到来方向に向けられ、少なくとも斜め上方を向いている面が電波を吸収可能となされているものでもよく、透明な電波吸収体により形成された道路方向に延びる断面V字状の溝状体が、上下に間隔をおいて、開口部が下方に向けられて設置され、少なくとも電波到来方向からの電波が吸収可能となされているものであってもよい。複数車線の間では、車両等の反射により発生する不要電波は、概ね斜め下方に向かうものであり、電波到来方向に電波が吸収可能な面を電波に対向させることができる。また、面状体及び溝状体を上下に間隔をおいて設置することで、その隙間を風が通り、分離壁が受ける風荷重を軽減することができる。
【0051】
また前記の照明灯は、電波到来側に透明な電波吸収体が取り付けられ、照明灯からの電波の反射を防止するものである。また照明灯のカバーを透明な電波吸収体により形成し、照明灯のカバー内への不要な電波の透過や、照明灯のカバー内からの反射を防止することができる。また照明灯は、電波の反射による誤った通信や、センシング時の誤認が頻発する料金所内や料金所周辺等に好適に設置できるものである。
【0052】
次に、本発明に係る道路付帯設備は、電波を用いた通信又はセンシング時における不要な電波の反射を抑制するため、透明な電波吸収体が取り付けられ、又は主要部が透明な電波吸収体からなる道路付帯設備であって、前記道路付帯設備は、防音壁、トンネル内装板、桁裏面美粧板、高架橋の脚美粧板、道路標識、壁高欄、料金所屋根、料金所窓、ガードレール、柵、視線誘導標、地点標、非常電話、信号機、歩道橋、同方向の車線間又は対向する車線間の分離壁、照明灯からなる群から選ばれた少なくとも1つであり、且つ前記透明な電波吸収体は、電波反射体を挟んでその両側それぞれに、適当な表面抵抗を持つ抵抗皮膜と誘電体とが配置されて、両面から到来する電波を吸収すると共に、抵抗皮膜および誘電体を透明な材料で構成し、電波反射体を光を通す構造もしくは材料で形成したものであることを特徴とするものである。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を参照にして詳細に説明する。
図6は本発明の実施の一形態が適用されるAHSを目的とした路車間通信ゾーン内での路車間による双方向通信された電波の流れの一例を示す説明図である。道路1の外壁11に沿って遮音壁21が延設され、中央分離帯12には防護柵22が設けられるといった一般的な道路付帯設備が形成された道路形態において、路側通信設備3などのAHSを目的とした路側通信設備一式が路側の要所に点在して設置されて、AHSを目的とした路車間通信ゾーンを形成している。かかるAHSを目的とした路車間通信ゾーンではAHSを目的とした車載通信装置41を搭載した車両4が進入してくると、前記路側通信設備3との間で通信が行われ、当ゾーン内に存在する車両4に必要な情報、例えば車両認証情報や、セキュリティ情報、車両センシング情報、路面状況や障害物の存在などのインフラセンシング情報、及び道路関連情報などがリアルタイムにドライバーに提供され、それによって障害物などへの衝突防止サービスを始め、車線逸脱防止、安全車間保持サービスなどが受けられるようになり、危険箇所などでの事故を未然に防止する手段が採られている。
【0054】
しかし、AHSを目的とした路車間通信ゾーン内で不要な電波反射が抑制されない状態で前記通信がなされると、図5に示す如く路側通信設備3から放射される電波aの内、直接遮音壁21や防護柵22などの道路付帯設備に注がれる電波a1は当該道路付帯設備の金属面で反射し、また路面等でも反射し、複雑な多重反射を繰り返して間接的な電波a2となって車両4の車載通信装置41に受信されるようになるので、前記路側通信設備3から直接に車両4の車載通信装置41に受信される電波aと混信又は通信品質が低下してしまう可能性がある。更には、ポリカーボネート、ガラス等を主要部として遮音壁11を形成すると、高架下を走行する車両4Kにも不要電波a1が影響を及ぼす場合もある。そこで、電波吸収体5が前記遮音壁21、防護柵22等の道路付帯設備の電波反射面や電波透過面に取り付けられるか、または電波吸収体5により電波反射面や電波透過面が形成されると、路側通信設備3から放射された電波a1は電波吸収体5によって反射及び透過が抑制されるので、不要電波が抑制されて車両4の車載通信装置41で受信される電波は混信又は通信品質が低下しなくなる。
【0055】
当該電波吸収体5は、透光性を有するポリカーボネートやアクリル樹脂等の合成樹脂やガラス等の誘電体の電波到来側に面抵抗値の大きな抵抗層を設けると共に、その反対側には電波反射層として機能し得る面抵抗値の小さな反射層を設けたものである。前記抵抗層は、金属酸化物や金属窒化物等からなる抵抗皮膜ないしは抵抗線配列からなる透視性を有する層であり、前記反射層は金属線格子や金属薄膜からなる透視性を有する層である。抵抗線や抵抗被膜等の導電体を用い、電波が照射されるとその導電体内を流れる導電電流によって電波を減衰させる導電性電波吸収材を用いて形成されるものであり、抵抗層に透視性を有する抵抗線や抵抗皮膜等を用いることで、透視性を損なうことなく導電体を設けることが可能となる。
【0056】
又、水滴付着による電波吸収特性低下を防止又は緩和及び抵抗層及び反射層を保護するために、前記抵抗層及び反射層の表面に超撥水性や超親水性を具備させておくのが好ましい。又、前記抵抗層及び反射層を保持、保護すべく、透視性を有するポリカーボネートやアクリル樹脂等の合成樹脂やガラス等の透視性の誘電体が存在してもよく、この場合には水滴付着による電波吸収特性低下を防止又は緩和のために、誘電体の表面に超撥水性や超親水性を具備させておくのが好ましい。
【0057】
図7ではかかる電波吸収体の構成について詳しく説明したものであり、電波吸収体の構成の一形態を示す断面図である。本図a)に示す電波吸収体5は、例えば電波到来方向αから透視性の樹脂板である表面保護部53、抵抗層51、透視性の樹脂板であるスペーサー部54、反射層52、透視性の樹脂板である背面保護部55の順に積層されているものである。この積層体は、各々の層間に接着層を設けて形状及び厚みを保持するのが好ましく、接着層としては透視性を有するものであれば特に限定するものではなく、ウレタン系、エポキシ系等の接着剤や、変性ポリエチレン、変性ポリプロピレン、又はEVA、PVB等架橋型の樹脂を用いてもよい。これらの中でも、耐候性に優れ、熱加工が容易であるEVAを好適に用いることができる。
【0058】
各々の層間に接着層を設けて形状を保持することで、各層間への水分の浸入を防ぐことができ、この水分による電波特性劣化を防止することが可能である。また、一般に市販されているポリカーボネート板等の厚みは、1,2,3,5,8mm等であり、一般に市販されているポリカーボネート板等でそのまま電波吸収体を形成した場合に、厚みの調整の範囲が限定されることから、設定した電波吸収性能を得ることは困難となる。一般に市販されているポリカーボネート板等の厚みを調整すべく研磨や溶融圧縮することが可能であるが、研磨した場合には樹脂板の透明性が損なわれ、溶融圧縮した場合には高価となってしまう。一般に市販されているポリカーボネート板等を用いた場合であっても、接着層を用いることによって、表面保護部53やスペーサー部54を所望の厚みに調整でき、設定した電波吸収性能の実現が容易に可能である。さらに、EVA等の架橋型樹脂を用いた場合には、熱溶融圧縮において圧縮厚みを予め設定でき、厳密な厚みの調整ができるので、ポリカーボネート板等の厚み誤差による電波吸収性能低下を低減することが可能である。また、電波吸収性能の設計においては、予め接着層を考慮して設計することが可能である。
【0059】
表面保護部53及びスペーサー部54である透視性の樹脂板は誘電体であり電波を透過する。抵抗層51は、金属酸化物等からなる抵抗皮膜が形成されたPETフィルム等であり、反射層52は導電性薄膜が形成されたPETフィルム等である。電波到来方向から入射された電波は表面保護部を透過し、抵抗層により減衰され、減衰されなかった電波はスペーサー部54を透過して、反射層52により反射されて再びスペーサー部54を透過して抵抗層51により減衰されて、不要電波は効率的に抑制される。
【0060】
背面保護部55の材料定数(複素比誘電率)および厚み、反射層52の面抵抗値、スペーサー部54の材料定数、表面保護部53の材料定数および厚みを見込んだ上で、かつ、スペーサー部54の厚みおよび抵抗層51の面抵抗値を適切に決定することで、より電波の抑制効率を向上させることが可能である。例えば、誘電体からなるスペーサー部54内での電波の波長がλgである場合、スペーサー部54の厚みを約λg/4とし、また、抵抗層51の面抵抗値を約377Ω□とすることで、表面保護部53の電波到来側の表面から電波進行方向を見込んだ電波インピーダンスを、自由空間のインピーダンスに合わせることにより、不要電波は更に効率的に減衰される。また、スペーサー部54を各種透明な合成樹脂、ガラス、空気等、用途に応じて用いることで、電波吸収体の吸収特性を設定することが可能である。
【0061】
また、電波吸収体5は、本図b)に示すように、反射層52を挟んで両側にスペーサー部54、抵抗層51、表面保護部53の順に積層して行き、電波到来方向α及びβの両面からの電波を吸収できる電波吸収体5aであってもよい。例えば車線間に設けられる分離壁などは、双方の車線が路車間通信ゾーンとなっていることがあり、双方の車線から電波が到来する可能性がある。その様な箇所には、a)に示した片側からの電波を吸収する電波吸収体5を背中合わせに配置してもよいが、電波吸収体5aを用いることで1体の電波吸収体のみで双方から到来する不要電波を抑制することができる。
【0062】
本図a)に示したように抵抗層51が1層存在する低入射角度用電波吸収体5において、5.8GHz帯での反射減衰量の角度特性は、例えば、5.8GHz(右旋)円偏波の入射電波に対して、電波吸収体5に対する入射角度が0度以上80度以下の範囲内において反射減衰量が10dB以上であることが好ましい。又、電波吸収体5に対する入射角度が0度以上45度以下の範囲内において反射減衰量が15dB以上であることがより好ましく、電波吸収体5に対する入射角度が0度から30度以下の範囲内において反射減衰量が20dB以上であることがさらに好ましい。
【0063】
又、本図a)に示した電波吸収体5のさらに電波到来側に第2のスペーサー部および第2の抵抗層を配した構成の広入射角度用電波吸収体にあっては、電波吸収体に対する入射角度が0度から80度の範囲内において反射減衰量が15dB以上であることが好ましい。また、電波吸収体に対する入射角度が0度から45度の範囲内において、反射減衰量が20dB以上であることがより好ましい。
【0064】
図8は、広入射用電波吸収体5bの実施の一形態の断面図を示すもので、電波吸収体に入射する電波に対して広い入射角度範囲で高い電波吸収性能を実現すべく、抵抗層51の電波到来方向に複数種類の誘電率の異なる誘電体を配したものである。すなわち、誘電率の異なる表面保護部531、532、533を抵抗層51の電波到来側αに設け、複素比誘電率の異なった各層の厚みを調節することにより、表面保護部531から電波進行方向を見込んだ電波インピーダンスを、広い入射角度範囲において自由空間のインピーダンスに合わせ、広い入射角度範囲で高い電波吸収性能を実現したものである。表面保護部531、532、533はそれぞれ異なる材質のものを用いてもよく、また2種類を組み合わせて積層してもよい。また、表面保護部531、532、533は透視性の合成樹脂、ガラス、空気等を適宜用いてよく、また各々の厚みも、電波吸収の特性に応じて適宜調節してよい。また、表面保護部531、532の組み合わせは、表面保護部532が低誘電率な誘電体であり、表面保護部531が前記低誘電率な誘電体と比較して高誘電率である誘電体であってもよい。
【0065】
又、ミリ波帯又は携帯電話で利用される周波数帯に対して、低入射角度用電波吸収体5では、所望の周波数の入射電波に対して、電界が入射面に垂直な偏波(TE波)と磁界が入射面に垂直な偏波(TM波)のいずれに対しても、電波吸収体5に対する入射角度が0度以上45度以下の範囲内において反射減衰量が10dB以上であることが好ましい。加えて入射角度が0度以上30度以下の範囲内において反射減衰量が15dB以上であることがより好ましく、さらに加えて0度以上20度以下の範囲内において反射減衰量が20dB以上であることがより好ましい。
【0066】
尚、前記ミリ波帯又は携帯電話で利用される周波数帯に対して、広入射角度用電波吸収体5では、所望の周波数の入射電波に対して、TE波とTM波のいずれに対しても、電波吸収体5に対する入射角度が0度以上65度以下の範囲内において反射減衰量が10dB以上であることが好ましい。加えて入射角度が0度以上55度以下の範囲内において反射減衰量が15dB以上であることがより好ましく、さらに加えて0度以上45度以下の範囲内において反射減衰量が20dB以上であることがより好ましい。
【0067】
このようにして形成された電波吸収体5は、遮音壁21に用いられるときには、例えば図9に示す如く、透光板に前記の透明な電波吸収体5を用い、透明な電波吸収体5を保持する周囲のアルミニウム等の金属からなる枠体211により保持して透視性遮音パネル21とし、これらを複数用いて上下方向に複数段積み上げることで遮音壁を形成するものである。枠体の表面には、シート状の電波吸収体5を貼着することが好ましく、枠体に貼着する電波吸収体5は、透視性の有無に係わらず適用可能である。透明な電波吸収体5及び枠体211に到達した電波は、それぞれの電波吸収体5によって減衰されて反射、透過が抑制される。尚、透明な電波吸収体5に水滴が付着して水膜ができると、電波はその水膜で反射されやすくなるため、透明な電波吸収体5の表面に撥水剤により超撥水性や、酸化チタン等の光触媒により超親水性や、滑雪氷性を具備させておき水滴や雪氷の付着を抑制しておくことが好ましい。
【0068】
また、遮音壁21は、図10に示す如きものであってもよい。透視性の遮音壁21aは、前面に透明な電波吸収体5を配置し、背後に透明な電波吸収体5を支持するアルミニウム等の金属からなる枠体21a1を取り付けたものである。透明な電波吸収体5を前面に配置することで、電波吸収機能を具備させると共に、電波反射体である金属製の枠体21a1に電波吸収体を貼着する必要がなくなる。
【0069】
図11は、図10に示した遮音壁の断面図を示すものである。透光板21aはボルト6により枠体21a1に固定されるが、ボルトは枠体21a1内で摺動可能とされて取り付けにおける便宜が図られている。また、ボルト6は電波反射体ではない材料から形成されることが好ましく、合成樹脂等により形成したものを用いるのが好ましい。また、金属製等、電波反射体のボルトを用いる場合には、ボルト6の電波到来側に電波吸収体を取り付けておくのが好ましい。
【0070】
また、遮音壁21は、図12に示す如きものであってもよい。透視性の遮音壁21bは、壁高欄21b3上で支持枠材21b1及び固定部材21b2により透明な電波吸収体5が立設されて形成されているものであり、上方及び上下方向の枠がないことから、透視性の高いものである。本実施形態においても図10に示したものと同様に、電波到来側の支持枠材21b1及び固定部材21b2には、シート状の電波吸収体5を貼着することが好ましく、貼着する電波吸収体5は、透視性の有無に係わらず適用可能である。
【0071】
以上、遮音壁21や防護柵22など道路付帯設備の少なくとも電波が入射する面に電波吸収体5が全面に亘って取り付けられて、当該電波吸収体5の面に入来した電波a1は電波吸収体5によってほとんど反射、透過することなく、消滅または微弱となってしまう。よって、AHSを目的とした車載通信装置41を搭載した車両4が受信する電波aは主として路側通信設備3からの直進電波のみを得ることになり、混信又は通信品質の低下がなく、もって不要電波が抑制される。
【0072】
本発明において不要電波の発生を抑制する道路付帯設備としては、透光性を有する合成樹脂やガラス等の透光板を用いた透視性を有する遮音壁等の道路の側縁や中央分離帯に沿って設置される防音壁、トンネルの壁面や天井面に設置されてトンネル内の視環境を改善させるトンネル内装板、高架橋や橋梁の桁裏面に取付けられ、桁裏面の景観を向上させる桁裏面美粧板、高架橋や橋梁の脚部の景観を向上させる高架橋の脚美粧板、同方向又は対向方向へ車両が走行する道路の車線間に設置される分離壁、運転者に情報を伝達する道路標識、その他、車両の安全走行や車両を保護する、壁高欄、ガードレール、柵、視線誘導標、照明灯、地点標、非常電話、料金所屋根、信号機、歩道橋等が例示できる。
【0073】
これらの道路付帯設備に電波吸収体5によって電波吸収性能を具備させるには、道路付帯設備の種類に応じて適宜手段や適宜電波吸収体5が適用される。例えば、前記形態においては、道路付帯設備の一部である透明板自体が電波吸収体5であったが、これら電波吸収体5は、シート状やフイルム状とし、道路付帯設備の外面に貼着するようにしてもよく、又、電波吸収体5よりも電波到来側に存在する合成樹脂等で形成された道路付帯設備を含めて電波吸収性能が設計された場合には、電波吸収体5は、道路付帯設備の内部に配置してもよい。さらに道路付帯設備自体を電波吸収体5で形成するようにしてもよい。
【0074】
図13は、本発明に係わる道路付帯設備の他の実施形態を示すもので、道路付帯設備が支柱81に支持された屋根部82を有する料金所8付近の、同方向に走行する車線間に設置される分離壁2Aであるものの説明図である。車両はγの方向に進入し、路側通信設備3は車両に向かって電波aを料金収受に関わる電波を放射するが、放射された電波が進入した車両に当たって、隣接する車線の車両に不要電波として伝播される。主要部が透明な電波吸収体5からなる車線間の分離壁2Aを、支柱31及び梁32を用いて固定し、車線との間に設置することで、通行する車両の左右の視野を遮ることなく不要電波の抑制が可能となる。
【0075】
分離壁2Aは、支柱31及び梁32により門型ラーメン構造を形成することで、より小さい基礎で風荷重に対する分離壁2Aの設置強度を確保することができる。支柱31及び梁32は、電波吸収体を取り付けられているが、電波吸収材料により形成されていてもよい。また、本実施形態において、分離壁2Aは、料金所への進入車線付近のアイランド7上のみならず、料金所8内に設けることで、より確実に不要電波の抑制を図っている。
【0076】
前記の如く、不要電波として問題視されるのはトラックの荷台より反射されるものであり、車線分離壁2Aはその高さ以上の地上高が必要であることから、上端の路面からの高さは5〜6mであることが好ましい。下端については、路側通信装置3からの電波の入射角が小さくなることと、反射された電波が下方からでは車載器に受信される角度となり得ることがないことから、路面から1〜2mの高さまで隙間が開いているものでもよい。かような隙間を設けることで、風荷重を軽減することもできる。
【0077】
図14は、分離壁2Aの他の実施形態を示す説明図である。分離壁2Aaは透明な電波吸収体5により形成された道路方向に延びる面状体が、上下に間隔をおいて複数スリット状に配置され、斜め上方を向いている面が電波到来方向αに向けられているものである。図4に示したように、不要電波は概ね斜め上方から到来するものであり、透明な電波吸収体5を斜め上方に向けて複数配置することで、分離壁2Aaの透視性を損なうことなく不要電波を吸収できる。更には、上下に間隔をおいて配置していることから、電波吸収体5の間を風が通り抜けることができ、基礎2Aa1及び電波吸収体5を支持する支柱2Aa2を小型なものとできる。本発明に係わる分離壁2Aは、前述の如く車線の間に設置するものであり、車線に沿う方向での幅のスペースは極めて限定されるものであり、基礎を小型化することは設置において重要な要素である。基礎2Aa1は、コンクリート、金属体等、密度及び強度の大きなものから形成することが好ましい。
【0078】
また分離壁2Aは、図15に示す如き形状のものであってもよい。分離壁2Abは、透明な電波吸収体5により形成された道路方向に延びる断面V字状の溝状体が、上下に間隔をおいて、開口部が下方に向けられて基礎2Ab1及び支柱2Ab2により立設されているものである。かような形状とすることで、分離壁2Aaと同様に、透視性を損なうことなく風荷重を軽減することができる。また、α、βの両方から到来する不要電波を抑制することができる。
【0079】
また分離壁2Aは、図16に示す如きものであってもよい。分離壁2Acは、図14に示したものと同様に道路方向に延びる電波吸収体からなる断面V字状の溝状体が、上下に間隔をおいて、開口部が下方に向けられて基礎2Ac1及び支柱2Ac2により立設されているものであるが、上方の溝状体が透視性ではない電波吸収体5cであるものである。トラックやミキサー車等は、荷台より運転席が低い位置にあり、透視性を必要とされる高さは、不要電波の抑制を必要とされる高さより低くなる。透視性を必要とされる高さまで透明な電波吸収体5を用いることで透視性を確保し、それ以外を透視性でない電波吸収体5cとすることで、コストの低減や防眩を図ることができる。また、風荷重が軽減されることで、基礎2Ac1は、図13に示したような連続式のものでなく、独立式のものを用いることができる。
【0080】
図17は、本発明に係わる道路付帯設備の、更に他の実施形態を示すもので、料金所付近の下方からの斜視図である。道路付帯設備が、有料道路の料金所にETCを備えたゲートを併設したものである場合であって、路側通信設備3から放射される電波aが路面や走行車両に当たって反射されて、料金の収受に支障を来す恐れがある箇所である。尚、本図に示す実施形態においても、アイランド7上には透明な電波吸収体5からなる分離壁2Aを設けておくのが好ましい。料金所8を構成し、料金所の屋根81及び支柱82、アイランド7の周囲、ETCのゲート33については透視性を有さない電波吸収体を用いることができる。
【0081】
しかし、料金所の屋根に取り付けられた照明灯のカバー2Bは、光線を透過させる必要がある箇所であり、透明な電波吸収体5により形成することで、照明灯のカバー2B内への不要な電波の透過や照明灯のカバー2B内からの反射を防止できる。同様に、料金所の窓2Cも透視性が必要な箇所であり、かような部分に本発明に係わる透明な電波吸収体5を用いることで、視野及び光線を遮ることなく電波吸収性能を具備させることができる。
【0082】
図18は、本発明に係わる道路付帯設備の、更に他の実施形態を示す説明図でる。運転者等の道路利用者に道路に関わる情報を伝達する道路標識2Dである場合であって、この道路標識2Dの標示面2D1に電波吸収性能を具備させた実施の一形態を示したものであり、標示面2D1は通常電波反射体であるアルミニウム等の金属により形成されることが多く、更には表面積が大きく運転者に情報が認識しやすいように路面に向けてやや傾斜させられていることから、電波が反射されやすいものである。標示面2D1に透視性を有さない電波吸収体5を用いて電波吸収性能を具備させると、運転者に情報が伝達できないものとなることから、標示面2D1の前面に本発明に係わる透明な電波吸収体5を配置することで、道路標識2Dとしての機能を損なうことなく電波吸収性能を具備させることができる。また、支柱2D2や横梁2D3にも電波吸収体を取り付けるのが好ましく、この電波吸収体は、透視性の有無に係わらず適用できる。
【0083】
図19は、本発明に係わる道路付帯設備の、更に他の実施形態を示すもので、トンネルの壁面や天井面に設置されてトンネル内の視環境を改善させるトンネル内装板2Eが取り付けられたトンネルの正面図である。合成樹脂、タイルや塗装金属板等からなり、トンネル2E2の壁面に取り付けられたトンネル内装板2Eに透明な電波吸収体5を取付けた状態を示すものである。かような方法により、既に設置されている道路付帯設備に対しても、その外観を変化させることなく容易に電波吸収機能を具備させることができる。また、トンネル内の照明灯のカバー2Baについても、透明な電波吸収体5を適用してもよい。
【0084】
図20は、本発明に係わる道路付帯設備の、更に他の実施形態を示すもので、桁裏面の景観を向上させる桁裏面美粧板2Fが、高架橋や橋梁の桁2F1裏面に取付けられた状態を示す説明図である。例えば、合成樹脂、タイルや塗装金属板等からなり、桁裏面に取り付けられた桁裏面美粧板2Fの前面に透明な電波吸収体5を取り付けることで、既に設置されている桁裏面美装板に対しても、その外観を変化させることなく容易に電波吸収機能を具備させることができる。
【0085】
高架橋や橋梁の脚部の景観を向上させる高架橋の脚美粧板の場合は、前記した桁裏面美粧板の場合とほぼ同様にして電波吸収体を前面に取り付けることで電波吸収機能を具備させることができる。
【0086】
図21は、本発明に係わる道路付帯設備の、更に他の実施形態を示すもので、車両の安全走行や車両の道路外や対向車線へのはみ出しを防止する壁高欄2Gを示す説明図である。かかる壁高欄2Gの表面にシート状の電波吸収体5をアンカーボルトや粘着材又はこれらを併用し取り付けることで電波吸収性能を具備させることで、壁高欄2Gがコンクリートや金属等の電波反射体を用いて形成されている場合でも壁高欄2Gからの反射による不要電波の発生を防止でき、更に壁高欄2Gに情報表示や色彩等が施されている場合においてもその外観を損ねることがない。
【0087】
図22は、本発明に係わる道路付帯設備の、更に他の実施形態を示すもので、防護柵、本実施形態においてはガードレール2Hである場合を示す説明図である。ガードレール2Hの表面に、光の反射を抑えるように表面が凹凸状であるシート状の電波吸収体5をボルトや粘着材又はこれらを併用して取付けたものである。電波吸収体5をシート状とすることにより、ガードレール2Hの表面に沿って容易に取付けられ、又既設のガードレール2Hにその外観を変化させることなく後付けすることができる。
【0088】
図23は、本発明に係わる道路付帯設備の、更に他の実施形態を示すもので、オーバーブリッジタイプの電光式の道路標識装置2Jである場合を示す説明図である。道路標識装置2Jの下面にシート状や板状の電波吸収体5を設けることで、道路標識装置2Jの外観を損ねることなく電波の反射による不要電波の発生を抑制できる。
【0089】
その他、道路付帯設備として、車両を誘導する視線誘導標、道路を照らす道路照明灯、所定距離毎に設置して基準点からの距離を表示する地点標、非常電話等が高速道路等に取付けられ、又交差点周辺には信号機や歩道橋等が設けられているが、これらに対しても、前記したものとほぼ同様にして、電波吸収性能を具備させ、不要電波の発生を抑制することができる。
【0090】
以上、道路付帯設備に電波吸収性能を具備させる各種例を示したが、前記した如き保護部材53、55を電波吸収体5の表面に設けることができ、保護部材53、55を設けると電波吸収性能を長期間維持させることができる。また電波吸収体5や保護部材53、55の表面に、超撥水性被覆層や滑雪氷性被覆層を設けることで難着雪性を具備したり、光触媒等を用いて超親水性被覆層を設けることで、水滴による電波の反射や汚染物質の易洗浄性を具備させてもよい。
【0091】
参考例
本発明の、電波吸収特性に関する参考例について、以下に具体的に説明する。
【0092】
参考例1)図24は、参考例1の電波吸収体の構成を示す断面図であり、PETからなるフィルムFに、金属酸化物をスパッタした抵抗層51、金属をスパッタした反射層52、及び誘電体としてのポリカーボネート板P、接着層としてのEVA層Eを本図に示すように積層したものである。尚、各層の厚みは、d1=1、d2=0.54、d3=0.175、d4=0.54、d5=5、d6=0.54、d7=0.54、d8=0.175、d9=0.54、d10=1であり、抵抗層51の面抵抗値は390Ω□、反射層52の面抵抗値は10Ω□である。
【0093】
参考例1の、5.8GHz帯における電波の入射角度に対する反射減衰率を示すグラフが図25に示すものであって、円偏波A、TM波B、TE波Cの反射減衰率は、入射角度10〜20度をピークに、円偏波Aについては、0度から30度の入射角度で20dB以上、0度から45度の入射角度で15dB以上、0度から80度の入射角度で10dB以上の反射減衰率となっており、低入射角度用電波吸収体として、良好な電波吸収特性が得られている。また、TM波B、TE波Cについても、0度以上20度以下の範囲内において反射減衰量が20dB以上、入射角度が0度以上30度以下の範囲内において反射減衰量が15dB以上の反射減衰率となっており、良好な電波吸収特性が得られている。
【0094】
参考例2)図26は、参考例2の電波吸収体の構成を示す断面図であり、PETからなるフィルムFに、金属酸化物をスパッタした抵抗層51、金属をスパッタした反射層52、及び誘電体としてのポリカーボネート板P及び空気層Gを本図に示すように積層したものである。ポリカーボネート板Pと空気層Gは、それぞれ誘電率が異なる誘電体である。尚、各層の厚みは、d1=1、d2=0.188、d3=8.2、d4=0.188、d5=1、d6=3.8、d7=3.6であり、抵抗層51の面抵抗値は198Ω□、反射層52の面抵抗値は10Ω□である。
【0095】
参考例2の、5.8GHz帯における電波の入射角度に対する反射減衰率を示すグラフが図27に示すものであって、円偏波A、TM波B、TE波Cの反射減衰率は、2種類の誘電率の異なる誘電体を使用したことで、参考例1と異なり入射角度40〜50度付近がピークとなっている。電波吸収体に対する入射角度が0度から45度の範囲内において20dB以上、入射角度が0度から80度の範囲内において15dB以上の反射減衰率であり、広入射角度用電波吸収体として、良好な電波吸収特性が得られている。また、TM波B、TE波Cについても、0度以上20度以下の範囲内において反射減衰量が20dB以上、入射角度が0度以上30度以下の範囲内において反射減衰量が15dB以上の反射減衰率となっており、良好な電波吸収特性が得られている。
【0096】
【発明の効果】
本発明に係る不要電波抑制方法によれば、道路付帯設備に、透明な電波吸収体を取り付け、又はこれらの道路付帯設備の主要部を透明な電波吸収体から形成し、不要な電波の反射、透過を防止することにより、設置されたそれぞれの目的に応じた機能を発揮させ、尚かつ電波吸収体が透明なものであることから、視野や光線を遮ることなく、電波を用いた通信又はセンシング時における不要電波の抑制を効果的に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】道路付帯設備で電波の反射する様子を示した説明図である。
【図2】道路付帯設備で電波の反射する様子を示した説明図である。
【図3】道路付帯設備で電波の反射する様子を示した説明図である。
【図4】道路付帯設備での不要電波の発生する様子を示した説明図である。
【図5】道路付帯設備での不要電波の発生する様子を示した説明図である。
【図6】本発明の実施の一形態が適用されるAHSを目的とした路車間通信ゾーン内での路車間による双方向通信された電波の流れの一例を示す説明図である。
【図7】電波吸収体の構成を示す断面図であって、a)は参考例を示し、b)は本発明の実施の一形態を示す。
【図8】電波吸収体の構成の参考例を示す断面図である。
【図9】本発明の一形態が適用される遮音壁に電波吸収体が取り付けられた説明図である。
【図10】本発明の一形態が適用される遮音壁に電波吸収体が取り付けられた説明図である。
【図11】図10に示した遮音壁の断面図である。
【図12】本発明に係わる道路付帯設備である遮音壁の、他の実施形態を示す説明図である。
【図13】本発明に係わる道路付帯設備の、他の実施形態を示す説明図である。
【図14】本発明に係わる道路付帯設備の、更に他の実施形態を示す説明図である。
【図15】本発明に係わる道路付帯設備の、更に他の実施形態を示す説明図である。
【図16】本発明に係わる道路付帯設備の、更に他の実施形態を示す説明図である。
【図17】本発明に係わる道路付帯設備の、更に他の実施形態を示す説明図である。
【図18】本発明に係わる道路付帯設備の、更に他の実施形態を示す説明図である。
【図19】本発明に係わる道路付帯設備の、更に他の実施形態を示す説明図である。
【図20】本発明に係わる道路付帯設備の、更に他の実施形態を示す説明図である。
【図21】本発明に係わる道路付帯設備の、更に他の実施形態を示す説明図である。
【図22】本発明に係わる道路付帯設備の、更に他の実施形態を示す説明図である。
【図23】本発明に係わる道路付帯設備の、更に他の実施形態を示す説明図である。
【図24】透明な電波吸収体の参考例を示す断面図である。
【図25】参考例に示した透明な電波吸収体の電波吸収特性を示すグラフである。
【図26】透明な電波吸収体の参考例を示す断面図である。
【図27】参考例に示した透明な電波吸収体の電波吸収特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 道路
11 外壁
12 中央分離帯
2 道路付帯設備
21 遮音壁
22 防護柵
2A 分離壁
2Aa、2Ab、2Ac 分離壁
2A1 基礎
2A2 支柱
2B 照明灯のカバー
2C 料金所窓
2D 道路標識
2E トンネル内装板
2F 桁裏面美粧板
2G 壁高欄
2H ガードレール
2J 道路標識装置
3 路側通信設備
31 支柱
32 梁
33 ゲート
4 車両
4C 乗用車
4T トラック
4M ミキサー車
41 車載通信装置
5 電波吸収体
51 抵抗層
52 反射層
53 表面保護部
54 スペーサー部
55 保護部材部
6 ボルト
7 アイランド
8 料金所
81 料金所屋根
82 支柱
a 電波
a1 不要電波
a2 間接的な電波

Claims (44)

  1. 電波を用いた通信又はセンシング時において、周辺の道路付帯設備によって発生する不要な電波を抑制するために、前記道路付帯設備に透明な電波吸収体を取り付け、又は道路付帯設備の主要部を透明な電波吸収体から形成する不要電波抑制方法であって、 前記透明な電波吸収体は、電波反射体を挟んでその両側それぞれに、適当な表面抵抗を持つ抵抗皮膜と誘電体とが配置されて、両面から到来する電波を吸収すると共に、抵抗皮膜および誘電体を透明な材料で構成し、電波反射体を光を通す構造もしくは材料で形成したものであることを特徴とする不要電波抑制方法。
  2. 電波を用いた通信は、道路に設置された路側通信設備と車両に搭載された車載通信装置とが無線通信を行う路車間通信であることを特徴とする請求項1に記載の不要電波抑制方法。
  3. 前記路車間通信は、走行支援道路システムにおいて行う通信であることを特徴とする請求項2に記載の不要電波抑制方法。
  4. 前記路車間通信は、狭域通信であることを特徴とする請求項2又は3に記載の不要電波抑制方法。
  5. 電波を用いた通信は、車両に搭載された車載通信装置と歩行者が携帯する携帯通信装置とが無線通信を行う車人間通信であることを特徴とする請求項1に記載の不要電波抑制方法。
  6. 前記車人間通信は、走行支援道路システムにおいて行う通信であることを特徴とする請求項5に記載の不要電波抑制方法。
  7. 電波を用いた通信は、道路に設置された路側通信設備と歩行者が携帯する携帯通信装置とが無線通信を行う路人間通信であることを特徴とする請求項1に記載の不要電波抑制方法。
  8. 前記路人間通信は、狭域通信であることを特徴とする請求項7に記載の不要電波抑制方法。
  9. 電波を用いた通信は、車載通信装置を搭載した複数の車両が、前記車載通信装置によって無線通信を行う車車間通信であることを特徴とする請求項1に記載の不要電波抑制方法。
  10. 前記車車間通信は、走行支援道路システムにおいて行う通信であることを特徴とする請求項9に記載の不要電波抑制方法。
  11. 電波を用いたセンシングは、レーダ装置を搭載した車両が、前記レーダ装置より電波を発信及び受信、又は受信することによって行うセンシングであることを特徴とする請求項1に記載の不要電波抑制方法。
  12. 前記透明な電波吸収体は、電波を用いた通信又はセンシングを行う周辺の道路付帯設備に対して、電波が反射及び/又は透過することによって発生する不要な電波を抑制するものであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の不要電波抑制方法。
  13. 前記透明な電波吸収体は、周波数5.8GHz帯の電波の反射及び/又は透過を抑制するものであることを特徴とする請求項12に記載の不要電波抑制方法。
  14. 前記透明な電波吸収体は、ミリ波帯の電波の反射及び/又は透過を抑制するものであることを特徴とする請求項12に記載の不要電波抑制方法。
  15. 前記透明な電波吸収体は、携帯電話で使用される周波数帯の電波の反射及び/又は透過を抑制するものであることを特徴とする請求項12に記載の不要電波抑制方法。
  16. 前記透明な電波吸収体は、電波反射体と、その上にもうけられる厚さ約・g/4(・gは誘電体内での電波の波長)の誘電体と、その上にもうけられる抵抗皮膜とを有するものであって、透明な抵抗皮膜を電波到来方向に配し、その背面に厚さ約・g/4(ここで・gは誘電体内での電波の波長を表す)の透明な誘電体を配し、さらに誘電体の背面に光を透過する電波反射体を配したものであることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の不要電波抑制方法。
  17. 抵抗皮膜は、金属、金属酸化物、金属窒化物ないしはこれらの混合物をイオンプレーティング、蒸着、スパッタリング又は塗布により作成した透明な膜であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の不要電波抑制方法。
  18. 金属、金属酸化物、金属窒化物は、銀、ITO(酸化インジウム/酸化錫)、酸化錫、酸化亜鉛、窒化チタンからなる群から選ばれた少なくとも1つであることを特徴とする請求項17に記載の不要電波抑制方法。
  19. 透明な誘電体は、空気、ガラス、透明な有機高分子からなる群から選ばれた少なくとも1つのものであることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の不要電波抑制方法。
  20. 電波反射体は、導電性線材からなる格子及び/又は透明な導電性薄膜であることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の不要電波抑制方法。
  21. 導電性薄膜は、金属、金属酸化物、金属窒化物ないしはこれらの混合物をイオンプレーティング、蒸着、スパッタリング又は塗布により作成した透明な膜であることを特徴とする請求項20に記載の不要電波抑制方法。
  22. 金属、金属酸化物、金属窒化物は、銀、ITO(酸化インジウム/酸化錫)、酸化錫、酸化亜鉛、窒化チタンからなる群から選ばれた少なくとも1つであることを特徴とする請求項21に記載の不要電波抑制方法。
  23. 前記透明な電波吸収体は、構成する各層の少なくとも一つの層間が透明な接着性合成樹脂を用いて接着されていることを特徴とする請求項1〜22のいずれか1項に記載の不要電波抑制方法。
  24. 前記透明な接着性合成樹脂は、EVA(エチレン酢酸ビニルコポリマー)、PVB(ポリビニルブチラール)、変性ポリエチレン、変性ポリプロピレン、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤からなる群から選ばれた少なくとも1つのものであることを特徴とする請求項23に記載の不要電波抑制方法。
  25. 前記透明な電波吸収体は、5.8GHz帯における円偏波の電波に対して、電波吸収体に対する入射角度が0度から30度の範囲内において反射減衰量が20dB以上となるものであることを特徴とする請求項1〜24のいずれか1項に記載の不要電波抑制方法。
  26. 前記透明な電波吸収体は、5.8GHz帯における円偏波の電波に対して、電波吸収体に対する入射角度が0度から45度の範囲内において反射減衰量が15dB以上となるものであることを特徴とする請求項1〜25のいずれか1項に記載の不要電波抑制方法。
  27. 前記透明な電波吸収体は、5.8GHz帯における円偏波の電波に対して、電波吸収体に対する入射角度が0度から80度の範囲内において反射減衰量が10dB以上となるものであることを特徴とする請求項1〜26のいずれか1項に記載の不要電波抑制方法。
  28. 前記透明な電波吸収体は、抵抗皮膜の電波到来側に透明な誘電体が配置され、該誘電体は、誘電率が異なる複数の透明な誘電体からなることを特徴とする請求項1〜24のいずれか1項に記載の不要電波抑制方法。
  29. 誘電率が異なる複数の透明な誘電体は、抵抗被膜の電波到来側に配置される第一の誘電体と、第一の誘電体より電波到来側に配置される第二の誘電体の少なくとも2つの誘電体からなり、第二の誘電体は、第一の誘電体より高誘電率であることを特徴とする請求項28に記載の不要電波抑制方法。
  30. 前記透明な電波吸収体は、5.8GHz帯における円偏波の電波に対して、電波吸収体に対する入射角度が0度から45度の範囲内において反射減衰量が20dB以上となるものであることを特徴とする請求項28又は29に記載の不要電波抑制方法。
  31. 前記透明な電波吸収体は、5.8GHz帯における円偏波の電波に対して、電波吸収体に対する入射角度が0度から80度の範囲内において反射減衰量が15dB以上となるものであることを特徴とする請求項28〜30のいずれか1項に記載の不要電波抑制方法。
  32. 前記透明な電波吸収体は、外面に水滴付着防止のコーティングがなされていることを特徴とする請求項1〜31のいずれか1項に記載の不要電波抑制方法。
  33. 前記道路付帯設備は、主要構成要素がポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ガラスからなる群から選ばれた少なくとも1つの透視性の材料からなることを特徴とする請求項1〜32のいずれか1項に記載の不要電波抑制方法。
  34. 前記道路付帯設備は、防音壁、トンネル内装板、桁裏面美粧板、高架橋の脚美粧板、道路標識、壁高欄、料金所屋根、料金所窓、ガードレール、柵、視線誘導標、地点標、非常電話、信号機、歩道橋からなる群から選ばれた少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜33のいずれか1項に記載の不要電波抑制方法。
  35. 前記道路付帯設備は、複数の車線の間に設置され、車線間における不要な電波の透過及び/又は反射を防止することを特徴とする請求項1〜33のいずれか1項に記載の不要電波抑制方法。
  36. 前記道路付帯設備は、同方向の車線間又は対向する車線間の分離壁であることを特徴とする請求項35に記載の不要電波抑制方法。
  37. 前記道路付帯設備は、同方向の車線間又は対向する車線間の分離壁であって、該分離壁が自動料金収受システムの車線間に設置されていることを特徴とする請求項35に記載の不要電波抑制方法。
  38. 前記道路付帯設備は、同方向の車線間又は対向する車線間の分離壁であって、該分離壁が料金所内及び/又は料金所周辺の車線間に設置されていることを特徴とする請求項35又は37に記載の不要電波抑制方法。
  39. 前記道路付帯設備は、同方向の車線間又は対向する車線間の分離壁であって、該分離壁は、透明な電波吸収体により形成された道路方向に延びる面状体が、上下に間隔をおいて複数スリット状に配置され、斜め上方を向いている面が電波到来方向に向けられ、少なくとも斜め上方を向いている面が電波を吸収可能となされていることを特徴とする請求項35〜38のいずれか1項に記載の不要電波抑制方法。
  40. 前記道路付帯設備は、同方向の車線間又は対向する車線間の分離壁であって、該分離壁は、透明な電波吸収体により形成された道路方向に延びる断面V字状の溝状体が、上下に間隔をおいて、開口部が下方に向けられて設置され、少なくとも電波到来方向からの電波が吸収可能となされていることを特徴とする請求項35〜38のいずれか1項に記載の不要電波抑制方法。
  41. 前記道路付帯設備は、照明灯であって、照明灯の電波到来側に透明な電波吸収体が取り付けられ、照明灯からの電波の反射を防止することを特徴とする請求項1〜33のいずれか1項に記載の不要電波抑制方法。
  42. 透明な電波吸収体は、照明灯のカバーであって、照明灯のカバー内への不要な電波の透過及び/又は照明灯のカバー内からの反射を防止することを特徴とする請求項41に記載の不要電波抑制方法。
  43. 照明灯は、料金所内及び/又は料金所周辺に設置されているものであることを特徴とする請求項41又は42に記載の不要電波抑制方法。
  44. 電波を用いた通信又はセンシング時における不要な電波の反射を抑制するため、透明な電波吸収体が取り付けられ、又は主要部が透明な電波吸収体からなる道路付帯設備であって、前記道路付帯設備は、防音壁、トンネル内装板、桁裏面美粧板、高架橋の脚美粧板、道路標識、壁高欄、料金所屋根、料金所窓、ガードレール、柵、視線誘導標、地点標、非常電話、信号機、歩道橋、同方向の車線間又は対向する車線間の分離壁、照明灯からなる群から選ばれた少なくとも1つであり、且つ前記透明な電波吸収体は、電波反射体を挟んでその両側それぞれに、適当な表面抵抗を持つ抵抗皮膜と誘電体とが配置されて、両面から到来する電波を吸収すると共に、抵抗皮膜および誘電体を透明な材料で構成し、電波反射体を光を通す構造もしくは材料で形成したものであることを特徴とする道路付帯設備。
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