JP2003321811A - 電波音波吸収パネル - Google Patents

電波音波吸収パネル

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JP2003321811A JP2002351263A JP2002351263A JP2003321811A JP 2003321811 A JP2003321811 A JP 2003321811A JP 2002351263 A JP2002351263 A JP 2002351263A JP 2002351263 A JP2002351263 A JP 2002351263A JP 2003321811 A JP2003321811 A JP 2003321811A
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聡 坂井
Mutsumi Wada
睦 和田
Masahiro Fukui
政博 福井
Takao Onishi
隆雄 大西
Toshio Kudo
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電波吸収能と音波吸収能とを兼ね備える構造
物を提供する。 【解決手段】 電波および音波の入射を意図する側から
みて電波吸収層、吸音層の順で配置された積層構造を有
し、かつ上記電波吸収層がカーボンで被覆された繊維か
らなる繊維集合体である電波音波吸収パネルであって、
上記繊維集合体が、繊維密度が電波および音波の入射を
意図する側から吸音層側に向かって順に連続的または断
続的に高くなるように形成されたものである電波音波吸
収パネル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電波吸収能と音波
吸収性能とを同時に兼ね備える電波音波吸収パネルに関
する。
【0002】
【従来の技術】道路交通の発達に伴い、車両の走行など
による騒音が社会問題の一つとなっている。このため、
音波を吸収して吸音性能を有する防音壁(吸音壁や遮音
壁)を道路脇などに設け、騒音を抑制する試みが従来よ
りなされている。従来の防音壁においては、グラスウー
ルやロックウールをパネル状(板状)に成形してなる防
音パネルを複数個、断面H字状の支柱を介して並設し、
壁状としたものが一般的に用いられていた。
【0003】また近年、ITS(Intelligent Transpor
t Systems;高度道路交通システム)に代表される交通
インフラの情報化に伴い、ETC(Electronic Toll Co
llection;ノンストップ自動料金収受)システムやAH
S(Advanced cruise-assistHighway System;走行支援
道路システム)、DSRC(Dedicated Short RangeCom
munication System;狭域通信システム)、双方向道路
情報システムなど、ミリ波、マイクロ波などの電波の使
用による無線通信技術を応用したシステムの導入が拡大
している。これらのシステムでは、路面などで使用電波
が反射することによる通信領域内での電波の乱反射が、
システムの誤作動を引き起こす原因となっており問題と
されている。この乱反射した電波(不要電波)による問
題を解決すべく、当該システム近傍の道路脇、高架、料
金所の天井などに、電波吸収特性を有する電波吸収体
を、設置する試みが従来よりなされてきた。電波吸収体
は、例えば、ゴムやプラスチックなどのバインダーに導
電性カーボンの粉末やフェライトの粉末などの電波損失
材を混合し、これをシート状(板状)に成形してなる電
波吸収層に、電波の入射を意図する側とは反対側に反射
層として金属板や金属箔を張り合わせてなるものが一般
に用いられる。
【0004】
【特許文献1】特開平10−102428号公報
【特許文献2】特開2001−193020号公報
【特許文献3】特開2001−193021号公報
【特許文献4】特公平6−32417号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、騒音対策と不
要電波対策とを同時に行わなければならない箇所におい
ては、上記防音壁と電波吸収体とを道路脇に並設しよう
とすると、道路近傍の設置空間を有効に利用できなかっ
たり、防音壁の音波吸収特性および電波吸収体の電波吸
収特性を有効に活用できないといった問題があった。ま
た、防音壁の表側(道路側)または裏側(道路の外側)
に上記の如き電波吸収体を貼り付けることも考えられ
る。しかし、防音壁の表側に上記の電波吸収体を貼り付
けた場合においては、電波吸収体の表面で音が反射し、
さらには電波吸収体の反射層においても音が反射してし
まうため、防音壁による防音効果が充分に発揮できない
問題があった。逆に、防音壁の裏側に上記の電波吸収体
を貼り付けた場合においては、電波が防音壁に遮られた
り反射されるので、電波吸収体まで電波が届きにくく、
電波吸収体の電波吸収能が充分に発揮できないというよ
うな問題があった。
【0006】これらの問題は、従来、騒音対策のみを目
的とする防音パネルと、不要電波対策のみを目的とする
電波吸収体とが、別個の製品として存在することに起因
するものであり、電波吸収特性と音波吸収性とを同時に
兼ね備える電波音波吸収体の開発が求められている。本
発明は、上記課題を解決するためになされたものであっ
て、その目的とするところは、電波吸収能と音波吸収能
とを兼ね備える構造物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究を行った結果、本発明を完成す
るに至った。即ち、本発明は以下のとおりである。 (1)電波および音波の入射を意図する側からみて電波
吸収層、吸音層の順で配置された積層構造を有し、かつ
上記電波吸収層がカーボンで被覆された繊維からなる繊
維集合体である電波音波吸収パネルであって、上記繊維
集合体が、繊維密度が電波および音波の入射を意図する
側から吸音層側に向かって順に連続的または断続的に高
くなるように形成されたものである電波音波吸収パネ
ル。 (2)電波吸収層の吸音層が配置される側とは反対側
に、さらに保護層を有する、上記(1)に記載の電波音
波吸収パネル。 (3)保護層は、5.8GHz帯の電波に対する誘電率
の実部が2.5〜4.5であり、かつ開口率が1%〜4
0%となるような貫通孔が設けられている上記(2)に
記載の電波音波吸収パネル。 (4)吸音層の電波吸収層が配置される側とは反対側
に、空気層を介して音波反射層が設けられている上記
(1)〜(3)のいずれかに記載の電波音波吸収パネ
ル。 (5)上記音波反射層の形状が、積層方向に対して凹凸
を有するものである、上記(4)に記載の電波音波吸収
パネル。 (6)電波吸収層と吸音層との間にセパレートフィルム
が介在されたものである、上記(1)〜(5)のいずれ
かに記載の電波音波吸収パネル。 (7)上記繊維集合体が、1000デニール〜4000
デニールの太さの繊維、100デニール〜900デニー
ルの太さの繊維、1デニール〜90デニールの太さの繊
維から選ばれる少なくとも2種類の繊維を互いに絡ませ
ると共に互いに結合させたものである、上記(1)〜
(6)のいずれかに記載の電波音波吸収パネル。 (8)上記繊維集合体が、カーボンで被覆された多種類
の太さの極性ポリマーからなる繊維を、各種繊維が少な
くとも5重量%以上含有されるように互いに絡ませると
ともに互いに結合させて形成されたものである、上記
(1)〜(7)のいずれかに記載の電波音波吸収パネ
ル。
【0008】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の好ましい一例の
電波音波吸収パネル1を簡略化して示す図であり、図1
(a)は断面図、図1(b)は正面図である。なお図1
(a)は、図1(b)の切断面線IB−IBからみた断
面図である。本発明の電波音波吸収パネル1は、少なく
とも電波吸収層2と吸音層3とを有する積層構造体であ
って、平板状、換言すれば厚み方向Zに対して略垂直な
二つの主面(厚み方向一方Z1側の主面1a、および厚
み方向他方Z2側の主面1b)を有する形状を有するも
のである。本明細書中においては、電波音波吸収パネル
1の厚み方向一方Z1側の主面1aが、電波および音波
の入射を意図する面であるものとする。本発明の電波音
波吸収パネル1は、〔1〕電波吸収層2がカーボンで被
覆された繊維で形成された繊維集合体であり、かつ電波
および音波の入射を意図する側から吸音層側に向かって
繊維密度が連続的または断続的に高くなるように形成さ
れたものであること、ならびに〔2〕電波および音波の
入射を意図する側からみて電波吸収層2、吸音層3の順
で配置された積層構造を有すること、をその特徴とする
ものである。
【0009】本発明の電波音波吸収パネルにおいては、
まず、〔1〕の繊維集合体を用いてなる構成により、入
射する電波を反射することなく吸収し、かつ入射する音
波を透過させるという性質を有する電波吸収層を形成で
きる。また、上記繊維集合体を用いた電波吸収層では、
従来の電波吸収体のような電波反射層(金属板や金属
箔)を設ける必要もなく、この点からも、電波吸収層に
おける音波の反射を防ぐ。加えて、上記〔2〕のように
電波吸収層と吸音層とを配置させた構成により、電波吸
収層を透過した音波を、吸音層にて吸収させることがで
きる。すなわち、電波および音波が入射した場合、電波
については電波吸収層2で吸収させ、音波については電
波吸収層2を透過させた後に吸音層3にて吸収させるこ
とができる。このような電波音波吸収パネル1は、吸音
のみを目的とした従来の防音壁、電波吸収のみを目的と
した従来の電波吸収体とは異なり、これらと同程度の占
有面積(電波および音波の入射を意図する側の表面の面
積)にて、優れた電波吸収能と音波吸収能とを兼ね備え
るパネルを実現できる。このような本発明の電波音波吸
収パネルは、騒音対策と不要電波対策とを同時に行わな
ければならない箇所において、道路近傍の設置空間を有
効に利用しつつ、優れた電波吸収能および音波吸収能を
発揮することができる。なおここでいう「優れた電波吸
収能」とは、電波吸収層の厚みを25mm程度とした場
合に、アーチ法にて測定された周波数5.8GHz帯の
円偏波(斜入射角:0°〜50°)の反射減衰量が20
dB以上(好適には、25dB以上)であり、入射角が
50°を越えて80°以下の電波の反射減衰量が15d
Bであることをいう。またここでいう「優れた音波吸収
能」とは、JIS A 1409に記載の残響室法にて
測定された400Hzでの吸音率が0.5以上0.7未
満であり、かつ1000Hzの吸音率が0.8以上であ
ること、または、400Hzでの吸音率が0.7以上で
あり、かつ1000Hzの吸音率が0.6以上0.8未
満であること(好適には、400Hzでの吸音率が0.
7以上であり、かつ1000Hzでの吸音率0.8以上
であること)をいう。
【0010】以下、本発明の電波音波吸収パネルの上記
〔1〕、〔2〕の特徴について詳述する。〔1〕電波吸収層が、カーボンで被覆された繊維で形成
された繊維集合体であり、かつ電波および音波の入射を
意図する側から吸音層側に向かって繊維密度が連続的ま
たは断続的に高くなるように形成されたものであること 本発明における電波吸収層は、カーボンで被覆された繊
維で形成された繊維集合体であり、かつ電波および音波
の入射を意図する側から吸音層側に向かって繊維密度が
連続的(傾斜的)または断続的(階段的)に高くなるよ
うに形成された密度勾配型であればよい。換言すれば、
上記繊維集合体の繊維密度が、電波吸収層2の厚み方向
一方Z1側(電波および音波の入射を意図する側)にお
いて比較的に粗であり、厚み方向他方Z2側において比
較的に密であることが好ましい。繊維集合体に用いる繊
維としては、無機繊維やポリマー繊維などが挙げられ
る。無機繊維としては、ガラス繊維やセラミック繊維な
どが挙げられ、中でも不燃性に優れ、繊維密度の傾斜構
造(上記電波および音波の入射を意図する側から吸音層
側に向かって繊維密度が連続的(傾斜的)に高くなる構
造)の形成が容易であるという理由から、グラスウール
が好ましい。また、ポリマー繊維としては、極性を有す
る繊維(極性ポリマー繊維)であれば特に制限はない。
極性ポリマー繊維は、無機繊維と比較して曲げやすい点
(加工しやすい点)、カーボンが付着しやすい点、太さ
の異なる繊維を得やすい点などにおいて優れている。特
に、極性ポリマー繊維の中でも、難燃性に優れ、繊維密
度の傾斜構造の形成が容易であるという点から、ポリ塩
化ビニリデン繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、
アクリル繊維が好ましい。
【0011】本発明においては、上記繊維をカーボンに
て被覆してなるものが用いられる。ここで、本発明にお
けるカーボンは、従来公知の導電性カーボンであれば、
特に制限なく使用することができる。導電性カーボンと
しては、たとえば、黒鉛、ケッチェンブラック、ファー
ネスブラック、アセチレンブラックなどが挙げられる。
上記繊維のカーボン被覆は、カーボン及びバインダーと
してのポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニルなどの接着剤を
適当な溶媒、例えばトルエン、キシレンなどの炭化水素
やメタノール、エタノールなどのアルコールに溶解また
は分散させたものをスプレー塗布などの手段にて塗布す
ることによって行われる。カーボン被覆の厚みは、5μ
m〜500μmであるのが好ましく、10μm〜300
μmであるのがより好ましく、20μm〜100μmで
あるのが特に好ましい。当該カーボン被覆の厚みが5μ
m未満であると、充分な電波吸収能を発揮し得ない傾向
にあるためであり、またカーボン被覆の厚みが500μ
mを越えても、顕著には電波吸収能が向上しない傾向に
あるためである。
【0012】本発明の繊維集合体は、上記各種繊維を互
いに絡ませると共に互いに結合させてマット状に形成す
ると、電波吸収層の形状保持性に優れるため好ましい。
具体的には、各繊維を互いに絡ませた状態でそのままほ
ぐれてしまうことを防止すべく接着剤などで解離しない
ように結合させ、マット状に形成して電波吸収層とす
る。接着方法は任意であるが、好適な方法としては例え
ば繊維を絡ませた状態のマット体にスプレー接着剤を噴
射し、繊維同士が重なり合う箇所において接着を図る方
法などが挙げられる。なお、本発明における電波吸収層
の厚みは任意であるが、省スペースの点、密度勾配が付
けやすい点で、10mm〜50mmの厚みが好ましい。
【0013】なお、広帯域の電波吸収に優れた電波吸収
特性を得るためには、電波吸収層に入射する電波を、電
波吸収層の電波の入射を意図する側の面において反射さ
せないようにする必要がある。一般に、電波が空間を伝
搬する場合、急激に導電度が変化する点に遭遇すると電
波はその点で反射され易くなる。電波吸収層も導電体で
あるため、電波を反射する作用も有すると考えられる。
よって、繊維密度が一定な電波吸収層であると、電波を
反射してしまう度合は大きくなる。そこで本発明におい
ては、繊維集合体の繊維密度をその厚み方向に関して連
続的(傾斜的)または断続的(階段的)に変化させるこ
とにより、広帯域の電波を吸収し得るようにしている。
具体的には、マット状に形成した繊維集合体において厚
み方向一方側の面の繊維密度を粗として減衰を少なく
し、かつ、厚み方向他方側の面を密として減衰を大きく
し、上記繊維密度が粗である側を電波の入射を意図する
側に向けて配設することにより、電波入射面の導電度を
低くして(繊維密度を粗として)、空気との導電度の差
を小さくし、電波の入射面における反射を少なくして電
波を電波吸収層の内部へ取り込み易くするとともに、そ
の内部において電波が良好に吸収し得るようにしたもの
である。さらに、吸音層と接している面の密度を「密」
とすることで電波を反射させ(電波反射層としての役
割)、入射してくる電波を相殺させることができる。例
えば、電波入射面付近で0.02g/cm3、吸音層側
で0.10g/cm3となるように密度を連続的に変化
させれば5.8GHz帯の電波を良好に吸収する。
【0014】このように繊維密度が一方側から他方側へ
向けて変化する繊維集合体は、例えば、上記多種類の太
さの繊維のうち、太さの大きい繊維については繊維密度
を粗にしたい側に多目に配合し、太さの小さい繊維につ
いては繊維密度を密にしたい側に多目に配合すること
で、形成することが可能となる。
【0015】本発明における電波吸収層2は、太さが1
000デニール(d)〜4000デニール(d)の繊
維、太さが100デニール(d)〜900デニール
(d)の繊維、太さが1デニール(d)〜90デニール
(d)の繊維から選ばれる少なくとも2種(好ましくは
3種以上)の繊維からなる繊維集合体であるのが、密度
勾配をつけやすい点で好ましい。たとえば、太さが10
00dの繊維を70重量%、太さが120dの繊維を1
5重量%、太さが50dの繊維を15重量%の割合で含
有し、それぞれ導電性カーボンで被覆させてなるものを
絡ませて形成した繊維集合体が挙げられる。さらに上記
繊維集合体は、カーボンで被覆された多種類の太さの極
性ポリマーからなる繊維を、各種繊維が少なくとも5重
量%含有されるように互いに絡ませると共に互いに結合
させて形成された繊維集合体であることが好ましい。各
種繊維が少なくとも5重量%含有されるように互いに絡
ませることで、後述のように電波吸収層に繊維の密度勾
配を形成しやすくなるという利点がある。
【0016】〔2〕電波および音波の入射を意図する側
からみて電波吸収層、吸音層の順で配置された積層構造
を有すること 本発明の電波音波吸収パネル1は、上記〔1〕の要件を
満たす電波吸収層を備え、かつ電波の入射を意図する側
からみて電波吸収層、吸音層の順で配置された積層構造
を有する。図1の例においては、厚み方向一方Z1側よ
り電波吸収層2、吸音層3の順で積層してなる例を示し
ている。本発明においては、上記の順にて電波吸収層2
および吸音層3が配置されているならば、電波吸収層2
と吸音層3とが互いに隣接するように形成されてもよい
し、間に他の層を介在させるように形成されてもよい
が、より優れた電波吸収能と音波吸収能とを兼ね備える
電波音波吸収パネルを実現し得る観点からは、これらが
互いに隣接するように形成されるのが好ましい。
【0017】本発明の電波音波吸収パネルにおける吸音
層3を形成する材料としては、例えば、グラスウール、
ロックウールなどの多孔質材料や、合板、石膏ボードな
どの建築用ボード類に貫通孔を設けた成形吸音板など、
音波吸収能を有する公知の材料を特に制限なく使用する
ことができる。また後述するような空気層を形成するこ
とで吸音率が良好な周波数範囲を広げることができる観
点からは、グラスウールを主体材料とする吸音層が好ま
しい。グラスウールを使用した場合、例えば、25mm
厚のグラスウール製の吸音層に後述の空気層を設けなか
った場合には、吸音率が0.7以上の周波数域は600
Hz〜3000Hzであったが、当該グラスウール製の
吸音層の厚み方向他方Z2側に100mm厚の空気層を
設けることで、吸音率が0.7以上の周波数域を250
Hz〜3000Hzに広げることができる。
【0018】吸音層3は、上記グラスウールを使用する
場合、例えば、ガラス繊維化(遠心法)によって、溶解
したガラスを綿状の繊維(短繊維)にし、前記綿状の繊
維を結合剤とともに所望の大きさとなるように押し固め
て、層状に形成する。
【0019】本発明における電波吸収層は、概ね均一な
厚みを有するように形成されるのが好ましい。当該電波
吸収層の好適な厚みは、吸収させる電波の周波数域によ
って適宜選択される。例えば、本発明が対象としている
電波の周波数域である5.8GHz帯では、電波吸収層
の厚みは10mm〜50mmであるのが好ましく、20
mm〜30mmであるのがより好ましい。この場合、電
波吸収層の厚みが10mm未満であったり、50mmを
越えたりすると、電波吸収能が低下してしまう虞があ
る。
【0020】なお本発明においては、吸音特性からの必
要に応じ、電波吸収層に音透過用の孔を設けるようにし
てもよい。
【0021】また、本発明における吸音層も、概ね均一
な厚みを有するように形成されるのが好ましい。当該吸
音層の好適な厚みは、吸音層に用いる材料や吸音層の構
造によって異なり、適宜選択すればよい。例えば上記グ
ラスウールにて吸音層を形成する場合、その厚みは25
mm〜75mmであるのが好ましく、40mm〜60m
mであるのがより好ましい。当該吸音層の厚みが25m
m未満であると、吸音対象の周波数域が広い場合に騒音
を充分に防止することができない虞がある(このような
場合には、吸音層の厚み方向他方側に空気層を設ける必
要がある。)。また当該吸音層の厚みが75mmを越え
ると、吸音性能には影響はないものの、製品としての寸
法が大きくなるので、布設場所が限定されてしまう虞が
ある。
【0022】図1のように電波吸収層2と吸音層3とが
互いに隣り合うように形成される場合、これらの層の間
は、接着剤を用いたり、単に機械的に挟み込むようにし
て接合すればよい。接着剤としては、電波の吸収および
音波の吸収に悪影響を与えないものであれば特に制限は
ない。
【0023】図2は、本発明の好ましい他の例の電波音
波吸収パネル11を簡略化して示す断面図である。なお
図1に示した例の電波音波吸収パネル1と同様の構成を
有する部分には、同一の参照符を付し、説明を省略す
る。本発明の電波音波吸収パネルは、図2に示す例のよ
うに、電波吸収層2の吸音層3が配置される側とは反対
側(図2に示す例では、電波吸収層2の厚み方向一方Z
1側)に、さらに保護層12を有するのが好ましい。保
護層12をさらに有することで、汚れ、埃りなどが電波
吸収層2に混入することを防止し得るとともに、電波音
波吸収パネルへの外界からの衝撃から保護することがで
きる。
【0024】保護層12は、電波吸収層2よりも電波お
よび音波の入射側に配置されるものであるが、電波音波
吸収パネル1が上述した「優れた電波吸収特性」および
「優れた音波吸収特性」を有するためには、電波に対し
ては電波音波吸収パネル1の電波の斜入射特性を向上さ
せ得るものであるとともに、音波に対しては反射させる
ことなく透過させ得るものであることが好ましい。かか
る観点から、本発明における保護層12は、誘電率の実
部が好ましくは2.5〜4.5(より好ましくは3.0
〜4.0)であり、かつ、開口率(保護層の厚み方向一
表面の面積に対する開口の面積の総計)が好ましくは1
%〜40%(より好ましくは、5%〜15%)となるよ
うな貫通孔が設けられたものであることが好ましい。上
記誘電率が2.5未満である場合、また4.5を越える
場合には、電波吸収能が低下する傾向にある。また、上
記開口率が1%未満であると、保護層で音波が反射して
しまい吸音層までに音波が届かず吸音性能が低下する傾
向にあり、上記開口率が40%を越えると、電波吸収能
(特に斜入射特性)の低下、吸音性能が低下する傾向に
あるためである。上記保護層12の誘電率(実部)は、
従来公知の手法である空洞共振器法により測定できる。
【0025】保護層12を形成する材料は、5.8GH
z帯の電波に対する誘電率の実部が2.5〜4.5のも
のであれば特に制限はなく、例えば、ポリカーボネート
樹脂(誘電率(実部):2.73)、アクリル樹脂(誘
電率(実部):2.6)、ポリエチレンテレフタレート
樹脂(誘電率(実部):3.2)、その他、ポリ塩化ビ
ニル、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂など、
およびそれらの樹脂材料のFRP(繊維強化樹脂)から
なる板部材が適用され、板厚が薄くても強度がある点
で、上記樹脂材料のFRPが好ましい。特には、電波吸
収特性(斜入射特性)、吸音特性を向上させる点で、フ
ェノール樹脂系FRP(誘電率:3.1)、不飽和ポリ
エステル系FRP(誘電率:3.9)が好ましい。
【0026】保護層12の厚みとしては、その形成材料
により異なるが、0.3mm〜3mmであるのが好まし
く、0.5mm〜1.2mmであるのがより好ましい。
保護層12の厚みが0.3mm未満であると、強度や電
波吸収能が低下する傾向にあるためであり、また3mm
を越えると、電波吸収能が低下する傾向にあるためであ
る。
【0027】また本発明の電波音波吸収パネルは、上記
の〔1〕、〔2〕の要件を兼ね備えるならば、電波吸収
層と吸音層のみが互いに隣接してなるような二層構造で
実現されてもよいし、これらの層以外の層を備えるよう
に実現されてもよいが、吸音層の電波吸収層が配置され
る側とは反対側に、必要に応じ、空気層を介在するよう
にして音波反射層が設けられてなるのが好ましい。図1
および図2には、電波音波吸収パネル1の厚み方向他方
Z2側における最外層に、吸音層3との間に空隙をあけ
て空気層4を形成するようにして音波反射層5が設けら
れてなる例を示す。空気層4は、例えば、その外周を単
に鋼板などからなる筐体で覆うなどして、保持すればよ
い。
【0028】このように、電波および音波の入射を意図
する側からみて、吸音層3よりも奥行き側にさらに空気
層4を介在させて音波反射層5を設けることで、電波吸
収層2、吸音層3を通過した音を音波反射層5にて反射
させ、空気層4内で共鳴を起こさせることで入射音と反
射音とを相殺させることができ、さらに音波吸収能の向
上された電波音波吸収パネル1を実現することができ
る。
【0029】空気層4の厚みは、当該空気層4と音波反
射層5とによって吸音を意図する音の周波数に応じて適
宜設定すればよい。例えば、周波数域が250Hz〜3
000Hzの音波の吸音を意図する場合、吸音層(材
料:グラスウール、厚み:25mm)の厚み方向他方Z
2側に100mm厚の空気層を設ければよい。
【0030】音波反射層としては、公知の音を遮音する
ものであればよい。かかる音波反射層の形成材料として
は、例えば、鋼板、鉛板などが例示される。中でも、強
度のある鋼板が好ましく、その表面に公知の適宜の防食
(防錆)加工が施されているものが特に好ましい。音波
反射層の形状に特に制限はないが、パネル強度を出すた
めに、積層方向に対して凹凸を有する形状であることが
好ましい。図2には、厚み方向Zに対し凹凸を有する形
状である場合の音波反射層13を示している。
【0031】また本発明の電波音波吸収パネルは、図2
に示す例のように、電波吸収層2と吸音層3との間に、
セパレートフィルム14が介在されたものであることが
好ましい。このようなセパレートフィルム14が電波吸
収層2と吸音層3との間に介在されることで、電波吸収
層を通過してしまった電波を反射させることで電波吸収
能を安定化させることができ、かつ、電波吸収層2を通
過した音波によって該フィルムを振動させて、音のエネ
ルギーを振動エネルギーに変換することができ、吸音効
果を向上させることができる。
【0032】本発明におけるセパレートフィルム14と
しては、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタ
レート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)などの樹
脂材料にて形成されたフィルムや、金、銀、銅、アルミ
ニウム、亜鉛、スズ、鉄などの金属材料にて形成された
フィルム(箔)、また上記樹脂フィルム上に上記金属材
料が蒸着されたフィルムなどが挙げられる。中でも、汎
用性、軽量化、電波吸収能、吸音性能の向上という観点
から、アルミニウムフィルム(アルミニウム箔)が好ま
しい。
【0033】セパレートフィルム14の厚みに特に制限
はないが、1μm〜50μmであるのが好ましく、5μ
m〜20μmであるのがより好ましい。セパレートフィ
ルム14の厚みが1μm未満であると、破れ易くなって
しまう傾向にあるためであり、また厚みが50μmを越
えると、電波吸収能、吸音特性が低下してしまう虞があ
るためである。
【0034】なお、電波吸収層2と吸音層3との間にセ
パレートフィルム14を設ける手段としては、電波吸
収層2と吸音層3との間にフィルムを介在させた状態で
これらを密着させる、吸音層3をフィルムで包装し、
これを電波吸収層2と密着させる、などの手段が挙げら
れる。また、上記、を併せた方法、すなわち、吸音
層3をセパレートフィルムで包装し、かつ別のセパレー
タフィルムを電波吸収層2との間に介在させた状態でこ
れらを密着させてもよい。中でも、吸音層3を汚れや雨
水の浸入から防ぐことができる、電波吸収能と吸音性能
の安定化の観点から、上記の手段によりセパレートフ
ィルム14を設けるのが好ましい。
【0035】図3は、本発明の電波音波吸収パネルの設
置の一例を簡略化して示す斜視図である。図3には、図
1に示した電波音波吸収パネル1を使用する場合を示し
ている。本発明の電波音波吸収パネル1は、例えば、従
来の吸音壁と同様にして設置すればよい。図3には、図
1に示した電波音波吸収パネル1を複数枚並列に配列さ
せて壁状に形成し(この壁状の電波音波吸収パネルの集
合物を、便宜上、「電波音波吸収壁7」と呼ぶことがあ
る。)、電波および音波の入射を意図する側が、不要電
波や騒音を抑制したい領域に面するように設置した例を
示す。各電波音波吸収パネル1は、当該電波音波吸収壁
7の長手方向に関して、例えば断面H字状の支柱8を介
在させ、該支柱8の溝に電波音波吸収パネル1の端部が
嵌り込んだ状態でネジ留めするなどして、上記配置で固
定される。このような電波音波吸収壁7においては、上
記のような構成の電波音波吸収パネル1を用いてなるこ
とによって、同程度の音波吸収能を付与させつつ全体の
厚みを従来の防音壁と同程度に実現することが可能であ
る。このように実現された電波音波吸収壁7は、従来の
吸音壁と同程度の空間の占有にて、電波および音波を同
時に吸収できる構造物を得ることができる。また吸音
壁、電波吸収体を使用していた従来と比較して、騒音対
策、不要電波対策に講ずるコストを少なくできる。また
図4に示すように、断面H字状の支柱8’を用い、電波
音波吸収パネルの端部に嵌合構造を設け、該支柱8’が
電波の入射を意図する側に露出されないように電波音波
吸収壁7’を実現すると、入射してくる電波および音波
を支柱において反射してしまうことを防止でき好まし
い。
【0036】なお、従来の防音壁の電波および音波の入
射を意図する側に、上記の〔1〕の構成の電波吸収層
を、上記〔2〕の配置となるように設けたものも、本発
明に包含される。
【0037】
〔保護層〕
・保護層A 厚み0.6mmのフェノール樹脂系FRP製の樹脂シー
ト(日東紡社製、開口率:13.60%、誘電率:3.
9)を使用した。 ・保護層B 厚み0.6mmのフェノール樹脂系FRP製の樹脂シー
ト(日東紡社製、開口率:9.18%、誘電率:3.
9)を使用した。 ・保護層C 厚み0.6mmのフェノール樹脂系FRP製の樹脂シー
ト(日東紡社製、開口率:6.17%、誘電率:3.
9)を使用した。 ・保護層D 厚み0.6mmのフェノール樹脂系FRP製の樹脂シー
ト(日東紡社製、開口率:29.60%、誘電率:3.
9)を使用した。 ・保護層E 厚み1.0mmの不飽和ポリエステル系FRP製の樹脂
シート(日東紡社製、開口率:13.60%、誘電率:
3.1)を使用した。 ・保護層F 厚み1.0mmの不飽和ポリエステル系FRP製の樹脂
シート(日東紡社製、開口率:6.17%、誘電率:
3.1)を使用した。 ・保護層G 厚み0.8mmのポリカーボネート樹脂シート(開口
率:6.17%、誘電率:2.73)を使用した。 〔電波吸収層〕 ・電波吸収層A 太さが1000dのポリ塩化ビニリデン繊維を70重量
%、太さが120dのポリ塩化ビニリデン繊維を15重
量%、太さが50dのポリ塩化ビニリデン繊維を15重
量%の割合で含有し、それぞれ導電性カーボンで被覆さ
せたものを絡ませて厚み25mmに形成した繊維集合体
であって、繊維密度が電波および音波の入射を意図する
側から吸音層側に向かって連続的に高くなるように形成
されたもの(電波入射面側の繊維密度:0.03g/c
3、吸音層側の繊維密度:0.06g/cm3)を使用
した。 ・電波吸収層B 太さが1500dのポリ塩化ビニリデン繊維を60重量
%、太さが250dのポリ塩化ビニリデン繊維を25重
量%、太さが30dのポリ塩化ビニリデン繊維を15重
量%の割合で含有し、それぞれ導電性カーボンで被覆さ
せたものを絡ませて厚み25mmに形成した繊維集合体
であって、繊維密度が電波および音波の入射を意図する
側から吸音層側に向かって連続的に高くなるように形成
されたもの(電波入射面側の繊維密度:0.05g/c
3、吸音層側の繊維密度:0.08g/cm3)を使用
した。 ・電波吸収層C 太さが1200dのポリ塩化ビニリデン繊維を50重量
%、太さが400dのポリ塩化ビニリデン繊維を30重
量%、太さが50dのポリ塩化ビニリデン繊維を20重
量%の割合で含有し、それぞれ導電性カーボンで被覆さ
せたものを絡ませて厚み50mmに形成した繊維集合体
であって、繊維密度が電波および音波の入射を意図する
側から吸音層側に向かって連続的に高くなるように形成
されたもの(電波入射面側の繊維密度:0.03g/c
3、吸音層側の繊維密度:0.06g/cm3)を使用
した。 ・電波吸収層D 太さが1000dのポリ塩化ビニリデン繊維を65重量
%、太さが120dのポリ塩化ビニリデン繊維を15重
量%、太さが50dのポリ塩化ビニリデン繊維を20重
量%の割合で含有し、それぞれ導電性カーボンで被覆さ
せたものを絡ませて厚み25mmに形成した繊維集合体
であって、繊維密度が電波および音波の入射を意図する
側から吸音層側に向かって連続的に高くなるように形成
されたもの(電波入射面側の繊維密度:0.08g/c
3、吸音層側の繊維密度:0.11g/cm3)を使用
した。 ・電波吸収層E 厚み10mmに形成した繊維密度0.03g/cm3
繊維集合体(太さが1000dのポリ塩化ビニリデン繊
維を70重量%、太さが120dのポリ塩化ビニリデン
繊維を15重量%、太さが50dのポリ塩化ビニリデン
繊維を15重量%の割合で含有し、それぞれ導電性カー
ボンで被覆させて絡ませたもの)と、厚み10mmに形
成した繊維密度0.05g/cm3の繊維集合体(太さ
が1500dのポリ塩化ビニリデン繊維を60重量%、
太さが250dのポリ塩化ビニリデン繊維を25重量
%、太さが30dのポリ塩化ビニリデン繊維を15重量
%の割合で含有し、それぞれ導電性カーボンで被覆させ
て絡ませたもの)と、厚み10mmに形成した繊維密度
0.08g/cm3の繊維集合体(太さが1200dの
ポリ塩化ビニリデン繊維を50重量%、太さが400d
のポリ塩化ビニリデン繊維を30重量%、太さが50d
のポリ塩化ビニリデン繊維を20重量%の割合で含有
し、それぞれ導電性カーボンで被覆させて絡ませたも
の)とを積層し、繊維密度が電波および音波の入射を意
図する側から吸音層側に向かって断続的に高くなるよう
に形成されたものを使用した。 〔セパレートフィルム〕 ・セパレートフィルムA 厚み20μmのPETフィルムを使用した。 ・セパレートフィルムB 厚み12mのアルミニウム箔を使用した。 ・セパレートフィルムC 厚み30μmのPETフィルムの片面にアルミニウムを
5μmの厚みに蒸着し、アルミニウムの上に15μmの
ポリエチレンを貼り合わせたものを使用した。 〔吸音層〕厚み50mmのグラスウールを使用した。 〔空気層〕 ・空気層A 厚み10mmの空気層を設けた。 ・空気層B 厚み20mmの空気層を設けた。 ・空気層C 厚み40mmの空気層を設けた。 〔音波反射層〕厚み1.2mmの亜鉛メッキ鋼板を音波
反射層として用いた。
【0038】
【表1】
【0039】比較例1 電波吸収層として、塩素化ポリエチレン(100重量
部)に電波損失剤としてカルボニル還元鉄粉(760重
量部)を配合して、圧延加工した厚さ2mmのシートの
片面にアルミニウム箔を貼り、さらに上述した実施例と
同様の吸音層および音波反射層を設けて、電波音波吸収
パネルとした。
【0040】比較例2 比較例1の電波音波吸収パネルの電波吸収層の電波およ
び音波の入射を意図する側に実施例で用いた保護層Cを
設け、吸音層と音波反射層との間に厚み20mmの空気
層を設けて、電波音波吸収パネルとした。
【0041】〔評価試験〕上記で得られた実施例1〜1
6、比較例1,2の各電波音波吸収パネルについて、下
記の評価を行った。 (1)電波吸収特性 入射角度0°〜80°の範囲で、5.8GHz帯の円偏
波を入射させ、アーチ法にて反射減衰量を測定し、下記
の基準によって評価した。 ・◎:0°〜50°の範囲での反射減衰量が25dB以
上で、50°を越えて80°以下の範囲での反射減衰量
が15dB以上 ・○:0°〜50°の範囲での反射減衰量が20dB以
上25dB未満で、50°を越えて80°以下の範囲で
の反射減衰量が15dB以上 ・△:0°〜50°の範囲での反射減衰量が15dB以
上20dB未満で、50°を越えて80°以下の範囲で
の反射減衰量が15dB以上 ・×:0°〜50°の範囲、50°を越えて80°以下
の範囲のうちの少なくともいずれかの反射減衰量が15
dB未満
【0042】(2)吸音特性 JIS A 1405に基づいて、100Hz〜160
0HZの範囲の音波の吸音率を測定し、下記の基準によ
って評価した。 ・◎:400Hzの吸音率が0.7以上、かつ1000
Hzの吸音率が0.8以上 ・○:400Hzの吸音率が0.5以上0.7未満で、
かつ1000Hzの吸音率が0.8以上、または、40
0Hzの吸音率が0.7以上で、かつ1000Hzの吸
音率が0.6以上0.8未満 ・×:400Hzの吸音率が0.5未満、または、10
00Hzの吸音率が0.6未満
【0043】(3)電波音波吸収パネルの総合評価 (1)、(2)の結果より、下記の基準で実施例1〜1
6、比較例1,2の各電波音波吸収パネルの総合評価を
行った。 ・◎:電波吸収特性、吸音特性が共に◎ ・○:電波吸収特性、吸音特性のいずれかの評価に×を
含まないもの ・×:電波吸収特性、吸音特性のいずれかの評価が×を
含むもの 結果を、表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、電波吸収能と音波吸収性能とを兼ね備える構造
物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい一例の電波音波吸収パネル1
の断面図を簡略化して示す図であり、図1(a)は断面
図、図1(b)は正面図である。
【図2】本発明の好ましい他の例の電波音波吸収パネル
11の断面図を簡略化して示す断面図である。
【図3】本発明の電波音波吸収パネル1の設置の一例を
示す斜視図である。
【図4】本発明の電波音波吸収パネル1の設置の他の例
を示す斜視図である。
【符号の説明】
1,11 電波音波吸収パネル 2 電波吸収層 3 吸音層 4 空気層 5 音波反射層 12 保護層 14 セパレートフィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 和田 睦 和歌山県有田市箕島663番地 三菱電線工 業株式会社箕島製作所内 (72)発明者 福井 政博 大阪府大阪市北区天満橋1丁目8番30号 OAPタワー 三菱電線工業株式会社関西 支社内 (72)発明者 大西 隆雄 東京都千代田区丸の内3丁目4番1号 新 国際ビル 三菱電線工業株式会社東京事務 所内 (72)発明者 工藤 敏夫 兵庫県尼崎市東向島西之町8番地 三菱電 線工業株式会社内 Fターム(参考) 2D001 AA01 CA01 CB01 CD03 4F100 AA37A AC10B AG00B AK01A AR00B AR00D BA04 BA07 BA10A BA10D BA43A DD01D DD21C DG01B DG06A GB90 JA13A JD08A JH01B JH10D YY00A 5E321 AA44 BB21 GG11 GH05 5J020 EA06 EA10

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電波および音波の入射を意図する側から
    みて電波吸収層、吸音層の順で配置された積層構造を有
    し、かつ上記電波吸収層がカーボンで被覆された繊維か
    らなる繊維集合体である電波音波吸収パネルであって、
    上記繊維集合体が、繊維密度が電波および音波の入射を
    意図する側から吸音層側に向かって順に連続的または断
    続的に高くなるように形成されたものである電波音波吸
    収パネル。
  2. 【請求項2】 電波吸収層の吸音層が配置される側とは
    反対側に、さらに保護層を有する、請求項1に記載の電
    波音波吸収パネル。
  3. 【請求項3】 保護層は、5.8GHz帯の電波に対す
    る誘電率の実部が2.5〜4.5であり、かつ開口率が
    1%〜40%となるような貫通孔が設けられている請求
    項2に記載の電波音波吸収パネル。
  4. 【請求項4】 吸音層の電波吸収層が配置される側とは
    反対側に、空気層を介して音波反射層が設けられている
    請求項1〜3のいずれかに記載の電波音波吸収パネル。
  5. 【請求項5】 上記音波反射層の形状が、積層方向に対
    して凹凸を有するものである、請求項4に記載の電波音
    波吸収パネル。
  6. 【請求項6】 電波吸収層と吸音層との間にセパレート
    フィルムが介在されたものである、請求項1〜5のいず
    れかに記載の電波音波吸収パネル。
  7. 【請求項7】 上記繊維集合体が、1000デニール〜
    4000デニールの太さの繊維、100デニール〜90
    0デニールの太さの繊維、1デニール〜90デニールの
    太さの繊維から選ばれる少なくとも2種類の繊維を互い
    に絡ませると共に互いに結合させたものである、請求項
    1〜6のいずれかに記載の電波音波吸収パネル。
  8. 【請求項8】 上記繊維集合体が、カーボンで被覆され
    た多種類の太さの極性ポリマーからなる繊維を、各種繊
    維が少なくとも5重量%以上含有されるように互いに絡
    ませるとともに互いに結合させて形成されたものであ
    る、請求項1〜7のいずれかに記載の電波音波吸収パネ
    ル。
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